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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】枠状被保護体の保護材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/30 20060101AFI20221108BHJP
   E06C 7/00 20060101ALI20221108BHJP
   E06C 1/18 20060101ALI20221108BHJP
   B29C 48/00 20190101ALI20221108BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20221108BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20221108BHJP
【FI】
E04G21/30 Z
E06C7/00
E06C1/18
B29C48/00
B29C44/00 E
B29K105:04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017218299
(22)【出願日】2017-11-13
(65)【公開番号】P2019090190
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-09-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000214788
【氏名又は名称】DMノバフォーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142594
【弁理士】
【氏名又は名称】阪中 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100090686
【弁理士】
【氏名又は名称】鍬田 充生
(72)【発明者】
【氏名】田中 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】平尾 優
(72)【発明者】
【氏名】木村 泰慶
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-089046(JP,A)
【文献】米国特許第06021865(US,A)
【文献】特開平11-210233(JP,A)
【文献】登録実用新案第3059082(JP,U)
【文献】特開2000-170385(JP,A)
【文献】特許第6116726(JP,B1)
【文献】登録実用新案第3048503(JP,U)
【文献】特開2018-096065(JP,A)
【文献】実開昭49-146714(JP,U)
【文献】特開2004-068436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/24-21/32
E06C 1/00-9/14
B29C 44/00-44/60
B29C 48/00-48/96
B29C 67/20-67/24
B29D 30/00-30/72
B29K 105/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の支持脚部と、この一対の支持脚部に架設された踏桟とを備えた井桁状枠部を有する被保護体を保護するための保護材であって、
前記被保護体の前記枠部が、前記一対の支持脚部が対向する対向内側が開放した断面コ字状に形成されており、
前記保護材が、軟質樹脂を含む樹脂発泡体で形成され、かつ、前記枠部に対して、ビス止め、ボルト・ナットで取り付けることなく、前記枠部に対して保持又は把持させて、前記枠部の前記対向内側に対する反対側の外壁に装着する保護材であり、
前記被保護体の前記枠部の前記外壁に沿って配置可能な保護部と、
この保護部の両側部から互いに狭まる方向に、直線状に若しくは側部内方向に緩やかに窪んで又は側部外方向に緩やかに膨らんで湾曲して延び、前記被保護体の前記枠部の両側壁に配置してこの両側壁を挟持可能な側壁延出部と、
この側壁延出部の先端部から前記保護部に向かって互いに近づく方向に屈曲して前記両側壁の開放端部の内方に配置可能に延び、前記被保護体の前記枠部の前記両側壁を把持又は挟持した形態で、前記枠部の前記両側壁の開放端部に係合可能な把持部とを備えている、保護材。
【請求項2】
直線状に延び、かつ切断可能な長尺状の保護材であり、平坦状に形成された保護部と、
この保護部の延びる方向に対して直交する垂線と、前記保護部から側壁延出部が延出する基部と側壁延出部の先端部としての前記把持部が延出する基部とを結ぶ線との角度を前記側壁延出部の角度としたとき、前記側壁延出部の角度が5~30°である前記側壁延出部と、
この側壁延出部から、前記保護部に向かって互いに近づく方向に傾斜して延びる把持部とを備え、把持部及び側壁延出部に切り欠き部が形成されている請求項1記載の保護材。
【請求項3】
把持部及び側壁延出部に、保護部に至る断面U字状又はV字状の切り欠き部が形成されている請求項1又は2記載の保護材。
【請求項4】
側壁延出部に対して、把持部が、内側に屈曲又は湾曲している請求項1~3のいずれかに記載の保護材。
【請求項5】
井桁状枠部を有する被保護体が、脚立、梯子、踏み台及び三脚から選択された少なくとも一種であり、前記三脚が、踏桟が架設された一対の支持脚部と、この支持脚部の頂部部材に対して、ヒンジ式に開閉可能に連結された1つの支持脚部とを備えている請求項1~4のいずれかに記載の保護材。
【請求項6】
ダイの口金から溶融した軟質樹脂を含む発泡性樹脂組成物を押し出し、樹脂発泡体で形成された保護材を製造する方法であって、請求項1~5のいずれかの保護材の断面形状に対応する吐出部を備えた口金から、溶融した軟質樹脂を含む発泡性樹脂組成物を押し出し発泡し、請求項1~5のいずれかに記載の保護材を製造する方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載の保護材が、少なくとも一対の支持脚部と、この一対の支持脚部に架設された踏桟とを備えた井桁状枠部を有する被保護体の枠部に装着された、被保護体であって、
前記被保護体の前記枠部が、前記一対の支持脚部が対向する対向内側が開放した断面コ字状に形成され、
前記枠部に対して、ビス止め、ボルト・ナットで取り付けることなく、前記枠部に対して保持又は把持させて、前記対向内側に対する反対側に前記保護材を装着するための外壁が形成されており、
前記外壁に沿って保護材の保護部が配置され、
この保護部の両側部から互いに狭まる方向に、直線状に若しくは側部内方向に緩やかに窪んで又は側部外方向に緩やかに膨らんで湾曲して延びる側壁延出部が、前記被保護体の前記枠部の両側壁に配置して前記両側壁を挟持し、
前記側壁延出部の先端部から前記保護部に向かって互いに近づく方向に屈曲して前記両側壁の開放端部の内方に配置可能に延びる把持部が、前記被保護体の前記枠部の前記両側壁を把持又は挟持した形態で、前記枠部の前記両側壁の開放端部に係合している、被保護体。
【請求項8】
請求項1~5のいずれかに記載の保護材を、井桁状枠部を有する被保護体の枠部に装着し、被保護体を保護する方法であって、
前記被保護体の前記枠部が、前記一対の支持脚部が対向する対向内側が開放した断面コ字状に形成され、
前記枠部に対して、ビス止め、ボルト・ナットで取り付けることなく、前記枠部に対して保持又は把持させて、前記対向内側に対する反対側に前記保護材を装着するための外壁が形成されており、
前記外壁に沿って保護材の保護部を配置し、
この保護部の両側部から互いに狭まる方向に、直線状に若しくは側部内方向に緩やかに窪んで又は側部外方向に緩やかに膨らんで湾曲して延びる側壁延出部が、前記被保護体の前記枠部の両側壁に配置して前記両側壁を挟持し、
前記側壁延出部の先端部から前記保護部に向かって互いに近づく方向に屈曲して前記両側壁の開放端部の内方に配置可能に延びる把持部、前記被保護体の前記枠部の前記両側壁を把持又は挟持した形態で、前記枠部の前記両側壁の開放端部に係合させ、被保護体を保護する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚立などの井桁状枠部を有する被保護体に装着して、被保護体及び/又は被接触体を損傷から保護するのに有用な保護材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中高所での部品の取付・交換、清掃又は洗浄などに脚立が利用されている。この脚立は、通常、棒状又は台状の頂部形成部材と、この頂部形成部材に対して開閉可能な複数の脚部とを備えており、前記脚部は所定の開度で固定可能である。そして、脚部の長さが一般に大きいため、このような脚立の移動又は運搬に伴って、周囲の被接触体(壁部、台部、機器など)と接触して、脚立又は被接触体が損傷する場合がある。
【0003】
特開平11-210233号公報(特許文献1)には、縦枠柱間に足掛桟を多段状に設けた梯子・脚立に着脱自在に装着する傷つけ防止具が記載され、前記足掛桟間の前記縦枠柱に、滑り止め凹凸表面を有する弾性質保護シートを巻き付ける傷つけ防止具が記載されている。しかし、足掛桟間に位置する縦枠柱の長さが短いため、縦枠柱に対する前記保護シートの巻き付け作業が煩雑であるとともに、梯子や脚立の上部を保護することができない。
【0004】
実開平6-54566号公報(特許文献2)には、板状体や枠体等の被保護物の縁部に当接させて、その縁部を保護する縁部保護部材において、この縁部保護部材の本体が、合成樹脂と紙片又は紙粉との成形品により構成され、被保護物の縁部に対向する第1板部と、第1板部の少なくとも一方の側辺から第1板部に対して角度をもって延設された第2板部とから構成された断面略L又はコ字状をなし、この第1板部の略中央に、被保護物の縁部に当接する受け面が、膨出形成され、膨出形成された受け面と上記の第2板部との間に、被保護物の縁部に当接しない緩衝用凹溝が形成された縁部保護部材が記載されている。しかし、この保護部材は、被保護物の縁部に対する挟着能がないため、外力により脱離しやすく、被保護物を安定かつ長時間に亘り保護できない。
【0005】
特許第6116726号公報(特許文献3)には、複数の支持体と天板と連結具により構成され開閉自在に連結する脚立において、前記支持体の上部と前記天板をコ字状に覆う弾力性と緩衝性を有する複数の保護材が記載され、この保護材が、前記脚立の開閉方向に沿って配置される天板保護部と、該天板保護部の両端に屈曲連設される支持体の上部を覆う複数の支持体保護部とを備えており、前記天板保護部の中央下部に切り欠き部を形成したことが記載されている。また、天板保護部及び支持体保護部が断面L字状(外面と側面とを被覆可能な断面L字状)に形成されていること、支持保護部に、支持体(支柱)を挟持する支持体内面保護部が連設されていることも記載されている。
【0006】
このような脚立保護材では、脚立の支持体の開閉操作に追随させて、天板保護部の中央下部に形成した切り欠き部を開閉できる。しかし、この脚立保護材は、支持体の上部と前記天板とをコ字状の形態で覆うため、脚立の上部、すなわち、天板部及び支持体の上部しか保護できず、長さの大きな支持体を有効に保護できない。また、天板保護部の両側部から、天板保護部の軸線に対して直交する方向に支持体保護部が延出したコ字状の形態に加えて、断面L字状の形態を有するため、保護材の構造が複雑化し、簡便かつ容易に製造できず、保護材を製造するためには、煩雑又は複雑な工程を必要とする。このような形態の保護材において、さらに、支持保護部に支持体内面保護部を連接させることは、保護材の工業的製造をさらに困難にする。
【0007】
特開2016-27235号公報(特許文献4)には、発泡樹脂組成物で形成され、被保護材の少なくとも前面部を保護する前面保護部と、この前面保護部の両端から側部方向に湾曲する湾曲部と、この湾曲部から互いに近づく方向に延び、かつ互いに遊離して位置する延出部と、この延出部に対して、内側に屈曲又は湾曲して連なる挟持部とを備えた保護材が記載されており、前記挟持部は、被保護材に対する締め付け力が作用する作用部位(又は被保護材に係合可能な作用部位)を有し、この作用部位が、挟持部の基部又は基部内壁よりも内側に位置している。この保護材は、締め付け力を利用して、柱や手すりなどの建設材や、机、いす、家具などに対する保護材として有効に利用できる。しかし、この保護材は、挟持部の基部よりも内側で締め付け力を作用させるため、被保護材に装着すると、前面保護部の両端から湾曲部が側方に大きく膨らんで湾曲するため、側方への嵩張りが大きくなり、外観品質を低下させる。また、保護材が屈曲しにくく、被保護材の非平坦部(コーナー部や湾曲部など)を保護するには十分でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平11-210233号公報(請求項1、図1
【文献】実開平6-54566号公報(請求項1、図2
【文献】特許第6116726号公報(請求項1、[0043][0049]、図1図4B))
【文献】特開2016-27235号公報(請求項1、[発明の効果][0102]、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、簡単な構造を有し、枠部に対する保持力(又は装着強度)が高く、外観品質を損なうことなく、井桁状枠部を有する被保護体を保護するのに有用な保護材(又は養生材)及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、枠部に対する脱落及び位置ずれを防止しつつ、断面コ字状の枠部を備えた枠状被保護体を保護するのに有効な保護材(又は養生材)及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、工業的に製造可能な構造を有し、直線状枠部のみならず非直線状枠部(コーナー部など)を含め、井桁状枠部を有する被保護体の所望の部位を有効に保護可能な保護材(又は養生材)及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、軟質樹脂を含む発泡性樹脂組成物を押出発泡させ、脚立などの井桁状枠部を有する被保護体の枠部の装着部位に沿って配置可能な平坦状の保護部と、この保護部の両側部から延出する側壁延出部とで断面コ字状の形態に形成するとともに、この側壁延出部から前記保護部に向かって屈曲した把持部とを形成すると、側壁延出部で枠部の両側部を挟持しつつ、把持部で枠部の内側を把持又は挟持した形態で枠部を樹脂発泡体で覆うことができ、枠状被保護体を有効に保護できること、前記把持部と側壁延出部とに切り欠き部を形成すると、コーナー部であっても枠部に沿って保護材を装着できることを見いだし、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明の保護材は、軟質樹脂を含む樹脂発泡体で形成され、井桁状枠部を有する被保護体を保護するための保護材であって、前記被保護体の枠部の装着部位に沿って配置可能な保護部と、この保護部の両側部から延び、前記被保護体の枠部の両側壁に配置可能な側壁延出部と、この側壁延出部から互いに近づく方向に延び、前記被保護体の枠部の背面側に配置可能な把持部とを備えている。
【0014】
前記保護材は、直線状に延び、かつ切断可能な長尺状の保護材であってもよい。保護部は平坦状に形成してもよく、前記側壁延出部は、前記保護部の延びる方向に対して直交又は互いに狭まる方向に延びて(例えば、前記保護部の延びる方向に対して狭まって)形成してもよい。さらに、把持部は、側壁延出部から、前記保護部に向かって互いに近づく方向に傾斜して延びて形成してもよい。
【0015】
把持部及び側壁延出部には切り欠き部を形成してもよい。例えば、把持部及び側壁延出部には、保護部に至る断面U字状又はV字状の切り欠き部を形成してもよい。前記把持部は、側壁延出部に対して、内側に屈曲又は湾曲して連なっていてもよく、直線的又は湾曲して連なっていてもよい。
【0016】
なお、井桁状枠部を有する被保護体は、脚立、梯子、踏み台及び三脚から選択された少なくとも一種であってもよく、これらの被保護体は、ヒンジ式に開閉可能な複数(少なくとも一対)の支持脚部を備えていてもよく、天板部を有していてもよい。
【0017】
前記保護材は、例えば、ダイの口金から溶融した軟質樹脂を含む発泡性樹脂組成物を押し出すことにより、樹脂発泡体で形成できる。すなわち、前記保護材の断面形状に対応した形態の吐出部を備えた口金、例えば、直線状の吐出部と、この吐出部の両側部から前記直線状吐出部の延びる方向に対して直交又は互いに狭まる方向に延びる両側吐出部と、この両側吐出部から互いに近づく方向に(例えば、前記直線状吐出部に向かって互いに近づく方向に傾斜して)延びる屈曲吐出部とを備えた口金から、溶融した軟質樹脂を含む発泡性樹脂組成物を押し出し発泡することにより、前記保護材を製造できる。
【0018】
本発明は、前記保護材が、井桁状枠部を有する被保護体の枠部に装着された、被保護体;並びに、前記保護材を、井桁状枠部を有する被保護体の枠部に装着し、被保護体を保護する方法も包含する。
【0019】
なお、本発明において、平坦状の保護部は、平坦な外面/内面を有する保護部のみならず、全体として平坦な形態、例えば、緩やかに湾曲している形態も包含する意味に用いる。保護材による保護とは、井桁状枠部を有する被保護材を損傷から保護するだけでなく、前記保護材が接触する被接触体を損傷から保護することも意味する。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、軟質樹脂を含む樹脂発泡体で形成されているため、井桁状枠部を有する被保護体の枠部の装着部位に沿って保護部を位置させることができ、枠部の両側部を側壁延出部で挟持しつつ、把持部で枠部の内側(背面側)を把持又は挟持した形態で、被保護体の枠部を樹脂発泡体で覆うことができる。そのため、簡単な構造を有していても、枠部に対する保持力(又は装着強度)を高めることができ、外観品質を損なうことなく、被保護体を有効に保護又は養生できる。また、断面コ字状の枠部を備えた枠状被保護体に適用すると、断面コ字状の枠部の内側に前記把持部を位置させることができ、枠部に対する脱落及び位置ずれを防止でき、被保護体を有効に保護又は養生できる。
【0021】
さらに、前記把持部と側壁延出部とに切り欠き部を形成すると、軟質樹脂を含む樹脂発泡体で形成されていることと相まって、コーナー部であっても枠部に沿って保護材を装着でき、直線状枠部のみならず非直線状枠部(コーナー部など)を含め、被保護体の所望の部位を有効に保護又は養生できる。
【0022】
さらには、保護部の両側部から側壁延出部が延出し、側壁延出部から把持部を延出した形態を有するため、押し出し発泡により保護材を工業的に有利に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、脚立の一例を示す概略斜視図である。
図2図2は、本発明の保護材の一例を示す概略斜視図である。
図3図3は、脚立のコーナー部に対する図2の保護材の装着状態を示す一部切り欠き概略斜視図である。
図4図4は、脚立の支持脚部に対する図2の保護材の装着状態を示す概略斜視図である。
図5図5は、本発明の保護材の他の例を示す概略断面図である。
図6図6は、本発明の保護材のさらに他の例を示す概略断面図である。
図7図7は、本発明の保護材の別の例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、必要に応じて添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
【0025】
なお、図1に示す例では、井桁状枠部を有する被保護体として脚立を示している。この脚立1は、ヒンジ部2にヒンジ式に開閉可能に連結され、開閉動に伴って頂部に天板部を形成するための天板部材3a,3bと、この天板部材の両側部にそれぞれ連結され、前記天板部を支持するための一対の支持脚部4,5と、各一対の支持脚部に所定の間隔をおいて架設された複数の踏桟6と、各一対の支持脚部4,5の開度を規定するための屈曲可能な開き止め金具7と、この開き止め金具を固定するためのロック部8とを備えており、一対の支持脚部4,5の下端部には保護用又は滑り止め用キャップが装着可能である。このような脚立1において、井桁状枠部を形成する枠部(天板部材3a,3b、支持脚部4,5)10は、内側が開放した断面コ字状の形態に形成されており、この内側凹部を利用して、前記踏桟6は、前記支持脚部4,5の内側(凹部壁)と踏桟6とを連結する補強部材(筋交い部材)9で補強支持されている。
【0026】
このような被保護体を保護するための保護材11は、軟質樹脂を含む樹脂発泡体で形成され、図2図4に示されるように、脚立1の枠部10の装着部位を有効に保護するため、前記装着部位に沿って配置可能な平坦状の保護部12と、この保護部の両側部から少し狭まる方向に湾曲して延びる側壁延出部13とを備えており、概略断面コ字状の形態を有している。前記側壁延出部13は、樹脂発泡体の弾性に基づいて、前記保護部12に対して弾性を伴って開閉可能である。そのため、前記側壁延出部13が緩やかに湾曲していることと相まって、前記枠部10の両側壁を側壁延出部13で挟持可能である。
【0027】
また、保護材11は、脚立1の枠部10に対する保持性(又は装着強度)を高めるため、前記側壁延出部13の先端部から前記保護部12に向かって互いに近づく方向に屈曲して延びる把持部14を備えており、この把持部の先端部の少なくとも内壁側は、枠部に対する係止作用を高めるため膨出又は湾曲した形態(膨出又は湾曲部)を有している。この把持部14は、枠部10の内側の開放部(枠部10の両側壁の先端部)に係止した形態で、枠部10に対して装着可能である。そのため、前記枠部10の両側壁を挟持し、かつ枠部10の内側で係止した状態で前記枠部10を保護材11で覆うことができ、枠部10を有効に保護できる。なお、前記保護材11は、前記保護部12の長手方向の中央部を中心として、ほぼ左右対称な形状に形成されている。
【0028】
前記保護材11は、軟質樹脂を含む樹脂発泡体で、直線状に延び、かつ切断可能な長尺状に形成されており、可撓性を有し、折り曲げ可能である。そのため、脚立1の枠部10の所望の装着部位に応じて、保護材11を所定長さに切断し、前記装着部位に装着できる。また、直線状に延びていても、可撓性を有し、軟質であるため、装着部位に保護材11を沿わせて装着でき、枠部10を有効に保護できる。
【0029】
図2及び図3に示すように、このような保護材11の長手方向の所定箇所には、把持部14及び側壁延出部13から保護部12に至り、断面V字状(この例では、開口度又は角度θ=90°程度の断面V字状)の第1の切り欠き部15が形成されている。このような切り欠き部を脚立1の天板部材3a,3bと支持脚部4,5とのコーナー部に当接して、天板部材3a,3bの上面(外面)及び支持脚部4,5の上面(外面)に保護材11を沿わせて配置し、前記保護材11を装着することにより、脚立1のコーナー部にも高い保持力で保護材11を装着でき、脚立1からの保護材11の脱離及び位置ずれを防止できる。
【0030】
さらに、図2に示すように、保護材11の長手方向のうち前記踏桟6に対応する箇所には、前記踏桟6に対応する幅で、把持部14が断面コ字状又は四角形状の第2の切り欠き部16が形成され、保護材11の長手方向のうち開き止め金具7に対応する箇所には、開き止め金具7に対応する幅で、把持部14及び側壁延出部13から保護部12に至る断面コ字状の第3の切り欠き部17が形成されている。このような第2及び第3の切り欠き部16,17を利用すると、前記踏桟6及び開き止め金具7を備えていても、脚立1の枠部10を全体に亘り保護材11で被覆又はカバーでき、脚立1を全体として保護できる。
【0031】
このような保護材(脚立用保護材)11の寸法サイズは、被保護体に応じて選択でき、例えば、断面形状において、保護材の平均厚みは、5~15mm(例えば、6~13mm、好ましくは8~12mm(例えば、8.5~11mm)、さらに好ましくは9.5~10.5mm)、保護部の平均長さは、外寸法(外寸)65~75mm(例えば、67~71mm、好ましくは68~70mm)、内寸法(内寸)45~55mm(例えば、47~52mm、好ましくは48~51mm)、延出部の平均高さは、42~50mm(例えば、44~48mm、好ましくは45~47mm)、延出部の内寸22~30mm(例えば、24~28mm、好ましくは25~27mm)、把持部の平均長さは、外寸25~35mm(例えば、27~32mm、好ましくは28~31mm)、内寸15~25mm(例えば、17~23mm、好ましくは19~21mm)程度であってもよい。このような寸法サイズは、発泡倍率20~40倍の軟質樹脂発泡体での寸法サイズであってもよい。
【0032】
また、保護部に対する延出部の角度(保護部に対して直交する垂線からの傾斜角度)は、例えば、0~45°(例えば、0~30°、好ましくは0~25°、さらに好ましくは5~20°)程度、保護部に対する把持部の角度(保護部と把持部との延長線が交差する平均内角)は、例えば、25~85°(例えば、25~70°、好ましくは30~65°、さらに好ましくは40~55°)程度であってもよい。
【0033】
なお、本発明の保護材は、井桁状枠部を有する被保護体を把持又は挟持した形態で保護可能であればよく、前記保護部、側壁延出部及び把持部の形態、寸法長さ、側壁延出部及び把持部の傾斜角度などは特に制限されない。
【0034】
図5は、本発明の保護材の他の例を示す概略断面図であり、この例では、保護材の把持部が短く形成されている。すなわち、保護材21は、平坦状の保護部22と、この保護部の両側部から保護部の延びる方向に対して直交する方向に延びる側壁延出部23と、この側壁延出部から、前記保護部22に向かって内側に延びる把持部24とを備えている。このような保護材21であっても、枠部10の外面を保護部22で覆うとともに、枠部10の両側壁を側壁延出部23で覆った状態で、枠部10の内面又は両側壁の端部を把持部24で把持でき、枠部10を有効に保護できる。
【0035】
保護材において、保護部は、井桁状枠部を有する被保護体の枠部の装着部位、例えば、前記被保護体の直線状枠部(例えば、前記支持脚部の枠部)に限らず、屈曲又は湾曲状枠部(例えば、前記コーナー部の枠部)に沿って配置可能であればよく、枠部の装着部位に対して接触して又は非接触状態で配置可能であってもよく、枠部の装着部位に対して接触可能な当接部を形成してもよい。また、保護部は、枠部の装着部位に対して、過度に湾曲することなく、山形状及び/又は谷状に湾曲していてもよいが、通常、装着部位に対する保護効果を高めるため、緩やかに山形状及び/又は谷形状に湾曲した形態、特に、平坦状に形成する場合が多い。
【0036】
前記保護部の両側部から延びる側壁延出部は、前記被保護体の枠部の両側壁に配置可能であればよく、被保護体の枠部の装着部位の両側壁を有効に保護可能な形態を有している。具体的には、前記側壁延出部は、互いに離れる方向に直線的に又は湾曲(外方向に、特に内方向に膨らんで湾曲)して延びていてもよいが、通常、前記保護部の延びる方向に対して直交する方向又は互いに狭まる方向(特に、互いに狭まる方向)に延びており、直線状又は湾曲して延出していてもよい。好ましい態様では、前記保護部の両側部から直線状に延びて、若しくは湾曲(例えば、緩やかに湾曲)して延びて側壁延出部を形成する場合が多い。保護部に対する延出部の角度(保護部に対して直交する垂線からの延出部の傾斜角度)は、例えば、0~30°(例えば、0~25°)、好ましくは5~20°(例えば、5~15°)程度であってもよい。なお、側壁延出部が非直線状である場合(例えば、湾曲している場合)、前記角度は、保護部に対して直交する垂線と、保護部から側壁延出部が延出する基部と側壁延出部の先端部(把持部が延出する基部)とを結ぶ線との角度であってもよい。
【0037】
把持部(又は挟持部)は、枠部に対する保持性又は係止性を高めるため、側壁延出部から互いに近づく方向に延び、前記被保護体の枠部の背面側に配置可能な形態であればよく、互いに対向して延出してもよい。
【0038】
図6は、本発明の保護材のさらに他の例を示す概略断面図であり、この例では、把持部が対向して延びている。すなわち、保護材31は、内側(開口部側)に緩やかに窪んで湾曲した保護部32と、この保護部の両側部から側部外方向に緩やかに膨らんで湾曲して延びる側壁延出部33と、この側壁延出部から、互いに対向して(例えば、前記保護部32とほぼ並行に)延びる把持部34とを備えている。このような形態の保護材31であっても、枠部10の外面を保護部32で覆うとともに、枠部10の両側壁を側壁延出部33で覆った状態で、側壁延出部33を両側部方向に大きく湾曲部させることなく、枠部10の内面又は両側壁の端部を把持部34で把持でき、枠部10を有効に保護できる。
【0039】
図7は、本発明の保護材の別の例を示す概略断面図であり、この例では、保護部及び側壁延出部が緩やかに湾曲している。すなわち、保護材41は、内側(開口部側)に緩やかに窪んで湾曲した保護部42と、この保護部の両側部から、側部内方向に緩やかに窪んで湾曲して延びる側壁延出部43と、この側壁延出部から、前記保護部42に向かって互いに近づく方向に傾斜して延びる把持部44とを備えている。このような保護材41は、保護部42及び側壁延出部43が内方向に湾曲しているため、弾性反発力を利用して、枠部10の外面を保護部42で押圧し、枠部10の両側壁を側壁延出部43で押圧した状態で、枠部10の内面又は両側壁の端部を把持部44で把持でき、枠部10に保護材41を密着させた状態で枠部10を有効に保護できる。
【0040】
前記のように、前記保護部に向かって互いに近づく方向に傾斜して延び、前記把持部を、保護部に向かって互いに近づく方向に延出させると、把持力(グリップ力)を向上でき、枠部の裏面側(両側壁の内側コーナー部など)に対する係止性を向上できる。例えば、把持部(又は挟持部)は、側壁延出部に対して、内側に(又は保護部に向かって)傾斜して屈曲又は湾曲していてもよい(又は直線的又は湾曲していて形成されていてもよい)。前記保護部に対する把持部の平均傾斜角度(保護部と把持部との延長線が交差する平均内角)は、例えば、25~75°(例えば、30~70°)、好ましくは35~65°(例えば、40~60°)、さらに好ましくは40~55°(例えば、45~55°)程度であってもよい。さらに、把持部(又は挟持部)の先端部には膨出又は湾曲部を形成する必要はないが、把持部(又は挟持部)の先端部に、枠部の裏面側(両側壁の内側コーナー部など)に対して係止可能な係止部(係止突出部など)を形成すると、枠部に対する保持性を高めることができる。
【0041】
前記切り欠き部は必ずしも必要ではなく、切り欠き部は予め保護材に形成していてもよく、被保護体の養生施工に際して切り欠き部を形成してもよい。前記切り欠き部を形成すると、保護材の適用範囲を広げることができ、直線的に延びる枠部に限らず、湾曲又は屈曲した枠部(コーナー部など)に対しても、保護材を緊密に装着できる。
【0042】
前記切り欠き部は、保護材の長手方向の所望箇所に形成でき、枠部のコーナー部に対応する部位、前記踏桟及び開き止め金具などのように、一対の支持脚部を横断する部材に対応する部位に形成する場合が多い。保護材において、少なくとも前記切り欠き部15(枠部のコーナー部に対応する部位の切り欠き部)を形成する場合が多く、前記切り欠き部16,17は必ずしも必要ではなく、必要に応じて形成してもよい。前記切り欠き部は、被保護体の構造と施工又は装着部位とに応じて、把持部に形成してもよく、把持部及び側壁延出部に形成してもよい。保護材の屈曲性又は曲げ性を高め、保護部を被保護体に沿わせるためには、少なくとも把持部、特に把持部及び側壁延出部に切り欠き部を形成する場合が多く、この切り欠き部の深さは、保護部に至ってもよい。
【0043】
切り欠き部の形態は特に制限されず、装着部位に応じて、スリット状などの形態であってもよいが、断面コ字状であってもよく、屈曲性を高めるためには、断面U字状又はV字状の形態である場合が多い。また、断面U字状又はV字状の切り欠き部(前記切り欠き部15など)の開口度θは、装着部位に応じて、30~160°程度であってもよく、通常、45~135°、好ましくは60~120°(例えば、80~100°)程度であってもよい。
【0044】
なお、保護材の装着部位は、特に制限されず、被保護体の枠部全体、例えば、脚立全体(天板部と支持脚部とのコーナー部、支持脚部、第1の一対の支持脚部の第1の天板部材と、第2の一対の支持脚部の第2の天板部材とを連結するヒンジ部、踏桟など)に亘り装着してもよく、被接触体との接触が懸念される脚立の所定部(前記天板部材と支持脚部とのコーナー部、支持脚部、第1の天板部材と第2の天板部材とを前記ヒンジ部を介して連結するための連結部(ヒンジ部を含む連結部)などから選択された少なくとも1つの部位)、特に、少なくとも前記コーナー部及び支持脚部に装着する場合が多い。
【0045】
前記保護材は、施工部位に応じて、長さの短い樹脂発泡体(短尺な樹脂発泡体又は所定長さに切断された樹脂発泡体)で形成してもよいが、適用範囲を広げるため、直線状に延び、かつ切断可能な長尺状の保護材(及び/又は切り欠き部が形成可能な保護材)であるのが好ましい。このような保護材は、施工又は装着作業に際して、所定の長さに切断して枠部に装着してもよく(必要であれば、間隔をおいて複数の保護材を装着してもよく)、切り欠き部を形成して枠部(例えば、コーナー部など)に装着してもよい。例えば、前記のように、前記踏桟や開き止め金具などの取付部位(又は架設部位)に対応して保護材に所定形状(断面コ字状、U字状など)の切り欠き部(前記切り欠き部16,17など)を形成し、この切り欠き部を取付部位(又は架設部位)に嵌め込みつつ、保護材を装着部位に装着してもよい。このような形態において、取付部位(又は架設部位)に隣接する装着部位で側壁延出部及び/又は把持部による保持性を発現できるため、取付部位(又は架設部位)に対する保護材の保持性をさほど低下させることなく、また、取付部位(又は架設部位)から保護材を大きく遊離させることなく、脚立を有効に保護できる。
【0046】
さらに、保護材の所定の部位(例えば、脚立などの被保護体の表示部に対応する部位)を切除又は刳り抜いて(若しくは保護材を所定長さに切断して)、被保護体の表示部を隠蔽することなく、被保護体に装着してもよい。例えば、脚立などの被保護体の安全表示部(取り扱い注意書き部など)に対応させて、保護材の保護部を切除又は刳り抜いて、被保護体に装着してもよい。
【0047】
なお、必要であれば、装着状態において、枠部の幅方向に対向して隣接する把持部を粘着テープなどで固定してもよい。
【0048】
井桁状枠部を有する被保護体は、井桁状の枠部を有していればよく、井桁状の枠部は、縦方向及び/又は横方向に隣接して形成されていてもよい。被保護体は、井桁状の枠部が、縦方向に隣接して形成されていてもよい昇降可能な用具(昇降具)、例えば、脚立、踏み台、三脚、梯子などであってもよい。
【0049】
これらの被保護体(昇降用具)は、梯子などのように、少なくとも一対の支持脚部を備えており、この一対の支持脚部には、踏桟を架設してもよい。好ましい被保護体(昇降用具)は、ヒンジ機構と、このヒンジ機構に開閉可能に連結又は取り付けられた少なくとも一対の支持脚部と、ヒンジ機構に開閉可能に連結又は取り付けられた少なくとも1つの支持脚部(特に一対の支持脚部)とを備えている場合が多く、前記ヒンジ機構は、共通の1つのヒンジ機構であってもよく、異なる部位に設けられたヒンジ機構であってもよい。
【0050】
例えば、三脚は、一対の支持脚部の天板部材(頂部部材)に対して、1つの支持脚部がヒンジ式に開閉可能に連結されていてもよい。
【0051】
脚立は、ヒンジ機構(例えば、共通の1つのヒンジ機構)を利用して開閉可能な二対の支持脚部を備えており、第1の一対の支持脚部の第1の天板部材(頂部部材)と、第2の一対の支持脚部の第2の天板部材(頂部部材)とがそれぞれヒンジ式に連結されていてもよい。ヒンジ機構は、特に制限されず、公知の機構、例えば、軸部(ヒンジピンなど)と、この軸部に対して回動可能に取り付けられ、かつ前記天板部材に連結可能な連結部とを備えたヒンジ機構であってもよい。なお、本明細書において、ヒンジ機構又はヒンジ式連結機構は、一方の部材に対して他方の部材が相対的に回動可能な機構を意味し、例えば、第1の天板部材に取り付けられてアーム状中空部材と、第2の天板部材に取り付けられ、開閉操作に伴って前記アーム状中空部材に出没動又は進退動可能な湾曲部材とを備えた機構なども採用できる。また、上記支持脚部の天板部材(頂部部材)は、閉じ動作に伴って頂部に平坦な(又は平板状の)天板部を形成してもよいが、平坦な天板部を必ずしも形成する必要はなく、単に横方向に延びる頂部を形成してもよい。
【0052】
さらに、脚立は、踏み台と同様に、平板状の天板部を有していてもよい。例えば、脚立は、方形状の天板部と、この天板部の対向する両側部にヒンジ式に取り付けられた各一対の支持脚部とを有する脚立であってもよく、前記と同様に、一対の支持脚部には踏桟を架設してもよい。また、脚立は、前記ヒンジ部を中心として一対の支持脚部を回動して梯子を形成可能な梯子兼用の脚立であってもよい。なお、踏み台は、天板部から上方に延びる上枠を備えていてもよく、踏み台は、一対の支持脚部に踏桟を有している必要はない。
【0053】
被保護体(昇降用具)の枠部(天板部材又は頂部部材、支持脚部など)の断面形状は特に制限されず、丸棒状であってもよいが、通常、角棒状(四角棒状など)、特に、断面コ字状であってもよい。支持脚部は、必要であれば、伸縮式であってもよい。
【0054】
開き止め金具の構造は必ずしも必要ではなく、開き止め金具の構造は特に制限されず、例えば、開閉操作に伴って自動的に屈曲可能な中折れ式金具であってもよく;一方の支持脚部に対して回動可能に取り付けられた回動部材と、他方の支持脚部に形成されたロック部に対して係止固定可能な固定金具とが、屈曲可能に連結され、所定の開度で支持脚部を固定可能な連結金具であってもよい。踏桟は細幅に限らず板状の踏台状であってもよい。
【0055】
なお、前記樹脂発泡体は、軟質樹脂を含む発泡性熱可塑性樹脂組成物で形成できる。熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの樹脂は単独又は二種以上組み合わせてもよい。これらの樹脂のうち、オレフィン系樹脂(例えば、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂など)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレンなど)、熱可塑性エラストマー(例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーなど)が好ましく、柔軟性や弾性などの機械的特性にも優れる点から、少なくとも軟質樹脂(例えば、オレフィン系樹脂(特に、エチレン系樹脂))を含むのが好ましい。
【0056】
オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体などのα-C2-4鎖状オレフィン単独又は共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)などが挙げられる。これらのオレフィン系樹脂も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。オレフィン系樹脂としては、通常、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂が汎用される。なお、ポリエチレン系樹脂には、メタロセン触媒を用いて調製されたメタロセンポリエチレン系樹脂も含まれる。
【0057】
熱可塑性樹脂組成物は、発泡成分として、慣用の発泡剤を含んでおり、発泡剤は、分解性発泡剤(化学発泡剤)であってもよいが、腐食性、取扱性などの観点から、揮発性発泡剤(物理発泡剤)を用いてもよい。揮発性発泡剤としては、例えば、無機系発泡剤(窒素、二酸化炭素、酸素、空気、水など)、有機系発泡剤(脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、塩化炭化水素、フッ化炭化水素、アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類など)などが挙げられる。これらのうち、安価で毒性が低い点から、ブタン(n-ブタン、イソブタン)やペンタン(n-ペンタン、イソペンタンなど)などの低級脂肪族炭化水素が汎用される。
【0058】
発泡剤の割合は、例えば、樹脂100重量部に対して、例えば、0.01~30重量部、好ましくは0.1~25重量部、さらに好ましくは1~20重量部(特に5~15重量部)程度である。
【0059】
前記発泡性樹脂組成物は気泡調整剤を含んでいてもよい。気泡調整剤としては、例えば、ケイ素化合物(タルク、シリカ、ゼオライトなど)、無機酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩又は炭酸水素塩など)、有機酸又はその塩(クエン酸、クエン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛など)、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、金属水酸化物(水酸化アルミニウムなど)などが挙げられる。これらの気泡調整剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0060】
気泡調整剤の割合は、樹脂100重量部に対して、例えば、0.01~10重量部、好ましくは0.05~5重量部、さらに好ましくは0.1~3重量部(特に0.5~2重量部)程度である。
【0061】
発泡性樹脂組成物は収縮防止剤を含んでいてもよい。収縮防止剤としては、例えば、脂肪酸エステル(パルミチン酸モノ乃至トリグリセリド、ステアリン酸モノ乃至トリグリセリドなどのC8-24脂肪酸と多価アルコールとのエステルなど)、脂肪酸アミド(パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミドなどのC8-24脂肪酸アミドなど)などが挙げられる。これらの収縮防止剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0062】
収縮防止剤の割合は、樹脂100重量部に対して、例えば、0.01~30重量部、好ましくは0.05~20重量部、さらに好ましくは0.1~10重量部(特に1~5重量部)程度である。
【0063】
発泡性樹脂組成物は、慣用の添加剤、例えば、着色剤(染料や顔料など)、表面平滑剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定化剤、紫外線吸収剤など)、粘度調節剤、相溶化剤、分散剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、充填剤(炭酸カルシウム、炭素繊維など)、滑剤、離型剤、潤滑剤、衝撃改良剤、可塑剤、難燃剤、バイオサイド(殺菌剤、静菌剤、抗かび剤、防腐剤、防虫剤など)、消臭剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0064】
発泡性樹脂組成物による発泡体の発泡倍率は、緩衝性を有する限り、特に制限されず、例えば、5~100倍(例えば、15~70倍)、好ましくは20~60倍(例えば、25~55倍)、さらに好ましくは28~50倍(例えば、30~40倍)程度であってもよい。発泡倍率が低すぎると、衝撃吸収性が低下する虞があり、高すぎると、被保護体に対する把持力、機械的強度、柔軟性が低下する虞がある。
【0065】
発泡体の平均気泡径は、例えば、0.3~3mm、好ましくは0.4~2.5mm、さらに好ましくは0.5~2.0mm(特に1.2~1.8mm)程度である。平均気泡径が小さすぎると緩衝性が低下する場合があり、大きすぎると機械的特性が低下する。
【0066】
発泡体の発泡構造は、連続気泡構造であってもよいが、少なくとも独立気泡を含む構造が好ましく、独立気泡体(独立気泡構造)が特に好ましい。気泡全体(連続気泡と独立気泡との合計)に対する独立気泡の体積割合は、例えば、85~100%、好ましくは90~100%(例えば、90~99%)、さらに好ましくは93~100%(例えば、93~99%)程度であってもよい。
【0067】
本発明は、井桁状枠部を有する被保護体(脚立などの昇降器具など)の枠部(天板部材又は頂部部材、支持脚部など)に前記保護材が装着された、被保護体(例えば、脚立)、並びに前記井桁状枠部を有する被保護体と前記保護材とのセットも包含する。さらに、本発明は、前記保護材を、井桁状枠部を有する被保護体の枠部に装着し、被保護体を保護する方法も包含する。
【0068】
[保護材の製造方法]
本発明の保護材は、ダイの口金から溶融した軟質樹脂を含む発泡性樹脂組成物を押し出すことにより製造できる。すなわち、前記保護材の断面形状に対応する吐出部を備えた口金から前記発泡性樹脂組成物を押し出し発泡することにより前記保護材を製造できる。この方法において、口金は、直線状の吐出部(保護部に対応する吐出部)と、この吐出部の両側部から前記直線状吐出部の延びる方向に対して直交又は互いに狭まる方向に延びる両側吐出部(側壁延出部に対応する吐出部)と、この両側吐出部から互いに近づく方向に(例えば、前記直線状吐出部に向かって互いに近づく方向に傾斜して)延びる屈曲吐出部(把持部に対応する吐出部)とを備えている。
【0069】
このような押し出し発泡により、直線状に延びた長尺の発泡体で形成された保護材を連続的に製造できる。また、切り欠き部は、得られた発泡体(保護材)の所定部を切り欠くことにより形成してもよい。
【0070】
なお、溶融混練及び押出発泡は、慣用の方法で行うことができる。押出機は、例えば、単軸押出機(例えば、ベント式押出機など)、多段押出機(例えば、タンデム押出機など)などが例示でき、発泡条件を調整するため、多段押出機(特に、二軸式のタンデム押出機など)を用いてもよい。
【0071】
発泡剤を導入する方法も特に限定されず、予め樹脂組成物に配合してもよいが、押出機に発泡成分(例えば、ブタンなど)を導入してもよい。例えば、二軸式のタンデム押出機の上流側の第1の押出機に樹脂組成物を投入し、この第1の押出機の途中から発泡成分を注入して発泡樹脂組成物とし、下流側の第2の押出機で発泡適正温度まで冷却し、金型から押し出してもよい。なお、前記第2の押出機のスクリュー径は、第1の押出機のスクリュー径に対して、例えば、1.1~1.5倍、好ましくは1.2~1.4倍程度であってもよい。
【0072】
押し出された発泡樹脂組成物は、サイジングダイによる冷却工程と平行して、圧縮エアー、ブロア(空気)、水などの冷却媒体(特に、圧縮エアー)を噴射して冷却してもよい。冷却媒体の温度は、特に限定されず、例えば、0~60℃、好ましくは10~50℃程度であってもよい。圧縮エアーを噴射する方法において、エアーの圧力は、例えば、0.1~10MPa、好ましくは0.2~5MPa(例えば、0.3~1MPa)程度であってもよい。圧縮エアーの噴射量は、例えば、100~1000リットル/分、好ましくは200~500リットル/分程度であってもよい。
【実施例
【0073】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0074】
実施例1
タンデム押出機((株)プラ技研製)の第1の押出機(スクリュー径65mm)に下記処方の樹脂組成物を投入し、この第1の押出機の途中からブタンガス[i-ブタン/n-ブタン(体積比)=20/80]10重量部を注入した後、第2の押出機(スクリュー径90mm)で温度(110~120℃)に調整し、先端に取り付けた金型の口金から溶融混合物を連続的に押出発泡し、図2に示す断面形状を有する発泡体(保護材)を得た。
【0075】
なお、発泡体(保護材)の平均発泡倍率は30倍であり、断面形状において、保護部は内方に若干窪んで湾曲していた。保護部の寸法サイズは、外寸法(外寸)69mm、内寸法(内寸)50mm、平均厚み約9.2mm、延出部の寸法サイズは、平均高さ46mm、延出部の内寸26mm、平均厚み約10.5mm、把持部の寸法サイズは、外寸29mm、内寸20mm、平均厚み約10.1mmであった。また、保護部に対する延出部の角度(保護部に対して直交する垂線からの傾斜角度)は約15°、保護部に対する把持部の角度(保護部と把持部との延長線が交差する平均内角)は約40°であった。
【0076】
(樹脂組成物)
ポリエチレン(住友化学(株)製、「F101」)100重量部
収縮防止剤:ステアリン酸モノグリセライド(日本べーリンガー(株)製、「ACTIV325」)3.2重量部
発泡核剤:タルク(日本タルク(株)製「ミクロエースK-1」、平均粒子径7.4μm)1.7重量部。
【0077】
このような保護材のうち、脚立(アルインコ(株)製「はしご兼用脚立MR-120FD」)1の支持脚部4,5と天板部材3a,3bとのコーナー部に対応する箇所に、把持部14及び側壁延出部13から保護部12に至る断面V字状(角度θ=90°程度の断面V字状)の第1の切り欠き部15を形成した。このような保護材を脚立1の支持脚部4,5(断面コ字状を有し、寸法サイズ45mm×24mm)にそれぞれ装着するとともに、前記第1の切り欠き部15で屈曲させて天板部材3a,3b(台形四角形状で断面コ字状を有し、寸法サイズ:天板面幅56mm)をそれぞれ覆って装着し、上下左右方向に強く振った(揺すった)ところ、脚立から脱離及び位置ずれすることなく、保護材が脚立に緊密に保持されていた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の保護材は、井桁状枠部を有する被保護体、例えば、梯子、脚立(洗車用脚立を含む)、踏み台(洗車用踏み台を含む)などの昇降器具の枠部に装着して、被保護体の傷つきを防止するとともに、被保護体と接触する可能性のある被接触体(柱、机、テーブル、車両など)の傷つきを有効に防止できる。なお、井桁状枠部を有する被保護体は、保護材を装着したまま、若しくは保護材を脱着して、慣用の方法で、立て掛け、配置などにより所定箇所に配設でき、桁状枠部を有する被保護体を利用して、種々の処理操作(例えば、剪定、清掃、洗浄(洗車など)など)を行うことができる。
【符号の説明】
【0079】
1…脚立
11,21,31,41…保護材
12,22,32,42…保護部
13,23,33,43…側壁延出部
14,24,34,44…把持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7