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特許7170877調整可能なノズルを備えたインダクションジェットファン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】調整可能なノズルを備えたインダクションジェットファン
(51)【国際特許分類】
   F04F 5/20 20060101AFI20221107BHJP
   F04D 25/10 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
F04F5/20 E
F04D25/10 301A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021532045
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 GB2019053587
(87)【国際公開番号】W WO2020141309
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】1900025.6
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1913181.2
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】プージェ チャールズ エドワード
(72)【発明者】
【氏名】オラム ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】フォレスト ジェームス グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ピート スティーヴン エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】フレッチャー-ウィルモット ライル デンプシー
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-067399(JP,U)
【文献】実開昭58-064930(JP,U)
【文献】特開2017-009202(JP,A)
【文献】特開2017-198181(JP,A)
【文献】特開2013-113301(JP,A)
【文献】豪国特許出願公開第2017265070(AU,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/10
F04D 27/00
F04F 5/16
F04F 5/20
F04F 5/46
F24F 11/79
F24F 13/065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン組立体であって、
空気流を発生するように配置された空気流発生器と、
前記ファン組立体から前記空気流を放出するように配置されたノズルであって、ノズル本体と、各々が前記空気流の一部を放出するように配置された複数の操向可能な空気出口と、を備えるノズルと、
を備え、
前記操向可能な空気出口の各々は、前記ノズル本体の対応する出口部内の開口と、前記開口を実質的に閉塞するように配置された細長い出口本体であって当該出口本体の長手方向軸を中心に前記開口内で回転するように配置された前記細長い出口本体と、を備え、
前記各出口本体には、前記出口本体の幅にわたって延びる空気出口チャネルが設けられており、
前記ノズルは、第1の操向可能な空気出口と、第2の操向可能な空気出口とを備え、
前記ノズル本体は、前記第1の操向可能な空気出口を提供する第1の出口部と、前記第2の操向可能な空気出口を提供する第2の出口部とを備え、
前記第1の出口部は、第1の追加空気出口をさらに提供し、前記第2の出口部は、第2の追加空気出口をさらに提供する、
ファン組立体。
【請求項2】
前記複数の操向可能な空気出口は、前記ノズル本体に対して独立して回転するように配置される、請求項1に記載のファン組立体。
【請求項3】
前記各出口本体は、少なくとも部分的に円形の断面を有し、好ましくは円筒形状である、請求項1又は2に記載のファン組立体。
【請求項4】
前記各出口本体の前記空気出口チャネルは、直線状であり、前記出口本体を直径方向に通って延びている、請求項1から3の何れか一項に記載のファン組立体。
【請求項5】
前記操向可能な空気出口の各々は、前記対応する出口本体を回転させるように配置された操向モータをさらに備える、請求項1から4の何れか一項に記載のファン組立体。
【請求項6】
前記操向可能な空気出口を制御するように構成された制御回路をさらに備え、前記制御回路は、前記各操向モータを独立して制御するように構成されている、請求項5に記載のファン組立体。
【請求項7】
前記操向可能な空気出口の各々は、前記ノズル本体に対する前記出口本体の向きを検出するように構成された出口本体配向検出システムをさらに備える、請求項1から6の何れか一項に記載のファン組立体。
【請求項8】
前記出口本体配向検出システムは、ベクタリング範囲の2つの部分の内、前記出口本体が現在位置している1つを検出するように構成され、
前記ベクタリング範囲は、対応する前記出口本体を通って前記ノズルから放出される空気流を変化させることができる角度範囲である、請求項7に記載のファン組立体。
【請求項9】
前記出口本体配向検出システムは、前記ノズル本体に設けられたフォトインタラプタと、前記出口本体が前記ベクタリング範囲の前記2つの部分の内の1つにあるときに前記フォトインタラプタによって検出されるように配置されたスクリーンと、を備える、請求項8に記載のファン組立体。
【請求項10】
前記ノズル本体は、前記操向可能な空気出口の各々の前記出口部を画定するケーシングを備える、請求項1から9の何れか一項に記載のファン組立体。
【請求項11】
各出口部は、前記ケーシングによって画定された内部通路であって前記ノズルの空気入口から前記操向可能な空気出口へ空気を搬送するように構成された前記内部通路を備える、請求項10に記載のファン組立体。
【請求項12】
前記第1の操向可能な空気出口は、前記第1の出口部によって画定される第1の開口と、前記第1の開口内に配置され、前記第1の開口内で回転するように配置される第1の出口本体とを備え、前記第2の操向可能な空気出口は、前記第2の出口部によって画定される第2の開口と、前記第2の開口内に配置され、前記第2の開口内で回転するように配置される第2の出口本体とを備える、請求項1から11の何れか一項に記載のファン組立体。
【請求項13】
前記ノズル本体は細長い環状形状を有し、前記第1の操向可能な空気出口及び前記第2の操向可能な空気出口はそれぞれ、前記ノズル本体のそれぞれの細長い側部に配置される、請求項から12の何れか一項に記載のファン組立体。
【請求項14】
ファン組立体用ノズルであって、
前記ファン組立体から空気流を受けるための空気入口と、
ノズル本体と、各々が前記空気流の一部を放出するように配置された複数の操向可能な空気出口と、備え
前記操向可能な空気出口の各々は、前記ノズル本体の対応する出口部内の開口と、前記開口を実質的に閉塞するように配置された細長い出口本体であって当該出口本体の長手方向軸を中心に前記開口内で回転するように配置された前記細長い出口本体と、を備え、
前記各出口本体には、前記出口本体の幅にわたって延びる空気出口チャネルが設けられており、
前記ノズルは、第1の操向可能な空気出口と、第2の操向可能な空気出口とを備え、
前記ノズル本体は、前記第1の操向可能な空気出口を提供する第1の出口部と、前記第2の操向可能な空気出口を提供する第2の出口部とを備え、
前記第1の出口部は、第1の追加空気出口をさらに提供し、前記第2の出口部は、第2の追加空気出口をさらに提供する、
ファン組立体用ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン組立体及びファン組立体用ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家庭用ファンは、典型的には、軸を中心に回転するように取り付けられた1組のブレード又はベーンと、空気流を生成するように1組のブレードを回転させる駆動装置とを含む。空気流の動きと循環は「風冷」あるいは風を作り出し、その結果、ユーザは対流や蒸発によって熱が放散されることで冷却効果を体験する。ブレードは、一般に、ファンの使用中にユーザが回転しているブレードに接触することを防止しながら空気流がハウジングを通過することを可能にするケージ内に配置される。
【0003】
米国特許第2,488,467号明細書には、ファン組立体から空気を放出するためにケージ付きブレードを使用しないファンが記載されている。その代わりに、ファン組立体は、ベースに空気流を引き込むモータ駆動インペラを収容するベースと、ベースに接続された一連の同心の環状ノズルとを備え、各環状ノズルは、ファンから空気流を放出するための、ノズルの前方に配置された環状出口を備える。各ノズルは、ボア軸の周りに延びて、ノズルが周りに延びるボアを画定する。
【0004】
各ノズルは翼形の形状であり、したがって、ノズルの後部に位置する前縁、ノズルの前部に位置する後縁、及び前縁と後縁との間に延びる翼弦線を有すると考えられる。米国特許第2,488,467号明細書では、各ノズルの翼弦線はノズルのボア軸に平行である。空気出口は、翼弦線上に位置し、ノズルから離れる方向に翼弦線に沿って空気流を放出するように配置される。
【0005】
国際公開第2010/100451号には、ケージ付きブレードを使用せずにファン組立体から空気を放出する別のファン組立体が記載されている。このファン組立体は、円筒形ベースと、ベース内に一次空気流を引き込むためのモータ駆動インペラを内蔵した円筒形ベースと、ベースに接続され、一次空気流がファンから放出される環状の口/出口を備える単一の環状ノズルとを備える。ノズルは、口から放出された一次空気流によってファン組立体の局所環境内の空気が吸引され、一次空気流を増幅する、開口を画定する。ノズルは、一次空気流を方向付けるように口が配置されたコアンダ面を含む。コアンダ面は、開口の中心軸の周りに対称に延びているので、ファン組立体によって生成される空気流は円筒形又は円錐台形のプロファイルを有する環状ジェットの形態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第2,488,467号明細書
【文献】国際公開第2010/100451号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ノズルを揺動させることなく、ノズルから吐出される空気流の方向を操作することができるファン組立体用ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、ファン組立体を通る空気流を発生するように配置された空気流発生器と、ファン組立体から空気流を放出するように配置されたノズルとを備えるファン組立体が提供され、ノズルは、ノズル本体と、各々が空気流の一部を放出するように配置された複数の操向可能な空気出口とを備える。操向可能な空気出口の各々は、ノズル本体の対応する出口部内の開口と、開口を実質的に閉塞(例:充填)するように配置され、出口本体の長手方向軸を中心に開口内で回転するように配置された細長い出口本体とを備え、各出口本体は、出口本体の幅にわたって延びる空気出口チャネルを備える。空気出口チャネルは、出口本体を通してノズルから空気を流出させる。空気流発生器は、モータ駆動インペラを備えることができる。
【0009】
複数の操向可能な空気出口は、ノズル本体に対して独立して回転するように配置することができる。操向可能な空気出口は、互いに平行に配置されることが好ましい。各出口本体は、少なくとも部分的に円形の断面を有してもよく、好ましくは、形状が円筒状である。
【0010】
各出口本体の空気出口チャネルは、直線状であって、出口本体を通って直径方向に延びるのがよい。各空気出口チャネルの入口端に、空気出口チャネルに流入する空気を導くのを補助するベルマウスを設けるのがよい。各出口本体は、空気出口チャネルの入口端が空気出口チャネルの出口端よりも開口に近いように配置されてもよい。
【0011】
操向可能な空気出口の各々は、対応する出口本体を回転させるように配置された操向モータをさらに備えるのがよい。各出口本体は、対応する操向モータのシャフトに取り付けられるのがよい。そして、ファン組立体は、操向可能な空気出口を制御するように構成された制御回路をさらに備えるのがよい。制御回路は、各操向モータ(すなわち、操向可能な空気出口のそれぞれの操向モータ)を独立に制御するように構成されるのがもよい。
【0012】
操向可能な空気出口の各々は、ノズル本体に対する出口本体の配向を検出するように構成された出口本体配向検出システムをさらに備えるのがよい。出口本体配向検出システムは、ベクタリング範囲の2つの部分のうち、出口本体が現在位置している1つを検出するように構成するのがよい。出口本体方位検出システムは、ノズル本体に設けられたフォトインタラプタと、出口本体がベクタリング範囲の2つの部分のうちの1つにあるときにフォトインタラプタによって検出されるように配置されたスクリーンとを含むことができる。スクリーンは、出口本体の回転軸から半径方向に突出して、ベクタリング範囲の2つの部分のうちの1つを横切って/越えて延びるのがよく、好ましくは、ベクタリング範囲の実質的に半分を横切って/越えて延びるのがよい。スクリーンは、回転軸から半径方向に離れて延びる2つの端部を有するのがよい。そして、スクリーンは、出口本体がベクタリング範囲の第1の端部に配向されたときに、スクリーンの第1の端部がフォトインタラプタに検出/整列されるように配置されるのがよい。スクリーンは、出口本体がベクタリング範囲の中間点から0度から10度の間、好ましくは5度から8度の間で離れているときに、スクリーンの第2のエッジがフォトインタラプタに検出/整列されるように配置するのがよい。ベクタリング範囲の中間点は、開口を長手方向に二分する平面に位置合わせするのがよい。
【0013】
ノズル本体は、操向可能な空気出口の各々の出口部を画定するケーシングを備えるのがよい。各出口部は、ケーシングによって画定され、ノズルの空気入口から操向可能な空気出口まで空気を搬送するように配置された内部通路を備えるのがよい。
【0014】
ノズルは、第1の操向可能な空気出口と第2の操向可能な空気出口とを備えるのがよい。そして、ノズル本体は、第1の操向可能な空気出口を格納/収容する第1の出口部と、第2の操向可能な空気出口を格納/収容する第2の出口部とを備えるのがよい。第1の操向可能な空気出口は、第1の出口部によって画定される第1の開口と、第1の開口内に配置され、第1の開口内で回転するように配置された第1の出口本体とを備え、第2の操向可能な空気出口は、第2の出口部によって画定される第2の開口と、第2の開口内に配置され、第2の開口内で回転するように配置された第2の出口本体とを備える。
【0015】
ノズル本体は、細長い環状形状を有するのがよく、第1の操向可能な空気出口及び第2の操向可能な空気出口は、それぞれ、ノズル本体のそれぞれの細長い側部に配置されるのがよい。ノズル本体は、対応する形状の中央ボアを画定するのがよい。そして、第1の操向可能な空気出口及び第2の操向可能な空気出口は、それぞれ、ノズルの前部における中央ボアのそれぞれの細長い側部に位置するのがよい。
【0016】
ノズル本体は、中央ボアのそれぞれの細長い側部にそれぞれ隣接する2つの平行な直線状の側部と、直線部の上端を結合する上側湾曲部と、直線部の下端を結合する下側湾曲部とを備えるのがよい。ノズル本体は、ノズル本体の中央ボアの周りに延在する細長い環状ケーシングを含むことができ、このケーシングは、ノズルの空気入口から第1の操向可能な空気出口及び第2の操向可能な空気出口に空気を搬送するように配置された内部通路を画定する。
【0017】
ファン組立体は、空気流発生器を収容する本体をさらに備えるのがよく、本体は、空気流発生器によって空気流が本体内に引き込まれる空気入口と、本体から空気流を放出するための空気流発生器の下流の空気出口/ベントとを備えている。そして、ノズルは、空気出口を覆って本体に取り付けられるのがよい。そして、ノズルは、本体の空気出口から排出される空気流を受けるように配置されるのがよい。
【0018】
本体は、ファン組立体を面上に支持するためのベースを備えるのがよい。そして、本体の空気出口は、本体の上端に設けられ、ノズルは、本体の上端に取り付けられるのがよい。ノズルは、本体の上端に接続され本体からの空気流を受けるための空気入口を提供する開口下端を有するネック/ベースを備えるのがよい。本体は、空気出口を取り囲む環状フランジを含むのがよく、そしてノズルは、環状フランジ上に支持されるのがよい。環状フランジの外縁は、本体の上端に接続するノズルのベース/ネックの外面と実質的に面一であるのがよい。
【0019】
第2の態様によれば、ファン組立体用ノズルが提供される。ノズルは、ファン組立体から空気流を受ける空気入口と、ノズル本体と、それぞれが空気流の一部を放出するように配置された複数の操向可能な空気出口とを含む。操向可能な空気出口の各々は、ノズル本体の対応する出口部内の開口と、この開口を実質的に閉塞(すなわち充填)するように配置され、出口本体の長手方向軸を中心に開口内で回転するように配置された細長い出口本体とを備え、各出口本体は、出口本体の幅を通って延びる空気出口チャネルを備える。複数の操向可能な空気出口は、ノズル本体に対して独立して回転するように配置されるのがよい。
【0020】
ノズルは、第1の操向可能な空気出口と第2の操向可能な空気出口とを含むのがよい。ノズル本体は、第1の操向可能な空気出口を格納/収容する第1の出口部と、第2の操向可能な空気出口を格納/収容する第2の出口部とを含むのがよい。第1の操向可能な空気出口は、第1の出口部によって画定された第1の開口と、第1の開口内に配置され、第1の開口内で回転するように配置された第1の出口本体とを備えるのがよく、第2の操向可能な空気出口は、第2の出口部によって画定された第2の開口と、第2の開口内に配置され、第2の開口内で回転するように配置された第2の出口本体とを備えるのがよい。
【0021】
ノズル本体は、細長い環状形状を有するのがよく、第1の操向可能な空気出口及び第2の操向可能な空気出口は、それぞれノズル本体のそれぞれの細長い側部に配置されるのがよい。ノズル本体は、対応する形状の中央ボアを画定するのがよい。そして、第1の操向可能な空気出口及び第2の操向可能な空気出口の各々は、ノズルの前部における中央ボアのそれぞれの細長い側部に配置されるのがよい。ノズル本体は、それぞれが中央ボアのそれぞれの細長い側部に隣接する2つの平行な直線状の側部と、直線部の上端を結合する上側湾曲部と、直線部の下端を結合する下側湾曲部とを含むのがよい。
【0022】
ファン組立体を通る空気流を生成するように配置された空気流発生器と、ファン組立体から空気流を放出するように配置されたノズルとを備えるファン組立体も提供される。ノズルは、ノズル本体と、各々が空気流の一部を放出するように配置された複数の操向可能/操縦可能な空気出口とを備え、複数の操向可能な空気出口は、ノズル本体に対して独立して回転するように配置される。操向可能な空気出口の各々は、ノズル本体の対応する出口部内の開口と、開口内に配置され、開口内で回転するように配置された出口本体とを備える。各出口本体は、出口本体の幅にわたって延びる空気出口チャネルを備えるのがよい。空気出口チャネルは、出口本体を通してノズルから空気を流出可能にするのがよい。各出口本体は、対応する開口を実質的に閉塞(例:充填)するように配置されるのがよい。
【0023】
ここで、本発明の実施形態を、一例として添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ファン組立体の一実施形態の正面図である。
図2図1のファン組立体の左側面図である。
図3図1のファン組立体の等角図である。
図4図1のファン組立体の側断面図である。
図5図1のファン組立体の本体の側断面図である。
図6図1のファン組立体の本体の等角図である。
図7】フィルタ組立体の1つを取り外した状態のファン組立体の等角図である。
図8図1のファン組立体と共に使用するのに適したフィルタ組立体の断面図である。
図9図8に示したフィルタ組立体の背面斜視図である。
図10】本明細書に記載のファン組立体と共に使用するのに適したノズルの一実施形態の正面断面図である。
図11図10のノズルの上面断面図である。
図12a】第1の構成における図10のノズルの上面断面図である。
図12b】第2の構成における図10のノズルの上面断面図である。
図13】本明細書に記載のノズルと共に使用するのに適した操向可能な空気出口の一実施形態の側面図である。
図14図13の操向可能な空気出口の分解図である。
図15a】第3の構成における図10のノズルの上面断面図である。
図15b】第4の構成における図10のノズルの上面断面図である。
図16】本明細書に記載のノズルと共に使用するのに適したバルブの一実施形態の後方斜視図である。
図17】第5の構成における図10のノズルの上面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、ノズルを揺動させることなくノズルから放出される空気流の方向を操作することができるノズルを備えるファン組立体について説明する。本明細書で使用される「ファン組立体」という用語は、熱快適性及び/又は環境又は気候制御の目的のために空気流を生成し、送達するように構成されたファン組立体を指す。このようなファン組立体は、除湿空気流、加湿空気流、清浄空気流、濾過空気流、冷却空気流、及び加熱空気流のうちの1つ以上を生成することができる。
【0026】
ファン組立体は、空気流を生成するように配置された空気流発生器と、ファン組立体から空気流を放出するように配置されたノズルとを備え、ノズルは、ノズル本体と、各々が空気流の一部を放出するように配置された複数の操向可能/操作可能な空気出口とを備える。操向可能な空気出口は、本体のいかなる部分に対してもノズルを回転させることなく、各操向可能な空気出口によって放出される空気流の部分の方向を変化させることができるように、ノズル本体に対して独立して回転するように配置される。本明細書で使用される用語「空気出口」は、空気流がノズルから抜け出るノズルの部分を指す。特に、本明細書に記載する実施形態では、各空気出口は、空気流がノズルから出る空気出口チャネルを備える。
【0027】
好ましい実施形態では、操向可能な空気出口の各々は、ノズル本体の対応する出口部内の開口と、開口内に配置され、開口内で回転するように配置された出口本体とを備える。次に、各出口本体には、出口本体の幅を貫いて延び、出口本体を通ってノズルから空気を流出させる空気出口チャネルが設けられる。各出口本体は、出口本体と対応する開口との間のいかなる空間を通ってもノズル内の空気が漏れることがほとんどないように、対応する開口を実質的に閉塞/充填するように配置される。
【0028】
図1図2及び図3は、ファン組立体1000の一実施形態の外観図である。図1は、ファン組立体1000の正面図であり、図2は、ファン組立体1000の側面図であり、図3は、ファン組立体1000の等角図である。ファン組立体1000は、ファン組立体を通る空気流を生成するように配置されたモータ駆動インペラを含む本体又はスタンド1100と、本体1100に取り付けられ、ファン組立体1000から空気流を放出するように配置されたノズル1200とを備える。
【0029】
図4は、ファン組立体1000の側断面図であり、図5は、ノズル1200のないファン組立体1000の本体1100の側断面図であり、図6は、ノズル1200のないファン組立体1000の本体1100の等角図である。
【0030】
ファン組立体1000の本体1100は、略円筒状の下側本体部1102に取り付けられた略円筒状の上側本体部1101を備える。下側本体部1102は、ファン組立体1000が載置されるベース1103を提供する。
【0031】
ファン組立体1000の上側本体部1101は、モータ駆動インペラ1104を含む/収容する。したがって、上側本体部1101は、ファン組立体1000の本体1100の外部からが空気の流れを引き込むことができる空気入口1105と、モータ駆動インペラ1104が発生した空気の流れがファン組立体1000の本体1100から排出される空気出口1106とが設けられている。そして、ノズル1200は、上側本体部1101の上端に取り付けられ、ファン組立体1000の本体1100の空気出口1106から排出された空気流を受けるように配置されている。
【0032】
また、モータ駆動インペラ1104により空気入口1105を通って吸引された空気流が、ファン組立体1000の本体1100に入る前に濾過されるように、ファン組立体1000の上側本体部1101は、取外し可能なフィルタ組立体1107を空気入口1105の上流側に支持するように配置されている。そして、上側本体部1101は、フィルタ組立体1107をファン組立体1000の本体1100から保持及び解放するための機構も備えている。したがって、図7は、フィルタ組立体1107bの一方が取外され、フィルタ組立体1107bの他方が上側本体部1101の反対側に取り付けられたファン組立体1000の等角図を示す。
【0033】
図示の実施形態では、ファン組立体1000の上側本体部1101は、上側本体シャシ1108を備えている。そして、モータ駆動インペラ1104は、上側本体シャシ1108の上端に向かって支持されるインペラハウジング1109内に収容される。次に、上側本体シャシ1108は、インペラハウジング1109の下にキャビティを画定する。上側本体部1101は、上側本体シャシ1108上に配置され、キャビティとインペラハウジング1109の側面とを囲む一対のグリル又は格子1110をさらに備えている。そして、グリル1110は、空気入口1105を上側本体部1101内に提供し、一対のフィルタ組立体1107は、グリル1110の上で上側本体シャシ1108上に解放可能に保持される。
【0034】
図示の実施形態では、上側本体シャシ1108は、上側本体シャシ1108の下端に配置された下部環状フランジ1111と、上側本体シャシ1108の上端に向かって/近接して配置された上部環状フランジ1112と、下部環状フランジ1111と上部環状フランジ1112との間で垂直に延びる一対の直径方向に対向する側部1113とを備えている。下部環状フランジ1111及び上部環状フランジ1112の両方は、上側本体シャシ1108の長手方向軸(Z)から半径方向/垂直方向に離れるように延びる。そして、下部環状フランジ1111の外縁は、下側本体部1102の周縁/外面と実質的に面一であり、一方、上部環状フランジ1112の外縁は、上側本体シャシ1108の上端に接続するノズル1200のベース/ネック1201の外面と実質的に面一である。
【0035】
上側本体シャシ1108は、上側本体シャシ1108の上端部に設けられて上側本体部1101内でインペラハウジング1109を支持するように配置されたファン取付/シート部1114をさらに備える。図示された実施形態では、上側本体シャシ1108のファン取付部1114は、下端に入口ベルマウス1115を有し、上端にプレーンパイプ出口1106を有する略管状の形状である。そして、上部保持リング1116が管状ファン取付部1114の上端に配置され、一方、下部保持リング1117が管状ファン取付部1114の下端に向かって/近接して配置されている。そして、インペラハウジング1109は、インペラハウジング1109と上部保持リング1116との間に接続された第1組の引張ばね1118と、インペラハウジング1109と下部保持リング1117との間に接続された第2組の引張ばね1119とにより、管状ファン取付部1114内に支持される。
【0036】
図示の実施形態では、インペラハウジング1109は、モータ駆動インペラ1104の周りに延びており、インペラハウジング1109の空気入口1120を画定する第1の端部と、第1の端部とは反対側に位置し、インペラハウジング1109の空気出口1121を画定する第2の端部とを有する。インペラハウジング1109は、インペラハウジング1109の長手方向軸がファン組立体1000の本体1100の長手方向軸(Z)と同一線上にあり、インペラハウジング1109の空気入口1120が空気出口1121の下に位置するように、ファン取付部1114内に位置合わせされている。インペラハウジング1109は、略円錐台形の下壁1122と、略円錐台形の上壁1123とを備えている。そして、インペラハウジング1109の下壁1122の底部に、流入する空気流をインペラハウジング1109内に案内するための実質的に環状の入口部材1124が接続されている。したがって、インペラハウジング1109の空気入口1120は、インペラハウジング1109の開口下端部に設けられた環状の入口部材1124によって画定され、インペラハウジング1109のこの空気入口1120は、ファン取付部1114の下端部に設けられた入口ベルマウス1115の上方に配置され位置合わせされている。
【0037】
図示の実施形態では、インペラ1104は、混流インペラの形態であり、略円錐形のハブと、ハブに接続された複数のインペラブレードと、ハブ及びブレードを取り囲むようにブレードに接続された略円錐台形のシュラウドとを備える。インペラ1104は、インペラハウジング1109内に配置されたモータハウジング1127内に収容されたモータ1126から外方に延びる回転シャフト1125に連結されている。図示の実施形態では、モータは、ユーザから提供される制御入力に応答して制御回路によって速度が可変とされるDCブラシレスモータである。
【0038】
モータハウジング1127は、モータ1126を支持する略円錐台形の下部1128と、下部1128に連結される略円錐台形の上部1129とを備えている。シャフト1125は、モータハウジング1127の下部1128に形成された開口を貫いて突出し、インペラ1104をシャフト1125に連結させる。モータハウジング1127の上部1129は、モータハウジング1127の上部1129の外面から突出する湾曲した羽根の形態の環状ディフューザ1130をさらに備えている。インペラハウジング1109の壁は、インペラハウジング1109とそれらの間のモータハウジング1127とがインペラハウジング1109を通って延びる環状空気流路を画定するように、モータハウジング1127を取り囲むと共にモータハウジング1127から離間している。そして、モータ駆動インペラ1104によって発生した空気流が排出される、インペラハウジング1109の空気出口1121は、モータハウジング1127の上部1129とインペラハウジング1109の上壁1123とによって画定される。
【0039】
次に、インペラハウジング1109と、上側本体シャシ1108のファン取付部1114の上端との間に、可撓性シール部材1131が取り付けられている。可撓性シール部材1131は、インペラハウジング1109の外面の周りを空気が通過するのを防止する。シール部材1131は、好ましくはゴムで形成された環状のリップシールを備える。
【0040】
上述したように、ファン組立体1000の上側本体部1101は、さらに、上側本体シャシ1108の対向する開放側部に配置された一対のグリル又は格子1110を備えている。グリル1110の各々は、ファン組立体1000の本体1100の空気入口1105として作用する開口の配列を備えている。具体的には、第1グリル1110aが上側本体シャシ1108の第1の開放側部に取り付けられ、第2グリル1110bが上側本体シャシ1108の第2の開放側部に取り付けられている。第1グリル1110aは、開口の配列を備えた管状プレートの形状を有しており(すなわち、弓形断面を有している)、上部環状フランジ1112と下部環状フランジ1111との間、及び上側本体シャシ1108の第1の側部1113と第2の側部1113との間に延びるように配置されている。
【0041】
図示された実施形態では、上側本体シャシ1108の側部1113は、それぞれ、グリル1110上にわたって上側本体シャシ1108上で一対のフィルタ組立体1107を取り外し可能に保持するように協働する一対のフィルタ保持組立体のうちの1つを支持する。具体的には、第1の保持組立体は、上側本体シャシ1108の第1の側部1113a内に支持され、第2の保持組立体は、上側本体シャシ1108の第2の側部1113b内に支持される。そして、第1の保持組立体は、第1のフィルタ組立体1107aの第1のエッジの近隣で第1のフィルタ組立体1107aと係合すると共に、第2のフィルタ組立体1107bの第1のエッジの近隣で第2のフィルタ組立体1107bと取り外し可能に係合するように構成される。そして第2の保持組立体は、第1のフィルタ組立体1107aの第2のエッジの近隣で第1のフィルタ組立体1107aと取り外し可能に係合し、第2のフィルタ組立体1107bの第2のエッジの近隣で第2のフィルタ組立体1107bと取り外し可能に係合するように構成される。第1のフィルタ組立体1107aの第1のエッジは、第1のフィルタ組立体1107aの第2のエッジの反対にあり、第2のフィルタ組立体1107bの第1のエッジは、第2のフィルタ組立体1107bの第2のエッジの反対にある。フィルタ保持組立体及びフィルタ組立体は、参照により本明細書に組み込まれる英国特許出願第1720055.1号及び英国特許出願第1720057.7号に記載されているとおりである。
【0042】
図8は、図1から図7のファン組立体と共に使用するのに適したフィルタ組立体の断面図である。図示された実施形態において、各フィルタ組立体1107は、1つ以上のフィルタ媒体1133を支持するフィルタフレーム1132を備える。各フィルタフレーム1132は、フィルタフレーム1132の長手方向軸に平行な2つの直線状側部と、フィルタフレーム1132の長手方向軸に垂直な2つの湾曲端部とを有する半円筒の形状を実質的に有する。1つ以上のフィルタ媒体1133は、フィルタフレーム1132によって画定される表面領域を覆うように配置される。各フィルタ組立体1107は、空気がフィルタ組立体1107のエッジの周りを通過してファン組立体1000の本体1100の空気入口1105を提供するグリル1110に至るのを防止するように上側本体シャシ1108と係合するためにフィルタフレーム1132の内周全体の周りに設けられた可撓性フィルタシール1134をさらに備える。可撓性フィルタシール1134は、好ましくは実質的に円弧形状のワイパー又はリップシールの形態をとる下部及び上側湾曲シール部を備え、下部シール部の各端部は、それぞれ実質的にワイパー又はリップシールの形態をとる2つの直線シール部によって上部シール部の対応する端部に接続される。したがって、上部及び下側湾曲シール部は、グリル1110の上下にある上側本体シャシ1108の部分に接触するように配置され、一方、直線シール部は、上側本体シャシ1108の側部1113の一方又は他方に接触するように配置されている。好ましくは、フィルタフレーム1132は、フィルタフレーム1132の内周全体の周りに延在し、可撓性フィルタシール1134を受け入れて支持するように配置された凹部(図示せず)を備える。
【0043】
そして、1つ以上のフィルタ媒体1133は、フィルタフレーム1132の外側の凸面上に支持される。図示の実施形態では、各フィルタ組立体1107は、化学フィルタ媒体層1133aと、化学フィルタ媒体層1133aの上流の微粒子フィルタ媒体層1133bと、微粒子フィルタ媒体層1133bの上流の外側メッシュ層1133cとを備える。
【0044】
そして、有孔シュラウド1135が、ファン組立体1000の本体1100上に配置されたときにフィルタ組立体1107を覆うように、各フィルタフレーム1132に取り外し可能に取り付けられる。したがって、図9は、有孔シュラウド1135がフィルタフレーム1132から取り外された状態の、図8に示したフィルタ組立体の後方斜視図である。各有孔シュラウド1135は、使用時に、フィルタ組立体の空気入口1136として作用する開口の配列を備える。あるいは、シュラウド1135の空気入口1136は、シュラウド1135内の窓内に取り付けられる1つ以上のグリル又はメッシュを備えてもよい。本発明の範囲内において、空気入口配列の代替パターンが想定されることは明らかであろう。シュラウド1135は、例えば輸送中に、フィルタ媒体1133を損傷から保護し、また、フィルタ組立体1107のための視覚的に魅力的な外面を提供し、これは、ファン組立体1000の全体的な外観と調和している。シュラウド1135がフィルタ組立体1107のための空気入口1136を画定する場合、開口の配列は、より大きな粒子がフィルタ組立体1107に入ってフィルタ媒体1133を詰まらせたり損傷したりすることを防止するようなサイズにされる。図示された実施形態では、有孔シュラウド1135は、実質的に半円筒状であり、上部環状フランジ1112の外縁と下部環状フランジ1111の外縁との間、及び上側本体シャシ1108の第1の側部1113の外面と第2の側部1113との外面の間に延びる領域を覆うように配置される。
【0045】
使用時には、モータ1126によるインペラ1104の回転により、インペラハウジング1109を通る空気流が発生する。この空気流は、空気入口1105の上に取り付けられたフィルタ組立体1107を介してファン組立体1000の本体1100内に空気を引き込む。そして、空気流は、インペラハウジング1109を通り、インペラハウジング1109の空気出口1121により設けられた、上側本体部1101の上端に設けられたベント/開口を通ってファン組立体1000の本体1100から出て、ノズル1200内に入る。
【0046】
ノズル1200は、本体1100の上端部に、空気流が本体1100から出る空気ベント1121上に取り付けられている。ノズル1200は、本体1100の上端に連結され本体1100からの空気流を受けるための空気入口1202を提供する開口下端を有するネック/ベース1201を備える。そして、ノズル1200のベース1201の外面は、上側本体シャシ1108の上部環状フランジ1112の外縁と実質的に面一である。したがって、ベース1201は、この実施形態では上部環状フランジ1112の上面により提供される、本体1100の上面に設けられているファン組立体1000の任意の構成要素を覆う/囲むハウジングを提供する。
【0047】
図示の実施形態では、多数の制御回路1137が、上側本体部1101の上端から半径方向に離れて延びる上部環状フランジ1112の上面に取り付けられている。したがって、これらの制御回路1137は、ノズル1200のベース1201内に収容されている。さらに、電子ディスプレイ1138も、上側本体部1101の上部環状フランジ1112に取り付けられており、したがって、ノズル1200のベース1201内に収容されており、ディスプレイ1138は、ノズル1200のベース1201に設けられた開口部又は少なくとも部分的に透明な窓を通して見ることができる。任意に、1つ以上の追加の電子コンポーネントが、上部環状フランジの上面に取り付けられ、結果的に、ノズル1200のベース1201内に収容されてもよい。例えば、これらの追加の電子コンポーネントは、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの1つ以上の無線通信モジュール、及び湿度センサ、赤外線センサ、ダストセンサなどの1つ以上のセンサ、その他の関連する電子部品であってもよい。このような付加的な電子コンポーネントは、1つ又は複数の制御回路にも接続されうる。
【0048】
図示された実施形態では、次に、ノズル1200は、スタジアム又は円板長方形形状としばしば呼ばれる細長い環状形状を有するノズル本体1203を備え、ノズル本体1203は対応する形状のボア1204を画定し、このボアは、その幅(ノズル1200の側壁間を延びる方向で測定される)より大きい高さ(ノズル1200の上端から下端まで延びる方向で測定される)と、中心軸(X)とを有する。したがって、ノズル本体1203は、それぞれがボア1204のそれぞれの細長い側に隣接する2つの平行な直線状側部1205と、直線部1205の上端を接合する上側湾曲部1206と、直線部1205の下端を接合する下側湾曲部1207とを備える。
【0049】
図10は、ノズル1200の具体的な一実施形態の正面断面図を示す。図示された実施形態では、ノズル本体1203は、ノズル1200の中央ボア1204の周りに延在する細長い環状ケーシング1208を備える。ノズルケーシング1208は、ノズル1200の空気入口1202から1つ以上の空気出口1210、1211へ空気を搬送するように配置された内部通路1209を画定する。空気入口1202を通ってノズル1200に入る空気がノズル本体1203の下側湾曲部1207に入り、それぞれがノズル本体1203の直線部1205のそれぞれに流れる2つの空気流に分割されるので、ケーシング1208によって画定される内部通路1209は、それぞれが内側ボア1204の周りで反対方向に延在する第1及び第2の部分を備えると考えることができる。
【0050】
次に、ノズル本体1203の平行な側部1205の各々は、ノズルの別個の細長い出口部1212を形成し、これらの出口部1212は、実質的に側部1205の全長に沿って延びる。そして、各出口部1212は、ノズル1200から空気流の一部を放出するように配置された操向可能/操縦可能な空気出口1210を備え、操向可能な空気出口1210の各々は、ノズルケーシング1208に対して独立して回転するように配置されている。したがって、ノズル1200は、本体1100のいずれの部分に対してもノズル1200を回転させることなく、各操向可能な空気出口1210によって放出される空気流の一部の方向を変化させることができる。
【0051】
図11は、図10のノズル1200の上面断面図である。図示の実施形態では、操向可能な空気出口1210の各々は、ノズル本体1203の対応する出口部1212によって画定される細長い前向きの開口1213と、開口1213内に配置され、出口本体1214の長手方向軸(B)を中心にして開口1213内で回転するように配置されたほぼ円筒形の細長い排気/出口本体1214とを備える。次に、各出口本体1214は、出口本体1214の幅を貫通して延び、したがって、空気が出口本体1214を通ってノズル1200から流出することを可能にする空気出口スロット又はチャネル1215を備える。したがって、開口1213内で出口本体1214を回転させると、出口本体1214を通って放出される空気流の方向も変わるように、ノズル本体1203に対する空気出口チャネル1215の向きが変わる。したがって、ノズル1200は、ノズル1200の前部において中央ボア1204のそれぞれの細長い側部に位置する2つの細長い操向可能な空気出口1210を備える。
【0052】
図示された実施形態では、2つの操向可能な空気出口1210は、各々、ほぼ円筒形であり、したがって円形断面を有する出口本体1214を備え、出口本体1214において空気出口チャネル1215は直線状であり、出口本体1214を通って直径方向に延びる。操向可能な空気出口1210は、出口本体1214の湾曲した外面の一部が対応する開口1213を通って外向きに突出するように配置され、空気出口チャネル1215の入口端1216は、対応する出口部1212の内部に配置された出口本体1214の部分に設けられ、空気出口チャネル1215の出口端1217は、対応する出口部1212の開口1213を通して露出する出口本体1214の部分に配置される。そして、空気出口チャネル1215の入口端1216にはベルマウスが設けられ、ノズル1200の内部通路1209内を流れる空気を空気出口チャネル1215内に導くのを助ける。
【0053】
図示された実施形態では、操向可能な空気出口1210の各々は、約100度のベクタリング範囲(θV)を有するように配置され、このベクトルタリング範囲は、対応する出口本体1214を通ってノズル1200から放出される空気流を変化させることができる角度範囲である。例として、図12aは、ベクトルタリング範囲の第1の端部にある操向可能な空気出口1210を示し、図12bは、ベクトルタリング範囲の反対側の第2の端部にある操向可能な空気出口1210を示す。
【0054】
図示された実施形態では、約100度のベクタリング範囲は、対応する開口1213を介して外向きに突出するために、出口本体1214の18%~20%を必要とする。しかしながら、各操向可能な空気出口1210は、45度~180度のいずれかのベクタリング範囲を有するように同様に配置することができ、この場合、対応する開口1213を介して外向きに突出するために、出口本体1214の4%~50%のいずれかの範囲を必要とする。そして、各出口本体1214のベクタリング範囲の中心/中間点は、図示の実施形態では、対応する開口1213を長手方向に二分する平面に位置合わせされることが好ましく、ノズル本体1203を長手方向に二分する平面ともに平行になる。
【0055】
図13は、操向可能な空気出口1210の具体的な実施形態の側面図を示し、一方、図14は、図13の操向可能な空気出口1210の分解図を示す。図示された実施形態では、次いで、細長い出口本体1214の一端は、操向モータ1218のシャフトに取り付けられ、操向モータ1218の動作により、ノズルケーシング1208によって画定される細長い開口1213内で出口本体1214が回転するようになっている。そして、出口本体1214の反対端は、軸受1219内に配置される。したがって、操向可能な空気出口1210の各々から放出される空気流の方向は、対応する操向モータ1218を制御して空気出口チャネル1215の角度方向を調整することによって変化させることができる。したがって、制御回路1137の1つ以上は、操向可能な空気出口1210の各々の各操向モータ1218を独立して制御するように構成されている。
【0056】
操向可能な空気出口1210は、拡散モード及び集中モードのいずれにおいても動作可能である。拡散モードでは、2つの(左右の)操向可能な空気出口1210は、それらの中心軸が集束しないように配向される。例えば、拡散モードでは、操向可能な空気出口1210の出口本体1214は、それらの空気出口チャネル1215の中心軸(Ca、Cb)が平行になるように方向付けることができる。あるいは、拡散モードでは、操向可能な空気出口1210の出口本体1214は、それらの空気出口チャネル1215の中心軸(Ca、Cb)が他方から離れるように配向され得る。一例として、図15aは、出口本体1214が拡散モードで動作するように構成されている、図10のノズル1200の上面断面図を示す。そして、2つの操向可能な空気出口1210の相対的な向きは、2つの(左右の)操向モータ1218の回転速度が等しくなることを保証することによって、ノズル1200から放出される空気流の全方向の任意の変化の間、及び/又はノズル1200から放出される空気流の任意の揺動の間、維持され得る。
【0057】
集中モードでは、2つの(左右の)操向可能な空気出口1210は、収束方向に向けられる。換言すれば、2つの操向可能な空気出口1210は、それらの中心軸(Ca、Cb)が交差するように配向されている。特に、集中モードでは、操向可能な空気出口1210の出口本体1214は、それらの空気出口チャネル1215の中心軸(Ca、Cb)が収束するように方向付けることができる。一例として、図15bは、出口本体1214が集中モードで動作するように構成されている、図10のノズル1200の上面断面図を示す。集中モードでは、ノズル1200は、2つの操向可能な空気出口1210の中心軸(Ca、Cb)が収束する位置のノズル本体1203の前面からの距離が、空気出口1210の向きに関係なく一定となるように配置することができる。ノズル1200から放出される空気流の全方向の任意の変化の間、及び/又はノズル1200から放出される空気流の任意の揺動の間にこの一定距離を維持することは、2つの(左右の)操向モータ1218が異なる回転速度で動作することを必要とする。そのために、制御回路1137は、第1の走行可能な空気出口1210aを第1の速度で、第2の操向可能な空気出口1210bを第1の速度とは異なる第2の速度で同時に揺動させるように構成されている。例えば、制御回路1137は、第1の操向可能な空気出口1210aが第2の操向可能な空気出口1210bから離れるように回転しているとき、第1の速度は第2の速度よりも小さく、第1の操向可能な空気出口1210aが第2の操向可能な空気出口1210bに向かって回転しているとき、第1の速度が第2の速度よりも大きくなるように構成することができる。
【0058】
図示の実施形態では、操向可能な空気出口1210の各々は、ノズル本体1203に対する出口本体1214の向きを検出するように配置された出口本体配向検出機構/システム1220をさらに備える。特に、出口本体配向検出機構1220は、出口本体1214が回転可能な範囲の2つの部分のうち現在どちらにあるかを検出するように配置されている。出口本体配向検出機構1220は、対応する出口部1212内でノズル本体1203に設けられたフォトインタラプタ1221と、出口本体1214が回転範囲の2つの部分のいずれかにあるときにフォトインタラプタ1221によって検出されるように配置されたスクリーン1222とを備える。ここで、フォトインタラプタとは、発光素子と受光素子とが、それらの間に画定された間隙を隔てて対向配置されたフォトセンサである。そして、フォトインタラプタは、対象物が両素子間に入り、発光素子からの光が受光素子に到達するのを防止したことを検知する。一般に、発光素子としては赤外線エミッタが用いられ、受光素子としては赤外線検出器が用いられる。図示の実施形態では、フォトインタラプタ1221は、発光素子と受光素子との間の間隙が、出口本体1214の回転軸及び対応する開口1213の中心とほぼ一致するように配置されている。そして、スクリーン1222は、出口本体1214の回転軸(すなわち長手方向/中心軸)から半径方向に突出し、回転範囲の2つの部分のうちの1つを覆って延びる。したがって、スクリーン1222は、回転軸から半径方向に離れて延びる2つの端部を有し、したがって、三角形又は円形のセクタ形状を有することができる。
【0059】
操向可能な空気出口1210の各々のフォトインタラプタ1221は、その出力を制御回路1137への入力として提供するように配置される。そして、制御回路1137は、フォトインタラプタ1221からの入力を使用して、操向可能な空気出口1210の各々の操向モータ1218を制御するように構成される。特に、最初に、操向可能な空気出口1210の各々のフォトインタラプタ1221から受信される入力は、間隙が遮蔽されており、したがって、対応する出口本体1214が、回転範囲の2つの部分のうちの第1の部分にあるか、又は、間隙がクリアであり、したがって、対応する出口本体1214が、回転範囲の2つの部分のうちの第2の部分にあるかのいずれかを示す。次いで、制御回路1137は、各出口本体1214が回転範囲の遠位端に向かって回転するように各操向モータ1218を作動させるように構成される。出口本体1214の各々のこの回転中に、対応するスクリーン1222の端部が間隙を通過して、フォトインタラプタ1221が遮蔽されている状態とクリアな状態との間で遷移するようになり、それによって、制御回路1137は、回転範囲内の出口本体1214の正確な位置を決定する。
【0060】
図示された実施形態では、各操向可能な空気出口1210の配向検出機構1220は、対応する出口本体1214が、利用可能な回転範囲と一致しないベクタリング範囲の第1の端部に配向されたときに、スクリーン1222の第1の端部がフォトインタラプタ1221に検出/整列されるように配置される。そして、操向可能な空気出口1210のそれぞれの配向検出機構1220は、対応する出口本体1214の空気出口チャネル1215の中心軸がノズル本体1203を長手方向に二分する平面に向けて配向された状態で、ベクタリング範囲の中点から(すなわち、対応する開口1214を長手方向に二分する平面から)約7度離れたときに、スクリーン1222の第2の端部がフォトインタラプタ1221に検出/整列されるようにさらに配置される。しかしながら、配向検出機構1220は、同様に、対応する出口本体1214の空気出口チャネル1215の中心軸が、ベクタリング範囲の中点から0度乃至40度の間で離れたときに、スクリーン1222の第2の端部が、フォトインタラプタ1221に検出/整列されるように配置されてもよい。このように各操向可能な空気出口1210の配向検出機構1220を構成することにより、制御回路1137は、両方の操向可能な空気出口1210の出口本体1214が、その中心軸がノズル本体1203を長手方向に二分する平面上で交差するような収束方向に配向されているときに、それを検出することができる。
【0061】
図示された実施形態では、細長い環状ケーシング1208は、細長い環状内側ケーシング部1224と同心でありその周りに延在する細長い環状外側ケーシング部1223を備える。この例では、内側ケーシング部1224と外側ケーシング部1223とは、単一の部品として一体に形成される。しかし、これらは別個の部品として形成することもできる。また、環状ケーシング1208は、ノズル本体1203の後部を構成する湾曲後側ケーシング部1225をさらに備え、湾曲後側ケーシング部1225の内端部は、内側ケーシング部1224の後端部に連結されている。この例では、内側ケーシング部1224と湾曲後側ケーシング部1225とは、例えばネジ及び/又は接着剤を用いて互いに連結された別部品である。しかし、単一の部品として一体的に形成することもできる。湾曲後側ケーシング部1225は、ノズル1200の内側ボア1204の中心軸に垂直な概ね細長い環状断面と、ノズル1200の内側ボア1204の中心軸に平行な概ね半円状の断面とを有する。
【0062】
内側ケーシング部1224は、ノズル1200の内側ボア1204の中心軸に垂直な略細長い環状断面を有し、ノズル1200の内側ボア1204の周りに延び、これを取り囲んでいる。この例では、内側ケーシング部1224は、内側ケーシング部1224の後端から内側ボア1204の中心軸(X)から離れて外側に傾斜している。したがって、内側ケーシング部1224は、外側ケーシング部1223の前端に向かって先細りしているが、外側ケーシング部1223の前端には接しておらず、そのため、内側ケーシング部1224の前端と外側ケーシング部1223の前端との間に間隙/空間が存在する。そして、ケーシング1208は、ノズル本体1203の上下の湾曲部1206、1207において、内側ケーシング部1224の前端と外側ケーシング部1223の前端との間の間隙を横切って延びる2つの湾曲カバー1226をさらに備えている。そして、直線状側部1205に沿って延在する間隙のこれらの部分は、それぞれ、2つの操向可能な空気出口1210の細長い前方を向いた開口1213を画定し、そして、出口本体1214は細長い開口1213のそれぞれの内部に配置される。したがって、ノズル1200は、それぞれがノズル1200の前部の中央ボア1204のそれぞれの細長い側部1205に配置される2つの第1の空気出口1210を備え、これらの第1の空気出口1210は、操向可能な空気出口である。
【0063】
そして、外側ケーシング部1223は、ノズル本体1203の前方から湾曲後側ケーシング部1225の外端に向かって延びているが、湾曲後側ケーシング部1225の外端には接しておらず、外側ケーシング部1223の後端と湾曲後側ケーシング部1225の外端との間に間隙/空間が存在する。したがって、外側ケーシング部1223の後端と湾曲後側ケーシング部1225の外端との間のこの間隙は、操向可能な第1の空気出口1210とは別の第2の空気出口1211を提供し、この第2の空気出口1211はノズル本体1203の最外面(すなわち、ボア1204の中心軸に対して実質的に垂直な方向を向いているノズル1200の外面)の一部の周りに延在する。
【0064】
したがって、外側ケーシング部1223、内側ケーシング部1224、及び湾曲後側ケーシング部1225は、ノズル1200の空気入口1202から第1の空気出口1210及び第2の空気出口1211の一方又は両方に空気を搬送するための内部通路1209を画定する。すなわち、内部通路1209は、外側ケーシング部1223、内側ケーシング部1224、及び湾曲後側ケーシング部1225の内面によって境界付けられている。空気入口1202を通ってノズル1200に入る空気が、ノズル本体1203の下側湾曲部1207に入り、それぞれがノズル本体1203の直線部1205のそれぞれの一方に流れる2つの空気流に分割されるので、内部通路1209は、それぞれがボア1204の周りの反対方向に延びる第1及び第2の部分を備えると考えることができる。
【0065】
次に、ノズル本体1203のケーシング1208は、内部通路1209内に設けられ、内部通路1209内の空気流を第2の空気出口1211に向けて方向付けるように構成されたバッフル1227をさらに備えている。バッフル1227は、内部通路1209を少なくとも部分的に画定するノズル本体1203の内面から内部通路1209内に延びる。したがって、バッフル1227と第2の空気出口1211に隣接するノズル本体1203の内面の一部との両方によって囲まれる内部通路1209の部分は、ノズル本体1203内の空気が第2の空気出口1211に導かれる第2の空気出口1211の空気出口チャネル1228を画定する。
【0066】
バッフル1227は、湾曲後側ケーシング部1225から内部通路1209内に延びるバッフル壁により提供される。バッフル壁1227は、湾曲後側ケーシング部1225の外端に連結され、前部1227aと後部1227bとを有している。バッフル壁1227は、湾曲後側ケーシング部1225の外端からボア1204の中心軸(X)に向かって内方に傾斜しており、バッフル壁1227の少なくとも一部が外側ケーシング部1223の隣接する部分と重なるように、ノズル本体1203の前方に向かって延びている。バッフル壁1227の前端及び外側ケーシング部1223の内面によって画定される、第2の空気出口1211の空気出口チャネル1228の入口端は、ノズル本体1203によって画定されるボア1204の中心軸線(X)に対して実質的に垂直である。
【0067】
バッフル壁1227は、内部通路1209の細長い側部を上方に延び、上側湾曲部1206の周囲に延びている。バッフル壁1227の細長い側部は、概ね直線である。一方、バッフル壁の下端は、ノズル本体1203に入る空気流がこの下端を介して第2の空気出口1211の空気出口チャネル1228に入ることができないように、内部通路1209の下側湾曲部1207の内面に接するまで、部分的にのみ下側湾曲部1207内に延びる。さらに、バッフル壁1227は、上側湾曲部1206のピーク/中心に、バッフル壁1227の外向き面から外側ケーシング部1223の内面まで延びる突出部をさらに備え、それにより、第2の空気出口1211の空気出口チャネル1228の隣接部分を内部通路1209から分離し、内部通路1209から第2の空気出口1211の空気出口チャネル1228への開口を2つの部分に分割し、開口の各部分は、細長い側部1205の一方を上に延び、上側湾曲部1206のピークの突出部に達するまで、内部通路1209の上側湾曲部1206の周りを部分的に延びる。
【0068】
次に、ファン組立体1000は、第2の空気出口1211からの空気の流れを制御するように配置された弁1230を備える。そのために、弁1230は、ノズル1200内の空気流が第2の空気出口1211に到達するのを弁部材1231が閉塞/阻止する第1の端部位置と、ノズル1200内の空気流が第2の空気出口1211に到達するのを弁部材1231が許容する第2の端部位置との間で移動可能に配置された、一対の弁部材1231を備える。弁1230は、ノズル1200の内部通路1209内に設けられている。その結果、各弁部材1231は、第1の端部位置にあるときに第2の空気出口1211の空気出口チャネル1228の入口端を内部通路1209の残部から遮断するように配置されており、空気流が第2の空気出口1211の空気出口チャネル1228に入るのを実質的に防止するようになっている。
【0069】
したがって、各弁部材1231は、第1の端部位置において、弁部材1231が第2の空気出口1211に隣接するノズル本体1203の内面とバッフル壁1227との両方に当接/着座することにより、第2の空気出口1211の空気出口チャネル1228への開口の対応部分を内部通路1209の残部から実質的に遮断するように配置される。各弁部材1231には、弁部材1231が第1の端部位置にあるときに弁部材1231とバッフル壁1227との間に形成されるシールを改善するシール要素1232が設けられている。
【0070】
図16は、本明細書に記載するノズル1200に適した弁1230の一実施形態の後方斜視図を示す。図示された実施形態では、各弁部材1231の形状は、内部通路1209の整列されたセクション/部分の形状に実質的に対応/相関している。したがって、各弁部材1231は、概してJ字形であり、細長い部分及び湾曲した端部を有し、また、細長い部分及び湾曲した端部を備えるほぼJ字形の断面を有する。
【0071】
弁部材1231を第1の端部位置から第2の端部位置に移動させるために、ファン組立体1000には、制御回路1137から受信した信号に応じて弁部材1231を移動させるように配置された弁モータ1233が設けられている。弁モータ1233は、曲線状又は円弧状のラック1235に噛み合うピニオン1234を回転させるように配置されており、弁モータ1233の回転によりピニオン1234及びラック1235の両方が回転し、ラック1235の回転により弁部材1231が移動するように弁1230は構成されている。
【0072】
図示された実施形態では、弁モータ1233は、上側湾曲部1206のピーク/中心で内部通路1209内のバッフル壁1227に取り付けられ、そして、バッフル壁1227は、後側ケーシング部1225に取り付けられる。そして、弁モータ1233の回転シャフトは、後側ケーシング部1225に向けて突出し、シャフトの回転軸はボア1204の中心軸と平行である。回転シャフトにはピニオン1234が取り付けられており、ピニオン1234の歯は、内部通路1209の上側湾曲部1206の形状に実質的に対応/相関する形状の円弧状ラック1235と噛み合っている。
【0073】
ノズル本体1203が細長い環状形状を有するので、ラック1235は、ラック1235が180度未満の角度をなす小円弧の形状を有する。具体的には、円弧状ラック1235は、ノズル本体1203によって画定される内部通路1209の上側湾曲部1206の大部分の周囲に延び、円弧状ラック1235の端部はそれぞれ、ノズル本体1203内に取り付けられたときに、内部通路1209のそれぞれの細長い側部1205に位置合わせされる。
【0074】
第2の空気出口1211の空気出口チャネル1228への開口は、ノズル1200のボア1204の中心軸(X)に実質的に平行である。これにより、弁部材1231が第1の端部位置にあるときに第2の空気出口1211の空気出口チャネル1228を閉鎖するために、弁部材1231はそれぞれ、ボア1204の中心軸(X)と実質的に平行な方向に移動するように配置される。したがって、弁1230は、ラック1235の回転がボア1204の中心軸(X)と平行な方向への弁部材1231の移動に変換されるように構成される。
【0075】
ラック1235の回転をボア1204の中心軸(X)に平行な方向への弁部材1231の移動に変換するために、円弧状ラック1235は、ラック1235からボア1204の中心軸(X)に平行な方向に突出する一対の面を備えている。これらの突出面の各々は、円弧状ラック1235の曲率に沿うように湾曲しており、ラック1235は、ピニオン1234がラック1235に係合されたときに一対の面がピニオン1234の両側に位置するように構成されている。そして、これらの突出面の各々には、ラック1235の回転軸に対して約45度の角度で湾曲面を横切って延び、対応する弁部材1231から突出するフォロワピン1237により係合されるように配置されたカムスロット1236の形態のリニアカムが設けられており、両突出面に設けられたカムスロット1236は同一方向に傾斜している。
【0076】
また、一対の弁アクチュエータのうちの第1の弁アクチュエータ1238aは、円弧状ラック1235の第1の端部に回転可能に連結/取り付けられ、一対の弁アクチュエータのうちの第2の弁アクチュエータ1238bは、円弧状ラック1235の反対側の第2の端部に回転可能に連結/取り付けられている。各弁アクチュエータ1238は、細長い(内部通路1209の細長い側部に沿って延びるように配置されている)ものであり、弁アクチュエータ1238の上端に向かって設けられた上側カムスロット1239と、弁アクチュエータ1238の下端に向かって設けられた下側カムスロット1240とを備えている。上側カムスロット1239及び下側カムスロット1240は、ボア1204の中心軸(X)に対して約45度の角度で、対応する弁アクチュエータ1238を横切って延び、それぞれ、対応する弁部材1231から突出するフォロワピン1241により係合されるように配置される。第1の弁アクチュエータ1238a上のカムスロット1239a、1240aは、カムスロット1239a、1240aが弁アクチュエータ1238aの後方から前方に延びるにつれて上方に傾斜し、一方、第2の弁アクチュエータ1238b上のカムスロット1239b、1240bは、カムスロット1239b、1240bが弁アクチュエータ1238bの後方から前方に延びるにつれて下方に傾斜する。したがって、各弁部材1231は、ラック1235の対応する部分に設けられたカムスロット1236と、対応する弁アクチュエータ1238に設けられた上側カムスロット1239及び下側カムスロット1240とに、それぞれ係合するように配置された3つのフォロワピン1237、1241を備える。
【0077】
弁部材1231を第1の端部位置と第2の端部位置との間で移動させるために、制御回路1137は、弁モータ1233に信号を送り、モータ1233にシャフトを一方向又は他方向に回転させて、シャフトに設けられたピニオン1234を回転させる。このため、ピニオン1234と円弧状ラック1235との係合により、ラック1235はシャフトと同じ方向に回転する。したがって、円弧状ラック1235の回転により、ラック1235から突出する曲面上に設けられた傾斜カムスロット1236が、カムスロット1236内に係合する対応する弁部材1231のフォロワピン1237に対して相対的に移動し、カムスロット1236の角度により、円弧状ラック1235の回転運動がボア1204の中心軸(X)に平行な方向への弁部材1231の直線運動に変換されることになる。特に、円弧状ラック1235の回転により、両方の突出面が同じ方向に回転する。ここで、ラック1235から突出する湾曲面に設けられたカムスロット1236は、同一方向に傾斜しているので、湾曲面の同一方向の回転は、第1の弁部材1231a及び第2の弁部材1231bの同一方向の水平移動に変換される。
【0078】
また、円弧状ラック1235の回転により、円弧状ラック1235の第1の端部及び第2の端部が上下方向に変位し、これに伴い、円弧状ラック1235の端部に回転自在に接続された弁アクチュエータ1238が上下方向に変位する。特に、円弧状ラック1235の回転により、円弧状ラック1235の第1の端部及び第2の端部の一方と、接続された弁アクチュエータ1238aとが上方に移動し、円弧状ラック1235の第1の端部及び第2の端部の他方と、接続された弁アクチュエータ1238bとが下方に移動する。弁アクチュエータ1238の垂直方向の変位により、弁アクチュエータ1238に設けられた傾斜カムスロット1239、1240が、対応する弁部材1231の各フォロワピン1241に対して移動し、カムスロット1239、1240の角度は、弁アクチュエータ1238の垂直方向の変位を、ボア1204の中心軸(X)に平行な方向への弁部材1231の水平移動に変換する。この点に関して、第1の弁アクチュエータ1238aに設けられたカムスロット1239a、1240aは、第2の弁アクチュエータ1238bに設けられたカムスロット1239a、1240aとは反対方向に傾斜しているので、第1の弁アクチュエータ1238a及び第2の弁アクチュエータ1238bの反対の垂直方向への移動は、第1の弁部材1231a及び第2の弁部材1231bの水平方向への移動に変換される。
【0079】
ファン組立体1000を操作するために、ユーザはユーザインターフェース上のボタンを押す。ユーザインターフェースは、ファン組立体1000自体、関連するリモコン(図示せず)、及び/又はファン組立体と無線で通信するタブレット又はスマートフォンなどの無線コンピュータ装置(図示せず)に設けることができる。このユーザの動作は制御回路1137に伝達され、それに応答して制御回路1137はファンモータ1126を作動させてインペラ1104を回転させる。インペラ1104の回転により、空気流がフィルタ組立体1107を介して空気入口1105を通って本体1100内に引き込まれる。ユーザは、ユーザインターフェースを操作することによって、ファンモータ1126の速度、したがって空気が空気入口1105を通って本体内に引き込まれる速度を制御することができる。空気流は、ファン組立体1000の本体1100の開口上端でフィルタ組立体1107、空気入口1105、インペラハウジング1109及び空気ベント1121を順次通過し、ノズル1200のベース1201に位置する空気入口1202を介してノズル1200の内部通路1209に入る。
【0080】
内部通路1209内では、空気流は、ノズル1200のボア1204の周りを反対の角度方向に通過する2つの空気流に分割され、各空気流は、内部通路1209のそれぞれの直線部1205内にある。空気流が内部通路1209を通過するとき、空気は、操向可能な第1の空気出口1210のそれぞれの出口本体1214の位置と、第2の空気出口1211の弁部材1231の位置とに応じて、第1の空気出口1210及び第2の空気出口1211の一方又は両方から放出される。
【0081】
内部通路1209に設けられた弁部材1231の両方が第1の端部位置にあるとき、弁部材1231に設けられたシール要素1232の細長い部分は、バッフル壁1227の前端及び外側ケーシング部1223の内面の重なり部に接触する。したがって、弁部材1231は、第2の空気出口1211の空気出口チャネル1228への開口を実質的に閉鎖して、空気流が第2の空気出口1211の空気出口チャネル1228に入るのを実質的に防止する。そして、ノズル1200内の空気流の全体は、操向可能な第1の空気出口1210を介してのみノズル1200から放出され得るようになる。
【0082】
逆に、内部通路1209に設けられた弁部材1231の両方が第2の端部位置にある場合、第2の空気出口1211の空気出口チャネル1228への開口は、内部通路1209の残りの部分に開放され、それにより、ノズル1200内の空気流は、その後、第2の空気出口1211を介してノズル1200から放出され得る。次いで、制御回路1137は、操向可能な第1の空気出口1210の各々の操向モータ1218を制御して、対応する出口本体1214をベクタリング範囲の端部の1つを超えて回転させることにより、出口本体1214の空気出口チャネル1215の入口端1216及び出口端1217の両方が、対応する出口部1212の内部に配置されるように構成することができる。このようにすることで、操向可能な第1の空気出口1210が閉鎖され、対応する出口本体1214の空気出口チャネル1215を通過する任意のものはノズル1200の内部に留まり、ノズル1200から放出されない。そして、ノズル1200内の空気流の全体は、ノズル1200から第2の空気出口1211を介してのみ放出され得る。したがって、図17は、弁1230が開いており、操向可能な第1の空気出口1210が閉じられるように出口本体1214が配置されている、図10のノズル1200の上面断面図を示す。
【0083】
なお、上述した各項目は、単独で使用してもよいし、図面に示された他の項目や明細書に記載された他の項目と組み合わせて使用してもよいし、同一箇所に記載された項目や同一図面に記載された項目を組み合わせて使用する必要はない。さらに、「手段」という表現は、アクチュエータ又はシステム又は装置によって置き換えてもよい。さらに、「備える」又は「含む」という表現は、いかなる形でも限定することを意図しておらず、読者は、明細書及びクレームを適宜に解釈すべきである。
【0084】
さらに、本発明を上記の好ましい実施形態に関して説明したが、これらの実施形態は例示のみであることを理解されたい。当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあると考えられる開示を考慮して、修正及び代替を行うことができる。例えば、当業者であれば、上述の発明は、自立型ファン組立体だけでなく、他のタイプの環境制御ファン組立体にも同様に適用可能であることを理解するであろう。一例として、このようなファン組立体は、自立型ファン組立体、天井又は壁に取り付けられたファン組立体、及び車載ファン組立体のいずれであってもよい。
【0085】
さらに、上述した実施形態は全て、弁の弁部材の動きを駆動するための弁モータを提供するが、本明細書に記載したノズルは、弁部材の動きを駆動するための手動機構を代替的に含んでもよく、その場合、ユーザによる力の印加は弁部材の動きに変換される。例えば、これは、回転可能なダイヤルもしくはホイール、又は、スライド式のダイヤル若しくはスイッチの形態をとることができ、ユーザによるダイヤルの回転又はスライドにより、シャフト、ピニオン及びラックが回転する。
【0086】
さらに、上述した実施形態では、操向可能な空気出口の各々は、ほぼ円筒形の出口本体を備え、したがって、円形断面を有する。しかしながら、操向可能な空気出口は、各々、部分的にのみ円筒形である出口本体を備えることができ、その円筒形の部分は、対応する開口内で出口本体が回転するのを可能にするのに十分である。例えば、操向可能な空気出口の出口本体は、切頭円、円形セクタ、涙滴等の断面形状を有することができる。さらに、上述した実施形態では、操向可能な空気出口の出口本体を通過する空気出口チャネルは直線であり、出口本体を通って直径方向に延びているが、空気出口チャネルは、出口本体の直径に対して湾曲し、角度をつけられ、又は、オフセットされることができる。
【符号の説明】
【0087】
1000 ファン組立体
1100 本体
1104 モータ駆動インぺラ
1200 ノズル
1203 ノズル本体
1210 操向可能な空気出口
1212 出口部
1213 開口
1214 出口本体
1215 空気出口チャネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
図14
図15a
図15b
図16
図17