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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】容器係合解除特徴部を有する飲料抽出器
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20221107BHJP
   B67D 1/04 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
B67D1/04 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020504720
(86)(22)【出願日】2018-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 US2018044316
(87)【国際公開番号】W WO2019027874
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】62/538,955
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512300506
【氏名又は名称】コラヴァン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ディランツ,オットー
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-508681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0292423(US,A1)
【文献】米国特許第03164280(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第00420561(EP,A1)
【文献】実開昭57-092698(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/04、1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力下にある飲料の流れを飲料容器から受け入れるように且つ管の注出口において前記飲料を注出するように配置された導管を含む本体と、
容器首部に係合して前記本体を前記容器首部に対して固定するように配置されたクランプであって、前記容器首部に対して外方及び上方に傾斜し且つ前記クランプが前記容器首部に対して上方に引き上げられたときに前記容器首部から前記クランプを係合解除するように配置される容器係合表面を含む、クランプと、を備える飲料注出装置。
【請求項2】
前記容器係合表面が、前記クランプを前記容器首部に対して上方に移動させたときに前記クランプを容器のリップから離れる方向に移動させるために前記容器の前記リップに接触して前記クランプに径方向外向きの力を及ぼすように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記容器係合表面が、前記容器首部に接触して前記容器首部に径方向内向きの力を及ぼすように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記クランプが、前記容器首部に係合するように配置された少なくとも1つのアームを含み、且つ前記容器係合表面が、前記少なくとも1つのアーム上に垂直方向に延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記クランプが、互いに対向する2つのアームであって、前記容器首部が前記アーム間に位置決めされた状態で前記容器首部に係合するように配置された2つのアームを含み、各アームが、それぞれの前記アーム上に垂直方向に延びる容器係合表面を含む、請求項に記載の装置。
【請求項6】
基部を更に備え、前記2つのアームを互いに近接及び離間させることができるように、前記アームが前記基部に移動可能に装着される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記基部が、前記アーム間に位置決めされた前記容器首部の頂部に接触するように配置されたストッパを含み、並びに前記アームが、前記アームの基端側で前記基部に枢動可能に装着され、且つ前記容器係合表面が前記アームの先端側に位置する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記アームが、互いに近接するようにばね付勢される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記本体が、前記基部に対するスライド移動可能に装着される、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記本体が、前記本体から下方に延び且つ前記容器の蓋への挿通のために配置された針を更に含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記本体に及ぶ上向きの力によって前記本体が前記基部に対して上方に移動し、且つ前記基部及び前記アームが、前記アームによって係合された容器首部に対して上方に移動する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記本体が、前記本体から垂直下方に延び且つ前記容器の蓋への挿通のために配置された針を更に備え、前記容器係合表面が、前記針に対して上方及び外方に傾斜するように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記クランプを含む基部を更に備え、前記本体が前記基部に対して垂直方向に移動可能である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記基部が、前記クランプによって係合された容器首部の頂部に接触するように配置された針ガイドを更に含み、前記針ガイドが、前記基部に対する前記本体の下方への移動に伴う前記蓋を通る前記針の移動を案内するように配置される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記クランプが、前記基部に対して移動可能であり且つ前記容器係合表面を含む少なくとも1つのアームを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
加圧ガスを飲料容器内に供給するように配置された加圧ガス源を更に備え、前記導管が、前記飲料容器内の前記加圧ガスによって生じる圧力下にある飲料の前記流れを受け入れるように前記飲料容器に流体的に結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記飲料容器内への加圧ガスの流れを制御するように又は前記飲料容器からの圧力下にある飲料の前記流れを制御するように配置された弁を更に備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記加圧ガスを前記飲料容器内に供給するために且つ圧力下にある飲料を前記飲料容器から前記導管に供給するために飲料容器の蓋に挿通されるように配置された針を更に備える、請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、容器内からの流体の注出又は他の抽出、例えば、ワインボトルからのワインの注出に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の態様による1つ又は複数の実施形態は、使用者が、蓋を取り外さずに、コルク、栓、弾性隔膜又は他の蓋によって密閉される容器内から、ワインなどの飲料を引き出すか又は別様に抽出することを可能にする。場合により、そのような容器からの液体の取り出しは1回以上行われ得るが、蓋は、容器の密閉を維持するために各飲料の抽出中及び抽出後も所定の位置に留まり得る。したがって、飲料は、ボトルから複数回注出され、飲料の品質にほとんど又は全く影響なしに各抽出の間の長期間にわたって保存され得る。いくつかの実施形態では、容器内からの飲料の抽出中又は抽出後に、飲料と反応する空気などのガスがほとんど又は全く容器内に導入されない可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、コルクの取り外し又はコルクへの損傷なしに、且つ空気又は潜在的に悪影響を及ぼす他のガス若しくは液体をボトルに入れずに、使用者が、ワインボトルからワインを引き出し得る。
【0003】
本発明の一態様において、飲料抽出装置は、圧力下にある飲料の流れを飲料容器から受け入れるように且つ導管の注出口において飲料を注出するように配置された導管を含む本体を含む。例えば、導管は、ワインボトルなどの、容器から圧力下にある飲料を受け入れる1つ若しくは複数の管又は通路を含み得る。導管は、いくつかの実施形態では、飲料を受け入れるために容器のコルク又は他の蓋を貫通させる針を含み得る。注出口は、使用者のカップ又はグラス内に飲料を注出するように配置されてもよい。クランプは、本体に取り付けられ、容器首部に係合して本体を容器首部に対して固定するように配置されてもよい。例えば、クランプは、本体を持ち上げることによって本体と係合した容器との両方を持ち上げることができるように容器首部に係合して本体を固定するように配置された1つ又は複数のクランプアームを含み得る。これによって、使用者が本体のみを操作することによって容器から飲料を注ぐことが可能となり得る。他の配置では、クランプは、装置が他の支持なしに容器から懸下されるか又は別様に容器に固定されるように、本体を容器に固定してもよい。いくつかの実施形態において、クランプは、容器首部に対して外方及び上方に傾斜し且つクランプが容器首部に対して上方に引き上げられたときに容器首部からクランプを係合解除するように配置される容器係合表面を含み得る。クランプがクランプアームを含む実施形態では、係合表面は、例えば、ボトルのリップにおいて、容器首部に接触するように、且つ容器首部に対する係合表面の上方への移動に伴ってクランプアームを容器首部から離れる方向に径方向に移動させるように配置されてもよい。これによって、容器首部からクランプアームを係合解除するのを補助してもよい。したがって、容器係合表面は、クランプを容器首部に対して上方に移動させたときにクランプを容器のリップから離れる方向に移動させるために容器のリップに接触してクランプに径方向外向きの力を及ぼすように配置されてもよい。
【0004】
いくつかの実施形態において、容器係合表面は、容器首部に接触して容器首部に径方向内向きの力を及ぼすように配置されてもよい。例えば、クランプを容器首部に係合させたときに、係合表面は、首部に接触して、クランプが首部に径方向内向きの力を及ぼすことなどによって容器首部を把持するのに役立ち得る。いくつかの実施形態において、容器係合表面は、例えばクランプアーム上に、垂直方向に延びる。係合表面の垂直方向延在部は、容器内の飲料にアクセスするために針が使用される場合、概して容器又は容器首部の長手方向軸線方向の、又は例えば、概して針の長手方向軸線方向の延在部を指すように意図されている。
【0005】
いくつかの実施形態において、クランプアームは、互いに対向する2つのクランプアームであって、容器首部がアーム間に位置決めされた状態で容器首部に係合するように配置された2つのクランプアームを含み得る。各アームは、例えば、外方及び上方にだけでなくそれぞれのアーム上に垂直方向にも延びる、容器係合表面を含み得る。装置は、基部を含み得、2つのアームを互いに近接及び離間させることができるように、アームが基部に移動可能に装着される。例えば、アームは、互いに近接するようにばね付勢され、例えば、その結果、クランプアームの先端部が、互いに移動して容器首部をアーム間にクランプするように付勢されてもよい。場合により、基部は、アーム間に位置決めされた容器首部の頂部に接触するように配置されたストッパを含み得る。このストッパは、使用される場合、針用のガイドとして機能するだけでなく、基部及びクランプを容器首部に対して好適に位置決めするのに役立ち得る。アームは、アームの基端側で基部に枢動可能に装着されてもよく、且つ容器係合表面は、アームの先端側に位置してもよい。場合により、クランプアームは、容器係合表面の基端側に位置し且つ容器首部に接触するように配置され且つ例えば、基部に対する容器首部の移動に抗することによって、容器首部に係合するのに役立つ突条部を含み得る。係合表面は、径方向内向きの成分を有するだけでなく、概して上向き及び内向きの成分も有する力を、例えばボトルのリップにおいて、容器首部に及ぼし得る。このことは、クランプを容器首部に対して下方に付勢するのに役立ち、且つストッパを首部の頂部に接触した状態に保つのに役立ち得る。
【0006】
いくつかの実施形態において、本体は、基部に対するスライド移動のために装着されてもよい。例えば、本体が、本体から下方に延び且つ容器の蓋への挿通のために配置された針を含む場合に、容器のコルク又は他の蓋に針を挿通するために、基部に対する本体の下方への移動を利用してもよい。いくつかの配置では、まず、クランプを容器首部に係合させてもよく、次いで、容器の蓋に針を挿通するために、任意選択的に基部上の針ガイドによって案内される、本体及び針を下方に移動させてもよい。注出が完了した後に、蓋から針を取り外すために本体を基部に対して上方に移動させてもよい。本体の上方への移動は、クランプを容器首部に係合させた状態で行われてもよい。場合により、本体に及ぶ上向きの力によって本体が基部に対して上方に移動し、基部及びクランプアームが、アームによって係合された容器首部に対して上方に移動する。基部及びクランプアームのこの上方への移動は、係合表面を容器首部に接触させ、且つクランプアームの突条部又は他の特徴部などを通過するように容器首部のリップを案内することによって、例えば、クランプアームを容器首部から離れる方向に移動させることによる、容器からのクランプの取り外しに役立ち得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、装置は、加圧ガスを飲料容器内に供給するように配置された加圧ガス源を含み得る。導管は、飲料容器内の加圧ガスによって生じる圧力下にある飲料の流れを受け入れるように飲料容器に流体的に結合されてもよい。飲料容器内への加圧ガスの流れを制御するように、又は飲料容器からの圧力下にある飲料の流れを制御するように、弁が配置されてもよい。例えば、装置が、加圧ガスを飲料容器内に供給するために飲料容器の蓋に挿通されるように配置された針を含む場合に、針内への加圧ガスの流れを制御するために、及び/又は飲料容器から導管を通る加圧下にある飲料の流れを制御するために弁を使用してもよい。
【0008】
装置の種々の例示的な実施形態を以下に更に示し説明する。
【0009】
本発明の態様について、種々の実施形態と、以下を含む図面とを参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、飲料容器の蓋に針を挿し通す準備中の飲料抽出装置の側断面図を示す。
図2図2は、針を蓋に貫通させた図1の実施形態を示す。
図3図3は、容器内へのガスの導入中の図1の実施形態を示す。
図4図4は、容器からの飲料の注出中の図1の実施形態を示す。
図5図5は、例示の実施形態において装置を直立した向きで支持するためのクランプ配置を有する飲料抽出装置の側面図を示す。
図6図6は、図5の実施形態の正面斜視図を示す。
図7図7は、図5の実施形態のクランプアームの底面図を示す。
図8図8は、図5の実施形態のクランプアームの内表面の側面図を示す。
図9図9は、図5の実施形態の基部の分解図を示す。
図10図10は、容器首部に係合させた図5の実施形態の正面図を示す。
図11図11は、例示の実施形態におけるクランプ用の係止機構の斜視図を開状態で示す。
図12図12は、クランプを備えた図11の実施形態を閉状態で示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の態様について例示の実施形態を参照しながら以下で説明するが、本発明の態様は、説明する具体的な実施形態に照らして狭義に解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、本発明の態様は、本明細書で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の種々の態様が単独で及び/又は互いに任意の好適な組み合わせで使用され得ることを理解すべきであり、したがって、種々の実施形態は、特徴の任意の特定の組み合わせを必要とするものと解釈されるべきではない。代わりに、説明する実施形態の1つ又は複数の特徴は、他の実施形態の他の任意の好適な特徴と組み合わされてもよい。
【0012】
図1図4は、本発明の1つ又は複数の態様を取り入れ得る飲料抽出装置1の一実施形態の概略図を示している。この例示のシステム1は、(例えば、ボンベから注出されるときの2600psi以下の)圧力下にあるガスを調整器600に提供する加圧ガス源100(圧縮ガスボンベなど)が取り付けられた本体3を含む。この配置では、ボンベ100は、ガスボンベをボンベ受け部に係合させるための機構に関する教示に関して参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,867,209号、米国特許第5,020,395号、及び米国特許第5,163,909号に及び/又は以下に説明されているものなどの、他の構成も可能であるが、ねじ接続によって本体3と調整器600とに固定される。調整器600は、概略的に及び且つ詳細なしに示されているが、予め設定された又は可変の出口圧力にガス圧力を調整することが可能な様々な市販の又は他の単段又は多段圧力調整器のいずれかとすることができる。調整器600の主な機能は、例えば、容器700内に確立される圧力が所望のレベルを超えないように、容器700(ワインボトルなど)への供給に好適な圧力及び流量でガスを提供することである。
【0013】
この実施形態において、本体3はまた、調整器600からのガスの流れを制御するように動作可能な弁300を含む。弁300は、加圧ガスを容器700内に選択的に導入し且つ針200を介して容器700から飲料710(ワインなど)を抽出するための単一の操作ボタン及び機能を含む3方トグル弁であってもよい。そのような弁300の動作に関する詳細は、全体が参照により組み込まれる、米国特許第8,225,959号において提供されている。当然ながら、加圧ガス及び飲料の流れを制御するための他の弁配置も可能である。例えば、3方弁300は、1対のオン/オフ弁、すなわち、容器700へのガス導入を制御するための1つと、容器700からの飲料の流れを制御するためのもう1つとに置き換えることができる。各弁は、個別にであれ同時にであれ、使用者が弁を選択的に開閉することを可能にする、各弁自体のアクチュエータを有することができる。要するに、調整器600及び弁300の動作に関する詳細、又はガスを容器内に導入し且つ容器700から飲料を取り出すための他の機構は、本発明の態様を必ずしも限定するものではなく、好適に修正され得る。
【0014】
容器700内にガスを導入して飲料を抽出するために、本体3に取り付けられた針200は、容器700の開口部を密閉するコルク又は他の蓋730に挿通される。この例示のシステム1は、針先端付近の針の側壁に沿って針開口部220を有するペンシルチップのノンコアリング針200を使用する。針200は異なる方法でコルク又は他の蓋730に挿入され得るが、この実施形態では、システム1は、本体3のそれぞれのレール31を受け入れてレール31の移動を案内する1対のチャネル21を備えた基部2を含む。したがって、容器蓋730に対する本体3及び取り付けられた針200の移動は、基部2によって案内されてもよい。例えば、本体3は、針200を蓋730の内外に移動させるために基部2に対して垂直方向にスライドしてもよい。加えて、針200の移動は、基部2に取り付けられ且つ蓋730の上に位置決めされた針ガイド202によって案内されてもよい。例えば、本体3のチャネル又は他の受け部に係合する1つ又は複数のレールを基部2上に設ける配置、本体又は基部の他方における対応する特徴部(例えばタブ)に係合し且つスライド移動を可能にする細長いスロット、チャネル又は溝を本体又は基部に設ける配置、本体と基部とを互いに接続し且つ針を蓋に挿入するための本体の移動を可能にするリンク機構などの、基部2に対する本体3の移動を案内するための他の配置も可能である。
【0015】
いくつかの実施形態において、基部2は、例えば、クランプアーム、スリーブ、ストラップ、又は容器700に係合する他の装置によって、容器700に対して所定の位置に固定されるか又は別様に保持されてもよい。本発明の態様によるクランプ配置について以下により詳細に説明し、このクランプ配置は、装置1をワインボトル首部又は他の容器700に一時的又は解放可能に固定するために使用してもよい。容器700に対する基部2の移動を制限することによって、そのような配置は、蓋730を貫通するときに、又は蓋730から引き抜かれるときに、容器700に対する針200の動きを案内するのに役立ち得る。代替的に、容器700は、装置1を容器700に係合させるクランプが装置1及び容器700を互いに確実に保持し得るので、装置1を把持して操作することによって操作されてもよい。
【0016】
針200を蓋730に挿通するために、使用者は、基部2及び容器700を互いに対して少なくともある程度静止した状態に維持しながら本体3を下方に押し下げてもよい。針200は、基部2に対する本体3の案内される動きによって(例えば、レール31及びチャネル21によって)、少なくとも部分的に、針200の動きが案内された状態で、蓋730を通過する。図2に示すように針200が好適に挿入された状態で、針先端における針開口部220は、蓋730よりも下に且つ容器700の密閉空間内に位置決めされてもよい。次いで、例えば、飲料710が蓋730の近くまで流れ、及び容器700内の任意の空気又は他のガス720が蓋から離れる方向に流れるように、容器700が傾けられてもよい。次いで、加圧ガス120は、図3に示すように、弁300を作動させてボンベ100からのガスを弁300及び針200を通して針開口部220から流出させることによって容器700内に導入されてもよい。代替的に、加圧ガス120は、飲料を傾けて分注することが後に続く、容器を傾ける前に、容器700内に導入することができる。その後、弁300は、図4に示すように、加圧ガスの流れを停止するように動作させられ、飲料710が針開口部220に流れ込んで針200を通って流れ弁300から分注されることを可能にしてもよい。したがって、飲料は、この実施形態では針200と本体3内の通路と弁300とを含む本体3の導管を通って流れ得る。当然ながら、飲料の流れを導くための本体3の導管のための他の配置も可能である。
【0017】
上で述べたように、飲料抽出装置は、例えば、装置をボトルの首部にクランプすることによって、装置を容器に係合させるように構成されたクランプを含み得る。例えば、装置は、装置に移動可能に装着されるとともに使用中に装置を容器上に支持するために容器に係合するように配置される1つ又は複数のクランプアームを含むことができる。本発明の態様によれば、クランプは、クランプが容器首部に対して上方に引き上げられたときに容器首部からクランプを係合解除するのに役立つように配置される容器係合表面を含み得る。この配置によって、使用者が容器から抽出装置を容易に取り外すことが可能となり得る。例えば、抽出装置は、飲料を抽出するためにコルク又は他の蓋に挿通される針を含み得、且つ分注が完了した時点で、針がコルクから上方に引き上げられてもよい。いくつかの実施形態において、容器係合表面は、使用者が容器首部からクランプを及び蓋から針を一回の動作で取り外すことを可能にしてもよい。場合により、使用者は、コルクから針を上方に引き上げてもよく、これによって、針がコルクから取り外され、次いで、クランプが容器首部に対して上方に引き上げられる。クランプに及ぶこの上向きの力は、例えば首部のリップにおいて、容器係合表面を容器首部に係合させ、且つクランプを首部に対して上方に移動させたときに首部からクランプを係合解除するのに役立ち得る。いくつかの実施形態において、容器係合表面は、クランプを容器首部から離れる方向に移動させてもよい。例えば、係合表面は、クランプを容器首部に対して上方に移動させたときに容器首部が係合表面に接触して係合表面を外方に押すように、容器の首部に対して(例えば、リップにおいて)上方及び外方に傾斜してもよい。このことは、クランプの一部分を首部から離れる方向に移動させて、容器首部からクランプを係合解除するのに役立ち得る。
【0018】
図5図10は、本発明の態様を取り入れた飲料抽出装置1の例示の実施形態を示している。この実施形態は、図1図4の実施形態と動作が同様であるが、数種類の異なる特徴を有する。この実施形態において、本体3は、針200を容器700のコルク又は他の蓋に挿通するために本体3を基部2に対して上下動で移動させるように使用者によって把持され得る、ハンドル33を含む。また、例えば、本体3の導管の注出口301から飲料を注出し及び/又は針200を介して容器700にガスを供給するように、弁300を動作させるためのレバー32が提供される。基部2に対する本体3の移動を、例えば垂直方向に可能にするために、本体3は、T字形断面を有するレール31であって、基部2のT字形の受入スロット又はチャネル21内を移動するように配置されるレール31を含む。しかしながら、上で述べたように、針200の移動を可能にしながら本体3と基部2とを係合させるための他の配置も可能である。また、ガスボンベカバー101は、ボンベ100に係合してボンベ100を本体3に対して所定の位置に保持するために、調整器600において本体3に螺合する(ガスボンベカバー101は、この実施形態では、ガスボンベ100を覆うとともに本体3の別の部分に螺合してガスボンベ100を所定の位置に保持するある種のキャップである)。このガスボンベカバー101の配置は、調整器600に螺合するのではなくカバー101によって調整器600に係合して保持されるガスボンベ100の使用を可能にする。
【0019】
この実施形態には、装置1を容器首部上で支持するように配置される1対のクランプアーム41を有するクランプ4も含まれる(しかしながら、以下でより詳細に説明するように、1対のクランプアームではなく単一のクランプアームが提供され得ることを認識すべきである)。図5では、装置1が、クランプアーム41の下方延在部分41cと、この特徴部は必要ではないが、テーブル面などの表面10上のカバー101の下部分とによって支持されて表面10上に直立して示されている。つまり、下方延在部分41cは、装置1を直立位置に支持するように配置されていなくても、クランプ4がより良好に容器首部に係合するのに役立ち得るが、直立している間に装置1を支持するためのこれらの下方延在部分41cは必要ではない。この例示の実施形態では、先端部分41bが通常は付勢されて互いに近接するように、例えばアーム41間に位置決めされたボトル首部をクランプするように、クランプアーム41が基部2に枢動可能に装着される。例えば、図9に示すように、クランプアーム41は、枢動ピン45及びブッシング46を介して基部2に装着される。しかしながら、クランプアーム41は、リンク機構、一体ヒンジ、スライド係合(クランプアームの一部分を基部のチャネル内で移動させることなどによる)などの、他の方法で基部2に対して移動可能に装着されてもよい。また、一方のアームは、他方のアームが移動可能にされる一方で基部に固定されてもよい(しかし、そのような実施形態では、アームは依然として互いに移動可能であると考えられる)。クランプアーム41に付勢力を与える(与える場合)ために、ねじりばね又は他のばね47を使用してもよい。例えば、この実施形態では、ねじりばね47は、ブッシング46を覆うように装着されるとともに、クランプアームが付勢されて先端部分41bを互いに近接させるように基部2とクランプアーム41とを係合させるように配置される。クランプアーム41のこのクランプ力は、装置1を容器700上に支持するのに、又は更には、装置1を把持して操作することによって使用者が容器700を持ち上げて容器700から飲料を注ぐことを可能にするのに十分に強力であってもよい。
【0020】
クランプアーム41はまた、ボトル首部を受け入れるように先端部分41bを互いに離間させるために使用者が把持して互いに移動させる(ばね47の付勢力を克服する)ことができる基端部分41aを含み得る。例えば、この実施形態では、使用者は、先端部分41b間にボトル首部を位置決めするために基端部分41aを共に挟持し、次いで、例えば図10に示すように、クランプアーム41がボトル首部をクランプすることを可能にするために基端部分41aを解放してもよい。しかしながら、他の配置も可能である。例えば、先端部分41bは、付勢力を克服するように使用者が好適な力を、例えば先端部分41bに加えたときに、互いに離間し且つ互いに近接するように付勢されてもよい。別の実施形態において、クランプアーム41は、全くばね付勢される必要がない。クランプアーム41が先端部分41bを離間させるように付勢されるか又は全く付勢されないそのような配置では、クランプアーム41を容器に係合させるために係止機構を使用してもよい。
【0021】
つまり、クランプアーム41がばね付勢されるか否かにかかわらず、互いに対するアームの移動は、係止機構によって何らかの方法で制限されるか又は別様に制御されてもよい。例えば、アーム41は、クランプアーム41の先端部分41bが互いに自由に近接することを可能にするが、爪がまずラチェットから外されない限り先端部分41bが互いに離間するのを防止するラチェット及び爪機構によって互いに固定されてもよい。この配置によって、使用者が爪を解放するまでアーム41が互いに離間せず首部を解放しないことを確実にするラチェット及び爪を用いて使用者がアーム41をボトル首部に固定することが可能となり得る。他の実施形態において、アーム41は、バックル及びストラップ(ストラップが一方のアーム41に固定され且つバックルが他方のアーム41に固定される)、ねじ及びナット(ねじが一方のアーム41に係合し、ナットが他方のアーム41に係合し、ねじ及びナットが互いに螺合してアーム41を互いに固定する)、アーム41の先端部においてアーム41に延在するフックアンドループ型の閉鎖要素、又はアーム41を容器700に係合させるのに適した他の配置などの、別の方法で互いに離間しないように固定されてもよい。係止機構は、アーム41を互いに対して固定する必要はないが、代わりに、少なくともある程度まで相対移動に抗してもよく、且つ係止機構を係合させたときでさえ、例えば互いに離間するアーム41のある程度の移動を可能にしてもよい。
【0022】
本発明の態様によれば、クランプアーム41の一方又は両方は、容器首部からクランプアーム41を係合解除するのを補助できる容器係合特徴部43を含む。この実施形態において、係合特徴部43は、垂直方向に延びるとともに、容器首部に面し且つ容器首部に対して外方及び上方に傾斜する傾斜表面を各々有する。例えば、いくつかの実施形態では、装置1は、垂直軸線を画定する針200を含み、並びに係合表面43は、垂直軸線に対してある角度をなして配置され、且つ垂直軸線に対して上方及び外方に傾斜してもよい。図10で分かるように、係合表面43は、容器首部のリップ701に面してもよく、且つクランプアーム41を容器首部に完全に係合させて針ガイド202又は他のストッパが容器の頂部に接触したときに、リップ701に接触してリップに径方向内向きの力を及ぼしてもよい(又はリップに全く接触しなくてもよい)。クランプアーム41を容器700に対して上方に移動させる上向きの力が基部2に及ぼされた場合に、係合表面43は、リップ701が係合表面43ひいてはクランプアーム41を径方向外方に容器首部から離れる方向に移動させるようにリップ701に接触してもよい。このことは、容器からクランプ4を係合解除して、容器700から装置1を取り外すのに役立ち得る。いくつかの実施形態において、使用者は、コルク又は他の蓋から針202を取り外すために本体3のハンドル33を把持して本体3を上方に引き上げてもよい。基部2及びクランプ4は、針202が引き抜かれるときに最初は容器に対して静止した状態であってもよい。しかしながら、本体3が基部2に対して本体3の最上位置に達した時点で、ハンドル33に及ぶ連続的な上向きの力によって、基部2及びクランプ4が容器700に対して上方に引き上げられる。この時点で、係合表面43は、リップ701又は他の容器部分に係合し、クランプアーム41を外方に付勢して容器首部を係合解除してもよい。
【0023】
係合表面43は、クランプ4のある部分が容器首部からのクランプ4の取り外しを妨げるか又は別様に取り外しに抗し得る実施形態において有用であり得る。例えば、この実施形態では、クランプアーム41は各々、容器首部に接触してクランプ4を容器に固定するのに役立ち得る突条部44を含む。突条部44は、突条部44が容器首部に対して好適に長い接触表面を提供するのに役立つようにボトル首部に直交する方向に(又は針200の長さに直交する方向に)測定された長さを有し得る。例えば、突条部44は、首部がクランプアーム41に対して所望の距離を超えて下方に移動するのを防止するのに役立つように好適に長い表面でボトルリップ701の下側に接触してもよい。突条部44の延在長さは、より大きな強度を突条部44に与え、且つクランプアーム41が多様なボトル首部及びリップの大きさ及び形状に対して動作するのに役立ち得る。加えて、突条部44は、異なるリップ寸法を有する様々な異なる首部との好適な係合をもたらすことを確実にするのに役立つように、例えば、図7に示すように基端方向に径方向長さが増加する、可変の径方向長さを有し得る。当然ながら、突条部44は、必須ではなく、排除されるか、又は形状、位置若しくは大きさが修正されてもよい。
【0024】
上述のように、突条部44は、針ガイド202が容器首部の頂部にあり且つクランプアーム41を容器首部に完全に係合させたときに、場合により、リップ701よりも下に位置決めされてもよい。リップ701よりも下のこの突条部44の位置は、例えば、リップ701よりも下の容器首部の部分に接触することによって、使用中に装置1を安定させるのに役立ち得る。しかしながら、突条部44はまた、リップ701に接触してクランプアーム41の取り外しを防止してもよい。突条部44から容器首部を外すのに役立つように、係合表面43は、突条部44がリップ701から径方向に離れ、クランプアーム41を容器首部に対して上方に持ち上げて容器700から取り外すことができるように、アーム41を径方向外方に移動させてもよい。容器からのクランプ4の取り外しを補助することに加えて、係合表面43は、注出のために装置1を容器700に完全に係合させたときに容器首部に係合して、装置を容器700に固定するのに役立つ径方向内向きの力を容器首部に及ぼしてもよい。代替的に、係合表面43は、注出のために装置1を係合させたときに、リップ701を含む容器首部に接触しなくてもよく、代わりに、クランプ4を容器700に対して上方に移動させる取り外し時にのみ、容器首部、例えばリップ701に接触してもよい。
【0025】
当業者であれば理解するように、異なるボトル又は容器は、異なる首部直径又は長さ、異なるリップ直径又は長さ(本明細書で使用される場合、リップは、ボトルが拡開するか、段差を有するか、又は別様にボトルの大きさが外方に突出する、首部の頂部付近の多くのワインボトルの特徴部である)を有するか、さもなければ、クランプ4が容器700に係合する領域の構成が異なり得る。係合表面43をクランプアーム41の先端部に配置するか、さもなければ、係合表面43を突条部44よりも先端側に位置決めすることによって、係合表面43及び突条部44は、容器首特徴部のより多様な大きさ及び形状に対応し得る。係合表面43を先端箇所で容器首部に接触させ、突条部44を基端箇所でクランプ4に接触させることによって、クランプ4は、クランプアーム41が4箇所(係合表面43及び突条部44の各々に1箇所)で容器首部に接触すればよいので、より多様な首部直径で動作することができる。また、装置1を容器700に固定するために、容器首部の凹凸表面、非円形断面形状を有する首部などを好適に係合させることができる。係合表面43及び突条部44はまた、ボトル首部を中心に配置するか、さもなければ、首部をクランプアーム41に対して適切に位置決めするのに役立ち得る。例えば、クランプアーム41が首部上で閉鎖されるときに、コルク又は他の蓋730の中心を針200によって穿刺できるように係合表面43及び突条部44が首部に接触してもよい。いくつかの実施形態において、係合表面43及び/又は突条部44は、比較的硬い低摩擦表面で容器首部に接触する部分を有し得る。係合表面43と容器首部(リップ701など)との比較的摩擦のない接触を可能にすることによって、クランプ4が容器700に対して上方に持ち上げられるときの容器700からのクランプ4のより容易な取り外しを補助してもよい。
【0026】
本発明の別の態様において、係合表面43は、例えば、クランプアーム41間の基部2に位置するパッド22に向けて首部を移動させるために、首部を基部2に対して基端側に付勢するのに役立ち得る。首部を付勢して基端側に移動させパッド22又は他の構成要素に接触させることによって、クランプアーム41は、首部を針ガイド202及び針200に対して一貫した方法で位置決めするのに役立ち得る。このことは、針200が所望の箇所で蓋730を貫通することを確実にするのに役立ち得る。例えば、針ガイド202及び針200は、首部がパッド22に接触して位置決めされた状態で蓋730の中心からずらされた箇所で蓋730に穿刺するように配置されてもよい。このことは、同じ容器700から飲料を抽出するために装置1を2回以上使用する場合に針200を蓋に同じ箇所で貫通させるのを回避するのに役立ち得る(上述のように、蓋730を取り外さずに飲料を抽出することができ、且つ針の取り外し後に蓋が再密閉できるので、飲料を複数回抽出するために蓋730が数回穿刺され得るが、蓋730の取り外しなしに容器700から飲料を複数回抽出することができる)。代替的に、針200及びガイド202は、首部がパッド22に接触する蓋の中心で蓋を貫通するように構成されてもよく、且つ首部を基端側でパッド22に接触させて位置決めすることによって、蓋730を所望通りに中心で貫通させてもよい。装置が蓋730を中心位置で貫通するように配置される別の配置では、クランプアーム41は各々、蓋730の中心が常に針200による貫通のために位置決めされるように首部に接触する半円形表面又は他の好適に配置された表面を含み得る。
【0027】
パッド22は、この例示の実施形態では、クランプアーム41によって係合されたときに装置1がボトル首部を把持するのに役立つことができる、ゴムなどの、弾性材料のストリップを含む。いくつかの実施形態において、パッド22は、例えば突条部44と同様に、ボトル首部におけるリップ701の下表面に係合できるように、パッド22の下部分付近に突起又は段差(図8及び図9を参照)を含み得る。パッド22は、針の長さに沿った、すなわち、ボトル首部の長さに沿った方向に延びてもよく、且つ任意の好適な長さを有し得る。しかしながら、概して、パッド22は、装置1によって係合させるべき最も短いボトル首部の長さに等しいか又はそれよりも短い長さを有する。クランプアーム41にも同様のことが当てはまる。つまり、クランプアーム41は、若干短い首部を有するボトルをクランプアーム41が受け入れて係合することを可能にする程度まで、針200の長さに沿った方向に、下方に延びる先端部分41bを有し得る。一実施形態において、クランプアーム41の先端部分41bは、本体3が基部2に対して最も低い位置に位置決めされたときの針200の先端部の最も低い位置と少なくとも同程度に又はそれよりも大きく下方に延びてもよい。このように、本体3が基部2に対して最も低い位置にあるときに、針200が表面10に接触するのを防止してもよい。また、針200は、その全移動範囲にわたってクランプアーム41間の空間内に位置決めされるようにクランプアーム41に対して移動可能であってもよい。
【0028】
この実施形態において、装置1は、例えば、本体3が上位置にあるときに基部2に対して移動しないことを確実にするのに役立つように、本体3を基部2に対して上位置に弾性的に保持する戻り止めを含む。例えば、戻り止めは、好適な力が及ぼされて戻り止め保持機能を克服するまで本体3と基部2とを互いに対して静止した状態に保持するために本体3の好適な溝に係合する、基部2に装着されたばね式ボール又は他の要素を含み得る。例えば、本体3のレール31上の溝又は他の特徴部に係合するように配置される基部2に装着されたばね式プランジャを含む戻り止め23を示す図9を参照されたい。戻り止め23は、基部2がクランプ4によって容器700に固定されている間に本体3を基部2に対して上位置に保つのに役立ち得る。このように、針200又は本体3の他の部分は、容器700への装置の装着を妨げない。装置1が好適に係合された状態で、針200を蓋730に挿入するために本体3を下方に移動させてもよい。当業者であれば認識するように、ばね式タブ及びスロット、並びにその他などの、他の戻り止め配置も可能である。その上、戻り止めは、本体3及び基部2を互いに対して1つ又は複数の位置に解放可能に保持するのに必要ではない。例えば、閾値レベルを超える力がない場合に本体及び基部を静止した状態に維持する摩擦力を提供するために、摩擦要素(レール31とチャネル21との間に位置決めされたゴムストリップなど)を含めてもよい。摩擦要素は、特定の本体/基部位置に、又は本体/基部の全移動範囲にわたって摩擦力を提供し得る(一例として、チャネル21の一部を形成する図9に示すガイド24は、チャネル21内でのレール31の移動の際に好適な摩擦を提供するために本体3のレール31に接触する部分を含み得る)。ばね式のピン、ラッチ又は他のロック、レール31に係合して本体/基部の移動などを防止するために締め付けることができる基部2上の蝶ねじなどの、本体3及び基部2を互いに対して1つ又は複数の位置に保持するのに役立つ他の構成も可能である。
【0029】
上述のように、抽出装置1のクランプを係合解除するのに役立つように使用される係合表面は、異なる方法で且つ異なるクランプ配置で配置されてもよい。例えば、図11及び図12は、いくつかのスキー靴に見られるものと同様のバックルの形態の係止機構6を備えたクランプアーム41をクランプ4が含む例示の実施形態を示している。この実施形態において、係止機構6は、クランプアーム41に枢動可能に装着され且つベイル49bを支えるハンドル49aを含む。ベイル49bは、他方のクランプアーム41に形成されたベイル係合スロット49cの1つに選択的に係合するように配置される。よって、係止機構6は、この実施形態では、ベイル係合スロット49cにおけるベイル49bの3つの異なる位置を提供するように配置され、これにより、異なる大きさの容器首部に係合するための3つの異なる調節位置を係止機構が提供することを可能にする。クランプアーム41を首部に係合させるために、ベイル49bは、好適なスロット49cに係合させ、且つハンドル49aは、クランプアーム41を所定の位置に係止するように回転させる。当然ながら、他の係止機構も可能である。したがって、クランプ4は、単一の係止位置、複数の係止位置、連続可変の係止位置、一連の目印又は段付きの係止位置、及び/又は使用者が定めた係止位置を有する係止機構を含み得る。そのようなクランプアームの固定配置は、クランプアーム41の先端部分41bが付勢されて互いに近接するか、互いに離間するか、又は全く付勢されないかにかかわらず使用され得る。
【0030】
この実施形態において、クランプアーム41はまた、容器のリップ701よりも下に位置決めされ得る突条部44を含み、且つ突条部44を下方向に通過するリップ701の移動に抗するのに役立ち得る。しかしながら、係止機構6が係合解除されたとしても、突条部44は、クランプ4を容器700に対して上方に持ち上げることによる容器首部からのクランプ4の取り外しを妨げることがある。係合表面43は、図示のように、クランプアーム41上に、例えば、クランプアーム41の先端部に又はクランプアーム41に沿った1つ又は複数の箇所に設けられ、並びに垂直方向に延びるとともに容器首部の長手方向軸線、垂直軸線及び/又は針200の長手方向軸線に対して上方及び外方に傾斜するように配置されてもよい。この構成では、クランプ4を容器首部に対して上方に移動させたときに、係合表面43は、クランプを容器から取り外すことができるように、突条部44を通過するように容器首部のリップ701を案内するのに役立つように移動してもよい。係合表面43は、突条部44を通過する容器のリップ701にフィットするのに十分な空間があれば、係止機構6を係合させたとしても、そのように動作してもよい。いくつかの実施形態において、係合表面43は、剛性であってもよく、及び係止機構6を係合させたときに容器700に接触してもよい。他の配置において、係合表面43は、例えば、弾性材料(エラストマー若しくはばね金属など)の一部として表面43を作製することによって、又は特定の閾値を超える表面43に加わる力に伴って移動するように表面43を配置することによって(上端部においてクランプアーム41に枢動可能に装着される剛性材料の表面43を作製することなどによって、弾性であってもよい。ばね又は他の要素は、クランプ4の取り外しに役立つように容器首部への好適な力をもたらすために、外方に枢動するように表面43を付勢してもよいが、クランプを首部に係合させたときに後退する。)このように、係合表面43は、係止機構6を密着係合させたときにクランプアーム41が容器首部に確実に係合することを可能にするように後退するか又は別様に移動するが、係止機構6が係合解除された状態では、開位置に向かって移動するようにクランプアームへの好適な案内力、付勢力をもたらすように元の状態に戻るか又は別様にクランプ4の取り外しを補助してもよい。
【0031】
抽出装置1で針を用いる場合に、外側が平滑な壁で囲まれた、16ゲージ以上のペンシルポイント又はヒューバーポイントを有する針が、飲料抽出中のガス又は流体の流入又は流出を防止するためにコルクで効果的に密閉しながらワインボトルのコルク又は他の蓋を貫通するのに有効であることが分かっている。その上、そのような針は、針の引き抜き後にコルクが再密閉することを可能にし、(不活性の又は別様に好適に非反応性若しくは低反応性のガスが注出中に容器に注入された場合などに)容器及び残りの飲料が数カ月間又は数年間にわたって飲料の風味の異常な変化なしに保存されることを可能にする。複数の針ゲージが機能する可能性があるが、好ましい針ゲージは、16~22ゲージの範囲であり、いくつかの実施形態での最適な針ゲージは17~20ゲージである。これらの針ゲージは、挿入と抜き取りの繰り返し後でもコルクに許容できるほど低レベルの損傷しか与えない一方で容器内部の最小圧力で最適な流体流れを提供し得る。更に、そのような針は、一般的にワインボトル及び他の容器に見られる箔カバー又は他の包装を貫通するために使用してもよい。したがって、針は、蓋だけでなく箔カバー又は他の要素を貫通してもよく、飲料抽出の前に箔又は他の包装を取り外す必要性を排除する。他の外形及びゲージの針もそのシステムで使用できるか、又は針が全く使用されない。例えば、抽出又は注出装置1は、コルク又は他の蓋が取り外された後に容器内に位置決めされる先の尖っていない導管を含み得る。導管は、導管が挿通され且つ開口部において容器に(例えば、容器開口部においてボトルのコルクが密閉係合する方法と同様の方法で)密閉係合する再使用可能なストッパと共に使用されてもよい。他の配置において、導管は、容器に係合させることができる、ねじ込み式キャップなどの、キャップの一部であってもよい。また、針が使用される場合に、針は、取り外し後にコルクによる再密閉を可能にするように配置される必要はない。代わりに、針は、コルクの再密閉を可能にするには大きすぎる開口部をコルクに形成し得る。
【0032】
上記の実施形態では、使用者が、容器蓋に対する針の挿入/取り外しを行うために本体3を基部2に対して直線的に移動させるが、針を蓋に対して移動させるために手動又は電動駆動機構を使用してもよい。例えば、レール31は、歯付きラックを含み得、その一方で、基部2は、ラックに係合して、本体3を基部2に対して移動させる役割を果たす電動ピニオンギヤを含み得る。ピニオンは、使用者が操作するハンドル、モータ、又は他の好適な配置によって動力供給されてもよい。別の実施形態において、針は、例えば、ガスボンベ100又は他の供給源からの圧力によって動力供給される、空圧又は油圧ピストン/シリンダによって移動させてもよい。また、本体3及び/又は針200は、基部2及びクランプ4に対して移動可能である必要はない。代わりに、本体3及び/又は針200は、クランプに対して固定されてもよい。例えば、針は、コルクに、次いで、容器首部と係合させたクランプ4に挿通されてもよい。
【0033】
種々の実施形態で適切に機能するように複数の針の長さを適合させることができるが、約1.5インチの最小針長さが標準的なワインボトルのコルクを貫通するのに必要であることが分かっている。9インチの長さの針を用いることができるが、いくつかの実施形態での最適な長さの範囲は2~2.6インチであることが分かっている(針長さは、蓋を貫通するように及び/又は蓋を通って移動する際の案内のための針ガイドに接触するように動作可能である針の長さである)。針は、任意の標準的な継手(例えば、NPT、RPT、Leur、迅速接続、若しくは標準ねじ)を介して弁に直接流体的に接続されてもよく、又は代替的に可撓管若しくは剛性管などの介在要素を介して弁に接続されてもよい。2つ以上の針が使用される場合、針の長さは、同じでも異なってもよく、且つ0.25インチ~10インチまで様々であり得る。針の入口/出口間に距離を設けることによって、気泡の形成を防止することができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、容器から飲料を抽出するために、好適なガス圧が容器内に導入される。例えば、いくつかのワインボトルでは、約15~30psiの圧力で十分に機能することが分かっているが、コルクにおける漏れの又はコルクが抜ける危険性なしに約40~50psiの最大圧力がボトル内に導入され得ることが分かっている。これらの圧力は、コルクの外れ又はコルクを通る液体若しくはガスの通過を生じさせることなく、ボトル開口部におけるボトルに対するコルクの最も弱い密閉でも十分に耐えることができ、且つ比較的素早い飲料抽出をもたらす。いくつかの実施形態でのワイン抽出中の容器内の下限圧力は、約0~20psiであることが分かっている。つまり、ボトルからの飲料の好適に素早い抽出をもたらすためにボトル内に約0~20psiの圧力が必要であることが分かっている。単一の17~20ゲージの針を使用する一例では、ワインボトル内の初期圧力を確立するために30psiの圧力を使用し、内部圧力が約15~20psiに低下したにもかかわらず、迅速なワイン抽出がなされた。
【0035】
加圧ガス源は、様々な非反応性ガスのいずれかで満たされた様々な調整済み又は未調整加圧ガス容器のいずれかとすることができる。好ましい実施形態において、ガスボンベは、初期圧力が約2000~3000psiのガスを含む。この圧力は、数本のワインボトルの内容物の完全な抽出のために単一の比較的小さな加圧ガスボンベ(例えば、長さ約3インチ及び直径0.75インチ)の使用を可能にすることが分かっている。複数のガスが、長い保存期間にわたって成功裏に試験されたが、好ましくは、使用するガスは、ワインなどの、容器内の飲料と反応せず、飲料の酸化又は他の損傷から保護するのに役立つことができる。好適なガスは、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、及びその他を含む。ガスの混合物も可能である。例えば、アルゴンと別のより軽いガスとの混合物は、ワイン又は他の飲料をアルゴンで覆う一方で、より軽いガスがボトル内の容積を占めることができ、おそらくガスの全体的コストを低減することができる。
【0036】
上記の実施形態では、容器内にガスを導入して容器から飲料を抽出するために、単一の管腔を備えた単一の針が使用される。しかしながら、他の実施形態では、2つ以上の針、例えば、ガス供給用の1つの針と、飲料抽出用の1つの針が使用されてもよい。そのような実施形態において、弁300は、容器へのガスの流れを開放すると同時に容器からの飲料の流れを開放するように動作してもよい。針は、同じ若しくは異なる直径、又は0.25~10インチまで様々である同じ若しくは異なる長さを有し得る。例えば、ガスを供給する1つの針は、ボトルからワインを抽出する別の針よりも長いものとすることができる。代替的に、ガスが一方の管腔内を進み且つ飲料が他方の管腔内を進む2管腔の針を用いてもよい。各管腔は、別個の入口及び出口を有することができ、且つガスの循環を防止するために、出口をボトル内に互いに間隔をあけて配置することができる。
【0037】
例示の実施形態を参照しながら本発明の態様を図示し説明してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の種々の変更が本明細書においてなされ得ることが理解されるであろう。
図1
図2
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図10
図11
図12