(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】携帯用椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 4/02 20060101AFI20221108BHJP
A47C 4/28 20060101ALI20221108BHJP
A47C 9/10 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
A47C4/02 Z
A47C4/28 Z
A47C9/10 Z
(21)【出願番号】P 2019206231
(22)【出願日】2019-11-14
【審査請求日】2019-11-14
(31)【優先権主張番号】10-2019-0087606
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518439239
【氏名又は名称】ドングァ アルミニウム コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Dongah Aluminum Corporation
【住所又は居所原語表記】54, Gajaeul-ro, Seo-gu, Incheon, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラー, ジェ-クン
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-536148(JP,A)
【文献】特開平07-329789(JP,A)
【文献】特開2004-041400(JP,A)
【文献】特開平06-197821(JP,A)
【文献】特開2015-002963(JP,A)
【文献】特開2018-020101(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0104805(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 4/00 - A47C 5/14
A47C 9/00 - A47C 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポールが分離可能に結合されて形成される椅子フレームと、
前記椅子フレームに分離可能に結合され、ユーザの身体を支持する柔軟な素材からなる椅子カバーと、
前記椅子カバーにおいてユーザの臀部を支持する部分に設けられるシート部材とを含み、
前記椅子フレームは、地面と平行に配置される中央支持ポールと、
それぞれの基端が前記中央支持ポールの両端に分離可能に連結され、それぞれの自由端が地面と所定角度をなして前方上向きに延びる複数の前方支持ポールと、
それぞれの基端が前記中央支持ポールの両端に分離可能に連結され、それぞれの自由端が地面と所定角度をなして後方上向きに延びる複数の後方支持ポールと、
それぞれの基端が前記中央支持ポールの両端に分離可能に連結され、それぞれの自由端が下向きに延びて地面に接触する複数の脚ポールとを含み、
前記シート部材は、硬い素材からなる板材であり、その底面が前記中央支持ポールに接触して支持さ
れ、
前記椅子カバーは、前記シート部材の底面に突設される弾性クリップを備え、前記中央支持ポールが前記弾性クリップに挿入されることにより前記中央支持ポールに固定されることを特徴とする、携帯用椅子。
【請求項2】
前記シート部材は、折り畳めるように結合された少なくとも2枚の板材からなることを特徴とする、請求項1に記載の携帯用椅子。
【請求項3】
前記椅子カバーは、前記シート部材の底面に結合され、前記中央支持ポールを固定するベルクロテープを備えることを特徴とする、請求項1に記載の携帯用椅子。
【請求項4】
前記椅子カバーにおいてユーザの後頭部または背部を支持する部分に設けられ、硬い素材からなる後方支持部材をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の携帯用椅子。
【請求項5】
前記後方支持部材は、前記複数の後方支持ポールのそれぞれの自由端間を横切るように形成されることを特徴とする、請求項
4に記載の携帯用椅子。
【請求項6】
前記複数の後方支持ポールは、それぞれの基端が前記中央支持ポールの両端に連結され、それぞれの他端が地面と第1の角度をなして後方上向きに延びる第1の延長部と、それぞれの基端が前記第1の延長部の他端に連結され、それぞれの自由端が地面と第2の角度をなして後方上向きに延びる第2の延長部とを備え、
前記第1の角度が前記第2の角度よりも小さく形成されて前記後方支持ポールが屈折した形状を有することを特徴とする、請求項
5に記載の携帯用椅子。
【請求項7】
前記椅子カバーは、前記前方支持ポール及び後方支持ポールの自由端に対応する位置に、前記各自由端との結合のためのポケット部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の携帯用椅子。
【請求項8】
前記前方支持ポールの自由端とそれに対応する前記ポケット部は、スナップフィット(snap-fit)方式で前記前方支持ポールの自由端に結合されることを特徴とする、請求項
7に記載の携帯用椅子。
【請求項9】
前記シート部材の前方端部は、水平方向に前記前方支持ポールの自由端よりも前方に突出し、前記後方支持ポールの自由端は、水平方向に前記シート部材の後方端部よりも後方に突出することを特徴とする、請求項
4に記載の携帯用椅子。
【請求項10】
前記シート部材の上面に結合されるクッション部材をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の携帯用椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キャンプや釣りなどの野外活動の増加に伴って各種携帯用椅子が提供されてきている。携帯用椅子は、携帯に便利で、設置が簡単でなければならず、使用時にユーザに安定感を与えるものでなければならない。このような条件を満たす携帯用椅子を提供するために、様々な試みがなされている。
【0003】
特許文献1には、椅子のメインフレームとシート部材が結合される形態の携帯用椅子が開示されている。特許文献1においては、シート部材が全体的に柔軟な素材からなり、ユーザが椅子に座るとシート部材がユーザの体重により下方に撓む。よって、シート部材がユーザを左右両側から覆うので、椅子に座ったユーザの動きが拘束され、安定した座り心地を与えることができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国登録実用新案第20-0480869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ユーザを安定して支持すると共に快適な座り心地を与えることのできる携帯用椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一例として、携帯用椅子は、複数のポールが分離可能に結合されて形成される椅子フレームと、椅子フレームに分離可能に結合され、ユーザの身体を支持する柔軟な素材からなる椅子カバーと、椅子カバーにおいてユーザの臀部を支持する部分に設けられ、硬い素材からなるシート部材とを含む。
【0007】
他の例として、シート部材は、折り畳めるように結合された少なくとも2枚の板材からなるようにしてもよい。
【0008】
さらに他の例として、椅子フレームは、地面と平行に配置される中央支持ポールと、それぞれの基端が中央支持ポールの両端に分離可能に連結され、それぞれの自由端が地面と所定角度をなして前方上向きに延びる複数の前方支持ポールと、それぞれの基端が中央支持ポールの両端に分離可能に連結され、それぞれの自由端が地面と所定角度をなして後方上向きに延びる複数の後方支持ポールと、それぞれの基端が中央支持ポールの両端に分離可能に連結され、それぞれの自由端が下向きに延びて地面に接触する複数の脚ポールとを含むようにしてもよい。
【0009】
さらに他の例として、シート部材は、その底面が中央支持ポールから上方に離隔して位置するようにしてもよい。
【0010】
さらに他の例として、シート部材は、その底面が中央支持ポールに接触して支持されるようにしてもよい。
【0011】
さらに他の例として、椅子カバーは、シート部材の底面に突設される弾性クリップを備え、中央支持ポールが弾性クリップに挿入されることにより中央支持ポールに固定されるようにしてもよい。
【0012】
さらに他の例として、椅子カバーは、シート部材の底面に結合され、中央支持ポールを固定するベルクロ(登録商標)テープを備えるようにしてもよい。
【0013】
さらに他の例として、椅子カバーにおいてユーザの後頭部または背部を支持する部分に設けられ、硬い素材からなる後方支持部材をさらに含むようにしてもよい。
【0014】
さらに他の例として、椅子フレームは、地面と平行に配置される中央支持ポールと、それぞれの基端が中央支持ポールの両端に分離可能に連結され、それぞれの自由端が地面と所定角度をなして前方上向きに延びる複数の前方支持ポールと、それぞれの基端が中央支持ポールの両端に分離可能に連結され、それぞれの自由端が地面と所定角度をなして後方上向きに延びる複数の後方支持ポールと、それぞれの基端が中央支持ポールの両端に分離可能に連結され、それぞれの自由端が下向きに延びて地面に接触する複数の脚ポールとを含み、後方支持部材は、複数の後方支持ポールのそれぞれの自由端間を横切るように形成されるようにしてもよい。
【0015】
さらに他の例として、複数の後方支持ポールは、それぞれの基端が中央支持ポールの両端に連結され、それぞれの他端が地面と第1の角度をなして後方上向きに延びる第1の延長部と、それぞれの基端が第1の延長部の他端に連結され、それぞれの自由端が地面と第2の角度をなして後方上向きに延びる第2の延長部とを備え、第1の角度が第2の角度よりも小さく形成されて後方支持ポールが屈折した形状を有するようにしてもよい。
【0016】
さらに他の例として、椅子カバーは、前方支持ポール及び後方支持ポールの自由端に対応する位置に、各自由端との結合のためのポケット部を備えるようにしてもよい。
【0017】
さらに他の例として、前方支持ポールの自由端とそれに対応するポケット部は、スナップフィット(snap-fit)方式で前方支持ポールの自由端に結合されるようにしてもよい。
【0018】
さらに他の例として、シート部材の前方端部は、水平方向に前方支持ポールの自由端よりも前方に突出し、後方支持ポールの自由端は、水平方向にシート部材の後方端部よりも後方に突出するようにしてもよい。
【0019】
さらに他の例として、シート部材の上面に結合されるクッション部材をさらに含むようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態による携帯用椅子の斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態による携帯用椅子の側面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による携帯用椅子の正面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態による携帯用椅子の分解斜視図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態による携帯用椅子の斜視図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態による携帯用椅子の側面図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態による携帯用椅子の正面図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態による携帯用椅子の分解斜視図である。
【
図9A】本発明の第2の実施形態による椅子カバーを椅子フレームに結合する過程を順に示す図である。
【
図9B】本発明の第2の実施形態による椅子カバーを椅子フレームに結合する過程を順に示す図である。
【
図9C】本発明の第2の実施形態による椅子カバーを椅子フレームに結合する過程を順に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。各図面の構成要素に符号を付すにあたり、同一構成要素については、たとえ他の図に示すものであっても可能な限り同一符号を付す。また、本発明の実施形態について説明するにあたり、関連する公知の構成または機能についての具体的な説明が本発明の実施形態についての理解を妨げると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0022】
第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態による携帯用椅子の斜視図である。
図2は、本発明の第1の実施形態による携帯用椅子の側面図である。
図3は、本発明の第1の実施形態による携帯用椅子の正面図である。
図4は、本発明の第1の実施形態による携帯用椅子の分解斜視図である。以下、
図1~
図4を参照して、本発明の第1の実施形態による携帯用椅子について説明する。
【0023】
以下の説明において、「前方」とは、携帯用椅子においてユーザが座る方向である椅子の前部に向かう方向(
図2における左方向)を意味し、「後方」とは、「前方」の逆方向である椅子の後部に向かう方向(
図2における右方向)を意味する。
【0024】
図1~
図4に示すように、本発明の第1の実施形態による携帯用椅子は、椅子フレーム110と、椅子カバー120と、シート部材121と、後方支持部材122とを含む。椅子カバー120は、椅子フレーム110に分離可能に結合され、椅子フレーム110は、複数のポールが分離可能に結合されて形成される。シート部材121及び後方支持部材122については後述する。
【0025】
まず、椅子フレーム110は、中央支持ポール111と、複数の前方支持ポール112と、複数の後方支持ポール113と、複数の脚ポール114,115とを備える。中央支持ポール111、前方支持ポール112、後方支持ポール113及び複数の脚ポール114,115は、分離可能に結合される。
【0026】
中央支持ポール111は、地面と平行に配置される。中央支持ポール111の両端には一対のハブ117がそれぞれ結合され、複数の前方支持ポール112、複数の後方支持ポール113及び複数の脚ポール114,115が一対のハブ117に分離可能に結合されることにより中央支持ポール111に結合される。
【0027】
複数の前方支持ポール112は、それぞれの基端がハブ117を介して中央支持ポール111の両端に分離可能に連結され、それぞれの自由端が地面と所定角度をなして前方上向きに延びる。複数の後方支持ポール113は、それぞれの基端がハブ117を介して中央支持ポール111の両端に分離可能に連結され、それぞれの自由端が地面と所定角度をなして後方上向きに延びる。
【0028】
ここで、複数の後方支持ポール113は、第1の延長部113aと、第2の延長部113bとを備え、全体として屈折した形状を有する(
図2を参照)。より具体的には、複数の第1の延長部113aは、それぞれの基端が中央支持ポール111の両端に連結され、それぞれの他端が地面と第1の角度α1をなして後方上向きに延びる。また、複数の第2の延長部113bは、それぞれの基端が第1の延長部113aの他端に連結され、それぞれの自由端が地面と第2の角度α2をなして後方上向きに延びる。さらに、第1の角度α1が第2の角度α2よりも小さく形成されることにより、後方支持ポール113が屈折した形状を有する。
【0029】
一方、前方支持ポール112と第1の延長部113aが地面となす角度は、特に限定されるものではないが、ユーザの体重を安定して支持するために、前方支持ポール112が地面となす角度のほうが第1の延長部113aが地面となす角度よりも小さくなるように形成される。
【0030】
複数の脚ポール114,115は、それぞれの基端がハブ117を介して中央支持ポール111の両端に分離可能に連結され、それぞれの自由端が下向きに延びて地面に接触する。複数の脚ポール114,115は、地面と所定角度をなして前方下向きに延びる複数の前方脚ポール114と、地面と所定角度をなして後方下向きに延びる複数の後方脚ポール115とを備える。複数の脚ポール114,115のそれぞれの自由端には保護キャップ119が結合されるので、脚ポール114,115を地面に安定して着地させることができ、脚ポール114,115の自由端が変形または損傷するのを防止することができる。
【0031】
前記構成の椅子フレーム110に椅子カバー120が分離可能に結合される。椅子カバー120は、柔軟な素材からなり、背面部123と、一対の側面部124とを備える。
【0032】
ここで、シート部材121は、椅子カバー120においてユーザの臀部を支持する部分に設けられる。また、シート部材121は、硬い素材(例えば、プラスチック板材)からなる。よって、ユーザが椅子に座っても椅子カバー120が下方に撓まないので、ユーザを安定して支持すると共に快適な座り心地を与えることができる。
図1~
図4に示すように、シート部材121は、椅子カバー120の内側に挿入されている。しかしながら、これに限定されるものではなく、シート部材121が椅子カバー120の外側に結合されるように形成されてもよい。
【0033】
また、シート部材121は、折り畳めるように構成される。より具体的には、シート部材121は、中央支持ポール111の長手方向を横切る方向に結合された2枚の板材121a,121bからなる。2枚の板材121a,121bは、上方を向いた面が対向して内側に折り畳めるようにヒンジ結合される。よって、椅子フレーム110と椅子カバー120を分離して保管する際に、シート部材121を折り畳んで椅子カバー120が占める体積を減らすことができる。また、使用時にはユーザがシート部材121に座ることにより2枚の板材121a,121bが広がる方向に力が加わるので、使用時にシート部材121が折り畳まれるのを防止することもできる。
【0034】
なお、同実施形態においては、シート部材121が2枚の板材からなるものを例示したが、シート部材121が3枚以上の板材を結合した構成からなるようにしてもよい。
【0035】
また、後方支持部材122は、椅子カバー120においてユーザの後頭部または背部を支持する部分に設けられる。より具体的には、後方支持部材122は、複数の後方支持ポール113のそれぞれの自由端間を横切るように設けられる。また、後方支持部材122も、硬い素材(例えば、プラスチック板材)からなる。よって、後方支持部材122は、ユーザが座った際に、シート部材121と共にユーザを支持することにより、椅子カバー120が下方だけでなく、後方に撓むのを防止することができ、ユーザに安定した座り心地を与えることができる。後方支持部材122も、椅子カバー120の内側に挿入されているが、椅子カバー120の外側に結合されてもよい。
【0036】
一方、背面部123は、シート部材121の後方角部から上向きに延びる椅子カバー120の一部分である。また、一対の側面部124は、シート部材121の両側方角部から背面部123の両側方角部に向かって延びる椅子カバー120の一部分であり、一対の側面部124及び背面部123は、ユーザが座るための空間を形成する。
【0037】
ここで、背面部123と、側面部124とを含む椅子カバー120は、柔軟な素材(例えば、布素材)からなる。すなわち、シート部材121及び後方支持部材122は、椅子カバー120よりも硬い素材からなる。よって、シート部材121と後方支持部材122がユーザに安定した座り心地を与えるのに対して、背面部123と側面部124は、ユーザの動きを拘束しないのでユーザに快適さを与えることができる。
【0038】
一方、椅子カバー120は、椅子フレーム110との結合のためのポケット部127,129を備える。ポケット部127,129は、椅子カバー120において前方支持ポール112及び後方支持ポール113の自由端に対応する位置に形成される。前方支持ポール112の自由端及び後方支持ポール113の自由端がポケット部127,129に結合されることにより、椅子カバー120が椅子フレーム110に結合される。
【0039】
より具体的には、ポケット部127,129は、前方支持ポール112の自由端に対応する位置に形成される前方ポケット部127と、後方支持ポール113の自由端に対応する位置に形成される後方ポケット部129とを備える。
【0040】
前方ポケット部127は、前方支持ポール112の自由端を挿入するための孔(図示せず)を備える。また、後方ポケット部129は、後方支持ポール113の長手方向に延びる形状に形成され、後方支持ポール113の自由端が後方ポケット部129の長手方向に沿って深く挿入される。後方ポケット部129に後方支持ポール113を先に挿入し、その後椅子フレーム110を弾性変形させながら前方ポケット部127に前方支持ポール112を挿入することにより、椅子カバー120を椅子フレーム110に容易に結合することができる。
【0041】
さらに、前述したように、後方支持ポール113が屈折した形状を有するので、ユーザが後方に沈むのを防止すると共に、椅子カバー120と椅子フレーム110を容易に結合することができる。
【0042】
さらに、前方支持ポール112と後方支持ポール113の自由端に椅子カバー120のポケット部127,129が結合されることにより、シート部材121は、中央支持ポール111から上方に離隔して位置するようになる。よって、使用時に、ユーザはシート部材121のみに接触するので、違和感のない安定した座り心地が得られる。
【0043】
さらに、本発明の第1の実施形態による携帯用椅子は、シート部材121の上面に結合されるクッション部材(図示せず)を含む。クッション部材は、ユーザにさらに快適な座り心地を与えることができる。クッション部材は、椅子カバー120内において、シート部材121の上側に形成されてもよく、椅子カバー120の外側に形成されてもよい。
【0044】
第2の実施形態
図5は、本発明の第2の実施形態による携帯用椅子の斜視図である。
図6は、本発明の第2の実施形態による携帯用椅子の側面図である。
図7は、本発明の第2の実施形態による携帯用椅子の正面図である。
図8は、本発明の第2の実施形態による携帯用椅子の分解斜視図である。以下、
図5~
図8を参照して、本発明の第2の実施形態による携帯用椅子の構成について説明する。本発明の第1の実施形態による携帯用椅子と同一または相当する構成については同一または相当する符号を付し、具体的な説明は省略する。
【0045】
図5~
図8に示すように、本発明の第2の実施形態による携帯用椅子は、椅子フレーム210と、椅子カバー220と、シート部材221とを含む。椅子カバー220は、背面部223と、一対の側面部224とを備える。また、本発明の第2の実施形態による携帯用椅子は、第1の実施形態による携帯用椅子の後方支持部材122を含まないが、含んでもよい。本発明の第2の実施形態による携帯用椅子は、椅子フレーム210と椅子カバー220の構造、及び椅子フレーム210と椅子カバー220の結合方式において、第1の実施形態による携帯用椅子と差異がある。
【0046】
より具体的には、椅子フレーム210は、中央支持ポール211と、複数の前方支持ポール212と、複数の後方支持ポール213と、複数の脚ポール214,215とを備える。しかしながら、第2の実施形態による後方支持ポール213は、第1の実施形態による後方支持ポール113とは異なり、屈折した形状を有さない。中央支持ポール211、前方支持ポール212、後方支持ポール213及び複数の脚ポール214,215は、中央支持ポール211の両端に結合された一対のハブ217を介して分離可能に結合される。また、複数の脚ポール214,215のそれぞれの自由端には、保護キャップ219が結合される。
【0047】
シート部材221は、硬い素材(例えば、プラスチック板材)からなり、ユーザが椅子に座ってもシート部材221が下方に撓まないので、ユーザを安定して支持すると共に快適な座り心地を与えることができる。シート部材221は、椅子カバー220の内側に挿入されてもよく、外側に結合されてもよい。また、本発明の第2の実施形態によるシート部材221は、その底面が中央支持ポール211に接触して支持される。よって、中央支持ポール211がユーザの体重を支持するのを補助するので、ユーザの体重をさらに安定して支えることができる。
【0048】
さらに、シート部材221は、折り畳めるように構成され、ヒンジ結合される2枚の板材221a,221bからなる。より具体的には、シート部材221は、中央支持ポール211の長手方向に結合された2枚の板材221a,221bからなる。2枚の板材221a,221bは、シート部材221の上方を向いた面が対向して内側に折り畳めるように結合される(
図9を参照)。よって、椅子フレーム210と椅子カバー220を分離して保管する際に、シート部材221を折り畳んで椅子カバー220が占める体積を減らすことができる。また、使用時にはユーザがシート部材221に座ることによりシート部材221が広がる方向に力が加わるので、使用時にシート部材221が折り畳まれるのを防止することもできる。
【0049】
同実施形態においては、シート部材221が2枚の板材からなるものを例示したが、シート部材221が3枚以上の板材をヒンジ結合した構成からなるようにしてもよい。
【0050】
また、シート部材221を形成する板材のヒンジ結合は、蝶番などのヒンジ部材により行われてもよく、板材間を柔軟な素材で連結する構造により行われてもよい。
【0051】
さらに、シート部材221は、板材の代わりに、中央支持ポール211を横切る方向に延び、中央支持ポール211が延びる方向に所定の間隔をおいて離隔される複数の棒により形成されてもよい。この場合、複数の棒は、椅子カバー220の内側のユーザが座る部分に設けられ、ユーザが椅子に座っても椅子カバー220が下方に撓むのを防止することができる。
【0052】
一方、第2の実施形態による携帯用椅子の椅子カバー220は、シート部材221の底面から突設される弾性クリップ230を備える(
図7または
図8を参照)。中央支持ポール211が弾性クリップ230に挿入されることにより、椅子カバー220が中央支持ポール211に固定される。前述したように、シート部材221が中央支持ポール211により支持されるので、シート部材221に座ったユーザをさらに安定して支えることができ、さらに椅子カバー220が弾性クリップ230を備えるので、シート部材221の水平方向の位置が固定されてシート部材221が前後方向に変位するのを防止することができる。
【0053】
弾性クリップ230は、複数形成され、シート部材221が折り畳まれるのを妨害しないように、中央支持ポール211の長手方向に沿って離隔して形成される。弾性クリップ230の形状は、特に限定されるものではないが、中央支持ポール211を挿入するための開口と、その開口を形成するために下方に突出した一対の突起とを備える。
【0054】
あるいは、椅子カバー220は、シート部材221の底面に結合され、中央支持ポール211を固定するベルクロ(登録商標)テープ(図示せず)を備えてもよい。中央支持ポール211がベルクロ(登録商標)テープによりシート部材221または椅子カバー220に付着されることにより、弾性クリップ230を備える場合と実質的に同じ効果をもたらすことができる。ベルクロ(登録商標)テープも、中央支持ポール211の長手方向に複数形成される。
【0055】
また、椅子カバー220は、椅子フレーム210との結合のためのポケット部227,229を備える。ポケット部227,229は、柔軟な素材からなる部分(背面部223または側面部224)において前方支持ポール212及び後方支持ポール213の自由端に対応する位置に形成される前方ポケット部227と、後方ポケット部229とを備える。
【0056】
前方ポケット部227は、スナップフィット(snap-fit)方式で前方支持ポール212の自由端に結合される。結合の利便性のために、前方ポケット部227は、一対の側面部224において前方支持ポール212の自由端に対応する位置から、前方支持ポール212の自由端に向かって突設される(
図7を参照)。また、後方ポケット部229は、後方支持ポール213の長手方向に延びる形状に形成され、後方支持ポール213の自由端が後方ポケット部229に、前方支持ポール212が前方ポケット部227に挿入される長さよりも深く挿入される。
【0057】
さらに、
図6に示すように、シート部材221の前方端部Aは、水平方向に前方支持ポール212の自由端Bよりも前方に突出し、後方支持ポール213の自由端Dは、水平方向にシート部材221の後方端部Cより後方に突出する。よって、使用時にシート部材221が中央支持ポール211を中心に前方に回転することは、前方支持ポール212と前方ポケット部227との間に形成される椅子カバー220の付勢力により阻止され、シート部材221が中央支持ポール211を中心に後方に回転することは、後方支持ポール213と後方ポケット部229との間に形成される椅子カバー220の付勢力により阻止される。特に、シート部材221の前方端部が水平方向に前方支持ポール212の自由端よりも前方に突出しているので、ユーザが重心を前方に移動させても、シート部材221が前方に回転することを安定して阻止することができる。
【0058】
また、本発明の第2の実施形態による携帯用椅子は、シート部材221の上面に結合されるクッション部材228を含む。クッション部材228は、ユーザにさらに快適な座り心地を与えることができる。クッション部材228は、シート部材221の上面の内側に形成されてもよく、シート部材221の上面の外側に結合されてもよい。
【0059】
図9A~
図9Cは、椅子カバー220を椅子フレーム210に結合する過程を順に示す図である。以下、
図9A~
図9Cを参照して、椅子フレーム210と椅子カバー220を結合して携帯用椅子を組み立てる方法について説明する。しかしながら、椅子フレーム210と椅子カバー220の結合順序は、これに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0060】
まず、
図9Aに示すように、複数のポールが結合された椅子フレーム210を準備する。そして、椅子フレーム210の後方支持ポール213の自由端を椅子カバー220の後方ポケット部229にそれぞれ挿入する。ここで、シート部材221は、内側に折り畳まれた状態である。後方ポケット部229は、後方支持ポール213の長手方向に延びる形状に形成されているので、後方支持ポール213を後方ポケット部229に挿入するだけで椅子カバー220が椅子フレーム210に強固に固定される。
【0061】
次に、
図9Bに示すように、折り畳まれていたシート部材221を中央支持ポール211に結合させるために、シート部材221を広げる。そして、シート部材221の底面の複数の弾性クリップ230に中央支持ポール211を結合する。
【0062】
最後に、
図9Cに示すように、前方支持ポール212の自由端を前方ポケット部227にスナップフィット結合する。より具体的には、前方支持ポール212の端部には球形の結合突起212aが形成されており、前方ポケット部227には結合突起212aにスナップフィット結合可能な孔が形成されている。
図9Cの拡大図に点線で示すように、前方支持ポール212から分離されていた前方ポケット部227を、
図9Cの拡大図に実線で示すように、前方支持ポール212に向けて回転させ、前方ポケット部227を前方支持ポール212の結合突起212aにスナップフィット結合することにより、椅子カバー220を椅子フレーム210に完全に固定することができる。
【0063】
前述したように、前方ポケット部227は、側面部224から前方支持ポール212の自由端に向かって突設されているので、後方支持ポール213とシート部材221が椅子フレーム210に結合された状態において、複数のポールを弾性変形させるような力を加えることなく、前方支持ポール212と前方ポケット部227を容易に結合させることができる。
【0064】
一方、椅子カバー220を椅子フレーム210から分離する場合は、結合する場合とは逆に、前方ポケット部227と前方支持ポール212のスナップフィット結合を解除し、弾性クリップを中央支持ポール211から分離してから、後方ポケット部229を後方支持ポール213から分離することにより、椅子カバー220を椅子フレーム210から容易に分離することができる。
【0065】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものにすぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な変更及び変形が可能であろう。よって、本発明に開示されている実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の技術思想が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲により解釈すべきであり、それと同等の範囲内のあらゆる技術思想もまた、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0066】
110,210 椅子フレーム
111,211 中央支持ポール
112,212 前方支持ポール
113,213 後方支持ポール
114,214 前方脚ポール
115,215 後方脚ポール
119,219 保護キャップ
117,217 ハブ
120,220 椅子カバー
121,221 シート部材
123,223 背面部
124,224 側面部
127,227 前方ポケット部
228 クッション部材
129,229 後方ポケット部
230 弾性クリップ