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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/107 20060101AFI20221108BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
G08B17/107
G08B17/00 G
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018028671
(22)【出願日】2018-02-21
(65)【公開番号】P2019144869
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-11-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】土肥 学
【審査官】馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-071581(JP,A)
【文献】米国特許第04857895(US,A)
【文献】特開昭55-039049(JP,A)
【文献】実開昭50-118991(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2001/0020899(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00 ー 21/24
G01N 21/00 ー 21/01
G01N 21/17 ー 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域の物質が流入可能な検出空間と、
前記検出空間に流入した前記物質を第1検出手法にて検出する第1検出対象検出手段と、
前記検出空間に流入した前記物質を前記第1検出手法とは異なる第2検出手法にて検出する第2検出対象検出手段と、
前記第1検出対象検出手段の検出結果と、前記第2検出対象検出手段の検出結果とに基づいて前記監視領域の異常の発生を判定する監視領域異常判定手段と
前記検出空間に向けて検出光を発光する発光手段と、
前記発光手段からの前記検出光が前記検出空間に流入した前記物質によって散乱されて発生する散乱光を検出する散乱光検出手段と、
前記検出空間に流入した前記物質による前記発光手段からの前記検出光の減光を検出する減光検出手段と、
を備え、
前記第1検出対象検出手段は、前記散乱光検出手段の検出結果に基づいて前記物質を検出し、
前記第2検出対象検出手段は、前記減光検出手段の検出結果に基づいて前記物質を検出し、
前記監視領域異常判定手段は、
前記第2検出対象検出手段の検出結果と、前記第1検出対象検出手段の検出結果との比較結果に基づいて前記検出空間に流入した前記物質が前記異常の発生に伴い生じた検出対象であると識別された場合に、前記監視領域の異常の発生を判定する、
感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部から遮光された遮光領域内に設けられている検出空間を備えており、この検出空間に流入した煙の濃度を検出することにより、火災を判定する散乱光式火災感知器が知られていた(例えば、特許文献1参照)。この散乱光式火災感知器は、検出光を発光する発光部と、発光部から発光された検出光に基づく光を受光する受光部とを備えており、発光部から発光された検出光が検出空間内の煙の粒子によって散乱されることにより生じる散乱光を受光部で受光し、受光部が受光した光の光量と判定用閾値とを比較し、比較結果に基づいて、火災を判定していた。
【0003】
しかしながら、特許文献1の散乱光式火災感知器においては、検出空間に流入する煙の粒子径の違いによって散乱光の光量が変化し、火災を判定する感度が変化してしまう可能性があった。
【0004】
そこで、検出光を発光する発光装置と、発光装置から離れた位置に設けられている受光装置であって、発光装置からの検出光を受光する受光装置とを備えている減光式分離型感知器が提案されていた。この減光式分離型感知器は、受光装置が受光する検出光の減少量に基づいて煙を検出して火災を判定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-248547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本願発明者は、前述の減光式分離型感知器の技術を用いて、特許文献1の散乱光式火災感知器の形状等の一般的な形状(例えば、直径約100mm程度の円盤形状等)の減光式感知器を製造することに想到した。すなわち、例えば直径約100mm程度の円盤形状等の一般的な形状の筐体に、発光装置に対応する構成である発光手段と、受光装置に対応する構成である受光手段とを設けることにより、減光式感知器を製造することに想到した。
【0007】
しかしながら、このようにして製造した減光式感知器においては、火災による煙のみならず、火災に無関係な湯気も煙と同様にして検出してしまうことが想定され、実際には火災が発生していないにも関わらず火災を報知する誤報が行われる可能性があった。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、誤報の発生頻度を減少させることが可能な感知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の感知器は、監視領域の物質が流入可能な検出空間と、前記検出空間に流入した前記物質を第1検出手法にて検出する第1検出対象検出手段と、前記検出空間に流入した前記物質を前記第1検出手法とは異なる第2検出手法にて検出する第2検出対象検出手段と、前記第1検出対象検出手段の検出結果と、前記第2検出対象検出手段の検出結果とに基づいて前記監視領域の異常の発生を判定する監視領域異常判定手段と、前記検出空間に向けて検出光を発光する発光手段と、前記発光手段からの前記検出光が前記検出空間に流入した前記物質によって散乱されて発生する散乱光を検出する散乱光検出手段と、前記検出空間に流入した前記物質による前記発光手段からの前記検出光の減光を検出する減光検出手段と、を備え、前記第1検出対象検出手段は、前記散乱光検出手段の検出結果に基づいて前記物質を検出し、前記第2検出対象検出手段は、前記減光検出手段の検出結果に基づいて前記物質を検出し、前記監視領域異常判定手段は、前記第2検出対象検出手段の検出結果と、前記第1検出対象検出手段の検出結果との比較結果に基づいて前記検出空間に流入した前記物質が前記異常の発生に伴い生じた検出対象であると識別された場合に、前記監視領域の異常の発生を判定する
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の感知器によれば、例えば、検出対象を複数の検出手法にて検出することができるので、監視領域の異常を多角的見地から判定することができ、実際には監視領域で異常が発生していないにも関わらず異常を報知する誤報の発生頻度を減少させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施の形態に係る感知器の側面図である。
図2】感知器の底面図である。
図3図1のA―A矢視断面図である。
図4】感知器のブロック図である。
図5】防災処理のフローチャートである。
図6】遮光空間の内部の平面図である。
図7】遮光空間の内部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る感知器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、感知器に関するものである。
【0026】
ここで、「感知器」とは、監視領域の異常を判定する機器であり、具体的には、監視領域の検出対象を検出することにより、異常を判定する機器であり、煙感知器、火災感知器、及びガス感知器等を含む概念であり、一例としては、検出空間、第1検出対象検出手段、第2検出対象検出手段、及び監視領域異常判定手段を備えるものである。なお、「監視領域」とは、感知器による監視の対象となっている領域であり、具体的には、一定の広がりを持った空間であって、屋内あるいは屋外の空間であって、例えば、建物の廊下、階段、又は部屋等の空間を含む概念である。また、「監視領域の異常」とは、監視領域が通常とは異なる状態になっていることであり、例えば、火災、及びガス漏れ等を含む概念である。また、「検出対象」とは、感知器による検出の対象であり、具体的には、監視領域の異常に関連するものであり、例えば、煙、及び一酸化炭素ガス等を含む概念である。
【0027】
また、「検出空間」とは、監視領域の検出対象が流入する空間であり、例えば、感知器の外部から遮光されている空間である。
【0028】
また、「第1検出対象検出手段」とは、検出空間に流入する検出対象を第1検出手法にて検出する手段であり、「第2検出対象検出手段」とは、検出空間に流入する検出対象を第2検出手法にて検出する手段である。なお、「第1検出手法」とは、検出対象を検出する任意の手法であり、例えば、煙を検出する手法であり、一例としては、煙に対して検出光を照射した場合に、煙に検出光が照射されることにより発生する散乱光を利用して煙を検出する散乱光式検出手法である。また、「第2検出手法」とは、検出対象を検出する任意の手法であり、具体的には、第1検出手法とは異なる手法であり、例えば、煙を検出する手法であり、一例としては、煙に対して検出光を照射した場合に、煙に検出光が照射されることにより当該検出光が減光することを利用して煙を検出する減光式検出手法である。なお、「検出光」とは、検出対象を検出するための光であり、例えば、煙を検出するための光である。また、「散乱光」とは、検出光と検出対象とに基づいて発生する光であり、例えば、検出対象が煙に照射されて散乱することにより発生する光である。また、「減光する」とは、光の強度が減少することに対応する概念である。
【0029】
また、「監視領域異常判定手段」とは、第1検出対象検出手段の検出結果と、第2検出対象検出手段の検出結果とに基づいて、監視領域の異常を判定する監視領域異常判定手段である。
【0030】
そして、以下に示す実施の形態では、「監視領域」が「建物の部屋」であり、「監視領域の異常」が「火災」であり、「検出対象」が「煙」である場合について説明する。また、以下に示す実施の形態にて示す数値については、説明の便宜上、一例として示したものであり、実際には、実施の形態に示す概念に従う限りにおいて、当該例示した数値以外の数値を用いてもよい。
【0031】
[実施の形態の具体的内容]
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0032】
(構成)
まず、本実施の形態に係る感知器の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る感知器の側面図であり、図2は、感知器の底面図であり、図3は、図1のA―A矢視断面図であり、図4は、感知器のブロック図である。なお、説明の便宜上、図1については、感知器100の外側を破線で示し、内側を実線で示しており、また、図3については、図2のA―A矢印の断面における遮光空間13の内部の一部を示す断面図であり、ハッチングは適宜省略している。また、以下の説明では、図1図3に示すX―Y―Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、Z方向が鉛直方向であって、X方向及びY方向が鉛直方向に対して直交する水平方向であるものとして、例えば、Z方向を高さ方向と称し、+Z方向を上側(平面)と称し、-Z方向を下側(底面)と称して説明する。また、以下の「X―Y―Z方向」に関する用語については、図示の感知器100において、各構成品の相対的な位置関係(又は、方向)等を説明するための便宜的な表現であることとし、図3の遮光空間13の中心位置を基準として、遮光空間13から離れる方向を「外側」と称し、遮光空間13に近づく方向を「内側」と称して、以下説明する。
【0033】
これら各図に示す感知器100は、監視領域の検出対象である煙を検出することにより、異常である火災を判定する機器であり、具体的には、図1に示すように、監視領域の天井面である設置面900に取り付けて用いられるものであり、例えば、取付ベース11、筐体12、図3の遮光空間13、図1の防虫網14、図4の通信部21、警報部22、記録部23、及び制御部24を備える。
【0034】
(構成-取付ベース)
図1の取付ベース11は、設置面900に対して、筐体12を取り付けるための取付手段である。この取付ベース11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、筐体12と設置面900との間において用いられるものであって、公知の固定手段(例えば、ねじあるいは嵌合構造等)によって固定されているものである。
【0035】
(構成-筐体)
図1の筐体12は、感知器100の各種構成要素を収容する収容手段である。この筐体12の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、高さ方向(Z方向)において上側(+Z方向)に設けられている円筒状部分と、この円筒状部分から下側(-Z方向)に突出するように形成されたドーム状部分とによって形成されているものであり、図2の開口部121が設けられているものである。
【0036】
(構成-筐体-開口部)
図2の開口部121は、筐体12に対して気体を流入させる流入手段であり、また、筐体12に対して気体を流出させる流出手段である。この開口部121の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、筐体12のドーム状部分に複数設けられているものである。
【0037】
(構成-遮光空間)
図3の遮光空間13は、遮光されている空間であって、監視領域の検出対象である煙が流入する空間である。この遮光空間13の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図1の筐体12におけるドーム状部分に対応する部分に設けられているものであり、また、ベース部131、カバー部132、及び不図示のラビリンスによって取り囲まれているものであり、また、図3の発光部151、散乱光受光部152、減光受光部153、反射部154、遮光部155、散乱光用検出空間A1、及び減光用検出空間A2を収容しているものである。
【0038】
(構成-遮光空間-ベース部、カバー部、及びラビリンス)
図1のベース部131、カバー部132、及び不図示のラビリンスは、遮光空間13を区画する区画手段であり、従来と同様にして構成することができるが、例えば、以下のように構成されている。ベース部131は、感知器100の外側からの光を遮光する遮光手段であり、例えば、遮光空間13を上側(+Z方向)から取り囲むものである。カバー部132は、感知器100の外側からの光を遮光する遮光手段であり、例えば、遮光空間13を下側(-Z方向)から取り囲むものである。不図示のラビリンスは、感知器100の外側からの光を遮光しつつ、気体を流入また又は流出させる遮光流入出手段であり、具体的には、遮光空間13を側面側から取り囲むものであり、例えば、円状に配置されているものである。
【0039】
(構成-遮光空間-発光部)
発光部151は、散乱光用検出空間A1に向けて検出光を発光する発光手段である。この発光部151の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、発光ダイオード等を用いて構成することができる。
【0040】
(構成-検出空間-散乱光受光部)
散乱光受光部152は、発光部151からの検出光が散乱光用検出空間A1に流入する煙によって散乱されて発生する散乱光を受光する散乱光受光手段である。この散乱光受光部152の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、フォトダイオード等を用いて構成することができる。
【0041】
(構成-検出空間-減光受光部)
減光受光部153は、減光用検出空間A2に流入する煙によって減光され得る発光部151からの検出光を受光する減光受光手段である。この減光受光部153の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、散乱光受光部152と同様にして、フォトダイオード等を用いて構成することができる。
【0042】
(構成-検出空間-反射部)
反射部154は、発光部151からの検出光を減光受光部153に反射する反射手段である。この反射部154の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、3つ設けられているものであり、また、少なくとも2つが相互に平行になるように設けられているものであり、また、比較的高い反射率(例えば、90%~95%以上等)にて反射する反射ミラー等を用いて構成することができる。
【0043】
(構成-検出空間-遮光部)
遮光部155は、発光部151からの検出光が散乱光受光部152に直接入射することを防止するための遮光手段である。この遮光部155の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、黒色樹脂材等の遮光性の材料を用いて構成することができるものである。
【0044】
(構成-検出空間-散乱光用検出空間)
散乱光用検出空間A1は、前述の検出空間であり、具体的には、散乱光が発生する空間であり、例えば、発光部151の不図示の光軸と散乱光受光部152の不図示の光軸とが交差する交差点及び当該交差点の周囲の空間である。この散乱光用検出空間A1の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、発光部151の不図示の光軸が散乱光受光部152に直接向けられずに、且つ、発光部151の不図示の光軸と散乱光受光部152の不図示の光軸とが交差するようにこれら各部を配置することにより構成されるものである。なお、図3においては、この散乱光用検出空間A1は、説明の便宜上、細線の破線の円形にて図示されている。
【0045】
(構成-検出空間-減光用検出空間)
減光用検出空間A2は、前述の検出空間であり、具体的には、検出光が煙で減光され得る空間であり、例えば、発光部151から減光受光部153に至る検出光の光路及び当該光路の周囲の空間である。この減光用検出空間A2の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、減光用検出空間A2の少なくとも一部が散乱光用検出空間A1と重複するように構成されているものである。なお、図3においては、この減光用検出空間A2は、説明の便宜上、細線の破線の矩形にて図示されている。
【0046】
(構成-防虫網)
図1の防虫網14は、遮光空間13に虫が進入するのを抑制する防虫手段である。この防虫網14の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、遮光空間13の外部と内部との間で、防虫網14自身の小孔を介して気体が流入又は流出するのを許容する一方で、遮光空間13に虫が入ることを防止するように構成されているものであり、また、不図示のラビリンスを外側から覆っているものであって、円状に配置されているものである。
【0047】
(構成-通信部)
図4の通信部21は、外部の機器(例えば、不図示の防災受信機等)との間で通信を行う通信手段である。この通信部21の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の通信回路を用いて構成することができるものである。
【0048】
(構成-警報部)
図4の警報部22は、感知器100が火災を判定した場合に、警報を出力する警報手段である。この警報部22の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、音声にて警報を出力する不図示のスピーカ、あるいは、発光表示にて警報を出力する図2の表示灯221等を備えるものである。
【0049】
(構成-記録部)
図4の記録部23は、感知器100の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、EEPROMやFlashメモリ等を用いて構成されている。ただし、EEPROMやFlashメモリに代えてあるいはEEPROMやFlashメモリと共に、ハードディスクの如き外部記録装置、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、DVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体、又はROM、USBメモリ、SDカードの如き電気的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0050】
(構成-制御部)
図4の制御部24は、感知器100を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係る制御プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して感知器100にインストールされることで、制御部24の各部を実質的に構成する。
【0051】
この制御部24は、機能概念的に、散乱光検出部241、減光検出部242、及び監視領域異常判定部243を備える。散乱光検出部241は、散乱光用検出空間A1に流入する煙を第1検出手法にて検出する第1検出対象検出手段であり、例えば、散乱光受光部152が受光する散乱光に基づいて煙を検出する第1検出対象検出手段である。減光検出部242は、減光用検出空間A2に流入する前記検出対象を、第2検出手法であって第1検出手法とは異なる第2検出手法にて検出する第2検出対象検出手段であり、例えば、減光受光部153が受光する検出光に基づいて煙を検出する第2検出対象検出手段である。監視領域異常判定部243は、散乱光検出部241の検出結果と、減光検出部242の検出結果とに基づいて、監視領域の火災を判定する監視領域異常判定手段である。この制御部24の各部により行われる処理については、後述する。
【0052】
(処理)
次に、このように構成される感知器100によって実行される防災処理について説明する。
【0053】
(処理-防災処理)
図5は、防災処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。「防災処理」とは、防災のための処理であり、具体的には、火災を判定する処理である。この防災処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、感知器100の電源をオンした後に、繰り返し起動されて実行するものとして、防災処理が起動されたところから説明する。
【0054】
まず、図5のSA1において監視領域異常判定部243は、監視領域で火災(異常)が発生したか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、以下に示すように、濃度を検出した上で、当該濃度を用いて火災を判定する。
【0055】
詳細には、まず、散乱光検出部241が、図3の散乱光受光部152にアクセスして散乱光受光部152のフォトダイオードの出力値(つまり、散乱光受光部152が受光した散乱光の強度)を連続して取得して、取得した出力値に基づいて所定の手法で濃度を演算して検出する。なお、ここでの濃度を演算する手法は任意であり、散乱光用検出空間A1の煙の濃度が高くなるにつれて散乱光の強度が増大することに着目して演算する公知の手法を含む任意の手法を用いることができる。また、減光検出部242が、減光受光部153にアクセスして減光受光部153のフォトダイオードの出力値(つまり、減光受光部153が受光した検出光の強度)を連続して取得して、取得した出力値に基づいて所定の手法で濃度を演算して検出する。なお、ここでの濃度を演算する手法は任意であり、減光用検出空間A2の煙の濃度が高くなるにつれて検出光の強度が減少することに着目して演算する公知の手法を含む任意の手法を用いることができる。
【0056】
次に、監視領域異常判定部243は、少なくとも、散乱光検出部241が検出した濃度と、減光検出部242が検出した濃度とを用いて火災を判定する。ここでの具体的な手法は任意であるが、例えば、図3の遮光空間13には、発炎火災での煙(以下、第1の煙)、発煙火災での煙(以下、第2の煙)、又は煙と誤認される可能性がある湯気が流入する可能性があり、火災が発生しているにも関わらず火災の判定が遅れてしまったり、あるいは、火災が発生していないにも関わらず火災を誤って判定してしまったりすることを防止して、適切に火災を判定する必要があるが、一例としては、以下のようにして判定する。なお、「発炎火災」は、例えば、粒子径が比較的小さな煙が発生する火災であって、黒色の煙が発生する火災である。また、「発煙火災」は、例えば、粒子径が比較的大きな煙(発炎火災の煙よりも粒子径が大きい煙)が発生する火災であって、白色の煙が発生する火災である。
【0057】
詳細には、本願発明者は、第1の煙、第2の煙、及び湯気に対する散乱光検出部241及び減光検出部242の検出感度の実験又はシミュレーションを行ったところ、以下の結果を得たが、この結果に基づく判定手法を用いるものとする。結果については、減光検出部242については、第1の煙、第2の煙、及び湯気を相互に同様な感度にて検出し、例えば、実際には相互に同様な第1の煙、第2の煙、及び湯気に対して、「第1の煙」=「1.0」、「第2の煙」=「1.0」、及び「湯気」=「1.0」の濃度を検出する結果を得た(数値については、第2の煙の濃度を基準に正規化した値とする)。また、散乱光検出部241については、第1の煙、第2の煙、及び湯気を相互に異なる感度にて検出し、例えば、実際には相互に同様な第1の煙、第2の煙、及び湯気に対して、「第1の煙」=「0.5」、「第2の煙」=「1.0」、及び「湯気」=「3.0」の濃度を検出する結果を得た(数値については、前述と同様に、第2の煙の濃度を基準に正規化した値とする)。なお、「第2の煙」に対する散乱光検出部241及び減光検出部242の感度は相互に同様であり、同様な濃度を検出したものとする。この結果によると、所定の濃度の第2の煙については、散乱光検出部241及び減光検出部242は相互に同様な濃度を検出し、また、所定の濃度の第1の煙については、散乱光検出部241は、減光検出部242に対して感度が鈍く半分程度の濃度を検出し、また、所定の濃度の湯気については、散乱光検出部241は、減光検出部242に対して感度が鋭く3倍程度の濃度を検出することが確認された。そして、これらの結果を踏まえて、監視領域異常判定部243は、減光検出部242が検出した濃度に基づいて火災発生の可能性を検出した上で、減光検出部242が検出した濃度と散乱光検出部241が検出した濃度とを比較して、検出した火災の可能性が煙に起因するものであるか湯気に起因するものであるがを切り分けて、判定するように構成されていることとして以下説明する。
【0058】
より詳細には、記録部23に火災を判定するための閾値として用いられる濃度である濃度閾値が記録されていることとし、監視領域異常判定部243は、まず、減光検出部242が検出した濃度(以下、減光側濃度)を取得し、取得した減光側濃度と記録部23の濃度閾値とを比較し、減光側濃度が濃度閾値未満である場合、火災が発生していないものと判定し(SA1のNO)、火災が発生しているものと判定するまで、繰り返しSA1を実行する。また、減光側濃度が濃度閾値以上である場合、火災発生の可能性を検出した上で、散乱光検出部241が検出した濃度(以下、散乱側濃度)を取得し、取得した散乱側濃度と前述の取得した減光側濃度とを比較し、前述の実験等の結果から確認されたように、散乱側濃度が減光側濃度の3倍程度になっている場合には、湯気に起因している可能性が高く、また、散乱側濃度が減光側濃度の等倍(つまり、1倍)以下程度になっている場合には、火災に起因している可能性が高いことに着目して、以下のように判定する。具体的には、煙に起因するものであるか湯気に起因するものであるかを切り分けるための閾値である切分閾値として、前述の3倍程度に対応する数値よりも小さく、且つ、前述の等倍(つまり、1倍)以下程度に対応する数値よりも大きい数値である例えば「2.0」が記録部23に記録されていることとして、以下のように判定する。監視領域異常判定部243は、散乱側濃度に対する減光側濃度の除算(「散乱側濃度」÷「減光側濃度」)を行って、演算結果と記録部23の切分閾値とを比較して、演算結果が切分閾値以上である場合には、湯気に起因している可能が高いものとして、火災が発生していないものと判定し(SA1のNO)、火災が発生しているものと判定するまで、繰り返しSA1を実行する。また、演算結果が切分閾値未満である場合には、湯気ではなく火災に起因している可能が高いものとして、火災が発生しているものと判定し(SA1のYES)、SA2に移行する。
【0059】
ここでは、例えば、発炎火災が発生し、当該火災の煙である「第1の煙」が図2の開口部121、図1の防虫網14、不図示のラビリンスを介して図3の遮光空間13に流入した上で、散乱光用検出空間A1及び減光用検出空間A2に入り込んだ場合、減光側濃度が濃度閾値以上になり、且つ、散乱側濃度に対する減光側濃度の除算の演算値が「0.5」(つまり、切分閾値未満)になるので、火災が発生しているものと判定することになる。また、例えば、発煙火災が発生し、当該火災の煙である「第2の煙」が、「第1の煙」と同様にして散乱光用検出空間A1及び減光用検出空間A2に入り込んだ場合、減光側濃度が濃度閾値以上になり、且つ、散乱側濃度に対する減光側濃度の除算の演算値が「1.0」(つまり、切分閾値未満)になるので、火災が発生しているものと判定することになる。また、例えば、火災が発生しておらず、湯気が「第1の煙」と同様にして散乱光用検出空間A1及び減光用検出空間A2に入り込んだ場合、減光側濃度が濃度閾値以上になるが、散乱側濃度に対する減光側濃度の除算の演算値が「3.0」(つまり、切分閾値以上)になるので、火災が発生していないものと判定することになる。つまり、火災が発生しているにも関わらず火災の判定が遅れてしまったり、あるいは、火災が発生していないにも関わらず火災を誤って判定してしまったりすることを防止することが可能となる。また、例えば、検出光を出力する発光部151を、散乱光受光部152及び減光受光部153に対して共通して用いることができるので、発光部151の発光ダイオードの経年劣化等により発光部の検出の濃度が変化したとしても、この変化に起因して散乱光受光部152及び減光受光部153で受光する光の強度がばらつくことを防止することが可能となる。
【0060】
図5のSA2において制御部24は、警報を行う。具体的には任意であるが、例えば、図4の警報部22の不図示のスピーカ、あるいは、図2の表示灯221等を介して、公知の手法を用いて、火災発生を警報する。ここでは、例えば、スピーカにて「火災を感知しました」等の警報メッセージを繰り返し音声出力し、また、表示灯221を赤色にて点灯して表示出力する。
【0061】
図5のSA3において制御部24は、復旧するか否かを判定する。具体的に任意であるが、例えば、ユーザによる不図示の防災受信機に対する所定操作により、当該防災受信機から送信させる復旧信号を、感知器100の不図示の通信手段を介して受信したか否かに基づいて判定する。そして、復旧信号を受信していない場合、復旧しないものと判定し(SA3のNO)、復旧するものと判定するまで、繰り返しSA3を実行する。また、復旧信号を受信した場合、復旧するものと判定し(SA3のYES)、SA4に移行する。ここでは、例えば、ユーザが不図示の防災受信機に対して所定操作を行わない場合、復旧しないものと判定することになり、一方、ユーザが不図示の防災受信機に対して所定操作を行った場合、復旧するものと判定することになる。
【0062】
図5のSA4において制御部24は、復旧を行う。具体的には、SA2で行った警報を停止することにより復旧を行った後、処理を終了する。これにて、防災処理を終了する。
【0063】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、散乱光検出部241の検出結果と、減光検出部242の検出結果とに基づいて、監視領域の火災を判定することにより、例えば、煙を複数の検出手法にて検出することができるので、監視領域の異常を多角的見地から判定することができ、実際には監視領域で異常が発生していないにも関わらず異常を報知する誤報の発生頻度を減少させることが可能となる。
【0064】
また、散乱光検出部241が、散乱光受光部152が受光する散乱光に基づいて煙を検出し、また、減光検出部242が、減光受光部153が受光する検出光に基づいて煙を検出することにより、例えば、散乱光にて検出対象を検出する優位点(一例としては、検出対象である煙と検出対象でない湯気とでは、相互に検出感度が異なる点等)と、検出光にて検出対象を検出する優位点(一例としては、検出対象である煙の種類によらず一定の検出感度となる点等)とを生かして監視領域の異常を判定することができ、監視領域の火災委の判定精度を向上させることが可能となる。
【0065】
また、反射部154を備えることにより、例えば、検出光の光路長を伸ばすことができるので、減光用検出空間A2に流入した煙にて検出光を十分に減光させることができ、監視領域の火災の判定精度を更に向上させることが可能となる。
【0066】
また、反射部154が相互に平行になるように少なくとも2個以上設けられていることにより、例えば、検出光を任意の方向に反射することができるので、感知器の設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0067】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0068】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0069】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。
【0070】
(火災の判定について(その1))
また、上記実施の形態の図5のSA1で説明した火災の判定手法を任意に変更してもよい。例えば、散乱側濃度と比較する閾値と減光側濃度と比較する閾値を任意に決定した上で記録し、各濃度と各閾値とを比較して比較結果に基づいて火災を判定してもよい。また、例えば、散乱側濃度及び減光側濃度の変化速度に着目して火災を判定してもよい。
【0071】
(火災の判定について(その2))
また、上記実施の形態の図5のSA1で説明したように、減光検出部242については、第1の煙、第2の煙、及び湯気を相互に同様な感度にて検出し、また、散乱光検出部241については、第1の煙、第2の煙、及び湯気を相互に異なる感度にて検出することに着目して、監視領域異常判定部243が、煙と湯気との切り分けのみではなく、煙の種類(例えば、前述の「第1の煙」及び「第2の煙」)を切り分けて、発生した火災の種類も切り分けるように構成してもよい。この場合、SA2にて、火災の種類も報知して警報を行ってもよい。
【0072】
(構成要素等について(その1))
また、上記実施の形態の図3において、遮光空間13内の構成要素の個数、配置等を任意に変更してもよい。例えば、散乱光受光部152の如き散乱光受光手段を1個のみではなく、2個以上等の複数個設けることにより、散乱光用検出空間A1を検出光の光路上に複数設けてもよい。この場合、複数の散乱光受光手段のうちの何れか1つ(例えば、任意に選択したもの、あるいは、最大強度の散乱光を受光しているもの等)が受光した散乱光の強度に基づいて濃度を検出して実施の形態の処理を行ってもよい。このように構成した場合、散乱光受光手段が複数設けられていることにより、例えば、散乱光を確実に受光することができるので、監視領域の異常の判定精度を更に一層向上させることが可能となる。
【0073】
(構成要素等について(その2))
また、例えば、発光部151の如き発光手段を1つのみではなく、2個以上等の複数個設けてもよい。また、例えば、反射部154を省略して、発光部151の検出光を減光受光部153が直接受光するように構成してもよい。
【0074】
(構成要素等について(その3))
また、例えば、散乱光受光部152の向きは任意であり、図3に示すように、いわゆる前方散乱光を主に受光するように、発光部151の不図示の光軸と散乱光受光部152の不図示の光軸とによって形成される角度(詳細には、発光部151と散乱光用検出空間A1の中心とを結ぶ線分と散乱光受光部152と散乱光用検出空間A1の中心とを結ぶ線分とによって形成される内角)が鈍角となるように配置してもよい。また、例えば、図示していないが、発光部151の不図示の光軸と散乱光受光部152の不図示の光軸とによって形成される角度が直角又は鋭角となるように散乱光受光部152を配置して、前方散乱光以外の散乱光を主に受光するようにしてもよい。
【0075】
(構成要素等について(その4))
また、例えば、散乱光受光部152の如き散乱光受光手段を複数設ける場合、同一の散乱光用検出空間A1に対し、相互に異なる角度となるように複数の散乱光受光手段を設けてもよい。このように構成した場合、散乱特性により検出対象である煙の粒子径などが判断でき、煙の種類、または煙と煙以外との識別をより高精度で行うことが可能となる。
【0076】
(部品配置について)
また、例えば、図3の発光部151、散乱光受光部152、減光受光部153、反射部154、及び遮光部155(以下、「各内部部品」と称する)の配置を任意に変更してもよい。図6及び図7は、遮光空間の内部の平面図である。例えば、図6に示すように、「各内部部品」と同様な構成の発光部151A、散乱光受光部152A、減光受光部153A、反射部154A、及び遮光部155Aを配置してもよいし、図7に示すように、「各内部部品」と同様な構成の発光部151B、散乱光受光部152B、減光受光部153B、反射部154B、及び遮光部155Bを配置してもよい。特に、図6に示すように配置した場合、3個の反射部154Aのうちの少なくとも2個の反射部154Aが相互に垂直になり、また、少なくとも2個の反射部154Aが相互に平行になるように設けてもよく、あるいは、図7に示すように配置した場合、光を遮蔽する遮蔽壁156も更に設けてもよい。そして、この場合、図6に示すように、少なくとも発光部151A、散乱光受光部152A、減光受光部153Aを一部の領域に相互にまとめて設けたり、あるいは、図7に示すように、発光部151B、散乱光受光部152B、減光受光部153Bを一部の領域に相互にまとめて設けたりすることがこと可能となる。このように図6又は図7に示すように配置した場合、検出光を全体として環状に導光したり(特に、図6)、あるいは、検出光を略矩形状に導光したり(特に、図7)することができるので、光路長を十分に確保することができ、火災を確実に判定することが可能となる。なお、「略矩形」とは、矩形の如き形状を示す概念であり、例えば、図7に示すように、矩形の一部の部分が欠けたコ字形状等を含む概念である。
【0077】
そして、図6に示すように、反射部154Aが相互に垂直及び平行になるように少なくとも2個以上設けられていることにより、例えば、検出光を任意の方向に反射することができるので、感知器の設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0078】
また、図6に示すように、検出光を環状に導光し、発光部151A、散乱光受光部152A、減光受光部153Aが、相互にまとめて設けられていることにより、例えば、感知器における煙が流入する空間の全体に検出光を導光することができるので、監視領域の異常の判定精度を更に向上させることが可能となる。また、例えば、発光部151A、散乱光受光部152A、減光受光部153Aにおける基板設置がコンパクトになり、感知器の低コスト化、及び省スペース化を図ることが可能となる。
【0079】
また、図7に示すように、検出光を略矩形状に導光し、発光部151B、散乱光受光部152B、減光受光部153Bが、相互にまとめて設けられていることにより、例えば、感知器における煙が流入する空間の全体に検出光を導光することができるので、監視領域の異常の判定精度を更に向上させることが可能となる。また、例えば、発光部151B、散乱光受光部152B、減光受光部153Bにおける基板設置がコンパクトになり、感知器の低コスト化、及び省スペース化を図ることが可能となる。
【0080】
(立体配置について)
また、例えば、図3の「各内部部品」については相互に立体配置してもよく、同様にして、図6及び図7の各部品についても相互に立体配置してもよい。
【0081】
(設置位置について)
また、感知器100については、監視領域の天井面ではなく、壁面に設置して利用してもよい。
【0082】
(警報部について)
また、上記実施の形態の警報部22に代えて、無線又は有線での通信を行う通信部、又は、火災の移報を行う移報部等を備えることにより異常判定の結果を他の機器などに送信するよう構成してもよい。なお、これらの通信部又は移報部については、警報部22に代えてではなく、警報部22と共に設けてもよい。
【0083】
(特徴について)
また、上記実施の形態の特徴及び変形例の特徴を任意に組み合わせてもよい。
【0084】
(付記)
付記1の感知器は、監視領域の検出対象が流入する検出空間と、前記検出空間に流入する前記検出対象を第1検出手法にて検出する第1検出対象検出手段と、前記検出空間に流入する前記検出対象を、第2検出手法であって前記第1検出手法とは異なる前記第2検出手法にて検出する第2検出対象検出手段と、前記第1検出対象検出手段の検出結果と、前記第2検出対象検出手段の検出結果とに基づいて、前記監視領域の異常を判定する監視領域異常判定手段と、を備える。
【0085】
付記2の感知器は、付記1に記載の感知器において、前記検出空間に向けて検出光を発光する発光手段と、前記検出空間に流入する前記検出対象によって減光され得る前記発光手段からの前記検出光を受光する減光受光手段と、前記発光手段からの前記検出光が前記検出空間に流入する前記検出対象によって散乱されて発生する散乱光を受光する散乱光受光手段と、を備え、前記第1検出対象検出手段は、前記散乱光受光手段が受光する前記散乱光に基づいて前記検出対象を検出し、前記第2検出対象検出手段は、前記減光受光手段が受光する前記検出光に基づいて前記検出対象を検出する。
【0086】
付記3の感知器は、付記2に記載の感知器において、前記発光手段からの前記検出光を前記減光受光手段に反射する反射手段と、を備える。
【0087】
付記4の感知器は、付記3に記載の感知器において、前記反射手段は、相互に垂直又は平行になるように少なくとも2個以上設けられている。
【0088】
付記5の感知器は、付記3又は4に記載の感知器において、前記反射手段は、前記検出光を反射して前記感知器内で当該検出光を環状に導光し、前記発光手段、前記減光受光手段、及び前記散乱光受光手段は、相互にまとめて設けられている。
【0089】
付記6の感知器は、付記3又は4に記載の感知器において、前記反射手段は、前記検出光を反射して前記感知器内で当該検出光を略矩形状に導光し、前記発光手段、前記減光受光手段、及び前記散乱光受光手段は、相互にまとめて設けられている。
【0090】
付記7の感知器は、付記2から6の何れか一項に記載の感知器において、前記散乱光受光手段は、複数設けられている。
【0091】
(付記の効果)
付記1に記載の感知器によれば、第1検出対象検出手段の検出結果と、第2検出対象検出手段の検出結果とに基づいて、監視領域の異常を判定することにより、例えば、検出対象を複数の検出手法にて検出することができるので、監視領域の異常を多角的見地から判定することができ、実際には監視領域で異常が発生していないにも関わらず異常を報知する誤報の発生頻度を減少させることが可能となる。
【0092】
付記2に記載の感知器によれば、第1検出対象検出手段が、散乱光受光手段が受光する散乱光に基づいて検出対象を検出し、また、第2検出対象検出手段が、減光受光手段が受光する検出光に基づいて検出対象を検出することにより、例えば、散乱光にて検出対象を検出する優位点(一例としては、検出対象である煙と検出対象でない湯気とでは、相互に検出感度が異なる点等)と、検出光にて検出対象を検出する優位点(一例としては、検出対象である煙の種類によらず一定の検出感度となる点等)とを生かして監視領域の異常を判定することができ、監視領域の異常の判定精度を向上させることが可能となる。
【0093】
付記3に記載の感知器によれば、反射手段を備えることにより、例えば、検出光の光路長を伸ばすことができるので、検出空間に流入した検出対象にて検出光を十分に減光させることができ、監視領域の異常の判定精度を更に向上させることが可能となる。
【0094】
付記4に記載の感知器によれば、反射手段が相互に垂直又は平行になるように少なくとも2個以上設けられていることにより、例えば、検出光を任意の方向に反射することができるので、感知器の設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0095】
付記5に記載の感知器によれば、検出光を環状に導光し、発光手段、減光受光手段、及び散乱光受光手段が、相互にまとめて設けられていることにより、例えば、感知器における煙が流入する空間の全体に検出光を導光することができるので、監視領域の異常の判定精度を更に向上させることが可能となる。また、例えば、発光手段、減光受光手段、及び散乱光受光手段における基板設置がコンパクトになり、感知器の低コスト化、及び省スペース化を図ることが可能となる。
【0096】
付記6に記載の感知器によれば、検出光を略矩形状に導光し、発光手段、減光受光手段、及び散乱光受光手段が、相互にまとめて設けられていることにより、例えば、感知器における煙が流入する空間の全体に検出光を導光することができるので、監視領域の異常の判定精度を更に向上させることが可能となる。また、例えば、発光手段、減光受光手段、及び散乱光受光手段における基板設置がコンパクトになり、感知器の低コスト化、及び省スペース化を図ることが可能となる。
【0097】
付記7に記載の感知器によれば、散乱光受光手段が複数設けられていることにより、例えば、散乱光を確実に受光することができるので、監視領域の異常の判定精度を更に一層向上させることが可能となる。また、例えば、散乱特性により検出対象である煙の粒子径などが判断でき、煙の種類、または煙と煙以外との識別をより高精度で行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0098】
11 取付ベース
12 筐体
13 遮光空間
14 防虫網
21 通信部
22 警報部
23 記録部
24 制御部
100 感知器
121 開口部
131 ベース部
132 カバー部
151 発光部
151A 発光部
151B 発光部
152 散乱光受光部
152A 散乱光受光部
152B 散乱光受光部
153 減光受光部
153A 減光受光部
153B 減光受光部
154 反射部
154A 反射部
154B 反射部
155 遮光部
155A 遮光部
155B 遮光部
156 遮蔽壁
221 表示灯
241 散乱光検出部
242 減光検出部
243 監視領域異常判定部
900 設置面
A1 散乱光用検出空間
A2 減光用検出空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7