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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】セントルの組立て方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
E21D11/10 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019197761
(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2021070966
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2021-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】315014567
【氏名又は名称】有限会社 伊藤
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】土田 実
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-282099(JP,A)
【文献】特開2017-166312(JP,A)
【文献】特開2005-105692(JP,A)
【文献】登録実用新案第3021692(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/00-19/06
E21D 23/00-23/26
E04G 21/00
E04G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持装置と、その支持装置に支持されたアーチ状のコンクリート型枠とを備え、そのコンクリート型枠によってトンネル覆工コンクリートを成形するためのセントルの組立て方法において、
前記支持装置の第1脚部の立設を補助するための組立て補助部材をその支持装置の前記第1脚部以外の長尺状の構成部材によって構成し、その組立て補助部材を前記第1脚部の下端に対して連結して、同組立て補助部材をトンネルの延長方向と交差する方向に延在するように地面に設置し、前記第1脚部をジャッキで伸長させて前記支持装置の第2脚部に取り付けた車輪をレール上に設置し、前記第1脚部をジャッキで収縮させて前記車輪で前記支持装置を支持して前記組立て補助部材を浮かせ、前記組立て補助部材を前記第1脚部から分離するセントルの組立て方法。
【請求項2】
前記組立て補助部材として、前記セントル内に設置される足場枠を用いる請求項1に記載のセントルの組立て方法。
【請求項3】
一対の前記組立て補助部材を前記第1脚部の下端に平行をなすように取り付ける請求項1または2に記載のセントルの組立て方法。
【請求項4】
前記組立て補助部材の両端に、組立て補助部材を水平に保つためのジャッキ部材を設ける請求項3に記載のセントルの組立て方法。
【請求項5】
離された組立て補助部材を用いて前記支持装置を組立てる請求項1~4のうちのいずれか一項に記載のセントルの組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セントル、すなわちトンネル覆工コンクリートを成形するための成形型を有する装置の組立て方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のセントルを構築し、そのセントルによってトンネル覆工コンクリートを成形する場合には、トンネルの地面に設置された支持装置上に、成形型となる全体として正面ドーム形状の面板群が支持される。そして、面板群の外周面とトンネルの内壁との間にコンクリートが打設されて、トンネル覆工コンクリートが成形される。
【0003】
ところで、セントルの支持装置は、その下部側に支持枠を有し、この支持枠は、トンネル内にトンネルの延長方向に沿って敷設されたレール上において車輪を介して走行可能になっている。この支持枠は、セントルの支持装置の組立て初期において、レール上に載せられることなく、パイプ材などの長尺材を用いて地面に立てられる。このパイプ材は、バンドなどの結束材やクランプ金具などによって支持枠に固定されて、支え棒のようにして地面に対して斜めに立てかけられて、支持枠を一時的に立設状態にする。
【0004】
その後、隣接する支持枠間などに他の部材が組み付けられて、支持枠が門形形状などの安定状態になった後に、パイプ材が撤去される。
以上のように、前記の従来の組立て方法においては、支持枠が地面に斜めに立てかけられたパイプ材などによって直立状態に支持される。従って、パイプ材が地面上を滑ったり、パイプ材が支持枠から外れたりするおそれがあって、直立状態における支持枠の安定性が乏しく、その結果、セントルの組立ての作業を効率的に遂行することには難がある。
【0005】
セントルの解体は、組立て時とはほぼ逆順に実行されるため、組立て時と同様に前述した問題点が生じる。
これらの問題点を解消するために、特許文献1に開示されたセントルの組立て方法が提案された。この特許文献1に記載の組立て方法は、前記パイプ材を用いることなく、セントルの両側に位置する脚部間にH型鋼などの組立て補助部材を架設して、脚部の転倒を回避できるようにしたものである。このため、セントルの組立てを安定して行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-166312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術を用いれば、支持装置の支持枠を安定状態で構築できる。しかし、支持装置以外に、脚部間に架設される組立て補助部材が必要となるため、セントルの構成部材とに加えて、組立て補助部材をトンネル建設現場に運搬したり、保管したりする必要があった。そして、前記組立て補助部材は、相互に離間して位置する両側の脚部間に介在されるものであるため、長く、大型で大重量となる。このため、組立て補助部材の運搬のために、大型トラックを調達したり、広い保管スペースを確保したりする必要があって、組立て補助部材の取扱いに手間がかかることになる。
【0008】
本発明は、大きく、重い専用の組立て補助部材を要することなく、セントルを容易に組立てることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するために、本発明のセントルの組立て方法においては、支持装置と、その支持装置に支持されたアーチ状のコンクリート型枠とを備え、そのコンクリート型枠によってトンネル覆工コンクリートを成形するためのセントルの組立て方法において、前記支持装置の脚部の立設を補助するための組立て補助部材をその支持装置の前記脚部以外の長尺状の構成部材によって形成し、その組立て補助部材を脚部の下端に対して連結して、同組立て補助部材をトンネルの延長方向に対して交差するように地面に設置することを特徴とする。
【0010】
従って、本発明においては、セントルの組立てにおいて、セントルの構成部材を流用するため、組立て補助部材の数を少なくすることができて、運搬や、管理の負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、組立て補助部材を用いてセントルを容易に組立てることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】セントルを示すトンネル施工部の断面図。
図2】セントルの側面図。
図3】セントルの骨組の側面図。
図4】足場枠の斜視図。
図5】足場枠を第1脚に取り付けた状態の正面図。
図6】同じく足場枠を第1脚に取り付けた状態の断面図。
図7】同じく足場枠を第1脚に取り付けた状態の平面図。
図8】一対の足場枠を連結した状態の平面図。
図9】支持枠を足場枠によって立設した状態の側面図。
図10】ジャッキ部材の正面図。
図11】ジャッキ部材の本体の斜視図。
図12】アダプタの斜視図。
図13】足場枠を設置した状態を示す模式図。
図14】(a)は第1脚を設置する状態を示す模式図、(b)は車輪がレールから離間した状態を示す模式図。
図15】(a)は第1脚が上昇した状態を示す模式図、(b)は車輪がレール上に位置する状態を示す模式図。
図16】(a)は第1脚がレール203上に位置する状態を示す模式図、(b)は車輪がレールから離間した状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
はじめに、セントル11について説明する。
【0014】
図1及び図2に示すように、セントル11は、トンネル201の内壁面に沿って打設されるコンクリート200を成形するためのものである。トンネル201の地面202には同トンネル201の延長方向に沿ってレール203が敷設されている。
【0015】
図1及び図3に示すように、セントル11は、支持装置12を備えており、その支持装置12は、左右の位置にそれぞれ支持枠13を有している。支持枠13は、前記レール203の延長方向である前後方向に延びる桁部材18と、その桁部材18の前後両端に位置する第1脚14と、その第1脚14の近傍に位置する第2脚16とを有している。第1脚14の下端部には、モータ(図示しない)内蔵の駆動装置61によって伸縮される脚ジャッキ62が組込まれており、脚ジャッキ62の伸縮によって、第1脚14の長さが調節される。第2脚16は、複数の孔63と、その孔63に挿通されるボルト及びナットよりなるピン64との位置関係を変更することにより、上下位置が調節される。
【0016】
第1脚14は介装部材15を介してレール203を挟む位置においてトンネル201の地面202に設置される。第2脚16の下端にはレール203上を転動可能にした車輪17が取り付けられている。前記介装部材15は第1脚14に対して着脱可能である。前記車輪17はレール203上に載置可能であって、車輪17のレール203への載置状態において、セントル11はレール203に沿って移動される。
【0017】
図1及び図3に示すように、前記左右の支持枠13の桁部材18の前後複数位置における上部間には、ほぼ等間隔をおいて複数の架設枠21が架設されている。前後に隣接する架設枠21は、図示しない横枠によって相互に連結固定されている。架設枠21には複数の受け部材22を介して前後方向に配列された複数の骨組23が全体として肋骨状をなすように支持されており、図1及び図2に示すように、この骨組23の外側には複数枚の面板24が取り付けられている。この面板24群が全体としてアーチ状のコンクリート型枠となり、このコンクリート空枠により、覆工コンクリート200の内面が成形される。
【0018】
図1図3に示すように、前記架設枠21間の前記横枠には支持板25が固定されており、その支持板25の下面にはH型鋼よりなる長尺材としての2本の足場枠26がその長さ方向の中間部においてボルト及びナット(ともに図示しない)によって固定されている。足場枠26の上面両端部にはメッシュ板(図示しない)よりなる足場28がその周囲の外枠においてボルト及びナット(ともに図示しない)によって固定されている。
【0019】
図4は足場枠26を示すものであって、その両端側からそれぞれ挿通孔29a~29eが2つずつ並設されている。挿通孔29a~29eのうち、前記支持板25に固定するためのボルトは挿通孔29dに挿通され、足場28を固定するためのボルトは挿通孔29aに挿通される。
【0020】
次に、セントル11の組付け方法について説明する。
はじめに、図5図6及び図13に示すように、セントル11の一部を構成する前の分解状態の足場枠26をその長さ方向の中間部においてトンネル201の延長方向に延びるレール203上に同レール203の延長方向と直角に交差するように設置する。なお、足場枠26は、レール203に対して直角をなす状態から多少斜めに交差してもよい。この場合、図6及び図7図9に示すように、2本の足場枠26が平行に設置されて、それらの両端部の上面間にジャッキ部材41がボルト42及びナット43により連結されるとともに、中間部の上面間にアダプタ55がボルト56及びナット57により連結される。そして、この場合、ジャッキ部材41の連結においては、ボルト42が足場枠26の挿通孔29b,29cに挿通され、アダプタ55の連結においては、ボルト56が29eに挿通される。
【0021】
図10及び図11に示すように、前記ジャッキ部材41においては、同ジャッキ部材41の本体である取付け板44の中央部に雌ネジ筒45が補強板46によって補強された状態で貫設されている。その雌ネジ筒45内に雄ネジ47が螺合されており、雄ネジ47の下端には設置板48が固着されている。雄ネジ47の下部には緩み止めのための止めネジ49が螺合されている。取付け板44の四隅にはボルト42の挿通のための挿通孔50が透設されている。
【0022】
図12に示すように、アダプタ55は、板金により本体58を凹凸状に加工して、補強板59により補強したものであって、上板部及び下板部にボルト56の挿通のための挿通孔60が透設されている。なお、このアダプタ55は、第1脚14の長さなどに応じて、高さの異なるものが複数種類用意されることもあり、その場合は適当な高さのものが選択して使用される。
【0023】
そして、図6図8に示すように、ジャッキ部材41の取付け板44を両足場枠26の上面に架設状態で載置して、取付け板44及び足場枠26の挿通孔50,29b,29cにボルト42を通し、そのボルト42にナット43を螺合する。また、両足場枠26の上面にアダプタ55を架設状態で載置して、アダプタ55及び足場枠26の挿通孔60,29eにボルト56を通し、ナット57を螺合する。このようにすれば、両足場枠26が平行状態で対になって、ジャッキ部材41及びアダプタ55によって固定されるとともに、ジャッキ部材41の雄ネジ47が両足場枠26間に位置する。
【0024】
この場合、足場枠26をレール203上に設置する前に、ジャッキ部材41及びアダプタ55のうちの少なくとも一方を一対の両足場枠26に取り付けて、両足場枠26をレール203上に設置し、その後、ジャッキ部材41及びアダプタ55のうちの他方を足場枠26に取り付けてもよい。あるいは、足場枠26をレール203上に設置する前に、ジャッキ部材41及びアダプタ55の双方を一対の足場枠26に取り付けてもよい。つまり、足場枠26のレール203上への設置及び足場枠26に対するジャッキ部材41及びアダプタ55の取り付けの順序は任意でよい。
【0025】
そして、足場枠26がレール203上に位置する状態で、ジャッキ部材41の雄ネジ47の高さをネジの作用によって調節して、設置板48の高さ位置を調節すれば、図8及び図13に示すように、設置板48が地面202に設置されるとともに、足場枠26を水平にすることができる。この状態においては、足場枠26がレール203の延長方向に対して直角に交差される。
【0026】
以上の状態において、図5図6図9及び図14(a)に示すように、支持枠13の第1脚14をアダプタ55上に載置して、その第1脚14の下端をボルト42及びナット43により固定する。このとき、図9及び図14(b)に示すように、第2脚16を上方側の位置に調節配置して、車輪17がレール203の上面から上方へ離間するようにする。なお、図6及び図9においては、第1脚14の下端に前記アダプタ55とは別のアダプタ51が取り付けられているが、このアダプタ51は、第1脚14の長さなどに応じて適宜に取り付けられるものであるため、使用されない場合もある。
【0027】
このようにすれば、支持枠13を倒れることなく、安定状態で直立させることができる。つまり、図1図3及び図9に示すように、支持枠13はレール203に沿って前後方向に延長されるものであるが、足場枠26がレール203と直交する方向に延長されるため、左右位置の支持枠13を直立状態で安定維持させることができる。
【0028】
そして、この状態で、図1及び図3に示すように、左右の支持枠13の桁部材18間に複数の架設枠21を固定する。この場合、支持枠13が直立状態で安定維持されるため、架設枠21を容易かつ正確に組み付けることができる。架設枠21を組み付ければ、支持枠13と架設枠21との組立て体19が全体として門形をなして安定した状態になる。
【0029】
次いで、第1脚14の脚ジャッキ62を伸長させて、組立て体19を持ち上げる。この状態において、第2脚16を下側の位置に配置させて、図15(b)に示すように、車輪17をレール203上に設置する。このようにすれば、車輪17により、組立て体19の重量を支持できる。そして、この状態において、脚ジャッキ62を収縮させて、足場枠26をレール203の上面から浮かせる。
【0030】
次いで、第1脚14の下側のアダプタ55と足場枠26との間におけるボルト56及びナット57による連結を解除し、図15(a)に示すように、足場枠26を第1脚14の下端から分離し、その後、足場枠26を第1脚14の下端の位置から抜き出す。あるいは、先に、アダプタ55と足場枠26との間おけるボルト56及びナット57の連結を解除し、その後、第1脚14を上昇させ、そして、足場枠26を第1脚14の下端から抜き出してもよい。なお、アダプタ55の第1脚14あるいは足場枠26から分離する順序は、どちらが先でもよい。また、アダプタ55は、第1脚14の長さなどの状況に応じて、足場枠26から分離されるが、第1脚14からは分離されず、そのまま使用されることもある。
【0031】
次に、第1脚14の脚ジャッキ62の伸長により、図16(a)に示すように、第1脚14の下端をレール203の上面位置に配置させるとともに、第1脚14の下端と地面202との間に、図1に示す介装部材15を介在させる。その後、第2脚16を上方位置に配置して、図16(b)に示すように、車輪17をレール203から上方に離間させる。このようにすれば、介装部材15により、第1脚14、すなわち、組立て体19を地面202に支持することができる。
【0032】
この状態で、組立て体19上に骨組23や面板24などの各種部材を組み付ける。このとき、足場枠26からジャッキ部材41及びアダプタ51が外され、この足場枠26は本来の位置である取付け板44に組み付けられるとともに、足場枠26の上面に足場28が取り付けられる。
【0033】
このようにすれば、セントル11を組み立てることができ、面板24群によって覆工コンクリート200を成形することができる。
そして、覆工コンクリート200の成形後、車輪17を下方位置に配置するとともに、介装部材15を外せば、セントル11を車輪17によってレール203上に載せて、レール203に沿って移動させることができる。
【0034】
セントル11を解体する場合は、第1脚14と地面202との間に介装部材15が介装されて、受け部材22,骨組み23,足場枠26などが分解される。そして、車輪17が下方位置に配置されて、レール203に支持された状態で第1脚14の下端が脚ジャッキ62によってレール203の上面から上昇される。この状態で、レール203上に、セントル11から分解された足場枠26を用い、前記と同様にして、足場枠26をレール203と直角をなすように設置するとともに、ジャッキ部材41及びアダプタ55を取付ける。その後、脚ジャッキ62により第1脚14が下方へ移動されて、第1脚14が足場枠26上に連結され、そして、車輪17が上方位置に移動配置される。その後、レール組立て時とはほぼ逆順の作業が実行される。
【0035】
本実施形態においては、以下の効果がある。
(1)セントル11の組立て及び解体にあたって、第1脚14の下端に長尺材よりなる足場枠26をレール203の延長方向と直交する方向に延びるように配置し、その足場枠26によって支持枠13を支持する。このため、従来とは異なり、パイプ材を用いることなく、セントル11の構成部材である足場枠26を組立て補助部材として用いて、レール203の延長方向に延びる支持枠13を直立状態に保持できるため、支持枠13の転倒を適切に回避できて、セントル11の組立て作業及び解体作業を円滑に、かつ能率よく行うことができる。
【0036】
(2)足場枠26は平行配置された2本がジャッキ部材41及びアダプタ55によって連結された状態でセットとして用いられるため、その足場枠26を安定状態で設置できる。
【0037】
(3)第1脚14の下端と足場枠26との間にアダプタ55,51が介在されるため、高さの異なる複数種類のアダプタ55,51を用意すれば、第1脚14の長さの相違に対応できる。
【0038】
(4)前記足場枠26は、セントル11の足場として用いられるものであるため、支持枠13の倒伏防止用の専用の部材を用意する必要がない。つまり、足場枠26を転倒防止用の部材として用いた後は、足場枠26をセントル11に組み込めばよい。従って、セントル11の組立てに際して、セントル11の部品以外の部材の運搬や保管の負担を軽減できる。しかも、足場枠26は、距離をおいて配置された左右の第1脚14間を連結して支持枠13の荷重を負担するものではないため、長く頑丈なものは不要である。従って、足場枠26の取り扱いは容易である。なお、ジャッキ部材41及びアダプタ55はセントル11の構築には用いられないが、これらは、小さく、軽量であるため、運搬や保管の負担になることはほとんどない。
【0039】
(変更例)
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化することができる。
【0040】
・アダプタ55,51を省略すること。
・ジャッキ部材41を省略し、ジャッキ部材41に代えて、第1脚14の下端に連結された状態の足場枠26の下端と地面202との間にコンクリートブロックや鋼材を用いること。
【0041】
・前記実施形態においては、2本の平行な足場枠26を第1脚14の下端に連結したが、これを1本とすること。この場合は、ジャッキ部材41の雄ネジ47を2本設け、それらの雄ネジ47を足場枠26の両側に配置する構成とすることが好ましい。
【0042】
(他の技術的思想)
前記実施形態及び変更例からは、以下の技術的思想を把握できる。
(A)支持装置と、その支持装置に支持されたアーチ状のコンクリート型枠とを備え、そのコンクリート型枠によってトンネル覆工コンクリートを成形するためのセントルの解体方法において、
前記支持装置の脚部の立設を補助するための組立て補助部材をその支持装置の前記脚部以外の長尺状の構成部材によって構成し、その組立て補助部材を脚部の下端に対して連結して、同組立て補助部材をトンネルの延長方向と交差する方向に延在するように地面に設置するセントルの解体方法。
【0043】
(B)前記支持装置から前記組立て補助部材を分離して、分離された組立て補助部材を用いて前記脚部を立設する前記技術的思想(A)項に記載のセントルの解体方法。
【符号の説明】
【0044】
11…セントル、12…支持装置、13…支持枠、26…足場枠、41…ジャッキ部材、55…アダプタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16