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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】繊維製品および衣料
(51)【国際特許分類】
B32B 5/24 20060101AFI20221108BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20221108BHJP
C09D 175/06 20060101ALI20221108BHJP
C09J 7/20 20180101ALI20221108BHJP
C09J 175/08 20060101ALI20221108BHJP
D06M 15/564 20060101ALI20221108BHJP
【ＦＩ】
B32B5/24
B32B27/00 C
C09D175/06
C09J7/20
C09J175/08
D06M15/564
【請求項の数】
3
(21)【出願番号】P 2016213761
(22)【出願日】2016-10-31
(65)【公開番号】P2018069623
(43)【公開日】2018-05-10
【審査請求日】2019-10-03
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591086407
【氏名又は名称】東レコーテックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500282427
【氏名又は名称】東レインターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中屋 洋平
(72)【発明者】
【氏名】冨塚 大輔
(72)【発明者】
【氏名】稲田 康二郎
(72)【発明者】
【氏名】谷口 卓充
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】八木 誠
【審判官】芦原 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開２０１３－４７３９７（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００５－８８３１（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１１－３２５９５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００２－６１００９（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００３－４１４１５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開平８－３０２２９２（ＪＰ，Ａ）
【文献】実開平１－１０２１７９（ＪＰ，Ｕ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
B32B1/00-43/00
C09J1/00-201/10
C09D1/00-10/00, 101/00-201/10
D06M13/00-15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の液状組成物を湿式凝固させてなる第１の防水膜をそれぞれ有する布帛であり、互いの端部同士が接合されている複数の基材と、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の溶液を塗布後乾燥させてなる無孔膜である第２の防水膜と、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂を含み、流動開始点が５０～１２０℃であり、前記第２の防水膜に積層されたホットメルト接着剤とを有し、前記複数の基材の接合部分に積層して貼付されて前記接合部分の一方の表面を目止めするテープと、
を備え、
前記テープの全体の厚みが６０～１００μｍであり、
前記基材は、
ポリエーテル系ポリウレタン樹脂からなり、前記第１の防水膜の表面の一部に積層されてなる積層部を有することを特徴とする繊維製品。
【請求項2】
前記積層部は、連続するパターンからなる立体形状をなすことを特徴とする請求項１に記載の繊維製品。
【請求項3】
請求項１または２に記載の繊維製品を用いた衣料であって、前記積層部を着用者の肌側に設けたことを特徴とする衣料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透湿防水性が要求される衣料などに適用する繊維製品として、防水布を縫い合わせた防水布縫製品が知られている。例えば、特許文献１には、高密度織物防水布と、その網目部分に接着されて縫目部分を防水する目止めテープとを備えた繊維製品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第３４１９４２４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術は、高い防水性を有するものの、日常的に使用するような過酷な環境下における耐久性が十分であるとは言い難かった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高い防水性を有するとともに、過酷な環境下での使用にも耐えうるだけの十分な耐久性を有する繊維製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る繊維製品は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂からなる第１の防水膜をそれぞれ有し、互いに接合されている複数の基材と、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂からなる第２の防水膜と、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂からなり、流動開始点が５０～１２０℃であり、前記第２の防水膜に積層されたホットメルト接着剤とを有し、厚みが６０～１００μｍであり、前記複数の基材の接合部分に貼付されているテープと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る繊維製品は、上記発明において、前記基材は、前記第１の防水膜の表面の一部に積層されてなる積層部をさらに有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る繊維製品は、上記発明において、前記積層部は、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂からなり、連続するパターンからなる立体形状をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る繊維製品は、高い防水性を有するとともに、過酷な環境下での使用にも耐えうるだけの十分な耐久性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態（以下、「実施の形態」という）を説明する。なお、図面はあくまで模式的なものである。
【0012】
図１は、本発明の一実施の形態に係る繊維製品の要部の構成を示す図である。同図に示す繊維製品１は、透湿防水加工が施された布帛であり、互いの端部同士が接合されている２つの基材２、３と、基材２と基材３の接合部分を一方の表面側で目止めするテープ４とを備える。繊維製品１の接合部分は、接合された基材２、３を１つの層とみなし、その接合部分にテープ４を積層してなる２層構造を有する。なお、図１では２つの基材を接合した場合を例示しているが、接合する基材の数は２に限られるわけではなく、３以上でも構わない。接合する基材の数が３以上の場合にも、接合部分において接合された複数の基材を１つの層とみなすことに変わりはない。
【0013】
基材２は、ナイロン等からなる基部２１と、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂からなり、基部２１に積層されてなる第１の防水膜である防水膜２２とを有する。基材３も基材２と同様に、基部３１と防水膜３２とを有する。以下では、基材２の構成について説明するが、基材３の構成も同様であることはいうまでもない。なお、防水膜２２、３２には、防水膜２２、３２を設けることによる効果を阻害しない程度で、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂以外の成分がそれぞれ混合されていてもよい。
【0014】
基部２１は、例えばナイロンフィラメントヤーンを用いて構成されたナイロンリップタフタに対して、フッ素系撥水剤による撥水処理を施すことによって生成される。
【0015】
防水膜２２を構成するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、例えばワンショット法、プレポリマー法、バッチ反応法、連続反応法、ニーダーによる方法、押出し機による方法などの公知の製造方法のいずれかによって製造される。すなわち、その製造方法は特に限定されない。
【0016】
基部２１に対して防水膜２２を積層する方法として、例えば基部２１に防水膜２２をダイレクトにコーティングする方法（コーティング法）や、防水膜２２を単独で形成した後に接着剤により基部２１に接着して積層する方法（接合法）がある。このうち、基部２１に防水膜２２をダイレクトにコーティングする方法として、ナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、リバースロールコーティングなどの各種コーティング法を挙げることができる。
【0017】
テープ４は、第２の防水膜である防水膜４１と、防水膜４１に積層されている接着剤４２とを有する。
【0018】
防水膜４１は、例えば上述した防水膜２２と同様の製造方法によって製造されたポリカーボネート系ポリウレタン樹脂からなる。防水膜４１は、例えばナイフオーバーロールコーターを用いてポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の溶液を塗布した後、所定温度（例えば１２０℃）で乾燥させることによって成形される。なお、防水膜４１には、防水膜４１を設けることによる効果を阻害しない程度で、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂以外の成分が混合されていてもよい。
【0019】
接着剤４２は、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂からなるホットメルト接着剤である。接着剤４２の流動開始点は５０～１２０℃であり、好ましくは８０～１１０℃である。流動開始点が１２０℃を超えると、接着剤の溶融に大量の熱量と時間が必要となるため、縫製をスムーズに行うことができない。また、大量の熱量は縫製する生地に甚大なダメージを与えてしまい、防水性の観点からも好ましくない。さらに、流動開始点が５０℃未満の場合、使用時にわずかな熱量が加わってもテープ４が剥がれてしまい、防水性を損ねるおそれがある。なお、接着剤４２には、接着剤４２を設けることによる効果を阻害しない程度で、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂以外の成分が混合されていてもよい。
【0020】
テープ４の全体の厚みは６０～１００μｍであり、好ましくは６０～８０μｍである。これにより、テープ４は柔軟性を有するものとなり、基材２と基材３の接合部分の縫い目が交差する部分等に生じる段差にも追従させやすく、製品としての風合いも損ねることがなく、基材２、３にダメージを与えるおそれもない。
【0021】
接着剤４２の成形方法は特に限定されるものではなく、従来公知の成形方法（例えば押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、カレンダー加工法、ロール加工法、プレス加工法、延伸成形法）および成形条件を適用することができる。
【0022】
テープ４を製造する際には、まず防水膜４１を構成するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を有機溶剤に希釈して離型紙上に塗布し、乾燥させることによってフィルムを形成する。続いて、そのフィルム上に接着剤４２を押出成形法によりラミネートして積層シートを得る。その後、離型紙を剥がして所定幅でカットすることにより、テープ４を得る。
【0023】
図１に示す基材２と基材３とは、ミシン糸５により縫い合わさっている。ミシンによる縫い合わせを行う場合には、例えば一本針本縫いメス付ミシンまたはオーバーロックミシンによる縫い合わせや、二本針二重環縫いミシンによる巻き縫いなど、一般に提供される部材同士の接合を目的とした縫い目形式のいずれかを適用することができる。また、ミシン糸やその針目数の設定も自由に行うことができる。なお、基材２と基材３との接合は、ミシンによる縫い合わせに限られるわけではなく、例えば超音波溶着による接合、ホットメルト接着剤を介したオーバーラップの接合、または面ファスナーたたきつけによる接合によって実現することも可能である。
【0024】
テープ４を基材２と基材３と接合部分に貼付する際には、例えば熱風式ヒートシーラーによってテープ４を基材２と基材３の縫い目の縫い代側に貼付する。これにより、縫い目に防水性能が付与されることとなる。なお、テープ４を貼付する際の条件等は適宜設定可能である。
【0025】
以上の構成を有する繊維製品１は、例えば雨具等の衣料、靴、鞄、テント等のアウトドア用品など、透湿防水性と耐久性とが要求される各種製品の生地として適用することが可能である。この点については、後述する繊維製品についても同様のことがいえる。
【0026】
以上説明した本発明の一実施の形態に係る繊維製品は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂からなる第１の防水膜をそれぞれ有し、互いに接合されている複数の基材と、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂からなる第２の防水膜と、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂からなり、流動開始点が５０～１２０℃であり、第２の防水膜に積層されたホットメルト接着剤とを有し、厚みが６０～１００μｍであり、複数の基材の接合部分に貼付されているテープと、を備えたため、高い防水性を有するとともに、過酷な環境下での使用にも耐えうるだけの十分な耐久性を有する。
【0027】
（変形例）
図２は、本実施の形態の変形例１に係る繊維製品の要部の構成を示す図である。同図に示す繊維製品１Ａは、２つの基材２Ａ、３Ａと、テープ４とを備える。基材２Ａは、基部２１と、防水膜２２と、防水膜２２に積層されてなる積層部２３とを有する。積層部２３は、連続するパターンからなる立体形状の一例として、網目状立体構造の連続するライニング形状パターンを有しており、例えばグラビアコーティング法を用いて防水膜２２の表面に積層されている。積層部２３は、例えば防水膜２２の一部の表面にポリエーテル系ポリウレタン樹脂からなる材料をプリントすることによって形成される。このため、積層部２３の間からは防水膜２２の膜面の一部が露出している。基材３Ａも基材２Ａと同様に、基部３１、防水膜３２および積層部３３を有する。繊維製品１Ａは、上述した繊維製品１に積層部２３、３３を追加したものである。積層部２３、３３は、防水膜２２、３２の膜面の一部に対してそれぞれ積層されていることに鑑み、積層部２３、３３の分の層数を０．５とし、繊維製品１Ａの接合部分の層数を２．５とする。ここでいう連続するパターンには、例えば格子柄、ハニカム柄と呼ばれる点と線あるいは線と線で構成される繋がったパターンが含まれる。また、点状のドット柄、線状ストライプ柄が独立しており、線で繋がっていない場合は不連続であると言える。また、立体形状とは、例えば防水膜２２の表面の一部に積層されてなる積層部２３の最大高さが防水膜２２の膜面から８０μｍ以上であるような立体形状のことである。なお、積層部２３、３３には、積層部２３、３３を設けることによる効果を阻害しない程度で、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂以外の成分がそれぞれ混合されていてもよい。
図２は、本実施の形態の変形例１に係る繊維製品の要部の構成を示す図である。同図に示す繊維製品１Ａは、２つの基材２Ａ、３Ａと、テープ４とを備える。基材２Ａは、基部２１と、防水膜２２と、防水膜２２に積層されてなる積層部２３とを有する。積層部２３は、連続するパターンからなる立体形状の一例として、網目状立体構造の連続するライニング形状パターンを有しており、例えばグラビアコーティング法を用いて防水膜２２の表面に積層されている。積層部２３は、例えば防水膜２２の一部の表面にポリエーテル系ポリウレタン樹脂からなる材料をプリントすることによって形成される。このため、積層部２３の間からは防水膜２２の膜面の一部が露出している。基材３Ａも基材２Ａと同様に、基部３１、防水膜３２および積層部３３を有する。繊維製品１Ａは、上述した繊維製品１に積層部２３、３３を追加したものである。積層部２３、３３は、防水膜２２、３２の膜面の一部に対してそれぞれ積層されていることに鑑み、積層部２３、３３の分の層数を０．５とし、繊維製品１Ａの接合部分の層数を２．５とする。ここでいう連続するパターンには、例えば格子柄、ハニカム柄と呼ばれる点と線あるいは線と線で構成される繋がったパターンが含まれる。また、点状のドット柄、線状ストライプ柄が独立しており、線で繋がっていない場合は不連続であると言える。また、立体形状とは、例えば防水膜２２の表面の一部に積層されてなる積層部２３の最大高さが防水膜２２の膜面から８０μｍ以上であるような立体形状のことである。なお、積層部２３、３３には、積層部２３、３３を設けることによる効果を阻害しない程度で、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂以外の成分がそれぞれ混合されていてもよい。
【0028】
なお、積層部２３のパターンは網目状に限られるわけではなく、例えばメッシュ状またはドット状等、防水膜２２の一部が露出していればいかなるパターンでもよい。また、複数の球状粒子をコーティングしたものを積層部２３としてもよいし、パターンの内部または表面に複数の球状粒子を加えた構成としてもよい。ここでいう球状粒子は、針状や破片状などの鋭角的な角を有する粒子を除く球に近い形状を有する粒子である。球状粒子は有機粒子であり、水または溶剤に不溶であり、かつ膨潤が少ないことが望ましく、特にアクリル樹脂を主成分とするものが好ましい。また、球状粒子の径は５～２００μｍであることが好ましい。積層部２３を形成する際には、例えばナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、リバースロールコーティングなどの各種コーティング法を適用してもよい。また、繊維製品１Ａの意匠性を重視する場合には、顔料等でプリントしたり多色塗りを施したりすることによって積層部２３を形成してもよい。
【0029】
図３は、本実施の形態の変形例２に係る繊維製品の要部の構成を示す図である。同図に示す繊維製品１Ｂは、基材２Ａ、３Ａと、繊維製品１Ａのテープ４の防水膜４１に対してさらに積層部４３を形成したテープ４Ａとを備える。積層部４３は、積層部２３と同様に、網目状立体構造の連続するライニング形状パターンを有しており、例えばグラビアコーティングを用いて防水膜４１の表面の一部に積層されている。繊維製品１Ｂも繊維製品１Ａと同様に、接合部分の層数を２．５とする。
【0030】
積層部４３のパターンも積層部２３、３３と同様に他のパターンでもよいし、複数の球状粒子をコーティングしたものでもよいし、パターンの内部または表面に複数の球状粒子を加えた構成としてもよい。また、積層部４３の形成方法もグラビアコーティング以外の公知のコーティング法を用いてもよい。なお、積層部４３と積層部２３、３３が同じパターンを有していれば、テープ４Ａを貼付した側の繊維製品１Ｂの表面は見た目が揃うこととなり、縫い合わせ部分を目立たなくすることができる。また、積層部４３においても、積層部４３を設けることによる効果を阻害しない程度で、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂以外の成分が混合されていてもよい。
【0031】
以上説明した変形例１および２によれば、上述した一実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、変形例１および２によれば、積層部を設けて接合部分を２．５層とすることにより、基材の防水膜の膜面を摩擦等から保護することができる。加えて、変形例１および２に係る繊維製品を衣料として用いる場合には、積層部を設けた側を肌側とすることにより、着用者はべたつきを感じることなく良好な肌触りを得ることができる。
【0032】
従来、基材のテープ貼付側の表面肌側には防水透湿膜面の保護のため、ニットないしは織物の裏地を膜面にラミネートすることによって接合部分を３層構造とすることが一般的に行われている。しかしながらこの場合には、裏地を構成する繊維束内外の隙間にテープの接着剤を完全に浸透させることは技術的に困難であり、接着剤の浸透が十分でない箇所が耐水圧保持における耐久性低下の一因となることが、本発明者の研究過程で明らかとなった。このため、本実施の形態においては、テープを貼付する防水膜側には裏地を設けることなく、基材の防水膜上には何も貼付しないか、または積層部を形成することによって繊維製品の耐久性の確保を図った。
【0033】
なお、本実施の形態において、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂を用いて基材やテープの防水膜を構成してもよい。また、本実施の形態において、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂からなるホットメルト接着剤をテープの接着剤として適用してもよい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例を説明する。なお、以下に示す実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0035】
（実施例１～５）
＜防水膜用ポリウレタン樹脂の合成＞
撹拌機がついた反応容器にポリカーボネートポリオール（ヘキサメチレンカーボネートジオール）、ポリエーテルポリオール（ポリテトラメチレングリコール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加えて撹拌することにより、ウレタン樹脂濃度２５．０％、粘度８２０００ｍＰａ・ｓ（３０℃）のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を得た。
＜防水膜用ポリウレタン樹脂の合成＞
撹拌機がついた反応容器にポリカーボネートポリオール（ヘキサメチレンカーボネートジオール）、ポリエーテルポリオール（ポリテトラメチレングリコール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加えて撹拌することにより、ウレタン樹脂濃度２５．０％、粘度８２０００ｍＰａ・ｓ（３０℃）のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を得た。
【0036】
＜基材の製造＞
１．基部
５６デシテックスのナイロンフィラメントヤーンで構成されたナイロンリップタフタを、フッ素系撥水剤（ダイキン工業（株）、“ユニダイン”（登録商標）ＴＧ－５５２１）の３０ｇ／ｌの希釈液に浸漬し、絞り率４０％となるようにマングルで絞った後、１２０℃で乾燥し、１３０℃で３０秒間熱処理することにより、撥水処理を行った。
２．防水膜
上記の如く生成したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液８０重量部に対し、分散性を向上させるためにあらかじめＤＭＦ５０重量部で濡らし充分になじませたシリカ微粉末（（株）トクヤマ製、“レオロシール”（登録商標）ＭＴ－１０、ジメチルジクロロシランの気相反応シリカ）６重量部を添加し、ホモミキサーで約１５分間分散撹拌した後、撹拌し、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の液状組成物を得た。
３．基材
撥水処理後のナイロンリップタフタに対してポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の液状組成物を塗布量１５０ｇ／ｍ2でナイフオーバーロールコーターによりコーティングし、ＤＭＦを１５重量％含有する水溶液を凝固液とするゲル化浴槽中に３０℃で２分間浸漬してポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の液状組成物を湿式凝固させた。その後、８０℃の温湯で１０分間水洗し、１４０℃にて熱風乾燥することによって透湿防水加工布帛である基材Ａを得た。
１．基部
５６デシテックスのナイロンフィラメントヤーンで構成されたナイロンリップタフタを、フッ素系撥水剤（ダイキン工業（株）、“ユニダイン”（登録商標）ＴＧ－５５２１）の３０ｇ／ｌの希釈液に浸漬し、絞り率４０％となるようにマングルで絞った後、１２０℃で乾燥し、１３０℃で３０秒間熱処理することにより、撥水処理を行った。
２．防水膜
上記の如く生成したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液８０重量部に対し、分散性を向上させるためにあらかじめＤＭＦ５０重量部で濡らし充分になじませたシリカ微粉末（（株）トクヤマ製、“レオロシール”（登録商標）ＭＴ－１０、ジメチルジクロロシランの気相反応シリカ）６重量部を添加し、ホモミキサーで約１５分間分散撹拌した後、撹拌し、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の液状組成物を得た。
３．基材
撥水処理後のナイロンリップタフタに対してポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の液状組成物を塗布量１５０ｇ／ｍ2でナイフオーバーロールコーターによりコーティングし、ＤＭＦを１５重量％含有する水溶液を凝固液とするゲル化浴槽中に３０℃で２分間浸漬してポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の液状組成物を湿式凝固させた。その後、８０℃の温湯で１０分間水洗し、１４０℃にて熱風乾燥することによって透湿防水加工布帛である基材Ａを得た。
【0037】
＜テープの製造＞
１．防水膜
撹拌機がついた反応容器にポリカーボネートポリオール（ヘキサメチレンカーボネートジオール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加えて撹拌することにより、ウレタン樹脂濃度３０．０％、粘度５２０００ｍＰａ・ｓ（３０℃）のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を得た。
２．接着剤
（２－１）接着剤Ｉ
撹拌機がついた反応容器にポリエーテルポリオール（ポリテトラメチレングリコール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加えて撹拌することにより、流動開始点１１０℃のポリエーテル系ポリウレタンホットメルト接着剤（以下、接着剤Ｉという）を合成した。この接着剤Ｉを実施例１～３および５で用いた。なお、流動開始点の測定は、ＪＩＳ Ｋ７３１１：１９９５に準じて行った。この測定は、後述する接着剤についても同様である。
（２－２）接着剤ＩＩ
撹拌機がついた反応容器にポリエーテルポリオール（ポリテトラメチレングリコール）イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加える際、ポリオールとイソシアネートを接着剤Ｉとは異なる比率で加えることにより、流動開始点９０℃のポリエーテル系ポリウレタンホットメルト接着剤（以下、接着剤ＩＩという）を合成した。この接着剤ＩＩを実施例４で用いた。
３．テープ
離型紙上に有機溶剤で希釈したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を塗布後乾燥させて厚さ２０μｍのフィルムを形成した。続いて、そのフィルム上にポリエーテル系の接着剤を押出成形法にてラミネートして積層させて所定厚さの積層シートを形成した。その後、離型紙を剥がしてスリットカッターにより幅２０ｍｍでカットすることにより、テープを得た。
１．防水膜
撹拌機がついた反応容器にポリカーボネートポリオール（ヘキサメチレンカーボネートジオール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加えて撹拌することにより、ウレタン樹脂濃度３０．０％、粘度５２０００ｍＰａ・ｓ（３０℃）のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を得た。
２．接着剤
（２－１）接着剤Ｉ
撹拌機がついた反応容器にポリエーテルポリオール（ポリテトラメチレングリコール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加えて撹拌することにより、流動開始点１１０℃のポリエーテル系ポリウレタンホットメルト接着剤（以下、接着剤Ｉという）を合成した。この接着剤Ｉを実施例１～３および５で用いた。なお、流動開始点の測定は、ＪＩＳ Ｋ７３１１：１９９５に準じて行った。この測定は、後述する接着剤についても同様である。
（２－２）接着剤ＩＩ
撹拌機がついた反応容器にポリエーテルポリオール（ポリテトラメチレングリコール）イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加える際、ポリオールとイソシアネートを接着剤Ｉとは異なる比率で加えることにより、流動開始点９０℃のポリエーテル系ポリウレタンホットメルト接着剤（以下、接着剤ＩＩという）を合成した。この接着剤ＩＩを実施例４で用いた。
３．テープ
離型紙上に有機溶剤で希釈したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を塗布後乾燥させて厚さ２０μｍのフィルムを形成した。続いて、そのフィルム上にポリエーテル系の接着剤を押出成形法にてラミネートして積層させて所定厚さの積層シートを形成した。その後、離型紙を剥がしてスリットカッターにより幅２０ｍｍでカットすることにより、テープを得た。
【0038】
＜基材の接合とテープの貼付＞
まず、接合する２枚の基材Ａの表側同士（基部側同士）が向かい合うように重ね合わせ、接合するラインに沿って一本針本縫いメス付ミシン（ＪＵＫＩ製＃ＤＬＭ－５４００ＮＤ）で縫い合わせることにより２枚の基材Ａを接合した。ミシン糸は、フジックス製キングポリエステル＃５０を使用し、針目数１２針／３ｃｍ、縫い代幅５ｍｍで裁ち落とした。
続いて、熱風式ヒートシーラー（クインライト製＃ＱＨＰ－Ａ０５）で目止めテープを縫い目の縫い代側に貼付した。この時のノズル温度を５００℃、ノズル圧力を０．０７ＭＰａ、上ローラー温度を４０℃、上ローラー押さえ圧力を０．５ＭＰａ、加工速度を４ｍ／ｍｉｎ、ノズル先と上ローラーの隙間を２ｍｍ、上下ローラーが接した点の接線からノズル先までの高さを８ｍｍとした。
まず、接合する２枚の基材Ａの表側同士（基部側同士）が向かい合うように重ね合わせ、接合するラインに沿って一本針本縫いメス付ミシン（ＪＵＫＩ製＃ＤＬＭ－５４００ＮＤ）で縫い合わせることにより２枚の基材Ａを接合した。ミシン糸は、フジックス製キングポリエステル＃５０を使用し、針目数１２針／３ｃｍ、縫い代幅５ｍｍで裁ち落とした。
続いて、熱風式ヒートシーラー（クインライト製＃ＱＨＰ－Ａ０５）で目止めテープを縫い目の縫い代側に貼付した。この時のノズル温度を５００℃、ノズル圧力を０．０７ＭＰａ、上ローラー温度を４０℃、上ローラー押さえ圧力を０．５ＭＰａ、加工速度を４ｍ／ｍｉｎ、ノズル先と上ローラーの隙間を２ｍｍ、上下ローラーが接した点の接線からノズル先までの高さを８ｍｍとした。
【0039】
以上のように構成された繊維製品に対して、各実施例において規定の耐水圧試験（１）をクリアすることができる加水分解性評価試験（２）の経過日数を調べた。
（１）耐水圧試験
水圧２０００ｍｍ水柱（２０００ｍｍＨ2Ｏ）の条件下で漏水がない状態を２分間保持する。
（２）加水分解性評価試験（ジャングルテスト）
温度７０℃、相対湿度９５％の高湿恒温槽に放置して加水分解を促進させる。
（１）耐水圧試験
水圧２０００ｍｍ水柱（２０００ｍｍＨ2Ｏ）の条件下で漏水がない状態を２分間保持する。
（２）加水分解性評価試験（ジャングルテスト）
温度７０℃、相対湿度９５％の高湿恒温槽に放置して加水分解を促進させる。
【0040】
・実施例１
実施例１で使用したテープａは、ポリエーテル系の接着剤Ｉを有し、全体の厚さが６０μｍのテープである。耐水圧試験結果は、上記（２）の環境下で１１２日間放置した後でも上記（１）の耐水圧を実現した。上記（２）の環境下での７日（１週間）は、通常使用の１年に相当する。したがって、実施例１は約１６年の通常使用にも耐えうる高い耐久性を有していることがわかる。以下、この耐水圧試験結果を「１１２日以上」という。
実施例１で使用したテープａは、ポリエーテル系の接着剤Ｉを有し、全体の厚さが６０μｍのテープである。耐水圧試験結果は、上記（２）の環境下で１１２日間放置した後でも上記（１）の耐水圧を実現した。上記（２）の環境下での７日（１週間）は、通常使用の１年に相当する。したがって、実施例１は約１６年の通常使用にも耐えうる高い耐久性を有していることがわかる。以下、この耐水圧試験結果を「１１２日以上」という。
【0041】
・実施例２
実施例２で使用したテープｂは、ポリエーテル系の接着剤Ｉを有し、全体の厚さが８０μｍのテープである。耐水圧試験結果は、１１２日以上であった。
実施例２で使用したテープｂは、ポリエーテル系の接着剤Ｉを有し、全体の厚さが８０μｍのテープである。耐水圧試験結果は、１１２日以上であった。
【0042】
・実施例３
実施例３で使用したテープｃは、ポリエーテル系の接着剤Ｉを有し、全体の厚さが１００μｍのテープである。耐水圧試験結果は、１１２日以上であった。
実施例３で使用したテープｃは、ポリエーテル系の接着剤Ｉを有し、全体の厚さが１００μｍのテープである。耐水圧試験結果は、１１２日以上であった。
【0043】
・実施例４
実施例４で使用したテープｄは、ポリエーテル系の接着剤ＩＩを有し、全体の厚さが６０μｍのテープである。耐水圧試験結果は、１１２日以上であった。
実施例４で使用したテープｄは、ポリエーテル系の接着剤ＩＩを有し、全体の厚さが６０μｍのテープである。耐水圧試験結果は、１１２日以上であった。
【0044】
・実施例５
本実施例５では、基材Ａに対して網目状立体構造の連続するライニング形状パターンを有する積層部を形成することによって接合部分を２．５層とした。具体的には、ハイムレンＹ－２６２（大日精化工業株式会社製、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂）１００部、粒子径５～５０μｍの架橋アクリル粒子１５部、粒子径１０～８０μｍの架橋アクリル粒子１５部、ＭＥＫ７５部、トルエン７５部を調合して撹拌した溶液を防水膜上にグラビアコーターにて塗工した後、８０℃にて熱風乾燥させ、さらに１６０℃にて３分間熱処理を施すことにより、基材Ａの防水膜上に積層部を形成した。目止め用のテープは、実施例１と同じテープａである。耐水圧試験結果は、１１２日以上であった。
本実施例５では、基材Ａに対して網目状立体構造の連続するライニング形状パターンを有する積層部を形成することによって接合部分を２．５層とした。具体的には、ハイムレンＹ－２６２（大日精化工業株式会社製、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂）１００部、粒子径５～５０μｍの架橋アクリル粒子１５部、粒子径１０～８０μｍの架橋アクリル粒子１５部、ＭＥＫ７５部、トルエン７５部を調合して撹拌した溶液を防水膜上にグラビアコーターにて塗工した後、８０℃にて熱風乾燥させ、さらに１６０℃にて３分間熱処理を施すことにより、基材Ａの防水膜上に積層部を形成した。目止め用のテープは、実施例１と同じテープａである。耐水圧試験結果は、１１２日以上であった。
【0045】
（比較例１）
比較例１では、実施例１のテープａとそれぞれ同じ材料からなる防水膜および接着剤を用いて構成され、テープ厚さが４０μｍであるテープｅを使用した。２つの基材Ａを上述した実施例と同様に接合し、接合部分にテープｅを貼付して繊維製品を形成した。耐水圧試験を行ったところ、テープｅの厚さが薄いため、作成時の段階で上記（１）の耐水圧（２０００ｍｍＨ2Ｏ）が得られなかった（０日）。
比較例１では、実施例１のテープａとそれぞれ同じ材料からなる防水膜および接着剤を用いて構成され、テープ厚さが４０μｍであるテープｅを使用した。２つの基材Ａを上述した実施例と同様に接合し、接合部分にテープｅを貼付して繊維製品を形成した。耐水圧試験を行ったところ、テープｅの厚さが薄いため、作成時の段階で上記（１）の耐水圧（２０００ｍｍＨ2Ｏ）が得られなかった（０日）。
【0046】
（比較例２）
比較例２では、実施例１～５とは異なるポリエーテル系の接着剤ＩＩＩを用いて得られるテープｆを使用した。接着剤ＩＩＩは、撹拌機がついた反応容器にポリエーテルポリオール（ポリテトラメチレングリコール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加える際、ポリエーテルポリオールとイソシアネートを接着剤Ｉ、ＩＩとは異なる比率で加えることによって得られたものであり、流動開始点が１３０℃である。
比較例２では、実施例１～５とは異なるポリエーテル系の接着剤ＩＩＩを用いて得られるテープｆを使用した。接着剤ＩＩＩは、撹拌機がついた反応容器にポリエーテルポリオール（ポリテトラメチレングリコール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加える際、ポリエーテルポリオールとイソシアネートを接着剤Ｉ、ＩＩとは異なる比率で加えることによって得られたものであり、流動開始点が１３０℃である。
【0047】
テープｆは次のように製造した。まず、離型紙上に有機溶剤で希釈したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を塗布後乾燥させて厚さ２０μｍのフィルムを形成した。続いて、そのフィルム上に接着剤ＩＩＩを押出成形法にてラミネートして積層させて厚さ６０μｍの積層シートを形成した。その後、離型紙を剥がしてスリットカッターにより幅２０ｍｍでカットすることにより、テープｇを得た。
【0048】
基材Ａとテープｆを用いて実施例１～５と同様に作成した繊維製品に対して耐水圧試験を行ったところ、作成時の段階で上記（１）の耐水圧（２０００ｍｍＨ2Ｏ）が得られなかった（０日）。
【0049】
（比較例３）
比較例３では、ポリエステル系ポリウレタン樹脂を用いて構成される基材Ｂと、ポリエステル系の防水膜およびポリエステル系の接着剤を構成されるテープｇとを使用した。以下、基材Ｂおよびテープｇの製造方法を具体的に説明する。
比較例３では、ポリエステル系ポリウレタン樹脂を用いて構成される基材Ｂと、ポリエステル系の防水膜およびポリエステル系の接着剤を構成されるテープｇとを使用した。以下、基材Ｂおよびテープｇの製造方法を具体的に説明する。
【0050】
＜防水膜用ポリウレタン樹脂の合成＞
撹拌機のついた反応容器にポリエステルポリオール（１，４－ブタンジオール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加えて撹拌することにより、ウレタン樹脂濃度２５．０％、粘度８２０００ｍＰａ・ｓ（３０℃）のポリエステル系ウレタン樹脂溶液を合成した。
撹拌機のついた反応容器にポリエステルポリオール（１，４－ブタンジオール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加えて撹拌することにより、ウレタン樹脂濃度２５．０％、粘度８２０００ｍＰａ・ｓ（３０℃）のポリエステル系ウレタン樹脂溶液を合成した。
【0051】
＜基材Ｂの製造＞
１．基部
上記実施例１～５と同様に、ナイロンリップタフタに撥水処理を施した。
２．防水膜
上記の如く生成したポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液を８０重量部にシリカ微粉末（（株）トクヤマ製、“レオロシール”（登録商標）ＭＴ－１０、ジメチルジクロロシランの気相反応シリカ）６重量部を添加し、ＤＭＦ５０重量部で充分に浸漬し、ホモミキサーで約１５分間分散撹拌した後、撹拌し、ポリエステル系ポリウレタン樹脂の液状組成物を得た。
３．基材
撥水処理後のナイロンリップタフタに対してポリエステル系ポリウレタン樹脂の液状組成物を塗布量１５０ｇ／ｍ2でナイフオーバーロールコーターによりコーティングし、ＤＭＦを１５重量％含有する水溶液を凝固液とするゲル化浴槽中に３０℃で２分間浸漬してポリエステル系ポリウレタン樹脂の液状組成物を湿式凝固させた。その後、８０℃の温湯で１０分間水洗した後、１４０℃にて熱風乾燥することによって基材Ｂを得た。
１．基部
上記実施例１～５と同様に、ナイロンリップタフタに撥水処理を施した。
２．防水膜
上記の如く生成したポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液を８０重量部にシリカ微粉末（（株）トクヤマ製、“レオロシール”（登録商標）ＭＴ－１０、ジメチルジクロロシランの気相反応シリカ）６重量部を添加し、ＤＭＦ５０重量部で充分に浸漬し、ホモミキサーで約１５分間分散撹拌した後、撹拌し、ポリエステル系ポリウレタン樹脂の液状組成物を得た。
３．基材
撥水処理後のナイロンリップタフタに対してポリエステル系ポリウレタン樹脂の液状組成物を塗布量１５０ｇ／ｍ2でナイフオーバーロールコーターによりコーティングし、ＤＭＦを１５重量％含有する水溶液を凝固液とするゲル化浴槽中に３０℃で２分間浸漬してポリエステル系ポリウレタン樹脂の液状組成物を湿式凝固させた。その後、８０℃の温湯で１０分間水洗した後、１４０℃にて熱風乾燥することによって基材Ｂを得た。
【0052】
＜テープｇの製造＞
１．防水膜
撹拌機がついた反応容器にポリエステルポリオール（１，４－ブタンジオール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加えて撹拌することにより、ウレタン樹脂濃度３０．０％、粘度５２０００ｍＰａ・ｓ（３０℃）のポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液を得た。
２．接着剤
撹拌機がついた反応容器にポリエステルポリオール（１，４－ブタンジオール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加えて撹拌することにより、流動開始点１１０℃のポリエステル系ポリウレタンホットメルト接着剤を合成した。
３．テープ
離型紙上に有機溶剤で希釈したポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液を塗布後乾燥させて厚さ２０μｍのフィルムを形成した。続いて、そのフィルム上にポリエステル系ポリウレタンホットメルト接着剤を押出成形法にてラミネートして積層させて全体の厚さ６０μｍの積層シートを形成した。その後、離型紙を剥がしてスリットカッターにより幅２０ｍｍでカットすることにより、テープｇを得た。
１．防水膜
撹拌機がついた反応容器にポリエステルポリオール（１，４－ブタンジオール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加えて撹拌することにより、ウレタン樹脂濃度３０．０％、粘度５２０００ｍＰａ・ｓ（３０℃）のポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液を得た。
２．接着剤
撹拌機がついた反応容器にポリエステルポリオール（１，４－ブタンジオール）、イソシアネート（ジフェニルメタンジイソシアネート）、エチレングリコール、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールを加えて撹拌することにより、流動開始点１１０℃のポリエステル系ポリウレタンホットメルト接着剤を合成した。
３．テープ
離型紙上に有機溶剤で希釈したポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液を塗布後乾燥させて厚さ２０μｍのフィルムを形成した。続いて、そのフィルム上にポリエステル系ポリウレタンホットメルト接着剤を押出成形法にてラミネートして積層させて全体の厚さ６０μｍの積層シートを形成した。その後、離型紙を剥がしてスリットカッターにより幅２０ｍｍでカットすることにより、テープｇを得た。
【0053】
本比較例３では、２つの基材Ｂを実施例１～５と同様に接合し、接合部分にテープｇを貼付して繊維製品を形成した。耐水圧試験の結果は、上記（２）の環境下で２２日以上放置した場合には、上記（１）の耐水圧を実現できなかった。換言すれば、上記（２）の環境下で上記（１）の耐水圧を実現できたのは２１日までであった。
【0054】
（比較例４）
比較例３のテープｇにおける接着剤（ポリエステル系ポリウレタンホットメルト接着剤）をポリエーテル系の接着剤Ｉに代えて形成したテープｈを用いる以外は、比較例３と同じである。耐水圧試験の結果は、比較例３と同じであった（２１日）。
比較例３のテープｇにおける接着剤（ポリエステル系ポリウレタンホットメルト接着剤）をポリエーテル系の接着剤Ｉに代えて形成したテープｈを用いる以外は、比較例３と同じである。耐水圧試験の結果は、比較例３と同じであった（２１日）。
【0055】
（比較例５）
比較例４のテープｈに代えてテープａを用いる以外は、比較例３と同じである。耐水圧試験の結果は、比較例３と同じであった（２１日）。
比較例４のテープｈに代えてテープａを用いる以外は、比較例３と同じである。耐水圧試験の結果は、比較例３と同じであった（２１日）。
【0056】
（比較例６）
比較例３の基材Ｂに代えて基材Ａを用いる以外は、比較例３と同じである。耐水圧試験の結果は、上記（２）の環境下で２９日以上放置した場合には、上記（１）の耐水圧を実現できなかった。換言すれば、上記（２）の環境下で上記（１）の耐水圧を実現できたのは２８日までであった。
比較例３の基材Ｂに代えて基材Ａを用いる以外は、比較例３と同じである。耐水圧試験の結果は、上記（２）の環境下で２９日以上放置した場合には、上記（１）の耐水圧を実現できなかった。換言すれば、上記（２）の環境下で上記（１）の耐水圧を実現できたのは２８日までであった。
【0057】
（比較例７）
比較例４の基材Ｂに代えて基材Ａを用いる以外は、比較例４と同じである。耐水圧試験の結果は、比較例６と同じであった（２８日）。
比較例４の基材Ｂに代えて基材Ａを用いる以外は、比較例４と同じである。耐水圧試験の結果は、比較例６と同じであった（２８日）。
【0058】
（比較例８）
基材Ａの表面にドット状グラビアロールにて裏地接着剤用ウレタン接着剤を塗布し、２２デシテックスのナイロントリコットを貼り合せることにより、３層の基材Ｃを得た。また、テープａの表面にドット状グラビアロールにて裏地接着剤用ウレタン接着剤を塗布し、裏地として基材Ｃと同じ２２デシテックスのナイロントリコットを貼り合せることにより、３層のテープｉを得た。テープｉの全体の厚さを１６０μｍとした。耐水圧試験を行ったところ、作成時の段階で上記（１）の耐水圧（２０００ｍｍＨ2Ｏ）が得られなかった（０日）。
基材Ａの表面にドット状グラビアロールにて裏地接着剤用ウレタン接着剤を塗布し、２２デシテックスのナイロントリコットを貼り合せることにより、３層の基材Ｃを得た。また、テープａの表面にドット状グラビアロールにて裏地接着剤用ウレタン接着剤を塗布し、裏地として基材Ｃと同じ２２デシテックスのナイロントリコットを貼り合せることにより、３層のテープｉを得た。テープｉの全体の厚さを１６０μｍとした。耐水圧試験を行ったところ、作成時の段階で上記（１）の耐水圧（２０００ｍｍＨ2Ｏ）が得られなかった（０日）。
【0059】
（比較例９）
基材Ｂの表面にドット状グラビアロールにて裏地接着剤用ウレタン接着剤を塗布し、２２デシテックスのナイロントリコットを貼り合せることにより、３層の基材Ｄを得た。また、テープｇの表面にドット状グラビアロールにて裏地接着剤用ウレタン接着剤を塗布し、裏地として基材Ｄと同じ２２デシテックスのナイロントリコットを貼り合せることにより、３層のテープｊを得た。テープｊの全体の厚さを１６０μｍとした。耐水圧試験を行ったところ、作成時の段階で上記（１）の耐水圧（２０００ｍｍＨ2Ｏ）が得られなかった（０日）。
基材Ｂの表面にドット状グラビアロールにて裏地接着剤用ウレタン接着剤を塗布し、２２デシテックスのナイロントリコットを貼り合せることにより、３層の基材Ｄを得た。また、テープｇの表面にドット状グラビアロールにて裏地接着剤用ウレタン接着剤を塗布し、裏地として基材Ｄと同じ２２デシテックスのナイロントリコットを貼り合せることにより、３層のテープｊを得た。テープｊの全体の厚さを１６０μｍとした。耐水圧試験を行ったところ、作成時の段階で上記（１）の耐水圧（２０００ｍｍＨ2Ｏ）が得られなかった（０日）。
【0060】
【表1】
【符号の説明】
【0061】
１、１Ａ、１Ｂ 繊維製品
２、２Ａ、３、３Ａ 基材
４、４Ａ テープ
５ ミシン糸
２１、３１ 基部
２２、３２、４１ 防水膜
２３、３３、４３ 積層部
４２ 接着剤
２、２Ａ、３、３Ａ 基材
４、４Ａ テープ
５ ミシン糸
２１、３１ 基部
２２、３２、４１ 防水膜
２３、３３、４３ 積層部
４２ 接着剤
【図1】
【図2】
【図3】