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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】洗車機
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
B60S3/06
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018192252
(22)【出願日】2018-10-11
(65)【公開番号】P2020059410
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伝田 健
(72)【発明者】
【氏名】青木 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】中澤 優介
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-126220(JP,A)
【文献】特開2012-096598(JP,A)
【文献】特開2006-218923(JP,A)
【文献】特開2017-124816(JP,A)
【文献】特開2014-172512(JP,A)
【文献】特開2016-097706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/00 - 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗車ブラシと、
洗車ブラシを自動車車体に接離するブラシ移動手段と、
該ブラシ移動手段を介して前記洗車ブラシを自動車車体に押し付ける接触度合いを制御するブラシ制御手段と、
外気温を検出する外気温検出手段を備え、
前記ブラシ制御手段が前記外気温検出手段で検出する外気温に応じて、前記洗車ブラシを自動車車体に押し付ける接触度合いを変化させる
ことを特徴とする洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車ブラシを備えた洗車機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の洗車機では、洗車ブラシと自動車車体との接触度合いを適正に保ちながら洗車が行われる。特許文献1では、サイドブラシで自動車車体の前後面及び側面をブラッシング洗浄する際に、ドアミラーや車体コーナー部等のブラシ引っ掛けが発生しやすい箇所に対して、ブラシの押付力を軽減する構成が開示されている。
【0003】
さて、洗車ブラシによるブラッシング洗浄において、外気温が洗車ブラシに影響を与えている。これは、洗車ブラシのブラシ材として、独立気泡発泡体(スポンジ)を用いる場合に顕著に現れる。例えば、外気温が高い環境下で洗車が行った場合、洗車ブラシのブラシ材が軟化して、洗車ブラシが自動車車体に貼り付きやすくなり、特に車体コーナー部の洗浄時に、洗車ブラシが車体に貼り付き、洗車ブラシが車体側面から端面に回り込むことができず、洗車異常となって緊急停止するケースが発生している。また、外気温が低い環境下で洗車が行った場合、ブラシ材の柔軟性が低下し、洗車ブラシによる洗浄効果が十分に得られないという課題が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-153177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、外気温による洗車ブラシへの影響を考慮し、洗車異常の発生や洗浄効果の低下を防ぐ機能を備えた洗車機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために本発明は、洗車機本体に洗車ブラシを備え、該洗車ブラシを自動車車体に接離させて自動車車体を洗浄する洗車機であって、洗車ブラシを自動車車体に接離するブラシ移動手段と、該ブラシ移動手段を介して洗車ブラシを自動車車体に押し付ける接触度合いを制御するブラシ制御手段とを備えた洗車機において、外気温を検出する外気温検出手段を備え、ブラシ制御手段において、外気温検出手段で検出する外気温に応じて、洗車ブラシを自動車車体に押し付ける接触度合いを変化させることを特徴とする洗車機。
【0007】
ブラシ制御手段は、外気温検出手段で検出する外気温と、洗車ブラシの種類に応じて、洗車ブラシを自動車車体に押し付ける接触度合いを変化させる。すなわち、外気温が高温判定レベルよりも高いときには、自動車車体に対するブラシの接触度合いを通常よりも小さくし、逆に外気温が低温判定レベルよりも低いときには、自動車車体に対するブラシの接触度合いを通常よりも大きくする。ここで、自動車車体に対するブラシの接触度合いは、ブラシの押付力によって調整されるものであり、ブラシの押付力は、ブラシへの押し付け回数、ブラシと車体との距離、ブラシ回転の電流値、ブラシを押し付けたときの傾斜角度によって認識される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗車機によれば、外気温の影響を軽減し、外気温が高いときは、ブラシ材が車体に貼り付くことによる洗車異常の発生を防ぎ、外気温が低いときは、ブラシの柔軟性低下による洗浄効果の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】洗車機本体1を示す正面図である。
図2】トップブラシ7の構造を示す説明図である。
図3】サイドブラシ8・8の構造を示す説明図である。
図4】制御系を示すブロック図である。
図5】サイドブラシ8による洗浄動作を示す説明図である。
図6】外気温によるブラシの接触度合いを調整するモードを説明図である。
図7】外気温による制御モードの切り替え動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を用いて洗車機の構造について説明する。
1は洗車機本体で、図1に示すように、門型に形成され、床面に敷設した2本の平行なレール2・2上を往復走行し、レール2・2間に停車した自動車Aに対して内部に装備した洗車処理装置により洗車処理を施すものである。4・4は正逆可能な走行モータで、車輪3・3を駆動して洗車機本体1をレール2・2上で往復走行させる。5は走行エンコーダで、モータ4の出力軸に連結され、モータ4の回転方向を検出しながら単位角度回転毎にパルス信号を出力して洗車機本体1の走行位置を与えている。
【0011】
6は車形検出装置で、洗車機本体1の前方に備えられ、自動車Aを幅方向に挾んで発光部6aと受光部6bを配置し、発光部6aの上下方向に複数配列した発光素子の光が、受光部6bの上下方向に発光部6aと対向するように複数配列した受光素子で受光できるか否かによって車体を検出するものである。
【0012】
7はトップブラシで、車体上面に沿って昇降し同上面をブラッシングする。8・8は左右一対のサイドブラシで、車体に対して接離(開閉)動作し車体の前後面および側面をブラッシングする。尚、車体の側面下部をブラッシング洗浄するロッカーブラシやタイヤをブラッシング洗浄するタイヤブラシを備えても良い。9はトップノズルで、車体上面に沿って昇降し同上面に空気を吹き付けてブロー乾燥をはかる。10・10は左右一対のサイドノズルで、車体側面に空気を吹き付けてブロー乾燥をはかる。
【0013】
トップブラシ7は、図2に示すように、水平ブラシ軸11の両端に直結されたキャリア12L・12Rによって洗車機本体1内に垂設した昇降レール13L・13R上を昇降するように構成され、一方のキャリア12Rに固定されたブラシモータ14により正逆転駆動される。キャリア12L・12Rは、上端と下端を無端状に接続するチェーン15と、該チェーン15が懸回されるスプロケット16U・16Dと、左右の上スプロケット16U同士を連結する回転軸17と、該回転軸17を正逆転する昇降モータ18からなる昇降装置により昇降される。19は昇降エンコーダで、回転軸17に接続され、回転軸の回転方向を検出しながら、所定回転する毎にパルス信号を出力してキャリアの昇降位置を与えている。20,21はリミットスイッチで、キャリア12Lの接触によりスイッチングして上昇限界及び下降限界を与える。
【0014】
サイドブラシ8は、図3に示すように、垂直ブラシ軸22の上端をキャリア23に直結し、キャリア23に固定されたブラシモータ24により正逆転駆動される。キャリア23は、エアシリンダ25によって洗車機本体1内の後方上部に水平に横架されたガイドレール26に沿って開閉する。エアシリンダ25は、ロッド27を伸ばす側にエアを供給する第1ポート28と、ロッド27を縮める側にエアを供給する第2ポート29とを備えた複動型エアシリンダであり、ロッド27の先端をキャリア23の連結片30に連結し、各ポート28・29へのエア供給を切り替えることによってロッド27の先端に連係したキャリア23を開閉移動させる。
【0015】
31・32はソレノイドバルブで、エアシリンダ25の各ポートに通じる配管に設けられ、エアシリンダ25への給気・排気を切り替えるものである。すなわち、ソレノイドバルブ31をON・ソレノイドバルブ32をOFFすると、エア源Aからエアシリンダ25の第1ポート28にエア供給され、ロッド27が伸び、キャリア23をガイドレール26に沿って外側に移動してサイドブラシを開き位置にする(パターンO)。ソレノイドバルブ31をOFF・ソレノイドバルブ32をONすると、エア源Aからエアシリンダ25の第2ポート29にエア供給され、ロッド27が縮み、キャリア23をガイドレール26に沿って内側に移動してサイドブラシを閉じ位置にする(パターンC)。また、両ソレノイドバルブ31・32をOFFすると、エアシリンダ25へのエア供給がなくなり、ロッド27がフリーになって、サイドブラシ8の位置規制を排除した状態にすることができる(パターンF)。
【0016】
33・34はリミットスイッチで、キャリア23の検出片35が接近することでスイッチングするマグネットスイッチからなり、エアシリンダ25の作動により移動するサイドブラシ8の開位置及び閉位置を検出する。すなわち、リミットスイッチ33がスイッチングしてサイドブラシ8が開位置にいることを検出し、リミットスイッチ34がスイッチングしてサイドブラシ8が閉位置にいることを検出する。
【0017】
このように構成するサイドブラシ8は、垂直ブラシ軸22の上端がキャリア23に支持されて開閉自在となっている。キャリア23は、エアシリンダ25により開閉動作し、ソレノイドバルブ31・32によってエア供給を切り替えることで開き位置・閉じ位置・フリーの状態となる。キャリア23の開閉位置は、リミットスイッチ33・34により検出され、キャリア23に支持されるサイドブラシ8の開閉状態が認識される。
【0018】
その他、洗車機本体1には、外気温を検出する外気温センサ36が設けられ、該外気温センサで検出される外気温に応じて、各ブラシの車体への接触度合いを調整したり、各ブラシや洗車機本体の凍結防止措置を図ったりする。尚、各センサは、洗車機本体1の周囲状況ができるだけ正確に検出できるように取り付けられるのが理想であり、洗車機の設置状況に応じて適宜取付位置を変えられるようにしているのが望ましい。
【0019】
続いて、図4を用いて制御系について説明する。
37は制御部で、検出系として、走行エンコーダ5、車体検出装置6、トップブラシ7の昇降エンコーダ19、サイドブラシ8のリミットスイッチ33・34、外気温センサ36が接続され、駆動系として、洗車機本体1の走行モータ4、トップブラシ7のブラシモータ14及び昇降モータ18、サイドブラシ8のブラシモータ24及び及びソレノイドバルブ31・32、図示しない散水ノズル等が接続され、その他、操作系として、操作パネル38が接続されている。
【0020】
制御部37は、演算処理を行うCPU39、洗車プログラム及び各種データを記憶するメモリ40、気温・天候などの気象情報を受信する情報受信部41と、日付情報を出力するカレンダー機能部42とを備え、操作パネル38からの指令に基づいて洗車処理を制御する。例えば、操作パネル38からの洗車指令に基づいてメモリ40に書き込まれた洗車プログラムに沿ってブラシやノズルを駆動処理し、外気温センサ36、情報受信部41、カレンダー機能部42からの情報に基づいて各ブラシの車体への接触度合いを制御する。
【0021】
操作パネル38は、操作ガイド等を表示する表示器43、洗車コースを選択するコースキー44、洗車を開始するスタートキー45、洗車を中止するストップキー46、プリペイドカードや現金を受け付ける料金受付装置47、洗車受付・洗車開始等の各案内音声を出力するスピーカ48、電源の入切や管理モード,運転モードを切り換えるキースイッチ49を備え、洗車内容の選択や洗車の開始入力を行う他、表示や音声により洗車開始/終了・注意事項・操作手順等を案内出力するものである。
【0022】
尚、キースイッチ49で切り替えられる管理モードでは、洗車時間などの洗車データの変更、洗車機各部の動作確認、洗車台数の集計、洗車機設置情報やブラシ種別情報の登録を行うことができ、通常は、洗車の受付操作や洗車が可能な運転モードで運用される。ここで、洗車機設置情報とは、洗車機を設置した場所の住所を指し、洗車機を設置した際に手動操作により登録するものであるが、GPS等の機能を搭載して設置ポジションを自動認識できるようにしても良い。また、ブラシ種別情報とは、トップブラシ7やサイドブラシ8に用いられるブラシ毛の種類を指し、例えばクロス(不織布/織布)、化繊(ナイロン)、スポンジ(ウレタン)、あるいはこれら素材のハイブリッドを設置時に選択設定する。
【0023】
次に、本発明の動作について説明する。
自動車を所定の停車位置に停車した後、操作パネル38のコースキー44で洗車コースを選択し、スタートキー45を入力すると、選択された洗車が実行される。洗車機本体1の走行に伴い、必要に応じてシャンプー・ワックス・撥水等を散布しながらトップブラシやサイドブラシで車体面をブラッシング洗浄し、最終工程でトップノズルでブロー乾燥を図るものであり、1往復単位で洗車コースがプログラムされている。
【0024】
まず、1往復洗車におけるサイドブラシ8の基本動作について、図5を用いて説明する。尚、サイドブラシ8の開閉動作は、上記した通り、図3に示すソレノイドバルブ31・32の通電パターンによって行われるものであり、以下の説明を簡略化するために、サイドブラシ8を開く通電パターン(バルブ31-ON・バルブ32-OFF)をパターンOといい、サイドブラシ8を閉じる通電パターン(バルブ31-OFF・バルブ32-ON)をパターンCといい、サイドブラシ8をフリーにする通電パターン(バルブ31-OFF・バルブ32-OFF)をパターンFという。また、ブラシの回転方向は、車体前面を洗浄している時に、ブラシ毛が車体中心から外向きに作用する方向を逆転、車体後面を洗浄している時に、ブラシ毛が車体中心から外向きに作用する方向を正転という。
【0025】
洗車がスタートすると、洗車機本体1が往行を開始するとともに、サイドブラシ8を逆転させ、サイドブラシ8をパターンCで閉じる。洗車機本体1の往行に伴い、サイドブラシ8が車体前面に達すると、洗車機本体1の走行を一旦停止し、サイドブラシ8をパターンOで開いて車体前面をブラッシング洗浄する。
【0026】
サイドブラシ8がリミットスイッチ33で検出される開位置まで開いたら洗車機本体1の往行を再開し、洗車機本体1が所定距離走行したらサイドブラシ8をパターンCで閉じて車体側面に接触させる。その状態で洗車機本体1が往行しながら車体前方の側面をブラッシング洗浄し、サイドブラシ8がドアミラーに接近すると、サイドブラシ8をパターンFでフリーにし、ドアミラーをブラッシング洗浄する。
【0027】
サイドブラシ8をフリーにすることで、サイドブラシ8は開方向にも閉方向にも推進力を持たない状態となるが、ブラシの回転により車体からの反発力を受けて車体側面から離れる方向に作用し、結果的に車体側面よりも弱い接触圧でドアミラーを洗浄することができ、ドアミラーやブラシの破損を防ぐことができる。
【0028】
洗車機本体1が往行を続け、サイドブラシ8がドアミラーを越えると、ブラシモータ24を反転してサイドブラシ8を正転させ、再びサイドブラシ8をパターンCで閉じ、車体側面に接触させて車体側面をブラッシング洗浄する。その状態で洗車機本体1が往行を続け、サイドブラシ8が車体後端に接近すると、バルブ32を間欠的にON-OFFさせ、サイドブラシ8をパターンFとパターンCで動作させ、車体側面から車体後面に回り込ませる。
【0029】
サイドブラシ8をパターンFでフリーにすることと、パターンCで閉じることを断続的に繰り返すことで、サイドブラシ8の閉方向への推進力が制限され、ブラシの回転による転動力と合わせて緩やかに車体側面から車体後面に回り込ませることができ、車体コーナー部で発生するブラシの暴れを防ぐとともに、ブラシが車体から離れてしまうことによる洗いムラを防ぐことができる。
【0030】
こうして、サイドブラシ8が車体コーナー部を回り込むと、洗車機本体1の往行を停止し、サイドブラシ8をパターンCで閉じて車体後面をブラッシング洗浄する。車体後面をブラッシング洗浄した後、洗車機本体1の往行を再開し、洗車機本体1が終端まで走行したら洗浄を終了する。
【0031】
さて、サイドブラシ8にスポンジ系のブラシを採用した場合、外気温による影響を受ける。すなわち、外気温が高い環境下では、ブラシ毛が軟化し、車体面に貼り付きやすくなり、外気温が低い環境下では、ブラシ材の柔軟性が低下し、洗浄効果が十分に得られない。特に、外気温が高い環境下での影響は、車体コーナー部の洗浄において顕著に見られ、サイドブラシ8を車体側面から車体後面に回り込ませる際にブラシ毛が車体に貼り付いてしまい、サイドブラシ8をパターンCで閉じるときに、サイドブラシ8が閉じきらずにリミットスイッチ34でサイドブラシ8が閉じ位置まで閉じたことを検出できない引っ掛け異常が発生するケースが報告されている。
【0032】
本発明では、ブラシ種別情報に『スポンジブラシ』を登録した場合、すなわちサイドブラシにスポンジブラシを採用した場合、外気温によってサイドブラシ8の制御モードを通常/高温/低温に変更している。
【0033】
図6に示すように、高温時の制御モードでは、サイドブラシ8を車体側面から車体後面に回り込ませるときのバルブ32のデューティ比を変え、通常時の制御モードと比べてバルブ32のON時間を短くし、サイドブラシ8をフリーにする時間を長く設定している。これにより、車体に対するサイドブラシ8の接触圧が弱まり、ブラシ毛が車体に貼り付くことを防ぐことができる。
【0034】
また、低温時の制御モードでは、サイドブラシ8を車体側面から車体後面に回り込ませるときのバルブ32のデューティ比を変え、通常時の制御モードと比べてバルブ32のON時間を長くし、サイドブラシ8をフリーにする時間を短く設定している。これにより、車体に対するサイドブラシ8の接触圧が強まり、洗浄効果の低下を防ぐことができる。
【0035】
制御モードの切り替えは、図7に示すように、外気温センサ36で洗車スタート時の外気温を検出し(1)、検出された外気温がブラシの高温判定温度THiよりも高いか(2)、低温判定温度TLoよりも低いか(3)を判定し、どちらも該当しない場合に通常モード(4)、低温判定温度TLoよりも低いときは低温モード(5)、高温判定温度THiよりも高いときは高温モード(6)を選択する。
【0036】
このように、上記実態態様では、スポンジ系ブラシを搭載した洗車機で洗車を行う場合に、ブラシ毛が車体に貼り付く事例が発生した箇所(車体側面から車体後面に回り込む車体コーナー部)に対し、サイドブラシ8の車体への接触圧を外気温に応じて変更するようにしたものである。この対応箇所は特に限定されるものではなく、ブラシ毛が車体に貼り付く可能性がある箇所に採用される。また、サイドブラシ8だけでなく、トップブラシや図示しないロッカーブラシ等の制御でも採用される。
【0037】
更に、上記実施態様では、サイドブラシ8の開閉を行うエアシリンダへのエア供給をバルブのON-OFFで切り替え、サイドブラシ8を車体に接触する側に作用させる相対的な時間を調整することで、外気温に応じて車体に対するサイドブラシ8の接触圧を強弱させることを例示しているが、接触圧を加減する手段は特に限定されるものではない。
【0038】
例えば、上記実態態様と同様に、サイドブラシを複動型エアシリンダで駆動する構造とした場合、第1給気ポートへの給気圧と第2給気ポートへの給気圧をレギュレータにより調整して接触圧を加減すればよい。また、サイドブラシを単動型エアシリンダで駆動する構造とした場合であっても、レギュレータにより給気圧や排気圧を調整して接触圧を加減すればよい。
【0039】
サイドブラシが、車体に接触して傾斜するときの揺動角度に基づいて、車体への押付力を調整する構造では、揺動角度を大小させて接触圧を加減すればよい。また、サイドブラシが、ブラシモータの電流値に基づいて、車体への押付力を調整する構造では、電流しきい値を大小させて接触圧を加減すればよい。
【0040】
サイドブラシをモータで開閉駆動し、車幅センサで検出される車体側面までの距離と開閉モータのエンコーダ値に基づいて、ブラシを車体に接近させる構造では、ブラシと車体との接触度合いを判断するエンコーダ値を加減すればよい。
【0041】
外気温の検出も外気温センサ36だけでなく、情報受信部41で受信した気象情報から想定してもよい。このとき、洗車機本体の設置情報として登録した設置場所周辺の外気温を、情報受信部41で受信した気象情報に基づいて抽出すればよい。また、カレンダー機能部42で認識される季節情報から想定してもよい。このとき、カレンダー機能部42で認識される季節情報が夏期であれば高温モード、冬期であれば低温モード、それ以外は通常モードとすればよい。
【0042】
尚、洗車機の形態も門型洗車機に限らず、据置式洗車機に自動車を搬送するタイプや、洗車機本体と自動車を双方移動させるタイプ等、種々の洗車機に採用できる。また、ブラシの種類もスポンジ系ブラシに限らず、ナイロン系や布系などの、複数種の素材を組合せハイブリッド系にも採用され、それぞれの特色に合わせて外気温に応じた接触圧を設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 洗車機本体
7 トップブラシ
8 サイドブラシ
36 外気温センサ
37 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7