(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6555 20140101AFI20221107BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20221107BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20221107BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20221107BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20221107BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20221107BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20221107BHJP
【FI】
H01M10/6555
H01M10/613
H01M10/643
H01M10/6551
H01M10/6568
H01M10/6556
H01M50/20
(21)【出願番号】P 2020041169
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小宅 教文
(72)【発明者】
【氏名】石垣 将紀
(72)【発明者】
【氏名】原田 知育
(72)【発明者】
【氏名】日下部 誠
(72)【発明者】
【氏名】草場 幸助
(72)【発明者】
【氏名】吉田 怜史
(72)【発明者】
【氏名】藤井 康平
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-032507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0003522(US,A1)
【文献】特開2001-210295(JP,A)
【文献】特開2000-268791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52-10/667
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒電池を平面内に並列配置した層を複数重ねて形成された電池群であって、隣接する層に属する円筒電池は層間で互いに配列ピッチが半ピッチずらして配置されている、電池群と、
表裏に配置される前記円筒電池の側面に接触し、伝熱性波板材からなる伝熱板であって、前記円筒電池の中心軸線に直交する平面内における前記層内の円筒電池の配列方向、または前記配列方向に交差する第1交差方向、または前記配列方向と前記第1交差方向に交差する第2交差方向に沿って前記円筒電池間の隙間を通って延びる伝熱板と、
前記電池群の側方に配置され、前記伝熱板の端縁が接続している放熱体と、
を含み、
前記円筒電池のそれぞれは、少なくとも2枚の伝熱板に接
し、
前記電池群は、前記層を重ねた方向において第1の側と第2の側を有し、各層に属する円筒電池の数が、前記第1の側から前記第2の側に向けて1個ずつ増加し、
前記放熱体は、少なくとも前記第2の側に配置され、
前記伝熱板は、前記第1交差方向に延びる第1方向伝熱板と、前記第2交差方向に延びる第2方向伝熱板を含み、前記層のそれぞれを横切る伝熱板が前記円筒電池の個数の増加に合わせて追加され、各伝熱板が前記第2の側で前記放熱体に接続している、
電池パックの部分構造。
【請求項2】
請求項
1に記載の電池パックの部分構造であって、追加された前記伝熱板は、前記第1の側に向いた端縁が他の伝熱板と接続していない、電池パックの部分構造。
【請求項3】
請求項
1に記載の電池パックの部分構造であって、追加された前記伝熱板は、前記第1の側に向いた端縁が他の伝熱板と接続している、電池パックの部分構造。
【請求項4】
請求項
1から
3のいずれか1項に記載の電池パックの部分構造であって、前記放熱体は、前記第2の側に加え前記第1の側にも配置され、前記第1の側に最も近い層を横切る伝熱板が前記第1の側に配置された前記放熱体に接続されている、電池パックの部分構造。
【請求項5】
円筒電池を並列配置して六角形を形成し、六角形に配列された円筒電池を同心状に複数配置した電池パックであって、前記六角形の各辺が請求項
1から
4のいずれか1項に記載の電池パックの部分構造を有する、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池を組み合わせて構成された電池パックの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の電源など、高電圧、大容量が要求される場合、多数の電池を組み合わせた電池パックが使用される。電池パックは、搭載性から小形化が要求される一方、小形化して電池の密度を高めると、電池から発生した熱の放熱が問題となる。また、電池パックは、低温環境下で使用されるに際し、外部から加熱する場合があり、暖機の時間が問題となる。
【0003】
下記特許文献1には、円筒電池の間を波状に延びる流路に流体を流して円筒電池を冷却する技術が示されている。下記特許文献2には、円筒電池の配置の工夫により伝熱性能を向上する技術が示されている。下記特許文献3には、円筒電池間に風を送って円筒電池を冷却する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2011/0212356号明細書
【文献】特開2018-60594号公報
【文献】特開2016-178066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
小形かつ簡易な構造で、放熱性が良好であり、また熱応答性が良好な電池パックの構造が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電池パックの部分構造は、円筒電池を平面内に並列配置した層を複数重ねて形成された電池群を含み、隣接する層に属する円筒電池は層間で互いに配列ピッチが半ピッチずらして配置された千鳥配置となっている。さらに、本電池パックの部分構造は、表裏に配置される円筒電池に接触している伝熱性波板材からなる伝熱板を含み、伝熱板は、円筒電池の中心軸線に直交する平面内における層内の円筒電池の配列方向、またはこの円筒電池の配列方向に交差する第1交差方向、または円筒電池の配列方向と第1交差方向に交差する第2交差方向に沿って円筒電池間の隙間を通って延びている。さらに、本電池パックの部分構造は、電池群の側方に配置され、伝熱板の端縁が接続している放熱体を含む。そして、各円筒電池は、少なくとも2枚の伝熱板に接している。
【0007】
円筒電池を千鳥配置したことにより円筒電池の配置密度が高まり、電池パックを小型化することができる。また、導電性波板材からなる伝熱板により、円筒電池の千鳥配置に対応した簡易な構成により放熱性を向上することができる。また、伝熱板を用いることにより、円筒電池間を伝熱材料で埋める場合に比べて電池パックの熱容量を小さくすることができ、熱応答性を向上させることができる。
【0008】
さらに、電池群は、円筒電池の層を重ねた方向において第1の側と第2の側を有し、各層に属する円筒電池の数が、第1の側から第2の側に向けて1個ずつ増加するものとできる。放熱体は、少なくとも第2の側に配置されるものとでき、伝熱板は、第1交差方向に延びる第1方向伝熱板と、第2交差方向に延びる第2方向伝熱板を含み、円筒電池の層のそれぞれを横切る伝熱板が円筒電池の個数の増加に合わせて追加され、各伝熱板が第2の側で放熱体に接続するものとできる。
【0009】
第1の側から第2の側向けて円筒電池の数が増加する配列においても、伝熱板を配置することができる。
【0010】
追加された伝熱板は、第1の側に向いた端縁が他の伝熱板と接続していないものとすることができる。
【0011】
追加された伝熱板は、第1の側に向いた端縁が他の伝熱板と接続しているものとすることができる。
【0012】
放熱体は、第2の側に加え第1の側にも配置されるものとすることができ、第1の側に最も近い層を横切る伝熱板が第1の側に配置された放熱体に接続するようにできる。
【0013】
本発明に係る電池パックは、円筒電池の層に属する円筒電池が第1の側から第2の側に向けて1個ずつ増加する前述の電池パックモジュールを六角形に組み合わせた構成を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態の電池パックの円筒電池に直交する断面を模式的に示す図である。
【
図2】電池パックの一部分の構造を模式的に示す分解斜視図である。
【
図3】電池パックの一部分の構造の一例を模式的に示す断面図である。
【
図4】電池パックの一部分の構造の他の例を模式的に示す断面図である。
【
図5】他の電池パックの一部分の構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の電池パック10を示す図であり、外形が円柱形状のいわゆる円筒電池12の中心軸線に直交する断面を模式的に示す図である。
図2は、電池パック10の一部を示す図であり、部品を分解して示した斜視図である。
【0016】
円筒電池12は、同心配置された2つの円筒形状の内側放熱体14と外側放熱体16の間の円環状の空間に複数配置されている。円筒電池12は、いずれも同形状であり、円筒の中心軸線が平行になるように配置されている。内側の円筒電池12は、六角形に配置され、これらの円筒電池12を囲むように外側に、円筒電池12が六角形に配置される。互いに隣接する六角形に配置された円筒電池は、配列ピッチが半ピッチずれて配列されている。さらに、外側に円筒電池12が同様に配列され、この電池パック10では、全体で4つの六角形が形成されている。更に外側に円筒電池12が配置されるが、これらの円筒電池12は、六角形の頂点を欠いた配置となっている。円筒電池12の配列ピッチを半ピッチずらした千鳥配置とすることにより、2つの円筒電池12の外形が形成する谷間部分に他の円筒電池12が入り込み、円筒電池12の配置密度が高められている。
【0017】
内側から外側に向けて円筒電池12の隙間を縫うように延びる波形状の伝熱板18が配置されている。伝熱板18は、波板状に形成された伝熱材料からなり、材料自体によって熱が伝えられる。伝熱板18は、例えば金属板、特にアルミニウム板により形成することができる。円筒電池12の中心軸線方向において、円筒電池12と伝熱板18の寸法はほぼ等しい。伝熱板18は、円筒電池12の側面に沿うように湾曲した部分を有する。伝熱板18は、円筒電池12の側面の周方向において一部、かつ円筒電池12の長手方向に延びる帯状の領域で接する。伝熱板18は、円筒電池12と直接接触しても、また接着剤等を介して接触してもよい。このような接触により、空気と接触する場合よりも伝熱効率が向上する。
【0018】
いくつかの伝熱板18は、内側の端縁が内側放熱体14に、外側の端縁が外側放熱体16に接続しており、残余の伝熱板18は、外側放熱体16のみに接続している。円筒電池12で発生した熱は、伝熱板18を伝って、その伝熱板18が接続している内側放熱体14および外側放熱体16に流れる。
【0019】
内側放熱体14および外側放熱体16は、例えば金属、特にアルミニウムなどの伝熱材料からなり、円筒電池12に対向する面とは反対側の面から、伝熱板18から伝わった熱を放熱する。また、内側放熱体14と外側放熱体16の一方または両方の表面にフィンを設けて、放熱を促進してもよい。また、内側放熱体14と外側放熱体16の一方または両方の内部に流路を形成し、この流路に流体を流し、この流体に放熱するようにしてもよい。
【0020】
内側放熱体14と外側放熱体16の間の空間の両端には、端面板20,22が配置され、円筒電池12が配置される空間を閉鎖空間としている。
【0021】
図3は、円筒電池12が配置された六角形の1辺に相当する部分、例えば
図1の一点鎖線で囲まれた部分の構成を拡大して示す図である。
【0022】
内側放熱体14に近い4個の円筒電池12は1平面内に配置され、中心軸線が平行になるように
図3において左右方向に配列されている。これら4個の円筒電池12で1層が形成される。この層を第1配列層24Aと記し、この第1配列層24Aに属する円筒電池を区別する必要があるときには円筒電池12Aと記す。第1配列層24Aに隣接する5個の円筒電池12で第2配列層24Bが形成される。この第2配列層24Bに属する円筒電池を区別する必要があるときには円筒電池12Bと記す。円筒電池12Bは、1平面内に配置され、中心軸線が平行となるように
図3において左右方向に配列されている。円筒電池12Aと円筒電池12Bは、配列ピッチが互いに半ピッチずれており、互いに、相手側の配列層の隣接する円筒電池の側面で形成される谷部分に入り込んでいる。第2配列層24Bに隣接する6個の円筒電池12で第3配列層24Cが形成され、更に第3配列層24Cに隣接する7個の円筒電池12で第4配列層24Dが形成されている。第3配列層24Cに属する円筒電池を円筒電池12Cと記し、第4配列層24Dに属する円筒電池を円筒電池12Dと記す。第3配列層24Cおよび第4配列層24Dに属する円筒電池12C,12Dも第1,第2配列層24A,24Bに属する円筒電池12A,12Bと同様、隣接する配列層の円筒電池と半ピッチずれて配置されている。第1~第4配列層24A~24Dを区別する必要がない場合、また総称する場合、配列層24と記す。
【0023】
第1~第4配列層24A~24Dで構成される電池群26を含む電池パック10の部分構造について説明する。当該部分構造は、各配列層24を重ねた方向(
図3において上下方向)において、電池群26の第1の側(
図3において下側)に配置された内側放熱体14と、第1の側と反対側の第2の側(
図3において上側)に配置された外側放熱体16を含む。第1の側と第2の側は、それぞれ円筒形の電池パック10において内側、外側であり、以降の説明において、第1の側を内側、第2の側を外側と記す。
【0024】
電池群26を構成する各配列層24は、内側の第1配列層24Aから外側の第4配列層24Dへと、その配列層24に属する円筒電池12が1個ずつ増加している。円筒電池12は、各配列層24を規定する平面内に整列する一方、この配列層24に交差する2方向に沿ってもそれぞれ1平面内に整列されている。各配列層24内において円筒電池12が配列された方向を電池配列方向Uと記す。電池配列方向Uに対し60°で交差する2つの方向においても、円筒電池12は整列しており、この方向を第1交差方向V、第2交差方向Wと記す。これらの方向U,V,Wに沿って円筒電池12間の隙間が延びている。
【0025】
電池群26に関連する伝熱板18は6枚であり、符号18A,18B,18C,18D,18E,18Fで示す。なお、第4配列層24Dの更に外側に位置する一点鎖線で示した円筒電池12に関連する伝熱板18Gが設けられている。各円筒電池12は、少なくとも2枚の伝熱板18に接触している。各伝熱板18の表裏に円筒電池12が接触している。また、伝熱板18同士は、接触せず、また交差していない。各配列層24の端に位置する円筒電池12は、
図3においては、1枚の伝熱板18にしか接していないように示されているが、
図1に示すように、隣接する部分構造に属する伝熱板18が接しており、実際には、2枚の伝熱板18に接触している。
【0026】
伝熱板18A~18Cは、第1~第4配列層24A~24Dを横切り、内側の端縁が内側放熱体14に、外側の端縁が外側放熱体16に接続している。伝熱板18Aと伝熱板18Cは、第1交差方向Vに延びる第1方向伝熱板であり、伝熱板18Bは第2交差方向Wに延びる第2方向伝熱板である。伝熱板18A~18Cは、第1配列層24Aの、隣接する円筒電池12A間に形成される3箇所の隙間に、それぞれ進入し、第1配列層24Aを横切っている。
【0027】
第2配列層24Bに属する円筒電池12Bは5個であり、隣接する円筒電池12B間の隙間は4箇所となり、第1配列層24Aに比べて1箇所増加している。この増加部分を埋めるように、伝熱板18Dが追加されている。伝熱板18Dは、第2配列層24Bを横切り、第2交差方向Wに沿って外側に向けて延びて外側放熱体16に接続している。伝熱板18Dは第2交差方向Wに沿って延びる第2方向伝熱板である。伝熱板18Dは、第2配列層24Bに加え、第3および第4配列層24C,24Dも横切っている。なお、伝熱板18が配列層24を横切るとは、ここでは、隣接する円筒電池12の最も接近している部分を横切り、ここで両側の円筒電池12に接するように配置されていることを言い、配列層24の厚さ方向全体にわたって配置されることを要さない。
【0028】
第3配列層24Cに属する円筒電池12Cは6個であり、隣接する円筒電池12C間の隙間は5箇所となり、第2配列層24Bに比べて1箇所増加している。この増加部分を埋めるように、伝熱板18Eが追加されている。伝熱板18Eは、第3配列層24Cを横切り、第1交差方向Vに沿って外側に向けて延びて外側放熱体16に接続している。伝熱板18Eは第1交差方向Vに沿って延びる第1方向伝熱板である。伝熱板18Eは、第3配列層24Cに加え、第4配列層も横切っている。
【0029】
第4配列層24Dに属する円筒電池12Dは7個であり、隣接する円筒電池12D間の隙間は6箇所となり、第3配列層24Cに比べて1箇所増加している。この増加部分を埋めるように、伝熱板18Fが追加されている。伝熱板18Fは、第4配列層24Dを横切り、第2交差方向Wに沿って外側に向けて延びて外側放熱体16に接続している。伝熱板18Fは第2交差方向Wに沿って延びる第2方向伝熱板である。
【0030】
追加された伝熱板18D~18Fは、内側端縁がより内側にあるものから、延びる方向が交互となっているが、順序はこれに限られない。例えば、追加された伝熱板の全てが第1交差方向または第2交差方向に延びていてもよい。
【0031】
円筒電池12で発生した熱は、伝熱板18を伝って内側放熱体14および外側放熱体16に流れる。また、1つの円筒電池12が異常発熱した際、伝熱板18を挟んで位置する円筒電池12は、伝熱板18により熱が拡散されるために温度上昇を抑制することができる。また、異常発熱した円筒電池12に、伝熱板18を介さずに、つまり直接対向する円筒電池12は、これらの円筒電池12の間に隙間を設け、空気の層を設けることにより、温度上昇を抑制することができる。
【0032】
図4は、電池パックの部分構造の他の態様を示す図である。この態様は、
図3に示した部分構造に対して、伝熱板の構造が相違し、他の構成については同一であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
図4に示す電池パックの部分構造の伝熱板28A~28Fは、それぞれ前述の伝熱板18A~18Fに対応している。伝熱板28A~28Fについて、これらを区別する必要がない場合、または総称する場合、A~Fを省略して伝熱板28と記す。なお、第4配列層24Dの外側に配列された円筒電池12に関連する伝熱板28Gは、前述の伝熱板18Gに対応する。
【0034】
伝熱板28Aから28Cは、前述の伝熱板18A~18Cと同一である。伝熱板28Dは、前述の伝熱板18Dより内側に、伝熱板28Cに達するまで延び、伝熱板28Cに接続している。伝熱板28Eは、前述の伝熱板18Eより内側に、伝熱板28Dに達するまで延び、伝熱板28Dに接続している。伝熱板28Fは、前述の伝熱板18Fより内側に、伝熱板28Eに達するまで内側に向けて延び、伝熱板28Eに接続している。伝熱板28Gは、前述の伝熱板18Gより内側に、伝熱板28Fに達するまで延び、伝熱板28Fに接続している。以上のように、伝熱板28D~28Gは、前述の伝熱板18D~18Gを、他の伝熱板28に達するまで延ばしたものである。追加された伝熱板28D~28Gは、内側の端縁が他の伝熱板28に接続され、内側および外側の端縁が支持されることによって安定する。各伝熱板28は、互いに交差はしていない。この構造においても、各円筒電池12は、少なくとも2枚の伝熱板に接している。
【0035】
図5は、電池パック、またはその部分構造30の一例を示す図であり、外形が円筒形のいわゆる円筒電池12の中心軸線に直交する断面を示す模式図である。円筒電池12は、1つの平面内に並列配置されて1つの層を形成している。この層を配列層32と記す。
図5において、4つの配列層32A~32Dを有する構成が例示されている。4つの配列層32A~32Dを区別する必要がないとき、または総称するときにはA~Dを省略して単に配列層32と記す。また、1つの配列層32内で円筒電池12が配列されている方向を電池配列方向と記す。
図5において、電池配列方向は左右方向である。
【0036】
配列層32A~32Dは、それぞれ同数の円筒電池12から構成される。
図5では、4個の円筒電池12から構成される配列層32が例示されている。また、n個の円筒電池12から構成される配列層と、n+1個の円筒電池12から構成される配列層が交互に重ねられてもよい。隣接する配列層32に属する円筒電池12は、配列ピッチが互いに半ピッチずれて配置され、相手方の配列層32に属する隣接する2個の円筒電池12の側面により形成された谷間の部分に入り込んでいる。これにより、隣接する配列層32間で円筒電池12が互いに半ピッチずらして配置された電池群34が形成される。
【0037】
配列層32の間の隙間を縫うように延びる波形状の伝熱板36が配置されている。伝熱板36の延びる方向は電池配列方向である。伝熱板36は、波板状に形成された伝熱材料からなり、材料自体によって熱が伝えられる。伝熱板36は、例えば金属板、特にアルミニウム板により形成することができる。円筒電池12の中心軸線方向において、円筒電池12と伝熱板36の寸法はほぼ等しい。伝熱板36は、円筒電池12の側面に沿うように湾曲した部分を有する。伝熱板36は、円筒電池12の側面の周方向において一部、かつ円筒電池12の長手方向に延びる帯状の領域で接する。伝熱板36は、円筒電池12と直接接触しても、また接着剤等を介して接触してもよい。このような接触により、空気と接触する場合よりも伝熱効率が向上する。
【0038】
電池配列方向において電池群34の両側には、放熱体38,40が配置され、各伝熱板36の両側の端縁が放熱体38,40に接続している。円筒電池12で発生した熱は、伝熱板36を伝って、放熱体38,40に流れる。放熱体38,40は、例えば金属、特にアルミニウムなどの伝熱材料からなり、円筒電池12に対向する面とは反対側の面から、伝熱板36から伝わった熱を放熱する。また、2つの放熱体38,40の一方または両方の表面にフィンを設けて、放熱を促進してもよい。また、放熱体38,40の一方または両方の内部に流路を形成し、この流路に流体を流し、この流体に放熱するようにしてもよい。放熱体38,40は、一方のみ設けるようにしてもよい。
【0039】
伝熱板18,36の波形状は、円筒電池12の側面に沿うように湾曲した部分を有するが、これに限らず平板がジグザグに配置された三角波形状であってもよい。
【0040】
電池パック10は、
図3または
図4に示された部分構造を6個組み合わせて構成されるが、単独で、または任意の個数を組み合わせて電池パックを構成してもよい。例えば、3個を組み合わせて全体として断面が半円弧となるように電池パックを構成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 電池パック、12 円筒電池、14 内側放熱体、16 外側放熱体、18,18A~18G,28A~28G,36 伝熱板、20,22 端面板、24,32 配列層、26,34 電池群、30 電池パックの部分構造、38,40 放熱体。