(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】保管状態管理システム及び保管状態管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20221108BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2022083052
(22)【出願日】2022-05-20
【審査請求日】2022-05-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522200926
【氏名又は名称】田久保 太志
(74)【代理人】
【識別番号】100211719
【氏名又は名称】伊藤 和真
(72)【発明者】
【氏名】田久保 太志
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/213522(WO,A1)
【文献】特開2008-037561(JP,A)
【文献】特開2007-030942(JP,A)
【文献】特開2021-057040(JP,A)
【文献】特開2007-133534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の物品の保管状態を管理する保管状態管理システムであって、
前記物品を収納可能に構成されることで該物品を保管する収納箱と、
前記物品に取り付けられた情報記録媒体に記録された情報を非接触で取得することで、前記収納箱内の前記物品の有無を検知する物品検知手段と、
前記物品の前記収納箱への保管状態に基づいて、所定の通知信号又は/及び所定の発報を出力する発報手段と、
前記発報手段による前記通知信号又は/及び前記発報の出力を制御する管理サーバと、
を備え、
前記管理サーバは、
前記物品のユーザによる該物品の使用スケジュールに基づいて、該物品の使用が禁止されている期間において、前記物品検知手段によって該物品が前記収納箱内に無いことが検知された場合には、前記発報手段から前記通知信号又は/及び前記発報を出力させ
、
前記収納箱の施錠及び解錠を制御するとともに、
前記ユーザに対する所定の学習課題について、該ユーザの進捗情報を取得し、
前記進捗情報として前記学習課題の完了を取得した場合に、前記収納箱を解錠させることで、前記ユーザによる前記物品の使用を許可する、
保管状態管理システム。
【請求項2】
所定の物品の保管状態を管理する保管状態管理方法であって、
コンピュータが、
前記物品のユーザによる該物品の使用スケジュールを取得する第1取得ステップと、
前記物品を保管する収納箱内の状態を検知する物品検知手段からの該収納箱内の該物品の有無に関する保管情報を取得する第2取得ステップと、
前記使用スケジュール及び前記保管情報に基づいて、前記物品の保管状態を判定する判定ステップと、
前記物品の保管状態が適切ではないと判定された場合に、所定の通知信号又は/及び所定の発報を出力する発報手段から該通知信号又は/及び該発報を出力させる発報出力ステップと、
前記ユーザに対する所定の学習課題について、該ユーザの進捗情報を取得する第3取得ステップと、
前記進捗情報として前記学習課題の完了を取得した場合に、前記ユーザによる前記物品の使用を許可する許可ステップと、
を
実行する、保管状態管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の物品の保管状態を管理する保管状態管理システム及び保管状態管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、学校教育や学習塾での教育においては、教科書、参考書、問題集、配布プリント等を用いて授業が進められている。そして、生徒は、授業の内容等をノートに書き写している。そのため、生徒は、その日の時間割に合わせて、これら教材やノートを学校や学習塾に持参する必要がある。
【0003】
そして、このような時間割に合わせて、容器に収納される収納物を管理する技術が知られている。例えば、特許文献1には、予め設定された時間割通りに収納物がランドセルに収納されているかを確認して管理する技術が開示されている。この技術では、容器(ランドセル)に収納された収納物の情報が収納物のICタグを用いて読み取られ、その読み取り情報と、予め装置側メモリに記憶されたスケジュールと、が対比されることで、スケジュール通り(時間割通り)に収納物が容器(ランドセル)に収納されているかが判定される。
【0004】
一方で、近年、通信ネットワークを介して授業の配信や教材の配信を行うリモート学習システムが用いられることがある。このようなリモート学習システムでは、生徒は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の端末機器を用いて学習を行う。そして、携帯式の端末機器は、学校や学習塾への生徒の登下校の管理に用いられることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スマートフォンやタブレット端末等の端末機器を携帯する生活が一般的となり、学校や学習塾へ通う生徒も、これらを携帯して登下校するようになってきている。このような携帯式の端末機器は、学校や学習塾への生徒の登下校の管理には有効に用いられ得るが、仮に、生徒が授業中にこれら端末機器を用いて遊んでしまうと、授業によって得られる学習が妨げられてしまうことになる。そして、このような事態は、生徒が授業中にゲーム機を用いて遊んでしまう場合にも生じ得る。したがって、スマートフォンやタブレット端末等の端末機器やゲーム機が、生徒の学習中に該学習の目的外で使用されていないか管理する必要がある。
【0007】
そして、上記の端末機器やゲーム機などの物品の使用を管理するために、学習中には該物品を所定の容器に収納することが考えられる。この場合、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)タグを活用すれば、上記物品の容器への収納状態を管理できるようにも思われるが、スマートフォン等は、生徒と保護者との連絡手段に用いられ得るため、学習中以外には生徒が携帯しておくことが望ましい。そうすると、例えば、授業の時間割(スケジュール)に合わせて、スマートフォン等の物品の容器からの出し入れを管理する必要がある。ここで、特許文献1には、容器に収納される収納物を管理する技術が開示されているが、これは、ランドセルに収納された収納物の情報をICタグで読み取り、その読み取り情報に基づき、予め設定された授業の時間割通りに、収納物がランドセルに収納されているかを判定するものであって、物品の容器からの出し入れを管理するものではない。
【0008】
本開示の目的は、管理対象の物品の容器からの出し入れを管理することで、該物品の保管状態を適切に管理する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の保管状態管理システムは、所定の物品の保管状態を管理する保管状態管理システムである。この保管状態管理システムは、前記物品を収納可能に構成されることで該物品を保管する収納箱と、前記物品に取り付けられた情報記録媒体に記録された情報を非接触で取得することで、前記収納箱内の前記物品の有無を検知する物品検知手段と、前記物品の前記収納箱への保管状態に基づいて、所定の通知信号又は/及び所定の発報を出力する発報手段と、前記発報手段による前記通知信号又は/及び前記発報の出力を制御する管理サーバと、を備える。そして、前記管理サーバは、前記物品のユーザによる該物品の使用スケジュールに基づいて、該物品の使用が禁止されている期間において、前記物品検知手段によって該物品が前記収納箱内に無いことが検知された場合には、前記発報手段から前記通知信号又は/及び前記発報を出力させる。
【0010】
上記の保管状態管理システムでは、管理サーバが、ユーザによる物品の使用スケジュールに関するスケジュール情報と、収納箱内の物品の有無に関する保管情報と、を取得する。そして、管理サーバは、これら情報に基づいて、管理対象の物品の保管状態を管理する。詳しくは、物品の保管状態を判定し、物品の保管状態が適切ではないと判定された場合、つまり、物品の使用が禁止されている期間において、物品検知手段によって該物品が収納箱内に無いことが検知された場合には、発報手段から通知信号又は/及び発報を出力させることで、収納箱への物品の収納を促す。これにより、物品の保管状態を適切に管理することができる。
【0011】
そして、上記の保管状態管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記収納箱から前記物品が取り出されてから、予め定められた所定時間経過すると、前記発報手段から前記通知信号又は/及び前記発報を出力させることで、該収納箱への該物品の収納を促してもよい。
【0012】
また、この場合、前記管理サーバは、前記収納箱の開閉に関する開閉情報を取得し、前記所定時間経過後に前記収納箱へ前記物品が収納された場合であっても、前記収納箱が閉じられていないときには、前記発報手段からの前記通知信号又は/及び前記発報の出力を継続させてもよい。
【0013】
そして、本開示の保管状態管理システムでは、以上に述べた構成において、前記管理サーバは、前記収納箱の施錠及び解錠を制御するとともに、前記ユーザに対する所定の学習課題について、該ユーザの進捗情報を取得し、前記進捗情報として前記学習課題の完了を取得した場合に、前記収納箱を解錠させることで、前記ユーザによる前記物品の使用を許可してもよい。これによれば、ユーザの学習が完了すると物品の使用が許可されることで、管理対象である物品の収納箱からの出し入れを好適に管理することができる。
【0014】
また、本開示は、コンピュータによる保管状態管理方法の側面から捉えることができる。すなわち、本開示の保管状態管理方法は、所定の物品の保管状態を管理する保管状態管理方法であって、コンピュータが、前記物品のユーザによる該物品の使用スケジュールを取得する第1取得ステップと、前記物品を保管する収納箱内の状態を検知する物品検知手段からの該収納箱内の該物品の有無に関する保管情報を取得する第2取得ステップと、前記使用スケジュール及び前記保管情報に基づいて、前記物品の保管状態を判定する判定ステップと、前記物品の保管状態が適切ではないと判定された場合に、所定の通知信号又は/及び所定の発報を出力する発報手段から該通知信号又は/及び該発報を出力させる発報出力ステップと、を実行する。
【0015】
そして、この場合、前記コンピュータは、前記ユーザに対する所定の学習課題について、該ユーザの進捗情報を取得する第3取得ステップと、前記進捗情報として前記学習課題の完了を取得した場合に、前記ユーザによる前記物品の使用を許可する許可ステップと、を更に実行してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、管理対象の物品の容器からの出し入れを管理することで、該物品の保管状態を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態における保管状態管理システムの概略構成を示す第1の図である。
【
図2】第1実施形態における保管状態管理システムに含まれるサーバ、ユーザ端末、収納箱の構成要素を示した図である。
【
図3】第1実施形態における保管状態管理システムの動作の流れを例示する第1の図である。
【
図4】第1実施形態における生徒ユーザによるユーザ端末の使用スケジュールを例示する第1の図である。
【
図5】第1実施形態における保管状態管理システムの動作の流れを例示する第2の図である。
【
図6】第1実施形態における生徒ユーザによるユーザ端末の使用スケジュールを例示する第2の図である。
【
図7】第1実施形態における保管状態管理システムの概略構成を示す第2の図である。
【
図8】第2実施形態における保管状態管理システムの動作の流れを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態における保管状態管理システムの概要について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における保管状態管理システムの概略構成を示す第1の図である。本実施形態に係る保管状態管理システム100は、ネットワーク200と、サーバ300と、ユーザ端末400と、収納箱500と、を含んで構成される。なお、本開示の保管状態管理システムは、所定の物品の保管状態を管理するシステムであって、本実施形態における物品とは、ユーザ端末400である。そして、ユーザ端末400は、所定のスケジュールに基づいて収納箱500に保管され得るとともに、その保管状態がサーバ300によって管理され得る。
【0020】
ネットワーク200は、例えば、IPネットワークである。ネットワーク200は、IPネットワークであれば、無線であっても有線であっても無線と有線の組み合わせであってもよく、例えば、無線による通信であれば、ユーザ端末400や収納箱500は、無線LANアクセスポイント(不図示)にアクセスし、LANやWANを介してサーバ300と通信してもよい。また、ネットワーク200は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網や、光回線、ADSL回線、衛星通信網などであってもよい。
【0021】
サーバ300は、ネットワーク200を介して、ユーザ端末400や収納箱500と接続される。なお、
図1において、説明を簡単にするために、サーバ300は1台、ユーザ端末400は4台、収納箱500は2台示してあるが、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0022】
サーバ300は、データの取得、生成、更新等の演算処理及び加工処理のための処理能力のあるコンピュータ機器であればどの様な電子機器でもよく、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、メインフレーム、その他電子機器であってもよい。すなわち、サーバ300は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体であってもよい。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納されている。
【0023】
また、サーバ300は、本実施形態に係る保管状態管理システム100専用のソフトウェアやハードウェア、OS等を設けずに、クラウドサーバによるSaaS(Software as a Service)、Paas(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)を適宜用いてもよい。
【0024】
ユーザ端末400は、保管状態管理システム100を利用するユーザ(例えば、後述する生徒ユーザ)が保有する携帯式の端末機器であって、例えば、スマートフォンやタブレット端末である。
【0025】
次に、
図2に基づいて、サーバ300、ユーザ端末400、収納箱500の構成要素の詳細な説明を行う。
図2は、第1実施形態における保管状態管理システム100に含まれるサーバ300、ユーザ端末400、収納箱500の構成要素を示した図である。
【0026】
サーバ300は、機能部として通信部301、記憶部302、制御部303を有しており、補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各機能部等が制御されることによって、各機能部における所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0027】
ここで、通信部301は、サーバ300をネットワーク200に接続するための通信インタフェースである。通信部301は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。サーバ300は、通信部301を介して、ユーザ端末400、収納箱500やその他の外部装置と通信可能に接続される。
【0028】
記憶部302は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部303によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部303において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。そして、記憶部302には、後述する管理対象情報、スケジュール情報が予め記憶される。
【0029】
制御部303は、サーバ300が行う制御を司る機能部である。制御部303は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。制御部303は、更に、取得部3031と、判定部3032と、施錠管理部3033と、発報制御部3034と、の4つの機能部を有して構成される。各機能部は、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0030】
取得部3031は、ユーザ端末400を使用する生徒ユーザによる該ユーザ端末400の使用スケジュールを取得する。ここで、生徒ユーザとは、学校や学習塾に通って学習を行う生徒であって、学校や学習塾にスマートフォンやタブレット端末等の携帯式の端末機器を持参するユーザである。そして、このような生徒ユーザによるユーザ端末400の使用スケジュールは予め定められて所定の端末装置に登録されていて、該端末装置から送信され得る。取得部3031は、例えば、上記の端末装置から送信された情報を取得することで、生徒ユーザによるユーザ端末400の使用スケジュールに関する情報(以下、「スケジュール情報」と称する場合もある。)を取得し、これをサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0031】
ここで、本実施形態におけるユーザ端末400は、機能部として通信部401、入出力部402、記憶部403、制御部404を有している。通信部401は、ユーザ端末400をネットワーク200に接続するための通信インタフェースであり、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。入出力部402は、通信部401を介して外部から送信されてきた情報等を表示させたり、通信部401を介して外部に情報を送信する際に当該情報を入力したりするための機能部である。記憶部403は、サーバ300の記憶部302と同様に主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成され、制御部404は、サーバ300の制御部303と同様にCPUなどの演算処理装置を含んで構成される。
【0032】
入出力部402は、更に、表示部4021、操作入力部4022、画像・音声入出力部4023を有している。表示部4021は、各種情報を表示する機能を有し、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等により実現される。操作入力部4022は、ユーザからの操作入力を受け付ける機能を有し、具体的には、タッチパネル等のソフトキーあるいはハードキーにより実現される。画像・音声入出力部4023は、静止画や動画等の画像の入力を受け付ける機能を有し、具体的には、Charged-Coupled Devices(CCD)、Metal-oxide-semiconductor(MOS)あるいはComplementary Metal-Oxide-Semiconductor(CMOS)等のイメージセンサを用いたカメラにより実現される。また、画像・音声入出力部4023は、音声の入出力を受け付ける機能を有し、具体的には、マイクやスピーカーにより実現される。
【0033】
また、取得部3031は、収納箱500内の状態を検知する物品検知手段からの該収納箱500内のユーザ端末400の有無に関する保管情報を取得する。ここで、サーバ300の記憶部302には、本実施形態に係る保管状態管理システム100による管理対象のユーザ端末400に関する管理対象情報が予め記憶されていて、サーバ300は、取得部3031によって取得された上記の保管情報と、該管理対象情報と、に基づいて、管理対象のユーザ端末400の保管状態を管理することができる。
【0034】
ここで、本実施形態における収納箱500は、機能部として通信部501、施錠部502、物品検知部503を有している。通信部501は、収納箱500をネットワーク200に接続するための通信インタフェースであり、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。施錠部502は、収納箱500の施錠および解錠を切り替えるロック機構を有し、サーバ300からの指令に基づきアクチュエータが該ロック機構を動作させることで、収納箱500の施錠および解錠を切り替える。このように、アクチュエータおよびロック機構は、一体の機構として動作するものである。物品検知部503は、上記の物品検知手段に相当する構成であって、ユーザ端末400に取り付けられたRFID(Radio Frequency Identification)タグに記録された情報を非接触で取得することで、収納箱500内のユーザ端末400の有無を検知する。なお、物品検知部503は、このようなRFIDタグに記録された情報を非接触で取得するリーダであってもよいし、ユーザ端末400と通信を行う近距離通信部であってもよい。この場合、近距離通信部は、例えば、Bluetooth(登録商標)LowEnergy規格(以下、BLE)によるデータ通信を行う。BLEとは、Bluetooth(登録商標)による低電力通信規格であり、機器同士のペアリングを必要とせず、相手を検知することですぐに通信を開始できるという特徴を有する。また、物品検知部503は、ユーザ端末400に取り付けられた二次元バーコードに記録された情報を非接触で取得することで、収納箱500内のユーザ端末400の有無を検知するカメラであってもよい。
【0035】
判定部3032は、取得部3031によって取得されたスケジュール情報および保管情報に基づいて、ユーザ端末400の保管状態を判定する。なお、判定部3032が実行する処理の詳細は、後述する
図3に基づいて説明する。
【0036】
また、施錠管理部3033は、収納箱500の施錠部502の動作を制御し、判定部3032による判定結果に基づいて、収納箱500の施錠および解錠を管理する。発報制御部3034は、判定部3032による判定結果に基づいて、ユーザ端末400の入出力部402からの発報の出力を制御する。なお、これら機能部が実行する処理の詳細についても、後述する
図3に基づいて説明する。
【0037】
ここで、本実施形態における保管状態管理システム100の動作の流れについて説明する。
図3は、本実施形態における保管状態管理システム100の動作の流れを例示する第1の図である。
図3では、本実施形態における保管状態管理システム100における各構成要素間の動作の流れ、および各構成要素が実行する処理を説明する。
【0038】
本実施形態では、先ず、サーバ300によって、第1取得ステップが実行される(S101)。この第1取得ステップは、ユーザ端末400を使用する生徒ユーザによる該ユーザ端末400の使用スケジュール(スケジュール情報)を取得するステップであって、サーバ300は、例えば、所定の端末装置に登録された情報を取得することで該スケジュール情報を取得し、これを記憶部302に記憶させる。
【0039】
ここで、
図4は、本実施形態における生徒ユーザによるユーザ端末400の使用スケジュールを例示する図である。生徒ユーザが携帯するユーザ端末400は、学校や学習塾への登下校の管理には有効に用いられ得る。しかしながら、このようなユーザ端末400では、例えば、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)によるコミュニケーションが可能であったり、ゲームアプリをインストール可能であったりするため、仮に、生徒ユーザが授業中に該ユーザ端末400を用いて遊んでしまうと、授業によって得られる学習が妨げられてしまうことになる。そこで、
図4に示す例では、生徒ユーザが授業によって学習を行う期間にはユーザ端末400の使用が禁止されるように、生徒ユーザによるユーザ端末400の使用スケジュールが予め定められる。
【0040】
そして、
図3に戻って、次に、収納箱500において、該収納箱500内のユーザ端末400の有無が検知される(S102)。ここで、収納箱500は、上述した物品検知部503を用いて、上記を検知することができる。なお、このような、収納箱500内のユーザ端末400の有無の検知は、予め定められたスケジュールに基づいて定期的に実行されてもよいし、サーバ300からの指令に基づいて実行されてもよい。そして、上記の検知結果は、収納箱500からサーバ300に送信される。
【0041】
そうすると、サーバ300によって、第2取得ステップが実行される(S103)。この第2取得ステップは、収納箱500内のユーザ端末400の有無に関する保管情報を取得するステップであって、サーバ300は、取得された保管情報と、管理対象情報と、に基づいて、管理対象のユーザ端末400の保管状態を管理する。
【0042】
次に、サーバ300によって、判定ステップが実行される(S104)。この判定ステップは、S101の第1取得ステップによって取得されたスケジュール情報と、S103の第2取得ステップによって取得された保管情報と、に基づいて、ユーザ端末400の保管状態を判定するステップであって、S105において、ユーザ端末400の保管状態が適切であるか否かが判別される。詳しくは、ユーザ端末400の使用が禁止されている期間においては、該ユーザ端末400が収納箱500内に保管されているか否かを判定する。そして、S105において肯定判定された場合、すなわち、ユーザ端末400の使用が禁止されている期間において該ユーザ端末400が収納箱500内に有る場合、サーバ300は本フローの実行を終了させる。一方、S105において否定判定された場合、すなわち、ユーザ端末400の使用が禁止されている期間において該ユーザ端末400が収納箱500内に無い場合、サーバ300はS106の処理へ進む。
【0043】
S105において否定判定された場合、次に、S106において、解錠ステップが実行される。この解錠ステップは、収納箱500を解錠させるための指令を出すステップである。ここで、収納箱500は、通常、施錠した状態でユーザ端末400を保管する。一方、S105において否定判定された場合は、ユーザ端末400の使用が禁止されている期間において該ユーザ端末400が収納箱500内に無い場合であるため、収納箱500へのユーザ端末400の収納を促す必要がある。そこで、サーバ300によって、解錠ステップが実行され(S106)、収納箱500が解錠処理を実行する(S107)。ここで、収納箱500は、サーバ300からの指令に基づき、施錠部502のアクチュエータがロック機構を動作させることで、収納箱500を解錠させる。
【0044】
次に、サーバ300によって、発報出力ステップが実行される(S108)。この発報出力ステップは、発報手段から所定の通知信号又は/及び所定の発報を出力させるステップであって、本実施形態では、サーバ300は、ユーザ端末400の入出力部402からの発報の出力を制御する。本実施形態では、ユーザ端末400の入出力部402(画像・音声入出力部4023)が本開示の発報手段に相当し、ユーザ端末400は、サーバ300からの指令に基づき、画像・音声入出力部4023のスピーカーからアラート音を出力させることで発報処理を実行する(S109)。なお、ユーザ端末400には、このような発報処理の実行に用いられる所定のアプリが予めインストールされ得る。また、サーバ300は、保管状態管理システム100の先生ユーザ(生徒ユーザに授業を行う先生)や保護者ユーザ(生徒ユーザの保護者)に対して、ユーザ端末400の使用が禁止されている期間において該ユーザ端末400が収納箱500内に無い旨を通知するために、発報出力ステップとして、これらユーザの情報端末から上記通知を出力させるようにしてもよい。
【0045】
以上に述べた処理によれば、ユーザ端末400の使用が禁止されている期間において該ユーザ端末400が収納箱500内に無い場合、すなわち、生徒ユーザが授業中にユーザ端末400を用いて遊んでしまう事態が生じ得る場合に、該ユーザ端末400からアラート音を出力させることで、収納箱500へのユーザ端末400の収納を促すことができる。そして、このように、アラート音によって収納箱500へのユーザ端末400の収納を促すことができる場合には、収納箱500が物品を施錠管理する構成でなくてもよい。この場合、収納箱500が施錠部502を有していなくてもよく、また、サーバ300が施錠管理部3033を有していなくてもよい。つまり、この場合には、上記の解錠ステップおよび解錠処理は実行されない。
【0046】
ここで、サーバ300は、収納箱500からユーザ端末400が取り出されてから、予め定められた所定時間経過すると、発報手段から通知信号又は/及び発報を出力させることで、該収納箱500へのユーザ端末400の収納を促してもよい。
【0047】
図5は、本実施形態における保管状態管理システム100の動作の流れを例示する第2の図である。
図5では、本実施形態における保管状態管理システム100における各構成要素間の動作の流れ、および各構成要素が実行する処理を説明する。なお、
図5に示す各処理において、上記の
図3に示した処理と実質的に同一の処理については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0048】
図5に示す例では、収納箱500において、該収納箱500からのユーザ端末400の取出しが検知される(S202)。ここで、収納箱500は、上述した物品検知部503を用いて、上記を検知することができる。なお、ユーザ端末400は、生徒と保護者との連絡手段に用いられ得るため、学習中以外には生徒ユーザが携帯しておくことが望ましい場合がある。したがって、例えば、上記の
図4に示した使用禁止期間以外の時間帯では、収納箱500が解錠され、生徒ユーザは、ユーザ端末400を自由に取出すことができる。
【0049】
そして、上記の検知結果が収納箱500からサーバ300に送信されることで、サーバ300によって、第2取得ステップが実行され(S103)、更に、判定ステップが実行される(S104)。
【0050】
ここで、例えば、学習塾では、前の授業から次の授業までに比較的長い時間空くことがある。
図6は、本実施形態における生徒ユーザによるユーザ端末400の使用スケジュールを例示する第2の図である。上述したように、ユーザ端末400は、学習中以外には生徒ユーザが携帯しておくことが望ましい場合があるが、一方で、授業と授業との合間には、予習や復習を促すことも望ましい。そして、仮に、授業と授業との合間にずっと生徒ユーザがユーザ端末400を用いて遊んでしまうと、学習が妨げられてしまうことになる。そこで、
図6に示す例では、収納箱500からユーザ端末400が取り出されてから、予め定められた所定時間(例えば、1時間)経過するとユーザ端末400の使用が禁止されるように、生徒ユーザによるユーザ端末400の使用スケジュールが予め定められる。
【0051】
この場合、
図5に示すように、S205において、収納箱500からユーザ端末400が取り出されてから所定時間経過したか否かが判別される。そして、S205において肯定判定された場合、サーバ300はS106の処理へ進む。一方、S205において否定判定された場合、サーバ300は本フローの実行を終了させる。
【0052】
このような処理によれば、収納箱500からユーザ端末400が取り出されてから所定時間経過すると、生徒ユーザの学習が妨げられないように該ユーザ端末400からアラート音を出力させることで、収納箱500へのユーザ端末400の収納を促すことができる。
【0053】
なお、この場合、サーバ300は、収納箱500の開閉に関する開閉情報を取得し、上記の所定時間経過後に収納箱500へユーザ端末400が収納された場合であっても、収納箱500が閉じられていないときには、発報手段からの通知信号又は/及び発報の出力を継続させてもよい。
【0054】
上記の
図5に示した例では、生徒ユーザがユーザ端末400を収納箱500へ戻すと、該収納箱500の物品検知部503が該ユーザ端末400を検知することで、ユーザ端末400の保管状態が適切であると判定され得る。しかしながら、この場合、生徒ユーザは、収納箱500の物品検知部503にユーザ端末400を検知させつつ、収納箱500の蓋を開けたまま、該ユーザ端末400を用いて遊んでしまう事態が生じ得る。
【0055】
そこで、上述したように、ユーザ端末400が収納箱500へ戻された場合であっても、収納箱500が閉じられていないときには、例えば、ユーザ端末400からのアラート音の出力を継続させる。これにより、収納箱500へのユーザ端末400の保管状態を適切に管理する。
【0056】
そして、以上に述べたように、本実施形態に係る保管状態管理システム100による処理は、管理対象であるユーザ端末400の収納箱500からの出し入れを管理するものである。
【0057】
なお、上記の実施形態では、本開示の発報手段がユーザ端末400の入出力部402(画像・音声入出力部4023)によって実現される例について説明したが、これに限定する意図はない。
図7は、本実施形態における保管状態管理システムの概略構成を示す第2の図である。
図7に示すように、収納箱500に、アラート音を出力させる発報手段504が設けられてもよい。
【0058】
また、上記の実施形態では、保管状態管理システム100の管理対象物品がユーザ端末400である例について説明したが、該管理対象物品は、例えば、ゲーム機であってもよい。
【0059】
以上に述べた保管状態管理システム100によれば、管理対象の物品の容器からの出し入れを管理することで、該物品の保管状態を適切に管理することができる。
【0060】
<第2実施形態>
第2実施形態における保管状態管理システム100について、
図8に基づいて説明する。本実施形態では、サーバ300は、生徒ユーザに対する所定の学習課題について、該ユーザの進捗情報を取得し、この進捗情報として学習課題の完了を取得した場合に、収納箱500を解錠させることで、生徒ユーザによるユーザ端末400の使用を許可する。
【0061】
ここで、
図8は、本実施形態における保管状態管理システム100の動作の流れを例示する図である。
図8では、本実施形態における保管状態管理システム100における各構成要素間の動作の流れ、および各構成要素が実行する処理を説明する。なお、
図8に示す各処理において、上記の
図3に示した処理と実質的に同一の処理については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0062】
図8に示す例では、ユーザ端末400が収納箱500内に施錠された状態で保管されているときに、サーバ300によって、第3取得ステップが実行される(S301)。この第3取得ステップは、生徒ユーザに対する所定の学習課題について、該ユーザの進捗情報を取得するステップであって、サーバ300は、例えば、所定の情報端末に該学習課題の進捗が登録されると、該情報端末からこの情報を取得することで上記の進捗情報を取得することができる。
【0063】
そして、サーバ300によって、学習課題が完了したか否かが判別される(S302)。S302において肯定判定された場合、サーバ300はS303の処理へ進み、S302において否定判定された場合、サーバ300はS301の処理へ戻る。
【0064】
S302において肯定判定された場合、次に、S303において、解錠ステップが実行される。そうすると、収納箱500が解錠処理を実行する(S304)。なお、これら処理の詳細は、上記の
図3の説明で述べたとおりである。
【0065】
このような処理によれば、生徒ユーザの学習が完了するとユーザ端末400の使用が許可されることで、管理対象であるユーザ端末400の収納箱500からの出し入れを好適に管理することができる。
【0066】
そして、本実施形態に係る保管状態管理システム100によっても、管理対象の物品の容器からの出し入れを管理することで、該物品の保管状態を適切に管理することができる。
【0067】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0068】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。例えば、取得部3031や判定部3032をサーバ300とは別の演算処理装置に形成してもよい。このとき当該別の演算処理装置はサーバ300と好適に協働可能に構成される。また、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0069】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0070】
100・・・保管状態管理システム
200・・・ネットワーク
300・・・サーバ
301・・・通信部
302・・・記憶部
303・・・制御部
400・・・ユーザ端末
401・・・通信部
402・・・入出力部
500・・・収納箱
501・・・通信部
502・・・施錠部
503・・・物品検知部
【要約】 (修正有)
【課題】管理対象の物品の容器からの出し入れを管理することで、該物品の保管状態を適切に管理する保管状態管理システム及び保管状態管理方法を提供する。
【解決手段】本開示の保管状態管理システムは、物品を保管する収納箱500と、収納箱500内の物品の有無を検知する物品検知部503と、物品の収納箱500への保管状態に基づいて、所定の通知信号又は/及び所定の発報を出力する入出力部402と、入出力部402による通知信号又は/及び発報の出力を制御する発報制御部3034を有する管理サーバ300と、を備える。そして、管理サーバ300は、ユーザによる物品の使用スケジュールに基づいて、該物品の使用が禁止されている期間において、物品検知手段503によって該物品が収納箱500内に無いことが検知された場合には、入出力部402から発報を出力させる。
【選択図】
図2