IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イミュノジェン・インコーポレーテッドの特許一覧

特許7170663インドリノベンゾジアゼピン誘導体の調製方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】インドリノベンゾジアゼピン誘導体の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20221107BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221107BHJP
【FI】
C07D487/04 151
C07B61/00 300
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019556698
(86)(22)【出願日】2018-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 US2018028253
(87)【国際公開番号】W WO2018195245
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】62/487,695
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504039155
【氏名又は名称】イミュノジェン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100128750
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 しのぶ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド,ボードワン
(72)【発明者】
【氏名】シルバ,リチャード・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,マイケル・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】シズカ,マナミ
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-516896(JP,A)
【文献】特表2014-521591(JP,A)
【文献】特開平02-207793(JP,A)
【文献】国際公開第2013/108044(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物またはその塩を調製する方法であって、
NHClの存在下で式(II):
【化2】
の化合物またはその塩をFeと反応させることを含み、
式中、
、R、R、及びRはそれぞれ独立して-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、-(XCHCH-R、ハロゲン、-NH(C=NH)NH、-OR、-NR’R”、-NCO、-NR’COR”、-SR、-SOR’、-SOR’、-SOH、-OSOH、-SONR’R”、シアノ、アジド、-COR’、-OCOR’、及び-OCONR’R”から選択され;
XはO、NH及びSから選択され;
は-H、-R、-OR、-SR、-NR’R”、またはハロゲンであり;
Rは各存在について、-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、6~18の炭素原子を有する任意で置換されたアリール、窒素、酸素、及びイオウから独立して選択される1以上のヘテロ原子を含有する任意で置換された5~18員のヘテロアリール環、またはO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を含有する任意で置換された3~18員の複素環から独立して選択され;
R’及びR”はそれぞれ独立して-H、-OH、-OR、-NHR、-NR、-COR、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、及びO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を有する任意で置換された3~18員の複素環から選択され;
は、-Hまたは1~4の炭素原子を有する置換されたまたは非置換の直鎖または分岐鎖のアルキルであり;且つ
nは1~24の整数である、前記方法。
【請求項2】
前記反応が、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、酢酸エチル、水、及びそれらの組み合わせから選択される溶媒中で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応が、40℃~90℃の間の温度で行われる請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
式(I)の前記化合物が、1以上の沈殿、再結晶化、またはそれらの組み合わせによって精製される請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
式(I)の前記化合物が、ジクロロメタンとエタノールとの混合物にて再結晶化されるまたは沈殿される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ジクロロメタンとエタノールの体積比が1:1である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式(I)の前記化合物が、再結晶化または沈殿によってさらに精製される請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
式(I)の前記化合物が、トルエンとアセトニトリルとの混合物にて再結晶化されるまたは沈殿される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式(I)の前記化合物が、高温にてトルエン中に前記化合物を溶解させ、アセトニトリルを添加することによって再結晶化される請求項7に記載の方法。
【請求項10】
式(I)の前記化合物が、80℃にてトルエンに前記化合物を溶解することとその後の濾過とアセトニトリルの添加とによって再結晶化される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(III):
【化3】
の化合物またはその塩を調製する方法であって、
パラジウム触媒の存在下で式(I):
【化4】
の化合物またはその塩を水素化試薬と反応させることであって、ここで前記水素化試薬は1,4-シクロヘキサジエンであり、前記パラジウム触媒は5重量%のPd/Aloxである、前記反応させることを含み、
式中、
、R、R、及びRはそれぞれ独立して-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、-(CHCHX)-R、ハロゲン、-NH(C=NH)NH、-OR、-NR’R”、-NCO、-NR’COR”、-SR、-SOR’、-SOR’、-SOH、-OSOH、-SONR’R”、シアノ、アジド、-COR’、-OCOR’、及び-OCONR’R”から成る群から選択され;
XはO、NH及びSから選択され;
は-H、-R、-OR、-SR、-NR’R”、またはハロゲンであり;
Rは各存在について、-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、6~18の炭素原子を有する任意で置換されたアリール、窒素、酸素、及びイオウから独立して選択される1以上のヘテロ原子を含有する任意で置換された5~18員のヘテロアリール環、またはO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を含有する任意で置換された3~18員の複素環から成る群から独立して選択され;
R’及びR”はそれぞれ独立して-H、-OH、-OR、-NHR、-NR、-COR、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、及びO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を有する任意で置換された3~18員の複素環から選択され;
は、-Hまたは1~4の炭素原子を有する置換されたまたは非置換の直鎖または分岐鎖のアルキルであり;且つ
nは1~24の整数である、前記方法。
【請求項12】
式(I)の前記化合物の1当量につき、0.05~0.5当量のPdが使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
式(I)の前記化合物の1当量につき、1.0~5.0当量の1,4-シクロヘキサジエンが使用される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、5重量%のPd/Aloxの存在下で式(1)の前記化合物を1,4-シクロヘキサジエンと反応させることを含み、その際、式(I)の前記化合物の1当量につき、1.5~1.7当量の1,4-シクロヘキサジエンと0.075~0.15当量のPdが使用される請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記反応が溶媒または溶媒混合物中で行われる請求項11~14のいずれか1項に記載の方法であって、前記溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、酢酸エチル、水、及びそれらの組み合わせから選択される、方法。
【請求項16】
前記反応がDMSOとエタノールとの混合物中で行われる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記反応が30℃~90℃の間の温度で行われる請求項11~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
式(III):
【化5】
の化合物またはその塩を調製する方法であって、
a)NHClの存在下で式(II):
【化6】
の前記化合物をFeと反応させて式(I):
【化7】
の化合物を形成する工程と、
b)パラジウム触媒の存在下で式(I)の前記化合物を水素化試薬と反応させて式(III)の前記化合物を形成する工程であって、ここで前記水素化試薬は1,4-シクロヘキサジエンであり、前記パラジウム触媒は5重量%のPd/Aloxである、前記工程とを含み、
式中、
、R、R、及びRはそれぞれ独立して-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、-(CHCHX)-R、ハロゲン、-NH(C=NH)NH、-OR、-NR’R”、-NCO、-NR’COR”、-SR、-SOR’、-SOR’、-SOH、-OSOH、-SONR’R”、シアノ、アジド、-COR’、-OCOR’、及び-OCONR’R”から成る群から選択され;
XはO、NH及びSから選択され;
は-H、-R、-OR、-SR、-NR’R”、またはハロゲンであり;
Rは各存在について、-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、6~18の炭素原子を有する任意で置換されたアリール、窒素、酸素、及びイオウから独立して選択される1以上のヘテロ原子を含有する任意で置換された5~18員のヘテロアリール環、またはO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を含有する任意で置換された3~18員の複素環から成る群から独立して選択され;
R’及びR”はそれぞれ独立して-H、-OH、-OR、-NHR、-NR、-COR、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、及びO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を有する任意で置換された3~18員の複素環から選択され;
は、-Hまたは1~4の炭素原子を有する置換されたまたは非置換の直鎖または分岐鎖のアルキルであり;且つ
nは1~24の整数である、前記方法。
【請求項19】
、R、R、及びRがそれぞれ独立して-H、(C-C)アルキル、ハロゲン、-OH、(C-C)アルコキシ、及びシアノから成る群から選択される請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
、R、R、及びRがすべてHである請求項19に記載の方法。
【請求項21】
が(C-C)アルコキシである請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
が-OMeである請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容全体が参照によって本明細書に組み入れられる2017年4月20日に出願された米国仮特許出願番号62/487,695の米国特許法第119条(e)のもとでの出願日の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明はインドリノベンゾジアゼピン誘導体の新規の調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ベンゾジアゼピン誘導体は、種々の疾病を治療するために有用な化合物であり、それらには、たとえば、抗てんかん薬(イミダゾ[2,1-b][1,3,5]ベンゾチアジアゼピン、米国特許第4,444,688号;米国特許第4,062,852号)、抗菌剤(ピリミド[1,2-c][1,3,5]ベンゾチアジアゼピン、GB1476684)、利尿剤及び降圧剤(ピロロ(1,2-b)[1,2,5]ベンゾチアジアゼピン 5,5 ジオキシド、米国特許第3,506,646号)、脂質低下薬(WO03091232)、抗うつ剤(米国特許第3,453,266号)のような薬物;骨粗鬆症(JP2138272)が含まれる。
【0004】
最近、インドリノベンゾジアゼピン二量体の細胞結合剤コンジュゲートは動物モデルにて試験管内及び生体内の双方で腫瘍増殖を抑制することができることが示されているたとえば、WO2010/091150、WO2016/036801、WO2016/036804を参照のこと。さらに、イミン官能基1つとアミン官能基1つとを有するインドリノベンゾジアゼピン二量体の細胞結合剤コンジュゲートは、2つのイミン官能基を有する以前開示されたベンゾジアゼピン誘導体と比べて生体内ではるかに高い治療指数(最大耐量の最小有効量に対する比)を表すことが示されている。たとえば、WO2012/128868を参照のこと。
【0005】
従って、細胞傷害性のインドリノベンゾジアゼピン二量体化合物を作製するための大規模な製造工程にとってさらに効率的で且つ好適であるインドリノベンゾジアゼピン単量体前駆体を調製する改善された方法に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、インドリノベンゾジアゼピン単量体化合物及びそれらの合成前駆体を調製するための改善された合成法を提供する。以前開示された方法と比べて、本発明の方法は大規模製造プロセスにさらに好適である。
【0007】
一実施形態では、本発明は、式(I):
【化1】
の化合物またはその塩を調製する方法を提供し、該方法はNHClの存在下で式(II):
【化2】
の化合物またはその塩をFeと反応させることを含み、
式中、
、R、R、及びRはそれぞれ独立して-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、-(CHCHX)-R、ハロゲン、-NH(C=NH)NH、-OR、-NR’R”、-NCO、-NR’COR”、-SR、-SOR’、-SOR’、-SOH、-OSOH、-SONR’R”、シアノ、アジド、-COR’、-OCOR’、及び-OCONR’R”から選択され;
XはO、NHまたはSであり;
は-H、-R、-OR、-SR、-NR’R”、またはハロゲンであり;
Rは各存在について、-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、6~18の炭素原子を有する任意で置換されたアリール、窒素、酸素、及びイオウから独立して選択される1以上のヘテロ原子を含有する任意で置換された5~18員のヘテロアリール環、またはO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を含有する任意で置換された3~18員の複素環から独立して選択され;
R’及びR”はそれぞれ独立して-H、-OH、-OR、-NHR、-NR、-COR、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、及びO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を有する任意で置換された3~18員の複素環から選択され;
は、-Hまたは1~4の炭素原子を有する置換されたまたは非置換の直鎖または分岐鎖のアルキルであり;且つ
nは1~24の整数である。
【0008】
別の実施形態では、本発明は式(III):
【化3】
の化合物またはその塩を調製する方法を提供し、該方法は、パラジウム触媒の存在下で式(I):
【化4】
の化合物またはその塩を水素化試薬と反応させることを含み、式中、変数は上記で定義されている。
【0009】
さらに別の実施形態では、本発明は、式(III):
【化5】
の化合物またはその塩を調製する方法を提供し、該方法は、
a)NHClの存在下で式(II):
【化6】
の化合物をFeと反応させて式(I):
【化7】
の化合物を形成する工程と、
b)パラジウム触媒の存在下で式(I)の化合物を水素化試薬と反応させて式(III)の化合物を形成する工程とを含み、
その際、変数は上記で定義されたとおりである。
【0010】
本発明はまた、式(IV)、(V)、(IVA)、(VA)の化合物またはそれらの塩のような本明細書に記載されている化合物も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
今や本発明の特定の実施形態が詳細に参照され、その例が付随する構造及び式にて説明される。本発明は列挙された実施形態と併せて記載される一方で、それらは本発明をそれら実施形態に限定するようには意図されないことが理解されるであろう。それどころか、本発明は、クレームによって定義されるような本発明の範囲内に含められてもよい代替、修正及び同等のものすべてを対象とするように意図される。当業者は、本発明の実践で使用されてもよい、本明細書に記載されているものに類似するまたは同等である多数の方法及び物質を認識するであろう。
【0012】
明白に否定されない限り、または不適切でない限り、本明細書に記載されている実施形態のいずれかは本発明の1以上の他の実施形態と組み合わせることができることが理解されるべきである。実施形態の組み合わせは複数の従属クレームを介して請求される具体的な組み合わせに限定されない。
【0013】
定義
「アルキル」は本明細書で使用されるとき、飽和の直鎖または分岐鎖の一価の炭化水素ラジカルを指す。好まれる実施形態では、直鎖または分岐鎖のアルキルは30以下の炭素原子(たとえば、直鎖アルキル基についてはC-C30及び分岐鎖アルキルについてはC-C30)、さらに好ましくは20以下の炭素原子を有する。一層さらに好ましくは、直鎖または分岐鎖のアルキルは10以下の炭素原子(たとえば、直鎖アルキル基についてはC-C10及び分岐鎖アルキルについてはC-C10)を有する。他の実施形態では、直鎖または分岐鎖のアルキルは6以下の炭素原子(たとえば、直鎖アルキル基についてはC-C及び分岐鎖アルキルについてはC-C)を有する。アルキルの例には、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-メチル-1-プロピル、-CHCH(CH)、2-ブチル、2-メチル-2-プロピル、1-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-2-ブチル、3-メチル-2-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-1-ブチル、1-ヘキシル)、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、1-ヘプチル、1-オクチル、等が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、用語「アルキル」は本明細書、実施例及びクレームの全体を通して使用されるとき、「非置換のアルキル」及び「置換されたアルキル」の双方を含むように意図され、その後者は炭化水素主鎖の1以上の炭素原子上の水素を置き換える置換基を有するアルキル部分を指す。本明細書で使用されるとき、(C-Cxx)アルキルまたはCx-xxアルキルはx~xxの炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキルを意味する。
【0014】
「アルケニル」は本明細書で使用されるとき、少なくとも1つの不飽和の部位、すなわち、炭素・炭素二重結合を持つ2~20の炭素原子の直鎖または分岐鎖の一価の炭化水素ラジカルを指し、その際、アルケニルラジカルは「シス」及び「トランス」の配向または代わりに「E」及び「Z」の配向を有するラジカルを含む。例には、エチレニルまたはビニル(-CH=CH)、アリル(-CHCH=CH)等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、アルケニルは2~10の炭素原子を有する。さらに好ましくは、アルキルは2~4の炭素原子を有する。
【0015】
「アルキニル」は本明細書で使用されるとき、少なくとも1つの不飽和の部位、すなわち、炭素・炭素三重結合を持つ2~20の炭素原子の直鎖または分岐鎖の一価の炭化水素ラジカルを指す。例には、エチニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、ヘキシニル、等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、アルキニルは2~10の炭素原子を有する。さらに好ましくは、アルキニルは2~4の炭素原子を有する。
【0016】
用語「環状アルキル」及び「シクロアルキル」は相互交換可能に使用することができる。本明細書で使用されるとき、その用語は飽和環のラジカルを指す。好まれる実施形態では、シクロアルキルはその環構造に3~10の炭素原子を有し、さらに好ましくは、その環構造に5~7の炭素原子を有する。一部の実施形態では、2つの環状環は共同で2以上の原子を有することができ、たとえば、環は「縮合環」である。好適なシクロアルキルには、シクロヘプチルシクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル及びシクロプロピルが挙げられる。一部の実施形態では、シクロアルキルは単環式の基である。一部の実施形態では、シクロアルキルは二環式の基である。一部の実施形態では、シクロアルキルは三環式の基である。
【0017】
用語「環状アルケニル」は環構造に少なくとも1つの二重結合を有する炭素環式の環ラジカルを指す。
【0018】
用語「環状アルキニル」は環構造に少なくとも1つの三重結合を有する炭素環式の環ラジカルを指す。
【0019】
用語「アリール」は本明細書で使用されるとき、環の各原子が炭素である置換されたまたは非置換の単環式の芳香族基を含む。好ましくは、環は5~7員環、さらに好ましくは、6員環である。アリール基にはフェニル、フェノール、アニリン等が挙げられる。用語「アリール」は、2以上の原子が2つの隣接する環に共通する、たとえば、環が「縮合環」である2以上の環を有する「ポリシクリル」、「ポリサイクル」及び「多環式」の環系も含み、その際、環の少なくとも1つが芳香族であり、たとえば、他の環状環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルであることができる。一部の好まれる実施形態では、ポリサイクルは2~3の環を有する。特定の好まれる実施形態では、多環式の環系は環の双方が芳香族である2つの環状環を有する。ポリサイクルの環のそれぞれは置換することができ、または非置換であることができる。特定の実施形態では、ポリサイクルの各環は環において3~10の原子、好ましくは5~7の原子を含有する。たとえば、アリール基には、フェニル(ベンゼン)、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル及びナフチル、と同様にたとえば、5,6,7,8-テトラヒドロナフチルのようなベンゾ縮合カルボン酸部分、等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
一部の実施形態では、アリールは単環の芳香族基である。一部の実施形態では、アリールは二環の芳香族基である。一部の実施形態では、アリールは三環の芳香族基である。
【0021】
用語「複素環」、「ヘテロシクリル」及び「複素環」は本明細書で使用されるとき、その環構造が少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1~4のヘテロ原子、さらに好ましくは1または2のヘテロ原子を含む、3~18員環、好ましくは3~10員環、さらに好ましくは3~7員環の置換されたまたは非置換の非芳香族環構造を指す。特定の実施形態では、環構造は2つの環状環を有することができる。一部の実施形態では、2つの環状環は共同で2以上の原子を有することができ、たとえば、環は「縮合環」である。ヘテロシクリル基には、たとえば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルフォリン、ラクトン、ラクタム、等が挙げられる。
【0022】
複素環は、Paquette,Leo A.;“Principles of Modern Heterocyclic Chemistry”(W.A.Benjamin,New York,1968),特に、Chapters 1,3,4,6,7,及び9;“The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs”(John Wiley & Sons,New York,1950~現在),特に、Volumes 13,14,16,19,及び28;ならびにJ.Am.Chem.Soc.(1960)82:5566に記載されている。複素環の例には、テトラヒドロフラン、ジヒドロフラン、テトラヒドロチエン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロチオピラニル、チオモルフォリン、チオキサン、ホモピペラジン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ホモピペリジン、オキセパン、チエパン、オキサゼピン、ジアゼピン、チアゼピン、2-ピロリン、3-ピロリン、インドリン、2H-ピラン、4H-ピラン、ジオキサニル、1,3-ジオキソラン、ピラゾリン、ジチアン、ジチオラン、ジヒドロピラン、ジヒドロチエン、ジヒドロフラン、ピラゾリジニルイミダゾリン、イミダゾリン、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、及びアザビシクロ[2.2.2]ヘキサンが挙げられるが、これらに限定されない。スピロ部分もこの定義の範囲内に含まれる。環原子がオキソ(=O)部分で置換されている複素環基の例はピリミジノン及び1,1-ジオキソ-チオモルフォリンである。
【0023】
用語「ヘテロアリール」は本明細書で使用されるとき、その環構造が少なくとも1つのヘテロ原子(たとえば、0、NまたはS)、好ましくは1~4または1~3のヘテロ原子、さらに好ましくは1または2のヘテロ原子を含む、置換されたまたは非置換の芳香族単環の構造、好ましくは5~7員環、さらに好ましくは5~6員環を指す。ヘテロアリール環に2以上のヘテロ原子が存在する場合、それらは同一であってもまたは異なっていてもよい。用語「ヘテロアリール」はまた、2以上の炭素が2つの隣接する環に共通する、たとえば、環が「縮合環」である2以上の環状環を有する「ポリシクリル」、「ポリサイクル」及び「多環式」の環系も含み、その際、環の少なくとも1つがヘテロ芳香族であり、たとえば、他の環状環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、及び/またはヘテロシクリルであることができる。一部の好まれる実施形態では、好まれるポリサイクルは2~3の環を有する。特定の実施形態では、好まれる多環式の環系は環の双方が芳香族である2つの環状環を有する。特定の実施形態では、ポリサイクルの各環は環において3~10の、好ましくは5~7の原子を含有する。たとえば、ヘテロアリール基には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、ピリミジン、インドリジン、インドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、カルバゾール、フェノキサジン、キノリン、プリン、等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
一部の実施形態では、ヘテロアリールは単環の芳香族基である。一部の実施形態では、ヘテロアリールは二環の芳香族基である。一部の実施形態では、ヘテロアリールは三環の芳香族基である。
【0025】
複素環基またはヘテロアリール基は、そのようなものが可能である炭素連結(炭素結合)または窒素連結(窒素結合)であってもよい。例として且つ限定ではなく、炭素結合した複素環またはヘテロアリールは、ピリジンの2、3、4、5または6位にて、ピリダジンの3、4、5、または6位にて、ピリミジンの2、4、5、または6位にて、ピラジンの2、3、5、または6位にて、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールまたはテトラヒドロピロールの2、3、4、または5位にて、オキサゾール、イミダゾール、またはチアゾールの2、4、または5位にて、イソオキサゾール、ピラゾール、またはイソチアゾールの3、4、または5位にて、アジリジンの2または3位にて、アゼチジンの2、3、または4位にて、キノリンの2、3、4、5、6、7、または8位にて、あるいはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、または8位にて結合される。
【0026】
例として且つ限定ではなく、窒素結合した複素環またはヘテロアリールは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H-インダゾールの1位にて、イソインドール、またはイソインドリンの2位にて、モルフォリンの4位にて、及びカルバゾールまたはO-カルボリンの9位にて結合される。
【0027】
ヘテロアリールまたはヘテロシクリルに存在するヘテロ原子は、たとえば、NO、SO及びSOのような酸化された形態を含む。
【0028】
用語「ハロゲン化合物」または「ハロゲン」はF、Cl、Br及びIを指す。一実施形態では、ハロゲン化合物はClである。
【0029】
用語「化合物」は、その構造もしくは式もしくは誘導体が本発明で開示されている化合物または参照によって組み込まれているその構造または式または誘導体を含むように意図される。その用語にはまた、立体異性体、幾何異性体または互変異性体も含まれる。本出願に記載されている本発明の特定の態様における「立体異性体」、「幾何異性体」「互変異性体」、「塩」の具体的な引用は、これらの他の形態を引用しないで用語「化合物」が使用されている本発明の他の態様におけるこれらの形態の意図された省略として解釈されるべきではない。
【0030】
所与の基の用語「前駆体」は、脱保護、化学修飾またはカップリング反応によってその基をもたらしうる任意の基を指す。
【0031】
用語「キラル」は、鏡像相手と重ね合わせできない特性を有する分子を指す一方で、用語「アキラル」は鏡像相手と重ね合わせができる分子を指す。
【0032】
用語「立体異性体」は、同一の化学構成及び結合性を有するが、単結合の周りでの回転によって相互変換できない、空間で原子の異なる配向を有する化合物を指す。
【0033】
「ジアステレオマー」はキラリティーの2以上の中心を持ち、その分子が互いに鏡像ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは異なる物性、たとえば、融点、沸点、スペクトル特性及び反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は高分解能の分析法、たとえば、結晶化、電気泳動及びクロマトグラフィーのもとで分離してもよい。
【0034】
本明細書で使用されている立体化学の定義及び慣例は一般にS.P.Parker,Ed.,McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms,(1984),McGraw-Hill Book Company,New York;ならびにEliel,E.及びWilenS.,“Stereochemistry of Organic Compounds,”John Wiley & Sons,Inc.,New York,1994に従う。本発明の化合物は不斉中心またはキラル中心を含有してもよいので、異なる立体異性体形態で存在してもよい。ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体、ならびにたとえば、ラセミ混合物のようなそれらの混合物を含むが、これらに限定されない、本発明の化合物の立体異性体形態はすべて本発明の一部を形成することが意図される。多数の有機化合物は光学的に活性がある形態で存在する、すなわち、それらは平面偏光の面を回転する能力を有する。光学的に活性がある化合物を記載することにおいて、接頭辞D及びLまたはR及びSを用いてそのキラル中心(複数可)について分子の絶対配置を示す。接頭辞d及びlまたは(+)及び(-)を採用して化合物による平面偏光の回転の符号を表し、(-)またはlは化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdの接頭辞を持つ化合物は右旋性である。所与の化学構造について、これらの立体異性体はそれらが互いに鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体はエナンチオマーと呼ばれてもよく、そのような異性体の混合物はエナンチオマー混合物と呼ばれることが多い。エナンチオマーの50:50混合物はラセミ混合物またはラセミ化合物と呼ばれ、それは化学反応または化学プロセスにて立体選択または立体特異性がない場合に発生してもよい。用語「ラセミ混合物」及び「ラセミ化合物」は光学活性を欠いている2つのエナンチオマー種の等モル混合物を指す。
【0035】
用語「互変異性体」または「互変異性体形態」は低いエネルギー障壁を介して相互変換できる異なるエネルギーの構造的異性体を指す。たとえば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られる)には、たとえば、ケト・エノール及びイミン・エナミンの異性体化のようなプロトンの移動を介した相互変換が含まれる。原子価互変異性体には結合電子の一部の再構成による相互変換が含まれる。
【0036】
語句「塩」は本明細書で使用されるとき、本発明の化合物の有機塩または無機塩を指す。例となる塩には、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩、アルカリ金属(たとえば、ナトリウム及びカリウム)塩、アルカリ土類金属(たとえば、マグネシウム)塩、及びアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。塩は、たとえば、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンのような別の分子の包含を伴ってもよい。対イオンは、親化合物の電荷を安定させる有機または無機の部分であってもよい。さらに、塩はその構造にて1を超える荷電した原子を有してもよい。複数の荷電した原子が塩の一部である例は複数の対イオンを有することができる。従って、塩は1以上の荷電した原子及び/または1以上の対イオンを有することができる。
【0037】
本発明の化合物が塩基であるならば、所望の塩は、当該技術で利用できる好適な方法によって、たとえば、無機酸、たとえば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸等、または有機酸、たとえば、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、たとえば、グルクロン酸またはガラクツロン酸、アルファヒドロキシ酸、たとえば、クエン酸または酒石酸、アミノ酸、たとえば、アスパラギン酸またはグルタミン酸、芳香族酸、たとえば、安息香酸または桂皮酸、スルホン酸、たとえば、p-トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸、等による遊離の塩基の処理によって調製されてもよい。
【0038】
本発明の化合物が酸であるならば、所望の塩は、好適な方法によって、たとえば、無機または有機の塩基、たとえば、アミン(1級、2級または3級)、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物、等による遊離の酸の処理によって調製されてもよい。好適な塩の説明に役立つ例には、アミノ酸、たとえば、グリシン及びアルギニン、アンモニア、1級、2級、及び3級のアミン、及び環状アミン、たとえば、ピペリジン、モルフォリン及びピペラジンに由来する有機塩、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムに由来する無機塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
特定の実施形態では、塩は薬学上許容できる塩である。語句「薬学上許容できる」は物質または組成物が製剤を構成する他の成分及び/またはそれで治療される哺乳類と化学的に及び/または毒物学的に適合性でなければならないことを示す。
【0040】
本発明の方法
第1の実施形態では、本発明は、式(I):
【化8】
の化合物またはその塩を調製する方法を提供し、該方法は、
NHClの存在下で式(II):
【化9】
の化合物またはその塩をFeと反応させることを含み、
式中、
、R、R、及びRはそれぞれ独立して-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、-(CHCHX)-R、ハロゲン、-NH(C=NH)NH、-OR、-NR’R”、-NCO、-NR’COR”、-SR、-SOR’、-SOR’、-SOH、-OSOH、-SONR’R”、シアノ、アジド、-COR’、-OCOR’、及び-OCONR’R”から選択され;
XはO、NHまたはSであり;
は-H、-R、-OR、-SR、-NR’R”、またはハロゲンであり;
Rは各存在について、-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、6~18の炭素原子を有する任意で置換されたアリール、窒素、酸素、及びイオウから独立して選択される1以上のヘテロ原子を含有する任意で置換された5~18員のヘテロアリール環、またはO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を含有する任意で置換された3~18員の複素環から独立して選択され;
R’及びR”はそれぞれ独立して-H、-OH、-OR、-NHR、-NR、-COR、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、及びO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を有する任意で置換された3~18員の複素環から選択され;
は、-Hまたは1~4の炭素原子を有する置換されたまたは非置換の直鎖または分岐鎖のアルキルであり;且つ
nは1~24の整数である。
【0041】
第2の実施形態では、本発明は式(IA):
【化10】
の化合物またはその塩を調製する方法を提供し、該方法はNHClの存在下で式(IIA):
【化11】
の化合物またはその塩をFeと反応させることを含む。
【0042】
第3の実施形態では、本発明は式(III):
【化12】
の化合物またはその塩を調製する方法を提供し、該方法はパラジウム触媒の存在下で式(I):
【化13】
の化合物またはその塩を水素化試薬と反応させることを含み、その際、変数は第1の実施形態にて上記で定義されている。式(I)の化合物の水素化試薬及びパラジウム触媒との反応はベンジル基を脱ベンジル化し、式(III)の化合物を得る。
【0043】
第4の実施形態では、本発明は式(IIIA):
【化14】
の化合物またはその塩を調製する方法を提供し、該方法はパラジウム触媒の存在下で式(IA):
【化15】
の化合物またはその塩を水素化試薬と反応させることを含む。
【0044】
第5の実施形態では、本発明は式(III):
【化16】
の化合物またはその塩を調製する方法を提供し、該方法は
a)NHClの存在下で式(II):
【化17】
の化合物をFeと反応させて式(I):
【化18】
の化合物を形成する工程と、
b)パラジウム触媒の存在下で式(I)の化合物を水素化試薬と反応させて式(III)の化合物を形成する工程とを含み、その際、変数は第1の実施形態にて上記で定義されたとおりである。
【0045】
第6の実施形態では、本発明は式(IIIA):
【化19】
の化合物またはその塩を調製する方法を提供し、該方法は
a)NHClの存在下で式(IIA):
【化20】
の化合物をFeと反応させて式(IA):
【化21】
の化合物を形成する工程と、
b)パラジウム触媒の存在下で式(IA)の化合物を水素化試薬と反応させて式(IIIA)の化合物を形成する工程とを含む。
【0046】
第1の具体的な実施形態では、第1、第2、第5または第6の実施形態の方法について、式(II)または(IIA)の化合物とFe/NHClとの反応は溶媒または溶媒混合物中で行われる。任意の好適な溶媒または溶媒混合物が使用される。例となる溶媒には、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、酢酸エチル、水、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、反応は水と1以上の有機溶媒との混合物中で行われる。上記に記載されている好適な有機溶媒を使用することができる。さらに具体的な実施形態では、反応はTHFとメタノールと水との混合物中で行われる。
【0047】
第2の具体的な実施形態では、第1、第2、第5または第6の実施形態または第1の具体的な実施形態の方法について、式(II)または(IIA)の化合物とFe/NHClとの間の反応は0℃~100℃の間、20℃~100℃の間、40℃~90℃の間、50℃~80℃の間、または60℃~70℃の間の温度にて行われる。さらに具体的な実施形態では、反応は65℃で行われる。
【0048】
本明細書で使用されるとき、用語「数1と数2の間」は、数1以上で且つ数2以下である数を意味する。
【0049】
本明細書で使用されるとき、用語「数1~数2」は数1以上で且つ数2以下である数を意味する。
【0050】
特定の実施形態では、第1、第2、第5または第6の実施形態または第1または第2の具体的な実施形態の方法について、式(II)または(IIA)の化合物とFe/NHClとの間の反応は、およその時間量、たとえば、1時間~1週間、4時間~72時間、10時間~72時間、24時間~72時間、4時間~10時間または10時間~24時間行うことができる。具体的な実施形態では、反応は48時間行われる。
【0051】
特定の実施形態では、第1、第2、第5または第6の実施形態または第1または第2の具体的な実施形態の方法について、式(II)または(IIA)の化合物とFe/NHClとの間の反応は、不活性雰囲気下、たとえば、N、Ar等のもとで行われる。具体的な実施形態では、反応はN雰囲気下で行われる。
【0052】
特定の実施形態では、第1、第2、第5または第6の実施形態または第1または第2の具体的な実施形態の方法について、式(II)または(IIA)の化合物とFe/NHClとの間の反応から得られる式(I)または(IA)の化合物は精製される。任意の好適な精製法、たとえば、沈殿、再結晶化、カラムクロマトグラフィーまたはそれらの組み合わせを使用することができる。特定の実施形態では、沈殿、再結晶化またはそれらの組み合わせを用いて式(I)または(IA)の化合物を精製することができる。複数(たとえば、2、3、4、等)の沈殿または再結晶化またはそれらの組み合わせを用いて式(I)または(IA)の化合物を精製することができる。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「再結晶化」は固形物を精製するプロセスを指し、その際、得られる精製された固形物の原子、分子またはイオンは結晶形(複数可)として知られる高度に組織化された構造体(複数可)に配置される。再結晶化は種々の方法、たとえば、冷却、蒸発、第2の溶媒(たとえば、貧溶媒)の添加、等によって達成することができる。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「沈殿」はその中に溶解された固形物を有する溶液から固形物が生じる精製プロセスを指す。沈殿は溶液の温度を下げることによって、または溶液中の所望の固形物の溶解度を有意に低下させる第2の溶媒(すなわち、貧溶媒)を添加することによって達成できることが多い。沈殿プロセスから得られる固形物は1以上の非晶形、1以上の結晶形またはそれらの組み合わせであることができる。
【0055】
第3の具体的な実施形態では、第1、第2、第5または第6の実施形態または第1及び第2の具体的な実施形態の方法について、式(II)または(IIA)の化合物とFe/NHClとの間の反応から得られる式(I)または(IA)の化合物はジクロロメタンとエタノールの混合物における再結晶化または沈殿によって精製される。さらに具体的な実施形態では、ジクロロメタンとエタノールの体積比は5:1~1:2の間、4:1~1:1.5の間、3:1~1:1.5の間または2:1~1:1.2の間である。具体的な実施形態では、ジクロロメタンとエタノールの体積比は1:1である。特定の実施形態では、再結晶化は一晩行われる。
【0056】
あるいは、式(I)または(IA)の化合物はトルエンとアセトニトリルの混合物における再結晶化または沈殿によって精製される。一実施形態では、式(I)または(IA)の化合物は高温で、たとえば、40℃~90℃の間、50℃~90℃の間、60℃~90℃の間、70℃~90℃の間、または75℃~85℃の間の温度でトルエンに溶解される。別の一層さらに具体的な実施形態では、式(I)または(IA)の化合物は80℃でトルエンに溶解され、次いでアセトニトリルを添加し、式(I)または(IA)の化合物を再結晶化させるかまたは沈殿させる。任意で、式(I)または(IA)の化合物はトルエンに溶解した後、アセトニトリルの添加の前に濾過される。一実施形態では、トルエンとアセトニトリルの体積比は1:10~2:1の間、1:5~1:1の間、1:3~1:1の間、または1:2~1:1の間である。具体的な実施形態では、トルエンとアセトニトリルの体積比は1:1.5である。
【0057】
第4の具体的な実施形態では、上記に記載されている第3の具体的な実施形態の方法について、式(I)または(IA)の化合物は再結晶化または沈殿によってさらに精製される。さらに具体的な実施形態では、式(I)または(IA)の化合物はトルエンとアセトニトリルの混合物にて再結晶化または沈殿によってさらに精製される。一層さらに具体的な実施形態では、式(I)または(IA)の化合物は高温で、たとえば、40℃~90℃の間、50℃~90℃の間、60℃~90℃の間、70℃~90℃の間、または75℃~85℃の間の温度でトルエンに溶解される。別の一層さらに具体的な実施形態では、式(I)または(IA)の化合物は80℃でトルエンに溶解され、その後アセトニトリルの添加が続き、式(I)または(IA)の化合物を再結晶化するまたは沈殿させる。任意で、式(I)または(IA)の化合物はトルエンに溶解した後、アセトニトリルの添加の前に濾過される。一実施形態では、トルエンとアセトニトリルの体積比は1:10~2:1の間、1:5~1:1の間、1:3~1:1の間、または1:2~1:1の間である。具体的な実施形態では、トルエンとアセトニトリルの体積比は1:1.5である。
【0058】
第5の具体的な実施形態では、第3、第4、第5または第6の実施形態または第1、第2、第3または第4の具体的な実施形態の方法について、式(I)または(IA)の化合物の脱ベンジル化反応はPd/Alox(アルミナ(すなわち、酸化アルミニウム)上のパラジウムとしても知られる)触媒の存在下で行われる。好適なPd/Alox触媒を使用することができる。例となるパラジウム/Alox触媒には、アルミナ上のパラジウム10%Pdベース(すなわち、10重量%のPd/Alox)、たとえば、Sigma-Aldrich(登録商標)#76000、アルミナ上のパラジウム5%Pdベース(すなわち5重量%のPd/Alox)、たとえば、Johnson Mattheyの5R325 Powder、Johnson MattheyのA302099-5、Noblyst(登録商標)P1159、STREM46-1960、46-1951、アルミナ上のパラジウム0.5%Pdベース(すなわち、05重量%のPd/Alox)、たとえば、STREM46-1920、Alfa Aesar#41383、#38786、#89114、#38289が挙げられるが、これらに限定されない。さらに具体的な実施形態では、パラジウム触媒は5重量%のPd/Alox(すなわち、アルミナ上のパラジウム5%Pdベース)である。
【0059】
第6の具体的な実施形態では、第3、第4、第5または第6の実施形態または第1、第2、第3または第4の具体的な実施形態の方法について、式(I)または(IA)の化合物の脱ベンジル化反応はPd/C(炭素上のパラジウムとしても知られる)の存在下で行われる。任意の好適なPd/C触媒を使用することができる。例となるPd/C触媒には、活性炭上のパラジウム20%Pdベース(すなわち、20重量%のPd/C)、たとえば、STREM46-1707、活性炭上のパラジウム10%Pdベース(すなわち、10重量%のPd/C)、たとえば、Sigma-Aldrich(登録商標)#75990、#75993、Johnson Mattheyの10R39、10R394、10R487Powder、10R87LPowder、10T755、Evonik Noblyst(登録商標)P1070、STREM46-1900、活性炭上のパラジウム5%Pdベース(すなわち、5重量%のPd/C)、たとえば、Sigma-Aldrich(登録商標)#75992、#75991、Johnson Mattheyの5R338M、5R369、5R374、5R39、5R395、5R424、5R434、5R437、5R440、5R452、5R4875R487 Powder、5R58、5R87L、5T761、A102023-5、A103023-5、A105023-5、A302002-5、A302023-10、A302023-5、A402028-10、A405028-5、A405032-5、A405129-5、A501023-10、A503002-5、A503023-5、A503032-5、A702023-10、STREM46-1890、46-1908、46-1909、46-1911、Eonik Noblyst(登録商標)P1086、P1090、P1092、P1109、活性炭上のパラジウム3%Pdベース(すなわち、3重量%のPd/C)、たとえば、STREM46-1907、活性炭上のパラジウム0.5%Pdベース(すなわち、0.5重量%のPd/Alox)、たとえば、Alfa Aesar#38289が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
第7の具体的な実施形態では、第5及び第6の具体的な実施形態の方法について、式(I)または(IA)の化合物の脱ベンジル化は、式(I)または(IA)の化合物の1当量につき、0.05~0.5当量のPdの存在下で行われる。一実施形態では、式(I)の化合物の1当量につき、0.05~0.4の間、0.05~0.35の間、0.05~0.3の間、0.05~0.25の間、0.05~0.2の間、0.05~0.15の間、0.075~0.15の間、0.075~0.1の間、または0.08~0.1の間の当量のPd触媒が使用される。さらに具体的な実施形態では、式(I)の化合物の1当量につき、0.09または0.1当量のPd触媒が使用される。別の実施形態では、使用されるパラジウム触媒の量は使用されるパラジウム触媒の種類及び製造元に左右され、パラジウム触媒の好適な量は実験的に決定することができる。
【0061】
第8の具体的な実施形態では、第3、第4、第5または第6の実施形態または第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7の具体的な実施形態の方法について、式(I)または(IA)の化合物の脱ベンジル化反応は1,4-シクロヘキサジエン及びパラジウム触媒(たとえば、第5または第6の具体的な実施形態で記載されているもの)の存在下で行われる。一実施形態では、式(I)または(IA)の化合物の1当量につき、1.0~5.0当量の1,4-シクロヘキサジエンが使用される。別の実施形態では、式(I)または(IA)の化合物の1当量につき、1.0~4.5、1.0~4.0、1.0~3.5、1.0~3.0、1.0~2.5、1.1~2.0、1.3~1.8、または1.5~1.7当量の1,4-シクロヘキサジエンが使用される。別の実施形態では、1,4-シクロヘキサジエンは少しずつ添加された。別の実施形態では、1,4-シクロヘキサジエンは2つの部分、3つの部分、4つの部分、または5つの部分に分けて少しずつ添加された。別の実施形態では、1,4-シクロヘキサジエンは2つの部分、3つの部分、4つの部分に分けて少しずつ添加された。別の実施形態では、1,4-シクロヘキサジエンは1.0~4.5、1.0~4.0、1.0~3.5、1.0~3.0、1.0~2.5、1.1~2.0、1.3~1.8、または1.5~1.7当量の2つの部分に分けて少しずつ添加された。別の実施形態では、1,4-シクロヘキサジエンは1.0~2.0当量の2つの部分に分けて少しずつ添加された。別の実施形態では、1,4-シクロヘキサジエンは1.5当量の2つの部分に分けて少しずつ添加された。別の実施形態では、1,4-シクロヘキサジエンは1.0~4.5、1.0~4.0、1.0~3.5、1.0~3.0、1.0~2.5、1.1~2.0、1.3~1.8、または1.5~1.7当量の3つの部分に分けて少しずつ添加された。別の実施形態では、1,4-シクロヘキサジエンは1.0~2.0当量の3つの部分に分けて少しずつ添加された。別の実施形態では、1,4-シクロヘキサジエンは1.5当量の3つの部分に分けて少しずつ添加された。
【0062】
第9の具体的な実施形態では、第3、第4、第5または第6の実施形態または第1、第2、第3、第4、第5、または第6の具体的な実施形態の方法について、脱ベンジル化反応は、Pd/Alox触媒(たとえば、5%のPd/Alox)の存在下で式(I)または(IA)の化合物を1,4-シクロヘキサジエンと反応させることを含み、その際、式(I)または(IA)の化合物の1当量につき、1.1~2.0当量の1,4-シクロヘキサジエンと0.05~0.25当量のPdが使用される。さらに具体的な実施形態では、式(I)または(IA)の化合物の1当量につき、1.3~1.8当量の1,4-シクロヘキサジエンと0.05~0.2当量のPd/Alox触媒(たとえば、5%のPd/Alox)が使用される。別のさらに具体的な実施形態では、式(I)または(IA)の化合物の1当量につき、1.5~1.7当量の1,4-シクロヘキサジエンと0.075~0.15当量のPd/Alox触媒(たとえば、5%のPd/Alox)が使用される。
【0063】
第10の具体的な実施形態では、第3、第4、第5または第6の実施形態または第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8または第9の具体的な実施形態の方法について、脱ベンジル化反応は溶媒または溶媒混合物中で行われる。本明細書に記載されている任意の好適な溶媒を使用することができる。例となる溶媒には、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、酢酸エチル、水、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。さらに具体的な実施形態では、脱ベンジル化反応は、たとえば、鉛、銅、イオウ、イオウ含有化合物、窒素含有複素環またはアミンのようなPd触媒毒を含む溶媒混合物で行われる。一部の実施形態では、Pd触媒毒はチオール、チオフェン、ピリジン、キノリン、3,6-ジチア-1,8-オクタンジオールまたはDMSOである。一層さらに具体的な実施形態では、脱ベンジル化反応はDMSOとエタノールの混合物中で行われる。DMSOは非常に少ない量で存在することができる。たとえば、溶媒混合物(たとえば、DMSOとエタノール)は0.01~1体積%、0.05~0.75体積%、0.1~0.5体積%、0.1~0.3体積%または0.1~0.2体積%のDMSOを有することができる。
【0064】
第11の具体的な実施形態では、第3、第4、第5または第6の実施形態または第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9または第10の具体的な実施形態の方法について、脱ベンジル化反応は30℃~90℃の間、40℃~70℃の間、40℃~60℃の間、または45℃~55℃の間の温度で行われる。さらに具体的な実施形態では、反応は50℃で行われる。
【0065】
第12の具体的な実施形態では、第3、第4、第5または第6の実施形態または第1、第2、第3、第4、第5、第6、または第7の具体的な実施形態の方法について、式(I)または(IA)の化合物の脱ベンジル化反応は1,4-シクロヘキサジエン及びパラジウム触媒(たとえば、第5または第6の具体的な実施形態で記載されているもの、たとえば、Pd/Alox触媒(たとえば、5%Pd/Alox))の存在下で行われ、1,4-シクロヘキサジエンは少しずつ添加される。さらに具体的な実施形態では、1.1~2.0当量(たとえば、1.4~1.6当量の間、または1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0当量)の1,4-シクロヘキサジエンが先ず、パラジウム触媒(たとえば、5%Pd/Alox)の存在下で式(I)または(IA)の化合物に添加され、反応混合物を高温(たとえば、40~60℃の間)に1時間~24時間(たとえば、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、10時間、15時間、20時間または24時間)加熱する。冷却(たとえば、室温に)した後、次いで追加の1.1~2.0当量(たとえば、1.4~1.6当量の間、または1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0当量)の1,4-シクロヘキサジエンを加え、反応混合物を高温(たとえば、40~60℃の間)に1時間~24時間(たとえば、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、10時間、15時間、20時間または24時間)加熱する。任意でさらに、1.1~2.0当量(たとえば、1.4~1.6当量の間、または1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0当量)の1,4-シクロヘキサジエンを加え、反応混合物を高温(たとえば、40~60℃の間)に1時間~24時間(たとえば、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、10時間、15時間、20時間または24時間)加熱することができる。一層さらに具体的な実施形態では、脱ベンジル化反応はDMSOとエタノールの混合物中で行われる。DMSOは非常に少ない量で存在することができる。たとえば、溶媒混合物(たとえば、DMSOとエタノール)は体積で0.01~1%、0.05~0.75%、0.1~0.5%、0.1~0.3%または0.1~0.2%のDMSOを有することができる。
【0066】
第13の具体的な実施形態では、第3、第4、第5または第6の実施形態または第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11または第12の具体的な実施形態の方法について、式(III)または式(IIIA)の化合物は沈殿によって精製される。さらに具体的な実施形態では、化合物は、水を用いて化合物を含有する酢酸エチル溶液(EtOAc)から化合物を沈殿させることによって精製される。一層さらに具体的な実施形態では、沈殿に使用される水の体積はEtOAcの1~10%(1~5%、2~5%、1%、2%、3%、または4%)体積%である。
【0067】
第14の具体的な実施形態では、第3、第4、第5または第6の実施形態または第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12または第13の具体的な実施形態の方法について、方法はさらに、式(III)の化合物を還元して式(VI):
【化22】
の化合物またはその塩を形成することを含む。一部の実施形態では、好適な還元剤を用いて式(III)の化合物が還元される。例となる還元剤には、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム(LiAlH)、水素ガス、ギ酸アンモニウム、ボラン(BH)、ジボラン(B)、ボラン-ジメチルスルフィド(DMS)錯体、ボラン-アミン錯体
(たとえば、アンモニアボラン(またはボラザン)、ボラントリメチルアミン錯体、ボランN,N-ジイソプロピルエチルアミン錯体、またはボランtert-ブチルアミン錯体)、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-BBN)、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)、水素化ホウ素リチウム(LiBH)、水素化ホウ素カリウム(KBH)、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Red-Al)、ケイ素系還元剤(たとえば、PhSiH、PhSiHまたはEtSiH)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、還元は触媒、たとえば、ルテニウム触媒、ロジウム触媒、またはイリジウム触媒、等の存在下で行われる。さらに具体的な実施形態では、式(III)の化合物はBH(たとえば、BH・THF溶液)と反応して式(VI)の化合物またはその塩を形成する。一層さらに具体的な実施形態では、式(III)の化合物に対して過剰量のBHが使用される。たとえば、1.0~2.0当量、1.0~1.5当量または1.1~1.3当量のBHを使用することができる。一実施形態では、1.2当量のBHが使用される。還元反応は好適な有機溶媒中で行われる。一実施形態では、還元反応はTHF中で行われる。反応は好適な温度、たとえば、10℃~30℃の間、または15℃~25℃の間で行うことができる。一実施形態では、反応は20℃で行われる。還元反応は10分間~10時間、たとえば、30分間~5時間、30分間~3時間、または30分間~2時間行われる。別の実施形態では、反応は1時間または2時間行われる。別の実施形態では、完了の際、反応は飽和NHCl溶液によって止められる。さらに別の実施形態では、式(VI)の化合物またはその塩は、ヘプタンを用いてその化合物を含有する2-メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)溶液からその化合物を沈殿させることによって精製することができる。一部の実施形態では、式(VI)の化合物はMeTHFによる共沸蒸留によって水を取り除いて精製することができる。
【0068】
一実施形態では、上記第14の具体的な実施形態に記載されている方法について、式(III)の化合物は式(IIIA):
【化23】
によって表され、方法は、式(IIIA)の化合物を還元して式(VIA):
【化24】
の化合物またはその塩を形成することを含む。
【0069】
第15の具体的な実施形態では、第1または第5の実施形態または第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13または第14の具体的な実施形態の方法について、式(II)の化合物は以下の工程:
a)式(IV):
【化25】
の化合物を還元剤で還元して式(V):
【化26】
の化合物を形成することと、
b)式(V)の化合物を酸化剤で酸化して式(II)の化合物を形成すること、とを含む方法によって調製される。
【0070】
また、第15の具体的な実施形態では、第2または第6の実施形態または第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13または第14の具体的な実施形態の方法について、式(IIA)の化合物は以下の工程:
(a)還元剤によって式(IVA):
【化27】
の化合物を還元して式(VA):
【化28】
の化合物を形成することと、
(b)酸化剤によって式(VA)の化合物を酸化して式(IIA)の化合物を形成すること、とを含む方法によって調製される。
【0071】
第16の具体的な実施形態では、第15の具体的な実施形態に記載されている方法について、工程(a)の反応における還元剤は水素化物還元剤である。別の実施形態では、還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素ガス、ギ酸アンモニウム、ボラン、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-BBN)、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)、水素化ホウ素リチウム(LiBH)、水素化ホウ素カリウム(KBH)、または水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Red-Al)である。さらに具体的な実施形態では、還元剤は水素化ホウ素ナトリウムである。
【0072】
一実施形態では、式(IV)または(IVA)の化合物に対して過剰量の還元剤を使用することができる。たとえば、式(IV)または(IVA)の化合物の1当量につき、1.1~10当量、1.5~5当量、2.0~4.0当量または2.5~3.5当量の還元剤を使用することができる。
【0073】
工程a)の還元反応は、本明細書に記載されている好適な溶媒または溶媒混合物中で行うことができる。一実施形態では、反応はTHFとエタノールの混合物中で行われる。
【0074】
還元反応は好適な温度で、たとえば、0℃~50℃の間、0℃~30℃の間、または0℃~25℃の間の温度で行うことができる。一実施形態では、還元反応は室温または20℃で行われる。
【0075】
第14の具体的な実施形態では、第12または第13の具体的な実施形態に記載されている方法について、工程(b)の反応における酸化剤は、Dess-Martinペリオジナン(DMP)、2-ヨードキシ安息香酸、コリン試薬(CrO・Py)、ニクロム酸ピリジニウム(PDC)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)/N-メチルモルフォリンN-オキシド(NMO)、(2,2,6,6-テトラメチルピぺリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)/NaClO、DMSO/塩化オキサリル、DMSO/カルボジイミドまたはDMSO/SO・Pyである。さらに具体的な実施形態では、酸化剤はDMPである。
【0076】
一実施形態では、式(V)の化合物に対して過剰量の酸化剤を使用することができる。たとえば、式(V)の化合物の1当量につき、1.01~10当量、1.01~5当量、1.05~2.0当量、または1.1~1.5当量の酸化剤を使用することができる。
【0077】
工程b)の酸化反応は本明細書に記載されている好適な溶媒または溶媒混合物中で行うことができる。一実施形態では、反応はジクロロメタン中で行われる。
【0078】
酸化反応は好適な温度で、たとえば、0℃~50℃の間、0℃~30℃の間、または10℃~25℃の間の温度で行うことができる。一実施形態では、酸化反応は室温または20℃で行われる。
【0079】
本発明の化合物
本発明は本明細書に記載されている化合物も提供する。一実施形態では、本発明は式(IV)、(IVA)、(V)または(VA)の化合物またはその塩に関する。
【0080】
本明細書及び後に続く実施例で引用されている参考文献はすべて全体として参照によって明白に組み入れられる。
【実施例
【0081】
本発明は今や非限定の実施例を参照して説明される。特に言及されない限り、比率、比、部分、等はすべて重量による。
【0082】
以下の溶媒、試薬、保護基、部分及び他の名称は括弧内でのその略語によって言及されてもよい。
aq=水性
Bn=ベンジル
BnBr=臭化ベンジル
CHCN=アセトニトリル
DCMまたはCHCl=ジクロロメタン
DMF=ジメチルホルムアミド
DMP=Dess-Martinペリオジナン
EtOAc=酢酸エチル
EtN=トリエチルアミン
g=グラム
h=時間
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
LC=液体クロマトグラフィー
LCMS=液体クロマトグラフィー質量分光分析
min=分
mg=ミリグラム
mL=ミリリットル
mmol=ミリモル
mol=モル
Me=メチル
MeOH=メタノール
MS=質量分光分析
NMR=核磁気共鳴分光法
RTまたはrt=室温(周囲、約25℃)
satまたはsat’d=飽和
SFC=超臨界流体クロマトグラフィー
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィー
【0083】
実施例1.化合物IIIAの合成
工程1
【化29】
化合物1(500g、2.74mol)のDMF(2.50L)溶液にKCO(757.39g、5.48mol)を一気に加え、次に続くBnBr(702.93g、4.11mol、488.15mL)を混合物に少しずつ加え、混合物を20℃で72時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)は反応が完了したことを示した。氷水(3L)に注ぐことによって混合物の反応を止め、沈殿した固形物を濾過によって回収し、濾過ケーキを石油(500mL×2)で粉砕した。濾過し、真空下で乾燥させて白色固形物として化合物2(1.00kg、未精製)を得たが、それをさらに精製することなく次の工程で使用した。
HNMR:(CDCl,400MHz):δ7.62-7.59(dd,J=2.0Hz,J=8.4Hz,1H),7.57-7.56(d,J=2.0Hz,1H),7.44-7.26(m,5H),6.91-6.89(d,J=8.4Hz,1H),5.21(s,2H),3.94(s,3H),3.88(s,3H)
【0084】
工程2
【化30】
化合物2(200g、734.48mmol)のCHCOOH(1.0L)溶液に氷浴で冷却している0~10℃にてHNO(92.56g、1.47mol、66.11mL)をゆっくり加えた。添加の後、濃縮したHSO(108.06g、1.10mol、58.73mL)を黄色の固形物が沈殿するまで0~10℃にて混合物に一滴ずつ加えた。次いで混合物を20℃に温め、3時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)は反応が完了したことを示した。撹拌した氷水(3L)に混合物をゆっくり注ぎ、スラリーを得た。濾過によって固形物を回収した。真空下で乾燥させて黄色の固形物として化合物3(250g、未精製)を得た。
【0085】
工程3
【化31】
化合物3(2.50kg、7.93mol)のTHF(20L)とHO(20L)の溶液に20℃でLiOH・HO(332.68g、7.93mol)を一気に加え、懸濁液を得、この温度で反応物を16時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)は反応が完了したことを示した。真空下で溶媒を蒸発させ、THFを除去した。残留物を2NのHClでpH=2まで酸性化し、黄色の沈殿物を得た。固形物を濾過によって回収し、HO(10L)で洗浄し、濾過ケーキをCHCl(15L)及びTHF(3L)に溶解し、分離してHOを取り除き、NaSO上で乾燥させ、高真空下で濃縮して黄色の固形物として化合物4(1.5kg、62.39%収率)を得た。
HNMR:(DMSO-d,400MHz):δ7.69(s,1H),7.47-7.36(m,5H),7.30(s,1H),5.23(s,2H),3.91(s,3H)
【0086】
工程4
【化32】
化合物4(500g、1.65mol)のCHCl(2.0L)とTHF(500mL)の溶液にDMF(6.03g、82.50mmol)を加え、氷水浴で0~10℃に冷却した。0~10℃の間で温度を維持している混合物に(COCl)(418.54g、3.30mol、288.65mL)を一滴ずつ加えた。次いで混合物を20℃に温め、この温度で16時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)は反応が完了したことを示した。真空下で溶媒を取り除き、黄色の固形物として化合物5(550g、未精製)を得た。
【0087】
工程5
【化33】
化合物6(1.00kg、6.13mol)のMeOH(10L)中における混合物に0℃にてSOCl(1.46kg、12.26mol、889.37mL)を一滴ずつ加えた。添加の後、得られた混合物を25℃で16時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=1:1、Rf=0.47)は反応が完了したことを示した。5バッチのそのような反応混合物を合わせ、減圧下で濃縮して乾燥させた。化合物6a(5.21kg、89.50%収率、HCl)は灰色の固形物として得られた。
【0088】
工程6
【化34】
化合物6a(2.71kg、12.68mol)のTHF(8.0L)溶液を0~10℃まで冷却し、10℃を下回る温度を維持しているEtN(4.01kg、39.63mol、5.49L)を少しずつ加えた。この温度で混合物を30分間撹拌し、0~10℃で化合物5(4.40kg、13.21mol)のTHF(16.0L)溶液を一滴ずつ加えた。添加の後、得られた反応混合物を20℃まで温め、16時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)は反応が完了したことを示した。HO(10L)によって混合物の反応を止め、真空下でTHFを取り除き、水層をEtOAc(10L×3)で抽出し、合わせた有機層をブライン(10L)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮して黒褐色の油を得た。油をMeOH(15L)で再結晶化し、濾過し、真空下で乾燥させて黄色の固形物として化合物7(3.38kg、55.34%収率)を得た。
HNMR:(DMSO-d6,400MHz):δ8.12-7.91(m,1H),7.52-6.89(m,8H),5.33-5.29(m,2H),5.1-4.7(m,1H),3.94-3.91(m,2H),3.76-3.64(m,2H),3.61(s,3H),3.19-3.13(m,1H).HPLC:99.16%.LC-MS:MS(ESI,m/z):485.1(M+23).SFC:100%ee
【0089】
工程7
【化35】
THF(17L)とEtOH(17L)の混合物に化合物7(1.69kg、3.65mol)を加え、0~10℃に冷却した。LiCl(309.45g、7.30mol)を混合物に一気に加えた。0~10℃で温度を維持している混合物にNaBH(345.20g、9.13mol)を少しずつ加えた。添加の後、混合物を20℃に温め、16時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)は反応が完了したことを示した。混合物をHO(10L)に注ぎ、真空下で溶媒を蒸発させてほとんどのTHF及びEtOHを取り除いた。残留物をCHCl(10L×3)で抽出し、有機層を合わせ、NaSO上で乾燥させ、黄色の固形物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによるシリカゲル(石油エーテル/酢酸エチル/ジクロロメタン=50/12/1からジクロロメタン/メタノール=10/1までで溶出された)で精製して黄色の固形物を得た。固形物をEtOAc(5L)で16時間粉砕した。濾過し、真空下で乾燥させて黄色の固形物として化合物8(2.11kg,66.21%収率)を得た。HNMR:(DMSO-d6,400MHz):δ8.04-7.85(m,2H),7.51-7.36(m,7H),7.32-7.22(m,2H),7.12-7.09(m,1H),6.96-6.80(m,1H),5.31-5.25(m,2H),5.03-4.79(m,2H),3.98-3.95(m,3H),3.32-2.95(m,4H).HPLC:98.51%.LCMS:(ESI,m/z):457(M+H).SFC:100%ee
【0090】
工程8
【化36】
化合物8(4.30kg、9.90mol)のDCM(25L)溶液にNaHCO(557.11g、6.63mol)を一気に加えた。DMP(5.04kg、11.88mol)を少しずつ加え、得られた混合物を20℃で16時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)は反応が完了したことを示した。混合物を飽和Na(25L中で7.5kg)に注ぎ、過剰のDMPを消費した。溶媒を分離し、水層をDCM(5L×3)で抽出し、合わせた有機層をブラインで(10L×3)洗浄し、分離し、NaSO上で乾燥させ、濃縮して黒褐色の油を得た。未精製の油をEtOAc(5L)で粉砕した。濾過し、真空下での乾燥させて黄色の固形物として化合物IIA(3.50kg、81.76%収率)を得た。HNMR:(CDCl3,400MHz):δ10.00-9.44(m,1H),7.92-7.77(m,2H),7.49-6.82(m,9H),5.77-5.22(m,3H),4.12-3.93(m,3H),3.50-3.25(m,2H).HPLC:92.15%.SFC:100%ee
【0091】
工程9
【化37】
化合物IIA(1.10kg、2.54mol)のTHF(3.30L)とMeOH(16.50L)とHO(3.30L)との溶液に20℃でNHCl(1.36kg、25.40mol)を一気に加えた。20℃でFe(425.58g、7.62mol)を混合物に少しずつ加えた。添加の後、混合物を65℃に加熱し、N雰囲気下で48時間撹拌した。HPLCは反応が完了したことを示した。混合物を20℃に冷却し、DCM(10L)に注ぎ黒色の懸濁液を得、セライト上で濾過した;濾液を高真空下で蒸発させ、THF及びMeOHを取り除いた。濾過ケーキをDCM(15L×2)中に分散させ、45℃で1時間撹拌した。濾過し、濾液を水層と合わせた。合わせた層をHO(10L)、ブライン(10L)で洗浄し、分離し、NaSO上で乾燥させ、濃縮して褐色の固形物を得た。固形物をDCM/EtOH(1/1、5L)で一晩再結晶化させ、濾過し、真空下で乾燥させて褐色の固形物として化合物IA(720g、71.63%収率、97.15%純度)を得た。以下の手順に従って未精製物を再結晶化した。300gの未精製物をトルエン(1.20L)中に溶解し、素早く80℃に加熱し、混合物を80℃で10分間撹拌し、熱いまま濾過し、10分以内にCHCN(1.80L)を混合物にゆっくり加え、添加の後、温度を60℃に冷却すると、大量の固形物が沈殿した。混合物を20℃に冷却し、この温度で16時間撹拌した。そのような固形物の2バッチを濾過し、CHCN(200mL×3)で洗浄し、高真空下で乾燥させて白色の固形物として化合物1A(465.85g、1.21mol、77.64%収率)を得た。
HNMR:(CDCl3,400MHz):δ8.28-8.26(d,J=8.0Hz,1H),7.86-7.85(d,J=4.0Hz,1H),7.58(s,1H),7.47-7.25(m,7H),7.13-7.09(m,1H),6.87(s,1H),5.27-5.19(m,2H),4.49-4.44(m,1H),3.98(s,3H),3.74-3.67(m,1H),3.51-3.46(m,1H).HPLC純度:96.38%
【0092】
工程10
【化38】
メタンスルホン酸(67.50g、702.32mmol、50.0mL)を充填した100mLの丸底フラスコに化合物IA(5.0g、13.01mmol、18バッチ)を一気に加え、混合物を20℃で1時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)反応が完了したことを示した。混合物を飽和CHCOONa(40Lの水に8kg)に注ぎpH=6~7に合わせ、黄色の固形物が沈殿した。濾過によって固形物を回収し、黄色の固形物として化合物IIIA(60.00g、未精製)を得た。以下の手順に従って、未精製物を再結晶化した。(55g、374.76mmol、2バッチ)を5LのDCE(100℃に加熱した)に溶解し、熱いうちに濾過し、濾液を真空下で濃縮して黄色の固形物を得た。固形物をDCM(500mL)に再溶解し、HO(500mL)を溶液に加えると大量の黄色の固形物が沈殿し、それを濾過し、濾過ケーキをCHCN(500mL)で1時間粉砕した。濾過及び高真空下での乾燥によって白色の固形物として化合物IIIA(90.0g、81.82%収率)を得た。HNMR:(CDCl3,400MHz):δ8.30-8.28(d,J=8.0Hz,1H),7.91-7.90(d,J=4.0Hz,1H),7.58(s,1H),7.32-7.28(m,2H),7.15-7.11(m,1H),6.94(s,1H),6.16(s,1H),4.52-4.47(m,1H),4.00(s,3H),3.76-3.69(m,1H),3.55-3.50(m,1H).HPLC:96.79%.SFC:100%ee
【0093】
実施例2.化合物IAの脱ベンジル化
(12aS)-9-ベンジルオキシ-8-メトキシ-12a,13-ジヒドロインドロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-6-オン(化合物IA、80g、188.02mmol)とDMSO(1.32g、16.92mmol、1.32mL、0.09当量)のEtOH(200mL)における懸濁液に25℃でN雰囲気下にてPd/Alox(40.02g、18.80mmol、5%純度、0.10当量)とシクロヘキサ-1,4-ジエン(25g、312.12mmol、29.42mL、1.66当量)を加えた。添加の後、反応物を50℃に加熱し、N雰囲気下で50℃にて2時間撹拌した。HPLC分析は出発物質が完全に消費されたことを示した。
【0094】
冷却した後、反応混合物を濾過し、濾過ケーキをEtOH(100mL×4)で洗浄した。合わせた2バッチの濾液を減圧下で濃縮し、残留物を得た。
【0095】
残留物をEtOAc(160mL)に溶解し、25℃で15分間撹拌した。次いで5分以内にHO(5mL)を混合物にゆっくり加えると大量の固形物が沈殿した。添加の後、反応混合物を25℃で120時間撹拌した。固形物を濾過し、EtOAc(50mL×2)で洗浄し、高真空下で乾燥させて白色固形物として化合物IIIA(105g、337.87mmol、89.85%収率、94.7%純度)を得た。
【0096】
化合物IIIA(5.0g、17.0mmol、1.0当量)のジクロロエタン(75mL)における懸濁液を100℃に加熱し、100℃にてN雰囲気下で1時間撹拌した。25℃に冷却した後、懸濁液を濾過し、ジクロロエタン(20mL×2)で洗浄し、高真空下で乾燥させて白色固形物として化合物IIIA(3.5g、75.0%収率)を得た。
【0097】
別の実験では、化合物IA(5.09g、1.0当量)をEtOH(50.9mL、10V)中に懸濁し、DMSO(87μL、0.017V)を加えた。5%のPd/Aloxを充填し、その後室温でシクロヘキサ-1,4-ジエン(1.7mL、1.5当量)を一滴ずつ加えた。反応混合物を50℃で1時間撹拌した。反応混合物を冷却した後、別のシクロヘキサ-1,4-ジエン(1.7mL、1.5当量)を加え、混合物を50℃まで1時間温めた。反応混合物を冷却した後、別のシクロヘキサ-1,4-ジエン(1.7mL、1.5当量)を加え、混合物を50℃まで1時間温めた。反応混合物を室温に冷却し、0.45μmのフィルターカートリッジで濾過し、EtOH(3×10V)ですすいだ。有機溶液を濃縮して乾燥させ、黄色の泡状物を得た。泡状物をEtOAc(10V)中に溶解し、-15℃未満で保存した。未精製の化合物IIIA(4.04g)のEtOAc溶液に水(0.3V)を加え、得られた混合物を20℃で撹拌した。溶液から素早く生成物が沈殿し、得られた薄い黄色の懸濁液を撹拌した。濾過し、EtOAc(2V)によりすすいで、30℃にて真空下で乾燥させて最終生成物(2.7g、97%純度)を得た。
【0098】
実施例3.化合物IIIAの還元
化合物IIIA(23.25g、1当量)をTHF(233mL、10V)中に懸濁した。BH3・THF(1.05M、90.3mL、1.2当量)を約21℃でゆっくり加えた。反応混合物を20℃±5℃で1時間撹拌した。飽和NH4Cl(5V)を添加し、その後水(5V)を添加して反応混合物の反応を止めた。有機相を15%NaCl(2×5V)で洗浄した。次いで有機層をMe-THF(40V)で希釈し、水(5V)で洗浄した。有機層を単離し、真空下で10Vに濃縮した。MeTHFとの共蒸発を行って水を取り除いた(3×10V)。得られた懸濁液を5Vに濃縮し、その後ヘプタン(40V)を加えた。得られたスラリーを20℃で撹拌し、次いで濾過し、ヘプタンですすぎ、30℃にて真空下で乾燥させて淡黄色の固形物(19.5g、99.14%純度)を得た。
[態様1]
式(I):
【化1A】
の化合物またはその塩を調製する方法であって、
NHClの存在下で式(II):
【化2A】
の化合物またはその塩をFeと反応させることを含み、
式中、
、R、R、及びRはそれぞれ独立して-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、-(XCHCH-R、ハロゲン、-NH(C=NH)NH、-OR、-NR’R”、-NCO、-NR’COR”、-SR、-SOR’、-SOR’、-SOH、-OSOH、-SONR’R”、シアノ、アジド、-COR’、-OCOR’、及び-OCONR’R”から選択され;
XはO、NH及びSから選択され;
は-H、-R、-OR、-SR、-NR’R”、またはハロゲンであり;
Rは各存在について、-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、6~18の炭素原子を有する任意で置換されたアリール、窒素、酸素、及びイオウから独立して選択される1以上のヘテロ原子を含有する任意で置換された5~18員のヘテロアリール環、またはO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を含有する任意で置換された3~18員の複素環から独立して選択され;
R’及びR”はそれぞれ独立して-H、-OH、-OR、-NHR、-NR、-COR、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、及びO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を有する任意で置換された3~18員の複素環から選択され;
は、-Hまたは1~4の炭素原子を有する置換されたまたは非置換の直鎖または分岐鎖のアルキルであり;且つ
nは1~24の整数である、前記方法。
[態様2]
前記反応が、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、酢酸エチル、水、及びそれらの組み合わせから選択される溶媒中で行われる態様1に記載の方法。
[態様3]
前記反応が、水と1以上の有機溶媒との混合物中で行われる態様2に記載の方法。
[態様4]
前記反応が、THFとメタノールと水との混合物中で行われる態様1~3のいずれか1項に記載の方法。
[態様5]
前記反応が、40℃~90℃の間の温度で行われる態様1~4のいずれか1項に記載の方法。
[態様6]
前記反応が、50℃~80℃の間の温度で行われる態様5に記載の方法。
[態様7]
前記反応が、60℃~70℃の間の温度で行われる態様6に記載の方法。
[態様8]
前記反応が、65℃で行われる態様7に記載の方法。
[態様9]
前記反応が、1時間~1週間行われる態様1~8のいずれか1項に記載の方法。
[態様10]
前記反応が、24時間~72時間行われる態様9に記載の方法。
[態様11]
前記反応が48時間行われる態様9に記載の方法。
[態様12]
前記反応が不活性な雰囲気下にて行われる態様1~11のいずれか1項に記載の方法。
[態様13]
前記反応がN雰囲気下で行われる態様12に記載の方法。
[態様14]
式(I)の前記化合物が、1以上の沈殿、再結晶化、またはそれらの組み合わせによって精製される態様1~13のいずれか1項に記載の方法。
[態様15]
式(I)の前記化合物が、ジクロロメタンとエタノールとの混合物にて再結晶化されるまたは沈殿される態様14に記載の方法。
[態様16]
ジクロロメタンとエタノールの体積比が1:1である態様15に記載の方法。
[態様17]
式(I)の前記化合物が、再結晶化または沈殿によってさらに精製される態様14~16のいずれか1項に記載の方法。
[態様18]
式(I)の前記化合物が、トルエンとアセトニトリルとの混合物にて再結晶化されるまたは沈殿される態様17に記載の方法。
[態様19]
式(I)の前記化合物が、高温にてトルエン中に前記化合物を溶解させ、アセトニトリルを添加することによって再結晶化される態様18に記載の方法。
[態様20]
式(I)の前記化合物が、80℃にてトルエンに前記化合物を溶解することとその後の濾過とアセトニトリルの添加とによって再結晶化される態様19に記載の方法。
[態様21]
式(III):
【化3A】
の化合物またはその塩を調製する方法であって、
パラジウム触媒の存在下で式(I):
【化4A】
の化合物またはその塩を水素化試薬と反応させることを含み、
式中、
、R、R、及びRはそれぞれ独立して-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、-(CHCHX)-R、ハロゲン、-NH(C=NH)NH、-OR、-NR’R”、-NCO、-NR’COR”、-SR、-SOR’、-SOR’、-SOH、-OSOH、-SONR’R”、シアノ、アジド、-COR’、-OCOR’、及び-OCONR’R”から成る群から選択され;
XはO、NH及びSから選択され;
は-H、-R、-OR、-SR、-NR’R”、またはハロゲンであり;
Rは各存在について、-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、6~18の炭素原子を有する任意で置換されたアリール、窒素、酸素、及びイオウから独立して選択される1以上のヘテロ原子を含有する任意で置換された5~18員のヘテロアリール環、またはO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を含有する任意で置換された3~18員の複素環から成る群から独立して選択され;
R’及びR”はそれぞれ独立して-H、-OH、-OR、-NHR、-NR、-COR、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、及びO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を有する任意で置換された3~18員の複素環から選択され;
は、-Hまたは1~4の炭素原子を有する置換されたまたは非置換の直鎖または分岐鎖のアルキルであり;且つ
nは1~24の整数である、前記方法。
[態様22]
前記パラジウム触媒がPd/Alox触媒である態様21に記載の方法。
[態様23]
前記パラジウム触媒が5重量%のPd/Aloxである態様22に記載の方法。
[態様24]
前記パラジウム触媒がPd/C触媒である態様21に記載の方法。
[態様25]
式(I)の前記化合物の1当量につき、0.05~0.5当量のPdが使用される態様21~24のいずれか1項に記載の方法。
[態様26]
式(I)の前記化合物の1当量につき、0.075~0.15当量のPdが使用される態様25に記載の方法。
[態様27]
式(I)の前記化合物の1当量につき、0.09または0.1当量のPdが使用される態様25に記載の方法。
[態様28]
前記水素化試薬が1,4-シクロヘキサジエンである態様21~27のいずれか1項に記載の方法。
[態様29]
式(I)の前記化合物の1当量につき、1.0~5.0当量の1,4-シクロヘキサジエンが使用される態様28に記載の方法。
[態様30]
式(I)の前記化合物の1当量につき、1.1~2.0当量の1,4-シクロヘキサジエンが使用される態様28に記載の方法。
[態様31]
式(I)の前記化合物の1当量につき、1.3~1.8当量の1,4-シクロヘキサジエンが使用される態様28に記載の方法。
[態様32]
式(I)の前記化合物の1当量につき、1.5~1.7当量の1,4-シクロヘキサジエンが使用される態様28に記載の方法。
[態様33]
前記方法が、5重量%のPd/Aloxの存在下で式(1)の前記化合物を1,4-シクロヘキサジエンと反応させることを含み、その際、式(I)の前記化合物の1当量につき、1.5~1.7当量の1,4-シクロヘキサジエンと0.075~0.15当量のPdが使用される態様21に記載の方法。
[態様34]
前記反応が溶媒または溶媒混合物中で行われる態様21~33のいずれか1項に記載の方法。
[態様35]
前記溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、酢酸エチル、水、及びそれらの組み合わせから選択される態様34に記載の方法。
[態様36]
前記反応がDMSOとエタノールとの混合物中で行われる態様35に記載の方法。
[態様37]
前記反応が30℃~90℃の間の温度で行われる態様21~36のいずれか1項に記載の方法。
[態様38]
前記反応が40℃~70℃の間の温度で行われる態様37に記載の方法。
[態様39]
前記反応が40℃~60℃の間の温度で行われる態様37に記載の方法。
[態様40]
前記反応が45℃~55℃の間の温度で行われる態様37に記載の方法。
[態様41]
前記反応が50℃で行われる態様37に記載の方法。
[態様42]
式(III):
【化5A】
の化合物またはその塩を調製する方法であって、
a)NHClの存在下で式(II):
【化6A】
の前記化合物をFeと反応させて式(I):
【化7A】
の化合物を形成する工程と、
b)パラジウム触媒の存在下で式(I)の前記化合物を水素化試薬と反応させて式(III)の前記化合物を形成する工程とを含み、
式中、
、R、R、及びRはそれぞれ独立して-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、-(CHCHX)-R、ハロゲン、-NH(C=NH)NH、-OR、-NR’R”、-NCO、-NR’COR”、-SR、-SOR’、-SOR’、-SOH、-OSOH、-SONR’R”、シアノ、アジド、-COR’、-OCOR’、及び-OCONR’R”から成る群から選択され;
XはO、NH及びSから選択され;
は-H、-R、-OR、-SR、-NR’R”、またはハロゲンであり;
Rは各存在について、-H、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、6~18の炭素原子を有する任意で置換されたアリール、窒素、酸素、及びイオウから独立して選択される1以上のヘテロ原子を含有する任意で置換された5~18員のヘテロアリール環、またはO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を含有する任意で置換された3~18員の複素環から成る群から独立して選択され;
R’及びR”はそれぞれ独立して-H、-OH、-OR、-NHR、-NR、-COR、1~10の炭素原子を有する任意で置換された直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHX)-R、及びO、S、N及びPから独立して選択される1~6のヘテロ原子を
有する任意で置換された3~18員の複素環から選択され;
は、-Hまたは1~4の炭素原子を有する置換されたまたは非置換の直鎖または分岐鎖のアルキルであり;且つ
nは1~24の整数である、前記方法。
[態様43]
前記溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、酢酸エチル、水、及びそれらの組み合わせから選択される態様42に記載の方法。
[態様44]
工程(a)の前記反応が水と1以上の有機溶媒との混合物中で行われる態様43に記載の方法。
[態様45]
工程(a)の前記反応がTHFとメタノールと水との混合物中で行われる態様42~44のいずれか1項に記載の方法。
[態様46]
工程(a)の前記反応が40℃~90℃の間の温度で行われる態様42~45のいずれか1項に記載の方法。
[態様47]
工程(a)の前記反応が50℃~80℃の間の温度で行われる態様46に記載の方法。
[態様48]
工程(a)の前記反応が60℃~70℃の間の温度で行われる態様47に記載の方法。
[態様49]
工程(a)の前記反応が65℃で行われる態様48に記載の方法。
[態様50]
工程(a)の前記反応が1時間~1週間行われる態様42~49のいずれか1項に記載の方法。
[態様51]
工程(a)の前記反応が24時間~72時間行われる態様50に記載の方法。
[態様52]
工程(a)の前記反応が48時間行われる態様51に記載の方法。
[態様53]
工程(a)の前記反応が不活性雰囲気下で行われる態様42~52のいずれか1項に記載の方法。
[態様54]
工程(a)の前記反応がN雰囲気下で行われる態様53に記載の方法。
[態様55]
工程(b)の前記反応が行われる前に、式(I)の前記化合物が1以上の沈殿、再結晶化またはそれらの組み合わせによって精製される態様42~54のいずれか1項に記載の方法。
[態様56]
式(I)の前記化合物がジクロロメタンとエタノールとの混合物にて再結晶化されるまたは沈殿される態様55に記載の方法。
[態様57]
ジクロロメタンとエタノールの体積比が1:1である態様56に記載の方法。
[態様58]
式(I)の前記化合物が再結晶化または沈殿によってさらに精製される態様55~57のいずれか1項に記載の方法。
[態様59]
式(I)の前記化合物がトルエンとアセトニトリルとの混合物にて再結晶化されるまたは沈殿される態様58に記載の方法。
[態様60]
式(I)の前記化合物が、高温にてトルエン中に前記化合物を溶解させてアセトニトリルを添加することによって再結晶化される態様59に記載の方法。
[態様61]
式(I)の前記化合物が、80℃にてトルエンに前記化合物を溶解させて、その後濾過し、アセトニトリルを添加することによって再結晶化される態様59に記載の方法。
[態様62]
工程(b)における前記パラジウム触媒がPd/Alox触媒である態様42~61のいずれか1項に記載の方法。
[態様63]
工程(b)における前記パラジウム触媒が5重量%のPd/Aloxである態様62に記載の方法。
[態様64]
前記パラジウム触媒がPd/C触媒である態様42~61のいずれか1項に記載の方法。
[態様65]
式(I)の前記化合物の1当量につき、0.05~0.2当量のPdが使用される態様62~64のいずれか1項に記載の方法。
[態様66]
式(I)の前記化合物の1当量につき、0.075~0.15当量のPdが使用される態様65に記載の方法。
[態様67]
式(I)の前記化合物の1当量につき、0.09または0.1当量のPdが使用される態様65に記載の方法。
[態様68]
工程(b)における前記水素化試薬が1,4-シクロヘキサジエンである態様42~67のいずれか1項に記載の方法。
[態様69]
式(I)の前記化合物の1当量につき、1.0~5.0当量の1,4-シクロヘキサジエンが使用される態様68に記載の方法。
[態様70]
式(I)の前記化合物の1当量につき、1.1~2.0当量の1,4-シクロヘキサジエンが使用される態様69に記載の方法。
[態様71]
式(I)の前記化合物の1当量につき、1.3~1.8当量の1,4-シクロヘキサジエンが使用される態様69に記載の方法。
[態様72]
式(I)の前記化合物の1当量につき、1.5~1.7当量の1,4-シクロヘキサジエンが使用される態様69に記載の方法。
[態様73]
工程(b)の前記反応が、5重量%のPd/Aloxの存在下で式(I)の前記化合物を1,4-シクロヘキサジエンと反応させることを含み、その際、式(I)の前記化合物の1当量につき、1.5~1.7当量の1,4-シクロヘキサジエンと0.075~0.15当量のPdが使用される態様42~61のいずれかに記載の方法。
[態様74]
工程(b)の前記反応が溶媒または溶媒混合物中で行われる態様42~73のいずれか1項に記載の方法。
[態様75]
前記溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、酢酸エチル、水、及びそれらの組み合わせから選択される態様74に記載の方法。
[態様76]
前記反応がDMSOとエタノールとの混合物中で行われる態様74に記載の方法。
[態様77]
工程(b)の前記反応が30℃~90℃の間の温度で行われる態様42~76のいずれか1項に記載の方法。
[態様78]
前記反応が40℃~70℃の間の温度で行われる態様77に記載の方法。
[態様79]
前記反応が40℃~60℃の間の温度で行われる態様77に記載の方法。
[態様80]
前記反応が45℃~55℃の間の温度で行われる態様77に記載の方法。
[態様81]
前記反応が50℃で行われる態様77に記載の方法。
[態様82]
式(II)の前記化合物が、以下の工程:
a)式(IV):
【化8A】
の化合物を還元剤で還元して式(V):
【化9A】
の化合物を形成することと、
b)式(V)の前記化合物を酸化剤で酸化して式(II)の前記化合物を形成すること、とを含む方法によって調製される態様1~20及び42~81のいずれか1項に記載の方法。
[態様83]
前記還元剤が水素化物還元剤である態様82に記載の方法。
[態様84]
前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素ガス、ギ酸アンモニウム、ボラン、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-BBN)、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)、水素化ホウ素リチウム(LiBH)、水素化ホウ素カリウム(KBH)、または水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Red-Al)である態様82に記載の方法。
[態様85]
前記還元剤が水素化ホウ素ナトリウムである態様82に記載の方法。
[態様86]
前記酸化剤が、Dess-Martinペリオジナン(DMP)、2-ヨードキシ安息香酸、コリン試薬(CrO・Py)、ニクロム酸ピリジニウム(PDC)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)/N-メチルモルフォリンN-オキシド(NMO)、(2,2,6,6-テトラメチルピぺリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)/NaClO、DMSO/塩化オキサリル、DMSO/カルボジイミドまたはDMSO/SO・Pyである態様82~85のいずれか1項に記載の方法。
[態様87]
前記酸化剤がDMPである態様86に記載の方法。
[態様88]
、R、R、及びRがそれぞれ独立して-H、(C-C)アルキル、ハロゲン、-OH、(C-C)アルコキシ、及びシアノから成る群から選択される態様1~87のいずれか1項に記載の方法。
[態様89]
、R、R、及びRがすべてHである態様88に記載の方法
[態様90]
が(C-C)アルコキシである態様1~89のいずれか1項に記載の方法。
[態様91]
が-OMeである態様90に記載の方法。
[態様92]
、R、R、及びRがすべてHであり、且つRが-OMeである態様1~87のいずれか1項に記載の方法。