(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】電子素子搭載用パッケージ及び電子装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20221107BHJP
【FI】
H01L23/12 K
H01L23/12 S
H01L23/12 301
(21)【出願番号】P 2021502370
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 JP2020008052
(87)【国際公開番号】W WO2020175626
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2019036177
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】北原 光
(72)【発明者】
【氏名】恩田 友治
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-245507(JP,A)
【文献】特開2011-134740(JP,A)
【文献】特開2010-272841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 23/02
H01S 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面上に配線パターンと、を有する配線基板と、
第2面と、前記第2面で開口する
円柱形状の貫通孔と、を有する基体と、
前記貫通孔を貫通しているとともに、前記貫通孔の前記開口から露出した第1端を有している信号線と、
前記貫通孔の内面と前記信号線との間を占めているとともに、前記貫通孔の前記開口側に位置する端面を含む端部と前記端部よりも前記貫通孔の前記開口より離れて位置する主要部とを有する絶縁部材と、
前記配線パターンと、前記信号線の前記第1端とを接合する導電性接合材と、
を備え、
前記絶縁部材の前記端部の誘電率が、前記絶縁部材の前記主要部の誘電率より大きい、
電子素子搭載用パッケージ。
【請求項2】
前記絶縁部材の前記端部は、前記主要部に隣接する第1部分と、前記第1部分に隣接するとともに前記端面を含む第2部分とを有しており、
前記第2部分の誘電率は前記第1部分の誘電率より大きい、請求項1に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項3】
第1面と、前記第1面上に配線パターンと、を有する配線基板と、
第2面と、前記第2面で開口する貫通孔と、を有する基体と、
前記貫通孔を貫通しているとともに、前記貫通孔の前記開口から露出した第1端を有している信号線と、
前記貫通孔の内面と前記信号線との間を占めているとともに、前記貫通孔の前記開口側に位置する端面を含む端部と前記端部よりも前記貫通孔の前記開口より離れて位置する主要部とを有する絶縁部材と、
前記配線パターンと、前記信号線の前記第1端とを接合する導電性接合材と、
を備え、
前記絶縁部材の前記端部の誘電率が、前記絶縁部材の前記主要部の誘電率より大きく、
前記絶縁部材の前記端部は、前記主要部に隣接する第1部分と、前記第1部分に隣接するとともに前記端面を含む第2部分とを有しており、
前記第2部分の誘電率は前記第1部分の誘電率より大きい、
電子素子搭載用パッケージ。
【請求項4】
前記絶縁部材の前記端部の誘電率は、前記端面に近いほど大きくなっている、請求項2
または3に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項5】
前記信号線の前記第1端は、前記絶縁部材の前記端面から突出していない、請求項1から
4のいずれか一項に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項6】
前記信号線は、前記第1端を含むとともに前記絶縁部材の前記端面から突出している突出部分を有しており、
前記突出部分は、前記導電性接合材により覆われている、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項7】
前記絶縁部材はガラスである、請求項1から
6のいずれか一項に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項8】
第1面と、前記第1面上に配線パターンと、を有する配線基板と、
第2面と、前記第2面で開口する貫通孔と、を有する基体と、
前記貫通孔を貫通しているとともに、前記貫通孔の前記開口から露出した第1端を有している信号線と、
前記貫通孔の内面と前記信号線との間を占めているとともに、前記貫通孔の前記開口側に位置する端面を含む端部と前記端部よりも前記貫通孔の前記開口より離れて位置する主要部とを有する絶縁部材と、
前記配線パターンと、前記信号線の前記第1端とを接合する導電性接合材と、
を備え、
前記絶縁部材の前記端部の誘電率が、前記絶縁部材の前記主要部の誘電率より大きく、
前記絶縁部材はガラスである、
電子素子搭載用パッケージ。
【請求項9】
前記絶縁部材の前記端部は樹脂であり、前記絶縁部材の前記主要部はガラスである、請求項1から
6のいずれか一項に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項10】
第1面と、前記第1面上に配線パターンと、を有する配線基板と、
第2面と、前記第2面で開口する貫通孔と、を有する基体と、
前記貫通孔を貫通しているとともに、前記貫通孔の前記開口から露出した第1端を有している信号線と、
前記貫通孔の内面と前記信号線との間を占めているとともに、前記貫通孔の前記開口側に位置する端面を含む端部と前記端部よりも前記貫通孔の前記開口より離れて位置する主要部とを有する絶縁部材と、
前記配線パターンと、前記信号線の前記第1端とを接合する導電性接合材と、
を備え、
前記絶縁部材の前記端部の誘電率が、前記絶縁部材の前記主要部の誘電率より大きく、
前記絶縁部材の前記端部は樹脂であり、前記絶縁部材の前記主要部はガラスである、
電子素子搭載用パッケージ。
【請求項11】
前記信号線に沿う方向における前記絶縁部材の前記端部の長さは、前記信号線により伝送される信号の波長の4分の1より小さい、請求項1から
10のいずれか一項に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項12】
第1面と、前記第1面上に配線パターンと、を有する配線基板と、
第2面と、前記第2面で開口する貫通孔と、を有する基体と、
前記貫通孔を貫通しているとともに、前記貫通孔の前記開口から露出した第1端を有している信号線と、
前記貫通孔の内面と前記信号線との間を占めているとともに、前記貫通孔の前記開口側に位置する端面を含む端部と前記端部よりも前記貫通孔の前記開口より離れて位置する主要部とを有する絶縁部材と、
前記配線パターンと、前記信号線の前記第1端とを接合する導電性接合材と、
を備え、
前記絶縁部材の前記端部の誘電率が、前記絶縁部材の前記主要部の誘電率より大きく、
前記信号線に沿う方向における前記絶縁部材の前記端部の長さは、前記信号線により伝送される信号の波長の4分の1より小さい、
電子素子搭載用パッケージ。
【請求項13】
請求項1から
12のいずれか一項に記載の電子素子搭載用パッケージと、
前記配線パターンと接合する電子素子と、
を備える、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子素子搭載用パッケージ及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子素子と接合される配線パターンと、当該配線パターンに接合される信号線とを有する電子素子搭載用のパッケージがある。このようなパッケージとして、金属の基体に貫通孔を設け、当該貫通孔の内部を占めている絶縁部材を貫通するように信号線を配置して同軸線路構造としたものがある。そして、このパッケージおいて、貫通孔の開口から露出している信号線と、マイクロストリップ線路構造等の配線パターンとを、導電性接合材により接合させている(例えば、特開2000-353846号公報)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一態様は、
第1面と、前記第1面上に配線パターンと、を有する配線基板と、
第2面と、前記第2面で開口する円柱形状の貫通孔と、を有する基体と、
前記貫通孔を貫通しているとともに、前記貫通孔の前記開口から露出した第1端を有している信号線と、
前記貫通孔の内面と前記信号線との間を占めているとともに、前記貫通孔の前記開口側に位置する端面を含む端部と前記端部よりも前記貫通孔の前記開口より離れて位置する主要部とを有する絶縁部材と、
前記配線パターンと、前記信号線の前記第1端とを接合する導電性接合材と、
を備え、
前記絶縁部材の前記端部の誘電率が、前記絶縁部材の前記主要部の誘電率より大きい、
電子素子搭載用パッケージである。
また、本開示の他の一態様は、
第1面と、前記第1面上に配線パターンと、を有する配線基板と、
第2面と、前記第2面で開口する貫通孔と、を有する基体と、
前記貫通孔を貫通しているとともに、前記貫通孔の前記開口から露出した第1端を有している信号線と、
前記貫通孔の内面と前記信号線との間を占めているとともに、前記貫通孔の前記開口側に位置する端面を含む端部と前記端部よりも前記貫通孔の前記開口より離れて位置する主要部とを有する絶縁部材と、
前記配線パターンと、前記信号線の前記第1端とを接合する導電性接合材と、
を備え、
前記絶縁部材の前記端部の誘電率が、前記絶縁部材の前記主要部の誘電率より大きく、
前記絶縁部材の前記端部は、前記主要部に隣接する第1部分と、前記第1部分に隣接するとともに前記端面を含む第2部分とを有しており、
前記第2部分の誘電率は前記第1部分の誘電率より大きい、
電子素子搭載用パッケージである。
また、本開示の他の一態様は、
第1面と、前記第1面上に配線パターンと、を有する配線基板と、
第2面と、前記第2面で開口する貫通孔と、を有する基体と、
前記貫通孔を貫通しているとともに、前記貫通孔の前記開口から露出した第1端を有している信号線と、
前記貫通孔の内面と前記信号線との間を占めているとともに、前記貫通孔の前記開口側に位置する端面を含む端部と前記端部よりも前記貫通孔の前記開口より離れて位置する主要部とを有する絶縁部材と、
前記配線パターンと、前記信号線の前記第1端とを接合する導電性接合材と、
を備え、
前記絶縁部材の前記端部の誘電率が、前記絶縁部材の前記主要部の誘電率より大きく、
前記絶縁部材はガラスである、
電子素子搭載用パッケージである。
また、本開示の他の一態様は、
第1面と、前記第1面上に配線パターンと、を有する配線基板と、
第2面と、前記第2面で開口する貫通孔と、を有する基体と、
前記貫通孔を貫通しているとともに、前記貫通孔の前記開口から露出した第1端を有している信号線と、
前記貫通孔の内面と前記信号線との間を占めているとともに、前記貫通孔の前記開口側に位置する端面を含む端部と前記端部よりも前記貫通孔の前記開口より離れて位置する主要部とを有する絶縁部材と、
前記配線パターンと、前記信号線の前記第1端とを接合する導電性接合材と、
を備え、
前記絶縁部材の前記端部の誘電率が、前記絶縁部材の前記主要部の誘電率より大きく、
前記絶縁部材の前記端部は樹脂であり、前記絶縁部材の前記主要部はガラスである、
電子素子搭載用パッケージである。
また、本開示の他の一態様は、
第1面と、前記第1面上に配線パターンと、を有する配線基板と、
第2面と、前記第2面で開口する貫通孔と、を有する基体と、
前記貫通孔を貫通しているとともに、前記貫通孔の前記開口から露出した第1端を有している信号線と、
前記貫通孔の内面と前記信号線との間を占めているとともに、前記貫通孔の前記開口側に位置する端面を含む端部と前記端部よりも前記貫通孔の前記開口より離れて位置する主要部とを有する絶縁部材と、
前記配線パターンと、前記信号線の前記第1端とを接合する導電性接合材と、
を備え、
前記絶縁部材の前記端部の誘電率が、前記絶縁部材の前記主要部の誘電率より大きく、
前記信号線に沿う方向における前記絶縁部材の前記端部の長さは、前記信号線により伝送される信号の波長の4分の1より小さい、
電子素子搭載用パッケージである。
【0004】
また、本開示の他の一の態様は、
上記の電子素子搭載用パッケージと、
前記配線パターンと接合する電子素子と、
を備える、電子装置である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】一実施形態に係る電子装置の全体斜視図である。
【
図2】
図1の導電性接合材による接合位置付近を拡大して示した図である。
【
図3】
図1の信号線を通る位置(A-A)での電子素子搭載用パッケージの断面を示す図である。
【
図4】比較例における特性インピーダンスの不整合に係る問題を説明する図である。
【
図5】実施例における特性インピーダンス整合を説明する図である。
【
図6A】電子素子搭載用パッケージにおける反射損失を信号の周波数に対して計算したシミュレーションの結果を示す図である。
【
図6B】電子素子搭載用パッケージにおける挿入損失を信号の周波数に対して計算したシミュレーションの結果を示す図である。
【
図7A】一実施形態に係る電子素子搭載用パッケージの製造方法を説明する図である。
【
図7B】一実施形態に係る電子素子搭載用パッケージの製造方法を説明する図である。
【
図7C】一実施形態に係る電子素子搭載用パッケージの製造方法を説明する図である。
【
図7D】一実施形態に係る電子素子搭載用パッケージの製造方法を説明する図である。
【
図8】一実施形態に係る電子素子搭載用パッケージの変形例1を示す断面図である。
【
図9】一実施形態に係る電子素子搭載用パッケージの変形例2を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0007】
(電子装置及び電子素子搭載用パッケージの構成)
まず、
図1~
図3を参照して一実施形態に係る電子装置1及び電子素子搭載用パッケージ100の構成について説明する。
図1は、本実施形態の電子装置1の全体斜視図である。
図2は、電子装置1に含まれる電子素子搭載用パッケージ100のうち、導電性接合材16による接合位置付近を拡大して示した図である。
図3は、信号線12を通る位置(A-A)での電子素子搭載用パッケージ100の断面を示す図である。
【0008】
電子装置1は、電子素子搭載用パッケージ100と、電子素子200とを備える。
電子素子搭載用パッケージ100は、基体11と、信号線12と、配線基板14と、絶縁部材15と、導電性接合材16などを備える。
【0009】
基体11は、導電性の金属であり、接地面として機能する。これに加えて、基体11には、熱伝導性(放熱性)の高いものが用いられてよい。基体11は、基部111と、突起部112とを有する。基部111は、ここでは、例えば、直径が3~10mm、厚さが0.5~2mmの円板状形状を有するが、これには限られない。基部111は、貫通孔111aを有する。貫通孔111a内は、絶縁部材15により占められている。絶縁部材15の材質及び貫通孔111aの大きさは、所望の特性インピーダンスに応じて定められればよい。基部111と突起部112は一体的であってよい。
なお、本実施形態においては、貫通孔111aは、第2面11aに垂直方向に延びる軸線を有した円柱形状である。すなわち、第2面11aにおける貫通孔111aの開口111bは、円形である。
【0010】
突起部112は、一方の面が平面状であり、配線基板14が当該一方の面上に位置している。配線基板14は、第1面14aを有する。この第1面14aは、突起部112との接続面とは反対側の面である。配線基板14は、第1面14a上に配線パターン141を有し、第1面14aとは反対側の面(突起部112側の面)に接地層142を有する。ここでは、配線基板14は、例えば、高周波線路基板として用いられる。配線基板14は、絶縁基板であり、例えば、樹脂である。配線基板14の厚さ及び材質(比誘電率)は、所望の特性インピーダンスに応じて適宜決定されればよい。本実施形態においては、配線基板14の側面のうち1面は、基部111の第2面11aに接合している。当該1面は、第1面14aに接する面であり、
図3に示すように、以後、接合面14bとする。なお、配線基板14は、後述する配線パターン141と信号線12との接続を妨げない範囲で基部111から離れていてもよい。
【0011】
信号線12は、棒状の導体である。信号線12は、基部111の貫通孔111a内の絶縁部材15を貫通しており、第2面11aにおける貫通孔111aの開口111bから露出している。換言すれば、
図3に示すように、信号線12は、開口111bにおける絶縁部材15の端面15aから露出している。すなわち、信号線12は、貫通孔111aを貫通しており、絶縁部材15が、貫通孔111aの内面と信号線12との間を占めている。信号線12の直径は、例えば、0.1~1.0mm程度である。信号線12のうち少なくとも1本は、基体11の接地端子であり、基部111に直接接合している。その他の信号線12は、基部111の第2面11aとは反対の面11bの側で突出しており、外部配線などと電気的に接続されて、リード電極として用いられる。
図1及び
図2では、第2面11aの側において、2本の信号線12が導電性接合材16を介して配線パターン141と接合している状態が示されている。
【0012】
信号線12の先端(第1端12a)は、基部111の第2面11aにおいて、貫通孔111aの円形の開口111bにおけるほぼ中央で、絶縁部材15の端面15aから露出している。また、
図3に示すように、信号線12の先端(第1端12a)は、絶縁部材15の端面15aから突出しない状態で露出している。換言すれば、信号線12の先端(第1端12a)は、絶縁部材15の端面15aと同一面内にある。信号線12は、絶縁部材15の内部では、当該絶縁部材15により外側の基部111と隔てられている。このような構成の基部111(貫通孔111a)、絶縁部材15及び信号線12により、同軸線路L1が形成されている。基部111内では、この同軸線路L1により信号が伝送される。
【0013】
本実施形態では、絶縁部材15として所定の誘電率を有するガラスが用いられている。より詳しくは、絶縁部材15のうち開口111b側の端部151(
図3参照)の誘電率が、当該端部151を除いた部分である主要部152の誘電率よりも大きくなっている。すなわち、絶縁部材15のうち端部151は、第1の誘電率を有するガラスであり、端部151に隣接する主要部152は、第2の誘電率を有するガラスであり、第1の誘電率が第2の誘電率より大きくなっている。したがって、絶縁部材15のうち端部151の比誘電率が、主要部152の比誘電率よりも大きくなっている。
【0014】
また、信号線12に沿う方向についての端部151の長さは、信号線12により伝送される信号の波長の4分の1より小さくなっていてもよい。本実施形態の信号線12には、周波数が約60GHzの信号が伝送され得る。よって、同軸線路L1の絶縁部材15として例えば比誘電率が6.8のガラスが用いられる場合には、伝送される信号の波長は約1.9mmとなるため、端部151の長さは0.48mm以下としてもよい。
【0015】
配線基板14上に形成された配線パターン141は、電子素子200と電気的に接続されて、当該電子素子200に電力及び信号を供給する。配線パターン141は、端部(ここでは2箇所)が導電性接合材16を介して信号線12と接合している。配線パターン141の形状、長さ及び位置は、接続される電子素子200のサイズ及び端子位置に応じて適宜定められる。また、接地層142は、配線基板14の突起部112側の面の全面に形成されていてもよく、突起部112と接合して接地電位とされる。配線パターン141及び接地層142は、抵抗の小さい導体金属膜、ここでは、金(Au)薄膜であってよい。
【0016】
図2に示すように、配線パターン141のうち信号線12と接続される配線部分は、配線基板14上を第2面11aに対してほぼ垂直に、絶縁部材15の端面15aの直近まで伸びている。配線パターン141は、配線基板14により接地層142と隔てられている。このような構成の配線パターン141及び接地層142により、配線基板14ではマイクロストリップ線路L2が形成されており、このマイクロストリップ線路L2により信号が伝送される。
【0017】
導電性接合材16は、信号線12及び第2面11aと、配線パターン141及び第1面14aとの間にわたって位置している。これにより、導電性接合材16は、第2面11aで露出している信号線12と、第1面14aの配線パターン141とを電気的に接合する。導電性接合材16としては、銀シンタリングペースト又は銅シンタリングペーストを用いることができる。シンタリングペーストは、銀又は銅といった導体金属と樹脂などの保護分子とが混在しており、加熱されて樹脂が反応を生じることで導体金属が結合して固着する。また、このときに樹脂成分が絶縁面とも接合する。したがって、導電性接合材16は、信号線12及び配線パターン141だけではなく、絶縁部材15及び配線基板14の絶縁面とも接合する。
【0018】
図1において破線で示されている電子素子200は、第1面14a上に位置しており、直接及び/又はワイヤボンディングなどにより配線パターン141と電気的に接続されて(接合して)いる。電子素子200は、半導体素子であってよい。電子素子200は、例えば、レーザーダイオードである。あるいは、電子素子200としては、フォトダイオード、LED(Light Emitting Diode)又はペルチェ素子、各種センサ素子など種々のものが用いられてよい。電子素子200の動作に伴って生じた熱は、基体11を介して排出される。
【0019】
突起部112、配線基板14(配線パターン141、接地層142)及び電子素子200は、図示略のカバー部材(蓋体)によって覆われて外部と隔離されてもよい。電子素子200が外部に光を出射したりする場合には、カバー部材が当該出射光の波長を透過させる材質の窓部を有していてもよい。
【0020】
(同軸線路L1とマイクロストリップ線路L2との特性インピーダンス整合)
次に、本実施形態の構成による、同軸線路L1とマイクロストリップ線路L2との特性インピーダンス整合に係る効果について、比較例と対比しつつ説明する。
【0021】
まず、
図4を参照して、比較例における特性インピーダンスの不整合に係る問題を説明する。
図4の比較例は、絶縁部材15の全体が均一な誘電率を有している点で
図3に示した本実施形態の構成とは異なる。また、
図4では、同軸線路L1及びマイクロストリップ線路L2の各位置における特性インピーダンスが、下部のグラフに示されている。
【0022】
同軸線路L1とマイクロストリップ線路L2は、特性インピーダンスが所定の基準値(ここでは、25Ω)となるように特性インピーダンス整合が図られるが、同軸線路L1とマイクロストリップ線路L2との境界位置の近傍では、局所的にインピーダンスが変化、特に上昇しやすい。その要因の一つは、同軸線路L1のうち、マイクロストリップ線路L2との境界からの近傍領域(
図4において破線の楕円で模式的に示されている領域。以下では、「境界領域R」と記す)において、信号線12と基部111との間の電界Eが弱くなるためである。すなわち、境界領域Rの電界Eが弱くなることで、境界領域Rにおける容量Cが低下し、その結果、特性インピーダンスの増大につながる。
【0023】
より詳しくは、同軸線路L1の単位長さ当たりの容量Cは、同軸線路L1における絶縁部材15の比誘電率をε、電極面積をS、電極間電位差をVとして、式(1)で表される。
C=εSE/V …(1)
マイクロストリップ線路L2との境界領域Rでは、式(1)における電界Eが小さくなることで、容量Cが小さくなる。
【0024】
一方で、同軸線路L1の特性インピーダンスZ
0は、単位長さ当たりのインダクタンスをLとして、式(2)で表される。
Z
0=(L/C)
1/2 …(2)
マイクロストリップ線路L2との境界領域Rでは、上記のように式(1)の容量Cが小さくなることで、式(2)の特性インピーダンスZ
0が増大する。この結果、
図4の下部のグラフにおいて矢印Aで示されているように、同軸線路L1のうちマイクロストリップ線路L2との境界近傍において、局所的に特性インピーダンスが基準値から増大する。これにより、同軸線路L1とマイクロストリップ線路L2との間で特性インピーダンスの不整合が生じる。
【0025】
これに対し、本実施形態の構成では、
図5の実施例に示すように、絶縁部材15のうち、マイクロストリップ線路L2との境界近傍にある端部151の誘電率が、当該端部151を除いた主要部152の誘電率より大きくなっている。そのため、上記比較例における特性インピーダンスの不整合が低減される。この効果について、
図5を参照して説明する。
【0026】
同軸線路L1のうち絶縁部材15の端部151の形成領域では、主要部152の形成領域と比較して、式(1)における比誘電率εが大きくなることで容量Cが増大する。よって、端部151の形成領域では、式(2)における容量Cが増大する結果、特性インピーダンスZ
0が小さくなる。これにより、
図5の下部のグラフに示されているように、同軸線路L1のうちマイクロストリップ線路L2との境界近傍では、電界Eが小さくなることによる特性インピーダンスの増大(矢印A)と、絶縁部材15の端部151の誘電率を大きくしたことによる特性インピーダンスの減少(矢印B)とが相殺されて、特性インピーダンスの変化が低減される。この結果、同軸線路L1とマイクロストリップ線路L2との間での特性インピーダンスの不整合が低減される。これにより、特に高周波数の信号の電力損失を効果的に低減でき、良好な伝送特性を得ることができる。
【0027】
また、上述した通り、信号線12に沿う方向についての端部151の長さは、信号線12により伝送される信号の波長の4分の1より小さくなっている。よって、同軸線路L1とマイクロストリップ線路L2との境界位置から、伝送信号の波長に対して十分に小さい範囲内で、端部151の誘電率を大きくすることにより特性インピーダンスを低下させることができる。その結果、より効果的に特性インピーダンスを整合させることができる。
【0028】
図6A及び
図6Bは、
図5の実施例の電子素子搭載用パッケージ100、及び
図4の比較例の電子素子搭載用パッケージにおける損失を、信号の周波数に対して計算したシミュレーションの結果を示す図である。
図6A及び
図6Bでは、実施例のシミュレーション結果を実線で、比較例のシミュレーション結果を破線で、それぞれ示している。
【0029】
図6Aに示すように、鎖線の楕円で示した50GHz以上の高周波帯域において、実施例の反射損失(0に近いほど入射に対して反射が大きくなる)は、比較例の反射損失より低い結果となった。また、
図6Bに示すように、高周波帯域において、実施例の挿入損失(損失は値の絶対値が大きいほど大きい)は、比較例の挿入損失より低い結果となった。
【0030】
(電子素子搭載用パッケージ100の製造方法)
図7A~
図7Dは、電子素子搭載用パッケージ100の製造方法、特に端部151の誘電率を主要部152の誘電率より大きくした絶縁部材15を形成する方法を説明する図である。
【0031】
電子素子搭載用パッケージ100の製造方法では、まず、貫通孔111aが形成された基部111を治具2に設置し、治具2に設けられた穴を通して貫通孔111a内に信号線12を配置する。この状態で、
図7Aに示すように、基部111及び信号線12の間に、円筒形状に成形されたプリフォームガラス152pを設置する。ここでは、基部111及び信号線12の間の空間の体積よりも小さい体積を有するプリフォームガラス152pを用いる。
【0032】
次に、
図7Bに示すように、治具2に設置した各部材を、プリフォームガラス152pの溶融温度T152p以上の温度に加熱して、プリフォームガラス152pを溶融させる。その後、溶融したプリフォームガラス152pを溶融温度T152p未満に冷却することで、貫通孔111aの内部のうち、上端近傍の一部を除いた領域に、絶縁部材15の主要部152が形成される。
【0033】
次に、
図7Cに示すように、主要部152に重ねて、基部111及び信号線12の間に、円筒形状に成形されたプリフォームガラス151pを設置する。プリフォームガラス151pとしては、プリフォームガラス152pよりも溶融温度が低く、かつ誘電率が大きいものを用いる。すなわち、プリフォームガラス151pの溶融温度T151pは、プリフォームガラス152pの溶融温度T152pよりも低い。また、基部111、信号線12及び主要部152によって囲まれた筒状の空間の体積と同一の体積を有するプリフォームガラス151pを用いる。
【0034】
次に、
図7Dに示すように、治具2に設置した各部材を、プリフォームガラス151pの溶融温度T151p以上、かつプリフォームガラス152pの溶融温度T152p未満の温度に加熱して、プリフォームガラス151pを溶融させる。その後、溶融したプリフォームガラス151pを溶融温度T151p未満に冷却することで、貫通孔111aの内部のうち上端近傍に、絶縁部材15の端部151が形成される。この後、基部111を治具2から取り外し、
図1に示した他の構成要素を取り付けることで、電子素子搭載用パッケージ100が完成する。
【0035】
なお、
図7A~
図7Dに示した順序とは逆に、まずプリフォームガラス151pを溶融させて端部151を形成し、その後にプリフォームガラス152pを溶融させて主要部152を形成してもよい。この場合には、プリフォームガラス151pとして、プリフォームガラス152pより溶融温度が高いものを用いればよい。また、この場合には、信号線12を治具2の表面に突き当てた状態で、治具2の当該表面上に端部151を形成することで、信号線12の先端の位置を、容易に端部151の端面15aの位置に合わせることができる。
【0036】
(変形例1)
図8は、上記実施形態の電子素子搭載用パッケージ100の変形例1を示す断面図である。変形例1の電子素子搭載用パッケージ100では、絶縁部材15の端部151は、当該端部151内で開口111b側の端面15aに近い部分ほど誘電率が大きくなっている。すなわち、端部151は、主要部152に隣接する第1部分1511と、第1部分1511の開口111b側に隣接する第2部分1512とからなる。そして、第1部分1511の誘電率は主要部152の誘電率より大きく、第2部分1512の誘電率は第1部分1511の誘電率より大きくなっている。
【0037】
通常、同軸線路L1のマイクロストリップ線路L2との境界近傍では、境界に近付くにつれて電界の大きさが急減し、これに伴って特性インピーダンスが急増する。本変形例1の構成によれば、このように特性インピーダンスが急増する態様に合わせて誘電率を段階的に増大させることができる。このため、電界が小さくなることによる特性インピーダンスの増大と、絶縁部材15の端部151の誘電率を大きくすることによる特性インピーダンスの減少とを、より好適に相殺することができる。その結果、特性インピーダンスの整合を好適にすることができる。
【0038】
なお、端部151内の誘電率が3段階以上に変化する構成としてもよい。また、誘電率が段階的に変化する構成に代えて、端部151内で開口111bに向かって誘電率が滑らかに漸増する構成としてもよい。また、第1部分1511の誘電率及び第2部分1512の誘電率がともに漸増する場合、第1部分1511の誘電率の増加率と、第2部分1512の誘電率の増加率とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2部分1512の誘電率の増加率が第1部分1511の誘電率の増加率よりも大きい場合、境界近傍において特性インピーダンスが急増する態様に合わせて、特性インピーダンスの不整合を低減する効果が高まる。
【0039】
(変形例2)
図9は、上記実施形態の電子素子搭載用パッケージ100の変形例2を示す断面図である。変形例2の電子素子搭載用パッケージ100は、信号線12の先端(第1端12a)が、絶縁部材15の端面15aからマイクロストリップ線路L2側に突出している点で上記実施形態と異なる。信号線12のうち、端面15aから絶縁部材15の外部に突出している突出部分121は、導電性接合材16により覆われている。これにより、信号線12の突出部分121と、配線パターン141との間の空間、すなわち信号線12の突出部分121及び配線パターン141により容量Cが形成され得る空間が、信号線12及び配線パターン141と同電位に保たれる。このため、信号線12の突出部分121と配線パターン141との間の容量Cを極めて小さくすることができ、当該容量Cに起因する特性インピーダンスの変化を、実質的に無視できる大きさにすることができる。このため、変形例2のように信号線12を突出させた構成によっても、上記実施形態と同様のインピーダンス整合を行うことができる。
【0040】
変形例2の電子素子搭載用パッケージ100における損失を信号の周波数に対して計算したシミュレーションの結果は、
図6A及び
図6Bにおいて実線で示した実施例の結果と同一となった。
【0041】
(変形例3)
上記実施形態では、絶縁部材15の端部151及び主要部152の材質をいずれもガラスとしたが、この構成に限られず、絶縁部材15としては、ガラス以外の絶縁性を有する部材を用いてもよい。ただし、主要部152については、貫通孔111a内で一旦溶融させてから固化させて形成することが可能な部材(典型的には、ガラス)を用いることで、同軸線路L1における信号線12と基部111との間の気密性を確保することができる。端部151については、開口111b側の限られた範囲に配置される部材であるため、必ずしも気密性が確保できる材質のものを用いなくてもよい。よって、端部151としては、例えば、絶縁性を有する樹脂やセラミック材などを用いてもよい。
【0042】
以上のように、本実施形態の電子素子搭載用パッケージ100は、第1面14aと、第1面14a上に配線パターン141と、を有する配線基板14と、第2面11aと、第2面11aで開口する貫通孔111aと、を有する基体11と、を備える。また、電子素子搭載用パッケージ100は、貫通孔111aを貫通しているとともに、貫通孔111aの開口111bから露出した第1端12aを有している信号線12と、貫通孔111aの内面と信号線12との間を占めているとともに、貫通孔111aの開口111b側に位置する端面15aを含む端部151と端部151よりも貫通孔111aの開口111bより離れて位置する主要部152とを有する絶縁部材15と、を備える。また、電子素子搭載用パッケージ100は、配線パターン141と、信号線12の第1端12aとを接合する導電性接合材16を備える。また、絶縁部材15の端部151の誘電率が、絶縁部材15の主要部152の誘電率より大きい。
このように、同軸線路L1の絶縁部材15のうち、配線パターン141を含むマイクロストリップ線路L2との境界近傍にある端部151の誘電率を大きくすることで、当該境界近傍における容量を増大させ、特性インピーダンスを小さくすることができる。よって、前記境界近傍において、電界が小さくなることによる特性インピーダンスの増大と、絶縁部材15の端部151の誘電率を大きくしたことによる特性インピーダンスの減少とを相殺させて、特性インピーダンスの変化を低減することができる。この結果、同軸線路L1とマイクロストリップ線路L2との間での特性インピーダンスの不整合が低減される。これにより、特に高周波数の信号の電力損失を効果的に低減でき、良好な信号の伝送特性を得ることができる。
【0043】
また、上述の変形例1における絶縁部材15の端部151は、主要部152に隣接する第1部分1511と、第1部分1511に隣接するとともに端面15aを含む第2部分1512とを有しており、第2部分1512の誘電率は第1部分1511の誘電率より大きくなっていてもよい。また、上述の変形例1における絶縁部材15の端部151の誘電率は、端面15aに近いほど大きくなっていてもよい。これによれば、同軸線路L1のマイクロストリップ線路L2との境界近傍において特性インピーダンスが急増する態様に合わせて、誘電率を段階的に増大させることができる。このため、電界が小さくなることによる特性インピーダンスの増大と、絶縁部材15の端部151の誘電率を大きくすることによる特性インピーダンスの減少とを、より好適に相殺することができる。
【0044】
また、信号線12の先端(第1端12a)は、絶縁部材15の端面15aから突出していなくてもよい。これにより、信号線12が同軸線路L1から突出して配線パターン141と並行に位置することによるノイズなどの問題を低減することができる。また、突出した信号線12と配線パターン141との間に容量が形成されて特性インピーダンスが増大し、特性インピーダンスの不整合が生じるのを低減することができる。
【0045】
また、上述の変形例2では、信号線12は、第1端12aを含むとともに絶縁部材15の端面15aから突出している突出部分121を有しており、突出部分121は、導電性接合材16により覆われていてもよい。これによれば、信号線12の突出部分121と、配線パターン141との間の空間を、信号線12及び配線パターン141と同電位に保つことができる。このため、信号線12の突出部分121と配線パターン141との間の容量を極めて小さくすることができ、当該容量に起因する特性インピーダンスの変化を、実質的に無視できる大きさに低減することができる。
【0046】
また、絶縁部材15はガラスであってもよい。このようなガラスは、同軸線路L1における信号線12と基部111との間の空間で溶融させた後に固化させることで形成されるため、当該空間の気密性をガラスにより確保することができる。よって、上記空間に空気が混入して誘電率が所望の値からずれることによる信号の伝送特性の低下を低減することができる。
【0047】
また、上述の変形例3に示したように、絶縁部材15のうち端部151を樹脂とし、主要部152をガラスとしてもよい。このような構成によっても、同軸線路L1における信号線12と基部111との間の空間の気密性を、主要部152のガラスにより十分に確保することができる。加えて、端部151の誘電率を大きくして特性インピーダンスの不整合を低減することができる。
【0048】
また、信号線12に沿う方向における絶縁部材15の端部151の長さは、信号線12により伝送される信号の波長の4分の1より小さくてもよい。これによれば、特性インピーダンスの不整合をより効果的に低減することができる。
【0049】
また、本実施形態の電子装置1は、上述の電子素子搭載用パッケージ100と、配線パターン141と接合する電子素子200と、を備える。このような電子装置1では、より適切な特性インピーダンス整合を行うことで、信号の電力損失を低減させることができ、消費電力を無駄にせずに電子素子200を有効に動作させることができる。
【0050】
なお、上記実施の形態は例示であり、様々な変更が可能である。
例えば、第1面14aと第2面11aとの位置関係は、直交していなくてもよく、各面の形状などは電子素子200などに応じて適宜定められてよい。また、信号線12と接合する配線パターン141の配線部分は、第2面11aに直交する向きに伸びていなくてもよい。
【0051】
また、配線基板14の第1面14aの配線パターン141、及び金属の突起部112によってマイクロストリップ線路L2が構成できる場合には、接地層142は省略しても良い。
【0052】
また、上記実施の形態では、導電性接合材16として銀シンタリングペースト又は銅シンタリングペーストを用いることとして説明したが、導電性接合材16は配線基板14に接合する導電性の接合材であればその他のものであってもよい。
【0053】
また、上記実施の形態の
図3では、信号線12の先端(第1端12a)が絶縁部材15の端面15aと同一面内にある例を挙げて説明したが、これに限られず、信号線12の先端(第1端12a)は、絶縁部材15の端面15aより内側(
図3において端面15aより右側)にあっても良い。換言すれば、信号線12の先端(第1端12a)は、絶縁部材15の端面15aから窪んだ位置にあっても良い。この場合においても、信号線12の先端(第1端12a)を導電性接合材16に接触させることで、信号線12と配線パターン141とを接続することができる。
【0054】
その他、上記実施の形態で示した構成、構造、位置関係及び形状などの具体的な細部は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示は、電子素子搭載用パッケージ及び電子装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 電子装置
2 治具
11 基体
11a 第2面
111 基部
111a 貫通孔
111b 開口
112 突起部
12 信号線
12a 先端(第1端)
121 突出部分
14 配線基板
14a 第1面
14b 接合面
141 配線パターン
142 接地層
15 絶縁部材
15a 端面
151 端部
1511 第1部分
1512 第2部分
152 主要部
16 導電性接合材
100 電子素子搭載用パッケージ
200 電子素子
L1 同軸線路
L2 マイクロストリップ線路