IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 参天製薬株式会社の特許一覧

特許7170650ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する網膜神経細胞保護用組成物
<>
  • 特許-ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する網膜神経細胞保護用組成物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する網膜神経細胞保護用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/45 20060101AFI20221107BHJP
   A61K 36/15 20060101ALI20221107BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20221107BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221107BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
A61K36/45
A61K36/15
A23L33/105
A61P27/02
A61P43/00 121
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019546750
(86)(22)【出願日】2018-10-03
(86)【国際出願番号】 JP2018036972
(87)【国際公開番号】W WO2019069966
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2017194482
(32)【優先日】2017-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000177634
【氏名又は名称】参天製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】真木 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】谷口 孝純
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-509965(JP,A)
【文献】STEIGERWALT Jr. Robert D, et al.,Effects of mirtogenol on ocular blood flow and intraocular hypertension in asymptomatic subjects,Molecular Vision,2008年,14,1288-1292
【文献】NAKAMURA Orie et al.,Bilberry extract administration prevents retinal ganglion cell death in mice via the regulation of c,Clinical Ophthalmology,2017年09月12日,11,1825-1834
【文献】OSADA Hideto et al.,Neuroprotective effect of bilberry extract in a murine model of photo-stressed retina,Plos One,12(6):e0178627
【文献】OGAWA Kenjirou et al.,The protective effects of bilberry and lingonberry extracts against UV light-induced retinal photore,J agric food chem,2013年,61,10345-10353
【文献】小川健二郎 他,ビルベリー由来アントシアニンが目に与える機能性-ヒト臨床試験と機能性表示食品-,岐阜薬科大学紀要,2016年,65,20-27
【文献】MATSUNAGA Nozomu et al.,Bilberry and its main constituents have neuroprotective effects against retinal neuronal damages in,Mol. Nutr. Food Res.,2009年,53,869-877
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/45
A61K 36/15
A23L 33/105
A61P 27/02
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビルベリー果実エキスフランス海岸松樹皮エキスを含有する、網膜神経細胞保護および/又は視神経保護用組成物であって、ビルベリー果実エキスフランス海岸松樹皮エキスの含有量の比率が9:4である、網膜神経細胞保護および/又は視神経保護用組成物。
【請求項2】
経口または非経口投与するための請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
医薬用組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
食品用組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
食品用組成物が、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能性食品または機能性表示食品である、請求項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルベリー果実の加工物、松樹皮の加工物又はそれらの組み合わせを含有する網膜神経細胞保護用および/又は視神経保護用組成物並びにビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する神経細胞保護用および/又は神経保護用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
網膜は内境界膜、神経線維層、神経節細胞層、内網状層、内顆粒層、外網状層、外顆粒層、外境界膜、視細胞層および網膜色素上皮層の10層から成る、厚さ0.1~0.5mmの組織であり、その中には視細胞、双極細胞、神経節細胞、水平細胞、アマクリン細胞およびミュラー細胞という網膜神経細胞群が存在する。
【0003】
網膜神経細胞群は光刺激を電気信号に変換して、その電気信号を脳へ伝達するといった視覚情報の受容と伝達において非常に重要な役割を果たしている。
【0004】
その伝達メカニズムについて詳述すると、眼から入った視覚情報は視細胞により電気信号化され、水平細胞、双極細胞および/又はアマクリン細胞を経由した後に神経節細胞に伝達される。次いで、その電気信号は神経節細胞の軸索を含む視神経線維の束である視神経を経由して脳に伝達される。
【0005】
ところで、網膜神経細胞や視神経が種々の原因により障害を受けると、網膜神経細胞や視神経の恒常性が維持できなくなり、視覚情報の脳への伝達が妨げられ、結果として視野障害が発生する。例えば、非特許文献1には、網膜血管閉塞症、糖尿病性網膜症、虚血性視神経症、正常眼圧緑内障、黄斑変性症、網膜色素変性症、レーベル病等の種々の網膜疾患において、網膜神経細胞の機能破綻を伴った視野障害が生じていることが広く知られている。
【0006】
また、網膜神経細胞死を抑制する薬剤として、例えば、特許文献1にプロスタグランジン誘導体の一つであるタフルプロストの視神経保護作用が、特許文献2にエブセレンの視神経保護作用が、特許文献3にβ遮断薬の一つであるニプラジロールを有効成分として含む網膜神経細胞保護剤、特許文献4にはブナゾシン等のα1受容体遮断薬を有効成分として含む視神経節細胞保護剤が、非特許文献2にはプロスタグランジン誘導体の一つであるラタノプロストの神経保護作用等が、非特許文献3又は非特許文献4にはプロスタノイドEP2受容体アゴニストであるONO-AE1-259-01の網膜神経保護作用を有することが知られている。
【0007】
一方、ビルベリー果実には、抗酸化効果、血流改善効果等を有し、眼によいといわれるアントシアニンが豊富に含まれることから、その果実エキスを含む眼のサプリメントが広く知られており、例えば、ビルベリー果実の抽出物(ミルトセレクト(登録商標))を含むサプリメントが広く販売されている。
【0008】
また、松樹皮、特にフランス海岸松樹皮には、プロアントシアニジン、フラボノイド、カテキンといった抗酸化作用を有するポリフェノール類が豊富に含まれることから、その樹皮の抽出物は、化粧料やサプリメントとして広く知られており、例えば、フランス海岸松樹皮エキス(ピクノジェノール(登録商標))を含むサプリメントが広く販売されている。
【0009】
さらに、ビルベリー果実の抽出物(ミルトセレクト(登録商標))とフランス海岸松樹皮エキス(ピクノジェノール(登録商標))を含む組成物が、眼圧が高めの健常者に対して眼圧下降作用を示すことが知られており、この組成物がミルトジェノール(登録商標)として広く販売されている。
【0010】
しかし、ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する組成物について、網膜神経細胞保護および/又は視神経保護効果に関する報告や眼圧上昇を伴わない緑内障の予防および/又は治療効果に関する報告はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2006-306862号公報
【文献】特開2009-227671号公報
【文献】特開2001-072591号公報
【文献】国際公開第03/004058号パンフレット
【文献】特表平3-501025号公報
【非特許文献】
【0012】
【文献】BRAIN Res. Bull.,2004,62(6),447―453
【文献】Experimental Eye Res.,2001,72,479-486
【文献】Eur.J.Pharmacol.,2007,570,135-141
【文献】Eur.J.Pharmacol.,2009,616,64-67
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、神経細胞死および/又は神経細胞の機能低下、特に網膜神経細胞死および/又は網膜神経細胞の機能低下を抑制し、網膜神経細胞保護および/又は視神経保護効果を有し、視機能の維持および視神経障害の予防および/又は改善に有用な新たな組成物を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、種々の原因(1.小胞体ストレス、2.興奮毒性、3.栄養因子飢餓ストレス、4.酸化ストレス、5.炎症性ストレス、6.アミロイドβ1-42、7.アミロイドβ25-35)により誘導される神経細胞死および/又は神経細胞の機能低下(弱体化)に着目し、多数の天然物由来の成分およびそれらの組み合わせによる神経細胞死および/又は網膜神経細胞の機能低下に対する効果について検討した。その結果、ビルベリー果実の加工物、松樹皮の加工物又はそれらの組み合わせを含有する組成物には、神経細胞死および/又は神経細胞の機能低下、特に網膜神経細胞死および/又は網膜神経細胞の機能低下を顕著に抑制することが期待されるとの結論に至り、本発明を完成させた。より具体的には、ビルベリー果実の加工物、松樹皮の加工物又はそれらの組み合わせを含有する組成物は、酸化ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制する。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の態様の発明を提供するものである。
[態様A]
[A1]ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する網膜神経細胞保護および/又は視神経保護用組成物。
[A2]ビルベリー果実の加工物がビルベリー果実抽出物である、前記[A1]記載の組成物。
[A3]松樹皮の加工物が松樹皮抽出物である、前記[A1]記載の組成物。
[A4]松樹皮の抽出物がフランス海岸松樹皮エキスである、前記[A3]の組成物。
[A5]経口または非経口投与するための、前記[A1]~[A4]のいずれか一項に記載の組成物。
[A6]医薬用組成物である、前記[A1]~[A5]のいずれか一項に記載の組成物。
[A7]食品用組成物である、前記[A1]~[A5]のいずれか一項に記載の組成物。
[A8]食品用組成物が、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能性食品または機能性表示食品である、前記[A7]に記載の組成物。
[A9]治療有効量のビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する組成物を患者に投与することを特徴とする網膜神経細胞保護および/又は視神経保護方法。
[A10]網膜神経細胞保護および/又は視神経保護における使用のための、ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する組成物。
[A11]網膜神経細胞保護および/又は視神経保護用の医薬の製造における、ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する組成物の使用。
【0016】
なお、前記[A1]から[A11]の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
【0017】
[態様B]
[B1]ビルベリー果実の加工物を含有する網膜神経細胞保護および/又は視神経保護用組成物。
[B2]ビルベリー果実の加工物がビルベリー果実抽出物である、前記[B1]記載の組成物。
[B3]経口または非経口投与するための、前記[B1]又は[B2]に記載の組成物。
[B4]医薬用組成物である、前記[B1]~[B3]のいずれか一項に記載の組成物。
[B5]食品用組成物である、前記[B1]~[B3]のいずれか一項に記載の組成物。
[B6]食品用組成物が、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能性食品または機能性表示食品である、前記[B5]に記載の組成物。
[B7]治療有効量のビルベリー果実の加工物を患者に投与することを特徴とする網膜神経細胞保護および/又は視神経保護方法。
[B8]網膜神経細胞保護および/又は視神経保護における使用のための、ビルベリー果実の加工物。
[B9]網膜神経細胞保護および/又は視神経保護用の医薬の製造における、ビルベリー果実の加工物の使用。
【0018】
なお、前記[B1]から[B9]の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
【0019】
[態様C]
[C1]松樹皮の加工物を含有する網膜神経細胞保護および/又は視神経保護用組成物。
[C2]松樹皮の加工物が松樹皮抽出物である、前記[C1]記載の組成物。
[C3]松樹皮の抽出物がフランス海岸松樹皮エキスである、前記[C2]の組成物。
[C4]経口または非経口投与するための、前記[C1]~[C3]のいずれか一項に記載の組成物。
[C5]医薬用組成物である、前記[C1]~[C4]のいずれか一項に記載の組成物。
[C6]食品用組成物である、前記[C1]~[C4]のいずれか一項に記載の組成物。
[C7]食品用組成物が、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能性食品または機能性表示食品である、前記[C6]に記載の組成物。
[C8]治療有効量の松樹皮の加工物を患者に投与することを特徴とする網膜神経細胞保護および/又は視神経保護方法。
[C9]網膜神経細胞保護および/又は視神経保護における使用のための、松樹皮の加工物。
[C10]網膜神経細胞保護および/又は視神経保護用の医薬の製造における、松樹皮の加工物の使用。
【0020】
なお、前記[C1]から[C10]の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
【0021】
すなわち、本発明は、以下の態様の発明を提供するものである。
[態様D]
[D1]ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物の組み合わせからなる網膜神経細胞保護および/又は視神経保護用組成物。
[D2]ビルベリー果実の加工物がビルベリー果実抽出物である、前記[D1]記載の組成物。
[D3]松樹皮の加工物が松樹皮抽出物である、前記[D1]記載の組成物。
[D4]松樹皮の抽出物がフランス海岸松樹皮エキスである、前記[D3]の組成物。
[D5]経口または非経口投与するための、前記[D1]~[D4]のいずれか一項に記載の組成物。
[D6]医薬用組成物である、前記[D1]~[D5]のいずれか一項に記載の組成物。
[D7]食品用組成物である、前記[D1]~[D5]のいずれか一項に記載の組成物。
[D8]食品用組成物が、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能性食品または機能性表示食品である、前記[D7]に記載の組成物。
[D9]治療有効量のビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物とを組み合わせて患者に投与することを特徴とする網膜神経細胞保護および/又は視神経保護方法。
[D10]治療有効量のビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物とを併用することを特徴とする、前記[D9]に記載の方法。
[D11]治療有効量のビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物とを同時にまたは逐次的に(時間を変えて別々に)投与することを特徴とする、前記[D10]に記載の方法。
[D12]網膜神経細胞保護および/又は視神経保護における使用のための、ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物との組み合わせ。
[D13]網膜神経細胞保護および/又は視神経保護用の医薬の製造における、ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物との組み合わせの使用。
【0022】
なお、前記[D1]から[D13]の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
【0023】
[態様E]
[E1]ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する神経細胞保護および/又は神経保護用組成物。
[E2]ビルベリー果実の加工物がビルベリー果実抽出物である、前記[E1]記載の組成物。
[E3]松樹皮の加工物が、松樹皮抽出物である前記[E1]記載の組成物。
[E4]松樹皮の抽出物がフランス海岸松樹皮エキスである、前記[E3]の組成物。
[E5]経口または非経口投与するための、前記[E1]~[E4]のいずれか一項に記載の組成物。
[E6]医薬用組成物である、前記[E1]~[E5]のいずれか一項に記載の組成物。
[E7]食品用組成物である、前記[E1]~[E5]のいずれか一項に記載の組成物。
[E8]食品用組成物が、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能性食品または機能性表示食品である、前記[E7]に記載の組成物。
[E9]治療有効量のビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する組成物を患者に投与することを特徴とする神経細胞保護および/又は神経保護方法。
[E10]神経細胞保護および/又は神経保護における使用のため、ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する組成物。
[E11]神経細胞保護および/又は神経保護用の医薬の製造における、ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する組成物の使用。
【0024】
なお、前記[E1]から[E11]の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
【0025】
[態様F]
[F1]ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物の組み合わせからなる神経細胞保護および/又は神経保護用組成物。
[F2]ビルベリー果実の加工物がビルベリー果実抽出物である、前記[F1]記載の組成物。
[F3]松樹皮の加工物が松樹皮抽出物である、前記[F1]記載の組成物。
[F4]松樹皮の抽出物がフランス海岸松樹皮エキスである、前記[F3]の組成物。
[F5]経口または非経口投与するための、前記[F1]~[F5]のいずれか一項に記載の組成物。
[F6]医薬用組成物である、前記[F1]~[F5]のいずれか一項に記載の組成物。
[F7]食品用組成物である、前記[F1]~[F5]のいずれか一項に記載の組成物。
[F8]食品用組成物が、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能性食品または機能性表示食品である、前記[F7]に記載の組成物。
[F9]治療有効量のビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物とを組み合わせて患者に投与することを特徴とする神経細胞保護および/又は神経保護方法。
[F10]治療有効量のビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物とを併用することを特徴とする、前記[F9]に記載の方法。
[F11]治療有効量のビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物とを同時にまたは逐次的に(時間を変えて別々に)投与することを特徴とする、前記[F10]に記載の方法。
[F12]神経細胞保護および/又は神経保護における使用のための、ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物との組み合わせ。
[F13]神経細胞保護および/又は神経保護用の医薬の製造における、ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物との組み合わせの使用。
【0026】
なお、前記[F1]から[F13]の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ビルベリー果実の加工物および松樹皮の加工物を各々単独又はそれらの併用若しくは合剤として投与することで、網膜神経細胞保護および/又は視神経保護効果が発揮されるので、視機能の維持および視神経障害の予防、抑制および/又は改善が期待され、医薬用組成物および食品用組成物(特にサプリメント用)としての利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】被験物質A添加群の細胞保護効果、被験物質B添加群の細胞保護効果及び被験物質A+被験物質B添加群の細胞保護効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
【0030】
本発明の一態様は、ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する網膜神経細胞保護および/又は視神経保護用組成物である。
【0031】
本発明において、「ビルベリー果実」とは、ツツジ科スノキ属 (Vaccinium) の植物の果実をいう。ツツジ科スノキ属 (Vaccinium) の植物の果実であれば、その種類や産地は特に限定されるものではない。例えば、セイヨウスノキ (Vaccinium myrtillusL.)、クロマメノキ (Vaccinium uliginosum L)、Vaccinium caespitosum Michx.、(Vaccinium deliciosum Piper)、Vaccinium membranaceum、クロウスゴ (Vaccinium ovalifolium)の果実が挙げられ、好ましくは、アントシアニンが豊富に含まれるセイヨウスノキ (Vaccinium myrtillusL.)の果実である。
【0032】
本発明において、「ビルベリー果実の加工物」とは、ビルベリー果実から一般的に知られている加工方法で調製・製造できるものであればよく、その加工方法は特に限定されるものではない。例えば、ビルベリー果実の加工物は、ビルベリー果実(果皮、果実、果肉等)を必要に応じて、切断、粉砕、圧搾、抽出、遠心分離、ろ過、精製、乾燥等して調製・製造することができる。さらに、2種類以上のビルベリー果実およびその加工物を適宜混合して調製・製造することもできる。さらに、調製・製造の過程で、医薬品や食品で使用できる賦形剤等を添加して調製・製造することもできる。
【0033】
本発明におけるビルベリー果実の加工物としては、ビルベリー果実の抽出物が好ましく、また、市販されているビルベリー果実エキス(バクシニウム・ミルティルスエキス)を使用することができる。特に、インデナ(Indena)S.p.A.社製のミルトセレクト(登録商標)等を用いることが特に好ましい。ミルトセレクト(登録商標)は、アントシアニン類を含有するビルベリーエキスである。
【0034】
本発明におけるビルベリー果実の加工物は、成人に対して、1日当たり例えば、5~500mg、好ましくは10~250mg、より好ましくは90mgの量で投与することができる。
【0035】
本発明の組成物は、成人に対して、1日当たり例えば、1~1000mg、好ましくは1~500mg、より好ましくは5~250mg、特に好ましくは10~90mgの少なくとも1つのアントシアニン(アントシアノシドともいう)(又はそれを含むビルベリー果実の加工物)として投与することができる。
【0036】
本発明において、「松樹皮」とは、マツ科マツ属 (Pinus)の植物の樹皮をいう。マツ科マツ属 (Pinus)の植物の樹皮であれば、その種類や産地は特に限定されるものではない。例えば、フランス海岸松(Pinus Martima)、ニュージーランドマツ、フィンランドマツ、エキナタマツ、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、ストローブマツ、サトウマツ、リュウキュウマツ、スラッシュマツ、カリビアマツ、リギダマツ、テ-ダマツ、ダイオウショウ、タイワンアカマツ、バンクスマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダの樹皮が挙げられ、好ましくは、フランス海岸松、ニュージーランドマツ、フィンランドマツの樹皮であり、特に好ましくは、プロアントシアニジンが豊富に含まれるフランス海岸松の樹皮である。
【0037】
本発明において、「松樹皮の加工物」とは、松樹皮から一般的に知られている加工方法で調製・製造できるものであればよく、その加工方法は特に限定されるものではない。例えば、松樹皮の加工物は、松樹皮を必要に応じて、切断、粉砕、圧搾、抽出、遠心分離、ろ過、精製、乾燥等して調製・製造することができる。さらに、2種類以上の松樹皮およびその加工物を適宜混合して調製・製造することもできる。さらに、調製・製造の過程で、医薬品や食品で使用できる賦形剤等を添加して調製・製造することもできる。
【0038】
本発明における松樹皮の加工物としては、松樹皮の抽出物が好ましく、また、市販されている松樹皮エキスを使用することができる。特に、ホーファー リサーチ社製のピクノジェノール(登録商標)等を用いることが特に好ましい。ホーファー リサーチ社製のピクノジェノール(登録商標)は、プロアントシアニジン類を含有する松樹皮エキスである。
【0039】
本発明における松樹皮の加工物は、成人に対して、1日当たり例えば、1~500mg、好ましくは1~450mg、より好ましくは5~120mg、特に好ましくは40mgの量で投与することができる。
【0040】
本発明の組成物は、成人に対して、1日当たり例えば、0.5~500mg、好ましくは1~450mg、より好ましくは3~120mg、特に好ましくは5~40mgの量の少なくとも1つのプロアントシアニジン(又はそれを含む松樹皮の加工物)として投与することができる。
【0041】
本発明において、「網膜神経細胞」とは、視覚信号の脳への伝達に関与する視機能に関与する網膜に存在する細胞を意味する。具体的には、視細胞および水平細胞、双極細胞、網膜神経節細胞、アマクリン細胞、ミュラー細胞の網膜神経細胞群を意味し、好ましくは、神経細胞である水平細胞、双極細胞、視神経節細胞およびアマクリン細胞であり、特に好ましくは、網膜神経節細胞である。
【0042】
本発明において、「網膜神経細胞保護」とは、何らかの原因により生じる網膜神経細胞死および/又は網膜神経細胞の機能低下を抑制することを意味する。また、将来的に生じうる網膜神経細胞死および/又は網膜神経細胞の機能低下を予防することをも意味する。
【0043】
本発明において、「視神経」とは、網膜神経節細胞から伸びる約100万の軸索から形成される神経線維の束および視覚情報の伝達に関与する細胞群を意味する。
【0044】
本発明において、「視神経保護」とは、視神経に正常な機能を保持させることを意味する。例えば、視神経が何らかの原因により損傷したり、変性したり、さらには細胞死を起こしたりすることを抑制することを意味する。また、物理的に正常な視神経であっても、機能的に異常をきたした視神経であれば、本発明の視神経保護の対象として含まれる。
【0045】
本発明において、「神経細胞」とは、神経系を構成する、情報処理と情報伝達に特化した細胞を意味し、例えば、光や機械的刺激に反応する感覚神経細胞や筋繊維に出力する運動神経細胞が挙げられる。
【0046】
本発明において、「神経細胞保護」とは、何らかの原因により生じる神経細胞死および/又は神経細胞の機能低下を抑制することを意味する。また、将来的に生じうる神経細胞死および/又は神経細胞の機能低下を予防することをも意味する。
【0047】
本発明において、「神経」とは、体の機能を統率し刺激を伝える組織を意味する。例えば、中枢神経(脳・脊髄)、末梢神経(脳神経・脊髄神経・自律神経)等が挙げられる。
【0048】
本発明において、「神経保護」とは、神経に正常な機能を保持させることを意味する。例えば、神経が何らかの原因により損傷したり、変性したり、さらには細胞死を起こしたりすることを抑制することを意味する。また、物理的に正常な神経であっても、機能的に異常をきたした神経であれば、本発明の神経保護の対象として含まれる。
【0049】
本発明の網膜神経細胞保護および/又は視神経保護用組成物は、網膜神経細胞障害および/又は視神経障害が関与する眼疾患の予防及び/又は治療に使用することができる。具体的には、視野異常、網膜血管閉塞症、糖尿病性網膜症、虚血性視神経症、眼圧上昇を伴わない緑内障、正常眼圧緑内障、緑内障性視神経症、緑内障性視野狭窄、緑内障性視神経萎縮、PPG(Preperimetoric glaucoma)、加齢黄斑変性、網膜色素変性症、レーベル病、未熟児網膜症、網膜剥離、網膜色素上皮剥離等の眼疾患の予防及び/又は治療に使用することができる。
【0050】
本発明において、「患者」とは、ヒトおよびその他の動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマなどを意味する。患者は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
【0051】
本発明において、「治療有効量」とは、組織、系、動物またはヒトにおいて、研究者または医師によって要求される生物学的または医薬的応答を誘発する有効成分の量を意味する。また、「治療有効量」とは、疾患を治療するために哺乳動物に投与される場合に、その疾患にそのような治療をもたらすために充分である、有効成分(ビルベリー果実の加工物、松樹皮の加工物)の量の意味を包含する。「治療有効量」は、有効成分、疾患およびその重篤度、ならびに治療されるべき哺乳動物の年齢、体重などに依存して適宜変更できる。
【0052】
さらに、「有効量」とは、適切な用量での投与の際に、急性または慢性の治療効果を生じる、有効成分(ビルベリー果実の加工物、松樹皮の加工物)の量の意味を包含する。この治療効果としては、疾患/状態および関連する合併症の症状、兆候および基礎にある病理の、検出可能な程度までの予防、矯正、阻害、または逆転が挙げられる。
かかる有効量として、本発明のビルベリー果実の加工物又は松樹皮の加工物の単独の量、本発明のビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物の組み合わせの量および/または他の有効成分と組み合わせた本発明の有効成分の量が挙げられる。
【0053】
本発明において、ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物との組み合わせ比率は、特に限定されるものではなく、網膜神経細胞保護または視神経保護効果が達成されるように適宜選択することができる。当該組み合わせ比率は、特に限定されるものではないが、例えば、1:100~100:1、好ましくは1:50~5:1、より好ましくは1:30~3:1、さらに好ましくは1:2~3:1、よりさらに好ましくは1:1~5:2の範囲で適宜選択することができ、具体的に好ましくは2:1又は9:4とすることができ、特に好ましくは9:4である。
【0054】
本発明のビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物との組み合わせにおいて、両成分は別々に投与してもよく、また単一製剤として一緒に投与してもよい。また、本発明の組み合わせの一方の成分を他方の成分に対して先に、同時に、または後に投与してもよい。これらの成分は、単一製剤形または分離した製剤形での医薬製剤に調製してもよい。
【0055】
本発明のビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物との組み合わせの形態の例として、特に限定されるものではないが、以下の(1)および(2)の形態が挙げられる。
(1)ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物の両成分を共に含有する単一製剤(1つの組成物、配合剤)の形態;および
(2)ビルベリー果実の加工物を含有する製剤(組成物)と松樹皮の加工物を含有する製剤(組成物)とをそれぞれ別々の製剤として有する形態。
当該(2)に係る形態の場合においては、各製剤を同時に投与するか、または逐次的に(適宜の時間間隔をあけて別々に)投与してもよく、網膜神経細胞保護または視神経保護効果が達成されるように、適切な計画投与することができる。
【0056】
これらの成分が単一の製剤で調製される場合、特に限定されるものではないが、ビルベリー果実の加工物の1重量部あたり松樹皮の加工物が0.01~100重量部、好ましくは0.1~50重量部、より好ましくは0.3~20重量部の比率で混合される。また、単一の製剤においては、特に限定されるものではないが、例えば、その活性成分の和がその製剤の組成物に対して0.1~99重量%含まれている。
【0057】
本発明の組成物は、網膜神経細胞保護または視神経保護効果を妨げない範囲であれば、他の有効成分(例えば、補助的な効果を有する物質)および添加剤を自体公知の方法により適宜配合してもよい。
【0058】
本発明の組成物に配合されうる他の有効成分としては、例えば、ビタミンA群;ルテイン、ゼアキサンチン、メソザアキサンチン、アスタキサンチンなどのカロテノイド類;ビタミンB群;ビタミンC群;ビタミンD群;ビタミンE群;トコトリエノール類;グルタチオンおよびこれらの誘導体またはこれらの塩;カテキン、アントシアニン、タンニン、ルチン、イソフラボン、クロロゲン酸、エラグ酸、クルクミン、クマリンなどのポリフェノール類;リノール酸、α-またはγ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸およびその誘導体またはそれらの塩;コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ケラチンから選ばれるタンパク質およびそれらの誘導体ならびに加水分解物;グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、サリチル酸などのα-ヒドロキシ酸およびそれらの誘導体またはそれらの塩;血清除蛋白、脾臓、胎盤、鶏冠、ローヤルゼリー、酵母、乳酸菌、ビフィズス菌、霊芝、ニンジン、センブリ、ローズマリー、オウバク、ニンニク、ヒノキチオール、セファランチン、アロエ、サルビア、アルニカ、カミツレ、シラカバ、オトギリソウ、ユーカリ、ムクロジ、センプクカ、ケイケットウ、サンペンズ、ソウハクヒ、トウキ、イブキトラノオ、クララ、サンザシ、シラユリ、ホップ、ノイバラ、ヨクイニン、ドクダミ、海藻、納豆、レモングラス、ハイビスカス、イチョウ葉エキス、ホスファチジルセリン、ヒシエキスなどの天然物およびそれらの抽出物;アデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸、アデノシン一リン酸などのアデニル酸誘導体;鉄、バナジウム、モリブデン、マンガン、銅、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、セレン、ヨウ素などのミネラル類;マンニトール、キシリトール、グルコサミンなどの単糖類;ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、ケラタン硫酸、グリコーゲン、キチン、キトサンなどの多糖類;デオキシリボ核酸、リボ核酸などの核酸類;他のグリチルリチン酸、グアニン、ムチン、ユビキノン、α-リポ酸、オクタコサノール、アリシン、アリイン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、ビタミンA群;ルテイン、ゼアキサンチン、メソザアキサンチン、アスタキサンチンなどのカロテノイド類;ビタミンB群;ビタミンC群;ビタミンD群;ビタミンE群;トコトリエノール類;グルタチオンおよびこれらの誘導体またはこれらの塩;カテキン、アントシアニン、エラグ酸などのポリフェノール類;リノール酸、α-またはγ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸およびその誘導体またはそれらの塩;コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ケラチンから選ばれるタンパク質およびそれらの誘導体ならびに加水分解物;ヒシエキスなどの天然物およびそれらの抽出物;銅、亜鉛などのミネラル類;ムチン、ユビキノン、α-リポ酸、ならびにそれらの混合物である。更に好ましくは、ビタミンA群;ルテイン、ゼアキサンチン、メソザアキサンチン、アスタキサンチンなどのカロテノイド類;ビタミンC群;ビタミンE群;トコトリエノール類;グルタチオンおよびこれらの誘導体またはこれらの塩;カテキン、アントシアニン、エラグ酸などのポリフェノール類;エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびその誘導体またはそれらの塩;ヒシエキスなどの天然物およびそれらの抽出物;銅、亜鉛などのミネラル類;ムチン、ユビキノン、α-リポ酸、ならびにそれらの混合物である。
【0059】
他の有効成分は、組成物の総重量に対して、例えば、0.1~99重量%、好ましくは1~90重量%、より好ましくは5~80重量%、更に好ましくは10~70重量%、特に好ましくは20~60重量%の量で配合してもよい。また、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
本発明の組成物に配合されうる添加剤としては、医薬や食品として許容される添加物であれば特に制限はない。例えば、賦形剤、増粘剤、乳化剤(蜜蝋、グリセリン脂肪酸エステル)が挙げられる。
【0061】
本発明の組成物は、経口または非経口(例えば、点眼、硝子体、結膜下、テノン嚢、皮下、筋肉内、前房内、視神経または静脈内)投与することができる。本発明の組成物は、賦形剤、増粘剤、乳化剤などの添加剤と混合して、所望の剤形に調製することができる。本発明の組成物の剤形としては、特に限定されるものではないが、ソフトカプセル、ハードカプセル、液剤(点眼剤、硝子体用注射剤等含む)、ゼリー、グミ、錠剤、散剤およびゲル状剤などのサプリメントの形態が挙げられる。
【0062】
本発明の組成物は、医薬および食品(ヒト以外の哺乳類用医薬品を含む)として使用することができる。本発明において、本発明の組成物の医薬および食品への配合量は、特に限定されるものではないが、適用の目的(対象疾患、症状の種類など)、適用対象(ヒト、ヒト以外の動物(好ましくは哺乳類であり、特に好ましくはイヌ、ネコなど))、適用対象部位、適用対象の性別や年齢、医薬および食品の形態、これらの投与または摂取方法やその回数、嗜好などに応じて適宜設定できる。
【0063】
本発明において、本発明の組成物を医薬(医薬品、医薬部外品など)として調製する場合には、ビルベリー果実の加工物および松樹皮の加工物と、他の薬効成分、薬学的に許容される担体および添加剤を配合することができる。例えば、薬学的に許容される担体および添加剤として、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、湿潤化剤、緩衝剤、保存剤、香料などを混合して、所望の剤形に調製することができる。医薬の剤形としては、特に限定されるものではないが、注射剤、外用剤、吸入剤、座剤、フィルム剤、トローチ剤、液剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、点眼剤、洗眼剤、点鼻剤が挙げられる。これらの剤形の中でも、経口投与に適した剤形(すなわち、内服用医薬品)が好ましく、例えば、トローチ剤、液剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、シロップ剤が特に好ましい。これらの剤形は、例えば、網膜神経細胞保護または視神経保護のための医薬品として使用することができる。
【0064】
本発明において、本発明の組成物を食品組成物(健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能性食品、機能性表示食品など)として調製する場合には、ビルベリー果実の加工物および松樹皮の加工物と、甘味料、着色料、保存料、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤(防ばい剤)、イーストフード、ガムベース、香料、酸味料、調味料、乳化剤、pH調整剤、かんすい、膨脹剤、栄養強化剤またはその他飲食品素材を混合して、所望の形態を調製することができる。本発明の組成物の形態としては、特に限定されないが、ゲル状剤、顆粒、細粒、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル等)、錠剤、粉末、液剤、半固形剤などのサプリメントタイプの食品;炭酸飲料、清涼飲料、乳飲料、アルコール飲料、果汁飲料、茶類、栄養飲料などの飲料;粉末ジュース、粉末スープなどの粉末飲料;ガム、タブレット、キャンディー、クッキー、グミ、せんべい、ビスケット、ゼリーなどの菓子類;パン、麺類、シリアル、ジャム、調味料などの形態が挙げられる。これらの形態は、例えば、網膜神経細胞保護効果または視神経保護効果を有する飲食品として使用することができ、例えば、一般の飲食品の他、栄養補助食品、機能性表示食品、特定保健用食品、病者用食品などのニュートラシューティカルとしても使用することもできる。
【0065】
本発明の組成物が食品組成物である場合には、その組成物には、「視神経のはたらきをサポート」、「視神経などを強化」、「視神経などを補修」、「視神経などを回復」、「栄養面から視神経をサポート」、「栄養面から視神経保護をサポート」、「視神経系のトラブル回復に効果」、「網膜神経細胞のはらたきをサポート」、「網膜神経細胞などを強化」、「網膜神経細胞などを補修」、「網膜神経細胞などを回復」、「栄養面から網膜神経細胞をサポート」、「栄養面から網膜神経細胞保護をサポート」、「網膜神経細胞のトラブル回復に効果」、「神経などを強化」、「神経などを補修」、「神経などを回復」、「栄養面から神経をサポート」、「栄養面から神経保護をサポート」、「神経系のトラブル回復に効果」、「神経細胞などを強化」、「神経細胞などを補修」、「神経細胞などを回復」、「栄養面から神経細胞をサポート」、「栄養面から神経細胞保護をサポート」、「神経細胞系のトラブル回復に効果」など、好ましくは、「視神経のはたらきをサポート」、「視神経などを強化」、「視神経などを補修」、「視神経などを回復」、「栄養面から視神経をサポート」、「栄養面から視神経保護をサポート」、「視神経系のトラブル回復に効果」、「網膜神経細胞のはらたきをサポート」、「網膜神経細胞などを強化」、「網膜神経細胞などを補修」、「網膜神経細胞などを回復」、「栄養面から網膜神経細胞をサポート」、「栄養面から網膜神経細胞保護をサポート」、「網膜神経細胞のトラブル回復に効果」などと表示をすることもでき、さらにそれらに類似する表示をすることもできる。表示は、直接的または間接的にすることができ、直接的な表示の例としては、商品自体、パッケージ、容器、ラベル、タグなどの包装への記載が挙げられ、間接的な表示の例としては、取引書類、取扱説明書、添付文書、カタログ、ウェブサイト、店頭、展示会、看板、掲示板、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、電子メールなどによる、広告・宣伝・医師への説明等の活動が挙げられる。
【0066】
本発明による、「網膜神経細胞保護」、「視神経保護」、「神経細胞保護」、「神経保護」の効果は、例えば、ラット副腎褐色細胞腫由来PC-12細胞、ヒト神経芽細胞腫由来SH-SY5Y細胞、マウス神経芽細胞腫由来Neuro2a細胞、初代培養ニューロン、ラット網膜細胞、初代培養網膜神経節細胞等の神経細胞又は神経様細胞を使用する薬理試験を行うことによって、確認することができる。
【0067】
本発明による、「網膜神経細胞保護」、「視神経保護」、「神経細胞保護」、「神経保護」の効果は、例えば、薬理試験A~Iおよび以下の実施例1~10によって、確認することができる。
【0068】
本発明において、薬理試験Aは、「小胞体ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験であり、例えば以下の1~4.等の文献に記載の方法に準じて、実施することができる。本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞において、小胞体ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制することができる。さらに、本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞においては、小胞体ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制することができる。
【0069】
1.Yamauchi、M et al、Crocetin prevents retinal degeneration induced by oxidative and endoplasmic reticulum stresses via inhibition of caspase activity. European Journal of Pharmacology. 650 (2011) 110-119
2.Wu、L et al、Exendin-4 protects HUVECs from tunicamycin-induced apoptosis via inhibiting the IRE1a/JNK/caspase-3 pathway. Endocrine. (2017) 55:764-772
3.Miyake K and Nagai K、Inhibition of a-mannosidase attenuates endoplasmic reticulum stress-induced neuronal cell death. NeuroToxicology. 30 (2009) 144-150
4.Zou、C et al、The Molecular Mechanism of Endoplasmic Reticulum Stress-Induced Apoptosis in PC-12 Neuronal Cells: The Protective Effect of Insulin-Like Growth Factor I. Endocrinology、January 2009、150 (1): 277-285
【0070】
本発明において、薬理試験Bは、「興奮毒性により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験」であり、例えば、以下の5.等の文献に記載の方法に準じて、実施することもできる。本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞においては、興奮毒性により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制することができる。さらに、本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞においては、興奮毒性により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制することができる。
【0071】
5.Penugonda、S et al、Effects of N-acetylcysteine amide (NACA)、a novel thiol antioxidant against glutamate-induced cytotoxicity in neuronal cell line PC12. Brain Research. 1056 (2005) 132-138
【0072】
本発明において、薬理試験Cは、「栄養因子飢餓ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験」であり、例えば、以下の6.等の文献に記載の方法に準じて、実施することができる。本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞においては、栄養因子飢餓ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制することができる。さらに、本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞においては、栄養因子飢餓ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制することができる。
【0073】
6.Ji、Z et al、Ginsenoside Re attenuate β-amyloid and serum-free induced neurotoxicity in PC12 cells. Journal of Ethnopharmacology、107 (2006) 48-52
【0074】
本発明において、薬理試験Dは、「酸化ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験」であり、例えば、以下の7.等の文献に記載の方法に準じて、実施することもできる。本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞においては、酸化ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制することができる。さらに、本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞においては、酸化ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制することができる。
【0075】
7.Yamauchi, M et al, Crocetin prevents retinal degeneration induced by oxidative and endoplasmic reticulum stresses via inhibition of caspase activity. European Journal of Pharmacology. 650 (2011) 110-119
【0076】
本発明において、薬理試験Eは、「炎症性ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験」であり、例えば、以下の8-12.等の文献に記載の方法に準じて、実施することもできる。本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞においては、炎症性ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制することができる。さらに、本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞においては、炎症性ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制することができる。
【0077】
8.Buntinx, M et al, Cytokine-Induced Cell Death in Human Oligodendroglial Cell Lines: I. Synergistic Effects of IFN-γand TNF-α on Apoptosis. Journal of Neuroscience Research 76: 834-845 (2004)
9.Ray, R et al, Inhibition of Tumor Necrosis Factor (TNF-α)-mediated Apoptosis by Hepatitis C Virus Core Protein*. The Journal of Biological Chemistry. Vol. 273, No.4, Issue of January 23, pp. 2256-2259, 1998
10.Xia, Z et al, N-acetylcysteine attenuates TNF-α-induced human vascular endothelial cell apoptosis and restores eNOS expression. European Journal of Pharmacology 550 (2006) 134-142
11.Haviv, R et al, Nerve Growth Factor Inhibits Apoptosis Induced by Tumor Necrosis Factor in PC12 Cells. Journal of Neuroscience Research. 55: 269-277 (1999)
12.Liang, F et al, Puerarin prevents tumor necrosis factor-α-induced apoptosis of PC12 cells via activation of the PI3K/Akt signaling pathway. EXPERIMENTAL AND THERAPEUTIC MEDICINE 14: 813-818, 2017
【0078】
本発明において、薬理試験Fは、「アミロイドβ1-42により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験」であり、例えば、以下の13-14.等の文献に記載の方法に準じて、実施することができる。本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞においては、アミロイドβ1-42により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制することができる。さらに、本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞においては、アミロイドβ1-42により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制することができる。
【0079】
13.Li, X et al, Effect of β-Amyloid Peptide 1-42 on the Cytoprotective Action Mediated by α7 Nicotinic Acetylcholine Receptors in Growth Factor-Deprived Differentiated PC-12 Cells. THE JOURNAL OF PHARMACOLOGY AND EXPERIMENTAL THERAPEUTICS, 307: 670-675, 2003
14.Sasaki, H et al, Inhibitory activities of biflavonoids against amyloid-β peptide 42 cytotoxicity in PC-12 cells. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 25 (2015) 2831-2833
【0080】
本発明において、薬理試験Gは、「アミロイドβ25-35により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験」であり、例えば、以下の15-17.等の文献に記載の方法に準じて、実施することもできる。本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞においては、アミロイドβ25-35により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制することができる。さらに、本発明によれば、神経様細胞又は神経細胞においては、アミロイドβ25-35により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制することができる。
【0081】
15.Ye, J et al, Effect of Purple Sweet Potato Anthocyanins on β-Amyloid-Mediated PC-12 Cells Death by Inhibition of Oxidative Stress. Neurochem Res (2010) 35: 357-365
16.Ji, Z et al, Ginsenoside Re attenuate β-amyloid and serum-free induced neurotoxicity in PC12 cells. Journal of Ethnopharmacology, 107 (2006) 48-52
17.Peng, Q et al, Pycnogenol(登録商標)protects neurons from amyloid-β peptide-induced apoptosis. Molecular Brain Research. 104 (2002) 55-65
【0082】
本発明において、薬理試験Hは、「NMDA硝子体内注入網膜障害モデルを用いた網膜神経細胞(網膜神経節細胞、アマクリン細胞等)保護効果又は視神経保護効果の確認試験」であり、例えば、以下18~25.等の文献に準じて、実施することもができる。本発明によれば、in vivoにおける網膜神経細胞(網膜神経節細胞、アマクリン細胞等)保護効果又は視神経保護効果を得ることができる。
【0083】
18.Matsunaga N et al, Bilberry and its main constituents have neuroprotective effects against retinal neuronal damage in vitro and in vivo. Mol.Nutr. Food Res. 2009, 53, 869-877
19.Ohno Y et al, Oral administrationofcrocetinpreventsinnerretinaldamageinduced by N-methyl-D-aspartateinmice. European Journal of Pharmacology.690, 2012, 84-89
20.Maekawa S et al, The neuroprotective effect of hesperidin in NMDA-induced retinal injury acts by suppressing oxidative stress and excessive calpain activation. Scientific Reports 7. 6885 (2017)
21.Tsutsumi T et al, Potential Neuroprotective Effects of an LSD1 Inhibitor in Retinal Ganglion Cells via p38 MAPK Activity. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2016; 57: 6461-6473
22.Binda NS et al, PhTx3-4, a Spider Toxin Calcium Channel Blocker, Reduces NMDA-Induced Injury of the Retina. Toxins. 2016, 8, 70
23.Vicente VG et al, Neuroprotective Effect of Tauroursodeoxycholic Acid on N-Methyl-D Aspartate-Induced Retinal Ganglion Cell Degeneration. PLoS ONE 10 (9) 2015
24.Sakamoto K et al, Protective effect of all-trans retinoic acid on NMDA-induced neuronal cell death in rat retina. European Journal of Pharmacology,635 (2010) 56-61
25.Siliprandi R et al, N-methyl-D-aspartate-induced neurotoxicity in the adult rat retina, Vis Neurosci. 1992 Jun; 8 (6): 567-73
【0084】
本発明において、薬理試験Iは、「虚血再灌流網膜障害モデルを用いた網膜神経細胞保護効果又は視神経保護効果の確認試験」であり、以下26~32等に記載の文献に準じて、実施することもできる。本発明によれば、in vivoにおける網膜神経細胞保護効果又は視神経保護効果を得ることができる。
【0085】
26.Yang X et al, Neuroprotective Effects of Crocin against Oxidative Stress Induced by Ischemia/ Reperfusion Injury in Rat Retina, Ophthalmic Res 2015; 54: 157-168
27.Shimouchi et al, Neuroprotective effect of water-dispersible hesperetin in retinal ischemia reperfusion injury, Jpn J Ophthalmol. 2016 January; 60 (1): 51-61
28.Kara S et al, Protective Effect of Hesperetin and Naringenin against Apoptosis in Ischemia/Reperfusion-Induced Retinal Injury in Rats, The Scientific World Journal. Volume 2014
29.Yoneda S et al, Topiramate reduces excitotoxic and ischemic injury in the rat retina, Brain Research. 967 (2003) 257-266
30.Chen B et al, Protective effects of catalase on retinal ischemia/reperfusion injury in rats, Experimental Eye Research. 93 (2011) 599-606
31.Wang L et al, Curcumin Inhibits Neuronal and Vascular Degeneration in Retina after Ischemia and Reperfusion Injury, PLoS ONE. (2011) 6 (8)
32.Aydogan S et al, The effect of thalidomide on vascular endothelial growth factor and tumor necrosis factor-α levels in retinal ischemia/reperfusion injury, Graefes Arch Clin Exp Opthalmol. (2008) 246: 363-368
【0086】
本発明の各態様の定義については、ビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を含有する組成物の各定義を準用できる。
【実施例
【0087】
以下に、製剤例および薬理試験例を示すが、これらは本発明をより良く理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0088】
[製剤例]
以下に本発明の代表的な製剤例を示す。なお、下記製剤例において各成分の配合量はソフトカプセルとした場合の1カプセル当たりの含有量である。
【0089】
製剤例1
ソフトカプセル
ビルベリー果実抽出物 80mg
松樹皮エキス 40mg
グリセリン脂肪酸エステル 適量
製剤例2
ソフトカプセル
ビルベリー果実抽出物 90mg
松樹皮エキス 40mg
澱粉/ヒドロキシプロピルメチルセルロース 適量
ステアリン酸カルシウム 適量
二酸化ケイ素 適量
【0090】
[薬理試験例]
以下に本発明の代表的な薬理試験例を示す。また、下記で用いられる濃度および終濃度は適宜選択することができ、試験時の条件に応じて、組み合わせて使用することもできる。さらに、本明細書に記載された文献および特許文献の内容は本試験に適宜援用することもできる。
【0091】
1.被験化合物、試薬、器具および使用機器
本薬理試験においては、表1の被験化合物、表2の試薬、表3の器具、表4の機器を使用して、試験および評価を実施した。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
【表4】
【0096】
2.培地の調製
1)増殖培地の調製
ナカライテスク社製ダルベッコ変法イーグル培地 (#08456-65、Dulbecco's Modified Eagle Medium、DMEM) に、シグマアルドリッチ社製牛胎児血清SA (#172012、Fetal Bovine Serum、FBS) を終濃度1、2、4、6、8、10、12、又は15%のいずれかとなるように、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製馬血清(#16050-122、Horse Serum New Zealand Origin、HS) を終濃度1、2、4、6、8、10、12、又は15%のいずれかとなるように、ナカライテスク社製ペニシリン-ストレプトマイシン混合溶液(安定化) (#32777-44)を終濃度1%となるように添加して調製する。
【0097】
2)分化培地の調製
分化培地は、DMEMに、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製NGF 2.5S Native Mouse Protein (#13257019、NGF) を終濃度5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180又は200 ng/mLのいずれかとなるように、FBSを終濃度0、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5又は3.0%のいずれかとなるように、HSを終濃度0、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5又は3.0%のいずれかとなるように、ペニシリン-ストレプトマイシン混合溶液(安定化)を終濃度1%となるように添加して調製する。
【0098】
3)血清非添加培地の調製
DMEMにペニシリン-ストレプトマイシン混合溶液(安定化)を終濃度1%となるように添加して調製する。
【0099】
4)血清低含有培地の調製
DMEMに、FBSを終濃度0、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1.0%のいずれかとなるように、HSを終濃度0、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1.0 %のいずれかとなるように、ペニシリン-ストレプトマイシン混合溶液(安定化)を終濃度1%となるように添加して調製する。
【0100】
5)被験物質含有培地の調製
被験物質Aを含有する培地、被験物質Bを含有する培地又は被験物質Aと被験物質Bを含有する培地は、粉末状の被験物質Aもしくは被験物質B、又は被験物質A溶液もしくは被験物質B溶液を上記各種培地に添加して調製する。被験物質A溶液又は被験物質B溶液は、粉末状の被験物質A又は被験物質Bを終濃度が、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、6000、7000、8000、9000、10000、15000、20000、25000、30000、35000、40000、45000、50000、60000、70000、80000、90000、100000、200000、400000、600000、800000、1000000、2500000、5000000、7500000もしくは10000000 μg/mL、又は前記濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4もしくは4を乗じた濃度となるように蒸留水、生理食塩水、リン酸緩衝液、DPBS、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、トリス緩衝液、ジメチルスルホキシド (DMSO)、DMEM、血清非添加培地、増殖培地、分化培地、血清低含有培地、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン (THF) 、ピリジン、ジメチルホルムアミド (DMF)、ホルムアミド、ジオキサン、メタノール、N-メチルピロリドン、カルボキシメチルセルロース溶液、メチルセルロース溶液、アラビアゴム溶液、酢酸エチル溶液およびアセトニトリルから選択される1又は複数の溶媒に溶解して調製する。被験物質A溶液又は被験物質B溶液を用いて調製した被験物質含有培地を試験に用いる場合は、被験物質含有培地中の各被験物質の溶媒濃度と同濃度となるように各被験物質の溶媒を添加した培地を、対照群(被験物質を含有しない培地)として使用する。
【0101】
6)グルタミン酸含有培地の調製
シグマアルドリッチ社製L-Glutamic acid monosodium salt monohydrate(#49621、グルタミン酸) を終濃度30、65、100、135、170、205、240又は275 mMのいずれかとなるように培地に溶解して、グルタミン酸含有培地を調製する。グルタミン酸含有培地は毎回用時調製したものを培地に添加して、試験に使用する。
【0102】
3.溶液の調製
1)Tunicamycin溶液の調製
シグマアルドリッチ社製Tunicamycin from Streptomyces sp. (#T7765、Tunicamycin) を終濃度が0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0又は15.0 mg/mLとなるようにDMSO、DMF、ピリジン、蒸留水、エタノール、メタノール、ジオキサンおよび/又はTHFで溶解することでTunicamycin溶液を調製し、培地に添加して試験に使用する。
【0103】
2)Tumor Necrosis Factor-α (TNF-α) 溶液の調製
R&D Systems社製Recombinant Rat TNF-α(#510-RT-010、TNF-α)、又はR&D Systems社製Recombinant Mouse TNF-alpha aa 80-235(#410-MT-010、TNF-α)のいずれかを終濃度1、2、4、6、8、10、20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450または500 μg/mLのいずれかとなるように0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.5、2.0、2.5又は3.0% のいずれかのBSA/PBS溶液に溶解し、分注して冷凍保存する。使用時に溶解し、培地に添加して試験に使用する。
【0104】
3)Amyloidβ1-42 oligomer溶液の調製
メルク社製βAmyloid 1-42、aβ、ultra pure、HFIP、recombinant human (#AG968-1MG) を終濃度20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280又は300 mMとなるように1%水酸化アンモニウム溶液に溶解する。その後、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製DPBS、no calcium、no magnesium (#14190250、DPBS)、リン酸緩衝液又はリン酸緩衝生理食塩水により20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280又は300 μMとなるように希釈し、4℃で24時間インキュベートすることでAmyloidβ1-42 oligomer溶液を調製する。Amyloidβ1-42 oligomer溶液は毎回用時調製したものを培地に添加し、試験に使用する。
【0105】
4)Amyloidβ25-35 oligomer溶液の調製
ペプチド研究所社製アミロイドβタンパク質フラグメント25-35 (#4309-v、Beta amyloid 25-35)を終濃度0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8又は3.0 mMとなるようにDPBS、リン酸緩衝液又はリン酸緩衝生理食塩水により溶解し、37℃で1、2、3又は4日間インキュベートすることでAmyloidβ25-35 oligomer溶液を調製する。Amyloidβ25-35 oligomer溶液は毎回用時調製したものを培地に添加し、試験に使用する。
【0106】
4.薬理試験方法および評価方法
以下の薬理試験1~薬理試験7及び薬理試験10において使用する細胞として、入手が簡便な神経様細胞であるラット副腎褐色細胞腫由来PC-12細胞を使用しているが、そのラット副腎褐色細胞腫由来PC-12細胞の代わりに、ヒト神経芽細胞腫由来SH-SY5Y細胞、マウス神経芽細胞腫由来Neuro2a細胞、初代培養ニューロン、ラット網膜細胞、初代培養網膜神経節細胞等の神経細胞又は神経様細胞を使用することもできる。
また、薬理試験1~薬理試験7及び薬理試験10において、(1)ラット副腎褐色細胞腫由来PC-12細胞等の調製・分化誘導に使用する分化培地と(2)細胞生存率評価に使用する分化培地は、同一でも、また、異なっていてもよい。
【0107】
薬理試験1[小胞体ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験]
以下に、薬理試験1の試験方法を示すが、この例示は薬理試験1をより良く理解するためのものであり、薬理試験1を限定するものではない。また、本薬理試験は、以下の1~4.等の文献に記載の方法に準じて、実施することもできる。
【0108】
1.Yamauchi、M et al、Crocetin prevents retinal degeneration induced by oxidative and endoplasmic reticulum stresses via inhibition of caspase activity. European Journal of Pharmacology. 650 (2011) 110-119
2.Wu、L et al、Exendin-4 protects HUVECs from tunicamycin-induced apoptosis via inhibiting the IRE1a/JNK/caspase-3 pathway. Endocrine. (2017) 55:764-772
3.Miyake K and Nagai K、Inhibition of a-mannosidase attenuates endoplasmic reticulum stress-induced neuronal cell death. NeuroToxicology. 30 (2009) 144-150
4.Zou、C et al、The Molecular Mechanism of Endoplasmic Reticulum Stress-Induced Apoptosis in PC-12 Neuronal Cells: The Protective Effect of Insulin-Like Growth Factor I. Endocrinology、January 2009、150 (1): 277-285
【0109】
(1) ラット副腎褐色細胞腫由来PC-12細胞の調製・分化誘導
増殖培地を用いて、PC-12細胞をコーニング社製BioCoat(商標)Collagen IV T75 Flask with Plugseal cap(#354523、コラーゲンIVコートT-75フラスコ)に起眠し、アステック社製ダイレクトヒート式CO2/マルチガスインキュベーター(#SCA-165DRS、CO2インキュベーター)(5% CO2、37℃、湿潤)で培養する。2~4日おきに新たな増殖培地に交換し、60~90%コンフルエントになった時点で、ナカライテスク社製2.5g/l-トリプシン/1mmol/l-EDTA溶液、フェノールレッド含有 濾過滅菌済 (#32777-44、0.25% Trypsin-EDTA) を用いて細胞を剥離し、増殖培地を用いて1.0 x 103、2.0 x 103、3.0 x 103、4.0 x 103、5.0 x 103、6.0 x 103、7.0 x 103、8.0 x 103、9.0 x 103、10.0 x 103、11.0 x 103、12.0 x 103、13.0 x 103、14.0 x 103又は15.0 x 103cells/0.1 mL/ウェルのいずれかとなるようにコーニング社製BioCoat(商標)Collagen IV 96-well plate(#354429、コラーゲンIVコート96ウェルプレート)に播種する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1晩培養した後、プレートの培地を分化培地に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、3又は4日間のいずれかで培養して分化を誘導後、細胞生存率評価に供する。
【0110】
(2) 細胞生存率評価
a)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養して被験物質処理する。次に、Tunicamycin溶液を0、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190若しくは200 μMのいずれかを含む分化培地、又はTunicamycin溶液を0、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190若しくは200 μMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地又はTunicamycin溶液を0、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190若しくは200 μMのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれか含む分化培地、又はTunicamycin溶液を0、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190若しくは200 μMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれか含む分化培地を等量(100 μL)添加して、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養を行う。
【0111】
b)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養して被験物質処理する。次に、プレート中の培地を、Tunicamycin溶液を0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95若しくは100 μMのいずれかを含む分化培地、又はTunicamycin溶液を0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95若しくは100 μMと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地又はTunicamycin溶液を0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95若しくは100 μMのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度の含む分化培地、又はTunicamycin溶液を0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95若しくは100 μMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれか含む分化培地に培地交換して、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養を行う。
【0112】
前記a)又はb)の培養終了後、ナカライテスク社製生細胞測定試薬SF (#07553-15、SF) を5、10、15又は20%のいずれかを添加した分化培地に交換し、WST-8を発色基質として用いて細胞内脱水素酵素活性を検出することで、細胞生存率を測定する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)でインキュベートし、30、90、150又は210分後のいずれかにサーモフィッシャーサイエンティフィック社製Varioskan Flash Micorplate Reader(#5250040、プレートリーダー)で吸光度(吸収波長450 nm、参照波長630 nm)を測定し、両値から1,2又は3時間あたりのいずれかの吸光度変化量を算出して相対生細胞数を算出する。相対生細胞数の算出には、WST-8法ではなく、他の生細胞検出試薬もしくは手法、又は死細胞検出試薬もしくは手法を用いることもできる。
【0113】
(3) 試験結果および考察
被験物質A又は被験物質Bで処理した神経様細胞又は神経細胞においては、小胞体ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制する。さらに、被験物質Aと被験物質Bとを組み合わせて処理した神経様細胞又は神経細胞においては、小胞体ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制する。
【0114】
薬理試験2[興奮毒性により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験]
以下に、薬理試験2の試験方法を示すが、この例示は薬理試験2をより良く理解するためのものであり、薬理試験2を限定するものではない。また、本薬理試験は、以下の5.等の文献に記載の方法に準じて、実施することもできる。
【0115】
5.Penugonda、S et al、Effects of N-acetylcysteine amide (NACA)、a novel thiol antioxidant against glutamate-induced cytotoxicity in neuronal cell line PC12. Brain Research. 1056 (2005) 132-138
【0116】
(1) ラット副腎褐色細胞腫由来PC-12細胞の調製・分化誘導
増殖培地を用いて、PC-12細胞をコラーゲンIVコートT-75フラスコに起眠し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で培養する。2~4日おきに新たな増殖培地に交換し、60~90%コンフルエントになった時点で、0.25% Trypsin-EDTAを用いて細胞を剥離し、増殖培地を用いて1.0 x 103、2.0 x 103、3.0 x 103、4.0 x 103、5.0 x 103、6.0 x 103、7.0 x 103、8.0 x 103、9.0 x 103、10.0 x 103、11.0 x 103、12.0 x 103、13.0 x 103、14.0 x 103又は15.0 x 103 cells/0.1 mL/ウェルのいずれかとなるようにコラーゲンIVコート96ウェルプレートに播種する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1晩培養した後、プレートの培地を分化培地に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、3又は4日間のいずれかで培養して分化を誘導後、細胞生存率評価に供する。
【0117】
(2) 細胞生存率評価
a)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66、又は72時間のいずれかで培養して被験物質処理する。次に、グルタミン酸溶液を0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240若しくは260 mMのいずれかを含む分化培地、又はグルタミン酸溶液を0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240若しくは260 mMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又はグルタミン酸を0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240若しくは260 mMのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又はグルタミン酸を0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240若しくは260 mMと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4もしくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地を等量(100 μL)添加して、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66、又は72時間のいずれかで培養を行う。
【0118】
b)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66、又は72時間のいずれかで培養して被験物質処理する。次に、プレート中の培地をグルタミン酸溶液を0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120若しくは130 mMのいずれかを含む分化培地、又はグルタミン酸溶液を0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120若しくは130 mMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又はグルタミン酸を0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120若しくは130 mMのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又はグルタミン酸を0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120若しくは130 mMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4、4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地に培地交換して、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66、又は72時間のいずれかで培養を行う。
【0119】
前記a)またはb)の培養終了後、SFを5、10、15又は20%のいずれかを添加した分化培地に交換し、WST-8を発色基質として用いて細胞内脱水素酵素活性を検出することで、細胞生存率を測定する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)でインキュベートし、30、90、150又は210分後のいずれかにプレートリーダーで吸光度(吸収波長450 nm、参照波長630 nm)を測定し、両値から1,2又は3時間あたりのいずれかの吸光度変化量を算出して相対生細胞数を算出する。相対生細胞数の算出には、WST-8法ではなく、他の生細胞検出試薬もしくは手法、又は死細胞検出試薬もしくは手法を用いることもできる。
【0120】
(3) 試験結果及び考察
被験物質A又は被験物質Bで処理した神経様細胞又は神経細胞においては、興奮毒性により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制する。さらに、被験物質Aと被験物質Bとを組み合わせて処理した神経様細胞又は神経細胞においては、興奮毒性により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制する。
【0121】
薬理試験3[栄養因子飢餓ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験]
以下に、薬理試験3の試験方法を示すが、この例示は薬理試験3をより良く理解するためのものであり、薬理試験3を限定するものではない。また、本薬理試験は、以下の6.等の文献に記載の方法に準じて、実施することができる。
【0122】
6.Ji、Z et al、Ginsenoside Re attenuate β-amyloid and serum-free induced neurotoxicity in PC12 cells. Journal of Ethnopharmacology、107 (2006) 48-52
【0123】
(1) ラット副腎褐色細胞腫由来PC-12細胞の調製・分化誘導
増殖培地を用いて、PC-12細胞をコラーゲンIVコートT-75フラスコに起眠し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で培養する。2~4日おきに新たな増殖培地に交換し、60~90%コンフルエントになった時点で、0.25% Trypsin-EDTAを用いて細胞を剥離し、増殖培地を用いて1.0 x 103、2.0 x 103、3.0 x 103、4.0 x 103、5.0 x 103、6.0 x 103、7.0 x 103、8.0 x 103、9.0 x 103、10.0 x 103、11.0 x 103、12.0 x 103、13.0 x 103、14.0 x 103又は15.0 x 103 cells/0.1 mL/ウェルのいずれかとなるようにコラーゲンIVコート96ウェルプレートに播種する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1晩培養した後、プレートの培地を分化培地に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、3又は4日間のいずれかで培養して分化を誘導後、細胞生存率評価に供する。
【0124】
(2) 細胞生存率評価
a)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養して被験物質処理する。次に、プレート中の培地を除去し、DMEMで洗浄した後、被験物質を含有しない血清非添加培地又は血清低含有培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれか含む血清非添加培地又は血清低含有培地(100 μL)、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれか含む血清非添加培地又は血清低含有培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む血清非添加培地又は血清低含有培地(100 μL)に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養する。
【0125】
前記a)の培養終了後、SFを5、10、15又は20%のいずれかを添加した分化培地に交換し、WST-8を発色基質として用いて細胞内脱水素酵素活性を検出することで、細胞生存率を測定する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)でインキュベートし、30、90、150又は210分後のいずれかにプレートリーダーで吸光度(吸収波長450 nm、参照波長630 nm)を測定し、両値から1,2又は3時間あたりの吸光度変化量を算出して相対生細胞数を算出する。相対生細胞数の算出には、WST-8法ではなく、他の生細胞検出試薬もしくは手法、又は死細胞検出試薬もしくは手法を用いることもできる。
【0126】
(3) 試験結果及び考察
被験物質A又は被験物質Bで処理した神経様細胞又は神経細胞においては、栄養因子飢餓ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制する。さらに、被験物質Aと被験物質Bとを組み合わせて処理した神経様細胞又は神経細胞においては、栄養因子飢餓ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制する。
【0127】
薬理試験4[酸化ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験]
以下に、薬理試験4の試験方法を示すが、この例示は薬理試験4をより良く理解するためのものであり、薬理試験4を限定するものではない。また、本薬理試験は、以下の7.等の文献に記載の方法に準じて、実施することもできる。
【0128】
7.Yamauchi, M et al, Crocetin prevents retinal degeneration induced by oxidative and endoplasmic reticulum stresses via inhibition of caspase activity. European Journal of Pharmacology. 650 (2011) 110-119
【0129】
(1) ラット副腎褐色細胞腫由来PC-12細胞の調製・分化誘導
増殖培地を用いて、PC-12細胞をコラーゲンIVコートT-75フラスコに起眠し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で培養する。2~4日おきに新たな増殖培地に交換し、60~90%コンフルエントになった時点で、0.25% Trypsin-EDTAを用いて細胞を剥離し、増殖培地を用いて1.0 x 103、2.0 x 103、3.0 x 103、4.0 x 103、5.0 x 103、6.0 x 103、7.0 x 103、8.0 x 103、9.0 x 103、10.0 x 103、11.0 x 103、12.0 x 103、13.0 x 103、14.0 x 103又は15.0 x 103 cells/0.1 mL/ウェルのいずれかとなるようにコラーゲンIVコート96ウェルプレートに播種する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1晩培養した後、プレートの培地を分化培地に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、3又は4日間のいずれかで培養して分化を誘導後、細胞生存率評価に供する。
【0130】
(2) 細胞生存率評価
a)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれか含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養して被験物質処理する。次に、和光純薬社製の過酸化水素 (#081-04215) を0、0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.12、0.14、0.16、0.18、0.20、0.22、0.24、0.26、0.28、0.30、0.32、0.34、0.36、0.38、0.40、0.42、0.44、0.46、0.48、0.50、0.52、0.54、0.56、0.58、0.60、0.62、0.64、0.66、0.68、0.70、0.72、0.74、0.76、0.78、0.80、0.82、0.84、0.86、0.88、0.90、0.92、0.94、0.96、0.98、1.00、1.10、1.20、1.30、1.40、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、2.10、2.20、2.30、2.40、2.50、2.60、2.70、2.80、2.90、3.00、3.20、3.40、3.60、3.80、4.00、4.20、4.40、4.60、4.80、5.00、5.20、5.40、5.60、5.80若しくは6.00 mMのいずれかを含む分化培地、又は過酸化水素を0、0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.12、0.14、0.16、0.18、0.20、0.22、0.24、0.26、0.28、0.30、0.32、0.34、0.36、0.38、0.40、0.42、0.44、0.46、0.48、0.50、0.52、0.54、0.56、0.58、0.60、0.62、0.64、0.66、0.68、0.70、0.72、0.74、0.76、0.78、0.80、0.82、0.84、0.86、0.88、0.90、0.92、0.94、0.96、0.98、1.00、1.10、1.20、1.30、1.40、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、2.10、2.20、2.30、2.40、2.50、2.60、2.70、2.80、2.90、3.00、3.20、3.40、3.60、3.80、4.00、4.20、4.40、4.60、4.80、5.00、5.20、5.40、5.60、5.80若しくは6.00 mMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又は過酸化水素を0、0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.12、0.14、0.16、0.18、0.20、0.22、0.24、0.26、0.28、0.30、0.32、0.34、0.36、0.38、0.40、0.42、0.44、0.46、0.48、0.50、0.52、0.54、0.56、0.58、0.60、0.62、0.64、0.66、0.68、0.70、0.72、0.74、0.76、0.78、0.80、0.82、0.84、0.86、0.88、0.90、0.92、0.94、0.96、0.98、1.00、1.10、1.20、1.30、1.40、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、2.10、2.20、2.30、2.40、2.50、2.60、2.70、2.80、2.90、3.00、3.20、3.40、3.60、3.80、4.00、4.20、4.40、4.60、4.80、5.00、5.20、5.40、5.60、5.80若しくは6.00 mMのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又は過酸化水素を0、0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.12、0.14、0.16、0.18、0.20、0.22、0.24、0.26、0.28、0.30、0.32、0.34、0.36、0.38、0.40、0.42、0.44、0.46、0.48、0.50、0.52、0.54、0.56、0.58、0.60、0.62、0.64、0.66、0.68、0.70、0.72、0.74、0.76、0.78、0.80、0.82、0.84、0.86、0.88、0.90、0.92、0.94、0.96、0.98、1.00、1.10、1.20、1.30、1.40、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、2.10、2.20、2.30、2.40、2.50、2.60、2.70、2.80、2.90、3.00、3.20、3.40、3.60、3.80、4.00、4.20、4.40、4.60、4.80、5.00、5.20、5.40、5.60、5.80若しくは6.00 mMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地を等量(100 μL)添加して、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で0.25、0.5、0.75、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養を行う。
【0131】
b)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれか含む分化培地、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養して被験物質処理する。次に、プレート中の培地を過酸化水素を0、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.55、0.6、0.65、0.70、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、2.10、2.20、2.30、2.40、2.50、2.60、2.70、2.80、2.90若しくは3.00 mMのいずれかを含む分化培地、又は過酸化水素を0、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.55、0.6、0.65、0.70、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、2.10、2.20、2.30、2.40、2.50、2.60、2.70、2.80、2.90若しくは3.00 mMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又は過酸化水素を0、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.55、0.6、0.65、0.70、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、2.10、2.20、2.30、2.40、2.50、2.60、2.70、2.80、2.90若しくは3.00 mMのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又は過酸化水素を0、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.55、0.6、0.65、0.70、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、2.10、2.20、2.30、2.40、2.50、2.60、2.70、2.80、2.90若しくは3.00 mMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地に培地交換して、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で0.25、0.5、0.75、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養を行う。
【0132】
前記a)またはb)の培養終了後、SFを5、10、15又は20%のいずれかを添加した分化培地に交換し、WST-8を発色基質として用いて細胞内脱水素酵素活性を検出することで、細胞生存率を測定する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)でインキュベートし、30、90、150又は210分後のいずれかにプレートリーダーで吸光度(吸収波長450 nm、参照波長630 nm)を測定し、両値から1,2又は3時間あたりのいずれかの吸光度変化量を算出して相対生細胞数を算出する。相対生細胞数の算出には、WST-8法ではなく、他の生細胞検出試薬もしくは手法、又は死細胞検出試薬もしくは手法を用いることもできる。
【0133】
(3) 試験結果
被験物質A又は被験物質Bで処理した神経様細胞又は神経細胞においては、酸化ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制する。さらに、被験物質Aと被験物質Bとを組み合わせて処理した神経様細胞又は神経細胞においては、酸化ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制する。
【0134】
薬理試験5[炎症性ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験]
以下に、薬理試験5の試験方法を示すが、この例示は薬理試験5をより良く理解するためのものであり、薬理試験5を限定するものではない。また、本薬理試験は、以下の8~12.等の文献に記載の方法に準じて、実施することもできる。
【0135】
8.Buntinx, M et al, Cytokine-Induced Cell Death in Human Oligodendroglial Cell Lines: I. Synergistic Effects of IFN-γand TNF-α on Apoptosis. Journal of Neuroscience Research 76: 834-845 (2004)
9.Ray, R et al, Inhibition of Tumor Necrosis Factor (TNF-α)-mediated Apoptosis by Hepatitis C Virus Core Protein*. The Journal of Biological Chemistry. Vol. 273, No.4, Issue of January 23, pp. 2256-2259, 1998
10.Xia, Z et al, N-acetylcysteine attenuates TNF-α-induced human vascular endothelial cell apoptosis and restores eNOS expression. European Journal of Pharmacology 550 (2006) 134-142
11.Haviv, R et al, Nerve Growth Factor Inhibits Apoptosis Induced by Tumor Necrosis Factor in PC12 Cells. Journal of Neuroscience Research. 55: 269-277 (1999)
12.Liang, F et al, Puerarin prevents tumor necrosis factor-α-induced apoptosis of PC12 cells via activation of the PI3K/Akt signaling pathway. EXPERIMENTAL AND THERAPEUTIC MEDICINE 14: 813-818, 2017
【0136】
(1) ラット副腎褐色細胞腫由来PC-12細胞の調製・分化誘導
増殖培地を用いて、PC-12細胞をコラーゲンIVコートT-75フラスコに起眠し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で培養する。2~4日おきに新たな増殖培地に交換し、60~90%コンフルエントになった時点で、0.25% Trypsin-EDTAを用いて細胞を剥離し、増殖培地を用いて1.0 x 103、2.0 x 103、3.0 x 103、4.0 x 103、5.0 x 103、6.0 x 103、7.0 x 103、8.0 x 103、9.0 x 103、10.0 x 103、11.0 x 103、12.0 x 103、13.0 x 103、14.0 x 103又は15.0 x 103 cells/0.1 mL/ウェルのいずれかとなるようにコラーゲンIVコート96ウェルプレートに播種する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1晩培養した後、プレートの培地を分化培地に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、3又は4日間のいずれかで培養して分化を誘導後、細胞生存率評価に供する。
【0137】
(2) 細胞生存率評価
a)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66,又は72時間のいずれかで培養して被験物質処理する。次に、TNF-αを0、0.0001、0.0005、0.001、0.002、0.004、0.006、0.008、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950若しくは1000 ng/mLのいずれかを含む分化培地、又はTNF-αを0、0.0001、0.0005、0.001、0.002、0.004、0.006、0.008、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950若しくは1000 ng/mLのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又はTNF-αを0、0.0001、0.0005、0.001、0.002、0.004、0.006、0.008、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950若しくは1000 ng/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又はTNF-αを0、0.0001、0.0005、0.001、0.002、0.004、0.006、0.008、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950若しくは1000 ng/mLのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地を等量(100 μL)添加して、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養を行う。
【0138】
b)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66,又は72時間のいずれかで培養して被験物質処理する。次に、プレート中の培地を、TNF-αを0、0.00005、0.00025、0.0005、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、50.25、55、57.5、60、62.5、65、67.5、70、72.5、75、77.5、80、82.5、85、87.5、90、92.5、95、97.5、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475若しくは500 ng/mLのいずれかを含む分化培地、又はTNF-αを0、0.00005、0.00025、0.0005、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、50.25、55、57.5、60、62.5、65、67.5、70、72.5、75、77.5、80、82.5、85、87.5、90、92.5、95、97.5、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475若しくは500 ng/mLのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又はTNF-αを0、0.00005、0.00025、0.0005、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、50.25、55、57.5、60、62.5、65、67.5、70、72.5、75、77.5、80、82.5、85、87.5、90、92.5、95、97.5、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475若しくは500 ng/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又はTNF-αを0、0.00005、0.00025、0.0005、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、50.25、55、57.5、60、62.5、65、67.5、70、72.5、75、77.5、80、82.5、85、87.5、90、92.5、95、97.5、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475若しくは500 ng/mLのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地に培地交換して、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養を行う。
【0139】
前記a)またはb)の培養終了後、SFを5、10、15又は20%のいずれかを添加した分化培地に交換し、WST-8を発色基質として用いて細胞内脱水素酵素活性を検出することで、細胞生存率を測定する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)でインキュベートし、30、90、150又は210分後のいずれかにプレートリーダーで吸光度(吸収波長450 nm、参照波長630 nm)を測定し、両値から1、2又は3時間あたりのいずれかの吸光度変化量を算出して相対生細胞数を算出する。相対生細胞数の算出には、WST-8法ではなく、他の生細胞検出試薬もしくは手法、又は死細胞検出試薬もしくは手法を用いることもできる。
【0140】
(3) 試験結果
被験物質A又は被験物質Bで処理した神経様細胞又は神経細胞においては、炎症性ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制する。さらに、被験物質Aと被験物質Bとを組み合わせて処理した神経様細胞又は神経細胞においては、炎症性ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制する。
【0141】
薬理試験6[アミロイドβ1-42により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験]
以下に、薬理試験6の試験方法を示すが、この例示は薬理試験6をより良く理解するためのものであり、薬理試験6を限定するものではない。また、本薬理試験は、以下の13-14.等の文献に記載の方法に準じて、実施することができる。
【0142】
13.Li, X et al, Effect of β-Amyloid Peptide 1-42 on the Cytoprotective Action Mediated by α7 Nicotinic Acetylcholine Receptors in Growth Factor-Deprived Differentiated PC-12 Cells. THE JOURNAL OF PHARMACOLOGY AND EXPERIMENTAL THERAPEUTICS, 307: 670-675, 2003
14.Sasaki, H et al, Inhibitory activities of biflavonoids against amyloid-β peptide 42 cytotoxicity in PC-12 cells. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 25 (2015) 2831-2833
【0143】
(1) ラット副腎褐色細胞腫由来PC-12細胞の調製・分化誘導
増殖培地を用いて、PC-12細胞をコラーゲンIVコートT-75フラスコに起眠し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で培養する。2~4日おきに新たな増殖培地に交換し、60~90%コンフルエントになった時点で、0.25% Trypsin-EDTAを用いて細胞を剥離し、増殖培地を用いて1.0 x 103、2.0 x 103、3.0 x 103、4.0 x 103、5.0 x 103、6.0 x 103、7.0 x 103、8.0 x 103、9.0 x 103、10.0 x 103、11.0 x 103、12.0 x 103、13.0 x 103、14.0 x 103又は15.0 x 103 cells/0.1 mL/ウェルのいずれかとなるようにコラーゲンIVコート96ウェルプレートに播種する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1晩培養した後、プレートの培地を分化培地に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、3又は4日間のいずれかで培養して分化を誘導後、細胞生存率評価に供する。
【0144】
(2) 細胞生存率評価
a)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養して被験物質処理する。次に、Amyloidβ1-42 oligomer溶液を0、5、10、20、30、40、50、60、70又は80 μMのいずれかを含む分化培地、又はAmyloidβ1-42 oligomer溶液を0、5、10、20、30、40、50、60、70若しくは80 μMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又はAmyloidβ1-42 oligomer溶液を0、5、10、20、30、40、50、60、70若しくは80 μMと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4、4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又はAmyloidβ1-42 oligomer溶液を0、5、10、20、30、40、50、60、70若しくは80 μMと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地を等量(100 μL)添加して、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間培養を行う。
【0145】
b)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養して被験物質処理する。次に、プレート中の培地を、Amyloidβ1-42 oligomer溶液を0、2.5、5、10、15、20、25、30、35もしくは40 μMのいずれかを含む分化培地、又はAmyloidβ1-42 oligomer溶液を0、2.5、5、10、15、20、25、30、35もしくは40 μMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又はAmyloidβ1-42 oligomer溶液を0、2.5、5、10、15、20、25、30、35もしくは40 μMのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4、4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又はAmyloidβ1-42 oligomer溶液を0、2.5、5、10、15、20、25、30、35もしくは40 μMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地に培地交換して、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間培養を行う。
【0146】
前記a)またはb)の培養終了後、SFを5, 10, 15又は20%のいずれかを添加した分化培地に交換し、WST-8を発色基質として用いて細胞内脱水素酵素活性を検出することで、細胞生存率を測定する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)でインキュベートし、30, 90, 150又は210分後のいずれかにプレートリーダーで吸光度(吸収波長450 nm、参照波長630 nm)を測定し、両値から1,2又は3時間あたりのいずれかの吸光度変化量を算出して相対生細胞数を算出する。相対生細胞数の算出には、WST-8法ではなく、他の生細胞検出試薬もしくは手法、又は死細胞検出試薬もしくは手法を用いることもできる。
【0147】
(3) 試験結果
被験物質A又は被験物質Bで処理した神経様細胞又は神経細胞においては、アミロイドβ1-42により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制する。さらに、被験物質Aと被験物質Bとを組み合わせて処理した神経様細胞又は神経細胞においては、アミロイドβ1-42により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制する。
【0148】
薬理試験7 [アミロイドβ25-35により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験]
以下に、薬理試験7の試験方法を示すが、この例示は薬理試験7をより良く理解するためのものであり、薬理試験7を限定するものではない。また、本薬理試験は、以下の15-17.等の文献に記載の方法に準じて、実施することもできる。
【0149】
15.Ye, J et al, Effect of Purple Sweet Potato Anthocyanins on β-Amyloid-Mediated PC-12 Cells Death by Inhibition of Oxidative Stress. Neurochem Res (2010) 35: 357-365
16.Ji, Z et al, Ginsenoside Re attenuate β-amyloid and serum-free induced neurotoxicity in PC12 cells. Journal of Ethnopharmacology, 107 (2006) 48-52
17.Peng, Q et al, Pycnogenol(登録商標)protects neurons from amyloid-β peptide-induced apoptosis. Molecular Brain Research. 104 (2002) 55-65
【0150】
(1) PC-12細胞の調製・分化誘導
増殖培地を用いて、PC-12細胞をコラーゲンIVコートT-75フラスコに起眠し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で培養する。2~4日おきに新たな増殖培地に交換し、60~90%コンフルエントになった時点で、0.25% Trypsin-EDTAを用いて細胞を剥離し、増殖培地を用いて1.0 x 103、2.0 x 103、3.0 x 103、4.0 x 103、5.0 x 103、6.0 x 103、7.0 x 103、8.0 x 103、9.0 x 103、10.0 x 103、11.0 x 103、12.0 x 103、13.0 x 103、14.0 x 103又は15.0 x 103 cells/0.1 mL/ウェルのいずれかとなるようにコラーゲンIVコート96ウェルプレートに播種する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1晩培養した後、プレートの培地を分化培地に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、3又は4日間のいずれかで培養して分化を誘導後、細胞生存率評価に供する。
【0151】
(2) 細胞生存率評価
a)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間培養して被験物質処理する。次に、Amyloidβ25-35 oligomer溶液を0、5、10、20、30、40、50、60、70若しくは80 μMのいずれかを含む分化培地、又はAmyloidβ25-35 oligomer溶液を0、5、10、20、30、40、50、60、70若しくは80 μMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又はAmyloidβ25-35 oligomer溶液を0、5、10、20、30、40、50、60、70、若しくは80 μMと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又はAmyloidβ25-35 oligomer溶液を0、5、10、20、30、40、50、60、70若しくは80 μMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地を等量(100 μL)添加して、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養を行う。
【0152】
b)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又は被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地(100 μL)に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間培養して被験物質処理する。次に、プレート中の培地をAmyloidβ25-35 oligomer溶液を0、2.5、5、10、15、20、25、30、35もしくは40 μMのいずれかを含む分化培地、又はAmyloidβ25-35 oligomer溶液を0、2.5、5、10、15、20、25、30、35もしくは40 μMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかを含む分化培地、又はAmyloidβ25-35 oligomer溶液を0、2.5、5、10、15、20、25、30、35もしくは40 μMと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地、又はAmyloidβ25-35 oligomer溶液を0、2.5、5、10、15、20、25、30、35もしくは40 μMのいずれかと被験物質Aを0、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800、4000、4200、4400、4600、4800、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、12000、14000、16000、18000若しくは20000 μg/mLのいずれかと被験物質Bを被験物質Aの濃度に1/4、1/2、3/4、1、5/4、3/2、7/4、2、9/4、5/2、11/4、3、13/4、7/2、15/4若しくは4を乗じた濃度のいずれかを含む分化培地に交換して、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、42、48、54、60、66又は72時間のいずれかで培養を行う。
【0153】
前記a)またはb)の培養終了後、SFを5, 10, 15又は20%のいずれかを添加した分化培地に交換し、WST-8を発色基質として用いて細胞内脱水素酵素活性を検出することで、細胞生存率を測定する。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)でインキュベートし、30, 90, 150又は210分後のいずれかにプレートリーダーで吸光度(吸収波長450 nm、参照波長630 nm)を測定し、両値から1,2又は3時間あたりのいずれかの吸光度変化量を算出して相対生細胞数を算出する。相対生細胞数の算出には、WST-8法ではなく、他の生細胞検出試薬もしくは手法、又は死細胞検出試薬もしくは手法を用いることもできる。
【0154】
(3) 試験結果
被験物質A又は被験物質Bで処理した神経様細胞又は神経細胞においては、アミロイドβ25-35により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制する。さらに、被験物質Aと被験物質Bとを組み合わせて処理した神経様細胞又は神経細胞においては、アミロイドβ25-35により誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制する。
【0155】
薬理試験8 [NMDA硝子体内注入網膜障害モデルを用いた網膜神経細胞(網膜神経節細胞、アマクリン細胞等)保護効果又は視神経保護効果の確認試験]
被験物質A、被験物質B又は被験物質Aと被験物質Bの混合物のin vivoにおける網膜神経細胞(網膜神経節細胞、アマクリン細胞等)保護効果又は視神経保護効果をNMDA硝子体内注入網膜障害ラットモデルで確認することができる。また、その試験方法は以下18~25.等の文献に準じて、実施することができ、被験物質A、被験物質B又は被験物質Aと被験物質Bの混合物、の投与量又は配合比等の各種条件は、適宜改変することができる。
【0156】
18.Matsunaga N et al, Bilberry and its main constituents have neuroprotective effects against retinal neuronal damage in vitro and in vivo. Mol.Nutr. Food Res. 2009, 53, 869-877
19.Ohno Y et al, Oral administrationofcrocetinpreventsinnerretinaldamageinduced by N-methyl-D-aspartateinmice. European Journal of Pharmacology.690, 2012, 84-89
20.Maekawa S et al, The neuroprotective effect of hesperidin in NMDA-induced retinal injury acts by suppressing oxidative stress and excessive calpain activation. Scientific Reports 7. 6885 (2017)
21. Tsutsumi T et al, Potential Neuroprotective Effects of an LSD1 Inhibitor in Retinal Ganglion Cells via p38 MAPK Activity. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2016; 57: 6461-6473
22.Binda NS et al, PhTx3-4, a Spider Toxin Calcium Channel Blocker, Reduces NMDA-Induced Injury of the Retina. Toxins. 2016, 8, 70
23.Vicente VG et al, Neuroprotective Effect of Tauroursodeoxycholic Acid on N-Methyl-D Aspartate-Induced Retinal Ganglion Cell Degeneration. PLoS ONE 10 (9) 2015
24.Sakamoto K et al, Protective effect of all-trans retinoic acid on NMDA-induced neuronal cell death in rat retina. European Journal of Pharmacology,635 (2010) 56-61
25.Siliprandi R et al, N-methyl-D-aspartate-induced neurotoxicity in the adult rat retina, Vis Neurosci. 1992 Jun; 8 (6): 567-73
【0157】
薬理試験9 [虚血再灌流網膜障害モデルを用いた網膜神経細胞保護効果又は視神経保護効果の確認試験]
被験物質A、被験物質B又は被験物質Aと被験物質Bの混合物のin vivoにおける網膜神経細胞保護効果又は視神経保護効果を虚血再灌流網膜障害ラットモデルで確認することができる。また、その試験方法は以下26~32.等に記載の文献に準じて、実施することができ、被験物質A、被験物質B又は被験物質Aと被験物質Bの混合物、の投与量又は配合比等の各種条件は、適宜改変することができる。
【0158】
26.Yang X et al, Neuroprotective Effects of Crocin against Oxidative Stress Induced by Ischemia/ Reperfusion Injury in Rat Retina, Ophthalmic Res 2015; 54: 157-168
27.Shimouchi et al, Neuroprotective effect of water-dispersible hesperetin in retinal ischemia reperfusion injury, Jpn J Ophthalmol. 2016 January; 60 (1): 51-61
28.Kara S et al, Protective Effect of Hesperetin and Naringenin against Apoptosis in Ischemia/Reperfusion-Induced Retinal Injury in Rats, The Scientific World Journal. Volume 2014
29.Yoneda S et al, Topiramate reduces excitotoxic and ischemic injury in the rat retina, Brain Research. 967 (2003) 257-266
30.Chen B et al, Protective effects of catalase on retinal ischemia/reperfusion injury in rats, Experimental Eye Research. 93 (2011) 599-606
31.Wang L et al, Curcumin Inhibits Neuronal and Vascular Degeneration in Retina after Ischemia and Reperfusion Injury, PLoS ONE. (2011) 6 (8)
32.Aydogan S et al, The effect of thalidomide on vascular endothelial growth factor and tumor necrosis factor-α levels in retinal ischemia/reperfusion injury, Graefes Arch Clin Exp Opthalmol. (2008) 246: 363-368
【0159】
薬理試験10[酸化ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)に対する効果試験]
以下に、薬理試験10の試験方法(前記薬理試験4に準ずる)を示すが、この例示は薬理試験10をより良く理解するためのものであり、薬理試験10を限定するものではない。また、本薬理試験は、前記の7.等の文献に記載の方法に準じて、実施することもできる。
【0160】
(1)増殖培地の調製
ナカライテスク社製ダルベッコ変法イーグル培地 (#08456-65、Dulbecco's Modified Eagle Medium、DMEM) に、シグマアルドリッチ社製牛胎児血清SA (#172012、Fetal Bovine Serum、FBS) を終濃度10%となるように、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製馬血清 (#16050-122、Horse Serum New Zealand Origin、HS) を終濃度10%となるように、ナカライテスク社製ペニシリン-ストレプトマイシン混合溶液(安定化) (#32777-44)を終濃度1%となるように添加して調製した。
【0161】
(2)分化培地の調製
分化培地は、DMEMに、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製NGF 2.5S Native Mouse Protein (#13257019、NGF) を終濃度50 ng/mLとなるように、FBSを終濃度0.1%となるように、HSを終濃度0.1%となるように、ペニシリン-ストレプトマイシン混合溶液(安定化)を終濃度1%となるように添加して調製した。
【0162】
(3)被験物質含有培地の調製
被験物質Aを含有する培地、被験物質Bを含有する培地又は被験物質Aと被験物質Bを含有する培地は、粉末状の被験物質Aもしくは被験物質Bを上記各種培地に添加して調製した。
【0163】
(4) ラット副腎褐色細胞腫由来PC-12細胞の調製・分化誘導
増殖培地を用いて、PC-12細胞をコラーゲンIVコートT-75フラスコに起眠し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で培養した。2~4日おきに新たな増殖培地に交換し、60~90%コンフルエントになった時点で、0.25% Trypsin-EDTAを用いて細胞を剥離し、増殖培地を用いて5.0 x 103 cells/0.1 mL/ウェルとなるようにコラーゲンIVコート96ウェルプレートに播種した。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1晩培養した後、プレートの培地を分化培地に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で2日間培養して分化を誘導後、細胞生存率評価に供した。
【0164】
(5) 細胞生存率評価
a)分化誘導させたPC-12細胞を培養したプレート中の分化培地を、被験物質を含有しない分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを10 μg/mL含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Bを被験物質Aの濃度に9/4を乗じた濃度を含む分化培地(100 μL)、又は被験物質Aを10 μg/mLと被験物質Bを被験物質Aの濃度に9/4を乗じた濃度含む分化培地(100 μL)に交換し、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で24時間培養して被験物質処理した。次に、和光純薬社製の過酸化水素 (#081-04215) を0、0.72 mMのいずれかを含む分化培地、又は過酸化水素を0.72 mMと被験物質Aを10 μg/mLを含む分化培地、又は過酸化水素を0.72 mMと被験物質Bを被験物質Aの濃度に9/4を乗じた濃度含む分化培地、又は過酸化水素を0.72 mMと被験物質Aを10 μg/mLと被験物質Bを被験物質Aの濃度に9/4を乗じた濃度を含む分化培地を等量(100 μL)添加して、CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)で1時間培養を行った。
【0165】
前記a)の培養終了後、SFを10%添加した分化培地に交換し、WST-8を発色基質として用いて細胞内脱水素酵素活性を検出することで、細胞生存率を測定した。CO2インキュベーター(5% CO2、37℃、湿潤)でインキュベートし、30、150分後にプレートリーダーで吸光度(吸収波長450 nm、参照波長630 nm)を測定し、両値から2時間あたりの吸光度変化量を算出して相対生細胞数を算出した。相対生細胞数の算出には、WST-8法ではなく、他の生細胞検出試薬もしくは手法、又は死細胞検出試薬もしくは手法を用いることもできる。
【0166】
(6) 試験結果
過酸化水素処理していない細胞における相対生細胞数を100%としたときの、過酸化水素処理条件における被験物質非添加群、被験物質A添加群、被験物質B添加群、被験物質A+被験物質B添加群の相対生細胞数の割合を表5に示した。なお、被験物質A添加群は10 μg/mLの被験物質Aにより細胞を処理しており、被験物質B添加群は22.5 μg/mLの被験物質Bにより細胞を処理しており、被験物質A+被験物質B添加群は10 μg/mLの被験物質A及び22.5 μg/mLの被験物質Bにより細胞を処理した。また、各種被験物質添加群の相対生細胞数の割合と、被験物質非添加群の相対生細胞数の割合の差を、各種被験物質による細胞保護効果として示した。表5および図1に記載の通り、被験物質A添加群の細胞保護効果と被験物質B添加群の細胞保護効果を足し合わせた値と比べて、被験物質A+被験物質B添加群の細胞保護効果は明確に高い値を示した。本結果より、被験物質Aと被験物質Bは酸化ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)の抑制において相乗作用を持つことが明らかとなった。本結果から、以下の結論が導き出される。
【0167】
被験物質A又は被験物質Bで処理した神経様細胞又は神経細胞においては、酸化ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を抑制する。さらに、被験物質Aと被験物質Bとを組み合わせて処理した神経様細胞又は神経細胞においては、酸化ストレスにより誘導される神経様細胞死もしくは神経細胞死および/又は神経様細胞もしくは神経細胞の機能低下(弱体化)を顕著に抑制する。
【0168】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、天然物由来のビルベリー果実の加工物と松樹皮の加工物を使用することから医薬組成物としてだけではなく、飲食品、サプリメントなどの食品組成物としても有用であり、幅広い分野において利用可能な、安全性が高い網膜神経細胞保護用および/又は視神経保護用組成物を提供することが可能である。
図1