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  • 特許-付着物除去装置 図1
  • 特許-付着物除去装置 図2
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  • 特許-付着物除去装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】付着物除去装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/50 20170101AFI20221108BHJP
   B08B 1/02 20060101ALI20221108BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
A01K61/50
B08B1/02
B08B1/04
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019023561
(22)【出願日】2019-02-13
(65)【公開番号】P2020129974
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】509193555
【氏名又は名称】株式会社タダシ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下浦 英男
(72)【発明者】
【氏名】小林 義弘
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-201165(JP,U)
【文献】特開平09-268548(JP,A)
【文献】実開昭54-175671(JP,U)
【文献】特開昭52-001972(JP,A)
【文献】特開平06-197657(JP,A)
【文献】実開昭52-047198(JP,U)
【文献】特開2015-202089(JP,A)
【文献】特開昭58-202086(JP,A)
【文献】特開2016-119848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/50
B08B 1/02
B08B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貝から付着物を除去するための装置であって、
前記貝を搬送するコンベヤと、
前記コンベヤと向き合って配置され、コンベヤの搬送方向と直交する方向に延びる回転軸と、
根元部が前記回転軸に連結され、前記回転軸の回転によって先端部が前記貝に当たる屈曲自在な鎖と、
前記回転軸が回転することによって描かれる前記鎖の円軌道の両側にそれぞれ配置されて、前記貝を前記コンベヤに押圧する押さえ部材とを備え、
前記鎖は前記回転軸の軸方向に間隔を空けて複列に設けられ、
前記押さえ部材は、前記軸方向に隣り合う前記鎖同士の間に配置され、
前記押さえ部材は、前記コンベヤの搬送方向に沿って、搬送方向の後方位置から前方位置にまで延びるロッドと、前記ロッドのうち前記コンベヤの搬送方向の後方位置にある根元部を回動可能に枢支する枢軸と、前記ロッドのうち前記コンベヤの搬送方向の前方位置にある先端部を前記コンベヤの搬送面に近づけるように付勢する弾性部材とを有する、付着物除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貝等の処理対象物に強固に付着した硬質の付着物を、処理対象物を破損しないように除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
貝に付着するフジツボ類は、貝殻表面に強力に固着しているため、高圧水による洗浄では除去されない。そこで特許文献1~特許文献3に記載されるように、貝殻表面を棒で叩いてフジツボ類を除去する技術が知られている。あるいは特許文献4に記載されるように、円形回転部材3の外周面に多数の爪を設け、これら爪を貝表面に擦りつけて付着物を除去する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭57-201165号公報
【文献】実開昭61-131760号公報
【文献】特開平7-107877号公報
【文献】特開2015-202089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術にあっては、さらに改善すべき点があることを本発明者は見いだした。つまり上記従来の技術は、アコヤ貝やホタテ貝といった整った形状の2枚貝に対して有効であるが、牡蠣のような個体ごとに形状が著しく異なる貝だと、固着している全てのフジツボ類を除去することができず、取り残しが生じてしまう。
【0005】
また従来の技術では、貝をうまく押さえることができず、棒や爪が強い力で貝に衝突すると、貝が飛び出してしまうことがあった。
【0006】
本発明は、上述の実情に鑑み、牡蠣のように個体差の大きな貝の表面から、従来よりも確実に付着物を除去することができる技術を提供することを第1の目的とする。合わせて、個体差の大きな貝であっても飛び出さないように確実に押さえることを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため本発明による付着物除去装置は、貝から付着物を除去するための装置であって、貝を搬送するコンベヤと、コンベヤと向き合って配置される回転軸と、根元部が回転軸に連結され、回転軸の回転によって先端部が貝に当たる1または複数の鎖と、回転軸が回転することによって描かれる鎖の円軌道の両側にそれぞれ配置されて、貝をコンベヤに押圧する押さえ部材とを備える。
【0008】
かかる本発明によれば、屈曲自在な鎖がいびつな形状の貝殻表面に沿って衝突するので、サイズおよび形状の個体差の大きな処理対象物の表面から、フジツボ等の硬質付着物を、取り残しのないようきれいに除去することができる。なお処理対象物は二枚貝、巻貝等の貝であるが、特に岩牡蠣に有効である。あるいは処理対象物は、他の農林水産物であってもよいし、あるいは工業製品に分類されるワークであってもよい。
【0009】
1の鎖は、互いに繋がった多数の素子からなり、例えば1列に連節する素子をなすが、素子の形状、数、連節レイアウトは特に限定されない。また複数の鎖の配列は特に限定されないが、本発明の好ましい局面として、鎖は回転軸の軸方向に間隔を空けて複列に設けられ、押さえ部材は軸方向に隣り合う鎖同士の間に配置される。かかる局面によれば、コンベヤで複数の貝を並行して搬送しながら付着物を除去することができ、処理能力が向上する。
【0010】
回転軸の配置は特に限定されないが、本発明の好ましい局面として、回転軸はコンベヤの搬送方向と直交する。他の局面として回転軸は、コンベヤの搬送方向と平行に延びる。
【0011】
本発明のさらに好ましい局面として押さえ部材は、コンベヤの搬送方向に沿って延びるロッドであって、先端部がコンベヤへ近づいたり遠ざかったりするよう根元部で枢支され、先端部がコンベヤへ向かって付勢される。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明によれば、サイズおよび形状の個体差の大きな貝であっても、フジツボを取り残すことなく除去することができる。岩牡蠣の表面からフジツボ等の硬質付着物を除去する作業は、これまで熟練者の手仕上げに頼っていたが、本発明により機械化を図ることができる。本発明は人手不足の農林水産業において有益である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態になる付着物除去装置を示す側面図である。
図2】同実施形態を示す平面図である。
図3】同実施形態を模式的に示す正面図である。
図4】鎖を模式的に示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態になる付着物除去装置を示す側面図である。図2は同実施形態を示す平面図である。図3は同実施形態を模式的に示す正面図である。理解を容易にするため図1図3では、一部の部品の表示を省略している。
【0015】
本実施形態の付着物除去装置10は、付着物を伴う岩牡蠣Bを支持するコンベヤ11と、コンベヤ11に載置される岩牡蠣Bを押さえる押さえ具21と、押さえ具21に抑えられた岩牡蠣Bに衝突して岩牡蠣Bから付着物を除去する鎖31を備える。
【0016】
まず付着物除去装置10によって付着物を除去される処理対象物につき説明する。処理対象物は特に限定されないが、得意とする処理対象物は岩牡蠣である。
【0017】
岩牡蠣は、食用牡蠣の一態様であり、主に夏場に生食で消費される。岩牡蠣は、時間をかけて成長するため、比較的大きくなる。2枚貝というのは一般的に、略同じ形状の1対の貝殻が互いに閉じている。しかしながら、牡蠣は2枚貝ではあるものの、中身を収容する凹状の大きな本体貝殻に、板状の小さな蓋貝殻が収容されている。本体貝殻および蓋貝殻はいびつな形状であって、個体差が大きい。特に岩牡蠣は、大きい個体もあれば小さい個体もあり、細長い個体もあれば丸い個体もあり、厚い個体もあれば薄い個体もあり、というように、サイズ、形状の個体差が大きい。
【0018】
岩牡蠣の貝殻表面にはフジツボのような硬い殻を持つ海生生物、さらには海藻やヌメリが強固に付着し、水揚げ直後には一見して岩牡蠣と視認できない程の多くの付着物で覆われていることが多い。
【0019】
岩牡蠣は、貝殻に身が付いたまま、つまり殻付き状態で生のまま最終消費者に供される。このため美観上および衛生上の理由により、岩牡蠣Bの貝殻の表面に付着する異物、具体的にはフジツボ、その他の硬質の海生生物、ヌメリ、汚れをきれいに取り除いておくことが求められる。
【0020】
このため、岩牡蠣は水揚げ後まもなく洗浄される。しかしながら高圧水による洗浄であっても、岩牡蠣の貝殻表面に強固に付着するフジツボ類を除去することはできない。
【0021】
このように岩牡蠣に特有の事情により、従来の機械では、岩牡蠣からフジツボ等の硬質の海生生物をきれいに除去することは困難であった。そこで1個ずつ手仕上げによる半人力作業・半機械化作業で、岩牡蠣から付着物を除去しているのが現状である。岩牡蠣から付着物を短時間で除去する作業は、熟練を要し、さらには汚れ作業で、危険、重労働であるため改善が望まれる。岩牡蠣は、見た目の立派さと、味の良さと、夏に牡蠣を味わえるという季節感の珍しさによって、近年人気が高まっているが、上述した付着物の除去作業は人手不足も相俟って捗っていない。
【0022】
ここで附言すると、食用牡蠣で有名かつ出荷量が多いのは岩牡蠣ではなく、真牡蠣である。真牡蠣は、主に冬場に消費され、育成方法が岩牡蠣と異なる。真牡蠣は岩牡蠣よりも小ぶりであり、貝殻から身を取り出した状態(剥き身状態)で市場に流通する。
【0023】
説明を付着物除去装置10に戻すと、コンベヤ11は、上流側回転軸12と、下流側回転軸13と、これらの回転軸に掛け渡される帯状無端の搬送ベルト14と、上流側回転軸12を駆動する電動機15と、下流側回転軸13に設けられるベルト張力付与機構16とを有する。上流側回転軸12および電動機15のモータ軸18には駆動ベルト19が掛け渡される。搬送ベルト14の外面には、壁状の突起14pが、搬送ベルト14の長手方向(搬送方向または上下流方向ともいう)に間隔を空けて多数設けられる。隣り合う突起14p,14p同士の間隔は、最も大きな規格の岩牡蠣Bよりも大きい。
【0024】
ベルト張力付与機構16は下流側回転軸13と連結し、下流側回転軸13を上流側回転軸12から遠ざけたり近づけたりして、上流側回転軸12および下流側回転軸13の距離を調整することにより搬送ベルト14の張り具合を調整する。
【0025】
細長形状であったり、あるいは丸み形状であったり、厚みの大小といった、個体差の大きい複数の岩牡蠣Bは、搬送ベルト14の搬送速度に同期して、突起14p,14p間に順次載せられる。岩牡蠣Bは搬送ベルト14の上向きの外面に載せられて、上流から下流へ搬送される。なお岩牡蠣Bの配列は、単列であってもよいし、複列であってもよい。搬送ベルト14のベルト幅が大きいほど、多数の岩牡蠣Bを載せることができる。搬送ベルト14および突起14pの材質はゴム製であり、岩牡蠣Bまたは後述する鎖31から押圧力を受けると弾性変形する。
【0026】
フレーム41のうち、上流側回転軸12および下流側回転軸13間には、1対の遮蔽板42が立設される。1対の遮蔽板42は、搬送ベルト14を介して、互いに対面し、搬送ベルト14の上方空間を包囲する。
【0027】
搬送ベルト14よりも上方には回転軸32が配置される。搬送ベルト14および回転軸32間の間隔は、岩牡蠣Bが通過できるよう開いている。回転軸32は搬送ベルト14の幅方向に延びる。
【0028】
鎖31は、直列に繋がった多数の素子からなる。鎖31は、根元端で回転軸32に連結され、自由端で軌道C(円軌道)を描いて回転する。回転軸32が回転する間、遠心力によって鎖31は回転軸32の径方向に真っ直ぐに延びる。ただし回転軸32が回転しない場合、鎖31は重力に従って回転軸32から垂れ下がる。軌道Cの下端は搬送ベルト14よりも上方にある。搬送ベルト14と軌道Cの隙間は、最も小さな岩牡蠣Bの厚みよりも小さい。
【0029】
図4は鎖31の一例を模式的に示す拡大側面図である。鎖31を構成する素子31dは、一端31fと他端31gが捻じれるよう形成されている。このため鎖31の断面の輪郭は、鎖31の全長に亘って一定形状とされる。このような鎖31は例えば喜平である。これにより、岩牡蠣Bに衝突する鎖31の衝突面積を大きくして、付着物の取り残しを少なくすることができる。
【0030】
図1に示すように鎖31は、90°間隔で回転軸32に複数連結される。なお周方向間隔は上記90°に限定されない。図2に示すように鎖31は、回転軸32の軸方向に間隔を空けて複数配置される。軸方向間隔は特に限定されないが、本実施形態では等間隔に7列配置される。
【0031】
回転軸32は、搬送方向に間隔を空けて複数配置されるが、1本のみ配置されてもよい。回転軸32の両端部はそれぞれ、軸受33を介して1対の可動フレーム34に支持される。1対の可動フレーム34は、コンベヤ11の幅方向両側に配置される。
【0032】
回転軸32に一端には従動プーリ35が設けられる。コンベヤ11よりも下方には駆動プーリ36が配置される。駆動プーリ36は電動機37のモータ軸に設けられる。駆動プーリ36と従動プーリ35にはベルト38が掛け渡され、電動機37は回転軸32を駆動する。
【0033】
各可動フレーム34は伸縮柱39の上端と結合し、下方から伸縮柱39に支持される。伸縮柱39の下端は基台45と結合する。伸縮柱39は上側筒および下側ロッドを含む入れ子式であり、上下方向に伸縮する。伸縮柱39の上側筒は電動機37を支持する。
【0034】
基台45には柱46が立設される。柱46は上端でフレーム41を支持する。また基台45には電動機47が設けられる。電動機47は、伸縮柱39を伸縮させるための駆動源になる。伸縮柱39が上下に伸縮することにより、回転軸32の上下方向位置が調整される。本実施形態では、岩牡蠣Bのサイズおよび付着物の状態に応じて鎖31および回転軸32の回転速度と、回転軸32の上下方向位置と、搬送ベルト14の搬送速度が適切に設定される。
【0035】
押さえ具21は、複数のロッド22、1本の枢軸23、複数の弾性部材24、および1個のブラケット25を有する。各ロッド22は搬送ベルト14の搬送方向に沿って延び、上流側を根元、下流側を先端とする。ロッド22の根元は、搬送ベルト14の幅方向に延びる枢軸23で枢支され、枢軸23よりも上流側で、弾性部材24の下端と連結する。弾性部材24の上端はブラケット25と連結する。弾性部材24は例えばステンレスコイルスプリングであり、ブラケット25に支持されて、ロッド22根元端を上方へ付勢する。これによりロッド22先端は下方へ付勢される。ブラケット25は、遮蔽板42に取り付けられる。枢軸23は、回転軸32と同様、搬送ベルト14と充分に間隔を空けて配置され、搬送ベルト14の幅方向に延び、岩牡蠣Bが枢軸23および搬送ベルト14間を通過することを妨げない。
【0036】
ロッド22は、鎖31の軌道Cの両側に配列される。本実施形態では、図2に示すように上下方向にみて、あるいは図3に示すように搬送ベルト14の搬送方向にみて、所定間隔をあけて多数のロッド22が互いに平行となるよう設けられる。所定間隔は鎖31の幅よりも大きく、各間隔には鎖31が配置される。回転軸32の軸方向にみて、本実施形態のロッド22は先端部および根元部を除く中央領域で、軌道Cと重なるように配置される。
【0037】
ロッド22は鎖31の軌道Cの両側に配置されることから、鎖31の列よりも1列多く配置される。本実施形態のロッドは8列とされる。本実施形態の各部品、特に鎖31およびロッド22は、強度があり腐食に強いステンレス鋼である。
【0038】
次に本実施形態の作用につき説明する。
【0039】
電動機15,37により搬送ベルト14および回転軸32を駆動する。図1に矢印で示す方向に上流側回転軸12が回転し、搬送ベルト14の上向きの外面を下流側回転軸13へ送り出す。搬送ベルト14には、硬質の付着物が固着した岩牡蠣Bが載せられる。複数本のロッド22は、岩牡蠣Bの表面に当接し、岩牡蠣Bが搬送ベルト14上で動かないよう規制する。搬送ベルト14の幅方向に間隔を空けて複数配置されるロッド22は、岩牡蠣Bの形状に合わせて上下方向に揺動し、岩牡蠣Bの幅方向全体を押さえる。このときロッド22は、根元部を搬送ベルト14から遠くされ、先端部を搬送ベルト14に近くされるため、傾斜姿勢にされる。各ロッド22の傾斜角度は個別に変化可能であるので、岩牡蠣Bはいびつな形状であっても、複数のロッド22のおのおのが岩牡蠣Bの幅方向全体を押さえる。これにより岩牡蠣Bは、上下方向移動および搬送ベルト幅方向移動を規制される。
【0040】
搬送ベルト14上の岩牡蠣Bがロッド22に押さえられながら回転軸32を横切る際、鎖31が岩牡蠣Bの貝殻表面を適度な打撃力を付与する。鎖31は素子31d,31d同士間で屈曲自在であり、岩牡蠣Bの表面全体を打撃する。鎖31は太すぎず細すぎず適切な長さおよび質量に設定される。また回転軸の回転速度は適切に設定される。また軌道Cと搬送ベルト14の隙間は適切に設定される。このため岩牡蠣Bの形状の個体差が大きくても、付着物は岩牡蠣Bの表面全体から除去される。
【0041】
図1を参照して、回転軸32は矢印で示すように搬送ベルト14の搬送方向に倣う向きに回転する。これにより搬送ベルト14の上下流方向に関し、鎖31は上流側から岩牡蠣Bに振り下ろされ、下流側から振り上げられる。同時にロッド22は、上流側(根元側)が岩牡蠣Bから離隔し、下流側(先端側)が岩牡蠣Bに当接する。このように本実施形態のロッド22は、鎖31が岩牡蠣Bに衝突することを阻害しない。
【0042】
あるいは回転軸32は、搬送ベルト14の搬送方向に逆らう向きに回転してもよい。回転軸32は、正回転および逆回転の両方向に回転可能である。
【0043】
岩牡蠣Bは、回転軸32近傍を通過することによって、貝殻上面の付着物を綺麗に除去される。貝殻下面から付着物を除去する場合、搬送ベルト14の下流に別な付着物除去装置を用意しておくとよい。別な付着物除去装置では、搬送ベルト14が上側に配置され、鎖31およびロッド22が下側に配置され、図1に示す付着物除去装置10から受け取った岩牡蠣Bを下方から打撃するとよい。
【0044】
本実施形態の付着物除去装置10によれば、これまで人間の手仕上げによってなされていた岩牡蠣の付着物除去作業を機械化することができ、仕上げの付着物除去作業が効率化される。
【0045】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。例えば上述した1の実施形態から一部の構成を抜き出し、上述した他の実施形態から他の一部の構成を抜き出し、これら抜き出された構成を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は農林水産物加工において有利に利用される。
【符号の説明】
【0047】
10 付着物除去装置、 11 コンベヤ、
12 上流側回転軸、 13 下流側回転軸、
14 搬送ベルト、 14p 突起、 16 ベルト張力付与機構、
18 モータ軸、 19 駆動ベルト、 21 押さえ具、
22 ロッド(押さえ部材)、 23 枢軸、 24 弾性部材、
25 ブラケット、 31 鎖、 32 回転軸、
34 可動フレーム、 39 伸縮柱、 41 フレーム、
42 遮蔽板、 B 岩牡蠣、 C 鎖の軌道。
図1
図2
図3
図4