(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】扁桃摘出術用吸引切除装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3205 20060101AFI20221108BHJP
A61M 27/00 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
A61B17/3205
A61M27/00
(21)【出願番号】P 2020524655
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(86)【国際出願番号】 AU2018050487
(87)【国際公開番号】W WO2019018877
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-05-20
(32)【優先日】2017-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520023271
【氏名又は名称】リダ,ヘイダー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】リダ,ヘイダー
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-508510(JP,A)
【文献】特開2015-051274(JP,A)
【文献】米国特許第03407815(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0127927(US,A1)
【文献】特開2016-016174(JP,A)
【文献】実公昭16-017487(JP,Y1)
【文献】中国実用新案第201727556(CN,U)
【文献】国際公開第96/011637(WO,A1)
【文献】米国特許第04674500(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3205
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁桃摘出術用吸引切除装置であって、
近位ハンドル
と、
遠位湾曲チップと、
前記チップの端部に位置する少なくとも1つの吸引入口を前記ハンドルにある真空口に動作可能に接続する前記チップ内のそれに沿った吸引チャネルと、
前記チップ内のそれに沿ったスロット内に摺動可能に保持された可撓性切断刃部材であって、
前記可撓性切断刃部材は、手で操作可能なロッキング機構によって前記可撓性切断刃部材の遠位切断端が前記チップの端部から伸長する伸長位置と前記可撓性切断刃部材の遠位切断端が前記チップの端部内に後退する後退位置との間で構成可能
である、可撓性切断刃部材と
、
を備
える、装置であり、
前記ロッキング機構は、一対の鉗子で引きながら前記可撓性切断刃部材の遠位切断端がそれぞれの扁桃を切除することができるように、前記遠位切断端を前記遠位湾曲チップの端部から伸長するように構成されており、
前記ロッキング機構は
切断刃部材を備え、前記切断刃部材は、前記ハンドル内の少なくとも1つの上方開口部から押下することができるロッキングレバーであって、前記切断刃部材が前記伸長位置にある場合に前記レバーを押下することにより前記切断刃部材をロック解除して前記切断刃部材を後退するのを可能にするように構成されたロッキングレバー
を備え、かつ
前記切断刃部材の近位端は前記ハンドルの後方開口部から伸長し、前記後方開口部は、前記切断刃部材が後退位置にある場合に前記近位端を前方に押すことにより前記切断刃部材を前方に摺動させるように
構成されており、かつ
前記レバーは、前記切断刃部材が前記伸長位置にある場合に対向する壁に当接する前方バットレスを備える、装置。
【請求項2】
前記切断刃部材は前記後方開口部から完全に引き出すことができる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記レバー
はヒンジによって摺動可能に保持されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記近位端は、前記切断刃部材が前記伸長位置にある場合に前記後方開口部と同一平面に位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記可撓性切断刃部材は前記スロット内で撓み可能に幅方向に方向づけられた平坦部分を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記可撓性切断刃部材はプラスチックを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記可撓性切断刃部材は約3mmの厚さを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記可撓性切断刃部材は約10mmの幅を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
一体形成された
近位ハンドルおよび
遠位湾曲チップを含む第1の部分と前記切断刃部材を含む第2の部分とを含む2部分構造を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記遠位切断端は、
前記遠位湾曲チップの長軸に直交する真っ直ぐな切断エッジに向かって狭くなっている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記切断エッジは約10mmの長さを含む、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
前記切断エッジは鋸歯を備える、請求項
10に記載の装置。
【請求項13】
前記鋸歯は
、前記切断エッジの幅に実質的に沿って配置されており、かつ前記
切断エッジの
垂直方向に直交的に跨っている、請求項
12に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの吸引入口は前記遠位切断端に対して下方に位置しており、前記少なくとも1つの吸引入口は、遠位、側方および下方に位置する吸引入口のうちの少なくとも1つを含む複数の吸引入口を含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に扁桃摘出術用装置に関する。より詳細には本発明は、切除および吸引の使用モードと吸引のみの使用モードとの間で選択的に構成可能な扁桃摘出術用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扁桃摘出術は、両方の口蓋扁桃を扁桃窩と呼ばれる咽頭の側面にある陥凹から除去する外科手術である。
【0003】
扁桃摘出術処置の一種は、典型的には一方の手で鉗子を使用して扁桃を保持しながらもう一方の手で保持される扁桃の切除のための細長い切断刃の使用を含む。
【0004】
この処置の間に真空吸引チップを使用して流体(血液および唾液)を除去してもよい。Yankauerチップ(扁桃チップ)は最もよく使用されている吸引チップのうちの1つである。
【0005】
しかし、3つの器具の利用は助手を必要としたり、あるいは必要に応じた器具類の取り換えは当該処置を複雑にしたり長引かせたりする。
【0006】
さらに、Yankauerチップは大量の流体の吸引を可能にするが、Yankauerチップは、このチップを組織または大きい凝血塊に非常に近づけた場合に容易に閉塞するという欠点を有する。外科医は多くの場合にガーゼスポンジを当該チップの上に置き、ガーゼを通して流体を吸引して閉塞詰まりを防止する。加えて、特開2015-217291号公報は、入れ子式吸引カニューレを有する多目的電気外科用器具を開示している。
【0007】
本発明は、先行技術に欠けている点の少なくともいくつかを克服するか実質的に改善する扁桃摘出術用吸引切除装置を提供すること、あるいは少なくとも代替物を提供することを目的とする。
【0008】
当然のことながら、どんな先行技術情報が本明細書において参照されるとしても、そのような参照は、それらの情報がオーストラリアまたはあらゆる他の国において当該技術分野における通常の一般知識の一部をなすことを認めるものではない。
【発明の概要】
【0009】
本明細書では、近位ハンドルおよび遠位湾曲チップを備える扁桃摘出術用吸引切除装置が提供される。本装置は、使用時の流体の吸引のためにチップの端部に位置する少なくとも1つの吸引入口をハンドルの真空口に動作可能に接続するチップの中またはそれに沿った吸引チャネルを備える。本装置は、チップに沿った対応する幅方向および長手方向スロットの中に摺動可能に保持され、かつ幅方向に方向づけられた可撓性切断刃部材であって、手で操作可能なロッキング機構によって切断刃部材の遠位切断端がチップの端部から伸長する伸長位置と可撓性切断刃部材の遠位切断端がチップの端部内に後退する後退位置との間で構成可能な可撓性切断刃部材をさらに備える。
【0010】
当該刃のこの後退および伸長により、吸引チップまたは吸引切除器具としての二重機能性を可能にし、このようにして手術の速度を上げ、かつ失血を減らす。
【0011】
従って、ロッキング機構は切除および吸引の動作モードと吸引のみの動作モードとの間で本装置を素早く再構成するために使用してもよい。さらに本構成により、片方の手による切除および吸引を可能にし、他方の手を鉗子を操作するなどの他の作業のために空けておく。
【0012】
さらに、本ロッキング機構により親指のみを使用するなどの片方の手による本装置の再構成を可能にしてもよく、人差し指をハンドルを把持するために空けておく。
【0013】
具体的には、ロッキング機構は、ハンドルの上方開口部内にロックされるロッキングレバーを備える可撓性切断刃部材を備えていてもよい。切断刃部材は、ロッキングレバーが上方開口部内にロックされる伸長位置まで前方に押すためにハンドルの後方開口部から伸長している。さらにロッキングレバーは、レバーを係脱して後方に引いて切断刃部材を後退させるために上方開口部からアクセス可能である。
【0014】
扁桃窩に向かう吸引穴の位置は、出血が生じた場合に正確に出血点で血液の即時吸引を可能にし、こうして血液が喉に蓄積する確率を最小限に抑え、血液/凝血塊吸入のリスクを減らす。
【0015】
また、外科医の方を向く当該刃の位置は、常に正確な切除および切断場所の完全な可視性を可能にし、不注意で周囲組織を傷つけ、かつさらなる出血を引き起こす確率を減らす。
【0016】
さらに、吸引入口の構成により、Yankauerチップによって経験する場合がある閉塞問題を実質的に減少または排除することができる。具体的には、吸引入口は遠位切断端に対して下方に位置していてもよく、かつその1つの表面を押し付けることによって閉塞を予防するためにチップの端部の異なる面に配置されていてもよい。具体的には実施形態では、吸引入口は、一対の遠位に位置する吸引入口、対向して側方に位置する吸引入口、および下方に位置する吸引入口を含んでもよい。
【0017】
一態様によれば、提供される。
【0018】
少なくとも1つの上方開口部は、後方上方開口部および前方上方開口部を含んでもよく、当該レバーは、後方上方開口部からアクセス可能な後方ノブと、切断刃部材が伸長位置にある場合に前方上方開口部の後方エッジに当接し、かつ切断刃部材が後退位置から伸長位置に移行する場合に後方上方開口部の前方エッジの下を摺動するように方向づけられた矢印形状のボスとを備えていてもよい。
【0019】
後方上方開口部は、後方ノブが後退位置と伸長位置との間でその後方エッジと前方エッジとの間に位置するように十分に細長くてもよい。
【0020】
前方上方開口部は後方上方開口部よりも小さくてもよい。
【0021】
後方ノブは、それに接触させて切断刃部材を後退位置まで後方に引くことができる、後方上方開口部内でアクセス可能な前方エッジを含んでもよい。
【0022】
切断刃部材は後方開口部から完全に引き出してもよい。
【0023】
当該レバーはライブヒンジによって摺動可能に保持されていてもよい。
【0024】
当該レバーは、切断刃部材が伸長位置にあり得る場合に対向する壁に当接する前方バットレスを備えていてもよい。
【0025】
当該近位端は切断刃部材が伸長位置にあり得る場合に後方開口部と同一平面に位置していてもよい。
【0026】
可撓性切断刃部材は、スロット内で撓み可能に幅方向に方向づけられた平坦部分を含んでもよい。
【0027】
可撓性切断刃部材はプラスチックを含んでもよい。
【0028】
可撓性切断刃部材は約3mmの厚さを含んでもよい。
【0029】
可撓性切断刃部材は約10mmの幅を含んでもよい。
【0030】
本装置は、一体形成されたハンドルおよびチップを含む第1の部分と切断刃部材を含む第2の部分とを含む2部分構造を含んでもよい。
【0031】
遠位切断端は、直交する真っ直ぐな切断エッジに向かって狭くなっていてもよい。
【0032】
切断エッジは約10mmの長さを含んでもよい。
【0033】
切断エッジは鋸歯を備えていてもよい。
【0034】
鋸歯は、切断エッジの幅に実質的に沿って配置され、かつ当該縁部の上から下まで移行していてもよい。
【0035】
少なくとも1つの吸引入口は遠位切断端に対して下方に位置していてもよく、少なくとも1つの吸引入口は、遠位、側方および下方に位置する吸引入口のうちの少なくとも1つを含む複数の吸引入口を含んでもよい。
【0036】
本装置を使用して扁桃摘出術を行うための方法は、片方の手で切断刃部材の近位端を前方に押して同時の切除および吸引を行うことと、吸引のみを行うために当該レバーを押下することによって切断刃部材を後退させることとを含んでもよい。
【0037】
本発明の他の態様も開示する。
【0038】
あらゆる他の形態が本発明の範囲に含まれ得るにも関わらず、以下では添付の図面を参照しながら本開示の好ましい実施形態を単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】実施形態に係る扁桃摘出術用吸引切除装置の上面斜視図を示す。
【
図7】本装置の吸引チップの端部の上面斜視図を示す。
【
図11】本装置のチップの端部の
断面側面図を例解する。
【
図13】後退位置における切断刃部材の後方位置を例解する。
【
図14】伸長位置における切断刃部材の前方位置を例解する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
扁桃摘出術用吸引切除装置100は、近位ハンドル101および遠位湾曲チップ102を備える。装置100は、チップ102の端部に位置している少なくとも1つの吸引入口104とハンドル101に位置している真空管接続部105とを動作可能に接続する少なくとも1つの吸引チャネル103を備える。
【0041】
ここで
図1に提供されている配向軸を参照すると、
図1では、装置100は細長く、かつ近い端部/近位端、遠い端部/遠位端、側面/側方面、上面/上方面および下面/下方面を含む。
【0042】
装置100は、チップ102に沿ってスロット107内に摺動可能に保持され、かつ
図7、
図8および
図11に実質的に表されているように、ハンドル101にある手で操作可能なロッキング機構108によって切断刃部材106の遠位切断端109がチップ102の端部から突出する伸長位置と遠位切断端109がチップ102の端部内に後退する後退位置との間で構成可能な可撓性切断刃部材106をさらに備える。
【0043】
装置100の利用は、吸引装置の真空管接続部105への接続を含む。次いで湾曲チップ102をその端部が喉の奥に位置するように左側または右側から口の中に挿入する。ロッキング機構108は、典型的には反対の手にある一対の鉗子で引きながら遠位切断端109がそれぞれの扁桃を切除することができるように、切断刃部材106の遠位切断端109をチップ102の端部から伸長するように構成されていてもよい。遠位切断端109は、扁桃を鉗子の反対方向に引きながら扁桃の基部を前方に押し、それにより扁桃を切除することができる直交する真っ直ぐな切断エッジ115を画定している。
【0044】
切除している間に、吸引入口104から流体を排出させてもよい。常に、外科医はロッキング機構108を用いて遠位切断端109を後退させて吸引のみのためにチップ102を用い、必要な場合および必要に応じて遠位切断端109を伸長させることができる。
【0045】
この処置は、湾曲チップ102を口の反対の側方面から挿入することによって反対の扁桃のために繰り返してもよい。
【0046】
好ましい実施形態では、ハンドル101およびチップ102はプラスチックで一体形成されている。さらに実施形態では、切断刃部材106も同様にプラスチックで作られている。但し実施形態では、切断刃部材106は、電気焼灼用途のために導電性にするために金属で撓み可能に形成されていてもよい。これは吸引、切除および電気焼灼としての3つの機能性を可能にし、出血点を即時に封鎖する。また、当該器具における電気凝固を用いることで、瘢痕化した扁桃を切除するために力を使用するという必要性を減らすが、それは電気が瘢痕組織を溶かし、最小の切除力が加えられている間に凝固し、切除をより正確にし、組織外傷をより少なくし、このようにして術後に治癒をより速め、かつより痛みの少ない治癒をもたらすからである。
【0047】
図4を参照すると、ハンドル102は一般に細長く、それにより細長い軸を有していてもよく、チップ102はハンドル101の細長い軸との実質的な一直線から湾曲して、その遠位端でそこから約40°逸脱していてもよい。この40°の湾曲は、外科医の手を手術野の外側に持って行き、一定の可視性を確保し、同時に40°の滑らかな湾曲は吸引口の内部での適切な吸引力を維持し、かつ吸引口内での血液凝固を防止する。
【0048】
図1および
図2を参照すると、真空接続口105はハンドルの近位端102から延在していてもよい。図示の実施形態では、真空接続口105は、ハンドル101の細長い軸と実質的に一直線の細長い軸を含むほぼ円筒状である。真空接続口105は、接続インターロックリング112およびOリングシール113を備えていてもよい。
【0049】
図7は、伸長位置における切断刃部材106を示すチップ102の端部をさらに詳細に例解する。
【0050】
図示されている好ましい実施形態では、切断刃部材109は、伸長位置と後退位置との間を移行する場合にスロット107内で撓むことができるように長手方向スロット107内で幅方向に平坦にされて方向づけられた部分を有する。一実施形態では、切断刃部材109は約10mmの幅および約2mmの厚さを含んでもよい。
【0051】
好ましい実施形態では、切断刃部材106はプラスチックで作られている。
【0052】
図7に例解されるように、遠位切断端109は、直交する真っ直ぐな切断エッジ115まで狭くなっていてもよい。
【0053】
さらに、切断エッジ115は、切断エッジ115を上から下に直交的に跨っている複数の鋸歯134を備えていてもよく、これは扁桃組織に係合して切除中に切断刃部材106が横に滑るのを実質的に防止し、かつ周囲組織損傷を回避することができる。
【0054】
図11に最も良く例解されるように、切断エッジ115は先端に向かって尖っておらず、それにより操作中に周囲組織を望ましくなく不注意で損傷することがあるその切断動作の有効性を制限すると共に、必要な場合に扁桃を有効に切断することができるような十分な狭さを含む。例えば、切断エッジ115の幅は約1mmであってもよい。また、当該刃の寸法は、良好に切除するのに十分な大きさであるが、可視性を維持し、周囲組織を常に注視して付帯的組織損傷を回避するのに十分な程に小さくなるように最適化されている。
【0055】
図8を参照すると、伸長位置において約5mmだけチップ102の端部を超えて伸長している遠位切断端109が示されている。
【0056】
図7を参照すると、切断刃部材106に対して下方に位置している吸引入口104が例解されている。
【0057】
さらに好ましい実施形態では、吸引入口104は、遠位、側方および下方などのチップ102の端部の複数の面に位置しており、それにより閉塞の可能性を減らしてもよい。具体的には、
図7は、一対の遠位吸入口104A、一対の対向する側方吸引入口104Bを含む吸引入口を示し、
図8は下方吸入口104Cを示す。
【0058】
図12は、ロッキング機構100をさらに詳細に示す装置100の断面図を例解する。図示のとおり、切断刃部材106は、ハンドル102の後方開口部117から延在する近位端116を含んでもよい。近位端116の近位面は、前方に位置している場合にハンドル102の近位面118と同一平面を占有して嵌合するように角度が付けられている。
【0059】
切断刃部材106は、ライブヒンジ121によって隣接部分120に摺動可能に連結されたロッキングレバー119をさらに備える。さらに、ハンドル102の上側122は、その間をレバー119の矢印形状のボス125が選択的に移行することができる主後方開口部123および副前方開口部124を含む。レバー119は、レバー119を押下するために主開口部123からアクセス可能な後方ノブ126を備える。さらにレバー119は、切断刃部材106が伸長位置にある場合に対向する壁128に当接するバットレス127により遠位で終端している。
【0060】
図12は、後退構成にある切断刃部材106を示す。従って、切除のために切断刃部材109を伸長させるために、典型的にはハンドル102の下側を人差し指で把持しながら親指で後方端116をハンドル102の細長い軸に沿って前方に押してもよい。矢印形状のボス125の前方斜面129は、矢印形状のボス125が前方副開口部124内に位置するときまで矢印形状のボス125が主開口部123と副開口部124との間にある中間部130の下を移行することができるようにレバー
119を押下する。この位置にきたら、矢印形状のボス125の後方の直交するエッジ
135は、中間部130の前方エッジ131に接触して切断刃部材106が圧力下で後方に摺動するのを防止する。この伸長位置において、バットレス127は対向する壁128に当接し、それにより後方端116の前方移動を制限してもよい。
【0061】
その後、切断刃部材106を後退させるために、親指を主開口部123に挿入してレバー119を実質的に押下し、かつ同時にノブ126の前方エッジ132に接触して後方に引いて、これにより矢印形状のボス125の後面130を中間部130の前方エッジ131から係脱させ、かつ親指の動作により切断刃部材106が後方に摺動するのを可能にしてもよい。
【0062】
また
図12から理解することができるように、スロット107の後方部分133は、切断刃部材106の完全な後方への除去を可能にするのに十分な程に幅広である。
【0063】
ロッキング機構108は親指動作のために構成されていてもよいが、ハンドル102は対向する人差し指の把持を向上させるように成形されていてもよい。具体的には、
図5を参照すると、パネル102は、ハンドル102に非円形断面を付与する平らな側壁および直交する下方エッジ111を備え、それにより外科医の手の中でのその回転滑りを防止または減少させてもよい。
【0064】
説明のための上の記載は、本発明の徹底的な理解を与えるために具体的な名称を使用した。但し、本発明を実施するために具体的な詳細は必要ではないことは当業者には明らかであろう。従って、本発明の具体的な実施形態の上の記載は例解および説明のために提供されている。それらは網羅的であることも本発明を開示されている詳細な形態に限定することも意図していない。つまり、明らかに上記教示を考慮して多くの修正および変形が可能である。これらの実施形態は、本発明の原理およびその実際の適用を最も良好に説明するために選択されて記載されており、それらはそれにより他の当業者が本発明および企図される特定の使用に適するような様々な修正を有する様々な実施形態を最も良好に利用するのを可能にする。以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物が本発明の範囲を定めることが意図されている。