(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】口腔内装着装置
(51)【国際特許分類】
A61C 7/08 20060101AFI20221108BHJP
A61F 5/56 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
A61C7/08
A61F5/56
(21)【出願番号】P 2022528973
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2021048725
【審査請求日】2022-05-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522194991
【氏名又は名称】椎野 広巳
(74)【代理人】
【識別番号】100119301
【氏名又は名称】蟹田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】椎野 広巳
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0079833(US,A1)
【文献】登録実用新案第3200349(JP,U)
【文献】特開2005-95218(JP,A)
【文献】登録実用新案第3129305(JP,U)
【文献】特表平11-507852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 7/08
A61F 5/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上顎の歯に装着される本体部を備え、
前記本体部は、第1領域、第2領域、及び第3領域を有し、
前記第1領域は
、下顎をそれ以上は後ろに下げることができない位置に設けられ、
当該位置において下顎の前歯に接触し、
前記本体部は、切歯乳頭が前記本体部から露出するように、前記本体部が装着される上顎の歯の舌側の歯冠と歯肉の境に沿う形状を有し、
下顎の前歯を前記第1領域に接触させた後、前記第2領域に接触するように移動させ、さらにその後、前記第3領域に接触するように移動させることにより、下顎が前上方に向けて移動し、
前記本体部の舌側の側面と口蓋の間に空間が設けられるように前記第3領域から前記第1領域に向けて前記本体部が下顎側に傾斜しており、下顎を前記前上方に向けて移動させた後、舌の先端部を前記本体部から露出する切歯乳頭と前記本体部の舌側の側面に置くことにより、舌を口蓋に密着させることが可能となる口腔内装着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の口腔内装着装置であって、口腔内に装着した場合に口を閉じることができる形状を有している口腔内装着装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の口腔内装着装置であって、
前記本体部の着脱方向に対するアンダーカットに係止される鉤と、
前記鉤から延伸し、口蓋側における上顎の歯の舌側歯冠中央部よりも上方の位置から前記本体部に埋入され、前記本体部に埋入されたまま口蓋側における上顎の歯の舌側歯冠中央部よりも上方の位置を通り、口蓋側における上顎の歯の舌側歯冠中央部より上方の位置において終端する脚部と、
を備えた維持装置を有する口腔内装着装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の口腔内装着装置であって、
前記本体部は、右側の上顎第1小臼歯又は上顎第2小臼歯から左側の上顎第1小臼歯又は上顎第2小臼歯までの歯に装着される口腔内装着装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の口腔内装着装置であって、
前記本体部の材料はレジン樹脂である口腔内装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上顎の歯列に固定する装置が提案されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3177755号公報
【文献】実用新案登録第3205183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、舌を本来あるべき正しい位置に位置させる口腔内装着装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、次の一実施形態を含む。
【0006】
上顎の歯に装着される本体部を備え、
前記本体部は、
第1領域、第2領域、及び第3領域を有し、
下顎の前歯が前記第1領域に接触し、
前記第1領域に接触する下顎の前歯を前記第2領域に接触させたまま前記第3領域に向けて移動させることにより、下顎が前上方に向けて移動する口腔内装着装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、舌を本来あるべき正しい位置に位置させる口腔内装着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る口腔内装着装置10を上顎の歯に装着した様子を説明する断面図である。
【
図2】
図1中の点線で囲んだ部分を拡大した図である。
【
図3】第1領域S1に接触する下顎の前歯を第2領域S2に接触させたまま第3領域S3に向けて移動させた後の状態(下顎が前上方に移動した後の状態)を示す図である。
【
図4A】実施形態1に係る口腔内装着装置10を上顎の歯に装着した様子を説明する正面図である。
【
図4B】実施形態1に係る口腔内装着装置10を上顎の歯に装着した様子を説明する背面図である。
【
図4C】実施形態1に係る口腔内装着装置10を上顎の歯に装着した様子を説明する側面図である。
【
図5A】実施形態1に係る口腔内装着装置10を示す背面図(口蓋側から見た図)である。
【
図5B】実施形態1に係る口腔内装着装置10を示す正面図(唇側から見た図)である。
【
図5C】実施形態1に係る口腔内装着装置10を示す側面図である。
【
図5D】実施形態1に係る口腔内装着装置10を示す斜視図である。
【
図6A】実施形態2に係る口腔内装着装置20を示す背面図(口蓋側から見た図)である。
【
図6B】実施形態2に係る口腔内装着装置20を示す正面図(唇側から見た図)である。
【
図6C】実施形態2に係る口腔内装着装置20を示す側面図である。
【
図6D】実施形態2に係る口腔内装着装置20を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態1に係る口腔内装着装置10]
図1は、実施形態1に係る口腔内装着装置10を上顎の歯に装着した様子を説明する図であり、
図2は
図1中の点線で囲んだ部分を拡大した図である。
図3は、第1領域S1に接触する下顎の前歯を第2領域S2に接触させたまま第3領域S3に向けて移動させた後の状態(下顎が前上方に移動した後の状態)を示す図である。
図2においては、第1領域S1、第2領域S2、及び第3領域S3それぞれを点線で囲んでいる。
図1と
図2に示す矢印は、下顎が移動する方向を示す。
図1、
図3においては、本発明の理解を容易にするため、舌300の大きさと厚みを大きめに記載している。
【0010】
図1乃至
図3に示すように、実施形態1に係る口腔内装着装置10は、上顎の歯に装着される本体部12を備え、本体部12は、第1領域S1、第2領域S2、及び第3領域S3を有し、下顎の前歯が第1領域S1に接触し、第1領域S1に接触する下顎の前歯を第2領域S2に接触させたまま第3領域S3に向けて移動させることにより、下顎が前上方に向けて移動する口腔内装着装置10である。実施形態1によれば、舌300を本来あるべき正しい位置に位置させる口腔内装着装置10を提供することができる。以下、詳細に説明する。
【0011】
(口腔内装着装置10)
口腔内装着装置10とは口腔内に装着される装置をいう。口腔内とは口から咽頭に至る部分をいう。口は、口腔の開口部分ということもできる。マウスピースやスプリントなどは口腔内装着装置10の一例である。本実施形態に係る「口腔内装着装置10」は、口腔内に装着しても口を閉じることができる形状を有している。口を閉じたときに口から一部が突出したり露出したりする装置や、装着すると口を閉じることができなくなる装置は、たとえマウスピースやスプリントなどと呼ばれるものであっても、本明細書における「口腔内装着装置」には含まれない。
【0012】
(本体部12)
口腔内装着装置10は、上顎の歯に装着される本体部12を備え、本体部12は、第1領域S1、第2領域S2、及び第3領域S3を有している。第1領域S1、第2領域S2、及び第3領域S3は、いずれも、本体部12の表面における一部領域である。一部領域は、一区画と言うこともできる。第1領域S1乃至第3領域S3は互いに異なる領域である。本体部12の表面におけるある領域が、第1領域S1であったり第2領域S2であったり第3領域S3であったりすることはない。換言すると、例えば、本体部12の表面におけるある領域が第1領域S1であるとすれば、当該領域が第2領域S2や第3領域S3であることはない。本体部12は、口腔内から口腔外に向けて、第1領域S1、第2領域S2、及び第3領域S3をこの順に有していることが好ましい。また、第1領域S1、第2領域S2、及び第3領域S3は、下顎が前上方に向けて抵抗なく滑らかに移動するように、この順に連続していることが好ましい。
【0013】
(第1領域S1)
第1領域S1は、下顎の前歯に接触する領域である。換言すると、本明細書では、本体部12の表面における、下顎の前歯に接触する「領域」のことを「第1領域S1」と称している。このような第1領域S1を本体部12が有することにより、下顎の移動を容易に開始することが可能となる。第1領域S1は、下顎の前歯に接触する領域であることに加えて、さらに、当該接触させた状態において、下顎をそれ以上は後ろに下げることができない位置にある領域であることが好ましい。つまり、本体部12は、下顎の前歯を接触させた際に、下顎をそれ以上は後ろに下げることができない領域を有していることが好ましく、本明細書では、特に好ましくは、このような領域のことを第1領域S1とする。本体部12がこのような領域を第1領域S1として有することにより、下顎の後方移動が不意に生じて、下顎の前歯が第1領域S1から外れてしまうことを抑制できる。よって、後述する下顎の移動を容易に開始することができる。なお、第1領域S1は、下顎の前歯の中でも下顎の左右中切歯と下顎の左右側切歯の両方に接触する領域であることが好ましく、下顎の左右中切歯と下顎の左右側切歯以外の歯に接触しない領域(あるいは接触させることができない領域)であることがより好ましい。
【0014】
(第2領域S2)
本体部12は、第1領域S1に接触する下顎の前歯を「ある領域」に接触させたまま移動させることが可能な形状に構成されており、本明細書では、当該「ある領域」のことを「第2領域S2」と称している。このような第2領域S2を本体部12が有することにより、第1領域S1に接触する下顎の前歯を第3領域S3に抵抗なく滑らかに誘導することができる。
【0015】
(第3領域S3)
第1領域S1に接触する下顎の前歯を第2領域S2に接触させたまま第3領域S3に向けて移動させることにより、下顎が前上方に向けて移動する(
図1中及び
図2中の矢印を参照。)。本体部12は、第1領域S1に接触する下顎の前歯を第2領域S2に接触させたまま「ある領域」に向けて移動させることにより、下顎が前上方に向けて移動する形状を有しており、本明細書では、当該「ある領域」のことを「第3領域S3」と称している。このような第3領域S3を本体部12が有することにより、下顎が前上方に向けて移動して上下の臼歯部の間隔が開き、口腔内の容積が拡大する。
【0016】
以上説明した実施形態1によれば、第1領域S1に接触する下顎の前歯を第2領域S2に接触させたまま第3領域S3に向けて移動させることにより、第1領域S1に接触する下顎の前歯を第3領域S3に抵抗なく滑らかに誘導し、これにより、下顎を前上方に向けて移動させる。換言すれば、使用者は、本実施形態に係る口腔内装着装置10を装着するだけで、下顎を前上方に向けて容易に移動させることができる。下顎を前上方に向けて移動すれば、上下の臼歯部の間隔が開き、口腔内の容積が拡大する。このため、口腔内装着装置10の使用者に、舌300の先端部を本来あるべき正しい位置(本体部12の舌側の側面、好ましくは切歯乳頭)に置くように促して、舌300の全体を本来あるべき正しい位置(舌300が口蓋に密着した位置すなわち鼻呼吸がしやすくなる位置)に置くように誘導することができる。換言すると、本実施形態に係る口腔内装着装置10によれば、口腔内装着装置10の使用者に、舌300の先端部が本来あるべき正しい位置を教示し、舌300を本来あるべき正しい位置に誘導することができる。本実施形態によれば、口腔内装着装置10の使用者が、舌300を本来あるべき正しい位置(舌300が口蓋に密着した位置すなわち鼻呼吸がしやすくなる位置)に容易に置くことができるため、自然と、舌300を口蓋に接触させることができるようになり、またそのような接触の習慣を付けることができる。このため、口呼吸の通路(つまり口腔内)が舌300により閉ざされ、口腔内装着装置10の使用者に鼻呼吸を促すことができる。口呼吸ではなく鼻呼吸を行うことにより、唾液を増やすことができる。したがって、本実施形態に係る口腔内装着装置10は、歯周病の治療にも効果的である。また、下顎が前上方に向けて移動することにより、奥歯の食いしばりを抑制することができるため、本実施形態に係る口腔内装着装置10は、知覚過敏や顎関節疾患の治療にも効果的である。
【0017】
図4Aは実施形態1に係る口腔内装着装置10を上顎の歯に装着した様子を説明する正面図である。
図4Bは実施形態1に係る口腔内装着装置10を上顎の歯に装着した様子を説明する背面図である。
図4Cは実施形態1に係る口腔内装着装置10を上顎の歯に装着した様子を説明する側面図である。
図4A乃至
図4Cにおいては、下顎及び舌の図示は省略している。
図4A乃至
図4Cに示すように、本体部12は、本体部12が装着される上顎の歯に沿う形状を有することが好ましい。つまり、本体部12は、本体部12が装着される上顎の歯の舌側の歯冠と歯肉の境に沿っていることが好ましい。このようにすれば、切歯乳頭を本体部12より露出させて、舌の先端を切歯乳頭に位置させることが可能となるため、口腔内装着装置10の使用者に、舌の先端部を切歯乳頭に置くように促して、舌の全体を本来あるべき正しい位置(舌が口蓋に密着した位置すなわち鼻呼吸がしやすい位置)に置くように誘導することができる。
【0018】
本体部12が装着される上顎の歯は、右側の上顎第1小臼歯又は上顎第2小臼歯から左側の上顎第1小臼歯又は上顎第2小臼歯までの歯であることが好ましい。このようにすれば、本体部12が奥歯まで存在する場合と比較して、口腔内の容積が広がるため、本体部12が舌に干渉することを抑制できる。このため、使用者にとっては小さく取り扱いが手軽でありながら、舌の先端部を本来あるべき正しい位置(本体部12の舌側の側面、好ましくは切歯乳頭)に置くように促して、舌全体を本来あるべき正しい位置(舌が口蓋に密着した位置すなわち鼻呼吸がしやすくなる位置)に置くように誘導する口腔内装着装置10を提供することができる。
【0019】
図5Aは実施形態1に係る口腔内装着装置10を示す背面図(口蓋側から見た図)である。
図5Bは実施形態1に係る口腔内装着装置10を示す正面図(唇側から見た図)である。
図5Cは実施形態1に係る口腔内装着装置10を示す側面図である。
図5Dは実施形態1に係る口腔内装着装置10を示す斜視図である。
図5Eは
図5D中の5E-5E断面を示す図である。
図5A乃至
図5Eに示すように、本体部12は維持装置14を備えていることが好ましい。維持装置14とは本体部12を口腔内に維持する装置である。維持装置14は、口腔内装着装置10の着脱方向に対するアンダーカットに係止される鉤142と、脚部144と、を備えていることが好ましい。アンダーカットとは、歯が有する面のうち、口腔内装着装置10の着脱方向に対して抵抗を有する面をいう。鉤142は、アンダーカットのなかでも、上顎犬歯から第二小臼歯の間にあるアンダーカットに係止されることが好ましい。
【0020】
脚部144は、鉤142から延伸し、口蓋側における上顎の歯(好ましくは犬歯または小臼歯)の舌側歯冠中央部よりも上方の位置から本体部12に埋入され、本体部12に埋入されたまま口蓋側における上顎の歯(好ましくは側切歯)の舌側歯冠中央部よりも上方の位置を通り、口蓋側における上顎の歯(好ましくは中切歯)の舌側歯冠中央部より上方の位置において終端することが好ましい。このように脚部144を構成することにより、本体部12が有する舌側の上縁を、歯冠と歯肉の境目に位置させることが可能となる。換言すると、本体部12が有する舌側の上縁を歯冠と歯肉の境目に位置させるにあたり、脚部144が邪魔になることを抑制できる。このため、口腔内装着装置10の使用者に、舌の先端部を切歯乳頭に置くように促して、舌全体を本来あるべき正しい位置(舌が口蓋に密着した位置)に置くように誘導することができる。
【0021】
本体部12の材料は、レジン樹脂であることが好ましい。このようにすれば、下顎前歯部と口腔内装着装置10との摩擦により下顎が動きやすい形態に本体部12が摩耗し、口腔内装着装置10の使用が進むにつれて、本体部12の形状を下顎が動きやすい形状へと変化させることができる。本体部12の材料にレジン樹脂を用いることとすれば、本体部12の摩耗が進み過ぎた場合であっても、歯科医師により本体部12の形状を容易に修正することができる。
【0022】
(口腔内装着装置10の製造方法)
本実施形態の口腔内装着装置10は、例えば、歯科技工等において用いられている公知の方法により作製することが可能である。
【0023】
[実施形態2に係る口腔内装着装置20]
図6Aは実施形態2に係る口腔内装着装置20を示す背面図(口蓋側から見た図)である。
図6Bは実施形態2に係る口腔内装着装置20を示す正面図(唇側から見た図)である。
図6Cは実施形態2に係る口腔内装着装置20を示す側面図である。
図6Dは実施形態2に係る口腔内装着装置20を示す斜視図である。
図6Eは
図6D中の6E-6E断面を示す図である。
図6A乃至
図6Eに示すように、実施形態2に係る口腔内装着装置20は、鉤242の形状が、実施形態1に係る口腔内装着装置10と相違する。このように、鉤242の形状は、実施形態1に示すボールクラスプに限定されるものではなく、様々な形状とすることができる。
【0024】
以上、実施形態1、2について説明したが、近年は、食生活の変化などにより、歯並びの悪い人が増えているが、歯並びが悪くなると、歯が舌側に倒れるために口腔内の容積が減り、舌に歯が当たるため舌ストレスを感じ舌が本来あるべき位置(舌が自然と上顎に接触する位置)よりも後方に下がってしまい、舌と上顎との間に口呼吸が可能となる隙間が生じてしまう。しかし、上記した口腔内装着装置10、20によれば、後方に下がってしまっていた舌300をその本来あるべき位置(舌300が自然と上顎に接触する位置)に位置させることができる。
【0025】
また、口腔内装着装置10、20によれば、口呼吸がしづらくなる一方で、鼻呼吸がしやすくなる。このため、口腔内装着装置10、20の使用者に、舌300を上顎に接触させる習慣を身に付けさせて、鼻呼吸の習慣を定着させることができる。
【0026】
鼻呼吸の習慣が定着すると、口腔内が唾液で潤うため、歯科疾患の予防になるほか、皮膚の疾患、アレルギー、あるいは睡眠のトラブル(イビキ)など、様々な症状を改善させることができる。このため、口腔内装着装置10、20は、様々な症状の改善に効果がある。
【0027】
昨今は、コロナウイルス感染症が広がりを見せており、マスクの着用により鼻呼吸がしづらく口呼吸になってしまう人が増えており、鼻呼吸の習慣を定着させ、しっかりと口を閉じることが可能な口腔内装着装置10、20は特に効果がある。
【0028】
口腔内装着装置10、20によれば、舌癖(気づかないうちに歯の間から舌が出るなどの、舌300を歯に押し付けているような動き)を治し、正しい嚥下の習慣をつけさせることも可能である。
【0029】
口腔内装着装置10、20によれば、普段後方に下がってしまった下顎を前上方になるよう習慣づけ、舌300が口蓋に密着する習慣を使用者につけさせることも可能であり、これにより、使用者に鼻呼吸の習慣をつけさせ、いびきの改善や睡眠時無呼吸の治療を図ることも可能である。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの説明は、本発明の一例に関するものであり、本発明は、これらの説明によって何ら限定されるものではない。
【0031】
なお、本発明に係る口腔内装着装置の使用者は、歯科医師による定期的な管理(例:定期検診)を受けることが好ましい。口腔内装着装置が口腔内に入るため、常に口腔内の環境を良好な状態に維持することが好ましいためである。
【符号の説明】
【0032】
10、20 口腔内装着装置
12、22 本体部
14、24 維持装置
142、242 鉤
144、244 脚部
S1 第1領域
S2 第2領域
S3 第3領域
300 舌
【要約】
上顎の歯に装着される本体部を備え、前記本体部は、第1領域、第2領域、及び第3領域を有し、下顎の前歯が前記第1領域に接触し、前記第1領域に接触する下顎の前歯を前記第2領域に接触させたまま前記第3領域に向けて移動させることにより、下顎が前上方に向けて移動する口腔内装着装置。