(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】監視システム、監視方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20221108BHJP
G06F 16/532 20190101ALI20221108BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20221108BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20221108BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20221108BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221108BHJP
【FI】
G06Q30/06 322
G06F16/532
G16Y20/20
G16Y40/20
G16Y40/30
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022007164
(22)【出願日】2022-01-20
【審査請求日】2022-08-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521092052
【氏名又は名称】しるし株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】長井 秀興
(72)【発明者】
【氏名】下田 陽志郎
(72)【発明者】
【氏名】竹野 寛人
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-528516(JP,A)
【文献】国際公開第2020/240834(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/157835(WO,A1)
【文献】特開2004-213629(JP,A)
【文献】特開2002-222286(JP,A)
【文献】特開2018-173692(JP,A)
【文献】特開2003-006363(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0236614(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112905826(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 16/532
G16Y 20/20
G16Y 40/20
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともモール型ショッピングサイトを提供するモール管理サーバとネットワークを通じて通信可能に接続され、当該モール型ショッピングサイトを監視するシステムであって、
前記モール型ショッピングサイトにアクセスし、所定の商品の画像の少なくとも一部と同一又は類似の画像を有する商品を抽出する抽出処理部と、
抽出された前記商品の出品情報に基づき、前記所定の商品について、不適切な出品の有無を判別する判別処理部と、
を有
し、
前記抽出処理部は、前記所定の商品を購入した購入者が当該所定の商品に到達するために用いた検索ワードの履歴を参照して前記モール型ショッピングサイト上を商品検索し、検索結果として表示される画像から、前記所定の商品の画像の少なくとも一部と同一又は類似の画像を有する商品を抽出する、
監視システム。
【請求項2】
前記出品情報には少なくとも、前記所定の商品を識別する商品識別情報が含まれており、
前記所定の商品の商品識別情報に係るホワイトリストを記憶したホワイトリスト記憶部、を有し、
前記判別処理部は、前記出品情報に基づき、前記ホワイトリストを参照して、
前記抽出処理部により抽出され、かつ前記所定の商品の適切な商品識別情報を有さない商品を不適切な出品として判別する、
請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視システムによって提供されるサービスのユーザが使用するユーザ端末と、ネットワークを介して通信可能に構成され、
前記
不適切な出品がなされている商品販売ページのURLを、前記ユーザ端末に報知する報知制御部をさらに備える、
請求項
1又は2記載の監視システム。
【請求項4】
前記抽出処理部は、
前記購入者が使用する検索アルゴリズムと同様のアルゴリズムで前記
商品検索を実行する、
請求項
1乃至3のいずれかに記載の監視システム。
【請求項5】
少なくともモール型ショッピングサイトを提供するモール管理サーバとネットワークを通じて通信可能に接続され、当該モール型ショッピングサイトを監視する方法であって、
システムが、
前記モール型ショッピングサイトにアクセスし、所定の商品の画像の少なくとも一部と同一又は類似の画像を有する商品を抽出する抽出処理と、
抽出された前記商品の出品情報に基づき、前記所定の商品について、不適切な出品の有無を判別する判別処理と、
を実行
し、
前記抽出処理では、前記所定の商品を購入した購入者が当該所定の商品に到達するために用いた検索ワードの履歴を参照して前記モール型ショッピングサイト上を商品検索し、検索結果として表示される画像から、前記所定の商品の画像の少なくとも一部と同一又は類似の画像を有する商品を抽出する、
監視方法。
【請求項6】
少なくともモール型ショッピングサイトを提供するモール管理サーバとネットワークを通じて通信可能に接続され、当該モール型ショッピングサイトを監視するためのコンピュータプログラムであって、
システムに対し、
前記モール型ショッピングサイトにアクセスし、所定の商品の画像の少なくとも一部と同一又は類似の画像を有する商品を抽出する抽出処理と、
抽出された前記商品の出品情報に基づき、前記所定の商品について、不適切な出品の有無を判別する判別処理と、
を実行させ
、
前記抽出処理では、前記所定の商品を購入した購入者が当該所定の商品に到達するために用いた検索ワードの履歴を参照して前記モール型ショッピングサイト上を商品検索し、検索結果として表示される画像から、前記所定の商品の画像の少なくとも一部と同一又は類似の画像を有する商品を抽出する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モール型ショッピングサイトにおける商品の出品状況を監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネット上で商品やサービスを販売するECサイトが様々な運営者によって提供されている。商品やサービスの販売者は、ECサイトに商品やサービスを出品して当該商品やサービスの販売機会の拡大に努めているが、多数の販売者が参入することで、ECサイト上では安全且つ公正な取り引きを担保するための仕組みが必要とされている。
【0003】
この点、例えば特許文献1では、通信ネットワークを用いて商品売買を仲介するためのシステムであって、前記システムに出品する出品者に関する情報を記録した出品者情報記録手段と、前記システムに出品する商品を審査するための情報を記録した商品審査情報記録手段と、のうちの少なくとも一つと、前記システムに出品を希望する出品者と商品に関する情報を受信すると、前記出品者情報記録手段と前記商品審査情報記録手段を参照して出品の可否を判定する出品判定手段と、を備えることを特徴とするものが開示されている。
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の技術では、ECサイトの運営者が当該ECサイトにおける不正な出品を判定することはできるが、商品の製造メーカー等、商品の提供元の側からも、自らの管理下にないモール型ショッピングサイトにおける自社商品等の流通を監視し、自らが提供する商品の安全且つ公正な取り引きを図りたいという要請がある。
【0006】
そこで、本発明は、自らの管理下にないモール型ショッピングサイトにおいて、所定の商品の出品状況を監視すると共に、当該所定の商品の提供元に対して出品状況に応じた情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る監視システムは、システムによって提供されるサービスのユーザが使用するユーザ端末と、モール型ショッピングサイトを提供するモール管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、前記モール型ショッピングサイトを監視するシステムであって、前記モール型ショッピングサイトにアクセスし、所定の商品の画像の少なくとも一部と同一又は類似の画像を有する商品を抽出する抽出処理部と、抽出された前記商品の出品情報に基づき、前記所定の商品について、不適切な出品の有無を判別する判別処理部と、を有する。
【0008】
前記出品情報には少なくとも、前記所定の商品を識別する商品識別情報が含まれており、前記ユーザが、前記所定の商品の商品識別情報に係るホワイトリストを記憶したホワイトリスト記憶部、を有し、前記判別処理部は、前記出品情報に基づき、前記ホワイトリストを参照して、前記所定の商品の適切な商品識別情報を有さない商品を不適切な出品として判別するものとしてもよい。
【0009】
前記抽出処理部は、前記所定の商品にあらかじめ紐づけられている検索ワードを参照し、前記モール型ショッピングサイトにおいて当該検索ワードによる検索を実行し、当該検索の検索結果に表示される商品のうち、前記所定の商品の画像の少なくとも一部と同一又は類似の画像を有する商品の出品情報を抽出するものとしてもよい。
【0010】
前記抽出処理部は、前記モール型ショッピングサイトにおいて購入しようとする購入者が使用する検索アルゴリズムと同様のアルゴリズムで前記検索を実行するものとしてもよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係る監視方法は、システムによって提供されるサービスのユーザが使用するユーザ端末と、モール型ショッピングサイトを提供するモール管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、前記モール型ショッピングサイトを監視する方法であって、システムが、前記モール型ショッピングサイトにアクセスし、所定の商品の画像の少なくとも一部と同一又は類似の画像を有する商品を抽出する抽出処理と、抽出された前記商品の出品情報に基づき、前記所定の商品について、不適切な出品の有無を判別する判別処理と、を実行する、監視方法。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のさらに別の観点に係るコンピュータプログラムは、システムによって提供されるサービスのユーザが使用するユーザ端末と、モール型ショッピングサイトを提供するモール管理サーバと、ネットワークを介して通信可能に構成され、前記モール型ショッピングサイトを監視するためのコンピュータプログラムであって、システムに対し、前記モール型ショッピングサイトにアクセスし、所定の商品の画像の少なくとも一部と同一又は類似の画像を有する商品を抽出する抽出処理と、抽出された前記商品の出品情報に基づき、前記所定の商品について、不適切な出品の有無を判別する判別処理と、を実行させる。
【0013】
なお、コンピュータプログラムは、各種のデータ読取可能な記録媒体に格納して提供したり、インターネット等のネットワークを介してダウンロード可能に提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、自らの管理下にないモール型ショッピングサイトにおいて、所定の商品の出品状況を監視すると共に、当該所定の商品の提供元に対して出品状況に応じた情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る監視システムのネットワーク構成とモール型ショッピングサイトの一例を模式的に示した概要図である。
【
図2】本実施形態に係る監視システムが備える機能を示した機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る監視システムにおいて、ホワイトリスト記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
【
図4】本実施形態に係る監視システムによって実行される処理の流れの1例を示した処理フロー図である。
【
図5】本実施形態に係る監視システムによって実行される処理の流れの別例を示した処理フロー図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
●概要
以下、本発明の実施形態に係る監視装置について、図を参照して説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る監視システム1は、モール型ショッピングサイトにおいて、所定の商品の提供元が提供する商品の出品状況を監視するシステムである。
【0017】
ここで、モール型ショッピングサイトとは、商品やサービスをインターネット上で販売するECサイトのうち、サイト運営者とは異なる一又は複数の出品者によって商品が出品されるウェブサイトである。
本実施形態で想定されているモール型ショッピングサイトでは、取り扱われている商品ごとに商品を紹介及び販売するためのウェブページ(以下、「商品販売ページ」と称する)が設けられている。当該商品販売ページ上からは、掲載されている商品を出品している全ての出品者の情報、及び各出品者によって出品されている商品の価格等の情報が一覧的に把握できるようになっている。
【0018】
また、商品販売ページでは、出品者ごとにカートが設けられている。当該カートには出品者を識別可能な情報が関連付けられており、商品の購入希望者が出品者ごとに設けられているカートを指定すると、指定した出品者によって出品された商品がカートに追加される。
なお、ここでいう「カート」とは、商品を購入対象リストに加えるための電子的なオブジェクトである。商品の購入希望者は、カートの指定操作によって購入対象リストに商品を加えると、別途、決済処理を要求する操作を行い、商品を購入する。
【0019】
監視システム1を運営する監視者は、当該監視システム1を用いた商品の監視サービスをユーザに提供している。監視サービスの提供においては、ユーザの利便に供するためのウェブサイト(以下、「サービスサイト」と称する)が提供されており、ユーザは当該サービスサイト上で各種の情報を確認したり、監視サービスの提供を受けるのに必要な情報の提供等を行ったりする。
【0020】
●機能構成
図2に示されるように、監視システム1は、モール型ショッピングサイトを提供するモール管理サーバ2、所定の商品の提供元であって、システムのユーザが使用するユーザ端末3とインターネット等のネットワークNWを介して通信可能に構成されている。
また、モール型ショッピングサイトに出品する出品者は、出品者端末4により、ネットワークNWを介してモール管理サーバ2にアクセスし、商品を出品することができる。
【0021】
監視システム1は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末又はスマートフォン等において所定のコンピュータプログラムを実行することで実現される他、機能の一部又は全部がクラウドコンピュータにより実現されていてもよい。また、監視システム1は、複数のハードウェア構成により成っていてもよい。
【0022】
この監視システム1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブといったハードウェア資源、CPUが実行するコンピュータプログラム等のソフトウェア資源により、ユーザ情報記憶部1A、ホワイトリスト記憶部1B、ショッピングサイト情報記憶部1C、抽出処理部11、判別処理部12、報知処理部13、及び通信処理部14からなる機能部を構成する。
【0023】
ユーザ情報記憶部1Aは、監視システム1によって提供される監視サービスのユーザに関する情報を記憶した記憶部である。
なお、ここにいうユーザは通常、監視サービスのユーザであると共に、商品の製造メーカーなど、モール型ショッピングサイトで販売される商品の提供元である。このユーザによって提供される商品は、出品者を介してモール型ショッピングサイト上で販売される。ただし、ユーザ自身が商品の出品者になることもある。
【0024】
このユーザ情報記憶部1Aには、ユーザの名称や属性といった基本情報のほか、ユーザが提供している商品に関する情報が記憶されている。商品に関する情報は少なくとも、モール型ショッピングサイト上から抽出される商品の出品情報を参照したときに、当該商品を識別することができる情報であればよく、商品の名称や型番のほか、モール型ショッピングサイトにおいて個別に付与される商品識別情報等で構成される。例えば、モール型ショッピングサイトがAmazon(登録商標)である場合には、商品識別情報はASIN(Amazon Standard Identification Number)であってもよい。例えば、他の識別情報の例としてJANコード、ISBNコード等が挙げられる。
【0025】
ホワイトリスト記憶部1Bは、ユーザが、所定の商品の適切な出品者と認める出品者をリスト化したホワイトリストを記憶した記憶部である。
ここで想定されている適切な出品者とは、商品の提供元から卸売等の正規のルートで商品の提供を受けた出品者であり、他方、不適切な出品者とは、商品の転売や並行輸入など、商品の提供元が認めていない販売ルートから出品する者である。また、不適切な出品者には、商品の模倣品を販売する出品者も含まれる。
【0026】
このホワイトリスト記憶部1Bには例えば、
図3に示されるように、ユーザごとに、ユーザが提供する商品、当該商品の適切な出品者として許可した出品者のリストが記憶されている。
本実施形態において、ホワイトリストにリスト化される出品者は例えば、商品の卸先等である。出品者が卸先であれば、出品者に係る情報として、卸先の卸売業者の名称、識別番号、卸売業者の連絡先等が適宜に記憶される。また、この場合、出品者に関連付けられている商品は、商品の提供元が卸先に卸した商品であり、商品に付与された所定の識別情報が関連付けられていてもよい。
また、出品者はこのほか、ユーザが任意に指定した者を対象とすることができる。また、ホワイトリストには、ユーザ自身も含めることができる。
このホワイトリストは、ユーザがサービスサイト上から編集、登録することができるようになっていてもよい。
【0027】
ショッピングサイト情報記憶部1Cは、モール型ショッピングサイトに関する情報を記憶した記憶部である。
このショッピングサイト情報記憶部1Cには例えば、モール型ショッピングサイトを識別可能な情報のほか、当該モール型ショッピングサイトにアクセスするためのURL等のアドレスなどが記憶されている。
【0028】
抽出処理部11は、モール型ショッピングサイトにアクセスし、サイト上における所定の商品の出品情報を抽出する抽出処理を実行する。
この抽出処理において抽出される出品情報には例えば、所定の商品の出品者に係る情報や、当該所定の商品に対して生成されたカートに係る情報が含まれるほか、商品販売ページに含まれる情報、商品の出品時期や販売状況に係る情報などが含まれていてもよい。
ここで、モール型ショッピングサイトの場合、同じ識別情報を有する商品を、複数の出品者が出品している場合がある。各出品者は、同じ商品に対して互いに異なる売価および送料を設定可能であってよい。購入者は、購入する出品者を指定して商品を購入可能である。このような状況において、出品情報を取得することで、商品の提供元たるユーザにおいて、商品の監視や流通の分析が容易になる。
【0029】
また、この抽出処理部11は、所定のタイミングでモール型ショッピングサイトをクローリングし、所定の商品の出品情報をスクレイピングするが、そのタイミングは特に限定されず、一定のタイミングであってもよいし、監視者やユーザが設定した任意のタイミングであってもよい。
【0030】
なお、抽出処理部11は出品情報のほか、商品の売買履歴を取得することもできる。売買履歴は、例えば、販売された商品の識別情報、購入回数、商品の個数、売価、送料、配送業者、配送方法、販売日時および購入者に関する情報を含む。また、売買履歴は、当該モール型ショッピングサイトにおいて同時に購入された商品に関する情報を有していてもよい。
【0031】
また、抽出処理部11による、所定の商品の出品情報の抽出処理は例えば、モール型ショッピングサイトにおいて提供されているAPI(Application Programming Interface)や、第三者が提供するAPIの機能実行により実現される。抽出処理部11は、APIの機能実行により出品情報等の情報をモール管理サーバ2から抽出してもよいし、モール管理サーバ2が購入者の端末に表示させる購入画面から、情報を取得することもできる。この場合、抽出処理部11は例えば、購入画面のソースコードを取得する文字情報抽出部と、購入画面又は複数の商品販売ページのリンクが表示される検索結果画面に含まれる画像を抽出する画像抽出部とを有する。抽出処理部11は、ソースコードから表示画像を示す部分を取得してもよいし、当該表示画像が指し示す画像データを取得してもよい。
【0032】
さらに、抽出処理部11は、当該モール型ショッピングサイトにおいて商品の出品情報に含まれる商品画像を検索し、適宜の画像認識技術により所定の商品と同一又は類似の商品を抽出してもよい。画像認識にはAI技術を適用できる。商品画像は、モール型ショッピングサイトの画像表示領域に画像データとして掲出されている画像全般を指し、例えば商品のパッケージ写真又は商品自体の写真であってもよいし、商品名称やロゴ、又はキャッチフレーズ等の文字のみ、又はこれらの組合せであってもよい。当該構成によれば、同一の商品にも関わらず異なる商品識別情報が付与されている場合や、模倣品の出品情報も抽出することができる。
【0033】
模倣品の商品画像は、検索対象商品に類似する商品の写真、パッケージ写真、商品名称、ロゴ又はキャッチフレーズ等を流用している蓋然性が高い。また、模倣品の出品者は、正規の商品画像を加工して使用している場合もある。商品を購入しようとする購入者は商品画像をきっかけにして購入する場合も多いため、商品画像が似ている模倣品は正規品の購入を阻害するため特に悪質である。したがって、本構成によれば、正規品の安全かつ公正な取り引きに資することができる。
【0034】
抽出処理部11は、パッケージ写真、商品自体の写真、商品名称、ロゴ又はキャッチフレーズ等の所定の情報が一部に含まれる商品画像を抽出してもよい。この場合、抽出処理部11は、所定の情報の表示倍率が変更されているものについても抽出を行ってよい。このような構成によれば、転売や模倣品出品を行う出品者が正規の商品画像を加工して使用している場合にも、精度よく抽出することができる。
【0035】
なお、抽出処理部11は、OCR技術を適用し、商品画像に含まれる文字を読み取ることで商品画像の抽出を行ってもよい。この構成によれば、画像中で商品名称等の文字内容のみが一致している場合にも、精度よく抽出することができる。
【0036】
抽出処理部11は、モール型ショッピングサイト上の商品検索を行った上で、検索結果画面に表示される商品画像に対して上述の画像検索を行ってもよい。抽出処理部11は、検索対象の商品のカテゴリ又は一般名称を検索ワードとして検索を実行する。この検索ワードは、例えばユーザが検索対象の商品の登録を行う際に合わせて登録されてもよいし、検索対象の商品を購入した購入者が当該商品に到達するために用いた検索ワードの履歴を参照して決定してもよい。また、1個の検索対象商品に対して複数の検索ワードが登録されていてもよい。この構成によれば、模倣品の抽出を高精度で効率よく行うことができ、計算処理の負荷や計算時間が低減される。
【0037】
なお、1個の商品販売ページに複数の商品画像が紐づけられている場合がある。この場合、抽出処理部11は、複数の商品画像に対して画像検索を行ってもよい。また、抽出処理部11は、検索結果画面に表示される画像に対して画像検索を行ってもよい。
【0038】
抽出処理部11による商品検索は、モール型ショッピングサイトで購入しようとする購入者が使用する検索アルゴリズムと同様のアルゴリズムで実行される。購入者はモール型ショッピングサイトで検索した上で商品を購入するのが一般的であるところ、この構成によれば、購入者が実際に閲覧する画面上に現れる商品画像から、模倣品の疑いのある商品を抽出することができる。
【0039】
判別処理部12は、抽出処理部11によって抽出された出品情報に基づき、所定の商品について、不適切な出品の有無を判別する判別処理を実行する。
【0040】
具体的な態様の一例においては、判別処理部12は、出品情報に基づき、ホワイトリストを参照して、所定の商品の適切な出品者以外の出品者による出品の有無により、不適切な出品の有無を判別する。即ち、商品販売ページにおいて、ホワイトリストに挙げられている出品者以外の出品者がいた場合に、不適切な出品が行われているものと判別する。
【0041】
また、具体的な態様の他の例においては、判別処理部12は、出品情報に基づき、ホワイトリストを参照して、所定の商品の適切な出品者以外の出品者によるカートの取得有無により、不適切な出品の有無を判別する。即ち、商品販売ページにおいて、ホワイトリストに挙げられている出品者以外の出品者による出品に対してカートが生成されていた場合に、不適切な出品が行われているものと判別する。
なお、具体的な態様の例として挙げた判別処理は、いずれかを択一的に実行するものであってもよいし、複合的に実行するものであってもよい。
【0042】
さらに、判別処理部12は、抽出処理部11の画像検索により抽出された商品の商品識別情報に基づき、ホワイトリストに含まれる商品識別情報を参照して、ユーザが把握する商品識別情報であるかを判別してもよい。画像検索で抽出されているにも関わらずホワイトリストに含まれない商品識別情報が付与されている商品は、模倣品である蓋然性が高いためである。
【0043】
報知処理部13は、所定の商品の提供元たるユーザのユーザ端末3に対し、不適切な出品を報知する報知処理を実行する。
なお、ユーザへの報知は、サービスサイト上において行われるものであってもよいし、チャットツールやSNS等の他のサービスやメール等を介して行われるものであってもよい。
また、ユーザへの報知は、不適切な出品が認められた場合にのみ実行されるものであってもよいし、不適切な出品の有無によらず、判別処理が実行される都度、その判別結果を通知するものであってもよい。
【0044】
報知処理部13は、画像検索で抽出されているにも関わらずホワイトリストに含まれない商品識別情報が付与されている商品の商品販売ページのURLを、合わせてユーザに報知してもよい。このとき、画像検索における類似度に応じて報知の態様を異ならせてもよい。例えば、商品画像の類似度が高い順にリスト化してユーザ端末3に送信してもよい。また、報知処理部13は、当該URLに流入している流入元のサイト情報を、合わせて報知してもよい。流入元のサイトは、例えばSNSであってもよい。また、商品を撮影することにより商品の購入URLを表示させるサービスサイトからの流入である場合には、報知処理部13は、商品の画像情報と購入URLを紐づけている当該サービスサイトを特定する情報を報知してもよい。
【0045】
また、報知制御部13は、ユーザ端末3への通知に代えて又は加えて、不適切な出品の出品者に対する報知を行ってもよい。報知制御部13は、不適切な出品の出品者に対し、例えば出品の取下げ等を求めるメッセージを送信する。報知制御部13は、モール型ショッピングサイトにおいて用意されているプラットフォームを介してメッセージを送信してもよいし、出品者の情報を参照し、電子メール又はSNS上のダイレクトメッセージを送信してもよい。出品者情報は、APIによる抽出等により取得してよい。
その他、報知制御部13は、モール型ショッピングサイトの運営者に通報する構成を有していてもよい。
【0046】
通信処理部14は、インターネット等のネットワークNWを介して情報の送受信を実行するための機能部である。
この通信処理部14により、監視システム1は、モール型ショッピングサイトにアクセスして情報の抽出を実行したり、ユーザ端末3に対して情報を送信したりすることができる。
【0047】
モール管理サーバ2は、複数の出品者から複数の商品の出品を受け付ける。また、モール管理サーバ2は、出品された商品の購入画面を管理し、購入者の端末からの操作に応じて、当該端末に購入画面を表示させる。モール管理サーバ2は、モール型ショッピングサイトを介して購入された商品の情報、および購入した購入者の情報を管理している。
【0048】
ユーザ端末3は、所定の商品の提供元であって、監視サービスのユーザが使用する端末であり、ネットワークNWを介して、監視システム1と通信可能に構成されている。
このユーザ端末3は、所謂パーソナルコンピュータのほか、タブレット端末やスマートフォン等のスマートデバイスにより実現され、情報の入出力部や情報の送受信を実行するためのブラウザプログラム等を備えている。
ユーザはこのユーザ端末3により、サービスサイト上で、所定の商品の出品者に係る情報を把握したり、監視システム1から不適切な出品があった旨の報知を受けたりすることができる。
【0049】
出品者端末4は、所定の商品をモール型ショッピングサイトに出品する出品者が使用する端末であり、ネットワークNWを介して、モール管理サーバ2と通信可能に構成されている。
この出品者端末4もユーザ端末3と同様、所謂パーソナルコンピュータのほか、タブレット端末やスマートフォン等のスマートデバイスにより実現され、情報の入出力部や情報の送受信を実行するためのブラウザプログラム等を備えている。
出品者はこの出品者端末4により、モール型ショッピングサイトにアクセスし、商品を出品する。
【0050】
購入画面には、商品の名称、商品の説明画像、当該商品に関連する別の商品の広告、当該商品のレビュー、規定値として設定される出品者の情報、等が表示されている。ただし、購入画面の表示はモール管理サーバ2により作成、編集されている上、新たな出品者による出品や、購入者によるレビューの投稿により随時変更される。また、別の商品の広告に関しても、新たな広告主の参入や、既存の広告主の広告費投入、広告主による提示する画像の変更等により、随時変更される。しかも、購入画面は、購入者が購入の意思決定をする際に必ず閲覧する画面である。したがって、抽出処理部11により購入画面の情報を取得する構成によれば、購入者が購入時に閲覧した画面を遡って確認することができ、購入者が購入の意思決定を行った際の状況を適切に把握できる。
【0051】
ここで、抽出処理部11が購入画面の情報を定期的に取得し、購入画面に変化があったことを検知した場合には、判別処理部12により、所定の商品について不適切な出品があったか否かを判別する判別処理を実行してもよい。また、購入画面の変化からさらに、出品状況に変化があったか否かを判別した上、出品状況に変化があった場合に、判別処理部12により、所定の商品について不適切な出品があったか否かを判別する判別処理を実行してもよい。
【0052】
●処理の流れ(1)
続いて、本実施形態に係る監視システム1による処理の流れについて、
図4を参照して説明する。
監視システム1は、一定の周期等、所定のタイミングが到来すると(S101)、モール型ショッピングサイトにアクセスし、抽出処理部11により所定の商品の出品情報を抽出する(S102)。
【0053】
判別処理部12は、抽出処理部11によって抽出された出品情報に基づき、所定の商品について、不適切な出品の有無を判別する(S103)。
具体的には、出品情報に基づき、ホワイトリストを参照して、所定の商品の適切な出品者以外の出品者による出品の有無により、不適切な出品の有無を判別したり、所定の商品の適切な出品者以外の出品者によるカートの取得有無により、不適切な出品の有無を判別したりする。
【0054】
判別の結果、商品販売ページにおいて、ホワイトリストに挙げられている出品者以外の出品者によって出品が行われていた場合や、当該ホワイトリストに挙げられている出品者以外の出品者がカートを取得していた場合には、報知処理部13により、不適切な出品がなされている旨がユーザに報知される(S104)。
【0055】
なお、ユーザへの報知は、サービスサイト上のユーザ用ページ(所謂、マイページ)において行われるものであってもよいし、チャットツールやSNS等の他のサービスやメール等を介して行われるものであってもよい。
また、
図4により例示した処理では、所定の商品について、適切な出品者以外の出品者による出品が行われていると判別された場合にのみ、ユーザにその旨を報知しているが、これに限らず、判別結果を都度、ユーザに報知することもできる。
【0056】
監視システム1から不適切な出品者による所定の商品の出品を把握したユーザは、モール型ショッピングサイトのサイト運営者等に対して、出品状況の是正を求めたり、当該不適切な出品者に対して直接、注意を促したりすることができる。
なお、このような不適切な出品者に対するユーザの対応は、監視システム1を運営する監視者がユーザに代わって実行してもよい。その場合には例えば、監視システム1からモール管理サーバ2に対し、所定の商品と不適切な出品者に係る情報と共に、出品の規制を求める通知を送信したり、当該不適切な出品者の出品者端末4に対して出品の規制を求める通知を送信したりする。
【0057】
●処理の流れ(2)
続いて、本実施形態に係る監視システム1による処理の流れの別の例について、
図5を参照して説明する。
監視システム1は、一定の周期等、所定のタイミングが到来すると(S201)、モール型ショッピングサイト内を所定の検索ワードで検索する(S202)。次いで、検索結果に表示される商品の画像に基づき、抽出処理部11により画像検索し、転売品又は模倣品の疑いのある商品販売ページを抽出する(S203)。
【0058】
次いで、判別処理部12により、S203において抽出された商品販売ページの商品識別情報がホワイトリストに挙げられているかを判別し(S204)、ホワイトリストに挙げられていない場合は、報知処理部13によりユーザに報知する(S205)。
【0059】
S204においてホワイトリストに挙げられている場合、出品情報に基づき、ホワイトリストを参照して、所定の商品の適切な出品者以外の出品者による出品の有無により、不適切な出品の有無を判別する(S205)。また、
図4のS103と同様に、所定の商品の適切な出品者以外の出品者によるカートの取得有無により、不適切な出品の有無を判別してもよい。
【0060】
判別の結果、商品販売ページにおいて、ホワイトリストに挙げられている出品者以外の出品者によって出品が行われていた場合や、当該ホワイトリストに挙げられている出品者以外の出品者がカートを取得していた場合には、報知処理部13により、不適切な出品がなされている旨がユーザに報知される(S206)。
【0061】
なお、S206にあたっては、S204の処理において商品識別情報がホワイトリストに挙げられていない場合と、S205の処理において出品者がホワイトリストに挙げられていない場合とで、報知の態様を異ならせてもよい。
【0062】
以上の本実施形態に係る監視システム1によれば、所定の商品の提供元が認めていない業者等により、当該所定の商品がモール型ショッピングサイト上に出品されていないかどうかを監視し、不適切な出品者による所定の商品の取り引きを防ぐことができる。その結果、モール型ショッピングサイトにおいて、転売品や並行輸入品、又は劣悪な模倣品がモール型ショッピングサイトの利用者に販売されるといった事態を規制することができる。
特に、商品の提供元は、大きな労力を割くことなく、自社運営ではないモール型ショッピングサイトにおける商品の出品状況を把握し、自らが提供する商品の安全且つ公正な取り引きの実現を図ることができる。
【0063】
●他の実施形態
上述した監視システム1の他の実施形態に係る監視システム(以下、説明の便宜のため「監視システム5」と称する)においては、判別処理部12により、出品されている所定の商品の価格を所定の適正価格と対比することにより、不適切な商品の有無を判別することもできる。
【0064】
判別処理部12によるこのような判別処理は、抽出処理部11によってモール管理サーバ2から抽出された出品情報のうち、所定の商品に対して出品者が設定した価格に係る情報に基づくことによって可能となる。
なお、所定の適正価格は、ユーザによってサービスサイト上から設定可能なものであってもよいし、一定の期間において、モール型ショッピングサイト上で所定の商品に設定されていた価格の平均値等を基準とする一定の幅をもった値であってもよい。
【0065】
本実施形態に係る監視システム5における判別処理は、上述した監視システム1における判別処理と適宜に組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 :監視システム
1A :ユーザ情報記憶部
1B :ホワイトリスト記憶部
1C :ショッピングサイト情報記憶部
2 :モール管理サーバ
3 :ユーザ端末
4 :出品者端末
5 :監視システム
11 :抽出処理部
12 :判別処理部
13 :報知処理部
14 :通信処理部
NW :ネットワーク
【要約】 (修正有)
【課題】自らの管理下にないモール型ショッピングサイトにおいて、所定の商品の出品状況を監視する。
【解決手段】システムによって提供されるサービスのユーザが使用するユーザ端末3と、モール型ショッピングサイトを提供するモール管理サーバ2と、ネットワークNWを介して通信可能に構成され、モール型ショッピングサイトを監視するシステム1であって、モール型ショッピングサイトにアクセスし、所定の商品の画像の少なくとも一部と同一又は類似の画像を有する商品を抽出する抽出処理部11と、抽出された商品の出品情報に基づき、所定の商品について、不適切な出品の有無を判別する判別処理部12と、を有する。
【選択図】
図2