(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】クリーニング電気器具
(51)【国際特許分類】
A61C 17/02 20060101AFI20221107BHJP
A61C 17/22 20060101ALI20221107BHJP
A46B 13/04 20060101ALI20221107BHJP
A61C 17/20 20060101ALI20221107BHJP
A61C 19/04 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
A61C17/02 B
A61C17/22 B
A61C17/22 F
A46B13/04
A61C17/20
A61C19/04 Z
(21)【出願番号】P 2021501297
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(86)【国際出願番号】 GB2019051365
(87)【国際公開番号】W WO2020016544
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-01-14
(32)【優先日】2018-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ベネッティ ミシェル
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/201048(WO,A1)
【文献】特開2018-069076(JP,A)
【文献】特表2008-532619(JP,A)
【文献】国際公開第2014/097022(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/02
A61C 17/22
A46B 13/04
A61C 17/20
A61C 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯治療電気器具であって、
治療要素をユーザの口腔に送出する歯治療システムを含み、
前記歯治療システムは、パルス信号を
前記ユーザの口腔に向かって送信し且つ
前記ユーザの口腔から戻ってくる信号を受信する検出手段と、前記検出手段から受信した信号に応じて、
前記ユーザの口腔の治療を行わせるコントローラを含
み、
前記コントローラは、前記ユーザの口腔から戻ってくる信号を前記検出手段から受信してサンプリングするように構成され、前記検出手段は、前記コントローラが前記ユーザの口腔から戻ってくる信号をサンプリングする周波数と同じ周波数で、前記パルス信号を前記口腔に向かって送信するように構成されている、歯治療電気器具。
【請求項2】
更に、ハンドルと、前記検出手段を前記ハンドルに対して移動させる移動手段を含む、請求項1に記載の歯治療電気器具。
【請求項3】
前記移動手段は、前記検出手段を前記ハンドルに対して往復動させるように構成される、請求項2に記載の歯治療電気器具。
【請求項4】
前記移動手段は、前記検出手段を前記ハンドルに対して200~300Hzの周波数で移動させるように構成される、請求項3に記載の歯治療電気器具。
【請求項5】
前記移動手段は、前記検出手段を前記ハンドルに対して振動周波数Fで振動させるように構成され、
前記検出手段は、光信号を周波数nF/16で送信するように構成され、nは、1以上の整数である、請求項2又は3に記載の歯治療電気器具。
【請求項6】
前記移動手段は、前記検出手段を前記ハンドルに対して、前記ハンドルの長手方向軸線と垂直に配置される経路に沿って移動させるように構成される、請求項2~5の何れか1項に記載の歯治療電気器具。
【請求項7】
前記移動手段は、前記検出手段を前記ハンドルに対して湾曲した経路、好ましくは、弧状の経路に沿って往復動させるように構成される、請求項2~6の何れか1項に記載の歯治療電気器具。
【請求項8】
前記検出手段は、前記ハンドルの長手方向軸線の周りに10~30度の範囲内の角度
で走査される、請求項7に記載の歯治療電気器具。
【請求項9】
前記移動手段は、前記ハンドルに対する前記検出手段の移動を駆動する駆動ユニットを含む、請求項2~8の何れか1項に記載の歯治療電気器具。
【請求項10】
更に、ブラシユニットを含み、前記ブラシユニットは、毛支持部と、前記毛支持部に取付けられた複数の毛を含み、
前記駆動ユニットは、前記毛支持部を前記ハンドルに対して移動させるように構成される、請求項9に記載の歯治療電気器具。
【請求項11】
前記検出手段は、前記毛支持部と一緒に前記ハンドルに対して移動するように構成される、請求項10に記載の歯治療電気器具。
【請求項12】
前記検出手段は、前記毛支持部に取付けられる、請求項10又は11に記載の歯治療電気器具。
【請求項13】
更に、前記ハンドルと前記ブラシユニットの間を延びるステムを含み、
前記駆動ユニットは、前記ステムを前記ハンドルに対して移動させるように構成される、請求項10~12のいずれか1項に記載の歯治療電気器具。
【請求項14】
前記歯治療システムは、作動流体、好ましくは、液体の作動流体を
前記ユーザの口腔に配送するように構成される、請求項2~13のいずれか1項に記載の歯治療電気器具。
【請求項15】
前記歯治療システムは、作動流体を
前記ユーザの口腔に配送するノズルを含む、請求項14に記載の歯治療電気器具。
【請求項16】
前記ノズルは、前記検出手段と一緒に前記ハンドルに対して移動するように構成される、請求項15に記載の歯治療電気器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療電気器具に関する。治療電気器具は、好ましくは、手持ち式治療電気器具であり、好ましくは、表面治療電気器具である。本発明の好ましい実施形態では、治療電気器具は、歯治療電気器具である。好ましい実施形態では、治療電気器具は、流体をユーザの口腔に送出する流体送出システムを有する電気歯ブラシである。この流体は、練り歯磨きであってもよいし、改善された隣接歯間クリーニングのための流体であってもよい。変形例として、治療電気器具は、歯をブラッシングする毛やその他の要素を含んでいなくてもよいし、口専用の治療電気器具の形態をなしていてもよい。
【背景技術】
【0002】
電気歯ブラシは、一般的には、ハンドルに連結されたツールを含む。ツールは、ステムと、歯をブラッシングする毛を支持するブラシヘッドを含む。ブラシヘッドは、ステムに連結される静的な部分と、静的な部分に対して移動可能である少なくとも1つの移動可能な部分を含み、移動可能な部分は、それに取付けられている毛にブラシ運動を付与するために、例えば、往復運動、振動、枢動又は回転運動のうちの1つを行う。ステムは、駆動シャフトを収容し、駆動シャフトは、ハンドル内の伝達ユニットと結合される。伝達ユニットは、ハンドル内に収容されたバッテリによって駆動されるモータに連結される。駆動シャフト及び伝達ユニットは、モータの回転又は振動運動を、ブラシヘッドの静的な部分に対するブラシヘッドの移動可能な部分の所望の運動に変換する。
【0003】
隣接歯間クリーニングのための作動流体の噴流を発生させる流体送出システムを電気歯ブラシに組込むことが知られている。例えば、特許文献1は、ハンドル、ブラシヘッド、及びハンドルとブラシヘッドの間を延びるステムを有する歯ブラシを記載している。ブラシヘッドは、作動流体をユーザの口腔に送出するノズルと、ユーザの歯をブラッシングするためにノズルに対して移動するブラシユニットを含む。治療電気器具をユーザの歯に沿って移動させるとき、ノズルは、ハンドルに対して移動可能である。歯ブラシは、異なる2つのモードのうちの選択された1つで作動可能である。第1のモードでは、ユーザは、ボタンを押下げて、作動流体をノズルから送出させるように作動させる。第2のモードでは、コントローラは、センサから受信した信号に応じて、作動流体をノズルに自動的に送出させるように作動させる。センサは、歯ブラシのハンドル内に配置される。ステム内に配置されている枢動アームが、ノズルと、センサに隣接して配置されている磁石とを連結しており、ノズルがハンドルに対して移動して、例えば、ユーザの歯の間の隙間の中に又はその外に移動するとき、センサに対して移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1の側面では、本発明は、歯治療電気器具を提供し、かかる歯治療電気器具は、ハンドルと、治療要素をユーザの口腔に送出する歯治療システムと、移動手段と、を含み、歯治療システムは、信号を口腔に向かって送信し且つ口腔から戻ってくる信号を受信する検出手段と、ユーザの口腔の治療を行わせるコントローラを含み、移動手段は、検出手段をハンドルに対して移動させる。
【0006】
特許文献1に記載されている歯治療電気器具と異なり、口腔から検出手段に戻ってくる信号に応じて、ユーザの口腔の治療を行わせる。例えば、検出手段が音響信号を口腔に送信するように構成されている場合、戻ってくる信号は、口腔から反射して戻る音響信号である。他の例として、検出手段が光信号を口腔に送信するように構成されている場合、戻ってくる信号は、口腔から反射して戻る光信号であってもよいし、口腔によって放射された光信号であってもよい。例えば、送信された信号の波長に応じて、送信された信号によって励起したプラークの蛍光により、信号が検出手段に戻ってくることがある。戻ってくる信号の波長及び/又は強度はまた、ユーザの隣接した歯の間の隙間内への信号の送信を示すことができる。戻ってくる信号に応じて、コントローラは、口腔の治療を行わせ、例えば、歯間領域内への流体の放出によって、歯間に位置する物体を除去し、又は、プラークをユーザの歯から除去する。
【0007】
口腔の治療の間、検出手段は、ハンドルに対して移動させられる。検出手段は、ハンドルに対して任意所望の形状の経路に沿って移動させられる。例えば、検出手段は、弧状経路やS字経路等の湾曲した経路又は円形経路等の閉鎖ループ経路に沿って、ハンドルに対して移動させられる。これにより、口腔に対する歯治療電気器具の所定の位置のところで、送信された信号が入射する口腔の領域の寸法を、検出手段がハンドルに対して静止している構成よりも増大させることを可能にする。好ましい実施形態では、移動手段は、検出手段をハンドルに対して、好ましくは、湾曲経路に沿って、更に好ましくは、弧状経路に沿って往復動させるように構成される。移動手段は、好ましくは、検出手段をハンドルに対して、ハンドルの長手方向軸線に対して実質的に垂直に配置された経路に沿って移動させるように構成される。好ましい実施形態では、検出手段は、ハンドルの長手方向軸線の周りに10~30度の角度で、好ましくは、200~300Hzの範囲の周波数で、往復で走査される。
【0008】
歯治療電気器具は、ユーザの口腔状態を治療するための電気器具の形態を有するのがよい。例えば、歯治療電気器具は、ユーザの歯の間の隙間をクリーニングする専用の隣接歯間クリーニング電気器具の形態であってもよい。治療システムは、作動流体をユーザの口腔に送出するための流体送出システムを含むのがよい。口腔から戻ってくる信号に応じて、コントローラは、口腔への作動流体の送出を行わせ、ユーザの歯の間の隙間の中に位置する物体を押出す。ハンドルに対する検出手段の移動は、かかる隙間を検出することを、流体送出システムが作動流体を隙間に送出するための最適な位置に配置される前に可能にする。これにより、コントーラによって、例えば流体を流体リザーバからポンプの流体チャンバに引くことによって、流体送出システムを「準備」することを可能にし、隙間が検出されて、流体送出システムが作動流体を送出するのに最適であるように位置決めされたときには、流体送出システムは、作動流体を隙間に送出する用意が整っている。これにより、更なる隙間が検出されずに歯治療電気器具のスイッチをオフにする場合、流体送出システムが準備位置に保持される時間長さを、作動流体がポンプの流体チャンバから放出された直後に流体送出システムが準備されて流体送出システムが準備位置に留まる構成よりも短くする。
【0009】
この場合、移動手段は、作動流体を口腔に送出するために、検出手段をノズルに対して移動させるように構成される。ノズルは、好ましくは、ノズルの先端部に位置する流体出口を通るノズル軸線に沿って延びる。ノズル軸線は、ハンドルの長手方向軸線に対して略直交するように整列されるのがよい。移動手段は、ノズルに対する検出手段の移動を駆動する駆動機構を含む。駆動機構は、好ましくは、検出手段に結合された伝達ユニットと、検出手段をノズルに対して移動させるように伝達ユニットを駆動する駆動ユニットを含む。駆動ユニットは、好ましくは、ハンドル内に配置され、好ましくは、モータを含む。伝達ユニットは、モータと検出手段の間を延びる駆動シャフトを含む。駆動シャフトは、ハンドルと検出手段の間を延びるステムの中に収容され、ステムは、ハンドルに取外し可能に連結されるクリーニングツールの一部を構成する。ノズルは、検出手段がノズルに対して移動するように、ステムに取付けられるのがよい。
【0010】
変形例として、歯治療電気器具は、隣接歯間隙間内への作動流体の放出による改良された隣接歯間クリーニングの追加の機能を有する歯ブラシの形態をなす。歯治療電気器具が歯ブラシの形態をなす場合、クリーニングツール又はステムは、好ましくは、複数の毛を含む。毛は、好ましくは、ノズルの周りに配列され、ノズルの周りに周方向に配列されるのがよい。複数の毛は、ハンドルに対して移動可能ではないクリーニングツールの静止部分に取付けられるのがよい。変形例として又は追加として、複数の毛は、ハンドルに対して移動可能であるクリーニングツールの移動可能な部分に取付けられてもよい。
【0011】
好ましい実施形態では、歯治療電気器具は、ブラシユニットを含み、ブラシユニットは、毛支持部と、毛支持部に取付けられた複数の毛を含み、毛支持部は、ハンドルに対して移動可能である。毛支持部は、好ましくは、クリーニングツールのステムに取付けられる。歯治療電気器具は、ハンドルに対する毛支持部の移動を駆動する駆動機構を含む。駆動機構は、好ましくは、毛支持部に連結された伝達ユニットと、毛支持部をハンドルに対して移動させるために伝達ユニットを駆動する駆動ユニットを含む。駆動ユニットは、好ましくは、ハンドル内に配置される。
【0012】
駆動機構は、好ましくは、ハンドルに対する検出手段の移動を駆動するように構成される。検出手段は、好ましくは、毛支持部と一緒にハンドルに対して移動するように構成される。検出手段は、ハンドルに対して、毛支持部と同じ移動パターンで移動するように構成されてもよいし、毛支持部と異なる移動パターンで移動するように構成されてもよい。例えば、検出手段と毛支持部は両方とも、ハンドルに対して走査移動で往復動するように構成される。検出手段は、毛支持部から間をあけていてもよいし、毛支持部に取付けられていてもよい。例えば、駆動機構は、ステムをハンドルに対して移動させるように構成され、それにより、ブラシユニットと検出手段を両方とも、ハンドルに対して同時に移動させる。
【0013】
ノズルは、好ましくは、検出手段と一緒にハンドルに対して移動するように構成される。例えば、検出手段とノズルは両方とも毛支持部に取付けられ、それにより、駆動機構は、毛支持部、ノズル、及び検出手段をハンドルに対して同時に移動させる。
【0014】
検出手段は、光信号又はオーディオ信号を口腔に向かって送信するように構成されるのがよい。例えば、検出手段は、少なくとも1つの音響トランシーバ又は少なくとも1つの光トランシーバを含む。他の例では、検出手段は、口腔を照明するための1又は2以上のLED等の光送信機と、口腔から戻ってくる光を受入れて口腔の画像を取得するためのカメラを含む。
【0015】
検出手段は、好ましくは、ノズルに近接するように配列され、それにより、信号が送信される口腔の領域は、治療システムによって引続いて治療される領域と実質的に同じである。検出手段及びノズルは、クリーニングツール上に並んで位置決めされるのがよい。変形例として、検出手段は、ノズル軸線の周りに少なくても部分的に延びるように配列されてもよい。他の変形例として、検出手段は、ノズルの直ぐ後ろに配列されてもよく、それにより、検出手段によって送信されて検出手段に戻ってくる信号は、ノズルのボアの中を通る。更なる変形例として、検出手段は、ノズル軸線の周りを少なくとも部分的に延びてもよい。例えば、検出手段は、C字形状又は馬蹄形状を有し、センサ又はトランシーバは、ノズル軸線の周りに部分的に延びる。他の例として、検出手段は、ノズル軸線を包囲するトランシーバを含んでいてもよい。
【0016】
第2の側面では、本発明は、歯治療電気器具を提供し、かかる歯治療電気器具は、作動流体を貯蔵するための流体リザーバと、作動流体を流体リザーバから受入れる流体送出システムを含み、流体送出システムは、作動流体をユーザの口腔に送出するためのノズルと、信号を口腔に向かって送信し且つ口腔から信号を受信する検出手段と、受信した信号に応じて作動流体の送出を行わせるコントローラを含み、検出手段は、ノズル軸線を包囲する。
【0017】
移動手段は、好ましくは、検出手段を少なくとも1つの基準位置に向かって移動させ及びそこから遠ざけるように構成される。例えば、検出手段は、湾曲した経路に沿って往復で走査され、基準位置は、かかる湾曲した経路の中心に位置する。変形例として又は追加として、基準位置は、かかる中心と湾曲した経路の終端の中間に配置されてもよい。
【0018】
コントローラは、好ましくは、検出手段が基準位置にあるときに検出手段から受信した信号をサンプリングして、サンプリングした信号に応じてユーザの口腔の治療を行わせるように構成される。このことは、コントローラによる信号処理を減少させると共に、検出手段と一緒に移動するノズルにおいて、ノズルが治療のために最適に位置決めされたときに口腔の治療が起こることを確保する。例えば、基準位置が、検出手段がハンドルに対して移動する経路の中心に位置する場合、口腔の治療は、ノズルが中心位置に向かって移動し又はそこから遠ざかるときに行われる。
【0019】
第3の側面では、本発明は、歯治療電気器具を提供し、かかる歯治療電気器具は、ハンドルと、治療要素をユーザの口腔へ送出する歯治療システムと、移動手段を含み、歯治療システムは、信号を口腔に向かって送信して口腔から戻ってくる信号を受信する検出手段と、ユーザの口腔の治療を行わせるためのコントローラを含み、移動手段は、検出手段をハンドルに対して少なくとも1つの基準位置に向かって移動させ又はそれから遠ざけ、コントローラは、検出手段が基準位置にあるときに検出手段から受信した信号をサンプリングして、サンプリングした信号に応じてユーザの口腔の治療を行わせるように構成される。
【0020】
移動手段は、好ましくは、検出手段をハンドルに対して振動周波数Fで振動させるように構成される。検出手段の移動経路に沿う基準位置の数及び場所に応じて、コントローラは、口腔から戻ってくる信号を、同じ周波数Fでサンプリングしてもよいし、周波数nF(nは1よりも大きい整数)でサンプリングしてもよいし、周波数nF/m(mは整数であり、好ましくは、16以下)でサンプリングしてもよいように構成される。例えば、mは、2、4、6、8、12又は16の値をとる。
【0021】
検出手段は、コントローラが口腔から戻ってくる信号をサンプリングする周波数と同じ周波数で、信号を口腔に向かって送信するように構成されるのがよい。このことは、検出手段がカメラを有する場合に特に有益であり、口腔に向かって送信した光信号をバルス化又はストロボ化することによって、カメラによって取得される画像の鮮明さが、光信号が口腔に連続的に送信される状況よりも改善されることが分かった。
【0022】
光キャビティに向かうパルス信号の送信を、コントローラが受信する信号の周期的なサンプリングと別に行うことができ、したがって、第4の側面では、本発明は、歯治療電気器具を提供し、かかる歯治療電気器具は、ユーザの口腔の治療を行わせる歯治療システムを含み、歯治療システムは、パルス信号を口腔に向かって送信して口腔から戻ってくる信号を受信する検出手段と、検出手段から受信した信号に応じてユーザの口腔の治療を行わせるためのコントローラを含む。
【0023】
歯治療電気器具は、検出手段を歯治療電気器具のハンドルに対して移動させるための移動手段を含む。移動手段は、好ましくは、検出手段をハンドルに対して振動周波数Fで振動させるように構成される。検出手段は、好ましくは、パルス光信号を周波数nF(nは1よりも大きい整数)で送信してもよいし、周波数nF/m(mは整数であり、好ましくは、16以下)で送信してもよいように構成される。例えば、mは、2、4、6、8、12又は16の値をとる。
【0024】
コントローラは、好ましくは、歯治療電気器具のハンドル内に配置される。信号が検出手段からコントローラにワイヤレスで送信されてもよいけれども、信号が検出手段からコントローラに、歯治療電気器具内に位置する物理的な送信経路に沿って送信されることが好ましい。好ましくは、送信経路は、駆動機構の一部分に沿って延びる。これにより、歯治療電気器具の構成要素の数を最小にすることが可能である。
【0025】
第5の側面では、本発明は、歯治療電気器具を提供し、かかる歯治療電気器具は、ハンドルと、クリーニングツールと、駆動機構と、ユーザの口腔を治療する歯治療システムを含み、クリーニングツールは、毛支持部と、毛支持部に取付けられた複数の毛を含み、駆動機構は、ハンドルに対する毛支持部の移動を駆動し、歯治療システムは、信号を口腔に向かって送信して口腔から戻ってくる信号を受信する検出手段と、受信した信号に応じて口腔の治療を行わせるコントローラを含み、検出手段からコントローラに送信される信号のための送信経路が、駆動機構の一部分に沿って延びる。
【0026】
上述したように、駆動機構は、好ましくは、ハンドル内に配置され、好ましくは、毛支持部に連結された伝達ユニットと、毛支持部をハンドルに対して移動させるために伝達ユニットを駆動するための駆動ユニットを含む。伝達ユニットは、好ましくは、シャフトの形態をなし、このシャフトは、モータによってハンドルに対して移動させられる。シャフトの振動周波数は、好ましくは、200~300Hzの範囲内にある。モータは、好ましくは、シャフトの周りを延び、それにより、シャフトは、モータの励起時にハンドルに対して回転し又は振動する。クリーニングツールのステムは、シャフトに取付けられる。
【0027】
送信経路は、好ましくは、伝達ユニットに沿って延び、更に好ましくは、シャフトの外面に沿って延びる。例えば、信号をコントローラに搬送する導電性トラックがシャフトの外面に形成されるのがよい。導電性トラックは、好ましくは、ハンドル接点に接続され、ハンドル接点は、クリーニングツールをハンドルに取付けたときにクリーニングツール接点に係合する。ハンドル接点は、好ましくは、シャフトの端部の周りに延びる環状の接点である。クリーニングツールは、好ましくは、クリーニングツールをハンドルに連結させるためにシャフトの端部を受入れる凹部を含む。クリーニングツール接点は、好ましくは、凹部内に配置され、好ましくは、凹部の内周面から内方に突出し、クリーニングツールをハンドルに取付けたときにハンドル接点に係合する。配線、トラック又はその他の導電性部材が、クリーニングツール接点と検出手段の間に延び、信号を検出手段からクリーニングツール接点に搬送する。
【0028】
加えて、送信経路はまた、伝達機構の一部分に沿って延びるために、好ましくは、駆動ユニットの一部分に沿って延びる。駆動ユニットは、好ましくは、シャフトに係合する手段を含み、この係合手段は、好ましくは、信号をコントローラに向かって搬送するように構成される。駆動ユニットは、好ましくは、シャフトを平衡位置から遠ざけるように移動させ、更に好ましくは、回転させるように構成され、クリーニングツールをハンドルに対して係合手段の力に逆らうように移動させる。係合手段は、駆動ユニットの駆動力が除去されたときにシャフトを平衡位置に向かって押して戻すように構成される。係合手段は、好ましくは、バネ部材を含み、好ましい実施形態では、捩りバネを含む。配線、トラック、又はその他の導電性部材が、バネ部材とコントローラの間に延び、信号をバネ部材からコントローラに搬送する。
【0029】
上述したように、歯治療システムは、好ましくは、作動流体をユーザの口腔に送出するための流体送出システムを含む。流体送出システムは、好ましくは、流体リザーバとポンプを含み、コントローラは、作動流体を流体リザーバから引いて作動流体をノズルに向かって押出すようにポンプを作動させるように構成される。コントローラは、好ましくは、作動流体の噴流をノズルに向かって押出すようにポンプを作動させるように構成される。流体送出システムによって発生させる作動流体の噴流の各々の容積は、好ましくは、1mlよりも少なく、更に好ましくは、0.5mlよりも少ない。好ましい実施形態では、流体送出システムによって発生させる作動流体の噴流の容積は、0.1~0.4mlの範囲内にある。流体送出システムは、好ましくは、作動流体の噴流をノズルに3~10bar(0.3~1MPa)の静圧で送出するように構成される。
【0030】
伝達ユニットは、好ましくは、流体送出システムの一部分を構成する。シャフトは、好ましくは、流体送出システムの一部分を構成するボアを含む。
【0031】
歯治療電気器具は、好ましくは、ユーザインタフェースを含み、ユーザインタフェースは、治療処理の開始前にユーザが歯治療電気器具の作動モードを選択することを可能にする。この実施形態では、ユーザインタフェースは、歯治療電気器具のハンドルに配置され、好ましくは、少なくとも1つのユーザが操作可能なスイッチ又はボタンを含む。ユーザインタフェースは、選択された作動モードについての情報を表示するためにハンドルに配置されたディスプレイを含むのがよい。変形例として、歯治療電気器具は、かかる情報を表示するディスプレイを有する遠隔装置にワイヤレスで接続されてもよい。遠隔装置は、専用ディスプレイ又は個人用装置の形態をなすのがよい。遠隔装置はまた、ユーザが歯治療電気器具の作動モードを選択することを可能にする接触感知式ディスプレイ等のユーザインタフェースを含んでいてもよい。
【0032】
好ましい実施形態では、歯治療電気器具は。第1の作動モードと第2の作動モードを有する。第1の作動モードでは、検出手段から受信した信号に応答して歯治療システムは口腔を治療せず、したがって、歯治療電気器具は、クリーニング処理中にハンドルに対して移動するブラシユニットを有する在来の電気歯ブラシとして使用される。第2の作動モードでは、検出手段から受信した信号に応答して歯治療システムは口腔を治療し、したがって、歯治療電気器具は、クリーニング処理中に自動的に行う隣接歯間クリーニング又はその他の口腔治療の追加の機能を有する電気歯ブラシとして使用される。第2の作動モードでは、クリーニング処理中にブラシユニットをハンドルに対して移動させ、選択的に第3の作動モードでは、クリーニング処理中、ブラシユニットは、静止したままであり、したがって、歯治療電気器具は、専用口腔治療電気器具として作動する。
【0033】
治療処理中、ユーザインタフェースは、好ましくは、現在選択されている作動モードから他の作動モードに一時的に切替えるようにユーザによって操作可能である。これにより、ユーザが作動モードの間を必要に応じて切替えることを可能にし、例えば、クリーニング処理のブラッシング段階を終了した後、例えば、隣接歯間クリーニングをクリーニング処理の治療段階の間に自動的に行うことを可能にする。作動モードを切替えることにより、ユーザが、クリーニング処理中に口腔治療を一時的に停止させたり、ブラッシング中に自動口腔治療を一時的に開始させたりすることを可能にする。
【0034】
第6の側面において、本発明は、歯治療電気器具を提供し、かかる歯治療電気器具は、ハンドルと、毛支持部と、毛支持部に取付けられた複数の毛と、毛支持部をハンドルに対して移動させる駆動機構と、ユーザの口腔を治療する歯治療システムと、ユーザインタフェースと、を有し、歯治療システムは、信号を口腔に向かって送信して口腔から反射された信号を受信する検出手段と、口腔の治療を行わせるコントローラを含み、ユーザインタフェースは、治療処理の前、歯治療電気器具を第1の作動モード及び第2の作動モードのうちの選択された一方を行うように操作可能であり、第1の作動モードの間、駆動機構は、毛支持部をハンドルに対して移動させ、第2の作動モードの間、コントローラは、受信した信号に応じて口腔の治療を行わせ、ユーザインタフェースは、治療処理中、選択された作動モードから他の作動モードに切替えるようにユーザによって操作可能である。
【0035】
ユーザインタフェースは、好ましくは、ハンドルに配置されたスイッチ又はボタンを含む。スイッチ又はボタンは、歯治療電気器具の作動モードを切替えるために、スライド可能であり又は押下げ可能である。したがって、スイッチ又はボタンは、歯治療電気器具が選択された作動モードに留まる第1の状態と、歯治療電気器具がコント―ラによって他の作動モードに配置される第2の状態を含む。スイッチ又はボタンは、好ましくは、第1の状態に向かって付勢される。歯治療電気器具は、好ましくは、スイッチ又はボタンが第2の状態に維持されている間、他のモードにセットされる。例えば、ユーザインタフェースがボタンを含み、ボタンがユーザによって押下げられている間、歯治療電気器具は他の作動モードにセットされる。いったんユーザがボタンを解放すると、歯治療電気器具は、選択された作動モードに戻される。スイッチ又はボタンは、好ましくは、ハンドルを把持している手の親指によって操作可能であるように位置決めされる。
【0036】
歯治療電気器具は、スイッチ又はボタンがユーザによって第2の状態にセットされたら直ぐに、他の作動モードにセットされるのがよい。好ましい実施形態では、スイッチ又はボタンが予め定められた期間よりも長い持続期間第2の状態にセットされると、歯治療電気器具は、他の作動モードにセットされる。この予め定められた期間は、好ましくは、0.5~2秒の範囲内にある。歯治療電気器具は、いったん他の作動モードにセットされたら、ユーザへの可聴又は可視の警告を発生させるように構成される。歯治療電気器具はまた、いったん選択された作動モードに戻ると、ユーザへの可聴又は可視の警告を発生させるように構成される。
【0037】
スイッチ又はボタンが、予め決められた期間よりも短い持続期間の間第2の状態にセットされる場合、コントローラは、好ましくは、単一の口腔の治療を行わせるように構成される。歯治療システムが作動流体を口腔に送出するように構成されている場合、コントローラは、作動流体の単一の噴出の送出を行わせるように構成されてもよいし、口腔への1回の一連の作動流体の噴流の送出を行わせるように構成されてもよい。
【0038】
本発明の第1の側面と関連する上述した特徴は、本発明の第2~第6の側面に適用可能であり、また、その逆も適用可能である。
【0039】
本発明の好ましい特徴を、添付図面を参照して例示としてのみこれから説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1a】歯クリーニング電気器具を前方から見た斜視図である。
【
図1b】
図1aの歯クリーニング電気器具を後方から見た斜視図である。
【
図2a】
図1aの歯クリーニング電気器具のブラシユニットの側面図である。
【
図2b】ブラシユニットのセンサ及びノズルを露出させるために毛の幾つかを省略した、ブラシユニットの斜視図である。
【
図3】歯クリーニング電気器具の流体送出システムの概略図である。
【
図4a】流体リザーバとハンドルの一部分を除去した
図1aの歯クリーニング電気器具の部分的な正面図である。
【
図4b】
図4aの部分的な歯クリーニング電気器具の側面図である。
【
図4c】
図4aの部分的な歯クリーニング電気器具を上方から見た斜視図である。
【
図8a】センサがハンドルに対して第1の角度位置にあるときのセンサの視野を追加した
図2cと同様の図である。
【
図8b】センサがハンドルに対して基準位置にあるときの
図8aと同様の図である。
【
図8c】センサがハンドルに対して第2の角度位置にあるときの
図8aと同様の図である。
【
図8d】センサが基準位置にあるときのノズルからの作動流体の送出を追加した
図2cと同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1a及び
図1bは、歯クリーニング電気器具10の実施形態の外観図である。この実施形態では、歯クリーニング電気器具は、電気歯ブラシの形態である手持ち式電気器具の形態をなし、改善された隣接歯間クリーニングのために作動流体を小出しする一体式組立体を有する。
【0042】
歯クリーニング電気器具10は、ハンドル12と、クリーニングツール14を有する。ハンドル12は、好ましくはプラスチック材料で形成された外本体16を有する。外本体16は、全体的に円筒形の形状を有する。ハンドル12は、ユーザインタフェースを含む。ユーザインタフェースは、ユーザが操作可能なボタン18を含み、ボタン18は、ハンドル12の外本体16を把持している手の親指で押下げ可能であるように、外本体16に形成された孔の中に配置される。選択的には、ハンドル12は、歯クリーニング電気器具の使用中にユーザに見えるように位置決めされたディスプレイを含んでいてもよい。歯クリーニング電気器具10は、遠隔ディスプレイ、例えば、個人用装置又はモバイル電話のディスプレイに接続可能であり、それにより、後で詳細に説明するように、ユーザがボタン18及び/又は遠隔ディスプレイを使用して、歯クリーニング電気器具10の作動モード又はパラメータを選択することを可能にする。
【0043】
クリーニングツール14は、ステム20と、ヘッド22を含む。ステム20は、ヘッド22をハンドル12から遠ざける機能を有する細長い形状を有し、それにより、歯クリーニング電気器具10のユーザ操作性を向上させる。この実施形態では、クリーニングツール14のヘッド22は、ブラシユニット24を含み、ブラシユニット24は、毛支持部26と、毛支持部26に取付けられた複数セットの毛28を含む。この実施形態では、ブラシユニット24は、ステム20に剛性的に結合される。しかしながら、他の実施形態では、クリーニングツール14は、ブラシユニット24を含んでいなくてもよく、その場合、歯クリーニング電気器具は、例えばユーザの歯の間の隙間をクリーニングするための又はクリーニング又は美白流体をユーザの歯に送出するための、専用の隣接歯間クリーニング電気器具の形態をなしてもよい。
【0044】
図2a~
図2cを参照すると、クリーニングツール14はまた、作動流体を貯蔵する流体リザーバ30と、歯クリーニング電気器具10の使用中に作動流体をユーザの口腔内に送出するノズル32を含む。作動流体は、好ましくは、液体の作動流体であり、この実施形態では、水である。流体リザーバ32は、ハンドル12の端部の周りを延びるように、ハンドル12に取付けられる。ノズル32は、クリーニングツール14のヘッド22に取付けられる。ブラシユニット24を含むこの実施形態では、複数の毛28は、ノズル32の周りに少なくとも部分的に配置される。ノズル32は、
図2cに示すように、ハンドル12の長手方向軸線Zと実質的に垂直であるノズル軸線Aに沿って延びる。
【0045】
ノズル32は、歯クリーニング電気器具10の使用中に作動流体を流体リザーバ30から受入れて作動流体の噴流をユーザの口腔に送出するための流体送出システム34の一部を形成する。作動流体の各噴流は、好ましくは、1mlよりも小さい容積、更に好ましくは、0.5mlよりも小さい容量しか有しない。流体送出システム34を
図3に概略的に示す。外観において、ノズル32の先端は、作動流体の噴流がユーザの口腔に送出される流体出口36を含む。流体送出システム34は、作動流体を流体リザーバ30から受入れる流体入口36を含む。この実施形態では、作動流体は、液体の作動流体であり、好ましくは、水である。流体入口36は、ハンドル12に位置決めされ、好ましくは、ハンドル12の外本体16の端部に位置決めされ、流体リザーバ30がハンドル12に連結されたときに流体リザーバ30の流体ポートに接続されるように構成される。後で説明するように、クリーニングツール14は、ハンドル12から取外し可能であり、いったんクリーニングツール14をハンドル12から取外すと、流体リザーバ30を補充のためにハンドル12から引離すことができる。
【0046】
流体送出システム34は、作動流体を流体リザーバ30から流体入口36を介して引いて作動流体の噴流をノズル32に送出するためのポンプ組立体を含む。ポンプ組立体は、ハンドル12の外本体16内に配置され、容積式ポンプ38と、容積式ポンプ38を駆動する駆動部を含む。駆動部は、好ましくは、ポンプ用モータ40を含む。電力をポンプ用モータ40に供給するバッテリ42も、ハンドル12内に配置される。バッテリ42は、好ましくは、再充電可能なバッテリである。
【0047】
第1の導管44が、流体送出システム34の流体入口36をポンプ38の流体入口46に接続する。第1の一方向弁48が、流体入口36とポンプ38の間に配置され、水がポンプ38から流体リザーバ30に戻ることを阻止する。第2の導管50が、ポンプ38の流体出口52をノズル32に接続する。第2の一方向弁54が、ポンプ38とノズル32の間に配置され、水がポンプ38に戻ることを阻止する。制御回路56が、ポンプ用モータ40の作動を制御し、ポンプ用モータ40及び制御回路56は、ポンプ38を駆動する駆動部を構成する。バッテリ42は、電力を制御回路56に供給する。制御回路56は、電力をポンプ用モータ40に供給するモータコントローラを含む。
【0048】
制御回路56は、ユーザがユーザインタフェースのボタン18を押下げたときに発生させた信号を受信する。制御回路56は、信号をディスプレイ又は個人用装置等の遠隔装置に送信してもよいし、信号をかかる遠隔装置から受信してもよい。この実施形態では、制御回路56はまた、信号をセンサ66に送信し、信号をセンサ66から受信する。
図2b及び
図2cを参照すると、センサ66は、歯クリーニング電気器具10のヘッド22に取付けられ、好ましくは、ブラシユニット24の毛支持部26に取付けられる。この実施形態では、ノズル32も、ブラシユニット24の毛支持部26に取付けられる。センサ66は、ノズル32に隣接して配置されるようにヘッド22に位置決めされる。この実施形態では、センサ66は、環状の形状を有し、ノズル軸線Aの周りを延びるように、即ち、ノズル軸線Aを包囲するように位置決めされ、好ましくは、ノズル32の少なくとも一部分を包囲するように位置決めされる。
【0049】
センサ66は、好ましくは、光トランシーバの形態をなし、又は、この実施形態のように、制御回路56によって駆動される音響トランシーバの形態をなす。センサ66は、好ましくは、圧電トランシーバであり、圧電トランシーバは、音響波、好ましくは、超音波の音響波をヘッド22から発射して、例えば口腔による音響波の反射によってセンサ66に戻ってくる音響波を受入れるように構成される。センサ66が受信した信号は、制御回路56に送信される。センサ66から受信した信号の1又は2以上のパラメータ、例えば、信号の周波数及び/又は振幅に応じて、制御回路56は、ポンプ組立体を作動させ、1又は2以上の作動流体の噴流を口腔に送出する。例えば、センサ66が受信した信号の振幅、又は、センサ66が受信した信号の振幅の時間変動は、ユーザの隣接した歯と歯の間の隙間内への音響信号の送信のしるしとなり得る。
【0050】
クリーニングツール14は、ハンドル12に取外し可能に結合されている。
図4a~
図6を参照すれば、ハンドル12は、好ましくは差込み部68の形態を有する雄コネクタを含み、雄コネクタは、好ましくはクリーニングツール14のステム20の凹部コネクタ70の形態を有する相補的な雌コネクタに受入れられる。差込み部68は、ハンドル12の端部から外方に突出し、好ましくは、ハンドル12の長手方向軸線Zと平行な方向に突出し、更に好ましくは、ハンドル12の長手方向軸線Zと同一線上に突出する。
【0051】
歯クリーニング電気器具10は、ステム20、かくして、毛支持部26をハンドル12に対して移動させる駆動機構を含む。
図4a~
図7を参照すると、駆動機構は、伝達ユニットと、ステム20をハンドル12に対して移動させるように伝達ユニットを駆動する駆動ユニットを含む。駆動ユニットは、ハンドル12の外本体16の中に配置された駆動モータ72を含む。制御回路56は、電力を駆動モータ72に供給するモータコントローラを含む。ボタン18はまた、駆動モータ72を作動させたり不作動にしたりするのに使用され、例えば、ボタン18を所定の期間の間に所定の回数押下げることによって、クリーニング期間を開始させ、引き続いて停止させる。変形例として、駆動モータ70を作動させたり不作動にしたりする別のボタン(図示せず)が設けられてもよい。
【0052】
伝達ユニットは、シャフト74を含み、シャフト74は、ハンドル12に対して振動するように駆動ユニットによって駆動される。差込み部68は、シャフト74に連結され、好ましくは、シャフト74と一体である。駆動ユニットは、好ましくは、シャフト74を振動させるように構成され、それにより、シャフト74は、ハンドル12の長手方向軸線Zの周りに、好ましくは200~300Hzの範囲の周波数で振動する。この実施形態では、駆動モータ72は、シャフト74を長手方向軸線の周りに且つ中心位置から角度αだけ遠ざけて回転させるように構成される。角度αは、好ましくは、5~15度の範囲内にあり、この実施形態では、10度である。駆動ユニットは更に、バネ部材76を含み、バネ部材76は、シャフト74をその中心位置に戻すように駆動シャフト74に係合する。バネ部材76は、駆動シャフト74の両側に配置された1対の捩りバネ78、80を含み、捩りバネ78、80は各々、駆動シャフト74に係合する第1の端部と、支持リング82に取付けられた第2の端部を含み、支持リング82は、ハンドル12に連結され、そうでなければ、ハンドル12に対して固定位置に保持される。
【0053】
図8a~
図8cを参照すると、ハンドル12に対するシャフト74の上記移動により、毛支持部26、かくして、毛支持部26に取付けられているノズル32及びセンサ66を、それぞれの湾曲した経路に沿って前後に移動させる。この実施形態では、ノズル32及びセンサ66は各々、ハンドル12の長手方向軸線Zの周りを
図8aに示す第1の角度方向位置と
図8cに示す第2の角度方向位置との間で移動させられ、第1の角度方向位置及び第2の角度方向位置は各々、
図8bに示す中心基準位置から角度方向に角度αだけ角度方向に間隔をあけている。
【0054】
歯クリーニング電気器具10の使用中、駆動信号が、制御回路56からセンサ66に送信され、センサ66からの音響波の送信を行わせる。引き続いて口腔からの反射によって戻ってくる音響波を示すデータ信号が、センサ66から制御回路56に送信されて戻され、それに応じて、制御回路56は、ノズル32からの作動流体の送出を行わせる。制御回路56は、ハンドル12の外本体16の中に配置され、センサ66は、クリーニングツール14の毛支持部26上に配置される。この実施形態では、制御回路56とセンサ66の間で送信される信号のための送信経路は、駆動ユニットに沿って延びている。
図6及び
図7を参照すると、捩りバネ78、80の各々の第2の端部は、支持リング82に形成されたそれぞれの回路接点84、86に連結される。電線(図示せず)が、回路接点84、86の各々から制御回路56まで延びる。捩りバネ78、80の各々の第1の端部は、それぞれのシャフト74に形成されたシャフト接点88、90に連結される。第1の絶縁スリーブ92が、シャフト74とシャフト接点88、90の間に配置され、シャフト接点88、90をシャフト74から電気的に絶縁する。シャフト接点88、90の各々は、第1の絶縁スリーブ92に沿って延びる導電性トラック98、100によって、それぞれのハンドル接点94、96に連結される。ハンドル接点94、96の各々は、差込み部68上に配置される。第2の絶縁スリーブ102が、導電性トラック98、100の上に配置され、それにより、ハンドル12の種々の異なる電気接点だけが、伝達経路に沿って露出される。クリーニングツール14の凹部コネクタ70は、クリーニングツール14をハンドル12に取付けたときにハンドル接点94、96に係合する1対のクリーニングツール接点を含む(一方を
図6において104で示す)。クリーニングツール接点104の各々は、凹部コネクタ70の内周面から内方に突出し、それぞれの電線によってセンサ66に連結される。
【0055】
ポンプ38をノズル32に接続する第2の導管50は、ハンドル12内に配置された ハンドル導管部分と、クリーニングツール14内に配置されたクリーニングツール導管部分を含む。ハンドル導管部分は、ポンプ38の流体出口52から、差込み部68の端部に配置されたハンドル流体出口106まで延びる。ハンドル導管部分は、シャフト74のボアによって定められる出口部分108を含む。クリーニングツール導管部分は、ステム22のボア110の中をノズル32まで延びる導管(図示せず)を含む。
【0056】
歯クリーニング電気器具10を作動させるために、ユーザが、ボタン18を押下げることによって、歯クリーニング電気器具10のスイッチをオンにすると、制御回路56は、ボタン18の作動を検出する。歯クリーニング電気器具10を使用して治療処理を開始する前、ユーザは、ボタン18、遠隔ディスプレイ、又はボタン18と遠隔ディスプレイの組合せを使用して、歯クリーニング電気器具10の作動モードを選択することができる。この実施形態では、歯クリーニング電気器具10は、第1の作動モードと第2の作動モードを有する。
【0057】
第1の作動モードでは、駆動機構は、毛支持部26をハンドル12に対して移動させる。このモードでは、制御回路56は、センサ66を駆動しないで、信号を口腔に送信し、したがって、センサ66から受信した信号に基づいてユーザの口腔に作動流体を自動送出することはない。この第1の作動モードの間、ユーザは、ボタン18を所定期間よりも短い間押下げることによって、ノズル32からの作動流体の単一の噴流の送出を行わせることができる。かかる所定期間は、好ましくは、0.5~2秒の範囲であり、この実施形態では、1秒である。ボタン18のこの押下げに応答して、制御回路56は、ポンプ38を作動させ、一定容積の水をポンプ38の流体チャンバからノズル32に押出し、一定容積の水を流体リザーバ30から引くことによって流体チャンバを補充する。
【0058】
第2の作動モードでは、第1の作動モードの機能性に加えて、制御回路56は、センサ66を作動させて、音響信号を歯クリーニング電気器具10のヘッド22から遠ざかるように送信させ、かくして、使用の際、ユーザの口腔に向かって送信させる。口腔から反射して戻ってくる信号は、センサ66によって検出され、受信した信号の強度を示すセンサ
66から受信した信号に応答して、制御回路56は、第1の作動モードの間にユーザがボタン18を押下げたときと同じ仕方で、口腔の治療を流体
送出システム34によって作動させるように構成される。
図8a~
図8cに示すように、毛支持部26が治療処理の間にハンドル12に対して移動するとき、センサ66の「視野」120は、ハンドル12に対して移動する。かくして、
図8aに示す第1の角度方向位置から
図8cに示す第2の角度方向位置までのセンサ66の1回の「スイープ」の間、視野120は、ハンドル12に対して20度の角度だけ走査される。制御回路56がセンサ66から受取った信号をサンプリングするように定められた周波数に応じて、センサ66から受取った信号は、歯間隙間に向かって移動する又はそれから遠ざかるクリーニングツール14の指示を行うことができる。次いで、制御回路56は、流体送出システム34の作動のタイミングを定めることができ、その結果、流体送出システムによって送出される作動流体の噴流が、歯間隙間に入り、ゴミ又はその他の物体を歯間隙間から押出すことを最適化する。
【0059】
この実施形態では、制御回路56は、センサ66がハンドル12に対して基準位置にあるときに、センサ66から受信した信号をサンプリングし又は処理するように構成される。この実施形態では、基準位置は、第1の角度方向位置と第2の角度方向位置の中間に位置し、
図8bに示されている。かくして、制御回路56は、口腔を横切るセンサ66の視野120の「走査」当たり1回、センサ66から受信した信号をサンプリングする。しかしながら、より一般的には、センサ66をハンドル12に対して振動周波数Fで移動させる, 制御回路56は、好ましくは、信号を周波数nF/16でサンプリングするように構成され、ここで、nは、1よりも大きい整数であり、本実施形態では32である。しかしながら、ハンドル12に対するセンサ66の移動経路に沿って配置された基準位置の数及びセンサ66が基準位置にあるときに制御回路56が信号をサンプリングするように構成されている周波数に応じて、nの値を32よりも大きくしてもよいし、小さくしてもよい。
【0060】
制御回路56が信号を特定の周波数でサンプリングするように構成されているとき、制御回路は更に、センサ66を作動させて、信号を口腔に向かって、制御回路56が信号をサンプリングする周波数と同じ周波数で送信するように構成されるのがよい。センサ66が光トランシーバの形態である又はLED等の光送信機とカメラ等の光受信機の組合せであれば、それにより、歯クリーニング電気器具10を口腔に沿って移動させたときに「ストロボ」効果を発生させることができる。パルス光信号を口腔に向かって放射することによってパルス光信号を口腔からカメラに戻し、カメラによって取得した口腔の画像を、光信号を口腔に向かって連続的に送信するときよりも鮮明にすることができる。より鮮明な画像を発生させることは、制御回路56が受信した信号又は画像に応じて、口腔の治療の正確性を向上させるのに有益である。
【0061】
制御回路56は、水の噴流が130で指示されている
図8dに示すように、センサ66が基準位置にあるときに口腔の治療を行わせるように構成されてもよい。
【0062】
2つの作動モードのいずれの間も、ボタン18は、現在選択されている作動モードから他の作動モードに一時的に切替えるように、ユーザによって操作可能である。この実施形態では、ボタン18を予め決められた期間よりも長い持続期間押下げたとき、制御回路56が、例えば第1の作動モードから第2の作動モードに、一時的に切替えるように構成される。いったんボタン18をかかる期間押下げたら、 ボタン18がユーザによって解放されるまで、制御回路56は、歯クリーニング電気器具10を第2の作動モードで作動させる。いったんボタン18を解放すると、制御回路56は、歯クリーニング電気器具10の作動を第1の作動モードに戻す。歯クリーニング電気器具10は第2の作動モードにあるけれども、ボタン18を予め決められた期間よりも短い持続期間押下げると、制御回路56は、第1の作動モードにおけるように、単一の口腔治療を行わせる。