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▶ クナウフ ギプス カーゲーの特許一覧

<図1-2>
  • 特許-石膏プラスターボード 図1-2
  • 特許-石膏プラスターボード 図3-5
  • 特許-石膏プラスターボード 図6-7
  • 特許-石膏プラスターボード 図8
  • 特許-石膏プラスターボード 図9
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】石膏プラスターボード
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/50 20060101AFI20221107BHJP
   E04C 2/04 20060101ALI20221107BHJP
   E04F 13/14 20060101ALI20221107BHJP
   E04B 1/86 20060101ALI20221107BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
B28B1/50
E04C2/04 E
E04F13/14 102A
E04B1/86 D
C04B38/00 301A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019553621
(86)(22)【出願日】2016-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2016002139
(87)【国際公開番号】W WO2018113895
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2019-12-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510094539
【氏名又は名称】クナウフ ギプス カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ヘルフルト,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】フリーデル,フェリクス
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-162233(JP,A)
【文献】実開昭53-120802(JP,U)
【文献】特開2000-102914(JP,A)
【文献】特開2007-247393(JP,A)
【文献】国際公開第2017/197644(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0069070(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/00-28/36,38/00-38/10
E04C 2/04
E04B 1/86-1/88
E04F 13/14
B28B 1/00-1/54
B32B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の密度、第1の硬度および第1の厚さを有する上部石膏層(16)と、第2の密度、第2の硬度および第2の厚さを有する下部石膏層(17)とを少なくとも含み、(a)ここで、第1の密度は第2の密度より低く、および/または、ここで、第1の硬度は第2の硬度より低く;(b)ここで、第1の厚さは第2の厚さより小さく;および、(c)少なくとも一つの最も表面側の石膏層は上部石膏層(16)である、石膏プラスターボード(10)であって、上部石膏層(16)が、該石膏プラスターボード(10)に入り込む固定手段の頭部によって圧縮可能であるように構成されている、前記石膏プラスターボード(10)。
【請求項2】
第2の厚さに対する第1の厚さの比が、(第1の厚さ/第2の厚さ)<1/1.05である、および/または、(第1の厚さ/第2の厚さ)>1/50である、請求項1に記載の石膏プラスターボード(10)。
【請求項3】
第1の厚さが、0.5mmより大きい、および/または5.0mmより小さいことを特徴とする、請求項1または2に記載の石膏プラスターボード(10)。
【請求項4】
第1の密度が≦880kg/mである、および/または第2の密度が≧880kg/mであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の石膏プラスターボード(10)。
【請求項5】
第1の密度が≦800kg/mである、および/または第2の密度が≧1000kg/mであることを特徴とする、請求項4に記載の石膏プラスターボード(10)。
【請求項6】
第2の密度に対する第1の密度の比が≦0.9であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の石膏プラスターボード(10)。
【請求項7】
DIN EN 520:2009-12の5.12に記載された表面硬度の決定のための試験による硬度で表すとき、上部石膏層単独の第1の硬度が>13mmである、および/または下部石膏層単独の第2の硬度が≦12mmであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の石膏プラスターボード(10)。
【請求項8】
DIN EN 520:2009-12の5.12に記載された表面硬度の決定のための試験による硬度で表すとき、下部石膏層単独の第2の硬度に対する上部石膏層単独の第1の硬度の比が≦1.3であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の石膏プラスターボード(10)。
【請求項9】
上部および下部石膏層が、細孔容積によって区別され、上部石膏層の細孔容積が下部石膏層の細孔容積より大きいことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の石膏プラスターボード(10)。
【請求項10】
プラスターボードが、フェーサーで覆われていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の石膏プラスターボード(10)。
【請求項11】
乾式壁構造のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の石膏プラスターボード(10)の使用であって、(a)上部石膏層は、プラスターボード(10)の、壁の表面として見える側に配置される、および/または、(b)ねじ(11)または釘の形態の固定手段の頭部部分(13)が、上部石膏層上に配置される、前記使用。
【請求項12】
乾式壁構造であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの石膏プラスターボード(10)と、少なくとも1つのスタッドとを含み、少なくとも1つのプラスターボードは、少なくとも1つのスタッドに取り付けられているかまたは取り付け可能であり、および、ここで、上部石膏層は、スタッドに装着されたときに、プラスターボードの見える面に隣接するかまたは見える面を提供し、ここで、見える面とは、壁の表面として見える面である、前記乾式壁構造。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の石膏プラスターボード(10)を固定する方法であって、プラスターボード(10)は、少なくとも1つの、頭部部分(13)を有するねじ(11)または釘の形態の固定手段を介して固定され、固定手段は、石膏プラスターボード(10)の上部層(16)側から石膏プラスターボード(10)に挿入される、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏プラスターボード、石膏プラスターボードの使用、乾式壁構造、および石膏プラスターボードを固定するための方法に関する。特に、本発明は、取り付け機能が強化された重いまたは高い密度のプラスターボードに関する。
【背景技術】
【0002】
乾式壁構造における高い密度および/または硬質プラスターボードは、構造が非常に強くなければならないかまたは良好な音響効果を提供しなければならない場合に通常使用される。壁構造の防音性能は、構造の質量の増加と共に増加するので、これらの応用にはきわめて高い密度のプラスターボードが好ましい。しかしながら、非常に高い密度のプラスターボードは、特にそれらのねじ取り付け機能に関して、劣った作業性を示すという欠点を有する。プラスターボードにおける取り付け手段のための穴は事前に穿孔されなければならず、そしてプラスターボード材料はドリルの縁で欠損しがちである。
【0003】
ねじ頭部は上部表面の材料に容易には入り込まず、それらが入り込むとボード材料を膨張させ、ねじ頭部の周りに突出した環状壁を形成する。この環状壁は手作業で研磨されなければならないか、または壁の高品質な表面を達成するためにねじ頭部の組み込みを可能にする追加のくぼみが提供されなければならない。1つの壁を固定するには何十本ものねじを使用する必要があることを考慮すると、これは大変な労力である。
【0004】
さらに、高密度のプラスターボードのねじ込みは、ねじを簡単に巻き取るために多くの力を必要とするため、プラスターボードをスタッドにねじ込むときには特別な注意を払う必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、支持構造への確実な固定を可能にする石膏プラスターボードを提案することにある。さらに、石膏プラスターボードの対応する使用、対応する石膏プラスターボードシステム、および石膏プラスターボードを固定する対応する方法が提案されるものとする。この目的は、添付の特許請求の範囲の主題によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、石膏プラスターボードは、特に第1の密度、第1の硬度および第1の厚さを有する1つの上部石膏層と、第2の密度、第2の硬度および第2の厚さを有する下部石膏層とを少なくとも含み、ここで、第1の密度は第2の密度より低く、および/または、ここで、第1の硬度は第2の硬度より低く、および、ここで、第1の厚さは好ましくは第2の厚さより小さい。
【0007】
本発明の核となる態様は、石膏プラスターボードの確実な固定を達成することができるように比較的低い密度および/または硬度を具備する上部石膏層が提供されることである。特に、本発明者らは、固定手段(ねじまたは釘など)の頭部が比較的硬質の石膏プラスターボードおよび/または高密度の石膏ボードの表面に押し付けられるときに、起こり得る欠点があることを見出した。特に、固定手段(特にねじ)の頭部が石膏プラスターボードに入り込まないことで、固定手段(特にねじ)がグリップなしで動く(回転する)可能性がある。
【0008】
これは、比較的高い(表面)硬度のために、固定手段(ねじ)の頭部とボード表面との間の接触の瞬間における(金属)プロファイル(プロファイル金属シート)のバック座屈効果(back buckling effect)によって特に引き起こされ得る。他方では、固定手段(特にねじまたは釘)の頭部が石膏プラスターボードに入り込むことも可能である。しかしながら、比較的高い(粗)密度のために、石膏材料は頭部の周りで膨張する。しかしながら、そのような膨張は、石膏プラスターボード表面の滑らかさを低下させ、それ故、審美的および技術的理由からも不利である(例えば、滑らかな表面が重要である所にプラスターボードの応用が望まれる場合)。そのような問題を回避するために、比較的低い密度および/または硬度を具備する石膏ボードを使用することが考慮され得る。
【0009】
しかしながら、その場合、(特定の応用のために)石膏プラスターボードは比較的厚くなければならないか、または石膏プラスターボードの(例えば引き抜きのための)耐荷性能に関する重大な欠点がある。他方、本発明による石膏プラスターボードが提供される場合、比較的低い密度および/または硬度を具備する上部石膏層が提供され、固定手段(ねじまたは釘など)の頭部は、石膏プラスターボードに滑らかに入り込むことができる。また、第2の下部石膏層が提供されているので、追加的に、比較的高い耐荷性能(引き抜きのための)を達成することができる。本質的に、良好な耐荷性能を具備する信頼性のある薄いプラスターボードを提供することが可能である。
【0010】
用語「硬度」は、特に、DIN EN 520:2009-12の5.12(条件:40℃)による耐衝撃性(または表面硬度またはドイツ語:Oberflaechenhaerte)を意味する。
【0011】
上部石膏層は、特にプラスターボードの見える側上に配置された層である。したがって、下部石膏層は、特にプラスターボードの(上部石膏層に対して)裏側に配置される。見える側は、裏側のフェーサー(紙)層より高い坪量(面積密度)を有するフェーサー(紙)層を含むことができる(好ましくは少なくとも1.05倍、さらに好ましくは少なくとも1.2倍高い)。
【0012】
上部および/または下部石膏層は、均質な材料から(すなわち、1つの均質な石膏材料の層として)形成されるのが好ましい。しかしながら、上部および/または下部石膏層が2以上の石膏層を含有することも可能である。そのような場合、密度と硬度のパラメータは、平均密度と平均硬度として理解されるべきである。平均は、加重算術平均(平均値)として計算されるべきであり、ここで、重み係数は、それぞれの上部層および/または下部層の全体の厚さに対する単一層の厚さの比によって規定される。
【0013】
例えば、下部層がそれぞれ1mmまたは2mmの厚さを有する2つの単層からなる場合、加重算術平均は、(1/31つの単層の密度)+(2/3他の単層の密度)である。いずれにせよ、石膏プラスターボードは、上部および下部石膏層に追加的に、第3の石膏層を含むことが可能である。しかしながら、石膏プラスターボードは、上部および下部石膏層(このような場合には均質な材料層で形成されていてもよい)のみを含むことが好ましい。
【0014】
好ましくは、第2の厚さに対する第1の厚さの比は、1:1.05より小さい、さらに好ましくは1:2より小さい、さらに好ましくは1:4より小さい。さらに、第2の厚さに対する第1の厚さの比は、1:50より大きく、好ましくは1:20より大きく、さらに好ましくは1:10より大きくてもよい。一般に、石膏プラスターボードの全厚の主要部分は、比較的高密度および/または硬度を具備する下部石膏層によって提供されるべきである。特に、比較的薄い上部石膏層を提供することは、固定手段(ねじまたは釘など)の頭部を滑らかに受け入れるのに十分である。
【0015】
第1の厚さは、好ましくは0.5mmより大きく、さらに好ましくは0.7mmより大きく、さらにより好ましくは1.0mmより大きく、さらにより好ましくは2.0mmより大きい。さらに、第1の厚さは、10.0mmより小さく、さらに好ましくは5.0mmより小さく、さらにより好ましくは4.0mmより小さくでもよい。この場合もやはり、第1の厚さが比較的小さい(しかし固定手段の頭部を滑らかに受け入れるのに十分である)ことは重要である。
【0016】
第1の密度は、好ましくは880kg/m以下、さらに好ましくは800kg/m以下、さらにより好ましくは720kg/mより小さい。さらに、第2の密度は、850kg/mより大きく、好ましくは880kg/mより大きく、さらに好ましくは920kg/mより大きく、さらに好ましくは1000kg/mより大きくてもよい。第2の密度に対する第1の密度の比は、0.9より小さく、好ましくは0.75より小さく、さらにより好ましくは0.70より小さくてもよい。
【0017】
DIN EN 520:2009-12による第1の硬度は、好ましくは>13mmまたは≧14mmおよび/または15mm以下である。第2の硬度は、好ましくは≦12mmまたは≦13mmである。
【0018】
第2の密度に対する第1の密度の比は、好ましくは≦1.3または≦1.4および/または≧1.1または≧1.2である。「硬度」は、EN 520:2009-12の5.12(条件:40℃)による耐衝撃性(または表面硬度またはドイツ語:Oberflaechenhaerte)によって規定される。
【0019】
上部および下部石膏層は同じ材料で形成されてもよい。用語「同じ材料」は、特に、上部および下部石膏層が同じ化合物を含有することを意味する。しかしながら、好ましくは、用語「同じ材料」は、同じ相対的割合を有する同じ化合物が使用されることを意味する。
【0020】
好ましくは、第1の石膏層の細孔容積は、第2の石膏層の細孔容積と比較して異なり、特にそれより大きい。そのような場合、石膏プラスターボードを製造するためのコストを削減することができる(同様のまたは同じ石膏スラリーを使用することができるため)。他方で、特に異なる発泡剤または異なる量の同じ発泡剤を介して異なる細孔容積を規定することによって、比較的大きな細孔容積を具備する上部石膏層を提供することができ、その結果、固定手段の頭部は滑らかに上部石膏層に入り込むことができる。
【0021】
第1および第2の石膏スラリーについては、同じ成分および/または添加剤を、好ましくは同様の量で使用することができる。
【0022】
第1および第2の石膏層の硬度および/または密度の異なる値は、異なる発泡剤によって、および/または、異なる量の(特に同じ)発泡剤によって、および/または、異なるポリマー添加剤によって、および/または、異なる量の(特に同じ)ポリマー添加剤によって、および/または、異なる消泡剤によって、および/または、異なる量の(特に同じ)消泡剤によって、および/または、異なる繊維添加剤によって、および/または、異なる量の(特に同じ)繊維添加剤によって、および/または、異なる硬化剤によって、および/または、異なる量の(特に同じ)硬化剤によって、および/または、異なる結晶化剤によって、および/または、異なる量の(特に同じ)結晶化剤によって、達成されてもよい。
【0023】
好ましくは、プラスターボードはフェーサー(facer)で被覆されている。
第1のフェーサー層(例えば紙層)を上部石膏層上に(直接)提供することができる。代替的に、または追加的に、第2のフェーサー層を下部石膏層(または下部石膏層より下の第3の石膏層)上に(直接)提供することができる。特に、第1のフェーサー層を上部石膏層上に提供し、対応する(第2の)フェーサー層を他方の面に設けないようにすることが可能である。第1のフェーサー層と上部石膏層との間、および/または、第2のフェーサー層および/または下部石膏層の間に、接合層(例えば接着剤層またはスキムコート(skim coat))を提供することができる。上部石膏層が石膏プラスターボード全体の外側表面を規定することも可能である(特に第1のフェーサー層が提供されていない場合)。第1のフェーサー層が提供される場合、上部石膏層が、かかる第1のフェーサー層に直接隣接していることが好ましい(場合によってはその間に接合層のみを具備する)。
さらに、下部石膏層が上部石膏層と直接隣接(接触)していることが好ましい。
【0024】
本発明の別の態様によれば、乾式壁構造のための、特に説明済みの種類の石膏プラスターボードの使用が提案され、石膏プラスターボードは、第1の密度、第1の硬度、第1の厚さを有する上部石膏層と、第2の密度、第2の硬度および第2の厚さを有する下部石膏層とを含み、ここで、第1の密度は第2の密度より低く、および/または、ここで、第1の硬度は第2の硬度より低く、ここで、第1の厚さは好ましくは第2の厚さより小さく、ここで、上部石膏層は、プラスターボードの見える側に配置され、および/または固定手段(ねじまたは釘など)の頭部は、上部石膏層上に配置される。
【0025】
本発明の別の態様によれば、乾式壁構造(石膏プラスターボードシステム)が提案され、特に説明済みの種類の少なくとも1つの石膏プラスターボードと、少なくとも1つのスタッドとを含み、少なくとも1つのプラスターボードは、少なくとも1つのスタッドに取り付けられているかまたは取り付け可能であり、プラスターボードは、第1の密度、第1の硬度および第1の厚さを有する上部石膏層と、第2の密度、第2の硬度および第2の厚さを有する下部石膏層とを少なくとも含み、ここで、第1の密度は第2の密度より低く、および/または、第1の硬度は第2の硬度より低く、ここで、第1の厚さは第2の厚さより小さく、および、ここで、上部石膏層は、スタッドに装着されたときに、プラスターボードの見える面に隣接するかまたは見える面を提供する。頭部(ねじまたは釘など)を具備する少なくとも1つの固定手段が提供されてもよく、頭部部分は、上部石膏層上に配置されてもよい。スタッドは金属製、特に鋼製であってもよい。
【0026】
乾式壁構造は、固定手段(ねじまたは釘)の反対側の端部を受けるために頭部部分の反対側に配置することができる金属シート要素、特に鋼製シート要素などのシート要素をさらに含むことができる。金属シート要素はスタッドであり得る。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、特に説明済みの種類の石膏プラスターボードを固定する方法が提供され、プラスターボードは、第1の密度、第1の硬度および第1の厚さを有する上部石膏層と、第2の密度、第2の硬度および第2の厚さを有する下部石膏層とを少なくとも含み、ここで、第1の密度は第2の密度より低く、および/または、ここで、第1の硬度は第2の硬度より低く、ここで、第1の厚さは好ましくは第2の厚さより小さく、ここで、プラスターボードは、ねじまたは釘などの頭部部分を含む少なくとも1つの固定手段を介して固定され、固定手段は、上部層(上部石膏層側)に隣接する見える面から石膏プラスターボードに挿入される。
【0028】
好ましくは、第1の石膏層を形成するための第1の石膏スラリー中の発泡剤の割合は、第2の石膏層を形成するための第2の石膏スラリー中の発泡剤の割合より高く、ここで、石膏スラリーは、発泡剤の割合を除いて、少なくとも実質的に同一であることが好ましい。代替的に、または追加的に、第1の石膏層を形成するための第1の石膏スラリー中の第1の発泡剤は、第2の石膏スラリーを形成するための第2の石膏スラリー中の第2の発泡剤とは異なり得る(特に、第1の石膏スラリーによって製造された石膏層の細孔容積が、第2の石膏スラリーによって形成された石膏層の細孔容積よりも小さくなるように)。「同一の」石膏スラリーという用語は、好ましくは、石膏スラリーの化合物が同一であることを意味する。特に、用語「同一の石膏スラリー」は、化合物の割合(発泡剤を除く)も同じであることを意味する。
【0029】
2以上の石膏層がある場合、上部(最上部)石膏層の密度および/または硬度は、他のすべての石膏層の厚さおよび/または硬度より低いことが好ましい。
【0030】
第1の石膏層は、第2の石膏層を含む第2の石膏ボードがその上に配置される(接合される)か、または、第2の石膏層を調製するためのスラリーがその上に塗布される、第1の石膏ボードによって提供されてもよい。一般に、第2の石膏層は、第1の石膏層を提供する既存の石膏ボード上に第2の石膏層を適用することによって提供されてもよい。このプロセスは、個々のボードの製造プロセスまたはプロセス(複数)から完全に分離されている場合がある。それは異なる製造元によってさえ実行されるかもしれない。
添付の図面は本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1-2】図1は、従来技術による石膏プラスターボードシステムの概略断面図を示す。図2は、ねじが挿入された図1の石膏プラスターボードシステムを示す。
図3-5】図3は、先行技術による石膏プラスターボードのさらなる例の概略断面図を示す。図4は、図3のプラスターボードシステムにねじを挿入したときに得られる第1の構造を示す。図5は、図3のプラスターボードシステムにねじを挿入したときに得られる第2の可能性を示す。
図6-7】図6は、本発明による石膏プラスターボードシステムの概略断面図を示す。図7は、ねじが挿入された図6の石膏プラスターボードシステムを示す。
図8図8は、本発明と比較した、先行技術による石膏プラスターボードシステムの概略断面図を示す。
図9図9は、本発明と図8と同様の従来技術とのさらなる比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、従来技術の一例による石膏プラスターボードシステムを示す。この場合、石膏プラスターボードシステムは、例えば800kg/m未満の粗密度を有する石膏プラスターボード10(標準石膏ボード)、ねじ11、および固定プロファイル要素12(例えば、金属製、特に鋼製スタッド)を備えている。図2は、ねじ11が挿入された図1のシステムを示す。ねじ11の頭部13の周りの部分は圧縮されて圧縮部分14が形成される。
【0033】
図3は、従来技術による石膏プラスターボードシステムの別の例を示す。図1および2(標準の比較的軟質の石膏ボードを示す)とは対照的に、図3の石膏プラスターボード11は比較的硬質または高い密度(例えば1000kg/m以上)である。図4に見られるように、ねじ11を挿入するとき、ねじ頭部と石膏プラスターボード10のボード表面15とが互いに接触したときに、固定プロファイル要素のバック座屈効果がある。
さらに、ねじ頭部は石膏プラスターボード10に入り込まず、ねじ11はグリップなしで回転する。
【0034】
図5は、図3による石膏プラスターボードを提供するときに、ねじ11のねじ頭部13が石膏プラスターボード10に入り込む場合を示す。この場合、(ねじ頭部がボードの表面に入り込むことが許容されるので)固定プロファイル要素のグリップは十分なままであるが、石膏プラスターボードの石膏は、その高い密度のために(多かれ少なかれ)非圧縮性であるので、石膏は頭部13の周りで膨張する。
【0035】
図6は、本発明によるプラスターボードシステムを示す。そこでは、石膏プラスターボード10は、上部石膏層16と下部石膏層17とを含む。さらに、図1図5による従来技術に示されているように、ねじ11および固定プロファイル要素12が設けられている。上部石膏層16は、800kg/m未満の(粗)密度を有する。下部石膏層17は、1000kg/m以上の(粗)密度を有する。
【0036】
図7から分かるように、ボード表面15に近い石膏は、圧縮部分14において圧縮され、ねじ頭部13は石膏プラスターボード10に入り込む。特に、ねじ頭部13はボード表面に面一に嵌合する。さらに、(硬質)下部石膏層17のため(そしてまた圧縮部分14のために)、固定プロファイル要素に良好なグリップがある。
【0037】
図8は、従来技術による比較的軟質の石膏プラスターボードを具備するプラスターボードシステム(図8の左側部分)と、従来技術による比較的硬質の石膏プラスターボードを具備する石膏プラスターボードシステム(図8、中央部分)と、本発明による多層石膏プラスターボードを具備する石膏プラスターボードシステム(図8、右部分)との間の比較を示す。図8による全ての石膏プラスターボードシステムにおいて、壁プラグ19は対応するねじ11を保持する。矢印20によって指示されるように、図8の左側部分における石膏プラスターボードシステムに対する(引き抜きのための)耐荷性能は、中間部分および右側部分に対するものより実質的に小さい。特に、壁プラグのグリップは(本発明によれば、図8の右側部分においても)少なくとも実質的に下部石膏層内に位置しているので、図8の中央部分による例と、図8の右側部分による本発明の実施形態との間に(実質的な)違いはない。
【0038】
図9は、従来技術の第1の例(図9の左側部分)による、従来技術の第2の例(図9、中央部分)による、および本発明(図9の右側部分)によるプラスターボードシステムを示す。図から分かるように、ねじ11の引き抜きのための耐荷性能は、図9の左側部分において、図9の中央部分(従来技術)および図9の右側部分(本発明)より実質的に小さい。さらに、図9の右側部分(本発明)では、(ねじ11の引き抜きのための)耐荷性能は、図9の中央部分による従来技術の例よりほんのわずかに小さい。これは、比較的厚い下部石膏層に対する比較的薄い上部石膏層に起因する。ねじ11のねじ山部分が下部石膏層にのみ配置される場合、(実質的な)違いはないであろう。
【符号の説明】
【0039】
10 石膏プラスターボード
11 ねじ
12 固定プロファイル要素
13 ねじ頭部
14 圧縮部分
15 ボード表面
16 上部石膏層
17 下部石膏層
19 壁プラグ
20 矢印
図1-2】
図3-5】
図6-7】
図8
図9