(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】乾燥装置及び乾燥方法
(51)【国際特許分類】
F26B 3/28 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
F26B3/28
(21)【出願番号】P 2022055063
(22)【出願日】2022-03-30
【審査請求日】2022-06-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593039856
【氏名又は名称】マイクロ・テック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000230593
【氏名又は名称】日本化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松居 浩一
(72)【発明者】
【氏名】福家 敏之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真二
(72)【発明者】
【氏名】徳武 茉里
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-162915(JP,A)
【文献】特開2017-136749(JP,A)
【文献】特開2012-056272(JP,A)
【文献】実開昭50-138677(JP,U)
【文献】特開2012-213954(JP,A)
【文献】特開平07-189162(JP,A)
【文献】特開2017-206005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 1/00-25/22
B41F 23/04
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載せるテーブルと、
前記テーブルを左右方向に移動可能に載せたプレートと、
LEDを有する光照射器と、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する移動機構と、
前記光照射器のLEDを発光させ、前記移動機構を制御して前記テーブルと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する制御部と、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を変更する昇降機構と
を備え
、
前記昇降機構は、前記プレートを上下方向に移動させ、
前記制御部は、前記昇降機構により上下方向に移動された前記プレートの上で前記テーブルを左右方向に移動させる乾燥装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記ワー
クの左右方向の位置を変更することが可能であり、
前記制御部は、前記光照射器の発光中に、前記ワー
クを左右方向に往復移動させる請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前記ワー
クの左右方向の移動速度を変更することが可能であり、
前記制御部は、前記光照射器の発光中に、前記ワー
クの左右方向の移動速度を変更する請求項1又は2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記光照射器は、複数のLEDを直線上に配置した直線照明器であり、
前記光照射器は、白色の可視光線のみを照射し、
前記制御部は、前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を10mm以下にして、前記ワークに1000万ルックス以上の光を照射させる請求項1から3のいずれか1項に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記光照射器は、前記LEDの発光輝度を変更することが可能であり、
前記制御部は、前記ワークの基材と前記ワークに印刷されたインクとに基づいて前記光照射器の前記LEDの発光輝度を変更する請求項1から4のいずれか1項に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記移動機構は、スライダが左右方向に移動するアクチュエータを有し、
前記制御部は、前記アクチュエータの前記スライダを左右方向に移動させて、前記テーブ
ルを左右方向に移動させる請求項1から5のいずれか1項に記載の乾燥装置。
【請求項7】
ワークを載せるテーブルと、
LEDを有する光照射器と、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する移動機構と、
前記光照射器のLEDを発光させ、前記移動機構を制御して前記テーブルと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する制御部と、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を変更する昇降機構と
を備え、
前記移動機構は、スライダが左右方向に移動するアクチュエータを有し、
前記制御部は、前記アクチュエータの前記スライダを左右方向に移動させて、前記テーブルと前記光照射器との少なくともいずれかを左右方向に移動させ、
前記移動機構は、
前記テーブルを左右に移動可能に載せたプレートと、
前記スライダに固定され、上下方向にスリットが形成された移動板と、
前記テーブルに固定され、前記スリットに挿入され前記スリットを上下方向に移動する挿入部と
を有し、
前記制御部は、前記アクチュエータの前記スライダを左右方向に移動して前記移動板を左右方向に移動させ前記プレートの上で前記テーブルを左右方向に移動させ
る乾燥装置。
【請求項8】
起立したシャフトを有する基台と、
ワークを載せるテーブルと、
前記シャフトを貫通させたブッシュを有し、前記テーブルを左右方向に移動可能に載せたプレートと、
LEDを有する光照射器と、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する移動機構と、
前記光照射器のLEDを発光させ、前記移動機構を制御して前記テーブルと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する制御部と、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を変更する昇降機構と
を備え、
前記制御部は、前記昇降機構を制御して
、前記シャフトに沿って前記ブッシュを上下に移動させることにより前記プレートを上下方向に移動させ、前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を変更す
る乾燥装置。
【請求項9】
LEDを有する光照射器と、
前記光照射器を固定し、シャフトを上下方向に固定した水平枠と、
ワークを載せるテーブルと、
前記シャフトを貫通させたブッシュを有し、前記テーブルを左右方向に移動可能に載せたプレートと、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する移動機構と、
前記光照射器のLEDを発光させ、前記移動機構を制御して前記テーブルと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する制御部と、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を変更する昇降機構と
を備え、
前記制御部は、前記昇降機構を制御して、ブッシュに沿ってシャフトを上下に移動させることにより前記水平枠を上下方向に移動させ、前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を変更する乾燥装置。
【請求項10】
ワークを載せるテーブルと、
LEDを有する光照射器と、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する移動機構と、
前記光照射器のLEDを発光させ、前記移動機構を制御して前記テーブルと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する制御部と、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を変更する昇降機構と
を備え、
前記制御部は、前記昇降機構を制御して前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を変更し、
前記昇降機構は、
前記テーブルを載せたプレートと前記光照射器との少なくともいずれかに一端が固定されたワイヤーと、
モータと、
前記モータにより回転するネジと、
前記ネジの回転により位置を変えるナットと、
筐体に固定され、前記ワイヤーを中継するプーリと、
前記ワイヤーの他端が固定され、前記ナットとともに位置を変えるシフト板と
を有し、
前記制御部は、前記モータにより前記ネジを回転させ、前記ナットと前記シフト板の位置を変えることにより、前記ワイヤーで前記プレートと前記光照射器との少なくともいずれかを上下方向に移動させ
る乾燥装置。
【請求項11】
ワークを載せるテーブルと、
LEDを有する光照射器と、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する移動機構と、
前記光照射器のLEDを発光させ、前記移動機構を制御して前記テーブルと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する制御部と、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を変更する昇降機構と
を備え、
前記移動機構は、
印刷パターンが印刷された長尺状のワークを左右方向に移動させる一対の吸引ローラ
と、
回転軸が上下に移動可能に取り付けられ、前記ワークの印刷パターンと接触しない小径部と前記小径部の両側に前記小径部より径が大きい大径部とを有する一対のダンサーローラと
を有し、
前記一対の吸引ローラは、前記ワークの裏面を吸引するように前記テーブルの両サイドに回転可能に配置されており、
前記一対のダンサーローラは、前記ワークの左右方向への移動中に前記ワークに張力を供給し、
前記制御部は、
前記一対の吸引ローラに前記ワークの裏面を吸引させながら前記一対の吸引ローラを回転させて
前記ワークを左右方向に往復移動させ
る乾燥装置。
【請求項12】
ワークを載せるテーブルと、
前記テーブルを左右方向に移動可能に載せたプレートと、LEDを有する光照射器と、前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する移動機構と、前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を変更する昇降機構を備えた乾燥装置の乾燥方法であって、
前記昇降機構を制御して
、前記プレートを上下方向に移動させ、前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を変更し、
前記移動機構を制御して
、前記昇降機構により上下方向に移動された前記プレートの上で前記テーブルを左右方向に移動させ、前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する乾燥方法。
【請求項13】
前記光照射器の発光中に、前記ワー
クを左右方向に往復移動させる請求項12に記載の乾燥方法。
【請求項14】
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を10mm以下にして、前記ワークに1000万ルックス以上の光を照射する請求項12又は13に記載の乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置及び乾燥方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷したワークを乾燥する乾燥装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-133361号公報
【文献】特開2005-524989号公報
【文献】特開2014-121876号公報
【文献】特開2010-194727号公報
【文献】特開2017-201219号公報
【文献】特開2017-136749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施の形態では、ワークに適した乾燥装置及び乾燥方法を提供したい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る乾燥装置は、
ワークを載せるテーブルと、
LEDを有する光照射器と、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する移動機構と、
前記光照射器のLEDを発光させ、前記移動機構を制御して前記テーブルと前記光照射器との左右方向の相対的位置を変更する制御部と、
前記テーブルに載せた前記ワークと前記光照射器との上下方向の間隔を変更する昇降機構と
を備えた。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、移動機構を制御してテーブルと光照射器との左右方向の相対的位置を変更し、LEDを有する光照射器を用いてワークを乾燥しているので、ワークに適した乾燥をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1の乾燥装置100の正面図である。
【
図2】実施の形態1の乾燥装置100の左側面図である。
【
図3】実施の形態1の乾燥装置100の部分斜視図である。
【
図4】実施の形態1の乾燥装置100とスクリーン印刷装置200と焼成装置300の関係図である。
【
図5】実施の形態1の乾燥装置100の乾燥方法のフローチャートである。
【
図6】実施の形態1の乾燥装置100の上下移動動作の正面図である。
【
図7】実施の形態1の乾燥装置100の上下移動動作の左側面図である。
【
図8】実施の形態1の乾燥装置100の左右移動動作の正面図である。
【
図9】実施の形態1の乾燥装置100の左右移動動作の正面図である。
【
図10】実施の形態1の乾燥装置100の乾燥方法のフローチャートである。
【
図11】実施の形態1の乾燥装置100の変形例1の正面図である。
【
図12】実施の形態1の乾燥装置100の変形例1の左側面図である。
【
図13】実施の形態1の乾燥装置100の変形例2の正面図である。
【
図14】実施の形態1の乾燥装置100の変形例2の左側面図である。
【
図15】実施の形態1の乾燥装置100の変形例3の斜視図である。
【
図16】実施の形態2の乾燥装置100の斜視図である。
【
図17】実施の形態2の乾燥装置100の変形例1の斜視図である。
【
図18】実施の形態2の乾燥装置100の変形例2の斜視図である。
【
図19】実施の形態2の乾燥装置100の変形例3の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に説明する各図において、Zは上下方向を示す。
Xは、左右方向すなわち横方向を示す。
Yは、前後方向すなわち奥行き方向を示す。
X、Y、Zは、直交しており、X、Yは水平方向であり、Zは垂直方向である。
【0009】
実施の形態1.
この実施の形態では、ワーク90が回路基板の場合を説明する。
【0010】
<<<乾燥装置100の構成>>>
図1は、実施の形態1の乾燥装置100の壁15を取り除いた正面図である。
図2は、実施の形態1の乾燥装置100の左側面図である。
図3は、実施の形態1の乾燥装置100の移動機構40を示す部分斜視図である。
【0011】
●乾燥装置100●
乾燥装置100は、筐体10と、昇降機構20と、プレート30と、移動機構40と、テーブル50と、光照射器60と、制御部80とを有する。
【0012】
●筐体10●
筐体10は、基台11と、基枠12と、シャフト13と、設置台14とを有する。
【0013】
●昇降機構20●
昇降機構20は、シフト板21と、ワイヤー留め22と、ナット23と、ネジ24と、モータ25と、プーリ26と、ワイヤー27とを有する。
【0014】
●プレート30●
プレート30は、レール31と、ブッシュ32とを有する。
【0015】
●移動機構40●
移動機構40は、固定台41と、アクチュエータ42と、スライダ43と、移動板44とを有する。
【0016】
●テーブル50●
テーブル50は、ブロック51と、サイド片52と、挿入部53と、サイド板54とを有する。
【0017】
●筐体10●
筐体10は、乾燥装置100の基台となるものである。
筐体10は、
図2のように前面に矩形の壁15を有する。
壁15は、基枠12に固定されている。
壁15は、基台11と基枠12とにより形成される空間を覆っている。
壁15は、光照射器60の光が前面に広がることを防止する遮光板である。
【0018】
●昇降機構20●
昇降機構20は、テーブル50を昇降させて、テーブル50に載せたワーク90と光照射器60との上下方向の間隔を変更する。
【0019】
●プレート30●
プレート30は、長尺の矩形の平板である。
プレート30は、テーブル50を左右方向に移動可能に載せている。
【0020】
●移動機構40●
移動機構40は、テーブル50を左右方向に移動させて、テーブル50に載せたワーク90と光照射器60との左右方向の相対的位置を変更する。
【0021】
●テーブル50●
テーブル50は、矩形の平板である。
テーブル50は、4つの側面にサイド板54を有する。
テーブル50の表面よりも、サイド板54の上部が高くなっている。
【0022】
●サイド板54●
サイド板54は、テーブル50の側面に固定されている。
サイド板54は、4枚ある。
サイド板54の上部は、テーブル50の表面より高い。
サイド板54は、ワーク90がテーブル50からずり落ちないようにしている。
【0023】
●光照射器60●
光照射器60は、複数のLED(発光ダイオード:light emitting diode)を直線上に配置した直線照明器である。
光照射器60は、高輝度ライン照明器である。
複数のLEDは、点光源であり、全て同一仕様であり、白色光を発光する。
光照射器60は、全て同一仕様の点光源をライン上に配列しているので、照射ラインにおいて均一の照度を提供することができる。
【0024】
光照射器60の照射距離と照度との関係の好適な例は以下のとおりである。
「照射距離」は、光照射器60の下面とワーク90との距離である。
「照度」は、ワーク90表面の明るさである。
光照射器60の10mmから100mm離れた場所における照度は、1000万ルックスから400万ルックスである。
光照射器60の10mm以下離れた場所における照度は、1000万ルックス以上である。
照射距離 照度
10mm以下 1000万ルックス以上
50mm 600万ルックス
100mm 400万ルックス
【0025】
光照射器60の波長と相対強度とによる分光特性の好適な例は以下のとおりである。
「波長」は、LEDが出す光の波長である。
「相対強度」は、LEDが出す光のうち最も強度が強い波長(450nm)を1.0とした場合、LEDが出す光の他の波長の強度である。
LEDが出す光は、ピーク波長450nmにおいて相対強度が1.0であり、ピーク波長560nmにおいて相対強度が0.6以上の分光特性を有する。
光照射器60は、波長380nm超780nm未満の可視光線を照射する。
光照射器60は、紫外線(波長200nmから380nm)を照射しない。
光照射器60は、赤外線(波長780nmから1mm)を照射しない。
光照射器60は、電源を制御することにより、LEDの発光輝度を256段階又は1000段階変更することが可能である。
【0026】
●制御部80●
制御部80は、中央処理装置と、メモリと、記憶装置と、プログラムと、表示器と、電源とを有する電子デバイスである。
制御部80は、信号線88の信号により、昇降機構20と移動機構40と光照射器60とを制御して、乾燥装置100による乾燥を実施する。
制御部80は、以下を個別に又は同時に制御することができる。
1.光照射器60のオンオフと発光輝度。
2.テーブル50に載せたワーク90と光照射器60との左右方向の相対的位置。
3.テーブル50に載せたワーク90と光照射器60との上下方向の間隔。
【0027】
●基台11●
基台11は、矩形の平板である。
【0028】
●基枠12●
基枠12は、4本の縦枠と4本の横枠とを有する。
4本の縦枠と4本の横枠は、角柱形状又はH型形状をしている。
4本の縦枠は、基台11に固定されている。
4本の縦枠は、基台11の4角から起立している。
4本の横枠は、4本の縦枠の上端に水平に固定されている。
【0029】
●シャフト13●
シャフト13は、基台11から起立している。
シャフト13は、4本の縦枠の内側近傍に4本ある。
シャフト13は、円柱形状をしている。
【0030】
●設置台14●
設置台14は、基台11に固定されている。
設置台14は、ネジ24を設置する台である。
設置台14は、ネジ24の左右2か所にある。
設置台14は、ベアリングを介してネジ24を回転可能に保持している。
【0031】
●ネジ24●
ネジ24は、ボールねじである。
ネジ24は、水平に配置されている。
ネジ24は、左のネジ切と右のネジ切を有する。
左のネジ切と右のネジ切とは、反対方向にネジが形成されている。
【0032】
●ナット23●
ナット23は、ネジ24に2個設けられている。
2個のナット23は、左のネジ切と右のネジ切に設けられている。
2個のナット23は、ネジ24が左回転すると間隔が狭くなる。
2個のナット23は、ネジ24が右回転すると間隔が広くなる。
【0033】
●シフト板21●
シフト板21は、左右のナット23の上部に固定された長尺板である。
シフト板21は、水平を保つように取り付けられている。
シフト板21は、ナット23がネジ24とともに回転しないようにしている。
シフト板21は、ナット23の左右方向の移動とともに左右方向に移動する。
2個のシフト板21は、ネジ24が左回転すると間隔が狭くなる。
2個のシフト板21は、ネジ24が右回転すると間隔が広くなる。
【0034】
●モータ25●
モータ25は、制御部80によりネジ24を左回転及び右回転させる。
【0035】
●ワイヤー留め22●
ワイヤー留め22は、ワイヤー27の端部を固定する。
ワイヤー留め22は、シフト板21とプレート30との側面に配置されている。
ワイヤー留め22は、シフト板21とワイヤー27の一端とを固定する。
ワイヤー留め22は、プレート30とワイヤー27の他端とを固定する。
【0036】
●プーリ26●
プーリ26は、筐体10の壁15に回転可能に固定されている。
プーリ26は、上下に2個設けられている。
プーリ26は、ワイヤー27の経路を決定する。
上部のプーリ26は、プレート30よりも高い位置に固定されている。
下部のプーリ26は、ワイヤー27の移動方向を上下方向と水平方向との間で変更する。
【0037】
●ワイヤー27●
ワイヤー27は、上部のプーリ26を経由してプレート30を吊り下げている。
2個のナット23の間隔が狭くなると、プレート30は上昇する。
2個のナット23の間隔が広くなると、重力によりプレート30は下降する。
【0038】
●レール31●
レール31は、プレート30の表面に配置されている。
レール31は、2本ある。
2本のレール31は、平行に配置されている。
【0039】
●ブッシュ32●
ブッシュ32は、プレート30のコーナに固定されている。
ブッシュ32は、4個ある。
ブッシュ32は、中央にシャフト13を貫通させている。
プレート30とブッシュ32は、シャフト13に沿って上下に移動可能である。
【0040】
●固定台41●
固定台41は、基台11に固定されている。
固定台41は、アクチュエータ42を基台11に固定する。
【0041】
●アクチュエータ42●
アクチュエータ42は、電動のシリンダである。
アクチュエータ42は、スライダ43を左右方向に移動させることができる。
【0042】
●スライダ43●
スライダ43は、左右方向に移動する可動片である。
スライダ43の移動は、制御部80により制御される。
【0043】
●移動板44●
移動板44が、スライダ43に固定された板である。
移動板44は、縦に長尺の板である。
移動板44の上部には、スリット45がある。
【0044】
●ブロック51●
ブロック51は、テーブル50の底面に固定されている。
ブロック51は、レール31にはめ合わされる。
ブロック51とレール31は、リニアガイドを構成している。
【0045】
●サイド片52●
サイド片52は、テーブル50の側面に固定された6面体の部材である。
サイド片52は、テーブル50の側面から移動板44に向かって突出している。
【0046】
●挿入部53●
挿入部53は、サイド片52の先端に固定されている。
挿入部53は、ベアリング部材を有する。
挿入部53は、移動板44のスリット45に挿入されている。
挿入部53がスリット45に挿入されているので、移動板44が左右方向に移動すると、テーブル50も左右方向に移動する。
【0047】
<<<乾燥装置100の設置システムの例>>>
図4は、実施の形態1の乾燥装置100とスクリーン印刷装置200と焼成装置300の関係図である。
【0048】
●スクリーン印刷装置200●
スクリーン印刷装置200は、インクを用いてワーク90に印刷パターンを印刷する。
インクとしては、亜酸化銅ペースト、銀ペースト、半田ペースト、フラックスペーストなどを用いることができる。
インクは、紫外線により化学反応が促進される物質を含んでいない。
インクは、赤外線により化学反応が促進される物質を含んでいない。
【0049】
●乾燥装置100●
乾燥装置100は、スクリーン印刷装置200で印刷されたワーク90を乾燥する。
乾燥装置100がインクを乾燥させることにより、焼成装置300における焼成がより確実になる。
【0050】
●焼成装置300●
焼成装置300は、乾燥装置100が乾燥させたワーク90を焼成する。
焼成装置300は、インクが亜酸化銅ペーストの場合、キセノンパルス光照射器を有する。
キセノンパルス光照射器は、1パルス当たり2~4ジュール/平方cmのキセノンフラッシュ光をワーク90に照射する。
キセノンフラッシュ光は、ワーク90よりも亜酸化銅ペーストを加熱する。
キセノンフラッシュ光は、ワーク90の表面にある亜酸化銅ペーストを摂氏1000度以上に加熱する。
一方、ワーク90の表面から20ミクロン下の部分は、摂氏200度前後になる。
ワーク90の表面から150ミクロン下の部分は、摂氏100度前後になる。
【0051】
●亜酸化銅●
亜酸化銅(Cu2O)は、銅の酸化物である。
亜酸化銅は、暗赤色で結晶性の粉末である。
亜酸化銅は、酸化第一銅とも呼ばれる。
亜酸化銅の融点は、摂氏1232度である。
【0052】
●亜酸化銅ペースト●
亜酸化銅ペーストは、亜酸化銅を微粒子状にしてペースト化したものである。
亜酸化銅ペーストは、電子回路の焼成を可能にする光焼成用ペーストである。
亜酸化銅ペーストは、印刷後、及び、乾燥後、まだ導通しない。
亜酸化銅ペーストは、大気下で、短時間で焼成することができる。
亜酸化銅ペーストは、光還元すると酸素が放出されて酸化銅が銅に戻り導通可能となる。
亜酸化銅ペーストは、キセノンフラッシュ光の強い光を照射するだけで導通可能となる。
亜酸化銅ペーストを用いる場合は、高温による焼成工程が不要である。
【0053】
●ワーク90●
ワーク90は、回路基板である。
ワーク90は、平板である。
ワーク90の基材は、紙、木、樹脂、ガラス、金属、セラミックなどである。
亜酸化銅ペーストを用いる場合は、高温による焼成工程が不要であるため、ワーク90の基材として、以下のような、低耐熱性の基材を用いることができる。
1.紙、
2.ポリエチレンテレフタレート(PET)、
3.ポリプロピレン(PP)、
4.その他の樹脂、
【0054】
<<<乾燥装置100の乾燥方法>>>
図5により、実施の形態1の乾燥装置100の乾燥方法のフローチャートである。
電源投入後の初期状態は、
図1と
図2のとおりである。
図5の乾燥方法は、ワークの搬入と搬出とがテーブルの上昇と下降を伴う必要がある場合に使用する。
以下の動作は、制御部80が制御して行う。
制御部80は、光照射器60の電源をオンにして、発光輝度を設定して、LEDを発光させる。
制御部80は、ワーク90の基材に適した発光輝度を設定する。
制御部80は、ワーク90に印刷されたインクの種類とインクの厚さに適した発光輝度を設定する。
【0055】
●ステップS1●
ワーク設置工程:
制御部80は、図示していないワーク搬入装置により、ワーク90をテーブル50に設置する。
【0056】
●ステップS2●
昇降機構20によるテーブル50の上昇工程:
図6と
図7
制御部80は、ネジ24を左回転させシフト板21とナット23との間隔を狭くする。
シフト板21とナット23との間隔が狭くなると、ワイヤー27の一端が中央に引き寄せられ、ワイヤー27の他端が上昇する。
ワイヤー27が上昇するとプレート30とテーブル50が上昇する。
プレート30のコーナには4個のブッシュ32があるので、プレート30は水平を保ったまま上昇する。
プレート30が上昇するにつれて、挿入部53もスリット45を上昇する。
制御部80は、ワーク90の種類、インクの種類などに応じて、光照射器60とワーク90との間隔を個別に設定する。
制御部80は、早期乾燥を実現したい場合、テーブル50に載せたワーク90と光照射器60との上下方向の間隔を10mm以下にして、ワーク90に1000万ルックス以上の光を照射する。
あるいは、制御部80は、テーブル50に載せたワーク90と光照射器60との上下方向の間隔を10mm前後にして、ワーク90に1000万ルックスの光を照射する。
【0057】
●ステップS3●
移動機構40によるテーブル50の往路移動工程:
図8と
図9
制御部80は、アクチュエータ42を動作させ、スライダ43を右方向に移動させる。
スライダ43が右方向に移動すると、移動板44も右方向に移動する。
移動板44が右方向に移動すると、挿入部53も右方向に移動する。
挿入部53が右方向に移動すると、テーブル50も右方向に移動する。
テーブル50の移動中に、ワーク90は光照射器60の光を照射している。
制御部80は、光照射器60の発光中に、ワーク90の左右方向の移動速度を変更してもよい。
制御部80は、ワーク90の印刷パターンがない部分は移動速度を速くする。
制御部80は、ワーク90の印刷パターンが複雑な部分は移動速度を遅くする。
【0058】
●ステップS4●
移動機構40によるテーブル50の復路移動工程:
制御部80は、アクチュエータ42を動作させ、スライダ43を左方向に移動させる。
スライダ43が左方向に移動すると、移動板44も左方向に移動する。
移動板44が左方向に移動すると、挿入部53も左方向に移動する。
挿入部53が左方向に移動すると、テーブル50も左方向に移動する。
テーブル50の移動中に、ワーク90は光照射器60の光を照射している。
【0059】
●ステップS5●
昇降機構20によるテーブル50の下降工程:
制御部80は、ネジ24を右回転させシフト板21とナット23との間隔を広くする。
シフト板21とナット23との間隔が広くなると、ワイヤー27の一端が外側に戻され、ワイヤー27のテンションがなくなる。
ワイヤー27のテンションがなくなるとプレート30とテーブル50が自重により下降する。
プレート30のコーナには4個のブッシュ32があるので、プレート30は水平を保ったまま下降する。
プレート30が下降するにつれて、挿入部53もスリット45を下降する。
【0060】
●ステップS6●
ワーク搬出工程:
制御部80は、図示していないワーク搬出装置により、ワーク90をテーブル50から搬出する。
制御部80は、ステップS1からS6を繰り返して複数のワーク90の乾燥を連続で実行する。
【0061】
なお、制御部80は、ステップS3の往路乾燥とステップS4の復路乾燥を繰り返して実行してもよい。
また、制御部80は、ステップS3の往路乾燥のみ、又は、ステップS4の復路乾燥のみを実行してもよい。
また、制御部80は、ステップS3の往路乾燥、又は、ステップS4の復路乾燥において、テーブル50の移動を停止させて乾燥を実行してもよい。
また、制御部80は、テーブル50の上下移動をテーブル50の左右移動と同時に実施してもよい。すなわち、制御部80は、光照射器60とワーク90との間隔を変更しながらワーク90を乾燥してもよい。
【0062】
<<他の乾燥方法:
図10>>
さらに、乾燥装置100は、
図10の乾燥方法を実施してもよい。
図10が、
図5と異なる点は、昇降機構によるテーブルの上昇工程S2と昇降機構によるテーブルの下降工程S5とが、複数のワーク90の繰り返し乾燥の外部にあることである。
図10の乾燥方法は、ワークの搬入と搬出とがテーブルの上昇と下降を伴わなくても可能な場合に使用することができる。
図10の乾燥方法は、連続して乾燥する複数のワーク90に対して、光照射器60とワーク90との間隔を変更しなくてもよい場合に使用することができる。
【0063】
<<紫外線照射との比較>>
紫外線は、紫外線硬化型インク、紫外線硬化型塗料、紫外線硬化型接着剤などの紫外線硬化に用いられる。紫外線により硬化しないインクに対して、紫外線照射は意味がない。
また、紫外線は、殺菌に用いられる。殺菌する必要がないワーク90に対して、紫外線照射は意味がない。
【0064】
<<赤外線照射との比較>>
赤外線は、物質により吸収性が異なり、物質により加熱されやすいものと加熱されにくいものがある。したがって、ワーク90の基材とインクの種類によって、赤外線の吸収性が異なり、赤外線による乾燥が適切ではない場合がある。
また、赤外線による乾燥は、加熱による乾燥なので水分を蒸発させる。水蒸気は赤外線による乾燥効率を悪くするので、水分を含んだインクの乾燥には対流により水蒸気を除去する。
LEDによる乾燥の場合には、可視光線なので、赤外線のように物質により吸収性が異なることはない。
【0065】
<<近赤外線炉による乾燥との比較例>>
近赤外線は、波長が0.78μm~3μmの赤外線である。
近赤外線は、フィラメントなどの摂氏2000度程度の高温の物体から放射される。
近赤外線を乾燥に利用する場合、フィラメントの光熱により、ワーク90とインクとが過剰に加熱される可能性がある。
LED発光時のLEDの最大温度(LEDのジャンクション温度)は、摂氏100度以下又は摂氏100度から300度程度であり、加熱による弊害が小さい。
【0066】
***実施の形態1の効果の説明***
本実施の形態によれば、LEDを有する光照射器を用いているので、ワークに適した乾燥をすることができる。
【0067】
本実施の形態によれば、移動機構を制御してテーブルと光照射器との左右方向の相対的位置を変更するので、ワークをむらなく均一に乾燥することができる。
【0068】
本実施の形態によれば、昇降機構を制御してテーブルと光照射器との上下方向の間隔を変更するので、ワークに適した間隔で乾燥することができる。
【0069】
本実施の形態によれば、往路と復路で乾燥するので、ワークを確実に乾燥することができる。
【0070】
***変形例1***
光照射器60を上下させる構成例について説明する。
図11は、実施の形態1の乾燥装置100の変形例の正面図である。
図12は、実施の形態1の乾燥装置100の変形例の左側面図である。
この変形例1の移動機構40の構成は、
図1と
図2の移動機構40と同じである。
この変形例1の昇降機構20は、
図1と
図2のようにプレート30を昇降させるのではなく、光照射器60を昇降させる。
以下、主として、昇降機構20について
図1と
図2と異なる点について説明する。
【0071】
●基枠12●
基枠12は、4本の縦枠を有する。横枠はない。
4本の縦枠は、基台11に固定されている。
4本の縦枠は、基台11の4角から起立している。
4本の縦枠は、上端にプレート30を水平に固定している。
【0072】
●水平枠28●
水平枠28は、4本の水平バーを有する。
水平バーは、角柱形状又はH型形状をしている。
水平枠28は、矩形状に形成されている。
水平枠28の対向する前後の水平バーの中央に、光照射器60が固定されている。
矩形状の水平枠28のコーナの下部にシャフト29が固定されている。
【0073】
●シャフト29●
シャフト29は、水平枠28コーナの下部から下方に垂直に固定されている。
シャフト29は、4本の基枠12の近傍に4本ある。
シャフト29は、円柱形状をしている。
シャフト29は、プレート30のコーナに固定されているブッシュ32を貫通している。
シャフト29は、ブッシュ32に沿って上下に移動する。
【0074】
●ワイヤー留め22●
ワイヤー留め22は、ワイヤー27の端部を固定する。
ワイヤー留め22は、シフト板21と水平枠28との側面に配置されている。
ワイヤー留め22は、シフト板21とワイヤー27の一端とを固定する。
ワイヤー留め22は、水平枠28とワイヤー27の他端とを固定する。
【0075】
●ワイヤー27●
ワイヤー27は、水平枠28を吊り下げている。
ネジ24が正逆に回転すれば、水平枠28は上昇又は下降する。
【0076】
<<<乾燥装置100の乾燥方法>>>
以下、主として、昇降機構20の動作について
図1と
図2と異なる点について説明する。
【0077】
昇降機構による光照射器60の上昇工程:
制御部80は、ネジ24を左回転させシフト板21とナット23との間隔を狭くする。
シフト板21とナット23との間隔が狭くなると、ワイヤー27の一端が中央に引き寄せられ、ワイヤー27の他端が上昇する。
ワイヤー27の他端が上昇すると水平枠28が上昇し、光照射器60が上昇する。
【0078】
昇降機構による光照射器60の下降工程:
制御部80は、ネジ24を右回転させシフト板21とナット23との間隔を広くする。
シフト板21とナット23との間隔が広くなると、ワイヤー27の一端が外側に戻され、ワイヤー27のテンションがなくなる。
ワイヤー27のテンションがなくなると水平枠28と光照射器60とが自重により下降する。
【0079】
***変形例2***
移動機構40により、テーブル50を左右方向に移動させるのでなく、移動機構40により光照射器60を左右方向に移動させてもよい。
図13は、実施の形態1の乾燥装置100の変形例2の正面図である。
図14は、実施の形態1の乾燥装置100の変形例2の左側面図である。
この変形例2の構成は、
図1と
図2の移動機構と同じであるが、光照射器60の移動機構70が追加されている。
以下、主として、移動機構70について説明する。
【0080】
移動機構70は、リニアガイド71とアクチュエータ72とスライダ73を有する。
リニアガイド71は、横枠の内側に固定されたレールと光照射器60の両サイドの固定されたブロックを有する。
リニアガイド71は、光照射器60を左右方向に移動可能にする。
アクチュエータ72は、固定台41の上部に固定され、横枠の外側に配置されている。
アクチュエータ72は、固定台41ではなく横枠の外側に固定されてもよい。
スライダ73は、光照射器60の側面を固定している。
制御部80は、アクチュエータ72を制御して、スライダ73を左右方向に移動させ、光照射器60を左右方向に移動させる。
移動機構40は、移動機構70があればなくてもよい。
【0081】
***変形例3***
昇降機構20と移動機構40をアクチュエータとスライダにより構成してもよい。
図15は、実施の形態1の乾燥装置100の変形例3の斜視図である。
【0082】
図15は、移動機構40に昇降機構20を取り付けている。
移動機構40は、アクチュエータ42とスライダ43を有する。
昇降機構20は、アクチュエータ74とスライダ75を有する。
スライダ43は、アクチュエータ74を固定している。
スライダ43が左右方向に移動すると、アクチュエータ74も左右方向に移動する。
スライダ75は、テーブル50を固定している。
スライダ75が上下方向に移動すると、テーブル50も上下方向に移動する。
図示しないが、移動機構40に昇降機構20を取り付けるのではなく、昇降機構20に移動機構40を取り付けてもよい。
【0083】
実施の形態2.
この実施の形態2では、前述した実施の形態1と異なる点について説明する。
この実施の形態2では、ワーク90が長尺のロールの場合を説明する。
【0084】
<<<乾燥装置100の構成>>>
***構成の説明***
図16は、実施の形態2の乾燥装置100の斜視図である。
【0085】
●乾燥装置100●
乾燥装置100は、筐体110と、昇降機構120と、移動機構140と、テーブル150と、光照射器60と、制御部80とを有する。
【0086】
●筐体110●
筐体110は、基台111と、4本の基枠112とを有する。
【0087】
●昇降機構120●
昇降機構120は、ナット123と、ネジ124と、モータ125と、上下板126と、シャフト127と、桟128とを有する。
【0088】
●移動機構140●
移動機構40は、一対の吸引ローラ141と、一対のモータ142と、一対のダンサーローラ143とを有する。
【0089】
●昇降機構120●
昇降機構120は、光照射器60を昇降させて、テーブル150に載せたワーク90と光照射器60との上下方向の間隔を変更する。
【0090】
●移動機構140●
移動機構140は、ワーク90を左右方向に移動させて、テーブル150に載せたワーク90と光照射器60との左右方向の相対的位置を変更する。
【0091】
●テーブル150●
テーブル150は、矩形の平板である。
テーブル150は、4本の基枠112の上部に水平に固定されている。
テーブル150は、コーナに4個のブッシュ151を有する。
【0092】
●ブッシュ151●
ブッシュ151は、テーブル150のコーナに固定されている。
ブッシュ151は、4個ある。
ブッシュ151は、中央にシャフト13を上下に移動可能に貫通させている。
【0093】
●ネジ124●
ネジ124は、ボールねじである。
ネジ24は、垂直に配置されている。
【0094】
●ナット123●
ナット23は、上下板126の下面に固定されている。
ナット23は、ネジ24に1個設けられている。
【0095】
●上下板126●
上下板126は、ナット23の上部に固定された水平の板である。
上下板126は、ナット23の上下方向の移動とともに上下方向に移動する。
【0096】
●モータ125●
モータ125は、基台111に固定されている。
モータ125は、ネジ124を左回転及び右回転させる。
モータ125の回転により、ネジ124が回転し、上下板126が昇降する。
【0097】
●シャフト127●
シャフト127は、上下板126のコーナの上面に固定されている。
シャフト127は、テーブル150のブッシュ151を貫通している。
シャフト127が上昇すれば、桟128と光照射器60が上昇する。
シャフト127が下降すれば、桟128と光照射器60が下降する。
【0098】
●吸引ローラ141●
吸引ローラ141は、テーブル150の両サイドに回転可能に配置されている。
吸引ローラ141は、ワーク90の裏面を吸引する吸引機能が付いたエアーシャフトである。
吸引ローラ141は、図示していない吸引器に接続されている。
吸引ローラ141の回転と吸引器の吸引は、制御部80により制御される。
2個の吸引ローラ141は、ワーク90の裏面を吸引しながら同じ方向に回転する。
吸引ローラ141は、ワーク90を吸引してワーク90を右方向と左方向に移動させる。
【0099】
●モータ142●
モータ142は、吸引ローラ141を正回転と逆回転させる。
【0100】
●ダンサーローラ143●
ダンサーローラ143は、回転軸が上下に移動可能に取り付けられている。
ダンサーローラ143の回転軸には、常時、下方の力が加えられている。
ダンサーローラ143は、ワーク90に絶えず一定の張力を供給する。
【0101】
●小径部144・大径部145●
ダンサーローラ143は、中央に小径部144を有する。
ダンサーローラ143は、小径部144の両側に大径部145を有する。
小径部144は、大径部145より径が小さい。
小径部144の回転軸方向の長さは、ワーク90の印刷パターンの領域よりも長い。
ワーク90の表面の幅方向の両端が大径部145と接触する。
ワーク90の表面の幅方向の中央は小径部144に接触しない。
したがって、ダンサーローラ143は、ワーク90の印刷パターンと接触しない。
【0102】
●ワーク90●
ワーク90は、ロール材ある。
ワーク90は、乾燥中に吸引ローラ141により左右方向に移動させられる。
【0103】
<<<乾燥装置100の乾燥方法>>>
ワーク90は、図示していないロール処理装置により繰り出され巻き取られる。
制御部80は、信号線88の信号により、昇降機構120と移動機構140と光照射器60とを制御して、乾燥装置100による乾燥方法を実施する。
制御部80は、光照射器60の電源をオンにして、発光輝度を設定して、LEDを発光させる。
制御部80は、モータ125を回転させ、上下板126とシャフト127とを上下させ、光照射器60の位置決めをする。
制御部80は、吸引ローラ141でワーク90を吸引しながら吸引ローラ141を回転させる。
ワーク90は、テーブル150の表面で吸引ローラ141の回転方向に移動する。
乾燥中にテーブル150の左右においてワーク90のたるみと緊張が生じる。
ワーク90のたるみは、ダンサーローラ143が下方に移動することにより吸収される。
ワーク90の緊張は、ダンサーローラ143が上方に移動することにより吸収される。
ダンサーローラ143は、乾燥装置100とスクリーン印刷装置200とのワーク90の搬送速度のずれと乾燥装置100と焼成装置300とのワーク90の搬送速度とのずれを吸収するものである。
さらに、ダンサーローラ143は、以下の乾燥装置100に乾燥によるワーク90のたるみと緊張を吸収する。
1.ワーク90の右方向への移動(往路乾燥)により生じる左右のたるみと緊張
2.ワーク90の左方向への移動(復路乾燥)により生じる左右のたるみと緊張
3.ワーク90の停止中(停止乾燥)により生じる左右のたるみと緊張
ダンサーローラ143は、ロール処理装置によりワーク90が常時移動中でも、ワーク90のたるみと緊張とを吸収する。
制御部80は、ダンサーローラ143の許容範囲内で、ワーク90を左右方向に移動させる。
【0104】
***実施の形態2の効果***
この実施の形態によれば、吸引ローラ141によりワーク90をロール処理装置によるワーク90の巻取り装置による移動とは独立して主体的に移動させることができるので、ワーク90がロールの場合でも適切な乾燥ができる。
この実施の形態によれば、ダンサーローラ143により、乾燥装置100とスクリーン印刷装置200と焼成装置300とが、ロール状のワーク90を連続で処理をすることができる。
【0105】
***変形例1***
図17は、実施の形態2の乾燥装置100の変形例1の斜視図である。
図17が、
図16と異なる点は、昇降機構120が光照射器60を上下方向に移動させるのではなく、昇降機構120がテーブル150を上下方向に移動させる点である。
【0106】
2本の桟128は、4本の基枠112の上部に固定されている。
2本の桟128は、平行であり、水平である。
光照射器60は、桟128の中央に固定されている。
【0107】
●昇降機構120●
昇降機構120は、テーブル150を上下方向に移動させて、テーブル150に載せたワーク90と光照射器60との上下方向の間隔を変更する。
昇降機構120は、ナット123と、ネジ124と、モータ125と、上下板126と、シャフト127とを有する。
【0108】
●テーブル150●
テーブル150は、矩形の平板である。
テーブル150は、シャフト127の上部に水平に固定されている。
【0109】
●固定板130●
固定板130は、4本の基枠112の上下方向の中央に水平に固定されている。
固定板130は、コーナにブッシュ131を有する。
【0110】
●シャフト127●
シャフト127は、上端にテーブル150と固定している。
シャフト127は、下端に上下板126を固定している。
シャフト127は、ブッシュ131を貫通している。
シャフト127が上昇すれば、テーブル150と吸引ローラ141とモータ142が上昇する。
シャフト127が下降すれば、テーブル150と吸引ローラ141とモータ142が下降する。
【0111】
制御部80は、モータ125を回転させ、上下板126とシャフト127とを上下させ、テーブル150と吸引ローラ141とモータ142の位置決めをする。
制御部80は、吸引ローラ141でワーク90を吸引しながら吸引ローラ141を回転させる。
【0112】
***変形例2***
図18は、実施の形態2の乾燥装置100の変形例2の斜視図である。
図18が、
図16と異なる点は、移動機構70が、光照射器60を左右方向に移動させる点である。
【0113】
移動機構70は、リニアガイド71とアクチュエータ72とスライダ73を有する。
リニアガイド71は、桟128の上側に固定されたレールと光照射器60の下面の両サイドの固定されたブロックを有する。
リニアガイド71は、光照射器60を左右方向に移動可能にする。
アクチュエータ72は、桟128の外側に固定されている。
スライダ73は、光照射器60の側面を固定している。
移動機構70は、桟128と光照射器60とともに昇降する。
【0114】
制御部80は、吸引ローラ141でワーク90を吸引しながら吸引ローラ141を回転させてワーク90を左右方向に移動させる。
制御部80は、アクチュエータ72を制御して、スライダ73を左右方向に移動させ、光照射器60を左右方向に移動させる。
制御部80は、ワーク90と光照射器60との両方を移動させてもよいし、ワーク90と光照射器60との片方のみを移動させてもよい。
【0115】
***変形例3***
図19は、実施の形態2の乾燥装置100の変形例3の斜視図である。
図19が、
図17と異なる点は、移動機構70が光照射器60を左右方向に移動させる点である。
図19の移動機構70の構成は、
図18と同じである。
移動機構70と桟128と光照射器60と葉、昇降しない。
【0116】
<<<乾燥装置100の特徴>>>
前述した乾燥装置100は、以下の特徴を有する。
乾燥装置100は、紫外線を用いていない。
乾燥装置100は、赤外線を用いていない。
乾燥装置100は、白色の可視光線のみを用いている。
乾燥装置100は、放電発光ランプを用いていない。
乾燥装置100は、キセノンランプを用いていない。
乾燥装置100は、メタルハライドランプを用いていない。
乾燥装置100は、光源としてLEDのみを用いている。
乾燥装置100は、焼成装置300の焼成温度以上にワーク90を加熱しない。
乾燥装置100は、ワーク90の基材が耐えうる温度以上にワーク90を加熱しない。
【0117】
乾燥装置100は、テーブル50と光照射器60と移動機構40と制御部80とを備える。
テーブル50は、ワーク90を載せる。
光照射器60は、LEDを有する。
移動機構40は、テーブル50に載せたワーク90と光照射器60との左右方向の相対的位置を変更する。
制御部80は、光照射器60のLEDを発光させ、移動機構40を制御してテーブル50と光照射器60との左右方向の相対的位置を変更する。
【0118】
移動機構40は、ワーク90と光照射器60との少なくともいずれかの左右方向の位置を変更することが可能である。
制御部80は、光照射器60の発光中に、ワーク90と光照射器60との少なくともいずれかを左右方向に往復移動させる。
【0119】
移動機構40は、ワーク90と光照射器60との少なくともいずれかの左右方向の移動速度を変更することが可能であり、移動を停止することも可能である。
制御部80は、光照射器60の発光中に、ワーク90と光照射器60との少なくともいずれかの左右方向の移動速度を変更する。
【0120】
光照射器60は、複数のLEDを直線上に配置した直線照明器である。
光照射器60の10mmから100mm離れた場所における照度は、1000万ルックスから400万ルックスである。
制御部80は、テーブル50に載せたワーク90と光照射器60との上下方向の間隔を10mm以下にして、ワーク90に1000万ルックス以上の光を照射させる。
【0121】
光照射器60は、LEDの発光輝度を変更することが可能である。
制御部80は、ワーク90の基材とワーク90に印刷されたインクとに基づいて光照射器60のLEDの発光輝度を変更する。
【0122】
移動機構40は、スライダ43が左右方向に移動するアクチュエータ42を有する。
制御部80は、アクチュエータ42のスライダ43を左右方向に移動させて、テーブル50と光照射器60との少なくともいずれかを左右方向に移動させる。
【0123】
プレート30は、テーブル50を左右に移動可能に載せている。
移動板44は、スライダ43に固定され、上下方向にスリット45が形成されている。
挿入部53は、テーブル50に固定され、スリット45に挿入されスリット45を上下方向に移動する。
制御部80は、アクチュエータ42のスライダ43を左右方向に移動して移動板44を左右方向に移動させプレート30の上でテーブル50を左右方向に移動させる。
【0124】
乾燥装置100は、テーブル50に載せたワーク90と光照射器60との上下方向の間隔を変更する昇降機構20を備える。
制御部80は、昇降機構20を制御してテーブル50に載せたワーク90と光照射器60との上下方向の間隔を変更する。
【0125】
昇降機構20は、テーブル50と光照射器60との少なくともいずれかの上下方向の位置を変更することが可能である。
制御部80は、テーブル50と光照射器60との少なくともいずれかを上下方向に往復移動させる。
【0126】
ワイヤー27は、テーブル50を載せたプレート30と光照射器60との少なくともいずれかに一端が固定されている。
ネジ24は、モータ25により回転する。
ナット23は、ネジ24の回転により位置を変える。
プーリ26は、筐体10に固定され、ワイヤー27を中継する。
シフト板21には、ワイヤー27の他端が固定され、シフト板21は、ナット23とともに位置を変える。
制御部80は、モータ25によりネジ24を回転させ、ナット23とシフト板21の位置を変えることにより、ワイヤー27でプレート30と光照射器60との少なくともいずれかを上下方向に移動させる。
【0127】
なお、昇降機構20のモータ25をハンドルに変えて、昇降機構20を手動で操作してもよい。
【0128】
移動機構40は、長尺状のワーク90を左右方向に移動させる吸引ローラ141を有する。
制御部80は、吸引ローラ141を回転させてワーク90を左右方向に往復移動させる。
【0129】
乾燥装置100の乾燥方法の特徴は、以下のとおりである。
制御部80は、昇降機構20を制御してテーブル50に載せたワーク90と光照射器60との上下方向の間隔を変更する。
制御部80は、移動機構40を制御してテーブル50に載せたワーク90と光照射器60との左右方向の相対的位置を変更する。
【0130】
制御部80は、光照射器60の発光中に、ワーク90と光照射器60との少なくともいずれかを左右方向に往復移動させる。
【0131】
制御部80は、テーブル50に載せたワーク90と光照射器60との上下方向の間隔を10mm以下にして、ワーク90に1000万ルックス以上の光を照射する。
【0132】
***実施の形態の補足説明***
前述した実施の形態は、望ましい形態の例示であり、本発明の技術的範囲を制限することを意図するものではない。
実施の形態は、部分的に実施してもよいし、他の形態と組み合わせて実施してもよい。また、前述した実施の形態を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0133】
10 筐体、11 基台、12 基枠、13 シャフト、14 設置台、15 壁、20 昇降機構、21 シフト板、22 ワイヤー留め、23 ナット、24 ネジ、25 モータ、26 プーリ、27 ワイヤー、28 水平枠、29 シャフト、30 プレート、31 レール、32 ブッシュ、40 移動機構、41 固定台、42 アクチュエータ、43 スライダ、44 移動板、45 スリット、50 テーブル、51 ブロック、52 サイド片、53 挿入部、54 サイド板、60 光照射器、70 移動機構、71 リニアガイド、72 アクチュエータ、73 スライダ、74 アクチュエータ、75 スライダ、80 制御部、88 信号線、90 ワーク、100 乾燥装置、110 筐体、111 基台、112 基枠、120 昇降機構、123 ナット、124 ネジ、125 モータ、126 上下板、127 シャフト、128 桟、130 固定板、131 ブッシュ、140 移動機構、141 吸引ローラ、142 モータ、143 ダンサーローラ、144 小径部、145 大径部、150 テーブル、151 ブッシュ、200 スクリーン印刷装置、300 焼成装置。
【要約】
【課題】ワークに適した乾燥装置及び乾燥方法を提供する。
【解決手段】ワーク90を載せるテーブル50と、LEDを有する光照射器60と、前記テーブル50に載せた前記ワーク90と前記光照射器60との左右方向の相対的位置を変更する移動機構40と、前記光照射器60のLEDを発光させ、前記移動機構40を制御して前記テーブル50と前記光照射器60との左右方向の相対的位置を変更する制御部80と、前記テーブル50に載せた前記ワーク90と前記光照射器60との上下方向の間隔を変更する昇降機構20とを備えた。
【選択図】
図1