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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】貯湯ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
F24H9/02 301A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018121474
(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公開番号】P2020003119
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】釼菱 壮司
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】岩本 淳
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-059682(JP,A)
【文献】特開2012-021694(JP,A)
【文献】特開平11-325608(JP,A)
【文献】実開昭56-153740(JP,U)
【文献】特開2010-156509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装ケース内に、貯湯タンクを収容するタンク収容部とこのタンク収容部の前側に隣接配置された補機収容部とを備え、前記補機収容部の下側に複数の配管類を配置する配管スペース部を設けた貯湯ユニットにおいて、
前記補機収容部の下端部に、縦向き姿勢にした前記貯湯ユニットの搬送時に支持可能な底壁部を備え、
前記底壁部の前端部分の左部と右部には把持相当部が形成され、
前記外装ケースの後面板に、縦向き姿勢にした前記貯湯ユニットの搬送時に支持可能な左右1対の把手部材を設け
前記把手部材は手を掛けるための前方上り傾斜状の手掛り部を有し、
前記手掛り部の上端が前記底壁部と同高さの位置に位置していることを特徴とする貯湯ユニット。
【請求項2】
前記後面板の内面には後面板における1対の把手部材の周辺部を補強する補強板が取付けられ、前記1対の把手部材は、前記後面板と補強板に形成した係合穴に係合される係合凸部を夫々有することを特徴とする請求項1に記載の貯湯ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯ユニットに関し、特に貯湯ユニットを縦向き姿勢にして搬送する際に手で把持するための構造を改善した貯湯ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給湯に使用する湯水を予め熱源機で加熱して円筒状の貯湯タンクに貯留し、貯留した湯水を調温して給湯する貯湯給湯装置が広く使用されている。このような貯湯給湯装置はヒートポンプ式熱源機等の外部熱源機を備え、外部熱源機で加熱した高温の湯水を貯湯ユニットに収容された貯湯タンクの上部から貯留するように構成されている。給湯時に貯留された湯水を出湯できない場合には、貯湯ユニットに装備された例えば燃焼式の補助熱源機により加熱した湯水を出湯する。
【0003】
貯湯ユニットの外装ケースはほぼ直方体状に形成され、この外装ケース内には、保温材に覆われた円筒状の貯湯タンクを収容するタンク収容部と、タンク収容部の前側に隣接配置され且つ補助熱源機等の補機を収容する補機収容部とが設けられている。そして、この補機収容部の下側に配管類を配置する配管スペース部が設けられている。
【0004】
前記貯湯ユニットは重量物で、大型の貯湯ユニットでは90kgもの重量があるため、貯湯ユニットを軒下等の据え付け場所へ搬送する場合、通常は貯湯ユニットを横倒し状態にし、貯湯ユニットの両端部を2名の作業者が手で支持して搬送する。
このとき、一端側では貯湯ユニットの脚部材等を把持することができるが、他端側では外装ケースを把持することになるため、外装ケースに1対の把持部を設けることが多い。
【0005】
特許文献1の貯湯タンクユニットにおいては、外装ケースの上端部の背部に把持部とし ての材張出し部を形成している。
特許文献2の貯湯式給湯機においては、外装ケースの後面板の上端部に凹入部を有する1対の取手を取付けている。
特許文献3の貯湯タンクユニットにおいては、外装ケースの後面板の上端部に凹入部を有する1対の取手を取付けている。前記凹入部は、貯湯タンクユニットの長手方向に細長く形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4988416号公報
【文献】特許第5247423号公報
【文献】特許第6223303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
貯湯ユニットを搬送する軒下の搬送経路の幅が狭く且つその搬送経路にL形の屈曲部があるような場合、貯湯ユニットを横倒し状態にして搬送できないため、縦向き姿勢にして搬送しなければならない。その対策として、貯湯ユニットの外装ケースの中段部の前後両面に1対の把持部を夫々設けることが望ましいが、把持部の部材数が多くなり、それらの取付けコストも高価になるうえ、外装ケースの前面板に1対の把持部を露出状態に取付けると貯湯ユニットの外観の意匠性が損なわれる。
【0008】
本発明の目的は、貯湯ユニットの後面板の中段部に1対の把手部材を設けると共に貯湯ユニットの前部の補機収容部の底壁部を把持部として有効活用可能にした貯湯ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の貯湯ユニットは、外装ケース内に、貯湯タンクを収容するタンク収容部とこのタンク収容部の前側に隣接配置された補機収容部とを備え、前記補機収容部の下側に複数の配管類を配置する配管スペース部を設けた貯湯ユニットにおいて、前記補機収容部の下端部に、縦向き姿勢にした前記貯湯ユニットの搬送時に支持可能な底壁部を備え、前記底壁部の前端部分の左部と右部には把持相当部が形成され、前記外装ケースの後面板に、縦向き姿勢にした前記貯湯ユニットの搬送時に支持可能な左右1対の把手部材を設け、前記把手部材は手を掛けるための前方上り傾斜状の手掛り部を有し、前記手掛り部の上端が前記底壁部と同高さの位置に位置していることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、補機収容部の底壁部を、貯湯ユニットの搬送時に支持可能な把持部として有効活用するため、外装ケースの前面板に別部材からなる把持部材を設ける必要がなく、製作コストを低減できるうえ、外装ケースの前面板に把持部材が露出することもないため、外装ケースの前面の意匠性を損なう虞もない。
【0011】
しかも、前記外装ケースの後面板に、前記貯湯ユニットの搬送時に支持可能な左右1対の把手部材を設けるため、また、前記把手部材の手掛り部の上端が前記底壁部と同高さの位置に位置しているため、外装ケースの前面と後面のほぼ同高さの部位を把持して搬送できるため、安定した搬送が可能になる。しかも、手掛り部は前方上り傾斜状に形成されているため、手掛り機能に優れる。
【0012】
請求項の発明は、請求項の発明において、前記後面板の内面には後面板における1対の把手部材の周辺部を補強する補強板が取付けられ、前記1対の把手部材は、前記後面板と補強板に形成した係合穴に係合される係合凸部を夫々有することを特徴としている。
上記の構成によれば、前記後面板における1対の把手部材からの荷重が作用する周辺部を補強板により補強することができ、後面板と補強板に形成した係合穴に把手部材の係合凸部を係合させるため、把手部材から後面板と補強板への荷重伝達を効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
上記のように、本発明は種々の優れた作用、効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係る貯湯給湯装置の平面図である。
図2】貯湯ユニットの斜視図である。
図3】貯湯ユニットの外装ケースの前面と後面と左側面と右側面及び天面の板材を取り外した状態を示す斜視図である。
図4】貯湯ユニットの正面図である。
図5】貯湯ユニットの右側面図である。
図6】貯湯ユニットの後面図である。
図7】外装ケースの後面板の要部と補強板と把持部材の分解斜視図である。
図8図6のVIII-VIII線断面図である。
図9】把持部材を右後方から視た斜視図である。
図10】把持部材を左前方から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例
【0016】
最初に、貯湯給湯装置1について、図1に基づいて説明する。
貯湯給湯装置1は、外部熱源機2と貯湯ユニット3が入水管4aと出湯管4bにより接続され、入水管4aを通って貯湯ユニット3から外部熱源機2に供給された湯水は、外部熱源機2により加熱されて出湯管4bを通って貯湯ユニット3に戻る。外部熱源機2は、ヒートポンプ式熱源機又は燃料電池の発電時の排熱を利用して加熱する熱源機である。
【0017】
次に、貯湯ユニット3について、図2図5に基づいて説明する。
尚、図中の矢印Fは前方を示し、矢印Rは右方を示し、矢印Uは上方を示す。
貯湯ユニット3は、その左側面が建物の外壁に対面するように設置される。この貯湯ユニット3の外装ケース5はほぼ直方体状に形成され、この外装ケース5内には、貯湯タンク6を収容するタンク収容部7と、タンク収容部7の前側に隣接配置された補機収容部8が設けられている。補機収容部8には、燃焼式の補助熱源機、ポンプ、追焚用熱交換器、暖房用熱交換器等の補機類及び制御部等が収容され、その下部には外部から導入された配管等を接続するための配管スペース部9が設けられている。
【0018】
外装ケース5は、貯湯タンク6や補機類を支持するためのフレーム部材10と、フレーム部材10に夫々着脱可能に付設される前面板11、右側面板12、左側面板13、後面板14、天面板15等を有する。前面板11の上端付近には補助熱源機の排気口16が設けられている。配管スペース部9の前面の開口部9aは開放され、建物の外壁に対面する左側面の開口部9bは開放されている。
【0019】
タンク収容部7には、円筒状の貯湯タンク6がその軸方向を鉛直にした姿勢で収容されている。貯湯タンク6は、例えば外形が略直方体状に形成された発泡樹脂製の保温材18で覆われている。
【0020】
次に、配管スペース部9について説明する。
補機収容部8の下側の配管スペース部9には、建物の外壁に設けられたスリーブ内に導設された複数の配管(図示略)が左側面の開口部9bを介して導入され、補機収容部8の対応する接続部に接続される。配管等は施工性と耐久性を両立可能な合成樹脂製の配管であり可撓性を備えている。
【0021】
次に、貯湯ユニット3を据え付ける際に、縦向き姿勢にした貯湯ユニット3を搬送する際に把持するための把持機構の構成について説明する。
図3図4に示すように、補機収容部8の下端部(底部)には、補機類を搭載したり、配管類を貫通させたり、補機収容部8の4隅のフレーム部材10同士を連結したりするための水平な底壁部20が設けられ、この底壁部20の外周4辺には剛性向上のための小さな上下幅の縦フランジ20aが一体形成され、底壁部20の4つの角部は4隅のフレーム部材10にビスにて固定されている。
【0022】
前記の底壁部20は、縦向き姿勢にした貯湯ユニット3の搬送時に前方から手を掛けて支持可能な剛性を有するもので、底壁部20の前端部分の左部と右部には、把持部として機能する把持部相当部21a,21bが形成されている。
【0023】
図5図10に示すように、外装ケース5の後面板14のうちの上記の底壁部20と略同高さの部位に、縦向き姿勢にした貯湯ユニット3の搬送時に手を掛けて支持可能な左右1対の把手部材22が設けられている。
即ち、図5において、貯湯ユニット3の下端から底壁部20までの高さH1は、貯湯ユニット3の下端から1対の把手部材22までの高さH2とほぼ等しく設定されている。
【0024】
後面板14の内面には後面板14における1対の把手部材22の周辺部を補強する補強板23が取付けられている。この補強板23は、把手部材22の上下幅よりも大きな上下幅と、後面板14の左右幅とほぼ等しい左右幅を有し、補強板23は後面板14の内面に当接され、把手部材22を固定する左右1対のビス24により後面板14に固定されている。矩形状の補強板23の4辺には、剛性向上のため前方へ折り曲げた小幅のフランジ部23aが形成されている。
【0025】
把手部材22は合成樹脂製の成形品で構成され、把手部材22は後面板14の外面に当接される把手本体部25と、この把手本体部25から前方へ突出し且つ後面板14と補強板23に形成した係合穴27,28に係合される係合凸部26とを有する。
【0026】
把手本体部25と係合凸部26とに、前方へ向って斜め上方へ凹入され且つ手の指4本を挿入可能な凹部29aであって後端が開放状の凹部29aが形成され、この凹部29aの上側の壁部が手掛り部29となっている。この手掛り部29の上端29bが底壁部20と同レベルの位置に位置している。把手部材22の係合凸部26の左端近傍部と右端近傍部には、後面板14と補強板23の係合穴27,28の上端縁に当接する当接部26aが形成されている。尚、把手本体部25の上端部の後部には浅い凹部34が形成されている。
【0027】
把手本体部25の下端近傍部の中央部には、下方へ膨らんだビス穴形成部30が形成され、このビス穴形成部30に前記のビス24を通すためのビス穴31が形成されている。
そのビス穴31と後面板14のビス穴32と、補強板23のビス穴33とにビス24を貫通させて締結することで、把手部材22と補強板23とが共締めにて後面板14に固定されている。
【0028】
縦向き姿勢にした貯湯ユニット3を搬送する際、1対の把手部材22の手掛り部29に手を掛けて貯湯ユニット3の後部を支持するとき、1対の把手部材22の上記の当接部 26aから係合穴27,28の上端縁に荷重が伝達され、その荷重が後面板14に伝達される。
【0029】
次に、上記の貯湯ユニット3の作用、効果について説明する。
貯湯ユニット3の据え付けの際、縦向き姿勢にした貯湯ユニット3を2人の作業者により搬送する際に、貯湯ユニット3の前部を支持する前側の作業者は、補機収容部8の底壁部20の前端部の把持部相当部21a,21bを両手で支持し、貯湯ユニット3の後部を支持する後側の作業者は、1対の把手部材22の手掛り部29に両手を掛けて支持した状態で搬送する。但し、2名の作動者の各々が底壁部20と把手部材22の手掛り部29に手を掛けて支持することも可能である。
【0030】
このとき、外装ケース5の後面板14のうちの底壁部20と略同高さの部位に、左右1対の把手部材22を設けるため、外装ケース5の前面と後面のほぼ同高さの部位を把持して搬送できるため、安定した搬送が可能になる。
【0031】
補機収容部8の底壁部20を、貯湯ユニット3の搬送時に前方から支持可能な把持部として有効活用するため、外装ケース5の前面板11に別部材からなる把持部材を設ける必要がなく、製作コストを低減できるうえ、外装ケース5の前面板11に把持部材が露出することもないため、外装ケース5の前面の意匠性を損なう虞もない。
【0032】
把手部材22の手掛り部29の上端29bが底壁部20と同高さの位置に位置しているため、一層安定した搬送が可能になる。しかも、手掛り部29は前方上り傾斜状に形成されているため、手掛り機能に優れる。
後面板14における1対の把手部材22からの荷重が作用する周辺部を補強板23 により補強することができ、後面板14と補強板23に形成した係合穴27,28に把手部材22の係合凸部26を係合させるため、把手部材22から後面板14と補強板23への荷重伝達を効果的に行うことができる。
【0033】
尚、補強板23の左右両端部のフランジ部23aを左右のフレーム部材10に複数のビスにて固定してもよい。また、把手部材22の凹部34は省略してもよいし、把手部材22の形状は一例を示すもので、図示の形状に限定されるものではない。
その他、当業者ならば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0034】
3 貯湯ユニット
5 外装ケース
6 貯湯タンク
7 タンク収容部
8 補機収容部
9 配管スペース
20 底壁部
22 把手部材
23 補強板
26 係合凸部
27,28 係合穴
29 手掛り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10