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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20221108BHJP
   B60R 1/04 20060101ALI20221108BHJP
   B60R 1/12 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/04 Z
B60R1/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019057790
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020161919
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】谷口 敬大
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-127083(JP,A)
【文献】特開2016-022934(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008631(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方を映すとともに、裏側に配置された表示画面の画像を透過させるミラーと、
車両の後方を撮像する第1のカメラと、
前記第1のカメラで撮像した画像を用いて、表示用の後方画像を作成する後方画像作成手段と、
前記後方画像を前記表示画面に表示する表示手段と、
前記ミラーによって車両の後方の鏡像を映す第1の状態から前記ミラーを通して前記表示画面の画像を表示する第2の状態に、あるいは、前記第2の状態から前記第1の状態に切り替える表示切替手段と、
前記表示切替手段によって前記第1の状態から前記第2の状態に切り替える際に、その前後で表示内容を一致させ、その後、時間経過とともに前記表示画面に表示する前記後方画像の表示態様を徐々に変化させ、前記表示切替手段によって前記第2の状態から前記第1の状態に切り替える際に、その前後で表示内容が一致するように、切り替え前に時間経過とともに前記表示画面に表示する前記後方画像の表示態様を徐々に変化させる表示態様変更手段と、
を備え、前記表示態様変更手段は、切り替え直後に、前記ミラーの鏡像に含まれる背景の範囲と、前記表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とを同じにするとともに、時間経過とともに前記表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を徐々に大きくすることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
車両の後方を映すとともに、裏側に配置された表示画面の画像を透過させるミラーと、
車両の後方を撮像する第1のカメラと、
前記第1のカメラで撮像した画像を用いて、表示用の後方画像を作成する後方画像作成手段と、
前記後方画像を前記表示画面に表示する表示手段と、
前記ミラーによって車両の後方の鏡像を映す第1の状態から前記ミラーを通して前記表示画面の画像を表示する第2の状態に、あるいは、前記第2の状態から前記第1の状態に切り替える表示切替手段と、
前記表示切替手段によって前記第1の状態から前記第2の状態に切り替える際に、その前後で表示内容を一致させ、その後、時間経過とともに前記表示画面に表示する前記後方画像の表示態様を徐々に変化させ、前記表示切替手段によって前記第2の状態から前記第1の状態に切り替える際に、その前後で表示内容が一致するように、切り替え前に時間経過とともに前記表示画面に表示する前記後方画像の表示態様を徐々に変化させる表示態様変更手段と、
を備え、前記表示態様変更手段は、切り替え直前に、前記ミラーの鏡像に含まれる背景の範囲と、前記表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とが同じになるように、時間経過とともに前記表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を徐々に小さくすることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
車両の後方を映すとともに、裏側に配置された表示画面の画像を透過させるミラーと、
車両の後方を撮像する第1のカメラと、
前記第1のカメラで撮像した画像を用いて、表示用の後方画像を作成する後方画像作成手段と、
前記後方画像を前記表示画面に表示する表示手段と、
前記ミラーによって車両の後方の鏡像を映す第1の状態から前記ミラーを通して前記表示画面の画像を表示する第2の状態に、あるいは、前記第2の状態から前記第1の状態に切り替える表示切替手段と、
前記表示切替手段によって前記第1の状態から前記第2の状態に切り替える際に、その前後で表示内容を一致させ、その後、時間経過とともに前記表示画面に表示する前記後方画像の表示態様を徐々に変化させ、前記表示切替手段によって前記第2の状態から前記第1の状態に切り替える際に、その前後で表示内容が一致するように、切り替え前に時間経過とともに前記表示画面に表示する前記後方画像の表示態様を徐々に変化させる表示態様変更手段と、
を備え、前記表示態様変更手段は、切り替え直後に、前記ミラーの鏡像に含まれる背景の範囲と、前記表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とを同じにするとともに、時間経過とともに前記表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を左右方向に徐々にシフトさせることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
車両の後方を映すとともに、裏側に配置された表示画面の画像を透過させるミラーと、
車両の後方を撮像する第1のカメラと、
前記第1のカメラで撮像した画像を用いて、表示用の後方画像を作成する後方画像作成手段と、
前記後方画像を前記表示画面に表示する表示手段と、
前記ミラーによって車両の後方の鏡像を映す第1の状態から前記ミラーを通して前記表示画面の画像を表示する第2の状態に、あるいは、前記第2の状態から前記第1の状態に切り替える表示切替手段と、
前記表示切替手段によって前記第1の状態から前記第2の状態に切り替える際に、その前後で表示内容を一致させ、その後、時間経過とともに前記表示画面に表示する前記後方画像の表示態様を徐々に変化させ、前記表示切替手段によって前記第2の状態から前記第1の状態に切り替える際に、その前後で表示内容が一致するように、切り替え前に時間経過とともに前記表示画面に表示する前記後方画像の表示態様を徐々に変化させる表示態様変更手段と、
を備え、前記表示態様変更手段は、切り替え直前に、前記ミラーの鏡像に含まれる背景の範囲と、前記表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とが同じになるように、時間経過とともに前記表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を左右方向に徐々にシフトさせることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
車両の後方を映すとともに、裏側に配置された表示画面の画像を透過させるミラーと、
車両の後方を撮像する第1のカメラと、
前記第1のカメラで撮像した画像を用いて、表示用の後方画像を作成する後方画像作成手段と、
前記後方画像を前記表示画面に表示する表示手段と、
前記ミラーによって車両の後方の鏡像を映す第1の状態から前記ミラーを通して前記表示画面の画像を表示する第2の状態に、あるいは、前記第2の状態から前記第1の状態に切り替える表示切替手段と、
前記表示切替手段によって前記第1の状態から前記第2の状態に切り替える際に、その前後で表示内容を一致させ、その後、時間経過とともに前記表示画面に表示する前記後方画像の表示態様を徐々に変化させ、前記表示切替手段によって前記第2の状態から前記第1の状態に切り替える際に、その前後で表示内容が一致するように、切り替え前に時間経過とともに前記表示画面に表示する前記後方画像の表示態様を徐々に変化させる表示態様変更手段と、
を備え、前記表示態様変更手段は、切り替え直後に、前記ミラーの鏡像に含まれる背景の明るさと、前記表示画面に表示される画像に含まれる背景の明るさとを同じにするとともに、時間経過とともに前記表示画面に表示される画像に含まれる背景の明るさを徐々に明るくすることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
車両の後方を映すとともに、裏側に配置された表示画面の画像を透過させるミラーと、
車両の後方を撮像する第1のカメラと、
前記第1のカメラで撮像した画像を用いて、表示用の後方画像を作成する後方画像作成手段と、
前記後方画像を前記表示画面に表示する表示手段と、
前記ミラーによって車両の後方の鏡像を映す第1の状態から前記ミラーを通して前記表示画面の画像を表示する第2の状態に、あるいは、前記第2の状態から前記第1の状態に切り替える表示切替手段と、
前記表示切替手段によって前記第1の状態から前記第2の状態に切り替える際に、その前後で表示内容を一致させ、その後、時間経過とともに前記表示画面に表示する前記後方画像の表示態様を徐々に変化させ、前記表示切替手段によって前記第2の状態から前記第1の状態に切り替える際に、その前後で表示内容が一致するように、切り替え前に時間経過とともに前記表示画面に表示する前記後方画像の表示態様を徐々に変化させる表示態様変更手段と、
を備え、前記表示態様変更手段は、切り替え直前に、前記ミラーの鏡像に含まれる背景の明るさと、前記表示画面に表示される画像に含まれる背景の明るさとが同じになるように、時間経過とともに前記表示画面に表示される画像に含まれる背景の明るさを徐々に暗くすることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
前記表示態様変更手段による明るさの変更は、夜間時に行われることを特徴とする請求項5または6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記表示態様変更手段による明るさの変更は、車両の前照灯の点灯時に行われることを特徴とする請求項またはに記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記後方画像作成手段は、車室内の一部が映りこんだ第1の後方画像と、映りこまない第2の後方画像を作成し、
前記表示態様変更手段は、表示態様を変化させている間、前記表示画面に表示させる内容を前記第1の後方画像とし、その後、前記第2の後方画像に変更することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記表示態様変更手段は、前記第1の後方画像から前記第2の後方画像に変更する際に、前記第1の後方画像に含まれる前記車室内の一部を時間経過とともに透明にすることを特徴とする請求項に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記ミラーに近接した位置に設けられて、車室内の一部が含まれるように車両の後方を撮像する第2のカメラをさらに備え、
前記後方画像作成手段は、前記第2のカメラで撮像した画像を用いて前記第1の後方画像を作成することを特徴とする請求項9または10に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記表示態様変更手段は、所定時間をかけて前記後方画像の表示態様を変化させることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記表示態様変更手段は、前記後方画像の表示態様を連続的に変化させることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記表示態様変更手段は、前記後方画像の表示態様を段階的に変化させることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーで光学的に反射させた車両後方の鏡像の表示とカメラで撮影した車両後方の画像表示とを切り替えて行う画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像表示装置のディスプレイと光学インナーミラーが一体的に形成され、光学インナーミラーによる鏡像表示状態から画像表示装置によるディスプレイ表示状態(画像表示状態)に切り替えるようにした画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この画像表示装置では、自車両と後続車両との間の距離がLs以下の場合には、光学インナーミラーによる鏡像に含まれる後続車両の大きさと同じになるようにディスプレイ表示用の画像の切り出しを行い、自車両と後続車両との間の距離がLsよりも大きい場合には、ディスプレイ表示用の画像に含まれる後続車両の大きさが徐々に小さくなるように画像の切り出しを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-127083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示された画像表示装置では、後続車両までの距離を測定する必要があるため、構成が複雑になるという問題があった。また、後続車両までの距離に応じて、後方車両を含む画像の表示方法が異なるため、距離Ls以下の後方車両の有無に応じて画像の後方車両の見え方に差異があって違和感が生じるという問題があった。さらに、後方車両までの距離がLsよりも大きいときには、後方車両の大きさが徐々に小さくなって、周囲の状況を広く確認できるようになるが、後方車両までの距離がLs以下の場合にはこのような処理は行われないため、後続車両が接近している場合には周囲の状況を広く確認することができない。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、後続車両までの距離の測定が不要であって構成を簡略化でき、鏡像表示状態から画像表示状態に切り替える際の後続車両の有無に応じた違和感の発生を抑制することができる画像表示装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、後続車両の有無や後続車両までの距離に関係なく広く周囲の状況を確認することができる画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の画像表示装置は、車両の後方を映すとともに、裏側に配置された表示画面の画像を透過させるミラーと、車両の後方を撮像する第1のカメラと、第1のカメラで撮像した画像を用いて、表示用の後方画像を作成する後方画像作成手段と、後方画像を表示画面に表示する表示手段と、ミラーによって車両の後方の鏡像を映す第1の状態からミラーを通して表示画面の画像を表示する第2の状態に、あるいは、第2の状態から第1の状態に切り替える表示切替手段と、表示切替手段によって第1の状態から第2の状態に切り替える際に、その前後で表示内容を一致させ、その後、時間経過とともに表示画面に表示する後方画像の表示態様を徐々に変化させ、表示切替手段によって第2の状態から第1の状態に切り替える際に、その前後で表示内容が一致するように、切り替え前に時間経過とともに表示画面に表示する後方画像の表示態様を徐々に変化させる表示態様変更手段とを備えている。
【0007】
ミラーによる鏡像表示からカメラで撮像した画像の表示に切り替えた直後はこれら2種類の表示内容を一致させ、その後画像の表示態様を徐々に変化させているため、後続車両の有無にかかわらず表示態様の変化の仕方が一定であって、この表示を見た利用者が感じる違和感を低減することができる。あるいは、カメラで撮像した画像の表示からミラーによる鏡像表示に切り替える際にその前後でこれら2種類の表示内容が一致するように、切り替え前の画像の表示態様を徐々に変化させているため、後続車両の有無にかかわらず表示態様の変化の仕方が一定であって、この表示を見た利用者が感じる違和感を低減することができる。また、後続車両までの距離を測定する構成が不要であって、構成を簡略化することが可能となる。
【0011】
また、上述した表示態様変更手段は、切り替え直後に、ミラーの鏡像に含まれる背景の範囲と、表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とを同じにするとともに、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を徐々に大きくする。これにより、後続車両の有無や後続車両までの距離に関係なく広く周囲の状況を確認することが可能となる。
【0012】
あるいは、上述した表示態様変更手段は、切り替え直前に、ミラーの鏡像に含まれる背景の範囲と、表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とが同じになるように、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を徐々に小さくする。これにより、後続車両の有無や後続車両までの距離に関係なく広く周囲の状況を確認することが可能となる。
【0013】
あるいは、上述した表示態様変更手段は、切り替え直後に、ミラーの鏡像に含まれる背景の範囲と、表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とを同じにするとともに、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を左右方向に徐々にシフトさせる。これにより、後続車両の有無や後続車両までの距離に関係なく利用者が見たい範囲の状況を確認することが可能となる。
【0014】
あるいは、上述した表示態様変更手段は、切り替え直前に、ミラーの鏡像に含まれる背景の範囲と、表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とが同じになるように、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を左右方向に徐々にシフトさせる。これにより、後続車両の有無や後続車両までの距離に関係なく利用者が見たい範囲の状況を確認することが可能となる。
【0015】
あるいは、上述した表示態様変更手段は、切り替え直後に、ミラーの鏡像に含まれる背景の明るさと、表示画面に表示される画像に含まれる背景の明るさとを同じにするとともに、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の明るさを徐々に明るくする。あるいは、上述した表示態様変更手段は、切り替え直前に、ミラーの鏡像に含まれる背景の明るさと、表示画面に表示される画像に含まれる背景の明るさとが同じになるように、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の明るさを徐々に暗くする。また、上述した表示態様変更手段による明るさの変更は、夜間時に行われることが望ましい。また、上述した表示態様変更手段による明るさの変更は、車両の前照灯の点灯時に行われることが望ましい。これにより、ミラーによる鏡像表示の内容が暗い場合であっても、表示画面の画像表示に切り替えることで、その明るさを明るくして視認性を向上させることができる。
【0016】
また、上述した後方画像作成手段は、車室内の一部が映りこんだ第1の後方画像と、映りこまない第2の後方画像を作成し、表示態様変更手段は、表示態様を変化させている間、表示画面に表示させる内容を第1の後方画像とし、その後、第2の後方画像に変更することが望ましい。これにより、表示態様を変化させる場合に変化前の状態を明確にすることにより、変化に伴う違和感の発生をより低減することが可能となる。
【0017】
また、上述した表示態様変更手段は、第1の後方画像から第2の後方画像に変更する際に、第1の後方画像に含まれる車室内の一部を時間経過とともに透明にすることが望ましい。これにより、表示態様の変化に伴って追加あるいは変更された背景の範囲を明確にすることが可能となる。
【0018】
また、上述したミラーに近接した位置に設けられて、車室内の一部が含まれるように車両の後方を撮像する第2のカメラをさらに備え、後方画像作成手段は、第2のカメラで撮像した画像を用いて第1の後方画像を作成することが望ましい。これにより、車室内の一部が映りこんだ画像を正確かつ容易に作成することが可能となる。
また、上述した表示態様変更手段は、所定時間をかけて後方画像の表示態様を変化させることが望ましい。表示態様を徐々に変化させる時間を所定時間とすることにより、表示態様の変化の様子を安定させることができ、変化に伴う違和感の発生を低減することができる。
また、上述した表示態様変更手段は、後方画像の表示態様を連続的に変化させることが望ましい。これにより、表示態様の変化を利用者に対してより自然に見せることが可能となる。
また、上述した表示態様変更手段は、後方画像の表示態様を段階的に変化させることが望ましい。これにより、表示態様を変化させていることを利用者に明確に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態の画像表示装置の構成を示す図である。
図2】表示制御プログラムをCPUによって実行することで動作する表示態様変更部の機能ブロック図である。
図3】鏡像表示から画像表示に切り替えてから画像の表示範囲を拡大させることによって表示態様を変更する動作手順を示す流れ図である。
図4図3に示す動作手順にしたがって表示される後方画像切出しの具体例を示す図である。
図5図4に示す画像切出しに対応する後方画像の表示範囲の具体例を示す図である。
図6】作成される後方画像の変形例を示す図である。
図7】鏡像表示から画像表示に切り替えてから画像の表示範囲を左右方向にシフトさせることによって表示態様を変更する動作手順を示す流れ図である。
図8図7に示す動作手順にしたがって表示される後方画像切出しの具体例を示す図である。
図9図8に示す画像切出しに対応する後方画像の表示範囲の具体例を示す図である。
図10】作成される後方画像の変形例を示す図である。
図11】鏡像表示から画像表示に切り替えてから画像の明るさ(感度)をアップすることによって表示態様を変更する動作手順を示す流れ図である。
図12】画像表示装置の変形例を示す図である。
図13】切り替え直前に、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を徐々に小さくする動作手順を示す流れ図である。
図14】切り替え直前に、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を徐々にシフトさせる動作手順を示す流れ図である。
図15】切り替え直前に、時間経過とともに表示画面に表示される画像の明るさを徐々にダウンする動作手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した一実施形態の画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、一実施形態の画像表示装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の画像表示装置100は、表示切替SW(スイッチ)10、表示処理部20、表示装置22、CPU30、メモリ40、入出力インタフェース部(I/O IF)50、カメラ52を備えている。この画像表示装置100は、車両の後方を撮像した画像を作成し、ルームミラー200の鏡像に置き換えて表示するためのものである。
【0022】
ルームミラー200は、車両の運転席と助手席の中央であってフロントガラスの上部に取り付けられている。このルームミラー200には、裏側に表示画面が備わっており、表示画面に画像が表示されたときに、この表示された画像が鏡面を通して運転者から見えるようになっている。
【0023】
表示切替SW10は、ルームミラー200によって車両の後方の鏡像を映す第1の状態と、ルームミラー200を通して表示画面の画像を表示する第2の状態とを切り替えるためのものである。例えば、ルームミラー200を支持する支持部に設けられたスイッチであり、ルームミラー200の表面(鏡面)によって車両の後方の鏡像を映す第1の状態においてオフされ、ルームミラー200の鏡面の裏側に位置する表示画面の画像をルームミラー200の鏡面を通して表示する第2の状態にするためにルームミラー200の鏡面を車室内の天井に向けて傾けたときにオンされる。鏡面を天井に向けて傾けることにより、ルームミラー200の鏡面に車両後方の背景が映り込んで表示画面の視認性が低下することを防止することができる。
【0024】
表示処理部20は、車両後方を撮像したカメラ52の画像の全体あるいは一部を用いて、表示装置22の表示画面に表示する後方画像を作成する。表示装置22は、例えば液晶表示装置(LCD)を用いた表示画面を有する。この表示画面がルームミラー200の裏側に配置されており、表示画面が暗くなっている状態ではルームミラー200による鏡像が運転者から見え、表示画面が明るくなっている状態(画像が表示された状態)ではルームミラー200の鏡面を通して表示画面に表示された画像が運転者から見えるようになる。
【0025】
CPU30は、メモリ40に格納された所定のプログラムを実行することにより、画像表示装置100の全体を制御する。また、CPU30は、カメラ52で撮像した画像を用いて表示用の後方画像を作成するとともに、表示切替SW10をオフからオンにしてルームミラー200を用いた鏡像表示(第1の状態)から表示装置22を用いた画像表示(第2の状態)に切り替えた際にその前後で表示内容を一致させ、時間経過とともに表示装置22を用いた後方画像の表示態様を徐々に変化させる制御を行う。表示態様を徐々に変化させる動作は、第1の状態から第2の状態に切り替えた直後の所定時間の間行われる。また、表示態様の変化は、表示態様を連続的に徐々に変化させてもよいが、表示態様を段階的に徐々に変化させるようにしてもよい。
【0026】
メモリ40は、CPU30の動作プログラムを格納するとともに、CPU30の動作に必要な各種データを格納する作業領域として用いられる。CPU30によって実行される動作プログラムには、後方画像を作成するとともに、鏡面表示から画像表示に切り替えたときに後方画像の表示態様を徐々に切り替える動作を行うためのプログラム(表示制御プログラム)が含まれる。
【0027】
入出力インタフェース部50は、カメラ52を含む各種の入出力機器との間で信号(データ)の入出力処理を行う。
【0028】
カメラ52は、車両後方の所定位置(例えば、リヤガラス上部やナンバープレート上部など)に取り付けられ、ルームミラー200に映る鏡像よりも広い範囲を撮像する。
【0029】
図2は、表示制御プログラムをCPU30によって実行することで動作する表示態様変更部30Aの機能ブロック図である。この表示態様変更部30Aは、後方画像作成部32、表示範囲変更部34、切出し位置変更部36、感度変更部38を含んで構成されている。
【0030】
後方画像作成部32は、カメラ52で撮像した画像を用いて、表示装置22の表示画面に表示する後方画像を作成する。
【0031】
表示範囲変更部34は、鏡像表示(第1の状態)から画像表示(第2の状態)への切り替え直後に、それまでルームミラー200の鏡像に含まれていた背景の範囲と、それ以後に表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とを同じにするとともに、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を徐々に大きくする指示を後方画像作成部32に対して行う。
【0032】
切出し位置変更部36は、鏡像表示(第1の状態)から画像表示(第2の状態)への切り替え直後に、それまでルームミラー200の鏡像に含まれていた背景の範囲と、表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とを同じにするとともに、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を左右方向に徐々にシフトさせる指示を後方画像作成部32に対して行う。
【0033】
感度変更部38は、鏡像表示(第1の状態)から画像表示(第2の状態)への切り替え直後に、それまでルームミラー200の鏡像に含まれていた背景の明るさと、表示画面に表示される画像に含まれる背景の明るさとを同じにするとともに、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の明るさを徐々に明るくする指示を後方画像作成部32に対して行う。
【0034】
上述した後方画像作成部32が後方画像作成手段に、表示処理部20、表示装置22が表示手段に、表示切替SW10が表示切替手段に、表示範囲変更部34、切出し位置変更部36、感度変更部38が表示態様変更手段にそれぞれ対応する。
【0035】
本実施形態の画像表示装置100はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。
【0036】
図3は、鏡像表示から画像表示に切り替えてから画像の表示範囲を拡大させることによって表示態様を変更する動作手順を示す流れ図である。
【0037】
後方画像作成部32は、表示切替SW10がオンされたか否かを判定する(ステップ100)。オンされない場合は否定判断が行われ、この判定が繰り返される。なお、この状態では、ルームミラー200に車両後方の背景を内容とする鏡像が映っており、車両の運転者はこの鏡像を見ることで車両後方の様子を確認することができる。
【0038】
また、表示切替SW10がオンされるとステップ100の判定において肯定判断が行われる。次に、表示範囲変更部34は、それまでルームミラー200の鏡像に含まれていた背景の範囲と同じになるように後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、カメラ52によって撮像された画像から、指示された範囲に対応する画像を切り出して後方画像を作成する(ステップ102)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ104)。
【0039】
次に、表示範囲変更部34は、表示対象となる背景の範囲がそれまでよりも大きくなるように後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、カメラ52によって撮像された画像から、指示された範囲に対応する画像を切り出して後方画像を作成する(ステップ106)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ108)。
【0040】
次に、表示範囲変更部34は、画像表示に切り替えてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップ110)。経過していない場合には否定判断が行われ、ステップ106に戻って表示範囲をさらに拡大して後方画像の作成および表示が繰り返される。
【0041】
また、所定時間が経過した場合にはステップ110の判定において肯定判断が行われる。次に、表示範囲変更部34は、表示対象となる背景の範囲の拡大を中止し、それまでと同じ範囲となるように後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、カメラ52によって撮像された画像から、指示された範囲に対応する画像を切り出して後方画像を作成する(ステップ112)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ114)。その後、ステップ112に戻って、同じ範囲に対応する後方画像の作成および表示が繰り返される。
【0042】
図4は、図3に示す動作手順にしたがって表示される後方画像切出しの具体例を示す図である。ルームミラー200による鏡像表示から表示画面の後方画像表示に切り替わった直後には、鏡像に含まれていた背景の範囲と同じになるように後方画像が切出される(図4(A))。その後、時間経過とともに次第に表示対象となる背景の範囲を拡大させて後方画像が切出される(図4(B))。そして、所定時間が経過すると、表示対象となる背景の範囲が最大となるように後方画像が切出される(図4(C))。
【0043】
図5は、図4に示す画像切出しに対応する後方画像の表示範囲の具体例を示す図である。ルームミラー200による鏡像表示から表示画面の後方画像表示に切り替わった直後には、鏡像に含まれていた背景の範囲と同じになるように後方画像が作成され、表示される(図5(A))。その後、時間経過とともに次第に表示対象となる背景の範囲を拡大させて後方画像が作成され、表示される(図5(B))。そして、所定時間が経過すると、表示対象となる背景の範囲が最大となって後方画像が作成され、表示される(図5(C))。
【0044】
図6は、作成される後方画像の変形例を示す図である。ルームミラー200による鏡像表示から表示画面の後方画像表示に切り替わった直後には、鏡像に含まれていた背景の範囲と同じになるように後方画像が作成され、表示される(図6(A))。切替直前の鏡像には、ルームミラー200に映り込んだ車室内の一部(後部座席や天井等の一部)が含まれており、作成される後方画像にも車室内の一部を表す部分画像が含まれる。なお、車両後方に取り付けられたカメラ52によって車両後方が撮像されるため、実際にはその撮像範囲に車室内の一部が入り込むことはなく、車室内の一部を連想させる部分画像が別に作成されて合成される。
【0045】
その後、時間経過とともに次第に表示対象となる背景の範囲を拡大させて後方画像が作成され、表示される(図6(B))。この状態では、後方画像に含まれる車室内の一部の面積が拡大するが、必ずしも正確な車室内の一部の画像を広範囲にわたって用いる必要はなく、図6(A)に示した車室内の一部と同系統の色に置き換えるようにしてもよい。図6(B)では、後方画像の外周部のハッチングが付された領域が、車室内の一部が合成された領域を示している。
【0046】
そして、所定時間が経過すると、表示対象となる背景の範囲が最大となって後方画像が作成され、表示される(図6(C))。その後、この後方画像に含まれる車室内の一部(その周囲の同系統の色が付された領域も含まれる)が時間経過とともに透明になって、隠れていた背景の画像が表示される(図6(D))。
【0047】
ところで、上述した実施形態では、画像表示に切り替わった後に後部画像の範囲を徐々に広くすることで表示態様を変更する場合について説明したが、後部画像を切り出す範囲を徐々にシフトさせることで表示態様を変更するようしてもよい。
【0048】
図7は、鏡像表示から画像表示に切り替えてから画像の表示範囲を左右方向にシフトさせることによって表示態様を変更する動作手順を示す流れ図である。
【0049】
後方画像作成部32は、表示切替SW10がオンされたか否かを判定する(ステップ200)。オンされない場合は否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、表示切替SW10がオンされるとステップ200の判定において肯定判断が行われる。次に、切出し位置変更部36は、それまでルームミラー200の鏡像に含まれていた背景の範囲と同じになるように後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、カメラ52によって撮像された画像から、指示された範囲に対応する画像を切り出して後方画像を作成する(ステップ202)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ204)。
【0050】
次に、切出し位置変更部36は、表示対象となる背景の範囲がそれまでに対して左右方向にシフトするように後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、カメラ52によって撮像された画像から、指示された範囲に対応する画像を切り出して後方画像を作成する(ステップ206)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ208)。
【0051】
次に、切出し位置変更部36は、画像表示に切り替えてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップ210)。経過していない場合には否定判断が行われ、ステップ206に戻って表示範囲を左右方向にさらにシフトして後方画像の作成および表示が繰り返される。
【0052】
また、所定時間が経過した場合にはステップ210の判定において肯定判断が行われる。次に、切出し位置変更部36は、表示対象となる背景の範囲の左右方向のシフトを中止し、それまでと同じ範囲となるように後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、カメラ52によって撮像された画像から、指示された範囲に対応する画像を切り出して後方画像を作成する(ステップ212)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ214)。その後、ステップ212に戻って、同じ範囲に対応する後方画像の作成および表示が繰り返される。
【0053】
図8は、図7に示す動作手順にしたがって表示される後方画像切出しの具体例を示す図である。ルームミラー200による鏡像表示から表示画面の後方画像表示に切り替わった直後には、鏡像に含まれていた背景の範囲と同じになるように後方画像が切出される(図8(A))。その後、時間経過とともに次第に表示対象となる背景の範囲を例えば左方向にシフトさせて後方画像が切出される(図8(B))。そして、所定時間が経過すると、表示対象となる背景の範囲のシフトが最大となるように後方画像が切出される(図8(C))。
【0054】
図9は、図8に示す画像切出しに対応する後方画像の表示範囲の具体例を示す図である。ルームミラー200による鏡像表示から表示画面の後方画像表示に切り替わった直後には、鏡像に含まれていた背景の範囲と同じになるように後方画像が作成され、表示される(図9(A))。その後、時間経過とともに次第に表示対象となる背景の範囲を左方向にシフトさせて後方画像が作成され、表示される(図9(B))。そして、所定時間が経過すると、表示対象となる背景の範囲のシフトが最大となって後方画像が作成され、表示される(図9(C))。
【0055】
図10は、作成される後方画像の変形例を示す図である。ルームミラー200による鏡像表示から表示画面の後方画像表示に切り替わった直後には、鏡像に含まれていた背景の範囲と同じになるように後方画像が作成され、表示される(図10(A))。切替直前の鏡像には、ルームミラー200に映り込んだ車室内の一部(後部座席や天井等の一部)が含まれており、作成される後方画像にも車室内の一部を表す部分画像が含まれる。なお、車両後方に取り付けられたカメラ52によって車両後方が撮像されるため、実際にはその撮像範囲に車室内の一部が入り込むことはなく、車室内の一部を連想させる部分画像が別に作成されて合成される。
【0056】
その後、時間経過とともに次第に表示対象となる背景の範囲を左方向にシフトさせて後方画像が作成され、表示される(図10(B))。この状態では、後方画像に含まれる車室内の一部の面積が拡大するが、必ずしも正確な車室内の一部の画像を広範囲にわたって用いる必要はなく、図10(A)に示した車室内の一部と同系統の色に置き換えるようにしてもよい。図10(B)では、後方画像の外周部のハッチングが付された領域が、車室内の一部が合成された領域を示している。
【0057】
そして、所定時間が経過すると、表示対象となる背景の範囲のシフトが最大となって後方画像が作成され、表示される(図10(C))。その後、この後方画像に含まれる車室内の一部(その周囲の同系統の色が付された領域も含まれる)が時間経過とともに透明になって、隠れていた背景の画像が表示される(図10(D))。
【0058】
図11は、鏡像表示から画像表示に切り替えてから画像の明るさ(感度)をアップすることによって表示態様を変更する動作手順を示す流れ図である。
【0059】
後方画像作成部32は、表示切替SW10がオンされたか否かを判定する(ステップ300)。オンされない場合は否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、表示切替SW10がオンされるとステップ300の判定において肯定判断が行われる。次に、感度変更部38は、それまでルームミラー200の鏡像と同じ明るさ(感度)と同じになるように後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、カメラ52によって撮像された画像から、鏡像と同じ範囲になるように画像を切り出すとともに、鏡像と同じ明るさになるように画質を調整して後方画像を作成する(ステップ302)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ304)。
【0060】
次に、感度変更部38は、画像の明るさ(感度)をそれまでよりもアップして後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、指示された明るさ(感度)となるように画質を調整して後方画像を作成する(ステップ306)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ308)。
【0061】
次に、感度変更部38は、画像表示に切り替えてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップ310)。経過していない場合には否定判断が行われ、ステップ306に戻って画像の明るさ(感度)をさらにアップして後方画像の作成および表示が繰り返される。
【0062】
また、所定時間が経過した場合にはステップ310の判定において肯定判断が行われる。次に、感度変更部38は、明るさ(感度)の変更を中止し、それまでの明るさ(感度)を維持して後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、指示された明るさ(感度)で後方画像を作成する(ステップ312)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ314)。その後、ステップ312に戻って、同じ明るさ(感度)の後方画像の作成および表示が繰り返される。
【0063】
このように、本実施形態の画像表示装置100では、ルームミラー200による鏡像表示からカメラ52で撮像した画像の表示に切り替えた直後はこれら2種類の表示内容を一致させ、その後画像の表示態様を徐々に変化させているため、後続車両の有無にかかわらず表示態様の変化の仕方が一定であって、この表示を見た利用者が感じる違和感を低減することができる。また、後続車両までの距離を測定する構成が不要であって、構成を簡略化することが可能となる。
【0064】
また、表示態様を徐々に変化させる時間を所定時間とすることにより、表示態様の変化の様子を安定させることができ、変化に伴う違和感の発生を低減することができる。
【0065】
また、表示態様を連続的に変化させることにより、表示態様の変化を利用者に対してより自然に見せることが可能となる。あるいは、表示態様を段階的に変化させることにより、表示態様を変化させていることを利用者に明確に伝えることができる。
【0066】
また、鏡像表示から表示画面の画像表示に切り替えた直後に、ルームミラー200の鏡像に含まれる背景の範囲と、表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とを同じにするとともに、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を徐々に大きくすることにより、後続車両の有無や後続車両までの距離に関係なく広く周囲の状況を確認することが可能となる。
【0067】
同様に、鏡像表示から表示画面の画像表示に切り替えた直後に、ルームミラー200の鏡像に含まれる背景の範囲と、表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とを同じにするとともに、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を左右方向に徐々にシフトさせることにより、後続車両の有無や後続車両までの距離に関係なく利用者が見たい範囲の状況を確認することが可能となる。
【0068】
また、鏡像表示から表示画面の画像表示に切り替えた直後に、ルームミラー200の鏡像に含まれる背景の明るさと、表示画面に表示される画像に含まれる背景の明るさ(感度)とを同じにするとともに、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の明るさを徐々に明るくすることにより、ルームミラー200による鏡像表示の内容が暗い場合であってもその明るさを徐々に明るくして視認性を向上させることができる。
【0069】
また、鏡像表示から表示画面の画像表示に切り替えてから表示態様を変化させている間、表示画面に表示させる内容を車室内の一部が映りこんだ第1の後方画像(図6(A)、(B)、(C)や図10(A)、(B)、(C))とし、その後、車室内の一部が映り込まない第2の後方画像(図6(D)や図10(D))に変更しており、表示態様を変化させる場合に変化前の状態を明確にすることにより、変化に伴う違和感の発生をより低減することが可能となる。
【0070】
特に、第1の後方画像から第2の後方画像に変更する際に、第1の後方画像に含まれる車室内の一部を時間経過とともに透明にすることにより、表示態様の変化に伴って追加あるいは変更された背景の範囲を明確にすることが可能となる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態において、感度変更部38によって後方画像の明るさ(感度)を徐々に明るくして表示態様を変更する動作を、夜間時に行うようにしてもよい。例えば、車両の前照灯の点灯/非点灯を示す前照灯ON/OFF信号を車両側からもらい、前照灯が点灯されている場合に上記の表示態様の変更を実施うる場合が考えられる。これにより、ルームミラー200による鏡像表示の内容が暗い場合であっても表示画面の画像表示に切り替えることで、その明るさを徐々に明るくして視認性を向上させることができる。
【0072】
また、上述した実施形態では、表示画面に表示させる内容を車室内の一部が映りこんだ第1の後方画像(図6(A)、(B)、(C)や図10(A)、(B)、(C))を作成する際に、実際には撮像されていない部分画像を後方画像とは別に作成して合成したが、実際のカメラを用いて車室内の一部が含まれる後方画像を撮像して用いるようにしてもよい。
【0073】
図12は、画像表示装置の変形例を示す図である。図12に示す画像表示装置100Aは、図1に示した画像表示装置100に対して、カメラ54を追加した点が異なっている。このカメラ54は、ルームミラー200に近接した位置(例えばルームミラー200の上部)に設けられて、車室内の一部が含まれるように車両の後方を撮像する。この場合には、後方画像作成部32は、カメラ54で撮像した画像を用いることで、別に作成した部分画像を合成することなく、車室内の一部が映りこんだ第1の後方画像を正確かつ容易に作成することが可能となる。
【0074】
また、上述した実施形態では、表示範囲変更部34、切出し位置変更部36、感度変更部38を用いて3種類の表示態様の変更を行っているが、これら3種類の表示態様の変更はいずれか一つを行うようにしてもよいし、2つあるいは3つを組合わせて同時に行うようにしてもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、表示範囲変更部34による表示態様の変更(表示範囲の拡大)は、カメラ52によって撮像された画像の切り出し範囲を大きくすることで行っているが、カメラ52に対して光学的なズームアウトを指示することにより行うようにしてもよい。
【0076】
また、上述した実施形態では、切出し位置変更部36による表示態様の変更(表示範囲の左右方向へのシフト)は、カメラ52によって撮像された画像の切り出し位置を左右方向に変更する大きくすることで行っているが、カメラ52に対して指示を送って視野方向を変更することにより行うようにしてもよい。
【0077】
また、上述した実施形態では、感度変更部38による表示態様の変更(明るさ、感度のアップ)は、カメラ52によって撮像された画像に対して画質を調整することで行っているが、カメラ52に対して感度(ゲイン)の変更を指示することによって行うようにしてもよい。
【0078】
また、上述した実施形態では、ルームミラー200による鏡像表示から表示装置22による画像表示に切り替えるようにしたが、反対に、表示装置22による画像表示からルームミラー200による鏡像表示に切り替える際に、表示装置22による画像表示の表示態様を徐々に変化させて切り替えの前後において2種類の表示内容が一致するようにしてもよい。
【0079】
図13は、切り替え直前に、ルームミラー200の鏡像に含まれる背景の範囲と、表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とが同じになるように、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を徐々に小さくする動作手順を示す流れ図である。この動作手順は、図3に示した動作手順にしたがって画像表示に切り替えられた後、再び鏡像表示に戻す場合の動作を示している。
【0080】
後方画像作成部32は、表示切替SW10がオフされたか否かを判定する(ステップ120)。オフされない場合は否定判断が行われ、この判定が繰り返される。なお、この状態では、ルームミラー200を通して表示装置22の画面の画像(鏡像表示に対して表示範囲を拡大した画像)が見えており、車両の運転者はこの画像を見ることで車両後方の様子を鏡像表示の場合よりも広範囲にわたって確認することができる。
【0081】
また、表示切替SW10がオフされるとステップ120の判定において肯定判断が行われる。次に、表示範囲変更部34は、表示対象となる背景の範囲がそれまでよりも小さくなるように後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、カメラ52によって撮像された画像から、指示された範囲に対応する画像を切り出して後方画像を作成する(ステップ122)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ124)。
【0082】
次に、表示範囲変更部34は、後方画像の縮小を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップ126)。経過していない場合には否定判断が行われ、ステップ122に戻って表示範囲をさらに縮小して後方画像の作成および表示が繰り返される。
【0083】
また、所定時間が経過した場合にはステップ126の判定において肯定判断が行われる。次に、表示範囲変更部34は、表示対象となる背景の範囲の縮小を中止し、それまでと同じ範囲となるように後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、カメラ52によって撮像された画像から、指示された範囲に対応する画像を切り出して後方画像を作成する(ステップ128)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ130)。その後、表示装置22による後方画像の表示を終了させる(ステップ132)。後方画像の表示を終了させることで、ルームミラー200による鏡像の表示に切り替わる。なお、後方画像の表示終了は、表示装置22の電源を切断する場合の他、後方画像に代えて各画素が黒色の画像を表示するようにしてもよい。また、ステップ122における後方画像の縮小の割合(速度)は、所定時間経過したときの後方画像の大きさがルームミラー200の鏡像と同じ大きさになるように設定されており、ステップ132において後方画像表示から鏡像表示に切り替えた際に表示対象となる背景の大きさが同一になるようになっている。
【0084】
図14は、切り替え直前に、ルームミラー200の鏡像に含まれる背景の範囲と、表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲とが同じになるように、時間経過とともに表示画面に表示される画像に含まれる背景の範囲を徐々にシフトさせる動作手順を示す流れ図である。この動作手順は、図7に示した動作手順にしたがって画像表示に切り替えられた後、再び鏡像表示に戻す場合の動作を示している。
【0085】
後方画像作成部32は、表示切替SW10がオフされたか否かを判定する(ステップ220)。オフされない場合は否定判断が行われ、この判定が繰り返される。なお、この状態では、ルームミラー200を通して表示装置22の画面の画像(鏡像表示に対して表示範囲をシフトした画像)が見えており、車両の運転者はこの画像を見ることで車両後方の様子を鏡像表示の場合よりも所望の方向にずらした範囲で確認することができる。
【0086】
また、表示切替SW10がオフされるとステップ220の判定において肯定判断が行われる。次に、切出し位置変更部36は、表示対象となる背景の範囲がそれまでに対して左右方向(図7のステップ206におけるシフト方向と反対方向)にシフトするように後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、カメラ52によって撮像された画像から、指示された範囲に対応する画像を切り出して後方画像を作成する(ステップ222)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ224)。
【0087】
次に、切出し位置変更部36は、後方画像の表示範囲のシフトを開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップ226)。経過していない場合には否定判断が行われ、ステップ222に戻って表示範囲をさらにシフトして後方画像の作成および表示が繰り返される。
【0088】
また、所定時間が経過した場合にはステップ226の判定において肯定判断が行われる。次に、切出し位置変更部36は、表示対象となる背景の範囲のシフトを中止し、それまでと同じ範囲となるように後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、カメラ52によって撮像された画像から、指示された範囲に対応する画像を切り出して後方画像を作成する(ステップ228)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ230)。その後、表示装置22による後方画像の表示を終了させる(ステップ232)。後方画像の表示を終了させることで、ルームミラー200による鏡像の表示に切り替わる。なお、ステップ222における後方画像のシフトの割合(速度)は、所定時間経過したときの後方画像の表示範囲がルームミラー200の鏡像の表示範囲と同じになるように設定されており、ステップ232において後方画像表示から鏡像表示に切り替えた際に表示対象となる背景の範囲が同一になるようになっている。
【0089】
図15は、切り替え直前に、ルームミラー200の鏡像の明るさ(感度)と、表示画面に表示される画像の明るさ(感度)とが同じになるように、時間経過とともに表示画面に表示される画像の明るさを徐々にダウンする動作手順を示す流れ図である。この動作手順は、図11に示した動作手順にしたがって画像表示に切り替えられた後、再び鏡像表示に戻す場合の動作を示している。
【0090】
後方画像作成部32は、表示切替SW10がオフされたか否かを判定する(ステップ320)。オフされない場合は否定判断が行われ、この判定が繰り返される。なお、この状態では、ルームミラー200を通して表示装置22の画面の画像(鏡像表示に対して明るさ(感度)をアップした画像)が見えており、車両の運転者はこの画像を見ることで車両後方の様子を鏡像表示の場合よりも明確に確認することができる。
【0091】
また、表示切替SW10がオフされるとステップ320の判定において肯定判断が行われる。次に、感度変更部38は、画像の明るさをそれまでよりもダウン(下げて)して後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、カメラ52によって撮像された画像から、指示された範囲および明るさに対応する画像を切り出して後方画像を作成する(ステップ322)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ324)。
【0092】
次に、感度変更部38は、表示画像の明るさのダウンを開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップ326)。経過していない場合には否定判断が行われ、ステップ322に戻って表示画像の明るさをさらにダウンして後方画像の作成および表示が繰り返される。
【0093】
また、所定時間が経過した場合にはステップ326の判定において肯定判断が行われる。次に、感度変更部38は、表示画像の明るさのダウンを中止し、それまでと同じ明るさとなるように後方画像を作成する指示を後方画像作成部32に対して行い、後方画像作成部32は、カメラ52によって撮像された画像から、指示された範囲、明るさに対応する画像を切り出して後方画像を作成する(ステップ328)。この後方画像は表示処理部20によって表示装置22の画面に表示される(ステップ330)。その後、表示装置22による後方画像の表示を終了させる(ステップ332)。後方画像の表示を終了させることで、ルームミラー200による鏡像の表示に切り替わる。なお、ステップ322における後方画像の明るさをダウンする速度は、所定時間経過したときの後方画像の明るさがルームミラー200の鏡像の明るさと同じになるように設定されており、ステップ332において後方画像表示から鏡像表示に切り替えた際に表示内容の明るさが変化しないようになっている。
【0094】
また、図13図15に示した画像表示から鏡像表示に切り替える際に表示画像の表示態様を変化させる3種類の動作は、2種類あるいは3種類を組み合わせて同時に実施するようにしてもよい。また、表示画像の表示態様を変化させる際に、図6図10に示すような車室内の一部を示す画像が後方画像に含まれるようにしてもよい。また、この車室内の一部を示す画像は、図12に示すカメラ54による撮像によって得られた画像を利用してもよい。
【0095】
また、上述した実施形態では、車両のルームミラー200について鏡像と表示画像とを切り替えるようにしたが、その他のミラーに対応する鏡像と表示画像の切り替えについても本発明を適用することができる。
【0096】
また、上述した実施形態では、表示装置22の画面に後方画像を表示したときにルームミラー200を通してこの後方画像が見え、後方画像の表示を停止(終了)したときにルームミラー200による鏡像が見えるようにしたが、ルームミラー200に液晶シャッターを組み合わせ、液晶シャッターのオン/オフ(あるいは透過率や反射率の切り替え)を行うことにより画像表示と鏡像表示を切り替えるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
上述したように、本発明によれば、ミラーによる鏡像表示からカメラで撮像した画像の表示に切り替えた直後はこれら2種類の表示内容を一致させ、その後画像の表示態様を徐々に変化させているため、後続車両の有無にかかわらず表示態様の変化の仕方が一定であって、この表示を見た利用者が感じる違和感を低減することができる。また、後続車両までの距離を測定する構成が不要であって、構成を簡略化することが可能となる。
【符号の説明】
【0098】
10 表示切替SW
20 表示処理部
22 表示装置
30 CPU
30A 表示態様変更部
32 後方画像作成部
34 表示範囲変更部
36 切出し位置変更部
38 感度変更部
40 メモリ
52、54 カメラ
100 画像表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15