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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】高密度ビアを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/11 20060101AFI20221107BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20221107BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20221107BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20221107BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
H05K1/11 N
H05K3/40 K
H01L23/36 C
H01L25/04 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021568452
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2020013877
(87)【国際公開番号】W WO2020241028
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】19305674.4
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】ペラン、ルミ
(72)【発明者】
【氏名】モラン、ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ムラド、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】モロヴ、ステファン
【審査官】柴垣 宙央
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-035896(JP,A)
【文献】特開2011-009715(JP,A)
【文献】特開2010-115718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/11
H05K 3/40
H01L 23/36
H01L 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平平面内に延在する多層基板(10)内に導電性ビアの少なくとも1つのアレイ(100’、200’、300’、400’)を製造する方法であって、
a)前記基板内に穴(101)の第1のアレイ(100)を形成するステップと、
b)導電性ビアの第1のアレイ(100’)を形成するために、前記第1のアレイの前記穴を導電性材料で充填するステップと、
c)前記基板内に穴(201、301、401)の第2のアレイ(200、300、400)を形成するステップであって、前記第2のアレイは、該第2のアレイの各穴(201、301、401)が、前記第1のアレイ(100)の隣接しかつ位置合わせした2つの穴(101)の間に位置決めされるように前記水平平面内で少なくとも1つの方向に沿って前記第1のアレイからシフトするステップと、
d)導電性ビアの第2のアレイ(200’、300’、400’)を形成するために、前記第2のアレイの前記穴を導電性材料で充填するステップと、
e)導電性ビアの前記アレイが、最大が、導電性材料で完全に覆われたエリアまでである、導電性材料の所望の密度に達するまで、ステップc)及びd)を繰り返すステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
a)前記基板内に穴(101)の第1のアレイ(100)を形成するステップと、
b)導電性ビアの第1のアレイ(100’)を形成するために、前記第1のアレイの前記穴を導電性材料で充填するステップと、
c)前記基板内に穴(201)の第2のアレイ(200)を形成するステップであって、前記第2のアレイは、該第2のアレイの各穴が、前記第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間に位置決めされるように前記水平平面内で第1の方向及び第2の方向に沿って前記第1のアレイからシフトし、前記第1の方向は前記第2の方向に直交する、ステップと、
d)導電性ビアの第2のアレイ(200’)を形成するために、前記第2のアレイの前記穴を導電性材料で充填するステップと、
e)前記基板内に穴(301)の第2のアレイ(300)を形成するステップであって、前記第2のアレイは、該第2のアレイの各穴が、前記第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間に位置決めされるように前記水平平面内で前記第1の方向に沿って前記第1のアレイからシフトする、ステップと、
f)導電性ビアの第2のアレイ(300’)を形成するために、前記第2のアレイの前記穴を導電性材料で充填するステップと、
g)前記基板内に穴(401)の第2のアレイ(400)を形成するステップであって、前記第2のアレイは、該第2のアレイの各穴が、前記第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間に位置決めされるように前記水平平面内で前記第2の方向に沿って前記第1のアレイからシフトする、ステップと、
h)導電性ビアの第2のアレイ(400’)を形成するために、前記第2のアレイの前記穴を導電性材料で充填するステップと、
を含む、請求項1に記載の多層基板(10)内に導電性ビアの少なくとも1つのアレイを製造する方法。
【請求項3】
前記基板は、
電気絶縁コア(20)と、
前記電気絶縁コア(20)内に位置決めされた少なくとも1つの電力デバイス(11)であって、少なくとも2つの電気接点を有する、少なくとも1つの電力デバイス(11)と、
前記電気絶縁コア(20)の両側に位置決めされた導電層(30、40)と、
前記電力デバイスの前記電気接点の少なくとも1つのエリアを前記導電層に接続するために、前記電気絶縁コア内で及び前記導電層内で形成される導電性ビアの前記少なくとも1つのアレイと、
を備える、請求項1又は2に記載の導電性ビアの少なくとも1つのアレイを製造する方法。
【請求項4】
前記第1のアレイ及び第2のアレイ(100、200、300、400)は同じ穴径及び同じピッチを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の導電性ビアの少なくとも1つのアレイを製造する方法。
【請求項5】
前記第1のアレイの前記穴を前記導電性材料で充填するステップ及び前記第2のアレイの前記穴を前記導電性材料で充填するステップにおいて使用される前記導電性材料は銅である、請求項1~4のいずれか一項に記載の導電性ビアの少なくとも1つのアレイを製造する方法。
【請求項6】
各穴は、1μm~5mmの範囲の直径を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の導電性ビアの少なくとも1つのアレイを製造する方法。
【請求項7】
前記第1のアレイの2つの隣接する位置合わせした穴の間の間隔は1μm~1mmの範囲の長さを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の導電性ビアの少なくとも1つのアレイを製造する方法。
【請求項8】
前記穴は機械穴あけ法によって作製される、請求項1~7のいずれか一項に記載の導電性ビアの少なくとも1つのアレイを製造する方法。
【請求項9】
前記穴はレーザー穴あけ法によって作製される、請求項1~7のいずれか一項に記載の導電性ビアの少なくとも1つのアレイを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの導電層を電気接続する高密度ビアを多層基板内で形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板(PCB)構造等の古典的な多層構造は、電気絶縁層の対抗する側に位置決めされた、銅等の2つ以上の導電層を備える。
【0003】
当技術分野で既知であるように、複数の垂直相互接続アクセス(VIA)が複数の層を通して形成される。ビアは、例えば、絶縁層の対抗する側に位置決めされた上部及び下部導電層を備える多層構造を通して形成される穴である。穴は、その後、導電性ビアを形成するために、銅等の導電性材料を用いて、無電解めっきプロセス及び電気めっきプロセスの組み合わせによってめっきされる。そのため、下部導電層は、ビアを通して上部導電層に電気接続される。現行の技法は、穴あけ、化学的銅堆積、電気めっき堆積、及び表面仕上げプロセスの連続ステップを含む。
【0004】
PCB内に少なくとも1つの電力デバイスを埋め込むパッケージ構造の応用において、電力デバイスの電気接点と導電層との間の電気接触は、電気絶縁層を通して導電性ビアによって実施される。そのような構成において、銅ビア及び絶縁材料から作製される接続は、従来の電力モジュールにおけるはんだ付け又は銀焼結による直接接触と比較して高い熱抵抗を呈する。電力デバイスから基板へのより高い熱伝導率及びより高い電気性能を得るために、電力デバイスを隣接する導電層に接続するビアの高密度が必要とされる。
【0005】
PCB構造内の多層構造内に穴のアレイを形成する現行の技法は、レーザー穴あけ技法及び機械穴あけ技法を含む。機械穴あけ技法は、100μm以上の穴径を有する応用のために使用される。レーザー穴あけ技法は、最大熱伝達及び最小電気抵抗を有するために、導電性ビアの最大密度とともに最小ビア径を有するように使用される。
【0006】
従来のレーザー穴あけシステムは、レーザービームを発生するレーザー、所望のサイズ及び深さのビア穴を形成するために基板の表面上の所望の場所にレーザービームを集束させる光学システムを備える。基板は、ホルダーによって所定の場所に保持される。穴のアレイを形成するために、穴を順次穴あけするためにX軸方向及びY軸方向においてビームレーザーを移動させるガルバノ走査ミラーが使用される。代替的に、ビームレーザーは、基板の表面上の単一の所望の場所に維持され、ホルダーは、ビア穴を順次形成するように、X軸方向及びY軸方向において可動であるテーブル上に取り付けることができる。穴を穴あけするために基板の表面上の所望の場所にレーザービームを方向付けるために、処理される基板に対して集束したビームレーザーを移動させるために利用する可能性がある種々の異なる配置構成が存在する。しかしながら、ビームの位置は、テーブル及び/又はビームレーザーを移動させるために利用される機械的手段に関連する所与の正確度及び精度によって確保することができるだけである。所望の格子配置で位置決めされた複数の穴を生成するためにレーザービームを正確に位置合わせすることは難しい。同様に、ホルダーは、ビアの高密度アレイを製造するのに適した正確度のレベルで移動することができない。カーフ(kerf)のサイズもまた、各穴の間の最小許容可能ピッチを制限する。
【0007】
したがって、銅ビアの数は、通常、レーザーの製造能力によって制限される。通常、従来のレーザー穴あけ法を用いると、ビアの密度は、典型的には1ビア/mm~30ビア/mmである。
【0008】
別の解決策は、デバイス電極の上部のキャビティカット上に大量銅堆積(massive copper deposition)を実施することである。しかしながら、電着の動特性によって、或る範囲のフォームファクター、この場合、穴径と穴深さとの間の比が、ビアの適切な充填を確保するために必要とされる。概して、大量銅堆積のためのキャビティのフォームファクターは、許容可能な範囲内にない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、この問題及び/又は従来技術に関連する他の問題に対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記で挙げた問題の少なくとも一部を解決することを目標とする。特に、本発明は、ビア生成堆積レートを維持しながら、電力モジュール応用のために多層基板内でビアの所望の高密度アレイを製造する方法を提供することを目標とする。
【0011】
本発明の別の目的は、既知の方法と比較して、ビア生成速度を維持するために実施するのが比較的容易である方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目標は、高密度ビアの存在によって、改善された熱伝達及び電力伝達を有する電力モジュールを提案することである。
【0013】
したがって、水平平面内に延在する多層基板内に導電性ビアの少なくとも1つのアレイを製造する方法であって、
a)前記基板内に穴の第1のアレイを形成するステップと、
b)導電性ビアの第1のアレイを形成するために、前記第1のアレイの前記穴を導電性材料で充填するステップと、
c)前記基板内に穴の第2のアレイを形成するステップであって、前記第2のアレイは、該第2のアレイの各穴が、前記第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間に位置決めされるように前記水平平面内で少なくとも1つの方向に沿って前記第1のアレイからシフトする、ステップと、
d)導電性ビアの第2のアレイを形成するために、前記第2のアレイの前記穴を導電性材料で充填するステップと、
e)導電性ビアの前記アレイが、最大が、導電性材料で完全に覆われたエリアまでである、導電性材料の前記所望の密度に達するまで、ステップc)及びd)を繰り返すステップと、
を含む、方法が開示される。
【0014】
一実施の形態において、多層基板内に導電性ビアの少なくとも1つのアレイを製造する方法は、
a)前記基板内に穴の第1のアレイを形成するステップと、
b)導電性ビアの第1のアレイを形成するために、前記第1のアレイの前記穴を導電性材料で充填するステップと、
c)前記基板内に穴の第2のアレイを形成するステップであって、前記第2のアレイは、該第2のアレイの各穴が、前記第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間に位置決めされるように前記水平平面内で第1の方向及び第2の方向に沿って前記第1のアレイからシフトし、前記第1の方向は前記第2の方向に直交する、ステップと、
d)導電性ビアの第2のアレイを形成するために、前記第2のアレイの前記穴を導電性材料で充填するステップと、
e)前記基板内に穴の第2のアレイを形成するステップであって、前記第2のアレイは、該第2のアレイの各穴が、前記第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間に位置決めされるように前記水平平面内で前記第1の方向に沿って前記第1のアレイからシフトする、ステップと、
f)導電性ビアの第2のアレイを形成するために、前記第2のアレイの前記穴を導電性材料で充填するステップと、
g)前記基板内に穴の第2のアレイを形成するステップであって、前記第2のアレイは、該第2のアレイの各穴が、前記第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間に位置決めされるように前記水平平面内で前記第2の方向に沿って前記第1のアレイからシフトする、ステップと、
h)導電性ビアの第2のアレイを形成するために、前記第2のアレイの前記穴を導電性材料で充填するステップと、
を含む。
【0015】
1つの実施の形態において、前記基板は、
電気絶縁コアと、
前記電気絶縁コア内に位置決めされた少なくとも1つの電力デバイスであって、少なくとも2つの電気接点を有する、少なくとも1つの電力デバイスと、
前記電気絶縁コアの両側に位置決めされた導電層と、
前記電力デバイスの前記電気接点の少なくとも1つのエリアを前記導電層に接続するために、前記電気絶縁コア内で及び前記導電層内で形成される導電性ビアの前記少なくとも1つのアレイと、
を備える。
【0016】
好ましくは、前記第1のアレイ及び第2のアレイは同じ穴径及び同じピッチを有する。
【0017】
好ましくは、前記充填ステップ中に使用される前記導電性材料は銅である。
【0018】
好ましくは、各穴は、1μm~5mmの範囲の直径を有し、前記第1のアレイの2つの隣接する位置合わせした穴の間の間隔は1μm~1mmの範囲の長さを有する。
【0019】
実施の形態において、前記穴は機械穴あけ法又はレーザー穴あけ法によって作製される。
【0020】
本発明の別の目的によれば、電力モジュールは、
少なくとも1つの電気絶縁コアと、
前記少なくとも1つの電気絶縁コア内に位置決めされた少なくとも1つの電力デバイスであって、少なくとも1つの電気接点を有する、少なくとも1つの電力デバイスと、
前記電気絶縁コアの両側に位置決めされた導電層と、
前記電力デバイスの前記電気接点の少なくとも1つのエリアを前記導電層に接続するために、前記電気絶縁コア及び前記導電層を通して、前記電力デバイスの少なくとも1つの電気接点から延在する、本発明の実施の形態による方法によって形成される導電性ビアの少なくとも1つのアレイと、
を備える。
【0021】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照しながら非限定的な例を用いて与えられる以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による、多層基板内で導電性ビアのアレイを製造する方法の主要なステップを概略的に示す図である。
図2図1の導電性ビアのアレイのエリアの細部を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態による、高密度導電性ビアのアレイを製造する方法のフローチャートを概略的に示す図である。
図4】本発明の一実施形態に従って形成される高密度導電性ビアのアレイを備える電力モジュールの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示において、用語「電力モジュール」は、電力モジュールを形成するために、PCBラミネートのような多層構造内に位置決めされた少なくとも1つの電力デバイスを備えるパッケージ構造を指す。
【0024】
本開示において、用語「絶縁層」又は「絶縁コア」は、誘電体材料等の熱伝導性かつ電気絶縁性の材料から作製された層又はコアを指す。
【0025】
本開示において、用語「導電層」は、導電性材料から作製された層を指す。
【0026】
本開示において、用語「ビア」は、多層基板において少なくとも1つの電気絶縁層によって絶縁された複数の導電層を電気接続する導電経路を指す。ビアは、銅等の導電性材料で充填された貫通穴又は非貫通穴である。
【0027】
多層基板は、電気絶縁性材料及び導電性材料の複数の層を含むプリント回路基板構造とすることができる。そのような多層構造は、以下でより詳細に説明するように、電力モジュールを製造するために利用することができる。
【0028】
例えば、多層基板は、少なくとも1つの絶縁層、絶縁層の上部表面に位置決めされた少なくとも1つの上部導電層、及び絶縁層の下部表面に位置決めされた少なくとも1つの下部導電層を備えることができる。
【0029】
非限定的な例として、電気絶縁層は、FR-4ガラスエポキシ等のエポキシ樹脂から、ポリイミドから、又はHTCC(高温同時焼成セラミック)若しくはLTCC(低温同時焼成セラミック)等のセラミックから作製することができる。
【0030】
導電層の材料は、銅、金、ステンレス鋼、若しくはニッケル等の金属、又はこれらの金属の合金である。特に、銅又は銅合金は、加工性、電気的特性等を考慮すると好ましい。
【0031】
層は、多層構造内に配置されたビアのアレイを通して互いに電気接続される。
【0032】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施形態による、多層基板内で高密度導電性ビアのアレイを製造する方法が、ここで述べられる。方法は、ビアの密度を最大にすることを可能にする。
【0033】
図2に示すように、基板10は、直交軸X及びYを含む座標平面を規定する平面内に延在する。多層基板は、実質的に上記平面(XY)に沿って延在する2つの反対の主表面を規定する。
【0034】
ここで、図1のエリア1A及び1Bを参照すると、本発明の方法は、導電性ビアの第1のアレイ100’を形成するステップを含む。
【0035】
図1のエリア1Aに示すように、このステップは、基板10内で穴101の2次元アレイを形成するサブステップを含む。例えば、アレイは、5行及び10列から形成される2Dアレイである。穴は、例えば上部導電層を通してレーザー穴あけプロセスによって順次に形成されている。プロセスは、下部導電層を通して穴を形成する場合にも同様である。
【0036】
穴のアレイを穴あけするために使用されるレーザー穴あけシステムは、レーザー、テーブル上に保持された基板の導電層の表面の所望の場所にビームレーザーを方向付ける光学システムを備える。レーザービームは、CO2レーザー又はUVレーザーによって生成される。一例によれば、穴あけシステムは、穴のアレイをシステムが順次穴あけすることを可能にする予め規定された移動経路に従って、X-Y平面内でX軸方向及びY軸方向の両方においてビームレーザーに対して基板を移動させる、テーブルに結合されたモーションコントローラーを備える。レーザーは、モーションコントローラーから場所情報を受信するコントローラーを通して作動される。本発明は、レーザー穴あけシステムのこの例に限定されない。例えば、穴あけシステムは、アレイを形成するために穴を順次穴あけするように、集束されたビームレーザーを基板の表面上で移動させるガルバノメーターを備えることができる。
【0037】
図2に示すように、この第1のアレイの穴は「A」で指定される。穴「A」は、X軸方向において第1の距離、Y軸方向において第2の距離、及び両方の直交方向において第3の距離だけ、互いから離間するように配置される。互いから最も近くかつX軸方向において位置合わせした穴の間の第1の距離はLで示され、互いから最も近くかつY軸方向において位置合わせした穴の間の第2の距離はLで示され、互いから最も近くかつ両方の方向において位置合わせした穴の間の第3の距離はLで示される。一実施形態において、距離Lは5μm~500μmの範囲内であり、Lは5μm~500μmの範囲内である。各穴の径Dは1μm~400μmの範囲内である。
【0038】
図1及び図2が丸い穴を示すが、他の形状の穴を穴あけすることができることが認識されるであろう。
【0039】
2Dアレイが長方形構成で示されるが、とりわけ、正方形、円形等の異なる2Dアレイを設けることができることが留意されるべきである。
【0040】
図1のエリア1Bに示すように、ステップは、導電性ビア101’を形成するために、穴をめっきする第2のサブステップを含む。このめっきプロセス中に、穴は導電性材料で充填される。めっきプロセスは特に限定されない。当業者によって既知である任意の方法を、めっき方法として使用することができる。そのため、電気めっき又は無電解めっき又は両方を、めっき方法として使用することができる。
【0041】
レーザー穴あけプロセスの不正確さを克服するため、及び、ビアの密度を上げるために、方法は、穴の複数の第2のアレイが形成される更なるステップを含む。第2のアレイは、第1のアレイと同様であり、第2のアレイの各穴が、第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間に位置決めされるように穴の第1のアレイに対してシフトする。
【0042】
図1のエリア1C及び1Dに示すように、導電性ビアの第2のアレイを形成する更なる第2のステップが実施される。
【0043】
更なる第2のステップは、基板10内で穴201の第2のアレイ200を形成するサブステップを含む。穴の第2のアレイは、第1のアレイと同様であり、両方の直交方向において、第1のアレイに対して第2のアレイの変位が存在するように第1のアレイに対してシフトする。そのため、第2のアレイの各穴201は、対角方向において、例えば、X軸方向及びY軸方向の両方において第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間に位置決めされる。
【0044】
図2を参照すると、第2のアレイの穴201は「C」で指定される。図2に示す例示的な実施形態によれば、第2のアレイは、両方の直交方向において、第1のアレイに対して第2のアレイのほぼ半ピッチの変位が存在するように形成される。換言すれば、第2のアレイの各穴「C」は、X軸方向及びY軸の方向の両方において第1のアレイの2つの穴に対して半ピッチの場所に位置決めされる。
【0045】
ここで図1のエリア1Dを参照すると、更なる第2のステップは、ビア201’のアレイ200’を形成するために第2のアレイの穴が導電性材料で充填されるサブステップを含む。
【0046】
そのため、基板10は、導電性ビアの2つのインターリーブされたアレイ100’、200’から得られるアレイを備える。ビアの第2のアレイを作ることによって、ビアの密度が増加している。
【0047】
図1のエリア1E及び1Fに示すように、導電性ビアの第2のアレイを形成する更なるステップが実施される。
【0048】
更なる第2のステップは、基板10内で穴301の第2のアレイ300を形成するサブステップを含む。穴の第2のアレイ300は、第1のアレイと同様であり、直交方向のうちの一方のみ、例えば、水平方向において、第1のアレイに対して第2のアレイの変位が存在するように第1のアレイに対してシフトする。そのため、第2のアレイの各穴301は、X軸方向において、第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間に位置決めされる。
【0049】
図2を参照すると、X軸方向において第1のアレイから変位したこの第2のアレイの穴は「B」で指定される。図2に示す例示的な実施形態によれば、第2のアレイは、X軸方向において、第1のアレイに対して第2のアレイのほぼ半ピッチの変位が存在するように形成される。換言すれば、第2のアレイの各穴「B」は、X軸方向において第1のアレイの2つの穴に対して半ピッチの場所に位置決めされる。
【0050】
図1のエリア1Fを参照すると、更なるステップは、ビア301’のアレイ300’を形成するために第2のアレイの穴が導電性材料で充填されるサブステップを含む。
【0051】
そのため、基板10は、3つのインターリーブされたアレイ100’、200’及び300’から得られるアレイを備える。
【0052】
図1のエリア1G及び1Hに示すように、導電性ビアの第2のアレイを形成する更なるステップが実施される。
【0053】
更なる第2のステップは、基板10内で穴401の第2のアレイを形成するサブステップを含む。穴の第2のアレイは、第1のアレイと同様であり、直交方向のうちの一方のみ、例えば、垂直方向において、第1のアレイに対してシフトする。そのため、第2のアレイの各穴は、Y軸方向において、第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間に位置決めされる。
【0054】
図2を参照すると、Y軸方向において第1のアレイからシフトしたこの第2のアレイの穴は「D」で指定される。図2に示す例示的な実施形態によれば、第2のアレイは、Y軸方向において、第1のアレイに対して第2のアレイのほぼ半ピッチの変位が存在するように形成される。換言すれば、第2のアレイの各穴「D」は、Y軸方向において第1のアレイの2つの穴に対して半ピッチの場所に位置決めされる。
【0055】
ここで図1のエリア1Hを参照すると、更なるステップは、ビア401’のアレイ400’を形成するために第2のアレイ400の穴401が導電性材料で充填されるサブステップを含む。
【0056】
そのため、基板10は、4つのインターリーブされたアレイ100’、200’、300’及び400’から得られるアレイを備える。
【0057】
図1及び図2は、穴の4つのインターリーブされたアレイを含む例示的なアレイを示すが、本発明は、5つ以上のアレイを用いて実施することができる。そのため、ビアの第2のアレイを形成するステップは、第1のアレイの2つの穴の間の間隔が、3つの方向において第2のアレイの穴で満たされるように繰り返すことができる。換言すれば、方法は、複数のランを実施することによって、穴ビアの所望の密度に達することを可能にする。そのため、導電性ビアの所望の密度の一部は第1のランで形成されてもよい。導電性ビアの残りの部分は、図1及び図2に関して上記で述べたように、穴ビアの所望の密度を得るために、異なる第2のアレイをインターリーブさせることによって、複数の別個のランで形成されてもよい。
【0058】
本発明の一実施形態において、ビアの第2のアレイを形成するステップは、3つの方向に沿う第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間の各間隔が、第2のアレイのnmax個の穴(複数の場合もある)を備えるまで繰り返すことができる。第2のアレイを形成するためのステップの最大数は以下の関係によって規定される:nmax=|Li=1,2,3/(D/2)|、ここで、Li=1,2,3は3つの方向に沿う第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間の距離であり、Dは穴の径である。
【0059】
別の実施形態において、第2のアレイを形成するステップは、所望の密度に達するように繰り返すことができる。そのため、導電性ビアの所望の密度は、導電性材料で完全に覆われるエリアに対応する最大まで増加することができる。
【0060】
方法によって、ビアの複数のアレイは、レーザー穴あけシステムの制限を克服しながら、密度を最大にするように、基板の同じエリアにおいて別個のステップで作製することができる。ビアの少なくとも4つのインターリーブされたアレイ100’、200’、300’及び400’を形成するためにレーザー穴あけの複数パスを行うことによって、高密度ビアを少なくとも4倍だけ改善することができる。結果として、ビアの高密度は、多層構造を通して良好な熱伝導率及び良好な電力伝達を提供する。
【0061】
図3は、1つの実施形態による、基板内で又はPCB構造内で高密度ビアを形成する方法のフローチャートを示す。
【0062】
ステップ601において、穴の第1のアレイが形成される。基板は、誘電体材料及び導電性材料を含む材料の多層とすることができる。
【0063】
ステップ602において、第1のアレイの穴は導電性材料でめっきされる。
【0064】
ステップ603において、穴の第2のアレイが基板内に形成され、この第2のアレイは第1のアレイと同様である。穴の径及びピッチサイズは同様である。第2のアレイは、第2のアレイの各穴が、第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間に位置決めされるように水平平面内で少なくとも1つの方向に沿って第1のアレイからシフトする。そのため、穴の第2のアレイは、3つの方向に沿って形成される。
【0065】
ステップ604において、第2のアレイの穴は、導電性ビアの第2のアレイを形成するために導電性材料でめっきされる。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、ステップ603及び604は、3つの方向に沿う第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間の各間隔が、第2のアレイのnmax個の穴を備えるまで繰り返され、nmaxは、関係nmax=|Li=1,2,3/(D/2)|によって規定され、ここで、Li=1,2,3は3つの方向に沿う第1のアレイの隣接しかつ位置合わせした2つの穴の間の距離であり、Dは穴の径である。
【0067】
本発明の別の実施形態によれば、ステップ603及び604は、ステップ605において、導電性ビアのアレイが、最大が、導電性材料で完全に覆われたエリアまでである、導電性材料の所望の密度に達するまで繰り返される。
【0068】
図4を参照すると、多層構造50は、内部に電力デバイス11が埋め込まれて、電力モジュールを形成する絶縁層20と、絶縁層の上部表面に位置決めされた上部導電層30と、絶縁層の下部表面に位置決めされた下部導電層40とを備える。
【0069】
多層は、本発明の方法によって製造された、上部高密度導電性ビアのアレイ500’及び下部高密度導電性ビアのアレイ600’を備える。
【0070】
電力デバイス11は、ダイオード、又は、MOSFET、JFET、若しくはIGBT等のトランジスタとすることができる。電力デバイスは、電力デバイスのそれぞれ反対側に配置することができる少なくとも1つの電気接点を有する。電気接点は、アルミニウム、金、銅、銀等のような任意の適切な金属から作製された金属パッドである。例えば、電力デバイスは、2つの反対の電気接点を有するダイオードとすることができる。
【0071】
別の例によれば、電力デバイスはトランジスタとすることができ、トランジスタは、トランジスタのタイプに応じて、ゲート、ソース、及びドレイン、又は、ゲート、エミッター及びコレクターを備える3つの電気接点を有する。
【0072】
電力モジュールは少なくとも1つの更なる電力デバイスを備えることができる。
【0073】
電力デバイスの上部表面上の電気接点は、高密度上部導電性ビアの少なくとも1つのアレイを通して上部導電層に接続される。同様の方法で、電力デバイスの下部表面上の電気接点は、下部導電性ビアの少なくとも1つのアレイを通して下部導電層に接続される。ビアスティッチングと呼ばれるこの技法は、PCB構造等の多層構造の、異なる層上のより大きいエリアをともに結合するとともに、異なる層を通して垂直電気接続するために使用される。
【0074】
高密度ビアによって、電力デバイスからPCB構造の外部表面への熱伝達が大幅に改善される。電気抵抗も減少する。この方法は、少なくとも電力デバイスが埋め込まれるPCB構造の電力密度を改善するために特に興味深い。
図1
図2
図3
図4