(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】二次電池及びそれを用いた組電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/184 20210101AFI20221108BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/191 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/197 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/198 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/159 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/583 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/578 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/562 20210101ALI20221108BHJP
【FI】
H01M50/184 A
H01M50/176
H01M50/191
H01M50/193
H01M50/197
H01M50/198
H01M50/209
H01M50/15
H01M50/159
H01M50/583
H01M50/578
H01M50/588
H01M50/591
H01M50/562
(21)【出願番号】P 2017242269
(22)【出願日】2017-12-19
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164035
【氏名又は名称】村山 正人
(72)【発明者】
【氏名】室屋 陽平
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
(72)【発明者】
【氏名】井上 博之
(72)【発明者】
【氏名】清水 啓介
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/119095(WO,A1)
【文献】特開2015-230795(JP,A)
【文献】特開2015-097174(JP,A)
【文献】特開2017-139200(JP,A)
【文献】特開2015-072880(JP,A)
【文献】特開2009-295554(JP,A)
【文献】特開2015-022988(JP,A)
【文献】特開2011-076936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収納する外装体と、
前記開口を封口する金属製の封口板と、
前記正極板又は前記負極板に電気的に接続された端子と、を備えた二次電池であって、
前記正極板又は前記負極板と、前記端子の間の導電経路には、電流遮断機構又はヒューズ部が設けられ、
前記端子は、樹脂製の絶縁部材を介して前記封口板に取り付けられており、
前記端子の少なくとも一部は前記封口板よりも電池外部側に配置され、
前記端子と前記封口板の間には電気絶縁性の耐熱層又は電気絶縁性の耐熱部材が配置され、
前記耐熱層又は前記耐熱部材の融点は、前記絶縁部材の融点よりも高く、
前記封口板の表面上に突起が形成され、
前記絶縁部材は、前記耐熱層又は前記耐熱部材より
前記突起に近
く、
前記絶縁部材は前記突起と当接する二次電池。
【請求項2】
前記電流遮断機構は、前記外装体と前記封口板により構成される電池ケースの内部の圧力が所定値以上となったときに作動する感圧式の電流遮断機構である請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記耐熱層は、前記端子、前記絶縁部材および前記封口板の少なくとも一つの表面に形成された請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記耐熱部材は、前記端子と前記封口板の外面の間に配置された請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項5】
前記絶縁部材は、前記端子と前記封口板の外面の間に配置される部分を有し、
前記端子の径方向において、前記耐熱部材は前記絶縁部材の外側に配置された請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記耐熱層又は前記耐熱部材の400℃における抵抗率が1.0×104Ω・cm以上である請求項1~5のいずれかに記載の二次電池。
【請求項7】
前記耐熱層又は前記耐熱部材の融点は、400℃以上である請求項1~6のいずれかに記載の二次電池。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載された二次電池を複数個含む組電池であって、
少なくとも二つの前記二次電池が並列接続された組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池及びそれを用いた組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)の駆動用電源、太陽光発電や風力発電等の出力変動を抑制するための用途や夜間に電力を蓄えて昼間に利用するための系統電力のピークシフト用途等の定置用蓄電池システムにおいて非水電解質二次電池が利用されている。これらの用途においては、複数の二次電池が並列に接続されて使用される。
【0003】
また、これらの二次電池は、信頼性を向上させるために電極体から端子の間の導電経路に、電池ケース内の圧力の上昇により作動する電流遮断機構や、大電流が流れたときに溶断するヒューズ部を設ける技術が提案されている(下記特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-119210号公報
【文献】特開2013-089592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二次電池及びそれを用いた組電池には、二次電池内部で短絡が生じた場合の高い信頼性が求められる。
【0006】
本発明の一つの目的は、より信頼性の高い二次電池及びそれを用いた組電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態の二次電池は、
正極板と負極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収納する外装体と、
前記開口を封口する金属製の封口板と、
前記正極板又は前記負極板に電気的に接続された端子と、を備えた二次電池であって、
前記正極板又は前記負極板と、前記端子の間の導電経路には、電流遮断機構又はヒューズ部が設けられ、
前記端子は、樹脂製の絶縁部材を介して前記封口板に取り付けられており、
前記端子の少なくとも一部は前記封口板よりも電池外部側に配置され、
前記端子と前記封口板の間には電気絶縁性の耐熱層又は電気絶縁性の耐熱部材が配置されている。
【0008】
発明者は、電極体と端子の間の導電経路に電流遮断機構又はヒューズ部を有する二次電池を複数個並列接続した組電池において、以下の課題が存在することを見出した。
二次電池が並列接続されていると、一つの二次電池の内部で正負極の短絡が生じた場合、短絡が生じた二次電池に並列接続された他の二次電池から電流が流れ込む。このため、二次電池が並列接続されている場合、二次電池が並列接続されていない場合と比較し、短絡が生じた二次電池はより高温状態となり易い。二次電池が高温状態になると、電解質の分解により電池ケース内のガス圧が上昇し、電流遮断機構が作動する。電流遮断機構が作
動すると電極体と端子の間の導電経路が切断されるため、他の二次電池から短絡が生じた二次電池への電流の流れ込みはストップされる。
また、二次電池にヒューズ部が設けられていると、一つの二次電池の内部で正負極の短絡が生じた場合、短絡電流によりヒューズ部が溶断し、電極体と端子の間の導電経路が切断される。よって、他の二次電池から短絡が生じた二次電池への電流の流れ込みはストップされる。
【0009】
しかしながら、他の二次電池から短絡が生じた二次電池への電流の流れ込みがストップされた場合であっても、短絡が生じた二次電池は電池内部の化学反応等により高温状態が維持され、あるいはより温度が上昇することがある。そして、二次電池が高温状態となった場合、端子と封口板の間を絶縁している樹脂製の絶縁部材が溶融する虞がある。正極端子と封口板の間に配置された樹脂製の絶縁部材と、負極端子と封口板の間に配置された樹脂製の絶縁部材がそれぞれ溶融すると、正極端子と封口板、負極端子と封口板がそれぞれ電気的に接続される。これにより、正極端子-封口板-負極端子という導電経路が形成されることにより、並列接続された二次電池間に閉回路が形成される。そして、並列接続された二次電池間に電流が流れ、短絡が生じた二次電池と並列接続された二次電池に大電流が流れ、短絡が生じた二次電池と並列接続された二次電池に異常が生じる虞がある。
【0010】
上述の一形態の二次電池によると、端子と封口板の間に配置された絶縁部材が溶融しても、端子と封口板が電気的に接続されることを抑制できる構造となっている。よって、並列接続された二次電池の内部で短絡が生じたとしても、短絡が生じた二次電池とは別の二次電池に異常が生じることを効果的に抑制できる。
【0011】
電気絶縁性の耐熱層は、25℃における抵抗率が1.0×104Ω・cm以上であることが好ましい。電気絶縁性の耐熱層は、400℃における抵抗率が1.0×104Ω・cm以上であることが好ましい。電気絶縁性の耐熱層の融点は、端子と封口板の間に配置される樹脂製の絶縁部材の融点よりも高いことが好ましい。電気絶縁性の耐熱層の融点は、400℃以上であることが好ましい。なお、電気絶縁性の耐熱層が複数の材料からなる場合、電気絶縁性の耐熱層を構成する少なくとも一つの材料の融点が400℃以上であることが好ましい。
【0012】
電気絶縁性の耐熱部材は、25℃における抵抗率が1.0×104Ω・cm以上であることが好ましい。電気絶縁性の耐熱部材は、400℃における抵抗率が1.0×104Ω・cm以上であることが好ましい。電気絶縁性の耐熱部材の融点は、端子と封口板の間に配置される樹脂製の絶縁部材の融点よりも高いことが好ましい。電気絶縁性の耐熱部材の融点は、400℃以上であることが好ましい。なお、電気絶縁性の耐熱部材が複数の材料からなる場合、電気絶縁性の耐熱部材を構成する少なくとも一つの材料の融点が400℃以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、信頼性の高い二次電池及びそれを用いた組電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1Aは実施形態に係る角形二次電池の上面図である。
図1Bは実施形態に係る角形二次電池の側面図である。
【
図3】電流遮断機構近傍の封口板の短手方向に沿った断面図である。
【
図4】電流遮断機構近傍の封口板の長手方向に沿った断面図である。
【
図6】実施形態に係る角形二次電池を複数個含む組電池の上面図である。
【
図7】変形例1に係る角形二次電池の
図5に対応する図である。
【
図8】変形例2に係る角形二次電池の
図5に対応する図である。
【
図9】変形例3に係る角形二次電池の
図4に対応する図である。
【
図10】変形例4に係る角形二次電池の
図4に対応する図である。
【
図11】変形例5に係る角形二次電池の
図4に対応する図である。
【
図12】変形例6に係る角形二次電池の
図4に対応する図である。
【
図13】変形例7に係る角形二次電池の
図4に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態に係る二次電池としての角形二次電池20の構成を以下に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0016】
図1A、
図1B、
図2A~
図2Cに示すように角形二次電池20は、開口を有する有底角筒状の角形外装体1と、角形外装体1の開口を封口する封口板2からなる電池ケース100を備える。角形外装体1及び封口板2は、それぞれ金属製であることが好ましく、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金製とすることが好ましい。角形外装体1内には、正極板と負極板がセパレータを介して巻回された扁平状の電極体3が電解液と共に収容されている。
【0017】
電極体3は一方の端部に巻回された正極芯体露出部4を有し、他方の端部に巻回された負極芯体露出部5を有する。正極芯体露出部4には正極集電体6が接続されている。正極集電体6は封口板2に取り付けられた正極端子7に電気的に接続されている。負極芯体露出部5には負極集電体8が接続されている。負極集電体8は封口板2に取り付けられた負極端子9に電気的に接続されている。正極集電体6、正極端子7、負極集電体8、負極端子9はそれぞれ金属製である。
【0018】
正極端子7と封口板2の間には樹脂製の外部側絶縁部材10が配置されている。負極端子9と封口板2の間には樹脂製の外部側絶縁部材11が配置されている。封口板2と負極集電体8の間には樹脂製の内部側絶縁部材12が配置されている。
【0019】
封口板2には電解液注液孔13が設けられており、電解液注液孔13は封止部材14により封止されている。封口板2は、電池ケース100内の圧力が所定値以上となった場合に破断し、電池ケース100内のガスを電池ケース100外に排出するガス排出弁15を有する。
【0020】
角形外装体1と電極体3の間には樹脂製の絶縁シート16が配置されている。絶縁シート16は、袋状あるいは箱状に成形されており、内部に電極体3が配置されている。
【0021】
正極板と正極端子7の間の導電経路には電流遮断機構30が設けられている。角形二次電池20に異常が生じ電池ケース100内の圧力が所定値以上となったとき、電流遮断機構30が作動する。電流遮断機構30が作動すると、正極板と正極端子7の間の導電経路が切断される。なお、電流遮断機構30の作動圧は、ガス排出弁15の作動圧よりも低い値とする。
【0022】
巻回された正極芯体露出部4は中央部から2分割され、その間に金属製の中間導電部材50が配置されている。2つの中間導電部材50は樹脂製の保持部材51により保持されている。正極集電体6、正極芯体露出部4及び中間導電部材50の接続部には溶接部60が形成されている。
巻回された負極芯体露出部5は中央部から2分割され、その間に金属製の中間導電部材52が配置されている。2つの中間導電部材52は樹脂製の保持部材53により保持されている。負極集電体8、負極芯体露出部5及び中間導電部材52の接続部には溶接部(図示省略)が形成されている。
【0023】
次に角形二次電池20の製造方法及び各部構成の詳細を説明する。
【0024】
[正極板]
金属箔からなる正極芯体の両面に正極活物質を含む正極活物質合剤層を形成し帯状の正極板とする。正極板は、幅方向の端部に長手方向に沿って両面に正極活物質合剤層が形成されない正極芯体露出部4を有する。なお、正極芯体としてはアルミニウム箔やアルミニウム合金箔等を用いることが好ましい。正極活物質としてはリチウム遷移金属複合酸化物を用いることが好ましい。正極活物質合剤層は、炭素材料等からなる導電剤と、ポリフッ化ビニリデン等の結着剤を含有することが好ましい。
【0025】
[負極板]
金属箔からなる負極芯体の両面に負極活物質を含む負極活物質合剤層を形成し帯状の負極板とする。負極板は、幅方向の端部に長手方向に沿って両面に負極活物質合剤層が形成されない負極芯体露出部5を有する。なお、負極芯体としては銅箔や銅合金箔等を用いることが好ましい。負極活物質としては炭素材料やケイ素材料等を用いることが好ましい。負極活物質合剤層は、カルボキシメチルセルロース(CMC)やスチレンブタジエンゴム(SBR)等の結着剤を含有することが好ましい。
【0026】
[電極体]
帯状の正極板と帯状の負極板を帯状のセパレータを介して巻回し、扁平状に成形して扁平状の電極体3とする。電極体3において、巻回軸が延びる方向における一方の端部に巻回された正極芯体露出部4が配置され、他方の端部に巻回された負極芯体露出部5が配置されるようにする。なお、セパレータとしては微多孔膜を用いることが好ましい。また、ポリオレフィン製のセパレータを用いることが好ましい。
【0027】
[電流遮断機構]
図3及び
図4を用いて、封口板2への正極端子7の取り付け方法、及び電流遮断機構30の作製方法及びその構成を説明する。
封口板2の正極端子取り付け孔2aの周囲の電池外部側に外部側絶縁部材10を配置する。封口板2の正極端子取り付け孔2aの周囲の電池内部側に第1絶縁部材31及び導電部材32を配置する。そして、電池外部側から正極端子7を外部側絶縁部材10の貫通孔、正極端子取り付け孔2a、第1絶縁部材31の貫通孔及び導電部材32の貫通孔に挿入する。そして、正極端子7の先端を導電部材32上にカシメる。これにより、正極端子7、外部側絶縁部材10、第1絶縁部材31及び導電部材32が封口板2に固定される。正極端子7は、封口板2よりも電池外部側に配置されるフランジ部7aと、フランジ部7aから電池内部側に延びる挿入部7bと、挿入部7bの先端側に形成されたカシメ部7cを有する。カシメ部7cを導電部材32に溶接することが好ましい。第1絶縁部材31は樹脂製の部材である。外部側絶縁部材10及び第1絶縁部材31により、封口板2と正極端子7及び導電部材32が電気的に絶縁されている。
導電部材32は、金属製のカップ状の導電部材である。導電部材32は、封口板2に対して平行に配置される領域と、筒状の領域を有する。筒状の領域は電極体3側に開口部を有する。なお、封口板2に対して平行な方向における筒状の領域の断面形状は円形であっても良いし、方形状であってもよい。
【0028】
正極端子7には、端子貫通孔7dが設けられている。端子貫通孔7dから電流遮断機構
30内にガスを流し込み、各接続部のリークチェックを行うことができる。なお、端子貫通孔7dはゴム部材71により封止される。ゴム部材71の外面には金属板72が取り付けられていることが好ましい。
【0029】
導電部材32の電極体3側の開口部は、金属製の変形板33により密閉される。変形板33の電極体3側の面には正極集電体6が接続される。変形板33と正極集電体6の間には樹脂製の第2絶縁部材34が配置される。第2絶縁部材34は第1絶縁部材31と接続されていることが好ましい。
【0030】
正極集電体6は封口板2と電極体3の間に配置されるベース部6aを有する。ベース部6aには固定用開口6bが設けられている。そして、第2絶縁部材34に設けられた固定用突起34aが、固定用開口6bに挿入されている。固定用突起34aの先端が熱カシメ等により拡径されており、第2絶縁部材34と正極集電体6のベース部6aが固定されている。
【0031】
正極集電体6のベース部6aには薄肉部6cが設けられている。薄肉部6cの中央には集電体開口6dが設けられている。正極集電体6は、集電体開口6dの縁部において変形板33と溶接接続されている。
【0032】
電池ケース100内の圧力が所定値以上となったとき、変形板33の中央部が正極端子7に近づくように変形板33が変形する。これにより、正極集電体6の薄肉部6cが破断し、正極板と正極端子7の間の導電経路が切断される。なお、薄肉部6cには環状のノッチ部を設け、ノッチ部が破断するようにすることが好ましい。
【0033】
正極端子7において、外部側絶縁部材10を介して封口板2と対向する部分には、電気絶縁性の耐熱層80が設けられている。
【0034】
[負極端子の封口板への取り付け]
封口板2の負極端子取り付け孔の周囲の電池外部側に外部側絶縁部材11を配置する。封口板2の負極端子取り付け孔の周囲の電池内部側に内部側絶縁部材12及び負極集電体8を配置する。そして、電池外部側から負極端子9を外部側絶縁部材11の貫通孔、負極端子取り付け孔、内部側絶縁部材12の貫通孔及び負極集電体8の貫通孔に挿入する。そして、負極端子9の先端を負極集電体8上にカシメる。これにより、負極端子9、外部側絶縁部材11、内部側絶縁部材12及び負極集電体8が封口板2に固定される。なお、負極端子9においてカシメられた部分と負極集電体8を溶接することが好ましい。
【0035】
[集電体への電極体の取り付け]
巻回された正極芯体露出部4の両外面に正極集電体6を溶接する。また、巻回された負極芯体露出部5の両外面に負極集電体8を溶接する。
【0036】
[角形二次電池の組立て]
電極体3を箱状に折り曲げ成形した絶縁シート16で覆い、角形外装体1に挿入する。角形外装体1に封口板2を溶接し、角形外装体1の開口を封口板2により封口する。その後、封口板2の電解液注液孔13から電池ケース100内に電解液を注入する。その後、電解液注液孔13をブラインドリベット等からなる封止部材14で封止する。これにより角形二次電池20が完成する。
【0037】
[組電池]
上述の実施形態に係る角形二次電池20を複数個並列接続して組電池とすることができる。
図6は、並列接続された2つの角形二次電池20のユニットが、3つ直接接続された
2並列×3直列の組電池200の上面図である。各角形二次電池20の正極端子7ないし負極端子9が金属製のバスバー201により接続されている。なお、図示は省略するが、組電池200の両端にはエンドプレートを配置し、エンドプレート同士をバインドバーで接続することができる。また、隣接する角形二次電池20同士の間に絶縁シート等の絶縁スペーサを配置することができる。なお、並列接続される角形二次電池20の数は適宜変更できる。また、直列接続される並列接続された角形二次電池20のユニットの数も適宜変更できる。また、組電池が並列接続された角形二次電池20のみから構成されてもよい。
【0038】
従来の組電池において、並列接続された角形二次電池20のうちの一つにおいて内部短絡が生じた場合、次のような現象が生じる虞がある。
【0039】
内部短絡が生じた角形二次電池20は、急激に温度上昇すると共に、電池ケース100内の圧力が上昇する。また、複数の角形二次電池20が並列接続されているため、内部短絡が生じた角形二次電池20には、他の角形二次電池20から電流が流れ込む。このため、並列接続された角形二次電池20において内部短絡が生じた場合は、並列接続されていない角形二次電池20において内部短絡が生じた場合より、角形二次電池20がより急激に高温になり易く、また、より高温となり易い。
内部短絡が生じた角形二次電池20では、電池ケース100内の圧力が上昇することにより電流遮断機構30が作動する。このため、正極板と正極端子7の間の導電経路が切断され、他の角形二次電池20から内部短絡が生じた角形二次電池20への電流の流れ込みはストップされる。
【0040】
しかしながら、内部短絡が生じた角形二次電池20が非常に高温となる場合があり、正極端子7と封口板2を絶縁する樹脂製の外部側絶縁部材10と、負極端子9と封口板2を絶縁する樹脂製の外部側絶縁部材11が溶融する虞がある。外部側絶縁部材10と外部側絶縁部材11が溶融すると、正極端子7及び負極端子9がそれぞれ封口板2と接触する。そうすると、正極端子7-封口板2-負極端子9という導電経路が形成され、並列接続された複数の角形二次電池20において閉回路が形成される。これにより、並列接続された複数の角形二次電池20に再度大電流が流れ、内部短絡が生じた角形二次電池20とは別の角形二次電池20に異常が生じる虞がある。
【0041】
実施形態に係る角形二次電池20においては、正極端子7において外部側絶縁部材10を介して封口板2と対向する部分に電気絶縁性の耐熱層80が設けられている。よって、角形二次電池20が高温状態となって外部側絶縁部材10が溶融することがあっても、正極端子7が封口板2と電気的に接続されることを防止できる。よって、上述のように、並列接続された角形二次電池20において内部短絡が生じたとしても、電流遮断機構30が作動した後に、別途導電経路が形成され、他の角形二次電池20に大電流が流れることを防止することが可能となる。
【0042】
なお、実施形態に係る角形二次電池20においては、正極端子7に電気絶縁性の耐熱層80を設ける例を示したが、負極端子9に電気絶縁性の耐熱層を設けてもよい。即ち、正極側の外部側絶縁部材10及び負極側の外部側絶縁部材11が溶融した場合、正極端子7と封口板2の間及び負極端子9と封口板2の間の少なくとも一方が絶縁される構成とできればよい。
【0043】
なお、正極端子7ないし負極端子9の表面に電気絶縁性の耐熱層を設けることにより、より簡単な方法で、二次電池の密閉性が低下することを効果的に防止しながら、上述の課題を解決できる。
【0044】
電気絶縁性の耐熱層80の融点は、400℃以上であることが好ましく、500℃以上であることがより好ましい。なお、電気絶縁性の耐熱層80が複数の材料を含む場合、全ての材料の融点が400℃以上である必要はない。電気絶縁性の耐熱層80に融点が400℃以上の材料が含まれていることが好ましい。また、電気絶縁性の耐熱層80を構成する主な材料(体積割合が最も大きい材料)の融点が400℃以上であることが好ましい。
【0045】
電気絶縁性の耐熱層80の抵抗率は、400℃の条件下で1.0×104Ω・cm以上であることが好ましいく、400℃の条件下で1.0×105Ω・cm以上であることがより好ましい。
【0046】
電気絶縁性の耐熱層80の厚みは、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。
【0047】
電気絶縁性の耐熱層80としては、正極端子7の表面に形成された酸化物被膜や窒化物被膜とすることができる。特に酸化物被膜とすることが好ましい。例えば、正極端子7をアルミニウム又はアルミニウム合金製とし、表面に酸化アルミニウムの被膜を形成することができる。なお、電気絶縁性の耐熱層80をアルマイト層とすることが好ましい。
【0048】
また、正極端子7の表面にアルミナ、ジルコニア、チタニア、又はシリカ等のセラミック粒子あるいはセラミック繊維とバインダーからなる層を設け、電気絶縁性の耐熱層80とすることができる。セラミック粒子あるいはセラミック繊維、バインダー及び分散媒からなるスラリーを正極端子7の表面に塗布し、このスラリーを乾燥させ分散媒を除去することにより電気絶縁性の耐熱層80とすることができる。電気絶縁性の耐熱層80がセラミック粒子ないしセラミック繊維とバインダーを含んでいると、電気絶縁性の耐熱層80にクラック等が生じ難く好ましい。なお、電気絶縁性の耐熱層80がセラミック粒子あるいはセラミック繊維及びバインダーを含む場合、電気絶縁性の耐熱層80中のセラミック粒子あるいはセラミック繊維の含有割合は50体積%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
【0049】
バインダーとしては無機接着剤を用いることができる。無機接着剤としては、アルカリ金属ケイ酸塩系、リン酸塩系、またはシリカゾル系等のものを用いることができる。また、バインダーとして樹脂バインダーを用いることもできる。
【0050】
また、蒸着や焼き付け塗装などにより、正極端子7の表面にセラミック層を形成することで電気絶縁性の耐熱層80とすることもできる。さらに、フッ素系やイミド系などの高耐熱性を有する樹脂を正極端子7の表面に塗布または電着させることにより、電気絶縁性の耐熱層80としてもよい。加えて、フッ素系やイミド系などの高耐熱性を有する樹脂と正極端子7を一体成型したり、あるいはフッ素系やイミド系などの高耐熱性を有する樹脂からなるフィルムを正極端子7に接着して電気絶縁性の耐熱層80としてもよい。
【0051】
なお、正極端子7において、フランジ部7aの上面(封口板2と対向しない面)には、電気絶縁性の耐熱層80を設けないことが好ましい。また、正極端子7のカシメ部7cには、電気絶縁性の耐熱層80を設けないことが好ましい。
【0052】
導電部材32において第1絶縁部材31を介して封口板2と対応する部分、封口板2において第1絶縁部材31を介して導電部材32と対応する部分、あるいは第1絶縁部材31に電気絶縁性の耐熱層を設けることもできる。
【0053】
[変形例1]
図7に示すように、変形例1に係る角形二次電池では、正極端子107と封口板2の間
に電気絶縁性の耐熱部材としてのセラミック部材81が配置されている。セラミック部材81はアルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、ガラス等からなることが好ましい。
【0054】
変形例1に係る角形二次電池が高温状態となり樹脂製の外部側絶縁部材110が溶融したとしても、正極端子107と封口板2の間にはセラミック部材81が介在するため、正極端子107と封口板2が接することが防止できる。
【0055】
封口板2に対して垂直な方向から見たとき、セラミック部材81と外部側絶縁部材110が重なる領域81aが設けられていることが好ましい。このような構成であると、角形二次電池20の通常使用時、外部側絶縁部材110とセラミック部材81の間における正極端子107から封口板2への延面距離を長くすることが可能となる。よって、結露水等により正極端子107と封口板2が電気的に接続されることをより確実に防止できる。
【0056】
樹脂製の外部側絶縁部材110において、一方の面が正極端子107と接し、その裏面が封口板2と接するようにすることが好ましい。これにより、正極端子107と封口板2の間の密閉性をより確実に確保できる。
なお、封口板2に対して垂直な方向から見たとき、樹脂製の外部側絶縁部材110において、正極端子107と接する領域と封口板2と接する領域が少なくとも一部は重なるようにすることが好ましい。
【0057】
正極端子107は、封口板2よりも電池外部側に配置されるフランジ部107aと、フランジ部107aから電池内部側に延びて正極端子取り付け孔2aに挿入される挿入部107bを有する。挿入部107bの先端側にはカシメ部107cが設けられている。外部側絶縁部材110はフランジ部107aと封口板2の外面の間に配置される部分を有する。正極端子107の径方向(
図7において左右方向)において、セラミック部材81は、外部側絶縁部材110の外側に配置されている。なお、セラミック部材81は平面視の形状が環状であることが好ましい。
【0058】
また、封口板2の正極端子取り付け孔2aの周囲であって、封口板2の外面には凹部2xが形成されており、凹部2x内にセラミック部材81が配置されることが好ましい。セラミック部材81は、封口板2の外面に沿って配置される第1領域と、封口板2から離れる方向に第1領域から突出する第2領域を有することが好ましい。フランジ部107aと封口板2の外面の間に第1領域が配置される。第2領域はフランジ部107aの側面と対向するように配置される。
【0059】
[変形例2]
図8に示すように、変形例2に係る角形二次電池では、樹脂製の外部側絶縁部材210の内部に電気絶縁性の耐熱層82が配置されている。電気絶縁性の耐熱層82としてはアルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、又はガラス等からなるセラミック層が好ましい。
【0060】
変形例2に係る角形二次電池が高温状態となり樹脂製の外部側絶縁部材210が溶融したとしても、正極端子107と封口板2の間には電気絶縁性の耐熱層82が介在するため、正極端子107と封口板2が接することが防止できる。
【0061】
正極端子107と封口板2の間に、両外面が外部側絶縁部材210の樹脂製の部分からなる領域が配置されている。このため、外部側絶縁部材210において一方の面が正極端子107と接し、他方の面が封口板2と接する部分を有するため、正極端子107と封口板2の間の密閉性をより確実に確保できる。
【0062】
なお、電気絶縁性の耐熱層82は、封口板2の外面に沿って配置される領域と、封口板2の正極端子取り付け孔2aの内面に沿って配置される領域(封口板2の正極端子取り付け孔2aの内面と正極端子107の挿入部107bの間に配置される領域)を有することが好ましい。これにより、より確実に正極端子107と封口板2が接することが防止できる。
【0063】
外部側絶縁部材210において電気絶縁性の耐熱層82が露出した部分を設けることができる。電気絶縁性の耐熱層82が露出した部分が設けられた構成とすることにより、外部側絶縁部材210内の所定の位置に電気絶縁性の耐熱層82を配置しやすくなる。この場合、電気絶縁性の耐熱層82が露出した部分は、封口板2の外面に設けられた突起よりも外周側に配置されることが好ましい。これにより、正極端子107と封口板2の間の密閉性が低下することをより効果的に抑制できる。
【0064】
[変形例3]
変形例3に係る角形二次電池では、封口板102の表面に電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。
【0065】
図9に示すように、正極端子107は、フランジ部107a、挿入部107b、カシメ部107cを有する。また、正極端子107の端子貫通孔107dは、ゴム部材71により封止されている。ゴム部材71の外面には金属板72が取り付けられている。
【0066】
封口板102の外面において外部側絶縁部材10を介して正極端子107と対向する位置には電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。このため、外部側絶縁部材10が溶融しても、正極端子107と封口板102が電気的に接続されることを抑制できる。また、封口板102の正極端子取り付け孔102aの内面には電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。このため、外部側絶縁部材10が溶融しても、正極端子107と封口板2が接することをより効果的に抑制できる。
【0067】
封口板102の内面において、第1絶縁部材31を介して導電部材32と対向する位置には電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。このため、第1絶縁部材31が溶融しても、導電部材32と封口板2が電気的に接続されることを抑制できる。
【0068】
なお、封口板102において、少なくとも正極端子取り付け孔102a近傍の外面に電気絶縁性の耐熱層83を設けることが好ましい。封口板102の正極端子取り付け孔102aの内面、及び封口板102の内面には、必ずしも電気絶縁性の耐熱層83を設ける必要はない。
【0069】
電気絶縁性の耐熱層83については、電気絶縁性の耐熱層80と同様の構成とすることができる。
【0070】
[変形例4]
変形例4に係る角形二次電池では、
図10に示すように、封口板102の電池外部側には金属製の正極端子207が配置される。導電部材132は、封口板102よりも電極体3側に配置される本体部132aと、本体部132aから電池外部側に延びる挿入部132bを有する。挿入部132bの先端側は、正極端子207に設けられた貫通孔に挿入され、正極端子207上にカシメられてカシメ部132cが形成されている。
【0071】
封口板102の外面において、樹脂製の外部側絶縁部材10を介して正極端子207と対向する領域には電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。封口板102の正極端子取り付け孔102aの内面には電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。封口板102の
内面において、樹脂製の第1絶縁部材31を介して導電部材132の本体部132aと対向する領域には電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。
【0072】
[変形例5]
変形例5に係る角形二次電池は、電流遮断機構を有しておらず、正極集電体にヒューズ部が設けられている。
図11に示すように、封口板2の正極端子取り付け孔2aの周囲の電池外部側に外部側絶縁部材10が配置される。封口板2の正極端子取り付け孔2aの周囲の電池内部側に内部側絶縁部材111と正極集電体106のベース部106aが配置される。外部側絶縁部材10及び内部側絶縁部材111はそれぞれ樹脂製である。正極端子307は、封口板2よりも電池外部側に配置されるフランジ部307aと、フランジ部307aから電池内部側に延びる挿入部307bを有する。挿入部307bは、電池外部側から、外部側絶縁部材10の貫通孔、正極端子取り付け孔2a、内部側絶縁部材111の貫通孔及び正極集電体106のベース部106aの貫通孔に挿入され、先端側がカシメられカシメ部307cが形成される。なお、カシメ部307cとフランジ部307aは溶接されることが好ましい。
【0073】
正極集電体106は、ベース部106aから電極体3側に延び、正極芯体露出部4に接続されるリード部106bを有する。正極集電体106にはヒューズ部106xが設けられている。正極集電体106に開口、切り欠き部、薄肉部等を設けることにより他の部分よりも断面積が小さい部分を設けヒューズ部106xとすることができる。
【0074】
並列接続された角形二次電池からなる組電池において、一つの角形二次電池で内部短絡が生じた場合、内部短絡が生じた角形二次電池に他の角形二次電池から電流が流れ込みヒューズ部106xが溶断する。しかしながら、内部短絡が生じた角形二次電池が高温状態となり、正極側の外部側絶縁部材10及び負極側の外部側絶縁部材11が溶融し、正極端子-封口板-負極端子という導電経路が形成される可能性がある。
変形例5に係る角形二次電池では、正極端子307において外部側絶縁部材10を介して封口板2と対向する領域には、電気絶縁性の耐熱層84が設けられている。このため、外部側絶縁部材10が溶融しても、正極端子307と封口板2が電気的に接続されることを抑制できる。
【0075】
[変形例6]
変形例5に係る角形二次電池では正極端子307に電気絶縁性の耐熱層84が設けられているのに対し、変形例6に係る角形二次電池では封口板102に電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。
図12に示すように、正極端子407は、フランジ部407a、挿入部407b及びカシメ部407cを有する。封口板102の外面において、外部側絶縁部材10を介して正極端子407と対向する領域には電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。封口板102の正極端子取り付け孔102aの内面には電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。封口板102の内面において、内部側絶縁部材111を介して正極集電体106のベース部106aと対向する領域には電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。
【0076】
[変形例7]
変形例7に係る角形二次電池は、
図13に示すように、封口板102よりも電池外部側に正極端子207が配置される。封口板102と正極端子207の間には樹脂製の外部側絶縁部材10が配置される。正極集電体306は、封口板102と電極体3の間に配置されるベース部306aと、ベース部306aから電池外部側に延びる挿入部306bを有する。挿入部306bは、樹脂製の内部側絶縁部材111の貫通孔、正極端子取り付け孔102a、外部側絶縁部材10の貫通孔、及び正極端子207の貫通孔に挿入され、正極
端子207上にカシメられ、カシメ部306cが形成されている。正極集電体306は、ベース部306aから電極体3に向かって延びるリード部306dを有する。正極集電体306は、ヒューズ部306xを有する。
【0077】
封口板102の外面において、外部側絶縁部材10を介して正極端子207と対向する領域には電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。封口板102の正極端子取り付け孔102aの内面には電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。封口板102の内面において、内部側絶縁部材111を介して正極集電体306のベース部306aと対向する領域には電気絶縁性の耐熱層83が設けられている。
【0078】
[変形例8]
正極端子と封口板の間に配置される樹脂製の外部側絶縁部材(10、110)にセラミック粒子あるいはセラミック繊維を含有させることができる。例えば、外部側絶縁部材10において正極端子7に接する面の近傍及び外部側絶縁部材10において封口板2に接する面の近傍に含まれるセラミック粒子あるいはセラミック繊維の含有割合を、外部側絶縁部材10の厚み方向の中央部に含まれるセラミック粒子あるいはセラミック繊維の含有割合よりも小さくすることが好ましい。このような構成であると、角形二次電池の密閉性が低下することをより効果的に抑制できる。
また、外部側絶縁部材10が多層構造であり、中央層にセラミック粒子あるいはセラミック繊維が含有され、両外面層にセラミック粒子あるいはセラミック繊維が含有されないようにしてもよい。あるいは、両外面層におけるセラミック粒子あるいはセラミック繊維の含有割合を、中央層におけるセラミック粒子あるいはセラミック繊維の含有割合よりも小さくしてもよい。例えば、両外面層におけるセラミック粒子あるいはセラミック繊維の含有割合が、中央層におけるセラミック粒子あるいはセラミック繊維の含有割合の1/3以下とすることが好ましく、1/5以下とすることがより好ましい。
【0079】
樹脂製の外部側絶縁部材(10、110)にセラミック粒子あるいはセラミック繊維を含有させることにより、外部側絶縁部材(10、110)を構成する樹脂が溶融した場合でも正極端子と封口板の接触を抑制できる場合は、正極端子及び封口板に電気絶縁性の耐熱層を設けない形態とすることができる。
【0080】
樹脂製の第1絶縁部材31又は樹脂製の内部側絶縁部材111に、セラミック粒子あるいはセラミック繊維を含有させることもできる。
【0081】
≪その他≫
上述の実施形態及び変形例1~8においては、正極側に電気絶縁性の耐熱層を設ける例及び電気絶縁性の耐熱部材を配置する例を示した。しかしながら、負極側に電気絶縁性の耐熱層を設けてもよいし、負極側に電気絶縁性の耐熱部材を配置してもよい。即ち、正極端子と封口板の間及び負極端子と封口板の間の少なくとも一方に樹脂製の絶縁部材が配置されており、当該絶縁部材が溶融した場合でも、正極端子-封口板-負極端子という導電経路が形成されなければよい。
【0082】
上述の実施形態及び変形例1~8においては、正極端子及び負極端子が封口板と電気的に絶縁されている例を示した。しかしながら、正極端子及び負極端子の一方が封口板と電気的に接続されていてもよい。
【0083】
変形例1~8において特に説明のない部分については、実施形態に係る角形二次電池20と同様の構成とすることができる。
【0084】
電極体の構成は特に限定されない。帯状の正極板と帯状の負極板を帯状のセパレータを
介して巻回した電極体であってもよいし、複数枚の正極板と複数枚の負極板をセパレータを介して積層した積層型電極体であってもよい。また、電池ケース内に複数個の電極体が配置されていてもよい。
【0085】
正極端子と封口板の間に配置される絶縁部材、及び負極端子と封口板の間に配置される絶縁部材は樹脂製の部材であることが好ましい。樹脂製の部材としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサリファイド(PPS)、ゴム等からなるものとすることが好ましい。
【0086】
上述の変形例1において、電気的絶縁性の耐熱部材としてセラミック製の部品を用いる例を示したが、部品全体が必ずしもセラミック製である必要はない。例えば、樹脂部材や金属部材の表面にセラミック層が形成されている部品を用いることもできる。
【0087】
なお、本発明に係る二次電池は、組電池を構成する二次電池が全て直列接続される場合にも使用できる。但し、本発明に係るに二次電池は、少なくとも二つの二次電池が並列接続される組電池に使用された場合、非常に効果的である。
【0088】
二次電池としては、非水電解質二次電池が好ましく、リチウムイオン二次電池が特に好ましい。正極板、負極板、セパレータ、電解質等については公知の材料を用いることができる。
【符号の説明】
【0089】
20・・・角形二次電池
1・・・角形外装体
2・・・封口板
2a・・・正極端子取り付け孔
2x・・・凹部
3・・・電極体
4・・・正極芯体露出部
5・・・負極芯体露出部
6・・・正極集電体
6a・・・ベース部
6b・・・固定用開口
6c・・・薄肉部
6d・・・集電体開口
7・・・正極端子
7a・・・フランジ部
7b・・・挿入部
7c・・・カシメ部
7d・・・端子貫通孔
8・・・負極集電体
9・・・負極端子
10・・・外部側絶縁部材
11・・・外部側絶縁部材
12・・・内部側絶縁部材
13・・・電解液注液孔
14・・・封止部材
15・・・ガス排出弁
16・・・絶縁シート
30・・・電流遮断機構
31・・・第1絶縁部材
32・・・導電部材
33・・・変形板
34・・・第2絶縁部材
34a・・・固定用突起
50・・・中間導電部材
51・・・保持部材
52・・・中間導電部材
53・・・保持部材
60・・・溶接部
71・・・ゴム部材
72・・・金属板
80、82、83、84・・・電気絶縁性の耐熱層
81・・・セラミック部材
102・・・封口板
102a・・・正極端子取り付け孔
106・・・正極集電体
106a・・・ベース部
106b・・・リード部
106x・・・ヒューズ部
107・・・正極端子
107a・・・フランジ部
107b・・・挿入部
107c・・・カシメ部
107d・・・端子貫通孔
110・・・外部側絶縁部材
111・・・内部側絶縁部材
132・・・導電部材
132a・・・本体部
132b・・・挿入部
132c・・・カシメ部
200・・・組電池
201・・・バスバー
207・・・正極端子
210・・・外部側絶縁部材
306・・・正極集電体
306a・・・ベース部
306b・・・挿入部
306c・・・カシメ部
306d・・・リード部
306x・・・ヒューズ部
307・・・正極端子
307a・・・フランジ部
307b・・・挿入部
307c・・・カシメ部
407・・・正極端子
407a・・・フランジ部
407b・・・挿入部
407c・・・カシメ部