(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】二次電池充放電試験装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20221108BHJP
A62C 3/00 20060101ALI20221108BHJP
A62C 3/16 20060101ALI20221108BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
H01M10/48 P
A62C3/00 D
A62C3/16 C
H02J7/00 Q
(21)【出願番号】P 2021158136
(22)【出願日】2021-09-28
【審査請求日】2022-06-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595098011
【氏名又は名称】東洋システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 淳
(72)【発明者】
【氏名】庄司 秀樹
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-013043(JP,A)
【文献】特開2015-201380(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0077842(US,A1)
【文献】特開2012-226915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/44,10/48
H02J 7/00
G01R 31/36
A62C 3/00
A62C 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池へ充放電することにより前記二次電池の評価を行う二次電池充放電試験装置であって、
前記二次電池を収容可能な容器からなる電池ホルダと、
前記電池ホルダを収容する恒温槽と、
前記電池ホルダに収容された前記二次電池を充放電可能な充放電試験装置と、
前記電池ホルダに水を供給可能な給水管と、
前記給水管に介設された第1開閉弁と、
前記電池ホルダに収容された二次電池の発火を検知する第1発火検知器と、
を備え、
前記電池ホルダは、前記給水管から供給される水を前記二次電池を浸漬できる量だけ貯めることができるように構成されており、
前記第1開閉弁は、前記第1発火検知器により前記二次電池の発火を検知すると開かれて前記電池ホルダの中に前記水を供給
し、
前記電池ホルダは前後にスライドさせて引き出し自在に前記恒温槽内に収容され、
前記給水管は、前記電池ホルダを後方へスライドさせて前記恒温槽内に収容したときに前記電池ホルダの後端に着脱可能に接続されていることを特徴とする二次電池充放電試験装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の二次電池充放電試験装置であって、
前記電池ホルダには、前記給水管との接続口に位置させて前記電池ホルダの中の水が排出されることを阻止する逆止弁が設けられていることを特徴とする二次電池充放電試験装置。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載の二次電池充放電試験装置であって、
前記電池ホルダの中には、前記給水管から供給された水の液面を検知する液面測定器が設けられ、
前記液面測定器により、前記電池ホルダの中の水が前記二次電池を所定の位置まで浸漬させることができる量となったことを検知すると、前記第1開閉弁は閉鎖されることを特徴とする二次電池充放電試験装置。
【請求項4】
請求項1から請求項
3の何れか1項に記載の二次電池充放電試験装置であって、
前記恒温槽の中に水を噴霧可能な全体噴霧管と、
前記全体噴霧管に介設された第2開閉弁と、
前記恒温槽内の発火を検知する第2発火検知器と、
前記電池ホルダ内の二次電池と前記充放電試験装置とを接続するケーブルと、
を備え、
前記第2開閉弁は、前記第2発火検知器により前記ケーブルが燃えていることを検知すると開かれて前記容器内に前記水を噴霧することを特徴とする二次電池充放電試験装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4の何れか1項に記載の二次電池充放電試験装置であって、
前記電池ホルダの中に水を噴霧可能な個別噴霧管と、
前記個別噴霧管に介設された第3開閉弁と、
前記恒温槽内の発火を検知する第3発火検知器と、
を備え、
前記第3開閉弁は、前記第1発火検知器により前記電池ホルダ内の発火を検知すると開かれて前記個別噴霧管から前記電池ホルダ内に水を噴霧することを特徴とする二次電池充放電試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池充放電試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、恒温槽内に複数の試験用二次電池の載置部を出し入れ操作可能に構成された二次電池充放電試験装置が知られている。載置部に装着された試験用二次電池は所定の環境温度で充放電の試験が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
試験中に二次電池が過熱して煙が出たり、二次電池が発火したりする場合には、恒温槽内に設置した煙検知器や温度センサなどの発火検知器で煙や発火を検知して発泡剤などで消火することが考えられる。
【0005】
しかしながら、一般的に複数の二次電池を同時に試験するため、異常をきたした二次電池以外の正常な二次電池も使用不能となってしまう。
【0006】
また、恒温槽内が全体的に消火剤の影響を受けてしまうため、恒温槽内の全体を清掃する必要があり、次の試験を再開するためのメンテナンスに手間を要する。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、二次電池の消火を安全に行うことができ、且つ試験を容易に再開することができる二次電池充放電試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、
二次電池へ充放電することにより前記二次電池の評価を行う二次電池充放電試験装置で
あって、
前記二次電池を収容可能な容器からなる電池ホルダと、
前記電池ホルダを収納する恒温槽と、
前記電池ホルダに収容された前記二次電池を充放電可能な充放電試験装置と、
前記電池ホルダに水を供給可能な給水管と、
前記給水管に介設された第1開閉弁と、
前記電池ホルダに収容された二次電池の発火を検知する第1発火検知器と、
を備え、
前記電池ホルダは、前記給水管から供給される水を前記二次電池を浸漬できる量だけ貯めることができるように構成されており、
前記第1開閉弁は、前記第1発火検知器により前記二次電池の発火を検知すると開かれて前記電池ホルダの中に前記水を供給し、
前記電池ホルダは前後にスライドさせて引き出し自在に前記恒温槽内に収容され、
前記給水管は、前記電池ホルダを後方へスライドさせて前記恒温槽内に収容したときに前記電池ホルダの後端に着脱可能に接続されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、給水管から電池ホルダごとに水が供給されるため独立して二次電池を消火できる。消火のための水が電池ホルダの中に供給されるため、消火後には、電池ホルダの中を清掃するだけで、試験を再開させることができる。したがって、恒温槽内全体を清掃する必要があった従来と比較して、本発明はメンテナンス性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明によれば、給水管からの水が、二次電池が収容された電池ホルダに供給されるため、複数の電池ホルダが収容される恒温槽内全体に水を供給する場合と比較して、電池ホルダ内の容積が比較的小さく、迅速に二次電池の消火を行うことができる。
【0011】
また、本発明においては、前記電池ホルダは前後にスライドさせて引き出し自在に前記恒温槽内に収容され、前記給水管は、前記電池ホルダを後方へスライドさせて前記恒温槽内に収容したときに前記電池ホルダの後端に着脱可能に接続される。
【0012】
かかる構成によれば、電池ホルダをスライドさせて恒温槽内に押し込むと同時に電池ホルダと給水管とを接続させることができ、別途、電池ホルダと給水管とを接続する手間を省くことができる。
【0013】
また、本発明においては、前記電池ホルダには、前記給水管との接続口に位置させて前記電池ホルダの中の水が排出されることを阻止する逆止弁が設けられていることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、電池ホルダを恒温槽内から引き出して給水管との接続が解除されても電池ホルダの給水管との接続口から水が漏れることがない。したがって、恒温槽内から電池ホルダを引き出して電池ホルダ内の排水作業を行うことができ、恒温槽内全体で排水作業を行う場合と比較して、排水作業を容易に行うことができる。
【0015】
また、本発明においては、前記電池ホルダの中には、前記給水管から供給された水の液面を検知する液面測定器が設けられ、前記液面測定器により、前記電池ホルダの中の水が前記二次電池を所定の位置まで浸漬させることができる量となったことを検知すると、前記第1開閉弁は閉鎖されることが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、電池ホルダから水が溢れる前に、液面検出器によって二次電池を所定の位置まで浸漬させることができる量となったことを検知すると、第1開閉弁によって給水管が閉じられる。
【0017】
また、本発明においては、
前記恒温槽の中に水を噴霧可能な全体噴霧管と、
前記全体噴霧管に介設された第2開閉弁と、
前記恒温槽内の発火を検知する第2発火検知器と、
前記電池ホルダ内の二次電池と前記充放電試験装置とを接続するケーブルと、
を備え、
前記第2開閉弁は、前記第2発火検知器により前記ケーブルが燃えていることを検知すると開かれて前記容器内に前記水を噴霧することが好ましい。
【0018】
時には、電池の発火とは別に、前記充放電試験装置と接続するケーブルと前記二次電池との接続部分で発火が生じ、発火により生じた炎がケーブルに燃え移り、電池ホルダの外のケーブルが恒温槽内で燃えてしまうことがある。かかる構成によれば、全体噴霧管から恒温槽内全体に水を噴霧することができ、電池ホルダへと延びるケーブルが燃えても適切に消火することができる。
【0019】
また、本発明においては、
前記電池ホルダの中に水を噴霧可能な個別噴霧管と、
前記個別噴霧管に介設された第3開閉弁と、
前記恒温槽内の発火を検知する第3発火検知器と、
を備え、
前記第3開閉弁は、前記第3発火検知器により前記電池ホルダ内の発火を検知すると開かれて前記個別噴霧管から前記電池ホルダ内に水を噴霧することが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、電池ホルダへの給水と併用して個別噴霧管から電池ホルダ内に水を噴霧することができ、電池ホルダに収容された二次電池が発火しても、迅速に消火活動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】発明の第1実施形態の二次電池充放電試験装置を一部断面で示す説明図。
【
図2】第1実施形態の二次電池充放電試験装置を一部断面で側方から示す説明図。
【
図4】第1実施形態の二次電池充放電試験装置の後ろ側を一部断面で示す説明図。
【
図5】第1実施形態の二次電池充放電試験装置を正面から示す説明図。
【
図6】発明の第2実施形態の二次電池充放電試験装置を一部断面で示す説明図。
【
図7】第2実施形態の二次電池充放電試験装置を正面から示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
図1から
図5を参照して、発明の第1実施形態の二次電池充放電試験装置を説明する。
図1を参照して、第1実施形態の二次電池充放電試験装置1は、二次電池へ充放電することにより二次電池の評価を行うものである。内部の気温を一定に保つ恒温槽2と、恒温槽2内に収納され、二次電池3を収容可能な容器からなる複数の電池ホルダ4と、各電池ホルダ4に収容された二次電池3をコンタクトプローブ5及びケーブル6を介して充放電可能なコンピュータシステムからなる充放電試験装置7と、を備える。
【0023】
恒温槽2は、温調された空気を循環させることにより内部の温度を一定に保つように制御された装置であり、周囲環境からの温度変化の影響を防ぐことができる構造になっている。
図1,2,4,5では、説明の便宜上、恒温槽2の半分だけを示している。
【0024】
電池ホルダ4は、直方体形状であり、収容された二次電池3を所定位置まで浸漬できる量だけ水を貯められるように構成されている。所定位置としては、二次電池3が完全に水没してしまう量でもいいし、または二次電池3が完全に水没しなくても二次電池3を十分に消火可能な位置であればよい。電池ホルダ4の上壁には、二次電池3の端子に昇降可能なコンタクトプローブ5が接続できるように開口された充放電接続口4aが設けられている。また、電池ホルダ4の上壁の後端側には、電池ホルダ4内に水を供給するための給水用開口部4bが設けられている。また、電池ホルダ4には、収容された二次電池3の温度を測定する温度センサ4cが設けられている。温度センサ4cで検出された信号は充放電試験装置7で受信され、充放電試験装置7は、温度センサ4cで検出された温度に基づいて充放電試験を実施する。
【0025】
また、恒温槽2内には、電池ホルダ4に水を供給可能な給水管8が設けられている。給水管8には、各電池ホルダ4の給水用開口部4bに向かって垂下する分岐管8aが設けられており、分岐管8aの下端の開口が給水用開口部4bと対向するように配置されている。
【0026】
各分岐管8aには、充放電試験装置7からの指示信号で開閉自在な第1開閉弁8bが設けられている。充放電試験装置7は、温度センサ4cで検出された温度から二次電池3が発火していることを検知した場合には、該当する電池ホルダ4へ接続される分岐管8aに設けられた第1開閉弁8bへ開弁指示を出し、給水管8から分岐管8aを介して給水用開口部4bを通過して電池ホルダ4内に水を供給し、消火活動を行う。
【0027】
第1実施形態では温度センサ4cが発明の第1発火検知器としての機能を兼ね備えており、これにより、温度センサとは別に第1発火検知器を設けるよりも電池ホルダ4をコンパクトにすることができる。なお、温度センサ4cとは別に第1発火検知器を設置してもよい。
【0028】
恒温槽2内には、電池ホルダ4のスライドを案内するスライドレール2bが設けられている。また恒温槽2の正面には、片開きの開閉扉2aが設けられている。電池ホルダ4は、開閉扉2aを開けて、恒温槽2の前方からスライドレール2bに沿って引き出し自在となっている。
【0029】
電池ホルダ4内には、給水管8から供給された水の液面を検知するフロートセンサからなる液面測定器9が設けられている。なお、液面測定器9は液面を検知することができればよく、フロートセンサでなくてもよい。
【0030】
液面測定器9の検知信号は充放電試験装置7で受信され、液面測定器9の検知信号から電池ホルダ4内の液面が電池ホルダ4内の二次電池3を所定の位置まで浸漬させたことを検知すると、充放電試験装置7は第1開閉弁8bに閉弁の指示信号を送信し、給水管8から分岐管8aを介した電池ホルダ4への水の供給を停止させる。
【0031】
恒温槽2内には、電池ホルダ4に水を噴霧する全体噴霧管10と、恒温槽2内での発火を検知する煙センサからなる第2発火検知器20と、が設けられている。全体噴霧管10には第2開閉弁10aが介設されている。第2発火検知器20の発火検知信号は、充放電試験装置7で受信される。二次電池3とケーブル6との接続部分(すなわち、二次電池3とコンタクトプローブ5の接続部分)が発火してケーブル6などが燃えることにより、第2発火検知器20からの発火検知信号を受信した充放電試験装置7は、第2開閉弁10aに開弁信号を送信して第2開閉弁10aを開弁させ、全体噴霧管10から恒温槽2内に水を噴霧する。
【0032】
第1実施形態の二次電池充放電試験装置1によれば、給水管8から電池ホルダ4ごとに水が供給されるため独立して二次電池3を消火できる。消火のための水が電池ホルダ4の中に供給されるため、消火後には、電池ホルダ4の中を清掃するだけで、試験を再開させることができる。したがって、恒温槽2内全体を清掃する必要があった従来と比較して、第1実施形態の二次電池充放電試験装置1はメンテナンス性を向上させることができる。
【0033】
また、第1実施形態の二次電池充放電試験装置1によれば、給水管8からの水が、二次電池3が収容された電池ホルダ4に供給されるため、電池ホルダ4が収容される恒温槽2内全体に水を供給する場合と比較して、電池ホルダ4内の容積が比較的小さく、迅速に二次電池3の消火を行うことができる。
【0034】
また、第1実施形態の二次電池充放電試験装置1では、何れかの電池ホルダ4内の温度センサ4c(第1発火検知器)によって発火が検知されると、当該電池ホルダ4に接続される分岐管8aの第1開閉弁8bにのみ開弁指示を送信する。これにより、発火していない二次電池3が収容されている電池ホルダ4へは水が供給されることがなく、正常な二次電池3を水から守ることができる。
【0035】
なお、第1実施形態では、恒温槽2内に複数の電池ホルダ4を備えた二次電池充放電試験装置1を説明したが、発明の二次電池充放電試験装置は、これに限らず、例えば、恒温槽2内の電池ホルダは1つであってもよい。また、第1実施形態では、電池ホルダ4内には1つの二次電池が収容されるものを説明したが、発明の電池ホルダはこれに限らず、例えば、1つの電池ホルダ内に複数の二次電池を収容できるように構成してもよい。
【0036】
[第2実施形態]
図6及び
図7を参照して、発明の第2実施形態の二次電池充放電試験装置1を説明する。
図6,7においても説明の便宜上、恒温槽2の半分だけを示している。第2実施形態の電池ホルダ4の後壁には、後方へ延びるワンタッチ継手4dが設けられている。ワンタッチ継手4dには、給水管8の分岐管8aが接続されており、給水管8からの水はワンタッチ継手4dを介して電池ホルダ4内に供給可能に構成されている。ワンタッチ継手4dは、スライドレール2bに沿って電池ホルダ4を恒温槽2内に収容する際の押し込み動作により分岐管8aの開口端と接続されるように構成されている。
【0037】
また、ワンタッチ継手4dは、分岐管8aからの給水は許容するが、電池ホルダ4内の水がワンタッチ継手4dから外へ流れることを阻止する逆止弁(図示省略)を内蔵している。これにより、消化終了後に電池ホルダ4をスライドレール2bに沿って引き出しても、ワンタッチ継手4dから電池ホルダ4内の水が恒温槽2内にこぼれることを阻止することができる。
【0038】
また、第2実施形態の二次電池充放電試験装置1では、恒温槽2内に個別噴霧管30が設けられている。個別噴霧管30は、各電池ホルダ4の後壁に向かって延びる噴霧分岐管31を備えている。各噴霧分岐管31には第3開閉弁31aが設けられている。第3開閉弁31aも第1開閉弁8b及び第2開閉弁10aと同様に充放電試験装置7で開閉制御される。
【0039】
電池ホルダ4の後壁には、噴霧分岐管31の先端の噴霧ノズル部分だけを内部に受け入れる噴霧用開口部4eが設けられている。噴霧用開口部4eの開口縁には、シール部材(図示省略)が設けられており、このシール部材(図示省略)によって、噴霧用開口部4eと噴霧分岐管31との間の隙間を液密に封止している。
【0040】
第2実施形態の二次電池充放電試験装置1では、第3発火検知器としての煙センサ4fにより発火が検知されると、充放電試験装置7により第1開閉弁8b及び第3開閉弁31aが開弁されて、電池ホルダ4内に給水管8から水が供給され、個別噴霧管30から水が噴霧される。このため、電池ホルダ4内への発火による給水に先立って水を噴霧できるので、迅速に消火できる。
【0041】
他の構成は第1実施形態と同一であり同一の符号を付して説明を省略する。第2実施形態の二次電池充放電試験装置1によっても、第1実施形態と同様に、メンテナンス性を向上させることができ、また、電池ホルダ4内の容積が比較的小さいため、迅速に二次電池3の消火を行うことができる。
【0042】
なお、第2実施形態においても、恒温槽2内に複数の電池ホルダ4を備えた二次電池充放電試験装置1を説明したが、発明の二次電池充放電試験装置は、これに限らず、例えば、恒温槽2内の電池ホルダは1つであってもよい。また、第2実施形態では、電池ホルダ4内には1つの二次電池が収容されるものを説明したが、発明の電池ホルダはこれに限らず、例えば、1つの電池ホルダ内に複数の二次電池を収容できるように構成してもよい。
【0043】
また、第2実施形態においては、第3発火検知器として煙センサ4fを用いたものを説明した。しかしながら、発明の二次電池充放電試験装置はこれに限らず、例えば、温度センサ4cで発火を検知すると第3開閉弁31aが開弁されるように構成して、温度センサ4cを第1発火検知器だけではなく第3発火検知器としても用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 二次電池充放電試験装置
2 恒温槽
2a 開閉扉
2b スライドレール
3 二次電池
4 電池ホルダ
4a 充放電接続口
4b 給水用開口部
4c 温度センサ(第1発火検知器)
4d ワンタッチ継手
4e 噴霧用開口部
4f 煙センサ
5 コンタクトプローブ
6 ケーブル
7 充放電試験装置
8 給水管
8a 分岐管
8b 第1開閉弁
9 液面測定器
10 全体噴霧管
10a 第2開閉弁
20 第2発火検知器
30 個別噴霧管
31 噴霧分岐管
31a 第3開閉弁
40 外容器
【要約】
【課題】二次電池の消火を安全に行うことができ、且つ試験を容易に再開することができる二次電池充放電試験装置を提供する。
【解決手段】二次電池充放電試験装置1は、二次電池3を収容可能な容器からなる電池ホルダ4と、電池ホルダ4を収納する恒温槽2と、電池ホルダ4に収容された二次電池3を充放電可能な充放電試験装置7と、電池ホルダ4に水を供給可能な給水管8と、給水管8に介設された第1開閉弁8bと、電池ホルダ4に収容された二次電池3の発火を検知する第1発火検知器(温度センサ4c)と、を備える。電池ホルダ4は、給水管8から供給される水を二次電池3を浸漬できる量だけ貯めることができるように構成されており、第1開閉弁8bは、第1発火検知器(温度センサ4c)により二次電池3の発火を検知すると開かれて電池ホルダ4の中に水を供給する。
【選択図】
図1