(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】溶融炭酸塩型燃料電池スタックの電解質補充方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04276 20160101AFI20221107BHJP
H01M 8/14 20060101ALI20221107BHJP
H01M 8/04186 20160101ALI20221107BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20221107BHJP
【FI】
H01M8/04276
H01M8/14
H01M8/04186
H01M8/04 Z
(21)【出願番号】P 2021560179
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(86)【国際出願番号】 CN2020121292
(87)【国際公開番号】W WO2021109721
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】201911223026.1
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521438869
【氏名又は名称】中国華能集団清潔能源技術研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUANENG CLEAN ENERGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】Lab Block A, Huaneng Base, Beiqijia Future Science Park, Changping District, Beijing 102209, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】程 健
(72)【発明者】
【氏名】張 瑞云
(72)【発明者】
【氏名】盧 成壮
(72)【発明者】
【氏名】李 昊
(72)【発明者】
【氏名】許 世森
(72)【発明者】
【氏名】王 保民
(72)【発明者】
【氏名】楊 冠軍
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-153529(JP,A)
【文献】特開昭61-271754(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0202921(US,A1)
【文献】特開平06-267557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融炭酸塩型燃料電池スタックの電解質補充方法であって、
電解質を10%~20%含有する電解質コロイド溶液を調製するステップ1であって、前記電解質コロイド溶液の粘度が200~800Pa・sであるステップ1と、
ステップ1で調製された電解質コロイド溶液を使用して電池スタックの電解質の補充を行って、電解質を電極及び電池スタックの内部流路に付着させるステップ2と、
電池スタック内の過剰な電解質コロイド溶液を排出するステップ3と、
不活性ガス条件下で電池スタック内の水分または有機溶剤を乾燥させて排出して、電池スタックの電解質の補充を完了させ、放電性能試験を行うステップ4と、を含む、
ことを特徴とする溶融炭酸塩型燃料電池スタックの電解質補充方法。
【請求項2】
ステップ1において、電解質コロイド溶液の調製方法は、
モルパーセントが62:38の炭酸リチウムと炭酸カリウムを混合して、電解質を形成するステップと、
得られた電解質を、濃度が0.5%~3%のポリビニルアルコール水溶液、または95%のアルコールとポリビニルブチラールからなる混合溶液と混合し、電解質を10%~20%含有する電解質コロイド溶液を形成するステップであって、前記電解質コロイド溶液の粘度が200~800Pa・sであるステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶融炭酸塩型燃料電池スタックの電解質補充方法。
【請求項3】
ステップ1において、電解質コロイド溶液の調製方法は、
モルパーセントが53:47の炭酸リチウムと炭酸ナトリウムを混合して、電解質を形成するステップと、
得られた電解質を、濃度が0.5%~3%のポリビニルアルコール水溶液、または95%のアルコールとポリビニルブチラールからなる混合溶液と混合し、電解質を10%~20%含有する電解質コロイド溶液を形成するステップであって、前記電解質コロイド溶液の粘度が200~800Pa・sであるステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶融炭酸塩型燃料電池スタックの電解質補充方法。
【請求項4】
ステップ2において、ステップ1で調製された電解質コロイド溶液を使用して電池スタックの電解質の補充を行う具体的な方法は、
溶融炭酸塩型燃料電池のアノードまたはカソードの入口、ステップ1で調製された電解質コロイド溶液が収容された容器、循環ポンプ、及び溶融炭酸塩型燃料電池のアノードまたはカソードの出口によって、電解質を補充する循環ループを構成し、
循環ポンプを起動して、電解質コロイド溶液を電池スタックの内部流路で十分に循環させ、電解質の一部を循環中に電極及び電池スタックの内部流路に付着させることである、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶融炭酸塩型燃料電池スタックの電解質補充方法。
【請求項5】
ステップ3において、電池スタック内の過剰な電解質コロイド溶液を排出する具体的な方法は、
電池スタックのフルパワーの15%~30%のカソード流量の空気または窒素ガスを電池スタックの上部のカソードまたはアノードの入口から電池スタックに導入し、電池スタックの下部のカソードまたはアノードの出口から電池スタック内の過剰な電解質コロイド溶液を完全に排出することである、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶融炭酸塩型燃料電池スタックの電解質補充方法。
【請求項6】
ステップ4において、電池スタック内の水分または有機溶剤を乾燥させて排出する工程条件は、
66~80℃の加熱条件で、電池スタック内に窒素ガスまたは二酸化炭素の不活性ガスを導入し、24~48時間加熱及び通気することである、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶融炭酸塩型燃料電池スタックの電解質補充方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融炭酸塩型燃料電池技術の分野に関し、具体的には、溶融炭酸塩型燃料電池スタックの電解質補充方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃焼を経ずに電気化学反応で燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する発電装置であり、反応過程が燃焼を伴わないことを最大の特徴とするため、エネルギー変換効率は、「カルノーサイクル」に制限されず、効率が50%~60%まで達する。燃料電池が作動中に、水素や他の燃料がアノードに投入され、電極と電解質との界面で、水素や他の燃料が酸化されて酸素が還元される電気化学反応が起こり、電流が発生し、電気エネルギーを出力する。火力発電方式に比べて、燃料電池の発電過程は、燃料の直接燃焼がなく、CO、CO2、SO2、NOx及び未燃の有害物質の排出量が非常に少なく、火力発電、水力発電、原子力発電に続く第4の発電方式として認められている。したがって、燃料電池は、エネルギー、化学工業、材料、及び自動化制御などの新技術を一体化した、高効率でクリーンな新しい電源である。
【0003】
溶融炭酸塩型燃料は、650℃で作動し、(1)作動温度が高く、電極反応の活性化エネルギーが小さく、水素の酸化や酸素の還元に関わらず、高効率の触媒を必要とせず、貴金属の使用を節約し、コストをある程度削減し、(2)石炭ガスなどのCOの含有量が高い燃料ガスを使用することができ、(3)電池から排出される余熱温度が673K余りまで達し、ボトムサイクルやリサイクルに使用して、全体の効率を80%に向上させることができるという長所がある。したがって、溶融炭酸塩型燃料電池は、固定発電所及び分散型発電所などへの応用が期待されている。
【0004】
溶融炭酸塩型燃料電池は、電極、電解質セパレータ、炭酸塩シート、バイポーラプレートなどの重要な部品からなる。電解質セパレータと炭酸塩シートは、電池スタック運転中に一緒に焼結され、溶融された炭酸塩が毛細管現象によって焼結された電解質セパレータのミクロポア内に浸透し、これによってガスを遮断し、炭酸イオンを伝導するという役割を果たす。電解質セパレータは、電池の溶融炭酸塩型電解質を長時間保存する機能を持たなければならないが、電池スタックの実際の運転中に、電解質損失の問題が存在し、電池スタックの寿命及び安定的な運転に大きな影響を及ぼす。電解質の損失は、主に金属部品との腐食反応、電解質の蒸発及び移動などによるものである。電解質の損失は、電池の内部抵抗を増大させ、電解質セパレータの粗い多孔性につながり、電解質の保持力を低下させ、電解質の損失を加速する。したがって、溶融炭酸塩型燃料電池スタックの長寿命及び安定的な運転を確保するために、運転中の電解質補充技術は、溶融炭酸塩型燃料電池の使用寿命を延長し、溶融炭酸塩型燃料電池発電技術の競争力を高めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の溶融炭酸塩型燃料電池スタックの電解質に損失が存在するという欠点を解決し、電池スタックの寿命及び安定的な運転を大幅に向上させる溶融炭酸塩型燃料電池スタックの電解質補充方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によって採用される技術的解決策は、以下の通りである。
【0007】
本発明によって提供される溶融炭酸塩型電池スタックの電解質補充方法は、
電解質を10%~20%含有する電解質コロイド溶液を調製するステップ1であって、前記電解質コロイド溶液の粘度が200~800Pa・sであるステップ1と、
ステップ1で調製された電解質コロイド溶液を使用して電池スタックの電解質の補充を行って、電解質を電極及び電池スタックの内部流路に付着させるステップ2と、
電池スタック内の過剰な電解質コロイド溶液を排出するステップ3と、
不活性ガス条件下で電池スタック内の水分または有機溶剤を乾燥させて排出して、電池スタックの電解質の補充を完了させ、放電性能試験を行うステップ4と、を含む。
【0008】
好ましくは、ステップ1において、電解質コロイド溶液の調製方法は、
モルパーセントが62:38の炭酸リチウムと炭酸カリウムを混合して電解質を形成するステップと、
得られた電解質を、濃度が0.5%~3%のポリビニルアルコール水溶液、または95%のアルコールとポリビニルブチラールからなる混合溶液と混合し、電解質を10%~20%含有する電解質コロイド溶液を形成するステップであって、前記電解質コロイド溶液の粘度が200~800Pa・sであるステップと、を含む。
【0009】
好ましくは、ステップ1において、電解質コロイド溶液の調製方法は、
モルパーセントが53:47の炭酸リチウムと炭酸ナトリウムを混合して、電解質を形成するステップと、
得られた電解質を、濃度が0.5%~3%のポリビニルアルコール水溶液、または95%のアルコールとポリビニルブチラールからなる混合溶液と混合し、電解質を10%~20%含有する電解質コロイド溶液を形成するステップであって、前記電解質コロイド溶液の粘度が200~800Pa・sであるステップと、を含む。
【0010】
好ましくは、ステップ2において、ステップ1で調製された電解質コロイド溶液を使用して、電池スタックの電解質の補充を行う具体的な方法は、
溶融炭酸塩型燃料電池のアノードまたはカソードの入口、ステップ1で調製された電解質コロイド溶液が収容された容器、循環ポンプ、及び溶融炭酸塩型燃料電池のアノードまたはカソードの出口によって、電解質を補充する循環ループを構成し、
循環ポンプを起動して、電解質コロイド溶液を電池スタックの内部流路で十分に循環させ、電解質の一部を循環中に電極及び電池スタックの内部流路に付着させることである。
【0011】
好ましくは、ステップ3において、電池スタック内の過剰な電解質コロイド溶液を排出する具体的な方法は、
電池スタックのフルパワーの15%~30%のカソード流量の空気または窒素ガスを電池スタックの上部のカソードまたはアノードの入口から電池スタックに導入し、電池スタックの下部のカソードまたはアノードの出口から電池スタック内の過剰な電解質コロイド溶液を完全に排出することである。
【0012】
好ましくは、ステップ4において、電池スタック内の水分または有機溶剤を乾燥させて排出する工程条件は、
66℃~80℃の加熱条件で、電池スタック内に窒素ガスまたは二酸化炭素の不活性ガスを導入し、24~48時間加熱及び通気することである。
【発明の効果】
【0013】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は、以下の通りである。
本発明によって提供される溶融炭酸塩型電池スタックの電解質補充方法は、電解質コロイド溶液の良好な流動性及び粘性を使用して、電解質を電極及びフローフィールド内部のチャネル内に均一に付着させ、電解質溶融後の毛管浸潤原理によって、電池スタック内の損失した電解質を補充することができる。この方法は、高温運転中の電解質の損失による溶融炭酸塩型燃料電池の性能及び寿命の低下を効果的に補充することができ、安定した溶融炭酸塩型燃料電池の性能及び寿命の向上に重要な指導的な意義を有する。
【0014】
さらに、溶融炭酸塩電解質は、一般的に固体であり、高温条件で液体に溶融し、毛管力によってセパレータのマイクロポア内に吸い込まれ、2段のガスを遮断する作用を達成し、固体の電解質は、電池スタックの内部に均一に補充することが難しく、電池内部の管路を閉塞させるおそれもあり、電解質を粘着剤及び溶剤と液体コロイドに分散させて、循環ポンプを連続的に流すことにより、電解質を電池内部に均一に輸送して均一に分散させることができる。
【0015】
さらに、電解質コロイドにおける電解質の含有量を調整することによって電池スタック内に補充された電解質の含有量を調整し、コロイドに少量の粘着剤が含まれ、電解質をコロイドに均一に分散することができるため、電池スタック内の各部位への電解質の均一な分散が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係る電解質補充ループ装置である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面と組み合わせて本発明を詳しく説明する。
【0018】
本発明の具体的な技術的解決策は、溶融炭酸塩型燃料電池スタックの電解質補充方法であって、以下の具体的なステップを含む。
【0019】
ステップ1)において、電池スタックのバイポーラプレート及び電池エンドプレートの構造に基づいて、電池スタック内のフローフィールド及び流路の体積を算出する。
【0020】
ステップ2)において、電解質コロイド溶液を調製する。
【0021】
第一に、モルパーセントが53:47の炭酸リチウムと炭酸ナトリウムを混合して、電解質を形成し、
得られた電解質を、濃度が0.5%~3%のポリビニルアルコール水溶液、または95%のアルコールとポリビニルブチラールからなる混合溶液と混合し、電解質を10%~20%含有する電解質コロイド溶液を形成し、前記電解質コロイド溶液の粘度が200~800Pa・sである。
【0022】
第二に、モルパーセントが62:38の炭酸リチウムと炭酸カリウムを混合して、電解質を形成し、
得られた電解質を、濃度が0.5%~3%のポリビニルアルコール水溶液、または95%のアルコールとポリビニルブチラールからなる混合溶液と混合し、電解質を10%~20%含有する電解質コロイド溶液を形成し、前記電解質コロイド溶液の粘度が200~800Pa・sである。
【0023】
アルコールとポリビニルブチラールからなる混合溶液の濃度は3%~5%であり、アルコールの濃度は95%である。
【0024】
ステップ3)において、溶融炭酸塩型燃料電池5のアノードまたはカソードの入口3、電解質コロイド溶液の容器1、液循環ポンプ2、及びMCFCのアノードまたはカソードの出口6によって、電解質を補充する循環ループを構成し、循環ポンプ2を起動して、電解質の一部が循環中に電極及び電池スタックの内部流路に付着することを確保するように、電解質コロイド溶液を電池スタックの内部流路で十分に24~48時間循環させる。
【0025】
ステップ4)において、電池スタックのフルパワーの15%~30%のカソード流量の空気または窒素ガスを電池スタックの上部のカソードまたはアノードの入口から電池スタックに導入し、電池スタックの下部のカソードまたはアノードの出口から電池スタック内の過剰な電解質コロイド溶液を排出し、通気時間が24~48時間であり、吸気流量を制御することにより、残留コロイドを電池スタックからゆっくりと吹き出す一方で、電解質を電池スタック内部の部品壁にゆっくりと付着させる。
【0026】
ステップ5)において、66~80℃の加熱条件で、電池スタック内に窒素ガスまたは二酸化炭素の不活性ガスを導入し、24~48時間通気し、水や有機溶剤の電池性能への影響を排除するために、電池スタック内の水分または有機溶剤を排出して乾燥させる。
【0027】
電解質の補充完了後、電池スタックを1℃/1~3minの昇温速度で450℃まで昇温し、5時間保温し、引き続き1℃/3~5minの昇温速度で550℃まで昇温し、さらに1℃/1~3minの昇温速度で650℃まで昇温し、アノードに水素を導入して電極を還元する。温度が650℃に達した後、カソードに空気及び二酸化炭素を導入することにより、放電性能試験を行うことができる。
【0028】
本発明は、溶融炭酸塩型燃料電池スタックの電解質補充方法であり、MCFCの研究及び応用分野において重要な指導的意義を有しており、以下に、実施例によって本発明の具体的な指導作用を説明する。
【0029】
<実施例1>
1)先ず、一定時間運転して性能が低下した5kWの溶融炭酸塩型燃料電池スタックを用意する。電池スタックは、単一電池の有効面積が2000cm2の単一電池を36個直列に接続したものである。
【0030】
2)5kWのMCFC電池スタックのバイポーラプレート及び電池エンドプレートの構造に基づいて、電池スタック内のフローフィールド及び流路の体積を約0.036cm3と算出する。モルパーセントが62:38の炭酸リチウムと炭酸カリウムを混合してから、濃度が0.5%のポリビニルアルコール水溶液と混合及び撹拌し、電解質を10%含有し粘度が200Pa・sの電解質コロイド溶液を調製する。コロイド溶液量は電池スタック内のフローフィールド及び流路の体積の3倍である。
【0031】
3)構成された電解質コロイド溶液を入口と出口付きの密閉容器に入れる。容器の入口と出口は、電池スタック及び溶液循環ポンプにそれぞれ接続されて、電解質を補充する循環ループを構成する。循環ポンプを起動して、電解質コロイド溶液を電池スタックの内部流路で十分に24時間循環させ、循環停止後に、電池スタックの底部から電池スタック内の電解質コロイド溶液を排出する。
【0032】
4)電池スタックの上部から電池スタックへの通気を24時間続け、フルパワーのカソード流量の15%の空気または窒素ガスを吹き込み、電池スタック内の過剰な電解質コロイド溶液を再び排出する。
【0033】
5)80℃の加熱条件で、電池スタック内にフルパワーのカソード流量の25%の窒素ガスまたは二酸化炭素を導入し、30時間加熱及び通気し、電池スタック内の水分または有機溶剤を乾燥させて排出することで、電解質の補充が完了する。
【0034】
その後、1℃/1~3minの昇温速度で450℃まで昇温し、5時間保温し、引き続き1℃/3minの昇温速度で550℃まで昇温し、さらに1℃/1minの昇温速度で650℃まで昇温し、アノードに水素を導入して電極を還元する。温度が650℃に達した後、カソードに空気及び二酸化炭素を導入することにより、放電性能試験を行うことができる。
【0035】
<実施例2>
実施例1と同じであるが、電解質コロイド溶液の調製が異なり、
モルパーセントが62:38の炭酸リチウムと炭酸カリウムを混合してから、濃度が1.5%のポリビニルアルコール水溶液と混合及び撹拌して、電解質を15%含有し粘度が200Pa・sの電解質コロイド溶液を調製する。
【0036】
<実施例3>
実施例1と同じであるが、電解質コロイド溶液の調製が異なり、
モルパーセントが62:38の炭酸リチウムと炭酸カリウムを混合してから、濃度が3%のポリビニルアルコール水溶液と混合及び撹拌して、電解質を20%含有し粘度が200Pa・sの電解質コロイド溶液を調製する。
【0037】
<実施例4>
実施例1と同じであるが、電解質コロイド溶液の調製が異なり、
モルパーセントが62:38の炭酸リチウムと炭酸カリウムを混合してから、濃度が95%のアルコールとポリビニルブチラールからなる混合溶液と混合及び撹拌して、電解質を20%含有し粘度が200Pa・sの電解質コロイド溶液を調製する。
【0038】
<実施例5>
実施例1と同じであるが、電解質コロイド溶液の調製が異なり、
モルパーセントが62:38の炭酸リチウムと炭酸カリウムを混合してから、濃度が95%のアルコールとポリビニルブチラールからなる混合溶液と混合及び撹拌して、電解質を10%含有し粘度が200Pa・sの電解質コロイド溶液を調製する。
【0039】
<実施例6>
実施例1と同じであるが、電解質コロイド溶液の調製が異なり、
モルパーセントが62:38の炭酸リチウムと炭酸カリウムを混合してから、濃度が95%のアルコールとポリビニルブチラールからなる混合溶液と混合及び撹拌して、電解質を13%含有し粘度が200Pa・sの電解質コロイド溶液を調製する。
【0040】
<実施例7>
実施例1と同じであるが、電解質コロイド溶液の調製が異なり、
モルパーセントが53:47の炭酸リチウムと炭酸ナトリウムを混合してから、濃度が1.5%のポリビニルアルコール水溶液と混合及び撹拌して、電解質を15%含有し粘度が200Pa・sの電解質コロイド溶液を調製する。
【0041】
<実施例8>
実施例1と同じであるが、電解質コロイド溶液の調製が異なり、
モルパーセントが53:47の炭酸リチウムと炭酸ナトリウムを混合してから、濃度が3%のポリビニルアルコール水溶液と混合及び撹拌し、電解質を20%含有し粘度が200Pa・sの電解質コロイド溶液を調製する。
【0042】
<実施例9>
実施例1と同じであるが、電解質コロイド溶液の調製が異なり、
モルパーセントが53:47の炭酸リチウムと炭酸ナトリウムを混合してから、濃度が95%のアルコールとポリビニルブチラールからなる混合溶液と混合及び撹拌して、電解質を20%含有し粘度が200Pa・sの電解質コロイド溶液を調製する。
【0043】
<実施例10>
実施例1と同じであるが、電解質コロイド溶液の調製が異なり、
モルパーセントが53:47の炭酸リチウムと炭酸ナトリウムを混合してから、濃度が95%のアルコールとポリビニルブチラールからなる混合溶液と混合及び撹拌して、電解質を10%含有し粘度が200Pa・sの電解質コロイド溶液を調製する。
【0044】
<実施例11>
実施例1と同じであるが、電解質コロイド溶液の調製が異なり、
モルパーセントが53:47の炭酸リチウムと炭酸ナトリウムを混合してから、濃度が95%のアルコールとポリビニルブチラールからなる混合溶液と混合及び撹拌して、電解質を13%含有し粘度が200Pa・sの電解質コロイド溶液を調製する。
【0045】
<実施例12>
実施例1と同じであるが、電解質コロイド溶液の調製が異なり、
モルパーセントが53:47の炭酸リチウムと炭酸ナトリウムを混合してから、濃度が0.5%のポリビニルアルコール水溶液と混合及び撹拌し、電解質を13%含有し粘度が200Pa・sの電解質コロイド溶液を調製する。
【符号の説明】
【0046】
1 電解質コロイド溶液の容器
2 循環ポンプ
3 アノードまたはカソードの入口
4 電池
5 溶融炭酸塩型燃料電池
6 アノードまたはカソードの出口
7 循環ループ