(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】スイッチのための力伝達要素のセット
(51)【国際特許分類】
H01H 25/04 20060101AFI20221107BHJP
【FI】
H01H25/04 F
(21)【出願番号】P 2019553444
(86)(22)【出願日】2018-03-23
(86)【国際出願番号】 EP2018057547
(87)【国際公開番号】W WO2018177964
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-01
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505140568
【氏名又は名称】ダヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ギョーム、キオッキ
(72)【発明者】
【氏名】エリック、レアラン
(72)【発明者】
【氏名】マルク、マイネ
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-183162(JP,A)
【文献】特開2000-322981(JP,A)
【文献】特開2003-045291(JP,A)
【文献】特開平10-064373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ本体(3)と、セグメント(S)の端部又は多角形(P)の頂点に配置される2以上の整数Nの電子スイッチ(11)との間にあって、前記スイッチ本体(3)の押下軸に沿って並進移動可能なN個のプランジャ(7)と、N個のプランジャ(7)を連結する可撓性フレーム(9)とを備える押下力伝達要素であって、前記フレーム(9)は、
それぞれのプランジャ(7)ごとに設けられ、それぞれが関連するプランジャ(7)を部分的に取り囲むバイパス部分(13)と、
閉じられた外側フレームを形成するように前記バイパス部分(13)を対にして連結するリンク部分(15)と、
自由端でプランジャ(7)を支持するとともに、所定の方向で
前記セグメント(S)又は前記多角形(P)を辿って隣接するプランジャ(7)の前記バイパス部分に他端が連結される制御ビーム(17)と、
を備えることを特徴とする押下力伝達要素。
【請求項2】
Nが4であり、前記多角形(P)が平行四辺形であることを特徴とする請求項1に記載の力伝達要素。
【請求項3】
前記多角形(P)が菱形又は正方形であることを特徴とする請求項2に記載の力伝達要素。
【請求項4】
N=8であり、前記多角形(P)が八角形であることを特徴とする請求項1に記載の力伝達要素。
【請求項5】
フレーム(9)が前記プランジャ(7)と一体に形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の力伝達要素。
【請求項6】
前記プランジャ(7)及び前記フレーム(9)がプラスチック材料を成形することにより得られることを特徴とする請求項5に記載の力伝達要素。
【請求項7】
前記
制御ビーム(17)がそれらを伸長させる回旋部を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の力伝達要素。
【請求項8】
前記リンク部分(15)がそれらを伸長させる回旋部を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の力伝達要素。
【請求項9】
前記制御ビーム(17)及び前記バイパス部分(13)が互いの連続する延在部を成して形成されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の力伝達要素。
【請求項10】
前記リンク部分(15)と前記バイパス部分(13)とが直角の接続部によって連結されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の力伝達要素。
【請求項11】
押下によって2以上の整数Nの方向にしたがって傾斜され得るスイッチ本体(3)を備えるとともに、
セグメント(S)の端部又は多角形(P)の頂点に配置されるN個の電子スイッチ(11)と、
前記スイッチ本体(3)の押下軸に沿って並進移動可能な硬質のN個のプランジャ(7)と、
N個のプランジャ(7)を連結するフレーム(9)と、
を備える制御モジュールであって、
前記フレーム(9)は、
それぞれのプランジャ(7)ごとに設けられ、それぞれが関連するプランジャ(7)を部分的に取り囲むバイパス部分(13)と、
閉じられた外側フレームを形成するように前記バイパス部分(13)を対にして連結するリンク部分(15)と、
自由端でプランジャ(7)を支持するとともに、所定の方向で
前記セグメント(S)又は前記多角形(P)を辿って隣接するプランジャ(7)の前記バイパス部分に他端が連結される制御ビーム(17)と、
を備えることを特徴とする制御モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並進スイッチを伴う制御モジュールのための力伝達要素又はプランジャのセットに関する。
【背景技術】
【0002】
力伝達要素は、ユーザによりボタン本体及び電子スイッチに及ぼされる力を伝えるために指向性並進スイッチ又はクロススイッチを伴う制御モジュールで使用される。ボタン本体は、目に見え、装飾されるとともに、一般に制御モジュールの外側筐体と同じ材料から形成される。電子スイッチは、ボタン本体の下側に、通常はモジュールの底部にあるプリント回路基板上に位置される。
【0003】
ボタン本体はユーザが相互作用する要素であり、一方、電子スイッチは、ボタン本体の押下の認識をもたらす電子信号を生成する。
【0004】
より簡単で迅速な組み立てのため、「プランジャ」とも呼ばれる力伝達要素を、それらを連結するフレームによって互いに一体となるように製造することが知られている。これにより、組み立て中、プランジャのセットを単一の要素として操作できる。フレームは、一般に、多くの場合にプランジャと同じである可撓性のプラスチック材料から形成され、プランジャとともに一体に形成される。その結果、フレームの可撓性は、比較的硬質のままであるプランジャと比べてフレームのプラスチックの厚さが薄いことによりもたらされる。
【0005】
プランジャが一般に数センチメートル(cm)未満の距離を隔てて互いに近接している場合、プランジャを連結するフレームは、力及び変形を伝えることができる。したがって、ユーザにより作動されるプランジャの押下は、1つ以上の隣接するプランジャを駆動させることができる。その結果、ユーザによるスイッチの作動は、隣接するスイッチの作動の望ましくない認識をもたらし得る。
【0006】
この状況は、例えばサイドバックミラーの傾斜を制御するための方向性クロス制御モジュールにおいて特に直面される。指向性クロスにおいて、ユーザは、比較的平坦な、円形の、又は、十字形のボタン本体を直交方向に又は対角方向に傾ける。このとき、一般に4、8、又は、16個の電子スイッチが、ユーザによりボタン本体に加えられる力を伝達する対応する数のプランジャによって押し下げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
隣接するプランジャへの力の伝達を回避するために、フレームを薄くすることができ、それにより、フレームの可撓性が更に高くなるが、操作がより脆弱となり、或いは、隣接するプランジャへの力の伝達を回避するために、フレームを形成する材料の組成を変えることができる。しかしながら、選択される材料は、多くの場合、プランジャの剛性及びコストに関して最適化され、フレームは、プランジャをアセンブリ上に保持して配置するためだけに使用される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、前述の問題を少なくとも部分的に解決するために、本発明の主題は、スイッチ本体と、セグメントの端部又は多角形の頂点に配置される2以上の整数Nの電子スイッチとの間にあって、スイッチ本体の押下軸に沿って並進移動可能なN個のプランジャと、N個のプランジャを連結する可撓性フレームとを備える押下力伝達要素であって、フレームが、
それぞれのプランジャごとに設けられ、それぞれが関連するプランジャを部分的に取り囲むバイパス部分と、
閉じられた外側フレームを形成するようにバイパス部分を対にして連結するリンク部分と、
自由端でプランジャを支持するとともに、所定の方向で多角形を辿って隣接するプランジャのバイパス部分に他端が連結される制御ビームと、
を備えることを特徴とする押下力伝達要素である。
【0009】
このようにして得られる力伝達要素は、アセンブリのコンパクトさを低下させることなく、異なるプランジャ間の並進接続を減らすことができるようにする。
【0010】
また、力伝達要素は、単独で又は組み合わせて、以下の特徴の1つ以上を備えることもできる。
【0011】
Nが4で、多角形が平行四辺形である。
【0012】
多角形が菱形又は正方形である。
【0013】
N=8であり、多角形が八角形である。
【0014】
フレームがプランジャと一体に形成される。
【0015】
プランジャ及びフレームは、プラスチック材料を成形することにより得られる。
【0016】
リンクビームは、それらを伸長させる回旋部を備える。
【0017】
リンク部分は、それらを伸長させる回旋部を備える。
【0018】
制御ビーム及びバイパス部分は、互いの連続する延在部を成して形成される。
【0019】
リンク部分及びバイパス部分が直角の接続部によって連結される。
【0020】
本発明の他の主題は、押下によって2以上の整数Nの方向にしたがって傾斜され得るスイッチ本体を備えるとともに、
セグメントの端部又は多角形の頂点に配置されるN個の電子スイッチと、
スイッチ本体の押下軸に沿って並進移動可能な硬質のN個のプランジャと、
N個のプランジャを連結するフレームと、
を備える関連する制御モジュールであって、
フレームが、
それぞれのプランジャごとに設けられ、それぞれが関連するプランジャを部分的に取り囲むバイパス部分と、
閉じられた外側フレームを形成するように前記バイパス部分を対にして連結するリンク部分と、
自由端でプランジャを支持するとともに、所定の方向で多角形を辿って隣接するプランジャのバイパス部分に他端が連結される制御ビームと、
を備えることを特徴とする関連する制御モジュールである。
【0021】
本発明の他の特徴及び利点は、例示的で非限定的な例として与えられる以下の説明及び添付図面を読むと更に明確に分かるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る力伝達要素を備える制御モジュールを分解図で概略的に示す。
【
図3】力伝達要素の他の実施形態を平面図で概略的に示す。
【
図4a】力伝達要素を備える制御モジュールの断面図を示す。
【
図4b】力伝達要素を備える制御モジュールの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
全ての図において、同じ参照符号は同じ要素に関連する。
【0024】
図面を参照して説明される実施形態は例である。説明は1つ以上の実施形態に言及するが、このことは、それぞれの言及が同じ実施形態に関連すること、或いは、特徴が単一の実施形態のみに適用されることを必ずしも意味しない。他の実施形態をもたらすために異なる実施形態の簡単な特徴を組み合わせる又は置き換えることもできる。
【0025】
図1は、制御モジュール1を分解図で概略的に示す。制御モジュール1は、特に、例えば車外のバックミラーの向きを調整できるようにするために車内に配置されるようになっている。制御モジュール1は、特に、窓制御装置と同じ高さで、ドアの肘掛けに実装され得る。
【0026】
制御モジュール1は、ここでは円盤形状を成すスイッチ本体3を備え、ユーザは、前記スイッチ本体3を特定方向に傾けるために力をスイッチ本体の縁部に加え、特定方向のうちの4つ(上U、下D、左L、右R)がスイッチ本体3の上面に矢印で表される。
【0027】
スイッチ本体3は、円盤状以外の形態をとることができ、特に、スイッチ本体は、主作動方向の数に対応する数、ここでは平行四辺形、菱形、又は、正方形の形状に対応して4つの辺を有する多角形又は星形の形状に形成され得る。
【0028】
スイッチ本体3の上面の法線は、寸法軸zを規定できるようにし、また、前記表面の平面は、横座標及び縦座標のそれぞれの2つの軸x,yを含む。「上方」、「下方」、「上」、「下側」などの用語及び同等物は、前記法線によって与えられる寸法軸zに関して以下で使用される。
【0029】
スイッチ本体3の下側には、フレーム9によって互いに連結されるプランジャ7を備える力伝達要素5が配置される。プランジャ7は4つあり、スイッチ本体3の特定の傾斜方向を表す各矢印の下側に配置される。
【0030】
各プランジャ7の下側には電子スイッチ11が配置され、電子スイッチ11は、それが十分な力で押圧されると、制御モジュール1のユーザによる作動の電子的な認識のために使用される電気信号を生成する。
【0031】
電子スイッチ11は、特に、制御モジュール1の底部を形成して前記制御モジュール1の電子機器(電力適応、論理ゲート、車両の電気回路とのインタフェース)の少なくとも一部を支えるプリント回路基板上に実装され得る。
【0032】
図2には、力伝達要素5が更に詳しく示される。
図2は、前記力伝達要素5を平面図で示す。
【0033】
平面図から、プランジャ7が多角形Pの頂点に配置されるのが分かり、多角形の辺の数Nは、主傾斜方向の数に対応し、ここでは4つ、したがって、プランジャ7及び電子スイッチ11の数に対応している。したがって、この場合、多角形Pは、平行四辺形であり、特に菱形、より具体的には正方形である。
【0034】
ここで、多角形Pの正方形の形状は、スイッチ本体3の円盤状の形状に端を発している。スイッチ本体3が特に一方向で細長い(楕円形又は引き伸ばされた菱形の形状)場合には、それに応じて多角形Pを引き伸ばすことができ、したがって、多角形Pが菱形又は平行四辺形となり得る。
【0035】
プランジャ7は、それらと一体に形成されるフレーム9によって互いに連結される。特に、成形プラスチック材料から形成されるプランジャ7の場合には、フレームが成形中に得られ、力伝達要素がそのN個のプランジャを伴い、ここで、Nはスイッチ本体3の主傾斜方向の数であり、その後、フレーム9が一体部品を成して得られる。使用される材料は、とりわけ、特に架橋されたポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ゴムを含むことができる。
【0036】
フレーム9は、プランジャ7に対して小さな断面の細長い部分を備える。プランジャ7は一般に長方形の断面を有し、この長方形は一般に2~5ミリメートル(2~5mm)まで変化する辺を伴い、フレーム9の細長い部分の断面は円形又は長方形であり、この円形又は長方形は、一般に、0.5ミリメートル~1ミリメートル(0.5-1mm)程度の辺又は直径を伴う。この寸法の違いは、フレーム9が可撓性を有する状態でプランジャ7を比較的硬質となり得るようにし、これらの2つは同じプラスチック材料で構成される。
【0037】
フレーム9は、それぞれがプランジャ7を部分的に取り囲む4つのバイパス部分13を備える。バイパス部分13は、ここでは、多角形Pの内側に開口する円形の部分の形態を成して形成される。他の実施形態は、多角形の形状のバイパス部分13を備えるとができる。
【0038】
また、フレーム9は、ここでは略正方形の閉じられた外側フレームを形成するように多角形P上の連続したバイパス部分13を対にして連結する4つのリンク部分15を備え、外側フレームの角は、プランジャ7を部分的に取り囲むバイパス部分13の存在によって丸みを帯びている。
【0039】
バイパス部分13は、前記バイパス部分13を対にして連結するリンク部分15から多角形Pの内部へ向けて延在される。また、フレーム9は4つの制御ビーム17も備え、該制御ビームは、所定のプランジャ7を、所定の方向、ここでは時計回り方向に多角形Pに沿って後続する次のプランジャ7を部分的に囲むバイパス部分13に対して連結する。したがって、これらの制御ビーム17は、n(nは1~Nの整数であり、Nはプランジャ7の数である)番目のプランジャ7を、多角形Pを所定の回転方向で辿ってn+1番目にあるプランジャを部分的に囲むバイパス部分13に連結し、N番目の制御ビーム17は1番目のプランジャ7を取り囲むバイパス部分に連結される。
【0040】
多角形Pの1つの同じ側にあるリンク部分15及び制御ビーム17は、ここでは直線であり、互いに平行であるとともに、それらが対応する多角形Pの辺に対して平行である。より良い理解のために、フレーム9の異なる部分は、
図2では、点線のセグメントによって区切られる。
【0041】
図3は、力伝達要素5の他の実施形態、特に、プランジャ7を支持するフレーム9の他の実施形態を示し、このフレーム9は
図3では平面図で表される。
【0042】
図3の実施形態は、プランジャ7を取り囲むバイパス部分13を対にして連結するリンク部分15と、プランジャ7を次のプランジャ7を取り囲むバイパス部分13に対して連結する制御ビーム17とが、それらの有効長を増大させる回旋部を備えるという点で
図2の実施形態と異なる。
【0043】
プランジャ7を取り囲むバイパス部分13を対にして連結するリンク部分15は、ここでは「s」の形態を成す。前記リンク部分15は、プランジャ7を取り囲む部分13の延長部を成して引き伸ばされ、多角形Pの内部に向かって凸の曲線を描いた後、多角形Pの内部に向かって凹の曲線を描く。その後、前記リンク部分15は、直角の接続部によってプランジャ7を取り囲むバイパス部分13と交わる。
【0044】
プランジャ7を次のプランジャ7を取り囲むバイパス部分13に連結する制御ビーム17は、プランジャ7を取り囲むバイパス部分13を対にして連結するリンク部分15と平行な線を辿り、次のプランジャ7を取り囲むバイパス部分13に対する前記制御ビーム17の接続部は、前記バイパス部分13の連続的な延在部を成して形成される。
【0045】
フレームのリンク部分15、17の有効長の増大は、隣接するプランジャ7が駆動されることなくプランジャ7の移動を増大させることができるようにする。
【0046】
また、
図3の形態は、異なる部分13、15、17間の接続部を形成する屈曲部の数を減らすことを可能にもする。そのため、確かに、屈曲部は、それらが表す材料の幅の急激な変化により、応力集中領域であり、したがって、変形中の潜在的な破断点である。
【0047】
図4a及び
図4bは、前述の力伝達要素5を備える制御モジュール1の動作を示す。
図4a、4bは、作動していない場合及び作動中のそれぞれにおける制御モジュール1の側面断面図である。
【0048】
図4aの実施形態において、スイッチ本体3は、ボールジョイントリンク19の周りに関節結合され、凹部形成壁21に対する前記スイッチ本体3の傾斜を可能にする。ボールジョイントリンク19は特に弾性復帰手段を備え、この弾性復帰手段は、ユーザによる作動がない場合にスイッチ本体3の中立位置への復帰を確保する。
【0049】
図4aにその2つが見えるプランジャ7は、プランジャ7のための並進案内を成す円筒状凹部23内に位置される。円筒状凹部23は、スイッチ本体3の主傾斜方向の下側に位置される。プランジャ7は、
図3に記載されるように、可撓性フレーム9によって互いに連結される。力伝達要素5を形成するプランジャ7及びフレーム9は、より良い理解のために
図4a及び
図4bに影付きで表される。
【0050】
プランジャ7は、円形プレート25によってフレーム9に接続され、その形状及びサイズは、プリント回路基板27上の前記プレート25の下側に位置される電子スイッチ11の形状及びサイズに対応する。
【0051】
図4bでは、ユーザがスイッチ本体3の左側に力Fを加え、それにより、スイッチ本体3がボールジョイントリンク19を中心とする回転によって左に傾けられる。その結果、
図4bの左側のプランジャ7は変位δだけ下げられ、したがって、下方に位置される電子スイッチ11を押圧する。
【0052】
電子スイッチ11の押圧は、車両の制御ユニットにより認識される論理電子信号の送信を引き起こす。車両の制御ユニットは、その後、それに応じて、車両の機能モジュール(ヘッドライト、エアコン、窓制御器、マルチメディアプレーヤー)の動作を変更する。
【0053】
制御モジュール1がバックミラーの向きを制御するために使用される場合、スイッチ本体3の左への傾斜は、バックミラーを対応する方向に傾斜させる電気モータの始動を引き起こす。
【0054】
図5及び
図6は、プランジャ7の数Nが4以外である力伝達要素5の他の実施形態を示す。
【0055】
図5では、プランジャの数Nが2である(N=2)。したがって、プランジャ7は、多角形Pの頂点ではなく、セグメントSの両端に位置される。
【0056】
したがって、この実施形態は、車両ドア窓の開閉を制御するのに適しており、この場合、2つの作動方向、すなわち、上U及び下Dは、窓の閉鎖及び開放にそれぞれ対応する。
【0057】
フレーム9は、特に、プランジャ7を取り囲む2つ(N)のバイパス部分13と、前記バイパス部分13を対にして連結する2つ(N)のリンク部分15と、プランジャ7を次のプランジャ7を取り囲むバイパス部分13に連結する2つ(N)の制御ビーム17とを備える。
【0058】
図6では、プランジャの数Nが8個である(N=8)。プランジャ7は、ここでは八角形、特に正八角形である多角形Pの頂点に位置される。
【0059】
したがって、この実施形態は、
図1、2、3、4a,4bに関連して説明したような上U、下D、左L、右Rの4つの方向に関して並びに4つの対角方向に関してプランジャ7を備える。
【0060】
フレーム9は、特に、プランジャ7を取り囲む8個(N)のバイパス部分13と、前記バイパス部分13を対にして連結する8個(N)のリンク部分15と、プランジャ7を次のプランジャ7を取り囲むバイパス部分13に連結する8個(N)の制御ビーム17とを備える。
【0061】
他の実施形態は、異なる数Nのプランジャ7、プランジャ7を囲むバイパス部分13、前記バイパス部分13を対にして連結するリンク部分15、及び、制御ビーム1を伴う。大きい数N(8、12、又は、16)は、スイッチ本体3の傾斜を更に細かく異ならせることができるようにするが、最終的な制御モジュール1のコンパクトさを低減する。
【0062】
対応するフレーム9を伴う2つ及び4つのプランジャ7を有する実施形態は、ドアの窓の開閉を制御するために、及び、前記ドアに配置されたバックミラーの向きを制御するために、肘掛け又は車のドアに実装された制御装置の製造において示される。
【0063】
本発明に係る力伝達要素5のフレーム9は、特に1つの同じ金型で成形することにより、前記プランジャ7と一体に形成されつつ、異なるプランジャ7の並進結合を低減できるようにする。したがって、力伝達要素5は、低価格でありながらコンパクトであり、操作が容易である。