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特許7170996スルホンアミド誘導体またはその薬学的に許容される酸付加塩
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  • 特許-スルホンアミド誘導体またはその薬学的に許容される酸付加塩 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】スルホンアミド誘導体またはその薬学的に許容される酸付加塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/10 20060101AFI20221108BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20221108BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20221108BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20221108BHJP
   A61P 9/02 20060101ALI20221108BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221108BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221108BHJP
   A61P 25/26 20060101ALI20221108BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
C07D239/10 CSP
A61K31/513
A61P3/04
A61P3/10
A61P9/02
A61P25/00
A61P25/24
A61P25/26
A61P43/00 111
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019559662
(86)(22)【出願日】2018-12-11
(86)【国際出願番号】 JP2018045523
(87)【国際公開番号】W WO2019117148
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2017238093
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(73)【特許権者】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 博
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 正史
(72)【発明者】
【氏名】入鹿山 容子
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/199906(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/088000(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/133160(WO,A1)
【文献】特表2002-536447(JP,A)
【文献】特表2015-521999(JP,A)
【文献】European Journal of Medicinal Chemistry,2004年,Vol.39,No.1,pp.49-58
【文献】Journal of Medicinal Chemistry,2015年,58(20),7931-7937
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、Rはプロピル、エチル、イソプロピル、メトキシまたはエトキシであり、Meはメチルである]で示される化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項2】
4’-メトキシ-N,N-ジメチル-3’-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミドもしくは4’-(メトキシ-d3)-N,N-ジメチル-3’-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される酸付加塩である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
4’-メトキシ-N,N-ジメチル-3’-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミドまたはその薬学的に許容される酸付加塩である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
4’-(メトキシ-d3)-N,N-ジメチル-3’-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミドまたはその薬学的に許容される酸付加塩である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を含有する医薬。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を含有するオレキシン受容体作動薬。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を含有する抗ナルコレプシー剤。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を含有する眠気改善剤。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を含有する、肥満症、糖尿病またはうつ病の予防または治療剤。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を含有する、敗血症、重症敗血症または敗血症性ショックの予防または治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたオレキシン受容体作動薬として有用な新規化合物を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
ナルコレプシーは脳が睡眠・覚醒サイクルをコントロールできないために引き起こされる睡眠障害である。ナルコレプシーの主な症状として、日中の耐え難い眠気、情動(特に強い喜びや驚き)に誘発される脱力発作(カタプレキシー)、入眠時幻覚、および入眠時における麻痺が挙げられ、ナルコレプシー罹患者は社会生活全般において、深刻な影響を受けている。ナルコレプシーの有病率は0.05~0.2%(日本では0.16~0.18%)と推定され、珍しい病気とは言えない有病率である。
【0003】
ナルコレプシーの治療は薬物療法と生活指導が主流である。薬物療法としては、日中の眠気の抑制のためにメチルフェニデート、モダフィニルやペモリンが用いられ、カタプレキシーをコントロールするために三環性抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が用いられる。これらの治療法はナルコレプシーの対症療法ではあるが、根本治療法ではない。
【0004】
近年、ナルコレプシーとオレキシン系機能障害の関連性が注目されている。オレキシンは視床下部外側野に存在する神経ペプチドであり、オレキシン-Aとオレキシン-B(ヒポレクチン1、ヒポレクチン2(非特許文献1))の2種のペプチドがある。これらはGタンパク質共役型受容体であるオレキシン1受容体(以下、OX1Rともいう。)およびオレキシン2受容体(以下、OX2Rともいう。)に結合する(非特許文献2)。マウスおよびイヌのモデル実験から、オレキシン受容体(OX1RとOX2Rの両方が発現)の欠損、あるいはOX2Rの欠損がナルコレプシーを引き起こすことが示唆された(非特許文献3)。さらに、マウスモデル実験により、OX2Rの機能が覚醒を維持するために重要であることが示唆された(非特許文献4、非特許文献5)。
【0005】
一方、多くのナルコレプシー患者では、オレキシン神経の消失、およびオレキシン濃度の低下が確認された(非特許文献6)。このように、ナルコレプシーはオレキシンの欠損によって引き起こされる可能性が高いことが強く示唆される。
【0006】
オレキシン受容体は脳内に広範に存在する。オレキシンはペプチドであり、血液脳関門の透過性が極めて低いため、医薬用途として有用ではない。そのため、オレキシン受容体作動薬の低分子化が望まれている。近年、低分子のOX2R作動薬として、環状グアニジン骨格を有する化合物が開示された(特許文献1)。
【0007】
また、オレキシン系は上記のような睡眠・覚醒を調節するだけでなく、情動やエネルギーバランスに応じ、摂食行動もまた適切に制御すると考えられている。絶食下のマウスは、覚醒時間を増加し、睡眠時間を減少させることにより、えさを探索する行動量を増加する。一方、オレキシン受容体欠損マウスでは、覚醒時間・行動量が増加しないことが明らかになった(非特許文献7)。さらに、OX2Rはレプチン感受性を向上させることにより、体重の恒常性に関与することが示された(非特許文献8)。これらのことから、オレキシン受容体(特にOX2R)作動薬は、ナルコレプシーだけでなく、糖尿病、肥満およびメタボリックシンドローム治療薬になる可能性もある。
【0008】
さらに、敗血症ラットでは自発活動が低下しており、視床下部の脳弓周囲領域でのオレキシン含有神経活動が低下していることが報告され(非特許文献9)、敗血症モデルマウスにオレキシンを脳室内投与すると体温上昇と心機能の回復が見られたという報告がある(非特許文献10)。これらのことから、オレキシン受容体作動薬は敗血症の治療薬になる可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第8,258,163号明細書
【非特許文献】
【0010】
【文献】Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95,322-327(1998)
【文献】Cell,92,573-585(1998)
【文献】Cell,98,365-376(1999)
【文献】Cell,98,437-451(1999)
【文献】Neuron,38,715-730(2003)
【文献】Arch.Neurol.,59,1553-1562(2002)
【文献】Neuron,38,701-713(2003)
【文献】Cell Metab.,9,64-76(2009)
【文献】J.Neurosci.,31(31),11376-11386(2011)
【文献】Crit.Care Med.,41,1-8(2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、優れたナルコレプシー等の予防または治療剤として有用であると期待される、オレキシン受容体作動活性を示す新規低分子化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討した結果、優れたOX2R作動活性を持つ後記式(I)で示される化合物を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
[1] 式(I):
【0013】
【化1】
【0014】
[式中、

(1)式(i):
【0015】
【化2】
【0016】
(ここで、RはC1-6アルキルであり、RはC1-6アルキルである)で表される基、
(2)C1-6アルキル、または
(3)オキソで置換されたピロリジニルであり、
はハロゲン原子および重水素原子から選択される1ないし5個の原子で置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
Xは単結合、-O-、-S-、-CH(OH)-、または-C(=O)-であり、

(1)C1-8アルキル、
(2)C2-8アルケニル、
(3)C6-10アリール、または
(4)5ないし10員ヘテロアリール
(ここで、C1-8アルキルおよびC2-8アルケニルは1ないし5個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
6-10アリールおよび5ないし10員ヘテロアリールは任意に選択される1ないし4個のRで置換されていてもよく、
は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子、
-NO
-OH、
1-6アルキル、
1-6ハロアルキル、
1-6アルコキシ、
5ないし10員ヘテロアリール、
-NR6a6b(ここで、R6aは水素原子、C1-6アルキルまたはC1-6アルコキシ-カルボニルであり、R6bは水素原子またはC1-6アルキルである)、
-C(=O)OR6c(ここで、R6cは水素原子またはC1-6アルキルである)、
-C(=O)NR6d6e(ここで、R6dは水素原子またはC1-6アルキルであり、R6eは水素原子またはC1-6アルキルである)、または
-NH-C(=NR6f)-NHR6g(ここで、R6fは水素原子またはC1-6アルコキシ-カルボニルであり、R6gは水素原子またはC1-6アルコキシ-カルボニルである)であり、または
2個のRは一緒になってメチレンジオキシを形成する)である]
で示される化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩(以下、化合物(I)ともいう)。
[2] Rが式(i):
【0017】
【化3】
【0018】
(ここで、RはC1-6アルキルであり、RはC1-6アルキルである)で表される基である前記[1]記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
[3] Rがハロゲン原子および重水素原子から選択される1ないし3個の原子で置換されていてもよいメチルである前記[1]または[2]に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
[4] Rがメチルである前記[1]または[2]に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
[5] Xが単結合または-O-である前記[1]から[4]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
[6] Rが1ないし5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-8アルキル、またはフェニルである前記[1]から[5]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
[7] Xが単結合であり、RがC1-8アルキルである前記[1]から[4]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
[8] 前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を含有する医薬。
[9] 前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を含有するオレキシン受容体作動薬。
[10] 前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を含有する抗ナルコレプシー剤。
[11] 前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を含有する眠気改善剤。
[12] 前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を含有する、肥満症、糖尿病またはうつ病の予防または治療剤。
[13] 前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を含有する、敗血症、重症敗血症または敗血症性ショックの予防または治療剤。
[14] 前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩の有効量を投与することを含むナルコレプシーの予防または治療方法。
[15] 前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩の有効量を投与することを含む眠気の改善方法。
[16] 前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩の有効量を投与することを含む、肥満症、糖尿病またはうつ病の予防または治療方法。
[17] 前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩の有効量を投与することを含む、敗血症、重症敗血症または敗血症性ショックの予防または治療方法。
[18] ナルコレプシーの予防または治療に使用するための、前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
[19] 眠気の改善に使用するための、前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
[20] 肥満症、糖尿病またはうつ病の予防または治療に使用するための、前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
[21] 敗血症、重症敗血症または敗血症性ショックの予防または治療に使用するための、前記[1]から[7]のいずれか一つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【発明の効果】
【0019】
本発明の式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩は、優れたOX2R作動活性を有する。本発明の化合物は、経口投与によりOX2R作動活性を示し、覚醒時間を延長する。したがって、経口投与で有効なナルコレプシーの予防または治療剤、眠気改善剤、または肥満症、糖尿病、うつ病、敗血症、重症敗血症または敗血症性ショック等の予防または治療剤となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、野生型(WT)マウスでの被験化合物(実施例1の化合物)経口投与後の覚醒延長効果を投与後60分、120分、180分で評価(n=3)した結果を示すグラフである。*:p=0.02,#:p=0.052
図2図2は、オレキシン受容体欠損マウス(DKOマウス)での被験化合物(実施例1の化合物)経口投与後の覚醒延長効果を投与後60分、120分、180分で評価(n=3)した結果を示すグラフである。N.S.:有意差なし
図3図3は、野生型(WT)マウスにコントロール(0.5%メチルセルロース(MC)水溶液)または被験化合物(実施例1の化合物)5mg/kgを経口投与した試験例2の典型的なヒプノグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で使用する次の用語は、特に断りのない限り、下記の定義の通りである。
本明細書中の「C1-8アルキル」は、炭素原子および水素原子からなる、炭素数1から8の一価の直鎖または分岐状の飽和炭化水素基を意味する。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等が挙げられる。C1-8アルキルとして、好ましくは、C1-6アルキルであり、より好ましくは、C1-4アルキルである。
本明細書中の「C1-6アルキル」は、炭素原子および水素原子からなる、炭素数1から6の一価の直鎖または分岐状の飽和炭化水素基を意味する。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
本明細書中の「C1-4アルキル」は、炭素原子および水素原子からなる、炭素数1から4の一価の直鎖または分岐状の飽和炭化水素基を意味する。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等が挙げられる。
本明細書中の「C1-6アルコキシ」は、C1-6アルキルが結合したオキシ基を意味する。例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ等が挙げられる。
本明細書中の「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。
本明細書中の「C2-8アルケニル」は、炭素原子および水素原子からなる、炭素数2から8の一価の直鎖または分岐状の少なくとも1個の二重結合を有する不飽和炭化水素基を意味する。例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-ヘプテニル、3-ヘプテニル、5-ヘプテニル、1-オクテニル、3-オクテニル、5-オクテニル等が挙げられる。C2-8アルケニルとして、好ましくは、C2-6アルケニルであり、より好ましくは、C2-4アルケニルである。
本明細書中の「C6-10アリール」は、炭素数6から10の単環または縮合の芳香族炭素環式基を意味する。例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル等が挙げられる。好ましくは、フェニルである。
本明細書中の「5ないし10員ヘテロアリール」は、環構成原子として、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5から10員の単環または二環の芳香族ヘテロ環式基を意味する。例えば、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、フラザニル、ピラジニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、1H-インダゾリル等が挙げられる。
本明細書中の「C1-6ハロアルキル」は、1ないし5個(好ましくは1ないし3個)のハロゲン原子で置換されたC1-6アルキルを意味する。例えば、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピル等が挙げられる。好ましくは、トリフルオロメチルである。
本明細書中の「C1-6アルコキシ-カルボニル」は、C1-6アルコキシが結合したカルボニル基を意味する。例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル等が挙げられる。
本明細書中の「オキソで置換されたピロリジニル」は、1個のオキソ基で置換されたピロリジニルを意味する。例えば、5-オキソピロリジン-3-イル等が挙げられる。
【0022】
本明細書中の「抗ナルコレプシー剤」は、ナルコレプシーの予防または治療剤を意味する。
本明細書中の「眠気改善剤」は、シフトワーク、ジェットラグ、不眠症または睡眠時無呼吸症候群等による日中の眠気を改善する薬剤を意味する。
【0023】
以下に、本発明の式中の各記号の定義と好ましい態様について説明する。
【0024】

(1)式(i):
【0025】
【化4】
【0026】
(ここで、RはC1-6アルキルであり、RはC1-6アルキルである)で表される基、
(2)C1-6アルキル、または
(3)オキソで置換されたピロリジニルである。
は、好ましくは、式(i):
【0027】
【化5】
【0028】
(ここで、RはC1-6アルキル(例、メチル)であり、RはC1-6アルキル(例、メチル)である)で表される基であり、より好ましくは、3-(ジメチルカルバモイル)フェニルである。
別の態様として、Rは、好ましくは、C1-6アルキル(例、イソプロピル)である。
また別の態様として、Rは、好ましくは、オキソで置換されたピロリジニル(例、5-オキソピロリジン-3-イル)である。
【0029】
はハロゲン原子および重水素原子から選択される1ないし5個の原子で置換されていてもよいC1-6アルキルである。
の例としては、メチル、トリフルオロメチル、トリジュウテリオメチル等が挙げられる。
は、好ましくは、ハロゲン原子(例、フッ素原子)および重水素原子から選択される1ないし3個の原子で置換されていてもよいC1-6アルキル(例、メチル)である。
は、より好ましくは、1ないし3個の重水素原子で置換されていてもよいC1-4アルキル(例、メチル)であり、特に好ましくは、メチルまたはトリジュウテリオメチルである。
【0030】
Xは単結合、-O-、-S-、-CH(OH)-、または-C(=O)-である。
Xは、好ましくは、単結合または-O-であり、より好ましくは、単結合である。
【0031】

(1)C1-8アルキル、
(2)C2-8アルケニル、
(3)C6-10アリール、または
(4)5ないし10員ヘテロアリール
(ここで、C1-8アルキルおよびC2-8アルケニルは1ないし5個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
6-10アリールおよび5ないし10員ヘテロアリールは任意に選択される1ないし4個のRで置換されていてもよく、
は、それぞれ独立して、
ハロゲン原子、
-NO
-OH、
1-6アルキル、
1-6ハロアルキル、
1-6アルコキシ、
5ないし10員ヘテロアリール、
-NR6a6b(ここで、R6aは水素原子、C1-6アルキルまたはC1-6アルコキシ-カルボニルであり、R6bは水素原子またはC1-6アルキルである)、
-C(=O)OR6c(ここで、R6cは水素原子またはC1-6アルキルである)、
-C(=O)NR6d6e(ここで、R6dは水素原子またはC1-6アルキルであり、R6eは水素原子またはC1-6アルキルである)、または
-NH-C(=NR6f)-NHR6g(ここで、R6fは水素原子またはC1-6アルコキシ-カルボニルであり、R6gは水素原子またはC1-6アルコキシ-カルボニルである)であり、または
2個のRは一緒になってメチレンジオキシを形成する)である。
【0032】
で表されるC1-8アルキルは、好ましくはC1-6アルキルであり、より好ましくはC1-4アルキルである。
は、好ましくは、1ないし5個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC1-8アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、オクチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)またはC6-10アリール(例、フェニル)であり、
より好ましくは、1ないし5個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC1-6アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)またはC6-10アリール(例、フェニル)であり、
さらに好ましくは、C1-4アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル)であり、
特に好ましくは、プロピルである。
好適な態様において、Xは単結合であり、RはC1-6アルキル(好ましくは、C1-4アルキル、例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル)である。
【0033】
本発明の上記式(I)で示される化合物の好適な例としては、以下の化合物が挙げられる。
式(I-A):
【0034】
【化6】
【0035】
(式中、各記号は前記[1]で定義したとおりである)で示される化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
式(I-A)において、R、X、R、R、およびRの好ましい態様は、以下のとおりである。
は、好ましくは、ハロゲン原子(例、フッ素原子)および重水素原子から選択される1ないし3個の原子で置換されていてもよいC1-6アルキル(例、メチル)である。
は、より好ましくは、1ないし3個の重水素原子で置換されていてもよいC1-4アルキル(例、メチル)であり、特に好ましくは、メチルまたはトリジュウテリオメチルである。
Xは、好ましくは、単結合または-O-であり、より好ましくは、単結合である。
は、好ましくは、1ないし5個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC1-8アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、オクチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)またはC6-10アリール(例、フェニル)であり、
より好ましくは、1ないし5個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC1-6アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)またはC6-10アリール(例、フェニル)であり、
さらに好ましくは、C1-4アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル)であり、
特に好ましくは、プロピルである。
好適な態様において、Xは単結合であり、RはC1-6アルキル(好ましくは、C1-4アルキル、例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル)である。
は、好ましくは、C1-4アルキル(例、メチル)であり、Rは、好ましくは、C1-4アルキル(例、メチル)である。
【0036】
[化合物I-1]
式(I)において、
Xは単結合または-O-であり、
は1ないし5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-8アルキル、またはフェニルである化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩。
【0037】
[化合物I-2]
式(I)において、
Xは単結合であり、
は、1ないし3個の重水素原子で置換されていてもよいC1-4アルキル(例、メチル、トリジュウテリオメチル)であり、
はC1-4アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル)である化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩。
【0038】
[化合物I-A1]
式(I-A)において、
Xは単結合または-O-であり、
は1ないし5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-8アルキル、またはフェニルである化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩。
【0039】
[化合物I-A2]
式(I-A)において、
Xは単結合であり、
は、1ないし3個の重水素原子で置換されていてもよいC1-4アルキル(例、メチル、トリジュウテリオメチル)であり、
はC1-4アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル)である化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩。
【0040】
式(I)で示される化合物の具体例としては、
4'-メトキシ-N,N-ジメチル-3'-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド、もしくは
4'-(メトキシ-d3)-N,N-ジメチル-3'-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド、
またはその薬理学的に許容される酸付加塩が好ましく、
4'-メトキシ-N,N-ジメチル-3'-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド、
またはその薬理学的に許容される酸付加塩が特に好ましい。
【0041】
本発明の式(I)の化合物の薬学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩等の有機カルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機スルホン酸塩等が挙げられ、これらは限定的なものではない。中でも、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩が好ましく、塩酸塩、酒石酸塩またはメタンスルホン酸塩がさらに好ましく、塩酸塩が特に好ましく用いられるが、これらもまた限定的なものではない。
【0042】
上記式(I)で示される本発明の化合物は、その基本骨格や置換基に由来する特徴に基づいた適切な方法で製造することができる。なお、これらの化合物の製造に使用する出発物質と試薬は一般に入手することができるか、またはOrganic Reactions(Wiley&Sons)、Fieser and Fieser’s Reagent for Organic Synthesis(Wiley&Sons)などの参考文献に記載の手順に従った、当業者に既知の方法によって合成できる。
上記式(I)で示される本発明の化合物の具体的な製造方法として、例えばスキーム1に示す方法を挙げることができる。
【0043】
スキーム1
【0044】
【化7】
【0045】
[式中、R、R、XおよびRは前記で定義したとおりである。]
工程1
化合物(I)は、例えば、スルホニルクロリド化合物(II)を、アミン化合物(III)でアミド化することにより得ることができる。
溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、ジオキサンなどのエーテル溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの非プロトン性極性溶媒、ピリジンあるいはそれらの混合溶媒を用いることができる。通常は、ピリジン、ジクロロメタンまたはTHFが好ましく用いられる。スルホニルクロリド化合物(II)はアミン化合物(III)に対し0.5~20当量、好ましくは1.0~10当量用いられる。
塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジンなどが挙げられ、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンまたはピリジンが好ましく用いられる。塩基としてピリジンを用いる場合、ピリジンを反応溶媒として用いることもできる。
反応温度は、通常-40~150℃、好ましくは0~80℃である。反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜選択されるが、通常、10分~48時間程度である。また、反応系中の基質(II)の濃度は、特に限定されるものではないが、通常、0.001mmol/L~1mol/Lが好ましい。
スルホニルクロリド化合物(II)およびアミン化合物(III)は、後記の製造例に記載の方法またはそれに類似する方法により製造することができる。
【0046】
本発明の化合物を含有するオレキシン受容体作動薬(オレキシン2受容体作動薬)は、ヒトに対して有効であるだけではなく、ヒト以外の哺乳類、例えばマウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サルなどに対しても有効である。
また本発明の化合物は、上記の通りナルコレプシーの予防または治療剤として用いられるだけではなく、ナルコレプシーのための予防または治療方法、あるいはナルコレプシーを予防または治療するための医薬の製造に使用することができる。
さらに本発明の化合物は、眠気改善剤、あるいは肥満症、糖尿病、うつ病、敗血症、重症敗血症または敗血症性ショックなどの予防または治療剤としても使用することができる。
本発明の化合物をナルコレプシーの予防または治療剤、眠気改善剤あるいは肥満症、糖尿病、うつ病、敗血症、重症敗血症または敗血症性ショックなどの予防または治療剤として臨床で使用する際には、薬剤は本発明化合物のフリー体またはその酸付加塩自体でもよく、また、賦形剤、安定化剤、保存剤、緩衝剤、溶解補助剤、乳化剤、希釈剤、等張化剤などの添加剤が適宜混合されてもよい。投与形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤などによる経口剤、注射剤、坐剤、液剤などによる非経口剤、あるいは軟膏剤、クリーム剤、貼付剤などによる局所投与等を挙げることができる。
本発明のナルコレプシーの予防または治療剤、眠気改善剤あるいは肥満症、糖尿病、うつ病、敗血症、重症敗血症または敗血症性ショックなどの予防または治療剤は、上記有効成分を0.001~90重量%、好ましくは0.01~70重量%含有することが望ましい。その使用量は、症状、年齢、体重、投与方法に応じて適宜選択されるが、成人に対して、注射剤の場合、有効成分量として1日0.1μg~1g、経口剤の場合1μg~1g、貼付剤の場合1μg~10gであり、それぞれ1回または数回に分けて投与することができる。
また、本発明のナルコレプシーの予防または治療剤、あるいは眠気改善剤は、日中の強い眠気と居眠りの予防または治療剤、熟眠障害の予防または治療剤、カタプレキシーの予防または治療剤と組み合わせて用いることもできる。
日中の強い眠気と居眠りの予防または治療剤としては、メチルフェニデート、ペモリン、モダフィニルなどの中枢神経賦活薬などを挙げることができる。
熟眠障害の予防または治療剤としては、トリアゾラム、ベゲタミンBなどの睡眠薬、および抗不安薬などを挙げることができる。
カタプレキシーの予防または治療剤としては、塩酸クロミプラミン、ブロチゾラム、イミプラミン 塩酸塩などの三環性抗うつ薬、フルボキサミン マレイン酸塩、パロキセチン 塩酸塩などの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、塩酸ミルナシプラン、デュロキセチン 塩酸塩などのセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などを挙げることができる。
【実施例
【0047】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、以下の実施例においては下記の略号を使用する。
DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン
DME:1,2-ジメトキシエタン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
Et:エチル
iBu:イソブチル
iPr:イソプロピル
Me:メチル
nPr:ノルマルプロピル
nBu:ノルマルブチル
nOct:ノルマルオクチル
Ph:フェニル
Tf:トリフルオロメタンスルホニル
THF:テトラヒドロフラン
化合物名はCambridge社のChemBioDraw Ultra ver.12.0.3を用い命名した。
以下の実施例及び製造例中の「室温」は通常約10℃から約35℃を示す。%は特記しない限り重量パ-セントを示す。
【0048】
製造例(1)
【0049】
【化8】
【0050】
(1)3’-(ジメチルカルバモイル)-4-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-3-スルホニルクロリド
【0051】
【化9】
【0052】
(i) アルゴン雰囲気下、4-ブロモアニソール(1.0mL)のDME(20.0mL)溶液に3-(N,N-ジメチルアミノカルボニル)フェニルボロン酸(1.60g)、炭酸ナトリウム(1.80g)、水(2.0mL)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(250.0mg)を加え、終夜加熱還流した。この反応液をセライト濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣に純水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/2→1/1)で精製し、4’-メトキシ-N,N-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド(1.72g)を得た。
(ii) アルゴン雰囲気下、塩化スルホン酸(870μL)に4’-メトキシ-N,N-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド(1.10g)のジクロロメタン(4.0mL)溶液をゆっくりと加え、氷冷下で10分間撹拌した。反応液を室温まで昇温し、2時間撹拌した後、塩化チオニル(950μL)およびDMF(1.70mL)を加え、室温で終夜撹拌した。反応液を氷に流し込み、1時間撹拌した後、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=50%から100%)で精製し、3’-(ジメチルカルバモイル)-4-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-3-スルホニルクロリド(1.40g)を得た。
【0053】
(2)1-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン
【0054】
【化10】
【0055】
(i) アルゴン雰囲気下、3-フルオロニトロベンゼン(1.50mL)に1,3-プロパンジアミン(17.7mL)を加え、110℃で11時間撹拌した。この反応液に、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を濃縮した。
(ii) 得られた残渣の無水THF(45mL)溶液に、氷冷下、1,1-カルボニルジイミダゾール(3.20g)を加え、1.5時間撹拌した。この反応液に、飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:メタノール/クロロホルム=5%から7%)で精製することで1-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(2.31g)を得た。
【0056】
(3)1-(3-ニトロフェニル)-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン
【0057】
【化11】
【0058】
アルゴン雰囲気下、1-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(150mg)の無水トルエン(680μL)溶液に、ヨウ化銅(95.0mg)、N,N’-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(142mg)、無水炭酸カリウム(234mg)および1-ブロモ-4-プロピルベンゼン(147μL)を加え、加熱環流下48時間撹拌した。反応液を放冷した後、クロロホルムを加え、セライト濾過し、クロロホルムで洗浄した。濾液を蒸留水および飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムを加え乾燥し、濾過後に濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:メタノール/クロロホルム=5%)で精製し、1-(3-ニトロフェニル)-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(212mg)を得た。
【0059】
(4)1-(3-アミノフェニル)-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン
【0060】
【化12】
【0061】
1-(3-ニトロフェニル)-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(146mg)のエタノール(20.0mL)溶液に、5%パラジウム-活性炭素(47.5mg)を加え、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応液を放冷後、セライト濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:メタノール/クロロホルム=5%)で精製し、1-(3-アミノフェニル)-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(135mg)を得た。
【0062】
(5)4'-メトキシ-N,N-ジメチル-3'-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド
【0063】
【化13】
【0064】
アルゴン雰囲気下、1-(3-アミノフェニル)-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(23.3mg)の無水ピリジン(1.50mL)溶液に、3’-(ジメチルカルバモイル)-4-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-3-スルホニルクロリド(27.7mg)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に蒸留水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムを加え乾燥し、濾過後に濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、氷冷ヘキサンに少量ずつ加え、生じた沈殿を濾過することで4'-メトキシ-N
,N-ジメチル-3'-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド(35.4mg)を得た。
【0065】
以下の表1に記載の化合物(実施例2~5)についても、同様に対応するR基を有するブロモベンゼンから合成を行った。
【0066】
【化14】
【0067】
【表1】
【0068】
製造例(2)
【0069】
【化15】
【0070】
(1)1-(4-メトキシフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン
【0071】
【化16】
【0072】
アルゴン雰囲気下、1-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(221mg)の無水トルエン(2.0mL)溶液に、ヨウ化銅(114mg)、N,N’-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(187μL)、無水炭酸カリウム(345mg)および4-ヨードアニソール(351mg)を加え、加熱環流下24時間撹拌した。反応液を放冷した後、クロロホルムを加え、セライト濾過し、クロロホルムで洗浄した。濾液を蒸留水および飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムを加え乾燥し、濾過後に濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:メタノール/クロロホルム=5%)で精製し、1-(4-メトキシフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(323mg)を得た。
【0073】
(2)1-(4-ヒドロキシフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン
【0074】
【化17】
【0075】
アルゴン雰囲気下、1-(4-メトキシフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(314mg)のジクロロメタン(2.0mL)懸濁液に、1M三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液(7.20mL)を氷冷下で加え、2時間撹拌した。反応液にアンモニア水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムを加え乾燥し、濾過後に濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:メタノール/クロロホルム=5%)で精製し、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(169mg)を得た。
【0076】
(3)1-(4-エトキシフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン
【0077】
【化18】
【0078】
アルゴン雰囲気下、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(114.5mg)のDMF(2.0mL)溶液に炭酸カリウム(101.0mg)およびヨウ化エチル(32.2μL)を加え、60℃で5時間撹拌した。反応液にさらにヨウ化エチル(128μL)を加え、12時間撹拌した。この反応液に純水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/ヘキサン=50%)で精製し、1-(4-エトキシフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(116mg)を得た。
【0079】
(4)1-(3-アミノフェニル)-3-(4-エトキシフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン
【0080】
【化19】
【0081】
1-(4-エトキシフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(112mg)のエタノール(20.0mL)溶液に、5%パラジウム-活性炭素(114mg)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。反応液を放冷後、セライト濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:メタノール/クロロホルム=5%)で精製し、1-(3-アミノフェニル)-3-(4-エトキシフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(96.2mg)を得た。
【0082】
(5)3'-(N-(3-(3-(4-エトキシフェニル)-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-4'-メトキシ-N,N-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド
【0083】
【化20】
【0084】
アルゴン雰囲気下、1-(3-アミノフェニル)-3-(4-エトキシフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(50.4mg)の無水ピリジン(2.0mL)溶液に、3’-(ジメチルカルバモイル)-4-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-3-スルホニルクロリド(56.9mg)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を減圧下にて濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル)で精製し、3'-(N-(3-(3-(4-エトキシフェニル)-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-4'-メトキシ-N,N-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド(91.9mg)を得た。
【0085】
以下の表2に記載の化合物(実施例7~11)についても、同様に対応するR基を有するアルキルハライドから合成を行った。
【0086】
【化21】
【0087】
【表2】
【0088】
製造例(3)
【0089】
【化22】
【0090】
(1)1-(3-ニトロフェニル)-3-(4-フェノキシフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン
【0091】
【化23】
【0092】
アルゴン雰囲気下、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(50.0mg)の無水ピリジン(600μL)溶液に、銅粉末(5.60mg)、無水炭酸カリウム(50.7mg)およびブロモベンゼン(108mg)を加え、加熱還流下、10時間撹拌した。反応液を放冷後、セライト濾過し、クロロホルムで洗浄した。濾液を減圧下にて濃縮し、得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開液:クロロホルム/メタノール=3.3%)で精製し、1-(3-ニトロフェニル)-3-(4-フェノキシフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(14.9mg)を得た。
【0093】
(2)4'-メトキシ-N,N-ジメチル-3'-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-フェノキシフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド
【0094】
【化24】
【0095】
1-(3-ニトロフェニル)-3-(4-フェノキシフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(14.0mg)のエタノール(500μL)溶液に、5%パラジウム-活性炭素(14.0mg)を加え、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応液を放冷後、セライト濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣をピリジン(150μL)に溶解し、3’-(ジメチルカルバモイル)-4-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-3-スルホニルクロリド(25.4mg)のジクロロメタン(300μL)溶液を加え、室温で6時間撹拌した。反応液を減圧下にて濃縮し、得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル)で精製し、4'-メトキシ-N,N-ジメチル-3'-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-フェノキシフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド(5.3mg)を得た。
【0096】
製造例(4)
【0097】
【化25】
【0098】
(1)4-(3-(3-ニトロフェニル)-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル トリフルオロメタンスルホネート
【0099】
【化26】
【0100】
アルゴン雰囲気下、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(50.0mg)のジクロロメタン(1.6mL)溶液に炭酸カリウム(44.1mg)およびN,N-ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アニリン(70.3mg)を加え、室温で1.5時間撹拌した。この反応液に純水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/ヘキサン=12%~88%)で精製し、4-(3-(3-ニトロフェニル)-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル トリフルオロメタンスルホネート(68.8mg)を得た。
【0101】
(2)1-(4-ブチルフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン
【0102】
【化27】
【0103】
アルゴン雰囲気下、4-(3-(3-ニトロフェニル)-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル トリフルオロメタンスルホネート(56.9mg)の1,4-ジオキサン(1.3mL)溶液にブチルボロン酸(26.0mg)、リン酸カリウム(81.4mg)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(7.4mg)を加え、8時間加熱還流した。この反応液をセライト濾過し、酢酸エチルで洗浄後、濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=33%)で精製し、1-(4-ブチルフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(22.1mg)を得た。
【0104】
(3)3'-(N-(3-(3-(4-ブチルフェニル)-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-4'-メトキシ-N,N-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド
【0105】
【化28】
【0106】
1-(4-ブチルフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(22.0mg)のエタノール(780μL)溶液に、5%パラジウム-活性炭素(22.0mg)を加え、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応液を放冷後、セライト濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣をピリジン(1.3mL)に溶解し、3’-(ジメチルカルバモイル)-4-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-3-スルホニルクロリド(22.0mg)のジクロロメタン(300μL)溶液を加え、室温で3時間撹拌した。反応液を減圧下にて濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル)で精製し、3'-(N-(3-(3-(4-ブチルフェニル)-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-4'-メトキシ-N,N-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド(28.8mg)を得た。
【0107】
以下の表3に記載の化合物(実施例14および15)についても、同様に対応するR基を有するボロン酸から合成を行った。
【0108】
【化29】
【0109】
【表3】
【0110】
製造例(5)
【0111】
【化30】
【0112】
(1)4'-ヒドロキシ-N,N-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド
【0113】
【化31】
【0114】
アルゴン雰囲気下、4-ブロモフェノ-ル(1.03g)のDME(25.0mL)溶液に3-(N,N-ジメチルアミノカルボニル)フェニルボロン酸(1.04g)、炭酸ナトリウム(1.12g)、水(2.50mL)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(219.3mg)を加え、16時間加熱還流した。この反応液に純水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1→1/1)で精製し、4'-ヒドロキシ-N,N-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド(459.8mg)を得た。
【0115】
(2)4'-(メトキシ-d3)-N,N-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド
【0116】
【化32】
【0117】
アルゴン雰囲気下、4'-ヒドロキシ-N,N-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド(165mg)のDMF(7.0mL)溶液に炭酸カリウム(189mg)およびヨードメタン-d3(166μL)を加え、室温で4時間撹拌した。この反応液に純水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:メタノール/クロロホルム=1.3%)で精製し、4'-(メトキシ-d3)-N,N-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド(170mg)を得た。
【0118】
(3)3'-(ジメチルカルバモイル)-4-(メトキシ-d3)-[1,1'-ビフェニル]-3-スルホニルクロライド
【0119】
【化33】
【0120】
アルゴン雰囲気下、塩化スルホン酸(500μL)に4'-(メトキシ-d3)-N,N-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド(165mg)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を氷冷下でゆっくりと加え、20分間撹拌した。反応液を室温まで昇温した後、塩化チオニル(1.0mL)およびDMF(1滴)を加え、60℃で1.5時間撹拌した。反応液を放冷した後、氷に流し込み、20分間撹拌した後、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/クロロホルム=2.5%~5%)で精製し、3'-(ジメチルカルバモイル)-4-(メトキシ-d3)-[1,1'-ビフェニル]-3-スルホニルクロライド(153mg)を得た。
【0121】
(4)4'-(メトキシ-d3)-N,N-ジメチル-3'-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド
【0122】
【化34】
【0123】
アルゴン雰囲気下、1-(3-アミノフェニル)-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(17.5mg)の無水ピリジン(1.50mL)溶液に、3'-(ジメチルカルバモイル)-4-(メトキシ-d3)-[1,1'-ビフェニル]-3-スルホニルクロライド(21.2mg)のジクロロメタン(800μL)溶液を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に蒸留水を加えクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムを加え乾燥し、濾過後に濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル)で精製した。得られた固体をクロロホルムに溶解し、氷冷ヘキサンに少量ずつ加え、生じた沈殿を濾過することで4'-(メトキシ-d3)-N,N-ジメチル-3'-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド(27.5mg)を得た。
【0124】
製造例(6)
【0125】
【化35】
【0126】
(1)N,N-ジメチル-4'-(トリフルオロメトキシ)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド
【0127】
【化36】
【0128】
アルゴン雰囲気下、1-ブロモ-4-トリフルオロメトキシベンゼン(350μL)のDME(24.0mL)溶液に3-(N,N-ジメチルアミノカルボニル)フェニルボロン酸(501mg)、炭酸ナトリウム(500g)、水(2.0mL)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(58.0mg)を加え、終夜加熱還流した。この反応液をセライト濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣に純水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=25%→100%)で精製し、N,N-ジメチル-4'-(トリフルオロメトキシ)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド(590mg)を得た。
【0129】
(2)3'-(ジメチルカルバモイル)-4-(トリフルオロメトキシ)-[1,1'-ビフェニル]-3-スルホニルクロライド
【0130】
【化37】
【0131】
アルゴン雰囲気下、塩化スルホン酸(1.50mL)にN,N-ジメチル-4'-(トリフルオロメトキシ)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド(587mg)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を氷冷下でゆっくりと加え、室温で終夜撹拌した。反応液を60℃まで昇温し、さらに6時間撹拌した。反応液を放冷した後、氷に流し込み、20分間撹拌した後、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=25%~100%)で精製し、3'-(ジメチルカルバモイル)-4-(トリフルオロメトキシ)-[1,1'-ビフェニル]-3-スルホニルクロライドを位置異性体との7:1混合物(620mg)として得た。
【0132】
(3)N,N-ジメチル-3'-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-4'-(トリフルオロメトキシ)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド
【0133】
【化38】
【0134】
アルゴン雰囲気下、1-(3-アミノフェニル)-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(32.4mg)の無水ピリジン(1.50mL)溶液に、3'-(ジメチルカルバモイル)-4-(トリフルオロメトキシ)-[1,1'-ビフェニル]-3-スルホニルクロライドの位置異性体混合物(43.5mg)のジクロロメタン(1.6mL)溶液を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧下にて濃縮し、得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開液:メタノール/クロロホルム=6.6%)で精製した。得られた固体をクロロホルムに溶解し、氷冷ヘキサンに少量ずつ加え、生じた沈殿を濾過することでN,N-ジメチル-3'-(N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)スルファモイル)-4'-(トリフルオロメトキシ)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド(51.1mg)を得た。
【0135】
製造例(7)
【0136】
【化39】
【0137】
(1)メチル 3-(4-メトキシフェニル)-4-ニトロブタノエート
【0138】
【化40】
【0139】
(i) アルゴン雰囲気下、4-メトキシケイ皮酸(502mg)のメタノール(10.0mL)溶液に氷冷下で硫酸(500μL)を加え、7時間加熱還流した。反応液を放冷後、純水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム)で精製し、4-メトキシケイ皮酸メチル(497mg)を得た。
(ii) アルゴン雰囲気下、4-メトキシケイ皮酸メチル(494mg)のニトロメタン(9.0mL)溶液に氷冷下でDBU(422μL)を加え、室温で終夜撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=20%)で精製し、メチル 3-(4-メトキシフェニル)-4-ニトロブタノエート(647mg)を得た。
【0140】
(2)4-(4-メトキシフェニル)ピロリジン-2-オン
【0141】
【化41】
【0142】
アルゴン雰囲気下、メチル 3-(4-メトキシフェニル)-4-ニトロブタノエート(640mg)の2-プロパノール(45mL)溶液に、1M HCl水溶液(25mL)と亜鉛粉末(6.6g)を加え、60℃で1時間撹拌した。反応液をセライト濾過し、クロロホルムで洗浄後、濾液を濃縮した。得られた残渣にアンモニア水を加えてpH9とし、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン/10%アンモニアメタノール=1/1/0.1)で精製し、4-(4-メトキシフェニル)ピロリジン-2-オン(395mg)を得た。
【0143】
(3)2-メトキシ-5-(5-オキソピロリジン-3-イル)ベンゼンスルホニルクロライド
【0144】
【化42】
【0145】
アルゴン雰囲気下、塩化スルホン酸(1.0mL)に4-(4-メトキシフェニル)ピロリジン-2-オン(50.2mg)のジクロロメタン(2.0mL)溶液を氷冷下でゆっくりと加え、室温で30分間撹拌した。反応液を氷に流し込み、20分間撹拌した後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を減圧下にて濃縮し、2-メトキシ-5-(5-オキソピロリジン-3-イル)ベンゼンスルホニルクロライド(61.5mg)を得た。
【0146】
(4)2-メトキシ-N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)-5-(5-オキソピロリジン-3-イル)ベンゼンスルホンアミド
【0147】
【化43】
【0148】
アルゴン雰囲気下、1-(3-アミノフェニル)-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(17.6mg)の無水ピリジン(460μL)溶液に、2-メトキシ-5-(5-オキソピロリジン-3-イル)ベンゼンスルホニルクロライド(20.0mg)のジクロロメタン(1.6mL)溶液を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を減圧下にて濃縮した。得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開液:メタノール/クロロホルム=16.6%)で精製した。得られた固体をクロロホルムに溶解し、氷冷ヘキサンに少量ずつ加え、生じた沈殿を濾過することで2-メトキシ-N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)-5-(5-オキソピロリジン-3-イル)ベンゼンスルホンアミド(31.5mg)を得た。
【0149】
【化44】
【0150】
【表4】
【0151】
製造例(8)
【0152】
【化45】
【0153】
(1)5-イソプロピル-2-メトキシベンゼンスルホニルクロライド
【0154】
【化46】
【0155】
アルゴン雰囲気下、塩化スルホン酸(2.90mL)のジクロロメタン(20mL)溶液に、4-イソプロピルアニソール(2.1mL)のジクロロメタン(30mL)溶液を氷冷下でゆっくりと加え、室温で終夜撹拌した。反応液を氷に流し込み、30分間撹拌した後、生じた固体を濾過し、減圧下にて乾燥し、5-イソプロピル-2-メトキシベンゼンスルホニルクロライド(2.98g)を得た。
【0156】
(2)5-イソプロピル-2-メトキシ-N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)ベンゼンスルホンアミド
【0157】
【化47】
【0158】
アルゴン雰囲気下、1-(3-アミノフェニル)-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(32.1mg)の無水ピリジン(2.10mL)溶液に、5-イソプロピル-2-メトキシベンゼンスルホニルクロライド(43.5mg)のジクロロメタン(1.6mL)溶液を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧下にて濃縮し、得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開液:メタノール/クロロホルム=6.6%)で精製した。得られた固体をクロロホルムに溶解し、氷冷ヘキサンに少量ずつ加え、生じた沈殿を濾過することで5-イソプロピル-2-メトキシ-N-(3-(2-オキソ-3-(4-プロピルフェニル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)ベンゼンスルホンアミド(51.1mg)を得た。
【0159】
以下の表5に記載の化合物(実施例20~22)についても、同様に対応するR基を有する製造例(1)および(2)で合成したアニリンから合成を行った。
【0160】
【化48】
【0161】
【表5】
【0162】
試験例1
OX2Rに対する作動活性評価
チャイニーズハムスター卵巣由来細胞株であるCHO細胞にNAFT-ルシフェラーゼ遺伝子およびヒトOX2R遺伝子を恒常的に発現させた細胞株(CHOOX2R)を樹立した。それらの細胞を96ウェルマルチプレート中に10,000個/ウェルで播種し、5% FBS(サーモサイエンティフィック)添加DMEM培地(シグマアルドリッチ)で48時間培養した。培地を除去後、4μM Fura-2AM(ケイマンケミカル)を含むアッセイ用緩衝液(20mM HEPES(シグマアルドリッチ)、Hanks’ balanced salt solution(ギブコ)、0.1% BSA(シグマアルドリッチ)、2.5mM プロベネシド酸(和光純薬工業))を100μL添加し、60分間インキュベートした。Fura-2AMを含む緩衝液を除去した後、アッセイ用緩衝液75μLを添加した。そこに被験化合物を含むアッセイ用緩衝液25μLを添加し、反応を開始した。反応による細胞内カルシウムイオン濃度の変化は、FDSS7000(浜松ホトニクス)を用いて、340、380nmの二波長励起による蛍光強度比を測定することにより測定した。なお、被験化合物は10mMとなるようにDMSOに溶解し、最終濃度が10-11.5Mから10-5Mとなるようにアッセイ用緩衝液で希釈した(DMSOの最終濃度は1%)。表6に各化合物の作動活性値(EC50値)を示した。
【0163】
【表6】
【0164】
試験例2
野生型マウスへの被験化合物の経口投与(明期)による覚醒効果
被験化合物として、実施例1の化合物を使用した。
実験動物は、C57BL/6J系統の野生型(WT)マウス、negative controlとしてオレキシン受容体欠損マウス(DKOマウス)(いずれも雄)を用いた。9~35週齢で、イソフルラン麻酔下で、脳波用電極の頭蓋骨への埋め込み(Bregma:X=1.5;Y=0.6,Lambda:X=1.5;Y=0)、筋電図用電極の僧帽筋への挿入手術を行った。術後2週間を回復期間・脳波筋電図測定ケージへの順応期間とし、その後に投与と測定を行った。被験化合物の経口投与用懸濁液を作成するために、瑪瑙性の鉢を用いて20分間、被験化合物をすり潰し、0.5%メチルセルロース水溶液(MC)を少量ずつ加えながら十分撹拌した。さらにこの懸濁液100μLを経口ゾンデに分注した。懸濁液は投与30分前に作成した。
WTマウスに対して睡眠期である明期(ZT6)に、コントロールのMC、または被験化合物を100μLずつ経口投与した。被験化合物は0.625mg/kg~25mg/kgの濃度を段階的に投与した。DKOマウスに対する評価も同様の方法で行い、MCまたは被験化合物(5mg/kg)を経口投与し、投与後3時間の脳波筋電図を測定した。コントロールのMC投与後と被験化合物投与後の覚醒時間に有意な差は見られなかった。
覚醒延長効果の評価結果を図1に示し、典型的なヒプノグラムを図3に示す。
WTマウスに対して被験化合物を経口投与することにより、コントロールのMC投与と比較し、有意に覚醒時間が延長し、用量依存的に覚醒時間が増加することが確認された(図1)。DKOマウスでは、コントロール投与後と被験化合物投与後の覚醒時間に有意な差はなかった(図2)。典型的なヒプノグラムを図3に示す。
統計処理は、コントロールおよび被験化合物の各濃度に対して、1元配置ANOVA-Bonfferoniテストを実施した。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明化合物は、オレキシン2受容体作動活性を示し、ナルコレプシー等の予防または治療剤として有用である。
【0166】
本出願は、日本で出願された特願2017-238093を基礎としており、その内容は参照により本明細書にすべて包含されるものである。
図1
図2
図3