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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】改善された閉機構を有する容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/10 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
B65D85/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017567314
(86)(22)【出願日】2016-08-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2016070254
(87)【国際公開番号】W WO2017036991
(87)【国際公開日】2017-03-09
【審査請求日】2019-08-22
(31)【優先権主張番号】15182996.7
(32)【優先日】2015-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】カイヨー ティモシー
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/199523(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02845498(EP,A1)
【文献】特開2006-276280(JP,A)
【文献】国際公開第2013/027275(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/096427(WO,A1)
【文献】特開2004-174918(JP,A)
【文献】特開2009-292517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費財用の容器であって、前記容器が1つ以上の繊維系層状ブランクから少なくとも部分的に形成され、前記容器は、幅のより狭い2つの壁によって間隙を介した幅のより広い2つの壁を備える直方体容器であり、該容器が、
前記消費財にアクセスするための開口部を持つハウジングと、
前記ハウジングに連結されたリッドであって、かつ前記リッドが前記開口部を覆う閉位置と前記開口部が覆われない開位置との間で前記ハウジングに対して移動可能である、リッドと、を備え、
前記リッドの第一の表面が、前記リッドが前記閉位置にある時に前記ハウジングの第一の表面に隣接して配置され、マイクロ吸引構造が、前記リッドを前記ハウジングに対して前記閉位置に保持するために、前記リッドの前記第一の表面または前記ハウジングの前記第一の表面のうちの1つにのみ提供され、かつ前記リッドの前記第一の表面または前記ハウジングの前記第一の表面のうち他方が、ISO 8791-4に従って測定して1.2μm以下の表面平滑性を有し、
前記リッドの前記第一の表面または前記ハウジングの前記第一の表面のうち前記他方がワニスを含む、容器。
【請求項2】
前記マイクロ吸引構造が、1つ以上のラベルによって、前記リッドの前記第一の表面上、または、前記ハウジングの前記第一の表面上に提供される、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
それぞれの前記1つ以上のラベルが、約300μm未満の厚さを持つ、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記リッドが前記閉位置にある時、前記リッドを前記ハウジングから分離するために必要な力が、約15ニュートン未満である、請求項1~3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記リッドが前記閉位置にある時、前記リッドを前記ハウジングから分離するために必要な前記力が、少なくとも約2ニュートンである、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記リッドの前記第一の表面上または前記ハウジングの前記第一の表面上で、前記マイクロ吸引構造が少なくとも1平方センチメートルの表面積を覆う、請求項1~5のいずれかに記載の容器。
【請求項7】
前記ハウジングが、ボックス前部壁と、ボックス後部壁と、第一および第二のボックス側壁と、ボックス底部壁とを含むボックスを備え、また前記ハウジングの前記第一の表面が前記ボックス前部壁上に位置する、請求項1~6のいずれかに記載の容器。
【請求項8】
前記リッドが、ボックスにヒンジ留めされているフラップを備え、前記フラップが、前記フラップが閉位置にある時に前記ボックスの上部の上にある上部フラップ部分と、前記フラップが前記閉位置にある時に少なくとも部分的にボックス前部壁の上にある前部フラップ部分とを備え、また前記リッドの前記第一の表面が、前記前部フラップ部分の内部表面上に位置する、請求項6に記載の容器。
【請求項9】
前記リッドが、リッド前部壁と、リッド後部壁と、第一および第二のリッド側壁と、リッド上部壁とを備え、また前記リッドの前記第一の表面が、前記リッド前部壁の内部表面上に位置する、請求項1~7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項10】
前記ボックスが、内側フレームを備え、前記ボックス前部壁の上部が、前記内側フレームによって画定され、また前記ハウジングの前記第一の表面が、前記内側フレーム上に位置する、請求項7に記載の容器。
【請求項11】
前記ハウジングの中に喫煙物品の束を収容する、請求項1~10のいずれかに記載の容器。
【請求項12】
前記容器が、1つ以上の折り畳まれた層状ブランクから形成される、請求項1~11のいずれかに記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングと、1つ以上の折り畳まれた繊維系層状ブランクから少なくとも部分的に形成されたハウジングに対して移動可能なリッドとを持つ消費財用の容器に関する。本発明による容器には、紙巻たばこなどの喫煙物品用の容器としての特定の用途がある。
【背景技術】
【0002】
細長いエアロゾル発生物品およびその他の消費財を、折り畳まれたセルロース繊維系層状ブランクから形成された容器内に包装することが知られている。紙巻たばこおよび葉巻たばこなどの細長いエアロゾル発生物品は一般に、エアロゾル発生物品を収容するボックスと、容器の後部壁を横切って延びるヒンジ線を中心としてボックスに連結されたリッドとを有する、ヒンジ・リッドパック入りで販売される。ヒンジ・リッドパックは、ボックスの内部表面に固定される内側フレームも備えてもよく、内側フレームは前部壁および側壁を有し、リッドはこれらに対して閉じる。こうしたパックは通常、層状の厚紙ブランクから構成される。使用時、リッドはヒンジ線を中心として回転してパックを開き、ボックス内に保持されているエアロゾル発生物品へのアクセスが得られる。
【0003】
多くの場合、例えば、消費財が偶発的に露出されたり、容器から飛び出したりしないように、通常の取り扱い時に、リッドが閉位置のままであることを確保することが重要である。エアロゾル発生物品の場合、物品の新鮮さを保つことができるように、リッドが閉位置にきつく閉まって閉じたままであることが特に重要であり得る。
【0004】
こうした容器のリッドとボックスの間の相互作用を改善させるための様々な機構、とりわけ通常の取り扱い時にリッドが不注意に閉位置から移動して遠ざかる可能性を低減させるための様々な機構が提案されてきた。例えば、保持カットが、リッドと相互作用するために内側フレーム上に提供されてもよい。あるいは、一時的接着剤が、リッドまたはボックス上に提供されてもよい。ところが、こうした機構は劣化し、リッドの開閉を数回繰り返した後ではあまり有効でなくなる。あるいは、または追加的に、層状ブランクの繊維状の性質が、リッドとボックスの間に固定クロージャを形成することを困難にしうる。このことは、消費者が個別のエアロゾル発生物品にアクセスする度毎に複数回リッドを開閉する必要がある場合のあるエアロゾル発生物品を含む容器では、特に問題でありうる。その他の機構としてはWO 201/096427 A1に記載されるような磁性系機構が挙げられる。ただし、これらは製造が困難であり、かつ/または比較的費用がかかりうる。
【0005】
その上、接着剤がリッドまたはボックス上に提供されている場合、消費財からのばら材料(エアロゾル発生物品からのルースたばこ材料など)が望ましくないことに容器の使用中に接着剤にくっつく可能性がある。この結果、容器の外観が望ましくなくなり、また閉機構がより効果的に機能しなくなる可能性がある。また、これによって、リッドが閉位置にある時に空気が容器内に入るのを可能にするギャップが形成されかねず、これが消費財の新鮮さを失うことにつながりかねない。
【0006】
通常の取り扱いの間にリッドが閉位置から離れて不注意に移動してしまうことを減少するための改善された機構を持つ繊維系容器を提供することが望ましいことになる。リッドの開閉の数回の繰り返しの後、劣化し、またあまり効果的でなくなる可能性がより低い機構を有するそのような容器を提供することがさらに望ましい。既存の容器設計または包装設備を著しく修正することなく容易に製造できるような容器を提供することが特に望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、消費財用の容器が提供され、容器は、消費財にアクセスするための開口部を持つハウジングと、ハウジングに連結され、かつリッドが開口部を覆う閉位置と開口部が覆われない開位置との間でハウジングに対して移動可能なリッドとを備える。リッドの第一の表面は、リッドが閉位置にある時に、ハウジングの第一の表面に隣接して配置され、またリッドをハウジングに対して閉位置に保持するために、マイクロ吸引構造が、リッドの第一の表面上、ハウジングの第一の表面上、またはリッドの第一の表面およびハウジングの第一の表面の両方の上に提供される。
【0008】
「マイクロ吸引構造」という用語は本明細書で使用される場合、材料の外部表面上に複数のマイクロキャビティを持つ柔軟な材料を含む物品を意味する。マイクロキャビティの壁は、材料の外部表面が接触表面に対して押された時に、圧力が低減された密封された環境がキャビティの壁と接触表面との間に形成されるように、変形可能である。これにより、キャビティの壁と接触表面の間に吸引力が提供される。
【0009】
マイクロキャビティは、5μm~300μmの直径を持っていてもよい。材料は、複数の内部気泡を持つ発泡樹脂で形成されてもよい。材料は、容器の表面上にシート状物品の層として提供されてもよい。層は、30μm~500μmの厚さを持っていてもよい。シート状物品は、材料層を容器の表面に固定するための層などの1つ以上の追加的な層を含んでもよい。
【0010】
マイクロ吸引構造はしたがって、リッドをハウジングに対して閉位置に固定するための効果的な手段を提供することができる。マイクロ吸引構造は、例えば化学的接着ではなく陰圧の使用によって閉鎖力を提供するため、マイクロ吸引構造は、リッドの開閉の数回の繰り返しの後、劣化し、またあまり効果的でなくなる可能性はより低い。その上、マイクロ吸引構造はシート状物品の形態で提供されることができるため、既存の容器設計または包装設備を著しく修正することなく、喫煙物品のための容器などの消費財のための容器の中に組み込むことができる。
【0011】
本発明は、リッドがハウジングにヒンジ留めされ、かつリッドが開口部を覆う閉位置と開口部が覆われていない開位置との間でハウジングに対して回転する消費財用の容器に特に適する。これは、容器を開ける際の回転動作が、容器のユーザーに対して顕著な抵抗を示すことなく、結果としてマイクロ吸引構造を接触表面から遠ざけるように剥がされるためである。一方で、リッドがハウジングに対して閉位置へと回転する時、マイクロ吸引構造はその接触表面と強い係合を形成することができ、それによって容器のユーザーによって行われるいかなる余分なまたは異なる閉鎖行為も必要とせずに、効果的な保持手段を提供できる。
【0012】
一部の好ましい実施形態では、マイクロ吸引構造はリッドの第一の表面上に提供され、またマイクロ吸引構造はハウジングの第一の表面上に提供される。これによって、リッドが閉位置にある時にマイクロ吸引構造が相互に付着することができるため、マイクロ吸引構造によって提供される保持効果を増強することができる。
【0013】
あるいは、その他の一部の好ましい実施形態では、マイクロ吸引構造は、リッドの第一の表面またはハウジングの第一の表面のうちの1つにのみ提供される。このことは、追加要素を組み込むためにリッドまたはハウジングの1つの表面のみを修正する必要があることを意味するため、有利であり得る。残りの表面は従って、修正しないままでもよい。ところが、こうした一部の実施形態では、リッドの第一の表面またはハウジングの第一の表面のうち他方が、ISO 8791-4に従って測定して1.2μm以下の表面平滑性を有することが好ましく、ISO 8791-4に従って測定して0.8μm以下の表面平滑性を有することが好ましくありうる。これは、マイクロ吸引構造とリッドまたはハウジングの他方の第一の表面との間の相互作用を改善することができ、それによってマイクロ吸引構造によって提供される保持効果を改善する。これは特に、容器が1つ以上の折り畳まれた繊維系層状ブランクから形成される時に、ブランクの繊維状の性質が係合のために固有の滑らかな接触表面をマイクロ吸引構造に提供する場合はないことを意味するので、重要である。したがって、そのような実施形態では、リッドの第一の表面またはハウジングの第一の表面のうち他方が、ISO 8791-4に従って測定して1.2μm以下の表面平滑性を有して提供されることが好ましく、ISO 8791-4に従って測定して0.8μm以下の表面平滑性を有して提供されることが好ましい。
【0014】
こうした表面平滑性は、適切な任意の手段によって提供されてもよい。ところが、一部の特に好ましい実施形態では、リッドの第一の表面またはハウジングの第一の表面のうち他方は、紫外線(UV)硬化ワニスなどのワニスを含む。ワニスは、リッドの第一の表面またはハウジングの第一の表面のうち他方に局所的に適用されることが容易でありうる。これは、リッドの第一の表面またはハウジングの第一の表面のうち他方が、1.2μm以下の所望の平滑性を有することを確保するために、容器の残りの部分を著しく修正する必要がないことを意味する。
【0015】
「ワニス」という用語は本明細書で使用される場合、所与の表面にわたって連続的な被覆を提供する物質を意味する。ワニスは一般的に透明である。「ワニス」という用語は、個別のインクドットが表面に塗布されることにより覆われていない表面の領域が残される印刷インクと同様なものとして混同されるべきではない。
【0016】
マイクロ吸引構造は、1つ以上のラベルによって、リッドの第一の表面上、ハウジングの第一の表面上、またはリッドの第一の表面およびハウジングの第一の表面の両方の上に提供されることが好ましい。これは、容器を著しく修正する必要なく表面にマイクロ吸引構造が提供されることを確保する好都合な、かつ実用的な手段であることができる。
【0017】
それぞれの1つ以上のラベルは、約300μm未満の厚さを持つことが好ましく、約150μm未満の厚さを持つことがより好ましく、約50μm未満の厚さを持つことがなおより好ましい。それぞれの1つ以上のラベルは、少なくとも約20μmの厚さを持つことが好ましい。一部の実施形態では、それぞれの1つ以上のラベルは、少なくとも約60μmの厚さを持つ。それぞれの1つ以上のラベルの厚さが前述の範囲内であることを確保することで、容器の寸法を著しく修正する必要がなくなる。
【0018】
代替の実施形態では、マイクロ吸引構造は、リッドの第一の表面、ハウジングの第一の表面、またはリッドの第一の表面およびハウジングの第一の表面の両方に組み込まれてもよい。
【0019】
リッドが閉位置にある時にリッドをハウジングから分離するのに必要な力は、約15ニュートン未満であることが好ましい。これによって、消費者が消費財へのアクセスを希望する時に、依然として比較的容易に容器が開くことを確保できる。
【0020】
リッドが閉位置にある時にリッドをハウジングから分離するのに必要な力は、少なくとも約2ニュートンであることが好ましく、少なくとも約2ニュートンであることがより好ましい。これは、容器の通常の取り扱い時に、例えば、容器が消費者のポケット内にある時に、リッドが偶発的に開く可能性を低減させることができる。
【0021】
マイクロ吸引構造は、リッドの第一の表面またはハウジングの第一の表面上の少なくとも1平方センチメートルの表面積を覆うことが好ましく、リッドの第一の表面またはハウジングの第一の表面上の少なくとも3平方センチメートルの表面積を覆うことがより好ましい。マイクロ吸引構造は、リッドの第一の表面またはハウジングの第一の表面上の10平方センチメートル未満の表面積を覆うことが好ましい。
【0022】
リッドが閉位置にある時、リッドの第一の表面はハウジングの第一の表面に隣接して配置される。これは、リッドの第一の表面とハウジングの第一の表面の間の重複面積を形成する。マイクロ吸引構造は、リッドの第一の表面とハウジングの第一の表面との間の重複面積の表面積の少なくとも25パーセントの表面積を覆うことが好ましい。一部の好ましい実施形態では、マイクロ吸引構造は、リッドの第一の表面とハウジングの第一の表面との間の重複面積の表面積の100パーセント以下の表面積を覆う。
【0023】
一部の好ましい実施形態では、マイクロ吸引構造は、リッドの第一の表面とハウジングの第一の表面との間の重複面積の表面積の120パーセント以上の表面積を覆う。そのような実施形態は、容器が閉じている時に消費者がリッドをハウジングに正確に位置合わせする必要性を低減することができる。
【0024】
マイクロ吸引構造は、任意の適切な配置において、リッドの第一の表面上、ハウジングの第一の表面上、またはリッドの第一の表面およびハウジングの第一の表面の両方の上に提供されることがより好ましい。例えば、マイクロ吸引構造は単一の連続的な要素として提供されうる。これは、容器の製造および組み立てを容易にしうる。別の方法として、マイクロ吸引構造は、複数の細片などの複数の要素として提供されてもよい。複数の要素は繰り返しのパターンで配置されてもよく、または複数の要素は容器上にランダムに配置されてもよい。複数の要素のうちの少なくとも1つは、方形形状または楕円形形状などの幾何学的形状を持っていてもよい。別の方法として、または追加的に、複数の要素のうちの少なくとも1つは、アルファベットまたは数字などの文字を表す形状を持っていてもよい。
【0025】
ハウジングおよびリッドは、任意の適切な構造を持っていてもよい。ところが、一部の特に好ましい実施形態では、ハウジングは、ボックス前部壁と、ボックス後部壁と、第一および第二のボックス側壁と、ボックス底部壁と、を備えるボックスを備え、ハウジングの第一の表面はボックス前部壁上に位置する。
【0026】
一部のそのような実施形態では、リッドはボックスにヒンジ留めされているフラップを備え、フラップは、フラップが閉位置にある時にボックスの上部の上にある上部フラップ部分と、フラップが閉位置にある時に少なくとも部分的にボックス前部壁の上にある前部フラップ部分とを備え、またリッドの第一の表面は前部フラップ部分の内部表面上に位置する。ボックスは、消費財にアクセスするための開口部を少なくとも部分的に画定する上部壁を備えることが好ましく、開口部はここで上部壁の前縁から上部壁を横切って延び、また上部壁が開口部の後方および側方の周りに延びるように、開口部の周辺は上部壁の後縁および側縁から間隙を介している。開口部はまた、ボックス上部壁の前縁から、ボックス前部壁を下に途中まで延びることも好ましく、またフラップが閉位置にある時、前部フラップ部分は、ボックス前部壁の下に途中まで延びる開口部の一部の上にあり、かつボックス前部壁の上にある少なくとも一部の上にある。
【0027】
一部の他のそのような実施形態では、リッドは、リッド前部壁と、リッド後部壁と、第一および第二のリッド側壁と、リッド上部壁とを備え、またリッドの第一の表面は、リッド前部壁の内部表面上に位置する。リッド前部壁は、リッド前部壁の外部表面を画定するリッド前部壁の外側パネルと、リッド前部壁の内部表面を画定するリッド前部壁の下部パネルとを備えることが好ましい。こうした実施形態では、リッド前部壁の下部パネルは、リッド前部壁の外側パネルに依存し、かつリッド前部壁の外側パネルの下にある。ワニスを既存の製造機械および技法を使用してリッドの第一の(内側前部壁)表面に適用することができるため、この配置は、容器が折り畳まれた層状ブランクから形成される実施形態、およびリッドの第一の(内側前部壁)表面にワニスが提供される実施形態にとって特に有利である。
【0028】
そのような実施形態では、ボックスは内側フレームを備え、ボックス前部壁の上部は内側フレームによって画定され、またハウジングの第一の表面は内側フレーム上に位置することが好ましい。そのような実施形態では、内側フレームは前部壁を備え、ハウジングの第一の表面は内側フレームの前部壁上に位置することが好ましい。
【0029】
容器はハウジング内に喫煙物品の束を収容することが好ましい。
【0030】
容器は、1つ以上の折り曲げられた層状ブランクから形成されることが好ましい。
【0031】
本発明による容器には、消費財用、特に喫煙物品などの細長い消費財用の容器としての用途がある。
【0032】
本発明による容器は、少なくとも1つの折り畳まれた繊維系層状ブランクから形成されてもよく、少なくとも1つのセルロース繊維系層状ブランクから形成されることがより好ましい。1つ以上の折り畳まれた層状ブランクには例えば、厚紙、板紙、またはその組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない、任意の適切な繊維系材料または繊維系材料の組み合わせから形成されてもよい。ブランクは、好ましくは約100グラム/平方メートルと約350グラム/平方メートルとの間の重量、より好ましくは約100グラム/平方メートルと約300グラム/平方メートルとの間の重量を有する層状の厚紙ブランクまたは板紙ブランクである。好ましい実施形態では、ブランクは約200μm~約400μmの厚さを持ち、250μm~350μmの厚さを持つことがより好ましい。
【0033】
「繊維系層状ブランク」とは、本明細書で使用される場合、繊維質材料から作られる層状ブランク、特に層状ブランクの全繊維含有量に基づいて、セルロース繊維などの少なくとも50重量%の繊維を含む層状ブランクを指す。
【0034】
本発明による容器は、適宜外部ラッパーを含んでもよく、例えば、高密度または低密度のポリエチレン、ポリプロピレン、方向性ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、セルロースフィルム、またはその組み合わせの透明高分子フィルムであることが好ましく、また外部ラッパーは、従来的な方法で適用される。外側ラッパーは開封テープを含みうる。さらに、外側ラッパーは画像、消費者情報、またはその他のデータを印刷されていてもよい。
【0035】
さらに、消費者物品は、金属箔または金属化紙で形成される内部パッケージに覆われた包みの形態をしたような容器に入れても提供することができる。内側パッケージ材料は、金属化ポリエチレンフィルムおよびライナー材料のラミネートとして形成されうる。ライナー材料は、スーパー仕上げグラシンペーパーでもよい。さらに、内側パッケージ材料には、印刷受容性のトップコートを提供してもよい。内側パッケージは、容器のリッドがそれぞれの開位置にあるとき、消費財を除去することができる出し入れ口を有する。
【0036】
容器は、幅のより狭い2つの壁によって間隙を介した幅のより広い2つの壁を備える、直方体容器であることが好ましい。ヒンジリッド容器は一般に、前部壁に2つの長軸方向の丸み付きまたは面取り付きの縁を含み、および/または後部壁に2つの長軸方向の丸み付きまたは面取り付きの縁を含む。これらは随意に、1つ以上の丸み付きまたは面取り付きの横断縁と組み合わせてもよい。
【0037】
容器が面取り付きの端を含む場合、面取り付きの端の幅は、約1mm~約10mmであることが好ましく、約2mm~約6mmであることが好ましい。
【0038】
本発明による容器は、例えば、紙巻たばこ、葉巻たばこまたはシガリロなど、細長い喫煙物品用のパックとしての特定用途がある。当然のことながら、その寸法を適切に選択することにより、本発明による容器は、異なる数の従来サイズ、キングサイズ、スーパーキングサイズ、スリムまたはスーパースリムの紙巻たばこ用に設計しうる。別の方法として、その他の消費財を容器内に収容してもよい。
【0039】
本発明による容器の外部表面は、製造元またはブランドのロゴ、商標、スローガンおよびその他の消費者情報およびしるしを用いた、印刷、エンボス加工、デボス加工またはその他の方法で装飾されうる。
【0040】
本明細書で使用される場合、本発明による容器の構成要素の相対的位置を記述するために使用される「側部」、「上部」、「下部」、「前部」、「後部」およびその他の用語は、リッド部分が上部にあり、ボックス部分の底部壁が下部にある直立位置にある容器について言及するものである。本発明による容器を記述する時、描写する容器の向きに関係なく、これらの用語が使用される。
【0041】
本明細書に使用される場合、「ヒンジ線」という用語は、2つの要素がこれを中心として相互に対して回転しうる線を意味する。ヒンジ線は、例えば、容器の壁またはパネル内の折り目、穿孔線、または横罫線であってもよい。ヒンジ線が穿孔線である場合、穿孔線は、容器の部品を取り外すために使用されてもよい。
【0042】
本明細書で使用される場合、「パネル」という用語は、材料の単一の連続した部分から形成される容器の一部分を意味する。パネルは、1つ以上の折り目に沿って1つ以上の他のパネルに従属してもよい。「フラップ」という用語は、1つのみの折り目に沿って1つのみの他のパネルに従属するパネルを意味する。
【0043】
「壁」という用語は、より一般的に容器の面を意味し、また壁は単一のパネルまたはフラップから形成されてもよく、または壁は2つ以上の隣接するまたは重なり合うパネルまたはフラップから形成されてもよい。
【0044】
「エアロゾル発生物品」という用語は、本明細書では、加熱時にエアロゾルを形成する少なくとも1つの基体を含む物品を意味するために使用される。当業者にとっては周知の通り、エアロゾルは、固体粒子または液体小滴が空気などのガス中に浮遊したものである。エアロゾルは、空気などのガス中に固体粒子および液体小滴が浮遊したものでありうる。例えば、エアロゾル発生物品は、電気的に作動する喫煙システムで使用するための物品であってもよい。この場合には、エアロゾル発生物品は、基体が加熱された時にニコチンを含むエアロゾルを発生させるたばこまたはその他のニコチン含有基体を含みうる。あるいは、エアロゾル発生物品は、フィルター紙巻たばこなどのより従来的な喫煙物品を含みうる。
本発明は、例として図面を参照しながらさらに記述される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、本発明の第一の実施形態による消費財用の容器の等角図である。
図2図2は、本発明の第二の実施形態による消費財用の容器の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1の実施形態の容器110は、紙巻たばこのためのパックである。これは、前部壁114と、前部壁と対向する後部壁116(図1では見えない)と、前部壁を後部壁と接続する側壁118、119(図1ではその一方のみが見える)と、上部壁120と、底部壁122(図1では見えない)と、を有するボックス112を備える。開口部124は上部壁120の前面部分を横切って途中まで延び、また前部壁114を途中まで下へ延びる。上部壁の後方のへり126および側部のへり128、128’が残され、開口部124のこの部分を上部壁内に画定する。開口部は、前部壁114の高さの25%下へ延びる。この比率は、パッケージ内で搬送される物品に関するパッケージのサイズに応じて変えることができる。図1の実施形態では、開口部はパッケージの幅の約2/3を横切って延びる。この場合もやはり、この比率は、パッケージ内で搬送される物品に関するパッケージのサイズに応じて変えることができる。
【0047】
閉鎖フラップ130は、パッケージの後部壁16から延び、上部壁120の後部端132にヒンジ連結される。閉鎖フラップは、パックの後部壁116から延びる上部壁閉鎖パネル134から成り、ここから前部壁閉鎖パネル136が折り曲げ138に沿って延びる。タブ140は、前部壁閉鎖パネル136から折り曲げ142に沿って延びる。マイクロ吸引構造144が、前部壁閉鎖パネル136の内部表面上に提供される。
【0048】
容器110の使用時、消費者は密封容器のフラップ130のタブ138を保持し、これを上向きにヒンジ回転し、マイクロ吸引構造144とボックス前部壁114の外部表面との間に作られた接続を解除する。これは、容器から紙巻たばこ146を取り出すことができるように開口部124が覆われないようにする。フラップの上部壁パネル134を上部壁120の上へとヒンジ回転し、次に開口部124を閉じるためフラップの前部壁パネル136をパッケージの前部壁114の上へとヒンジ回転することによってパックを閉じる。前部壁閉鎖パネル136の外部表面に圧力をかけることで、マイクロ吸引構造144をボックス前部壁114に係合させ、それによってフラップ130が閉位置に保持される。
【0049】
図2は、本発明の第二の実施形態による消費財用の容器100を示し、ここで容器100は開いた状態である。容器100は、紙巻たばこの束など、包まれた消費財60の束を含む。容器は折り畳まれた層状ブランクから形成され、かつリッド部分40とボックス部分20とを有する。リッド部分は、第一のリッド側壁44aと、第二のリッド側壁44bと、リッド上部壁46とを有する。リッド部分はまた、リッド前部壁42とリッド後部壁(図示せず)とを有する。ボックス部分20は、ボックス前部壁22と、第一のボックス側壁24aとを有する。ボックス部分20はまた、ボックス底部壁と、ボックス後部壁と、第二のボックス側壁(図示せず)を有する。リッド40は、ヒンジ線(図示せず)に沿ってボックス後部壁の上縁に従属し、かつヒンジ線を中心として開位置(図2に図示の通り)と閉位置(図示せず)との間で移動可能である。内側フレーム50は、ボックス20の内側に取り付けられ、第一の内側フレーム側壁(54a)と、第二の内側フレーム側壁(図示せず)と、内側フレーム前部壁52を含む。
【0050】
マイクロ吸引構造244は、内側フレーム前部壁52の外部表面上に提供され、かつリッド部分40をボックス部分20に対して閉位置に保持するために、リッド前部壁45の内部表面と係合するように構成される。特に、容器を閉じるには、消費者は、リッド前部壁42の内部表面が内側フレーム前部壁52の外部表面に隣接するまで、リッド部分40をボックス部分20に対してヒンジを中心として回転させる。リッド前部壁42の外部表面に圧力をかけることで、内側フレーム前部壁52上のマイクロ吸引構造244がリッド前部壁42の内部表面と係合し、それによってリッド部分40を閉位置に保持する。
図1
図2