(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】タイヤ内電気機器
(51)【国際特許分類】
B60C 23/04 20060101AFI20221107BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20221107BHJP
G01L 17/00 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
B60C23/04 110A
B60C23/04 110D
B60C19/00 K
G01L17/00 301L
(21)【出願番号】P 2021507104
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2020008337
(87)【国際公開番号】W WO2021171561
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】山田 博久
(72)【発明者】
【氏名】磯和 弘毅
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0248947(US,A1)
【文献】特表2018-506462(JP,A)
【文献】特開2012-245888(JP,A)
【文献】特開2007-118885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/04
B60C 19/00
G01L 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤホイールのリムの外周面に巻回されるベルトにより、前記リムの外周面に固定されるブラケットと、前記ブラケットに着脱可能に保持される電気回路ユニットと、を備えてなるタイヤ内電気機器において、
前記電気回路ユニットと前記ブラケットとに設けられ、前記電気回路ユニットを前記ブラケットに対して第1方向に移動してから、前記第1方向と交差する第2方向に移動又は回動する二段階操作を経て、前記第2方向の逆戻り以外の全ての移動及び回動を規制するように互いに係合する係合突部及び係合孔と、
前記第2方向と交差する方向からブラケットに装着されて前記電気回路ユニットと前記第2方向で対向し、前記電気回路ユニットの前記第2方向への移動を規制するリテーナと、
前記ブラケットと前記リテーナとに形成され、それらの一方の弾性変形を経て互いに係合し、前記リテーナを前記ブラケットに係止するリテーナ係止部と、を備え
、
前記ブラケットには、前記リムの外周面から離れる側に突出し、前記電気回路ユニットを間に挟んで対向する第1対向支持部及び第2対向支持部が設けられ、
前記係合突部は、前記電気回路ユニットから相反する向きに突出する第1係合突部及び第2係合突部からなり、
前記係合孔は、前記第1対向支持部を前記第2対向支持部との対向方向に貫通し、前記第1係合突部が前記対向方向に対して傾斜した前記第1方向から挿入される第1係合孔と、前記第2対向支持部を前記第1対向支持部との対向方向に貫通すると共に前記第2対向支持部の先端面又は側面に開口する突部受容口を有し、前記第2係合突部が前記突部受容口を通過する前記第2方向から受容される第2係合孔とからなり、
前記第2係合孔における前記第2方向の途中部分を幅広に拡張してなり、前記リテーナが前記第2方向と交差する方向から挿入されるリテーナ受容部を備えるタイヤ内電気機器。
【請求項2】
タイヤホイールのリムの外周面に巻回されるベルトにより、前記リムの外周面に固定されるブラケットと、前記ブラケットに着脱可能に保持される電気回路ユニットと、を備えてなるタイヤ内電気機器において、
前記電気回路ユニットと前記ブラケットとに設けられ、前記電気回路ユニットを前記ブラケットに対して第1方向に移動してから、前記第1方向と交差する第2方向に移動又は回動する二段階操作を経て、前記第2方向の逆戻り以外の全ての移動及び回動を規制するように互いに係合する係合突部及び係合孔と、
前記第2方向と交差する方向からブラケットに装着されて前記電気回路ユニットと前記第2方向で対向し、前記電気回路ユニットの前記第2方向への移動を規制するリテーナと、
前記ブラケットと前記リテーナとに形成され、それらの一方の弾性変形を経て互いに係合し、前記リテーナを前記ブラケットに係止するリテーナ係止部と、を備え、
前記係合突部は、対をなして前記電気回路ユニットから前記リムの外周面に向かって突出すると共に、それらの突出方向である前記第1方向とそれらの対向方向である前記第2方向との両方向に直交する第3方向で、先端部を基端部より拡張させてなるフット部を有し、
前記ブラケットには、前記リムの外周面から離れる側に突出しかつ、その突出方向に直交する上面壁を先端部に有する1対の台座突部が設けられ、
前記係合孔は、対をなして前記1対の台座突部の前記上面壁を貫通し、
1対の前記係合孔には、1対の前記係合突部の前記フット部が丁度通過する幅広部と、前記幅広部より前記第2方向の一方側に位置し、前記1対の係合突部の前記基端部が丁度通過する幅狭部とが備えられ、
前記電気回路ユニットが前記第1方向に移動されて前記1対の係合突部が前記1対の係合孔の前記幅広部に挿入されてから前記第2方向に移動されて前記1対の係合突部の前記基端部が、前記1対の係合孔の前記幅狭部に係合した後、前記1対の係合孔の何れかの前記幅広部に前記リテーナが挿入されるタイヤ内電気機器。
【請求項3】
前記1対の係合突部は、前記1対の係合孔の何れにも係合可能である請求項2に記載のタイヤ内電気機器。
【請求項4】
タイヤホイールのリムの外周面に巻回されるベルトにより、前記リムの外周面に固定されるブラケットと、前記ブラケットに着脱可能に保持される電気回路ユニットと、を備えてなるタイヤ内電気機器において、
前記電気回路ユニットと前記ブラケットとに設けられ、前記電気回路ユニットを前記ブラケットに対して第1方向に移動してから、前記第1方向と交差する第2方向に移動又は回動する二段階操作を経て、前記第2方向の逆戻り以外の全ての移動及び回動を規制するように互いに係合する係合突部及び係合孔と、
前記第2方向と交差する方向からブラケットに装着されて前記電気回路ユニットと前記第2方向で対向し、前記電気回路ユニットの前記第2方向への移動を規制するリテーナと、
前記ブラケットと前記リテーナとに形成され、それらの一方の弾性変形を経て互いに係合し、前記リテーナを前記ブラケットに係止するリテーナ係止部と、を備え、
前記係合突部は、前記リムの外周面に向かって突出し、互いに対向する第1係合突部及び第2係合突部からなり、
前記第1係合突部には、その先端部を前記第2係合突部から離れる側に屈曲させてなる屈曲係合片が備えられ、
前記第2係合突部には、前記第1係合突部及び前記第2係合突部の突出方向である前記第1方向とそれらの対向方向である前記第2方向との両方向に対して直交する第3方向で、前記第2係合突部の先端部を基端部より拡張させてなるフット部が備えられ、
前記ブラケットには、前記リムの外周面から離れる側に突出しかつ、その突出方向に直交する上面壁を先端部に有する1対の台座突部が設けられ、
前記係合孔は、一方の前記台座突部のうち他方の前記台座突部側を向いた側壁を貫通する第1係合孔と、他方の前記台座突部の前記上面壁を貫通する第2係合孔とからなり、
前記第2係合孔には、前記フット部が丁度通過する幅広部と、前記第2係合突部の前記基端部が丁度通過し、前記幅広部より前記第1係合孔側に位置する幅狭部とが備えられ、
前記第1方向に前記電気回路ユニットが移動されて前記第2係合突部が、前記第2係合孔の前記幅広部に挿入されてから前記第2方向に移動されて前記第2係合突部の前記基端部が、前記第2係合孔の前記幅狭部に係合すると共に、前記第1係合突部の前記屈曲係合片が前記第1係合孔に係合した後、前記第2係合孔の前記幅広部に前記リテーナが挿入されるタイヤ内電気機器。
【請求項5】
前記電気回路ユニットは、タイヤ内の圧力を検出する圧力センサと、前記圧力センサの検出結果を無線送信する無線回路とを有する請求項1から4の何れか1の請求項に記載のタイヤ内電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤホイールに固定されるブラケットと、ブラケットに着脱可能に保持される電気回路ユニットとを備えてなるタイヤ内電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のタイヤ内電気機器として、タイヤホイールのリムに巻回されるベルトによってブラケットがタイヤホイールに固定され、電気回路ユニットがブラケットに備えた係合部を弾性変形をさせて係合するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】(米国公開公報第2014/0007666号 Fig3,段落[0029])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のタイヤ内電気機器では、ブラケットによる電気回路ユニットの保持力を高くすると、ブラケットに電気回路ユニットを取り付ける際に、係合部の弾反力が大きくなり、ブラケットを電気回路ユニットに取り付ける作業が困難になるという問題があった。そこで、本開示では、電気回路ユニットをブラケットに容易に取り付けることができ、ブラケットによる電気回路ユニットの保持力が従来より高いタイヤ内電気機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、タイヤホイールのリムの外周面に巻回されるベルトにより、前記リムの外周面に固定されるブラケットと、前記ブラケットに着脱可能に保持される電気回路ユニットと、を備えてなるタイヤ内電気機器において、前記電気回路ユニットと前記ブラケットとに設けられ、前記電気回路ユニットを前記ブラケットに対して第1方向に移動してから、前記第1方向と交差する第2方向に移動又は回動する二段階操作を経て、前記第2方向の逆戻り以外の全ての移動及び回動を規制するように互いに係合する係合突部及び係合孔と、前記第2方向と交差する方向からブラケットに装着されて前記電気回路ユニットと前記第2方向で対向し、前記電気回路ユニットの前記第2方向への移動を規制するリテーナと、前記ブラケットと前記リテーナとに形成され、それらの一方の弾性変形を経て互いに係合し、前記リテーナを前記ブラケットに係止するリテーナ係止部と、を備え、前記ブラケットには、前記リムの外周面から離れる側に突出し、前記電気回路ユニットを間に挟んで対向する第1対向支持部及び第2対向支持部が設けられ、前記係合突部は、前記電気回路ユニットから相反する向きに突出する第1係合突部及び第2係合突部からなり、前記係合孔は、前記第1対向支持部を前記第2対向支持部との対向方向に貫通し、前記第1係合突部が前記対向方向に対して傾斜した前記第1方向から挿入される第1係合孔と、前記第2対向支持部を前記第1対向支持部との対向方向に貫通すると共に前記第2対向支持部の先端面又は側面に開口する突部受容口を有し、前記第2係合突部が前記突部受容口を通過する前記第2方向から受容される第2係合孔とからなり、前記第2係合孔における前記第2方向の途中部分を幅広に拡張してなり、前記リテーナが前記第2方向と交差する方向から挿入されるリテーナ受容部を備えるタイヤ内電気機器である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の第1実施形態のタイヤ内電気機器の分解状態の斜視図
【
図5】ブラケットが内部に配置されたタイヤの断面図
【
図6】リムの外周面に固定されたブラケットの側面図
【
図7】リムの外周面に固定されたブラケットの側面図
【
図8】第2実施形態のタイヤ内電気機器の分解状態の斜視図
【
図9】電気回路ユニット及びブラケットの一部を拡大した斜視図
【
図10】タイヤホイールに固定されたブラケットの一部破断の斜視図
【
図11】タイヤ内電気機器の組付途中の状態の斜視図
【
図13】タイヤホイールに固定されたタイヤ内電気機器の側面図
【
図14】第3実施形態のタイヤ内電気機器の分解状態の斜視図
【
図16】第4実施形態のタイヤ内電気機器の分解状態の斜視図
【
図18】第5実施形態のタイヤ内電気機器の分解状態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図7を参照して本開示の第1実施形態のタイヤ内電気機器101について説明する。
図1に示すように、本実施形態のタイヤ内電気機器101は、電気回路ユニット50Aと、それを支持するブラケット10Aとを備えてなる。また、ブラケット10Aには、リテーナ70Aが着脱可能に備えられている。なお、ブラケット10Aは、リテーナ70Aとそれが着脱されるブラケット10Aの本体部とからなるが、以下の説明では、リテーナ70Aの着脱対象としてのブラケット10Aの本体部を、単に「ブラケット10A」ということとする。また、
図1の上下方向を、タイヤ内電気機器101における「上下方向」ということとする。
【0008】
電気回路ユニット50Aは、
図2に示した電気回路110を内部に有する。その電気回路110は、タイヤ99内に配置される公知なものであって、制御回路115に、圧力センサ111と、加速度センサ112と、温度センサ113と、無線回路114と、電源116(例えば、ボタン電池)とを接続して備える。
【0009】
また、車両本体120には、電気回路ユニット50Aに対応する信号処理回路121が設けられ、その信号処理回路121に接続された無線回路122と電気回路ユニット50Aの無線回路114との間で無線通信が行われて、圧力センサ111、加速度センサ112及び温度センサ113の検出結果が信号処理回路121に取り込まれる。そして、信号処理回路121が、例えば圧力センサ111及び温度センサ113の検出結果に基づいてタイヤ99の状態を監視し、加速度センサ112の検出結果に基づいて路面状況を監視する。
【0010】
なお、電気回路ユニット50A内の電気回路110は、タイヤ99内に配置して使用されるものであれば、上記の構成に限定されるものでなく、例えば、圧力センサ111、加速度センサ112及び温度センサ113の何れか1つ又は2つのみを備えたものでもよいし、それら以外のセンサを備えたものであってもよい。また、加速度センサ112の検出結果は、例えば、車両が走行中か否かを判別するために使用してもよい。
【0011】
電気回路ユニット50Aは、上記した電気回路110を
図1に示したハウジング54内に収容している。ハウジング54は、平面形状が略長方形の箱形構造をなしている。ハウジング54の略長方形の上面54Jにおける長手方向の複数位置からは、短手方向に延びる複数のリブ54Lが突出している。また、ハウジング54の上面54Jの一方の長辺側の外縁部からは、斜め上方に向けて突壁54Kが張り出し、複数のリブ54Lの一端部が突壁54Kに接続されている。また、ハウジング54の上面54Jにおけるリブ54L同士の間には、ハウジング54内の圧力センサ111に連通する通気孔54Bが開口している。さらには、突壁54Kにはバルブ装着孔54Aが形成され、ハウジング54の上面の突壁54K寄り位置には、バルブ装着孔54Aと同心の円弧溝54Mが形成されている。そして、例えば、図示しないタイヤバルブの端部をバルブ装着孔54Aに挿入して固定することで、ブラケット10Aを使用しないで、電気回路ユニット50Aをタイヤホイール95(
図5参照)に固定することもできるようになっている。
【0012】
ハウジング54の長手方向の両端面からは相反する方向に第1係合突部51と第2係合突部52とが突出している。第1係合突部51は、上下方向に扁平な断面長方形をなして上下方向と直交する方向に延びている。また、第1係合突部51の上面51Jの先端側の縁部からは係止突条51Aが突出し、第1係合突部51の下面51Nと先端面との間の角部は、R面取りされて円弧面51Eを有する。
【0013】
一方、第2係合突部52は、第1係合突部51から係止突条51Aと円弧面51Eを排除した形状をなし、第1係合突部51の同軸上に延びている。また、ハウジング54の長手方向の両端面のうち、第1係合突部51及び第2係合突部52の真下位置からは、矩形突部54Tがそれぞれ突出している(
図1では、第2係合突部52の下方の矩形突部54Tのみが示されている)。各矩形突部54Tの突出量は、第1係合突部51及び第2係合突部52に比べて僅かであり、各矩形突部54Tの先端面は、第1係合突部51及び第2係合突部52の突出方向に対して直交する平坦面になっている。
【0014】
ブラケット10Aは、帯状板金の両端部を、それらの間の中間部に対して屈曲させて対向させた構造をなしている。そして、帯状板金の中間部がベース部14をなし、両端部がベース部14から上方に起立する第1対向支持部11と第2対向支持部12になっている。
【0015】
ベース部14は、上方に円弧状に膨らむように湾曲している。また、第1対向支持部11及び第2対向支持部12は、互いに平行になって対向している。さらに、第1対向支持部11及び第2対向支持部12の基端部には、それらの幅方向の中央部にスリット11Sが形成されている。詳細には、スリット11Sは、
第1対向支持部11及び第2対向支持部12の幅方向の両端部を除く全体において、
第1対向支持部11及び第2対向支持部12とベース部14との間の内側角部の円弧面の全体を除去した状態に形成されている。そして、
図5に示すように、スリット11Sに通したベルト90がタイヤホイール95におけるリム96の外周面96Aのうちタイヤ99内に位置する部分(例えば、リム96の外周面96Aの幅方向の中央部)に巻き付けられ、ベース部14がリム96の外周面96Aに押し付けられて固定される。なお、ベルト90は、例えば、金属製で、図示しないバックルに備えた螺合操作部の操作によって締め付けることができるようになっている。
【0016】
図6に示すように、ベース部14のうちリム96の外周面96Aに対向するリム対向面14Aの曲率半径R1は、リム96の外周面96Aのうちベルト90が巻回される部分の曲率半径R2(以下、これを単に「リム96の外周面96Aの曲率半径R2」という)より小さくなっている。具体的には、ブラケット10Aは、主としてトラックやバス等の大型車両のタイヤホイール95に固定され、そのようなタイヤホイール95のリム96の外周面96Aの曲率半径R2は、例えば、159[mm]以上になっている。これに対し、ブラケット10Aにおけるリム対向面14Aの曲率半径R1は、例えば、159[mm]未満になっている。なお、ブラケット10Aが取り付けられるリム96の外周面96Aの曲率半径R2は、159[mm]以上のものに限定されるものでなく、ブラケット10Aのリム対向面14Aの曲率半径R1は、159[mm]未満に限定されるものではない。
【0017】
リム対向面14Aの長手方向の両端部は、1対のリム当接部15になっている。ブラケット10Aのリム対向面14Aの曲率半径R1がリム96の外周面96Aの曲率半径R2より小さくなっていることで、1対のリム当接部15は、リム対向面14Aの両端部の間部分をリム96の外周面96Aから浮かせるようにリム96の外周面96Aの周方向の2点に当接する。
【0018】
図1に示すように、第1対向支持部11には、電気回路ユニット50Aの第1係合突部51と係合する第1係合孔21が形成され、第2対向支持部12には、電気回路ユニット50Aの第2係合突部52と係合する第2係合孔22が形成されている。第1係合孔21は、第1係合突部51の断面形状に対応する長方形をなしている。また、
第1係合孔21は、第1対向支持部11の幅方向及び高さ方向の両方向の略中央に配置されている
。
【0019】
第2係合孔22は、第2対向支持部12の幅方向の略中央で、第2対向支持部12の上端から高さ方向の略中央に亘って形成され、上端が突部受容口22Aになっている。また、第2係合孔22の高さ方向の途中部分は、段付き状に幅広になったリテーナ受容部22Bをなし、第2係合孔22のうちリテーナ受容部22B以外の横幅は、第1係合孔21の横幅と同一になっている。また、第2係合孔22のうちリテーナ受容部22Bより下側の突部受容部22Cの高さ及び横幅は、第2係合突部52が丁度収まる大きさになっている。
【0020】
第2対向支持部12のうち第2係合孔22の両側には、1対の係止孔23が形成されている。各係止孔23は、縦長の長方形をなし、各係止孔23の内側上面は、リテーナ受容部22Bの内側上面と面一に配置され、各係止孔23の内側下面は、リテーナ受容部22Bの内側下面より下方に位置している。
【0021】
電気回路ユニット50Aは、以下のようにしてブラケット10Aの第1対向支持部11と第2対向支持部12との間に受容される。即ち、電気回路ユニット50Aは、第1対向支持部11と第2対向支持部12の対向方向に対して傾斜した第1方向に、第1係合突部51と第2係合突部52とを並べた傾斜姿勢にされて第1方向に移動され、第1係合突部51が係止突条51A側から第1係合孔21に挿入される。
【0022】
そして、第1係合突部51を支点にして電気回路ユニット50Aが下方である第2方向に回動されて、第2係合突部52が第2係合孔22に上方から挿入され、第2係合孔22の下端の突部受容部22Cに第2係合突部52が受容される。すると、第1係合突部51及び第2係合突部52の下方では、矩形突部54Tの先端面が、第1対向支持部11及び第2対向支持部12に隣接する。このように、電気回路ユニット50Aは、二段階操作を経てブラケット10Aに取り付けられ、第2方向の逆戻り以外(つまり、上方への回動以外)の全ての移動及び回動を規制された状態になる。この状態で、第2係合孔22のリテーナ受容部22Bに、第2方向と交差する方向からリテーナ70Aの後述するリテーナ本体71が挿入されて、電気回路ユニット50Aの第2方向の逆戻りが規制される。
【0023】
リテーナ70Aは、例えば樹脂の射出成形品であって、リテーナ受容部22Bに丁度嵌合される扁平直方体状のリテーナ本体71を有する。以下、リテーナ本体71のリテーナ受容部22Bに対する嵌合方向をリテーナ70Aの前後方向として、
図3を参照して、リテーナ70Aの構造について詳説する。リテーナ本体71の上面の両側縁部における後端部と、リテーナ本体71の下面の両側縁部における後端部とからは、ストッパ突部74が突出している。各ストッパ突部74は、断面四角形となって前後方向に延び、全部のストッパ突部74の前面は、互いに面一に配置された平坦面をなしている。
【0024】
リテーナ本体71の両側面の後端縁からは、1対のロックアーム72が側方に張り出してから直角に屈曲して前側に延びている。また、各ロックアーム72の先端部は鏃形状をなし、リテーナ本体71側に突出する係止突起73を有する。さらに、1対のロックアーム72の上面は、リテーナ本体71の上面と面一に配置され、1対のロックアーム72の下面は、リテーナ本体71の下面より下方に位置してストッパ突部74に接続されている。
【0025】
リテーナ70Aは、リテーナ本体71が第2対向支持部12の第2係合孔22のリテーナ受容部22Bに押し込まれると共に、1対のロックアーム72が、第2対向支持部12の1対の係止孔23に押し込まれて
図4に示すように、ブラケット10Aに装着される。すると、その装着の過程で、係止突起73の先端の傾斜面が1対の係止孔23の開口縁に摺接してロックアーム72が弾性変形し、ストッパ突部74が第2係合孔22の開口縁に当接したところで、1対のロックアーム72が弾性復帰する。これにより、1対のロックアーム72の各係止突起73が1対の係止孔23の開口縁に係止する。そして、リテーナ70Aにより電気回路ユニット50Aの第2係合突部52が第2係合孔22に抜け止めされる。なお、本実施形態では、ロックアーム72と係止孔23が、特許請求の範囲の「リテーナ係止部」に相当する。
【0026】
本実施形態のタイヤ内電気機器101の構成に関する説明は以上である。次にタイヤ内電気機器101の作用効果について説明する。
図1に示すようにブラケット10Aの1対のスリット11Sにベルト90を通して、
図6に示すようにベルト90をリム96に巻き付けると、前述したようにブラケット10Aの1対のリム当接部15がリム96の外周面96Aの周方向における2点で当接する。これにより、ブラケット10Aがリム96の外周面96A上でぐらつくことがなくなり、従来よりも安定してリム96の外周面96Aに固定される。また、1対のリム当接部15を両端部に備えるブラケット10Aのベース部14は円弧状になっているので応力集中が防がれる。また、その円弧状のベース部14の両端部と第1対向支持部11及び第2対向支持部12との丸みを帯びた1対の屈曲部が1対のリム当接部15になっているので、リム96の外周面96Aに対する1対のリム当接部15の食い込みも防がれる。しかも、1対のリム当接部15は、リム96の外周面96Aの幅方向に延びて、リム96の外周面96Aとの当接部分が線状になるので、リム96の外周面96Aの幅方向でもブラケット10Aのぐらつきが抑えられる。
【0027】
また、ベルト90を締め付けることで、
図7に示すように、ブラケット10Aのベース部14が撓んで第1対向支持部11と第2対向支持部12とが互いに接近する側に傾く。これにより、第1対向支持部11と第2対向支持部12との間による電気回路ユニット50Aの支持が強化される。また、ベース部14の弾発力によってベルト90にテンションがかかった状態になり、リム96に対してベルト90の巻き付けが安定するという効果も奏する。さらに、ベルト90を強く締め付けても、リム対向面14Aのうち両端部の間部分がリム96の外周面96Aに当接するので、ベース部14の過度な変形が防がれる。
【0028】
なお、本実施形態のブラケット10Aのように、ベース部14のリム対向面14Aの全体をリム96の外周面96Aに当接させてもよいし、例えば、ベース部14から下方に突出する突部をリム96の外周面96Aに当接させてもよい。また、本実施形態のブラケット10Aのようにベース部14の全体が、ベルト90に押圧されてもよいし、例えば、ベース部14から上方に突出する突部がベルト90に押圧されてもよい。
【0029】
また、本実施形態のタイヤ内電気機器101では、上述したように電気回路ユニット50Aは、ブラケット10Aに対して第1方向に移動する操作と、第2方向に回動する操作とからなる二段階操作を経て取り付けられて、第2方向の逆戻り以外の全ての移動及び回動が規制される。そして、リテーナ70Aが第2方向と交差する方向からブラケット10Aに装着されて、電気回路ユニット50Aの第2方向への移動が規制される。このように、電気回路ユニット50Aは、操作方向が異なる複数段階の操作を経てブラケット10Aに保持されるので、最終段階の操作で、リテーナ70Aをブラケット10Aに係止するための部位(ロックアーム72)の弾発力が小さくて容易に弾性変形するものであっても電気回路ユニット50Aをブラケット10Aに強固に保持させることがでる。つまり、本実施形態のタイヤ内電気機器101によれば、電気回路ユニット50Aをブラケット10Aに容易に取り付けることができかつ、ブラケット10Aによる電気回路ユニット50Aの保持力を従来よりも高くすることができる。
【0030】
[第2実施形態]
以下、
図8~
図13を参照して本開示の第2実施形態のタイヤ内電気機器102について、第1実施形態と異なる構成に関してのみ説明する。本実施形態の電気回路ユニット50Bは、第1実施形態の第1係合突部51及び第2係合突部52に代えて、1対の支持突部60を有する。1対の支持突部60は、電気回路ユニット50Bのハウジング54における長手方向の両端面から相反する方向に突出していて、それら1対の支持突部60の先端部から下方に係合突部61が垂下している。なお、支持突部60は、先方に向かうに従って徐々に幅狭になった台形の突片60Aの上面外縁部に補強リブ60Bを備えた構造をなしている。
【0031】
各係合突部61は、基端部61Aより下端部が幅広になっている。詳細には、係合突部61の基端部61Aの平断面形状は、1対の支持突部60の並び方向と直交する方向に長くなった長方形をなし、係合突部61の下端部は、基端部61Aの平断面形状である長方形よりさらに長細い長方形の平断面形状をなしたフット部61Bとなって両側方に張り出している。
【0032】
本実施形態のブラケット10Bは、樹脂の射出成形品であって、リム96の外周面96Aの周方向に延びている。また、ブラケット10Bの上面は、両端部を除く全体が平坦になっていて、両端部からは1対の台座突部24が突出している。一方、
図13に示すように、ブラケット10Bの下面は、両端部を除く全体が連続して円弧状に湾曲し、両端部から下方にリム当接部17が突出している。
【0033】
詳細には、
図8に示すように、1対の台座突部24は平面形状が略四角形をなし、1対の台座突部24の間がそれらと同じ幅の帯板状の天板部16Kで連絡されている。また、1対の台座突部24と天板部16Kとからなる上面壁部の外縁部から1対の側壁16Sと1対の端部壁16Tとが垂下している。そして、ブラケット10Bのうち1対の台座突部24を除く全体がベース部16をなしている。
【0034】
図8に示すように、1対の側壁16Sの下面であるリム対向面16Aは、円弧状に湾曲し、
図10に示すように天板部16Kの下面であるリム対向面16Bも円弧状に湾曲している。そして、それらリム対向面16A,16Bの曲率半径R1は、リム96の外周面96Aの曲率半径R2(
図6参照)より小さくなっている。
【0035】
図13に示すように、リム当接部17は、1対の端部壁16Tの下端部を側壁16Sの下端部より下方に突出させてなり、ベース部16の幅方向から見ると、端部壁16Tの内外面を連絡する半円形の断面形状をなしている。また、リム当接部17は、端部壁16Tの幅方向の両端部のみ配置され、端部壁16Tの幅方向の中央部には、
図10に示すように、リム当接部17より上方に位置する平坦面24Lが形成されている。即ち、本実施形態では、リム当接部17は、ブラケット10Bの下面の四隅に配置されている。なお、リム当接部17は、半球状であってもよい。
【0036】
また、1対の端部壁16Tの上下方向の中間部には、1対のスリット24Sが形成されている。そして、それら1対のスリット24Sに通されたベルト90がリム96の外周面に巻回されて、
図13に示すように、リム当接部17がリム96の外周面96Aに押し付けられた状態にブラケット10Bがリム96に固定される。また、本実施形態では、ベース部16の長手方向の中間部分は、ベルト90より上方に位置してベルト90によってリム96側に押されることはない。これにより、ベルト90を強く締め付けても第1実施形態のブラケット10Aのようにベース部16は撓むことはなく、1対のリム当接部17のみがリム96の外周面96Aに押し付けられる。
【0037】
図8に示すように、一方の台座突部24には、第1係合孔26が形成され、他方の台座突部24には第2係合孔28が形成されている。第1係合孔26は、一方の台座突部24のうち他方の台座突部24側を向いた側面に開口する幅広部25Cと、その幅広部25Cに対して同じ開口幅で連続し、一方の台座突部24の上面に開口する幅広部25Aと、幅広部25Aのうち幅広部25Cとは反対側の連なり、幅広部25Aより幅狭となって台座突部24の上面に開口する幅狭部25Bとからなる。また、幅広部25A,25Cは、係合突部61のフット部61Bが丁度貫通する開口幅をなし、幅狭部25Bは、係合突部61の基端部61Aが丁度貫通する開口幅をなしている。一方、第2係合孔28は、第1係合孔26から幅広部25Cを排除した形状をなして他方の台座突部24の上面に開口している。
【0038】
そして、電気回路ユニット50Bの1対の係合突部61が、第1係合孔26の幅広部25A又は幅広部25Cと第2係合孔28の幅広部25Aとに挿入されるように電気回路ユニット50Bを第1方向(下方)に移動してから、1対の係合突部61の基端部61Aが第1係合孔26の幅狭部25Bと第2係合孔28の幅狭部25Bとに受容されるように電気回路ユニット50Bを第1方向と直交する第2方向に移動する二段階操作を経ると、
図13に示すように、電気回路ユニット50Bの下面がベース部16の天板部16Kの上面に当接し、
図11に示すように、各フット部61Bの上面が、台座突部24の上面壁の下面より僅かに下方に位置した状態になり、前記した第2方向の逆戻り以外の全ての移動及び回動を規制された状態になる。また、1対の係合突部61の区別せずに何れを第1係合孔26と第2係合孔28とに挿入しても同じ状態にすることができる。この状態で、リテーナ70Bが、第2方向と交差する方向から第2係合孔28の幅広部25Aに挿入されて、電気回路ユニット50Bの第2方向の逆戻りの移動も規制される。
【0039】
図9に示すように、リテーナ70Bは、角柱状のリテーナ本体75の両側面の下縁部から1対のロックアーム76が側方に張り出してから直角に曲がって上方に延びた構造をなしている。また、1対のロックアーム76の上端部は、リテーナ本体75から離れる側に直角に曲がって係止片77になっている。また、1対のロックアーム76のうち上下方向に延びる部分の下端から中間位置に亘る範囲には、下端から上方に向かうに従ってリテーナ本体75から離れるように徐々に張り出す係止突部78が備えられている。さらには、リテーナ本体75のうちロックアーム76を有しない一側面には、複数の突条79が備えられている。それら突条79は、断面台形をなしてリテーナ本体75の一側面の下端から上端寄り位置まで延びかつ、上方に向かうに従ってリテーナ本体75からの突出量が徐々に大きくなっている。
【0040】
リテーナ70Bは、第2係合孔28の幅広部25Aに上方から押し込まれる。すると、1対のロックアーム76の係止突部78の傾斜面が幅広部25Aの開口縁に摺接してロックアーム76が弾性変形し、
図12に示すように、各ロックアーム76の上端の係止片77が幅広部25Aの上面側の開口縁の当接したところで、係止突部78が第2係合孔28の幅広部25Aを通過し、1対のロックアーム76が弾性復帰する。これにより、1対のロックアーム76の各係止突部78が幅広部25Aの下面側の開口縁に係止する。そして、リテーナ70Bにより電気回路ユニット50Bの幅広部25A側への移動が規制される。つまり、前述のとおり、リテーナ70Bによって電気回路ユニット50Bの第2方向の逆戻りの移動が規制される。
【0041】
本実施形態のタイヤ内電気機器102の構成に関する説明は以上である。次にタイヤ内電気機器102の作用効果について説明する。本実施形態のタイヤ内電気機器102のブラケット10Bも、前記第1実施形態のブラケット10Aと同様にリム当接部17がリム96の外周面96Aの周方向における2点で当接する。これにより、ブラケット10Bがリム96の外周面96A上で安定する。また、本実施形態のブラケット10Bでは、1対のスリット24Sにベルト90が通されると、1対のスリット24Sの間部分はベルト90を挟んでリム96の外周面96Aに対向し、ベルト90の締め付けによる負荷を受けないので、耐久性が向上する。
【0042】
また、本実施形態のタイヤ内電気機器102でも、上記した第1実施形態のタイヤ内電気機器102と同様に電気回路ユニット50Bをブラケット10Bに組み付けるための二段階操作の後にリテーナ70Bを装着する操作を行って電気回路ユニット50Bがブラケット10Bに保持されるので、電気回路ユニット50Bをブラケット10Bに容易に取り付けることができかつ、ブラケット10Bによる電気回路ユニット50Bの保持力を従来よりも高くすることができる。しかも、本実施形態のタイヤ内電気機器102では、ブラケット10Bの第1係合孔26と第2係合孔28とに対して電気回路ユニット50Bを1対の係合突部61を区別せずに係合させることができ、利便性も高い。
【0043】
[第3実施形態]
以下、
図14及び
図15を参照して本開示の第3実施形態のタイヤ内電気機器103について、第2実施形態と異なる構成に関してのみ説明する。
図14に示すように、本実施形態の電気回路ユニット50Cは、第2実施形態の一方の支持突部60及び係合突部61に代えてL形の係合突部62を有する。なお、本実施形態では、「L形の係合突部62」が特許請求の範囲の請求項5における「第1係合突部」に相当し、他方の「係合突部61」が特許請求の範囲の請求項5における「第2係合突部」に相当する。また、前述した第1実施形態の第1係合突部51及び第2係合突部は、特許請求の範囲の請求項2における「第1係合突部及び第2係合突部」に相当する。
【0044】
L形の係合突部62は、上下方向の延びる縦辺部62Aの下端部を直角曲げて屈曲係合片62Bを備えた構造をなしている。そして、縦辺部62Aの上端部がハウジング54の長手方向の一端面に接続されると共に、屈曲係合片62Bはハウジング54から離れる側を向いて突出している。
【0045】
本実施形態のブラケット10Cは、第2実施形態のブラケット10Bの第1係合孔26と異なる形状の第1係合孔27を備えている。第1係合孔27は、一方の台座突部24のうち他方の台座突部24に対面する側面に開口する側面開口部27Bと、ベース部16の上面に開口するベース面開口部27Aとを有する。
【0046】
ベース部16には、その長手方向に延びる矩形開口16Wが形成されている。また、矩形開口16Wの長手方向の中央部の下方を横切るよう架橋部16Rが架け渡され、その架橋部16Rの両端部は、ベース部16の下面における矩形開口16Wの開口縁に接続されている。さらには、ベース部16の長手方向の両端の1対の端部壁16Tには、ベルト挿通開口24Kが形成されている。ベルト挿通開口24Kは、矩形開口16Wと同じ幅で、端部壁16Tの上下方向の中間位置より下方を切除してなる。そして、ベルト90が、架橋部16R上と1対のベルト挿通開口24K内とに通されてリム96の外周面96A(
図5参照)に巻き付けられる。
【0047】
また、本実施形態のリテーナ70Cは、前記第2実施形態のリテーナ70Bの1対のロックアーム76を係止片77より上方に延長し、複数の突条79を排除した構造をなしている。
【0048】
本実施形態のタイヤ内電気機器103の構成に関する説明は以上である。本実施形態のタイヤ内電気機器103のブラケット10Cも、前記第2実施形態のブラケット10Bと同様に、ベース部16の両端部のリム当接部17がリム96の外周面96Aの周方向における2点で当接する。これにより、ブラケット10Cがリム96の外周面96A上で安定する。
【0049】
また、本実施形態のタイヤ内電気機器103でも、上記した第1及び第2の実施形態のタイヤ内電気機器102と同様に電気回路ユニット50Cをブラケット10Cに組み付けるための二段階操作の後にリテーナ70Cを装着する操作を行って電気回路ユニット50Cがブラケット10Cに保持されるので、電気回路ユニット50Cをブラケット10Cに容易に取り付けることができかつ、ブラケット10Cによる電気回路ユニット50Cの保持力を従来よりも高くすることができる。
【0050】
[第4実施形態]
図16及び
図17には、本開示の第4実施形態のタイヤ内電気機器104が示されている。このタイヤ内電気機器104は、第1実施形態のタイヤ内電気機器101のブラケット10Aを樹脂化したブラケット10Dを備えている。以下、第1実施形態と異なる構成に関してのみ説明する。
【0051】
本実施形態のブラケット10Dは、樹脂の射出成形品であって、リム96の周方向に延びるベース部19が両端部に第1対向支持部31と第2対向支持部32とを一体に備えてなる。ベース部19は、リム96の周方向に延びる帯板の両側部を下側に湾曲させた溝状をなしている。また、ベース部19は、両側部の下面がリム96の外周面96Aの曲率半径より小さい曲率半径の円弧面となるように全体が湾曲している。
【0052】
第1対向支持部31及び第2対向支持部32は、第1実施形態のブラケット10Aの板状の第1対向支持部11及び第2対向支持部12に比べると厚くなっていて、互いの対向面は、電気回路ユニット50Aの長手方向の側面形状に対応して湾曲している。そして、第1対向支持部31及び第2対向支持部32の互いの対向面の下端部にベース部19の両端部が接続されている。さらには、第1対向支持部31及び第2対向支持部32の両側部の下面は、ベース部19の両側部の下面に連続する円弧面になっている。そして、第1対向支持部31と第2対向支持部32の下面のうちベース部19から離れた側の縁部が1対のリム当接部17になっている。
【0053】
第1対向支持部31と第2対向支持部32のうちベース部19の上面より僅かに上方となる位置には1対のスリット11Sがベース部19の長手方向に貫通している。そして、1対のスリット11Sに通されたベルト90がリム96の外周面96A(
図5参照)に巻き付けられる。
【0054】
第1対向支持部31のうちスリット11Sより上側には、第1係合孔21がベース部19の長手方向に貫通し、そこに電気回路ユニット50Aの第1係合突部51が係合する。また、第2対向支持部32には、スリット11Sより上側位置より上側部分を切除して第2係合孔22が形成されている。第2係合孔22は、第1実施形態のブラケット10Aの第2係合孔22(
図1参照)と同様に、上端が突部受容口22Aをなし、第2係合孔22の高さ方向の途中部分にリテーナ受容部22Bを備え、それより下側が突部受容部22Cをなし、その突部受容部22Cに電気回路ユニット50Aの第2係合突部52が丁度収まるようになっている。
【0055】
また、第2対向支持部32のうちリテーナ受容部22Bの両側方には、第1実施形態のブラケット10Aと同様に、1対の係止孔23がベース部19の長手方向に貫通している。さらに、第2対向支持部32のうち第1対向支持部31との対向面の反対側にはリテーナ受容部22Bを両側方に拡張した構造のリテーナ受容凹部32Aが形成され、そのリテーナ受容凹部32Aの内部に1対の係止孔23が開口している。そして、第1実施形態のリテーナ70Aと略同一の形状のリテーナ70Dが、
図17に示すように、リテーナ受容凹部32Aに嵌合されて、リテーナ70Dのリテーナ本体71が第2係合孔22のリテーナ受容部22Bに受容されると共に、リテーナ70Dの1対のロックアーム72が1対の係止孔23に係合する。
【0056】
なお、本実施形態のリテーナ70Dは、第2実施形態のリテーナ70Bと同様の複数の突条79(
図9参照)を上面に有する点と、ロックアーム72の幅とリテーナ本体71の上下方向の厚さとが同じである点とが第1実施形態のリテーナ70Aと異なる。
【0057】
本実施形態のタイヤ内電気機器104の構成に関する説明は以上である。本実施形態のタイヤ内電気機器104のブラケット10Dも、前記第1実施形態のブラケット10Aと同様に、ベース部19の両端部のリム当接部17がリム96の外周面96Aの周方向における2点で当接する。これにより、ブラケット10Dがリム96の外周面96A上で安定する。
【0058】
[第5実施形態]
図18及び
図19には、本開示の第5実施形態のタイヤ内電気機器105が示されている。このタイヤ内電気機器105は、第3実施形態のタイヤ内電気機器103の樹脂製のブラケット10Cの代わりに、金属製のブラケット10Eを備えている。以下、第1実施形態と異なる構成に関してのみ説明する。
【0059】
そのブラケット10Eは、帯状板金の両端部を、上方に突出するように角溝状に折り曲げて1対の台座突部24を備えている。そして、一方の台座突部24側に、第3実施形態で説明した第1係合孔27が形成され、他方の台座突部24側に、第3実施形態で説明した第2係合孔28が形成されている。また、ブラケット10Eのうち1対の台座突部24の間のベース部29には、ベース部29の長手方向に延びた矩形窓29Wが形成され、その矩形窓29Wの1対の長辺側の外縁部から矩形窓29W内側に複数の突片が張り出しかつクランク状に屈曲されている。そして、それら突片のうち屈曲部より先端側が、矩形窓29Wに対して下方から対向する複数のベルト支持部59をなし、ベルト支持部59上に通されたベルト90がリム96に巻き付けられてブラケット10Eがリム96に固定される。そして、第3実施形態のタイヤ内電気機器103と同じ順序で電気回路ユニット50Cをブラケット10Eに取り付けることができる。本実施形態の構成によっても、第3実施形態のタイヤ内電気機器103と同様にブラケット10Eによる電気回路ユニット50Cの保持力を従来よりも高くすることができる。
【0060】
[他の実施形態」
(1)前記各実施形態では、電気回路ユニット側に係合突部が備えられる一方、ブラケット側に係合孔が備えられていたが、それとは逆に電気回路ユニット側に係合孔を備える一方、ブラケット側に係合突部を備えてもよい。
【0061】
(2)前記各実施形態では、電気回路ユニットとブラケットに、係合突部と係合孔とがそれぞれ2つずつ設けられていたが、1つずつ設けられた構成としてもよい。
【0062】
(3)前記各実施形態のブラケットは、リム96の外周面96Aの周方向の方が、幅方向より長い長尺形状をなしていたが、周方向より幅方向の方が延びた長尺形状であってもよいし、周方向と幅方向とで略同じ大きさの形状をなしていてもよい。
【0063】
(4)前記各実施形態のリテーナは、電気回路ユニットの係合突部が係合するブラケットの係合孔に受容されて、係合突部が係合孔から抜けることを規制することで電気回路ユニットの前述した第2方向への逆戻りの移動及び回動を規制していたが、リテーナがブラケットのうち電気回路ユニットの係合突部が係合する係合孔とは異なる位置に係合されて、電気回路ユニットが前述した第2方向への逆戻りの移動及び回動を規制する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10A~10E ブラケット
11,31 第1対向支持部
11S,24S スリット
12,32 第2対向支持部
14,16,19 ベース部
14A,16A,16B リム対向面
15,17 リム当接部
21,26,27 第1係合孔
22,28 第2係合孔
22A 突部受容口
22B,25A リテーナ受容部
24 台座突部
50A~50C 電気回路ユニット
51 第1係合突部
52 第2係合突部
61,62 係合突部
61A 基端部
61B フット部
62B 屈曲係合片
70A~70D リテーナ
72,76 ロックアーム
90 ベルト
95 タイヤホイール
96 リム
96A 外周面
99 タイヤ
101~105 タイヤ内電気機器
110 電気回路
111 圧力センサ
114 無線回路
R1 曲率半径
R2 曲率半径