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特許7170662VMAT2インヒビター化合物およびその組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】VMAT2インヒビター化合物およびその組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20221107BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20221107BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221107BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20221107BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221107BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221107BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20221107BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
C07D487/04 147
C07D487/04 CSP
A61K31/4985
A61P25/00
A61P25/18
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/14
A61P43/00 111
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019556587
(86)(22)【出願日】2018-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 US2018028031
(87)【国際公開番号】W WO2018195121
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】62/487,413
(32)【優先日】2017-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/652,837
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】398005054
【氏名又は名称】ニューロクライン バイオサイエンシーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ハリオット, ニコル
(72)【発明者】
【氏名】ヘッティンガー, ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ブラナム, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】カルヘーン, ジェフリー シー.
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/126305(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102285984(CN,A)
【文献】国際公開第2011/075699(WO,A2)
【文献】特表2008-509925(JP,A)
【文献】特表2010-509366(JP,A)
【文献】Koelzer, M. et al.,Synthesis of Bioactive 2-Aza-Analogues of Ipecac and Alangium Alkaloids,ChemMedChem,2010年,5(9),pp. 1456-1464
【文献】Gilbert, J. et al.,Nitrogen analogs of emetine: synthesis and evaluation of the antiamebic and antitumor activity of 3-azaemetine, and attempted synthesis of 2-azaemetine,Farmaco, Edizione Scientifica,1978年,33(4),pp. 237-252
【文献】Reginato, G. et al.,Stereoselective Synthesis of 3-Substituted Tetrahydropyrazinoisoquinolines via Intramolecular Cyclization of Enantiomerically Enriched Dihydro-2H-pyrazines,Organic Letters,2015年,17(3),pp. 398-401
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化27】

の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される化合物であって、ここで、
およびRは、独立して、低級アルキル、低級シクロアルキル、または低級シクロアルキルアルキルであり、ここで低級アルキル、低級シクロアルキル、および低級シクロアルキルアルキルの各々は、独立して、置換されていないか、または1つもしくはそれより多くのハロ、シアノ、もしくは低級アルコキシで置換され;
は、低級アルキルであり;
は、低級アルキル、低級シクロアルキルまたは低級シクロアルキルアルキルであり、
ここで、
「低級アルキル」とは、炭素原子および水素原子のみからなり、飽和または不飽和であり、1~8個の炭素原子を有し、単結合によって分子の残りに結合された直線状または分枝鎖状の炭化水素鎖ラジカルを指し、
「低級シクロアルキル」とは、3~8個の炭素原子を有する炭素原子および水素原子のみからなり、飽和または不飽和であり、単結合によって分子の残りに結合された非芳香族単環式炭化水素ラジカルを指し、
「低級シクロアルキルアルキル」とは、水素原子が、上で定義されたとおりの低級シクロアルキルラジカルで置き換えられた、上で定義されたとおりの低級アルキルを指し、
「低級アルコキシ」とは、-O(低級アルキル)を指し、ここで低級アルキルは上で定義されたとおりである
化合物。
【請求項2】
式(II)
【化28】


の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は、メチルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
は、シクロプロピル、シクロブチル、または-CH-シクロブチルである、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、またはネオペンチルである、請求項1~4に記載の化合物。
【請求項6】
は、シクロプロピルまたはシクロブチルである、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
は、-CH-シクロプロピル、-CH-シクロブチル、または-CH-シクロペンチルである、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
は、
【化33】

である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

ならびにこれらの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ジメトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
(3R,11bS)-9-シクロプロポキシ-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-エトキシ-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ビス(メトキシ-d)-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の1つまたはそれより多くの化合物を、1つまたはそれより多くの薬学的に受容可能な賦形剤および/または希釈剤と組み合わせて含む、薬学的組成物。
【請求項20】
神経学的または精神的な疾患または障害を処置するための、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬品、または請求項19に記載の薬学的組成物であって、前記神経学的または精神的な疾患または障害は、多動性運動障害、気分障害、双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害、気分障害における躁病、気分障害における鬱病、難治性強迫障害、レッシュ・ナイハン症候群と関連する神経機能障害、アルツハイマー病と関連する興奮、脆弱X症候群もしくは脆弱X関連振戦-失調症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、または有棘赤血球舞踏病である、医薬品または薬学的組成物。
【請求項21】
前記神経学的または精神的な疾患または障害は、多動性運動障害である、請求項20に記載の医薬品。
【請求項22】
前記多動性運動障害は、ハンチントン病である、請求項21に記載の医薬品。
【請求項23】
前記多動性運動障害は、遅発性ジスキネジアである、請求項21に記載の医薬品。
【請求項24】
前記多動性運動障害は、ハンチントン病と関連する舞踏病である、請求項21に記載の医薬品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全般的に、VMAT2インヒビター化合物、これに関する組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドパミン作動性システムの調節不全は、いくつかの中枢神経系(CNS)障害(神経学的および精神的な疾患および障害が挙げられる)に不可欠である。これらの神経学的および精神的な疾患および障害としては、多動性運動障害(hyperkinetic movement disorder)、ならびに統合失調症および気分障害のような状態が挙げられる。トランスポータータンパク質である、小胞モノアミントランスポーター-2(VMAT2)は、シナプス前ドパミン放出において重要な役割を果たし、貯蔵および放出のために、細胞質からシナプス小胞へのモノアミン取り込みを調節する。
【0003】
3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]-イソキノリン-2-オン(テトラベナジン(TBZ)としても公知)は、数十年にわたって薬物として使用されてきた。テトラベナジンは、小胞モノアミントランスポーター-2(VMAT2)によるカテコールアミン取り込みの強力で可逆的なインヒビター(IC50=3.2nM)であり(例えば、Schermanら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1983) 80:584-8を参照のこと)、種々の多動性障害の処置において現在使用されている。TBZと関連する副作用としては、鎮静、鬱病、アカシジアおよびパーキンソニズムが挙げられる。TBZによるVMAT2の阻害は、インビボでの脳モノアミンの枯渇をもたらす(例えば、Pettiboneら, Eur. J. Pharmacol. (1984) 102:431-6を参照のこと)。TBZはまた、ラット脳においてシナプス前およびシナプス後ドパミンレセプターを阻害する(例えば、Loginら, (1982) Ann. Neurology 12:257-62; Rechesら, J. Pharmacol. Exp. Ther. (1983) 225:515-521を参照のこと)。TBZのこの的外れの活性は、観察された副作用のうちのいくつかの原因であり得る。
この分野で遂げられてきた進歩にも拘わらず、改善されたVMAT2インヒビター(化合物、組成物、およびこれらに関連する方法を含む)が当該分野で未だに必要である。本開示は、以下の開示を参照して明らかなように、これらおよび他の必要性を満たす。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Schermanら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1983) 80:584-8
【文献】Pettiboneら, Eur. J. Pharmacol. (1984) 102:431-6
【文献】Loginら, (1982) Ann. Neurology 12:257-62
【文献】Rechesら, J. Pharmacol. Exp. Ther. (1983) 225:515-521
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビター、ならびにこれに関連する組成物および使用方法が提供される。
【0006】
式(I):
【化1】
の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される化合物が提供され、ここで:
およびRは、独立して、低級アルキル、低級シクロアルキル、または低級シクロアルキルアルキルであり、ここで低級アルキル、低級シクロアルキル、および低級シクロアルキルアルキルの各々は、独立して、置換されていないか、または1つもしくはそれより多くのハロ、シアノ、もしくは低級アルコキシで置換され;
は、低級アルキルであり;
は、低級アルキルまたは低級シクロアルキルアルキルである。
【0007】
1つまたはそれより多くの本明細書で記載される化合物を、1つまたはそれより多くの薬学的に受容可能な賦形剤および/または希釈剤と組み合わせて含む薬学的組成物もまた、提供される。
【0008】
VMAT2を阻害することから利益を得る疾患、障害、または状態を処置するための方法もまた、提供される。必要性のある被験体に、薬学的に有効な量の、1つもしくはそれより多くの本明細書で記載される化合物、またはこれらを含む薬学的組成物を投与することによる、それを必要とする被験体において神経学的および/または精神的な疾患および障害を処置するための方法もまた、提供される。
【0009】
本発明のこれらのおよび他の局面は、以下の詳細な説明を参照すると明らかである。この目的上、ある特定のバックグラウンド情報、手順、化合物、および/または組成物をより詳細に記載する種々の参考文献が、本明細書で示され、各々、それらの全体が本明細書に参考として援用される。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式(I)
【化27】

の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される化合物であって、ここで、
およびR は、独立して、低級アルキル、低級シクロアルキル、または低級シクロアルキルアルキルであり、ここで低級アルキル、低級シクロアルキル、および低級シクロアルキルアルキルの各々は、独立して、置換されていないか、または1つもしくはそれより多くのハロ、シアノ、もしくは低級アルコキシで置換され;
は、低級アルキルであり;
は、低級アルキルまたは低級シクロアルキルアルキルである、
化合物。
(項目2)
式(II)
【化28】

の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目3)
は、低級アルキルである、項目1または2に記載の化合物。
(項目4)
は、C 1-4 飽和アルキルである、項目3に記載の化合物。
(項目5)
は、メチルである、項目4に記載の化合物。
(項目6)
は、重水素化されている、項目1~5のいずれか1項に記載の化合物。
(項目7)
は、-CD または-CD CD である、項目6に記載の化合物。
(項目8)
式(III)
【化29】

の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目9)
は、C 1-6 飽和アルキルである、項目1~8のいずれか1項に記載の化合物。
(項目10)
は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、またはネオペンチルである、項目9に記載の化合物。
(項目11)
は、メチルである、項目10に記載の化合物。
(項目12)
は、低級アルキルである、項目1~11のいずれか1項に記載の化合物。
(項目13)
は、C 1-6 飽和アルキルである、項目12に記載の化合物。
(項目14)
は、イソブチルまたはネオペンチルである、項目13に記載の化合物。
(項目15)
式(IV)
【化30】

の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目16)
は、低級シクロアルキルまたは低級シクロアルキルアルキルである、項目1~11のいずれか1項に記載の化合物。
(項目17)
は、シクロプロピル、シクロブチル、または-CH -シクロブチルである、項目16に記載の化合物。
(項目18)
は、低級シクロアルキルアルキルであり、ここで、該低級シクロアルキルアルキルの低級アルキル部分は、C 1-4 飽和アルキルであり、該低級シクロアルキルアルキルのシクロアルキル部分は、シクロプロピルまたはシクロブチルである、項目1~11のいずれか1項に記載の化合物。
(項目19)
式(V)
【化31】

の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目20)
式(VI)
【化32】

の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目21)
は、低級アルキルである、項目1~20のいずれか1項に記載の化合物。
(項目22)
は、C 1-6 飽和アルキルである、項目21に記載の化合物。
(項目23)
は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、ネオペンチルである、項目22に記載の化合物。
(項目24)
は、フルオロアルキルである、項目1~20のいずれか1項に記載の化合物。
(項目25)
は、ハロで置換された低級アルキルである、項目1~20のいずれか1項に記載の化合物。
(項目26)
は、1個、2個、もしくは3個のハロ基で置換されたC 1-4 飽和アルキルである、項目25に記載の化合物。
(項目27)
前記1個、2個、もしくは3個のハロ基の各々は、フルオロである、項目26に記載の化合物。
(項目28)
は、-(CH CH F、-(CH CH F、-CH CH F、-(CH CF 、-(CH CF 、-(CH CF 、または-CH CF である、項目27に記載の化合物。
(項目29)
は、低級アルコキシで置換された低級アルキルである、項目1~20のいずれか1項に記載の化合物。
(項目30)
は、C 1-4 飽和アルコキシで置換されたC 1-4 飽和アルキルである、項目29に記載の化合物。
(項目31)
は、-CH CH OCH である、項目30に記載の化合物。
(項目32)
は、シアノで置換された低級アルキルである、項目1~20のいずれか1項に記載の化合物。
(項目33)
は、シアノで置換されたC 1-4 飽和アルキルである、項目32に記載の化合物。
(項目34)
は、-CH CH CH CNである、項目33に記載の化合物。
(項目35)
は、シクロアルキルである、項目1~20のいずれか1項に記載の化合物。
(項目36)
は、シクロプロピルまたはシクロブチルである、項目35に記載の化合物。
(項目37)
は、シクロアルキルアルキルである、項目1~20のいずれか1項に記載の化合物。
(項目38)
は、低級シクロアルキルアルキルであり、ここで、該低級シクロアルキルアルキルの低級アルキル部分は、C 1-4 飽和アルキルであり、該低級シクロアルキルアルキルのシクロアルキル部分は、シクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチルである、項目37に記載の化合物。
(項目39)
は、-CH -シクロプロピル、-CH -シクロブチル、または-CH -シクロペンチルである、項目38に記載の化合物。
(項目40)
は、ハロで置換されたシクロアルキルアルキルである、項目1~20のいずれか1項に記載の化合物。
(項目41)
は、ハロで置換された低級シクロアルキルアルキルであり、ここで、該低級シクロアルキルアルキルの低級アルキル部分は、C 1-4 飽和アルキルであり、該低級シクロアルキルアルキルのシクロアルキル部分は、シクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチルであり、該低級シクロアルキルアルキル基のいずれかの部分がハロで置換されている、項目40に記載の化合物。
(項目42)
は、
【化33】

である、項目41に記載の化合物。
(項目43)
は、重水素化されている、項目1~42のいずれか1項に記載の化合物。
(項目44)
は、-CD または-CD CD である、項目43に記載の化合物。
(項目45)
以下の化合物
【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

ならびにこれらの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目46)
3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ジメトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、化合物。
(項目47)
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ジメトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目46に記載の化合物。
(項目48)
9-シクロプロポキシ-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、化合物。
(項目49)
(3R,11bS)-9-シクロプロポキシ-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目48に記載の化合物。
(項目50)
3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、化合物。
(項目51)
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目50に記載の化合物。
(項目52)
3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-エトキシ-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、化合物。
(項目53)
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-エトキシ-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目52に記載の化合物。
(項目54)
3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ビス(メトキシ-d )-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、化合物。
(項目55)
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ビス(メトキシ-d )-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目54に記載の化合物。
(項目56)
10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、化合物。
(項目57)
(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目56に記載の化合物。
(項目58)
10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、化合物。
(項目59)
(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目58に記載の化合物。
(項目60)
3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、化合物。
(項目61)
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目60に記載の化合物。
(項目62)
3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、化合物。
(項目63)
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される、項目60に記載の化合物。
(項目64)
項目1~63のいずれか1項に記載の1つまたはそれより多くの化合物を、1つまたはそれより多くの薬学的に受容可能な賦形剤および/または希釈剤と組み合わせて含む、薬学的組成物。
(項目65)
神経学的または精神的な疾患または障害を処置する方法であって、該方法は、それを必要とする被験体に、薬学的に有効な量の、項目1~63のいずれか1項に記載の化合物または項目64に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目66)
神経学的または精神的な疾患または障害の処置において使用するための医薬の生成のための、項目1~63のいずれか1項に記載の化合物の使用。
(項目67)
治療によるヒトまたは動物の身体の処置方法において使用するための、項目1~63のいずれか1項に記載の化合物または項目64に記載の薬学的組成物。
(項目68)
治療によるヒトまたは動物の身体における神経学的または精神的な疾患または障害の処置のための方法において使用するための、項目1~63のいずれか1項に記載の化合物または項目64に記載の薬学的組成物。
(項目69)
前記神経学的または精神的な疾患または障害は、多動性運動障害、気分障害、双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害、気分障害における躁病、気分障害における鬱病、難治性強迫障害、レッシュ・ナイハン症候群と関連する神経機能障害、アルツハイマー病と関連する興奮、脆弱X症候群もしくは脆弱X関連振戦-失調症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、または有棘赤血球舞踏病である、項目65に記載の方法、項目66に記載の使用、項目68に記載の化合物、または項目68に記載の薬学的組成物。
(項目70)
前記神経学的または精神的な疾患または障害は、多動性運動障害である、項目65に記載の方法、項目66に記載の使用、項目68に記載の化合物、または項目68に記載の薬学的組成物。
(項目71)
前記多動性運動障害は、遅発性ジスキネジアである、項目70に記載の方法、項目70に記載の使用、項目70に記載の化合物、または項目70に記載の薬学的組成物。
(項目72)
前記多動性運動障害は、トゥレット症候群である、項目70に記載の方法、項目70に記載の使用、項目70に記載の化合物、または項目70に記載の薬学的組成物。
(項目73)
前記多動性運動障害は、ハンチントン病である、項目70に記載の方法、項目70に記載の使用、項目70に記載の化合物、または項目70に記載の薬学的組成物。
(項目74)
前記多動性運動障害は、チックである、項目70に記載の方法、項目70に記載の使用、項目70に記載の化合物、または項目70に記載の薬学的組成物。
(項目75)
前記多動性運動障害は、ハンチントン病と関連する舞踏病である、項目70に記載の方法、項目70に記載の使用、項目70に記載の化合物、または項目70に記載の薬学的組成物。
(項目76)
前記多動性運動障害は、運動失調、舞踏病、ジストニア、片側顔面痙攣、ハンチントン病(ton’s disease)、ミオクローヌス、下肢静止不能症候群、または振戦である、項目70に記載の方法、項目70に記載の使用、項目70に記載の化合物、または項目70に記載の薬学的組成物。
(項目77)
前記神経学的または精神的な疾患または障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)と関連する限定的および常同的な行動である、項目65に記載の方法、項目66に記載の使用、項目68に記載の化合物、または項目68に記載の薬学的組成物。
(項目78)
前記神経学的または精神的な疾患または障害は、強迫性障害(OCD)を有する部分的応答者および非応答者(または完全に難治性)における強迫観念および強迫行為である、項目65に記載の方法、項目66に記載の使用、項目68に記載の化合物、または項目68に記載の薬学的組成物。
(項目79)
項目1~63のいずれか1項に記載の化合物または項目64に記載の薬学的組成物は、抗鬱剤と共に補助療法として投与される、項目78に記載の方法、項目78に記載の使用、項目78に記載の化合物、または項目78に記載の薬学的組成物。
(項目80)
前記神経学的または精神的な疾患または障害は、双極I型障害である、項目65に記載の方法、項目66に記載の使用、項目68に記載の化合物、または項目68に記載の薬学的組成物。
(項目81)
項目1~63のいずれか1項に記載の化合物または項目64に記載の薬学的組成物は、単剤療法として投与される、項目80に記載の方法、項目80に記載の使用、項目80に記載の化合物、または項目80に記載の薬学的組成物。
(項目82)
項目1~63のいずれか1項に記載の化合物または項目64に記載の薬学的組成物は、維持療法として投与される、項目80もしくは81に記載の方法、項目80もしくは81に記載の使用、項目80もしくは81に記載の化合物、または項目80もしくは81に記載の薬学的組成物。
(項目83)
項目1~63のいずれか1項に記載の化合物、ならびに1つまたはそれより多くの薬学的に受容可能な賦形剤および/または希釈剤を混合する工程を包含する、組成物を調製するためのプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本明細書で具体的に定義されない用語は、本開示および文脈に照らして、当業者によってそれらに与えられている意味が与えられるものとする。しかし、本明細書で使用される場合、反対に特定されない限り、用語は、示される意味を有する。
【0011】
以下の説明において、ある特定の具体的詳細が、種々の実施形態の完全な理解を提供するために示される。しかし、当業者は、本発明の化合物が、これらの詳細なしに作製および使用され得ることを理解する。他の場合に、周知の構造は、実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを回避するために、詳細に示されても記載されてもいない。文脈が別段要求しない限り、本明細書および続く特許請求の範囲の全体を通じて、語「含む(comprise)」およびこれらの変化形(例えば、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」)は、開放系の包括的な意味で、すなわち、「が挙げられるが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。さらに、用語「含む(comprising)」(および「含む(comprise)」または「含む(comprises)」または「有する」または「含む(including)」のような関連する用語)は、他のある特定の実施形態において、例えば、本明細書で記載される任意の組成物、組成、方法またはプロセスなどの実施形態が、記載される特徴「からなる」または「から本質的になる」場合もあることを排除することは意図していない。本明細書で提供される見出しは、便宜のために過ぎず、特許請求された実施形態の範囲または意味を解釈することにはならない。
【0012】
本明細書全体を通じて、「1つの実施形態」または「一実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じて種々の場所での句「1つの実施形態において」または「一実施形態において」の出現は、必ずしも全て同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたはそれより多くの実施形態において任意の適切な様式で組み合わされ得る。
【0013】
また、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「前記(the)」は、文脈が明らかに別途指示しない限り、複数形を包含する。従って、例えば、「1頭の非ヒト動物」への言及は、1頭もしくはそれより多くの非ヒト動物、または複数のそのような動物に言及し得、「1つの細胞(a cell)」または「前記細胞(the cell)」への言及は、当業者に公知の、1つまたはそれより多くの細胞およびその等価物(例えば、複数の細胞)への言及を包含する、など。方法の工程が記載されるかまたは特許請求され、かつ前記工程が特定の順序で起こると記載される場合、第2の工程の「前に(prior to)」(すなわち、前に(before))起こる(または行われる)第1の工程の記載は、第2の工程が第1の工程「に続いて」起こる(または行われる)という状態に書き換えられた場合に同じ意味を有する。数字または数値範囲に言及する場合の用語「約」は、言及される数字または数値範囲が、実験による変動性の範囲内の(または統計的な実験誤差の範囲内の)近似値であり、従って、その数字または数値範囲が、述べられた数字または数値範囲の1%~15%の間で変わり得ることを意味する。用語「または」は一般に、文脈が明らかに別途指示しない限り、「および/または」を含むその意味で使用されることも、注記されるべきである。用語「少なくとも1つ」は、例えば、少なくとも1つの化合物または少なくとも1つの組成物に言及する場合、用語「1つまたはそれより多く」と同じ意味および理解を有する。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、反対に特定されない限り、以下の用語は、示された意味を有する。
【0015】
「VMAT2」とは、モノアミン、特に、神経伝達物質(例えば、ドパミン、ノルエピネフリン、セロトニン、およびヒスタミン)を細胞の細胞質からシナプス小胞へと輸送するように作用する内在性膜タンパク質である、ヒト小胞モノアミントランスポーターアイソフォーム2をいう。
【0016】
用語「VMAT2インヒビター」、「VMAT2を阻害する」、または「VMAT2の阻害」とは、本明細書で開示される化合物がVMAT2の機能を変える能力に言及する。VMAT2インヒビターは、該インヒビターとVMAT2との間に可逆的もしくは不可逆的な共有結合を形成することによって、または非共有結合した複合体の形成を通じて、VMAT2の活性を遮断または低減し得る。このような阻害は、特定の細胞タイプにおいてのみ明らかであり得るか、または特定の生物学的事象に左右され得る。用語「VMAT2インヒビター」、「VMAT2を阻害する」または「VMAT2の阻害」はまた、VMAT2と天然の基質との間で複合体が形成される確率を減少させることによって、VMAT2の機能を変えることに言及する。
【0017】
本明細書で記載される組成物および方法を必要とする被験体は、医療および精神医学分野における当業者が神経学的および/または精神的な疾患および障害(多動性運動障害(hyperkinetic movement disorder)(例えば、遅発性ジスキネジア)が挙げられる)を有すると診断した被験体を含む。処置されるべき被験体(または患者)は、哺乳動物(ヒトまたは非ヒト霊長類が挙げられる)であり得る。哺乳動物は、家畜化された動物(例えば、ネコまたはイヌ)であり得る。
【0018】
医療分野の当業者によって理解されるように、用語「処置する」および「処置」とは、被験体(すなわち、患者)の疾患、障害、または状態の医療的管理をいう(例えば、Stedman’s Medical Dictionaryを参照のこと)。用語「処置」および「処置する」(“treating”)は、防止的(すなわち、予防的)または治療的(すなわち、治癒力のある、および/または緩和する)処置の両方を包含する。従って、用語「処置」および「処置する」(“treating”)は、上記状態を、特に、明白な形態で既に発生させている患者の治療的処置を含む。治療的処置は、その特定の適応症の症状を和らげるために対症的処置であってもよく、適応症の状態を逆転させるもしくは部分的に逆転させるか、または疾患の進行を停止させるもしくは遅らせるために原因処置であってもよい。従って、本明細書で記載される組成物および方法は、例えば、ある期間にわたって、および長期治療の間、治療的処置として使用され得る。さらに、用語「処置」および「処置する」(“treating”)は、予防的処置、すなわち、本明細書中上記で言及された状態を発生させるリスクがある患者の処置(従ってそのリスクを低減する)を含む。
【0019】
治療的および/または予防的な利益は、例えば、改善された臨床上の転帰、治療的処置および予防的または防止的手段(ここで、目的は、望ましくない生理学的な変化もしくは障害を防止するか、遅らせるか、もしくは阻止する(小さくする)こと、またはこのような障害の拡大もしくは重篤度を防止するか、遅らせるか、もしくは阻止する(小さくする)ことである)の両方を含む。本明細書中の組成物の予防的投与は、ドパミンレセプター遮断薬(例えば、神経弛緩薬)での最初の処置のすぐあとに始まり得る。本明細書で考察されるように、被験体を処置することに由来する有益なまたは所望の臨床結果としては、処置されるべき疾患、状態、もしくは障害に起因するまたはこれらと関連する症状の減少、低減、または緩和;症状の発生の減少;クオリティー・オブ・ライフの改善;より長い無病状態(すなわち、疾患の診断が下されるときの根拠となる症状を被験体が、呈する可能性または傾向を減少させる);疾患の程度の縮小;疾患の(すなわち、増悪していない)状態の安定化;疾患の進行を遅らせるまたは遅くすること;疾患の状態の改善または緩和;ならびに検出可能であろうと検出不能であろうと、寛解(部分的であろうと完全であろうと);ならびに/あるいは全生存が挙げられるが、これらに限定されない。「処置」はまた、被験体が処置を受けていなかった場合に予測される生存と比較したときに、生存を延長することを意味する。処置を必要とする被験体としては、上記状態もしくは障害を既に有する被験体、および上記疾患、状態、もしくは障害(例えば、TDまたは本明細書で記載される他の状態もしくは障害)を有する傾向のあるもしくはそれを発生させるリスクのある被験体、および上記疾患、状態、もしくは障害が防止される(すなわち、上記疾患、障害、もしくは状態の発生する可能性を減少させる)べきである被験体が挙げられる。本明細書で記載されるVMAT2インヒビターのうちのいずれか1つの治療上有効な量は、統計的に有意なまたは臨床上有意な治療的および/または予防的利益を、処置される被験体に提供するVMAT2インヒビターの量である。
【0020】
神経学的および精神的な疾患および障害を処置するための治療剤の有効性を決定するための方法は、医療および臨床分野の当業者によって、当該分野で慣用的に実施される。例示によれば、多動性運動障害を有する被験体は、異常不随意運動評価尺度(AIMS)によって、診断、モニター、および評価され得る。AIMSは、1976年に開発され、運動障害の評価に広範に使用されている、構造化された神経学的検査である。それは、0から4までのスケール(0は、なしと評価され、4は、重篤と評価される)でスコア化された局部的な不随意身体運動の7つの別個の評価からなる。
【0021】
「単剤療法」とは、単一の活性なまたは治療的な化合物を、それを必要とする被験体に投与することを意味する。いくつかの実施形態において、単剤療法は、治療上有効な量の本明細書で記載される化合物の投与を包含する。単剤療法は、併用療法と対比され得る(併用療法では、複数の活性化合物の組み合わせが投与され、例えば、該組み合わせの各構成要素は、治療上有効な量で存在する)。
【0022】
「維持療法」とは、患者が、例えば、寛解の状態に留まって、患者の健康状態を無病状態または疾患が制限された状態に維持することを可能にするために、該患者に与えられる処置を意味する。維持薬物療法は、代表的には、長期にわたって受ける。
【0023】
「補助療法」とは、主な処置とともに使用される処置を意味し、その目的は、主な処置を補助することである。補助療法は、併用して施される療法である。例えば、強迫性障害が処置されている場合、主な療法は、例えば、抗鬱剤であり得、本明細書で記載される化合物の共投与が、補助療法と見做される。
【0024】
「低級アルキル」とは、炭素原子および水素原子のみからなり、飽和もしくは不飽和の、1~8個の炭素原子(C1-8)、より具体的な実施形態において1~6個の炭素原子(C1-6)、またはより具体的な実施形態において1~4個の炭素原子(C1-4)を有する、直線状または分枝鎖状の炭化水素鎖ラジカルであって、単結合によって分子の残りに結合される炭化水素鎖ラジカルを意味する。完全飽和の低級アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。不飽和低級アルキルとしては、隣接する炭素原子の間に少なくとも1個の二重結合を含む、上に列挙した飽和低級アルキルのうちのいずれかが挙げられ、例えば、エテニル、プロパ-1-エニル、ブタ-1-エニル、ペンタ-1-エニル、ペンタ-1,4-ジエニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
「低級シクロアルキル」とは、炭素原子および水素原子のみからなり、3~8個の炭素原子、またはより具体的な実施形態において3~6個の炭素原子(C3-6)、またはより具体的な実施形態において3個もしくは4個の炭素原子(CもしくはC)を有する非芳香族単環式炭化水素ラジカルであって、飽和または不飽和の、そして単結合によって分子の残りに結合される、非芳香族単環式炭化水素ラジカルを意味する。このようなラジカルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「低級シクロアルキルアルキル」とは、水素原子が、上で定義されたとおりの低級シクロアルキルラジカルで置き換えられた、上で定義されたとおりの低級アルキルを意味する。このようなラジカルとしては、-CH-シクロプロピル、-CH-シクロブチル、-CH-シクロペンチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
「低級アルコキシ」とは、-O(低級アルキル)のラジカルであって、ここで低級アルキルが上で定義されたとおりであるものを意味する。
【0028】
「シアノ」とは、-CNラジカルを意味する。
【0029】
「ハロ」とは、ブロモ、クロロ、フルオロまたはヨードを意味する。
【0030】
立体異性体に関して、本明細書で記載される化合物は、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対配置に関して、(R)-または(S)-と定義され得る他の立体異性形態を生じる複数のキラル(または不斉)中心を有する。本明細書で記載される化合物が、オレフィン系二重結合または幾何学的非対称性の他の中心を含む場合に、別段特定されなければ、該化合物が、E幾何異性体およびZ幾何異性体(例えば、シスまたはトランス)の両方を含むことが意図される。同様に、別段示されなければ、全ての可能な異性体、およびそれらのラセミ形態および光学的に純粋な形態、ならびに全ての互変異性形態もまた、含まれることが意図される。従って、種々の立体異性体およびそれらの混合物が「エナンチオマー」(これは、2つの立体異性体であって、その分子が互いに重ね合わせることのできない鏡像である2つの立体異性体をいう)を含むことが企図される。従って、化合物は、任意の異性形態(ラセミ体、ラセミ混合物を含む)で、および個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして存在し得る。
【0031】
よって、本発明が、本明細書で開示される各化合物および一般式の各ジアステレオマー、各エナンチオマーおよびこれらの混合物を包含することは、それらが、各キラル炭素について具体的な立体化学的な指定とともに各々個別に開示される場合とまさに同様に、理解される。個々の異性体の分離(例えば、キラルHPLC、ジアステレオマー混合物の再結晶などによる)または個々の異性体の選択的合成(例えば、エナンチオマー選択的合成などによる)は、当業者に周知である種々の方法の適用によって達成される。
【0032】
さらに、本発明の個々の化合物および化学的な属は、それらの全ての薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物を包含する。
【0033】
句「薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物(pharmaceutically acceptable salts, solvates, and hydrates)」または句「薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、または水和物(pharmaceutically acceptable salt, solvate, or hydrate)」が、本明細書で記載される化合物に言及する場合に使用される場合、それが、該化合物の薬学的に受容可能な溶媒和物および/または水和物、該化合物の薬学的に受容可能な塩、ならびに該化合物の薬学的に受容可能な塩の薬学的に受容可能な溶媒和物および/または水和物を包含することが理解される。句「薬学的に受容可能な溶媒和物および水和物(pharmaceutically acceptable solvates and hydrates)」または句「薬学的に受容可能な溶媒和物または水和物(pharmaceutically acceptable solvate or hydrate)」が、本明細書で記載される塩に言及する場合に使用される場合、それがこのような塩の薬学的に受容可能な溶媒和物および/または水和物を包含することもまた理解される。
【0034】
本明細書で記載される化合物は全般的に、遊離酸または遊離塩基として利用され得る。あるいは、化合物は、酸付加塩または塩基付加塩の形態で使用され得る。遊離アミノ基の酸付加塩は、当該分野で周知の方法によって調製され得、有機酸および無機酸から形成され得る。適切な有機酸としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、ケイ皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸、およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。適切な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、および硝酸が挙げられる。塩基付加塩は、カルボキシレートアニオンと形成される塩を含んだ。そして、塩基付加塩としては、有機カチオンおよび無機カチオン(例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウムおよびカルシウム)、ならびにアンモニウムイオンおよびその置換された誘導体(例えば、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウムなど)から選択されるもの)と形成される塩が挙げられる。従って、「薬学的に受容可能な塩」は、任意および全ての受容可能な塩形態(単塩および二塩の形態を含む)を包含することが意図される。
【0035】
本明細書で記載される化合物は、完全にアモルファスから完全に結晶性までの範囲に及ぶ固体状態の連続体で存在し得る。さらに、本明細書で記載される化合物のうちのいくつかは、多形として存在し得る。
【0036】
さらに、上記化合物のうちのいくつかはまた、水または他の有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。用語「溶媒和物」は、本明細書で記載される化合物および1つまたはそれより多くの薬学的に受容可能な溶媒分子を含む分子複合体を記載するために、本明細書で使用される。溶媒分子が水である場合、分子複合体は、「水和物」と呼ばれる。このような水和物および溶媒和物は、本開示の範囲内に同様に含まれる。
【0037】
当業者が認識するように、本明細書で記載される化合物のうちのいずれかは、同位体を組み込み得る。よって、組織サンプル(ヒトを含む)においてレセプターを位置決めおよび定量するために、ならびに放射性標識化合物の阻害結合によってレセプターリガンドを同定するために、放射性物質による画像化(radio-imaging)においてのみならず、アッセイ(インビトロおよびインビボの両方)においても有用である放射性標識化合物もまた提供される。本発明のさらなる目的は、このような放射性標識化合物を含む新規レセプターアッセイを開発することである。
【0038】
これらの同位体標識化合物は、1つまたはそれより多くの原子が、天然において通常見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられている以外の他の点では、本明細書で記載される化合物と同一である。これら化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素および塩素の同位体(例えば、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、18F、および36Clが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。ある特定の同位体標識された化合物、例えば、放射活性同位体(例えば、Hおよび14C)が組み込まれたものもまた、薬物または基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化水素(H)および炭素14(14C)同位体は、それらの調製の容易さおよび検出性のため特に好ましい。より重い同位体(例えば、重水素(HまたはD))での置換は、より大きな代謝安定性から生じるある特定の治療上の利点、例えば、インビボ半減期の延長または用量要件の低減を提供し得、したがって、状況によっては好ましいこともある。同位体標識化合物は一般に、当該分野で慣用的に実施される手順を行うことによって調製され得る。
【0039】
本開示は、本発明の化合物、その中間体、塩および結晶形態の中に存在する原子の全ての同位体を含む。同位体は、同じ原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子を含む。本発明の一局面は、同じ原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子で置き換えられた、本発明の化合物、その中間体、塩、および結晶形態の中の1つまたはそれより多くの原子のあらゆる組み合わせを含む。1つのこのような例は、一つの本発明の化合物、その中間体、塩、および結晶形態において見出される最も天然で豊富な同位体である原子(例えば、Hまたは12C)の、最も天然で豊富な同位体でない異なる原子(例えば、HもしくはH(Hを置き換える)または11C、13C、もしくは14C(12Cを置き換える))での置き換えである。よって、本発明の一局面は、重水素で置き換えられている、本発明の化合物、その中間体、塩、および結晶形態の中の1つまたはそれより多くの水素原子のあらゆる組み合わせを含む。このような置き換えが起こった化合物は、同位体標識化合物であると一般に呼ばれる。本発明の化合物、その中間体、塩、および結晶形態の同位体標識は、当業者に公知の種々の異なる合成法のうちのいずれか1つを使用して達成され得、当業者は、このような同位体標識を行うために必要とされる合成法および利用可能な試薬を理解すると容易に信じられている。一般的な例によれば、限定するものではないが、水素の同位体としては、H(重水素)およびH(トリチウム)が挙げられる。炭素の同位体としては、11C、13C、および14Cが挙げられる。窒素の同位体としては、13Nおよび15Nが挙げられる。酸素の同位体としては、15O、17O、および18Cが挙げられる。フッ素の同位体としては、18Fが挙げられる。リンの同位体としては、32Pおよび33Pが挙げられる。硫黄の同位体としては、35Sが挙げられる。塩素の同位体としては、36Clが挙げられる。臭素の同位体としては、75Br、76Br、77Br、および82Brが挙げられる。ヨウ素の同位体としては、123I、124I、125I、および131Iが挙げられる。
【0040】
本発明の別の局面は、本発明の化合物、その中間体、塩、および結晶形態のうちの1つまたはそれより多くを含む、組成物(例えば、合成、予備製剤化(preformulation)などの間に調製されるもの)および薬学的組成物(例えば、本明細書で記載される障害のうちの1つまたはそれより多くを処置するための哺乳動物における使用を意図して調製されるもの)であって、ここで、組成物中の同位体の天然に存在する分布に摂動が与えられるものを包含する。本発明の別の局面は、本明細書で記載されるとおりの化合物を含む組成物および薬学的組成物であって、ここで、化合物は、1つまたはそれより多くの位置において、最も天然に豊富な同位体以外の同位体が富化されているものを包含する。このような同位体の摂動または富化を測定するための方法(例えば、質量分析法)が容易に利用可能であり、放射性同位体である同位体に関しては、さらなる方法(例えば、HPLCまたはGCと接続して使用される放射線検出器)が利用可能である。
【0041】
本発明のある特定の同位体標識化合物は、化合物および/または基質の組織分布アッセイにおいて有用である。いくつかの実施形態において、放射性核種Hおよび/または14C同位体は、これらの研究において有用である。さらに、より重い同位体(例えば、重水素(すなわち、H))での置換は、より大きな代謝安定性から生じるある特定の治療上の利点(例えば、インビボ半減期の延長または投与量要件の低減)を与えることが可能であり、したがって、状況によっては好ましいこともある。本発明の同位体標識化合物は一般に、同位体標識された試薬を同位体標識されていない試薬の代わりに使用することによって、実施例で開示される手順に類似の手順に従うことによって調製され得る。有用である他の合成法は、以下で考察される。さらに、本発明の化合物において表される原子の全てが、このような原子の最も一般に存在する同位体またはより希少な放射性同位体または放射活性でない同位体のいずれかであり得ることは、理解されるべきである。
【0042】
放射性同位体を有機化合物へと組み込むための合成法は、本発明の化合物に適用可能であり、当該分野で周知である。例えば、活性レベルのトリチウムを標的分子に組み込むこれらの合成法は、以下のとおりである。
A.トリチウムガスでの接触還元: この手順は通常、高い比放射能生成物を生じ、ハロゲン化もしくは不飽和前駆体を必要とする。
B.水素化ホウ素ナトリウム[H]での還元: この手順は、かなり安価であり、還元可能な官能基(例えば、アルデヒド、ケトン、ラクトン、エステルなど)を含む前駆体を必要とする。
C.水素化アルミニウムリチウム[H]での還元: この手順は、ほぼ理論上の比放射能の生成物を提供する。これもまた、還元可能な官能基(例えば、アルデヒド、ケトン、ラクトン、エステルなど)を含む前駆体を必要とする。
D.トリチウムガス曝露標識: この手順は、適切な触媒の存在下で、交換可能なプロトンを含む前駆体をトリチウムガスへと曝露する工程を包含する。
E.ヨウ化メチル[H]を使用するN-メチル化: この手順は通常、適切な前駆体を高い比放射能のヨウ化メチル(H)で処理することによって、O-メチルまたはN-メチル(H)生成物を調製するために使用される。この方法は概して、より高い比放射能(例えば、約70~90Ci/mmol)を可能にする。
【0043】
125Iの活性レベルを標的分子に組み込むための合成法としては、以下が挙げられる。
A.ザンドマイヤー反応および類似の反応: この手順は、アリールアミンまたはヘテロアリールアミンをジアゾニウム塩(例えば、ジアゾニウムテトラフルオロボレート塩)に変換し、その後、Na125Iを使用して125I標識化合物へと変換する。代表的手順は、Zhu, G-D.および共同研究者によってJ. Org. Chem., 2002, 67, 943-948において報告された。
B.フェノールのオルト125ヨウ素化: この手順は、Collier, T. L.および共同研究者によってJ. Labelled Compd. Radiopharm., 1999, 42, S264-S266で報告されたように、フェノールのオルト位に125Iを組み込むことを可能にする。
C.アリールおよびヘテロアリールブロミドを125Iと交換する: この方法は一般に、2工程プロセスである。第1の工程は、アリールまたはヘテロアリールブロミドを、例えば、トリアルキルスズハライドもしくはヘキサアルキルジスズ[例えば、(CHSnSn(CH]の存在下で、Pd触媒反応[すなわち、Pd(PhP)]を使用してまたはアリールもしくはヘテロアリールリチウムを経て、対応するトリアルキルスズ中間体に変換することである。代表的手順は、Le Bas, M.-D.および共同研究者によって、J. Labelled Compd. Radiopharm. 2001, 44, S280-S282において報告された。
【0044】
式(I):
【化2】
の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される化合物が提供され、ここで:
およびRは、独立して、低級アルキル、低級シクロアルキル、または低級シクロアルキルアルキルであり、ここで低級アルキル、低級シクロアルキル、および低級シクロアルキルアルキルの各々は、独立して、置換されていないか、または1つもしくはそれより多くのハロ、シアノ、もしくは低級アルコキシで置換され;
は、低級アルキルであり;
は、低級アルキルまたは低級シクロアルキルアルキルである。
【0045】
いくつかの実施形態において、Rは、低級アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、C1-6飽和アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、置換されていない低級アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、ネオペンチルである。
【0046】
いくつかの実施形態において、Rは、置換された低級アルキルである。
【0047】
いくつかの実施形態において、Rは、ハロで置換された低級アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、1個、2個、もしくは3個のハロ基で置換されたC1-4飽和アルキルである。いくつかの実施形態において、上記1個、2個、もしくは3個のハロ基の各々は、フルオロである。
【0048】
いくつかの実施形態において、Rは、フルオロアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、-(CHCHF、-(CHCHF、-CHCHF、-(CHCF、-(CHCF、-(CHCF、または-CHCFである。
【0049】
いくつかの実施形態において、Rは、低級アルコキシで置換された低級アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、C1-4飽和アルコキシで置換されたC1-4飽和アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、-CHCHOCHである。
【0050】
いくつかの実施形態において、Rは、シアノで置換された低級アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、シアノ基で置換されたC1-4飽和アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、-CHCHCHCNである。
【0051】
いくつかの実施形態において、Rは、シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、シクロプロピルまたはシクロブチルである。
【0052】
いくつかの実施形態において、Rは、シクロアルキルアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、低級シクロアルキルアルキルであり、ここで、該低級シクロアルキルアルキルの低級アルキル部分は、C1-4飽和アルキルであり、該低級シクロアルキルアルキルのシクロアルキル部分は、シクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチルである。いくつかの実施形態において、Rは、-CH-シクロプロピル、-CH-シクロブチル、または-CH-シクロペンチルである。
【0053】
いくつかの実施形態において、Rは、置換されたシクロアルキルアルキルである。
【0054】
いくつかの実施形態において、Rは、ハロで置換されたシクロアルキルアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、ハロで置換された低級シクロアルキルアルキルであり、ここで、該低級シクロアルキルアルキルの低級アルキル部分は、C1-4飽和アルキルであり、該低級シクロアルキルアルキルのシクロアルキル部分は、シクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチルであり、該低級シクロアルキルアルキル基のいずれかの部分は、ハロで置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、
【化3】
である。
【0055】
いくつかの実施形態において、Rは、低級アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、C1-4飽和アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチルまたはプロピルである。いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。
【0056】
いくつかの実施形態において、Rは、C1-6飽和アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、またはネオペンチルである。いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。
【0057】
いくつかの実施形態において、Rは、低級アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、C1-6飽和アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、イソブチルまたはネオペンチルである。
【0058】
いくつかの実施形態において、Rは、低級シクロアルキルまたは低級シクロアルキルアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、または-CH-シクロブチルである。いくつかの実施形態において、Rは、低級シクロアルキルアルキルであり、ここで、該低級シクロアルキルアルキルの低級アルキル部分は、C1-4飽和アルキルであり、該低級シクロアルキルアルキルのシクロアルキル部分は、シクロプロピルまたはシクロブチルである。
【0059】
いくつかの実施形態において、VMAT2インヒビターは、式(II):
【化4】
の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択され、ここでR、R、R、およびRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0060】
いくつかの実施形態において、VMAT2インヒビターは、式(III):
【化5】
の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択され、ここでR、R、およびRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0061】
いくつかの実施形態において、VMAT2インヒビターは、式(IV):
【化6】
の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択され、ここでRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0062】
いくつかの実施形態において、VMAT2インヒビターは、式(V):
【化7】
の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択され、ここでRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0063】
いくつかの実施形態において、VMAT2インヒビターは、式(VI):
【化8】
の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択され、ここでRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0064】
いくつかの実施形態において、前記VMAT2インヒビターは、1つまたはそれより多くの位置において重水素化されている。
【0065】
いくつかの実施形態において、Rは、1つまたはそれより多くの位置において重水素化されている。いくつかの実施形態において、Rは、-CDまたは-CDCDである。
【0066】
いくつかの実施形態において、Rは、1つまたはそれより多くの位置において重水素化されている。いくつかの実施形態において、Rは、-CDまたは-CDCDである。
【0067】
いくつかの実施形態において、RおよびRの各々は、1つまたはそれより多くの位置において重水素化されている。
【0068】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、以下の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物のうちの1つから選択される。
(3R,11bS)-2-エチル-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9,10-ジメトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9,10-ジメトキシ-2,3-ビス(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bR)-2-エチル-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bR)-9,10-ジメトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bR)-9,10-ジメトキシ-2,3-ビス(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-エトキシ-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(プロパン-2-イルオキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-(2-フルオロエトキシ)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-シクロプロポキシ-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-プロポキシ-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-(シクロペンチルオキシ)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(プロパ-2-エン-1-イルオキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-9-(2-メチルプロポキシ)-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-10-メトキシ-9-(2-メトキシエトキシ)-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-(シクロブチルメトキシ)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
4-{[(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-9-イル]オキシ}ブタンニトリル;
(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-(4-フルオロブトキシ)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-(シクロプロピルメトキシ)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-シクロブトキシ-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-[(2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ]-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bR)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(プロパン-2-イルオキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bR)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bR)-9-(2-フルオロエトキシ)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bR)-9-シクロプロポキシ-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(シクロブチルメチル)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(シクロブチルメチル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(シクロブチルメチル)-9-[(2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ]-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(シクロブチルメチル)-9-(2-フルオロエトキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(シクロブチルメチル)-9-(シクロプロピルメトキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-(シクロブチルメトキシ)-3-(シクロブチルメチル)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(シクロブチルメチル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(シクロブチルメチル)-9-(4-フルオロブトキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bR)-3-(シクロブチルメチル)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ジメトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-[(2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ]-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-(2-フルオロエトキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-(シクロプロピルメトキシ)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-9-(シクロブチルメトキシ)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-(4-フルオロブトキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-9-(2-メトキシエトキシ)-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-エトキシ-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(プロパン-2-イルオキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-(エトキシ-d)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ビス(メトキシ-d)-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;
(3R,11bR)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン;および
(3R,11bR)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ジメトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン。
【0069】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ジメトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0070】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ジメトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0071】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、9-シクロプロポキシ-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0072】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、(3R,11bS)-9-シクロプロポキシ-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0073】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0074】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0075】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-エトキシ-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0076】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-エトキシ-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0077】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、9,10-ビス(メトキシ-d3)-2-メチル-3-ネオペンチル-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くのさらなる位置において重水素を有する。
【0078】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、(3R,11bS)-9,10-ビス(メトキシ-d3)-2-メチル-3-ネオペンチル-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くのさらなる位置において重水素を有する。
【0079】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0080】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0081】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0082】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0083】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0084】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0085】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0086】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-9-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および水和物から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1つまたはそれより多くの位置において重水素を有する。
【0087】
一般に、本明細書で記載される反応において使用される化合物は、市販の化学物質および/または化学文献中に記載される化合物から出発して、当業者に公知の有機合成技術に従って作製され得る。「市販の化学物質」は、Acros Organics(Pittsburgh PA)、Aldrich Chemical(Milwaukee WI(Sigma ChemicalおよびFlukaを含む))、Apin Chemicals Ltd.(Milton Park UK)、Avocado Research(Lancashire U.K.)、BDH Inc.(Toronto, Canada)、Bionet(Cornwall, U.K.)、Chemservice Inc.(West Chester PA)、Crescent Chemical Co.(Hauppauge NY)、Eastman Organic Chemicals, Eastman Kodak Company(Rochester NY)、Fisher Scientific Co.(Pittsburgh PA)、Fisons Chemicals(Leicestershire UK)、Frontier Scientific(Logan UT)、ICN Biomedicals, Inc.(Costa Mesa CA)、Key Organics(Cornwall U.K.)、Lancaster Synthesis(Windham NH)、Maybridge Chemical Co. Ltd.(Cornwall U.K.)、Parish Chemical Co.(Orem UT)、Pfaltz & Bauer, Inc.(Waterbury CN)、Polyorganix(Houston TX)、Pierce Chemical Co.(Rockford IL)、Riedel de Haen AG(Hanover, Germany)、Spectrum Quality Product, Inc.(New Brunswick, NJ)、TCI America(Portland OR)、Trans World Chemicals, Inc.(Rockville MD)、およびWako Chemicals USA, Inc.(Richmond VA)を含む、標準的な商業的供給源から得ることができる。
【0088】
当業者に公知の方法は、種々の参考書籍およびデータベースを通じて明らかにされ得る。本開示のVMAT2インヒビターの調製において有用な反応物の合成を詳述するか、またはその調製を記載する文献への言及を提供する適切な参考書籍および論文としては、例えば、「Synthetic Organic Chemistry」, John Wiley & Sons, Inc., New York; S. R. Sandlerら, 「Organic Functional Group Preparations」, 第2版, Academic Press, New York, 1983; H. O. House, 「Modern Synthetic Reactions」, 第2版, W. A. Benjamin, Inc. Menlo Park, Calif. 1972; T. L. Gilchrist, 「Heterocyclic Chemistry」, 第2版, John Wiley & Sons, New York, 1992; J. March, 「Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure」, 第4版, Wiley-Interscience, New York, 1992が挙げられる。本開示のVMAT2インヒビターの調製において有用な反応物の合成を詳述するか、またはその調製を記載する文献への言及を提供するさらなる適切な参考書籍および論文としては、例えば、Fuhrhop, J. and Penzlin G. 「Organic Synthesis: Concepts, Methods, Starting Materials」, 第2改訂拡大版(1994) John Wiley & Sons ISBN: 3-527-29074-5; Hoffman, R.V. 「Organic Chemistry, An Intermediate Text」 (1996) Oxford University Press, ISBN 0-19-509618-5; Larock, R. C. 「Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations」 第2版 (1999) Wiley-VCH, ISBN: 0-471-19031-4; March, J. 「Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure」 第4版 (1992) John Wiley & Sons, ISBN: 0-471-60180-2; Otera, J. (編者) 「Modern Carbonyl Chemistry」 (2000) Wiley-VCH, ISBN: 3-527-29871-1; Patai, S. 「Patai's 1992 Guide to the Chemistry of Functional Groups」 (1992) Interscience ISBN: 0-471-93022-9; Quin, L.D.ら 「A Guide to Organophosphorus Chemistry」 (2000) Wiley-Interscience, ISBN: 0-471-31824-8; Solomons, T. W. G. 「Organic Chemistry」 第7版 (2000) John Wiley & Sons, ISBN: 0-471-19095-0; Stowell, J.C., 「Intermediate Organic Chemistry」 第2版 (1993) Wiley-Interscience, ISBN: 0-471-57456-2; 「Industrial Organic Chemicals: Starting Materials and Intermediates: An Ullmann's Encyclopedia」 (1999) John Wiley & Sons, ISBN: 3-527-29645-X, 8巻; 「Organic Reactions」 (1942-2000) John Wiley & Sons, 55巻以降;および「Chemistry of Functional Groups」 John Wiley & Sons, 73巻が挙げられる。
【0089】
特定のおよび類似の反応物もまた、Chemical Abstract Service of the American Chemical Societyによって用意された公知化学物質のインデックス(これは、大部分の公的図書館および大学図書館において利用可能である)を通じて、およびオンラインデータベースを通じて明らかにされ得る(さらなる詳細については、American Chemical Society(Washington, D.C.)に問い合わせてもよい)。公知であるが、カタログで市販されていない化学物質は、特注の化学合成会社によって調製され得る(ここで標準的な化学物質供給会社の多く(例えば、上で列挙した会社)は、特注の合成サービスを提供する)。本開示の薬学的な塩の調製および選択のための参考文献は、P. H. Stahl & C. G. Wermuth “Handbook of Pharmaceutical Salts”, Verlag Helvetica Chimica Acta, Zurich, 2002である。
【0090】
本明細書で記載されるVMAT2インヒビターは、公知の有機合成技術(本明細書のこれ以降のスキームに記載され、実施例により詳細に記載される方法を含む)によって調製され得る。
【0091】
【化9】
アミンiを、保護されたアミノ酸とカップリングし、続いて、脱保護して、iiを得る。構造iiiを、ジメトキシアセタールを用いる還元的脱アミノ化によって形成する。構造iiiを、酸性条件下で環化し、続いて、アミドカルボニルの還元を行って、ivを得る。アルキル化は、vを与える。
【0092】
式ivの化合物をアルキル化して、式vの化合物を得る工程を包含する、式vの化合物を調製する方法もまた提供される。
【0093】
いくつかの実施形態において、式ivの化合物のアルキル化は、式ivの化合物と式R-Xの化合物(ここでXは、ヨードのような脱離基である)とを反応させる工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記アルキル化を、塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下で行う。いくつかの実施形態において、上記アルキル化を、極性の非プロトン溶媒(例えば、DMF、THF、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、DMSO、またはこれらの混合物)中で行う。いくつかの実施形態において、極性の非プロトン溶媒は、DMFである。いくつかの実施形態において、少なくとも1当量の式R-Xの化合物が使用される。いくつかの実施形態において、過剰な式R-Xの化合物が使用される。
【0094】
いくつかの実施形態において、式ivの化合物のアルキル化は、式ivの化合物とジ-tert-ブチルジカーボネートとを塩基の存在下で反応させて、対応するカルボキシレートを得、次いでこれを、還元剤で(例えば、水素化アルミニウムリチウム(LAH))で還元して、式vの化合物を得る工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記塩基は、有機塩基(例えば、トリメチルアミン)である。いくつかの実施形態において、上記アルキル化を、極性の非プロトン溶媒(例えば、塩化メチレンまたはテトラヒドロフラン)中で行う。いくつかの実施形態において、少なくとも1当量のジ-tert-ブチルジカーボネートを使用する。いくつかの実施形態において、過剰なジ-tert-ブチルジカーボネートを使用する。いくつかの実施形態において、上記還元を、極性の非プロトン溶媒(例えば、テトラヒドロフランまたはエーテル)中で行う。いくつかの実施形態において、過剰な還元剤を使用する。
【0095】
【化10】
アミンiを、保護されたアミノ酸とカップリングし、続いて、脱保護して、iiを得る。構造iiiを、ジメトキシアセタールを用いる還元的脱アミノ化によって形成する。構造ivを、パラホルムアルデヒドを用いる還元的脱アミノ化によって形成する。構造ivを酸性条件下で環化して、vを得る。アミドカルボニルの還元は、viを与える。
【0096】
式vの化合物を還元して式viの化合物を得る工程を包含する、式viの化合物を調製する方法もまた提供される。いくつかの実施形態において、上記還元を、還元剤(例えば、LAHまたは水素化ジイソブチルアルミニウム試薬)を使用して行う。いくつかの実施形態において、過剰な還元剤を使用する。いくつかの実施形態において、極性の非プロトン溶媒を使用する。いくつかの実施形態において、上記溶媒はTHFである。
【0097】
【化11】
アミンiを、保護されたアミノ酸とカップリングして、iiを得る。アルコールiiをRでアルキル化して、iiiを得る。iiiの脱保護は、構造ivを与える。構造vを、ジメトキシアセタールを用いる還元的脱アミノ化によって形成する。構造viを、パラホルムアルデヒドを用いる還元的脱アミノ化によって形成する。構造viを酸性条件下で環化して、viiを得る。アミドカルボニルの還元は、viiiを与える。
【0098】
式viiの化合物を還元して式viの化合物を得る工程を包含する、式viiiの化合物を調製する方法もまた提供される。いくつかの実施形態において、上記還元を、還元剤(例えば、ジアルキルボラン(例えば、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノン(9-BBN))またはアミノボロヒドリド(例えば、ジメチルアミノ水素化ホウ素リチウム)を使用して行う。いくつかの実施形態において、過剰な還元剤が使用される。いくつかの実施形態において、極性の非プロトン溶媒が使用される。いくつかの実施形態において、上記溶媒は、THFまたはメチルテトラヒドロフランである。
【0099】
本明細書で記載される方法のうちのいずれかによって調製されるVMAT2インヒビターもまた、提供される。一般に、それらの方法は、下記反応スキーム1に示されるように、三環式環構造を形成するために環化する工程、(存在する場合に)カルボニル官能基を還元する工程、および窒素をアルキル化してRを導入する工程を包含する。反応スキーム2および3では、Rを導入し、続いて、環化し、次いで、環カルボニルを還元する。いくつかの実施形態において、上記方法はまた、ジアステレオマー混合物を分割して所望の異性体が富化された混合物を得る工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記方法はまた、必要に応じて、塩の形成をさらに包含する。
【0100】
いくつかの実施形態において、上記方法は、安全で、効率的で、費用対効果が良く、かつ/またはスケーラブルである。いくつかの実施形態において、上記方法は、VMAT2インヒビターの大規模または商業的生産に適している。
【0101】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法によって調製されるVMAT2インヒビターは、約95重量%以上、約96重量%以上、約97重量%以上、約98重量%以上、約98.5重量%以上、約99重量%以上、約99.5重量%以上、約99.6重量%以上、約99.7重量%以上、約99.8重量%以上、または約99.9重量%以上の純度を有する。
【0102】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法の全体の収率は、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、または約95%以上であり、ここで上記収率は、出発物質に基づいて計算される。
【0103】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される方法によって調製されるVMAT2インヒビターの乾燥減量(LOD)は、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、または約0.1重量%以下である。
【0104】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される方法によって調製されるVMAT2インヒビター中の全不純物は、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、または約0.1重量%以下である。
【0105】
ある特定の実施形態において、VMAT2インヒビターは、1つのエナンチオマーが50%を超える量で存在するように、鏡像異性的に富化される。ある特定の実施形態において、VMAT2インヒビターは、他の立体異性体を実質的に含まない。本明細書で使用される場合、句「他の立体異性体を実質的に含まない」は、組成物が≦15%(例えば、≦10%、例えば、≦5%、または≦1%)の別の立体異性体を含むことを意味する。ある特定の実施形態において、上記不純物は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって検出可能である。
【0106】
ある特定の実施形態において、上記不純物は、揮発性有機化合物である。ある特定の実施形態において、上記不純物は、有機溶媒である。ある特定の実施形態において、上記不純物は、DMF、テトラヒドロフラン、または塩化メチレンである。
【0107】
ある特定の実施形態において、上記不純物は、金属ベースの不純物である。
【0108】
ある特定の実施形態において、上記不純物としては、式R-Xの化合物(ここでXは、ヨードのような脱離基である)、反応スキーム1の式i、ii、iii、および/もしくはivの化合物、反応スキーム2の式i、ii、iii、iv、もしくはvの化合物、または反応スキーム3の式i、ii、iii、iv、v、vi、もしくはviiの化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
本明細書で記載されるとおりのVMAT2インヒビターならびに1つまたはそれより多くの薬学的に受容可能な賦形剤および/または賦形剤を混合する工程を包含する、組成物を調製するためのプロセスもまた提供される。
【0110】
本明細書で記載されるVMAT2インヒビターは、ヒトモノアミントランスポーターアイソフォーム2(VMAT2)を阻害することによって、中枢神経系におけるモノアミンの供給を低減し得る。よって、これらのVMAT2インヒビターは、広範囲の治療適用にわたって有用性を有し得、ヒトモノアミントランスポーターアイソフォーム2の阻害によって引き起こされるまたは該阻害に関連する種々の障害を処置するために使用され得る。これらの障害としては、神経学的および精神的な障害、特に、多動性運動障害、統合失調症、および気分障害が挙げられる。
【0111】
多動性運動障害は、望まれていないかつ制御不能な、または不十分にしか制御可能でない、不随意運動によって特徴づけられる神経学的障害のカテゴリーを表す。これらの障害の現象学は、極めて変化しやすく、舞踏病、振戦、ジストニア、ミオクローヌス、チック、他のジスキネジア、痙攣および震えを含む。多動性運動障害としては、運動失調、舞踏病、ジストニア、片側顔面痙攣、ハンチントン病、ハンチントン病と関連する舞踏病、ミオクローヌス、下肢静止不能症候群、遅発性ジスキネジア、チック、トゥレット症候群、および振戦が挙げられる。
【0112】
気分障害は、根底にある問題が、個人の持続性の感情状態(彼らの気分)に主に影響を及ぼす精神的な障害のカテゴリーを表す。気分障害としては、以下が挙げられる:大鬱病性障害(大鬱病ともいわれる)、双極性障害、持続性抑鬱障害(長く持続する軽度の鬱病)、気分循環症(双極性障害の軽症型)、緊張病性鬱病、産後鬱病、躁病、および季節性情動障害(SAD)。気分障害としては、物質誘導性気分障害および医学的な状態(例えば、甲状腺機能低下症またはパーキンソン病)に起因する気分障害が挙げられる。
【0113】
双極性障害(双極性情動障害または躁鬱病としても公知)は、気分高揚期および抑鬱期によって特徴づけられる精神的な障害である。気分高揚期は、重篤度または精神病が存在するか否かに依存して、躁病または軽躁病として公知である。躁病の症状または躁エピソードとしては、長期間の「ハイ」な感覚または過度の幸福なもしくは外向的な気分、極度の易怒性、非常に早口で話す、レーシング思考(racing thoughts)、一つの考えから別の考えへと飛躍する、気が散りやすい、活動の増大、過度に落ち着きがない、ほとんど睡眠をとらない、自身の能力に非現実的な確信を持つ、衝動的行為、および愉快なハイリスクの行動にとらわれる、が挙げられる。鬱病の症状または抑鬱エピソードとしては、過度に長期間の悲哀感または絶望感、活動における関心の喪失、疲労感、集中力または記憶に伴う問題、決断が困難になる、落ち着きがないまたは怒り易い、食習慣または睡眠習慣の変化、および希死念慮が挙げられる。双極性障害を有する患者は、自殺および自傷の高いリスクを有する。双極性障害の原因は完全には理解されていないが、遺伝的要因および環境的要因の両方が、役割を果たすと考えられている。環境的要因としては、長期のストレスおよび児童虐待歴が挙げられる。
【0114】
双極性障害の躁局面、精神病的局面または抑鬱的局面の処置のための薬物療法としては、一般に、心理療法との組み合わせでの、気分安定剤、非定型抗精神病剤、または抗鬱剤が挙げられる。睡眠薬はまた、睡眠障害を助けるために使用され得る。薬物療法および心理療法が効かない重篤な症例に関しては、電気痙攣療法が使用され得る。双極性障害は通常、生涯続く病気であり、処置しないまま放置すると悪化し得る。長期の継続的な処置は、症状をコントロールするために必要とされ、適切に処置したとしても、気分の変化はなお起こり得る。患者は、症状をコントロールする助けになるものを見出す前に、いくつかの異なる薬物療法を試すことが必要となることは頻繁にある。これらの薬物療法、特に、抗精神病剤と関連する不愉快な潜在的に重篤な副作用を考慮すれば、気分障害における躁病およびそれらの関連症状を処置するために新たな治療剤を開発する必要性がある。
【0115】
統合失調症は、成人集団のうちのおよそ1%に影響を及ぼし、セルフケアおよび身体の健康に対する障害の影響を通じて、および自殺を通じて平均余命を平均20~25年短縮する。現時点では、統合失調症の根底にある原因論的機序は十分に理解されていない。統合失調症は、精神病の特徴的な症状、分裂およびいわゆる「陰性」症状(感情表現の範囲の低減、発話の低減および意志/動機づけの欠如を示す);病気の期間;機能障害;ならびに自閉症および双極性障害のような他の障害の除外に基づいて臨床診断される。臨床医には、精神病患者が統合失調症を有するのかを同定するのに、臨床的洞察およびDSM-IVまたはICD-10診断マニュアルに精通していることが要求される[例えば、Corvin, BMC Biol. 2011; 9: 77を参照のこと]。
【0116】
統合失調感情障害は、統合失調症の症状(例えば、幻覚および妄想)および気分障害の症状(例えば、躁病および鬱病)によって主に特徴づけられる精神衛生面の状態である。診断は困難であり得る。なぜなら統合失調症および気分障害の両方の症状が存在し、多くの人々は、統合失調症または気分障害と誤って診断されるからである。統合失調感情障害の処置は、薬物療法、代表的には、抗精神病剤および抗鬱剤、ならびに心理療法を含む。
【0117】
抗精神病薬治療は、統合失調症の処置の柱である。これらの抗精神病薬(神経弛緩薬としても公知)は一般に、統合失調症の「陽性」症状(すなわち、精神病、思考障害、および解体した行動)の低減を引き起こす。抗精神病剤は一般に、認知および疾患の「陰性」症状(これは、動機づけおよび感情の欠如、社会的離脱、日常活動における関心の欠如、および行動を計画または実行する能力の低減を含む)に対する影響は相対的に小さい。
【0118】
強迫性障害(OCD)は、強迫的な思考によって引き起こされる苦痛を緩和することに集中する常同的な行動(強迫行為)をもたらす、再発性および持続性の不安を誘発する思考(強迫観念)によって特徴づけられる不安障害である。患者は、強迫観念および強迫行為が不合理であると認識していてもそうでなくてもよく、これらの思考および行動は、時間浪費的であり、機能を損なう可能性がある。
【0119】
OCDは一般に、心理療法、薬物療法またはその両方で処置される。認知行動療法(CBT)は、ある個人に、彼または彼女が強迫的な思考を有することも強迫的に活動することもなく、不安または恐怖をより小さく感じるように助ける異なる考え方、行動の仕方、および状況への反応の仕方を教示する(認知の再構築および暴露反応妨害法)。しかし、CBTは、不安に対処する健康的な方法を学習するために努力および実践を要する。薬物療法はまた、OCDを処置するために処方され得る。最も一般的に処方される薬物療法は、抗不安薬および抗鬱剤である。抗不安薬は、直ぐに効き始めるが、長期間摂取されるべきではない。抗鬱剤は、効き始めるのに10~12週間かかり得、副作用(例えば、頭痛、悪心、睡眠障害、および性欲減退)を引き起こし得る。非定型抗精神病剤もまた、処方され得る。OCD患者がOCD症状をコントロールするものを見出す前に、いくつかの薬物療法を試さなくてはならないことは、珍しいことではない。
【0120】
しかし、OCDが適切に診断されかつ処置されている場合ですら、多くのOCD患者は、「処置抵抗性(treatment-resistant)」または「難治性(treatment-refractory)」であり、標準治療に十分に応答しない。OCD患者のうちの推定10%~40%が、難治性である(Bystritsky, Mol. Psychiatry 11:805-814)。処置抵抗性は一般に、多数の十分かつ適切な処置の試行にも拘わらず、十分な改善を欠いていることを意味する。気分障害に関しては、それは、2以上の十分な抗鬱剤試行にも関わらず臨床的に寛解もしくは応答しない(症状の50%低減)、またはいくつかの神経伝達物質クラスにわたる十分な薬物療法試行にも拘わらず臨床的に応答しないことによって定義され得る。Pallanti and Quercioli(Neuropsychopharmacol. Biol. Psychiatry 30:400-412)は、強迫性障害処置応答を、完全回復(または寛解)から、完全または部分的な応答から非応答(または完全に無反応)までの範囲にわたるスペクトラムに沿っていくつかのステージにカテゴリー分けすることを提唱した。どちらの定義を使用しても、不安障害において処置抵抗性を有する患者は、いくつかの適切な処置曝露にも拘わらず、最小限の機能回復を経験する。OCDにおける処置抵抗性に寄与する要因としては、疾患の重篤度、医療上の併存疾患、精神医学的な併存疾患、処置非遵守、文化的要因、小児期のストレッサー、長期間持続するストレッサー、ライフステージ、および臨床医/医療制度の制限が挙げられるが、これらに限定されない(Khalsaら, Curr. Psychiatry, 2011, 10:45-52)。侵襲的治療(電気痙攣療法、迷走神経刺激、反復経頭蓋磁気刺激法、および外科手術的方法のような不可逆的なものが挙げられる)は、もっとも強い処置抵抗性を有する患者のために残しておかれる。より有効な処置は、従って、難治性OCDと関連する症状を処置するために必要とされる。
【0121】
レッシュ・ナイハン症候群は、神経機能障害、認知および行動障害、ならびに尿酸過剰生成によって特徴づけられ、その有病率は、1:380,000である。この症候群を有する患者は、認知障害、運動障害、および自傷行動に苦しむ。レッシュ・ナイハン症候群の最も一般的に現れる特徴は、生後一年間の発達遅滞である;筋緊張低下および運動技能の遅れが、3~6ヶ月齢までに通常は明らかになる。レッシュ・ナイハン症候群を有する小児は、代表的には、座る、ハイハイする、および歩くことができず、最終的には、車椅子に制限される。症状を効果的に管理したとしても、ほとんどの罹患個体は、10歳代または20歳代までしか生存しない。
【0122】
レッシュ・ナイハン症候群は、X連鎖劣性パターンで遺伝し、ホスホリボシルピロホスフェートの存在下で、ヒポキサンチンからイノシンモノホスフェート(イノシン酸、IMP)への変換およびグアニンからグアニンモノホスフェート(グアニル酸、GMP)への変換を触媒する酵素ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)の欠損によって引き起こされる。高尿酸血症を処置し、それによって、腎結石症、尿酸塩腎症、痛風性関節炎、および痛風結節のリスクを低減するために、尿酸の過剰産生は、アロプリノール(これは、キサンチンオキシダーゼによって触媒される、ヒポキサンチンおよびキサンチンからの尿酸への代謝を遮断する)でコントロールされる。
【0123】
上記疾患の神経行動学的な局面を管理するための一様に効果的な介入は存在しない。自傷行動および他の有害な行動は、代表的には、理学的処置、行動的処置、および医療的処置の組み合わせによって管理される。実質的に全ての罹患個体は、自傷を防止するために身体拘束を要する。これらの個体は、時間のうちの75%超を、しばしば、彼ら自身の要求で拘束される。上記疾患の運動特徴をコントロールするにあたって一貫して有効である薬物療法はない。従って、レッシュ・ナイハン症候群と関連する状態を管理するために、より効果的な処置が必要とされる。
【0124】
アルツハイマー病における興奮は、アルツハイマー病と関連するいくつかの行動症状のクラスターを意味する。興奮は、疾患が進行するにつれて発生し、認知の喪失に加えて起こる。症状のクラスターとしては、不安、鬱、易怒性、および運動静止不能(motor restlessness)(例えば、歩き回る、徘徊する、絶えず動く)が挙げられる。起こり得る他の症状としては、睡眠障害、妄想、幻覚、強迫行動、攻撃性、および全般的な感情的苦痛が挙げられる。興奮は、アルツハイマー病を有する全個体の半数程度において起こり得る。興奮は、不十分なクオリティー・オブ・ライフを有する患者と関連し、家族関係および専門的な介護者を悪化させ、最終的には、居住型ケア施設への入所がもたらされる。
【0125】
アルツハイマー病を有しかつ興奮を示す患者は、非定型抗精神病剤(例えば、リスペリドン、オランザピン)および典型的な抗精神病剤(例えば、ハロペリドール)で処置されているが、成功するのは僅かであり、重篤な副作用のリスクがある。よって、アルツハイマー病を有する患者において興奮を処置するために、より有効な治療剤を同定および開発する必要性がある。
【0126】
脆弱X症候群(マーティン-ベル症候群ともいわれる)は、学習障害および認知機能障害を含む、ある範囲の発達上の問題を引き起こす遺伝的状態である。通常は、この障害によって、女性よりも男性が深刻な影響を受ける。脆弱X症候群は、X連鎖優性パターンで遺伝する。脆弱X症候群は、男性ではおよそ4000人に1人、女性では8,000人に1人に起こる。この症候群は、FMR1遺伝子の5’非翻訳領域におけるCGG反復拡大からの転写サイレンシングに概して起因する脆弱X精神遅滞タンパク質(FMRP)の喪失によって引き起こされる(例えば、Verkerkら, Cell 65:905-14 (1991)を参照のこと)。
【0127】
罹患個体は通常、2歳齢まで発話および言語の発達が遅れる。脆弱X症候群を有するほとんどの男性は、軽度から中程度の知的障害がある一方で、罹患女性の約1/3に知的障害がある。脆弱X症候群を有する小児はまた、行動的な問題を示し得る(不安、注意欠陥、不安、および多動性行動(例えば、そわそわするまたは衝動的行動)が挙げられる)。脆弱X症候群を有しかつ注意欠陥を有する小児は、注意欠陥障害(ADD)と診断され得、これは、注意力を維持する能力が損なわれていることおよび特定の課題に集中することが困難であることを含む。脆弱X症候群を有する個体のうちの約1/3が、コミュニケーションおよび社会的相互作用に影響を及ぼす自閉症スペクトラム障害の特徴、例えば、不安および反復性の常同的行動(すなわち、常同症)を有する。この症候群を有する男性のうちの約15%および女性のうちの約5%に発作が起こる。
【0128】
脆弱X症候群を有する患者におけるCGG反復拡大は、200回より多く起こる。その反復拡大がより少ない程度に起こる場合(すなわち、約50~200回の間)、FMR1遺伝子順列変異(permutation)が起こり、ある程度はFMRPが産生される。FMR1遺伝子順列変異は、脆弱性X関連振戦-運動失調症候群(FXTAS)といわれる別の遺伝的状態をもたらし得る。FXTASは、動作困難および認知の問題によって特徴づけられる。FXTASは、遅発性の障害であり、通常は、50歳齢を過ぎて発生する;症状は年齢とともに悪化する。この状態はまた、女性よりも男性に、高頻度でかつ深刻な影響を及ぼし、3000人に約1人の男性が罹患する。
【0129】
FXTASの特性としては、協調およびバランスに伴う問題(運動失調)、および罹患個体が随意運動をしようとしている(例えば、ある物体に手を伸ばす)場合に、四肢が震えるまたは揺れる意図振戦が挙げられる。最も多くの場合、意図振戦が最初に発生し、数年後に、運動失調が続いて発生する。FXTASを有する個体が全て両方の特徴を有するわけではない。多くの罹患個体は、他の運動の問題(例えば、パーキンソニズム)を発生させ、当該問題としては、動かないときの振戦(安静時振戦)、固縮、および異常に遅い運動(運動緩慢)が挙げられる。さらに、罹患個体は、下肢において、感覚の低減、麻痺またはヒリヒリ感、疼痛、または筋力低下を有し得る。FXTASを有するいくらかの人々は、自律神経系に伴う問題を経験し、膀胱または腸をコントロールすることができなくなる。
【0130】
FMR1遺伝子において前変異(pre-mutation)を有する女性は、原発性卵巣機能不全(脆弱性X関連原発性卵巣機能不全)のリスクがより高く、脆弱性X症候群を有する小児を生むことのリスクがより高い。脆弱性X関連原発性卵巣機能不全は、不妊および早期閉経の原因である。
【0131】
脆弱X症候群またはFXTASの神経行動学的な局面を管理するための一様に効果的な介入は存在しない。従って、これらの遺伝性疾患と関連する状態を管理するために、より効果的な処置が必要とされる。
【0132】
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、社会性障害;コミュニケーション困難;ならびに限定的、常同的、および型にはまった行動パターン(常同症)によって特徴づけられる、ある範囲の複雑な神経発達障害である。自閉症性障害(ときおり、自閉症(autism)または古典的ASDともいわれる)は、ASDの最も重篤な形態である。他の状態としては、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、広汎性発達障害(これは、別段特定されていない(通常は、PDD-NOSといわれる))として公知のより軽度の形態が挙げられる。ASDは、特徴および重篤度において顕著に多様であるが、全ての人種グループおよび社会経済グループに存在し、あらゆる年齢グループに影響を及ぼす。現在のデータに基づいて、専門家は、8歳齢の70名の小児のうちの約1名はASDを有すると推測する。ASDを有する可能性は、男性が女性より4~5倍高い。
【0133】
ASDの顕著な特徴は、社会的相互作用の障害である。ASDを有する多くの小児は、常同的動き(例えば、揺するおよび回す)にこだわるか、または自虐行動(例えば、噛むまたは頭を激しく揺り動かす)を示す。
【0134】
利用可能なASDの治療法はない。治療および行動介入は、特定の症状を軽減するように設計され、顕著な改善をもたらし得る。医師は、特定の自閉症関連症状(例えば、不安、鬱病、または強迫性障害)の処置のための薬物療法を処方し得る。抗精神病薬は、重篤な行動的問題を処置するために使用され、発作は、1つまたはそれより多くの抗痙攣薬で処置され得る。注意欠陥障害を有する人々を処置するために使用される薬物療法は、衝動性および多動を減らす助けをするために効果的に使用され得る。これらの薬物療法、特に、抗精神病薬と関連する副作用を考慮すれば、ASDおよびその関連症状を処置するために新たな治療剤を開発する必要性がある。
【0135】
鬱病は、その性質および起源が何であろうと、精神的な病気の一般的な特徴である。任意の重篤な精神的障害の病歴を有する個人は、大うつ病を発生させる可能性が、過去に大うつ病それ自体を有したことがある個体とほぼ同程度に高い。米国集団のうちの約20%は、所定の月に少なくとも1回のうつ症状を報告し、12%は、1年に2回以上報告する。気分障害は、その根底にある問題が、個人の持続性の感情状態(彼らの気分)に主に影響を及ぼす精神的な障害のカテゴリーを表す。双極性障害は、それほど一般的ではなく、一般的な集団において1%という割合で起こるが、一部は、診断でしばしば見落とされていると考えられる。なぜなら躁病の高揚感は、非常に稀にしか病気として報告されないからである。双極性障害は、重篤な躁病および鬱病の1つまたはそれより多くのエピソードを含む病気である。ときおり、個人は、躁病の症状を経験するに過ぎないこともある。個人は、悲しみの感覚を経験するに過ぎない場合、これが鬱病と考える。双極性障害のエピソードの間に、個人の気分は、過度に「ハイ」および/または怒り易いから、悲しいおよび絶望感まで揺れ動き得、その間には通常の気分の期間があり得る。
【0136】
大鬱病性障害は、最も一般的な精神的な病気のうちの1つである。鬱病は、人々に日常の生活から喜びを失わせ、他の医学的状態を悪化させ得、自殺をもたらすほど十分に重篤ですらあり得る。鬱病は、どんな人にも、どの年齢にも、そしてどんな民族または人種グループの人々にも起こり得る。鬱病は通常、薬物療法、心理療法、またはその2つの組み合わせで処置される。大鬱病性障害のための薬物療法は、多数の薬物クラス(三環系抗鬱剤、モノアミンオキシダーゼインヒビター、選択的セロトニン再取り込みインヒビター、および非定型抗鬱剤が挙げられる)に属する。しかし、大部分の抗鬱剤は、効果の発現に少なくとも4~6週間を要し、多くの抗鬱剤は、不快な副作用を有する。さらに、鬱病を有する患者のうちの2/3程度が、その最初の抗鬱剤での処置の失敗を経験しており、鬱病を有する患者のうちの最大で1/3は、処置のいくつかの試みには応答しない。これらの薬物療法と関連する不快で潜在的に重篤な副作用を考慮すれば、気分障害における鬱病およびそれらの関連症状を処置するために、新たな治療剤を開発する必要性がある。
【0137】
レット症候群(RTT)は、本来は、脳萎縮性高アンモニア血症(cerebroatrophic hyperammonemia)と呼ばれ、女性患者および男性患者の両方に影響を及ぼす(女性患者が優勢である)、脳の灰白質の希な遺伝的出生後神経学的障害である。レット症候群は、認知、感覚、情動、運動、および自律機能を担う脳機能に問題を引き起こす。最も頻繁に生じる問題は、学習、発話、知覚上の感覚、気分、運動、呼吸、心機能、咀嚼、嚥下、および消化を含むものが挙げられる。それは、正常な初期の成長および発達、続いて、発達の遅れ、意図的な手の使用の喪失、特有の手の動き、脳および頭部の成長の遅れ、歩行に伴う問題、発作、ならびに知的障害によって特徴づけられる。特に、常同的な型にはまった手の動き(例えば、手を絞る(wringing)、および/または反復して口に手を入れる)は、通常の症状である。失行-運動機能を行うことができない-はおそらく、レット症候群の最も重篤な障害となっている特徴であり、あらゆる身体運動(視線を合わせる、および発話が挙げられる)を妨げる。レット症候群を有する小児はしばしば、初期段階で自閉症様の行動を示す(http://www.ninds.nih.gov/disorders/rett/detail_rett.htm)。
【0138】
レット症候群のほぼ全症例は、メチルCpG結合タンパク質2、またはMECP2遺伝子における変異によって引き起こされる。MECP2遺伝子は、メチルシトシン結合タンパク質2(MeCP2)といわれるタンパク質の合成の指示を含み、このタンパク質は、脳の発達に必要とされ、遺伝子発現を増大させ得るか、または他の遺伝子に、いつスイッチをオフにして、それら自身の特有のタンパク質を産生することを停止させるかを伝え得るかのいずれかである多くの生化学的スイッチのうちの1つとして作用する。MECP2遺伝子は、レット症候群を有する個体において適切に機能しないので、不十分な量または構造的に異常な形態の前記タンパク質が産生され、それによって、他の遺伝子が異常に発現させられ得る。しかし、MECP2変異を有する全員がレット症候群を有するわけではない。レット症候群は遺伝的障害であるが、記録された症例のうちの1%未満が遺伝するか、またはある世代から次世代へと伝わる。大部分の症例は自然発生的であり、このことは、その変異が無作為に起こることを意味する。レット症候群は、10,000~15,000名の女性が誕生するごとに1名に、そして世界中の全ての民族および人種グループにおいて罹患すると推測される。
【0139】
現在、レット症候群の治療法は存在しない。その障害の処置は、対症的-症状の管理に焦点を当てる-および支持的であり、多くの専門分野にわたるアプローチを要する。ブロモクリプチンおよびカルビドパ-レボドパ(これらは、ドパミンアゴニストである)は、レット症候群を有する個人において運動機能障害の処置として試されている。しかし、利益は実質的でもなく、長時間作用性でもない。従って、レット症候群およびその関連症状を処置するために、新たな治療剤を開発する必要性がある。
【0140】
有棘赤血球舞踏病(ChAc)は、身体の多くの部分の運動に影響を及ぼす神経学的障害である。舞踏病とは、この障害を有する人々によってなされる不随意の痙動を意味する。この状態を有する人々はまた、異常な星型の赤血球を有する(有棘赤血球増加症)。この障害は、神経学的問題および異常な赤血球を含む神経有棘赤血球症といわれる状態の一群のうちの1つである。臨床上は、運動障害、精神的な発現および認知障害を含む進行性の神経学的症状を伴うハンチントン病様の表現型によって特徴づけられる。舞踏病はまた、ハンチントン病と関連し得、本明細書で提供される方法および組成物は、ハンチントン病を処置するために使用され得る。
【0141】
有棘赤血球舞踏病の有病率および発生率は未知であるが、全世界でおよそ1,000症例が存在すると推測される。発症は成人初期であり、最初の現れは、しばしば微妙な認知的なまたは精神的な症状である。前記疾患の経過中に、大部分の患者は、特徴的な表現型(舞踏病が挙げられる)を発症する。大部分の患者は、全身性の舞踏病およびある程度のパーキンソニズムを発症する。記憶および遂行機能の障害の頻度が高い。精神的な発現は一般的であり、統合失調症様の精神病または強迫性障害(OCD)として現れ得る。有棘赤血球舞踏病は通常、15~30年かけてゆっくりと進行するが、発作または自律神経系の関与によっておそらく引き起こされる突然死が起こり得る。
【0142】
有棘赤血球舞踏病は、コレイン(chorein)をコードするVPS13A遺伝子における種々の変異によって引き起こされる。明白な遺伝子型-表現型の相関は観察されていない。この状態は、常染色体劣性パターンで遺伝し、このことは、各細胞における遺伝子の両方のコピーが変異を有することを意味する。常染色体劣性状態を有する個体の両親は各々、変異した遺伝子の1コピーを有するが、彼らは代表的には、該状態の徴候および症状を示さない。現在利用可能である、治癒的なまたは疾患を緩和する処置はなく、管理は、純粋に対症的である。従って、有棘赤血球舞踏病およびその関連症状を処置するために、新たな治療剤を開発する必要性がある。
【0143】
よって、本明細書で開示されるとおりの種々の実施形態において、薬学的に有効な量の、本明細書で記載されるVMAT2インヒビターまたはこれを含む薬学的組成物を、多動性運動障害の処置を必要とする被験体に投与することによる、それを必要とする被験体において多動性運動障害を処置するための方法が提供される。1つの実施形態において、多動性運動障害は、遅発性ジスキネジア、トゥレット症候群、ハンチントン病、ハンチントン病と関連する舞踏病、またはチックである。他の実施形態において、多動性運動障害は、運動失調、舞踏病、ジストニア、片側顔面痙攣、ミオクローヌス、下肢静止不能症候群、または振戦である。
【0144】
他の実施形態において、薬学的に有効な量の、本明細書で記載されるVMAT2インヒビターまたはこれを含む薬学的組成物を、神経学的および/または精神的な疾患および障害の処置を必要とする被験体に投与することによる、それを必要とする被験体において神経学的および/または精神的な疾患および障害を処置するための方法が提供される。
【0145】
1つの実施形態において、神経学的および/または精神的な疾患または障害は、多動性運動障害、気分障害、双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害、気分障害における躁病、気分障害における鬱病、難治性強迫障害、レッシュ・ナイハン症候群と関連する神経機能障害、アルツハイマー病と関連する興奮、脆弱X症候群もしくは脆弱X関連振戦-失調症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、または有棘赤血球舞踏病である。
【0146】
いくつかの実施形態において、神経学的または精神的な疾患または障害は、多動性運動障害である。
【0147】
いくつかの実施形態において、多動性運動障害は、遅発性ジスキネジアである。
【0148】
いくつかの実施形態において、多動性運動障害は、トゥレット症候群である。
【0149】
いくつかの実施形態において、多動性運動障害は、ハンチントン病である。
【0150】
いくつかの実施形態において、多動性運動障害は、チックである。
【0151】
いくつかの実施形態において、多動性運動障害は、ハンチントン病と関連する舞踏病である。
【0152】
いくつかの実施形態において、多動性運動障害は、運動失調、舞踏病、ジストニア、片側顔面痙攣、ハンチントン病、ミオクローヌス、下肢静止不能症候群、または振戦である。
【0153】
いくつかの実施形態において、神経学的または精神的な疾患または障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)と関連する限定的および常同的な行動である。
【0154】
いくつかの実施形態において、神経学的または精神的な疾患または障害は、強迫性障害(OCD)を有する部分的応答者および非応答者(または完全に難治性)における強迫観念および強迫行為である。いくつかの実施形態において、神経学的または精神的な疾患または障害は、強迫性障害(OCD)を有する部分的応答者および非応答者(または完全に難治性)における強迫観念および強迫行為であり、本明細書で記載される化合物は、補助療法として投与される。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される化合物は、一次療法が抗鬱剤での処置であって、補助療法として投与される。
【0155】
いくつかの実施形態において、神経学的または精神的な疾患または障害は、双極I型障害である。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される化合物は、双極I型障害の処置のために単剤療法として投与される。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される化合物は、双極I型障害の処置のために維持療法として投与される。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される化合物は、双極I型障害の処置のために単剤療法維持療法として投与される。
【0156】
別の実施形態において、本明細書で記載されるVMAT2インヒビターは、哺乳動物の身体内で、ヒトモノアミントランスポーターアイソフォーム2を阻害し得る化合物へと加水分解され得る。よって、これらVMAT2インヒビターは、哺乳動物における代謝物質のインビボ特性の変更においてさらなる有用性を有し得る(例えば、最大濃度または作用の継続時間)。
【0157】
別の実施形態において、1つまたはそれより多くのモノアミン再取り込みインヒビター(すなわち、VMAT2インヒビター)を含む薬学的組成物が、開示される。投与目的で、本明細書で記載されるVMAT2インヒビターは、薬学的組成物として製剤化され得る。薬学的組成物は、本明細書で記載される1つまたはそれより多くのモノアミン再取り込みインヒビターおよび1つまたはそれより多くの薬学的に受容可能な賦形剤および/または希釈剤を含む。VMAT2インヒビターは、特定の障害を処置するのに有効な量で--すなわち、中枢神経系におけるモノアミンの供給を低減するのに十分な量で、そして好ましくは患者に受容可能な毒性で、前記組成物中に存在する。適切な濃度および投与量は、当業者によって容易に決定され得る。
【0158】
本明細書で記載されるVMAT2インヒビターのうちのいずれかの特徴付けは、本明細書でおよび当該分野で記載される方法を使用して決定され得る。例えば、ドパミン枯渇は、自発運動活性(locomotor activity)(LMA)アッセイを使用して決定され得る。別のインビボ動物モデルとしては、条件回避応答(conditioned avoidance response)(CAR)検査が挙げられ、これは、化合物の抗精神病活性を評価するための有効かつ信頼性の高い前臨床モデルであることが示されている。
【0159】
神経学的または精神的な疾患または障害の処置において使用するための医薬の生成のための本明細書で記載されるとおりのVMAT2インヒビターもまた、提供される。
【0160】
治療によるヒトまたは動物の身体の処置方法において使用するための、本明細書で記載されるとおりのVMAT2インヒビターまたは本明細書で記載されるとおりの薬学的組成物もまた、提供される。
【0161】
治療によるヒトまたは動物の身体における神経学的または精神的な疾患または障害の処置のための方法において使用するための、本明細書で記載されるとおりのVMAT2インヒビターまたは本明細書で記載されるとおりの薬学的組成物もまた、提供される。
【0162】
本開示は、神経学的障害および疾患(例えば、多動性運動障害)を処置するための方法において使用するための、1つまたはそれより多くの本明細書で記載される化合物ならびに1つまたはそれより多くの薬学的に受容可能な賦形剤および/または希釈剤を含む薬学的組成物をさらに提供する。
【0163】
薬学的に受容可能な賦形剤および/または希釈剤は、当業者が精通している。液体の液剤として製剤化される組成物に関しては、受容可能なキャリアおよび/または希釈剤として、食塩水および滅菌水が挙げられ、必要に応じて、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および他の一般的な添加剤が挙げられ得る。組成物はまた、VMAT2インヒビターに加えて、希釈剤、分散剤および界面活性剤、結合剤、ならびに滑沢剤を含む、丸剤、カプセル剤、粒剤、または錠剤としても製剤化され得る。当業者は、VMAT2インヒビターを適切な様式で、受容された実務(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Gennaro編, Mack Publishing Co., Easton, PA 1990に開示されるもの)に従ってさらに製剤化し得る。
【0164】
本明細書で提供される薬学的組成物は、即時放出または改変された放出の剤形(遅延放出の、徐放性の、パルス状の放出の、制御された放出の、標的化された放出の、およびプログラムされた放出の形態が挙げられる)として製剤化され得る。薬学的組成物はまた、移植されるデポーとしての投与のために、懸濁物、固体、半固体、またはチキソトロピック液体として製剤化され得る。
【0165】
本明細書で提供される薬学的組成物は、単位剤形または複数剤形で提供され得る。単位剤形は、本明細書で使用される場合、ヒトおよび動物被験体への投与に適しており、当該分野で公知であるように個別にパッケージされた物理的に別個の単位を意味する。各単位用量は、その必要とされる薬学的キャリアまたは賦形剤と関連付けて、その望ましい治療効果を生じるために十分な所定の量の活性成分を含む。単位剤形の例としては、アンプル、シリンジ、ならびに個別にパッケージされた錠剤およびカプセル剤が挙げられる。単位剤形は、その分数または倍数で投与されてもよい。複数剤形は、分離した単位剤形において投与されるように、単一の容器中にパッケージされた、同一の複数の単位剤形である。複数単位剤形の例としては、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤のボトル、またはパイントボトル(bottle of pint)もしくはガロンボトル(bottle of gallon)が挙げられる。
【0166】
本明細書で提供される薬学的組成物は、単独で、または1つもしくはそれより多くの他の本明細書で提供される化合物、1つもしくはそれより多くの他の活性成分と組み合わせて、投与され得る。本明細書で提供される薬学的組成物は、経口、非経口、および局所投与のための種々の剤形で製剤化され得る。その薬学的組成物はまた、改変された放出剤形(遅延された、長期間の(extended)、延長した(prolonged)、持続した(sustained)、拍動性の(pulsatile)、制御された(controlled)、加速された(accelerated)、および迅速な(fast)、標的化された、プログラムされた放出の、ならびに胃貯留(gastric retention)の剤形が挙げられる)として製剤化され得る。これらの剤形は、当業者に公知の従来の方法および技術に従って調製され得る。本明細書で提供される薬学的組成物は、一度に、または時間間隔をあけて複数回、投与され得る。処置の正確な投与量および継続時間が、処置されている患者の年齢、体重、および状態とともに変動し得、公知の検査プロトコルを使用して経験的に、またはインビボまたはインビトロでの検査または診断データからの外挿によって決定され得ることは、理解される。任意の特定の個体のために、具体的な投薬レジメンが、その個体の必要性、その製剤を投与する人またはその投与を監督する人の専門的判断に従って時間を経て調節されるべきであることは、さらに理解される。
【0167】
経口投与
本明細書で提供される薬学的組成物は、経口投与のための固体、半固体、または液体の剤形で提供され得る。本明細書で使用される場合、経口投与としてはまた、口内、舌、および舌下投与が挙げられる。適切な経口剤形としては、錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ、ロゼンジ、芳香錠(pastille)、カシェ剤、ペレット、薬用チューインガム(medicated chewing gum)、顆粒剤、バルク散剤、発泡性もしくは非発泡性の散剤もしくは顆粒剤、液剤、エマルジョン、懸濁物、液剤、ウェハ、散剤(sprinkle)、エリキシル剤、およびシロップ剤が挙げられるが、これらに限定されない。その活性成分に加えて、薬学的組成物は、1つまたはそれより多くの薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤(結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤(glidant)、着色剤、色素移動インヒビター(dye-migration inhibitor)、甘味剤、および矯味矯臭剤が挙げられるが、これらに限定されない)を含み得る。
【0168】
結合剤または造粒剤(granulator)は、錠剤に粘着性を付与して、錠剤が、圧縮後に無傷なままであることを担保する。適切な結合剤または造粒剤としては、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびα化デンプン(例えば、STARCH 1500));ゼラチン;糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、糖蜜、およびラクトース);天然および合成のガム(例えば、アカシア、アルギン酸、アルギネート、アイリッシュモス抽出物、パンワールガム(Panwar gum)、ガティーガム(ghatti gum)、インドオオバコ種皮の粘着物(mucilage of isabgol husk)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、Veegum、カラマツアラボガラクタン)(larch arabogalactan)、粉末化トラガカント、およびグアーガム);セルロース(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);微結晶性セルロース(例えば、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corp.、Marcus Hook, PA);ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、粉末化セルロース、デキストレート(dextrate)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。その結合剤または充填剤は、本明細書で提供される薬学的組成物中に約50重量%~約99重量%存在し得る。
【0169】
適切な希釈剤としては、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、ソルビトール、スクロース、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、および粉糖が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の希釈剤(例えば、マンニトール、ラクトース、ソルビトール、スクロース、およびイノシトール)は、十分量で存在する場合、いくらかの圧縮した錠剤に、噛むことによって口中での崩壊を可能にする特性を付与し得る。このような圧縮された錠剤は、チュアブル錠として使用され得る。
【0170】
適切な崩壊剤としては、アガー;ベントナイト;セルロース(例えば、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース);木質製品;天然のスポンジ;カチオン交換樹脂;アルギン酸;ガム(例えば、グアーガムおよびVee gum HV);柑橘類の髄(citrus pulp);架橋セルロース(例えば、クロスカルメロース);架橋ポリマー(例えば、クロスポビドン);架橋デンプン;炭酸カルシウム;微結晶性セルロース(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム);ポラクリリンカリウム;デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、およびα化デンプン);クレイ;アルギン(aligns);およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で提供される薬学的組成物中の崩壊剤の量は、製剤のタイプに応じて変動し、当業者によって容易に認識できる。本明細書で提供される薬学的組成物は、約0.5~約15重量%または約1~約5重量%の崩壊剤を含み得る。
【0171】
適切な滑沢剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;鉱油;軽油(light mineral oil);グリセリン;ソルビトール;マンニトール;グリコール(例えば、ベヘン酸グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG));ステアリン酸;ラウリル硫酸ナトリウム;タルク;水素添加植物油(ラッカセイ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、およびダイズ油が挙げられる);ステアリン酸亜鉛;オレイン酸エチル;ラウリン酸エチル;アガー;デンプン;ヒカゲノカズラ(lycopodium);シリカもしくはシリカゲル(例えば、AEROSIL(登録商標)200(W. R. Grace Co., Baltimore, MD)およびCAB-0-SIL(登録商標)(Cabot Co. of Boston, MA));ならびにこれらの混合物。本明細書で提供される薬学的組成物は、約0.1~約5重量%の滑沢剤を含み得る。適切な流動促進剤としては、コロイド性二酸化ケイ素、CAB-0-SIL(登録商標)(Cabot Co. of Boston, MA)、およびアスベスト非含有タルクが挙げられる。着色剤としては、承認された、認定された、水溶性のFD&C色素、および水酸化アルミニウムに懸濁された水に不溶性のFD&C色素、およびレーキ着色料(color lake)ならびにこれらの混合物のいずれかが挙げられる。レーキ着色料は、水溶性色素を重金属の含水酸化物に吸着させ、その色素の不溶性形態を生じることによる組み合わせである。矯味矯臭剤としては、植物(例えば、果実)から抽出された天然のフレーバー、および心地の良い味覚を生じる化合物の人工的なブレンド(例えば、ペパーミントおよびサリチル酸メチル)が挙げられる。甘味剤としては、スクロース、ラクトース、マンニトール、シロップ、グリセリン、および人工甘味料(例えば、サッカリンおよびアスパルテーム)が挙げられる。適切な乳化剤としては、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、および界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標) 20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80(TWEEN(登録商標) 80)、およびトリエタノールアミンオレエートが挙げられる。懸濁剤および分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、Veegum、アカシア、カルボメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが挙げられる。保存剤としては、グリセリン、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウムおよびアルコールが挙げられる。湿潤剤としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート、およびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。溶媒としては、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、およびシロップが挙げられる。エマルジョンにおいて利用される非水性液体の例としては、鉱油および綿実油が挙げられる。有機酸としては、クエン酸および酒石酸が挙げられる。二酸化炭素の供給源としては、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0172】
多くのキャリアおよび賦形剤は、同じ製剤内ですら、いくつかの機能を果たし得ることは、理解されるべきである。本明細書で提供される薬学的組成物は、圧縮錠剤、錠剤粉砕物(tablet triturate)、チュアブルロゼンジ、迅速に溶解する錠剤、多重圧縮錠剤(multiple compressed tablet)、または腸溶性コーティング錠剤、糖コーティングもしくはフィルムコーティング錠剤として提供され得る。腸溶性コーティングされた錠剤は、胃酸の作用に耐えるが、腸では溶解または崩壊し、従って、活性成分を胃の酸性環境から守る物質でコーティングされた圧縮錠剤である。腸溶性コーティングとしては、脂肪酸、脂肪、フェニルサリチレート、ワックス、シェラック、アンモニア処理シェラック(ammoniated shellac)、および酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。糖コーティング錠剤は、糖コーティングによって囲まれた圧縮錠剤であり、これは、不愉快な味または臭いを包み隠し、その錠剤を酸化から守るにあたって有益であり得る。フィルムコーティング錠剤は、水溶性材料の薄い層またはフィルムで覆われた圧縮錠剤である。フィルムコーティングとしては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、および酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。フィルムコーティングは、糖コーティングと同じ一般的特性を付与する。多重圧縮錠剤は、1回より多くの圧縮サイクルによって作製された圧縮錠剤(層化錠剤が挙げられる)、および圧縮コーティングされた(press-coated)錠剤または有核錠(dry-coated tablet)である。
【0173】
その錠剤剤形は、粉末化された、結晶性の、または顆粒状の形態にある活性成分から、単独でまたは本明細書で記載される1つもしくはそれより多くのキャリアもしくは賦形剤(結合剤、崩壊剤、制御放出ポリマー、滑沢剤、希釈剤、および/または着色剤が挙げられる)と組み合わせて、調製され得る。矯味矯臭剤および甘味剤は、チュアブル錠およびロゼンジの形成において特に有用である。
【0174】
本明細書で提供される薬学的組成物は、軟質および硬質のカプセル剤として提供され得、これは、ゼラチン、メチルセルロース、デンプン、またはアルギン酸カルシウムから作製され得る。その硬質ゼラチンカプセル剤(乾式充填カプセル剤(DFC)としても公知)は、2つのセクションからなり、一方を他方に被せ、従って、活性成分を完全に封入する。その軟カプセル剤(SEC)は、軟らかい球状の殻(例えば、ゼラチン殻)であり、この殻は、グリセリン、ソルビトール、または類似のポリオールの添加によって可塑化されている。その軟質のゼラチン殻は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含み得る。適切な保存剤は、本明細書で記載されるとおりのもの(メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにソルビン酸が挙げられる)である。本明細書で提供される液体、半固体、および固体の剤形は、カプセル剤中に被包され得る。適切な液体および半固体の剤形としては、プロピレンカーボネート、植物油、またはトリグリセリド中の液剤および懸濁物が挙げられる。そのカプセル剤はまた、その活性成分の溶解を改変または持続するために、当業者によって公知のようにコーティングされ得る。
【0175】
本明細書で提供される薬学的組成物は、液体および半固体の剤形(エマルジョン、液剤、懸濁物、エリキシル剤、およびシロップ剤が挙げられる)において提供され得る。エマルジョンは、2層システムであり、このシステムにおいて一方の液体は、もう一方の液体全体の中に小さな球状物の形態で分散され、水中油型または油中水型であり得る。エマルジョンは、薬学的に受容可能な非水性の液体または溶媒、乳化剤、および保存剤を含み得る。懸濁物は、薬学的に受容可能な懸濁剤および保存剤を含み得る。水性アルコール性液剤は、薬学的に受容可能なアセタール(例えば、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール(例えば、アセトアルデヒドジエチルアセタール));および1つまたはそれより多くのヒドロキシル基を有する水混和性溶媒(例えば、プロピレングリコールおよびエタノール)を含み得る。エリキシル剤は、透明な、甘味のある、含水アルコール液剤である。シロップ剤は、糖(例えば、スクロース)の濃縮水性溶液であり、保存剤も含み得る。液体剤形に関しては、例えば、ポリエチレングリコール中の液剤は、投与のために便利に測定されるのに十分な量の薬学的に受容可能な液体キャリア(例えば、水)で希釈され得る。
【0176】
他の有用な液体および半固体の剤形としては、本明細書で提供される活性成分を含むもの、およびジアルキル化モノまたはポリアルキレングリコール(1,2-ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテルが挙げられ、ここで350、550、および750とは、ポリエチレングリコールのおよその平均分子量を意味する)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの製剤は、1つまたはそれより多くの抗酸化剤(例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、ビスルファイト、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオジプロピオン酸およびそのエステル、ならびにジチオカルバメートをさらに含み得る。
【0177】
経口投与のための本明細書で提供される薬学的組成物はまた、リポソーム、ミセル、マイクロスフェア、またはナノシステムの形態で提供され得る。
【0178】
本明細書で提供される薬学的組成物は、液体剤形へと再構成されるように、非発泡性または発泡性の、顆粒剤および散剤として提供され得る。非発泡性の顆粒剤または散剤において使用される薬学的に受容可能なキャリアおよび賦形剤は、希釈剤、甘味剤、および湿潤剤を含み得る。発泡性の顆粒剤または散剤において使用される薬学的に受容可能なキャリアおよび賦形剤は、有機酸および二酸化炭素の供給源を含み来る。着色剤および矯味矯臭剤は、上記の剤形の全てにおいて使用され得る。本明細書で提供される薬学的組成物は、即時放出または改変された放出剤形(遅延された、持続した、拍動型の(pulsed)、制御された、標的化された、およびプログラムされた放出の形態が挙げられる)として製剤化され得る。
【0179】
本明細書で提供される薬学的組成物は、望ましい治療作用を損なわない他の活性成分と、または望ましい作用を補う物質(例えば、制酸薬、プロトンポンプインヒビター、およびH2-レセプターアンタゴニスト)と、共製剤化され得る。
【0180】
本明細書で提供される薬学的組成物は、局所または全身投与のために、注射、注入、または移植によって非経口投与され得る。非経口投与としては、本明細書で使用される場合、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、髄腔内投与、脳室内(intraventricular)投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与、滑液包内投与、および皮下投与が挙げられる。
【0181】
非経口投与
本明細書で提供される薬学的組成物は、非経口投与に適した任意の剤形(液剤、懸濁物、エマルジョン、ミセル、リポソーム、マイクロスフェア、ナノシステム、および注射前に液体中の液剤もしくは懸濁物に適した固体形態が挙げられる)において製剤化され得る。このような剤形は、薬学の当業者に公知の従来の方法に従って調製され得る。
【0182】
非経口投与が意図された薬学的組成物は、1つまたはそれより多くの薬学的に受容可能なキャリアおよび賦形剤(水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の増殖に対する抗微生物剤または保存剤、安定化剤、溶解増強剤、等張剤(isotonic agent)、緩衝化剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤および分散剤、湿潤剤または乳化剤、錯化剤、封鎖剤またはキレート化剤、凍結保護物質(cryoprotectant)、凍結乾燥保護物質(lyoprotectant)、濃化剤、pH調節剤、および不活性ガスが挙げられるが、これらに限定されない)を含み得る。
【0183】
適切な水性ビヒクルとしては、水、食塩水、生理食塩水またはリン酸緩衝化食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性デキストロース注射液、注射用滅菌水、デキストロースおよび乳酸添加リンゲル注射液が挙げられるが、これらに限定されない。非水性ビヒクルとしては、植物起源の不揮発性油、ヒマシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、ラッカセイ油、ペパーミント油、ベニバナ油、ゴマ油、ダイズ油、水素添加植物油、水素添加ダイズ油、およびココナツ油の中鎖トリグリセリド、およびパーム核油(palm seed oil)が挙げられるが、これらに限定されない。水混和性ビヒクルとしては、エタノール、1,3-ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300およびポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、およびジメチルスルホキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
適切な抗微生物剤または保存剤としては、フェノール、クレゾール、水銀含有物質(mercurial)、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p-ヒドロキシ安息香酸メチルおよびp-ヒドロキシ安息香酸プロピル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切な等張剤としては、塩化ナトリウム、グリセリン、およびデキストロースが挙げられるが、これらに限定されない。適切な緩衝化剤としては、ホスフェートおよびシトレートが挙げられるが、これらに限定されない。適切な抗酸化剤は、本明細書で記載されるもの(ビスルファイトおよびメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる)である。適切な局所麻酔剤としては、塩酸プロカインが挙げられるが、これらに限定されない。適切な懸濁剤および分散剤は、本明細書で記載されるもの(カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが挙げられる)である。適切な乳化剤としては、本明細書で記載されるもの(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80、およびトリエタノールアミンオレエートが挙げられる)が挙げられる。適切な封鎖剤またはキレート化剤としては、EDTAが挙げられるが、これらに限定されない。適切なpH調節剤としては、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、および乳酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切な錯化剤としては、シクロデキストリン(α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル 7-β-シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標), CyDex, Lenexa, KS)が挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0185】
本明細書で提供される薬学的組成物は、単一投与量または複数投与量の投与のために製剤化され得る。その単一投与製剤は、アンプル、バイアル、またはシリンジにパッケージされる。その複数投与量の非経口製剤は、静菌性または静真菌性の濃度で抗微生物剤を含まなければならない。全ての非経口製剤は、当該分野で公知かつ実施されるように、無菌でなければならない。
【0186】
ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、使用準備のできた滅菌液剤として提供される。ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、使用前にビヒクルで再構成されるように、滅菌乾燥可溶性製品(凍結乾燥散剤および皮下錠剤(hypodermic tablet)が挙げられる)として提供される。ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、使用準備のできた滅菌懸濁物として提供される。ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、使用前にビヒクルで再構成されるように、滅菌乾燥不溶性製品として提供される。ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、使用準備のできた滅菌エマルジョンとして提供される。
【0187】
本明細書で提供される薬学的組成物は、即時放出または改変された放出剤形(遅延された、持続した、拍動型の、制御された、標的化された、およびプログラムされた放出の形態が挙げられる)として製剤化され得る。
【0188】
その薬学的組成物は、移植されるデポーとしての投与のために、懸濁物、固体、半固体、またはチキソトロピー液体として製剤化され得る。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される薬学的組成物は、固体不活性マトリクス中に分散され、これは、体液に不溶性であるが、その薬学的組成物中の活性成分がそれを通って拡散することを可能にする外側ポリマー膜によって囲まれている。
【0189】
適切な内側マトリクスとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化もしくは非可塑化ポリビニルクロリド、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー(例えば、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、および架橋された部分加水分解ポリビニルアセテート)が挙げられる。
【0190】
適切な外側ポリマー膜としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリビニルクロリド、ビニルアセテート、ビニリデンクロリド、エチレンおよびプロピレンとのビニルクロリドコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/ビニルアセテート/ビニルアルコールターポリマー、ならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーが挙げられる。
【0191】
局所投与
本明細書で提供される薬学的組成物は、皮膚、開口部、または粘膜に局所投与され得る。その局所投与としては、本明細書で使用される場合、(皮内)経皮投与、結膜投与、角膜内投与、眼内投与、眼投与、耳投与、経皮投与、鼻投与、膣投与、尿道(uretheral)投与、呼吸器投与、および直腸投与が挙げられる。
【0192】
本明細書で提供される薬学的組成物は、局所効果または全身効果のために、局所投与に適している任意の剤形(エマルジョン、液剤、懸濁物、クリーム剤、ゲル、ヒドロゲル、軟膏剤、散剤(dusting powder)、包帯剤、エリキシル剤、ローション剤、懸濁物、チンキ剤、パスタ剤、泡沫物、フィルム、エアロゾル、灌注(irrigation)、スプレー、坐剤、包帯、皮膚パッチが挙げられる)で製剤化され得る。本明細書で提供される薬学的組成物の局所製剤はまた、リポソーム、ミセル、マイクロスフェア、ナノシステム、およびこれらの混合物を含み得る。
【0193】
本明細書で提供される局所製剤における使用に適した薬学的に受容可能なキャリアおよび賦形剤としては、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の増殖に対する抗微生物剤もしくは保存剤、安定化剤、溶解増強剤、等張剤、緩衝化剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤および分散剤、湿潤剤もしくは乳化剤、錯化剤、封鎖剤もしくはキレート化剤、浸透増強剤、凍結保護物質、凍結乾燥保護物質、濃化剤、ならびに不活性ガスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0194】
薬学的組成物はまた、エレクトロポレーション、イオン導入、フォノフォレシス、ソノフォレシスおよびマイクロニードルまたは針なし注射(例えば、POWDERJECTTM(Chiron Corp.,Emeryville,CA)、ならびにBIOJECTTM(Bioject Medical Technologies Inc.,Tualatin,OR)によって局所投与され得る。
【0195】
本明細書で提供される薬学的組成物は、軟膏剤、クリーム剤、およびゲルの形態で提供され得る。適切な軟膏ビヒクルとしては、油性または炭化水素基剤(例えば、ラード、安息香ラード(benzoinated lard)、オリーブ油、綿実油、および他の油、白色ワセリンが挙げられる);乳化可能もしくは吸収基剤(例えば、親水性ワセリン、ヒドロキシステアリンスルフェート(hydroxystearin sulfate)、および無水ラノリン);水分除去可能基剤(water-removable base)(例えば、親水性軟膏剤);水溶性軟膏基剤(種々の分子量のポリエチレングリコールが挙げられる);エマルジョン基剤、油中水(W/O)型エマルジョンまたは水中油(O/W)型エマルジョンのいずれか(セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、ラノリン、およびステアリン酸を含む)が挙げられる。これらのビヒクルは、皮膚を柔らかくするが、概して抗酸化剤および保存剤の添加を要する。
【0196】
適切なクリーム基剤は、水中油型または油中水型であり得る。クリームビヒクルは、水で洗浄可能であり得、油相、乳化剤、および水相を含み得る。その油相はまた、「内部」相といわれ、この相は概して、ワセリンおよび脂肪アルコール(例えば、セチルアルコールまたはステアリルアルコール)から構成される。その水相は通常、必ずしもではないものの、容積においてその油相を上回り、概して保水剤を含む。クリーム製剤中の乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、または両性の界面活性剤であり得る。
【0197】
ゲルは、半固体の懸濁物タイプシステムである。単相ゲルは、液体キャリア全体に実質的に均一に分散した有機高分子を含む。適切なゲル化剤は、架橋アクリル酸ポリマー(例えば、カルボマー、カルボキシポリアルキレン、Carbopol(登録商標));親水性ポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、およびポリビニルアルコール);セルロースポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、およびメチルセルロース);ガム(例えば、トラガカントおよびキサンタンガム);アルギン酸ナトリウム、およびゼラチンが挙げられる。均一なゲルを調製するために、分散剤(例えば、アルコールまたはグリセリン)が添加され得るか、またはそのゲル化剤は、研和、機械的混合、および/または撹拌によって分散され得る。
【0198】
本明細書で提供される薬学的組成物は、直腸に、尿道に、膣に、または膣周辺に、坐剤、ペッサリー、ブジー、湿布またはパップ剤、パスタ剤、散剤、包帯剤、クリーム剤、硬膏、避妊薬、軟膏剤、液剤、エマルジョン、懸濁物、タンポン、ゲル、泡沫物、スプレー、または浣腸の形態で投与され得る。これらの剤形は、従来のプロセスを使用して製造され得る。
【0199】
直腸、尿道、および膣の坐剤は、身体の開口部へと挿入するための固体本体であり、これは、通常の温度では固体であるが、体温で融解または軟らかくなって、活性成分をその開口部の内部へと放出する。直腸および膣坐剤において利用される薬学的に受容可能なキャリアとしては、硬化剤(stiffening agent)(これは、本明細書で提供される薬学的組成物とともに製剤化される場合に、体温付近では融点を生じる);および本明細書で記載されるとおりの抗酸化剤(ビスルファイトおよびメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる)のようなビヒクルが挙げられる。適切なビヒクルとしては、カカオ脂(cocoa butter)(カカオ脂(theobroma oil))、グリセリン-ゼラチン、カルボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、鯨蝋、パラフィン、白色ワックス(white wax)および黄色ワックス(yellow wax)、ならびに脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドの適切な混合物、ヒドロゲル(例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリル酸);グリセリンゼラチン(glycerinated gelatin)が挙げられるが、これらに限定されない。種々のビヒクルの組み合わせが使用され得る。直腸および膣坐剤は、圧縮法または成形によって調製され得る。直腸および膣坐剤の代表的重量は、約2~3gである。
【0200】
本明細書で提供される薬学的組成物は、液剤、懸濁物、軟膏剤、エマルジョン、ゲル形成液剤、液剤のための粉末、ゲル、眼内挿入物、ならびに移植物の形態で眼に投与され得る。
【0201】
本明細書で提供される薬学的組成物は、気道へと鼻内にまたは吸入によって投与され得る。その薬学的組成物は、単独で、もしくは適切な噴霧体(例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)と組み合わせて、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(例えば、電気流体力学を使用して、微細なミストを生成するアトマイザー)、またはネブライザーを使用する送達のためのエロゾルまたは液剤の形態で提供され得る。その薬学的組成物はまた、単独でまたは不活性キャリア(例えば、ラクトースまたはリン脂質)との組み合わせで、吹送のための乾燥散剤;および点鼻剤として提供され得る。鼻内使用のために、その散剤は、生体接着剤(キトサンまたはシクロデキストリンが挙げられる)を含み得る。
【0202】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーにおいて使用するための液剤または懸濁物は、本明細書で提供される活性成分を分散、可溶化またはその放出を長期化するためのエタノール、水性エタノール、もしくは適切な代替の薬剤、溶媒としての噴霧体;および/または界面活性剤、例えば、ソルビタントリオレエート、オレイン酸、またはオリゴ乳酸を含むように製剤化され得る。
【0203】
本明細書で提供される薬学的組成物は、吸入による送達に適したサイズ(例えば、50マイクロメートル以下、または10マイクロメートル以下)へと微粒子化され得る。このようなサイズの粒子は、当業者に公知の粉砕法(例えば、スパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成する超臨界流体プロセシング、高圧ホモジナイゼーション、または噴霧乾燥)を使用して調製され得る。
【0204】
吸入器または注入器(insufflator)において使用するためのカプセル剤、ブリスターおよびカートリッジは、本明細書で提供される薬学的組成物;適切な散剤基剤(例えば、ラクトースまたはデンプン);および性能改変物質(performance modifier)(例えば、/-ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウム)の散剤混合物を含むように製剤化され得る。そのラクトースは、無水であってもよいし、一水和物の形態にあってもよい。他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが挙げられる。吸入/鼻内投与のための本明細書で提供される薬学的組成物は、適切なフレーバー(例えば、メントールおよびレボメントール)、または甘味料(例えば、サッカリンまたはサッカリンナトリウム)をさらに含み得る。
【0205】
局所投与のための本明細書で提供される薬学的組成物は、即時放出または改変された放出(遅延された、持続した、拍動型の、制御された、標的化された、およびプログラムされた放出が挙げられる)であるように製剤化され得る。
【0206】
改変された放出
本明細書で提供される薬学的組成物は、改変された放出剤形として製剤化され得る。本明細書で使用される場合、用語「改変された放出」とは、その活性成分の放出の速度または場所が同じ経路によって投与される場合の即時剤形のものとは異なる剤形を意味する。改変された放出剤形としては、遅延された、長期間の、延長した、持続した、拍動性のもしくは拍動型の、制御された、加速された、および迅速な、標的化された、プログラムされた放出の、ならびに胃貯留の剤形が挙げられる。
【0207】
改変された放出剤形における薬学的組成物は、当業者に公知の種々の改変された放出デバイスおよび方法(マトリクス制御放出デバイス、浸透圧制御放出デバイス、多重微粒子制御放出デバイス(multiparticulate controlled release device)、イオン交換樹脂、腸溶性コーティング、多層化コーティング、マイクロスフェア、リポソーム、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)を使用して調製され得る。その活性成分の放出速度はまた、その活性成分の粒子サイズおよび多形を変動させることによって改変され得る。
【0208】
改変された放出剤形における本明細書で提供される薬学的組成物は、当業者に公知のマトリクス制御放出デバイスを使用して製作され得る。
【0209】
ある特定の実施形態において、改変された放出剤形における本明細書で提供される薬学的組成物は、侵食性マトリクスデバイス(これは、水で膨潤可能であるか、侵食性であるか、または可溶性のポリマーであり、合成ポリマー、ならびに天然に存在するポリマーおよび誘導体(例えば、ポリサッカリドおよびタンパク質)が挙げられる)を使用して製剤化され得る。
【0210】
侵食性マトリクスを形成するにあたって有用な材料としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:キチン、キトサン、デキストラン、およびプルラン;ガム アガー(gum agar)、アラビアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラギーナン、ガティーガム(gum ghatti)、グアーガム、キサンタンガム、およびスクレログルカン;デンプン(例えば、デキストリンおよびマルトデキストリン);親水性コロイド(例えば、ペクチン);ホスファチド(例えば、レシチン);アルギネート;プロピレングリコールアルギネート;ゼラチン;コラーゲンおよびセルロース質(cellulosic)(例えば、エチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、酪酸セルロース(CB)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、酢酸トリメリット酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAT)、およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC));ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ポリビニルアセテート;グリセロール脂肪酸エステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸;エタクリル酸またはメタクリル酸のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)(Rohm America, Inc., Piscataway, NJ));ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート);ポリラクチド;L-グルタミン酸およびエチル-L-グルタメートのコポリマー;分解性乳酸グリコール酸コポリマー;ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸;ならびに他のアクリル酸誘導体(例えば、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレート、および(トリメチルアミノエチル)メタクリレートクロリドのホモポリマーおよびコポリマー)。
【0211】
ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、非侵食性マトリクスデバイスで製剤化される。その活性成分は、不活性マトリクス中に溶解または分散され、一旦投与された後に、主にその不活性マトリクス全体への拡散によって放出される。非侵食性マトリクスデバイスとしての使用に適した材料としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:不溶性プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、塩素化ポリエチレン、ポリビニルクロリド、メチルアクリレート-メチルメタクリレートコポリマー、エチレン-ビニルアセテートコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、ビニルアセテート、ビニリデンクロリド、エチレンおよびプロピレンとのビニルクロリドコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/ビニルアセテート/ビニルアルコールターポリマー、ならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー、ポリビニルクロリド、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、ならびに親水性ポリマー(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドン、および架橋された部分加水分解ポリビニルアセテート);ならびに脂肪化合物(例えば、カルナウバ蝋、マイクロクリスタリンワックス、およびトリグリセリド)。
【0212】
マトリクス制御放出システムでは、所望の放出動態は、例えば、使用されるポリマータイプ、ポリマー粘性、そのポリマーおよび/またはその活性成分の粒子サイズ、そのポリマーに対する活性成分の比、ならびにその組成物中の他の賦形剤を介して制御され得る。
【0213】
改変された放出剤形における本明細書で提供される薬学的組成物は、当業者に公知の方法(直接圧縮、乾式造粒もしくは湿式造粒に続いて圧縮、溶融造粒に続いて圧縮が挙げられる)によって調製され得る。
【0214】
改変された放出剤形における本明細書で提供される薬学的組成物は、浸透圧制御放出デバイス(1チャンバシステム、2チャンバシステム、非対称膜技術(asymmetric membrane technology)(AMT)、および押し出しコアシステム(extruding core system)(ECS)が挙げられる)を使用して製作され得る。一般に、このようなデバイスは、少なくとも2つの構成要素:(a)その活性成分を含むコア;および(b)少なくとも1つの送達ポートを有する半透膜(これは、そのコアを被包する)を有する。その半透膜は、その送達ポートを通じた押し出しによる薬物放出を引き起こすために、水性の使用環境からそのコアへの水の流入を制御する。
【0215】
その活性成分に加えて、浸透デバイスのコアは、浸透圧作用物質(osmotic agent)(これは、その使用環境からそのデバイスのコアへの水の輸送の駆動力を作り出す)を必要に応じて含む。浸透圧作用物質の1つのクラスである水膨潤性親水性ポリマー(これはまた、「浸透ポリマー(osmopolymer)」および「ヒドロゲル」ともいわれる)としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:親水性ビニルおよびアクリルポリマー、ポリサッカリド(例えば、アルギン酸カルシウム)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、疎水性モノマー(例えば、メチルメタクリレートおよびビニルアセテート)とのPVA/PVPコポリマー、大きなPEOブロックを含む親水性ポリウレタン、クロスカルメロースナトリウム、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびカルボキシエチルセルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンガム、ならびにデンプングリコール酸ナトリウム。
【0216】
他のクラスの浸透圧作用物質は、オスモゲン(osmogen)であり、これは、水を吸収して、周りのコーティングの障壁を横断して浸透圧勾配に影響を及ぼし得る。適切なオスモゲンとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:無機塩(例えば、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、および硫酸ナトリウム);糖(例えば、デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、スクロース、トレハロース、およびキシリトール);有機酸(例えば、アスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p-トルエンスルホン酸、コハク酸、および酒石酸);尿素;およびこれらの混合物。
【0217】
異なる溶解速度の浸透圧作用物質は、どのようにして迅速にその活性成分をその剤形から最初に送達するかに影響を及ぼすために使用され得る。例えば、無定形糖(例えば、Mannogeme EZ(SPI Pharma, Lewes, DE))は、最初の2~3時間の間のより迅速な送達を提供して、所望の治療効果を適切に生じ、そして徐々にかつ連続して残りの量を放出して、長期間にわたって所望のレベルの治療効果もしくは予防効果を維持するために使用され得る。この場合、その活性成分は、代謝されかつ排出された活性成分の量を置き換えるために、このような速度で放出される。
【0218】
そのコアはまた、その剤形の性能を高めるか、または安定性もしくは加工処理を促進するために、本明細書で記載されるとおりの広く種々の他の賦形剤およびキャリアを含み得る。
【0219】
半透膜を形成するにあたって有用な材料としては、種々のグレードのアクリル物質、ビニル、エーテル、ポリアミド、ポリエステル、および生理学的に関連するpHにおいて水透過性かつ水不溶性であるか、または化学変化(例えば、架橋)によって水不溶性にされやすいセルロース誘導体が挙げられる。コーティングを形成するにあたって有用な適切なポリマーの例としては、以下が挙げられる:可塑化、非可塑化、および強化された酢酸セルロース(CA)、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、CAプロピオネート、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAエチルカルバメート、CAP、CAメチルカルバメート、CAスクシネート、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、CAジメチルアミノアセテート、CAエチルカーボネート、CAクロロアセテート、CAエチルオキサレート、CAメチルスルホネート、CAブチルスルホネート、CA p-トルエンスルホネート、アガーアセテート、三酢酸アミロース、βグルカンアセテート、βグルカントリアセテート、アセトアルデヒドジメチルアセテート、ローカストビーンガムのトリアセテート、ヒドロキシル化エチレン-ビニルアセテート、EC、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマー、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸およびエステルならびにポリ(メタクリル)酸およびエステルならびにそのコポリマー、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ワックスおよび合成ワックス。
【0220】
半透膜はまた、疎水性の微孔質膜であり得、ここでその孔は、ガスで実質的に充填され、水性媒体で湿らされないが、米国特許第5,798,119号に開示されるように水に透過性である。このような疎水性であるが、水透過性の膜は代表的には、疎水性ポリマー、例えば、ポリアルケン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ワックス、および合成ワックスから構成される。その半透膜上の送達ポートは、機械的またはレーザー穿孔によってコーティング後に形成され得る。送達ポートはまた、水溶性材料のプラグの浸食によって、またはコアにおける凹み(indentation)の上の膜の薄い部分を破ることによって、その場で形成され得る。さらに、送達ポートは、コーティングプロセスの間に形成され得る。
【0221】
放出される活性成分の総量および放出速度は、その半透膜の厚みおよび多孔度、そのコアの組成、ならびにその送達ポートの数、サイズ、および位置を介して実質的に調節され得る。
【0222】
浸透圧制御放出剤形における薬学的組成物は、その製剤の性能または加工処理を促進するために、本明細書に記載されるとおりのさらなる従来の賦形剤をさらに含み得る。
【0223】
その浸透圧制御放出剤形は、当業者に公知の従来の方法および技術に従って調製され得る。
【0224】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される薬学的組成物は、AMT制御放出剤形として製剤化され、これは、その活性成分および他の薬学的に受容可能な賦形剤を含むコアをコーティングする非対称浸透膜を含む。そのAMT制御放出剤形は、当業者に公知の従来の方法および技術(直接圧縮、乾式造粒、湿式造粒、および浸漬コーティング法が挙げられる)に従って調製され得る。
【0225】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される薬学的組成物は、ESC制御放出剤形として製剤化され、これは、その活性成分、ヒドロキシルエチルセルロース、および他の薬学的に受容可能な賦形剤を含むコアをコーティングする浸透膜を含む。
【0226】
改変された放出剤形における本明細書で提供される薬学的組成物は、多重微粒子制御放出デバイスとして製作され得、これは、直径が約10pm~約3mm、約50pm~約2.5mm、または約100pm~1mmの範囲に及ぶ、多数の粒子、顆粒、またはペレットを含む。このような多重微粒子は、当業者に公知のプロセス(湿式および乾式造粒、押し出し/球形化、ローラー圧縮、融解-凝固が挙げられる)によって、およびシードコアをスプレーコーティングすることによって、作製され得る。
【0227】
本明細書で記載されるとおりの他の賦形剤は、その多重微粒子を加工処理および形成することを補助するために、その薬学的組成物とブレンドされ得る。その得られた粒子は、それ自体、多重微粒子デバイスを構成し得るか、または種々のフィルム形成材料(例えば、腸溶性ポリマー、水膨潤可能なポリマー、および水溶性ポリマー)によってコーティングされ得る。その多重微粒子は、カプセル剤または錠剤としてさらに加工処理され得る。
【0228】
標的化送達
本明細書で提供される薬学的組成物はまた、処置されるべき被験体の特定の組織、レセプター、または身体の他の領域に標的化されるように製剤化され得る(リポソームベースの、再シールされた(resealed)赤血球ベースの、および抗体ベースの送達システムが挙げられる)。
【0229】
全身送達
別の実施形態において、中枢神経系または末梢神経系の障害を処置するための方法が、本明細書で提供される。本明細書で使用される場合、全身投与は、経口投与方法および非経口投与方法を含む。経口投与に関して、適切な薬学的組成物としては、散剤、粒剤、丸剤、錠剤およびカプセル剤、ならびに液体、シロップ剤、懸濁物、およびエマルジョンが挙げられる。これらの組成物はまた、矯味矯臭剤、保存剤、懸濁剤、濃化剤および乳化剤、ならびに他の薬学的に受容可能な添加剤を含み得る。非経口投与に関しては、本明細書で記載されるVMAT2インヒビターは、該VMAT2インヒビターに加えて、緩衝剤、抗酸化剤、静菌剤、およびこのような液剤において一般に使用される他の添加剤を含み得る水性注射用液剤に調製され得る。
【0230】
投与量
チック障害または他の状態、VMAT2阻害と関連する障害または疾患の1つまたはそれより多くの症状の処置、防止、または改善において、適切な投与量レベルは、一般に、約0.001~100mg/kg 患者体重/日(mg/kg/日)、約0.01~約80mg/kg/日、約0.1~約50mg/kg/日、約0.5~約25mg/kg/日、または約1~約20mg/kg/日であり、これは、単一用量または複数用量で投与され得る。この範囲内では、その投与量は、0.005~0.05mg/kg/日、0.05~0.5mg/kg/日、または0.5~5.0mg/kg/日、1~15mg/kg/日、1~20mg/kg/日、または1~50mg/kg/日であり得る。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約0.001~100mg/kg/日である。
【0231】
ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約25~100mg/kg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約0.01~約40mg/kg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約0.1~約80mg/kg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約0.1~約50mg/kg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約0.1~約40mg/kg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約0.5~約80mg/kg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約0.5~約40mg/kg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約0.5~約25mg/kg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約1~約80mg/kg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約1~約75mg/kg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約1~約50mg/kg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約1~約40mg/kg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約1~約25mg/kg/日である。
【0232】
ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約5.0~150mg/日であり、ある特定の実施形態において、10~100mg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約80mg/日である。ある特定の実施形態において、投与量レベルは、約40mg/日である。
【0233】
経口投与に関しては、その薬学的組成物は、その処置されるべき患者に対するその投与量の対症的調節のために、1.0~1,000mgの活性成分、特に、約1mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約75mg、約80mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約750mg、約800mg、約900mg、および約1,000mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、約100mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、約80mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、約75mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、約50mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、約40mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、約25mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。その組成物は、1~4回/日のレジメン(1回、2回、3回、および4回/日が挙げられる)で投与され得る、
【0234】
しかし、任意の特定の患者に対する投与量の具体的な投与レベルおよび頻度が変動し得、使用される具体的な化合物の活性、該化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食餌、投与様式および投与時間、排出速度、薬物の組み合わせ、その特定の状態の重篤度、ならびに治療を受けている宿主を含む種々の要因に依存することは、理解される。
【0235】
本明細書で提供される化合物はまた、本明細書で提供される化合物が有用である疾患または状態の1つまたはそれより多くの症状の処置、防止、または改善において有用な他の薬剤と合わされてもよく、該他の薬剤と組み合わせて使用されてもよい。
【0236】
このような他の薬剤、または薬物は、その一般に使用される、経路によっておよび量で、本明細書で提供される化合物と同時にまたは逐次的に投与され得る。本明細書で提供される化合物が1つまたはそれより多くの他の薬物と同時に使用される場合、本明細書で提供される化合物に加えてこのような他の薬物を含む薬学的組成物は、利用され得るが、要求はされない。よって、本明細書で提供される薬学的組成物は、本明細書で提供される化合物に加えて、1つまたはそれより多くの他の活性成分または治療剤も含むものを含む。
【0237】
本明細書で提供される化合物対その第2の活性成分の重量比は変動し得、各成分の有効用量に依存する。一般に、各々の有効用量が使用される。従って、例えば、本明細書で提供される化合物がその第2の薬物、またはそのような他の薬物を含む薬学的組成物と組み合わせて使用される場合、微粒子物対その第2の薬物の重量比は、約1,000:1~約1:1,000、または約200:1~約1:200の範囲に及び得る。
【0238】
本明細書で提供される微粒子物および他の活性成分の組み合わせはまた、一般に、前述の範囲内であり得るが、各場合において、各活性成分の有効用量が使用されるべきである。
【0239】
本開示の実施形態の例は、以下の実施例において提供される。以下の実施例は、例証によって、および本開示を使用するにあたって当業者を補助するために提示されるに過ぎない。実施例は、本開示の範囲を限定するとは決して意図されない。
【実施例
【0240】
分析法 - 超高速液体クロマトグラフィー(UPLC-MS)
プラットフォーム: Agilent 1260シリーズUPLC: オートサンプラー、UV検出器(220nMおよび254nM)、カラムサーモスタット、MS検出器(エレクトロスプレー)を備え付けた;
カラム: Waters XBridge BEH C18 XP, 2.5ミクロン, 3×50mm;
移動相: A=水, 0.025%TFA; B=アセトニトリル, 0.025%TFA;
流速: 1.5mL/分;
勾配: 1.5分間かけて10%B/90%Aから90%B/10%A、次いで、0.3分間保持、0.5分間で最初の状態に戻る;全実行時間 2.5分間;
【0241】
省略する目的で、いくつかの窒素原子および/または酸素原子は、以下の実施例において、それらの付随水素原子なしに示される(例えば、一価の、「-NH」の代わりに「-N」、および「-OH」の代わりに「-O」、ならびに二価の、「-NH-」の代わりに「-N-」)。この分野の当業者は、このような省略された指示の意味を容易に認識し、理解する。
【0242】
実施例1
【化12】
【0243】
1bの合成:
(2R)-2-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-4-メチルペンタン酸(5.7g,24.4mmol)および2-(3,4-ジメトキシフェニル)エタン-1-アミン(5.3g,29.3mmol,1.2当量)を、塩化メチレン(100mL)中に溶解させ、エチルビス(プロパン-2-イル)アミン(16.0mL,97.6mmol,4.0当量)を添加し、続いて、HATU(11.1g,29.3mmol,1.2当量)を添加した。反応物を室温において2時間撹拌し、次いで、塩化メチレンでさらに希釈し、飽和NHClで洗浄し、続いて、飽和NaHCOで洗浄した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(40g)を、塩化メチレンを使用して装填し、20分間かけてヘキサン中のEtOAcの漸増勾配(0-70%)を実行して、tert-ブチル N-[(1R)-1-{[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]カルバモイル}-3-メチルブチル]カルバメート 1a(9.7g,24.4mmol)を定量的収量で得た。tert-ブチル N-[(1R)-1-{[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]カルバモイル}-3-メチルブチル]カルバメート 1a(6.5g,16.0mmol)を、塩化メチレン(100mL)中に溶解させ、トリフルオロ酢酸(20mL)を添加した。反応が完了した後、混合物を濃縮し、塩化メチレン(100mL)に再度溶解させ、飽和NaHCOで塩基性にした。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、(2R)-2-アミノ-N-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]-4-メチルペンタンアミド 1b(4.6g,16.0mmol)を黄色油状物として定量的収量で得た。
【0244】
1cの合成:
(2R)-2-アミノ-N-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]-4-メチルペンタンアミド1b(4.6g,16.0mmol)をメタノール(100mL)中に溶解させ、2,2-ジメトキシアセトアルデヒド(水中に60重量%)(3.2mL,18.0mmol,1.1当量)を添加した。酢酸を中性になるまで添加し、次いで、触媒の10%パラジウム担持炭素を添加し、反応混合物を水素でパージし、週末にかけて撹拌した。混合物を、セライトを通して濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(40g)を、塩化メチレンを使用して装填し、20分間かけて塩化メチレン中のメタノールの漸増勾配(0~10%)を実行して、(2R)-2-[(2,2-ジメトキシエチル)アミノ]-N-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]-4-メチルペンタンアミド 1cを黄色油状物(5.8g,15.0mmol)として94%収率で得た。
【0245】
1dおよび1d.1の合成:
濃硫酸(10mL)を0℃へと冷却し、メタノール(10mL)中に溶解させた(2R)-2-[(2,2-ジメトキシエチル)アミノ]-N-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]-4-メチルペンタンアミド(5.8g,15.0mmol)を滴下添加した。反応物を室温へと加温し、一晩撹拌した。出発物質が観察されたので、反応物を2時間60℃に加熱したところ、反応は完了した。反応混合物を、氷を添加することによって冷却し、次いで、10%NaOHで塩基性にした。メタノールを真空中で除去し、化合物を塩化メチレンで抽出した(3×100mL)。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(80g)を、塩化メチレンを使用して装填し、40分間かけて塩化メチレン中のメタノールの漸増勾配(0~5%)を実行して、(3R,11bS)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-4-オン 1d(1.7g,5.3mmol)および(3R,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-4-オン 1d.1(2.1g,6.6mmol)を得た。
【0246】
1-1および1-2の合成:
(3R,11bS)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-4-オン 1d(0.6g,1.9mmol)を、無水THF(4mL)中に溶解させ、2M LAH(2.9ml,5.6mmol,3当量)を添加した。反応混合物をメタノール(1mL)でクエンチし、真空中で濃縮した。混合物を塩化メチレン(10mL)中に再度溶解させ、ブラインから抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、(3R,11bS)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン 1-1(0.5g,1.64mmol)を87%収率で得た。
【0247】
(3R,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン 1-2を、この手順を使用して作製した。
【0248】
実施例2
【化13】
【0249】
2-1の合成:
(3R,11bS)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン 1-1(10mg,0.03mmol)をDMF(0.5mL)中に溶解させ、KCO(14mg,0.1mmol,3当量)を添加し、続いて、ヨウ化エチル(2.6μL,0.3mmol,1当量)を添加した。反応は2時間後に完了し、次いで、濾過し、全容積1mLへとMeOHを使用して希釈し、分取用クロマトグラフィーに直接供して、(3R,11bS)-2-エチル-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン 2-1を得た。
【0250】
以下の表2は、この実施例に記載されるとおりの手順に従って作製した2-1および他の代表的化合物の観察された(Obs)イオンのm/z比を提供する。
【表2】
【0251】
実施例3
【化14】
【0252】
3-1の合成:
(3R,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン 1-2(10mg,0.03mmol)をDMF(0.5mL)中に溶解させ、KCO(14mg,0.1mmol,3当量)を添加し、続いて、ヨウ化エチル(2.6μL,0.3mmol,1当量)を添加した。反応は2時間後に完了し、次いで、濾過し、全容積1mLへとMeOHを使用して希釈し、分取用クロマトグラフィーに直接供して、(3R,11bR)-2-エチル-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン 3-1を得た。
【0253】
以下の表3は、この実施例に記載されるとおりの手順に従って作製した3-1および他の代表的化合物の観察された(Obs)イオンのm/z比を提供する。
【表3】
【0254】
実施例4
【化15】
【0255】
4bの合成:
(2R)-2-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-4-メチルペンタン酸(3.0g,13.0mmol,1.2当量)および5-(2-アミノエチル)-2-メトキシフェノール塩酸塩(2.2g,11.0mmol)を塩化メチレン(50mL)中に溶解させ、トリエチルアミン(4.5mL,33mmol,3.0当量)を添加し、続いて、HATU(4.9g,13.0mmol,1.2当量)を添加した。反応物を室温において一晩撹拌し、次いで、塩化メチレンでさらに希釈し、飽和NHClで洗浄し、続いて、飽和NaHCOで洗浄した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(40g)を、塩化メチレンを使用して装填し、20分間かけてヘキサン中でのEtOAcの漸増勾配(0~100%)を実行して、tert-ブチル N-[(1R)-1-{[2-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)エチル]カルバモイル}-3-メチルブチル]-カルバメート(3.9g,10.4mmol)を95%収率で得た。この中間体を、塩化メチレン(50mL)中に溶解させ、トリフルオロ酢酸(10ml)を添加した。反応が完了した後、混合物を濃縮し、塩化メチレン(100mL)中に再度溶解させ、飽和NaHCOで塩基性にした。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、(2R)-2-アミノ-N-[2-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)エチル]-4-メチルペンタンアミド4b(2.9g,10.4mmol)を黄色油状物として定量的収量で得た。
【0256】
4cの合成:
中間体4b(2.9g,10.4mmol)を、メタノール(20mL)中に溶解させ、2,2-ジメトキシアセトアルデヒド(水中に60重量%,2.0mL,11.5mmol,1.1当量)を添加した。酢酸を中性になるまで添加し、次いで、触媒の10%パラジウム担持炭素を添加し、反応混合物を水素でパージし、一晩撹拌した。混合物を、セライトを通して濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(40g)を、塩化メチレンを使用して装填し、20分間かけて塩化メチレン中のメタノールの漸増勾配(0~10%)を実行して、(2R)-2-[(2,2-ジメトキシエチル)アミノ]-N-[2-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)エチル]-4-メチルペンタンアミド4cを黄色油状物(3.9g,10.4mmol)として定量的収量で得た。
【0257】
4dおよび4d.1の合成:
濃硫酸(15ml)を0℃へと冷却し、メタノール(10mL)中に溶解させた4c(3.9g,10.7mmol)を滴下添加した。反応物を室温へと加温し、週末にかけて撹拌した。反応混合物を、氷を添加することによって冷却し、次いで、10%NaOHでちょうど塩基性にした。メタノールを真空中で除去し、化合物を塩化メチレンで抽出した(3×100mL)。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(80g)を、塩化メチレンを使用して装填し、40分間かけて塩化メチレン中のメタノールの漸増勾配(0~5%)を実行して、(3R,11bS)-9-ヒドロキシ-10-メトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-4-オン 4d(0.96g,3.2mmol)および(3R,11bR)-9-ヒドロキシ-10-メトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-4-オン 4d.1(1.1g,3.6mmol)を得た。
【0258】
4-1および4-2の合成:
中間体4d(0.33g,1.1mmol)を塩化メチレン(5mL)中に溶解させ、トリエチルアミン(0.18mL,1.3mmol,1.2当量)を添加し、続いて、ジ-tert-ブチルジカーボネート(0.28g,1.3mmol,1.2当量)を添加した。反応物を一晩撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(24g)を、塩化メチレンを使用して装填し、15分間かけてヘキサン中の酢酸エチルの漸増勾配(0~65%)を実行して、tert-ブチル (3R,11bS)-9-ヒドロキシ-10-メトキシ-3-(2-メチルプロピル)-4-オキソ-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-2-カルボキシレート(0.44g,1.1mmol)を定量的収量で得た。この中間体(0.62g,1.53mmol)を、無水THF(10mL)中に溶解させ、2M LAH(3.8ml,7.7mmol,5当量)を添加した。反応混合物を室温において2時間撹拌し、次いで、一晩70℃に加熱した。混合物を水(1mL)でクエンチし、EtOAc(20mL)で希釈した。生成物を、EtOAc(3×25ml)で、ロッシェル塩(10mL)から抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-9-オール 4-1(0.45g,1.48mmol)を96%収率で得た。
【0259】
(3R,11bR)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-9-オール 4-2もまた、この手順を使用して作製した。
【0260】
実施例5
【化16】
【0261】
5-1の合成:
(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ-[2,1-a]イソキノリン-9-オール 4-1(8.0mg,0.026mmol)をアセトン(0.5mL)中に溶解させ、CsCO(25.0mg,0.078mmol,3当量)を添加し、続いて、ブロモエタン(2.0μl,0.029mmol,1.1当量)を添加した。反応混合物を一晩50℃に加熱した。粗製混合物を濾過し、1mLへとMeOHで希釈し、分取用クロマトグラフィーに直接供して、(3R,11bS)-9-エトキシ-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]-イソキノリン 5-1を得た。
【0262】
以下の表5は、この実施例に記載されるとおりの手順に従って作製した5-1および他の代表的化合物の観察された(Obs)イオンのm/z比を提供する。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0263】
実施例6
【化17】
【0264】
6-1の合成:
(3R,11bR)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-9-オール 4-2(10.0mg,0.033mmol)をアセトン(0.5mL)中に溶解させ、CsCO(32.0mg,0.099mmol,3当量)を添加し、続いて、2-ブロモプロパン(4.7μl,0.050mmol,1.5当量)を添加した。反応混合物を一晩50℃に加熱した。粗製混合物を濾過し、1mlへとMeOHで希釈し、分取用クロマトグラフィーに直接供して、(3R,11bR)-10-メトキシ-2-メチル-3-(2-メチルプロピル)-9-(プロパン-2-イルオキシ)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン 6-1を得た。
【0265】
以下の表6は、この実施例に記載されるとおりの手順に従って作製した6-1および他の代表的化合物の観察された(Obs)イオンのm/z比を提供する。
【表6】
【0266】
実施例7
【化18】
【0267】
7bの合成:
(2R)-2-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-3-シクロブチルプロパン酸(0.86g,3.54mmol,1.0当量)および5-(2-アミノエチル)-2-メトキシフェノール塩酸塩(0.72g,3.54mmol)を、塩化メチレン(20mL)中に溶解させ、トリエチルアミン(2.0mL,14.2mmol,4.0当量)を添加し、続いて、HATU(1.6g,4.24mmol,1.2当量)を添加した。反応物を室温において一晩撹拌し、次いで、塩化メチレンでさらに希釈し、飽和NHClで洗浄し、続いて、飽和NaHCOで洗浄した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(24g)を、塩化メチレンを使用して装填し、20分間かけてヘキサン中のEtOAcの漸増勾配(0~100%)を実行して、tert-ブチル (R)-(3-シクロブチル-1-((3-ヒドロキシ-4-メトキシフェネチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(1.0g,2.57mmol)を73%収率で得た。この生成物(1.0g,2.57mmol)を塩化メチレン(20mL)中に溶解させ、トリフルオロ酢酸(3mL)を添加した。反応が完了した後、混合物を濃縮し、塩化メチレン(50mL)中に再度溶解させ、飽和NaHCOで塩基性にした。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、(2R)-2-アミノ-3-シクロブチル-N-[2-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)エチル]プロパンアミド7b(0.68g,2.33mmol)を黄色油状物として91%収率で得た。
【0268】
7cの合成:
中間体7b(0.68g,2.33mmol)をメタノール(10mL)中に溶解させ、2,2-ジメトキシアセトアルデヒド(水中に60重量%)(0.42mL,2.33mmol,1.0当量)を添加した。酢酸を中性になるまで添加し、次いで、触媒の10%パラジウム担持炭素を添加し、反応混合物を水素でパージし、一晩撹拌した。混合物を、セライトを通して濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(24g)を、塩化メチレンを使用して装填し、20分間かけて塩化メチレン中のメタノールの漸増勾配(0~10%)を実行して、(2R)-3-シクロブチル-2-[(2,2-ジメトキシエチル)アミノ]-N-[2-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)エチル]プロパンアミド7cを黄色油状物(0.80g,2.1mmol)として90%収率で得た。
【0269】
7dおよび7d.1の合成:
濃硫酸(5mL)を0℃へと冷却し、メタノール(3mL)中に溶解させた7c(0.80g,2.1mmol)を滴下添加した。反応物を室温へと加温し、一晩撹拌した。反応混合物を、氷を添加することによって冷却し、次いで、10%NaOHでちょうど塩基性にした。メタノールを真空中で除去し、化合物を塩化メチレンで抽出した(3×50mL)。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(40g)を、塩化メチレンを使用して装填し、40分間かけて塩化メチレン中のメタノールの漸増勾配(0~5%)を実行して、(3R,11bS)-3-(シクロブチルメチル)-9-ヒドロキシ-10-メトキシ-1,2,3,6,7,11b-ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[2,1-a]イソキノリン-4-オン 7d(0.28g,0.88mmol)および(3R,11bR)-3-(シクロブチルメチル)-9-ヒドロキシ-10-メトキシ-1,2,3,6,7,11b-ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[2,1-a]イソキノリン-4-オン 7d.1(0.25g,0.79mmol)を得た。
【0270】
7-1および7-2の合成:
中間体7d(0.28g,0.88mmol)を塩化メチレン(5mL)中に溶解させ、トリエチルアミン(0.18mL,1.3mmol,1.5当量)を添加し、続いて、ジ-tert-ブチルジカーボネート(0.12g,0.97mmol,1.1当量)を添加した。反応物を一晩撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(12g)を、塩化メチレンを使用して装填し、15分間かけてヘキサン中の酢酸エチルの漸増勾配(0~65%)を実行して、tert-ブチル (3R,11bS)-3-(シクロブチルメチル)-9-ヒドロキシ-10-メトキシ-4-オキソ-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-2-カルボキシレート(0.28g,0.67mmol)を76%収率で得た。この生成物(0.28g,0.67mmol)を無水THF(5mL)中に溶解させ、2M LAH(1.7mL 3.4mmol,5当量)を添加した。反応混合物を室温において2時間撹拌し、次いで、一晩70℃に加熱した。混合物を水(1mL)でクエンチし、EtOAc(20mL)で希釈した。生成物をEtOAc(3×25mL)でロッシェル塩(10mL)から抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、(3R,11bS)-3-(シクロブチルメチル)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-9-オール 7-1(0.17g,1.48mmol)を80%収率で得た。
【0271】
(3R,11bR)-3-(シクロブチルメチル)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-9-オール 7-2もまた、この手順を使用して作製した。
【0272】
実施例8
【化19】
【0273】
8-1の合成:
生成物7-1(8.0mg,0.026mmol)をアセトン(0.5mL)中に溶解させ、CsCO(25.0mg,0.078mmol,3当量)を添加し、続いて、1-ブロモ-3-フルオロプロパン(11mg,0.075mmol,3.0当量)を添加した。反応混合物を1時間50℃に加熱した。粗製混合物を濾過し、1mLへとMeOHで希釈し、分取用クロマトグラフィーに直接供して、(3R,11bS)-3-(シクロブチルメチル)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン 8-1を得た。
【0274】
以下の表8は、この実施例に記載されるとおりの手順に従って作製した8-1および他の代表的化合物の観察された(Obs)イオンのm/z比を提供する。
【表8】
【0275】
実施例9
【化20】
【0276】
9-1の合成:
(3R,11bR)-3-(シクロブチルメチル)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-9-オール 7-2(8.0mg,0.026mmol)をアセトン(0.5mL)中に溶解させ、CsCO(25.0mg,0.078mmol,3当量)を添加し、続いて、1-ブロモ-3-フルオロプロパン(11mg,0.075mmol,3.0当量)を添加した。反応混合物を1時間50℃に加熱した。粗製混合物を濾過し、1mLへとMeOHで希釈し、分取用クロマトグラフィーに直接供して、(3R,11bR)-3-(シクロブチルメチル)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン 9-1(観察されたイオンのm/z比 377.1)を得た。
【0277】
実施例10
【化21】
【0278】
10bの合成:
(2R)-2-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-4,4-ジメチルペンタン酸(0.77g,3.14mmol,1.0当量)および5-(2-アミノエチル)-2-メトキシフェノール塩酸塩(0.50g,2.99mmol)を塩化メチレン(20mL)中に溶解させ、トリエチルアミン(1.7mL,12mmol,4.0当量)を添加し、続いて、HATU(1.4g,3.6mmol,1.2当量)を添加した。反応物を室温において一晩撹拌し、次いで、塩化メチレンでさらに希釈し、飽和NHClで洗浄し、続いて、飽和NaHCOで洗浄した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(24g)を、塩化メチレンを使用して装填し、20分間かけてヘキサン中のEtOAcの漸増勾配(0~100%)を実行して、tert-ブチル (R)-(1-((3-ヒドロキシ-4-メトキシフェネチル)アミノ)-4,4-ジメチル-1-オキソペンタン-2-イル)カルバメート(1.2g,3.0mmol)を定量的収量で得た。この生成物(1.2g,3.0mmol)を塩化メチレン(20mL)中に溶解させ、トリフルオロ酢酸(3mL)を添加した。反応が完了した後、混合物を濃縮し、塩化メチレン(50mL)中に再度溶解させ、飽和NaHCOで塩基性にした。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、(2R)-2-アミノ-N-[2-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)エチル]-4,4-ジメチルペンタンアミド 10b(0.60g,2.04mmol)を黄色油状物として68%収率で得た。
【0279】
10cの合成:
中間体10b(0.60g,2.04mmol)をメタノール(10mL)中に溶解させ、2,2-ジメトキシアセトアルデヒド(水中に60重量%)(0.40mL,2.04mmol,1.0当量)を添加した。酢酸を中性になるまで添加し、次いで、触媒の10%パラジウム担持炭素を添加し、反応混合物を水素でパージし、一晩撹拌した。混合物を、セライトを通して濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(24g)を、塩化メチレンを使用して装填し、20分間かけて塩化メチレン中のメタノールの漸増勾配(0~10%)を実行して、(2R)-2-[(2,2-ジメトキシエチル)アミノ]-N-[2-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)エチル]-4,4-ジメチルペンタンアミド 10cを黄色油状物(0.79g,2.04mmol)として定量的収量で得た。
【0280】
10dおよび10d.1の合成:
濃硫酸(5mL)を0℃へと冷却し、メタノール(3mL)中に溶解させた10c(0.80g,2.1mmol)を滴下添加した。反応物を室温へと加温し、一晩撹拌した。反応混合物を、氷を添加することによって冷却し、次いで、10%NaOHでちょうど塩基性にした。メタノールを真空中で除去し、化合物を塩化メチレンで抽出した(3×50mL)。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(40g)を、塩化メチレンを使用して装填し、40分間かけて塩化メチレン中のメタノールの漸増勾配(0~5%)を実行して、(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-ヒドロキシ-10-メトキシ-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-4-オン 10d(0.15g,0.47mmol)および(3R,11bR)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-ヒドロキシ-10-メトキシ-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-4-オン 10d.1(0.21g,0.65mmol)を得た。
【0281】
10-1および10-2の合成:
中間体10d(0.15g,0.47mmol)を塩化メチレン(5mL)中に溶解させ、トリエチルアミン(0.08mL,0.56mmol,1.2当量)を添加し、続いて、ジ-tert-ブチルジカーボネート(0.11g,0.51mmol,1.1当量)を添加した。反応物を一晩撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。シリカゲルカラム(12g)を、塩化メチレンを使用して装填し、15分間かけてヘキサン中の酢酸エチルの漸増勾配(0~70%)を実行して、tert-ブチル (3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-ヒドロキシ-10-メトキシ-4-オキソ-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-2-カルボキシレート(0.14g,0.33mmol)を71%収率で得た。この生成物(0.14g,0.33mmol)を無水THF(5mL)中に溶解させ、2M LAH(0.84mL,1.7mmol,5当量)を添加した。反応混合物を室温において2時間撹拌し、次いで、一晩70℃に加熱した。混合物を水(1mL)でクエンチし、EtOAc(20mL)で希釈した。生成物を、EtOAc(3×25mL)でロッシェル塩(10mL)から抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-9-オール 10-1(0.09g,0.3mmol)を90%収率で得た。
【0282】
(3R,11bR)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン-9-オール 10-2もまた、この手順を使用して作製した。
【0283】
実施例11
【化22】
【0284】
11-1の合成:
生成物10-1(8.0mg,0.025mmol)をアセトン(0.5mL)中に溶解させ、CsCO(21.0mg,0.063mmol,2.5当量)を添加し、続いて、1-ブロモ-3-フルオロプロパン(5.4mg,0.038mmol,1.5当量)を添加した。反応混合物を1時間50℃に加熱した。粗製混合物を濾過し、1mLへとMeOHで希釈し、分取用クロマトグラフィーに直接供して、(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン 11-1を得た。
【0285】
以下の表11は、この実施例に記載されるとおりの手順に従って作製した11-1および他の代表的化合物の観察された(Obs)イオンのm/z比を提供する。
【表11-1】
【表11-2】
【0286】
さらに、化合物11-2および11-3を、それぞれ、一般的スキーム2および3に従って調製した。
【化23】
【0287】
11bの合成:
2-(3,4-ジメトキシフェニル)エタン-1-アミン([40g,221mmol])をDCM([400mL])中に溶解させた。溶液を冷却し、(R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4,4-ジメチルペンタン酸([59.6g,243mmol,1.1当量])を添加した。DMAP(7.3g,60mmol,0.27当量)を添加し、続いて、EDAC(74.1g,386mmol,1.75当量)を少しずつ添加し、不均一混合物を生成した。混合物を室温へと加温し、完了するまで撹拌した。完了後すぐに、反応をクエン酸でクエンチした。相を分離し、水相からDCMで再抽出した。プールした有機物をブラインで洗浄し、蒸留して、tert-ブチル(R)-(1-((3,4-ジメトキシフェネチル)アミノ)-4,4-ジメチル-1-オキソペンタン-2-イル)カルバメート 11aを得た。11a(90g,221mmol)をDCM(315mL)中に溶解させた。溶液を冷却し、その後、トリフルオロ酢酸(135mL)を添加した。反応物を室温へと加温し、完了するまで撹拌した。完了後すぐに、反応物を冷却し、水およびDCMで希釈し、その後、水酸化ナトリウムでクエンチした。相を分離し、水相からDCMで再抽出した。プールした有機物をブラインで洗浄し、THF中へと蒸留して、(R)-2-アミノ-N-(3,4-ジメトキシフェネチル)-4,4-ジメチルペンタンアミド 11bを得た。
【0288】
11cの合成:
11b(66g,214mmol)をTHF(528mL)中に溶解させた。酢酸(64.3g,1070mmol,5当量)および2,2-ジメトキシアセトアルデヒド(水中で60%)(39g,225mmol,1.05当量)を添加し、室温において1時間撹拌した。反応物を冷却し、その後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(26.9g,428mmol,2当量)を少しずつ添加した。完了後すぐに、反応物を水で希釈し、水酸化ナトリウムでクエンチした。THFを除去し、EtOAcで置き換えた。相を分離し、水相からEtOAcで再抽出した。プールした有機物をブラインで洗浄し、MeOH中へと蒸留して、(R)-2-((2,2-ジメトキシエチル)アミノ)-N-(3,4-ジメトキシフェネチル)-4,4-ジメチルペンタンアミド 11cを得た。
【0289】
11dの合成:
11c(84.9g,214mmol)をMeOH(1.25L)に溶解させた。パラホルムアルデヒド(38.6g,1285mmol,6当量)および酢酸(84.9g,1413mmol,6.6当量)を添加した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(33.6g,535mmol,2.5当量)を室温において少しずつ添加した。反応物をゆっくりと加熱して、発熱をコントロールした。完了後すぐに、反応物を水で希釈し、水酸化ナトリウムでクエンチした。MeOHを除去し、EtOAcで置き換えた。相を分離し、水相からEtOAcで再抽出した。プールした有機物をブラインで洗浄し、溶媒をDCMへと交換して、(R)-2-((2,2-ジメトキシエチル)(メチル)アミノ)-N-(3,4-ジメトキシフェネチル)-4,4-ジメチルペンタンアミド 11dを得た。
【0290】
11eジアステレオマー混合物の合成:
濃硫酸(11.9g,122mmol,5当量)を、DCM(50mL)に溶解/懸濁させ、冷却した。11d(10g,24.4mmol)をDCM(25mL)に溶解させ、酸溶液に、激しく撹拌しながら迅速に添加した。完了後すぐに、反応物を水で希釈し、水酸化アンモニウムでクエンチした。相を分離し、水相からDCMで再抽出した。プールした有機物をブラインで洗浄し、溶媒をTHFへと交換して、(3R)-9,10-ジメトキシ-2-メチル-3-ネオペンチル-1,2,3,6,7,11b-ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[2,1-a]イソキノリン-4-オン 11eを得た。
【0291】
11-2ジアステレオマー混合物の合成:
11e(8.45g,24.4mmol)を無水THF(101mL)中に溶解させ、冷却した。水素化アルミニウムリチウム(2M)(36.6mL,73.2mmol,3当量)を添加し、反応物を加熱した。完了後すぐに、LAHをFeiserの様式でクエンチした。沈殿したアルミニウム塩を濾過し、洗浄した。濾液からTHFを除去し、メチル-t-ブチルエーテルで置き換えた。相を分離し、水相からMTBEで再抽出した。プールした有機物をブラインで洗浄し、溶媒をMeOHへと交換して、(3R)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ジメトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン 11-2ジアステレオマー混合物を得た。
【0292】
11-2ジホスフェートの合成:
11-2ジアステレオマー混合物(20g,60.2mmol)をMeOH(160mL)中に溶解させた。溶液を濾過し、50℃に加熱した。リン酸(7.25g,1.05当量)を添加した。溶液を60℃に加熱し、リン酸の第2の当量を1時間かけて添加し(7.25g,1.05当量)、60℃において10分間撹拌し、その後、4時間かけて20℃へと冷却した。懸濁物を濾過し、固体をMeOHで洗浄した。固体を真空オーブン中で3日間かけて50℃において乾燥させて、11-2である(3R,11bS)-9,10-ジメトキシ-2-メチル-3-ネオペンチル-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[2,1-a]イソキノリン((3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ジメトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリンとしても公知)を二リン酸塩として得た。
【0293】
【化24】
【0294】
11fの合成:
(R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4,4-ジメチルペンタン酸(62g,252mmol,1.05当量)および5-(2-アミノエチル)-2-メトキシフェノール塩酸塩(40.2g,240mmol)をDMF(400mL)中に溶解させ、混合物を0℃へと冷却した。HATU(96g,252mmol,1.05当量)を添加し、続いて、DIEA(93.2g,721mmol,3.0当量)を10分間かけて添加した。混合物を0℃において60分間撹拌し、次いで、水(1000mL)およびEtOAc(1000mL)に添加した。混合物を分液漏斗に移し、分離し、水性層をEtOAcで抽出した。プールした有機物をブラインおよび水で洗浄し、次いで、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、tert-ブチル(R)-(1-((3-ヒドロキシ-4-メトキシフェネチル)アミノ)-4,4-ジメチル-1-オキソペンタン-2-イル)カルバメート 11fを粘性油状物として得た。
【0295】
11gの合成:
化合物11f(90g,228mmol)およびKCO(94.5g,684mmol,3.0当量)をアセトン(630mL)中に溶解させ、2,2,2-トリフルオロエチルトリフレート(79.4g,342mmol,1.5当量)をゆっくりと添加した。反応物を50℃へと加温し、5時間撹拌した。室温へと冷却した後、混合物を水(450mL)で希釈した。混合物を濃縮して、アセトンを除去し、EtOAc(450mL)を添加した。相を分離し、水層をEtOAcで抽出した。プールした有機物をブラインおよび水で洗浄し、次いで、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、tert-ブチル (R)-(1-((4-メトキシ-3-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フェネチル)アミノ)-4,4-ジメチル-1-オキソペンタン-2-イル)カルバメート 11gを粘性油状物として得た。
【0296】
11hの合成:
化合物11g(96.5g,203mmol)をDCM(290mL)中に溶解させ、0℃へと冷却し、続いて、TFA(193mL)を添加した。混合物を10分間撹拌し、次いで、室温へと加温し、6時間撹拌した。次いで、反応物を0℃へと冷却し、水およびDCMで希釈した。50%w/w NaOH溶液を激しく撹拌しながらpHが13に達するまで添加した。層を分離し、有機層をブラインで洗浄し、真空中で濃縮して、(R)-2-アミノ-N-(4-メトキシ-3-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フェネチル)-4,4-ジメチルペンタンアミド 11hを粘性油状物として得た。
【0297】
11iの合成:
化合物11h(5.0g,13.3mmol)をMTBE(35mL)中に溶解させ、反応混合物を窒素でパージし、0℃へと冷却した。酢酸(4.0g,66.4mmol,5.0当量)を0℃で添加し、0℃で維持した。2,2-ジメトキシアセトアルデヒド(水中で60%)(4.61g,26.6mmol,2.0当量)を添加し、反応混合物を窒素でパージした。反応物を90分間0℃で撹拌した。NaBH(1.0g,26.6mmol,2.0当量)を少しずつ10分間かけて添加し、次いで、反応混合物を0℃において60分間撹拌した。水(25mL)を添加した。KCOの4M溶液を、pHが11に達するまで添加した。層を分離した。有機層をブラインで洗浄し、真空中で濃縮して、(R)-2-((2,2-ジメトキシエチル)アミノ)-N-(4-メトキシ-3-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フェネチル)-4,4-ジメチルペンタンアミド 11iを得た。
【0298】
11jの合成:
化合物11i(6.2g,13.3mmol)を、MTBE(18mL)およびEtOH(9mL)中に溶解させ、窒素でパージし、0℃へと冷却した。酢酸(4.0g,66.4mmol,5.0当量)およびホルマリン(5.4g,66.4mmol,5.0当量)を添加し、90分間0℃において撹拌した。Na(AcO)BH(8.5g,40.0mmol,3.0当量)を少しずつ5分間かけて添加し、0℃において30分間撹拌した。0℃において、水(25mL)を添加し、続いて、KCOの4M溶液を、pHが11になるまで添加した。層を分離した。有機層をブラインで洗浄し、真空中で濃縮して、(R)-2-((2,2-ジメトキシエチル)(メチル)アミノ)-N-(4-メトキシ-3-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フェネチル)-4,4-ジメチルペンタンアミド 11jを得た。
【0299】
11kの合成:
化合物11j(22.9g,49.3mmol)をDCM(57mL)中に溶解させ、2分間かけてDCM(115mL)中のHSO(24.2g,247mmol,5.0当量)の-30℃溶液に添加した。反応混合物を、添加中に0℃へと加温し、次いで、30分間撹拌した。0℃において、水(69mL)を添加し、次いで、NHOHを、pHが10に達するまで激しく撹拌しながら添加した。相を分離し、有機層をブラインで洗浄し、次いで、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、(3R)-10-メトキシ-2-メチル-3-ネオペンチル-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1,2,3,6,7,11b-ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[2,1-a]イソキノリン-4-オン 11kを得た。
【0300】
11-3ジアステレオマー混合物の合成:
化合物11k(12.5g,30.2mmol)を2-メチルテトラヒドロフラン(87.5mL)中に溶解させ、9-BBN(14.7g,2当量のダイマー固体)を少しずつ添加した。反応混合物を2時間50℃に加熱した。次いで、反応混合物を室温へと冷却し、ヘプタン(87.5mL)およびHCl(1N,62.5mL)を、pHが約2に達するように添加した。反応混合物を60分間撹拌し、相を分離した。有機相を37.5mLの1N HClで洗浄した。合わせた水相に、MTBE(62.5mL)および2M KCO(62.5mL)を、pHが9~10に達するように入れた。混合物を30分間撹拌し、相を分離した。水層をMTBE(62.5mL)で洗浄した。プールした有機物をブラインで洗浄し、真空中で濃縮して、11-3およびそのジアステレオマーを混合物として得た。
【0301】
11-3 L-DBTA塩の合成:
11-3(5.12g,12.8mmol)を含むジアステレオマー混合物をアセトニトリル(30mL)中に溶解させ、ジベンゾイル-L-酒石酸(L-DBTA,4.59g,1.0当量)を添加した。反応混合物を50℃に加熱した。水(12.5mL)を、温度を40~50℃で維持して添加した。混合物を室温へと3時間かけて冷却した。混合物を濾過し、次いで、6:2.5 アセトニトリル:水で洗浄して、(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-ネオペンチル-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[2,1-a]イソキノリンのL-DBTA塩である、11-3のL-DBTA塩を得た。
【0302】
11-3および11-3ジ-HCl塩の合成:
(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-ネオペンチル-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[2,1-a]イソキノリンのL-DBTA塩である11-3 L-DBTA塩(30.0g,39.5mmol)を、水(300mL)および酢酸イソプロピル(300mL)中に懸濁させた。NaOH(50%水溶液)を、pHが13になるまで添加した。相を分離し、有機層をブライン(90mL)で洗浄した。有機層を濃縮したところ、15.9gの11-3を遊離塩基として得、これを、酢酸エチル(80mL)中に溶解させた。溶液を濾過し、水を添加した(6.4mL)。溶液を35℃に加熱し、37%HCl(3.4mL,1.05当量)を5分間かけて添加した。HClの第2投入分(3.4mL,1.05当量)を5分間かけて添加した。混合物を30℃へと冷却し、種晶を入れた。スラリーを90分間撹拌し、その後、ゆっくりと室温へと冷却した。固体を濾過し、酢酸エチル(16mL)で洗浄した。湿ったケークを真空オーブン中、50℃で乾燥させて、(3R,11bS)-10-メトキシ-2-メチル-3-ネオペンチル-9-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[2,1-a]イソキノリンをジヒドロクロリド塩として得た(11-3のジ-HCl塩)。
【0303】
【化25】
【0304】
11mの合成:
ドパミン塩酸塩(15g,79.1mmol)および2-[[(1,1-ジメチルエトキシ)カルボニル]メチルアミノ]-4,4-ジメチル-(2R)-ペンタン酸(21.5g,83.1mmol,1.05当量)を、DMF(150mL)中に溶解させ、0℃へと冷却した。HATU(31.6g,83.1mmol,1.05当量)を添加し、続いて、DIEA(30.7g,237mmol,3.0当量)を添加した。混合物を0℃において2時間撹拌し、次いで、水(300mL)およびEtOAc(300mL)に添加した。混合物を分液漏斗に移し、分離し、水性層をEtOAcで抽出した。プールした有機物をブラインおよび水で洗浄し、真空中で濃縮して、tert-ブチル(R)-(1-((3,4-ジヒドロキシフェネチル)アミノ)-4,4-ジメチル-1-オキソペンタン-2-イル)(メチル)カルバメート 11mを粘性油状物として得た。
【0305】
11nの合成:
化合物11m(31.2g,79.1mmol)をアセトン(218mL)中に溶解させた。KCO(32.8g,237mmol,3.0当量)を添加し、続いて、ヨードメタン-d(25.2g,174mmol,2.2当量)を添加した。反応物を50℃へと加温し、26時間撹拌した。室温へと冷却した後、混合物を水(220mL)で希釈した。混合物を濃縮して、アセトンを除去した。EtOAc(156mL)を添加した。相を分離し、水層をEtOAcで抽出した。プールした有機物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、tert-ブチル(R)-(1-((3,4-ビス(メトキシ-d)フェネチル)アミノ)-4,4-ジメチル-1-オキソペンタン-2-イル)(メチル)カルバメート 11nを粘性油状物として得た。
【0306】
11oの合成:
化合物11n(17.0g,39.7mmol)をDCM(60mL)中に溶解させ、0℃へと冷却し、続いて、TFA(34mL)を添加した。混合物を10分間撹拌し、次いで、室温へと加温し、21時間撹拌した。次いで、反応物を0℃へと冷却し、水およびDCMで希釈した。50%w/w NaOH溶液を、pHが13に達するまで激しく撹拌しながら添加した。層を分離し、水層をDCMで抽出した。プールした有機物をブラインで洗浄し、真空中で濃縮して、(R)-N-(3,4-ビス(メトキシ-d)フェネチル)-4,4-ジメチル-2-(メチルアミノ)ペンタンアミド 11oを粘性油状物として得た。
【0307】
11pの合成:
11o(13.0g,39.6mmol)をTHF(104mL)中に溶解させた。酢酸(11.4mL,200mmol,5当量)および2,2-ジメトキシアセトアルデヒド(水中で60%)(10.3g,59.4mmol,1.5当量)を添加し、室温において2時間撹拌した。反応物を冷却し、その後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(5.2g,83.4mmol,2当量)を少しずつ添加した。反応の完了には、2,2-ジメトキシアセトアルデヒドおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.4当量および0.3当量)を同時に2回さらに添加することが必要であった。完了後すぐに、反応物を0℃へと冷却し、水で希釈し、pH>10になるまで10%水酸化ナトリウムでクエンチした。THFを除去し、EtOAcで置き換えた。相を分離し、水相からEtOAcで再抽出した。プールした有機物をブラインで洗浄し、真空中で濃縮して、(R)-N-(3,4-ビス(メトキシ-d)フェネチル)-2-((2,2-ジメトキシエチル)(メチル)アミノ)-4,4-ジメチルペンタンアミド 11pを得た。
【0308】
11qの合成:
濃硫酸(10.6mL,199mmol,5当量)をDCM(83mL)中に溶解/懸濁させ、-20℃へと冷却した。11p(16.5g,39.6mmol)をDCM(41mL)中に溶解させ、酸溶液へと、反応物を0℃より低く維持しつつ、激しく撹拌しながら迅速に添加した。完了後すぐに、反応物を水(50mL)で希釈し、水酸化アンモニウムでクエンチしてpH9にした。相を分離し、水相からDCMで再抽出した。プールした有機物をブラインで洗浄し、真空中で濃縮して、ジアステレオマーの混合物を得た。そのジアステレオマーの分離を、ヘキサンおよび酢酸エチルで溶離させる順相シリカカラムクロマトグラフィーで達成して、(3R,11bS)-9,10-ビス(メトキシ-d)-2-メチル-3-ネオペンチル-1,2,3,6,7,11b-ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[2,1-a]イソキノリン-4-オン 11qを得た。
【0309】
11-15の合成:
11q(6.9g,19.6mmol)を無水THF(103mL)中に溶解させ、0℃へと冷却した。水素化アルミニウムリチウム(2.4M)(32.5mL,78mmol,4当量)をゆっくりと添加し、反応物を2時間にわたって40℃に加熱した。完了後すぐに、LAHを、Feiserの方法でクエンチした。沈殿したアルミニウム塩を濾過し、THFで洗浄した。濾液からTHFを除去し、メチル-t-ブチルエーテルで置き換えた。相を分離し、水相からMTBEで再抽出した。プールした有機物をブラインで洗浄し、真空中で濃縮して、(3R,11bS)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9,10-ビス(メトキシ-d)-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン((3R,11bS)-9,10-ビス(メトキシ-d)-2-メチル-3-ネオペンチル-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[2,1-a]イソキノリン 11-15としても公知)を得た。
【0310】
実施例12
【化26】
【0311】
12-1の合成:
生成物10-2(8.0mg,0.025mmol)をアセトン(0.5mL)中に溶解させ、CsCO(21.0mg,0.063mmol,2.5当量)を添加し、続いて、1-ブロモ-3-フルオロプロパン(5.4mg,0.038mmol,1.5当量)を添加した。反応混合物を1時間50℃に加熱した。粗製混合物を濾過し、1mLへとMeOHで希釈し、分取用クロマトグラフィーに直接供して、(3R,11bR)-3-(2,2-ジメチルプロピル)-9-(3-フルオロプロポキシ)-10-メトキシ-2-メチル-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピペラジノ[2,1-a]イソキノリン 12-1を得た。
【0312】
以下の表12は、この実施例に記載されるとおりの手順に従って作製した12-1および他の代表的化合物の観察された(Obs)イオンのm/z比を提供する。
【表12】
【0313】
実施例13
自発運動活性のVMAT2インヒビター誘導性の低下
ドパミン枯渇に対するVMAT2インヒビターの効果を、自発運動活性(LMA)アッセイを使用して測定する。予備処置時間60分間の後に、雄性のSprague-Dawleyラット(200~250g)を、光電セル検出器(San Diego Instruments)によって周りを囲んだ透明なケージの中に入れる。ラットの自発運動活性を、光電セルビームが遮断されることによって検出し、活性を、30分間でビームが遮断される回数として定義する。データを、一元配置分散分析(ANOVA; SigmaStat バージョン3.0.1,SPSS,Chicago,IL)によって分析し、続いて、有意性に関してはStudent Newman Keuls事後検定によって分析する。
【0314】
実施例14
抗精神病活性の条件回避応答アッセイ
条件回避応答(CAR)検査は、化合物の抗精神病活性を評価するために、効果的でかつ信頼性の高い前臨床モデルであることが示されている。CARパラダイムにおいて、ラットを、負の強化によって条件付け刺激(聴覚性)に応答するように、2チャンバシャトルボックスの中で訓練する。動物が、聴覚性刺激の提示の際に他方のチャンバへと移動しない場合、軽度の足へのショックを、ラットが位置する側に適用する。ラットは、聴覚性シグナルの開始後すぐに、他方のチャンバへと移動することによってその軽度の足へのショックを回避することを学習する(条件回避応答といわれる)。そのショックの実施中に他方のチャンバへと横断することは、逃避応答といわれる。足へのショックを実施した直後でさえもラットが他方のチャンバへと移動しない場合、そのラットは、逃避失敗と見做される。多くの研究から、定型抗精神病薬および非定型抗精神病薬は選択的にCARを抑制し、したがって、潜在的抗精神病化合物をスクリーニングすることを理想的なアッセイとすることが示されている(例えば、Wadenbergら, Biobehav. Rev. (1999) 23: 851-62を参照のこと)。
【0315】
雄性のWistarラットを、3~4週間毎日訓練する。その訓練セッション中に、ラットをCAR2方向シャトルボックスの中に入れ、20回の試行の訓練期間を続ける。試行は、80dBのホワイトノイズを10秒間提示、続いて、20秒間まで持続するスクランブルの0.6mAの足へのショックからなった。試行間の間隔は、20~60秒の範囲に及んだ。ラットは、その条件付け刺激が提示される場合に一方の区画から他方の区画へと移動することによってショックを回避することを学習する(条件回避応答)。ラットは、その条件付け刺激を提示した場合に、20回の試行のうち少なくとも19回ショックを回避した場合に、十分に訓練されたと見做す。これらの基準に合格しないラットは、使用しない。
【0316】
検査日に、訓練した動物を、検査室の中で検査前に30分間慣れさせる。次いで、動物に化合物を投与し、CAR2方向シャトルボックスの中に入れる。検査では、20回の試行を、各ラットに対して行う。各試行では、条件付け刺激を実施し(80dBホワイトノイズを10秒間提示)、続いて、足へのショック(20秒間まで持続するスクランブルの0.6mAの足へのショック)を実施する。動物が、条件付け刺激を提示した際に他方のチャンバへと移動する場合、それを条件回避応答としてスコア付けする。動物が、足へのショックを提示した際に移動した場合、それを逃避としてスコア付けする。動物が、足へのショックを提示した際に移動しない場合、それを逃避失敗としてスコア付けする。抗精神病有効性は、逃避の回数の増大によって明らかである。データを、分散分析(ANOVA)によって分析し、続いて、適切な場合、ボンフェローニ検定との事後比較によって分析する。p<0.05であれば、効果は有意であると見做される。平均の上下2標準偏差と定義されるアウトライアーが検出され、全ての分析から除外される。
【0317】
実施例15
化合物のVMAT2阻害活性を決定するための方法
化合物がVMAT2を阻害する能力を決定するための技術の例は、以下で提供される。その手順を、以前に記載されたものから適合させる(例えば、Near, (1986), Mol. Pharmacol. 30: 252-57; Tengら, J. Neurochem. 71, 258-65, 1998を参照のこと)。ヒト血小板またはSprague-Dawleyラット前脳に由来するホモジネートを、ホモジナイズすることによって調製し、次いで、以前に記載されたように遠心分離することによって洗浄した(例えば、Hoareら, (2003) Peptides 24:1881-97を参照のこと)。低結合96ウェルプレート(Corning #3605)中で全容積0.2mLにおいて、12の濃度の試験化合物を、VMAT2結合緩衝液(ダルベッコリン酸緩衝化生理食塩水、1mM EDTA、pH7.4)中のラット前脳ホモジネート(100μg膜タンパク質/ウェル)またはヒト血小板ホモジネート(50μg 膜タンパク質/ウェル)上で、6nM H-ジヒドロテトラベナジン(dihydrotetrabenezine)(American Radiolabeled Chemicals,Kd 2.6nM)に対して競合させた。25℃において2時間インキュベートした後に、結合した放射性リガンドを、Unifilter-96 Harvester(PerkinElmer)を使用して、GF/Bガラスファイバーフィルタ上での迅速濾過によって集めた。フィルタプレートを、10分間0.1% ポリエチレンイミンで予備処理し、そのフィルタプレートを回収した後に、800μl VMAT2結合緩衝液で洗浄した。結合した放射性リガンドを、Topcount NXT (PerkinElmer)を使用してシンチレーション計測することによって定量した。
【0318】
表15-1に列挙される化合物のヒトKiを、以下で示される僅かに改変した手順を使用して決定した(見出し「Ki nM」の下の列中のデータを参照のこと)。低結合96ウェルプレート(Corning #3605)中の全容積0.15mLにおいて、12の濃度の試験化合物を、VMAT2結合緩衝液(ダルベッコリン酸緩衝化生理食塩水、1mM EDTA、pH7.4)中のラット前脳ホモジネート(100μg膜タンパク質/ウェル)またはヒト血小板ホモジネート(15μg膜タンパク質/ウェル)上で、10nM H-ジヒドロテトラベナジン(American Radiolabeled Chemicals,Kd 2.6nM)に対して競合させた。25℃において90分間インキュベートした後に、結合した放射性リガンドを、Unifilter-96 Harvester(PerkinElmer)を使用して、GF/Bガラスファイバーフィルタ上での迅速濾過によって集めた。フィルタプレートを、0.1%ポリエチレンイミンで予備処理し、一晩乾燥させ、そのフィルタプレートを回収した後に、800μl VMAT2結合緩衝液で洗浄した。結合した放射性リガンドを、Topcount NXT(PerkinElmer)を使用してシンチレーション計測することによって定量した。表15-1では、10nM未満のKを有する化合物を、「+++」と同定し、10nM~500nMのKを有する化合物を「++」と同定し、500nMを超えるKを有する化合物を「+」と同定する(NT=試験せず)。
【表15-1】
【0319】
化合物がVMAT2を阻害する能力を決定するために慣用的に行われてもよい別の技術は、以下に提供される。以下の手順は、以前に記載された方法から適合させる(Tengら, J. Neurochem. 71, 258-65, 1998を参照のこと)。
【0320】
ラット線条体小胞の調製: 3匹のラットのラット線条体をプールし、0.32Mのスクロース中でホモジナイズする。次いで、そのホモジネートを2,000×gで10分間、4℃において遠心分離し、得られた上清を、10,000×gで30分間、4℃において遠心分離する。富化されたシナプトソーム画分を含む得られたペレット(2mL)を、7mLの蒸留HOを添加することによって浸透圧ショックに供し、その後、上清をホモジナイズする。容量オスモル濃度を、0.9mLの0.25M HEPESおよび0.9mLの1.0M 中性L-(+)-酒石酸二カリウム塩緩衝液(pH7.5)を添加することによって回復させ、続いて、20分間遠心分離する(4℃において20,000×g)。次いで、上清を60分間(4℃において55,000×g)遠心分離し、得られた上清を、45分間(4℃において100,000×g)遠心分離する。得られたペレットを、25mM HEPES、100mM L-(+)-酒石酸二カリウム塩、5mM MgCl、10mM NaCl、0.05mM EGTA、pH7.5中に再度懸濁させて、タンパク質濃度を1~2mg/mLとし、結合活性の認められ得るほどの喪失なしに、-80℃において最長3週間貯蔵する。使用直前に、最終ペレットを、結合緩衝液(25mM HEPES、100mM L-(+)-酒石酸二カリウム塩、5mM MgCl、10mM NaCl、0.05mM EGTA、0.1mM EDTA、1.7mM アスコルビン酸、pH7.4)中に再度懸濁させる。
【0321】
H]-ジヒドロテトラベナジン(DHTBZ)結合: 小胞懸濁物のアリコート(0.16mL,1mLあたり15μgのタンパク質)を、競合化合物(10-6~10-12Mの範囲)および2nM[H]-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ;比放射能: 20Ci/mmol,American Radiolabeled Chemicals, Inc.)とともに室温で1時間、全容積0.5mLにてインキュベートする。反応物を、Brandel細胞採取器を使用して、Whatman GF/Fフィルタの上でのサンプルの迅速濾過によって終結させる。非特異的結合を、20μM テトラベナジン(TBZ)を使用して決定する。フィルタを、氷冷ポリエチレンイミン(0.5%)で2時間、予め浸漬する。そのフィルタを、氷冷緩衝液で3回洗浄した後、それらを、10mLシンチレーションカクテルを有するシンチレーションバイアルの中に入れる。結合した放射活性を、シンチレーション分光測定法によって決定する。
【0322】
上記の種々の実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わされ得る。本明細書中で言及され、そして/または出願データシート中に列挙される全ての米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物は、それらの全体が本明細書に参考として援用される。本願はまた、2017年4月19日に出願された米国仮特許出願第62/487,413号および2018年4月4日に出願された米国仮特許出願第62/652,837号の利益を主張し、これら米国仮特許出願は、その全体が本明細書に参考として援用される。実施形態の局面は、種々の特許、出願および刊行物の概念を使用して、なおもさらなる実施形態を提供するために必要である場合、改変され得る。
【0323】
これらおよび他の変更は、上で詳述された説明に鑑みて実施形態に対して行われ得る。概して、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、本明細書および特許請求の範囲で開示される具体的実施形態に限定すると解釈されるべきではなく、全ての可能な実施形態を、このような特許請求の範囲に権利が付与される均等物の全範囲とともに包含すると解釈されるべきである。よって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。