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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】鳥害防止具
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20221108BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20221108BHJP
   A01M 29/32 20110101ALI20221108BHJP
【FI】
H02G7/00
H02G1/02
A01M29/32
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018233765
(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公開番号】P2020096469
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000139573
【氏名又は名称】株式会社愛洋産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岸 泰至
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-104148(JP,A)
【文献】特開2013-143899(JP,A)
【文献】実開平07-011185(JP,U)
【文献】特開平03-118711(JP,A)
【文献】米国特許第05918404(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
H02G 1/02
A01M 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空線に沿って配置される忌避線に取り付けて用いられる鳥害防止具であって、
前記忌避線を挿通可能な第1貫通孔が形成された第1部材と、
前記忌避線を挿通可能な第2貫通孔が形成された筒状の第2部材と、を備え、
前記第1貫通孔の中心軸と直交する平面による前記第1部材の断面の外縁形状は、前記第2貫通孔の中心軸と直交する平面による前記第2部材の断面の外縁形状を内部に包含し、かつ、前記第2部材の断面の外縁形状よりも面積が広く、
前記第1部材と前記第2部材は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが連通するように、一体に構成されており、
当該鳥害防止具は、1つ又は2つの前記第1部材及び前記第2部材を有し、前記忌避線にそれぞれ別体の状態で複数取り付けられる、鳥害防止具。
【請求項2】
架空線に沿って配置される忌避線に取り付けて用いられる鳥害防止具であって、
前記忌避線を挿通可能な第1貫通孔が形成された第1部材と、
前記忌避線を挿通可能な第2貫通孔が形成された筒状の第2部材と、
前記第1部材における前記第1貫通孔の軸方向の端部の少なくとも一方において当該軸方向に突出する第1先端部であって、前記第1貫通孔の軸方向を法線方向とする平面による断面の面積が先端側ほど小さくなるように形成された第1先端部と、
を備え、
前記第1貫通孔の中心軸と直交する平面による前記第1部材の断面の外縁形状は、前記第2貫通孔の中心軸と直交する平面による前記第2部材の断面の外縁形状を内部に包含し、かつ、前記第2部材の断面の外縁形状よりも面積が広い、鳥害防止具。
【請求項3】
架空線に沿って配置される忌避線に取り付けて用いられる鳥害防止具であって、
前記忌避線を挿通可能な第1貫通孔が形成された第1部材と、
前記忌避線を挿通可能な第2貫通孔が形成された筒状の第2部材と、
前記第2部材における前記第2貫通孔の軸方向の端部の少なくとも一方において当該軸方向に突出する第2先端部であって、前記第2貫通孔の軸方向を法線方向とする平面による断面の面積が先端側ほど小さくなるように形成された第2先端部と、
を備え、
前記第1貫通孔の中心軸と直交する平面による前記第1部材の断面の外縁形状は、前記第2貫通孔の中心軸と直交する平面による前記第2部材の断面の外縁形状を内部に包含し、かつ、前記第2部材の断面の外縁形状よりも面積が広い、鳥害防止具。
【請求項4】
架空線に沿って配置される忌避線に取り付けて用いられる鳥害防止具であって、
前記忌避線を挿通可能な第1貫通孔が形成された第1部材と、
前記忌避線を挿通可能な第2貫通孔が形成された筒状の第2部材と、を備え、
前記第1貫通孔の中心軸と直交する平面による前記第1部材の断面の外縁形状は、前記第2貫通孔の中心軸と直交する平面による前記第2部材の断面の外縁形状を内部に包含し、かつ、前記第2部材の断面の外縁形状よりも面積が広く、
前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を構成する面のうち少なくとも一部には、前記第1貫通孔又は前記第2貫通孔の中央に向けて突出する突起が設けられている、鳥害防止具。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の鳥害防止具であって、
前記第1部材と前記第2部材は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが連通するように、一体に構成されている、鳥害防止具。
【請求項6】
請求項に記載の鳥害防止具であって、
当該鳥害防止具は、1つ又は2つの前記第1部材及び前記第2部材を有する、鳥害防止具。
【請求項7】
請求項6に記載の鳥害防止具であって、
当該鳥害防止具は、前記忌避線にそれぞれ別体の状態で複数取り付けられる、鳥害防止具。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の鳥害防止具であって、
前記第1部材は、前記第1貫通孔から離れる方向に延び出す少なくとも1つの突出部を備える、鳥害防止具。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の鳥害防止具であって、
前記第1貫通孔の長さ方向に関する前記第1部材の長さは、前記第2貫通孔の長さ方向に関する前記第2部材の長さよりも小さい、鳥害防止具。
【請求項10】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の鳥害防止具であって、
前記第1部材は、重心が前記第1貫通孔に位置するように構成されており、
前記第2部材は、重心が前記第2貫通孔に位置するように構成されている、鳥害防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、架空線に沿って配置される忌避線に取り付けて用いられる鳥害防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
架空線の上方には、鳥害防止用の忌避線が架けられることがある。この忌避線に対して、更に鳥が止まり難くするための鳥害防止具を取り付けることができる。下記特許文献1には、忌避線に取り付け可能な鳥害防止具(邪魔部材)を備え、邪魔部材から針を突出させることで、鳥害防止性能の向上を図る鳥害防止具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平03-118711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の鳥害防止具は、邪魔部材から突出する細い針が破損しやすいという問題があった。
本開示の目的は、鳥害防止性と耐久性の両立を図ることができる鳥害防止具を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、架空線に沿って配置される忌避線に取り付けて用いられる鳥害防止具であって、第1部材と、筒状の第2部材と、を備える。第1部材は、忌避線を挿通可能な第1貫通孔が形成される。第2部材は、忌避線を挿通可能な第2貫通孔が形成される。第1貫通孔の中心軸と直交する平面による第1部材の断面の外縁形状は、第2貫通孔の中心軸と直交する平面による第2部材の断面の外縁形状を内部に包含し、かつ、第2部材の断面の外縁形状よりも面積が広い。
【0006】
このような構成であれば、第1部材と第2部材が忌避線を中心に回転可能であり、さらに第1部材と第2部材とに高さの差が生じるため、鳥が鳥害防止具を足で掴むことによって忌避線上に止まることを高度に抑制できる。また、第1部材は第2部材よりも外側に張り出した形状となるが、第1部材は第2部材を包含し、かつ、第2部材よりも広い断面形状を有していることから、充分に強度が高くなるため、第1部材が破損してしまうことを抑制できる。
【0007】
上述した第1部材と第2部材は、第1貫通孔と第2貫通孔とが連通するように、一体に構成されていてもよい。このような構成であれば、第2部材の筒状体による忌避線での良好な回転性能を第1部材にも付与することができるとともに、部品点数の低減により当該鳥害防止具の忌避線への取り付けなどの作業を簡便なものとすることができる。
【0008】
また、上述したように第1部材と第2部材とが一体に構成される場合において、当該鳥害防止具は、1つ又は2つの第1部材及び第2部材を有してもよい。鳥害防止具は、一体化された第1部材及び第2部材の数が多くなるほど、いずれかの部材で忌避線に対して詰まりが生じてしまう可能性が高くなる。ここでいう詰まりとは、噛み込むなどの何らかの理由で忌避線に対して回転できなくなることを意味する。いずれかの部材で詰まりが生じると、その影響はその鳥害防止具全体に及び、広い範囲で忌避線に対する回転が阻害されてしまうおそれがある。しかしながら、上述したように第1部材及び第2部材が1つ又は2つであれば、第1部材及び第2部材の数が多くなりすぎることに起因してスムーズな回転が阻害されてしまうことを抑制できる。
【0009】
上述した第1部材は、第1貫通孔から離れる方向に延び出す少なくとも1つの突出部を備えてもよい。このような構成であれば、突出部によって鳥が第1部材を足でつかみにくくなるため、鳥害防止性の向上を図ることができる。
【0010】
第1貫通孔の長さ方向に関する上述した第1部材の長さは、第2貫通孔の長さ方向に関する第2部材の長さよりも小さくてもよい。このような構成であれば、第1部材における忌避線と接触する部分の面積が小さくなるため、第1部材と忌避線との間の摩擦力を低減できる。さらに、第1部材が忌避線に対して傾いてしまうことが、第1部材が第2部材に当接することによって抑制でき、その結果、鳥害防止性の向上を図ることができる。
【0011】
上述した第1部材における第1貫通孔の軸方向の端部の少なくとも一方において当該軸方向に突出する第1先端部であって、第1貫通孔の軸方向を法線方向とする平面による断面の面積が先端側ほど小さくなるように形成された第1先端部を備えていてもよい。また、上述した第2部材における第2貫通孔の軸方向の端部の少なくとも一方において当該軸方向に突出する第2先端部であって、先端部分が周囲よりも細く形成された第2先端部を備えてもよい。このような構成であれば、鳥害防止具は隣接する鳥害防止具と第1先端部又は第2先端部において接触する。これらの先端部は先端の断面積が小さいことから、隣接する鳥害防止具との接触面積が小さくなるため、回転時に接触部分において発生する摩擦力を低減でき、鳥害防止具の回転性能の向上を図ることができる。
【0012】
上述した第1貫通孔及び第2貫通孔を構成する面のうち少なくとも一部には、孔の中央に向けて突出する突起が設けられていてもよい。このような構成であれば、貫通孔の内部に配置される忌避線と突起において接触するため、接触面積が小さくなるため摩擦力を低減でき、鳥害防止具の回転性能の向上を図ることができる。
【0013】
上述した第1部材は、重心が第1貫通孔部分に位置するように構成されていてもよい。さらに、第2部材は、重心が第2貫通孔部分に位置するように構成されていてもよい。このような構成であれば、第1部材及び第2部材が忌避線を中心としてスムーズに回転するため、鳥が第1部材及び第2部材に止まりにくくなり、鳥害防止性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1Aは実施形態の鳥害防止具の正面図であり、図1Bは鳥害防止具の側面図である。
図2】実施形態の鳥害防止具を忌避線に取り付けた状態を示す斜視図である。
図3図3A及び図3Bは変形例の鳥害防止具の側面図である。
図4】変形例の鳥害防止具の側面図である。
図5図5A及び図5Bは変形例の鳥害防止具の側面図である。
図6】変形例の鳥害防止具の側面図である。
図7】変形例の鳥害防止具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本開示の実施形態を図面と共に説明する。
[1.実施形態]
[1-1.全体構成]
図1A-1Bに示される鳥害防止具1は、架空線に沿って配置される忌避線7に取り付けて用いられる。ここでいう忌避線とは、架空線の上方にて架空線に沿って設けられる、鳥害防止用の線である。
【0016】
鳥害防止具1は、第1部材11と、第2部材12と、を備える。本実施形態において、第1部材11と第2部材12は一体に構成されている。
第1部材11は、張り出し部21と、複数(本実施形態では8つ)の突出部22と、第1貫通孔23と、を備える。張り出し部21は、第1貫通孔23を中心として広がる、フランジ状の部分である。第1貫通孔23は、忌避線7をその内部に挿通可能な大きさに形成されている。
【0017】
突出部22は、張り出し部21の外縁部に設けられ、第1貫通孔23から離れる方向に延び出している。突出部22は先端ほど細く形成されており、根元部分は隣接する突出部22と隙間無く配置されている。なお確認的に記載すると、張り出し部21及び突出部22は、それぞれ、第1部材11を図1Aのように正面から見たときに異なる領域となる部分である。
【0018】
第2部材12は筒状部31を備える。筒状部31は、忌避線7を挿通可能な第2貫通孔32が形成されている。第2部材12は、第1部材11と忌避線7の長手方向に並べて配置され、その結果、第1貫通孔23と第2貫通孔32とが連通する。第1貫通孔23と第2貫通孔32の内径は同一であり、図1Bに示されるように、第1貫通孔23及び第2貫通孔32が1つの貫通孔として繋がる。以下では、第1貫通孔23及び第2貫通孔32の長さ方向(中心軸の伸びる方向)を、単に軸方向とも記載する。
【0019】
図1Aに示されるように、鳥害防止具1を正面から見ると、張り出し部21の外縁は、筒状部31の外縁を内包する大きさとなっている。さらに言うと、第1貫通孔23の中心軸と直交する平面による第1部材11の断面の外縁形状、つまり複数の突出部22の外縁を結んだ形状は、第2貫通孔32の中心軸と直交する平面による第2部材12の断面の外縁形状を内部に包含し、かつ、第2部材12の断面の外縁形状よりも面積が広い。
【0020】
また図1Aに示されるように、第1部材11は、上下及び左右に対称であって、重心が第1貫通孔23の中心軸に位置するように構成されている。また第2部材12は、断面が円周形状であって、重心が第2貫通孔32の中心軸に位置するように構成されている。
【0021】
図1Bに示されるように、鳥害防止具1を側面から見ると、軸方向に関する第1部材11の長さは、軸方向に関する第2部材12の長さよりも小さい。このように、第1部材11は板状の部材であって軸方向の厚さが小さく形成される。また、第2部材12は軸方向に沿って長さを有するが、外側に大きく突出する部分を有さない。
【0022】
[1-2.鳥害防止具の使用態様の例]
図2に、鳥害防止具1の使用例を示す。忌避線7は、忌避線保持具5によって、架空線3から一定の間隔を空けて架空線3と平行に張られている。図2においては忌避線7の全体に鳥害防止具1が取り付けられた状態を例示しているが、もっと少ない鳥害防止具1が忌避線7に配置されていて、図2よりも大きく忌避線7が露出した状態であってもよい。
【0023】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)鳥害防止具1は、第2部材12よりも外側に広く張り出した第1部材11によって第2部材12との間に高さの差を形成しているため、鳥が鳥害防止具1を足で掴んで忌避線7上に止まることを高度に抑制できる。そして、第1部材11は第2部材12よりも広い断面形状を有していることから充分に強度が高くなり、第1部材11の破損を抑制することができる。
【0024】
また、第1部材11には突出部22が設けられており、突出部22によって鳥害防止性を向上することができる。突出部22は、筒状部31よりも外側まで張り出した張り出し部21の外縁に設けられているため、例えば、突出部22の先端と同じ位置まで筒状部31の外周面から伸びだした突出部と比較すると、強度が高くなる。そのため、突出部22の破損を抑制することができる。
【0025】
なお、本実施形態では、第1貫通孔23の中心軸と直交する平面による第1部材11の断面の外縁形状が、第2貫通孔32の中心軸と直交する平面による第2部材12の断面の外縁形状を内部に包含する構成を例示した。しかしながら、第1部材11の断面の外縁形状が第2部材12の断面の外縁形状の大部分を含んでいれば、わずかな領域において、第1部材11の断面の外縁形状が第2部材12の断面の外縁形状を含んでいなくてもよい。例えば、第1部材11において、外縁部から第1貫通孔23に向かって延びる細いスリットが形成され、それにより第1部材11の外縁形状が第2部材12の外縁形状を完全に含まないこととなっていても、第1部材11の強度には大きな影響を与えないため、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0026】
(1b)鳥害防止具1は、第1部材11の忌避線7でのスムーズな回転を実現できる。仮に第1部材11のみが忌避線7上に配置されている場合、相対的に薄い第1部材11は忌避線7に対して傾斜しやすいため、第1部材11の主たる面が忌避線7に対して直交する姿勢を維持しにくい。そして忌避線7に対して第1部材11が傾斜すると、スムーズな回転が阻害されてしまう。しかしながら、本実施形態の鳥害防止具1では、第1部材11は、第2部材12と一体であり、第2部材12は筒状部31を備えることによって忌避線7に対し傾斜しにくいことから、第1部材11が傾いてしまうことが抑制される。それによって、第1部材11は第2部材12とともにスムーズに回転し、鳥害を高度に抑制できる。また、鳥害防止具1は、重心が第1貫通孔23及び第2貫通孔32の中心軸上にあるため、回転中心が忌避線7から偏心せずにスムーズな回転が実現できる。
【0027】
また、鳥害防止具1は1つの第1部材11と1つの第2部材12により構成されているため、鳥害防止具が仮に多数の第1部材11と第2部材とが連結した場合と比較して、忌避線7との間で詰まりが生じにくい。ここでいう詰まりとは、噛み込むなどの何らかの理由で忌避線7に対して回転できなくなることを意味する。また、もし鳥害防止具1が詰まってしまっても、周囲の鳥害防止具1と別体であるため、周囲の鳥害防止具1の回転に影響を及ぼしにくい。
【0028】
また、第1部材11は第2部材12と比較して薄く形成されているため、第1部材11自体の忌避線7との間の摩擦力が大きくなってしまうことが抑制され、このことによっても回転が妨げられにくくなる。
【0029】
[2.その他の実施形態]
以上開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0030】
(2a)上記実施形態では、1つの第1部材11と1つの第2部材12とにより鳥害防止具1が形成される構成を例示した。しかしながら、例えば、図3Aに示される鳥害防止具1aのように、1つの第1部材111と、第1部材111を挟みこむように配置される2つの第2部材112とによって構成されていてもよい。また、図3Bに示される鳥害防止具1bのように、2つの第1部材121と、2つの第1部材121を挟みこまれるように配置される1つの第2部材122とによって構成されていてもよい。
【0031】
なお、第1部材と第2部材とは、それぞれ2つまでとすることで、回転性能の低下を充分に抑制することができる。しかしながら、鳥害防止具は、第1部材及び第2部材のいずれか一方又は両方が3つ以上含むように一体に構成されていてもよい。
【0032】
(2b)上記実施形態では、第1部材11と第2部材12とが一体である構成を例示した。しかしながら、図4に示す鳥害防止具1cのように、第1部材131と、第2部材132と、がそれぞれ分離していてもよい。第1部材131は第1貫通孔133を備え、第2部材132は第2貫通孔134を備える。第1部材131と第2部材132とが隣り合わせとなるように忌避線7に配置することで、上記実施形態の鳥害防止具1と同様の効果を奏することができる。
【0033】
(2c)上記実施形態では、第1部材11及び第2部材12の軸方向の端部は、いずれも、忌避線7と直交する平面に沿った平面形状である構成を例示した。しかしながら、例えば図5Aに示される鳥害防止具1dのように、第1部材141が、第1貫通孔142の周辺部分から第1貫通孔142の軸方向に突出し、先端部分が周囲よりも細く形成された第1先端部143を備えていてもよい。ここでいう、細く形成された、とは、第1貫通孔142の軸方向を法線方向とする平面による断面の面積が先端側ほど小さくなることを意味する。図5Aにおいては、第1先端部143は第1貫通孔142の周囲に形成される円形の突条であるが、その具体的な形状は特に限定されず、例えば第1先端部は周方向の一部にのみ設けられていてもよいし、第1先端部は1つ以上の突起であってもよい。
【0034】
なお、第1部材141が第2部材12と分離した別体である場合は、軸方向の両端面に第1先端部143が設けられていてもよい。また、第1部材141の軸方向の端部であれば、第1貫通孔142の周辺部分以外の位置に第1先端部143が設けられていてもよい。
【0035】
また、例えば図5Bに示される鳥害防止具1eのように、第2部材151が、第2貫通孔152の端部に設けられ、第2貫通孔152の軸方向に突出し、先端部分が周囲よりも細く形成された第2先端部153を備えていてもよい。即ち、第2貫通孔152の軸方向を法線方向とする平面による断面の面積が先端側ほど小さく構成されていてもよい。第2部材151が第1部材11と分離した別体である場合は、軸方向の両端面に第2先端部153が設けられていてもよい。図5Bにおいては、第2先端部153は第2部材151の軸方向の端部全体に形成されているが、周方向の一部にのみ形成されていてもよいし、第2先端部は1つ以上の突起であってもよい。
【0036】
上述したように第1先端部143又は第2先端部153を設けることで、隣接する鳥害防止具との接触面積が小さくなるため、回転時に接触部分において発生する摩擦力を低減でき、鳥害防止具1d、1eの回転性の向上を図ることができる。
【0037】
(2d)上記実施形態では、第1貫通孔23及び第2貫通孔32の内壁面は滑らかな面である構成を例示した。しかしながら、図6に示される鳥害防止具1fのように、第1部材161の第1貫通孔162を構成する内壁面には、第1貫通孔162の中央に向けて突出する突起163が設けられていてもよい。また、第2部材164の第2貫通孔165を構成する内壁面には、第2貫通孔165の中央に向けて突出する突起166が設けられていてもよい。
【0038】
このような構成であれば、貫通孔の内部に配置される忌避線7と突起163、166において接触するため、接触部分の摩擦力を低減でき、鳥害防止具1fの回転性の向上を図ることができる。なお突起163、166は、円周方向に長さを有する突条であってもよい。
【0039】
(2e)上記実施形態では、第1部材11が突出部22を備える構成を例示したが、突出部22は設けられていなくてもよい。また突出部の形状は上記実施形態の構成に限定されない。例えば、図7に示される鳥害防止具1gのように、比較的細い線状の突出部171を備える構成であってもよい。
【0040】
(2f)上記実施形態では、第2部材12が筒状の筒状部31を有する構成を例示したが、筒状部31の具体的な構成は特に限定されない。例えば、筒状部31には、外側に突出する突起などが設けられていてもよい。また、第2貫通孔32の軸方向に沿って、筒状部の外径が変化するように構成されていてもよい。
【0041】
(2g)上記実施形態では、第1部材11の重心が第1貫通孔23の中心軸に位置しており、かつ、第2部材12の重心が第2貫通孔32の中心軸に位置する構成を例示した。しかしながら、第1部材11及び第2部材12の重心は、上記の位置でなくてもよい。なお、第1部材11の重心が第1貫通孔23にあれば、第1部材11の回転をスムーズなものとすることができ、また、第2部材12の重心が第2貫通孔32にあれば、第2部材12の回転をスムーズなものとすることができる。
【0042】
(2h)本開示の各構成要素は概念的なものであり、上記実施形態に限定されない。例えば、1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…鳥害防止具、1a…鳥害防止具、1b…鳥害防止具、1c…鳥害防止具、1d…鳥害防止具、1e…鳥害防止具、1f…鳥害防止具、1g…鳥害防止具、3…架空線、5…忌避線保持具、7…忌避線、11…第1部材、12…第2部材、21…張り出し部、22…突出部、23…第1貫通孔、31…筒状部、32…第2貫通孔、111…第1部材、112…第2部材、121…第1部材、122…第2部材、131…第1部材、132…第2部材、133…第1貫通孔、134…第2貫通孔、141…第1部材、142…第1貫通孔、143…第1先端部、151…第2部材、152…第2貫通孔、153…第2先端部、161…第1部材、162…第1貫通孔、163…突起、164…第2部材、165…第2貫通孔、166…突起、171…突出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7