(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】結像光学系
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
G02B13/00
(21)【出願番号】P 2019055800
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭吾
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-201623(JP,A)
【文献】特開2003-043348(JP,A)
【文献】特開2015-096915(JP,A)
【文献】特開2010-015003(JP,A)
【文献】特開2013-218266(JP,A)
【文献】特開2012-002999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1、負の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3からなる結像光学系において、前記第1レンズ群G1は、第1レンズ群G1内の最も広い空気間隔を境に、物体側から順に第1Aレンズ群G1Aと第1Bレンズ群G1Bからなり、前記第2レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによりフォーカシングを行い、前記第3レンズ群G3の少なくとも一部を光軸に対して垂直方向成分を含んで移動させることにより防振を行い、
前記第2レンズ群G2が少なくとも1枚の正レンズと、複数の負レンズとを有し、以下に示す条件式を満足することを特徴とする結像光学系。
(1)f1/f>0.61
(2)
-0.60<f2/f<-0.4
(3)β2<4.2
(6)θgFp2-0.6483+0.0018×νdp2>0.015
(7)θgFn2-0.6483+0.0018×νdn2<-0.001
但し、
f:無限遠合焦時の前記結像光学系全系の焦点距離
f1:第1レンズ群G1の焦点距離
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
β2:無限遠合焦時の第2レンズ群G2の横倍率
νdp2:前記第2レンズ群G2が有する正レンズうち、少なくとも1枚のd線に関するアッベ数
θgFp2:前記第2レンズ群G2が有する正レンズうち、少なくとも1枚のg線とF線に関する部分分散比
νdn2:前記第2レンズ群G2が有する負レンズのうち、少なくとも1枚のd線に関するアッベ数
θgFn2:前記第2レンズ群G2が有する負レンズのうち、少なくとも1枚のg線とF線に関する部分分散比
【請求項2】
以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の結像光学系。
(4)νdp1f>60
(5)θgFp1f-0.6483+0.0018×νdp1f>0.001
但し、
νdp1f:前記結像光学系のうち最も物体側に位置する正レンズの、d線に関するアッベ数
θgFp1f:前記結像光学系のうち最も物体側に位置する正レンズの、g線とF線に関する部分分散比
【請求項3】
以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1
又は2に記載の結像光学系。
(8)0.02<L1A1B/L<0.2
但し、
L:前記結像光学系のうち、最も物体側のレンズ面から像面までの距離
L1A1B:前記第1レンズ群G1における最大空気間隔
【請求項4】
前記第1Aレンズ群G1Aは、2枚の正レンズを有し、以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至
3のいずれかに記載の結像光学系。
(9)νdp1A>60
(10)θgFp1A-0.6483+0.0018×νdp1A>0.001
但し、
νdp1A:第1Aレンズ群G1Aが有する正レンズのうち、d線に関するアッベ数が最も小さい正レンズのd線に関するアッベ数
θgFp1A:第1Aレンズ群G1Aが有する正レンズのうち、d線に関するアッベ数が最も小さい正レンズのg線とF線に関する部分分散比
【請求項5】
前記第3レンズ群G3は、物体側から順に正の屈折力を有する第3Aレンズ群G3Aと、負の屈折力を有する第3Bレンズ群G3Bと、正の屈折力を有する第3Cレンズ群G3Cからなり、前記第3Bレンズ群G3Bを光軸に対して垂直方向成分を含んで移動させることにより防振を行うことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれかに記載の結像光学系。
【請求項6】
前記第3Aレンズ群G3Aは、少なくとも1枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レンズを有し、以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項
5に記載の結像光学系。
(11)νdp3>60
(12)θgFp3-0.6483+0.0018×νdp3>0.005
νdp3:前記第3レンズ群G3が有する少なくとも1枚の正レンズの、d線に関するアッベ数
θgFp3:前記第3レンズ群G3が有する少なくとも1枚の正レンズの、g線とF線に関する部分分散比
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルカメラ、ビデオカメラなどに用いられる撮影レンズに好適な結像光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長焦点距離を有する結像光学系として、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1、負の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力を持つ第3レンズ群G3を配置した、結像光学系が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4898408号公報
【文献】特許第6186829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、デジタルカメラなどに使用される撮像素子の高画素化に伴い、大口径比を持ちながら、諸収差が十分に補正され、画面全域で高い光学性能を有する結像光学系が求められている。長焦点距離を有する結像光学系においては、軸上色収差に起因する光学性能低下が課題となるため、蛍石に代表される、正の異常部分分散性が大きく、低屈折率低分散の光学材料を正レンズ材料として用いることが一般的である。
【0005】
大口径比を持つ結像光学系を実現するためには、正の屈折力を大きくする必要があるが、低屈折率の光学材料を使用したレンズの屈折力を大きくすると、曲率が大きくなり、諸収差の悪化を招く。特許文献1、特許文献2記載の結像光学系は、大口径比化と小型軽量化を達成しながら、色収差は補正されているが、球面収差などの諸収差の発生が大きく、光学性能が十分とは言えない。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、小型軽量化を達成しながら、諸収差を良好に補正した大口径望遠レンズとして使用可能な結像光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の結像光学系は、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1、負の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3からなる結像光学系において、前記第1レンズ群G1は、第1レンズ群G1内の最も広い空気間隔を境に、物体側から順に第1Aレンズ群G1Aと第1Bレンズ群G1Bからなり、前記第2レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによりフォーカシングを行い、前記第3レンズ群G3の少なくとも一部を光軸に対して垂直方向成分を含んで移動させることにより防振を行い、前記第2レンズ群G2が少なくとも1枚の正レンズと、複数の負レンズとを有し、以下に示す条件式を満足することとした。
(1)f1/f>0.61
(2)-0.60<f2/f<-0.4
(3)β2<4.2
(6)θgFp2-0.6483+0.0018×νdp2>0.015
(7)θgFn2-0.6483+0.0018×νdn2<-0.001
但し、
f:無限遠合焦時の前記結像光学系全系の焦点距離
f1:第1レンズ群G1の焦点距離
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
β2:無限遠合焦時の第2レンズ群G2の横倍率
νdp2:前記第2レンズ群G2が有する正レンズうち、少なくとも1枚のd線に関するアッベ数
θgFp2:前記第2レンズ群G2が有する正レンズうち、少なくとも1枚のg線とF線に関する部分分散比
νdn2:前記第2レンズ群G2が有する負レンズのうち、少なくとも1枚のd線に関するアッベ数
θgFn2:前記第2レンズ群G2が有する負レンズのうち、少なくとも1枚のg線とF線に関する部分分散比
【0008】
また、第2の発明はさらに、以下に示す条件式を満足することとした。
(4)νdp1f>60
(5)θgFp1f-0.6483+0.0018×νdp1f>0.001
但し、
νdp1f:前記結像光学系のうち最も物体側に位置する正レンズの、d線に関するアッベ数
θgFp1f:前記結像光学系のうち最も物体側に位置する正レンズの、g線とF線に関する部分分散比
【0010】
また、第3の発明はさらに、以下に示す条件式を満足することとした。
(8)0.02<L1A1B/L<0.2
但し、
L:前記結像光学系のうち、最も物体側のレンズ面から像面までの距離
L1A1B:前記第1レンズ群G1における最大空気間隔
【0011】
また、第4の発明はさらに、前記第1Aレンズ群G1Aは、2枚の正レンズを有し、以下に示す条件式を満足することとした。
(9)νdp1A>60
(10)θgFp1A-0.6483+0.0018×νdp1A>0.001
但し、
νdp1A:第1Aレンズ群G1Aが有する正レンズのうち、d線に関するアッベ数が最も小さい正レンズのd線に関するアッベ数
θgFp1A:第1Aレンズ群G1Aが有する正レンズのうち、d線に関するアッベ数が最も小さい正レンズのg線とF線に関する部分分散比
【0012】
また、第5の発明はさらに、前記第3レンズ群G3は、物体側から順に正の屈折力を有する第3Aレンズ群G3Aと、負の屈折力を有する第3Bレンズ群G3Bと、正の屈折力を有する第3Cレンズ群G3Cからなり、前記第3Bレンズ群G3Bを光軸に対して垂直方向成分を含んで移動させることにより防振を行うこととした。
【0013】
また、第6の発明はさらに、前記第3Aレンズ群G3Aは、少なくとも1枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レンズを有し、以下に示す条件式を満足することとした。
(11)νdp3>60
(12)θgFp3-0.6483+0.0018×νdp3>0.005
νdp3:前記第3レンズ群G3が有する少なくとも1枚の正レンズの、d線に関するアッベ数
θgFp3:前記第3レンズ群G3が有する少なくとも1枚の正レンズの、g線とF線に関する部分分散比
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小型軽量化を達成しながら、諸収差を良好に補正した大口径望遠レンズとして使用可能な結像光学系を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例1の無限遠におけるレンズ構成図である。
【
図2】本発明の実施例1の無限遠における縦収差図である。
【
図3】本発明の実施例1の撮影距離1900mmにおける縦収差図である。
【
図4】本発明の実施例1の無限遠における横収差図である。
【
図5】本発明の実施例1の撮影距離1900mmにおける横収差図である。
【
図6】本発明の実施例1の無限遠における0.31°防振時の横収差図である。
【
図7】本発明の実施例2の無限遠におけるレンズ構成図である。
【
図8】本発明の実施例2の無限遠における縦収差図である。
【
図9】本発明の実施例2の撮影距離1800mmにおける縦収差図である。
【
図10】本発明の実施例2の無限遠における横収差図である。
【
図11】本発明の実施例2の撮影距離1800mmにおける横収差図である。
【
図12】本発明の実施例2の無限遠における0.34°防振時の横収差図である。
【
図13】本発明の実施例3の無限遠におけるレンズ構成図である。
【
図14】本発明の実施例3の無限遠における縦収差図である。
【
図15】本発明の実施例3の撮影距離1900mmにおける縦収差図である。
【
図16】本発明の実施例3の無限遠における横収差図である。
【
図17】本発明の実施例3の撮影距離1900mmにおける横収差図である。
【
図18】本発明の実施例3の無限遠における0.27°防振時の横収差図である。
【
図19】本発明の実施例4の無限遠におけるレンズ構成図である。
【
図20】本発明の実施例4の無限遠における縦収差図である。
【
図21】本発明の実施例4の撮影距離2000mmにおける縦収差図である。
【
図22】本発明の実施例4の無限遠における横収差図である。
【
図23】本発明の実施例4の撮影距離2000mmにおける横収差図である。
【
図24】本発明の実施例4の無限遠における0.25°防振時の横収差図である。
【
図25】本発明の実施例5の無限遠におけるレンズ構成図である。
【
図26】本発明の実施例5の無限遠における縦収差図である。
【
図27】本発明の実施例5の撮影距離1900mmにおける縦収差図である。
【
図28】本発明の実施例5の無限遠における横収差図である。
【
図29】本発明の実施例5の撮影距離1900mmにおける横収差図である。
【
図30】本発明の実施例5の無限遠における0.31°防振時の横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。尚、g線(波長435.8nm)、F線(波長486.1nm)、d線(波長587.6nm)、及びC線(波長656.3nm)に対する屈折率を、それぞれng、nF、nd、nCとした時、アッベ数νd、及び部分分散比θgFは以下の式で表される。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
θgF=(ng-nF)/(nF-nC)
【0017】
本発明の結像光学系は、
図1、7、13、19、25に示すレンズ構成図からわかるように、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1、負の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3からなり、前記第2レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによりフォーカシングを行い、前記第3レンズ群G3の少なくとも一部を光軸に対して垂直方向成分を含んで移動させることにより防振を行い、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(1)f1/f>0.61
(2)-0.66<f2/f<-0.4
(3)β2<4.2
但し、
f:無限遠合焦時の前記結像光学系全系の焦点距離
f1:第1レンズ群G1の焦点距離
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
β2:無限遠合焦時の第2レンズ群G2の横倍率
【0018】
前記結像光学系において、レンズ径と重量の大きい前記第1レンズ群G1をフォーカシングに際し固定し、第1レンズ群G1で収斂された光束が入射するため、第1レンズ群G1に対して径と重量が小さい第2レンズ群G2を光軸に沿って移動させることで、フォーカシングの高速化が可能となる。また、防振レンズ群を有する第3レンズ群G3には、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2を通過して収斂された光束が入射するため、防振レンズ群の径と重量を抑えることが可能となる。
【0019】
一般に望遠レンズの小型化は光学系をテレフォトタイプにする、すなわち物体側から順に正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群で構成し、第1レンズ群の像を第2レンズ群で増倍させることにより全系の焦点距離に対し光学系全長の短縮を可能にした。この作用は各々の群の屈折力を大きくするほど全長短縮効果があがるが、副作用として各群の残存収差が増大し、大口径化、製造誤差敏感度の低減が困難になる。
【0020】
本願発明はこの課題に際し、通常の短縮化とは異なる手法を用いている。第1レンズ群G1の屈折力を小さくすることにより第1レンズ群G1での残存収差を抑制し、第2レンズ群G2の屈折力および横倍率を小さくすることにより第2レンズ群G2での残存収差を抑制しながら第1レンズ群G1での残存収差の拡大を抑えることで、大口径比を持ちながら、無限遠物体から近距離物体までの広範囲の物体距離において高い光学性能を達成することが可能となる。また、各群の屈折力を小さくすることで、各群の軸上厚を小さくすることができ、各群の屈折力を大きくすることなく、全長の短縮化が可能となる。さらに、各群を構成する各光学素子の重量が軽減されるため、光学径全体の軽量化が可能となる。その第1レンズ群G1および第2レンズ群G2の屈折力、第2レンズ群の横倍率について規定したのが上記の条件式(1)、(2)、(3)である。
【0021】
条件式(1)の下限値を超えて第1レンズ群G1の正の屈折力が強くなり過ぎると、第1レンズ群G1で発生する球面収差や非点収差の残存量が大きくなり、その補正が困難になるため、大口径化出来ない。また、各光学素子の小径化には有利になるが、各光学素子の曲率が大きくなるため、軸上厚が厚くなり、小型軽量化の作用が効果的でなくなる。
【0022】
尚、条件式(1)について、望ましくはその下限値を0.63に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0023】
条件式(2)の上限値を超えて第2レンズ群G2の負の屈折力が強くなり過ぎると、フォーカシングにおける第2レンズ群G2の移動量を抑えるには有利になるが、第2レンズ群G2で発生する球面収差や非点収差の量が大きくなり、フォーカシングに伴う収差変動が大きくなる。一方、条件式(2)の下限値を超えて第2レンズ群G2の負の屈折力が弱くなり過ぎると、フォーカシング時の第2レンズ群G2の移動量が大きくなり、光学系全系の小型化が困難になる。
【0024】
尚、条件式(2)について、望ましくはその下限値を-0.60に、また上限値を-0.415に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0025】
条件式(3)の上限値を超えて第2レンズ群G2の横倍率が大きくなると、第1レンズ群G1での残存収差の拡大量が増え、その補正が困難になる。
【0026】
尚、条件式(3)について、望ましくはその上限値を4.0に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0027】
さらに、本発明の結像光学系では、以下に示す条件式を満足することが望ましい。
(4)νdp1f>60
(5)θgFp1f-0.6483+0.0018×νdp1f>0.001
但し、
νdp1f:前記結像光学系のうち最も物体側に位置する正レンズの、d線に関するアッベ数
θgFp1f:前記結像光学系のうち最も物体側に位置する正レンズの、g線とF線に関する部分分散比
【0028】
条件式(4)および条件式(5)は、前記結像光学系のうち最も物体側に位置する正レンズの材料について、軸上色収差、倍率色収差を良好に補正するために好ましい光学特性を規定するものである。正の異常部分分散性を持つ低分散の光学材料を、最も物体側に位置する正レンズの材料として用いることで、当該正レンズでの2次スペクトルを含めた色収差発生を抑え、光学系全体での2次スペクトルを含めた色収差を抑制している。
【0029】
条件式(4)の下限値を超えて前記結像光学系のうち最も物体側に位置する正レンズのアッベ数が小さくなると、当該正レンズで発生する色収差が大きくなり、軸上色収差、倍率色収差の補正が困難となる。
【0030】
尚、条件式(4)について、望ましくはその下限値を65に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0031】
条件式(5)の下限値を超えて前記結像光学系のうち最も物体側に位置する正レンズの正の異常部分分散性が小さくなると、当該正レンズで発生する2次スペクトルを含めた色収差が大きくなり、色収差、特に2次スペクトルの補正が困難になる。
【0032】
尚、条件式(5)について、望ましくはその下限値を0.005に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0033】
さらに、本発明の結像光学系では、前記第2レンズ群G2が少なくとも1枚の正レンズと、複数の負レンズとを有することが望ましい。この構成により、フォーカス時における色収差、球面収差、非点収差等の諸収差の変動を十分に抑制することが可能となる。さらに、以下に示す条件式を満足することが望ましい。
(6)θgFp2-0.6483+0.0018×νdp2>0.01
(7)θgFn2-0.6483+0.0018×νdn2<-0.001
但し、
νdp2:前記第2レンズ群G2が有する正レンズうち、少なくとも1枚のd線に関するアッベ数
θgFp2:前記第2レンズ群G2が有する正レンズうち、少なくとも1枚のg線とF線に関する部分分散比
νdn2:前記第2レンズ群G2が有する負レンズのうち、少なくとも1枚のd線に関するアッベ数
θgFn2:前記第2レンズ群G2が有する負レンズのうち、少なくとも1枚のg線とF線に関する部分分散比
【0034】
条件式(6)、(7)は、第2レンズ群G2に含まれる正レンズおよび負レンズの材料について2次スペクトルを含めて軸上色収差、倍率色収差を良好に補正するために好ましい光学特性を規定するものである。第2レンズ群G2が正の異常部分分散性の材料の正レンズと、正レンズよりも異常部分分散性の低い材料の負レンズを有することで、第2レンズ群G2内で発生する2次スペクトルを含めた色収差を抑制している。
【0035】
条件式(6)の下限値を超えて正レンズの異常部分分散性が小さくなると、正レンズと負レンズの部分分散比の差を小さくすることが出来ず、色収差、特に2次スペクトルの補正が困難になる。
【0036】
尚、条件式(6)について、望ましくはその下限値を0.015に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0037】
条件式(7)の上限値を超えて負レンズの異常部分分散性が大きくなると、正レンズと負レンズの部分分散比の差を小さくすることが出来ず、色収差、特に2次スペクトルの補正が困難になる。
【0038】
尚、条件式(7)について、望ましくはその上限値を-0.003に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0039】
さらに、本発明の結像光学系では、以下に示す条件式を満足することが望ましい。
(8)0.02<L1A1B/L<0.2
但し、
L:前記結像光学系のうち、最も物体側のレンズ面から像面までの距離
L1A1B:前記第1レンズ群G1における最大空気間隔
【0040】
条件式(8)は第1レンズ群G1内の空気間隔について、前記結像光学系全体での重量を抑えるため、第1レンズ群G1内の空気間隔のうち最も広い空気間隔を規定するものである。
【0041】
条件式(8)の下限値を超えて第1レンズ群G1内の最も広い空気間隔が小さくなると、第1Aレンズ群G1Aを通過した光束が十分に収斂されない状態で第1Bレンズ群G1Bに入射するため、第1Bレンズ群G1Bの径が肥大化し、全体での重量が増加する。一方、条件式(8)の上限値を超えて第1レンズ群G1内の最も広い空気間隔が大きくなると、第1Aレンズ群G1Aを通過した光束が十分に収斂された状態で第1Bレンズ群G1Bに入射するため、第1Bレンズ群G1Bの径が抑制されるが、十分な周辺光量の確保のためには、第1Aレンズ群G1Aの径を拡大することが必要となり、全体の重量が増加する。
【0042】
尚、条件式(8)について、望ましくはその下限値を0.04に、また上限値を0.1に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0043】
さらに、本発明の結像光学系では、前記第1Aレンズ群G1Aは、2枚の正レンズを有することが望ましい。2枚の正レンズを有することにより、屈折力を大きくしながら、第1Aレンズ群G1A内で発生する球面収差をはじめとする諸収差をより良好に補正することが可能となる。第1Aレンズ群G1Aでの屈折力を大きくすることで、第1Aレンズ群G1Aでの光線の収斂効果を高め、第1Bレンズ群G1Bに入射する光束の径を小さくすることができ、第1Bレンズ群G1Bの小径化および軽量化が可能となる。さらに、以下に示す条件式を満足することが望ましい。
(9)νdp1A>60
(10)θgFp1A-0.6483+0.0018×νdp1A>0.001
但し、
νdp1A:第1Aレンズ群G1Aが有する正レンズのうち、d線に関するアッベ数が最も小さい正レンズのd線に関するアッベ数
θgFp1A:第1Aレンズ群G1Aが有する正レンズのうち、d線に関するアッベ数が最も小さい正レンズのg線とF線に関する部分分散比
【0044】
条件式(9)および条件式(10)は、第1Aレンズ群G1Aが有する正レンズの材料について、軸上色収差、倍率色収差を良好に補正するために好ましい光学特性を規定するものである。正の異常部分分散性を持つ低分散の光学材料を、第1Aレンズ群G1Aが有する正レンズの材料として用いることで、第1Aレンズ群G1Aでの2次スペクトルを含めた色収差発生を抑え、光学系全体での2次スペクトルを含めた色収差を抑制している。
【0045】
条件式(9)の下限値を超えて第1Aレンズ群G1Aが有する正レンズのアッベ数が小さくなると、第1Aレンズ群G1Aで発生する色収差が大きくなり、軸上色収差、倍率色収差の補正が困難となる。
【0046】
尚、条件式(9)について、望ましくはその下限値を65に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0047】
条件式(10)の下限値を超えて第1Aレンズ群G1Aが有する正レンズの正の異常部分分散性が小さくなると、第1Aレンズ群G1Aで発生する2次スペクトルを含めた色収差が大きくなり、色収差、特に2次スペクトルの補正が困難になる。
【0048】
尚、条件式(10)について、望ましくはその下限値を0.005に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0049】
さらに、本発明の結像光学系では、前記第3レンズ群G3は、物体側から順に正の屈折力を有する第3Aレンズ群G3Aと、負の屈折力を有する第3Bレンズ群G3Bと、正の屈折力を有する第3Cレンズ群G3Cからなり、前記第3Bレンズ群G3Bを光軸に対して垂直方向成分を含んで移動させることにより防振を行うことが望ましい。正の屈折力の第3Aレンズ群G3Aにより光線を収斂することで、防振時に移動する第3Bレンズ群G3Bのレンズ径を小さくすることを可能にしている。さらに正の屈折力の第3Cレンズ群G3Cを配置することにより、光学系全系の焦点距離を保ちつつ第3Bレンズ群G3Bの負の屈折力を増大させることが可能となり、第3Bレンズ群G3Bの防振係数を大きくして、少ない移動量で防振を行うことができる。
【0050】
さらに、本発明の結像光学系では、前記第3Aレンズ群G3Aは、少なくとも1枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レンズを有し、以下に示す条件式を満足することが望ましい。低分散かつ正の異常部分分散性をもつ材料の正レンズと、負レンズを有することで、第3Aレンズ群G3A内で発生する2次スペクトルを含めた色収差を抑制している。
(11)νdp3>60
(12)θgFp3-0.6483+0.0018×νdp3>0.005
νdp3:前記第3レンズ群G3が有する少なくとも1枚の正レンズの、d線に関するアッベ数
θgFp3:前記第3レンズ群G3が有する少なくとも1枚の正レンズの、g線とF線に関する部分分散比
【0051】
条件式(11)、(12)は、第3Aレンズ群G3Aに含まれる正レンズの材料について、2次スペクトルを含めて軸上色収差、倍率色収差を良好に補正するために好ましい光学特性を規定するものである。第3Aレンズ群G3Aが低分散かつ正の異常部分分散性が大きい材料の正レンズを有することで、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2で補正不足となった色収差を補正している。
【0052】
条件式(11)の下限値を超えて第3Aレンズ群G3Aうち、少なくとも1枚の正レンズのアッベ数が小さくなると、第3Aレンズ群G3Aで発生する色収差が大きくなり、軸上色収差の補正が困難となる。
【0053】
尚、条件式(11)について、望ましくはその下限値を65に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0054】
条件式(12)の下限値を超えて第3Aレンズ群G3Aうち、少なくとも1枚の正レンズ正の異常部分分散性が小さくなると、第3Aレンズ群G3Aで発生する2次スペクトルを含めた色収差が大きくなり、軸上色収差、特に2次スペクトルの補正が困難になる。
【0055】
尚、条件式(12)について、望ましくはその下限値を0.008に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0056】
本発明の結像光学系では、以下の構成を伴うことがより効果的である。第1Bレンズ群G1Bは、正レンズと負レンズとが貼り合わされた接合レンズを有することが望ましい。これにより、1B群レンズ内での製造誤差敏感度を低減することが可能となる。また、第3レンズ群G3内の防振レンズ群は、1枚の正レンズと2枚の負レンズから構成されることが望ましい。この構成により、防振群の重量増加を抑えながら、高い防振係数を実現し、防振時における、色収差、コマ収差、非点収差等の諸収差の変動を十分に抑制することが可能となる。
【0057】
次に、本発明の結像光学系に係る実施例のレンズ構成について説明する。なお、以下の説明ではレンズ構成を物体側から像側の順番で記載する。
【実施例1】
【0058】
図1は、本発明の実施例1の結像光学系のレンズ構成図である。物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、負の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3レンズ群G3から構成される。
【0059】
第1レンズ群G1は、正の屈折力の第1Aレンズ群G1Aと負の屈折力の第1Bレンズ群G1Bから構成される。第1Aレンズ群G1Aは、両凸形状の正レンズL1と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2から構成される。第1Bレンズ群G1Bは、両凸形状の正レンズL3と両凹形状の負レンズL4との2枚のレンズからなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5と像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL6の2枚のレンズからなる接合レンズから構成される。
【0060】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正レンズL7と両凹形状の負レンズL8との2枚のレンズからなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL9から構成され、第2レンズ群G2を光軸に沿って像面側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行っている。開口絞りSは第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間に配置されている。
【0061】
第3レンズ群G3は、正の屈折力の第3Aレンズ群G3A、負の屈折力の第3Bレンズ群G3B、正の屈折力の第3Cレンズ群G3Cの3つの群から構成され、第3Bレンズ群G3Bを光軸に対して垂直方向成分を含んで移動させることにより防振を行っている。第3Aレンズ群G3Aは、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL10と両凸形状の正レンズL11との2枚のレンズからなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12から構成される。第3Bレンズ群G3Bは、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と両凹形状の負レンズL14との2枚のレンズからなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL15から構成される。第3Cレンズ群G3Cは、両凸形状の正レンズL16と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL17と、両凹形状の負レンズL18と両凸形状の正レンズL19との2枚のレンズからなる接合レンズから構成される。
【実施例2】
【0062】
図7は、本発明の実施例2の結像光学系のレンズ構成図である。物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、負の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3レンズ群G3から構成される。
【0063】
第1レンズ群G1は、正の屈折力の第1Aレンズ群G1Aと負の屈折力の第1Bレンズ群G1Bから構成される。第1Aレンズ群G1Aは、両凸形状の正レンズL1と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2から構成される。第1Bレンズ群G1Bは、両凸形状の正レンズL3と両凹形状の負レンズL4との2枚のレンズからなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5と像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL6の2枚のレンズからなる接合レンズから構成される。
【0064】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正レンズL7と両凹形状の負レンズL8との2枚のレンズからなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL9から構成され、第2レンズ群G2を光軸に沿って像面側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行っている。開口絞りSは第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間に配置されている。
【0065】
第3レンズ群G3は、正の屈折力の第3Aレンズ群G3A、負の屈折力の第3Bレンズ群G3B、正の屈折力の第3Cレンズ群G3Cの3つの群から構成され、第3Bレンズ群G3Bを光軸に対して垂直方向成分を含んで移動させることにより防振を行っている。第3Aレンズ群G3Aは、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL10と両凸形状の正レンズL11との2枚のレンズからなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12から構成される。第3Bレンズ群G3Bは、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と両凹形状の負レンズL14との2枚のレンズからなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL15から構成される。第3Cレンズ群G3Cは、両凸形状の正レンズL16と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL17と、両凹形状の負レンズL18と両凸形状の正レンズL19との2枚のレンズからなる接合レンズから構成される。
【実施例3】
【0066】
図13は、本発明の実施例3の結像光学系のレンズ構成図である。物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、負の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3レンズ群G3から構成される。
【0067】
第1レンズ群G1は、正の屈折力の第1Aレンズ群G1Aと負の屈折力の第1Bレンズ群G1Bから構成される。第1Aレンズ群G1Aは、両凸形状の正レンズL1と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2から構成される。第1Bレンズ群G1Bは、両凸形状の正レンズL3と両凹形状の負レンズL4との2枚のレンズからなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5と像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL6の2枚のレンズからなる接合レンズから構成される。
【0068】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正レンズL7と両凹形状の負レンズL8との2枚のレンズからなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL9から構成され、第2レンズ群G2を光軸に沿って像面側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行っている。開口絞りSは第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間に配置されている。
【0069】
第3レンズ群G3は、正の屈折力の第3Aレンズ群G3A、負の屈折力の第3Bレンズ群G3B、正の屈折力の第3Cレンズ群G3Cの3つの群から構成され、第3Bレンズ群G3Bを光軸に対して垂直方向成分を含んで移動させることにより防振を行っている。第3Aレンズ群G3Aは、両凹形状の負レンズL10と両凸形状の正レンズL11との2枚のレンズからなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL12から構成される。第3Bレンズ群G3Bは、両凸形状の正レンズL13と両凹形状の負レンズL14との2枚のレンズからなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL15から構成される。第3Cレンズ群G3Cは、両凸形状の正レンズL16と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL17と、両凹形状の負レンズL18と両凸形状の正レンズL19との2枚のレンズからなる接合レンズから構成される。
【実施例4】
【0070】
図19は、本発明の実施例4の結像光学系のレンズ構成図である。物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、負の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3レンズ群G3から構成される。
【0071】
第1レンズ群G1は、正の屈折力の第1Aレンズ群G1Aと負の屈折力の第1Bレンズ群G1Bから構成される。第1Aレンズ群G1Aは、両凸形状の正レンズL1と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2から構成される。第1Bレンズ群G1Bは、両凸形状の正レンズL3と両凹形状の負レンズL4との2枚のレンズからなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5と像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL6の2枚のレンズからなる接合レンズから構成される。
【0072】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正レンズL7と両凹形状の負レンズL8との2枚のレンズからなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL9から構成され、第2レンズ群G2を光軸に沿って像面側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行っている。開口絞りSは第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間に配置されている。
【0073】
第3レンズ群G3は、正の屈折力の第3Aレンズ群G3A、負の屈折力の第3Bレンズ群G3B、正の屈折力の第3Cレンズ群G3Cの3つの群から構成され、第3Bレンズ群G3Bを光軸に対して垂直方向成分を含んで移動させることにより防振を行っている。第3Aレンズ群G3Aは、両凹形状の負レンズL10と両凸形状の正レンズL11との2枚のレンズからなる接合レンズと、両凸形状の正レンズL12から構成される。第3Bレンズ群G3Bは、両凸形状の正レンズL13と両凹形状の負レンズL14との2枚のレンズからなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL15から構成される。第3Cレンズ群G3Cは、両凸形状の正レンズL16と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL17と、両凹形状の負レンズL18と両凸形状の正レンズL19との2枚のレンズからなる接合レンズから構成される。
【実施例5】
【0074】
図25は、本発明の実施例5の結像光学系のレンズ構成図である。物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、負の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3レンズ群G3から構成される。
【0075】
第1レンズ群G1は、正の屈折力の第1Aレンズ群G1Aと負の屈折力の第1Bレンズ群G1Bから構成される。第1Aレンズ群G1Aは、両凸形状の正レンズL1と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2から構成される。第1Bレンズ群G1Bは、両凸形状の正レンズL3と両凹形状の負レンズL4との2枚のレンズからなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5と像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL6の2枚のレンズからなる接合レンズから構成される。
【0076】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正レンズL7と両凹形状の負レンズL8との2枚のレンズからなる接合レンズと、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL9から構成され、第2レンズ群G2を光軸に沿って像面側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行っている。開口絞りSは第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間に配置されている。
【0077】
第3レンズ群G3は、正の屈折力の第3Aレンズ群G3A、負の屈折力の第3Bレンズ群G3B、正の屈折力の第3Cレンズ群G3Cの3つの群から構成され、第3Bレンズ群G3Bを光軸に対して垂直方向成分を含んで移動させることにより防振を行っている。第3Aレンズ群G3Aは、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL10と両凸形状の正レンズL11との2枚のレンズからなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12から構成される。第3Bレンズ群G3Bは、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と両凹形状の負レンズL14との2枚のレンズからなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL15から構成される。第3Cレンズ群G3Cは、両凸形状の正レンズL16と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL17と、両凹形状の負レンズL18と両凸形状の正レンズL19との2枚のレンズからなる接合レンズから構成される。
【0078】
以下に、前述した本発明の結像光学系の各実施例の具体的な数値データを示す。
【0079】
[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面又は開口絞りの番号、rは各面の曲率半径、dは各面の間隔、ndはd線(波長587.56nm)に対する屈折率、vdはd線に対するアッベ数、θgFはg線とF線に関する部分分散比を示している。
【0080】
BFはバックフォーカスを表している。
【0081】
面番号に付した(絞り)は、その位置に開口絞りが位置していることを示している。平面又は開口絞りに対する曲率半径には∞(無限大)を記入している。
【0082】
[各種データ]には、撮影距離がINFと所定の撮影距離のときの焦点距離等の値を示している。
【0083】
[可変間隔データ]には、撮影距離がINFと所定の撮影距離のときの可変面間隔及びBF(バックフォーカス)の値を示している。
【0084】
[レンズ群データ]には、各レンズ群を構成する最も物体側の面番号及び群全体の合成焦点距離を示している。
【0085】
なお、以下の全ての諸元の値において、記載している焦点距離f、曲率半径r、レンズ面間隔d、その他の長さの単位は特記のない限りミリメートル(mm)を使用するが、光学系では比例拡大と比例縮小とにおいても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【0086】
また、これらの各実施例における条件式の対応値の一覧を示す。
【0087】
また、各実施例に対応する収差図において、d、g、Cはそれぞれd線、g線、C線を表しており、△S、△Mはそれぞれサジタル像面、メリジオナル像面を表している。
【0088】
数値実施例1
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd θgF
物面 ∞ (d0)
1 198.8338 10.2285 1.49700 81.61 0.5386
2 -5696.2958 1.5000
3 121.6258 12.9769 1.43700 95.10 0.5332
4 999.9737 13.0000
5 91.4762 15.2219 1.49700 81.61 0.5386
6 -974.3321 3.0000 1.65412 39.68 0.5737
7 168.5344 0.2000
8 54.6376 10.0692 1.49700 81.61 0.5386
9 86.7909 2.9457 1.61340 44.27 0.5633
10 43.4337 (d10)
11 178.1407 4.4503 1.80809 22.76 0.6285
12 -422.1221 1.5000 1.80420 46.50 0.5574
13 117.5341 3.4558
14 -940.7056 1.5000 1.58144 40.89 0.5767
15 79.9174 (d15)
16(絞り) ∞ 3.0000
17 359.7517 1.4000 1.78880 28.43 0.6009
18 45.9261 9.3922 1.59282 68.63 0.5441
19 -215.0839 0.2000
20 70.4113 5.7561 1.87070 40.74 0.5683
21 468.6274 3.5740
22 -1446.5133 3.9357 1.92286 20.88 0.6389
23 -81.7582 1.2000 1.65100 56.24 0.5420
24 53.4612 3.9948
25 -228.8793 1.2000 1.71300 53.94 0.5439
26 84.4810 3.0000
27 85.9590 5.1838 1.80420 46.50 0.5574
28 -427.4180 0.2000
29 116.0492 4.0389 1.87070 40.73 0.5683
30 589.2252 1.9888
31 -102.1187 1.4002 1.84666 23.78 0.6192
32 109.4921 9.8411 1.87070 40.73 0.5683
33 -89.9292 54.1111
像面 ∞
[各種データ]
INF 1900mm
焦点距離 195.60 200.34
Fナンバー 1.84 1.95
全画角2ω 12.56 9.36
像高Y 21.63 21.63
レンズ全長 239.72 239.72
[可変間隔データ]
INF 1900mm
d0 1660.3283
d10 15.3147 33.9574
d15 30.9422 12.2995
BF 54.1111 54.1111
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 159.02
G2 11 -99.51
G3 17 103.53
G1A 1 175.46
G1B 5 -1589.39
G3A 17 87.64
G3B 22 -46.43
G3C 27 55.66
【0089】
数値実施例2
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd θgF
物面 ∞ (d0)
1 469.2059 7.5732 1.48749 70.45 0.5303
2 -511.2594 1.6447
3 109.0877 12.8016 1.43700 95.10 0.5332
4 1000.0000 10.0000
5 92.1493 14.0874 1.49700 81.61 0.5386
6 -999.9209 3.0000 1.67300 38.26 0.5757
7 179.3970 0.2000
8 55.6155 10.7194 1.55032 75.50 0.5405
9 86.2413 3.5563 1.61340 44.27 0.5633
10 43.3843 (d10)
11 221.7795 4.3992 1.80809 22.76 0.6285
12 -249.4711 1.5000 1.80420 46.50 0.5574
13 142.4955 2.8198
14 -814.0149 1.6985 1.58144 40.89 0.5767
15 79.1097 (d15)
16(絞り) ∞ 3.0000
17 1244.1779 1.4000 1.78880 28.43 0.6009
18 48.1352 9.4953 1.59282 68.63 0.5441
19 -152.6074 0.2000
20 69.0197 6.0896 1.87070 40.73 0.5683
21 593.6721 3.5666
22 -868.9441 3.9550 1.92286 20.88 0.6389
23 -78.3371 1.2000 1.65100 56.24 0.5420
24 53.4466 3.9979
25 -237.1154 1.2000 1.71300 53.94 0.5439
26 88.5104 3.0000
27 90.4664 5.1418 1.87070 40.73 0.5683
28 -389.5672 0.2000
29 119.5488 3.9319 1.87070 40.73 0.5683
30 448.5444 1.9753
31 -109.6020 1.4000 1.84666 23.78 0.6192
32 73.4625 10.3002 1.87070 40.73 0.5683
33 -97.3631 54.3633
像面 ∞
[各種データ]
INF 1800mm
焦点距離 178.98 185.18
Fナンバー 1.84 1.93
全画角2ω 13.71 10.42
像高Y 21.63 21.63
レンズ全長 232.10 232.10
[可変間隔データ]
INF 1800mm
d0 1567.9452
d10 14.8871 33.4378
d15 28.8005 10.2499
BF 54.3633 54.3633
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 154.81
G2 11 -100.51
G3 17 98.66
G1A 1 180.21
G1B 5 -4597.06
G3A 17 83.60
G3B 22 -46.86
G3C 27 55.96
【0090】
数値実施例3
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd θgF
物面 ∞ (d0)
1 203.6430 11.2718 1.49700 81.61 0.5386
2 -2567.8704 1.5554
3 124.6271 13.4521 1.43700 95.10 0.5332
4 1031.5210 12.1216
5 92.9832 15.9651 1.49700 81.61 0.5386
6 -999.6839 3.6514 1.65412 39.68 0.5737
7 180.9344 0.2015
8 56.1292 9.8254 1.49700 81.61 0.5386
9 88.3581 2.8890 1.61340 44.27 0.5633
10 44.1643 (d10)
11 185.5195 4.5821 1.80809 22.76 0.6285
12 -399.3392 1.5004 1.80610 40.73 0.5670
13 117.2797 3.7594
14 -654.2740 1.5896 1.57099 50.80 0.5588
15 81.8004 (d15)
16(絞り) ∞ 3.1930
17 -1176.7782 1.0000 1.76182 26.61 0.6123
18 57.3721 7.8707 1.59282 68.63 0.5441
19 -218.5291 0.2000
20 78.0729 7.4173 1.77250 49.62 0.5505
21 -867.0466 3.0000
22 1605.8432 3.7482 1.92286 20.88 0.6389
23 -101.2287 1.8907 1.67790 55.52 0.5446
24 53.8440 3.4912
25 -501.2697 1.2000 1.72916 54.67 0.5451
26 89.0739 3.0712
27 94.9951 4.8774 1.72000 43.61 0.5683
28 -342.9986 0.2000
29 69.4953 6.0682 1.88100 40.14 0.5704
30 131.7288 2.5405
31 -241.2677 4.0000 1.84666 23.78 0.6192
32 68.6149 8.9964 1.80610 33.27 0.5881
33 -164.2712 55.2054
像面 ∞
[各種データ]
INF 1900mm
焦点距離 225.46 222.97
Fナンバー 2.02 2.16
全画角2ω 10.91 7.56
像高Y 21.63 21.63
レンズ全長 257.29 257.29
[可変間隔データ]
INF 1900mm
d0 1642.7644
d10 15.7570 34.3463
d15 41.1936 22.6044
BF 55.2054 55.2054
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 157.82
G2 11 -97.62
G3 17 123.57
G1A 1 176.43
G1B 5 -1916.02
G3A 17 98.85
G3B 22 -51.22
G3C 27 61.61
【0091】
数値実施例4
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd θgF
物面 ∞ (d0)
1 250.9698 11.5572 1.49700 81.61 0.5386
2 -1377.9485 1.5000
3 125.0990 16.0784 1.43700 95.10 0.5332
4 1589.4410 13.0000
5 94.3366 17.9266 1.49700 81.61 0.5386
6 -898.5145 3.0083 1.67300 38.26 0.5757
7 188.1074 0.2000
8 59.3370 9.7736 1.55032 75.50 0.5405
9 91.9383 2.5498 1.61340 44.27 0.5633
10 45.8491 (d10)
11 216.0455 5.2701 1.80809 22.76 0.6285
12 -248.8819 1.5000 1.80450 39.63 0.5710
13 140.9246 3.5003
14 -819.2435 1.5000 1.56732 42.84 0.5747
15 79.3307 (d15)
16(絞り) ∞ 3.0724
17 -3238.1220 1.4000 1.78880 28.43 0.6009
18 65.3208 7.1414 1.55032 75.50 0.5405
19 -311.2995 0.2000
20 82.3843 6.5283 1.61272 58.58 0.5449
21 -225.2995 3.0000
22 450.8539 3.6854 1.92286 20.88 0.6389
23 -124.1266 1.2000 1.65100 56.24 0.5420
24 48.6625 4.1945
25 -282.8121 1.2000 1.71300 53.94 0.5439
26 98.7072 3.7976
27 83.9722 5.2439 1.70154 41.15 0.5766
28 -527.7711 0.2000
29 76.1736 6.2942 1.85026 32.27 0.5929
30 342.6958 1.0533
31 -497.9922 1.4000 1.84666 23.78 0.6192
32 46.4044 14.8994 1.80610 33.27 0.5881
33 -1088.6495 54.7628
像面 ∞
[各種データ]
INF 2000mm
焦点距離 244.97 233.04
Fナンバー 2.02 2.13
全画角2ω 10.04 7.03
像高Y 21.63 21.63
レンズ全長 264.35 264.35
[可変間隔データ]
INF 2000mm
d0 1735.7019
d10 17.0227 35.5338
d15 40.6879 22.1769
BF 54.7628 54.7628
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 159.20
G2 11 -103.34
G3 17 145.97
G1A 1 181.46
G1B 5 -2913.78
G3A 17 122.10
G3B 22 -52.19
G3C 27 60.43
【0092】
数値実施例5
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd θgF
物面 ∞ (d0)
1 221.4487 10.0769 1.49700 81.61 0.5386
2 -1627.5887 1.5000
3 121.4760 12.9927 1.43700 95.10 0.5332
4 999.8177 13.0000
5 93.8691 15.1230 1.49700 81.61 0.5386
6 -845.5083 3.0001 1.67300 38.26 0.5757
7 203.2070 0.2000
8 52.2066 10.0369 1.49700 81.61 0.5386
9 75.2309 3.0606 1.61340 44.27 0.5633
10 41.9403 (d10)
11 677.9769 3.5026 1.80809 22.76 0.6285
12 -233.5131 1.5000 1.80420 46.50 0.5574
13 142.3970 2.0985
14 709.1978 1.5000 1.56384 60.83 0.5405
15 78.5212 (d15)
16(絞り) ∞ 3.0000
17 1594.0739 1.4000 1.78880 28.43 0.6009
18 49.5778 9.6560 1.55032 75.50 0.5405
19 -130.9372 0.2000
20 72.3887 7.5920 1.83481 42.72 0.5650
21 1999.9854 3.3734
22 -686.8586 4.0905 1.92286 20.88 0.6389
23 -77.4725 1.2000 1.65100 56.24 0.5420
24 51.7373 3.9040
25 -312.6403 1.2000 1.71300 53.94 0.5439
26 86.7618 3.0000
27 88.5830 5.0682 1.80420 46.50 0.5574
28 -514.0981 0.2000
29 81.7968 5.2679 1.87070 40.73 0.5683
30 177.4699 2.6948
31 -94.0066 1.4000 1.84666 23.78 0.6192
32 136.6318 6.2970 1.87070 40.73 0.5683
33 -79.4957 54.0000
像面 ∞
[各種データ]
INF 1900mm
焦点距離 196.00 199.94
Fナンバー 1.84 1.94
全画角2ω 12.53 9.38
像高Y 21.63 21.63
レンズ全長 238.40 238.40
[可変間隔データ]
INF 1900mm
d0 1661.6508
d10 17.0022 33.0694
d15 30.2615 14.1944
BF 54.0000 54.0000
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 148.96
G2 11 -92.00
G3 17 104.11
G1A 1 176.38
G1B 5 -22564.40
G3A 17 87.49
G3B 22 -46.65
G3C 27 55.81
【0093】
[条件式対応値]
条件式/実施例 1 2 3 4 5
(1) f1/f 0.813 0.865 0.700 0.650 0.760
(2) f2/f -0.509 -0.562 -0.433 -0.422 -0.469
(3) β2 3.67 3.93 3.63 3.02 3.81
(4) νdp1f 81.61 70.45 81.61 81.61 81.61
(5) θgFp1f-0.6483+0.0018×νdp1f 0.0372 0.0089 0.0372 0.0372 0.0372
(6) θgFp2-0.6483+0.0018×νdp2 0.0212 0.0212 0.0212 0.0212 0.0212
(7) θgFn2-0.6483+0.0018×νdn2 -0.0072 -0.0072 -0.0080 -0.0060 -0.0072
(8) L1A1B/L 0.054 0.043 0.047 0.049 0.055
(9) νdp1A 81.61 70.45 81.61 81.61 81.61
(10)θgFp1A-0.6483+0.0018×νdp1A 0.0372 0.0089 0.0372 0.0372 0.0372
(11) νdp3 68.63 68.63 68.63 75.50 75.50
(12) θgFp3-0.6483+0.0018×νdp3 0.0193 0.0193 0.0193 0.0281 0.0281
【符号の説明】
【0094】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G1A 第1Aレンズ群
G1B 第1Bレンズ群
G3A 第3Aレンズ群
G3B 第3Bレンズ群
G3C 第3Cレンズ群
S 開口絞り
I 像面