(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】搬送用装置、検体測定システムおよび搬送方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20221108BHJP
B65G 47/90 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
G01N35/04 G
B65G47/90 A
G01N35/04 H
(21)【出願番号】P 2018092215
(22)【出願日】2018-05-11
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】長井 孝明
(72)【発明者】
【氏名】大前 勇一郎
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 真嗣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 利紀
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 友希男
(72)【発明者】
【氏名】大内 哲志
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-023691(JP,A)
【文献】特開平09-054096(JP,A)
【文献】特表2001-505648(JP,A)
【文献】特表2004-511788(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0069918(US,A1)
【文献】特開平08-029432(JP,A)
【文献】特開平09-243644(JP,A)
【文献】特開2016-164555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00- 37/00
B25J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送する搬送用装置であって、
第1検体測定装置と、前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で前記容器または前記ラックを搬送するロボットアームと、
前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、を備え
、
前記制御部は、前記複数の他の検体測定装置の各々に対する搬送回数、および、前記複数の他の検体測定装置の各々に対応する優先順位のうち少なくとも一方に基づいて前記容器または前記ラックを搬送する前記他の検体測定装置を決定する、搬送用装置。
【請求項2】
検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送する搬送用装置であって、
第1検体測定装置と、前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で前記容器または前記ラックを搬送するロボットアームと、
前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、
前記ロボットアームに交換可能に設けられ、前記容器または前記ラックを把持するハンドと、を備える、搬送用装置。
【請求項3】
検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送する搬送用装置であって、
第1検体測定装置と、前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で前記容器または前記ラックを搬送するロボットアームと、
前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、を備え、
前記ロボットアームには、前記容器または前記ラックを保持するハンドが設けられ、
前記ハンドは、前記容器または前記ラックを上方から把持する第1ハンドと、前記容器または前記ラックを側方から把持する第2ハンドとを含み、
前記第1ハンドおよび前記第2ハンドは選択的に使用される、搬送用装置。
【請求項4】
検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送する搬送用装置であって、
第1検体測定装置と、前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で前記容器または前記ラックを搬送するロボットアームと、
前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、を備え、
前記ロボットアームは、第1ロボットアームと第2ロボットアームとを含み、
前記第1ロボットアームと前記第2ロボットアームとの間で、前記容器または前記ラックを持ち替え可能である、搬送用装置。
【請求項5】
検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送する搬送用装置であって、
第1検体測定装置と、前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で前記容器または前記ラックを搬送するロボットアームと、
前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、を備え、
前記第1検体測定装置側には、前記容器または前記ラックが排出される排出部または排出された前記容器または前記ラックが貯留される貯留部が設けられ、
前記複数の他の検体測定装置側には、前記容器または前記ラックが供給される供給部が設けられ、
前記排出部または前記貯留部からは、操作者により前記容器または前記ラックを取出し可能および前記ロボットアームにより前記容器または前記ラックを取出し可能であり、
前記供給部には、操作者により前記容器または前記ラックを受け渡し可能および前記ロボットアームにより前記容器または前記ラックを受け渡し可能である、搬送用装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記容器または前記ラックの搬送元および搬送先の位置情報に基づいて前記ロボットアームの動作を制御する、請求項1
~5のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数の他の検体測定装置からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、前記ロボットアームの動作を制御する、請求項1
~6のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項8】
前記制御部は、外部の制御システムから信号を受信し、外部の制御システムから受信した信号に基づいて、前記ロボットアームの動作を制御する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項9】
前記制御部は、外部の制御システムから受信した信号に含まれる搬送先情報に基づいて、前記複数の他の検体測定装置のうちの1つの前記他の検体測定装置に前記容器または前記ラックを搬送するように、前記ロボットアームの動作を制御する、請求項
8に記載の搬送用装置。
【請求項10】
前記外部の制御システムは、前記第1検体測定装置に前記容器または前記ラックを搬送する搬送コンベアを制御するように構成されている、請求項
8または
9に記載の搬送用装置。
【請求項11】
前記制御部は、搬送回数が少ない前記他の検体測定装置を、前記容器または前記ラックを搬送する前記他の検体測定装置に決定するとともに、搬送回数が同じ場合には、優先順位に基づいて前記容器または前記ラックを搬送する前記他の検体測定装置に決定する、請求項
1に記載の搬送用装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記容器または前記ラックを1つの前記他の検体測定装置に搬送した場合、前記容器または前記ラックを搬送した前記他の検体測定装置の優先順位を下げる制御を行う、請求項
1または
11に記載の搬送用装置。
【請求項13】
前記複数の他の検体測定装置は、少なくとも第2検体測定装置と第3検体測定装置とを含み、
前記ロボットアームは、前記第2検体測定装置と前記第3検体測定装置との間で前記容器または前記ラックを搬送可能である、請求項1~
12のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項14】
前記複数の他の検体測定装置は、前記第1検体測定装置とは異なる測定を行う、請求項1~
13のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項15】
前記ロボットアームは、前記ロボットアームを支持する基台の周りに周状に配置された前記複数の他の検体測定装置に前記容器または前記ラックを搬送する、請求項1~
14のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項16】
前記ロボットアームは、前記容器または前記ラックを供給するための供給部が前記基台に対して対向するように配置された前記複数の他の検体測定装置に前記容器または前記ラックを搬送する、請求項
15に記載の搬送用装置。
【請求項17】
前記ロボットアームを支持する基台は、設置面に対して移動可能である、請求項1~
16のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項18】
前記基台は、前記基台を前記設置面に対して移動させるキャスタと伸縮可能な固定用脚とを含み、前記固定用脚を前記キャスタが前記設置面から浮上するように伸ばすことにより、前記設置面に対して固定される、請求項
17に記載の搬送用装置。
【請求項19】
前記ロボットアームは、複数の駆動部を含み、
前記制御部は、搬送元および搬送先の位置情報に基づいて、複数の前記駆動部の駆動を制御して、前記容器または前記ラックを搬送する、請求項1~
18のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項20】
前記排出部または前記貯留部と、前記供給部とは、設置面からの高さ位置が互いに異なる位置に配置されており、
前記ロボットアームは、前記排出部または前記貯留部から、設置面からの高さが異なる前記供給部に、前記容器または前記ラックを搬送する、請求項
5に記載の搬送用装置。
【請求項21】
前記ロボットアームは、稼動中に搬送する物体以外の物体と接触した場合に動作が停止される、請求項1~
20のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項22】
前記ロボットアームは、前記ラックを取り出す際に、複数の前記ラックが配置される方向に、前記ラックを把持するハンドを段階的に移動させて前記ラックを検出し、前記ラックを検知した場合に、前記ハンドにより前記ラックを保持する、請求項1~
21のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項23】
前記ハンドには、前記ラックを検知する非接触式のセンサが設けられている、請求項
22に記載の搬送用装置。
【請求項24】
前記ロボットアームは、前記容器または前記ラックを取り出す際に、前記容器または前記ラックを押圧して移動させてから前記容器または前記ラックを保持する、請求項1~
23のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項25】
前記第1検体測定装置は、血球測定装置であり、
前記他の検体測定装置は、細菌検査装置である、請求項1~
24のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項26】
第1検体測定装置と、
前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置と、
前記第1検体測定装置と前記他の検体測定装置との間で、検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送するロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、を含む、搬送用装置と、を備え
、
前記制御部は、前記複数の他の検体測定装置の各々に対する搬送回数、および、前記複数の他の検体測定装置の各々に対応する優先順位のうち少なくとも一方に基づいて前記容器または前記ラックを搬送する前記他の検体測定装置を決定する、検体測定システム。
【請求項27】
第1検体測定装置と、
前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置と、
前記第1検体測定装置と前記他の検体測定装置との間で、検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送するロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、前記ロボットアームに交換可能に設けられ、前記容器または前記ラックを把持するハンドと、を含む、搬送用装置と、を備える、検体測定システム。
【請求項28】
第1検体測定装置と、
前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置と、
前記第1検体測定装置と前記他の検体測定装置との間で、検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送するロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、を含む、搬送用装置と、を備え、
前記ロボットアームには、前記容器または前記ラックを保持するハンドが設けられ、
前記ハンドは、前記容器または前記ラックを上方から把持する第1ハンドと、前記容器または前記ラックを側方から把持する第2ハンドとを含み、
前記第1ハンドおよび前記第2ハンドは選択的に使用される、検体測定システム。
【請求項29】
第1検体測定装置と、
前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置と、
前記第1検体測定装置と前記他の検体測定装置との間で、検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送するロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、を含む、搬送用装置と、を備え、
前記ロボットアームは、第1ロボットアームと第2ロボットアームとを含み、
前記第1ロボットアームと前記第2ロボットアームとの間で、前記容器または前記ラックを持ち替え可能である、検体測定システム。
【請求項30】
第1検体測定装置と、
前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置と、
前記第1検体測定装置と前記他の検体測定装置との間で、検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送するロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、を含む、搬送用装置と、を備え、
前記第1検体測定装置側には、前記容器または前記ラックが排出される排出部または排出された前記容器または前記ラックが貯留される貯留部が設けられ、
前記複数の他の検体測定装置側には、前記容器または前記ラックが供給される供給部が設けられ、
前記排出部または前記貯留部からは、操作者により前記容器または前記ラックを取出し可能および前記ロボットアームにより前記容器または前記ラックを取出し可能であり、
前記供給部には、操作者により前記容器または前記ラックを受け渡し可能および前記ロボットアームにより前記容器または前記ラックを受け渡し可能である、検体測定システム。
【請求項31】
検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送する搬送方法であって、
第1検体測定装置と、前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で前記容器または前記ラックを、ロボットアームにより搬送
し、
前記複数の他の検体測定装置の各々に対する搬送回数、および、前記複数の他の検体測定装置の各々に対応する優先順位のうち少なくとも一方に基づいて前記容器または前記ラックを搬送する前記他の検体測定装置を決定する、搬送方法。
【請求項32】
検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送する搬送方法であって、
第1検体測定装置と、前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で前記容器または前記ラックを、ロボットアームにより搬送し、
前記ロボットアームには、前記容器または前記ラックを把持するハンドが交換可能に設けられている、搬送方法。
【請求項33】
検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送する搬送方法であって、
第1検体測定装置と、前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で前記容器または前記ラックを、ロボットアームにより搬送し、
前記ロボットアームには、前記容器または前記ラックを保持するハンドが設けられ、
前記ハンドは、前記容器または前記ラックを上方から把持する第1ハンドと、前記容器または前記ラックを側方から把持する第2ハンドとを含み、
前記第1ハンドおよび前記第2ハンドは選択的に使用される、搬送方法。
【請求項34】
検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送する搬送方法であって、
第1検体測定装置と、前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で前記容器または前記ラックを、ロボットアームにより搬送し、
前記ロボットアームは、第1ロボットアームと第2ロボットアームとを含み、
前記第1ロボットアームと前記第2ロボットアームとの間で、前記容器または前記ラックを持ち替え可能である、搬送方法。
【請求項35】
検体測定装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送する搬送方法であって、
第1検体測定装置と、前記第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で前記容器または前記ラックを、ロボットアームにより搬送し、
前記第1検体測定装置側には、前記容器または前記ラックが排出される排出部または排出された前記容器または前記ラックが貯留される貯留部が設けられ、
前記複数の他の検体測定装置側には、前記容器または前記ラックが供給される供給部が設けられ、
前記排出部または前記貯留部からは、操作者により前記容器または前記ラックを取出し可能および前記ロボットアームにより前記容器または前記ラックを取出し可能であり、
前記供給部には、操作者により前記容器または前記ラックを受け渡し可能および前記ロボットアームにより前記容器または前記ラックを受け渡し可能である、搬送方法。
【請求項36】
前記ロボットアームは、前記容器または前記ラックの搬送元および搬送先の位置情報に基づいて動作が制御される、請求項
31~35のいずれか1項に記載の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送用装置、検体測定システムおよび搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の検体測定装置の間において容器が収納されたラックを搬送する搬送用装置が知られている。たとえば、特許文献1には、
図28に示すように、複数の検体測定装置901、902および903の間において容器911が収納されたラック910を搬送する搬送ベルト921を含む搬送ライン920と、ラック910の向きを変更するターンテーブル922とを備える搬送用装置900が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のような従来の搬送用装置900では、搬送ベルト921を含む搬送ライン920によりラック910を搬送するため、複数の検体測定装置901、902および903を搬送ライン920により接続する場合、搬送ライン920に沿って複数の検体測定装置901~903を配列する必要がある。このため、接続させる検体測定装置901~903の数が多くなると、配列方向の設置幅が大きくなるとともに、設置の自由度が低くなる。これらの結果、従来の搬送用装置を用いた場合、複数の検体測定装置の配列方向の設置幅が大きくなるとともに、複数の検体測定装置の設置の自由度を高くすることが困難であるという問題点がある。また、ターンテーブル922によりラック910の水平方向の向きを変更することは可能であるものの、複数の検体測定装置901~903のラック910の搬送高さ位置が異なる場合は、ラック910を搬送することが困難である。このため、複数の検体測定装置901~903のラックの搬送高さ位置を揃える必要がある。
【0005】
この発明は、複数の検体測定装置の配列方向の設置幅が大きくなるのを抑制しつつ、容器またはラックの搬送高さ位置を揃える必要がないとともに、複数の検体測定装置の設置の自由度を高くすることに向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の第1の局面による搬送用装置(10)は、検体測定装置で用いられる容器(41)または容器(41)が収納されるラック(40)を搬送する搬送用装置であって、第1検体測定装置(20)と、第1検体測定装置(20)とは異なる複数の他の検体測定装置(30)との間で容器(41)またはラック(40)を搬送するロボットアーム(11)と、ロボットアーム(11)の動作を制御する制御部(13)と、を備え、制御部は、複数の他の検体測定装置の各々に対する搬送回数、および、複数の他の検体測定装置の各々に対応する優先順位のうち少なくとも一方に基づいて容器またはラックを搬送する他の検体測定装置を決定する。
【0007】
第1の局面による搬送用装置(10)では、上記のように構成することによって、第1検体測定装置(20)と複数の他の検体測定装置(30)との間における容器(41)またはラック(40)の搬送をロボットアーム(11)により行うことができるので、第1検体測定装置(20)と複数の他の検体測定装置(30)とを、ベルトコンベアなどの搬送装置に沿って配列する必要がない。これにより、ロボットアーム(11)の稼働範囲内において、第1検体測定装置(20)と複数の他の検体測定装置(30)とを自由に配置することができるので、複数の検体測定装置の設置の自由度を高くすることができる。また、他の検体測定装置(30)を第1検体測定装置(20)に対して直線状に配置する必要がないので、複数の検体測定装置の配列方向の設置幅が大きくなるのを抑制することができる。また、第1検体測定装置(20)と複数の他の検体測定装置(30)との容器(41)またはラック(40)の搬送高さ位置を揃える必要がない。これらの結果、複数の検体測定装置の配列方向の設置幅が大きくなるのを抑制しつつ、容器(41)またはラック(40)の搬送高さ位置を揃える必要がないとともに、複数の検体測定装置の設置の自由度を高くすることができる。
この発明の第2の局面による搬送用装置は、検体測定装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送する搬送用装置であって、第1検体測定装置と、第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で容器またはラックを搬送するロボットアームと、ロボットアームの動作を制御する制御部と、ロボットアームに交換可能に設けられ、容器またはラックを把持するハンドと、を備える。
この発明の第3の局面による搬送用装置は、検体測定装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送する搬送用装置であって、第1検体測定装置と、第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で容器またはラックを搬送するロボットアームと、ロボットアームの動作を制御する制御部と、を備え、ロボットアームには、容器またはラックを保持するハンドが設けられ、ハンドは、容器またはラックを上方から把持する第1ハンドと、容器またはラックを側方から把持する第2ハンドとを含み、第1ハンドおよび第2ハンドは選択的に使用される。
この発明の第4の局面による搬送用装置は、検体測定装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送する搬送用装置であって、第1検体測定装置と、第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で容器またはラックを搬送するロボットアームと、ロボットアームの動作を制御する制御部と、を備え、ロボットアームは、第1ロボットアームと第2ロボットアームとを含み、第1ロボットアームと第2ロボットアームとの間で、容器またはラックを持ち替え可能である。
この発明の第5の局面による搬送用装置は、検体測定装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送する搬送用装置であって、第1検体測定装置と、第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で容器またはラックを搬送するロボットアームと、ロボットアームの動作を制御する制御部と、を備え、第1検体測定装置側には、容器またはラックが排出される排出部または排出された容器またはラックが貯留される貯留部が設けられ、複数の他の検体測定装置側には、容器またはラックが供給される供給部が設けられ、排出部または貯留部からは、操作者により容器またはラックを取出し可能およびロボットアームにより容器またはラックを取出し可能であり、供給部には、操作者により容器またはラックを受け渡し可能およびロボットアームにより容器またはラックを受け渡し可能である。
【0008】
上記第1~第5の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、制御部(13)は、容器(41)またはラック(40)の搬送元および搬送先の位置情報に基づいてロボットアーム(11)の動作を制御する。このように構成すれば、制御部(13)により位置を調整してロボットアーム(11)を動作させることができるので、第1検体測定装置(20)および他の検体測定装置(30)に対してロボットアーム(11)を支持する基台(12)を精度よく位置決めして設置しなくても、容器(41)またはラック(40)を精度よく搬送することができる。
【0009】
上記第1~第5の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、制御部(13)は、複数の他の検体測定装置(30)からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、ロボットアーム(11)の動作を制御する。このように構成すれば、他の検体測定装置(30)からの容器(41)またはラック(40)の搬出要求または搬入要求に応じて、ロボットアーム(11)により容器(41)またはラック(40)を搬送することができる。
【0010】
上記第1~第5の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、制御部(13)は、外部の制御システムから信号を受信し、外部の制御システムから受信した信号に基づいて、ロボットアーム(11)の動作を制御する。このように構成すれば、搬送用装置(10)を独立した装置として設けた場合でも、外部の制御システムの信号により、第1検体測定装置(20)や他の検体測定装置(30)と連携させることができる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部(13)は、外部の制御システムから受信した信号に含まれる搬送先情報に基づいて、複数の他の検体測定装置(30)のうちの1つの他の検体測定装置(30)に容器(41)またはラック(40)を搬送するように、ロボットアーム(11)の動作を制御する。このように構成すれば、搬送先情報に基づいて、搬送先を容易を決定して容器(41)またはラック(40)を搬送することができる。
【0012】
上記制御部(13)が外部の制御システムから受信した信号に基づいてロボットアーム(11)の動作を制御する構成の搬送用装置(10)において、好ましくは、外部の制御システムは、第1検体測定装置(20)に容器(41)またはラック(40)を搬送する搬送コンベアを制御するように構成されている。このように構成すれば、外部の制御システムにより搬送コンベアの搬送動作と、ロボットアーム(11)の搬送動作とを統括的に制御することができる。
【0013】
上記第1の局面による搬送用装置(10)では、制御部(13)は、複数の他の検体測定装置(30)の各々に対する搬送回数、および、複数の他の検体測定装置(30)の各々に対応する優先順位のうち少なくとも一方に基づいて容器(41)またはラック(40)を搬送する他の検体測定装置(30)を決定する。これにより、複数の他の検体測定装置(30)間で使用頻度に偏りが発生するのを抑制することができる。
【0014】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、制御部(13)は、搬送回数が少ない他の検体測定装置(30)を、容器(41)またはラック(40)を搬送する他の検体測定装置(30)に決定するとともに、搬送回数が同じ場合には、優先順位に基づいて容器(41)またはラック(40)を搬送する他の検体測定装置(30)に決定する。このように構成すれば、複数の他の検体測定装置(30)の各々を万遍なく使用することができるので、複数の他の検体測定装置(30)間で使用頻度に偏りが発生するのを効果的に抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、制御部(13)は、容器(41)またはラック(40)を1つの他の検体測定装置(30)に搬送した場合、容器(41)またはラック(40)を搬送した他の検体測定装置(30)の優先順位を下げる制御を行う。このように構成すれば、複数の他の検体測定装置(30)間で使用頻度に偏りが発生するのを効果的に抑制することができる。
【0016】
上記第1~第5の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、複数の他の検体測定装置(30)は、少なくとも第2検体測定装置と第3検体測定装置とを含み、ロボットアーム(11)は、第2検体測定装置と第3検体測定装置との間で容器(41)またはラック(40)を搬送可能である。このように構成すれば、第2検体測定装置と第3検体測定装置との間において容器(41)またはラック(40)を受け渡すための専用の装置を別途設ける必要がないので、装置構成を簡素化することができる。
【0017】
上記第1~第5の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、複数の他の検体測定装置(30)は、第1検体測定装置(20)とは異なる測定を行う。このように構成すれば、搬送用装置(10)により、容器(41)またはラック(40)を、互いに異なる測定を行う検体測定装置間において搬送することができる。
【0018】
上記第1~第5の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)は、ロボットアーム(11)を支持する基台(12)の周りに周状に配置された複数の他の検体測定装置(30)に容器(41)またはラック(40)を搬送する。このように構成すれば、ロボットアーム(11)と複数の他の検体測定装置(30)との距離を互いに同等にすることができるので、容器(41)またはラック(40)を他の検体測定装置(30)に搬送する際のロボットアーム(11)の制御を、複数の他の検体測定装置(30)に対して同様の制御により行うことができる。これにより、ロボットアーム(11)の制御が複雑になるのを抑制することができる。
【0019】
この場合、好ましくは、ロボットアーム(11)は、容器(41)またはラック(40)を供給するための供給部(301)が基台(12)に対して対向するように配置された複数の他の検体測定装置(30)に容器(41)またはラック(40)を搬送する。このように構成すれば、ロボットアーム(11)を支持する基台(12)を囲むように複数の他の検体測定装置(30)を配置することができるので、他の検体測定装置(30)を直線的に並べる場合に比べて、他の検体測定装置(30)の配列方向の設置幅を小さくすることができる。
【0020】
上記第1~第5の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)を支持する基台(12)は、設置面に対して移動可能である。このように構成すれば、搬送用装置(10)を第1検体測定装置(20)および他の検体測定装置(30)に対して移動させることができるので、搬送用装置(10)を、他の装置や操作者に対して邪魔にならない位置に自由に配置することができる。また、搬送用装置(10)、第1検体測定装置(20)または他の検体測定装置(30)をメンテナンスのために移動させることができる。これにより、メンテナンスを行うために、他の装置や壁との間に隙間を設けて配置する必要がないので、設置面積が大きくなるのを抑制することができるとともに、複数の検体測定装置の設置の自由度をより高くすることができる。
【0021】
この場合、好ましくは、基台(12)は、基台(12)を設置面に対して移動させるキャスタ(121)と伸縮可能な固定用脚(122)とを含み、固定用脚(122)をキャスタ(121)が設置面から浮上するように伸ばすことにより、設置面に対して固定される。このように構成すれば、キャスタ(121)によりロボットアーム(11)を支持する基台(12)を容易に移動させることができるとともに、固定用脚(122)により、基台(12)を設置面に対して容易に固定することができる。
【0022】
上記第1~第5の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)は、複数の駆動部(116a、116b、116c、116d)を含み、制御部(13)は、搬送元および搬送先の位置情報に基づいて、複数の駆動部(116a、116b、116c、116d)の駆動を制御して、容器(41)またはラック(40)を搬送する。このように構成すれば、位置情報に基づいて、複数の駆動部(116a、116b、116c、116d)を駆動させてロボットアーム(11)を駆動させることができるので、容器(41)またはラック(40)の搬送の自由度を高めながら、容器(41)またはラック(40)を精度よく搬送することができる。
【0023】
上記第2の局面による搬送用装置(10)では、ロボットアーム(11)に交換可能に設けられ、容器(41)またはラック(40)を把持するハンドを備える。これにより、ハンド(114、115)により容器(41)またはラック(40)を確実に保持して搬送することができる。また、ハンド(114、115)を交換することができるので、容器(41)の形状やラック(40)の形状に応じて、容器(41)またはラック(40)を保持するのに適したハンド(114、115)を選択してロボットアーム(11)に設けることができる。
【0024】
上記第3の局面による搬送用装置(10)では、ロボットアーム(11)には、容器(41)またはラック(40)を保持するハンドが設けられ、ハンドは、容器(41)またはラック(40)を上方から把持する第1ハンド(114)と、容器(41)またはラック(40)を側方から把持する第2ハンド(115)とを含み、第1ハンド(114)および第2ハンド(115)は選択的に使用される。これにより、ラック(40)を受け渡す位置の状態に応じて、ラック(40)を把持する方向を使い分けることができるので、第1ハンド(114)および第2ハンド(115)により、ラック(40)を容易に把持することができる。
【0025】
上記第4の局面による搬送用装置(10)では、ロボットアーム(11)は、第1ロボットアーム(11a)と第2ロボットアーム(11b)とを含み、第1ロボットアーム(11a)と第2ロボットアーム(11b)との間で、容器(41)またはラック(40)を持ち替え可能である。これにより、容器(41)またはラック(40)を持ち替えることにより、容器(41)またはラック(40)の方向を容易に調整することができる。また、容器(41)またはラック(40)を受け渡す位置の状態に応じて複数のロボットアーム(11)を使い分けることができるので、容器(41)またはラック(40)の受け渡す位置の状態に応じたロボットアーム(11)により、容器(41)またはラック(40)を容易に受け渡すことができる。
【0026】
上記第5の局面による搬送用装置(10)では、第1検体測定装置(20)側には、容器(41)またはラック(40)が排出される排出部(202)または排出された容器(41)またはラック(40)が貯留される貯留部(53)が設けられ、複数の他の検体測定装置(30)側には、容器(41)またはラック(40)が供給される供給部(301)が設けられ、排出部(202)または貯留部(53)からは、操作者により容器(41)またはラック(40)を取出し可能およびロボットアーム(11)により容器(41)またはラック(40)を取出し可能であり、供給部(301)には、操作者により容器(41)またはラック(40)を受け渡し可能およびロボットアーム(11)により容器(41)またはラック(40)を受け渡し可能である。これにより、操作者により容器(41)またはラック(40)を取り出す排出部(202)または貯留部(53)から、ロボットアーム(11)により容器(41)またはラック(40)を取出し、操作者により容器(41)またはラック(40)を受け渡す供給部(301)に、ロボットアーム(11)により容器(41)またはラック(40)を受け渡すことができるので、ロボットアーム(11)専用の排出部(202)および供給部を別途設ける必要がない。これにより、装置構成を簡素化することができる。
【0027】
上記第5の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、排出部(202)または貯留部(53)と、供給部(301)とは、設置面からの高さ位置が互いに異なる位置に配置されており、ロボットアーム(11)は、排出部(202)または貯留部(53)から、設置面からの高さが異なる供給部(301)に、容器(41)またはラック(40)を搬送する。このように構成すれば、排出部(202)または貯留部(53)と供給部(301)との高さが異なる場合でも、別途昇降装置を設けることなく容器(41)またはラック(40)を搬送することができる。また、高さの異なる測定装置を容易に組み合わせて使用することができるので、測定装置の選択の自由度を効果的に高めることができる。
【0028】
上記第1~第5の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)は、稼動中に搬送する物体以外の物体と接触した場合に動作が停止される。このように構成すれば、たとえば、ロボットアーム(11)が操作者に接触した場合でも、操作者に大きな衝撃が伝わるのを抑制することができる。また、ロボットアーム(11)に過度の負荷がかかるのを抑制することができる。
【0029】
上記第1~第5の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)は、ラック(40)を取り出す際に、複数のラック(40)が配置される方向に、ラック(40)を把持するハンドを段階的に移動させてラック(40)を検出し、ラック(40)を検知した場合に、ハンドによりラック(40)を保持する。このように構成すれば、ラック(40)を取り出す際にラック(40)の位置を正確に取得しなくても、ハンド(115)によりラック(40)を容易に保持して取り出すことができる。
【0030】
この場合、好ましくは、ハンドには、ラック(40)を検知する非接触式のセンサ(1153)が設けられている。このように構成すれば、非接触式のセンサ(1153)により、ラック(40)に接触することなくラック(40)を確実に検知することができる。
【0031】
上記第1~第5の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)は、容器(41)またはラック(40)を取り出す際に、容器(41)またはラック(40)を押圧して移動させてから容器(41)またはラック(40)を保持する。このように構成すれば、ラック(40)の取り出し時に、ラック(40)の位置が傾いていた場合でも、押圧して移動させることにより、ラック(40)の姿勢を調整することができるので、ラック(40)が傾いて保持されたり、保持し損ねることを抑制することができる。
【0032】
上記第1~第5の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、第1検体測定装置(20)は、血球測定装置であり、他の検体測定装置(30)は、細菌検査装置である。このように構成すれば、血球測定装置と細菌検査装置との間で、容器(41)またはラック(40)を搬送することができるので、血球測定と、細菌検査との両方を自動で続けて行うことができる。
【0033】
この発明の第6の局面による検体測定システム(100)は、第1検体測定装置(20)と、第1検体測定装置(20)とは異なる複数の他の検体測定装置(30)と、第1検体測定装置(20)と他の検体測定装置(30)との間で、検体測定装置で用いられる容器(41)または容器(41)が収納されるラック(40)を搬送するロボットアーム(11)と、ロボットアーム(11)の動作を制御する制御部(13)と、を含む、搬送用装置(10)と、を備え、制御部は、複数の他の検体測定装置の各々に対する搬送回数、および、複数の他の検体測定装置の各々に対応する優先順位のうち少なくとも一方に基づいて容器またはラックを搬送する他の検体測定装置を決定する。
【0034】
第6の局面による検体測定システム(100)では、上記のように構成することによって、第1検体測定装置(20)と複数の他の検体測定装置(30)との間における容器(41)またはラック(40)の搬送をロボットアーム(11)により行うことができるので、第1検体測定装置(20)と複数の他の検体測定装置(30)とを、ベルトコンベアなどの搬送装置に沿って配列する必要がない。これにより、ロボットアーム(11)の稼働範囲内において、第1検体測定装置(20)と複数の他の検体測定装置(30)とを自由に配置することができるので、複数の検体測定装置の設置の自由度を高くすることができる。また、他の検体測定装置(30)を第1検体測定装置(20)に対して直線状に配置する必要がないので、複数の検体測定装置の配列方向の設置幅が大きくなるのを抑制することができる。また、第1検体測定装置(20)と複数の他の検体測定装置(30)との容器(41)またはラック(40)の搬送高さ位置を揃える必要がない。これらの結果、複数の検体測定装置の配列方向の設置幅が大きくなるのを抑制しつつ、容器(41)またはラック(40)の搬送高さ位置を揃える必要がないとともに、複数の検体測定装置の設置の自由度を高くすることが可能な検体測定システム(100)を提供することができる。
この発明の第7の局面による検体測定システムは、第1検体測定装置と、第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置と、第1検体測定装置と他の検体測定装置との間で、検体測定装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送するロボットアームと、ロボットアームの動作を制御する制御部と、ロボットアームに交換可能に設けられ、容器またはラックを把持するハンドと、を含む、搬送用装置と、を備える。
この発明の第8の局面による検体測定システムは、第1検体測定装置と、第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置と、第1検体測定装置と他の検体測定装置との間で、検体測定装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送するロボットアームと、ロボットアームの動作を制御する制御部と、を含む、搬送用装置と、を備え、ロボットアームには、容器またはラックを保持するハンドが設けられ、ハンドは、容器またはラックを上方から把持する第1ハンドと、容器またはラックを側方から把持する第2ハンドとを含み、第1ハンドおよび第2ハンドは選択的に使用される。
この発明の第9の局面による検体測定システムは、第1検体測定装置と、第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置と、第1検体測定装置と他の検体測定装置との間で、検体測定装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送するロボットアームと、ロボットアームの動作を制御する制御部と、を含む、搬送用装置と、を備え、ロボットアームは、第1ロボットアームと第2ロボットアームとを含み、第1ロボットアームと第2ロボットアームとの間で、容器またはラックを持ち替え可能である。
この発明の第10の局面による検体測定システムは、第1検体測定装置と、第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置と、第1検体測定装置と他の検体測定装置との間で、検体測定装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送するロボットアームと、ロボットアームの動作を制御する制御部と、を含む、搬送用装置と、を備え、第1検体測定装置側には、容器またはラックが排出される排出部または排出された容器またはラックが貯留される貯留部が設けられ、複数の他の検体測定装置側には、容器またはラックが供給される供給部が設けられ、排出部または貯留部からは、操作者により容器またはラックを取出し可能およびロボットアームにより容器またはラックを取出し可能であり、供給部には、操作者により容器またはラックを受け渡し可能およびロボットアームにより容器またはラックを受け渡し可能である。
【0035】
この発明の第11の局面による搬送方法は、検体測定装置で用いられる容器(41)または容器(41)が収納されるラック(40)を搬送する搬送方法であって、第1検体測定装置(20)と、第1検体測定装置(20)とは異なる複数の他の検体測定装置(30)との間で容器(41)またはラック(40)を、ロボットアーム(11)により搬送し、複数の他の検体測定装置の各々に対する搬送回数、および、複数の他の検体測定装置の各々に対応する優先順位のうち少なくとも一方に基づいて容器またはラックを搬送する他の検体測定装置を決定する。
【0036】
第11の局面による搬送方法では、上記のように構成することによって、第1検体測定装置(20)と複数の他の検体測定装置(30)との間における容器(41)またはラック(40)の搬送をロボットアーム(11)により行うことができるので、第1検体測定装置(20)と複数の他の検体測定装置(30)とを、ベルトコンベアなどの搬送装置に沿って配列する必要がない。これにより、ロボットアーム(11)の稼働範囲内において、第1検体測定装置(20)と複数の他の検体測定装置(30)とを自由に配置することができるので、複数の検体測定装置の設置の自由度を高くすることができる。また、他の検体測定装置(30)を第1検体測定装置(20)に対して直線状に配置する必要がないので、複数の検体測定装置の配列方向の設置幅が大きくなるのを抑制することができる。また、第1検体測定装置(20)と複数の他の検体測定装置(30)との容器(41)またはラック(40)の搬送高さ位置を揃える必要がない。これらの結果、複数の検体測定装置の配列方向の設置幅が大きくなるのを抑制しつつ、容器(41)またはラック(40)の搬送高さ位置を揃える必要がないとともに、複数の検体測定装置の設置の自由度を高くすることが可能な搬送方法を提供することができる。
この発明の第12の局面による搬送方法は、検体測定装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送する搬送方法であって、第1検体測定装置と、第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で容器またはラックを、ロボットアームにより搬送し、ロボットアームには、容器またはラックを把持するハンドが交換可能に設けられている。
この発明の第13の局面による搬送方法は、検体測定装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送する搬送方法であって、第1検体測定装置と、第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で容器またはラックを、ロボットアームにより搬送し、ロボットアームには、容器またはラックを保持するハンドが設けられ、ハンドは、容器またはラックを上方から把持する第1ハンドと、容器またはラックを側方から把持する第2ハンドとを含み、第1ハンドおよび第2ハンドは選択的に使用される。
この発明の第14の局面による搬送方法は、検体測定装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送する搬送方法であって、第1検体測定装置と、第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で容器またはラックを、ロボットアームにより搬送し、ロボットアームは、第1ロボットアームと第2ロボットアームとを含み、第1ロボットアームと第2ロボットアームとの間で、容器またはラックを持ち替え可能である。
この発明の第15の局面による搬送方法は、検体測定装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送する搬送方法であって、第1検体測定装置と、第1検体測定装置とは異なる複数の他の検体測定装置との間で容器またはラックを、ロボットアームにより搬送し、第1検体測定装置側には、容器またはラックが排出される排出部または排出された容器またはラックが貯留される貯留部が設けられ、複数の他の検体測定装置側には、容器またはラックが供給される供給部が設けられ、排出部または貯留部からは、操作者により容器またはラックを取出し可能およびロボットアームにより容器またはラックを取出し可能であり、供給部には、操作者により容器またはラックを受け渡し可能およびロボットアームにより容器またはラックを受け渡し可能である。
【0037】
上記第11~第15の局面による搬送方法において、好ましくは、ロボットアーム(11)は、容器(41)またはラック(40)の搬送元および搬送先の位置情報に基づいて動作が制御される。このように構成すれば、位置を調整してロボットアーム(11)を動作させることができるので、第1検体測定装置(20)および他の検体測定装置(30)に対してロボットアーム(11)を支持する基台(12)を精度よく位置決めして設置しなくても、容器(41)またはラック(40)を精度よく搬送することができる。
【発明の効果】
【0038】
複数の検体測定装置の配列方向の設置幅が大きくなるのを抑制しつつ、容器またはラックの搬送高さ位置を揃える必要がないとともに、複数の検体測定装置の設置の自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】第1実施形態による搬送用装置が設けられた検体測定システムの概略を示した図である。
【
図2】第1実施形態による搬送用装置が設けられた検体測定システムを示した斜視図である。
【
図3】第1実施形態による搬送用装置が設けられた検体測定システムを示した平面図である。
【
図4】ロボットアームの駆動を説明するためのブロック図である。
【
図5】搬送用装置の固定方法の一例を説明するための図である。
【
図8】ラックの検出方法の一例を説明するための図である。
【
図9】ラックの位置調整の第1例を説明するための図である。
【
図10】ラックの位置調整の第2例を説明するための図である。
【
図11】検体測定システムの各装置の高さ位置を示した正面図である。
【
図12】撮像部が設けられたロボットアームを示した図である。
【
図13】ホストコンピュータが有するテーブルの一例を示した図である。
【
図14】搬送部の制御部が有するテーブルの一例を示した図である。
【
図15】ロボットアームの制御部が有するテーブルの一例を示した図である。
【
図16】搬送部の制御部による搬送処理を説明するためのフローチャートである。
【
図17】ロボットアームの制御部による搬送処理(搬入)を説明するためのフローチャートである。
【
図18】ロボットアームの制御部による搬送処理(搬出)を説明するためのフローチャートである。
【
図19】他の検体測定装置の制御部による制御処理を説明するためのフローチャートである。
【
図20】第2実施形態による搬送用装置が設けられた検体測定システムを示した斜視図である。
【
図21】第2実施形態による搬送用装置が設けられた検体測定システムを示した平面図である。
【
図22】ホストコンピュータが有するテーブルの一例を示した図である。
【
図23】搬送部の制御部が有するテーブルの一例を示した図である。
【
図24】ロボットアームの制御部が有するテーブルの一例を示した図である。
【
図25】搬送部の制御部による搬送処理を説明するためのフローチャートである。
【
図26】ロボットアームの制御部による搬送処理を説明するための第1フローチャートである。
【
図27】ロボットアームの制御部による搬送処理を説明するための第2フローチャートである。
【
図28】従来技術における搬送用装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0041】
(搬送用装置の概要)
図1を参照して、搬送用装置10の概要について説明する。
【0042】
搬送用装置10は、検体測定装置で用いられる容器41または容器41が収納されるラック40を搬送する搬送用装置10である。容器41には、検体が入れられて、検体測定装置に搬送される。検体は、被検体(被験者)から採取した生体試料であり、たとえば血液、尿や細胞などである。
【0043】
図1に示すように、搬送用装置10は、検体測定システム100に設けられている。検体測定システム100は、搬送用装置10と、第1検体測定装置20と、複数の他の検体測定装置30とを備えている。検体測定システム100は、たとえば、臨床検査に用いられる。検体測定システム100は、病院や検査機関に設けられている。
【0044】
搬送用装置10は、ロボットアーム11と、基台12と、制御部13とを含んでいる。ロボットアーム11は、たとえば、第1ロボットアーム11aと、第2ロボットアーム11bとを含んでいる。つまり、ロボットアーム11は、2つ設けられている。なお、ロボットアーム11は、単数であってもよいし、3以上の複数であってもよい。ここで、本実施形態では、ロボットアーム11は、第1検体測定装置20と、第1検体測定装置20とは異なる複数の他の検体測定装置30との間で容器41またはラック40を搬送する。具体的には、ロボットアーム11は、容器41が収容されたラック40を搬送する。なお、ロボットアーム11が容器41を直接保持して搬送してもよい。ロボットアーム11は、水平方向および鉛直方向に容器41またはラック40を搬送することが可能である。
【0045】
これにより、第1検体測定装置20と複数の他の検体測定装置30との間における容器41またはラック40の搬送をロボットアーム11により行うことができるので、第1検体測定装置20と複数の他の検体測定装置30とを、ベルトコンベアなどの搬送装置に沿って配列する必要がない。これにより、ロボットアーム11の稼働範囲内において、第1検体測定装置20と複数の他の検体測定装置30とを自由に配置することができるので、複数の検体測定装置の設置の自由度を高くすることができる。また、他の検体測定装置30を第1検体測定装置20に対して直線状に配置する必要がないので、複数の検体測定装置の配列方向の設置幅が大きくなるのを抑制することができる。また、第1検体測定装置20と複数の他の検体測定装置30との容器41またはラック40の搬送高さ位置を揃える必要がない。これらの結果、複数の検体測定装置の配列方向の設置幅が大きくなるのを抑制しつつ、容器41またはラック40の搬送高さ位置を揃える必要がないとともに、複数の検体測定装置の設置の自由度を高くすることができる。
【0046】
[第1実施形態]
(検体測定システム)
図2および
図3を参照して、第1実施形態による検体測定システム100の具体例について説明する。
【0047】
検体測定システム100は、
図2に示すように、搬送用装置10と、第1検体測定装置20と、複数の他の検体測定装置30とを備えている。第1検体測定装置20は、検体測定装置20a、20b、20cおよび20dを含んでいる。複数の他の検体測定装置30は、検体測定装置30a、30bおよび30cを含んでいる。第1検体測定装置20は、搬送部50を備えている。搬送部50は、ラック40を投入する投入部51と、ラック40を回収する回収部52と、ラック40を貯留する貯留部53と、を含んでいる。また、搬送部50は、順送ライン50aと、帰還ライン50bとを含んでいる。順送ライン50aおよび帰還ライン50bは、それぞれ、搬送コンベアを有している。
【0048】
また、検体測定システム100は、
図3に示すように、ホストコンピュータ60を備えている。第1検体測定装置20の検体測定装置20aおよび20bは、制御部21に接続されている。第1検体測定装置20の検体測定装置20cは、制御部22に接続されている。検体測定装置30aは、制御部31を含んでいる。検体測定装置30bは、制御部32を含んでいる。検体測定装置30cは、制御部33を含んでいる。搬送部50は、制御部54を含んでいる。また、貯留部53は、制御部55を含んでいる。制御部13、21、22、31、32、33、54、55は、ホストコンピュータ60と通信可能に接続されている。
【0049】
また、第1検体測定装置20には、それぞれ、容器41またはラック40が供給される供給部201が設けられている。また、第1検体測定装置20には、それぞれ、容器41またはラック40が排出される排出部202が設けられている。
【0050】
また、複数の他の検体測定装置30には、それぞれ、容器41またはラック40が供給される供給部301が設けられている。また、複数の他の検体測定装置30には、それぞれ、容器41またはラック40が排出される排出部302が設けられている。
【0051】
ロボットアーム11は、たとえば、電動モータの駆動により動作する。ロボットアーム11は、エンコーダなどを含み、電動モータの駆動量が制御される。また、ロボットアーム11は、定格出力が所定の仕事率以下である。具体的には、ロボットアーム11の定格出力は、操作者が存在する領域において可動することが可能な出力以下である。たとえば、ロボットアーム11は、定格出力が80W以下である。これにより、ロボットアーム11の出力を小さくすることができるので、安全柵や監視装置を設けなくても、操作者がロボットアーム11の稼働領域に入ることができる。また、省エネルギー化を図ることができる。
【0052】
第1ロボットアーム11aは、第1リンク部材111と、第2リンク部材112と、上下駆動部113とを備えている。第1ロボットアーム11aには、ラック40を保持することが可能な第1ハンド114が設けられている。第2ロボットアーム11bは、第1リンク部材111と、第2リンク部材112と、上下駆動部113とを備えている。第2ロボットアーム11bには、ラック40を保持することが可能な第2ハンド115が設けられている。第1リンク部材111は、垂直方向の回転軸線まわりに回転可能である。第2リンク部材112は、垂直方向の回転軸線回りに回転可能に第1リンク部材111に結合されている。
【0053】
第1ロボットアーム11aは、第1リンク部材111および第2リンク部材112が回動されることにより、第1ハンド114を水平方向に移動させることが可能である。つまり、第1ロボットアーム11aは、第1リンク部材111および第2リンク部材112により、第1ハンド114を水平方向に並進移動させるとともに、水平方向に回転させることが可能である。これにより、第1ハンド114により保持されるラック40を水平方向に移動させることが可能である。
【0054】
第1ロボットアーム11aは、上下駆動部113を駆動させることにより、第1ハンド114を上下方向に移動させることが可能である。これにより、第1ハンド114により保持されるラック40を上下方向に移動させることが可能である。
【0055】
第2ロボットアーム11bは、第1リンク部材111および第2リンク部材112が回動されることにより、第2ハンド115を水平方向に移動させることが可能である。つまり、第2ロボットアーム11bは、第1リンク部材111および第2リンク部材112により、第2ハンド115を水平方向に並進移動させるとともに、水平方向に回転させることが可能である。これにより、第2ハンド115により保持されるラック40を水平方向に移動させることが可能である。
【0056】
第2ロボットアーム11bは、上下駆動部113を駆動させることにより、第2ハンド115を上下方向に移動させることが可能である。これにより、第2ハンド115により保持されるラック40を上下方向に移動させることが可能である。
【0057】
ロボットアーム11は、第1ロボットアーム11aと第2ロボットアーム11bとの間で、ラック40を持ち替え可能である。これにより、ラック40の方向を容易に調整することができる。また、ラック40を受け渡す位置の状態に応じて複数のロボットアーム11を使い分けることができるので、ラック40の受け渡す位置の状態に応じたロボットアーム11により、ラック40を容易に受け渡すことができる。
【0058】
なお、ロボットアーム11は、第1ロボットアーム11aと第2ロボットアーム11bとの間で、ラック40を持ち替えずにラック40を搬送してもよい。たとえば、ロボットアーム11は、1本だけ設けられていてもよい。この場合、1本のロボットアーム11により、ラック40を、搬送元から取り、搬送し、搬送先に載置してもよい。また、複数のロボットアーム11を設ける場合において、複数のロボットアーム11を並行して稼働させてもよい。つまり、複数のロボットアーム11が、各々、ラック40を、搬送元から取り、搬送し、搬送先に載置してもよい。
【0059】
ロボットアーム11は、ロボットアーム11を支持する基台12の周りに周状に配置された複数の他の検体測定装置30に容器41またはラック40を搬送する。具体的には、複数の他の検体測定装置30a~30cは、基台12の周りに等角度間隔で配置されている。ロボットアーム11は、検体測定装置30a~30cの各々に容器41が収納されたラック40を搬送することが可能である。これにより、ロボットアーム11と複数の他の検体測定装置30との距離を互いに同等にすることができるので、容器41またはラック40を他の検体測定装置30に搬送する際のロボットアーム11の制御を、複数の他の検体測定装置30に対して同様の制御により行うことができる。これにより、ロボットアーム11の制御が複雑になるのを抑制することができる。
【0060】
なお、複数の他の検体測定装置30a~30cは、周状に配置されていなくてもよい。たとえば、複数の他の検体測定装置30a~30cは、直線状に配置されていてもよい。つまり、ロボットアーム11により、複数の他の検体測定装置30a~30cに対して、容器41またはラック40を搬送可能であれば、複数の他の検体測定装置30a~30cは、周状に配置されていなくてもよい。この場合、ロボットアーム11は、複数の他の検体測定装置30a~30cに干渉しないように、移動領域が制限されていてもよい。つまり、ロボットアーム11は、近い位置の他の検体測定装置30に対しては、アームを折り畳んだ状態でアクセスし、遠い位置の他の検体測定装置30に対しては、アームを伸ばした状態でアクセスしてもよい。
【0061】
また、ロボットアーム11は、容器41またはラック40を供給するための供給部301が基台12に対して対向するように配置された複数の他の検体測定装置30に容器41またはラック40を搬送する。これにより、ロボットアーム11を支持する基台12を囲むように複数の他の検体測定装置30を配置することができるので、他の検体測定装置30を直線的に並べる場合に比べて、他の検体測定装置30の配列方向の設置幅を小さくすることができる。また、ロボットアーム11は、容器41またはラック40を排出するための排出部302が基台12に対して対向するように配置された複数の他の検体測定装置30に容器41またはラック40を搬送する。
【0062】
ロボットアーム11は、稼動中に搬送する物体以外の物体と接触した場合に、動作が停止される。ロボットアーム11は、たとえば、駆動電流を検出し、駆動電流が所定のしきい値を超えた場合に、物体と接触したことを検知してもよい。また、ロボットアーム11の動作を監視するカメラなどにより、ロボットアーム11と物体との接触を検知してもよい。また、センサなどにより、ロボットアーム11と物体との接触を検知してもよい。これにより、たとえば、ロボットアーム11が操作者に接触した場合でも、操作者に大きな衝撃が伝わるのを抑制することができる。また、ロボットアーム11に過度の負荷がかかるのを抑制することができる。
【0063】
ロボットアーム11は、操作者に干渉しない位置に退避可能である。これにより、操作者の操作にロボットアーム11が干渉するのを抑制することができるので、操作者の作業効率が低下するのを抑制することが可能である。
【0064】
ロボットアーム11は、操作者が複数の他の検体測定装置30の少なくとも1つを操作するための空間を稼動範囲に含む。つまり、ロボットアーム11の稼働範囲と、操作者が操作するための空間とは重なる部分を有している。これにより、ロボットアーム11を使用しながら、操作者によって第1検体測定装置20または他の検体測定装置30に対して操作を行うことができるので、操作の利便性および汎用性を向上させることができる。
【0065】
また、貯留部53からは、操作者により容器41またはラック40を取出し可能およびロボットアーム11により容器41またはラック40を取出し可能であってもよい。また、他の検体測定装置30の供給部301には、操作者により容器41またはラック40を受け渡し可能およびロボットアーム11により容器41またはラック40を受け渡し可能であってもよい。これにより、操作者により容器41またはラック40を取り出す貯留部53から、ロボットアーム11により容器41またはラック40を取出し、操作者により容器41またはラック40を受け渡す供給部301に、ロボットアーム11により容器41またはラック40を受け渡すことができるので、ロボットアーム11専用の排出部および供給部を別途設ける必要がない。これにより、装置構成を簡素化することができる。
【0066】
基台12は、ロボットアーム11を支持している。具体的には、基台12は、ロボットアーム11を下方から支持している。基台12は、第1検体測定装置20および他の検体測定装置30に対して独立して配置されている。また、基台12は、第1検体測定装置20および他の検体測定装置30が設置される設置面に対して独立して配置されている。つまり、基台12は、設置面に対して移動可能である。
【0067】
また、基台12は、第1検体測定装置20および他の検体測定装置30の操作者が立入可能な領域に設置されている。これにより、操作者の操作に替えてロボットアーム11によっても第1検体測定装置20または他の検体測定装置30に対して操作を行うことができるので、汎用性を向上させることができる。
【0068】
制御部13は、ロボットアーム11の動作を制御する。制御部13は、たとえば、CPU(中央処理ユニット)、メモリなどを含んでいる。また、制御部13は、ロボットアーム11に有線または無線により接続されている。つまり、制御部13は、ロボットアーム11を制御する信号をロボットアーム11に対して有線通信または無線通信により送信する。これにより、制御部13の制御により、ロボットアーム11を稼働させて、容器41またはラック40を容易に搬送することができる。
【0069】
制御部13は、たとえば、基台12に格納されている。これにより、制御部13を基台12とは別個に設ける場合に比べて、設置面積を小さくすることができる。また、制御部13とロボットアーム11との間の距離を小さくすることができる。その結果、制御部13とロボットアーム11とを有線により接続する場合は、接続する線を短くすることができるので、装置構成を簡素化することができる。また、制御部13とロボットアーム11とを無線により接続する場合は、通信を安定させることができる。なお、制御部13は、基台12の外に設けられていてもよい。
【0070】
制御部13は、容器41またはラック40の搬送元および搬送先の位置情報に基づいてロボットアーム11の動作を制御する。これにより、制御部13により位置を調整してロボットアーム11を動作させることができるので、第1検体測定装置20および他の検体測定装置30に対してロボットアーム11を支持する基台12を精度よく位置決めして設置しなくても、容器41またはラック40を精度よく搬送することができる。
【0071】
第1検体測定装置20は、たとえば、血液を測定する装置や、免疫を検査する装置や、尿を検査する装置や、細菌を検査する装置などある。第1検体測定装置20は、たとえば、血球測定装置である。他の検体測定装置30は、第1検体測定装置20に対して、搬送用装置10を挟んで反対側に配置されている。他の検体測定装置30は、たとえば、第1検体測定装置20の測定に加えて必要な場合に検体を測定する装置である。他の検体測定装置30は、たとえば、細菌検査装置である。また、他の検体測定装置30は、たとえば、免疫項目を測定する装置である。つまり、第1検体測定装置20と、他の検体測定装置30とは、異なる測定を行う。
【0072】
制御部21は、検体測定装置20a、20bの動作を制御する。制御部21は、たとえば、CPU、メモリなどを含んでいる。制御部21は、たとえば、検体測定装置20aおよび20bの外部に設けられたコンピュータにより構成されている。制御部21は、検体測定装置20a、20bに内蔵されていてもよい。制御部21は、ホストコンピュータ60のオーダー情報に基づいて、容器41に入れられた検体の測定を行うように制御する。つまり、制御部21は、検体測定装置20a、20bにより測定するというオーダーのある検体に対して、検体測定装置20a、20bにより測定を行うように制御する。
【0073】
制御部22は、検体測定装置20cの動作を制御する。制御部22は、たとえば、CPU、メモリなどを含んでいる。制御部22は、たとえば、検体測定装置20cの外部に設けられたコンピュータにより構成されている。制御部22は、検体測定装置20cに内蔵されていてもよい。制御部22は、ホストコンピュータ60のオーダー情報に基づいて、容器41に入れられた検体の測定を行うように制御する。つまり、制御部22は、検体測定装置20cにより測定するというオーダーのある検体に対して、検体測定装置20cにより測定を行うように制御する。
【0074】
制御部31は、検体測定装置30aの動作を制御する。制御部31は、たとえば、CPU、メモリなどを含んでいる。制御部31は、検体測定装置30aに内蔵されている。制御部31は、ホストコンピュータ60のオーダー情報に基づいて、容器41に入れられた検体の測定を行うように制御する。つまり、制御部31は、検体測定装置30aにより測定するというオーダーのある検体に対して、検体測定装置30aにより測定を行うように制御する。
【0075】
制御部32は、検体測定装置30bの動作を制御する。制御部32は、たとえば、CPU、メモリなどを含んでいる。制御部32は、検体測定装置30bに内蔵されている。制御部32は、ホストコンピュータ60のオーダー情報に基づいて、容器41に入れられた検体の測定を行うように制御する。つまり、制御部32は、検体測定装置30bにより測定するというオーダーのある検体に対して、検体測定装置30bにより測定を行うように制御する。
【0076】
制御部33は、検体測定装置30cの動作を制御する。制御部33は、たとえば、CPU、メモリなどを含んでいる。制御部33は、検体測定装置30cに内蔵されている。制御部33は、ホストコンピュータ60のオーダー情報に基づいて、容器41に入れられた検体の測定を行うように制御する。つまり、制御部33は、検体測定装置30cにより測定するというオーダーのある検体に対して、検体測定装置30cにより測定を行うように制御する。
【0077】
搬送用装置10の制御部13は、複数の他の検体測定装置30からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、ロボットアーム11の動作を制御する。これにより、他の検体測定装置30からの容器41またはラック40の搬出要求または搬入要求に応じて、ロボットアーム11により容器41またはラック40を搬送することができる。
【0078】
また、搬送用装置10の制御部13は、第1検体測定装置20からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、ロボットアーム11の動作を制御してもよい。これにより、第1検体測定装置20からの容器41またはラック40の搬出要求に応じて、ロボットアーム11によりラック40を搬送することができる。
【0079】
たとえば、第1検体測定装置20からラック40を搬出する場合、制御部13は、貯留部53の制御部55からのReady信号のON/OFFに基づいて、ロボットアーム11の動作を制御する。具体的には、制御部13は、貯留部53からのReady信号のONを受信すると、Move信号のONを貯留部53に送信する。そして、貯留部53側では、ラック40の搬送が停止される。制御部13は、貯留部53からラック40の搬送が停止されたことを示すReady信号のOFFに基づいて、ロボットアーム11を動作させて、貯留部53からラック40を搬出する。そして、ラック40の搬送後、制御部13は、Move信号のOFFを貯留部53に送信する。これにより、貯留部53では、ラック40の搬送が再開可能となる。
【0080】
また、他の検体測定装置30にラック40を搬入する場合、制御部13は、他の検体測定装置30の制御部31、32、33からのReady信号のON/OFFに基づいて、ロボットアーム11の動作を制御する。具体的には、制御部13は、他の検体測定装置30からのReady信号のONを受信すると、Move信号のONを他の検体測定装置30に送信する。そして、他の検体測定装置30側では、ラック40の搬送が停止される。制御部13は、他の検体測定装置30からラック40の搬送が停止されたことを示すReady信号のOFFに基づいて、ロボットアーム11を動作させて、他の検体測定装置30にラック40を搬入する。そして、ラック40の搬送後、制御部13は、Move信号のOFFを他の検体測定装置30に送信する。これにより、他の検体測定装置30側では、ラック40の搬送が再開可能となる。なお、他の検体測定装置30からラック40を搬出する際も同様の信号のやり取りが行われ、ロボットアーム11の動作が制御される。
【0081】
また、制御部13は、外部の制御システムである搬送部50の制御部54から信号を受信し、制御部54から受信した信号に基づいて、ロボットアーム11の動作を制御してもよい。これにより、搬送用装置10を独立した装置として設けた場合でも、外部の制御システムの信号により、第1検体測定装置20や他の検体測定装置30と連携させることができる。
【0082】
また、制御部13は、外部の制御システムである搬送部50の制御部54から受信した信号に含まれる搬送先情報に基づいて、複数の他の検体測定装置30のうちの1つの他の検体測定装置30に容器41またはラック40を搬送するように、ロボットアーム11の動作を制御してもよい。これにより、搬送先情報に基づいて、搬送先を容易に決定して容器41またはラック40を搬送することができる。
【0083】
また、制御部13は、第1検体測定装置20および他の検体測定装置30からの信号の有無に関わらず、ロボットアーム11の動作を制御してもよい。これにより、ロボットアーム11を第1検体測定装置20および他の検体測定装置30と独立して制御することができるので、制御が複雑になるのを抑制することができる。
【0084】
また、制御部13は、複数の他の検体測定装置30の各々に対する搬送回数、および、複数の他の検体測定装置30の各々に対応する優先順位のうち少なくとも一方に基づいて容器41またはラック40を搬送する他の検体測定装置30に決定する。これにより、複数の他の検体測定装置30間で使用頻度に偏りが発生するのを抑制することができる。
【0085】
具体的には、制御部13は、搬送回数が少ない他の検体測定装置30を、容器41またはラック40を搬送する他の検体測定装置30に決定するとともに、搬送回数が同じ場合には、優先順位に基づいて容器41またはラック40を搬送する他の検体測定装置30に決定する。これにより、複数の他の検体測定装置30の各々を万遍なく使用することができるので、複数の他の検体測定装置30間で使用頻度に偏りが発生するのを効果的に抑制することができる。
【0086】
また、制御部13は、容器41またはラック40を1つの他の検体測定装置30に搬送した場合、容器41またはラック40を搬送した他の検体測定装置30の優先順位を下げる制御を行う。これにより、複数の他の検体測定装置30間で使用頻度に偏りが発生するのを効果的に抑制することができる。
【0087】
搬送部50は、容器41またはラック40を搬送する。具体的には、搬送部50は、容器41が収納されたラック40を搬送する。搬送部50は、検体測定装置20a、20b、20cおよび20dが並ぶ方向に沿って延びている。搬送部50は、検体測定装置20a、20b、20c、20d、投入部51、回収部52および貯留部53の間で容器41またはラック40を搬送する。具体的には、搬送部50は、順送ライン50aにより、投入部51側から貯留部53側に向かってラック40を搬送する。また、搬送部50は、帰還ライン50bにより、貯留部53側から回収部52側に向かってラック40を搬送する。搬送部50は、ラック40を水平方向に搬送する。
【0088】
搬送部50は、第1検体測定装置20に設けられた供給部201にラック40を供給する。また、搬送部50は、第1検体測定装置20に設けられた排出部202からラック40を受け取る。
【0089】
投入部51は、第1検体測定装置20に投入される容器41またはラック40が収容される。具体的には、投入部51は、容器41が収納されたラック40が収容される。投入部51は、複数のラック40を収容可能である。回収部52は、第1検体測定装置20から搬出される容器41またはラック40が収容される。具体的には、回収部52は、容器41が収納されたラック40が収容される。回収部52は、複数のラック40を収容可能である。貯留部53は、他の検体測定装置30に投入される容器41またはラック40が収容される。つまり、貯留部53は、他の検体測定装置30により測定する必要のある検体が入った容器41を含むラック40が収容される。つまり、貯留部53は、第1検体測定装置20から搬出される容器41またはラック40が収容される。また、貯留部53は、容器41が収納されたラック40が収容される。貯留部53は、複数のラック40を収容可能である。
【0090】
制御部54は、第1検体測定装置20に容器41またはラック40を搬送する順送ライン50aを制御するように構成されている。制御部55は、貯留部53によるラック40の搬送を制御する。
【0091】
ホストコンピュータ60は、検体測定システム100全体を制御するように構成されている。具体的には、ホストコンピュータ60は、各制御部と通信することにより、検体測定システム100全体を制御する。ホストコンピュータ60は、たとえば、パーソナルコンピュータである。また、ホストコンピュータ60は、複数の検体の各々を測定のオーダーを管理する。具体的には、ホストコンピュータ60は、各々の検体に必要な測定の種類を管理する。
【0092】
(ロボットアームの駆動)
図4を参照して、ロボットアーム11の駆動について説明する。
【0093】
図4に示すように、ロボットアーム11には、複数の駆動部116a、116b、116c、116dが設けられている。駆動部116a~116dは、それぞれ、モータと、エンコーダなどの位置検出部とを含む。駆動部116a~116dは、制御部13により連携して制御される。つまり、制御部13は、搬送元および搬送先の位置情報に基づいて、複数の駆動部116a~116dの駆動を制御して、容器41またはラック40を搬送する。
【0094】
駆動部116aは、第1リンク部材111を基台12に対して回転軸線A1回りに回転させる。駆動部116bは、第2リンク部材112を第1リンク部材111に対して回転軸線A2回りに回転させる。駆動部116cは、上下駆動部113を第2リンク部材112に対して上下方向(B1)に移動させる。駆動部116dは、第1ハンド114(第2ハンド115)を上下駆動部113に対して回転軸線A3回りに回転させる。これにより、ロボットアーム11の先端に設けられたハンドを、所望の3次元位置に移動させることが可能である。
【0095】
ロボットアーム11は、初期位置として、ホームポジションが設定されている。なお、第1ロボットアーム11aおよび第2ロボットアーム11bは、互いに干渉しない位置に、それぞれ、ホームポジションが設定されている。ロボットアーム11は、ホームポジションを基準として駆動される。
【0096】
(搬送用装置の固定方法)
図5を参照して、搬送用装置10の固定方法について説明する。
【0097】
図5に示す例のように、たとえば、搬送用装置10の基台12には、基台12を設置面に対して移動させるキャスタ121と、伸縮可能な固定用脚122とが設けられている。
図5の(A)のように、固定用脚122を基台12内に縮めることにより、キャスタ121が設置面に接触して、搬送用装置10を搬送することが可能になる。また、
図5の(B)のように、固定用脚122を伸ばすことにより、キャスタ121が設置面から浮上して、搬送用装置10が移動しないように固定することが可能になる。キャスタ121は、たとえば、4隅に1つずつ設けられている。また、固定用脚122は、4隅に1つずつ設けられている。
【0098】
(第1ハンド)
図6を参照して、第1ロボットアーム11aに設けられた第1ハンド114について説明する。
【0099】
第1ハンド114は、ラック40を把持することができる。また、第1ハンド114は、第1ロボットアーム11aに交換可能に取り付けられている。第1ハンド114は、一対の把持部1141と、エアシリンダ1142とを含んでいる。一対の把持部1141は、エアシリンダ1142により、互いに近づく方向および遠ざかる方向に移動することができる。これにより、把持部1141によりラック40を把持したり、離したりすることができる。なお、把持部1141は、モータにより駆動させてもよい。また、把持部1141は、油圧や水圧などの液圧により駆動してもよい。第1ハンド114は、ラック40を上方から把持することができる。また、第1ハンド114は、ラック40の長手方向を挟み込んで把持する。これにより、ラック40の短手方向に隙間が無い場合でもラック40を把持することが可能である。
【0100】
(第2ハンド)
図7を参照して、第2ロボットアーム11bに設けられた第2ハンド115について説明する。
【0101】
第2ハンド115は、ラック40を把持することができる。また、第2ハンド115は、第2ロボットアーム11bに交換可能に取り付けられている。第2ハンド115は、一対の把持部1151と、エアシリンダ1152と、センサ1153と、ガイド1154とを含んでいる。一対の把持部1151は、エアシリンダ1152により、互いに近づく方向および遠ざかる方向に移動することができる。これにより、把持部1151によりラック40を把持したり、離したりすることができる。なお、把持部1151は、モータにより駆動させてもよい。また、把持部1151は、油圧や水圧などの液圧により駆動してもよい。第2ハンド115は、ラック40を側方から把持することができる。また、第2ハンド115は、ラック40を長手方向に挟み込んで把持する。たとえば、第2ハンド115は、ラック40の長手方向における、容器41を保持する複数の保持部の間を把持することができる。センサ1153は、ラック40を検知することができる。センサ1153は、たとえば、非接触式のセンサである。センサ1153は、たとえば、光学式、超音波式のセンサである。なお、センサ1153は、接触式のセンサであってもよい。これにより、第2ハンド115により、ラック40を確実に把持することができる。ガイド1154は、ラック40を押圧することにより、姿勢を調整することができる。
【0102】
(ラックの検出方法)
図8を参照して、ラック40の検出方法について説明する。
【0103】
ラック40は、取出し位置に複数配置することが可能である。つまり、取出し位置におけるラック40は、一定の位置に配置されてはいない。ラック40は、たとえば、他の検体測定装置30により測定後、順次押し出されるように取出し位置に送られる。つまり、ラック40の数が多ければ、取り出し位置における手前のラック40は、より手前に押し出される。
【0104】
ロボットアーム11は、ラック40を取出し位置から取り出す際に、複数のラック40が配置される水平方向に、ラック40を把持する第2ハンド115を段階的に移動させてラック40を検出する。具体的には、ロボットアーム11は、
図8の(A)~(C)の例のように、第2ハンド115を一番手前の位置に位置させた状態から、ラック40の幅毎に背面方向に第2ハンド115を順次移動させる。この場合、センサ1153により、ラック40を検出する。センサ1153により、ラック40を検出するまで、順次第2ハンド115が移動される。そして、ラック40を検知した場合、第2ハンド115によりラック40を保持する。これにより、取出し位置におけるラック40の位置を正確に取得しなくても、第2ハンド115によりラック40を容易に保持して取り出すことができる。つまり、ロボットアーム11の動作をシンプルにすることができるので、動作のためのプログラムが複雑になるのを抑制することができる。
【0105】
なお、第2ハンド115は、段階的に移動させてもよいし、ラック40を検出するまで、連続的に移動させて、ラック40を検出したら停止させてもよい。
【0106】
(ラックの位置調整方法)
図9および
図10を参照して、ラック40の位置調整方法について説明する。
【0107】
ラック40は、取出し位置に複数配置することが可能である。ラック40は、たとえば、他の検体測定装置30により測定後、順次押し出されるように取出し位置に送られる。このため、ラック40は、取出し位置において、傾いて配置されている場合がある。
【0108】
そこで、ロボットアーム11によりラック40を取り出す際に、ラック40の水平方向における位置を調整してもよい。たとえば、ロボットアーム11は、ラック40を取出し位置から取り出す際に、ラック40を水平方向に押圧して移動させてから、ラック40を保持してもよい。これにより、ラック40の取り出し時に、ラック40の水平方向の位置が傾いていた場合でも、押圧して移動させることにより、ラック40の姿勢を調整することができるので、ラック40が傾いて保持されたり、保持し損ねることを抑制することができる。
【0109】
たとえば、
図9に示す第1例のように、ラック40を、第2ハンド115により、ラック40の短手方向に押圧して、位置および姿勢を調整してもよい。また、
図10に示す第2例のように、ラック40を、第2ハンド115により、ラック40の長手方向に押圧して長手方向の位置決めを行ったのち、ラック40の短手方向に押圧して、位置および姿勢を調整してもよい。
【0110】
次に、
図11を参照して、各装置の高さ位置について説明する。
【0111】
図11に示すように、各装置の高さ位置は異なっていてもよい。たとえば、第1検体測定装置20のラック40が搬送される高さ位置と、他の検体測定装置30のラック40が搬送される高さ位置とは異なっていてもよい。第1検体測定装置20のラック40が搬送される高さ位置がh1であり、他の検体測定装置30のラック40が搬送される高さ位置は、h1より小さいh2である。なお、h1よりh2の方が大きくてもよい。つまり、第1検体測定装置20からラック40が排出される排出部と、他の検体測定装置30にラック40が供給される供給部301とは、設置面からの高さ位置が互いに異なる位置に配置されている。ロボットアーム11は、排出部から、排出部に対して設置面からの高さが異なる供給部301に、ラック40を搬送する。つまり、ロボットアーム11は、上下方向にラック40を搬送することが可能である。これにより、排出部と供給部301との高さが異なる場合でも、別途昇降装置を設けることなくラック40を搬送することができる。また、高さの異なる測定装置を容易に組み合わせて使用することができるので、測定装置の選択の自由度を効果的に高めることができる。
【0112】
図12に示すように、ロボットアーム11には、撮像部117が設けられていてもよい。この場合、搬送用装置10の制御部13は、撮像部117により撮像した画像に基づいて、ロボットアーム11の動作を制御してもよい。制御部13は、たとえば、搬送するラック40の有無を撮像した画像に基づいて確認してもよい。そして、搬送するラック40が有る場合に、ロボットアーム11によりラック40を取り出してもよい。また、制御部13は、撮像した画像に基づいて、取り出すラック40の位置および姿勢を検知して、ラック40を取り出してもよい。また、制御部13は、撮像した画像に基づいて、ラック40を載置する位置を確認して、ラック40を載置してもよい。なお、撮像部117は、ロボットアーム11に設けられ、ロボットアーム11の駆動により移動されてもよい。これにより、ロボットアーム11により撮像角度および撮像位置を変更することができるので、撮像部117の視野を大きくしなくても所望の位置を撮像することができる。また、撮像部117は、ロボットアーム11とは別個の位置に固定的に設けられてもよい。撮像部117は、たとえば、撮像素子と、撮像素子に光を導くレンズやミラーなどの光学系とを含んでいる。
【0113】
(ホストコンピュータのテーブル)
図13を参照して、ホストコンピュータ60が有する制御のためのテーブルについて説明する。
【0114】
図13に示すように、ホストコンピュータ60は、複数の検体の各々を測定のオーダーを管理するために、サンプルIDと、測定オーダとを関連付けて記憶している。測定オーダは、操作者により指定されてもよいし、ホストコンピュータ60が決定してもよい。
【0115】
(搬送部の制御部のテーブル)
図14を参照して、搬送部50の制御部54が有する制御のためのテーブルについて説明する。
【0116】
図14に示すように、搬送部50の制御部54は、ラック40のラックIDと、容器41に収容された検体のサンプルIDと、追加の測定オーダとを関連付けて記憶している。制御部54は、容器41に付されたバーコドやICタグなどの識別子を読取装置により読み取り、サンプルIDを取得する。また、制御部54は、ラック40に付されたバーコドやICタグなどの識別子を読取装置により読み取り、ラックIDを取得する。また、制御部54は、ホストコンピュータ60に問い合わせることにより、サンプルID毎に追加の測定オーダを取得する。
【0117】
追加の測定オーダは、たとえば、aの場合は、検体測定装置20cにおける測定オーダである。たとえば、検体測定装置20cでは、血球測定が行われる。また、bの場合は、検体測定装置20dにおける測定オーダである。たとえば、検体測定装置20dでは、塗抹標本の作製が行われる。また、cの場合は、他の検体測定装置30における測定オーダである。たとえば、他の検体測定装置30では、細菌検査の測定が行われる。たとえば、CRPの測定が行われる。
【0118】
(ロボットアームの制御部のテーブル)
図15を参照して、ロボットアーム11の制御部13が有する制御のためのテーブルについて説明する。
【0119】
図15に示すように、ロボットアーム11の制御部13は、ラック40の搬送を制御するために、各位置の位置情報と、各他の検体測定装置30の優先順位および搬送回数とを記憶している。位置情報は、たとえば、3次元的な直交座標系の位置情報として記憶されている。他の検体測定装置30は、それぞれ、供給部301の位置としての搬入位置と、排出部302の位置としての搬出位置が記憶されている。各位置情報は、搬送用装置10の設置時に、ロボットアーム11に教示することにより、制御部13が取得する。搬送回数および優先順位は、複数の他の検体測定装置30がラック40を受け入れ可能である場合に、いずれの他の検体測定装置30に搬送するかを決定するために用いられる。たとえば、搬送回数が最小の他の検体測定装置30が選択される。ただし、搬送回数が最小で同じものが2以上ある場合は、そのなかで、優先順位が高い他の検体測定装置30が選択される。優先順位は、操作者により予め設定されていてもよい。また、優先順位は、搬送毎に入れ替わるようにしてもよい。搬送回数は、他の検体測定装置30に搬送される毎に、各々加算されていく。搬送回数は、操作者の操作により、それぞれ、途中でリセットされてもよい。
【0120】
制御部13は、搬送元および搬送先の位置情報に基づいて、複数の駆動部116a~116dの駆動を制御して、容器41またはラック40を搬送する。たとえば、制御部13は、ホームポジションに位置するロボットアーム11を、位置情報に基づいて、容器41またはラック40を把持する位置に移動させる。この場合、制御部13は、ホームポジションと容器41またはラック40を把持する位置との相対位置に基づいて、駆動部116a~116dを駆動させて、ロボットアーム11を移動させる。また、制御部13は、容器41またはラック40を把持する位置のロボットアーム11を、位置情報に基づいて、容器41またはラック40を受け渡す位置に移動させる。この場合、制御部13は、容器41またはラック40を把持する位置と受け渡す位置との相対位置に基づいて、駆動部116a~116dを駆動させて、ロボットアーム11を移動させる。また、第1ロボットアーム11aおよび第2ロボットアーム11bの一方から他方に、容器41またはラック40を受け渡す場合、制御部13は、第1ロボットアーム11aおよび第2ロボットアーム11bのそれぞれを、容器41またはラック40の受け渡し位置に移動させる。
【0121】
(搬送部の制御部による搬送処理)
図16を参照して、搬送部50の制御部54による搬送処理について説明する。
【0122】
図16のステップS1において、搬送部50の制御部54は、ラックIDおよびサンプルIDを取得する。また、制御部54は、取得したラックIDおよびサンプルIDをテーブルに記録する。ステップS2において、制御部54は、取得したサンプルIDの検体の測定オーダをホストコンピュータ60に問い合わせる。
【0123】
ステップS3において、制御部54は、ホストコンピュータ60から測定オーダを取得する。ステップS4において、制御部54は、取得した測定オーダに基づいて、第1検体測定装置20の測定オーダが有るか否かを判断する。測定オーダがあれば、ステップS5に進み、測定オーダが無ければステップS7に進む。
【0124】
ステップS5において、制御部54は、第1検体測定装置20にラック40を搬送するよう制御する。ステップS6において、制御部54は、第1検体測定装置20の排出部202にラック40が到達したか否かを判断する。つまり、制御部54は、第1検体測定装置20による測定が終了して、ラック40が排出部202に排出されたか否かを判断する。制御部54は、ラック40が排出されるまで、ステップS6の判断を繰り返す。
【0125】
ラック40が排出されると、ステップS7において、制御部54は、ホストコンピュータ60に追加オーダが有るか否かを問い合せる。ステップS8において、制御部54は、追加オーダが有るか否かを判断する。追加オーダがあれば、ステップS9に進み、追加オーダがなければ、ステップS10に進む。
【0126】
ステップS9において、制御部54は、貯留部53にラック40を搬送するように制御する。その後、搬送処理が終了される。
【0127】
ステップS10において、制御部54は、帰還ライン50bにラック40が有るか否かを判断する。帰還ライン50bにラック40があれば、ステップS11に進み、帰還ライン50bにラック40がなければ、搬送処理が終了される。ステップS11において、制御部54は、ラック40を回収部52に回収するよう帰還ライン50bを制御する。その後、搬送処理が終了される。
【0128】
(ロボットアームの制御部によるラック搬入時の搬送処理)
図17を参照して、ロボットアーム11の制御部13によるラック40搬入時の搬送処理について説明する。
【0129】
図17のステップS21において、ロボットアーム11の制御部13は、貯留部53から搬送要求の信号を受信したか否かを判断する。制御部13は、搬送要求信号を受信するまで、ステップS21の判断を繰り返す。搬送要求信号を受信すると、ステップS22において、制御部13は、他の検体測定装置30が受け入れ可か否かを判断する。制御部13は、他の検体測定装置30が受け入れ可となるまで、ステップS22の判断を繰り返す。
【0130】
ステップS23において、制御部13は、受入可能の他の検体測定装置30の優先順位を判断する。具体的には、テーブルの搬送回数および優先順位に基づいて、ラック40を搬送する他の検体測定装置30を判断する。ステップS24において、制御部13は、優先順位に基づいて、搬送する他の検体測定装置30を決定する。
【0131】
ステップS25において、制御部13は、貯留部53のラック40を把持するように制御する。具体的には、制御部13は、第1ロボットアーム11aの第1ハンド114により、貯留部53のラック40を把持するように制御する。ステップS26において、制御部13は、第1ハンド114から第2ハンド115にラック40を持ち替えるように制御する。
【0132】
ステップS27において、制御部13は、決定した他の検体測定装置30に、ラック40を搬送するように制御する。具体的には、制御部13は、第2ロボットアーム11bの第2ハンド115により、他の検体測定装置30の供給部301にラック40を搬送するよう制御する。ステップS28において、搬送先の他の検体測定装置30および搬送回数を記憶する。その後、搬送処理が終了される。
【0133】
(ロボットアームの制御部によるラック搬出時の搬送処理)
図18を参照して、ロボットアーム11の制御部13によるラック40搬出時の搬送処理について説明する。
【0134】
図18のステップS31において、ロボットアーム11の制御部13は、他の検体測定装置30から搬出信号を受信したか否かを判断する。制御部13は、搬出信号を受信するまで、ステップS31の判断を繰り返す。ステップS32において、制御部13は、他の検体測定装置30のラック40を把持するように制御する。具体的には、制御部13は、第2ロボットアーム11bの第2ハンド115により、他の検体測定装置30の排出部302のラック40を把持するように制御する。
【0135】
ステップS33において、制御部13は、第2ハンド115から第1ハンド114にラック40を持ち替えるように制御する。ステップS34において、制御部13は、搬送部50の帰還ライン50bに、ラック40を搬送するように制御する。具体的には、制御部13は、第1ロボットアーム11aの第1ハンド114により、帰還ライン50bにラック40を搬送するよう制御する。その後、搬送処理が終了される。
【0136】
(他の検体測定装置の制御部による処理)
図19を参照して、他の検体測定装置30の各制御部31、32または33による処理について説明する。なお、各制御部31、32および33の制御処理は、同様であるため、ここでは、制御部31の処理について説明する。
【0137】
図19のステップS41において、検体測定装置30aの制御部31は、ラック40を受け入れ可か否かを判断する。制御部31は、ラック40が受け入れ可となるまで、ステップS41の判断を繰り返す。受け入れ可となれば、ステップS42において、制御部31は、ロボットアーム11に受入可能の信号を送信する。
【0138】
ステップS43において、制御部31は、ラック40が搬入されたか否かを判断する。具体的には、制御部31は、検体測定装置30aの供給部301にラック40が供給されたか否かを判断する。ステップS44において、制御部31は、ホストコンピュータ60にオーダを問い合わせる。具体的には、制御部31は、ラック40に収容された全ての検体についてのオーダをホストコンピュータ60に問い合わせる。
【0139】
ステップS45において、制御部31は、測定オーダが有る検体の測定を行うよう制御する。ステップS46において、測定した測定データをホストコンピュータ60に送信する。
【0140】
ステップS47において、制御部31は、ラック40を排出する制御を行う。具体的には、測定済みの検体が収容されたラック40を排出部302から排出するように制御する。ステップS48において、制御部31は、ロボットアーム11に搬出信号を送信する。その後、処理が終了される。
【0141】
[第2実施形態]
次に、
図20~
図27を参照して、本発明の第2実施形態による搬送用装置10について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0142】
第2実施形態による検体測定システム200は、
図20に示すように、搬送用装置10と、第1検体測定装置20と、複数の他の検体測定装置30とを備えている。第1検体測定装置20は、検体測定装置20a、20b、20cおよび20dを含んでいる。複数の他の検体測定装置30は、検体測定装置30d、30e、30f、30g、30h、30iを含んでいる。
【0143】
また、検体測定システム200は、
図21に示すように、ホストコンピュータ60を備えている。検体測定装置30dは、制御部34を含んでいる。検体測定装置30eは、制御部35を含んでいる。検体測定装置30fは、制御部36を含んでいる。検体測定装置30gは、制御部37を含んでいる。検体測定装置30hは、制御部38を含んでいる。検体測定装置30iは、制御部39を含んでいる。制御部13、21、22、34、35、36、37、38、39、54、55は、ホストコンピュータ60と通信可能に接続されている。
【0144】
複数の他の検体測定装置30は、複数種類の測定装置を含んでいる。つまり、複数の他の検体測定装置30により、複数種類の測定を行うことが可能である。つまり、複数の他の検体測定装置30は、互いに異なる測定を行う第2検体測定装置および第3検体測定装置を含んでいる。
【0145】
ロボットアーム11は、第2検体測定装置と第3検体測定装置との間で容器41またはラック40を搬送可能である。つまり、ロボットアーム11は、他の検体測定装置30間において、容器41またはラック40を搬送可能である。これにより、第2検体測定装置と第3検体測定装置との間において容器41またはラック40を受け渡すための専用の装置を別途設ける必要がないので、装置構成を簡素化することができる。
【0146】
ロボットアーム11は、複数の検体が収容されたラック40を、測定オーダに応じて、他の検体測定装置30に順次搬送してもよい。また、検体測定システム200に、検体を仕分けする装置を設けて、測定オーダ毎のラック40に容器41を集めるようにしてもよい。また、ロボットアーム11により、検体を仕分けて、測定オーダ毎のラック40に容器41を集めるようにしてもよい。
【0147】
(ホストコンピュータのテーブル)
図22を参照して、ホストコンピュータ60が有する制御のためのテーブルについて説明する。
【0148】
図22に示すように、ホストコンピュータ60は、複数の検体の各々を測定のオーダーを管理するために、サンプルIDと、測定オーダと、追加の測定オーダと、を関連付けて記憶している。測定オーダは、操作者により指定されてもよいし、ホストコンピュータ60が決定してもよい。また、追加の測定オーダは、測定結果に基づいて、ホストコンピュータ60が決定してもよい。
【0149】
追加の測定オーダは、たとえば、aの場合は、検体測定装置20cにおける測定オーダである。たとえば、検体測定装置20cでは、血球測定が行われる。また、bの場合は、検体測定装置20dにおける測定オーダである。たとえば、検体測定装置20dでは、塗抹標本の作製が行われる。また、cの場合は、検体測定装置30d、30eにおける測定オーダである。たとえば、検体測定装置30d、30eでは、細菌検査の測定が行われる。たとえば、CRPの測定が行われる。また、dの場合は、検体測定装置30f、30gにおける測定オーダである。たとえば、検体測定装置30f、30gでは、ヘモグロビンA1Cの測定が行われる。また、eの場合は、検体測定装置30h、30iにおける測定オーダである。たとえば、検体測定装置30h、30iでは、赤血球沈降速度測定が行われる。
【0150】
(搬送部の制御部のテーブル)
図23を参照して、搬送部50の制御部54が有する制御のためのテーブルについて説明する。
【0151】
図23に示すように、搬送部50の制御部54は、ラック40のラックIDと、容器41に収容された検体のサンプルIDと、追加の測定オーダと、追加の測定オーダの検体測定装置の種類と、を関連付けて記憶している。
【0152】
(ロボットアームの制御部のテーブル)
図24を参照して、ロボットアーム11の制御部13が有する制御のためのテーブルについて説明する。
【0153】
図24に示すように、ロボットアーム11の制御部13は、ラック40の搬送を制御するために、各位置の位置情報と、各他の検体測定装置30の優先順位および搬送回数とを記憶している。
【0154】
(搬送部の制御部による搬送処理)
図25を参照して、搬送部50の制御部54による搬送処理について説明する。
【0155】
図25のステップS51において、搬送部50の制御部54は、ラックIDおよびサンプルIDを取得する。また、制御部54は、取得したラックIDおよびサンプルIDをテーブルに記録する。ステップS52において、制御部54は、取得したサンプルIDの検体の測定オーダをホストコンピュータ60に問い合わせる。
【0156】
ステップS53において、制御部54は、ホストコンピュータ60から測定オーダを取得する。ステップS54において、制御部54は、取得した測定オーダに基づいて、第1検体測定装置20の測定オーダが有るか否かを判断する。測定オーダがあれば、ステップS55に進み、測定オーダが無ければステップS57に進む。
【0157】
ステップS55において、制御部54は、第1検体測定装置20にラック40を搬送するよう制御する。ステップS56において、制御部54は、第1検体測定装置20の排出部202にラック40が到達したか否かを判断する。つまり、制御部54は、第1検体測定装置20による測定が終了して、ラック40が排出部202に排出されたか否かを判断する。制御部54は、ラック40が排出されるまで、ステップS56の判断を繰り返す。
【0158】
ラック40が排出されると、ステップS57において、制御部54は、貯留部53にラック40を搬送するように制御する。ステップS58において、制御部54は、ラック40中のサンプルの測定オーダをホストコンピュータ60に確認する。
【0159】
ステップS59において、制御部54は、取得した測定オーダに基づいて、ラック40を搬送する他の検体測定装置30の種類を決定する。ステップS60において、制御部54は、ラック40の搬送をロボットアーム11に指示する。その後、搬送処理が終了される。
【0160】
(ロボットアームの制御部による搬送処理)
図26および
図27を参照して、ロボットアーム11の制御部13による搬送処理について説明する。
【0161】
図26のステップS61において、ロボットアーム11の制御部13は、搬送部50の制御部54からの搬送指示が有るか否かを判断する。制御部13は、搬送指示を受信するまで、ステップS61の判断を繰り返す。搬送指示を受信すると、ステップS62において、制御部13は、搬送先の他の検体測定装置30が1種類か否かを判断する。1種類であれば、ステップS63に進み、2種類以上であれば、ステップS72に進む。
【0162】
ステップS63において、制御部13は、受入可能の他の検体測定装置30の優先順位を判断する。具体的には、テーブルの搬送回数および優先順位に基づいて、ラック40を搬送する他の検体測定装置30を判断する。ステップS64において、制御部13は、優先順位に基づいて、搬送する他の検体測定装置30を決定する。
【0163】
ステップS65において、制御部13は、貯留部53のラック40を把持するように制御する。具体的には、制御部13は、第1ロボットアーム11aの第1ハンド114により、貯留部53のラック40を把持するように制御する。ステップS66において、制御部13は、第1ハンド114から第2ハンド115にラック40を持ち替えるように制御する。
【0164】
ステップS67において、制御部13は、決定した他の検体測定装置30に、ラック40を搬送するように制御する。具体的には、制御部13は、第2ロボットアーム11bの第2ハンド115により、他の検体測定装置30の供給部301にラック40を搬送するよう制御する。ステップS68において、制御部13は、他の検体測定装置30から搬出信号を受信したか否かを判断する。制御部13は、搬出信号を受信するまで、ステップS68の判断を繰り返す。
【0165】
搬出信号を受信すると、ステップS69において、制御部13は、他の検体測定装置30のラック40を把持するように制御する。具体的には、制御部13は、第2ロボットアーム11bの第2ハンド115により、他の検体測定装置30の排出部302のラック40を把持するように制御する。ステップS70において、制御部13は、第2ハンド115から第1ハンド114にラック40を持ち替えるように制御する。
【0166】
ステップS71において、制御部13は、搬送部50の帰還ライン50bに、ラック40を搬送するように制御する。具体的には、制御部13は、第1ロボットアーム11aの第1ハンド114により、帰還ライン50bにラック40を搬送するよう制御する。その後、搬送処理が終了される。
【0167】
ステップS72において、制御部13は、最初に搬送する他の検体測定装置30の種類を判断する。この場合、予め決められた順の種類の測定を最初に行ってもよいし、受入可能な種類の測定を最初に行ってもよい。
【0168】
ステップS73において、制御部13は、受入可能の他の検体測定装置30の優先順位を判断する。具体的には、テーブルの搬送回数および優先順位に基づいて、ラック40を搬送する他の検体測定装置30を判断する。ステップS74において、制御部13は、優先順位に基づいて、搬送する他の検体測定装置30を決定する。
【0169】
ステップS75において、制御部13は、貯留部53のラック40を把持するように制御する。具体的には、制御部13は、第1ロボットアーム11aの第1ハンド114により、貯留部53のラック40を把持するように制御する。ステップS76において、制御部13は、第1ハンド114から第2ハンド115にラック40を持ち替えるように制御する。
【0170】
ステップS77において、制御部13は、決定した他の検体測定装置30に、ラック40を搬送するように制御する。具体的には、制御部13は、第2ロボットアーム11bの第2ハンド115により、他の検体測定装置30の供給部301にラック40を搬送するよう制御する。
図27のステップS78において、制御部13は、他の検体測定装置30から搬出信号を受信したか否かを判断する。制御部13は、搬出信号を受信するまで、ステップS78の判断を繰り返す。
【0171】
ステップS79において、制御部13は、別の種類の他の検体測定装置30に搬送する必要があるか否かを判断する。搬送する必要があれば、ステップS80に進み、搬送する必要がなければ、ステップS84に進む。ステップS80において、制御部13は、受入可能の他の検体測定装置30の優先順位を判断する。具体的には、テーブルの搬送回数および優先順位に基づいて、ラック40を搬送する他の検体測定装置30を判断する。
【0172】
ステップS81において、制御部13は、優先順位に基づいて、搬送する他の検体測定装置30を決定する。ステップS82において、制御部13は、他の検体測定装置30のラック40を把持するように制御する。具体的には、制御部13は、第2ロボットアーム11bの第2ハンド115により、他の検体測定装置30の排出部302のラック40を把持するように制御する。
【0173】
ステップS83において、制御部13は、決定した他の検体測定装置30に、ラック40を搬送するように制御する。具体的には、制御部13は、第2ロボットアーム11bの第2ハンド115により、他の検体測定装置30の供給部301にラック40を搬送するよう制御する。その後、ステップS78に戻る。
【0174】
ステップS84において、制御部13は、他の検体測定装置30のラック40を把持するように制御する。具体的には、制御部13は、第2ロボットアーム11bの第2ハンド115により、他の検体測定装置30の排出部302のラック40を把持するように制御する。ステップS85において、制御部13は、第2ハンド115から第1ハンド114にラック40を持ち替えるように制御する。
【0175】
ステップS86において、制御部13は、搬送部50の帰還ライン50bに、ラック40を搬送するように制御する。具体的には、制御部13は、第1ロボットアーム11aの第1ハンド114により、帰還ライン50bにラック40を搬送するよう制御する。その後、搬送処理が終了される。
【0176】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【符号の説明】
【0177】
10:搬送用装置、11:ロボットアーム、11a:第1ロボットアーム、11b:第2ロボットアーム、12:基台、13:制御部、20:第1検体測定装置、30、30a、30b、30c、30d、30e、30f、30g、30h、30i:他の検体測定装置、40:ラック、41:容器、53:貯留部、100:検体測定システム、114:第1ハンド、115:第2ハンド、116a、116b、116c、116d:駆動部、121:キャスタ、122:固定用脚、202:排出部、301:供給部、1153:センサ