(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】四重金属層を有する太陽光制御コーティング
(51)【国際特許分類】
C03C 17/36 20060101AFI20221107BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20221107BHJP
C01G 19/00 20060101ALI20221107BHJP
C01G 9/02 20060101ALI20221107BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
C03C17/36
B32B9/00 A
C01G19/00 A
C01G9/02 A
G02B5/28
(21)【出願番号】P 2020542328
(86)(22)【出願日】2019-02-04
(86)【国際出願番号】 US2019016524
(87)【国際公開番号】W WO2019152933
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-06-15
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518301590
【氏名又は名称】ビトロ フラット グラス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】メドウィック、ポール、エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ポルシン、アダム、ディー.
【審査官】須藤 英輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/126758(WO,A1)
【文献】特表2013-523494(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0272453(US,A1)
【文献】特表2012-524707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 15/00-23/00
C03C 27/00-29/00
B32B 1/00-43/00
G02B 5/20-5/28
C01G 1/00-23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の少なくとも一部を覆う300Å~525Åの範囲の厚さを有する第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層の少なくとも一部を覆う60Å~150Åの範囲の厚さを有する第1の金属層と、
前記第1の金属層の少なくとも一部を覆う15Å~45Åの範囲の厚さを有する第1のプライマー層と、
前記第1のプライマー層の少なくとも一部を覆う400Å~1000Åの範囲の厚さを有する第2の誘電体層と、
前記第2の誘電体層の少なくとも一部を覆う70Å~250Åの範囲の厚さを有する第2の金属層と、
前記第2の金属層の少なくとも一部を覆う15Å~45Åの範囲の厚さを有する第2のプライマー層と、
前記第2のプライマー層の少なくとも一部を覆う100Å~600Åの範囲の厚さを有する第3の誘電体層と、
前記第3の誘電体層の少なくとも一部を覆う10Å~25Åの範囲の厚さを有する第3の金属層と、
前記第3の金属層の少なくとも一部を覆う15Å~45Åの範囲の厚さを有する第3のプライマー層と、
前記第3のプライマー層の少なくとも一部を覆う250Å~700Åの範囲の厚さを有する第4の誘電体層と、
前記第4の誘電体層の少なくとも一部を覆う60Å~275Åの範囲の厚さを有する第4の金属層と、
前記第4の金属層の少なくとも一部を覆う15Å~45Åの範囲の厚さを有する第4のプライマー層と、
前記第4のプライマー層の少なくとも一部を覆う175Å~450Åの範囲の厚さを有する第5の誘電体層と、
前記第5の誘電体層の少なくとも一部を覆う30Å~60Åの範囲の厚さを有するオーバーコートと、
を含む、反射及び/又は透過において色味付けされた(tinted)外観を有するコーティングされた物品であって、
前記第3の金属層が不連続層であ
り、
前記コーティングされた物品が0.170~0.200のSHGCを有する、
前記コーティングされた物品。
【請求項2】
前記第1のプライマー層、前記第2のプライマー層、前記第3のプライマー層及び/又は前記第4のプライマー層が、チタン、ケイ素-アルミニウム合金、ニッケル合金、ニッケルとクロムとを含有する合金、コバルト合金、コバルトとクロムとを含有する合金、銅、アルミニウム、ケイ素、ニッケル-クロム合金、ジルコニウム、それらの混合物及びそれらの合金から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記不連続層が銀又は銅を含む、請求項1
又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記第2の誘電体層又は前記第3の誘電体層が、酸化亜鉛層と、前記酸化亜鉛層を覆うスズ酸亜鉛層とを含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記第3の金属層が、20Å未満の厚さを有する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記物品が、1つの不連続層のみを含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
30~45のLTA
、及び1.50~2.5
0のLSGを有する、請求項1に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年2月5日に出願された米国仮特許出願第62/626,332号明細書の優先権を主張し、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
本発明は、一般に、4つの金属層を有する太陽光制御コーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光制御コーティングは、建築用及び車両用の透明材の分野で知られている。これらの太陽光制御コーティングは、車両又は建物に入る太陽エネルギーの量を減少させるために、例えば、太陽赤外線放射又は太陽紫外線放射の範囲では、選択された範囲の電磁放射を遮断又はフィルタリングする。この太陽エネルギー透過率の低下は、車両又は建物の冷却ユニットに対する負荷を軽減するのに役立つ。
【発明の概要】
【0003】
本発明のコーティングは、基材の少なくとも一部を覆うコーティングを含む。コーティングは、少なくとも3つの連続金属層と、少なくとも1つの不連続金属層とを含む。不連続金属層は、コーティングの可視光吸収を増加させ、適切な厚さの誘電体層と組み合わせて、コーティングされた物品に非対称反射率をもたらすこともできる。
本発明のコーティングは、基材の少なくとも一部を覆うコーティングを含む。コーティングは、少なくとも5つの誘電体層と交互になっている少なくとも4つの金属層を含み、金属層のうちの少なくとも1つは、不連続な金属領域を有する不連続金属層を含む。
【0004】
本発明のコーティングされた物品は、基材と、基材の少なくとも一部の上に形成されたコーティングとを含む。コーティングは、基材の少なくとも一部の上に形成された第1の誘電体層と、第1の誘電体層の少なくとも一部の上に形成された第1の金属層と、第1の金属層の少なくとも一部の上に形成された第2の誘電体層と、第2の誘電体層の少なくとも一部の上に形成された第2の金属層と、第2の金属層の少なくとも一部の上に形成された第3の誘電体層と、第3の誘電体層の少なくとも一部の上に形成された第3の金属層と、第3の金属層の少なくとも一部の上に形成された第4の誘電体層と、第4の誘電体層の少なくとも一部の上に形成された第4の金属層と、第4の金属層の少なくとも一部の上に形成された第5の誘電体層と、第3の金属層の少なくとも一部の上に形成された任意の保護層とを含む。金属層のうちの少なくとも1つは不連続層である。例えば、第2の金属層又は第3の金属層は、不連続層であり得る。
【0005】
追加のコーティングされた物品は、基材と、基材の少なくとも一部を覆うコーティングスタックとを含む。コーティングは、基材の少なくとも一部の上に形成された第1の誘電体層を含む。第1の誘電体層は、第1の膜と、第1の膜を覆う第2の膜とを含む。第1の金属層は、第1の誘電体層の上に配置される。任意の第1のプライマー層は、第1の金属層の上に配置される。第2の誘電体層は、任意の第1のプライマー層、又は第1の金属層の上に配置される。第2の誘電体層は、第1の膜と、第1の膜を覆う第2の膜とを含む。場合により、第3の膜が第2の膜の上に配置される。第2の金属層は、第2の誘電体層の上に配置される。第3の誘電体層は、第2の金属層の上に配置される。第3の誘電体層は、第1の膜と、第1の膜を覆う第2の膜とを含む。場合により、第2の膜の上に(第3の誘電体層の)第3の膜を配置することができる。第3の金属層は、第3の誘電体層の上に配置される。第1の膜と第1の膜を覆う第2の膜とを含む第4の誘電体層は、第3の金属層の上に配置される。場合により、第2の膜の上に(第4の誘電体層の)第3の膜を配置することができる。第4の金属層は、第4の誘電体層の上に配置される。任意の第4のプライマー層は、第4の金属層の上に配置される。第1の膜と第1の膜の上に配置された第2の膜とを含む第5の誘電体層は、第4の金属層の上に配置される。金属層のうちの少なくとも1つは、不連続な金属領域を有する不連続層である。例えば、第2の金属層又は第3の金属層は、不連続な金属領域を有する不連続層である。
【0006】
コーティングされた物品を作製する方法であり、基材を提供することを含む。第1の誘電体層は、基材の少なくとも一部の上に適用される。第1の金属層は、第1の誘電体層の少なくとも一部の上に適用される。任意の第1のプライマー層は、第1の金属層の少なくとも一部の上に適用される。第2の誘電体層は、任意の第1のプライマー層、又は第1の金属層の少なくとも一部の上に適用される。第2の金属層は、第2の誘電体層の少なくとも一部の上に適用される。第3の誘電体層は、任意の第2のプライマー層、又は第2の金属層の少なくとも一部の上に適用される。第3の金属層は、第3の誘電体層の少なくとも一部の上に適用される。第4の誘電体層は、任意の第3のプライマー層、又は第3の金属層の少なくとも一部の上に適用される。第4の金属層は、第4の誘電体層の少なくとも一部の上に適用される。第5の誘電体層は、任意の第4のプライマー層、又は第4の金属層の少なくとも一部の上に適用される。金属層のうちの少なくとも1つは、不連続な金属領域を有する不連続層である。例えば、第2の金属層又は第3の金属層は、不連続な金属領域を有する亜臨界金属層(subcritical metallic layer)である。不連続層のすぐ上の任意のプライマーが存在しなくてもよい。
【0007】
本発明の別の実施形態は、建築用透明材である。透明材は、1番表面と2番表面とを有する第1のプライ、及び3番表面と4番表面とを有する第2のプライを有する。本明細書に記載されるように、コーティングは、2番表面又は3番表面の少なくとも一部の上に配置される。
【0008】
本発明の別の実施形態は、建築用透明材を作製する方法である。方法は、1番表面と2番表面とを有する第1のプライ、及び3番表面と4番表面とを有する第2のプライを提供することを含む。第1のプライの2番表面又は第2のプライの3番表面のいずれかは、本明細書に記載されるコーティングを有する。第1のプライ及び第2のプライは、2番表面が3番表面に面し、2番表面と3番表面との間に間隔があるように組み立てられる。間隔にはガスが充填される。
【0009】
本発明は、以下の図面を参照して説明され、同様の参照番号は全体を通して同様の部分を識別する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のコーティングを有する断熱ガラスユニット(IGU)の側面図(縮尺通りではない)である。
【0011】
【
図2】プライマー層を有する亜臨界金属層の側面断面図(縮尺通りではない)である。
【0012】
【
図3】本発明の追加のコーティングの側面断面図(縮尺通りではない)である。
【0013】
【
図4】本発明のコーティングの断面図(縮尺通りではない)である。
【0014】
【
図5】本発明のコーティングの断面図(縮尺通りではない)である。
【0015】
【
図6】本発明のコーティングの断面図(縮尺通りではない)である。
【0016】
【
図7】本発明のコーティングの断面図(縮尺通りではない)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で使用される場合、「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上」、「下」などのような空間的又は方向的な用語は、それが図面に示されるように本発明に関連する。ただし、本発明は様々な代替の向きを想定することができ、したがって、そのような用語は限定的であると考えられるべきではないことを理解されたい。さらに、本明細書で使用される場合、明細書及び特許請求の範囲で使用される、寸法、物理的特性、処理パラメータ、成分の量、反応条件などを表すすべての数字は、いずれの場合も用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。したがって、反対のことが示されていない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲に記載される数値は、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値は、報告された有効数字の数に照らして、通常の丸め技術を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、範囲の開始値及び終了値、並びにそこに包まれるありとあらゆる部分範囲を包含するものと理解されるべきである。例えば、「1~10」の記述された範囲は、最小値1と最大値10との間の(かつそれらを含む)ありとあらゆる部分範囲、すなわち、最小値1以上で始まり、最大値10以下で終わるすべての部分範囲、例えば、1~3.3、4.7~7.5、5.5~10などを含むと考えられるべきである。さらに、本明細書で使用される場合、用語「の上に形成された」、「の上に堆積された」又は「の上に提供された」は、表面上に形成、堆積又は提供されるが、必ずしも表面と接触していないことを意味する。例えば、基材「の上に形成された」コーティング層は、形成されたコーティング層と基材との間に位置する同じ又は異なる組成の1つ以上の他のコーティング層又は膜の存在を排除しない。用語「可視領域」又は「可視光」は、380nm~800nmの範囲の波長を有する電磁放射を指す。用語「赤外線領域」又は「赤外線放射」は、800nm超~100,000nmの範囲の波長を有する電磁放射を指す。用語「紫外線領域」又は「紫外線放射」は、300nm~380nm未満の範囲の波長を有する電磁エネルギーを意味する。さらに、限定するものではないが、発行された特許及び特許出願など、本明細書で言及されるすべての文書は、その全体が「参照によって組み込まれる」と考えられるべきである。本明細書で使用される場合、用語「膜」は、所望の又は選択されたコーティング組成のコーティング領域を指す。「層」は、1つ以上の「膜」を含むことができ、「コーティング」又は「コーティングスタック」は1つ以上の「層」を含むことができる。用語「非対称反射率」は、片側からのコーティングの可視光反射率が、反対側からのコーティングの可視光反射率とは異なることを意味する。用語「臨界厚さ」は、その上でコーティング材料が連続した途切れのない層を形成し、その下でコーティング材料が連続層ではなくコーティング材料の不連続領域又は島を形成する厚さを意味する。用語「亜臨界厚さ(subcritical thickness)」は、コーティング材料がコーティング材料の孤立した非接続領域を形成するような、臨界厚さ未満の厚さを意味する。用語「島状」は、コーティング材料が連続層ではなく、むしろ材料が堆積されて孤立した領域又は島を形成することを意味する。
【0018】
以下の説明を進めるために、本発明は、限定するものではないが、断熱ガラスユニット(IGU)などの建築用透明材とともに使用することに関して説明される。本明細書で使用される場合、用語「建築用透明材」は、限定するものではないが、窓及び天窓など、建物に配置される任意の透明材を指す。ただし、本発明は、そのような建築用透明材とともに使用することに限定されず、限定するものではないが、積層又は非積層の住宅用及び/又は商業用窓、断熱ガラスユニット、及び/又は陸、空、宇宙、水上及び水中車両用の透明材などの任意の所望の分野で透明材を用いて実施され得ることを理解されたい。したがって、具体的に開示される例示的な実施形態は、単に本発明の一般的な概念を説明するために提示され、本発明は、これらの特定の例示的な実施形態に限定されないことを理解されたい。さらに、典型的な「透明材」は、透明材を通して材料を見ることができるように十分な可視光透過率を有することができるが、本発明の実施では、「透明材」は可視光に対して透明である必要はなく、半透明又は不透明であってよい。
【0019】
本発明の特徴を組み込んだ非限定的な透明材10が
図1に示されている。透明材10は、任意の所望の可視光、赤外線放射又は紫外線放射の透過率及び/又は反射を有することができる。例えば、透明材10は、任意の所望の量、例えば、0%を超えて100%までの可視光透過率を有することができる。
【0020】
図1の例示的な透明材10は、従来の断熱ガラスユニットの形態であり、第1の主面14(1番表面)及び対向する第2の主面16(2番表面)を有する第1のプライ12を含む。図示された非限定的な実施形態では、第1の主面14は建物の外部に面し、すなわち、外側主面であり、第2の主面16は建物の内部に面している。透明材10はまた、外側(第1)主面20(3番表面)及び内側(第2)主面22(4番表面)を有し、第1のプライ12から離隔した第2のプライ18を含む。プライ表面のこの番号付けは、開窓技術における従来例と一致している。第1及び第2のプライ12、18は、従来のスペーサ枠24に接着剤で接着されることによるなど、任意の好適な方法で互いに接続され得る。2つのプライ12、18の間に間隙又はチャンバ26が形成される。チャンバ26には、空気などの選択された雰囲気、又はアルゴン若しくはクリプトンガスなどの非反応性ガスを充填することができる。太陽光制御コーティング30(又は以下で説明する他のコーティングのいずれか)は、プライ12、18のうちの1つの少なくとも一部の上に、例えば、限定するものではないが、2番表面16の少なくとも一部又は3番表面20の少なくとも一部の上に形成される。あるいは、所望であれば、1番表面又は4番表面にコーティングを施すこともできる。断熱ガラスユニットの例は、例えば、米国特許第4,193,236号明細書、米国特許第4,464,874号明細書、米国特許第5,088,258号明細書及び米国特許第5,106,663号明細書に見出される。
【0021】
本発明の広範囲な実施では、透明材10のプライ12、18は、同じ又は異なる材料とすることができる。プライ12、18は、任意の所望の特性を有する任意の所望の材料を含むことができる。例えば、プライ12、18のうちの1つ以上は、可視光に対して透明又は半透明であり得る。「透明」とは、0%を超えて100%までの可視光透過率を有することを意味する。あるいは、プライ12、18のうちの1つ以上は半透明であり得る。「半透明」とは、電磁エネルギー(例えば、可視光)を通過させるが、このエネルギーを拡散させて、観察者の反対側の物体がはっきりと見えないことを意味する。好適な材料の例には、限定するものではないが、プラスチック基材(例えば、ポリアクリラートなどのアクリルポリマー;ポリメチルメタクリラート、ポリエチルメタクリラート、ポリプロピルメタクリラートなどのようなポリアルキルメタクリラート;ポリウレタン;ポリカーボナート;ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラートなどのようなポリアルキルテレフタラート;ポリシロキサン含有ポリマー;又はこれらを調製するための任意のモノマーのコポリマー、若しくはそれらの任意の混合物)、セラミック基材、ガラス基材、又は上記のいずれかの混合物若しくは組合せが挙げられる。例えば、プライ12、18のうちの1つ以上は、従来のソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス又は鉛入りガラスを含むことができる。ガラスは透明ガラスでもよい。「透明ガラス」(“clear glass”)とは、色味付けされていない(non-tinted)、又は着色されていない(non-colored)ガラスを意味する。あるいは、ガラスは、色味付けされているか、そうでなければ着色されたガラスであり得る。ガラスは、アニールガラス又は熱処理ガラスであり得る。本明細書で使用される場合、用語「熱処理」は、焼戻し又は少なくとも部分的な焼戻しを意味する。ガラスは、従来のフロートガラスなどの任意のタイプとすることができ、任意の光学特性、例えば、任意の値の可視透過率、紫外線透過率、赤外線透過率及び/又は全太陽エネルギー透過率を有する任意の組成とすることができる。「フロートガラス」とは、溶融ガラスが溶融金属浴上に堆積され、制御可能に冷却されてフロートガラスリボンを形成する従来のフロートプロセスによって形成されたガラスを意味する。フロートガラスプロセスの例は、米国特許第4,466,562号明細書及び米国特許第4,671,155号明細書に開示されている。
【0022】
第1及び第2のプライ12、18はそれぞれ、例えば、透明フロートガラス(clear float glass)であり得るか、色味付けされた(tinted)、若しくは着色された(colored)ガラスであり得るか、一方のプライ12、18は透明ガラスであり得、他方のプライ12、18は着色されたガラスであり得る。本発明を限定するものではないが、第1のプライ12及び/又は第2のプライ18に適したガラスの例は、米国特許第4,746,347号明細書、米国特許第4,792,536号明細書、米国特許第5,030,593号明細書、米国特許第5,030,594号明細書、米国特許第5,240,886号明細書、米国特許第5,385,872号明細書及び米国特許第5,393,593号明細書に記載されている。第1及び第2のプライ12、18は、長さ、幅、形状又は厚さなど、任意の所望の寸法とすることができる。1つの例示的な自動車用透明材では、第1及び第2のプライはそれぞれ、1mm~10mmの厚さ、例えば1mm~8mmの厚さ、例えば2mm~8mm、例えば3mm~7mm、例えば5mm~7mm、例えば6mmの厚さであり得る。
【0023】
本発明の太陽光制御コーティング30は、ガラスプライ12、18のうちの1つの少なくとも1つの主面の少なくとも一部の上に堆積される。
図1に示す例では、コーティング30は、外側ガラスプライ12の内面16の少なくとも一部の上に形成される。本明細書で使用される場合、用語「太陽光制御コーティング」は、例えば、限定するものではないが、コーティングされた物品から反射されるか、それによって吸収されるか、それを通過する太陽放射、例えば、可視光線放射、赤外線放射又は紫外線放射の量;シェーディング係数;放射率など、コーティングされた物品の太陽光特性に影響を与える1つ以上の層又は膜から構成されるコーティングを指す。太陽光制御コーティング30は、限定するものではないが、IR、UV及び/又は可視スペクトルなどの太陽光スペクトルの選択された部分を遮断、吸収又はフィルタリングすることができる。
【0024】
太陽光制御コーティング30は、限定するものではないが、従来の化学気相蒸着(CVD)法及び/又は物理蒸着(PVD)法などの任意の従来の方法によって堆積させることができる。CVDプロセスの例には、噴霧熱分解が挙げられる。PVDプロセスの例には、電子ビーム蒸着及び真空スパッタリング(マグネトロンスパッタ蒸着(magnetron sputter vapor deposition)(MSVD)など)が挙げられる。限定するものではないが、ゾルゲル堆積などの他のコーティング方法も使用することができる。非限定的な一実施形態では、コーティング30は、MSVDによって堆積させることができる。MSVDコーティング装置及び方法の例は、当業者によってよく理解されており、例えば、米国特許第4,379,040号明細書、米国特許第4,861,669号明細書、米国特許第4,898,789号明細書、米国特許第4,898,790号明細書、米国特許第4,900,633号明細書、米国特許第4,920,006号明細書、米国特許第4,938,857号明細書、米国特許第5,328,768号明細書及び米国特許5,492,750号明細書に記載されている。
【0025】
本発明の例示的な非限定的な太陽光制御コーティング30が
図4に示されている。この例示的なコーティング30は、基材の主面の少なくとも一部(例えば、第1のプライ12の2番表面416)の上に堆積されたベース層又は第1の誘電体層440を含む。第1の誘電体層440は、単層であり得るか、限定するものではないが、金属酸化物、金属合金の酸化物、窒化物、酸窒化物又はそれらの混合物などの反射防止材料及び/又は誘電体材料の複数の膜を含み得る。第1の誘電体層440は、可視光に対して透明であり得る。第1の誘電体層440又はその中の任意の膜に適した金属酸化物又は金属窒化物の例には、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、アルミニウム、ケイ素及びそれらの混合物の酸化物、窒化物又は酸窒化物が挙げられる。金属酸化物は、例えば、酸化ビスマス中のマンガン、酸化インジウム中のスズなど、少量の他の材料を有することができる。さらに、金属合金又は金属混合物の酸化物、例えば、亜鉛及びスズを含有する酸化物(例えば、以下に定義されるスズ酸亜鉛)、インジウム-スズ合金、窒化ケイ素、窒化アルミニウムケイ素(silicon aluminum nitride)又は窒化アルミニウムの酸化物を使用することができる。さらに、ドープされた金属酸化物、例えば、アンチモン若しくはインジウムでドープされた酸化スズ又はニッケル若しくはホウ素でドープされた酸化ケイ素を使用することができる。第1の誘電体層440は、金属合金酸化物膜、例えば、スズ酸亜鉛などの実質的に単相の膜であり得るか、酸化亜鉛及び酸化スズから構成される相の混合物であり得るか、複数の膜から構成され得る。
【0026】
図5に示すように、第1の誘電体層440は、基材の少なくとも一部(第1のプライ12の内部主面16など)の上に堆積された第1の膜442、例えば金属合金酸化物膜と、第1の膜442の上に堆積された第2の膜444、例えば金属酸化物又は混合酸化物の膜とを有する多重膜構造を含むことができる。非限定的な一実施形態では、第1の膜442は、亜鉛/スズ合金酸化物であり得る。「亜鉛/スズ合金酸化物」とは、真の合金、及び酸化物の混合物の両方を意味する。亜鉛/スズ合金酸化物は、亜鉛及びスズのカソードからのマグネトロンスパッタリング真空蒸着から得られるものであり得る。非限定的なカソードの1つは、5重量%~95重量%の亜鉛及び95重量%~5重量%のスズ、例えば、10重量%~90重量%の亜鉛及び90重量%~10重量%のスズの割合で亜鉛とスズとを含むことができる。ただし、亜鉛とスズとの他の比も使用することができる。第1の膜442に存在することができる1つの好適な金属合金酸化物は、スズ酸亜鉛である。「スズ酸亜鉛」とは、Zn
XSn
1-XO
2-X(式1)の組成を意味し、式中、「x」は0超から1未満の範囲で変化する。例えば、「x」は0超であり得、0超から1未満の任意の分数又は小数であり得る。例えば、x=2/3の場合、式1はZn
2/3Sn
1/3O
4/3であり、これは、さらに一般的には「Zn
2SnO
4」と記載される。スズ酸亜鉛含有膜は、膜中の主要な量で式1の形態のうちの1つ以上を有する。
【0027】
第2の膜444は、酸化亜鉛などの金属酸化物膜であり得る。酸化亜鉛は、カソードのスパッタリング特性を改善するために他の材料を含む亜鉛カソードから堆積させることができる。例えば、亜鉛カソードは、スパッタリングを改善するために、少量(例えば、最大20重量%、最大15重量%、最大10重量%又は最大5重量%)のスズを含むことができる。その場合、得られる酸化亜鉛膜は、小さな割合の酸化スズ、例えば最大10重量%の酸化スズ、例えば最大5重量%の酸化スズを含む。(カソードの導電率を高めるために加えられた)最大10重量%のスズを有する亜鉛カソードから堆積されたコーティング層は、少量のスズが存在し得る場合であっても、本明細書では「酸化亜鉛膜」と呼ばれる。カソード中の少量のスズ(例えば、5重量%以下などの10重量%以下)は、主に酸化亜鉛の第2の膜44中に酸化スズを形成すると考えられている。
【0028】
第1の金属層446は、第1の誘電体層440の上に堆積させることができる。第1の金属層446は、限定するものではないが、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀又はそれらの混合物、合金若しくは組合せなどの反射金属を含むことができる。一実施形態では、反射金属は銀又は銅である。別の実施形態では、第1の金属層446は銀及び銅を含有する。第1の金属層446は、連続層であり得る。あるいは、第1の金属層446は、不連続層であり得る。第1の金属層446は、250Å未満、好ましくは200Å未満、さらに好ましくは125Å未満、最も好ましくは100Å未満及び/又は50Å超、好ましくは60Å超、さらに好ましくは65Å超、最も好ましくは70Å超の厚さを有することができる。一実施形態では、第1の金属層446は、78Å~121Åの厚さを有する。別の実施形態では、第1の金属層446は、70Å~99Åの厚さを有する。
【0029】
任意の第1のプライマー層448は、第1の金属層446の上に配置することができる。任意の第1のプライマー層448は、単一の膜又は複数の膜層であり得る。任意の第1のプライマー層448は、堆積プロセス中に犠牲にして、スパッタリングプロセス又はその後の加熱プロセス中に第1の金属層446の劣化又は酸化を防止することができる酸素捕捉材料を含むことができる。任意の第1のプライマー層448はまた、コーティング30を通過する可視光などの電磁放射の少なくとも一部を吸収することができる。任意の第1のプライマー層448に有用な材料の例には、チタン、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、ニッケル-クロム合金(Inconelなど)、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素とアルミニウムとの合金、コバルトとクロムとを含有する合金(例えば、Stellite(登録商標))及びそれらの混合物が挙げられる。例えば、任意の第1のプライマー層448は、チタン、又はチタンとアルミニウムとの合金若しくは混合物であり得る。
【0030】
第2の誘電体層450は、第1の金属層446の上又は任意の第1のプライマー層448の上に配置される。第2の誘電体層450は、第1の誘電体層440に関して上述したものなどの1つ以上の金属酸化物含有膜又は金属合金酸化物含有膜を含むことができる。例えば、
図5を参照すると、第2の誘電体層450は、第1の膜452、例えば、第1の金属層446又は任意の第1のプライマー膜448の上に堆積された酸化亜鉛膜と、第2の膜454、例えば、第1の膜452の上に堆積されたスズ酸亜鉛(Zn
2SnO
4)膜とを含むことができる。任意の第3の膜456、例えば、第2の酸化亜鉛膜は、第2の膜の上に堆積させることができる。
【0031】
第2の金属層458は、第2の誘電体層450の上に(例えば、存在する場合は第2の酸化亜鉛膜456の上に、又は存在しない場合はスズ酸亜鉛膜454の上に)配置される。金属材料は、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀又はそれらの混合物、合金若しくは組合せであり得る。金属材料は、連続層として、又は材料の連続層ではなく、材料の孤立した領域又は島が形成されるように不連続層として適用することができる。第2の金属層458は、第1の金属層446よりも厚い厚さを有することができる。第2の金属層458は、少なくとも70Å、好ましくは少なくとも100Å、さらに好ましくは少なくとも125Å、最も好ましくは少なくとも128Å及び/又は最大250Å、好ましくは最大225Å、さらに好ましくは最大200Å、最も好ましくは最大191Åの厚さを有することができる。
【0032】
任意の第2のプライマー層460は、第2の金属層458の上に堆積させることができる。任意の第2のプライマー層460は、任意の第1のプライマー層448に関して上述した通りであり得る。一例では、任意の第2のプライマー層460はチタンであり得る。プライマー層のいずれも、低酸素雰囲気又は無酸素雰囲気などの非反応性雰囲気中でスパッタリングすることができる。次いで、コーティングされた物品は、酸素含有雰囲気中での追加の酸化物層の堆積などの追加の処理に供され得る。この追加の堆積中に、プライマーが酸化する。
【0033】
第3の誘電体層462は、第2の金属層458の上に(例えば、任意の第2のプライマー膜460の上に)堆積させることができる。第3の誘電体層462はまた、第1及び第2の誘電体層440、450に関して上述したような1つ以上の金属酸化物含有層又は金属合金酸化物含有層を含むことができる。第3の誘電体層462は、第1の膜464、例えば酸化亜鉛膜、第2の膜466、例えば、第1の膜464の上に堆積されたスズ酸亜鉛膜を含むことができる。任意の第3の膜468、例えば、第2の酸化亜鉛層は、第2の膜の上に堆積させることができる。
【0034】
第3の金属層470は、第3の誘電体層462の上に堆積される。第3の金属層470は、第1の金属層446に関して上述した材料のいずれかとすることができる。非限定的な一例では、第3の金属層470は、銀、銅、又は銀及び銅を含む。第3の金属層470は連続層である。あるいは、第3の金属層470は、不連続層であり得る。第3の金属層470は、第2の金属層458よりも薄くすることができる。第3の金属層は、少なくとも250Å未満、好ましくは200Å未満、さらに好ましくは125Å未満、最も好ましくは100Å未満及び/又は50Å超、好ましくは60Å超、さらに好ましくは65Å超、最も好ましくは70Å超の厚さを有することができる。一実施形態では、第1の金属層446は、97Å~105Åの厚さを有する。別の実施形態では、第1の金属層446は、70Å~125Åの厚さを有する。
【0035】
任意の第3のプライマー層472は、第3の金属層470の上に配置される。任意の第3のプライマー層472は、任意の第1又は第2のプライマー層448又は460に関して上述した通りであり得る。
【0036】
第4の誘電体層474は、第3の金属層470の上に(例えば、任意の第3のプライマー層472の上に)配置される。第4の誘電体層474は、第1、第2又は第3の誘電体層440、450、462に関して上述したものなどの1つ以上の金属酸化物含有層又は金属合金酸化物含有層から構成することができる。非限定的な一例では、第4の誘電体層474は、第3の金属層470又は第3のプライマー層472の上に堆積された第1の膜476と、第1の膜476の上に堆積された第2の膜478とを有する多重膜層である。任意の第3の膜479は、第2の膜の上に堆積させることができる。
【0037】
第4の金属層492は、第4の誘電体層474の上に配置される。第4の金属層492は、限定するものではないが、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀又はそれらの混合物、合金若しくは組合せなどの反射金属を含むことができる。一実施形態では、反射金属は、銀、銅、又は銀と銅との組合せである。一実施形態では、第4の金属層492は、銀及び銅を含有する。第4の金属層492は、連続層又は不連続層であり得る。第4の金属層492は、第1の金属層446よりも厚くすることができる。第4の金属層492は、第3の金属層470よりも厚くすることもできる。第4の金属層は、少なくとも100Å、好ましくは少なくとも150Å、さらに好ましくは少なくとも175Å、最も好ましくは少なくとも181Å及び/又は最大300Å、好ましくは最大275Å、さらに好ましくは250Å、最も好ましくは最大240Åの厚さを有することができる。
【0038】
任意の第4のプライマー層540は、第4の金属層492の上に堆積させることができる。第4のプライマー層540は、任意の第1のプライマー層448、第2のプライマー層460又は第3のプライマー層472に関して上述した通りであり得る。一例では、任意の第4のプライマー層540はチタンであり得る。
【0039】
第5の誘電体層550は、第4の金属層492の上に(例えば、任意の第4のプライマー層540の上に)配置される。第5の誘電体層550は、第1、第2、第3又は第4の誘電体層440、450、462、474に関して上述したものなどの1つ以上の金属酸化物含有層又は金属合金酸化物含有層から構成することができる。非限定的な一例では、第5の誘電体層550は、第4のプライマー層540又は第4の金属層492の上に堆積された第1の膜502と、第1の膜502の上に堆積された第2の膜504とを有する多重膜層である。
【0040】
別の非限定的な例では、第5の誘電体層550は、第1の膜502及び第2の膜504を有する。第1の膜は酸化亜鉛を含む。第2の膜は窒化ケイ素を含む。
【0041】
別の非限定的な例では、第5の誘電体層550は、第1の膜502、第2の膜504及び第3の膜(図示せず)を有する。第1の膜502は、酸化亜鉛又はスズ酸亜鉛を含む。第2の膜504は、スズ酸亜鉛、酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素を含む。第3の膜は窒化ケイ素を含む。酸化ケイ素、酸窒化ケイ素及び窒化ケイ素は、最大5重量パーセント、最大10重量パーセント、最大15重量パーセント又は最大20重量パーセントの量で酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムなどのアルミニウムを含有することができる。一実施形態では、第2の膜504及び第3の膜は、酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素から窒化ケイ素への勾配層である。
【0042】
第5の誘電体層550の上に、任意のオーバーコート480を配置することができる。オーバーコート480は、機械的攻撃及び化学的攻撃から、下にあるコーティング層を保護するのに役立ち得る。任意のオーバーコート480は、例えば、金属酸化物層又は金属窒化物層であり得る。例えば、任意のオーバーコート480は、チタニア、又はチタニアとアルミナとの混合物であり得る。オーバーコートに有用な他の材料には、シリカ、アルミナ、又はシリカとアルミナとの混合物などの他の酸化物が挙げられる。
【0043】
非限定的な一実施形態では、透明材は、20%超、例えば30%超、例えば34%超の可視光透過率を有する。透明材は、0.3未満、例えば0.27未満、例えば0.25未満、例えば0.22以下、例えば0.20未満、例えば0.19未満及び/又は少なくとも0.10、少なくとも0.12、少なくとも0.15又は少なくとも0.17の太陽熱利得係数(SHGC)を有する。透明材は、少なくとも1.7、少なくとも1.75、少なくとも1.8又は少なくとも1.85及び/又は最大2.25、最大2.15、最大2.10又は最大2.06の、光透過率と太陽熱利得係数の比(light to solar gain ratio)(LSG)を有する。
【0044】
第1の金属層446、第2の金属層458、第3の金属層470及び第4の金属層492のいずれか1つは、不連続層であり得る。一実施形態では、第2の金属層のみ又は第3の金属層のみが不連続層である。別の実施形態では、第3の金属層のみが不連続層である。別の実施形態では、第2の金属層のみが不連続層である。
【0045】
コーティングされた物品は、全金属層の総厚さを有することができる(例えば、総厚さは、第1、第2、第3及び第4の金属層の合計の厚さである)。この総厚さは、200Å~750Å、好ましくは225Å~650Å、さらに好ましくは250Å~600Å、最も好ましくは252Å~582Åの範囲であり得る。コーティングされた物品は、連続層である全金属層の総厚さを有することができる(すなわち、不連続層の厚さを除く)。全連続層の総厚さは、150Å~750Å、好ましくは200Å~650Å、さらに好ましくは225Å~575Å、最も好ましくは237Å~563Åの範囲であり得る。
【0046】
コーティングされた物品は、他の金属層がいずれも連続金属層である単一の不連続金属層を有することができる。
【0047】
上記のプライマーのいずれかなどのプライマーは、金属層のいずれかの上に直接接触して配置され得る。プライマーはチタンとアルミニウムとの混合物であってよい。
【0048】
本発明はさらに、コーティングされた物品を作製する方法に関する。方法は、基材を提供することを含む。第1の誘電体層は、基材の少なくとも一部の上に適用される。第1の金属層は、第1の誘電体層の少なくとも一部の上に適用される。第2の誘電体層は、第1の金属層の少なくとも一部の上に適用される。第2の金属層は、第2の誘電体層の少なくとも一部の上に適用される。第3の誘電体層は、第2の金属層の少なくとも一部の上に適用される。第3の金属層は、第3の誘電体層の少なくとも一部の上に適用される。第4の誘電体層は、第4の金属層の少なくとも一部の上に適用される。第5の誘電体層は、第4の金属層の少なくとも一部の上に適用される。第1の金属層、第2の金属層、第3の金属層又は第4の金属層は不連続層である。第5の誘電体層の上に任意の保護オーバーコートが適用されてもよい。場合により、第1の金属層、第2の金属層、第3の金属層及び/又は第4の金属層の上にプライマーが適用されてもよい。別の実施形態では、第2又は第3の金属層のいずれかは不連続層である。
【0049】
本発明の別の実施形態は、建築用透明材を作製する方法である。方法は、1番表面及び2番表面を有する第1のプライを提供すること、3番表面及び4番表面を有する第2のプライを提供することを含む。第1のプライの2番表面又は第2のプライの3番表面のいずれかは、本明細書に記載されるコーティングを有する。第1のプライ及び第2のプライは、2番表面が3番表面に面し、2番表面と3番表面との間に間隔があるように組み立てられる。間隔にはガスが充填される。ガスは空気又はアルゴンであり得る。
【0050】
一実施形態では、不連続金属層は第3の金属層である。そのような実施形態では、コーティングは、表1に記載されるように各層について、又は表2に記載されるように各膜について厚さを有することができる。この実施形態では、第3の誘電体層は、第1の誘電体層、第2の誘電体層、第4の誘電体層及び/又は第5の誘電体層よりも厚い。第3の誘電体層はまた、第3の膜を含む。
【0051】
【0052】
【0053】
別の実施形態では、不連続金属層は第2の金属層である。そのような実施形態では、コーティングは、表3に記載されるように各層について、又は表4に記載されるように各膜について厚さを有することができる。この実施形態では、第4の誘電体層は、第1の誘電体層、第2の誘電体層、第3の誘電体層及び/又は第5の誘電体層よりも厚い。第4の誘電体層はまた、第3の膜を含む。
【0054】
【0055】
【0056】
以下の例は、本発明の様々な実施形態を例示する。ただし、本発明はこれらの特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。
【実施例】
【0057】
表5に記載されるコーティングスタックによってガラスをコーティングすることにより、例1~4を調製した。
【0058】
【0059】
例1では、LTAは34.0、SHGCは0.183、LSGは1.86であった。例2では、LTAは34.3、SHGCは0.178、LSGは1.93であった。例3では、LTAは37.3、SHGCは0.182、LSGは2.05であった。例4では、LTAは40.1、SHGCは0.22、LSGは1.82であった。
【0060】
表6に記載されるコーティングスタックによってガラスをコーティングすることにより、例5~7を調製した。
【0061】
【0062】
表7に記載されるコーティングスタックによってガラスをコーティングすることにより、例8を調製した。
【0063】
【0064】
本発明は、以下の番号付けされた条項でさらに説明される。
【0065】
条項1:基材;基材の少なくとも一部を覆う第1の誘電体層;第1の誘電体層の少なくとも一部を覆う第1の金属層;第1の金属層の少なくとも一部を覆う任意の第1のプライマー;第1のプライマー層の少なくとも一部を覆う第2の誘電体層;第2の誘電体層の少なくとも一部を覆う第2の金属層;第2の金属層の少なくとも一部を覆う任意の第2のプライマー;第2のプライマー層の少なくとも一部を覆う第3の誘電体層;第3の誘電体層の少なくとも一部を覆う第3の金属層;第3の金属層の少なくとも一部を覆う任意の第3のプライマー;第3のプライマー層の少なくとも一部を覆う第4の誘電体層;第4の誘電体層の少なくとも一部を覆う第4の金属層;及び第4の金属層の少なくとも一部を覆う任意の第4のプライマー;第4の金属層の少なくとも一部を覆う第5の誘電体層を含む、コーティングされた物品であって、第1の金属層、第2の金属層、第3の金属層又は第4の金属層が不連続層である、コーティングされた物品。
【0066】
条項2:任意の第1のプライマー、第2のプライマー、任意の第3のプライマー又は任意の第4のプライマーが、チタン、ケイ素-アルミニウム合金、ニッケル合金、ニッケルとクロムとを含有する合金、コバルト合金、コバルトとクロムとを含有する合金、銅、アルミニウム、ケイ素、ニッケル-クロム合金、ジルコニウム、それらの混合物及びそれらの合金から選択される、条項1の物品。
【0067】
条項3:任意の第1のプライマー、任意の第2のプライマー、任意の第3のプライマー又は第4のプライマーが、金属として堆積され、続いて酸化される、条項1又は2の物品。
【0068】
条項4:不連続層が銀又は銅を含む、条項1から3のいずれかの物品。
【0069】
条項5:不連続層が銀及び銅を含む、条項1から4のいずれかの物品。
【0070】
条項6:第2の誘電体層又は第3の誘電体層が、酸化亜鉛層と、酸化亜鉛層を覆うスズ酸亜鉛層とを含む、条項1から5のいずれかの物品。
【0071】
条項7:第5の誘電体層を覆う保護コーティングをさらに含む、条項1から6のいずれかの物品。
【0072】
条項8:第1の誘電体層が、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、アルミニウム、ケイ素又はそれらの混合物の酸化物、窒化物又は酸窒化物を含む、条項1から7のいずれかの物品。
【0073】
条項9:第2の誘電体層が、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、アルミニウム、ケイ素又はそれらの混合物の酸化物、窒化物又は酸窒化物を含む、条項1から8のいずれかの物品。
【0074】
条項10:第3の誘電体層が、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、アルミニウム、ケイ素又はそれらの混合物の酸化物、窒化物又は酸窒化物を含む、条項1から9のいずれかの物品。
【0075】
条項11:第4の誘電体層が、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、アルミニウム、ケイ素又はそれらの混合物の酸化物、窒化物又は酸窒化物を含む、条項1から10のいずれかの物品。
【0076】
条項12:第5の誘電体層が、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、アルミニウム又はそれらの混合物の酸化物、窒化物又は酸窒化物を含む、条項1から11のいずれかの物品。
【0077】
条項13:第1の誘電体層、第2の誘電体層、第3の誘電体層及び/又は第4の誘電体層が酸化亜鉛を含む、条項1から12のいずれかの物品。
【0078】
条項14:第1の誘電体層、第2の誘電体層、第3の誘電体層及び/又は第4の誘電体層がスズ酸亜鉛を含む、条項1から13のいずれかの物品。
【0079】
条項15:第5の誘電体層が、酸化亜鉛又はスズ酸亜鉛を含む、条項1から14のいずれかの物品。
【0080】
条項16:第5の誘電体層が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素又はそれらの混合物を含む、条項1から15のいずれかの物品。
【0081】
条項17:第1の誘電体層が、基材を覆うスズ酸亜鉛を含む第1の膜と、第1の膜を覆う酸化亜鉛を含む第2の膜とを含む、条項1から16のいずれかの物品。
【0082】
条項18:第2の誘電体層が、酸化亜鉛を含む第1の膜と、スズ酸亜鉛を含む第2の膜とを含む、条項1から17のいずれかの物品。
【0083】
条項19:第3の誘電体層が、酸化亜鉛を含む第1の膜と、スズ酸亜鉛を含む第2の膜と、酸化亜鉛を含む任意の第3の膜とを含む、条項1から18のいずれかの物品。
【0084】
条項20:第4の誘電体層が、スズ酸亜鉛の第1の膜と、酸化亜鉛の第2の膜とを含む、条項1から19のいずれかの物品。
【0085】
条項21:第5の誘電体層が、酸化亜鉛又はスズ酸亜鉛を含む第1の膜を含む、条項1から20のいずれかの物品。
【0086】
条項22:第5の誘電体層が、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素又はそれらの混合物を含む第2の膜をさらに含む、条項1から21のいずれかの物品。
【0087】
条項23:第2の膜が、酸化ケイ素から窒化ケイ素への勾配層である、条項22の物品。
【0088】
条項24:第2の膜が、酸窒化ケイ素から窒化ケイ素への勾配層である、条項22の物品。
【0089】
条項25:第1の金属膜が、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀又はそれらの混合物、合金若しくは組合せを含む、条項1から24のいずれかの物品。
【0090】
条項26:第2の金属膜が、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀又はそれらの混合物、合金若しくは組合せを含む、条項1から25のいずれかの物品。
【0091】
条項27:第3の金属膜が、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀又はそれらの混合物、合金若しくは組合せを含む、条項1から26のいずれかの物品。
【0092】
条項28:第4の金属膜が、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀又はそれらの混合物、合金若しくは組合せを含む、条項1から27のいずれかの物品。
【0093】
条項29:第1の金属膜が、銅、銀又はそれらの混合物を含む、条項1から28のいずれかの物品。
【0094】
条項30:第2の金属膜が、銅、銀又はそれらの混合物を含む、条項1から29のいずれかの物品。
【0095】
条項31:第3の金属膜が、銅、銀又はそれらの混合物を含む、条項1から30のいずれかの物品。
【0096】
条項32:第4の金属膜が、銅、銀又はそれらの混合物を含む、条項1から31のいずれかの物品。
【0097】
条項33:第1のプライマー、第2のプライマー、第3のプライマー及び/又は第4のプライマーが、チタン、アルミニウム又はそれらの混合物を含み、プライマーが金属として堆積され、プライマーの上に次の層を堆積させることによって少なくとも部分的に酸化される、条項1から34のいずれかの物品。
【0098】
条項34:第2の金属層又は第3の金属層が不連続層である、条項1から33のいずれかの物品。
【0099】
条項35:不連続層が、最大36Å、好ましくは最大26Å、さらに好ましくは最大20Å、最も好ましくは最大19Å、少なくとも5Å、好ましくは少なくとも7Å、さらに好ましくは少なくとも10Å、最も好ましくは少なくとも15Åの厚さを有する、条項34の物品。
【0100】
条項36:第2の金属層が不連続層である、条項34又は35の物品。
【0101】
条項37:第3の金属層が不連続層である、条項34又は35の物品。
【0102】
条項38:金属層のうちの少なくとも2つが連続金属層である、条項34、35、36又は37の物品。
【0103】
条項39:第1の金属層及び第4の金属層が連続金属層であり、第1の金属層が、250Å未満、好ましくは200Å未満、さらに好ましくは125Å未満、最も好ましくは100Å未満及び/又は50Å超、好ましくは60Å超、さらに好ましくは65Å超、最も好ましくは70Å超の厚さを有し、第4の金属層が、少なくとも100Å、好ましくは少なくとも150Å、さらに好ましくは少なくとも175Å、最も好ましくは少なくとも181Å及び/又は最大300Å、好ましくは最大275Å、さらに好ましくは250Å、最も好ましくは最大240Åの厚さを有する、条項34、35又は36の物品。
【0104】
条項40:金属層のうちの3つが連続金属層である、条項34、35又は36の物品。
【0105】
条項41:連続金属層が、第1の金属層、第2の金属層及び第4の金属層であり、第1の金属層が、250Å未満、好ましくは200Å未満、さらに好ましくは125Å未満、最も好ましくは100Å未満及び/又は50Å超、好ましくは60Å超、さらに好ましくは65Å超、最も好ましくは70Å超の厚さを有し、第4の金属層が、少なくとも100Å、好ましくは少なくとも150Å、さらに好ましくは少なくとも175Å、最も好ましくは少なくとも181Å及び/又は最大300Å、好ましくは最大275Å、さらに好ましくは250Å、最も好ましくは最大240Åの厚さを有し、第2の金属層が、少なくとも70Å、好ましくは少なくとも100Å、さらに好ましくは少なくとも125Å、最も好ましくは少なくとも128Å及び/又は最大250Å、好ましくは最大225Å、さらに好ましくは最大200Å、最も好ましくは最大191Åの厚さを有する、条項40の物品。
【0106】
条項42:連続金属層が、第1の金属層、第3の金属層及び第4の金属層であり、第1の金属層が、250Å未満、好ましくは200Å未満、さらに好ましくは125Å未満、最も好ましくは100Å未満及び/又は50Å超、好ましくは60Å超、さらに好ましくは65Å超、最も好ましくは70Å超の厚さを有し、第4の金属層が、少なくとも100Å、好ましくは少なくとも150Å、さらに好ましくは少なくとも175Å、最も好ましくは少なくとも181Å及び/又は最大300Å、好ましくは最大275Å、さらに好ましくは250Å、最も好ましくは最大240Åの厚さを有する、条項40の物品。
【0107】
条項43:連続金属層が、50Å~300Å、好ましくは60Å~250Å、さらに好ましくは65Å~225Å、最も好ましくは71Å~205Åの範囲の厚さを有する、条項34から42のいずれかの物品。
【0108】
条項44:物品が、30~45、好ましくは32~43、さらに好ましくは33~43、最も好ましくは34~41のLTAを有する、条項1から43のいずれかの物品。
【0109】
条項45:物品が、0.170~0.200、好ましくは0.174~0.250、さらに好ましくは0.175~0.230、最も好ましくは0.178~0.220のSHGCを有する、条項1から44のいずれかの物品。
【0110】
条項46:物品が、1.50~2.50、好ましくは1.70~2.25、さらに好ましくは1.75~2.15、最も好ましくは1.82~2.05のLSGを有する、条項1から45のいずれかの物品。
【0111】
条項47:基材と、第1の誘電体膜と、第1の誘電体膜を覆う第2の誘電体膜と、銀を含む、第2の誘電体膜を覆う第1の金属膜と、第1の金属膜を覆う第3の誘電体膜と、第3の誘電体膜を覆う第4の誘電体膜と、第2の金属膜が銀を含む、第4の誘電体膜を覆う第2の金属層と、第2の金属膜を覆う第5の誘電体膜と、第5の誘電体膜を覆う第6の誘電体膜と、第3の金属膜が銀を含む、第6の誘電体膜を覆う第3の金属層と、第3の金属膜を覆う第7の誘電体膜と、第7の誘電体膜を覆う第8の誘電体膜と、第4の金属膜が銀を含む、第8の誘電体膜を覆う第4の金属膜と、第4の金属膜を覆う第9の誘電体膜とを有するコーティングされた物品であって、第1の金属膜、第2の金属膜、第3の金属膜又は第4の金属膜が不連続膜である、コーティングされた物品。
【0112】
条項48:第1の誘電体膜がスズ酸亜鉛を含む、条項47のコーティングされた物品。
【0113】
条項49:複数のプライマーが、各金属膜の上に直接接触して配置される、条項47から48のいずれかのコーティングされた物品。
【0114】
条項51:第2の金属膜が不連続層である、条項47から50のいずれかのコーティングされた物品。
【0115】
条項52:第3の金属膜が不連続層である、条項47から50のいずれかのコーティングされた物品。
【0116】
条項53:金属膜のうちの少なくとも2つが連続層である、条項47から52のいずれかのコーティングされた物品。
【0117】
条項54:金属膜のうちの少なくとも3つが連続層である、条項47から52のいずれかのコーティングされた物品。
【0118】
条項55:第9の誘電体膜を覆う保護層をさらに含む、条項47から54のいずれかのコーティングされた物品。
【0119】
条項56:物品が、30~45、好ましくは32~43、さらに好ましくは33~43、最も好ましくは34~41のLTAを有する、条項47から55のいずれかの物品。
【0120】
条項57:物品が、0.170~0.200、好ましくは0.174~0.250、さらに好ましくは0.175~0.230、最も好ましくは0.178~0.220のSHGCを有する、条項47から56のいずれかの物品。
【0121】
条項58:物品が、1.50~2.50、好ましくは1.70~2.25、さらに好ましくは1.75~2.15、最も好ましくは1.82~2.05のLSGを有する、条項47から57のいずれかの物品。
【0122】
条項59:基材を提供すること、基材の少なくとも一部の上に第1の誘電体層を適用すること、第1の誘電体層の少なくとも一部の上に第1の金属層を適用すること、第1の金属層の少なくとも一部の上に第2の誘電体層を適用すること、第2の誘電体層の少なくとも一部の上に第2の金属層を適用すること、第2の金属層の少なくとも一部の上に第3の誘電体層を適用すること、第3の誘電体層の少なくとも一部の上に第3の金属層を適用すること、第4の金属層の少なくとも一部の上に第4の誘電体層を適用すること、第4の金属層の少なくとも一部の上に第5の誘電体層を適用することを含む、コーティングされた物品を作製する方法であって、第1の金属層、第2の金属層、第3の金属層又は第4の金属層が不連続層である方法。
【0123】
条項60:第5の誘電体層の少なくとも一部の上に保護オーバーコートを適用することをさらに含む、条項59の方法。
【0124】
条項61:第1の金属層、第2の金属層、第3の金属層及び/又は第4の金属層の少なくとも一部の上にプライマー層を適用することをさらに含み、プライマー層が金属として適用され、続いて次の層の適用時に酸化される、条項59又は60の方法。
【0125】
条項62:少なくとも第1の金属層が連続金属層である、条項59から61のいずれかの方法。
【0126】
条項63:少なくとも第4の金属層が連続金属層である、条項59から62のいずれかの方法。
【0127】
条項64:第3の金属層が不連続金属層である、条項59から63のいずれかの方法。
【0128】
条項65:第2の金属層が不連続金属層である、条項59から63のいずれかの方法。
【0129】
条項66:1番表面と2番表面とを有する第1のプライ、3番表面と4番表面とを有する第2のプライ、及び2番表面又は3番表面の少なくとも一部の上に配置されるコーティングを含む建築用透明材であって、コーティングが、条項1から58のいずれかに提供されるコーティングを含む建築用透明材。
【0130】
条項67:2番表面と3番表面との間に間隔をさらに含み、間隔にはガスが充填される、条項66による建築用透明材。
【0131】
条項68:ガスがアルゴンである、条項67による建築用透明材。
【0132】
条項69:1番表面が、建築用透明材が設置されている構造物の外側を向くように構成される、条項66から68のいずれかによる建築用透明材。
【0133】
条項70:4番表面が、建築用透明材が設置される構造物の内部を向くように構成される、条項66から69のいずれかによる建築用透明材。
【0134】
条項71:1番表面と2番表面とを有する第1のプライを提供すること、3番表面と4番表面とを有する第2のプライを提供すること、ここで、第1のプライの2番表面又は第2のプライの3番表面のいずれかが条項1から58のいずれかに提供されるようなコーティングを含み、2番表面が3番表面に面し、2番表面と3番表面との間に間隔があるように第1のプライ及び第2のプライを組み立てることを含む、建築用透明材を作製する方法であって、間隔にはガスが充填される方法。
【0135】
条項72:ガスがアルゴンである、条項71の方法。
【0136】
前述の説明に開示された概念から逸脱することなく、本発明に変更を加えることができることは、当業者には容易に理解されよう。したがって、本明細書に詳細に記載される特定の実施形態は、単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそのありとあらゆる均等物の全範囲に及ぶものとする。