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特許7170892口腔および印象の複合スキャンシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】口腔および印象の複合スキャンシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20221107BHJP
   A61C 19/04 20060101ALI20221107BHJP
   G06F 30/12 20200101ALI20221107BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20221107BHJP
   A61C 5/70 20170101ALN20221107BHJP
【FI】
G06F30/10
A61C19/04 Z
G06F30/12
G06F30/20
A61C5/70
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021549154
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 KR2020002391
(87)【国際公開番号】W WO2020171589
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2019-0019296
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0020108
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】315015391
【氏名又は名称】メディット コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、トン フン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ウォン フン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ポム シク
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-24396(JP,A)
【文献】国際公開第2012/083960(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/062658(WO,A2)
【文献】国際公開第2008/051130(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/143497(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1854732(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/10
A61C 19/04
G06F 30/12
G06F 30/20
A61C 5/70
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔対象物をスキャンするように備えられる口腔スキャナと、
前記口腔スキャナから取得した口腔スキャンデータが格納され、予め設定された判断条件によって、前記口腔対象物の印象スキャンデータが選択的に格納されるように形成される格納部と、
前記口腔スキャンデータが前記判断条件に該当するか否かを判断し、前記印象スキャンデータの選択的な格納をガイドする判断部と、
前記印象スキャンデータのうち、判断条件に該当する選択領域が前記口腔スキャンデータの当該領域に部分的に適用されるように制御する制御部とを含む口腔および印象の複合スキャンシステム。
【請求項2】
前記判断条件は、前記口腔スキャンデータにマージンラインの表示不明確、またはポスト領域の存在、または金属を含む領域の存在の、複数の条件の少なくとも1つ以上を含む、請求項1に記載の口腔および印象の複合スキャンシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記格納部から前記選択領域と隣接する領域の情報を併せて受けて、前記選択領域を代替するように適用する前に自動でシミュレーションが行われるように形成されるシミュレーション部を含む、請求項1に記載の口腔および印象の複合スキャンシステム。
【請求項4】
口腔対象物をスキャンして口腔スキャンデータが格納される口腔スキャンデータ格納ステップと、
前記口腔スキャンデータを選択的に格納された印象スキャンデータに対応するように印象モードに変換させる印象モード変換ステップと、
前記印象スキャンデータ中の選択領域に対するスキャンデータを部分的に取得し、前記印象モードに変換された前記口腔スキャンデータに適用する選択領域代替適用ステップと、
前記選択領域に前記印象スキャンデータが適用された前記口腔スキャンデータを初期モードである口腔モードに再変換させて、最終スキャンデータを取得する最終スキャンデータ取得ステップとを含む口腔および印象の複合スキャン方法。
【請求項5】
前記口腔スキャンデータ格納ステップの後、前記口腔スキャンデータの予め設定された判断条件を含むか否かにより、前記印象スキャンデータが選択的に格納される印象スキャンデータ格納可否判断ステップをさらに含む、請求項4に記載の口腔および印象の複合スキャン方法。
【請求項6】
前記印象スキャンデータは、印象模型のうち、前記判断条件に該当する口腔スキャンデータの部分に対応する部分のみを選択的にスキャンして格納されたデータである、請求項に記載の口腔および印象の複合スキャン方法。
【請求項7】
前記印象モード変換ステップは、前記口腔スキャンデータ格納ステップにより、前記口腔スキャンデータ上にマージンラインの表示が不明確と判断された場合、印象材を用いて前記印象スキャンデータに前記マージンラインが表示されるようにし、
前記マージンラインは、前記口腔スキャンデータに適用されて、前記最終スキャンデータの取得時に表示される、請求項4に記載の口腔および印象の複合スキャン方法。
【請求項8】
前記口腔スキャンデータ格納ステップは、前記口腔対象物をスキャンして前記選択領域がポスト領域であると判断された場合、前記ポスト領域を印象モードに変換して、予め格納された前記印象スキャンデータに代替して適用するポスト領域スキャンステップを含む、請求項4に記載の口腔および印象の複合スキャン方法。
【請求項9】
前記ポスト領域スキャンステップは、
前記ポスト領域を表示する表示ステップと、
前記ポスト領域に対する口腔スキャンデータを選択的に取得し、前記印象モードに変換して印象スキャンデータを取得する印象モード変換ステップと、
前記印象モードの変換により前記ポスト領域に対する陽刻スキャンデータを取得し、前記陽刻スキャンデータを前記印象スキャンデータに部分的に代替適用する陽刻スキャンデータ適用ステップとを含む、請求項に記載の口腔および印象の複合スキャン方法。
【請求項10】
スキャナがポスト領域を含む口腔対象物に対して口腔スキャンデータを取得する口腔スキャンデータ取得ステップと、
前記口腔スキャンデータが反転するように印象モードに切り替える印象モード切替ステップと、
前記ポスト領域に対して印象スキャンの対象領域として指定する選択領域指定ステップと、
前記印象スキャンの対象領域として指定された選択領域に対して印象スキャンデータを取得する印象スキャンデータ取得ステップと、
前記口腔スキャンデータと前記選択領域に対して取得した前記印象スキャンデータが整列されるデータ整列ステップとを含む口腔および印象の複合スキャン方法。
【請求項11】
前記印象スキャンデータ取得ステップにおいて、前記ポスト領域は、陽刻に取得される、請求項10に記載の口腔および印象の複合スキャン方法。
【請求項12】
前記データ整列ステップにより整列された前記口腔スキャンデータおよび前記印象スキャンデータは、前記印象モードの解除によって再反転する再反転ステップをさらに含む、請求項11に記載の口腔および印象の複合スキャン方法。
【請求項13】
前記再反転ステップにより、前記選択領域は、前記印象スキャンデータが前記口腔スキャンデータを代替し、前記口腔スキャンデータおよび前記印象スキャンデータの結合によって最終スキャンデータを取得する最終データ取得ステップを含む、請求項12に記載の口腔および印象の複合スキャン方法。
【請求項14】
上顎模型および下顎模型を含む口腔対象物の外面をスキャンして第1口腔スキャンデータが格納される第1口腔スキャンデータ格納ステップと、
前記上顎模型および前記下顎模型が離隔した状態で前記口腔対象物の内部をスキャンして第2口腔スキャンデータが格納される第2口腔スキャンデータ格納ステップと、
前記上顎模型および前記下顎模型の咬合状態を含む前記口腔対象物の選択領域に対する印象スキャンデータを取得し、前記第1口腔スキャンデータおよび前記第2口腔スキャンデータと比較する選択領域印象スキャンデータ比較ステップと、
前記第1口腔スキャンデータおよび前記第2口腔スキャンデータに前記印象スキャンデータを部分的に代替して適用する選択領域印象スキャンデータ代替適用ステップとを含む口腔および印象の複合スキャン方法。
【請求項15】
前記第1口腔スキャンデータ格納ステップにおいて、前記上顎模型および前記下顎模型は、咬合するように向かい合う、請求項14に記載の口腔および印象の複合スキャン方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔および印象の複合スキャンシステムおよび方法に関し、より詳しくは、口腔スキャナを用いて、口腔スキャンデータを取得した後、印象スキャンデータを取得する過程で印象スキャンデータを口腔スキャンデータに整列させて、最終的に併合された1つのデジタルデータを取得するようにする口腔および印象の複合スキャンシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR MULTIPLE SCAN OF INTRAORAL AND IMPRESSION)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、3次元スキャニングは、逆設計、測定、検査、コンテンツ生成、CAD/CAMなどの多様な産業分野で用いられており、コンピューティング技術の発展によってスキャニング性能が高くなり、次第に使用分野が広がっている。
【0003】
最近は、秒あたり数フレーム以上のデータを取得することができ、自動化されたデータ処理により専門訓練を受けていない一般の使用者も手軽に3次元データを取得することができるリアルタイムスキャニング技術が急速に発達している。
【0004】
ここで、リアルタイムスキャニングは、主に構造化されたパターンを光学投射装置を用いて測定対象に投映し、これを映像装置により取得した後、取得した映像を分析して3次元データを計算する構造光方式を多く使用する。
【0005】
このような構造光方式は、一度に広い面積の3次元データを取得可能で、速い速度でスキャナを移動させながら3次元データを測定するリアルタイムスキャニングに使用するのに適するからである。
【0006】
しかし、パターン数を十分に減少させても、リアルタイム測定時、測定対象が動くにつれて各パターンを撮影するたびに測定対象とスキャナとの間の位置関係は少しずつ変わるので、多くのリアルタイムスキャニングパターンの場合、ある程度これにロバスト設計されているが、それにもかかわらず、動きによってデータの品質および取得量は減少する問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、口腔スキャナを用いて、口腔スキャンデータを取得した後、印象スキャンデータを取得する過程で印象スキャンデータを口腔スキャンデータに整列させて、併合された1つの最終スキャンデータを取得するようにすることで、取得されたデジタルデータを用いて精巧な補綴物の製作を可能にする口腔および印象の複合スキャンシステムおよび方法を提供することである。
【0008】
本発明の技術的課題は以上に述べた技術的課題に制限されず、述べていないさらに他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による口腔および印象の複合スキャンシステムは、口腔対象物をスキャンするように備えられる口腔スキャナと、前記口腔スキャナから取得した口腔スキャンデータが格納され、予め設定された判断条件によって、前記口腔対象物の印象スキャンデータが選択的に格納されるように形成される格納部と、前記口腔スキャンデータが前記判断条件に該当するか否かを判断し、前記印象スキャンデータの選択的な格納をガイドする判断部と、前記印象スキャンデータのうち、判断条件に該当する選択領域が前記口腔スキャンデータの当該領域に部分的に適用されるように制御する制御部とを含むことができる。
【0010】
また、前記判断条件は、前記口腔スキャンデータにマージンラインの表示不明確、またはポスト領域の存在、または金属を含む領域の存在の、複数の条件の少なくとも1つ以上を含むことができる。
【0011】
また、前記制御部は、前記格納部から前記選択領域と隣接する領域の情報を併せて受けて、前記選択領域を代替するように適用する前に自動でシミュレーションが行われるように形成されるシミュレーション部を含むことができる。
【0012】
一方、本発明による口腔および印象の複合スキャン方法は、口腔対象物をスキャンして口腔スキャンデータが格納される口腔スキャンデータ格納ステップと、前記口腔スキャンデータを選択的に格納された印象スキャンデータに対応するように印象モードに変換させる印象モード変換ステップと、前記印象スキャンデータ中の選択領域に対するスキャンデータを部分的に取得し、前記印象モードに変換された前記口腔スキャンデータに適用する選択領域代替適用ステップと、前記選択領域に前記印象スキャンデータが適用された前記口腔スキャンデータを初期モードである口腔モードに再変換させて、最終スキャンデータを取得する最終スキャンデータ取得ステップとを含むことができる。
【0013】
また、前記最終データをデザインプログラムに伝送して補綴物が製作されるようにする補綴物製作ステップをさらに含むことができる。
【0014】
また、前記口腔対象物は、口腔模型または患者の口腔内部であってもよい。
【0015】
また、前記口腔スキャンデータ格納ステップの後、前記口腔スキャンデータの予め設定された判断条件を含むか否かにより、前記印象スキャンデータが選択的に格納される印象スキャンデータ格納可否判断ステップをさらに含むことができる。
【0016】
また、前記判断条件は、前記口腔スキャンデータにマージンラインの表示不明確、またはポスト領域の存在、または金属を含む領域の存在の、複数の条件の少なくとも1つ以上を含むことができる。
【0017】
また、前記印象スキャンデータは、印象模型のうち、前記判断条件に該当する口腔スキャンデータの部分に対応する部分のみを選択的にスキャンして格納されたデータであってもよい。
【0018】
また、前記印象モード変換ステップは、前記口腔スキャンデータ格納ステップにより、前記口腔スキャンデータ上にマージンラインの表示が不明確と判断された場合、印象材を用いて前記印象スキャンデータに前記マージンラインが表示されるようにし、前記マージンラインは、前記口腔スキャンデータに適用されて、前記最終スキャンデータの取得時に表示される。
【0019】
また、前記口腔スキャンデータ格納ステップは、前記口腔対象物をスキャンして前記選択領域がポスト領域であると判断された場合、前記ポスト領域を印象モードに変換して、予め格納された前記印象スキャンデータに代替して適用するポスト領域スキャンステップを含むことができる。
【0020】
また、前記ポスト領域スキャンステップは、前記ポスト領域を表示する表示ステップと、前記ポスト領域に対する口腔スキャンデータを選択的に取得し、前記印象モードに変換して印象スキャンデータを取得する印象モード変換ステップと、前記印象モードの変換により前記ポスト領域に対する陽刻スキャンデータを取得し、前記陽刻スキャンデータを前記印象スキャンデータに部分的に代替適用する陽刻スキャンデータ適用ステップとを含むことができる。
【0021】
一方、本発明の他の実施例による口腔および印象の複合スキャン方法は、スキャナがポスト領域を含む口腔対象物に対して口腔スキャンデータを取得する口腔スキャンデータ取得ステップと、前記口腔スキャンデータが反転するように印象モードに切り替える印象モード切替ステップと、前記ポスト領域に対して印象スキャンの対象領域として指定する選択領域指定ステップと、前記印象スキャンの対象領域として指定された選択領域に対して印象スキャンデータを取得する印象スキャンデータ取得ステップと、前記口腔スキャンデータと前記選択領域に対して取得した前記印象スキャンデータが整列されるデータ整列ステップとを含むことができる。
【0022】
また、前記印象スキャンデータは、口腔模型の枠である印象模型をスキャナがスキャンすることで取得される。
【0023】
また、前記印象スキャンデータ取得ステップにおいて、前記ポスト領域は、陽刻に取得される。
【0024】
また、前記データ整列ステップにより整列された前記口腔スキャンデータおよび前記印象スキャンデータは、前記印象モードの解除によって再反転する再反転ステップをさらに含むことができる。
【0025】
また、前記再反転ステップにより、前記選択領域は、前記印象スキャンデータが前記口腔スキャンデータを代替し、前記口腔スキャンデータおよび前記印象スキャンデータの結合によって最終スキャンデータを取得する最終データ取得ステップを含むことができる。
【0026】
一方、本発明のさらに他の実施例による口腔および印象の複合スキャン方法は、上顎模型および下顎模型を含む口腔対象物の外面をスキャンして第1口腔スキャンデータが格納される第1口腔スキャンデータ格納ステップと、前記上顎模型および前記下顎模型が離隔した状態で前記口腔対象物の内部をスキャンして第2口腔スキャンデータが格納される第2口腔スキャンデータ格納ステップと、前記上顎模型および前記下顎模型の咬合状態を含む前記口腔対象物の選択領域に対する印象スキャンデータを取得し、前記第1口腔スキャンデータおよび前記第2口腔スキャンデータと比較する選択領域印象スキャンデータ比較ステップと、前記第1口腔スキャンデータおよび前記第2口腔スキャンデータに前記印象スキャンデータを部分的に代替して適用する選択領域印象スキャンデータ代替適用ステップとを含むことができる。
【0027】
また、前記第1口腔スキャンデータ格納ステップにおいて、前記上顎模型および前記下顎模型は、咬合するように向かい合うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、口腔スキャナを用いて口腔スキャンデータを取得した後、印象スキャンデータを取得する過程でリアルタイムに印象スキャンデータを口腔スキャンデータに整列させて、併合された1つの最終スキャンデータを取得するようにすることで、取得されたデジタルデータを用いて精巧な補綴物の製作を可能にする効果を有する。
【0029】
また、本発明は、口腔内環境においてマージンラインが歯茎(歯肉)組織に遮られて測定が困難な場合、印象の取得過程でマージンラインを表現できるようにすることで、より正確なデジタルデータの取得を可能にする効果を有する。
【0030】
一方、本発明は、印象スキャンデータの取得により、実際には陰刻に形成されたポスト領域が陽刻に取得されるようにしてスキャンが不可能な部分もスキャン可能にすることで、ポスト領域が陰刻になっており、その深さによって口腔スキャナからデータの取得が困難または不可能という従来の問題を解消できる効果を有する。
【0031】
そして、本発明は、金属材質のクラウンが被せられた歯部分の印象を別途に取得し、このような印象スキャンデータを最終スキャンデータの取得に必要な咬合整列に活用することで、材質の特性によってスキャンが正確に行われにくい歯部分のスキャンを可能にする効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による口腔および印象の複合スキャンシステムを概略的に示す図である。
図2】本発明の第1実施例による口腔および印象の複合スキャン方法を順次に示すフローチャートである。
図3】本発明の第1実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する口腔スキャンデータおよび印象スキャンデータの取得を示す図である。
図4】本発明の第1実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する印象モードへの変換を示す図である。
図5】本発明の第1実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する選択領域を示す図である。
図6】本発明の第1実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する選択領域において口腔スキャンデータの印象スキャンデータへの代替を示す図である。
図7】本発明の第1実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する最終スキャンデータを示す図である。
図8】本発明の第2実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するマージンラインの表示を示す図である。
図9】本発明の第2実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するマージンラインの代替適用を示す図である。
図10】本発明の第3実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するポスト領域を示す図である。
図11】本発明の第3実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するポスト領域に対する選択領域の表示状態を示す図である。
図12】本発明の第3実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するポスト領域の陽刻スキャンデータの適用を示す図である。
図13】本発明の第4実施例による口腔および印象の複合スキャン方法を順次に示す図である。
図14】本発明の第4実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するポスト領域を示す図である。
図15】本発明の第4実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するポスト領域に対する選択領域の表示状態を示す図である。
図16】本発明の第4実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するポスト領域の陽刻スキャンデータの適用を示す図である。
図17】本発明の第4実施例による口腔および印象の複合スキャン方法により取得した最終スキャンデータを示す図である。
図18】本発明の第5実施例による口腔および印象の複合スキャン方法を順次に示す図である。
図19】本発明の第5実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する上顎および下顎が向かい合った状態を示す図である。
図20】本発明の第5実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する印象材料の被せられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面により詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合は、その詳細な説明は省略する。
【0034】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願で明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0035】
図1は、本発明による口腔および印象の複合スキャンシステムを概略的に示す図である。図1を参照すれば、本発明による口腔および印象の複合スキャンシステムは、口腔スキャナ100と、格納部200と、判断部300と、制御部400とを含む。
【0036】
まず、口腔スキャナ100は、口腔対象物(本発明において、口腔対象物とは、印象採得した枠であるか、印象採得した枠に石膏を注いで取得した口腔模型であってもよい。あるいは、実際の患者の口腔内部であってもよい)を撮影するためのテーブル形態のモデルスキャナまたはハンドヘルド(handheld)形態の3次元スキャナのいずれか1つに該当することができ、口腔スキャナ100は、動きを撮影する撮影手段を含むことができる。格納部200は、口腔スキャナ100から取得した口腔スキャンデータが格納され、予め設定された判断条件によって、口腔対象物の印象スキャンデータも選択的に格納されるように形成される。すなわち、格納部200に口腔スキャンデータが格納されるとともに、判断部300が格納されたスキャンデータに対して予め設定された判断条件に該当する場合、口腔対象物に対する印象スキャンデータが併せて格納されるようにする。すなわち、判断部300は、口腔スキャンデータが予め設定された判断条件に該当するか否かを判断し、判断部300の判断結果によって、格納部200への印象スキャンデータに対する選択的な格納をガイドすることができる。
【0037】
一方、判断条件は、口腔スキャンデータにマージンラインの表示が歯茎などに遮られて明確に現れなかったり、またはポスト領域Pが存在したり、または金属製の部品などが含まれた領域が存在する、複数の条件の少なくとも1つ以上を含む条件からなり、このような部分は選択領域として設定される。より詳しく説明すれば、口腔スキャンデータを通しては口腔対象物の表面をスキャンするものであるため、口腔内環境において歯茎組織に遮られて測定が困難なマージンラインや、または陰刻部分になっているポスト領域や、またはアマルガム、レジンで修復されている金属領域が存在する場合、このような部分に対する正確なスキャンデータを確保することができない。これにより、判断部300は、このような複数の判断条件の少なくともいずれか1つ以上を含むと、口腔スキャナ100により選択領域を含む口腔対象物の印象スキャンデータをスキャンして、選択的に格納部200に格納されるようにする。
【0038】
また、制御部400は、口腔スキャンデータが複数の判断条件のいずれか1つ以上に該当すれば、マージンライン、ポスト領域、金属領域などが存在して口腔対象物に対する正確な最終スキャンデータを確保できないと判断し、印象スキャンデータのうち、判断条件に該当する選択領域が口腔スキャンデータに部分的に適用されるように制御する。この時、印象スキャンデータが口腔スキャンデータに部分的に適用されるのは、選択領域に形成された口腔スキャンデータのデータ値を印象スキャンデータのデータ値により補完したり、または代替するなどの過程を行って併合することを意味することができる。好ましくは、印象スキャンデータが口腔スキャンデータに部分的に適用されるのは、選択領域に対して印象スキャンデータが口腔スキャンデータを代替することを意味することができる。
したがって、制御部400は、口腔スキャンデータだけでなく、選択的に印象スキャンデータを独立に取得して格納部200に格納されるようにし、これを口腔スキャンデータ上で格納する部分と印象スキャンデータに代替する部分、つまり選択領域とに区分して、それに対する部分的な整列および併合が行われるように制御することで、口腔スキャナ100によるスキャンデータの取得時、口腔スキャンデータだけで明確に表現されない部分を選択的に実際と同じレベルで表現されるようにでき、結果的には、口腔対象物に対するデザイン作業に活用できる正確な最終スキャンデータを効果的に確保することができる。
【0039】
一方、制御部400は、シミュレーション部410と連結され、情報を共有することができ、このようなシミュレーション部410は、格納部200から印象スキャンデータに含まれた選択領域だけでなく、選択領域と隣接した、すなわち選択領域の前/後部分の領域に関する情報を併せて受けるように形成されることで、選択領域に対する口腔スキャンデータへの代替適用前に自動でシミュレーションが行われるようにできる。これにより、シミュレーション部410は、選択領域が口腔スキャンデータの当該領域に自動代替される過程で誤った領域に代替される問題を未然に防止することができ、結果的には、選択領域に対する当該の領域に正確に代替されるように適用可能である。
【0040】
図2は、本発明の第1実施例による口腔および印象の複合スキャン方法を順次に示すフローチャートであり、図3は、本発明の第1実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する口腔スキャンデータおよび印象スキャンデータの取得を示す図であり、図4は、本発明の第1実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する印象モードへの変換を示す図である。また、図5は、本発明の第1実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する選択領域を示す図であり、図6は、本発明の第1実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する選択領域において口腔スキャンデータの印象スキャンデータへの代替を示す図であり、図7は、本発明の第1実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する最終スキャンデータを示す図である。
【0041】
図2に示されるように、本実施例による口腔および印象の複合スキャン方法を順次に説明すれば、次の通りである。
【0042】
まず、図3に示されるように、口腔スキャナ100を用いて口腔対象物をスキャンし、当該の口腔スキャンデータ10が格納部200に格納されるようにする(S100)。この時、口腔スキャンデータ10を確認して、判断部300により予め設定された判断条件に該当する領域が存在するか否かを判断(S200)し、口腔対象物に対する印象スキャンデータ20も選択的に格納されるようにする(S210)。すなわち、口腔スキャンデータ10が格納部200に格納されるようにするとともに、格納された口腔スキャンデータ10を確認した時、予め設定された判断条件に該当する領域が存在すると判断されれば(S200)、口腔対象物に対する印象スキャンデータ20が選択的に格納される(S210)。一方、口腔対象物は、前述のように、印象採得した枠であるか、印象採得した枠に石膏を注いで取得した口腔模型であってもよい。あるいは、口腔対象物は、実際の患者の口腔内部であってもよい。
【0043】
一方、判断条件は、口腔スキャンデータ10にマージンラインの表示が遮られていたり(マージンラインの表示不明確)、またはポスト領域が存在したり、または金属を含む領域が存在する、複数の条件の少なくとも1つ以上を含む条件からなり、このような部分は選択領域として設定される。もし、口腔スキャンデータ10を確認した時、判断条件に該当する領域がないと確認されれば、口腔スキャンデータ10を最終スキャンデータ30にして、その過程が終了する(S300)。
【0044】
一方、口腔対象物に対する印象スキャンデータ20が格納されれば(S210)、口腔スキャンデータ10に判断条件に該当する領域が存在すると判断し、口腔スキャンデータ10を前記のように選択的に格納された印象スキャンデータ20に対応するように印象モードに変換させる(S220)。つまり、図3に示された口腔スキャンデータ10を印象スキャンデータ20に対応するスキャンデータに変換させるために、図4に示されるように、口腔スキャンデータ10の法線を変更、すなわちネガティブ(negative)モデルになるようにすることで、口腔スキャンデータの反転データ10’で表現され、口腔スキャンデータ10を印象スキャンデータ20と一対一に比較および併合が行われるようにする。
【0045】
次に、変換された印象スキャンデータ20のうち、図5に示されるように、選択領域Aに対するスキャンデータを部分的に取得し、印象モードに変換された口腔スキャンデータ10に代替して適用する(S230)。この時、代替適用されるための選択領域Aのスキャンデータ情報は、その領域に関するスキャンデータ情報に隣接する、すなわち選択領域Aの前後部分の領域に関するスキャンデータ情報を併せて受けるようになっており、選択領域Aに対する口腔スキャンデータ10への代替適用前に自動でシミュレーションされて正確な領域に代替適用可能である。ここで、選択領域Aは、口腔内環境において歯茎組織に遮られて測定が困難なマージンラインMや、または陰刻部分になっているポスト領域Pや、またはアマルガム、レジンで修復されている金属領域に該当するもので、このような部分に対する正確なスキャンデータを確保できないため、印象スキャンデータ20の当該領域情報に代替が行われなければならない。
【0046】
最終的に、図6に示されるように、選択領域Aが代替されて適用された、すなわち、選択領域Aに対する代替適用が完了した状態の印象モードに変換された口腔スキャンデータ10を初期モードである口腔モードに再変換させて(S240)、図7に示されるように、最終スキャンデータ30を取得し、その過程が終了するようにする(S300)。これにより、本実施例では、口腔スキャンデータ10を取得した後、印象スキャンデータ20を取得する過程で選択領域Aに対する印象モードおよび口腔モードへの連続的な変換によりリアルタイムに印象スキャンデータ20を口腔スキャンデータ10に整列する過程が行われるようにすることで、口腔スキャンデータ10および印象スキャンデータ20が併合された1つの最終スキャンデータ30の取得を可能にする。より詳しくは、口腔スキャンデータ10中の選択領域Aに対してデータの補完が必要なことから、印象モードを介して口腔スキャンデータ10を口腔スキャンデータの反転データ10’に形成し、口腔スキャンデータの反転データ10’の一部を代替するように選択領域Aに対して印象スキャンデータ20を適用することができ、口腔モードに再変換して、併合された1つの最終スキャンデータ30を取得することができる。
【0047】
したがって、本実施例では、口腔スキャンデータ10および印象スキャンデータ20をそれぞれ独立に取得し、これを口腔スキャンデータ10上で格納する部分と印象スキャンデータ20に代替する部分、つまり選択領域Aとに区分して、それに対する部分的な整列および併合が行われるようにすることで、口腔スキャナによるスキャンデータの取得時、口腔スキャンデータ10だけで明確に表現されない部分を印象スキャンデータ20を通して選択的に補完して実際の口腔対象物と同じレベルで表現されるようにでき、結果的には、口腔対象物に対するデザイン作業に活用できる正確な最終スキャンデータ30を効果的に確保することができる。
【0048】
このように確保された最終スキャンデータ30は、別途の追加作業なしに一般的なフォーマットのファイルで送信可能であり、このような最終スキャンデータ30をデザインプログラムに伝送して、実際と同じレベルの口腔対象物に対する補綴物の製作が行われるようにできる(S400)。
【0049】
以下、図8は、本発明の第2実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するマージンラインの表示を示す図であり、図9は、本発明の第2実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するマージンラインの代替適用を示す図である。
【0050】
図8に示されるように、印象モード変換ステップS220では、口腔スキャナにより口腔内部をスキャンした結果、口腔スキャンデータ10に歯茎と歯茎との間の境界に該当するマージンラインMの表示が遮られて不明確にデータが取得されたと判断されれば、印象スキャンデータ20の取得を可能にする印象材料が、歯茎と歯との間に入った状態でのスキャンによりマージンラインMを表現することができる。すなわち、マージンラインMは、口腔スキャナによっては取得が困難で、歯茎と歯との間に入った印象材料により取得することができるが、このように取得されたマージンラインM、より具体的には、印象スキャンデータ20に表示されたマージンラインMは、図9に示されるように、口腔スキャンデータ10に適用されて、最終スキャンデータ取得ステップS300による最終スキャンデータ30の取得時に表示される。
【0051】
これにより、本実施例では、口腔内において歯茎組織に遮られて測定が困難なマージンラインMが印象材料を用いて口腔スキャンデータ10に適用されて、最終スキャンデータ30に表示できるようにすることで、より豊かで明確な情報を有するデータをデザインプログラムに伝達して、精度の高い補綴物が製作可能である。
【0052】
以下、図10は、本発明の第3実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するポスト領域Pを示す図であり、図11は、本発明の第3実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するポスト領域Pに対する選択領域の表示状態を示す図であり、図12は、本発明の第3実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するポスト領域の陽刻スキャンデータの適用を示す図である。
【0053】
図10に示されるように、口腔対象物をスキャンした結果、ポスト領域Pを含むと判断されれば、ポスト領域Pを印象モードに変換させて、予め格納された印象スキャンデータに代替して適用することができる。
【0054】
前記のようなポスト領域スキャンステップは、後述する順序で行われる。一般的に、ポスト治療過程の場合、ポスト領域Pが陰刻になっており、その深さが深いので、口腔スキャナからスキャンデータを取得する過程で困難が発生するため、まず、口腔対象物に対してポスト領域Pを表示するようにする。すなわち、前記表示されたポスト領域Pは、その深さによって、図10に示されるように開けられている状態で表示されるが、このようなポスト領域Pのスキャンデータを取得するために、ポスト領域Pに対する口腔スキャンデータ10を選択的に取得し、これを表示した後、図11に示されるように、ポスト領域Pを含む口腔対象物を印象モードに変換させることで、印象スキャンデータ20を取得することができる。この時、口腔スキャンデータ10を格納するステップの後に、ポスト領域Pの存在といった予め設定された判断条件に該当するのか、印象スキャンデータ格納の可否を判断するステップが行われ、印象スキャンデータは、判断条件に該当する口腔スキャンデータの部分に対応する部分のみを選択的にスキャンして格納されるようにできる。
【0055】
その結果、印象モードへの変換により、ポスト領域Pに対する印象スキャンデータ20を取得することができ、図12に示されるように、陽刻スキャンデータを印象スキャンデータ20に部分的に代替適用して、ポスト領域Pが存在する場合、最終スキャンデータ取得ステップS300による口腔モードへの再変換時、ポスト領域Pも最終スキャンデータ30に反映されるようにできる。
【0056】
図13は、本発明の第4実施例による口腔および印象の複合スキャン方法を順次に示す図であり、図14は、本発明の第4実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するポスト領域Pを示す図であり、図15は、本発明の第4実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するポスト領域Pに対する選択領域Aの表示状態を示す図である。また、図16は、本発明の第4実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対するポスト領域Pの陽刻スキャンデータの適用を示す図であり、図17は、本発明の第4実施例による口腔および印象の複合スキャン方法により取得した最終スキャンデータを示す図である。
【0057】
まず、図13に示されるように、本発明の第4実施例による口腔および印象の複合スキャン方法は、口腔対象物をスキャナによりスキャンすることで、口腔スキャンデータ10を取得する口腔スキャンデータ取得ステップS102を行う。この時、口腔対象物は、クラウンまたはインプラント作業のためのポストおよびコア(post and core)作業領域(以下、ポスト領域Pと称する)を含む。より詳しくは、口腔対象物は、ポスト領域Pを対象物の一部分として有している。図14に示されるように、口腔スキャンデータ10が現れ、不完全にスキャンされたポスト領域Pを確認することができる。
【0058】
ポスト領域Pに関する追加的な情報を取得してデータを補完するために、印象モード(impression mode)を用いてポスト領域Pに対するデータが補完される。すなわち、これは、口腔モードで現れたデータを印象モードに切り替え(S202)ることにより、反転したデータを新たに取得する印象形態のデータを通して補完することを意味する。図15に示されるように、取得された口腔スキャンデータ10は、印象モード切替ボタン42をクリックすることにより、口腔スキャンデータの反転データ10’として現れることができる。次いで、不完全にスキャンされたポスト領域Pを選択領域Aとして指定することができる(S302)。選択領域Aを指定することは、印象モード切替ボタン42に隣接して形成された領域選択ボタン44をクリックし、口腔スキャンデータの反転データ10’中にポスト領域Pを含むようにできる。選択領域Aは陰影処理され、当該部分に対応する印象スキャンデータ20が取得される。
【0059】
選択領域Aが指定されれば、スキャナを用いた追加的なスキャンにより選択領域Aに対応する印象スキャンデータ20が取得される(S402)。一方、印象スキャンデータ20は、口腔模型の枠である印象模型をスキャナがスキャンすることで取得される。印象模型をスキャンする時、スキャンの現在状態がスキャン画面22にディスプレイされ、これに対応するデータの取得される過程がスキャン領域12に表示される。印象スキャンデータ20として取得されるポスト領域Pは実際に陰刻を有するが、印象モードでは口腔スキャンデータ10が反転するので、ポスト領域Pも陽刻に取得される。このように取得された印象スキャンデータ20は、口腔スキャンデータの反転データ10’中の選択領域Aに対応する部分に整列される(S502)。印象スキャンデータ20が整列されることで、口腔スキャンデータ10の不十分なスキャン部分を印象スキャンデータ20が補完することができる。一方、ポスト領域Pを含む選択領域Aの口腔スキャンデータ10は、相対的に精密な印象スキャンデータ20に代替されるように適用可能である。
【0060】
図17に示されるように、データ整列(S502)が行われた後、印象モード切替ボタン42をクリックして、印象モードを解除することができる。すなわち、スキャンモードは、印象モードから口腔モードに戻ることができ、印象モードの解除によって、データは再反転する(S602)。より詳しくは、口腔スキャンデータの反転データ10’は、再度口腔スキャンデータ10としてディスプレイされ、印象スキャンデータ20は、印象スキャンデータの反転データ20’としてディスプレイされる。一方、印象スキャンデータ20はネガティブモデルであるので、最終スキャンデータ30を取得するために印象スキャンデータの反転データ20’が使用できる。一方、印象スキャンデータ20と印象スキャンデータの反転データ20’は、互いに対向する法線を有するように形成される。
【0061】
図17に示されるように、口腔スキャンデータ10の選択領域Aは、印象スキャンデータ20によってデータ値が変化できる。例えば、データ値の変換は、既存の選択領域A上のデータ値を印象スキャンデータ20のデータ値に代替、併合または補完することを意味することができる。好ましくは、印象スキャンを行って取得した印象スキャンデータが、選択領域(特に、ポスト領域を含む領域)に該当する口腔スキャンデータの反転データ10’を代替することができる。また、口腔スキャンデータ10と印象スキャンデータ20との結合によって1つの最終スキャンデータ30が取得され(S702)、結合されたスキャンデータは高い信頼性を有するようになり、精密な補綴物を製作することができる。
【0062】
一方、ポスト領域Pに該当する選択領域Aに対してのみ印象スキャンデータ20を取得することで、不要なデータの蓄積を防止することができ、同時に信頼度の高い最終スキャンデータ30を取得することができる。
【0063】
以下、図18は、本発明の第5実施例による口腔および印象の複合スキャン方法を順次に示す図であり、図19は、本発明の第5実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する上顎および下顎が向かい合った状態を示す図であり、図20は、本発明の第5実施例による口腔および印象の複合スキャン方法に対する印象材料の被せられた状態を示す図である。
【0064】
一般的に、口腔対象物の咬合状態をスキャンするにあたり、口腔内で直接スキャンする方法は、その正確度の面で困難が発生しうるため、口腔スキャンデータおよび印象スキャンデータを併合して正確に咬合状態に対するスキャンデータを確保することができる。このために、図18に示されるように、咬合状態に対する正確なスキャンデータ確保の方法を説明すれば、次の通りである。
【0065】
まず、図18および 図19に示されるように、口腔対象物の上顎1および下顎2が咬合するように向かい合った状態で口腔対象物の外面をスキャンして第1口腔スキャンデータが格納されるようにする(S104)。また、上顎1および下顎2が向かい合った状態とともに、上顎1および下顎2が広がった状態で口腔対象物の内部をスキャンし、第2口腔スキャンデータが格納されるようにする(S204)。
【0066】
以後、上顎1および下顎2の咬合状態が含まれた口腔対象物の選択領域に対する印象スキャンデータを取得して、第1口腔スキャンデータおよび第2口腔スキャンデータと比較する(S304)。すなわち、図18および 図20に示されるように、一例として、口腔対象物のうち、両方の奥歯部分に印象材料3を被せて上顎1および下顎2が互いに向かい合った状態になるようにすれば、印象材料3の上部および下部にそれぞれ上顎1および下顎2に対するそれぞれの整列状態が表示されるだけでなく、その位置の差、つまり上顎1および下顎2の咬合状態も表示できるので、表示された印象材料3の情報をスキャンして、そのスキャンデータと予め格納された第1口腔スキャンデータおよび第2口腔スキャンデータと比較することで、口腔対象物に対する正確な咬合状態を把握するようにする。
【0067】
最終的に、第1口腔スキャンデータおよび第2口腔スキャンデータ中の該当する位置、つまり、一例として説明された両方の奥歯部分に該当する印象スキャンデータを部分的に代替して(S404)、正確な口腔対象物の咬合状態情報が含まれた最終スキャンデータが取得されるようにする。これは、口腔スキャナにより口腔対象物の内部および外部をスキャンして取得されたスキャンデータと比較して、印象材料により取得された印象スキャンデータがより正確であるため、第1口腔スキャンデータおよび第2口腔スキャンデータに部分的に印象スキャンデータを代替適用し、正確な咬合状態情報を取得できるようにするためである。
【0068】
本発明は、口腔スキャナを用いて口腔スキャンデータを取得した後、印象スキャンデータを取得する過程でリアルタイムに印象スキャンデータを口腔スキャンデータに整列させて、併合された1つの最終スキャンデータを取得するようにすることで、取得されたデジタルデータを用いて精巧な補綴物の製作を可能にする効果を有する。
【0069】
また、本発明は、口腔内環境においてマージンラインが歯茎組織に遮られて測定が困難な場合、印象の取得過程でマージンラインを表現できるようにすることで、より正確なデジタルデータの取得を可能にする効果を有する。
【0070】
一方、本発明は、印象スキャンデータの取得により、実際には陰刻であるポスト領域が陽刻に取得されるようにしてスキャンが不可能な部分もスキャン可能にすることで、ポスト領域が陰刻になっており、その深さによって口腔スキャナからデータの取得が困難または不可能な従来の問題を解消できる効果を有する。
【0071】
そして、本発明は、金属材質のクラウンが被せられた歯部分の印象を別途に取得し、このような印象スキャンデータを最終スキャンデータの取得に必要な咬合整列に活用することで、材質の特性によってスキャンが正確に行われにくい歯部分のスキャンを可能にする効果を有する。
【0072】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したに過ぎないものであって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で多様な修正および変形が可能であろう。
【0073】
したがって、本発明に開示された実施例は本発明の技術思想を限定するためではなく、説明するためであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれると解釈されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、口腔スキャンデータを取得した後、印象スキャンデータを取得する過程で印象スキャンデータを口腔スキャンデータに整列させて、併合された1つの最終スキャンデータを取得する口腔および印象の複合スキャンシステムおよび方法を提供する。
【符号の説明】
【0075】
1:上顎 2:下顎
3:印象
10:口腔スキャンデータ 10’:口腔スキャンデータの反転データ
12:スキャン領域 20:印象スキャンデータ
20’:印象スキャンデータの反転データ 22:スキャン画面
30:最終スキャンデータ 42:印象モード切替ボタン
44:領域選択ボタン
100:口腔スキャナ 200:格納部
300:判断部 400:制御部
410:シミュレーション部
A:選択領域 M:マージンライン
P:ポスト領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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