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特許7170998ペロブスカイトナノ粒子、発光層、発光素子及び太陽電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】ペロブスカイトナノ粒子、発光層、発光素子及び太陽電池
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/14 20060101AFI20221108BHJP
   H01L 33/26 20100101ALI20221108BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221108BHJP
   H01L 51/44 20060101ALI20221108BHJP
   C09K 11/66 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
H05B33/14 Z
H01L33/26
H05B33/14 A
H01L31/04 112Z
H05B33/22 D
C09K11/66
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020156786
(22)【出願日】2020-09-17
(62)【分割の表示】P 2017524027の分割
【原出願日】2015-11-06
(65)【公開番号】P2021010012
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】10-2014-0153965
(32)【優先日】2014-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0156173
(32)【優先日】2015-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507421795
【氏名又は名称】ポステック アカデミー-インダストリー ファウンデーション
(73)【特許権者】
【識別番号】520330685
【氏名又は名称】エスエヌ ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】リ,テ-ウ
(72)【発明者】
【氏名】イム,サンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ヒムチャン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン-ホン
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-226072(JP,A)
【文献】特表2012-507151(JP,A)
【文献】特開2008-227330(JP,A)
【文献】国際公開第2014/097299(WO,A1)
【文献】Luciana C. Schmidt, et al.,Nontemplate Synthesis of CH3NH3PbBr3 Perovskite Nanoparticles,JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,米国,American Chemical Society,2014年,No.136,p.850-853
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50-51/56
H05B 33/00-33/28
H01L 27/32
H01L 33/26
H01L 51/44
C09K 11/66
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ABX、ABX はAn-13n+1の構造(nは2から6の間の整数であり、前記Aは有機アンモニウム物質又はアルカリ金属であり、前記Bは金属物質であり、前記Xはハロゲン元素である)を有するペロブスカイトナノ結晶と、
前記ペロブスカイトナノ結晶を囲むアルキルハライド界面活性剤又はカルボキシ基界面活性剤由来の複数の有機リガンドと、を備え、
前記ペロブスカイトナノ結晶のサイズは10nmから300nmであり、
前記ペロブスカイトナノ結晶は、サイズ分布が色純度を劣化させる量子ドットとは異なり、量子サイズ効果ではなく固有の結晶構造それ自体により発光する、ペロブスカイトナノ粒子。
【請求項2】
前記Aは(CHNH、((C2x+1NH(CHNH、Cs、(C2n+1NH、(CFNH)、(CFNH、((C2x+1NH(CFNH、((C2x+1NHまたは(C2n+1NH(nは1以上の整数であり、xは1以上の整数である)である、請求項1に記載のペロブスカイトナノ粒子。
【請求項3】
前記有機リガンドは、トリオクチルホスフィン(TOP)又はトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)で置換される、請求項1に記載のペロブスカイトナノ粒子。
【請求項4】
前記ペロブスカイトナノ結晶を囲む前記有機リガンドの一部は、前記TOP又は前記TOPOで置換される、請求項に記載のペロブスカイトナノ粒子。
【請求項5】
発光層塗布用部材と、
前記発光層塗布用部材上に配置され、ペロブスカイトナノ粒子を含む第1薄膜と、を備え、
前記ペロブスカイトナノ粒子は、ABX、ABX はAn-13n+1の構造(nは2から6の間の整数であり、前記Aは有機アンモニウム物質又はアルカリ金属であり、前記Bは金属物質であり、前記Xはハロゲン元素である)を有するペロブスカイトナノ結晶と、
前記ペロブスカイトナノ結晶を囲むアルキルハライド界面活性剤又はカルボキシ基界面活性剤由来の複数の有機リガンドと、を含み、
前記ペロブスカイトナノ結晶のサイズは10nmから300nmであり、
前記ペロブスカイトナノ結晶は、サイズ分布が色純度を劣化させる量子ドットとは異なり、量子サイズ効果ではなく固有の結晶構造それ自体により発光する、発光層。
【請求項6】
前記有機リガンドは、トリオクチルホスフィン(TOP)又はトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)で置換される、請求項に記載の発光層。
【請求項7】
前記ペロブスカイトナノ結晶を囲む前記有機リガンドの一部は、前記TOP又は前記TOPOで置換される、請求項に記載の発光層。
【請求項8】
前記発光層は、前記発光層塗布用部材及び前記第1薄膜の間、又は前記第1薄膜上に配置された有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を有する有機無機ペロブスカイトマイクロ粒子さらに含む、請求項に記載の発光層。
【請求項9】
発光素子であって、該発光素子は、
基板上に配置された第1電極と、
前記第1電極上に配置され、導電性物質及び前記導電性物質より低い表面エネルギーを有するフッ素系物質を含む励起子バッファー層と、
前記励起子バッファー層上に配置され、ペロブスカイトナノ粒子を含む発光層と、
前記発光層上に配置された第2電極と、を含み、
前記ペロブスカイトナノ粒子は、ABX 、A BX 又はA n-1 3n+1 の構造(nは2から6の間の整数であり、前記Aは有機アンモニウム物質又はアルカリ金属であり、前記Bは金属物質であり、前記Xはハロゲン元素である)を有するペロブスカイトナノ結晶と、
前記ペロブスカイトナノ結晶を囲むアルキルハライド界面活性剤又はカルボキシ基界面活性剤由来の複数の有機リガンドと、を含み、
前記ペロブスカイトナノ結晶のサイズは10nmから300nmであり、
前記ペロブスカイトナノ結晶は、サイズ分布が色純度を劣化させる量子ドットとは異なり、量子サイズ効果ではなく固有の結晶構造それ自体により発光する、発光素子。
【請求項10】
前記励起子バッファー層は、導電性物質を含む導電層と、前記導電層上に配置され、前記フッ素系物質を含む表面バッファー層と、を含む、請求項に記載の発光素子。
【請求項11】
前記有機リガンドは、トリオクチルホスフィン(TOP)又はトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)で置換される、請求項に記載の発光素子。
【請求項12】
前記ペロブスカイトナノ結晶を囲む前記有機リガンドの一部は、前記TOP又は前記TOPOで置換される、請求項11に記載の発光素子。
【請求項13】
ペロブスカイトナノ粒子を含む光活性層を備え、
前記ペロブスカイトナノ粒子は、ABX、ABX はAn-13n+1の構造(nは2から6の間の整数であり、前記Aは有機アンモニウム物質又はアルカリ金属であり、前記Bは金属物質であり、前記Xはハロゲン元素である)を有するペロブスカイトナノ結晶と、
前記ペロブスカイトナノ結晶を囲むアルキルハライド界面活性剤又はカルボキシ基界面活性剤由来の複数の有機リガンドと、を含み、
前記ペロブスカイトナノ結晶のサイズは10nmから300nmであり、
前記ペロブスカイトナノ結晶は、サイズ分布が色純度を劣化させる量子ドットとは異なり、量子サイズ効果ではなく固有の結晶構造それ自体により発光する、太陽電池。
【請求項14】
前記Aは(CHNH、((C2x+1NH(CHNH、Cs、(C2n+1NH、(CFNH)、(CFNH、((C2x+1NH(CFNH、((C2x+1NHまたは(C2n+1NH(nは1以上の整数であり、xは1以上の整数である)である、請求項13に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記有機リガンドは、トリオクチルホスフィン(TOP)又はトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)で置換される、請求項13に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記ペロブスカイトナノ結晶を囲む前記有機リガンドの一部は、前記TOP又は前記TOPOで置換される、請求項15に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記光活性層は、Phenyl-C61-butyric acid methyl ester(PCBM)を更に含む、請求項13に記載の太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子に関し、より詳しくは有機無機ハイブリッドペロブスカイト又は無機金属ハライドペロブスカイト発光素子用の発光層及びその製造方法とこれを利用した発光素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ディスプレイ市場のメガトレンドは、既存の高効率、高解像度の志向のディスプレイから、さらに高色純度の天然色の実現を志向する感性画質ディスプレイに動いている。このように現在の有機発光体ベースの有機発光ダイオード(OLED)素子が飛躍的な発展を遂げ、色純度が改善された無機量子ドットLEDが別の選択肢として活発に研究開発されている。しかし、有機発光体と無機量子ドット発光体との全ての材料の側面から本質的な限界を持っている。
【0003】
既存の有機発光体は、効率のいい長所があるが、スペクトルが広くて色純度がよくない。無機量子ドット発光体は色純度が良いとされてきたが、量子サイズ効果による発光であることからブルー側に行くほど量子ドットのサイズを均一になるよう制御するのが難しく、色純度が落ちる問題がある。また二つの発光体は高価という短所もある。したがって、このような有機と無機発光体の短所を補完し長所を維持する新たな方式の有機/無機ハイブリッド発光体が必要である。
【0004】
有機無機ハイブリッド材料は製造費用が低廉で、製造及び素子製造工程が簡単であり、光学的、電気的性質を調節しやすい有機材料の長所と、高い電荷移動度及び機械的、熱的安定性を持っている無機材料の長所と、両方を持つことができるので、学術、産業的に脚光を浴びている。
【0005】
そのうち、有機無機ハイブリッドペロブスカイト材料は高い色純度を持ち、色調節が簡単で合成費用が低廉であることから発光体としての発展可能性が非常に高い。高い色純度は無機物の2次元平面(2D plane)を有機物の2次元平面(2D plane)の間に挟む層状構造を持ち、無機物(inorganic)と有機物(orgarnic)の誘電率の差が大きいため(εorganic≒2.4、εinorganic≒6.1)、励起子が無機層に束縛され、したがって、高い色純度(Full width at
half maximum(FWHM)≒20nm)を持っているため、形成される。
【0006】
従来、ペロブスカイト構造(ABX)を持つ物質は無機金属酸化物である。
【0007】
このような無機金属酸化物は、一般的に酸化物(oxide)として、A、B siteに互いに異なるサイズを有するTi、Sr、Ca、Cs、Ba、Y、Gd、La、Fe、Mnなどの金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびランタノイドなど)の陽イオンが位置し、X siteには酸素(oxygen)の陰イオンが位置し、B siteの金属陽イオンがX siteのoxigen陰イオンと6-fold coordinationのcorner-sharing octahedronの形態として結合されている物質である。その例として、SrFeO、LaMnO、CaFeOなどがある。
【0008】
これに対して、有機無機ハイブリッドペロブスカイトはABX構造において、A siteに有機アンモニウム(RNH)の陽イオンが位置し、X siteにはhalides(Cl、Br、I)が位置することによって、有機金属ハライドペロブスカイト材料を形成するので、その組成が無機金属酸化物のペロブスカイト材料とは完全く違う。
【0009】
また、このような構成物質の違いによって、物質の特性も異なる。無機金属酸化物ペロブスカイトは代表的に超導電性(superconductivity)、強誘電性(ferroelectricity)、大きな磁気抵抗(colossal magnetoresistance)などの特性を有し、従って一般的にセンサ、燃料電池、メモリ素子などに応用され、研究が進められてきた。その例として、イットリウム系超導電体(yttrium barium copper oxide)は酸素含有量(oxygen
contents)によって超導電性(superconduction)または絶縁(insulating)特性を有することができる。
【0010】
一方、有機無機ハイブリッドペロブスカイト(若しくは有機金属ハライドペロブスカイト)は有機平面(若しくはアルカリ金属平面)と無機平面が交互に積層され、ラメラ構造と類似して、無機平面内に励起子の束縛が可能になることから、本質的に、物質のサイズよりは結晶構造そのものによって、非常に高い色純度の光を発光する理想的な発光体になることができる。
【0011】
もし、有機無機ハイブリッドペロブスカイトであっても、有機アンモニウムが中心金属とハロゲン結晶構造(BX)よりバンドギャップが小さい発色団(chromophore)(主に共役構造を含む)を含む場合には発光が有機アンモニウムから生じるため高い色純度の光を発せずに発光スペクトルの半値幅が100nmより広いことから発光層としては不適合になる。したがって、この場合、この特許において強調する高色純度の発光体には不適合である。したがって、高色純度発光体を構成するためには有機アンモニウムが発色団を含まずに、発光が中心金属―ハロゲン元素から構成されている無機物格子において起キルようにすることが重要である。すなわち、本特許は無機物格子において発光が生じる高い色純度の高効率の発光体の開発に焦点を当てている。例えば、大韓民国公開特許第10-2001-0015084号(2001年2月26日)では、染料-含有有機-無機ハイブリッド材料を粒子ではなく、薄膜に形成して発光層として用いる電子発光素子について開示しているが、ペロブスカイト格子構造において発光することはない。
【0012】
しかし、有機無機ハイブリッドペロブスカイトは小さい励起子結合エネルギーを持つため、低温においては発光可能であるが、常温においては熱イオン化及び電荷運搬体の非偏在化によって励起子が発光できず、自由電荷に分離され消滅される根本的な問題がある。また、自由電荷が再結合して励起子を形成するときに、励起子が周りの高い導電性を持つ層によって消滅して、発光が起こらない問題がある。したがって、有機無機ハイブリッドペロブスカイト系のLEDの発光効率及び輝度を高めるためには、励起子のクエンチング(quenching)を防ぐことが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国公開特許第10-2001-0015084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、熱イオン化、電荷運搬体の非偏在化及び励起子のクエンチングを防止するように、有機無機ハイブリッドペロブスカイト又は無機金属ハライドペロブスカイトを薄膜として直接形成する代わりに、ナノ結晶を合成した後に薄膜として形成して、発光効率及び耐久性-安定性が向上した有機無機ハイブリッド電界発光素子用の発光層及びそれの製造方法とこれを用いた発光素子及びこれの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一側面は、発光層の製造方法を提供する。前記発光層の製造方法は、発光層塗布用部材上に有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液をコーティングしてナノ粒子の第1薄膜を形成するステップを含む。
【0016】
前記ナノ粒子の第1薄膜を形成するステップは、溶液工程を使用することができ、前記溶液工程は、スピンコーティング(spin-coating)、バーコーティング(bar coating)、スロットダイ(slot-die coating)、グラビア印刷(Gravure-printing)、ノズルプリンティング(nozzle printing)、インクジェット印刷(ink-jet printing)、スクリーン印刷(screen printing)、電気流体力ジェットプリンティング(electrohydrodynamic jet printing)、及びエレクトロスプレー(electrospray)からなる群から選択される少なくとも一つの工程を含むことができる。
【0017】
前記ナノ粒子の第1薄膜の厚さは、1nmから1μmであってもよく、平均粗さ(roughness)は0.1nmから50nmであってもよい。
【0018】
前記ナノ粒子の第1薄膜を形成するステップは、アンカリング溶液及び前記有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子溶液を準備するステップと、前記発光層塗布用部材上に前記アンカリング溶液をスピンコーティングしてアンカリングエージェント層を形成するステップと、前記アンカリングエージェント層に前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子溶液を溶液工によりコーティングして、アンカリング発光層を形成するステップを含むことができる。この時、前記アンカリング発光層を形成するステップの後に、前記アンカリング発光層上に架橋剤層を形成するステップをさらに含んでもよく、前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子溶液をコーティングするステップ及び前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子溶液がコーティングされた層上に架橋剤層を形成するステップを交互に繰り返して前記発光層の厚さを調節することができる。
【0019】
前記ナノ粒子の第1薄膜を形成するステップは、前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液に、有機半導体を混合して有機無機ペロブスカイト-有機半導体溶液を製造するステップと、前記有機無機ペロブスカイト-有機半導体溶液をコーティングして発光層を形成するステップを含んでもよい。この時、前記有機無機ペロブスカイト-有機半導体溶液をコーティングして発光層を形成するステップにおいて、前記発光層は、前記発光層塗布用部材上に有機半導体層及び有機無機ペロブスカイトナノ粒子が順に積層された形に自己組織化(self-organization)することができる。
【0020】
前記ナノ粒子の第1薄膜を形成するステップは、前記発光層塗布用部材上に自己組織化単分子膜を形成するステップ、前記自己組織化単分子膜上に前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液をコーティングして有機無機ペロブスカイトナノ粒子層を形成するステップと、スタンプを用いて前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子層と接触(contact)して所望のパターンをはがした後、前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子層を第2発光層塗布用部材上に形成するステップを含むことができる。この時、前記スタンプはポリウレタン(Polyurethane)、PDMS(Polydimethylsiloxane)PEO(Polyethylene oxide)、PS(Polystyrene)、PCL(Polycaprolactone)、PAN(Polyacrylonitrile)、PMMA(Poly(methyl methacrylate))、ポリイミド(Polyimide)、PVDF(Poly(vinylidene fluoride))、PVK(Poly(n-vinylcarbazole))及びPVC(Polyvinylchloride)からなる群から選択される少なくとも一つの有機高分子を含むことができる。
【0021】
前記発光層塗布用部材上に有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液をコーティングしてナノ粒子の第1薄膜を形成するステップを複数回繰り返して前記発光層の厚さを調節してもよく、前記ナノ粒子の第1薄膜を形成するステップの前又はその後に、前記発光層塗布用部材または前記ナノ粒子の第1薄膜上に有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトマイクロ粒子又は有機無機ペロブスカイトの第2薄膜を形成してもよい。
【0022】
本発明の他の側面は、発光層を提供する。前記発光層は、発光層塗布用部材、及び発光層塗布用部材上に配置され、前述の製造方法によって製造された、有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ粒子の第1薄膜を含む。
【0023】
この時、前記ナノ粒子の第1薄膜は多層構造であってもよく、前記発光層塗布用部材及び前記ナノ粒子の第1薄膜の間、又は前記ナノ粒子の第1薄膜上に有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトマイクロ粒子又は有機無機ペロブスカイトの第2薄膜がさらに配置されてもよい。
【0024】
本発明のまた他の側面は、発光素子を提供する。前記発光素子は基板上に配置された第1電極、前記第1電極上に配置され、前述した製造方法によって製造された、有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ粒子の第1薄膜を含む発光層、及び前記発光層上に配置された第2電極を含む。この時、前記第1電極及び前記発光層との間に配置され、導電性物質及び前記導電性物質より低い表面エネルギーを有するフッ素系物質を含む励起子バッファー層をさらに含んでもよい。
【0025】
また、前記ナノ粒子の第1薄膜は、多層構造であってもよく、前記発光層塗布用部材及び前記ナノ粒子の第1薄膜の間、または前記ナノ粒子の第1薄膜上に有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトマイクロ粒子又は有機無機ペロブスカイトの第2薄膜がさらに配置されてもよい。
【0026】
前記課題を達成するために本発明の他の側面は、発光層の製造方法を提供する。前記発光層の製造方法は発光層塗布用部材を準備するステップと、前記発光層塗布用部材上に無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含む無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を含む溶液をコーティングしてナノ粒子の第1薄膜を形成するステップを含んでもよい。
【0027】
また、前記ナノ粒子の第1薄膜を形成するステップは、溶液工程を使用することを特徴とする。
【0028】
また、前記溶液工程は、スピンコーティング(spin-coating)、バーコーティング(bar coating)、グラビア印刷(Gravure-printing)、ノズルプリンティング(nozzle printing)、インクジェット印刷(ink-jet printing)スクリーンプリンティング(screen printing)、電気流体ジェットプリンティング(electrohydrodynamic jet printing)、及びエレクトロスプレー(electrospray)からなる群から選択される少なくとも一つの工程を含んでもよい。
【0029】
前記課題を形成するために、本発明の他の側面は発光層を提供する。発光層は発光層塗布用部材と、前記発光層塗布用部材上に配置され、上述の無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ粒子の第1薄膜を含んでもよい。
【0030】
前記課題を達成するために、本発明の他の側面は、太陽電池を提供する。この太陽電池は第1電極、第2電極及び前記第1電極及び第2電極の間に位置し、上述のペロブスカイトナノ結晶粒子を含む光活性層を含んでもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る有機無機ハイブリッドペロブスカイト又は無機金属ハライドペロブスカイト発光素子用発光層及びそれの製造方法とこれを用いた有機無機ハイブリッドペロブスカイト又は無機金属ハライドペロブスカイト発光素子は、ナノ粒子発光体の中にFCCとBCCを組み合わせた結晶構造を有する有機無機ハイブリッドペロブスカイト又は無機金属ハライドペロブスカイトで形成され、有機平面(又はアルカリ金属平面)と無機平面が交互に積層されたラメラ構造を形成しており、無機平面に励起子が拘束されて高い色純度を生じることができる。また、ペロブスカイトをナノ粒子で製造された後、発光層に導入することによって素子の発光効率及び輝度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態に係る有無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液の製造方法を示すフローチャートである。
図2】本発明の一実施例に係る発光層の断面図である。
図3】本発明の他の実施例に係る発光層の断面図である。
図4A】本発明のまた他の実施例に係る発光層の断面図である。
図4B】本発明のまた他の実施例に係る発光層の断面図である。
図4C】本発明のまた他の実施例に係る発光層の断面図である。
図4D】本発明のまた他の実施例に係る発光層の断面図である。
図5】本発明の一実施例に係る有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子を逆ナノ-エマルジョン(Inverse nano-emulsion)法を介して製造する方法を示す模式図である。
図6】本発明の一実施例に係る有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体及び無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体を示す模式図である。
図7】本発明の一実施例に係るペロブスカイトナノ結晶構造の模式図である。
図8】本発明の一実施例に係るスピン-アセンブリ工程を介した発光層形成工程を示す模式図である。
図9】本発明の一実施例に係るフローティング工程を介した発光層形成工程を示す模式図である。
図10】本発明の一実施例に係る乾燥接触プリティング工程を介した発光層形成工程を示す模式図である。
図11】本発明の一実施例に係る有機無機ペロブスカイト-有機ホスト複合体形成工程を介した発光層形成方法を示す模式図である。
図12A】本発明の一実施例に係る発光素子の製造方法を示す発光素子の断面図である。
図12B】本発明の一実施例に係る発光素子の製造方法を示す発光素子の断面図である。
図12C】本発明の一実施例に係る発光素子の製造方法を示す発光素子の断面図である。
図12D】本発明の一実施例に係る発光素子の製造方法を示す発光素子の断面図である。
図13】本発明の一実施例に係る励起子バッファー層30の効果を示す模式図である。
図14】製造例1の有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子と比較例1及び比較例2による有機無機ハイブリッドペロブスカイト(OIP film)に紫外線を照射して発光の光を撮影した蛍光画像である。
図15】製造例及び比較例1に係るナノ粒子の模式図である。
図16】製造例1及び比較例1に係るナノ粒子の光発光(photoluminescence)マトリックス(matrix)を各々常温と低温において撮影した画像である。
図17】製造例1及び比較例1に係るナノ粒子の光発光(photoluminescence)を撮影した結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明をより具体的に説明するために本発明に係る好ましい実施例を添付された図面を参照してより詳しく説明する。しかし、本発明はここで説明される実施例に限定されるものではなく、異なる形態で実現することができる。明細書全体にかけて同じ参照番号は同じ構成要素を示す。
【0034】
本明細書において層が他の層又は基板「上」にあると言及されている場合は、他の層又は基板上に直接形成されていてもよく、その中に第3の層が介在していてもよい。また、本明細書において、上方、上(部)、上面などの方向的な表現は、その基準によって下方、下(部)、下面などの意味に理解され得る。即ち、空間的方向の表現は相対的方向として理解されるべきであり、絶対的な方向を意味することに限定解釈されてはならない。
【0035】
<有機無機ハイブリッドペロブスカイト発光素子用発光層>
本発明の一実施例による有機無機ハイブリッドペロブスカイト発光素子用発光層の製造方法について説明する。
【0036】
一方、有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子の代わりに無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子で発光層を形成する方法も同様である。したがって、有機無機ハイブリッドペロブスカイト発光素子用発光層の製造方法を例に説明する。
【0037】
本発明の一実施例による有機無機ハイブリッドペロブスカイト発光素子用発光層の製造方法は、発光層塗布用部材を準備するステップと、前述した発光層塗布用部材上に有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液をコーティングしてナノ粒子の第1薄膜を形成するステップとを含む。
【0038】
まず、発光層塗布用部材を準備する。前述した発光層塗布用部材は基板、電極、又は半導体層であってもよい。前述した基板、電極、又は半導体層は発光素子に使用され得る基板、電極、又は半導体層を使用することができる。または、前記発光層塗布用部材は基板/電極が順に積層された形態又は基板/電極/半導体層が順に積層された形態であであってもよい。また、前述の基板、電極、又は半導体層に対する説明は後述される「有機無機ハイブリッドペロブスカイト発光素子」の内容を参考する。
【0039】
図1は、本発明の一実施例による有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液の製造方法を示すフローチャートである。
【0040】
図1を参照すると、有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液の製造方法は、プロトン性溶媒に有機無機ハイブリッドペロブスカイトが溶けている第1溶液及び非プロトン性溶媒にアルキルハライド界面活性剤が溶けている第2溶液を準備するステップ(S100)及び前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ粒子を形成するステップ(S200)を含むことができる。
【0041】
即ち、逆ナノ-エマルジョン(Inverse nano-emulsion)法によって本発明に係る有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子を製造することができる。
【0042】
以下、より詳しく説明する。
【0043】
まず、プロトン性(protic)溶媒に有機無機ハイブリッドペロブスカイトが溶けている第1溶液及び非プロトン性(aprotic)溶媒にアルキルハライド界面活性剤が溶けている第2溶液を準備する(S100)。
【0044】
この時のプロトン性溶媒はジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ガンマブチロラクトン(gamma butyrolactone)又はN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)を含んでもよく、これに限定されるものではない。
【0045】
また、この時の有機無機ハイブリッドペロブスカイトは二次元結晶構造を有する物質であってもよい。例えば、このような有機無機ハイブリッドペロブスカイトは、ABX、ABX、ABX又はAn-13n+1の構造(nは2から6の間の整数)であってもよい。
【0046】
この時のAは有機アンモニウム物質で、前記Bは金属物質であり、前記Xはハロゲン元素である。
【0047】
例えば、前記Aは(CHNH、((C2x+1NH(CHNH、(RNH、(C2n+1NH、(CFNH)、(CFNH、((C2x+1NH(CFNH、((C2x+1NHまたは(C2n+1NH(nは1以上である整数、xは1以上である整数)であってもよい。また、前記Bは二価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、Pb、Sn、Ge、Ga、In、Al、Sb、Bi、Po、又はこれらの組み合わせであってもよい。この時の希土類金属は二価の希土類金属であってもよい。例えばGe、Sn、Pb、Eu又はYbであってもよい。また、アルカリ土類金属は例えばCa又はSrであってもよい。また、前記XはCl、Br、I又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0048】
一方、このようなペロブスカイトはAX及びBXを一定の割合で組み合わせて準備することができる。即ち、第1溶液はプロトン性溶媒にAX及びBXを一定の割合で溶かして形成することができる。例えば、プロトン性溶媒にAX及びBXを2:1の割合で溶かしてABX有機無機ハイブリッドペロブスカイトが溶けている第1溶液を準備することができる。
【0049】
また、この時の非プロトン性溶媒はジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、スチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、シクロヘキセンまたはイソプロピルアルコールを含んでもよく、これに限定するものではない。
【0050】
また、アルキルハライド界面活性剤はalkyl-Xの構造であってもよい。この時のXに該当するハロゲン元素はCl、BrまたはIなどを含んでもよい。また、この時のalkyl構造にはC2n+1の構造を有する非環式アルキル(acyclic alkyl)、C2n+1OHなどの構造を有する第1級アルコール(primary alcohol)、第2級アルコール(secondary alcohol)、第3級アルコール(tertiary alcohol)、alkyl-Nの構造を有するアルキルアミン(alkylamine)(ex.Hexadecyl amine、9-Octadecenylamine 1-Amino-9-octadecene(C1937N))、p-置換されたアニリン(p-substituted aniline)及びフェニルアンモニウム(phenyl ammonium)及びフルオリンアンモニウム(fluorine ammonium)を含んでもよく、これに限定されるものではない。
【0051】
一方、アルキルハライド界面活性剤の代わりにカルボキシ基(COOH)界面活性剤を使用してもよい。
【0052】
例えば、界面活性剤は4,4’-アゾビス(4-シアノバレリックアシッド(4,4’-Azobis(4-cyanovaleric acid))、アセテートアシッド(Acetic acid)、5-アミノサリチルアシッド(5-Aminosalicylic acid)アクリルアシッド(Acrylic acid)、L-アスパラギン酸(L-Aspartic acid)、6-ブロモヘキサノールアシッド(6-Bromohexanoic acid)、ブロモ酢酸(Bromoacetic acid)、ジクロロ酢酸(Dichloro acetic acid)、エチレンジアミンテトラ酢酸(Ethylenediaminetetraacetic acid)、イソ酪酸(Isobutyric acid)、イタコン酸(Itaconic acid)、マイレン酸(Maleic acid)、r-マレイミド酢酸(r-Maleimidobutyric acid)、L-マイレン酸(L-Maleic acid)、4-ニトロ安息香酸(4-Nitrobenzoic acid)または1-ピレンカルボン酸(1-Pyrenecarboxylic acid)、オレイン酸(Oleic acid)のようにカルボン酸(COOH)を含んでもよく、これに限定されるものではない。
【0053】
その後、前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ粒子を形成する(S200)。
【0054】
前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ粒子を形成するステップは、前記第2溶液に前記第1溶液を一滴ずつ落として混ぜることが好ましい。また、この時の第2溶液は攪拌することができる。例えば、強く攪拌されているアルキルハライド界面活性剤が溶けている第2溶液に有機無機ペロブスカイト(OIP)が溶けている第2溶液をゆっくり一滴ずつ添加してナノ粒子を合成することができる。
【0055】
この場合、第1溶液を第2溶液に落として混ぜると、溶解度の違いによって第2溶液から有機無機ペロブスカイト(OIP)が沈殿(precipitation)する。第2溶液から析出した有機無機ペロブスカイト(OIP)をアルキルハライド界面活性剤が表面を安定化させつつ、よく分散された有機無機ペロブスカイトナノ結晶(OIP-NC)を生成する。したがって、有機無機ペロブスカイトナノ結晶及びこれを囲む複数個のアルキルハライド有機リガンドを含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液を製造することができる。
【0056】
前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液を前記発光層塗布用部材上にコーティングして発光層であるナノ粒子の第1薄膜を形成する。
【0057】
図2は、本発明の一実施形態に係る発光層の断面図である。
【0058】
図2を参照すると、発光層塗布用部材100上にナノ粒子の第1薄膜(200a)の形の発光体が形成されることがわかる。
【0059】
前記ナノ粒子の第1薄膜を形成するステップは、溶液工程を使用してもよい。溶液工程を使用する場合、発光層塗布用部材上に均一に発光層を形成することができる。
【0060】
前述の溶液工程は、スピンコーティング(spin-coating)、バーコーティング(bar coating)、スロットダイ(slot-die coating)、グラビア印刷(Gravure-printing)、ノズルプリンティング(nozzle printing)、インクジェット印刷(ink-jet printing)、スクリーン印刷(screen printing)、電気流体ジェットプリンティング(electrohydrodynamic jet printing)、及びエレクトロスプレー(electrospray)からなる群から選択される少なくとも一つの工程を含むことができる。
【0061】
図3は、本発明の他の実施形態に係る発光層の断面図である。
【0062】
前記発光層塗布用部材上に前記有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液をコーティングしてナノ粒子の第1薄膜を形成するステップを複数回繰り返して前記発光層の厚さを調節することができる。
【0063】
図3を参照すると、前記ナノ粒子の第1薄膜が多層(N層)構造に形成することができる。
【0064】
図4aから図4dは、本発明のまた他の実施形態に係る発光層の断面図である。
【0065】
前記ナノ粒子の第1薄膜を形成するステップの前又はその後に、前記発光層塗布用部材または前記ナノ粒子の第1薄膜上に有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトマイクロ粒子又は前記有機無機ペロブスカイトの第2薄膜を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0066】
この時、前述の有機無機ペロブスカイトマイクロ粒子又は前記有機無機ペロブスカイトの第2薄膜は、前記第1溶液と前記第2溶液を混合する前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液の製造とは異なり、前記第1溶液のみを使用してコーティングすることによって形成することができる。この場合、前述の有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液とは異なって、マイクロ範囲を有する有機無機ペロブスカイトマイクロ粒子又は数ナノから数マイクロ範囲を有する有機無機ペロブスカイト結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトの第2薄膜を形成することができる。
【0067】
この場合、前述の発光層塗布用部材100上に図4(a)に示すように、前述したナノ粒子の第1薄膜(200a)上に前述した有機無機ペロブスカイトマイクロ粒子(200b)が配置された形態、図4(b)に示すように、前述した有機無機ペロブスカイトマイクロ粒子(200b)上に前述したナノ粒子の第1薄膜(200a)が形成された形態、図4(c)に示すように、前述したナノ粒子の第1薄膜(200a)上に前述した有機無機ペロブスカイトの第2薄膜(200c)が配置された形態又は、図4(d)に示すように、前述した有機無機ペロブスカイトの第2薄膜(200c)上に前述したナノ粒子の第1薄膜(200a)が形成された形態であってもよい。
【0068】
一方、前述した有機無機ペロブスカイトマイクロ粒子は球形、多角形のように多様な形で形成することができる。
【0069】
また、前述したナノ粒子は第1薄膜の厚さは1nmから1μmであってもよく、平均粗さ(roughness)は0.1nmから50nmであってもよい。
【0070】
この時、前述した有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶粒子のバンドギャップエネルギーは1eVから5eVであってもよい。
【0071】
また、前述した有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子の発光波長は200nmから1300nmであってもよい。
【0072】
一方、このような有機無機ペロブスカイトナノ結晶のサイズはアルキルハライド界面活性剤の長さ又は形状の要素(shape factor)の調節によって制御することができる。例えば、形状の要素の調節は線形、テイパード(tapered)又は逆三角形の界面活性剤によってサイズを制御することができる。
【0073】
一方、このように生成される有機無機ペロブスカイトナノ結晶のサイズは1から900nmであってもよい。もし有機無機ペロブスカイトナノ結晶のサイズを、900nmを超えて形成する場合、大きいナノ結晶の中で熱イオン化及び電荷運搬体の非偏在化によって励起子が発光まで行かずに自由電荷に分離されて消滅する根本的な問題があり得る。
【0074】
図5は、本発明の一実施例による有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子を逆ナノ-エマルジョン(Inverse nano-emulsion)法によって製造する方法を示す模式図である。
【0075】
図5(a)を参照すると、非プロトン性溶媒にアルキルハライド界面活性剤が溶けている第2溶液にプロトン性溶媒に有機無機ハイブリッドペロブスカイトが溶けている第1溶液を一滴ずつ添加する。
【0076】
この時のプロトン性溶媒はジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ガンマブチロラクトン(gamma butyrolactone)又はN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)を含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0077】
この時の有機無機ハイブリッドペロブスカイトは、ABX、ABX、ABX又はAn-13n+1の構造(nは2から6の間の整数)であってもよい。この時のAは有機アンモニウム物質であって、前記Bは金属物質であり、前記Xはハロゲン元素である。例えば、前記Aは(CHNH、((C2x+1NH(CHNH、(RNH、(C2n+1NH、(CFNH)、(CFNH、((C2x+1NH(CFNH、((C2x+1NHまたは(C2n+1NH(nは1以上である整数、xは1以上である整数)であってもよい。また、前記Bは二価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、Pb、Sn、Ge、Ga、In、Al、Sb、Bi、Po、又はこれらの組み合わせであってもよい。この時の希土類金属は二価の希土類金属であってもよく、例えばGe、Sn、Pb、Eu又はYbであってもよい。また、アルカリ土類金属は例えばCa又はSrであってもよい。また、前記XはCl、Br、I又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0078】
一方、このようなペロブスカイトはAX及びBXの比率毎の組み合わせで形成することができる。例えば、プロトン性溶媒にAX及びBXを2:1比率に溶けてABX有機無機ハイブリッドペロブスカイトが溶けている第1溶液を準備することができる。
【0079】
一方、この時のAXの合成例として、AがCHNH、XがBrである場合、CHNH(methylamine)とHBr(hydroiodic acid)を窒素雰囲気下で溶かし、溶媒蒸発によってCHNHBrを得ることができる。
【0080】
図5(b)を参照すると、第2溶液に第1溶液を添加すると、溶解度の違いによって第2溶液から有機無機ハイブリッドペロブスカイトが沈殿し、このように沈殿した有機無機ハイブリッドペロブスカイトをアルキルハライド界面活性剤が囲んで表面を安定化して、よく分散された有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子(100)を生成する。この時、有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶の表面はアルキルハライドである有機リガンドが囲まれる。
【0081】
この後、アルキルハライド界面活性剤が溶けている非プロトン性溶媒に分散されている有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子(100)を含むプロトン性溶媒に熱を加えて選択的に蒸発させるか、プロトン性溶媒と非プロトン性溶媒と両方が溶ける助溶剤(co-solvent)を添加して、ナノ粒子を含むプロトン性溶媒を選択的に非プロトン性溶媒から抽出して有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子を得ることができる。
【0082】
本発明の一実施形態に係る有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子を説明する。
【0083】
図6は本発明の一実施形態に係るペロブスカイトナノ粒子を示す模式図である。
【0084】
この時、図6は有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶粒子に示しており、図6の有機無機ハイブリッドを、ペロブスカイトを無機金属ハライドペロブスカイトに変更すると、無機金属ハライドナノ結晶粒子であるため、説明は同じである。
【0085】
図6を参照すると、本発明の一実施例による発光体は有機無機ハイブリッドペロブスカイト(又は無機金属ハライドペロブスカイト)ナノ粒子であって、有機物平面(又はアルカリ金属平面)と無機物平面が交互に積層されたラメラ構造を有する二次元的有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶(110)を含む。
【0086】
このような二次元有機無機ハイブリッドペロブスカイトはABX、ABX、ABX又はAn-1BnX3n+1の構造(nは2から6の間の整数)を含むことができる。この時のAは有機アンモニウム物質であり、前記Bは金属物質で、前記Xはハロゲン元素である。例えば、前記Aは(CHNH、((C2x+1NH(CHNH、(RNH、(C2n+1NH、(CFNH)、(CFNH、((C2x+1NH(CFNH、((C2x+1NHまたは(C2n+1NH(nは1以上である整数、xは1以上である整数)であってもよい。また、前記Bは二価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、Pb、Sn、Ge、Ga、In、Al、Sb、Bi、Po、又はこれらの組み合わせであってもよい。この時の希土類金属は二価の希土類金属であってもよく、例えばGe、Sn、Pb、Eu又はYbであってもよい。また、アルカリ土類金属は例えばCa又はSrであってもよい。また、前記XはCl、Br、I又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0087】
一方、本発明に係る有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子100は上述の有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶(100)を囲む複数個の有機リガンドら120をさらに含むことができる。この時の有機リガンドら120は界面活性剤に使用された物質であって、アルキルハライドを含むことができる。したがって、上述のように、沈殿する有機無機ハイブリッドペロブスカイトの表面を安定化するために界面活性剤として使用されたアルキルアライドが有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶の表面を囲む有機リガンドとなる。
【0088】
一方、もし、このようなアルキルハライド界面活性剤の長さが短い場合、形成されるナノ結晶のサイズが大きくなるので、900nmを超えて形成することができ、この場合大きいナノ結晶の中で熱イオン化及び電荷運搬体の非偏在化によって励起子が発光に行かずに自由電荷に分離され消滅する根本的な問題があり得る。
【0089】
即ち、形成される有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶のサイズとこのようなナノ結晶を形成するために使用されるアルキルハライド界面活性剤の長さは反比例する。
【0090】
したがって、一定の長さ上のアルキルハライドを界面活性剤として使用することによって形成される有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶のサイズを、一定サイズ以下に制御することができる。例えば、アルキルハライド界面活性剤にオクタデシルアンモニウムブロマイド(octadecyl-ammonium bromide)を使用して900nm以下のサイズを有する有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶を形成することができる。
【0091】
また、二次元結晶構造を有する無機金属ハライドペロブスカイトは、ABX、ABX又はAn-1Pb3n+1(nは2から6の間の整数)の構造であってもよい。
【0092】
この時、前記Aはアルカリ金属、前記Bは二価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、Pb、Sn、Ge、Ga、In、Al、Sb、Bi、Po又はこれらの組み合わせであり、前記XはCl、Br、Iまたはこれらの組み合わせであってもよい。この時の希土類金属は例えばGe、Sn、Pb、Eu又はYbであり得る。また、アルカリ土類金属は例えばCa又はSrであり得る。
【0093】
また、本発明に係る二次元構造を有する無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、上述の無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を囲む複数個の有機リガンドをさらに含むことができる。このような有機リガンドはアルキルハライドを含むことができる。
【0094】
図7は、本発明の一実施形態に係るペロブスカイトナノ結晶構造の模式図である。
【0095】
図7には有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶及び無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の構造をともに示す。
【0096】
図7を参照すると、本発明の一実施例による有機無機ハイブリッドペロブスカイト(又は無機金属ハライドペロブスカイト)ナノ結晶構造は有機アンモニウム(又はアルカリ金属)及びハライドを含むことができる。
【0097】
スピン-アセンブリ工程を介した発光層形成
【0098】
図8は発明の一実施形態に係るスピン-アセンブリ工程を介した発光層形成工程を示す模式図である。
【0099】
図8を参照すると、まず、アンカリング溶液及び前記有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子溶液を準備する。
【0100】
前述のアンカリング溶液は、アンカリング(anchoring)効果を表す粘着性付与する樹脂を含む溶液である。一例として、3-メルカプトプロピオン酸エアノール溶液(3-mercaptopropionic acid ethanilic solution)を使用することができる。前述のアンカリング溶液は7wt%から12wt%の濃度であることが好ましい。
【0101】
この後、前述した発光層塗布用部材上に前記アンカリング溶液をコーティングしてアンカリングエージェント層を形成する。
【0102】
この時、コーティング速度は1000rpmから5000rpmであることが好ましく、コーティング時間は15秒から150秒であることが好ましい。コーティング速度が1000rpm以下に下げたり、コーティング時間が15秒以内に短くなると薄膜が不均一になるか、溶媒が全部蒸発しなくなる場合がある。
【0103】
この後、前述したアンカリングエージェント層上に有機無機ペロブスカイトナノ粒子溶液をコーティングしてアンカリング発光層を形成する。このようにアンカリング溶液を利用してアンカリング発光層を形成する場合、より高密度のナノ結晶層を形成することができる。
【0104】
この後、前記アンカリング発光層上に架橋剤層を形成することができる。架橋剤層を形成する場合、より高密度のペロブスカイトナノ結晶層を形成することができ、リガンドの長さが短くなってナノ結晶としての電荷注入がより円滑になって発光素子の発光効率及び輝度が増加される効果がある。
【0105】
前記架橋剤はX-R-X構造を有する架橋剤が好ましく、一例として、1,2-エタンジチオール(ethanedithiol)を使用することができる。前記架橋剤を溶解可能な溶媒に混合して溶液を製造した後、スピンコーティングする。
【0106】
この時、前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子溶液をコーティングするステップと、前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子溶液がコーティングされた層の上に架橋剤層を形成するステップを交互に繰り返して前記発光層の厚さを調節することができる。
【0107】
この時、コーティング速度は1000rpmから5000rpmであることが好ましく、コーティング時間は15秒から150秒であることが好ましい。コーティング速度が1000rpm以下に下げたり、コーティング時間が15秒以内に短くなると薄膜が不均一になるか、溶媒が全部蒸発しなくなる場合がある。
【0108】
フローティング工程を介した発光層形成
【0109】
図9は本発明の一実施形態に係るフローティング工程を介した発光層形成工程を示す模式図である。
【0110】
図9を参照すると、前述した有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液にトリオクチルホスフィン(TOP)及びトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)を含む溶液を添加する。トリオクチルホスフィン(TOP)及びトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)を含む溶液を添加することによって、前述した有機無機ペロブスカイトナノ粒子のリガンドはトリオクチルホスフィン(TOP)及びトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)に置換されることができる。
【0111】
この後、リガンドがトリオクチルホスフィン(TOP)及びトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)に置換された有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液にトリフェニルジアミン(triphenyl diamine:TPD)化合物を含む溶液を添加する。一例として、前述したトリフェニルジアミン化合物N,N’-diphenyl-N、N’-bis(3-methylphenyl)-(1,1’-biphenyl)-4,4’diamineであってもよい。
【0112】
リガンドがトリオクチルホスフィン(TOP)及びトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)に置換された有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液と、トリフェニルジアミン(triphenyl diamine:TPD)化合物を含む溶液を100:3から100:7の重量比で混合してTPD-有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子溶液を製造する。
【0113】
この後、前述のTPD-有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子溶液を前述した発光層塗布用部材上にコーティングして有機無機ハイブリッドペロブスカイト発光素子用発光層を形成する。この時、前述した発光層は前記発光層塗布用部材上に有機半導体層及び有機無機ペロブスカイトナノ粒子が順に積層された形態に自己組織化(Self-organization)されることによって工程を簡略化することができる。
【0114】
この時、コーティング速度は1000rpmから5000rpmであることが好ましく、コーティング時間は15秒から150秒であることが好ましい。コーティング速度が1000rpm以下に下げたり、コーティング時間が15秒以内に短くなると薄膜が不均一になるか、溶媒が全部蒸発しなくなる場合がある。
【0115】
フローティング工程によって発光層を形成することによって、従来のピンホール欠陥(pinhole defects)を防ぐことによってナノ結晶としての電荷注入をより円滑にする。これに、発光素子の発光効率及び輝度が向上する。また、有機半導体/ペロブスカイトナノ結晶混合溶液内のペロブスカイトナノ結晶の濃度を調節することによって複数のスピンコーティング工程なしで、ナノ粒子の第1薄膜の厚さを調節することができる。
【0116】
乾燥接触プリンティング工程を介した発光層形成
【0117】
図10は本発明の一実施例による乾燥接触プリンティング工程を介した発光層の形成工程を示す図である。
【0118】
図10を参照すると、まず、前述した発光層塗布用部材上に自己組織化単分子膜を形成することができる。この時、発光層塗布用部材としてはシリコン材質の部材を使用し得る。より詳しくは、オクタデシルトリクロロシラン(octadecyltrichlorosilane、ODTS)溶液にシリコン天然ウェーハ(Si native wafer)を浸漬(dipping)したODTS-treatedウェーハを使用してもよい。
【0119】
この後、前述した自己組織化単分子膜上に前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液をコーティングして有機無機ペロブスカイトナノ粒子層を形成する。最後にスタンプを利用して前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子層と接触(contact)して所望のパターンだけ剥がした後、前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子層を第2発光層塗布用部材上に形成する。
【0120】
前述のスタンプはポリウレタン(Polyurethane)、PDMS(Polydimethylsiloxane)PEO(Polyethylene oxide)、PS(Polystyrene)、PCL(Polycaprolactone)、PAN(Polyacrylonitrile)、PMMA(Poly(methyl methacrylate))、ポリイミド(Polyimide)、PVDF(Poly(vinylidene fluoride))、PVK(Poly(n-vinylcarbazole))及びPVC(Polyvinylchloride)からなる群から選択される少なくとも一つの有機高分子を含んでもよい。前述のスタンプは、シリコンウェーハの上に、前述の材料を含むスタンプをキュアリングして製造することができる。
【0121】
このように、乾燥接触プリンティング工程を使用する場合、スタンピング過程によって前記有機無機ペロブスカイトナノ粒子層を形成することによって、既存の湿式工程(wet
process)において問題となる基板敏感性(substrate sensitivity)、大面積アセンブリ(large-area assembly)及びレイヤバイレイヤ(layer-by-layer)積層工程の困難を解決することができる。
【0122】
有機無機ペロブスカイト-有機ホスト複合体形成工程による発光層形成
【0123】
図11は、本発明の一実施形態に係る有機無機ペロブスカイト-有機ホスト複合体形成工程を介した発光層形成方法を示す模式図である。
【0124】
図11を参照すると、前述したナノ粒子の第1薄膜を形成ステップは、まず前述した有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液に有機半導体を混合して有機無機ペロブスカイト-有機半導体溶液を製造する。
【0125】
前述した有機半導体はトリス(8-キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、TAZ、TPQ1、TPQ2、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)(4,7-Diphenyl-1,10-phenanthroline))、BCP、BeBq2、BAlq、CBP(4,4’-N,N’ジカバゾール-ビフェニール)、9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン(ADN)、TCTA(4,4’,4”-トリス(N-ジカルバゾリル-ビフェニール)、9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン(ADN)、TCTA(4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン)、TPBI(1,3,5-トリス(N-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゼン(1,3,5-tris(N-phenylbenzimidazole-2-yl)benzene))、TBADN(3-tert-ブチル-9,10-ジ(ナフトー2-イル)アントラセン)及びE3からなる群から選択された一つ以上であってもよく、これに限定されるものではない。
【0126】
この後、前述した有機無機ペロブスカイト-有機半導体溶液をコーティングして発光層を形成する。この時、コーティング速度は1000rpmから5000rpmであることが好ましく、コーティング時間は15秒から150秒であることが好ましい。コーティング速度が1000rpm以下に下げたり、コーティング時間が15秒以内に短くなると薄膜が不均一になるか、溶媒が全部蒸発しなくなる場合がある。
【0127】
これに、本発明の発光層は発光層塗布用部材上に有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子をコーティングしてナノ粒子の第1薄膜が形成される。これに、ナノ粒子発光体の中にFCCとBCCを組み合わせた結晶構造を有る有機無機ハイブリッドペロブスカイトが形成され、有機平面と無機平面が交互に積層されているラメラ構造を形成しており、無機平面に励起子が拘束された高い色純度を生じ得る。また、ペロブスカイトをナノ粒子に製造された後、発光層に導入することによって素子の発光効率及び輝度を向上させることができる。
【0128】
このように、有機無機ペロブスカイト-有機ホスト複合体形成工程によって発光層を形成する場合、既存ペロブスカイトナノ結晶層においてナノ結晶が密接に位置したことから生じ得る励起子-励起子消滅(exciton-exciton annihilation)を防止することができる。また、バイポーラ(bipolar)特性を有する有機ホストやコーホスト(co-host)を使用することによって、電子-正孔再結合領域(recombination zone)を広げて励起子-励起子消滅(exciton-exciton annihilation)を防止することができる。これによってペロブスカイトナノ結晶発光素子が高い輝度で駆動するときに発生するロルオフ(Roll-off)を減らすことができる。
【0129】
有機無機ハイブリッドペロブスカイト発光素子
【0130】
図12aから図12dは、本発明の一実施形態に係る発光素子の製造方法を示す発光素子の断面図である。
【0131】
図12aを参照するとまず基板(10)上に第1電極(20)を形成する。
【0132】
前述した基板(10)は有機発光素子の支持体になるもので、透明な性質の材料で構成される。また、前述の基板(10)は柔らかな性質の材料と軽質の材料の両方を使用することができるが、柔らかな性質の材料で構成されることがより好ましい。特に、透明で柔らかな性質を持つ前述の基板(10)の材料はPET、PS、PI、PVC、PVP又はPEなどであり得る。
【0133】
前述の第1電極(20)は、正孔が注入される電極であって、導電性を持つ性質の材料で構成される。前述される第1電極(20)を構成する材料は金属酸化物であってもよく、特に透明導電性金属酸化物であることが好ましい。例えば、前述した透明導電性金属酸化物はITO、AZO(Al-doped ZnO)、GZO(Ga-doped ZnO)、IGZO(In、Ga-dpoed ZnO)、MZO(Mg-doped ZnO)、Mo-doped ZnO、Al-doped MgO、Ga-doped MgO、F-dopedSnO、Nb-doped TiO又はCuAlOなどであってもよい。
【0134】
前述した第1電極(20)を形成するための蒸着工程としては、物理気相成長(physical vapor deposition:PVD)、化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)、スパッタリング(sputtering)、パルスレーザ成長(pulsed laser deposition:PLD)、蒸発法(thermal evaporation)、電子ビーム蒸発法(electron beam evaporation)、原子層エピタキシー(atomic
layer deposition:ALD)及び分子線エピタキシー蒸着(molecular beam epitaxy:MBE)などを使用することができる。
【0135】
図12bを参照すると、前述した第1電極(20)上に導電性物質及び伝出された導電性物質より低い表面エネルギーを有するフッ素系物質を含む励起子バッファー層(30)を形成する。
【0136】
この時、前述した励起子バッファー層(30)は導電性物質を含む導電層(31)及び前記導電性物質より低い表面エネルギーを有するフッ素系物質を含む表面バッファー層(32)が順に積層された形態であってもよい。前述した導電層(31)は導電性物質を含む。また、前述した導電層(31)は前述のフッ素系物質を含めないことが好ましい。
【0137】
前述した導電性物質は、導電性高分子、金属性カーボンナノチューブ、グラフェン、還元された酸化グラフェン、金属ナノワイヤ、半導体ナノワイヤ、金属グリッド、金属ナノ点及び導電性酸化物からなる群から選択される少なくとも一つを含められえる。
【0138】
前述の導電性高分子は、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリスチレン、スルホン化されたポリスチレン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、セルフ-ドーピング導電性高分子、これらの誘導体又はこれらの組み合わせを含んでもよい。前述した誘導体は各種スルホン酸をさらに含んでもよいことを意味する。
【0139】
例えば、前述した導電性高分子は、Pani:DBSA(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid:ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸、下記化学式参照)、PEDOT:PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate):ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネイト)、下記の化学式参照)、Pani:CSA(Polyaniline/Camphor sulfonicacid:ポロアニリン/カンファースルホン酸)及びPANI:PSS(Polyaniline)/Poly(4-styrenesulfonate):ポリアニリン)/ポリ(4-スチレンスルホネイト))からなる群から選択される少なくとも一つの含んでもよく、これに限定されるものではない。
【0140】
例えば、前記導電性高分子はPani:DBSA(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid、下記化学式参照)、PEDOT:PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、下記化学式参照)、Pani:CSA(Polyaniline/Camphor sulfonicacid)又はPANI:PSS(Polyaniline)/Poly(4-styrenesulfonate))などを含んでもよく、これに限定されるものではない。
【0141】
【化1】
【0142】
前記Rは、H又はC1-C10アルキル基であってもよい。
【0143】
前記セルフ-ドーピング導電性高分子は重合度13から10,000,000を有してもよく、下記化学式21に表わす反復単位を有することができる。
【0144】
【化2】

【0145】
前記化学式21において、0<m<10,000,000、0<n<10,000,000、0≦a≦20、0≦b≦20である。
【0146】
、R、R、R’、R’、R’及びR’のうち少なくとも一つはイオン基を含んでもよく、A、B、A’、B’は各々独立してC、Si、Ge、Sn又はPbから選択される。
【0147】
、R、R、R’、R’、R’及びR’は、各々独立して水素、ハロゲン、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基、シアノ基、置換又は無置換のC1-C30のアルキル基、置換又は無置換のC1-C30のアルコキシ基、置換又は無置換のC6-C30のアリール基、置換又は無置換のC6-C30のアリールアルキル基、置換又は無置換のC6-C30のアリールオキシ基、置換又は無置換のC2-C30のヘテロアリール基、置換又は無置換のC2-C30ヘテロアリールアルキル基、置換又は無置換のC2-C30のヘテロアリールオキシ基、置換又は無置換のC5-C30のヘテロシクロアルキル基、置換又は無置換のC1-C30アルキルエステル基、及び置換又はC6-C30の無置換のアリールエステル基からなる群から選択され、前記化学式のうち炭素に選択的に水素又はハロゲン元素が結合される。
【0148】
は共役系導電性高分子鎖で構成される。
【0149】
X及びX’は、各々独立して単純結合O、S、置換又は無置換のC1-C30アルキレン基、置換又は無置換のC1-C30ヘテロアルキレン基、置換又は無置換のC6-C30アリレン基、置換又は無置換のC6-C30のアリールアルキレン基、置換又は無置換のC2-C30のヘテロアリレン基、置換又は無置換のC2-C30のヘテロアリールアルキレン基、置換又は無置換のC5-C20のシクロアルキレン基、及び置換又は無置換のC5-C30のヘテロシクロアルキレン基アリールエステル基からなる群から選択され、前記化学式のうち炭素に選択的に水素又はハロゲン元素が結合されることができる。
【0150】
例えば、前記イオン基がPO 2-、SO 、COO、I、CHCOOからなる群から選択された陰イオン基及びNa、K、Li、Mg+2、Zn+2、Al+3のうち選択された金属イオン、H、NH 、CH(-CH-)(nは1から50の自然数)のうちから選択された有機イオンからなる群から選択され前記陰イオン基と対になる陽イオン基を含んでもよい。
【0151】
例えば、前記化学式100のセルフ-ドーピング導電性高分子においてR、R、R、R’、R’、R’及びR’のうち各々少なくとも一つ以上はフッ素であるかフッ素に置換された基であってもよく、これに限定されるものではない。
【0152】
前記導電性高分子を例に挙げて、前記導電性高分子の具体例は下記と同様であり、これに限定されるものではない。
【0153】
【化3】

【化4】
【0154】
【化5】

【化6】


【化7】

【0155】
【化8】


【化9】


【化10】

【0156】
【化11】


【化12】


【化13】

【0157】
【化14】


【化15】


【化16】

【0158】
【化17】
【化18】


【化19】

【0159】
【化20】


【化21】


【化22】

【0160】
【化23】


【化24】
【化25】
【0161】
本明細書において無置換のアルキル基の具体的な例としては、直鎖状又は分枝状であって、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、iso-アミル、ヘキシルなどを挙げることができ、前述したアルキル基に含まれている一つ以上の水素原子はハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、置換又は無置換のアミノ基(-NH、-NH(R)、-N(R’)(R”)、R’とR”は互いに独立して炭素数1から10のアルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン、又はヒドラゾン基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、C1-C20のアルキル基、C1-C20のハロゲン化されたアルキル基、C1-C20のアルケニル基、C1-Cの20のアルキニル基、C1-C20のヘテロアルキル基、C6-C20のアリール基、C6-C20のアリールアルキル基、C6-C20のヘテロアリール基、又はC6-C20のヘテロアリールアルキル基で置換することができる。
【0162】
本明細書のヘテロアルキル基は、前述したアルキル基の主鎖中の炭素原子のうち一つ以上、好ましくは1から5個の炭素原子が酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子などのようなヘテロ原子に置換されることを意味する。
【0163】
本明細書のアリール基は、一つ以上の芳香族環を含む炭素環芳香族系を意味し、前述した環はペンダント方法に付けるかまたは融合(fused)することができる。アリール基の具体的例として、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルなどのような芳香族群を挙げることができ、前述したアリール基のうち一つ以上の水素原子は前述したアルキル基の場合と同様に置換基に置換可能である。
【0164】
本明細書のヘテロアリール基はN、O、PまたはSのうち選択された1、2又は3個のヘテロ原子を含み、残り環原子がCである環原子数5から30の環芳香族系を意味し、前述した環をペンダント方法で共に付けるかまたは融合(Fuse)することができる。前述したヘテロアリール基のうち一つ以上の水素原子は前述したアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0165】
本明細書のアルコキシ基はラジカル-O-アルキルを意味し、この時アルキルは上述と同様である。具体的な例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、ペンチルオキシ、iso-アミルオキシ、ヘキシルオキシなどを挙げることができ、前述したアルコキシ基のうち一つ以上の水素原子は前述したアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0166】
本発明において使用される置換基であるヘテロアルコキシ基は1個以上のヘテロ原子例えば酸素、硫黄又は窒素がアルキル鎖内に存在し得ることを除くと、本質的に前述したアルコキシの意味を有し、例えばCHCHOCHCHO-、COCHCHOCHCHO-及びCHO(CHCHO)Hなどである。
【0167】
本明細書のアリールアルキル基は、前述と同様にアリール基にて水素原子のうち一部が低級アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピルなどのようなラジカルに置換することを意味する。例えば、ベンジル、フェニルエチルなどがある。前述したアリールアルキル基のうち一つ以上の水素原子は前述したアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0168】
本明細書のヘテロアリールアルキル基は、ヘテロアリール基の水素原子一部が低級アルキル基に置換されることを意味し、ヘテロアリールアルキル基のうちヘテロアリールに対する定義は上述と同様である。前述したヘテロアリールアルキル基のうち一つ以上の水素原子は前述したアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0169】
本明細書のアリールオキシは、ラジカル-O-アリールを意味し、この時アリールは上述と同様である。具体的な例として、フェノキシ、ナフトキシ、アントラセニルオキシ、フェナントレニルオキシ、フロオレニルオキシ、インデニルオキシなどがあり、アリールオキシ基のうち一つ以上の水素原子は前述したアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0170】
本明細書のヘテロアリールオキシはラジカル-O-ヘテロアリールを意味し、この時ヘテロアリールは上述と同様である。
【0171】
本明細書のヘテロアリールオキシ基の具体的な例として、ベンジルオキシ、フェニルエチルオキシなどがあり、ヘテロアリールオキシ基のうち一つ以上の水素原子は前述したアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0172】
本明細書のシクロアルキル基は、炭素原子数5から30の一価の単環系を意味する。前述したシクロアルキル基のうち少なくとも一つ以上の水素原子は前述したアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0173】
本明細書のヘテロシクロアルキル基は、N、O、P又はSのうちから選択された1、2又は3個のヘテロ原子を含み、残り環原子がCである環原子数5から30の一価の単環系を意味する。前述したシクロアルキル基のうち一つ以上の水素原子は前述したアルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0174】
本明細書のアルキルエステル基は、アルキル基とエステル基が結合されている作用基を意味し、この時のアルキル基は前述の説明と同様である。
【0175】
本明細書のヘテロアルキルエステル基は、ヘテロアルキル基とエステル基が結合されている作用基を意味し、前述したヘテロアルキル基は前述の説明と同様である。
【0176】
本明細書のアリールエステル基は、アリール基とエステル基が結合されている作用基を意味し、この時のアリール基は前述と同様である。
【0177】
本明細書のヘテロアリールエステル基は、ヘテロアリール基とエステル基が結合されている作用基を意味し、この時のヘテロアリール基は前述と同様である。
【0178】
本発明において使用されるアミノ基は、-NH、-NH(R)又は-N(R’)(R”)を意味し、R’とR”は互いに独立して炭素数1から10のアルキル基である。
【0179】
本明細書のハロゲンはフッ素、塩素、臭素、要素、またはアスタチンであり、これらの中でフッ素がより好ましい。
【0180】
前述した金属性カーボンナノチューブは、精製された金属性カーボンナノチューブそのもの物質であるか、カーボンナノチューブの内壁及び/または外壁に金属粒子(例えばAg、Au、Cu、Pt粒子など)が付着しているカーボンナノチューブであってもよい。
【0181】
前述したグラフェンは約0.34nm厚さを有するグラフェン単層、2から10個のグラフェン単層が積層した構造を有する数層のグラフェン(A few layer graphene)または前述した数層のグラフェンよりは多くのグラフェン単層が積層された構造を有するグラフェン多層構造を有することができる。
【0182】
前述した金属ナノワイヤ及び半導体ナノワイヤは、例えば、Ag、Au、Cu、Pt、NiSi(Nickel Silicide)ナノワイヤ及びこれらのうち2以上の複合体(composite、例えば、合金又はコア-シェール構造体など)ナノワイヤのうちから選択されてもよく、これに限定されるものではない。
【0183】
また、前述した半導体ナノワイヤはSi、Ge、B又はNにドーピングされたSiナノワイヤ、B又はNにドーピングされたGeナノワイヤ及びこれらのうち2以上の複合体(例えば、合金又はコア-シェール構造体など)のうちから選択されてもよく、これに限定されるものではない。
【0184】
前述した金属ナノワイヤ及び半導体ナノワイヤの直径は5nmから100nm以下であり、長さは500nmから100μmであってもよく、これは前述した金属ナノワイヤ及び半導体ナノワイヤの製造方法によって多様に選択され得る。
【0185】
前述した金属グリッドはAg、Au、Cu、Pt及びこれらの合金を利用して互いに交差する網状の金属線を形成したものであり、線幅100nmから100μmの線幅を有するようにでき、その長さは限定されるものではない。前述した金属グリッドは第1電極の上に突出されるように形成してもよく、第1電極中に挿入して陥没型に形成してもよい。
【0186】
前述した金属ナノ点はAg、Au、Cu、Pt及びこれらのうち2以上の複合体(例えば、合金又はコア-シェール構造体など)のナノ点のうちから選択されてもよく、これに限定されるものではない。
【0187】
前述した金属ナノワイヤ、半導体ナノワイヤ及び金属ナノ点表面には-S(Z100)及び-Si(Z101)(Z102)(Z103)に表わす少なくとも一つの部分(ここで、前述したZ100、Z101、Z102及びZ103は互い独立して水素、ハロゲン原子、置換又は無置換のC1-C20のアルキル基又は置換又は無置換のC1-C20アルコキシ基である)が結合することができる。前述した-S(Z100)及び-Si(Z101)(Z102)(Z103)に表わす少なくとも一つの部分は自己集合(Self-assembled)部分として、前述した部分を介して金属ナノワイヤ、半導体ナノワイヤ及び金属ナノ点ら同士の結合又は金属ナノワイヤ、半導体ナノワイヤ及び金属ナノ点と第1電極(210)との結合力などが強化され得るところ、これによって電気的特性および機械的強度がより向上する効果がある。
【0188】
前述される導電性酸化物は、ITO(インジウム鈴酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、SnO及びInOのうち一つであってもよい。
【0189】
前述した第1電極20上に前述した導電層31を形成するステップはコーティング法、キャスト法、ラングミュア-ブロジェット(Langmuir-Blodgett)法、インクジェット印刷(ink-jet printing)、ノズルプリンティング(nozzle printing)、スロットダイ(slot-die coating)、ドクターブレードコーティング(doctor blade coating)、スクリーン印刷(screen printing)、ディップコーティング(dip coating)、グラビア印刷(Gravure-printing)、リバースオフセット印刷(reverse-offset printing)、物理的転写法(physical transfer method)、スプレーコーティング法(spray coating)、化学気相蒸着法(chemical vapor deposition)、または熱蒸着工程(thermal evaporation method)を使用することができる。
【0190】
また、前述した導電性物質を溶媒に混合して混合溶液を製造した後、前述した第1電極10上に塗布された後熱処理して前述した溶媒を除去することによって形成することができる。この時、前述した溶媒は極性溶媒であってもよく、例えば、水、アルコール(メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノールなど)、ギ酸(formic acid)、ニトロメタン(nitromethane)、酢酸(acetaic acid)、エチレングリコール(ethylene glycol)、グリセロール(glycerol)、ノマルメチルピロリドン(NMP、n-Methyl-2-Pyrrolidone)、N-ジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamide)、ジメチルホルムアミド(DMF、dimethylformamide)、ジメチルスルホキシド(DMSO、dimethyl sulfoxide)、テトラヒドロフラン(THF、tetrahydrofuran)、酢酸エチル(EtOAc、ethyl acetate)、アセトン(acetone)、及びアセトニトリル(MeCN、acetonitrile)からなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。
【0191】
前述した導電層(31)が金属性カーボンナノチューブを含む場合、前述した第1電極(20)上に金属性カーボンナノチューブを成長させるか、溶媒に分散させたカーボンナノチューブを溶液ベースの印刷法(例えば、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、リバースオフセットコーティング法、スクリーンプリンティング法、スロット-ダイコーティング法)によって形成することができる。
【0192】
前述した導電層(31)が金属製グリッドを含む場合、前述した第1電極(20)上に金属を真空蒸着して金属膜を形成した後、フォトリトグラフィーで様々な網目状にパターニングするか、金属前駆体若しくは金属粒子を溶媒に分散させて印刷法(例えば、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、グラビア印刷法、リバースオフセットコーティング法、スクリーン印刷法、スロット-ダイコーティング法)によって形成することができる。
【0193】
前述した導電層(31)は、前述した励起子バッファー層(30)において導電度を向上させる役割を主に行い、付加的に散乱、反射、吸収を調節して光学的に抽出を向上させるか、柔軟性を付与して機械的強度を向上させる役割をすることができる。
【0194】
前述した表面バッファー層(32)は、フッ素系物質を含む。この時、前述したフッ素系物質は前述した導電性物質より低い表面エネルギーを有するフッ素系物質であることが好ましく、30mN/m以下の表面エネルギーを有することができる。
【0195】
また、前述したフッ素系物質は、前述した導電性高分子の疎水性より大きい疎水性を有することができる。
【0196】
この時、前述した表面バッファー層(32)において前述した導電性(31)と近い第1面(32a)の前述したフッ素系物質の濃度より前述した第1面(32a)と反対の第2面(32b)の前述したフッ素系物質の濃度がより低い。
【0197】
これに前述した表面バッファー層(32)の第2面(32b)の仕事関数は5.0eV以上であり得る。一例として、前述した表面バッファー層(32)のうち第2面(32b)において測定された仕事関数は5.0eVから6.5eVであってもよく、これに限定されるものはない。
【0198】
前述したフッ素系物質は、少なくとも一つのFを含む過フッ化アイオノマー又はフッ化であってもよい。特に、前述したフッ素系物質がフッ化アイオノマーである場合、バッファー層の厚さを熱く形成することができ、導電層(31)及び表面バッファー層(32)の相分離を防いで、より均一に励起子バッファー層(30)の形成を可能にする。
【0199】
前述したフッ素系物質は、下記の化学式1から12の構造を有するアイオノマーからなる群から選択される少なくとも一つのアイオノマーを含むことができる。
【0200】
【化26】
【0201】
前述した式のうち、mは1から10,000,000の数であり、x及びyは各々独立して0から10の数であって、MはNa、K、Li、H、CH(CHNH (nは0から50の整数)、NH 、NH 、NHSOCF 、CHO、COH、CHOH、RCHO(RはCH(CH-;nは0から50の整数)を示す。
【0202】
【化27】
【0203】
前述した式のうち、mは1から10,000,000の数である。
【0204】
【化28】
【0205】
前述した式のうち、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは各々独立して0から20の数であって、MはNa、K、Li、H、CH(CHNH (nは0から50の整数)、NH 、NH 、NHSOCF 、CHO、COH、CHOH、RCHO(RはCH(CH-;nは0から50の整数)を示す。
【0206】
【化29】
【0207】
前述した式のうち、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは各々独立して0から20の数であって、MはNa、K、Li、H、CH(CHNH (nは0から50の整数)、NH 、NH 、NHSOCF 、CHO、COH、CHOH、RCHO(RはCH(CH-;nは0から50の整数)を示す。
【0208】
【化30】
【0209】
前述した式のうち、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、zは0から20の数であって、MはNa、K、Li、H、CH(CHNH (nは0から50の整数)、NH 、NH 、NHSOCF 、CHO、COH、CHOH、RCHO(RはCH(CH-;nは0から50の整数)を示す。
【0210】
【化31】

【0211】
前述した式のうち、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは各々独立して0から20の数であって、Yは-COOM、-SO-NHSOCF 、-PO 2―(Mのうちから選択された一つであって、MはNa、K、Li、H、CH(CHNH (nは0から50の整数)、NH 、NH 、NHSOCF 、CHO、COH、CHOH、RCHO(RはCH(CH-;nは0から50の整数)を示す。
【0212】
【化32】

【0213】
前述した式のうち、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、MはNa、K、Li、H、CH(CHNH (nは0から50の整数)、NH 、NH 、NHSOCF 、CHO、COH、CHOH、RCHO(RはCH(CH-;nは0から50の整数)を示す。
【0214】
【化33】

【0215】
前述した式のうち、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000である。
【0216】
【化34】
【0217】
前述した式のうち、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、xは0から20の数であって、MはNa、K、Li、H、CH(CHNH (nは0から50の整数)、NH 、NH 、NHSOCF 、CHO、COH、CHOH、RCHO(RはCH(CH-;nは0から50の整数)を示す。
【0218】
【化35】
【0219】
前述した式のうち、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは各々独立して0から20の数であって、MはNa、K、Li、H、CH(CHNH (nは0から50の整数)、NH 、NH 、NHSOCF 、CHO、COH、CHOH、RCHO(RはCH(CH-;nは0から50の整数)を示す。
【0220】
【化36】
【0221】
前述した式のうち、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、Rf=-(CF-(zは1から50の整数、ただ2は除く)、-(CFCFO)CFCF-(zは1から50の整数)、-CFCFCFO)CFCF-(zは1から50の整数)であって、MはNa、K、Li、H、CH(CHNH (nは0から50の整数)、NH 、NH 、NHSOCF 、CHO、COH、CHOH、RCHO(RはCH(CH ;nは0から50の整数)を示す。
【0222】
【化37】
【0223】
前述した式のうち、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは各々独立して0から20の数であって、Yは各々独立して-SO 、-COO、-SO NHSOCF 、-PO 2-(Mのうちから選択された一つであって、MはNa、K、Li、H、CH(CHNH (nは0から50の整数)、NH 、NH 、NHSOCF 、CHO、COH、CHOH、RCHO(RはCH(CH-;nは0から50の整数)を示す。
【0224】
また、前述したフッ素系物質は下記の化学式13から19の構造を有するアイオノマー又はフッ化低分子からなる群から選択される少なくとも一つのアイオノマー又はフッ化低分子を含むことができる。
【0225】
【化38】
【0226】
【化39】
【0227】
【化40】
【0228】
【化41】
【0229】
【化42】
【0230】
【化43】
【0231】
(前述した化学式13から18のうち、
【0232】
11からR14、R21からR28、R31からR38、R41からR48、R51からR58及びR61からR68は互い独立的して水素、-F、C1-C20アルキル、C1-C20アルコキシ基、少なくとも一つの-Fに置換されたC1-C20アルキル基、少なくとも一つの-Fに置換されたC1-C20アルコキシ基、Q-O-(CFCF(CF)-O)-(CF-Q(ここで、n及びmは互いに独立して0から20の整数であり、n+mは1以上である)及び-(OCFCF-Q(ここで、xは1から20の整数である)中から選択される。
【0233】
前述したQからQはイオン基であり、前述したイオン基は陰イオン基及び陽イオン基を含み、前述した陰イオン基はPO 2-、SO 、COO、I、CHCOO及びBO 2-のうちから選択され、前述した陽イオン基は金属イオン及び有機イオンのうち1種以上を含み、前述した金属イオンはNa、K、Li、Mg+2、Zn+2及びAl+3のうちから選択され、前述した有機イオンはH、CH(CHNH3+(ここで、n1は0から50の整数である)、NH 、NH 、NHSOCF 、CHO、COH、CHOH及びRCHO(ここで、RはCH(CHn2-であって、n2は0から50の整数である)内から選択される。
【0234】
11からR14のうち少なくとも一つ、R21からR28のうち少なくとも一つ、R31からR38のうち少なくとも一つ、R41からR48のうち少なくとも一つ、R51からR58のうち少なくとも一つ及びR61からR68のうち少なくとも一つは、-F、少なくとも一つの-Fに置換されたC1-C20アルキル基、少なくとも一つの-Fに置換されたC1-C20アルコキシ基、-O-(CFCF(CF)-O)-(CF-Q及び-(OCFCF-Qのうちから選択される。
【0235】
X-M -M -M -G
【0236】
前述した化学式19において
【0237】
Xは末端基であり、
【0238】
はパルフルオロポリエテールアルコール、ポリイソシアネート及びイソシアネート反応性-非フッ素化モノマーの縮合反応から得たフッ化モノマーから由来した単位を示す。
【0239】
は非フッ素化モノマーから由来した単位を示す。
【0240】
は-Si(Y)(Y)(Y)に表わすシリル基を有する単位を示す。
【0241】
前述したY、Y及びYは互いに独立して、置換又は無置換のC1-C20アルキル基、置換又は無置換のC6-C30のアリール基又は加水分解性置換基を示し、前述したY、Y及びYのうち少なくとも一つは前述した加水分解性置換基である。
【0242】
Gは鎖移動剤(chain transfer agent)の残基を含む一価の有機基である。
【0243】
nは1から100の数である。
【0244】
mは0から100の数である。
【0245】
rは0から100の数である。
【0246】
n+m+rは少なくとも5である。
【0247】
前述した表面バッファー層(32)の厚さは、20nmから500nm、例えば、50nmから200nmであり得る。前述した表面バッファー層(32)の厚さが上述の範囲を満足する場合、優れた仕事関数特性、透過度及びフレキシブル特性を提供することができる。
【0248】
前述した表面バッファー層(32)は前述した導電層(31)上に前述したフッ素系物質及び溶媒を含む混合溶液を製造した後、これを熱処理して形成することができる。
【0249】
このように形成された励起子バッファー層(30)は50nmから1000nmの厚さを有することができる。前述した導電層(31)が形成されることによって導電度を向上させ、同時に前述の表面バッファー層(32)が形成されることによって表面エネルギーを下げることができる。これによって発光特性を極大化することができる。
【0250】
前述した表面バッファー層(32)は、カーボンナノチューブ、グラフェン、還元された酸化グラフェン、金属ナノワイヤ、金属カーボンナノ点、半導体量子ドット(semiconductor quantum dot)、半導体ナノワイヤ及び金属ナノ点からなる群から選択される少なくとも一つの添加剤をさらに含むことができる。前述した添加剤をさらに含める場合、前述した励起子バッファー層(30)の導電性向上を極大化することができる。
【0251】
また、前述した表面バッファー層(32)はビスフェニルアジド系(Bis(phenyl azide))物質を含む架橋剤をさらに含むことができる。前述した表面バッファー層(32)の前述した架橋剤がさらに含まれる場合、時間及び素子駆動による造成分離を防止することができる。これに前述した励起子バッファー層(30)の抵抗及び仕事関数を下げて、発光素子の安定性及び再現性を向上させることができる。
【0252】
前述したビスフェニルアジド系(Bis(phenyl azide))物質は下記の化学式20のビスフェニルアジド系(Bis(phenyl azide))物質であってもよい。
【0253】
【化44】
【0254】
前述した導電層(31)上に前述した表面バッファー層(32)を形成するステップはスピンコーティング法、キャスト法、ラングミュア-ブロジェット(Langmuir-Blodgett)法、インクジェット印刷(Ink-jet printing)、ノズルプリンティング(Nozzle printing)、スロットダイコーティング法(Slot-die coating)、ドクターブレードコーティング法(Doctor
blade coating)、スクリーン印刷法(Screen printing)、ディップコーティング法(Dip coating)、グラビア印刷法(Gravure-printing)、リバースオフセット印刷法(Reverse-offset
printing)、物理的転写法(Physical transfer method)、スプレーコーティング法(Spray Coating)、化学気相蒸着法(Chemical vapor deposition)、または熱蒸着(Thermal
evaporation method)工程を使用することができる。
【0255】
ただし、前述した励起子バッファー層(30)を形成するステップは、前述のように前述した導電層(31)及び表面バッファー層(32)を順に蒸着してもよく、前述した導電性物資及び前述したフッ素系物質を溶媒に混合して混合溶液を製造した後、前述した混合溶液を前述した第1電極上に塗布して熱処理する工程によって形成することができる。
【0256】
この場合、前述した混合溶液を熱処理することによって前述した第1電極(20)上に導電層(31)及び表面バッファー層(32)が順に自己組織化して形成される。これによって工程を簡略化することができる長所がある。
【0257】
前述したフッ素系物質は、極性溶媒に対して90%以上の溶解度、例えば95%以上の溶解度を有する物質であってもよい。前述した極性溶媒の例としては水、アルコール(メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノールなの)、エチレングリコール、グリセロール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトンなどが挙げられ、これに限定されるものではない。
【0258】
図13は、本発明の一実施形態に係る励起子バッファー層(30)の効果を示す模式図である。
【0259】
図13を参照すると、本発明の一実施形態に係る励起子バッファー層(30)は正孔注入効率を向上させ、電子ブロッキング(Electron blocking)役割を行い、励起子のクエンチングを抑えることがわかる。
【0260】
前述した励起子バッファー層(30)は架橋剤をさらに含むことができる。
【0261】
前述した励起子バッファー層(30)に架橋剤を添加することによって時間及び素子駆動による構成物質の相分離を防止することができる。また、前述した表面バッファー層(32)の形成の時に溶媒使用などによる励起子バッファー層(30)の効率が低下することを防止することができる。これに素子安定性及び再現性を向上させることができる。
【0262】
前述した架橋剤はアミン基(-NH)、チオール基(-SH)、及びカルボキシル基(-COO-)からなる群から選択される少なくとも一つの作用基を含めることができる。
【0263】
また、前述した架橋剤はビスフェニルアジド系(Bis(phenyl azide))物質、ジアミノアルカン(Diaminoalkane)系物質、ジチオール(Dithiol)系物質、ジカルホキシラート(Dicarboxylate)、エチレングリコールジメタクリルレート(Ethylene glycol di(meth)acrylate)誘導体、メチルレンビスアミド(Methylenebisacrylamide)誘導体、及びDVBからなる群から選択される少なくとも一つを含むことができる。
【0264】
前述した励起子バッファー層(30)上に正孔運送層(図示せず)を形成することができる。前述した正孔輸送層は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などの公知の多様な方法の中から選択された方法によって形成することができる。この時、真空蒸着法を選択する場合、蒸着条件は目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などによって異なるが、例えば、100℃から500℃の蒸着温度範囲、10-10から10-3Torrの真空度範囲、0.01Å/Secから100Å/Secの蒸着速度範囲内で選択され得る。一方、スピンコーティング法を選択する場合、コーティング条件は目的化合物、目的する層の構造及び熱的特性によって相違であるが、2000rpmから5000rpmのコーティング速度範囲、80℃から200℃の熱処理温度(コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度)範囲内で選択され得る。
【0265】
正孔輸送層の材料は、正孔注入よりは正孔をよりよく輸送できる材料らの中から選択することができる。前述した正孔輸送層は公知の正孔輸送材料を利用して形成することができ、例えば、芳香族縮合環を有するアミン系物質であってもよくトリフェニルアミン系物質であってもよい。
【0266】
より具体的には、前述した正孔輸送性物質は、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(1,3-bis(carbazol-9-yl)benzene:MCP)、1,3,5-トリス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(1,3,5-tris(carbazol-9-yl)benzene:TCP)、4,4’,4”-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(carbazol-9-yl)triphenylamine:TCTA)、4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニール(4,4’-bis(carbazol-9-yl)biphenyl:CBP)、N,N’-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン(N,N’-bis(naphthanlen-1-yl)-N,N’bis(penyl)-benzidine:NPB)、N,N’-ビス(ナフタレン-2-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン(N,N’-bis(naphthanlen-2-yl)-N,N’bis(penyl)-benzidine:β-NPB)、N,N’ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-2,2’-ジメチルベンジジン(N,N’-bis(naphthanlen-1-yl)-N,N’bis(penyl)-2,2’-dimethylbenzidine:α-NPD)、
【0267】
ジ-[4、(N,N’ジトリル-アミノ)-フェニルシクロヘキサン(Di-[4-(N,N-ditolyl-amino)-phenyl]cyclohexane:TAPC)、N,N,N’,N’-テトラ-ナフタレン-2-イル-ベンジジン(N,N,N’,N’-tetra-naphthalen-2-yl-benzidine:β-TNB)及びN4,N4,N4’,N4’-tetra(biphenyl-4-yl)biphenyl-4,4’-diamine(TPD15)、poly(9,9-dioctylfluorene-co-bis-N,N’-(4-butylphenyl)-bis-N,N’-phenyl-1,4-phenylenediamine)(PFB),poly(9,9’-dioctylfluorene-co-N-(4-butylphenyl)diphenylamine)(TFB)、poly(9,9’-dioctylfluorene-co-bis-N,N’-(4-butylhenyl)-bis-N,N’-phenylbenzidine)(BFB)、poly(9,9-dioctylfluorene-co-bis-N,N’-(4-methoxyphenyl)-bis-N,N’-phenyl-1,4,-phenylenediamine)(PFMO)などを例に挙げることができ、これに限定されるものではない。
【0268】
前述した正孔輸送層の厚さは5nmから100nm、例えば、10nmから60nmであってもよい。前述した正孔輸送層の厚さが上述の範囲を満足する場合、駆動電圧の上昇なしに、優れた正孔輸送特性を得ることができる。ただ、前述された正孔輸送層の場合、省略することができる。
【0269】
よって、前述した励起子バッファー層(30)を含む発光素子は正孔注入層を形成しなくても、優れた効率、輝度、寿命特性を有することができる。これによって前述の発光素子製造時の費用を節約できる効果がある。
【0270】
また、前述した正孔輸送層が形成されるとすると、前述した正孔輸送層の仕事関数はZeVであってもよく、前述したZは5.2から5.6の実数であってもよく、これに限定されるものではない。
【0271】
前述した励起子バッファー層(30)の表面バッファー層(32)の第1面(32a)の仕事関数値であるYは4.6から5.2、例えば、4.7から4.9の範囲であり得る。前述した励起子バッファー層(30)の表面バッファー層(32)の第2面(32b)の仕事関数値であるYは前述した表面バッファー層(32)に含まれたフッ素系物質の仕事関数と同様であるか小さいことがある。例えば、前述したYは5.0から6.5、例えば、5.3から6.2の範囲であってもよく、これに限定されるものではない。
【0272】
図12cを参照すると、前述した励起子バッファー層30上に有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液をコーティングしてナノ粒子の第1薄膜を含む発光層40を形成する。
【0273】
発光層形成に関する内容は、前述した「有機無機ハイブリッドペロブスカイト発光素子用発光層」と同一構成及び同一機能を有するので、前述した内容を参照する。
【0274】
この後、図12dを参照すると、前述した発光層(40)上に第2電極(50)を形成する。
【0275】
前述した第2電極(50)は、電子が注入される電極であって、導電性のある性質の材料として構成される。前述した第2電極(50)は金属であることが好ましく、特にAl、Au、Ag、Cu、Pt、W、Ni、Zn、Ti、Zr、Hf、CdまたはPdなどであってもよい。
【0276】
前述した第2電極(50)を形成するための蒸着工程としては、物理気相成長(Physical vapor deposition:PVD)、化学気相成長(Chemical vapor deposition:CVD)、スパッタリング(Sputtering)、パルスレーザ成長(Pulsed laser deposition:PLD)、蒸発法(Thermal evaporation)、電子ビーム蒸発法(Electron beam evaporation)、原子層成長(Atomic layer deposition:ALD)及び分子線エピタキシー蒸着(Molecular beam epitaxy:MBE)などを使用することができる。
【0277】
このように形成された発光素子は第1電極(20)、前述した第1電極(20)上に配置され、導電性物質を含む導電層(31)及びフッ素系物質を含む表面バッファー層(32)が順に積層される励起子バッファー層(30)、前述した励起子バッファー層(30)上に配置され有機リガンドが置換された有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子発光体を含む発光層(40)及び前述した発光層(40)上に配置された第2電極(50)を含む。
【0278】
この時、前述した励起子バッファー層(30)が形成されることによって仕事関数を有すると同時に高い導電度を有する発光素子を製造することができ、有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ粒子を含むナノ粒子の第1薄膜を含む発光層はナノ粒子中にFCCとBCCを組み合わせた結晶構造を有る有機無機ハイブリッドペロブスカイトが形成され、有機平面と無機平面が交互に積層されているラメラ構造を形成されており、無機平面に励起子が拘束され、高い色純度を生じることができる。
【0279】
前記発光素子はレーザダイオード又はLEDであってもよい。
【0280】
また、他の例として、上述した有機無機ペロブスカイトナノ結晶粒子又は無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を含む光活性層を利用して太陽電池に適用することもできる。このような太陽電池は第1電極、第2電極及び前記第1電極及び第2電極の間に位置するもが、上述したペロブスカイトナノ結晶粒子を含む光活性層を含むことができる。
【0281】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実験例(example)を提示する。ただし、下記の実験例は本発明の理解を助けるためのことだけで、本発明が下記の実験例により限定されるものではない。
【0282】
<製造例1-有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液製造>
本発明の一実施例による有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液を形成する。逆ナノ-エマルジョン法によって形成する。
【0283】
具体的には、プロトン性溶媒に有機無機ハイブリッドペロブスカイトを溶かし、第1溶液を準備する。この時のプロトン性溶媒としてジメチルホルムアミド(dimethylformamide)を使用し、有機無機ハイブリッドペロブスカイト(CHNHPbBrを使用した。この時使用した(CHNHPbBrはCHNHBrとPbBrを2:1の割合で混ぜたものを使用した。
【0284】
非プロトン性溶媒にアルキルハライド界面活性剤が溶けている第2溶液を準備した。この時の非プロトン性溶媒にはトルエン(Toluene)を使用し、アルキルアライド界面活性剤にはオクタデシルアンモニウムブロマイド(octadecylammonium
bromide、CH(CH17NHBr)を使用した。
【0285】
その後に、強く攪拌している第2溶液に第1溶液をゆっくり一滴ずつ落として添加し、有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含む溶液を形成した。
【0286】
<製造例2-発光層の製造>
【0287】
まず、10wt%の3-Mercaptopropionic acid(MPA、Aldrich)ethanolic solutionをガラス基板上にスピンコーティングしてアンカリングエージェント層を形成した。エタノール及びクロロホルムで洗浄して、過剰のMPA除去した後、製造例1により製造されたペロブスカイトナノ結晶を前記アンカリングエーゼェント層上にスピンコーティングしてペロブスカイトナノ結晶層を形成した(2500rpm 20s)。
【0288】
クロロホルムスピンコーティング(2500rpm 20s)によってアンカリングされてないペロブスカイトナノ結晶を除去した。ペロブスカイトナノ結晶層の厚さを調節するために、250μLの1wt% 1,2-ethanedithiol(EDT)/ethanol溶液をスピンコーティング(2500rm 20s)し、続けて前記ペロブスカイトナノ結晶溶液をスピンコーティング(2500rpm 20s)するプロセスを繰り返して発光層を形成した。
【0289】
<製造例3-発光層の製造>
【0290】
まず、trioctylphosphine oxide(TOPO)とtrioctylphosphine(TOP)溶液を実施例1によって製造されたペロブスカイトナノ結晶溶液に添加して、ペロブスカイトナノ結晶のリガンドをTOPO及びTOPに置換した。その後、N,N’-diphenyl、N’-bis(3-methylphenyl)-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine(TPD)を前記ペロブスカイトナノ結晶溶液と100:5(w/w)の割合で混合してTPD-ペロブスカイトナノ結晶溶液を製造した。前記TPD-ペロブスカイトナノ結晶溶液をスピンコーティング(500rpm 7s、3000rpm 90s)してTPD及びペロブスカイトナノ結晶層を形成した。この時、TPDとペロブスカイトナノ結晶はスピンコーティングプロセスで相分離され、ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子を含むナノ薄膜がTPD層上に形成されることになる。
【0291】
<製造例4-発光層の製造>
【0292】
まず、オクタデシルトリクロロシラン(octadecyltrichlorosilane、ODTS)溶液にSi native waferを浸漬(dipping)して、ODTS-Treatedウェーハを作製した。そしてペロブスカイトナノ結晶を前記ODTS-Treatedウェーハ上にスピンコーティング(1500rpm 60s)してペロブスカイトナノ結晶層を形成した。一方、Polydimethylsiloxane(PDMS)を平らなシリコンウェーハの上に掛けて75℃で2時間キュアリングしてPDMSスタンプを製造した。前記PDMSスタンプを前記ペロブスカイトナノ結晶層の上に完全に密着させて十分な圧力を加えた後、素早く取ってペロブスカイトナノ結晶をODTS-Treated waferから分離させた。分離されたペロブスカイトナノ結晶は、予め準備されたインジウムスズ酸化物(ITO)/PEDOT:PSS基板と接触によってPDMSから分離された。
【0293】
<製造例5-発光層の製造>
【0294】
Tris(4-carbazoyl-9-ylphenyl)amine(TCTA)、1,3,5-tris(N-phenylbenzimidazole-2-yl)benzene(TPBi)を前記ペロブスカイトナノ結晶溶液と10:10:1(w/w)比で混合してTCTA-TPBi-ペロブスカイトナノ結晶溶液を製造した。前記TCTA-TPBi-ペロブスカイトナノ結晶液を製造した。前記TCTA-TPBi-ペロブスカイトナノ結晶溶液をスピンコーティング(500rpm 7s、3000rpm 90s)してTCTA-TPBi-ペロブスカイトナノ結晶層を形成した。
【0295】
<製造例6-発光素子の製造>
【0296】
本発明の一実施例による発光素子を製造した。
【0297】
まずITO基板(ITO陽極がコーティングされたガラス基板)を準備した後、ITO陽極上に導電性物質であるPEDOT:PSS(Heraeus社のCLEVIOS PH)とフッ素系物質である下記の高分子26の物質を混合した溶液をスピンコーティングした後、150℃で30分間熱処理して40nm厚さの励起子バッファー層を形成した。
【0298】
熱処理後、前述したITO陽極上に導電性高分子を50%以上含有した導電層と、前述した高分子1の物質を50%以上含有した表面バッファーが順次積層された多層が形成される。つまり自己組織化されて、導電層と表面バッファー層が形成される。
【0299】
前述した導電層と表面バッファー層を含む励起子バッファー層の重量比は、PEDOT:PSS:高分子1が1:6:25.4であり、仕事関数は5.95eVである。
【0300】
前述した励起子バッファー層上に実施例2に前述した発光層製造方法を利用してCHNHPbBrペロブスカイト発光層を形成した。
【0301】
この後、発光層上に50nmの厚さの1,3,5-Tris(1-phenyl-1H-benzimidazol-2-yl)benzene(TPBI)を1×10-7Torr以下の高い真空で蒸着して電子輸送層を形成し、その上に1nmの厚さのLiFを蒸着して電子注入層を形成し、その上に100nmの厚さのアルミニウムを蒸着して陰電極を形成して有機無機ハイブリッドペロブスカイト発光素子を作製した。作製した発光素子の輝度(Lumianance)は50cd/mであって、電流効率(current
efficiency)は0.02cd/Aであった。
【0302】
【化45】
【0303】
(前述した高分子1の中で、x=1300、y=200、z=1である)
【0304】
<製造例7-発光素子の製造>
【0305】
発光層の製造方法を前記実施例3の方法を使用した点を除いて、前述した製造例6との同様の方法を用いて、有機無機ハイブリッドペロブスカイト発光素子を作製した。作製した発光素子の輝度(lumianance)は40cd/mであって、電流効率(current efficiency)は0.015cd/Aであった。
【0306】
<製造例8-発光素子の製造>
【0307】
発光層の製造方法を前記実施例4の方法を使用した点を除いて、前述した製造例6と同様の方法を用いて、有機無機ハイブリッドペロブスカイト発光素子を作製した。作製した発光素子の輝度(lumianance)は45cd/mであって、電流効率(current efficiency)は0.018cd/Aであった。
【0308】
<製造例9-発光素子の製造>
【0309】
発光層の製造方法を前記実施例5の方法を使用した点を除いて、前述した製造例6と同様の方法を用いて、有機無機ハイブリッドペロブスカイト発光素子を作製した。作製した発光素子の輝度(lumianance)は60cd/mであって、電流効率(current efficiency)は0.003cd/Aであった。
【0310】
<製造例10-無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を含む溶液の製造>
【0311】
本発明の一実施例に係る無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を形成した。逆ナノ-エマルジョン法によって形成した。
【0312】
具体的に、非プロトン性溶媒であるOctadecene(ODE)に炭酸セシウム(CsCO)とオレイン酸(Oleic acid)を入れて高温で反応させ、第3溶液を準備した。非プロトン性溶媒にPbBrとオレイン酸そしてオレイルアミン(Oleylamine)を入れて、高温(120℃)で一時間反応させた第4溶液を準備する。
【0313】
その後に、強く攪拌している第4溶液に第3溶液をゆっくり一滴ずつ落として添加し、三次元的構造を有する無機金属ハライドペロブスカイト(CsPbBr)ナノ結晶粒子発光体を形成した。
【0314】
したがって、無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を含む溶液を製造した。
【0315】
<製造例11-発光層の製造>
【0316】
製造1の溶液の代わりに製造例10の無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を含む溶液を使用したことを除いて、製造例2と同様にして発光層を製造した。
【0317】
<製造例12-太陽電池の製造>
【0318】
本発明の一実施例に係る太陽電池を製造した。
【0319】
まず、ITO基板(ITO陽極がコーティングされたガラス基板)を準備した後、ITO陽極上に導電性物質であるPEDOT:PSS(Heraeus社のCLEVIOS PH)をスピンコーティングした後、150℃で30分間熱処理して40nm厚さの正孔抽出層を形成した。
【0320】
前記正孔抽出層上に製造例1による有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶粒子をPhenyl-C61-butyric acid methyl ester(PCBM)と混ぜてコーティングして光活性層を形成し、光活性層の上に100nmの厚さのAlを蒸着してペロブスカイトナノ結晶粒子の太陽電池を製造した。
【0321】
<比較例1>
【0322】
薄膜型の有機無機ハイブリッドペロブスカイト(OIP film)を製造した。
【0323】
具体的に、プロトン性溶媒であるジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)に(CHNHPbBr4を溶けて第1溶液を製造した後、前記第1溶液をガラス基板上にスピンコーティングして(CHNHPbCl薄膜を製造した。
【0324】
<比較例2>
【0325】
薄膜形態の有無機ハイブリッドペロブスカイト(OIP film)を製造した。
【0326】
具体的には、プロトン性溶媒であるジメチルホルムアミド(dimethylformamide)に(CH NH PbCl を溶かし、第1溶液を製造した後、前記第1溶液をガラス基板上にスピンコーティングして(CH NH PbCl 薄膜を製造した。
【0327】
<実験例>
【0328】
図14は、製造例1の有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子と比較例1及び比較例2による有機無機ハイブリッドペロブスカイト(OIP
film)に紫外線を照射して発光光を撮影した蛍光画像である。
【0329】
図14を参照すると、比較例1及び比較例2によるナノ粒子の形態ではなく、薄膜の形態の有機無機ハイブリッドペロブスカイトは暗い光を発光する一方、製造例によるナノ粒子の形態の波長変換粒子は、非常に明るい緑色光を出すことを確認することができる。
【0330】
また、これまでの発光効率(Photoluminescence quantum yield、PLQY)を測定した結果、製造例による有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ粒子は非常に高い数値を示すことが確認できた。
【0331】
これに対して、比較例1及び比較例2による薄膜型の有機無機ハイブリッドペロブスカイトは、1%前後の低いPLQY数値を示した。
【0332】
図15は製造例及び比較例1によるナノ粒子の模式図である。
【0333】
図15(a)は比較例1による発光物質の図であって、図15(b)は製造例1による有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子の模式図である。図15(a)を参照すると、比較例1による有機無機ペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子は薄膜型であって、図15(b)を参照すると、製造例1による波長変換粒子はナノ粒子(110)の形態である。
【0334】
図16は、製造例1及び比較例1によるナノ粒子の光発光(photoluminescence)マトリックス(matrix)を各々常温と低温での撮影画像である。
【0335】
図16(a)は、比較例1による薄膜型の有機無機ハイブリッドペロブスカイト(OIP
film)の光発光マトリックスを低温(70K)にて撮影した画像であり、図16(b)は比較例1による薄膜型の有機無機ハイブリッドペロブスカイト(OIP film)の光発光マトリックスを常温(room temperature)にて撮った画像である。
【0336】
図16(c)は、製造例1による有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶構造を含む有無機ペロブスカイトナノ粒子の光発光マトリックスを低温(70 K)で撮影した画像であり、図15(d)は、製造例1による有無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶構造を含む有無機ペロブスカイトナノ粒子の発光マトリックスを常温(room temperature)で撮影した画像である。
【0337】
図16(a)から図16(d)を参照すると、製造例1による有無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子の場合、比較例1による薄膜型の有機無機ハイブリッドペロブスカイト(OIP film)と同じ位置の発光を示し、より高い色純度を示すことがわかる。また、製造例によるOIP-NC filmの場合、常温において低温と同じ位置の高い色純度の光発光を示し、発光強さ又は減少しないことがわかる。一方、比較例1による薄膜型の有機無機ハイブリッドペロブスカイトは、常温と低温において色純度及び発光位置が異なるだけではなく、常温にて熱イオン化及び電荷運搬体の非偏在化によって励起子が発光まで行かずに自由電荷に分離され消滅して低い発光強さを示す。
【0338】
図17は製造例1及び比較例1によるナノ粒子の発光(Photoluminescence)を撮影した結果のグラフである。
【0339】
図17を参照すると、製造例1による有機無機ペロブスカイトナノ粒子が溶液内に位置する溶液状態であるとき、比較例1による従来の有機無機ハイブリッドペロブスカイトと同じ位置の光発光を表し、より高い色純度を表すことがわかる。
【0340】
本発明に係る有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含むナノ粒子の第1薄膜中にFCCとBCCを組み合わせた結晶構造を有る有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶が形成され、有機平面と無機平面が交互に積層されているラメラ構造を形成されており、無機平面に励起子が拘束されて、高い色純度を生じることができる。
【0341】
また、10nmからから300nm以下のサイズ以内のナノ結晶内で励起子拡散距離が減少するだけではなく、励起子結合エネルギーが増加して熱イオン化及び電荷運搬体の非偏在化による励起子消滅を防止して、常温において高い発光効率を有することができる。
【0342】
さらに、3次元有機無機ハイブリッドペロブスカイトに比べてナノ結晶構造を合成することにより、励起子結合エネルギーを増加させて発光効率をより向上させることができるだけでなく、耐久性-安定性を増加させることができる。
【0343】
また、本発明に係る有無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を含むナノ粒子の第1薄膜製造方法によると、アルキルハライド界面活性剤の長さ及び時によって有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶のサイズ調節された有機無機ハイブリッドペロブスカイトナノ結晶構造を含む有機無機ペロブスカイトナノ粒子を合成することができる。
【0344】
以上、本発明を公的な実施例を挙げて詳しく説明したが、本発明は上述した実施例に限定されず、本発明の技術的思想及び範囲内で、当分野で通常の知識を持つものによって様々な変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0345】
10:基板
20:第1電極
30:励起子バッファー層
31:導電層
32:表面バッファー層
40:発光層
50:第2電極
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14
図15
図16
図17