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▶ ユニヴァーシティ オブ ピッツバーグ オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイアー エデュケイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】抗精神病組成物及び治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/81 20060101AFI20221107BHJP
   A61K 31/585 20060101ALI20221107BHJP
   A61K 31/7028 20060101ALI20221107BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221107BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20221107BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20221107BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
A61K36/81
A61K31/585
A61K31/7028
A61K47/26
A61P25/18
A61P25/22
A61P25/24
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019567225
(86)(22)【出願日】2017-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 US2017050234
(87)【国際公開番号】W WO2018156202
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】62/463,836
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508226230
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オブ ピッツバーグ オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイアー エデュケイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カディアマダ・エヌ・チェンガッパ
(72)【発明者】
【氏名】ディーン・フランシス・ソールズベリー
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-501787(JP,A)
【文献】インド国特許公開第1513/MUM/2012(IN,A)
【文献】米国特許第6153198(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/81
A61K 31/585
A61K 31/7028
A61K 47/26
A61P 25/18
A61P 25/22
A61P 25/24
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者において抗精神病薬が投与される、統合失調症又は統合失調感情障害の一つまたは複数の陰性症状の治療において使用するための、ウィタニア・ソムニフェラ抽出物を含む医薬組成物であって、
該治療は、患者において、統合失調症又は統合失調感情障害の陰性症状を治療するために且つミスマッチ陰性異常を改善するために、
抗精神病薬と組み合わせて、ウィタニア・ソムニフェラ抽出物を、少なくとも4週間、1日2回100mg~2000mgの量で投与することを含む、医薬組成物。
【請求項2】
患者において、精神障害の陰性症状を改善するための、患者において、統合失調症又は統合失調感情障害のストレス症状、抑うつ、不安、及び/若しくは興奮症状を改善するための、並びに/又は、患者において、精神障害の感覚性若しくは認知性症状、P300事象関連電位若しくはガンマ帯域聴覚定常反応を改善するための、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
W・ソムニフェラ抽出物が、W・ソムニフェラ植物の根及び/若しくは葉の抽出物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
W・ソムニフェラ抽出物を、経口で、任意で無期限に、患者に投与する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
W・ソムニフェラ抽出物が、
a. 少なくとも3%(質量%)又は少なくとも8%(質量%)のウィタノリドグリコシド及びシトインドシド、
b. 少なくとも3%(質量%)又は少なくとも32%(質量%)のオリゴ糖、並びに
c. 0.5%(質量%)未満の遊離ウィザフェリンA(アグリコン)
を含み、(a):(c)が75~95:25~5であり、(a):(b)が40~60:60~40であり、オリゴ糖が、任意で、2000Da未満の質量平均分子量(Mw)を有する、標準化抽出物で提供される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
標準化抽出物が、少なくとも8質量%の総ウィタノリドグリコシド結合体、2質量%以下のウィザフェリンAを含み、ウィタノリドグリコシド結合体の遊離ウィザフェリンAに対する比が、75:95~25:5の範囲であり、任意で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定された質量%である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
W・ソムニフェラ抽出物が、ウィタノリドグリコシド若しくはシトインドシド、又はそれらのアグリコンを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
W・ソムニフェラ抽出物が、ウィタノリドD、シトインドシドVII、シトインドシドVIII、シトインドシドIX、シトインドシドX、及び構造:
【化1】
(式中、R1はH、C1~C3アルキル、又はC1~C4アルコキシであり、R2は、H又はC1~C3アルキルであり、R3は、H又はHOであり、
【化2】
は、単結合又は二重結合である)
を有する化合物の1つ又は複数を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
抗精神病薬が投与される統合失調症又は統合失調感情障害の陰性症状の治療において使用するための医薬であって、該治療は、患者において、統合失調症又は統合失調感情障害の陰性症状を治療するために且つミスマッチ陰性異常を改善するために、抗精神病薬と組み合わせて、ウィタニア・ソムニフェラ抽出物を、少なくとも4週間、1日2回100mg~2000mgの量で投与することを含む、請求項4から8のいずれか一項に規定の医薬組成物を含む、医薬。
【請求項10】
W・ソムニフェラ抽出物、W・ソムニフェラ植物の根及び/若しくは葉の抽出物である、請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
経口又は非経口剤形として調製される、請求項9に記載の医薬。
【請求項12】
統合失調症又は統合失調感情障害の陰性症状の治療において使用するための、及び、ミスマッチ陰性異常の改善において使用するための、ウィタニア・ソムニフェラ抽出物を含む医薬組成物であって、該治療は、ウィタニア・ソムニフェラ抽出物を、少なくとも4週間、1日2回100mg~2000mgの量で投与することを含む、医薬組成物。
【請求項13】
W・ソムニフェラ抽出物、W・ソムニフェラ植物の根及び/若しくは葉の抽出物である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
経口又は非経口剤形として調製される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
一用量当たり100mg~2000mgのW・ソムニフェラ植物の根及び/又は葉の抽出物を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項16】
W・ソムニフェラ抽出物が、
a. 少なくとも3%(質量%)又は少なくとも8%(質量%)のウィタノリドグリコシド及びシトインドシド、
b. 少なくとも3%(質量%)又は少なくとも32%(質量%)のオリゴ糖、並びに
c. 0.5%(質量%)未満の遊離ウィザフェリンA(アグリコン)
を含み、(a):(c)が75~95:25~5であり、(a):(b)が40~60:60~40であり、オリゴ糖が、任意で、2000Da未満の質量平均分子量(Mw)を有する、標準化抽出物で提供される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項17】
W・ソムニフェラ抽出物が、ウィタノリドグリコシド若しくはシトインドシド、又はそれらのアグリコンを含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項18】
W・ソムニフェラ抽出物が、ウィタノリドD、シトインドシドVII、シトインドシドVIII、シトインドシドIX、シトインドシドX、及び構造:
【化3】
(式中、R1はH、C1~C3アルキル、又はC1~C4アルコキシであり、R2は、H又はC1~C3アルキルであり、R3は、H又はHOであり、
【化4】
は、単結合又は二重結合である)
を有する化合物の1つ又は複数を含む、請求項17に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年2月27日出願の米国仮特許出願第62/463,836号に基づく利益を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
統合失調症及び統合失調感情障害等の精神病状態の治療のための方法及び組成物が提供されている。
【背景技術】
【0003】
薬を服用しているが統合失調症又は統合失調感情障害における進展する症状を経験する患者に対する現在の治療アプローチは、既存の薬の調節(即ち、投与量)、又は別の薬への切替え若しくは他の抗精神病薬品の追加を含む。これらのアプローチの各々は、統合失調症の陽性症状と称されるもの(例えば、幻覚、妄想、思考障害等)を抑制することの助けとなるが、通常、少しでも陰性症状(例えば、意欲低下、気力低下、緩慢な思考及び緩慢な発話、緩慢な動作、物事を行うことに対しての無関心等)がある場合には大した助けとならず、また総合症状(抑うつ、不安、疲労感等)に対して著しい助けとならない。
【0004】
統合失調症に対する免疫炎症調節障害療法の最近の努力により、統合失調症の人々に対する治療の新たな展望が開いている。前炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの不均衡、並びに、高レベルの炎症性マーカー(例えば、C反応性タンパク質、S100B、及びプロスタグランジンE2)が、統合失調症の患者の、とりわけ症状の増悪を経験する患者のサブグループにおいて報告されている。これらの免疫炎症性の変調は、ドーパミン作動性、グルタミン酸作動性及びコリン作用性神経伝達に影響を及ぼすことが知られており、これは統合失調症において示される陽性症状、陰性症状及び認知性症状に順に関連する。概説では、抗精神病薬品は、免疫炎症性撹乱を軽減するとは思われないと結論付けられている。抗炎症薬、例えばCox阻害剤を使用して統合失調症の症状を補助的に治療する場合があるのは、これらの薬が、主として2型から1型へと免疫応答性を変化させ、プロスタグランジンE2(PGE2)合成を阻害するためである。症状の増悪を経験する患者をほとんどが含む、未発表の研究を含めた8件の無作為対照試験の概説では、補助的Cox-2阻害剤(セレコキシブ、6研究)又は非選択性Cox-1/Cox-2阻害剤(アスピリン、2研究)は、統合失調症の陽性症状に対して小さな治療効果を示し、精神病理全体に対しては有意な傾向レベルを示したが、陰性症状に対しては効果を示さなかったことが指摘された。非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)に関する心臓での安全性及び出血のリスクに対する配慮から、統合失調症の症状増悪について試験するための代替的な抗炎症剤が求められている。
【0005】
ミスマッチ陰性電位(MMN)は、ヒトだけでなく他の動物でも、脳波(EEG)において捉えられる事象関連電位(ERP)であり、典型的には、一連の標準的な反復性の聴覚的な音での稀な逸脱音に応じている。逸脱音の検出により、MMNが生成される。逸脱音は、ピッチ、継続時間、頻度、又は標準音からの強度が異なり得る。ミスマッチ陰性(MMN)における変調は、統合失調症において報告されている、最も多く(200超の研究)再現される異常のひとつである。長期間にわたる統合失調症において、MMNの振幅は、頻度又は継続時間の変化に対して減少する。メタ分析において、Umbricht及びKrljes (Mismatch negativity in schizophrenia: A meta-analyses. Schizophrenia Research 2005、76:1~25)は、統合失調症でのMMN異常に対する全体的な効果サイズは0.99であると推定し、これは大きいと考えられる。MMN異常は、統合失調症の人々において、損なわれた日々の実行機能、及び社会的技能の取得と高い相関を示す。更に、MMN異常はまた、統合失調症の人々において、日々の機能も損なう陰性症状と相関を示す。
【0006】
主に陽性症状(例:幻覚、妄想、混乱した思考及び行動)を治療するために使用される標準的な抗精神病薬は、MMNを改善しない。市販されている抗精神病薬は、主にドーパミン受容体アンタゴニストであり、これらは、別の神経伝達物質系、即ち、N-メチル-D-アスパルテーグルタメート受容体(NMDAR)により密接に関連する統合失調症でのMMN異常を改善しない。更に、これらの抗精神病薬は、陰性症状(例として、感情の鈍化及び最小限度の顔の表現性、他人からの質問に応答する会話貧困及び最小限度の自発的会話、日々の活動に係る意欲の鈍化が挙げられ、低い気力及び低下した思考過程を示し、他人から社会的に離脱されることとなる)を改善しない。したがって、統合失調症又は統合失調感情障害の人々において、神経生理学的異常(例えばMMN)及び陰性症状の改善への重大な必要性は対処されていない。
【0007】
聴覚皮質により受動的及び自動的に誘発されるMMNと異なり、P300事象関連電位は、稀な対象の刺激の活性検出の間、誘発される。それはまた、最初の発症時でさえ、統合失調症において深刻に損なわれる。統合失調症での聴覚P300事象関連電位の広範囲な頭皮で記録された振幅の減少は、よく報告されており、強固である。更に、統合失調症での聴覚P300の減少は、形質の特徴を示すと思われ、顕在的な精神病の総体的症状の解決を伴って良くはならず、短期精神病評価尺度でのスコアの変動が報告される場合でさえ、P300振幅は、統合失調症では対照対象より低いままである。
【0008】
統合失調症で低下する別のERPは、ガンマ帯域聴性定常反応(ASSR)である。短いクリック(1ミリ秒間)を、40Hzで行う場合、脳は、刺激周波数(40Hz)、いわゆるガンマ帯域で振動することにより応答する。ガンマ帯域ASSRは、長期の統合失調症で低下し、最初の発症時、NMDA及びGABAの不均衡に関するガンマ帯域ASSRでの低下は、損なわれた認知機能に関連する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許出願公開第20040166184号
【文献】米国特許出願公開第20130115316号
【文献】米国特許出願公開第20150320771号
【文献】米国特許第6,153,198号
【文献】米国特許第6,713,092号
【文献】米国特許第7,318,938号
【文献】米国特許第7,250,181号
【非特許文献】
【0010】
【文献】Umbricht及びKrljes (Mismatch negativity in schizophrenia: A meta-analyses. Schizophrenia Research 2005、76:1~25)
【文献】MINI, Sheehan, D.V.等、The Mini-International Neuropsychiatric Interview (M.I.N.I.): the development and validation of a structured diagnostic psychiatric interview for DSM-IV and ICD-10, J Clin Psychiatry. 1998年;59補遺20:22~33
【文献】Kay S.R.等、Fiszbein A, Opler LA: The positive and negative syndrome scale (PANSS) for schizophrenia. Schizophr Bull. 1987年; 13:261~276
【文献】Leucht S.等、Dose Equivalents for Antipsychotic Drugs: The DDD Method. Schizophr Bull. 2016年;(42): S90~S94
【文献】Cohen J. Quantitative Methods in Psychology, A Power Primer. Psychological Bulletin、1992年、第112巻、第1号、155~159
【文献】Pueskens J, Van Baalen B, De Smedt C等、International Clinical Psychopharmacology、2000年、15:343~349
【文献】Nitta M.等: Adjunctive Use of Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs for Schizophrenia: A Meta-analytic Investigation of Randomized Controlled Trials. Schizophr Bull 2013; 39:1230~1241
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
統合失調症及び統合失調感情障害での陰性症状、ミスマッチ陰性、P300及びガンマ帯域異常を改善する、組成物、活性剤及び方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
抗精神病薬を患者に投与する精神障害を治療する方法が、本発明の一態様にしたがって提供される。この方法は、精神障害を治療するために効果的な量で、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)活性剤を、抗精神病活性剤と組み合わせて患者に投与することを含む。
【0013】
別の態様によれば、医薬剤形又は組成物が、抗精神病薬を投与する精神障害の治療用に提供される。この組成物は、精神病性障害等、例えば統合失調症又は統合失調感情障害等の精神障害、及び任意で精神障害の1つ又は複数の陰性症状を治療するために効果的な量で、抗精神病薬剤及びW・ソムニフェラ活性剤を含むことを含む。
【0014】
更なる態様によれば、W・ソムニフェラ活性剤が、例えば抗精神病薬を投与する精神障害の陰性症状の治療用に提供される。
【0015】
様々な態様において、精神障害は、統合失調症又は統合失調感情障害等の精神病性障害であり得、例えば、統合失調症、妄想型統合失調症、破瓜型統合失調症、鑑別不能型統合失調症、残遺型統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、妄想障害、短期精神病性障害、他の特異的統合失調症スペクトラム及び他の精神病性障害、非特異的統合失調症スペクトラム及び他の精神病性障害からなる群から選択される。
【0016】
様々な態様において、精神障害の陰性症状は、W・ソムニフェラ活性剤の患者への投与後に、患者において改善され、精神障害のストレス症状、抑うつ、不安、及び/若しくは興奮症状は、W・ソムニフェラ活性剤の患者への投与後に、患者において改善され、並びに/又は、聴覚刺激に対する脳波の反応等の精神障害の感覚性若しくは認知性症状、例えば、ミスマッチ陰性異常、P300事象関連電位、若しくはガンマ帯域聴覚定常反応は、W・ソムニフェラ活性剤の患者への投与後に、患者において改善される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】W・ソムニフェラ活性剤の構造式である。
図1B】W・ソムニフェラ活性剤の構造式である。
図1C】W・ソムニフェラ活性剤の構造式である。
図1D】W・ソムニフェラ活性剤の構造式である。
図1E】W・ソムニフェラ活性剤の構造式である。
図1F】W・ソムニフェラ活性剤の構造式である。
図2】PANSS(陽性・陰性症状評価尺度、Kay等、1987)及びPSS評価尺度(知覚ストレス尺度、Cohen等、2000)のスコアを示す表である。
図3A】W・ソムニフェラ抽出物又はプラセボを受けた患者におけるPANSSスコアの変化を示すグラフである。陰性症状 - 訪問4 p=0.025、訪問5 p=0.001、訪問6 p<0.001。
図3B】W・ソムニフェラ抽出物又はプラセボを受けた患者におけるPANSSスコアの変化を示すグラフである。総合症状 - 訪問4 p=0.007、訪問5 p<0.001、訪問6 p<0.001。
図3C】W・ソムニフェラ抽出物又はプラセボを受けた患者におけるPANSSスコアの変化を示すグラフである。トータル症状 - 訪問4 p=0.038、訪問5 p<0.001、訪問6 p<0.001。
図3D】W・ソムニフェラ抽出物又はプラセボを受けた患者におけるPANSSスコアの変化を示すグラフである。
図4】W・ソムニフェラ抽出物又はプラセボを受けた患者における知覚ストレススコアの変化を示すグラフである。訪問4 p=0.025、訪問5 p=0.051、訪問6 p=0.004。
図5A】実施例1での患者に対して、W・ソムニフェラ抽出物又はプラセボを受けた患者における抑うつのスコアを示すグラフである。
図5B】実施例1での患者に対して、W・ソムニフェラ抽出物又はプラセボを受けた患者における不安のスコアを示すグラフである。
図5C】実施例1での患者に対して、W・ソムニフェラ抽出物又はプラセボを受けた患者における興奮のスコアを示すグラフである。
図6】実施例1での患者に対して、W・ソムニフェラ抽出物又はプラセボを受けた患者におけるS100bレベルの変化を示すグラフである。
図7】実施例1での患者に対して、ベースラインからRxの終了までのS100b、hsCRP、及びIL-6のレベルを示す表である。
図8A】実施例1での患者に対して、W・ソムニフェラ抽出物を受けた患者に対するhsCRP及びS100Bの相関を示すグラフである。
図8B】実施例1での患者に対して、プラセボを受けた患者に対するhsCRP及びS100Bの相関を示すグラフである。
図9】実施例1での患者に対して、体重、ボディマスインデックス(BMI)、及びバイタルサインを示す表である。
図10A】実施例2での患者に対して、W・ソムニフェラ抽出物又はプラセボを受けた患者におけるMMNのデータを示す図及びグラフである。
図10B】実施例2での患者に対して、W・ソムニフェラ抽出物又はプラセボを受けた患者におけるP300のデータを示す図及びグラフである。
図10C】実施例2での患者に対して、W・ソムニフェラ抽出物又はプラセボを受けた患者におけるガンマ帯域のデータを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願で特定される様々な範囲での数値の使用は、別段明示されていない限り、記載範囲内の最小値及び最大値が、両方とも単語「約」が前にあるように、近似値として記載される。これにより、記載される範囲を僅かに上回るか又は下回る変数は、範囲内の値と実質的に同じ結果を得るために使用することができる。また、別段の指示がない限り、範囲の開示は、最小値と最大値との間の全ての値を含む連続的な範囲として意図されている。本明細書で使用する場合、「1つの(a、an)」は、1つ又は複数を指す。
【0019】
「患者」は、ヒトであり、医者-患者の関係を含意しない。患者の「治療」は、記載される障害、疾患又は状態の1つ又は複数の臨床的に関連のある症状の改善を指す。統合失調症、統合失調感情障害、及び上記に列挙した他の障害に関して、陽性、陰性又は総合の症状がある。陽性症状には、幻覚、妄想、奇異な思考、混乱した思考等が含まれる。多くの場合、陽性症状は、利用できる抗精神病薬に応答する。陰性症状は、減衰した顔の情動性(顔の表情は、無表情で固定しており、しばしば適当な場合でさえ笑わない)、興味の喪失、及び家族、親戚、友人又は仲間の患者等からの離脱、会話しない又は最低限度の会話しかせず引きこもり、身だしなみや衛生に怠慢、会話の間に家族、友人、医療関係者に対し距離を置き無関心、気力がほとんどないか全くない、意欲がない、抽象思考が困難、ことわざの意味又は普通の日々のカテゴリ化に反応して非常に明確になり得る、ほとんど喋らないか又は彼若しくは彼女が喋るとしても最低限の発話で、文章の通常の推敲、迅速な思考及び発想の繰返しはない、緩慢な思考等を含む。陽性症状とは対照的に、陰性症状は、利用できる抗精神病薬に応答しない。総合症状は、いくつかの身体的な症状を伴う身体的な没頭、不安、抑うつ、罪悪感、緊張、全体的に緩慢な発話及び活動、不適切な協働、注意力及び集中力不足、不十分な適応、判断力及び洞察力不足の提示、衝動制御不足、社会的逃避を含む。様々な態様において、PANSS尺度及びその下位尺度、又は知覚ストレス尺度を、本明細書に記載の症状の改善を判断するために利用することができる。別の態様において、症状は、電気周波数ホログラム事象関連電位、例えば、ミスマッチ陰性、聴覚P300事象関連電位、及び/又は低下したガンマ帯域聴性定常反応等の、認知的感覚反応である。これらの認知的又は感覚的症状は、利用できる抗精神病薬に応答しない。多くの場合、統合失調症、統合失調感情障害、及び上記の同様の障害の陽性面を治療することに対して効果的であるが、抗精神病薬は、陰性症状及び多くの態様での総合症状を治療することに対して大部分は無効であり、選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)等の抗うつ剤の使用の試みは、有望性がないままである。障害、疾患又は状態の症状に関連して「改善された」「改善する」又は「改善」により、計測できる症状の計量又は測量が、疾患又は状態の特徴である値から患者の正常値へ向かって動くことを意味する。例えば、会話しないか又は最低限度の会話しかせず引きこもりである患者の陰性症状の改善は、患者がより会話し魅力的になることを意味する。
【0020】
本明細書で提供されるのは、W・ソムニフェラ組成物、例えば活性剤を含む組成物を使用する、様々な精神障害を治療する方法であり、例えば、薬用ハーブW・ソムニフェラから調製され、アシュワガンダとしばしば称され、典型的にはW・ソムニフェラの抽出物の形態である組成物等を使用する。W・ソムニフェラ薬剤、例えばW・ソムニフェラ植物、例えば根及び/又は葉の抽出物を投与して、上述の精神障害の症状を改善し、一態様において、精神障害の1つ又は複数の陰性症状を改善し、任意で、精神障害の1つ若しくは複数の総合症状及び/又は1つ若しくは複数の陽性症状を改善する。
【0021】
一態様において、精神障害の患者を治療する方法を提供する。精神障害は、精神病性障害(又は精神病)を含み、抗精神病薬を投与する任意の障害を含む。このような障害の非限定例として、統合失調症障害(DSM-IV-TRTM及びDSM-5TMによる295.xx、国際疾病分類によるF20.9、ICD-10-CMコード)、295.30妄想型統合失調症、295.10破瓜型統合失調症、295.90鑑別不能型統合失調症、295.60残遺型統合失調症、295.70(F25.0、F25.1)統合失調感情障害、295.40(F20.81)統合失調症様障害、297.1(F22)妄想障害、298.8(F23)短期精神病性障害、298.8(F28)他の特異的統合失調症スペクトラム及び他の精神病性障害、298.9(F29)非特異的統合失調症スペクトラム及び他の精神病性障害が挙げられる。DM及びICDコードは、代表的な目的のみで提供される。一態様において、治療される患者は、統合失調症又は統合失調症障害等の、抗精神病薬が投与される精神障害の1つ又は複数の症状、例えば1つ又は複数の陰性症状、総合症状、又は認知的/感覚的症状の増悪を有する。方法は、ある量の抗精神病薬、並びに、W・ソムニフェラ植物の葉及び/若しくは根、若しくは例えばW・ソムニフェラ植物の根及び/若しくは葉の抽出物、又は、その部分を含み、例えば統合失調症又は統合失調症障害等の、抗精神病薬が投与される精神障害の陰性症状及び/若しくは認知的/感覚的症状を改善するために、患者を治療するのに効果的な、ある量の組成物を患者に投与することを含む。一態様において、抽出物は、W・ソムニフェラ植物の根及び/又は葉のアルコール抽出により調製される。別の態様において、抽出物は、ウィタニア・ソムニフェラ植物の根及び/又は葉の水抽出により調製される。
【0022】
ウィタニア・ソムニフェラ・ダン(Withania somnifera Dunn.)もまた、アーユルヴェーダ医学でアシュワガンダ、又はインドニンジンと称される。疾患に対する耐性が増加し、老化の過程を阻止し、衰弱した状態の体を改善することにより、健康と長寿を促進するとみなされ、アダプトゲンとしばしば称される。市販の調製物は、典型的には、粉砕した根及び葉、又は根及び葉の抽出物を含む。W・ソムニフェラ植物の根及び葉、並びにその抽出物は、本明細書に記載の方法における抽出物にその効能を付与する所望の化学的成分を有する。それにもかかわらず、W・ソムニフェラ植物の根及び葉に言及しているが、本明細書に記載の方法による組成物の活性が保持され、毒性が最小限である限り、他の植物部分を、標準化抽出物の調製で使用してもよい。
【0023】
W・ソムニフェラ(WSE)の抽出物は、動物試験において、急性期反応物質、Cox 2阻害剤の産生、及びNF-kB炎症性シグナリング経路の阻害を調節しながら、1型免疫応答及びサイトカイン産生を促進する、免疫調節作用及び抗炎症作用を示す。WSEはまた、抗不安、認知向上、及び抗関節炎の効果を示し、初期ヒト試験においてかなり良好な安全性を有すると考えられる。WSE抽出物は、健康な対照及び関節リウマチの患者由来の短核細胞のNF-kB(炎症性シグナリング経路)を阻害し、いくつかの炎症誘発サイトカインの産生も抑制する。WSEは、星状細胞及びミクログリアの酸化促進及び炎症性活性を減衰する。動物及びヒトの免疫炎症性のデータに基づいて、W・ソムニフェラの標準化抽出物は、統合失調症患者の最近増悪した症状に対して有益であることが証明されると仮定した。
【0024】
様々な特有の化合物は、例えばW・ソムニフェラ植物の根及び/又は葉の抽出物内で発見され、例えばW・ソムニフェラ植物の根及び/若しくは葉の部分を使用する抽出若しくは精製のいずれかの方法、又は合成製造により得ることができる。したがって、W・ソムニフェラ植物の葉及び/若しくは根、又は例えばW・ソムニフェラ植物の根及び/若しくは葉の抽出物は、1つ又は複数の「W・ソムニフェラ活性剤」を含み、例えばW・ソムニフェラ植物の根及び/又は葉の抽出物で見出される薬理学的に活性な組成物(活性剤)、例えば、ウィタノリドグコシド、シトインドシド、サポゲニン、及びそこで見出されるオリゴ糖、及び、ウィザフェリンA(アグリコン)等のそのアグリコン誘導体、並びに、その誘導体を含む(例えば、参照として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20040166184号、米国特許出願公開第20130115316号及び米国特許出願公開第20150320771号を参照)。W・ソムニフェラ活性剤は、統合失調症、統合失調感情障害、又は抗精神病薬が処方される他の障害等の、本明細書に記載の心理的障害を治療する方法に有用である。W・ソムニフェラで見出された化学的成分、例えば活性剤、及び、水性抽出物又はアルコール抽出物等のその抽出物は、以下を含む: ウィザフェリンA(図1A)、ウィタノリドD(図1B)、シトインドシドVII(図1C)、シトインドシドVIII(図1D)、シトインドシドIX(図1E)、及び、シトインドシドX(図1F)。
【0025】
以下は、ウィザフェリンA誘導体を示す(米国特許出願公開第20150320771号を参照)。
【0026】
【化1】
【0027】
(式中、R1はH、C1~C3アルキル、又はC1~C4アルコキシであり、R2は、H又はC1~C3アルキルであり、R3は、H又はHOであり、
【0028】
【化2】
【0029】
は、単結合又は二重結合である)。上述のウィザフェリンA誘導体を調製する方法は、米国特許出願公開第20130115316号及び米国特許出願公開第20150320771号に記載されている。
【0030】
典型的には、W・ソムニフェラの市販の抽出物は、アシュワガンダとみなすのに適切な量の有益な化学的成分が欠如しており、その代わりに、微量のグリコウィタノリドが含まれるか又はグリコウィタノリドが全く含まれておらず、大量のウィタノリドアグリコン、高レベルの多糖類、及び低レベルのオリゴ糖類、並びに毒性トロパン型のアルカロイド又はスコプラミンを含有する。W・ソムニフェラ抽出物の質は、米国特許第6,153,198号及び米国特許第6,713,092号で報告されている方法を使用することにより改善され、W・ソムニフェラの抽出物を得るための好適な方法である。W・ソムニフェラの抽出物のための追加的な使用及び抽出物を含有する組成物は、米国特許第7,318,938号及び米国特許第7,250,181号に記載されている。抽出の手順により抽出粉末組成物が提供され、これは、最適化された濃度及び比で所望の生物活性成分を全て含有する。組成物は、安定で、生物に利用可能で、非毒性である。
【0031】
一態様において、抽出物は、W・ソムニフェラ植物部分から調製される。例えば、一態様で、植物由来の乾燥根及び/又は葉を、典型的には60℃未満の温度で、つまり好適な温度で水抽出し、必要に応じてろ過、濃縮し、少なくとも8%(別段の指示がない限り、本明細書ではw/wで使用される)のウィタノリドグコシド、少なくとも32%のオリゴ糖、及び最大で2%の遊離ウィタノリドアグリコン(例えばウィザフェリンAとして)を(例えばHPLCにより)含む生成物を得た。乾燥、粉末化すると、97%水溶性の褐色から暗褐色の自由流動性粉末が形成される。一態様において、カプセル剤又は錠剤が、製薬及び処方分野の当業者に公知の標準的な製剤方法にしたがって調製され、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、及び様々な保存剤、滑沢剤又は流動化剤、固結防止剤、並びにヒュームドシリカ等の溶解促進剤のような添加剤を含む。これらの仕様を有する代表的な製品は、SENSORIL(登録商標)であり、New Brunswick、New JerseyのNatreon, Inc.社から入手できる。一態様において、W・ソムニフェラ植物の抽出物を、本質的に上述の通りにして水抽出により調製し、通常の保存条件及び加速保存条件下で保存し、15.96%~16.85%の範囲のウィタノリドグコシド、1.21%~1.89%の範囲のウィザフェリンA、40.30%~42.11%の範囲のオリゴ糖が得られ、組成物の安定性が示された。
【0032】
本明細書に記載の方法及び組成物に有用なインドールアルキルアミノ-ウィザステロイド(withasteroid)結合体を含む追加のW・ソムニフェラ抽出物について記載する。
【0033】
この手順を使用して、W・ソムニフェラ植物のいかなる部分も使用して、抽出物を得ることができるが、但し、それは毒性トロパン型のアルカロイド又はスコプラミンを含まないか、又は微量を含む。好ましい抽出物は、グリコウィタノリド、ウィタノリドアグリコン及びオリゴ糖を含有する標準化抽出物であり、毒性トロパン型のアルカロイドは含まないか、又はほんの微量を有する。
【0034】
米国特許第6,153,198号の抽出手順は、高純度のW・ソムニフェラ植物の抽出物組成物を、実質的に低レベルの細胞毒性ウィザフェリンA(アグリコン)と共に、安定的な淡黄色から褐色の自由流動性ハーブ粉末組成物の形態で提供する。老人に対して認知を改善し、学習能力を増加させる抽出物の典型的な投与量の範囲は、約200~800mg/日である。そこに記載されている生物学的増強組成物は、一態様において、質量により、(a)少なくとも3%のウィタノリドグコシド及びシトインドシド、(b)少なくとも3%の、例えば2000未満の分子量のオリゴ糖、並びに(c)0.5%未満の遊離ウィザフェリンA(アグリコン)を含み、(a):(c)の比が75~95:25~5であり、(a):(b)の比が40~60:60~40である。好ましくは、組成物は、少なくとも90%可溶性であり、本組成物の灰分量は、8%未満であり、含水率は5%未満である(w/w)。
【0035】
米国特許第6,713,092号で報告されている代表的な標準化抽出物をTable 1(表1)に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
態様において、W・ソムニフェラの抽出物組成物は、8%以上のウィタノリドグコシド及びシトインドシド、32%以上のオリゴ糖、例えば45%~60%又は45%~55%のオリゴ糖、2%以下のウィザフェリンA、例えば0.15%~0.30%、例えば0.19%~0.30%のウィザフェリンAを含む(全てHPLCによる)。
【0038】
抗精神病薬は、本明細書で使用される場合、統合失調症、統合失調感情障害、及び上記の同様の障害の陽性症状を治療するために多くの場合使用される一連の薬物である。Table 2(表2)は、一般的に処方される抗精神病薬剤の例、及び典型的で代表的で非限定の、処方される経口投与量の範囲を示す。Table 3(表3)は、一般的に処方される抗精神病薬剤の例、及び典型的で代表的で非限定の、処方される筋肉内(IM)投与量の範囲を示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
上記の通り、患者に投与するW・ソムニフェラ活性剤、例えば抽出物の量は、統合失調症、統合失調感情障害、又は抗精神病薬を患者に投与する任意の他の状態の1つ又は複数の症状を軽減するか又は改善するために効果的な量である。W・ソムニフェラの植物材料又はその抽出物を、必ずではないが、抗精神病薬と同時に投与することができる。
【0042】
一態様において、抗精神病薬、及び、W・ソムニフェラ活性剤、例えば、根及び/又は葉の抽出物等のW・ソムニフェラの植物材料の抽出物を、統合失調症、統合失調感情障害、又は抗精神病薬を処方する状態を治療するために効果的な量で含む、剤形組成物を提供する。
【0043】
例えば化合物又は抽出物の形態の活性剤を、化合物が活性成分である医薬剤形又は薬物製品等の、用途に好適な組成物に配合するか又は製造し得る。組成物は、薬学的に許容される担体又は添加剤を含み得る。添加剤は、薬の活性成分に対して担体として使用する不活性物質である。「不活性」だが、添加剤は、薬物製品における活性成分の送達又は生物学的利用能を上げることを容易にし、補助し得る。有用な添加剤の非限定例として、医薬/配合技術において利用可能である、抗接着剤、結合剤、レオロジー改質剤、コーティング剤、崩壊剤、乳化剤、油剤、緩衝剤、塩、酸、塩基、充填剤、賦形剤、溶媒、香料、着色剤、流動化剤、滑沢剤、保存剤、抗酸化剤、吸着剤、ビタミン、甘味剤等が挙げられる。
【0044】
有用な剤形は、静脈内、筋肉内又は腹腔内の溶液、経口錠剤又は液剤、局所軟膏又はクリーム剤、及び経皮デバイス(例えばパッチ剤)を含む。一態様において、剤形は、医薬分野において広く知られている標準的な方法にしたがって標準的な添加剤と共に調製され、経口カプセル剤、液剤又は錠剤である。カプセル剤、錠剤、液剤又は他の経口剤形は、ボーラスとして又は経時的に、その中に含有する活性成分を放出するように設計され得、活性成分は、剤形内に、及び、延長した送達又は接種後異なる時間フレームでの送達用の剤形を作成するために使用する材料内に、分散することができる。持続放出経口剤形を、医薬分野において周知の技術にしたがって調製する。別の場合において、組成物は、筋肉内又は静脈内の剤形であり、活性成分を含む無菌溶液、及び、水、生理食塩水、乳酸リンゲル溶液又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)等の溶媒を含む。ポリエチレングリコール、乳化剤、塩、レオロジー改質剤及び緩衝剤等の追加の添加剤が、溶液中に含まれ得る。別の態様において、剤形は、医薬分野において公知の吸入又は経鼻投与用のスプレー剤又はエアロゾール剤である。
【実施例1】
【0045】
無作為化二重盲検プラセボ対照試験を、症状の増悪を経験している統合失調症又は統合失調感情障害の患者、総数66名に基づいて実施し、有効性データは、W・ソムニフェラの標準化抽出物SENSORIL(登録商標)を受けたn=33の対象、及びプラセボを受けたn=33に基づき、治療は12週間行った。W・ソムニフェラの標準化抽出物であるSENSORIL(登録商標)の投与量を、第1週は500mg/日から、試験の残りの期間は1000mg/日で用量設定した。
【0046】
W・ソムニフェラの標準化抽出物であるSENSORIL(登録商標)の投与量は、以下の通り調節した。経口で1日2回250mg(即ち、500mg/日の1日の総投与量)を1週間、次に、経口で1日2回500mgに増加して(即ち、1000mg/日の1日の総投与量)試験の残りの期間、即ち11週間。カプセル剤を水又はジュースで摂取し、患者には、胃が空の時ではなく食事と共に摂取するようにアドバイスした。
【0047】
陽性症状、陰性症状及び総合症状を合わせて、トータル症状スコアとする。統合失調症及び/又は統合失調感情障害での臨床試験における変化を測定する一般的な尺度の1つは、陽性・陰性症状評価尺度 - PANSSであり、この尺度を、治療の請求項が基づく試験において、症状及び改善を測定するために使用した。PANSS尺度内の下位尺度は、陽性症状、陰性症状、総合症状及びトータル症状を捉える。知覚ストレスの症状を、いくつかの試験でも広く使用される知覚ストレス尺度を使用して測定した。
【0048】
症状の増悪を経験している統合失調症又は統合失調感情障害の診断を受けた、18歳以上の男性又は女性における(少なくとも4週間以上摂取した)抗精神病薬に添加した場合、W・ソムニフェラの標準化抽出物 - SENSORIL(登録商標)は、プラセボを受けたものと比較して、陰性症状、総合症状及びトータル症状に有意な効果をもたらした。
【0049】
これらの同じ患者において、同じW・ソムニフェラの標準化抽出物 - SENSORIL(登録商標)はまた、プラセボを受けたものと比較して、公知のストレス尺度のスコアも有意に改善する。
【0050】
上記の患者に対する陰性症状、総合症状及びトータル症状で改善が起こる時は、SENSORIL(登録商標)を開始後4週で最初に確認され、SENSORIL(登録商標)での12週間の治療の間、継続した。
【0051】
SENSORIL(登録商標)での同じ患者においてストレススコアで改善が起こる時間もまた、陰性症状、総合症状及びトータル症状と同じ時間経過にしたがった。
【0052】
12週の試験の間W・ソムニフェラの標準化抽出物 - SENSORIL(登録商標)を受けた群において、抗精神病薬の用量(又は第2の抗精神病薬の追加)は、プラセボを受けたものと比較して有意に少ない投与量調節だった。
【0053】
更に詳しくは、66名の無作為化患者(群あたりn=33)は、有効性データを示した。4週で始まり、治療の終了まで継続すると、WSEは、プラセボと比較した場合、PANSS陰性症状、総合症状及びトータル症状で有意に減少した(Cohenのd: 0.83、0.76、0.83)が、陽性症状では減少しなかった。PSSスコアは、プラセボと比較して、WSE治療で有意に改善した(Cohenのd: 0.58)。CRP及びS100Bは、WSE群でより低下したが、プラセボと有意な差はなかった。有害事象は、軽度から中程度で過渡であり、傾眠、上腹部不快感及び軟便が、WSEでより多く見られた。結論として、本試験は、ウィタニア・ソムニフェラの標準化抽出物での補助治療が、最近増悪した統合失調症患者の陰性症状、総合症状、トータル症状及びストレス症状に有意な効果をもたらすことを示唆している。
【0054】
方法
簡易構造化面接法(MINI, Sheehan, D.V.等、The Mini-International Neuropsychiatric Interview (M.I.N.I.): the development and validation of a structured diagnostic psychiatric interview for DSM-IV and ICD-10, J Clin Psychiatry. 1998年;59補遺20:22~33)により確認されたDSM IV-TR統合失調症又は統合失調感情障害の、任意の人種の18~75歳の男性又は女性の外来患者を含み、診療記録の病歴及び担当臨床医への照会により補完した患者を集めた。全ての対象は、書面によるインフォームドコンセントを提供した。試験登録時に、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の総スコアは60以上で、陽性症状クラスタ(妄想、概念解体、幻覚行動、興奮、誇張、不審感/迫害、敵意)、又は、思考内容の異常の項目のいずれか1つで5以上のスコアでなければならなかった。或いは、この症状クラスタのうち任意の2つの項目でスコアが少なくとも4であることで、患者を試験に適格であるとした。更に、症状の増悪は、2週間超であるが1年未満継続しなければならず、患者は、少なくとも4週間、抗精神病薬剤を受けなければならない。生殖年齢群の女性は、登録時に妊娠検査で陰性である必要があった。追加の除外基準として、不正薬物に対する検査の陽性(マリファナ及びアルコールの使用は、ケースバイケースで可能だった)、不安定医学的障害、妊娠若しくは授乳、WSEへの公知のアレルギー、又は精神的若しくは医学的入院が直ちに必要な状態が挙げられる。抗生物質、抗ウイルス剤又は抗寄生虫薬を受けている対象、免疫抑制療法を受けている対象、及び、NSAIDを毎日、又は1日81mg超の用量のアスピリンを摂取している対象は、除外した。
【0055】
試験は、統合失調症又は統合失調感情障害のいずれかの軽度の症候性患者での抗精神病薬治療を行うことに加え、WSEの標準化抽出物(SENSORIL(登録商標)、標的投与量: 1000mg/日)の12週間の二重盲検無作為化プラセボ対照試験であった。
【0056】
全ての適格性基準を満たす対象は、WSE又はプラセボの1:1無作為化に進んだ。コンピュータ処理した無作為化スケジュールを作成し、IDS(Investigational Drug Service: 治験薬サービス)により、試験薬及び盲検コードは確保された。全ての評価を、二重盲検(盲検化された評価者及び患者)で行った。WSE及びプラセボを、同一のゼラチンカプセル剤として構成した。WSEカプセル剤は、250mgの標準化抽出物を、セルロース、クロスカルメロース、二酸化ケイ素、クエン酸マグネシウム等を含む、不活性成分と共に含有した。プラセボカプセル剤は、同じ不活性成分を有し、WSEカプセル剤と同じ質量に充填したが、WSE抽出物を含有しなかった。WSEカプセル剤の臭いをマスキングするために、プラセボカプセル剤を、WSE粉末を含有する全閉型の布袋に曝露した。数日後、臭気はプラセボカプセル剤に浸透し、WSEカプセル剤のような臭いが付いた。試験薬又はプラセボを、経口経路により第1日に開始し、BIDを与えた。この段階で、活性群は、1日総用量を500mg/日として、1日2回250mgのWSEを受けた。これは、第2週で、1日総用量を1000mg/日として、500mg BIDで用量設定した。許容性がより低い投与量を要する限り、投与量を、試験の残りの期間維持した。各訪問時の丸剤の計数及び一致は、厳守を判断するために役立った。スクリーニング訪問を含めて、全部で6回訪問した。試験薬の治療期間は12週間だった。
【0057】
一次結果は、陽性・陰性症状評価尺度(Kay S.R.等、Fiszbein A, Opler LA: The positive and negative syndrome scale (PANSS) for schizophrenia. Schizophr Bull. 1987年; 13:261~276)を使用して評価した。二次結果は、試験の間の対象のストレスレベルを評価する知覚ストレス尺度(PSS、Cohen等、2000)、及び任意の改善を決定する臨床全般印象度尺度(Clinical Global Impressions Scale)を含んだ。これらの評価を、試験の間、各訪問時に行った。免疫炎症性の実験測定は、サイトカインIL-2、IL-4、IFN-γ及びIL-6並びにhsCRP及びS100Bを含み、これらは、スクリーニング及び治療の終了時に血清を測定した。サイトカインを、マルチプレックスLuminex(登録商標)ビーズ技術アッセイ(Invitrogen社、Camarillo、CA)を使用してアッセイした。ヒトIL-2に対するアッセイの検出感度の下限値は6pg/mL未満であり、IL-4は5pg/mL未満であり、IL-6は3pg/mL未満であり、IFN-γは5pg/mL未満である。高感度C-反応性タンパク質(hs-CRP)を、CRPモノクローナル抗体でコーティングされたラテックス粒子を利用した比濁分析法を使用して、mg/L単位で測定した。この市販のアッセイ(Quest Diagnostic Labs社)の検出感度の下限値は、0.2mg/Lである。S100Bを、市販のサンドイッチELISA(EMD Millipore社、MA、USA)を使用して、ピコグラム/mlで血清において測定した。S100Bアッセイの検出感度の下限値は、それぞれ4.8%未満及び4.4%未満であるアッセイ内及びアッセイ間CVで、2.7ピコグラム/mlであった。
【0058】
一次有効性測定は、PANSSトータル症状スコア、並びに、PANSS陽性症状、陰性症状及び総合症状スコアにおいて、ベースラインから治療の終了で変化した。二次有効性測定は、PANSSトータル症状、陽性症状、陰性症状、及び総合症状スコアにおいて、少なくとも20%の改善を満たす各治療群の患者の割合を含む。PSSスコアで少なくとも20%の改善を達成する各治療群において、ベースラインから治療の終了のPSSトータルスコア及び割合もまた、二次有効性結果である。更に、治療間のPANSS又はPSSスコアでの任意の改善(即ち、ベースラインから各訪問までの変化)が起こる時間を、治療の終了時に、CGI改善下位尺度で改善を示す患者の割合である、二次結果として評価した。
【0059】
追加の二次結果では、向精神薬変化、即ち、抗精神病薬の投与量の増加、抗精神病薬の変更、又は、治療間の第2の抗精神病薬品の追加を評価した。気分安定剤、抗不安薬/催眠剤、又は抗うつ薬での同様の変化もまた評価した。ベースラインから治療の終了までのhsCRP、S100B及びサイトカインのレベルの変化により、WSEは、プラセボと比較して、炎症性免疫指標が著しく低下したか、及び、任意の減少により臨床転帰における改善をもたらしたかどうかを決定した。
【0060】
統合失調症の症状の治療においてWSEの以前のデータがない場合、統合失調症での補助治療の試験での40~100対象のサンプルサイズが、初期の試験に対して合理的な指針を提供できるという推奨を採用した。更に、セレコキシブ又はアスピリンでの初期の陽性試験は、50~70対象の範囲のサンプルサイズを有した。治療意図分析を、WSE又はプラセボのいずれかに無作為に割り当て、少なくとも1つの無作為化前及び無作為化後の一次有効性結果の測定を有した、全ての対象で計画した(PANSS総スコア及び下位尺度スコア)。一次有効性分析に対して、スチューデンツt検定を使用して、治療意図サンプルでのPANSS(トータルスコア及び下位尺度スコア)並びにPSSスコアにおいて、ベースラインから治療の終了までの変化での治療群での差異を調査した。自己回帰共分布行列を使用する混合モデル反復測定分析は、一次分析の堅牢性、及び、ベースラインから治療の終了までPANSS及びPSSスコアにおける改善の時間を調査した。このモデルは、固定化効果として治療、訪問、及び治療*訪問の相互作用、並びに無作為効果として対象を使用した。
【0061】
二次結果は、20%以上の改善を達成した各治療群での対象の割合を含み、カイ二乗検定を使用して比較した。Cohenのd(効果サイズ)を、プールされた標準偏差で除した、ベースラインから試験の終点までの治療とプラセボの群平均変化を使用して決定した。20%以上の応答率に対する要治療必要数(NNT)を、100/絶対リスク減少率として計算した。抗精神病薬品又は他の向精神薬品の変化を経験した各治療群での対象の割合は、フィッシャーの正確確率検定を使用して比較した。両側仮説検定を行い、0.05以下のp値を統計的に有意とみなした。統計分析を、治療の割当てを盲検化して行った。
【0062】
サイトカイン、hs-CRP又はS100Bレベルの分布は、多くの場合、アッセイの検出感度の下限値により傾斜されるか又は影響を受けるので、データを、分布を標準化するように、及び/又は、治療群の間若しくは治療群内の統計的有意性をそれぞれテストするマン・ホイットニーのU検定若しくはウィルコクソンの符号順位検定等のノンパラメトリック統計を使用するように変換することを計画した。免疫/炎症性変化を、PANSS(下位尺度又は全体)及びPSSスコアでの変化を、ピアソンの相関又はスピアマンの相関を使用して比較した。バイタルサイン、EKG、実験測定、及び体重の安全性分析を、連続変数又はカテゴリ変数(例えば正常、異常等)のいずれかで評価した。報告された治療を要する有害事象を、臓器系でグループ化し、治療の割当てにより集計し、治療間の率を、カテゴリ変数に対してカイ二乗検定又はフィッシャーの正確確率検定、連続変数に対してt検定を使用して比較した。
【0063】
結果
82名の対象を、同意及び適格性のためにスクリーニングし、68名の対象をWSE(n=34)又はプラセボ(n=34)に無作為に割り当てた。各治療群の1名の対象は、割り当てた治療を行わず、更なるデータは生成しなかった。したがって、66名の患者(各治療選択肢に対してn=33の対象)は、集団を治療する意図と定義された有効性をまとめた。59名の対象(89.4%)が試験を完了し、WSE群で28名(84.9%)であり、プラセボ選択肢で31名(93.9%)であったが、治療間で統計的に有意な差異はなかった。
【0064】
集団統計学的データ、疾患、又は投薬の特徴(Table 4(表4))のいずれも、治療群で有意に異なっていなかった。患者は、40代半ばから後半で、主にDSM-IV-TR診断の統合失調症であり(61%)、少なくとも20年疾患を有し、生涯で7回超の入院を経験したコホートを含む。現在の症状の増悪の平均期間は、およそ16週間であった。平均して、患者は、肥満(ボディマスインデックスが30mg/kg2超)であり、62%が現喫煙者であった。いずれかの治療群(WSEで87.9%及びプラセボで90.9%)の多くの患者は、毎日のオランザピン等価物(Leucht S.等、Dose Equivalents for Antipsychotic Drugs: The DDD Method. Schizophr Bull. 2016年; 42: S90~S94)と同様に、非定型抗精神病薬剤を受け、WSE及びプラセボ群の各4名の対象は、2つ以上の抗精神病薬剤を受けた。5名のWSE及び3名のプラセボに割り当てられた対象は、クロザピンを受けた。抗うつ剤、気分安定剤、抗不安薬、催眠鎮静剤、及び抗コリン作用性剤を含む、他の向精神薬は、治療群間でほぼ均一に分布した。厳守は、多くの患者(63/66)のうち82%~100%の範囲であり、2つの治療間で有意な差異はなかった。
【0065】
【表4】
【0066】
図2に示す通り、WSE治療の群は、プラセボに割り当てられたものと比較して、PANSS陰性症状、総合症状及びトータル症状スコアで、著しく良好な結果を達成した。WSEで促進する治療効果サイズは、大きい(陰性症状及びトータル症状、Cohenのd=0.83)から、中程度(総合症状、Cohenのd=0.76、Cohen J. Quantitative Methods in Psychology, A Power Primer. Psychological Bulletin、1992年、第112巻、第1号、155~159)の範囲であった(Table 5(表5))。PANSS陽性症状スコアは、プラセボと比較して、WSE群でより改善したが、統計的な有意さを達成しなかった(Cohenのd=0.48)。
【0067】
【表5】
【0068】
二次結果: WSE治療の対象は、プラセボと比較して、PSSストレススコアで著しい低下を経験した(Cohenのd=0.58)(図2及びTable 5(表5))。プラセボよりWSEで促進するPANSS陰性症状、総合症状及びトータル症状スコアが著しく分かれる時間は、訪問4(即ち、治療の4週目)で始まり、12週間の試験の残りの期間、持続した(図3A図3B図3C)。改善の同様の時間経過が、WSE群に対するPSSスコアで示された(図4)。
【0069】
PANSS尺度の総合症状の更なる分析を行って、抑うつスコア(PANSS尺度の1項目)、又は、抑うつ不安クラスタスコア(PANSS尺度の抑うつ、罪悪感、不安、及び身体的訴えの項目)、又は、興奮クラスタスコア(PANSS尺度の興奮、衝動制御不足、非協調性、及び敵意の項目)が、プラセボに対してセンソリルが優位に改善したかどうかを評価した。PANSS総合症状スコアのこのような詳しい分析は、抗精神病薬について評価されている(例えば、Pueskens J, Van Baalen B, De Smedt C等、International Clinical Psychopharmacology、2000年、15:343~349)。3つの分析全てにおいて、ベースラインから治療の終了までの改善は、中程度の効果サイズ(抑うつでCohenのd=0.68、抑うつ/不安クラスタで0.65、興奮クラスタで0.65)で、プラセボよりセンソリルで有意に促進した。図5A図5Cを参照されたい。
【0070】
WSE治療の患者は、プラセボに割り当てられたものと比較して、PANSS陰性症状、総合症状、及びトータル症状スコアで20%以上の改善を達成する可能性が著しく高くなったが、陽性症状スコアでは高くならなかった(Table 5(表5))。WSEでの1つの追加のこのような結果を達成する要治療必要数(NNT)は、陰性症状に対する3(95% CI: 1.7~6.7)から、総合症状(95% CI: 1.9~13.2)及びトータル症状(95% CI: 1.9~13.5)に対する4の範囲である(Table 5(表5))。PSSストレススコアでの20%以上の改善もまた、プラセボと比較して、WSE群で促進し(Table 5(表5))、1つの追加のこのような結果を達成するNNTは、4だった(95% CI: 1.9~12.7)(Table 5(表5))。治療の終了によるCGI改善の下位尺度で改善すると評価された患者の割合は、治療間で有意に異なっていなかった(WSE: 12/33(36.4%)対プラセボ: 8/33(24.2%))。
【0071】
抗精神病薬品及び他の向精神薬品の使用: プラセボに割り当てられた対象の9名(27.3%)は、抗精神病薬の投与量が増加したか(n=8)、又は、第二の抗精神病薬を添加したか(n=1)のいずれかであった。比較により、2名(6.1%)のWSE治療の対象は、抗精神病薬の投与量が増加した(フィッシャーの正確確率p=0.044)。他の向精神薬品の変化はほとんどなく、治療間で有意に異なっていなかった。
【0072】
炎症マーカーであるhsCRP及びS100Bレベルは、WSE治療群で低下し、プラセボに割り当てられたもので増加した(図6図8Bを参照)。図6において、これらのデータは傾斜し、マン・ホイットニーのU検定は、治療間で統計的に有意な差異を示さなかった。臨床症状の改善(PANSS又はPSS)は、WSE治療の下で、S100B又はhsCRPに有意な相関はなかった。しかし、図8A及び図8Bで示される通り、炎症の2つのマーカー、つまり脳から1つ(S100B)及び末梢性マーカーである他のもの(hsCRP)に対して、hsCRPレベルの低下及びS100Bレベルの増加は正に相関することが示され(図8A)、これは、WSE治療(SENSORIL(登録商標)、0.621、p<0.001、n=30)の下でのみ見られたが、プラセボ治療(図8B、-0.271、p<0.148、n=30)の下では見られなかった。
【0073】
サイトカイン: 対象の90%超(n=60)は、検出可能なIL-6レベルを有したのに対し、対象の12%、13.6%及び19.7%のみが、それぞれ検出可能なIFN-γ、IL-4及びIL-2レベルを有した。したがって、IL-6を分析した。IL-6レベルの分布は、右に傾斜しており、WSE及びプラセボ群間での統計的に有意な差異はなかった(マン・ホイットニーのU検定)(図7)。
【0074】
体重、ボディマスインデックス(BMI)及びバイタルサインを図9に示す。治療期間の終了時に、WSE治療の対象は、プラセボ群の1.73lbs.と比較して、平均2.4lbs.増加し、BMIは、プラセボ群での0.20mg/kg2に対して、WSE治療群で0.33mg/kg2増加したが、両方の所見とも統計的に有意ではなかった。2つの治療選択肢における収縮期血圧及び拡張期血圧の読出し、脈拍及び体温の差異は、ベースラインから治療期間の終了で有意に異なっていなかった。
【0075】
いずれかの群でも5%以上で報告された有害事象に対して、治療間で統計的に有意な差異はなかった。データ及び安全性監視委員は、軽度から中程度としてこれらの有害事象を分類し、全て一時的として報告された(Table 6(表6))。傾眠(21.1%)、軟便/下痢(18.1%)、上腹部不快感/胃痛(9.1%)、ドライマウス(6.1%)、多動性(6.1%)、かぶれ(6.1%)、及び体重増加(6.1%)は、WSE群でより多く見られた一方、頭痛(12.1%)、不安(6.1%)、及び錯乱(6.1%)は、プラセボ群でより多く見られた。
【0076】
【表6】
【0077】
本試験は、W・ソムニフェラの標準化抽出物が、抗精神病薬品に補助的に添加される場合、症状の増悪を経験する統合失調症患者の陰性症状、総合症状及びトータル症状に有意な効果をもたらすという仮説を支持する。WSEを受ける患者ではまた、知覚ストレスのこれらのレベルで著しい低下が報告された。陰性症状、総合症状及びトータル症状でのWSE治療の改善は、まず4週で示し、12週間の試験期間を通して継続した。補助的な抗炎症剤セレコキシブ及びアスピリン(8研究)のメタ分析が、陽性症状に対する有意であるが小さい治療効果サイズ(Hedgesのg=-0.189)、及びトータル症状に対する傾向レベルの治療効果(Hedgesのg=-0.236)を決定したが、統合失調症の陰性症状に対する効果は決定できなかったとすれば、統合失調症の陰性症状、総合症状及びトータル症状に対するWSEの比較的大きい治療効果は、とりわけ促進している(Nitta M.等: Adjunctive Use of Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs for Schizophrenia: A Meta-analytic Investigation of Randomized Controlled Trials. Schizophr Bull 2013; 39:1230~1241)。WSE治療の下で陽性症状スコアでの改善が、プラセボ群より著しく良好ではなかったが、しかし、WSE群において抗精神病薬品の調節は著しく少なかった。
【0078】
S100Bは、星状細胞及び希突起膠細胞により分泌され、CNS炎症のマーカーであるとみなされる。本試験において、WSEでS100Bレベルが低下し、プラセボでS100Bが増加することが、群間で有意に異なっていなかったとしても、WSEは、Cox-2の阻害、NF-kB活性の抑制、並びに、ミクログリア及び星状細胞の酸化促進及び炎症性反応の減衰、並びに、星状細胞でのNrf2/AREレポーター活性の改善を含む、公知の抗炎症特性を有す。ストレス動物において、WSEは、1型免疫性を改善し、例えば、IL-2及びIFN-γレベルの標準化を促進し、抗酸化及び脂質過酸化指標を著しく改善する。更に、ヒト試験は、WSEがCD4+及びCD8+ T細胞の増殖を誘発することを示している。WSEはまた、パーキンソニズムのマウスモデルにおいて、グルタメート興奮毒性を減衰し、抗コリン性脳及び認知機能障害を誘発する有害なプロポクスルから保護し、ドーパミンレベルを回復し、星状細胞活性の炎症促進性マーカーであるGFAPを減衰することで知られている。研究のこれら別のラインは、CNSにおいて、1型サイトカイン、並びに、抗炎症性及び抗酸化作用(Cox-2阻害、S100Bレベルを上昇させる影響、その他)のWSEの良好な誘導を指向するように思われる。
【0079】
上記のデータは、統合失調症で報告されている2型/1型免疫学的機能不全を元に戻すWSEの潜在性を支持する。
【0080】
結論として、症状の増悪を経験する統合失調症患者に抗精神病薬品を補助的に追加したWSEは、陰性症状、総合症状、及びトータル症状に対して効果をもたらす。
【実施例2】
【0081】
統合失調症患者へのWSE投与の感覚的及び認知的効果
下記に示す通り、W・ソムニフェラの標準化抽出物は、市販の抗精神病薬品の標準的な用量に添加する場合、統合失調症又は統合失調感情障害の人々での陰性症状に加えて、事象関連脳電位、具体的にはミスマッチ陰性、P300、及びガンマ帯域を改善する。
【0082】
本実施例(実施例1の66名の患者の群から得た、n=11の対象)において、いくつかのMMN欠損は、プラセボを受けた対象と比較して、標準的な抗精神病薬剤に加えてWSEで治療した統合失調症の人々において回復し、MMNの回復に対するWSE治療効果のサイズは大きかった(d=1.28)。更に、このWSE治療の群は、プラセボを受けたものと比較して、陰性症状スコアが著しく改善した。加えて、WSE治療群はまた、プラセボ群と比較して、2つの他の皮質性神経生理学的欠損、つまりP300 ERP及びガンマ帯域定常反応を改善した。WSEの治療効果のサイズは、プラセボと比較して(d=0.07)、ガンマ帯域に対して中程度であった(d=0.59)。P300に対して、治療の終了時(12週)、振幅は、プラセボと比較して(d=0.24)、WSE治療群における注意条件下でより大きく(d=0.47)、非注意条件下も同様だった(WSE、d=0.69、プラセボ、d=0.29)。
【0083】
更に詳しくは、11名の統合失調症又は統合失調感情障害の患者は、ミスマッチ陰性でのW・ソムニフェラの標準化抽出物(WSE)の効果を評価するために試験に参加した。これらの患者は、最近増悪した症状を経験し、4週間以上標準的な抗精神病薬剤を受けていた。W・ソムニフェラの標準化抽出物(SENSORIL(登録商標))を、最初の1週間は1日2回250mg(500mg/日)の投与量で、次に追加の11週間は1日2回500mg(即ち、1000mg/日)に増して、抗精神病薬剤に添加した。ミスマッチ陰性を、患者がWSEを受ける前と、12週間の試験の終了時に再び測定した。試験を、無作為化二重盲検並行群間プラセボ対照臨床試験として設計した。患者、並びに、神経生理学的測定(MMN)及び精神医学評価尺度(陽性・陰性症状評価尺度を使用して、陽性症状、陰性症状、総合症状、又はトータル症状等の精神病理での改善の測定)を行う研究スタッフは、患者がWSE又はプラセボに割り当てられたかに対して「盲検」であった。同様に、MMN及び臨床変数の分析(即ち、PANSS陽性症状、陰性症状、総合症状、又はトータル症状)を、治療の割当てを「盲検化」して行った。
【0084】
MMN、P300、及びガンマ帯域を含む事象関連電位(ERP)を測定した。参加者は、サイレント映画を観て、MMN課題にピッチを所々に(100ms、1kHz、10%)配置した繰り返されるトーン(50ms、1.2kHz、10%)を無視し、稀なピッチ間隔の逸脱を計数する(50ms、1.2kHz、15%)か、又は全ての音を無視するかのいずれかで、2つの聴覚オッドボール課題を完了した。これらのERPを、参加者が薬物又はプラセボを受ける前と、二重盲検試験の終了時に測定した。
【0085】
【表7】
【0086】
図10Aから分かる通り、WSEでの治療は、T1(治療前)で観察されたいくつかのミスマッチ陰性(MMN)欠損を回復すると思われ、WSE(d=1.28)で逸脱MMNの期間に傾向レベル(p<0.09)の改善(大きな治療効果)をもたらしたが、T2(治療の12週の終わり)でのプラセボではなかった(d=-0.27、図10Aの赤矢印、黒矢印のT2を参照)。1超の効果サイズ「d」は、典型的には、「大きな治療効果」とみなせる(Cohen J. Quantitative Methods in Psychology, A Power Primer. Psychological Bulletin、1992年、第112巻、第1号、155~159)。重要なことに、11名の患者のこの群において、陰性症状スコアが、プラセボに対してWSE治療の下で著しく改善した(平均±標準偏差(SD)変化スコア: WSEに対して4±2.24、対、プラセボに対して0.33±1.97、マン・ホイットニーのU検定3.0、p<0.03)。治療の前から終了までの陰性症状スコアの変化率として表すと、WSEで治療した5名の患者は、プラセボでの3.20%(±12.62)に対して22.49%(±11.58)と改善し(マン・ホイットニーのU検定=4、p<0.046)(Table 8(表8))、統計的な差異を、両側試験により決定した。
【0087】
【表8】
【0088】
(プラセボに対して)WSE治療の群で促進する改善はまた、P300及びガンマ帯域定常電位で示された、図10B。オッドボール課題において、WSE治療の群は、プラセボ(注意課題、d=0.24、非注意、d=0.29)と比較して、治療前(T1)から治療の終了T2までにより大きいP300を示した(注意課題: d=0.47、非注意: d=0.69)。WSE群でのガンマ帯域定常電位は、プラセボ群(d=0.07)より、T2で注意に関連した振幅のより大きな増加を示した(d=0.59)、図10C
【0089】
以下の節は、本発明の様々な非限定の態様を示す。
【0090】
1. 患者において抗精神病薬が投与される精神障害を治療する方法であって、精神障害を治療するために効果的な量で、ウィタニア・ソムニフェラ活性剤を、抗精神病活性剤と組み合わせて患者に投与することを含む、方法。
【0091】
2. 精神障害が、統合失調症又は統合失調感情障害等の精神病性障害である、第1節に記載の方法。
【0092】
3. 精神障害が、統合失調症、妄想型統合失調症、破瓜型統合失調症、鑑別不能型統合失調症、残遺型統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、妄想障害、短期精神病性障害、他の特異的統合失調症スペクトラム及び他の精神病性障害、非特異的統合失調症スペクトラム及び他の精神病性障害からなる群から選択される、第1節に記載の方法。
【0093】
4. 精神障害の陰性症状が、W・ソムニフェラ活性剤の患者への投与後に、患者において改善される、第2節又は第3節に記載の方法。
【0094】
5. 精神障害のストレス症状、抑うつ、不安、及び/又は興奮症状が、W・ソムニフェラ活性剤の患者への投与後に、患者において改善される、第2節又は第3節に記載の方法。
【0095】
6. 精神障害の感覚性又は認知性症状が、W・ソムニフェラ活性剤の患者への投与後に、患者において改善される、第2節又は第3節に記載の方法。
【0096】
7. 感覚性又は認知性症状が、聴覚刺激に対する脳波の反応である、第6節に記載の方法。
【0097】
8. 脳波の反応が、ミスマッチ陰性異常、P300事象関連電位、又はガンマ帯域聴覚定常反応の1つ又は複数である、第6節に記載の方法。
【0098】
9. W・ソムニフェラ活性剤が、ウィタニア・ソムニフェラ植物の葉及び/若しくは根で、又は、植物材料、例えばW・ソムニフェラ植物の根及び/若しくは葉の抽出物で提供される、第1節に記載の方法。
【0099】
10. ウィタニア・ソムニフェラ植物の葉及び/若しくは根、又は、W・ソムニフェラ植物の根及び/若しくは葉の抽出物、又は、W・ソムニフェラ活性剤を、精神障害の1つ又は複数の陰性症状を治療するために効果的な量で投与する、第1節から第9節のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
11. W・ソムニフェラ活性剤を、経口で患者に投与する、第1節に記載の方法。
【0101】
12. W・ソムニフェラ活性剤を、少なくとも4週間、任意で無期限に、患者に投与する、第1節又は第2節に記載の方法。
【0102】
13. W・ソムニフェラ活性剤が、
a. 少なくとも3%(質量%)のウィタノリドグコシド及びシトインドシド、
b. 少なくとも3%のオリゴ糖、並びに
c. 0.5%未満の遊離ウィザフェリンA(アグリコン)
を含み、(a):(c)が75~95:25~5であり、(a):(b)が40~60:60~40である、標準化抽出物で提供される、第1節から第12節のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
14. 標準化抽出物が、
a. 少なくとも8%のウィタノリドグコシド及びシトインドシド、並びに
b. 少なくとも32%のオリゴ糖
を含む、第13節に記載の方法。
【0104】
15. オリゴ糖が、2000Da未満の質量平均分子量(Mw)を有する、第13節又は第14節に記載の方法。
【0105】
16. 標準化抽出物が、少なくとも8質量%の総ウィタノリドグコシド結合体、2質量%以下のウィザフェリンAを含み、ウィタノリドグコシド結合体の遊離ウィザフェリンAに対する比が、75:95~25:5の範囲であり、任意で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定された質量%である、第13節に記載の方法。
【0106】
17. W・ソムニフェラ活性剤を、少なくとも4週間、1日2回100mg~2000mgの量で、患者に投与する、第1節から第16節のいずれか一項に記載の方法。
【0107】
18. W・ソムニフェラ活性剤を、第1週は1日2回250mgの量で、それ以降は1日2回最大500mgの量で、患者に投与する、第16節に記載の方法。
【0108】
19. W・ソムニフェラ活性剤が、ウィタノリドグコシド若しくはシトインドシド、又はそれらのアグリコン誘導体である、第1節から第18節のいずれか一項に記載の方法。
【0109】
20. W・ソムニフェラ活性剤が、ウィタノリドD、シトインドシドVII、シトインドシドVIII、シトインドシドIX及びシトインドシドXの1つ又は複数を含む、第19節に記載の方法。
【0110】
21. W・ソムニフェラ活性剤が、
【0111】
【化3】
【0112】
(式中、R1はH、C1~C3アルキル、又はC1~C4アルコキシであり、R2は、H又はC1~C3アルキルであり、R3は、H又はHOであり、
【0113】
【化4】
【0114】
は、単結合又は二重結合である)
を含む、第1節から第18節のいずれか一項に記載の方法。
【0115】
22. 抗精神病薬が投与される精神障害の治療用の医薬剤形又は組成物であって、精神病性障害等、例えば統合失調症又は統合失調感情障害等の精神障害、及び、任意で精神障害の1つ又は複数の陰性症状を治療するために効果的な量で、抗精神病薬剤及びウィタニア・ソムニフェラ活性剤を含む、医薬剤形又は組成物。
【0116】
23. W・ソムニフェラ活性剤が、W・ソムニフェラ植物の葉及び/若しくは根、又はW・ソムニフェラ植物の根及び/若しくは葉の抽出物として提供される、第22節に記載の医薬剤形。
【0117】
24. 経口又は非経口剤形として調製される、第22節に記載の医薬剤形。
【0118】
25. 一用量当たり100mg~2000mg、例えば一用量当たり250mg、500mg又は1000mgのW・ソムニフェラ植物の根及び/又は葉の抽出物を含む、第22項に記載の医薬剤形。
【0119】
26. W・ソムニフェラ活性剤が、
a. 少なくとも3%(質量%)のウィタノリドグコシド及びシトインドシド、
b. 少なくとも3%、3~8%のオリゴ糖、並びに
c. 0.5%未満の遊離ウィザフェリンA(アグリコン)
を含み、(a):(c)が75~95:25~5であり、(a):(b)が40~60:60~40である、標準化抽出物で提供される、第25節に記載の医薬剤形。
【0120】
27. 標準化抽出物が、
a. 少なくとも8%のウィタノリドグコシド及びシトインドシド、並びに
b. 少なくとも32%のオリゴ糖
を含む、第26節に記載の医薬剤形。
【0121】
28. オリゴ糖が、2000Da未満の質量平均分子量(Mw)を有する、第26節又は第27節に記載の医薬剤形。
【0122】
29. 標準化抽出物が、少なくとも8質量%の総ウィタノリドグコシド結合体、2質量%以下のウィザフェリンAを含み、ウィタノリドグコシド結合体の遊離ウィザフェリンAに対する比が、75:95~25:5の範囲であり、任意で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定された質量%である、第26節に記載の医薬剤形。
【0123】
30. W・ソムニフェラ活性剤が、ウィタノリドグコシド若しくはシトインドシド、又はそれらのアグリコン誘導体を含む、第22項に記載の医薬剤形。
【0124】
31. W・ソムニフェラ活性剤が、ウィタノリドD、シトインドシドVII、シトインドシドVIII、シトインドシドIX、シトインドシドX、それらの誘導体、又はそれらの任意の組合せを含む、第30節に記載の医薬剤形。
【0125】
32. W・ソムニフェラ活性剤が、
【0126】
【化5】
【0127】
(式中、R1はH、C1~C3アルキル、又はC1~C4アルコキシであり、R2は、H又はC1~C3アルキルであり、R3は、H又はHOであり、
【0128】
【化6】
【0129】
は、単結合又は二重結合である)
を含む、第22節に記載の医薬剤形。
【0130】
33. 精神障害の陰性症状の治療用のウィタニア・ソムニフェラ活性剤。
【0131】
34. W・ソムニフェラ植物の葉及び/若しくは根、又はW・ソムニフェラ植物の根及び/若しくは葉の抽出物として提供される、第33節に記載のW・ソムニフェラ活性剤。
【0132】
35. 経口又は非経口剤形として調製される、第33節に記載のW・ソムニフェラ活性剤。
【0133】
36. 一用量当たり100mg~2000mg、例えば一用量当たり250mg、500mg又は1000mgのW・ソムニフェラ植物の根及び/又は葉の抽出物を含む、第33節に記載のW・ソムニフェラ活性剤。
【0134】
37. a. 少なくとも3%(質量%)のウィタノリドグコシド及びシトインドシド、
b. 少なくとも3%のオリゴ糖、並びに
c. 0.5%未満の遊離ウィザフェリンA(アグリコン)
を含み、(a):(c)が75~95:25~5であり、(a):(b)が40~60:60~40である、標準化抽出物で提供される、第33節に記載のW・ソムニフェラ活性剤。
【0135】
38. 標準化抽出物が、
a. 少なくとも8%のウィタノリドグコシド及びシトインドシド、並びに
b. 少なくとも32%のオリゴ糖
を含む、第37節に記載のW・ソムニフェラ活性剤。
【0136】
39. オリゴ糖が、2000Da未満の質量平均分子量(Mw)を有する、第37節又は第38節に記載のW・ソムニフェラ活性剤。
【0137】
40. 標準化抽出物が、少なくとも8質量%の総ウィタノリドグコシド結合体、2質量%以下のウィザフェリンAを含み、ウィタノリドグコシド結合体の遊離ウィザフェリンAに対する比が、75:95~25:5の範囲であり、任意で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定された質量%である、第37節に記載のW・ソムニフェラ活性剤。
【0138】
41. ウィタノリドグコシド若しくはシトインドシド、又はそれらのアグリコン誘導体である、第33節に記載のW・ソムニフェラ活性剤。
【0139】
42. ウィタノリドD、シトインドシドVII、シトインドシドVIII、シトインドシドIX、シトインドシドX、それらの誘導体、又はそれらの任意の組合せを含む、第41節に記載のW・ソムニフェラ活性剤。
【0140】
43.
【0141】
【化7】
【0142】
(式中、R1はH、C1~C3アルキル、又はC1~C4アルコキシであり、R2は、H又はC1~C3アルキルであり、R3は、H又はHOであり、
【0143】
【化8】
【0144】
は、単結合又は二重結合である)
を含む、第32節に記載のW・ソムニフェラ活性剤。
【0145】
44. 精神障害が、統合失調症又は統合失調感情障害等の精神病性障害である、第32節に記載のW・ソムニフェラ活性剤。
【0146】
45. 精神障害が、統合失調症、妄想型統合失調症、破瓜型統合失調症、鑑別不能型統合失調症、残遺型統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、妄想障害、短期精神病性障害、他の特異的統合失調症スペクトラム及び他の精神病性障害、非特異的統合失調症スペクトラム及び他の精神病性障害からなる群から選択される、第32節に記載のW・ソムニフェラ活性剤。
【0147】
いくつかの実施例にしたがって本発明を説明したが、これは、全ての態様において、限定的ではなく、例示的であることが意図されている。したがって、本発明は、詳細な実施において多くの改変が可能であり、これは、当業者が本明細書に含有する記載から導き出すことができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C