(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】軟組織縫合修復システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
A61B17/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018110136
(22)【出願日】2018-06-08
【審査請求日】2021-06-08
(32)【優先日】2017-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】メフメット・ジヤ・センガン
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・クリーブランド
(72)【発明者】
【氏名】レーガン・エイ・タイス
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・オー・ミラー
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0301638(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
A61B 17/56 ― 17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟組織縫合修復システムであって、
セルフロック機構により画定された縮小可能ループを有する縫合フィラメントであって、前記セルフロック機構は、前記縫合フィラメントの長さに沿って移動することにより前記縮小可能ループのサイズを調節するように構成され、前記縫合フィラメントは、第1のテイルと第2のテイルとを更に有し、前記第1及び第2のテイルは、前記セルフロック機構に対して、前記縮小可能ループが前記セルフロック機構から伸びているのと反対側から伸びており、前記第1及び第2のテイルの少なくとも一方は、前記縫合フィラメントの長さに沿って前記セルフロック機構を移動させて、前記縮小可能ループの前記サイズを調節するために作動可能である、縫合フィラメントと、
前記縫合フィラメントに結合している組織増強タックであって、前記組織増強タックは、前記縫合フィラメントの直径より少なくとも2倍大きい直径を有する、組織増強タックと、を含
み、
前記組織増強タックは、前記第1及び第2のテイルの少なくとも一方に結合しており、かつ前記セルフロック機構に対して、前記縮小可能ループとは反対側に配置されている、軟組織縫合修復システム。
【請求項2】
ガイドを更に含み、前記ガイドは、前記ガイドの近位端から前記ガイドの遠位端に伸びる内腔を有し、前記内腔は、前記縮小可能ループに結合しているアンカーを手術部位に挿入するための挿入器ツールを受容するように構成されている、請求項1に記載の
軟組織縫合修復システム。
【請求項3】
軟組織縫合修復システムであって、
セルフロック機構により画定された縮小可能ループを有する縫合フィラメントであって、前記セルフロック機構は、前記縫合フィラメントの長さに沿って移動することにより前記縮小可能ループのサイズを調節するように構成され、前記縫合フィラメントは、第1のテイルと第2のテイルとを更に有し、前記第1及び第2のテイルは、前記セルフロック機構に対して、前記縮小可能ループが前記セルフロック機構から伸びているのと反対側から伸びており、前記第1及び第2のテイルの少なくとも一方は、前記縫合フィラメントの長さに沿って前記セルフロック機構を移動させて、前記縮小可能ループの前記サイズを調節するために作動可能である、縫合フィラメントと、
前記縫合フィラメントに結合している組織増強タックであって、前記組織増強タックは、前記縫合フィラメントの直径より少なくとも2倍大きい直径を有する、組織増強タックと、を含み、
前記軟組織縫合修復システムはガイドを更に含み、前記ガイドは、前記ガイドの近位端から前記ガイドの遠位端に伸びる内腔を有し、前記内腔は、前記縮小可能ループに結合しているアンカーを手術部位に挿入するための挿入器ツールを受容するように構成されており、
前記軟組織縫合修復システムは前記ガイドの外側表面に形成されたスロットを更に含み、前記スロットは、前記ガイドの前記近位端から前記遠位端までの長さ全体に伸びており、前記スロットは、前記縫合フィラメントを受容するように構成されている、
軟組織縫合修復システム。
【請求項4】
前記縮小可能ループに結合しているアンカーを更に含む、請求項1に記載の
軟組織縫合修復システム。
【請求項5】
前記アンカーは、トグルアンカーである、請求項
3又は4に記載の
軟組織縫合修復システム。
【請求項6】
前記アンカーは、可撓性構造体から形成されている軟質アンカーであり、
前記軟質アンカーは、前記軟質アンカーが第1の長さ及び第1の直径を有する非応力下構成から、前記軟質アンカーが前記第1の長さより短い第2の長さ及び前記第1の直径より大きい第2の直径を有する応力下構成に作動可能である、請求項
4に記載の
軟組織縫合修復システム。
【請求項7】
前記第1のテイルは、前記縫合フィラメントの長さに沿って前記セルフロック機構を移動させて、前記縮小可能ループの前記サイズを調節するために作動可能であり、前記組織増強タックの位置を前記縫合フィラメントに対して固定するために、前記第2のテイルの一部により、ロックノットが形成されている、請求項1
又は3に記載の
軟組織縫合修復システム。
【請求項8】
前記組織増強タックの直径は、前記縫合フィラメントの直径より少なくとも3倍大きい、請求項1
又は3に記載の
軟組織縫合修復システム。
【請求項9】
前記組織増強タックは、布地、プラスチック、合成ポリマー、天然ポリマー、コラーゲン、コラーゲン足場、再構成コラーゲン、生体自家移植結合組織、生体同種移植結合組織、生体異種移植結合組織、ヒト真皮マトリックス、ブタ真皮マトリックス、ウシ真皮マトリックス、骨膜組織、心膜組織、及び筋膜のうちの少なくとも1つを含む、請求項1
又は3に記載の
軟組織縫合修復システム。
【請求項10】
前記組織増強タックは、コラーゲンを含む、請求項
1又は3に記載の
軟組織縫合修復システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年1月30日付けで出願された、発明の名称「TISSUE AUGMENTATION CONSTRUCTS FOR USE WITH SOFT TISSUE FIXATION REPAIR SYSTEMS AND METHODS」の米国特許出願第15/419,330号(同出願は、2016年2月1日付けで出願された、発明の名称「COMPRESSION STRIPS AND SCAFFOLDS FOR USE IN SOFT TISSUE FIXATION」の米国特許仮出願第62/289,702号、2016年6月10日付けで出願された、発明の名称「COMPRESSION CONSTRUCTS AND RELATED METHODS FOR USE IN SOFT TISSUE FIXATION」の米国特許仮出願第62/348,548号、及び2016年9月12日付けで出願された、発明の名称「TISSUE AUGMENTATION CONSTRUCTS AND RELATED METHODS FOR USE IN SOFT TISSUE FIXATION」の米国特許仮出願第62/393,277号それぞれに対する優先権を主張する)の一部継続出願であり、これに対する優先権を主張する。これらの文献は全て、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、軟組織を骨に固定するためのシステム、装置、及び方法に関し、より具体的には、回旋腱板修復などの手術中に縫合フィラメントと組織との間の範囲及び/又は圧縮面積を大きくするシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
特に運動選手及び高齢者の間での、一般的損傷は、腱、靭帯、又は他の軟組織の骨からの完全な又は部分的脱離である。組織の剥離は、転倒時に、過剰な運動によって、又は他の様々な理由で発生し得る。特に組織がそれに関連する骨から完全に剥離した場合には、しばしば外科的介入を必要とする。組織付着用に現在利用可能なデバイスとしては、ねじ、ステープル、縫合糸アンカー及びタックが挙げられる。高齢の患者に現在利用可能な装置は、変性した組織のために特に不充分である場合があり、アンカーに対する縫合糸の固定が不適切となり、軟組織の更なる損傷をもたらす。
【0004】
1つ以上の外科用フィラメントから作製された修復構造体は、典型的には、所望の位置に組織を固定するために、軟組織修復手術、例えば、回旋腱板固定に使用される。修復構造体は、典型的には、修復される組織の1つ以上の部分を通して配置され、これは、組織に対する外傷を引き起こす可能性があり、かつ多くの場合、組織が接近する骨内に配置されるアンカーに連結される。更に、軟組織が既に変性し始めてしまった状況において、縫合糸により加えられた加圧は、例えば、組織の剥脱又は「チーズワイヤリング」の発生によって、組織に対する更なる損傷を引き起こすおそれがある。同「チーズワイヤリング」は、ワイヤーチーズスライサーがチーズをブロックから分離するのに使用される際に、チーズピールをチーズブロックから離す糸のように、主な組織から組織ピールを離してしまう1つ以上の糸を意味する。即ち、縫合糸の表面積が小さく、相当量の力が組織の小さな表面積の軟組織に加えられるため、縫合糸は、既に傷付けている組織内に入り込む傾向を有し、これにより、更なる損傷を生じる場合がある。この問題に対して現在利用可能な解決策としては、修復が行われた後であって、軟組織を縫合糸と密着させる前に、軟組織に対して相対的に大きな(典型的には、約3センチメートル×約3センチメートルの)同種移植片又は異種移植片の形成体を適用することが挙げられる。しかしながら、形成体の適用は、多くの場合、高価であり、多くの縫合糸を必要とし、操作するのに高い技能レベルを要求するため、選ばれたわずかな外科医のみによってしか使用されない。更に、相対的に大きな形成体の適用は、適用される同種移植片又は異種移植片形成体当たりに、更に30分~1時間のオーダーで、外科手術に相当量の時間を加えることになるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、堅牢で、強力で、治癒を促進し、それでいて、手術のコスト及び時間を最小化する、軟組織修復に使用するためのシステム、装置、及び方法を提供するのが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
縫合糸による外科手術、例えば、他の縫合修復手術の中でも、回旋腱板修復を行うためのシステム、装置、及び方法が一般的に提供される。より具体的には、本システム、装置、及び方法は、ユーザが1つ以上の組織増強構造体又はマトリックスを、組織修復を行うのに使用される縫合糸上に素早く加えることができるように設計される。様々な構成をとる組織増強構造体(テープ、チューブ、ブロック、リング、タック、ワッシャ、及びパッチを含むが、これらに限定されない)は、それらが関連付けられる縫合糸のフットプリントを大きくすることができる。大きくなったフットプリントは、縫合糸により組織に加えられた力をより大きい表面積にわたって分散するのに役立ち、システム及び/又は組織の外観を保護し、他の方法で傷付けられ又は変性された組織及び/又は腱に嵩を提供し、手術部位における組織成長及び修復を促進するのに役立ち得る。
【0007】
組織増強構造体は、外科医が素早くかつ容易に縫合糸のフットプリントを大きくすることができるようなオンデマンドの様式で縫合糸と、又は手術中に表われる必要性に基づいて使用される、縫合テープなどの同様の目的の材料と、関連付けられ得る。構造体は、様々な技術を使用して、縫合糸と関連付けられ得る。同技術としては、他の技術の中でも、構造体を縫合糸上に配置すること及び縫合糸を構造体に糸通しすることが挙げられる。いくつかの例示的な実施形態では、組織増強構造体は、糸通し器に予め配置され、この糸通し器は、軟組織修復に使用される縫合糸を組織増強構造体と関連付けるように動作可能である。また、本開示で提供された組織増強構造体を利用する外科手術も、組織増強構造体を形成するための様々な製造技術及び方法と共に提供される。
【0008】
例示的な一実施形態では、外科的軟組織修復システムは、第1の縫合リムと第1の組織増強ブロックとを含む。組織増強ブロックは、第1の縫合リム上に、第1の組織増強ブロックが、第1の縫合リムの第1の長さに沿って伸びるように配置されている。結果として、第1の長さに沿った本システムの組織係合表面積は大きくなる。本システムは、第2の縫合リムと第2の組織増強ブロックとを、更に含み得る。第2の組織増強ブロックは、第2の縫合リム上に、第2の組織増強ブロックが、第2の縫合リムの第2の長さに沿って伸びるように配置され得る。第2の組織増強ブロックは、第2の長さに沿った本システムの組織係合表面積を更に大きくし得る。第1の縫合リム及び第2の縫合リムは、1つの縫合糸から形成され得る。あるいは、第1の縫合リム及び第2の縫合リムは、異なる縫合糸から形成され得る。
【0009】
第1の組織増強ブロックは、数多くの異なる構成を有し得る。一構成において、第1の組織増強ブロックは、第1の組織増強ブロックを通して伸びる開口を含む。この場合、第1の縫合リムは、第1の組織増強ブロックの開口を通して、第1の組織増強ブロックが、第1の縫合リムの長さに沿って、制限されない様式で自由に通過するように配置されている。第2の構成において、第1の組織増強ブロックは、第1の縫合リムの直径の少なくとも2倍の幅と、テープの幅より実質的に長い長さとを有する、実質的に平坦な組織係合表面を有するテープを含む。テープが配置されている第1の縫合リムは、実質的に平坦な組織係合表面の長さに沿った複数の位置で、テープの実質的に平坦な組織係合表面を通って伸びる。組織増強ブロックの他の構成も提供される。同他の構成としては、バー及びワッシャが挙げられるが、これらに限定されない。本システムが第1及び第2の組織増強ブロックを含む構成において、第1及び第2の組織増強ブロックは、同じか又は異なる構成を有し得る。更に、いくつかの実施形態では、第1の組織増強ブロックは、布地、プラスチック、合成ポリマー、天然ポリマー、コラーゲン、コラーゲン足場、再構成コラーゲン、生体自家移植片、同種移植片、同種間、異種間、又は異種移植片、結合組織(ヒト真皮マトリックス、無細胞ブタ真皮マトリックス、無細胞ウシ真皮マトリックス、骨膜組織、心膜組織、及び/又は筋膜を含む)のうちの少なくとも1つ並びにそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の組織増強ブロックは、コラーゲンを含む。このブロックは、織布、不織布であり、当業者に公知の様々な技術又は本明細書で提供された他のものを使用して、編まれ又は製造され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの更なる組織増強ブロックは、第1の縫合リム上に配置され得る。例えば、第1の縫合リム上に配置される少なくとも1つの更なる組織増強ブロックのそれぞれの更なる組織増強ブロック及び第1の組織増強ブロックは、ワッシャを含み得る。ワッシャは、ワッシャの厚みを通って伸びる開口を有することができ、ワッシャが配置される第1の縫合リムは、ワッシャの開口を通って伸びることができる。ワッシャは、ワッシャが配置される第1の縫合リムの長さより、ワッシャの厚みが実質的に薄くなるようなサイズであり得る。
【0011】
本システムは、第1の組織増強ブロックが配置される、糸通し器も含み得る。糸通し器は、第1の縫合リムを受容し、糸通し器が第1の組織増強ブロックに対して動かされると、第1の組織増強ブロックを第1の縫合リム上に配置するように構成されている遠位端を含み得る。より具体的には、糸通し器は、第1の縫合リムを受容するように構成されている遠位端にある縮小可能(collapsible)開口と、近位ハンドル部分と、縮小可能開口と近位ハンドル部分との間に伸びる細長の中間部分とを含み得る。細長の中間部分は、それに配置された第1の組織増強ブロックを有し得る。糸通し器は、近位ハンドル部分に力を加えることにより、細長の中間部分及び縮小可能開口を、加えられた力の方向に前進させるように構成され得る。これにより、第1の縫合リムが縮小可能開口内に設配された場合、加えられた力によって、第1の組織増強ブロックが第1の縫合リム上に配置される。本システムは、更に、ハンドル部分とカートリッジとを有する取付けツールを含み得る。カートリッジは、糸通し器上に配置されている第1の組織増強ブロックを受容しかつ保持するようなサイズの長さと幅を有し得、糸通し器は、カートリッジ全体の長さにわたって伸びる。
【0012】
別の例示的な実施形態では、軟組織縫合修復システムは、組織増強ブロックと糸通し器とを含む。糸通し器は、近位ハンドルと、遠位受容端と、近位ハンドルと遠位受容端との間に伸びる中間部分とを有する。糸通し器の中間部分は、その上に配置されている組織増強ブロックを有する。更に、糸通し器は、組織増強ブロックを縫合糸上に、縫合糸と遠位受容端とを関連付け、遠位受容端を組織増強ブロックに向かって前進させる力を近位ハンドルに加えることにより、配置するように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、糸通し器は、遠位受容端及びこのため、それと関連付けられている縫合糸が、近位ハンドルへの力の印加に応じて、組織増強ブロックを通過するように構成され得る。場合により、中間部分は、フィラメント部分、繊維、糸、ワイヤ、コード、及び/又は何らかの他の可撓性構造体である。更に、本システムは、糸通し器の遠位受容端と関連付けられるように構成されることができ、かつ、それに配置された組織増強ブロックを有するように構成されることができる、縫合糸を含むことができる。
【0014】
組織増強ブロックは、様々な構成を有し得る。一構成において、組織増強ブロックは、このブロックを通って伸びる開口を含み、糸通し器の中間部分は、この開口を通って配置され得る。第2の構成において、組織増強ブロックは、テープが配置されている縫合糸の直径の少なくとも2倍の幅と、テープの幅より実質的に長い長さとを有する、実質的に平坦な組織係合表面を有するテープを含む。テープが配置されている糸通し器の中間部分は、実質的に平坦な組織係合表面の長さに沿った複数の位置で、テープの実質的に平坦な組織係合表面を通って伸びていてよい。他の構成も提供される。同他の構成としては、バー又はワッシャを含む組織増強ブロックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本システムは、組織増強ブロックを縫合糸上に配置するための取付けツールを含み得る。取付けツールは、ハンドル部分とカートリッジとを含み得る。カートリッジは、組織増強ブロックを受容しかつ保持するようなサイズの長さ及び幅を有し得る。更に、いくつかの実施形態では、組織増強ブロックは、布地、プラスチック、合成ポリマー、天然ポリマー、コラーゲン、コラーゲン足場、再構成コラーゲン、生体自家移植結合組織、生体同種移植結合組織、生体異種移植結合組織、ヒト真皮マトリックス、ブタ真皮マトリックス、ウシ真皮マトリックス、骨膜組織、心膜組織、及び筋膜のうちの少なくとも1つを含むことができ、いくつかの実施形態では、組織増強ブロックは、コラーゲンを含む。
【0016】
更に別の例示的な実施形態では、軟組織修復用の外科用キットは、1つ以上の骨アンカーと、1つ以上の縫合糸と、1つ以上の組織増強ブロックと、1つ以上の糸通し器とを含む。各組織増強ブロックは、1つ以上の縫合糸の縫合糸の縫合リム上に配置されるように構成されている。更に、少なくとも1つの糸通し器は、1つ以上の組織増強ブロックの組織増強ブロックを、1つ以上の縫合糸の縫合糸上に配置するように構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、外科用キットは、1つ以上の骨アンカーの骨アンカーを受容するようなサイズの骨孔を開けるためのドリルも含み得る。様々な実施形態では、1つ以上の組織増強ブロックは、複数の組織増強ブロックを含むことができ、及び/又は、1つ以上の縫合糸は、複数の縫合糸を含むことができ、及び/又は、1つ以上の骨アンカーは、複数の骨アンカーを含むことができる。
【0018】
1つ以上の組織増強ブロックのうちの1つは、このブロックを通って伸びる開口を含み得る。開口は、組織増強ブロックが縫合リム上に、組織増強ブロックが制限されない様式で縫合リムの長さに沿って自由に通過するように、組織増強ブロックを通って伸びる縫合リムを有するように構成され得る。あるいは、1つ以上の組織増強ブロックのうちの1つは、組織増強ブロックが配置される縫合リムの直径の少なくとも2倍の幅と、テープの幅より実質的に長い長さとを有する、実質的に平坦な組織係合表面を有するテープを含み得る。実質的に平坦な組織係合表面は、組織増強ブロックが縫合リム上に配置された際に、実質的に平坦な組織係合表面の長さに沿った複数の位置で、同表面を通って伸びる縫合リムを有するように構成され得る。1つ以上の組織増強ブロックの他の構成も提供される。同他の構成としては、バー及びワッシャが挙げられるが、これらに限定されない。ワッシャは、ワッシャが配置される縫合リムの長さより、ワッシャの厚みが実質的に薄くなるようなサイズであり得る。更に、いくつかの実施形態では、1つ以上の組織増強ブロックのうちの組織増強ブロックは、布地、プラスチック、合成ポリマー、天然ポリマー、コラーゲン、コラーゲン足場、再構成コラーゲン、生体自家移植片、同種移植片、同種間、異種間、又は異種移植片、結合組織(ヒト真皮マトリックス、無細胞ブタ真皮マトリックス、無細胞ウシ真皮マトリックス、骨膜組織、心膜組織、及び/又は筋膜を含む)のうちの少なくとも1つ並びにそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2の増強ブロックの一方又は両方は、コラーゲンを含む。このブロックは、織布、不織布であり、当業者に公知の様々な技術又は本明細書で提供された他のものを使用して、編まれ又は製造され得る。
【0019】
1つ以上の糸通し器は、近位ハンドルと、遠位受容端と、近位ハンドルと遠位受容端との間に伸びる中間部分とを含み得る。糸通し器は、1つ以上の組織増強ブロックを1つ以上の縫合糸上に、1つ以上の縫合糸と遠位受容端とを関連付け、遠位受容端を1つ以上の組織増強ブロックに向かって前進させる力を近位ハンドルに加えることにより、配置するように構成され得る。遠位受容端は、遠位受容端及びこのためこれと関連付けられている1つ以上の縫合糸が近位ハンドルへの力の印加に応じて、1つ以上の組織増強ブロックを通過するように構成され得る。
【0020】
軟組織修復の例示的な方法において、この方法は、第1の縫合糸を軟組織に、第1の縫合糸の2つの縫合リムが軟組織から伸びるように取り付けることと、少なくとも1つの組織増強ブロックを第1及び第2の縫合リムの少なくとも一方上に配置することと、2つの縫合リムを骨に配置された少なくとも1つの縫合アンカーと結合させることと、縫合リムを組織増強ブロックが軟組織に向かって導かれるように締めることとを含む。組織増強ブロックを2つの縫合リムの少なくとも一方上に配置することにより、各縫合リムと関連付けられている組織を係合するための表面積が大きくなる。1つ以上の組織増強ブロックは、必要に応じて、両方の縫合リム上に配置され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の縫合糸を軟組織に、縫合糸の2つの縫合リムが軟組織から伸びるように取り付ける工程は、更に、中間列ステッチを取り付けることを含む。このような実施形態では、2つの縫合リムを骨に配置された少なくとも1つの縫合アンカーと結合させる工程は、側方列固定を取り付けることを含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの組織増強ブロックを第1及び第2のリムの少なくとも一方上に配置する工程は、2つの縫合リムの第1のリムを第1の組織増強ブロックと関連付けられている糸通し器に結合させることと、第1の組織増強ブロックと関連付けられている糸通し器に力を加えて、第1の組織増強ブロックを第1のリム上に配置することとを含み得る。この方法は、更に、2つの縫合リムの第2のリムを第2の組織増強ブロックと関連付けられている糸通し器に結合させることと、第2のリム上の第2の組織増強ブロックと関連付けられている糸通し器に力を加えることとを含み得る。
【0023】
この方法に使用される組織増強ブロックは、様々な構成を有し得る。例えば、いくつかの例において、1つ以上の組織増強ブロックは、このブロックを通って伸びる開口を含むことができ、この開口は、組織増強ブロックが各縫合リム上に配置される際に、それを通って伸びる1つの縫合リムを有するように構成されることができ、これにより、組織増強ブロックは、縫合リムの長さに沿って、制限されない様式で自由に通過する。更なる非限定的な例として、いくつかの例において、1つ以上の組織増強ブロックは、このブロックが配置されている縫合リムの直径の少なくとも2倍の幅と、テ-プの幅より実質的に長い長さとを有する、実質的に平坦な組織係合表面を有するテープを含み得る。実質的に平坦な組織係合表面は、組織増強ブロックが縫合リム上に配置された際に、実質的に平坦な組織係合表面の長さに沿った複数の位置で、同表面を通って伸びる縫合リムを有するように構成され得る。組織増強ブロックの他の構成も提供される。同他の構成としては、バー及びワッシャが挙げられるが、これらに限定されない。ワッシャは、ワッシャが配置される縫合リムの長さより、ワッシャの厚みが実質的に薄くなるようなサイズであり得る。更に、いくつかの実施形態では、1つ以上の組織増強ブロックは、布地、プラスチック、合成ポリマー、天然ポリマー、コラーゲン、コラーゲン足場、再構成コラーゲン、生体自家移植片、同種移植片、同種間、異種間、又は異種移植片、結合組織(ヒト真皮マトリックス、無細胞ブタ真皮マトリックス、無細胞ウシ真皮マトリックス、骨膜組織、心膜組織、及び/又は筋膜を含む)のうちの少なくとも1つ並びにそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2の増強ブロックの一方又は両方は、コラーゲンを含む。このブロックは、織布、不織布であり、当業者に公知の様々な技術又は本明細書で提供された他のものを使用して、編まれ又は製造され得る。
【0024】
第2の縫合糸を含むいくつかの実施形態では、2つの縫合リムを骨に配置された少なくとも1つの縫合アンカーと結合させる工程は、2つの縫合リムを少なくとも1つの縫合アンカーの第1の縫合アンカーと結合させることを含み得る。この方法は、付加的に、第2の縫合糸を軟組織に、第3の縫合リム及び第4の縫合リムが軟組織から伸びるように取り付けることを含み得る。少なくとも1つの第2の組織増強ブロックは、第3及び第4の縫合リムの少なくとも一方上に配置されることができ、第3及び第4の縫合リムは、骨に配置された少なくとも1つの縫合アンカーの第2のアンカーと結合させることができる。この方法は、更に、第3及び第4の縫合リムを、第2の組織増強ブロックが軟組織に向かって導かれるように締めることを含み得る。組織増強ブロックを第3及び第4の縫合リムの少なくとも一方上に配置することにより、第3及び第4の縫合リムの少なくとも一方と関連付けられている組織を係合するための表面積が大きくなる。1つ以上の組織増強ブロックは、必要に応じて、両方の縫合リム上に配置され得る。
【0025】
少なくとも1つの組織増強ブロックを第1及び第2の縫合リムの少なくとも一方上に配置する工程は、いくつかの例では、第1の組織増強ブロックを第1の縫合リム上に、第2の組織増強ブロックを第2の縫合リムに配置することを含み得る。いくつかのそのような例において、第1及び第2の縫合リムが互いに結合して、マットレスステッチを形成し得る。
【0026】
更に他の実施形態では、この方法は、更に、第2の縫合糸を軟組織に、第3の縫合リム及び第4の縫合リムが軟組織から伸びるように取り付けることと、少なくとも1つの第2の組織増強ブロックを第3及び第4の縫合リムの少なくとも一方上に配置することと、少なくとも1つの組織増強ブロックを第1の縫合糸の第1及び第2の縫合リムのそれぞれの上に配置することと、を含み得る。組織増強ブロックを第1、第2、並びに第3及び第4の少なくとも一方の縫合リム上に配置することにより、各縫合リムと関連付けられている組織を係合するための表面積が大きくなる。この方法は、更に、第1及び第3の縫合リムを、骨に配置された第1の縫合アンカーと結合させることと、第2及び第4の縫合リムを、骨に配置された第2の縫合アンカーと結合させることと、を含み得る。いくつかの実施形態では、第2及び第3のリムは互いに交差し得る。この方法は、更に、第1、第2、第3、及び第4の縫合リムを、組織増強ブロックが軟組織に向かって導かれるように締めることを含み得る。
【0027】
更に他の実施形態では、この方法は、更に、第2の縫合糸を軟組織に、第3の縫合リム及び第4の縫合リムが軟組織から伸びるように取り付けることを含み得る。第1の縫合糸の第1及び第2のリムは、例えば、それらを互いに結び付けるための第1のノットを使用することにより、互いに結合させ得る。第1及び第2の縫合リムの少なくとも一方上に配置されている少なくとも1つの組織増強ブロックは、第1のノット上で摺動し得る。第3及び第4の縫合リムも、例えば、それらを互いに結び付けるための第2のノットを使用することにより、互いに結合させ得る。第3及び第4の縫合リムの少なくとも一方は、少なくとも1つの組織増強ブロック上を伸びて、軟組織に対する少なくとも1つの組織増強ブロックの位置を維持するのに役立ち得る。
【0028】
場合により、この方法は、第2の縫合糸を軟組織に、第3の縫合リム及び第4の縫合リムが軟組織から伸びるように、第1の縫合糸の位置から側方にずれた位置で取り付けることを含み得る。更に、少なくとも1つの組織増強ブロックの組織増強ブロックは、第1の縫合リム上に配置され得る。第1及び第3の縫合リムを互いに結合させて、例えば、それらを互いに結び付けるための第1のノットを使用することにより、マットレスストレッチを形成することができ、少なくとも1つの組織増強ブロックの組織増強ブロックは、第1のノット上で摺動し得る。第2及び第4の縫合リムも、例えば、それらを互いに結び付けるための第2のノットを使用することにより、互いに結合させ得る。第2及び第4の縫合リムの少なくとも一方は、組織増強ブロック上を伸びて、軟組織に対する組織増強ブロックの位置を維持するのに役立ち得る。
【0029】
他の実施形態では、少なくとも1つの組織増強ブロックの第1の組織増強ブロックは、第1の縫合リム上に配置され得る。いくつかのこのような実施形態では、この方法は、第2の縫合糸を軟組織に、第3の縫合リム及び第4の縫合リムが軟組織から伸びるように取り付けることを含み得る。少なくとも1つの組織増強ブロックの第2の組織増強ブロックは、第4の縫合リム上に配置されることにより、第4の縫合リムと関連付けられている組織を係合するための表面積を大きくし得る。更に、少なくとも1つの組織増強ブロックの第3の組織増強ブロックは、第2及び第3の縫合リムそれぞれの上に配置され得る。第1及び第2の縫合リムは、骨に配置された第1の縫合アンカーと結合させることができ、第3及び第4の縫合リムは、骨に配置された第2の縫合アンカーと結合させることができる。第1、第2、第3、及び第4の縫合リムは、第1、第2、及び第3の組織増強ブロックが軟組織に向かって導かれ得るように締められ得る。
【0030】
軟組織修復の別の例示的な方法は、第1の縫合糸の第1の縫合リムを、それに配置された第1の組織増強ブロックを有する第1の糸通し器に結合させることであって、第1の縫合糸が、身体の骨に配置された第1の縫合インプラントに取付けられ、第1の縫合リムが組織に結合される、ことと、第1の糸通し器に力を加えて、第1の縫合リムが第1の組織増強ブロック内を通過して、第1の組織増強ブロックが第1の縫合リムの一部上に配置されるように、第1の糸通し器を第1の組織増強ブロックに対して移動させることと、を含む。ついで、第1の縫合リム及び第1の組織増強ブロックは、第1の糸通し器との関連付けが解除され、第1の組織増強ブロックは、第1の縫合インプラントに向かって前進する。第1の縫合リムの一部は、手術部位に固定され、第1の組織増強ブロック及び/又は第1の縫合リムの位置は、組織に対して調整される。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1の縫合糸は、第1の縫合糸についての中間列ステッチを形成することにより、組織に結合され得る。更に、いくつかの例では、この方法は、第1の縫合糸の第2の縫合リムを、それに配置された第2の組織増強ブロックを有する第2の糸通し器に結合させることであって、第2の縫合リムは組織に結合している、ことと、第2の糸通し器に力を加えて、第2の縫合リムが第2の組織増強ブロック内を通過して、第2の組織増強ブロックが第2のリムの一部上に配置されるように第2の糸通し器を第2の組織増強ブロックに対して移動させることとを含んでいてもよい。第2の縫合リム及び第2の組織増強ブロックは、第2の糸通し器との関連付けが解除され得る。第2の組織増強ブロックは、第1の縫合インプラントに向かって前進することができ、第2の縫合リムの一部は、手術部位に固定されることができる。第1の縫合糸が第1の縫合リム及び第2の縫合リムの両方を含むいくつかの実施形態では、第1及び第2の縫合リムが互いにマットレスステッチとして結合され得る。
【0032】
第2の縫合糸を第2の縫合インプラントに関連付けるのに提供される様々な方法も含み得る。より具体的には、第2の縫合糸の第3の縫合リムは、それに配置された第3の組織増強ブロックを有する第3の糸通し器に結合され得る。第2の縫合糸は、身体の骨に配置された第2の縫合インプラントに取付けられることができ、第3の縫合リムは、組織に結合させることができる。第3の糸通し器に力が加えられて、糸通し器を第3の組織増強ブロックに対して移動させ得る。結果として、第3の縫合リムは、第3の組織増強ブロック内を通過して、第3の組織増強ブロックを第3の縫合リムの一部上に配置し得る。第3の縫合リム及び第3の組織増強ブロックは、第3の糸通し器との関連付けが解除され得、第3の縫合リムの一部は、手術部位に固定されることができる。第1の縫合糸の第1の縫合リムの一部は、手術部位において、第1の縫合リムを第1の側方アンカーに結合させることにより固定されることができ、第1の縫合糸の第2の縫合リムの一部は、手術部位において、第2の縫合リムを第2の側方アンカーに結合させることにより固定されることができ、第2の縫合糸の第3の縫合リムの一部は、手術部位において、第3の縫合リムを第2の側方アンカーに結合させることにより固定されることができる。更に、第2の縫合糸の第4の縫合リムの一部は、手術部位において、第4の縫合リムを第1の側方アンカーに結合させることにより固定されることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の縫合リムの一部を手術部位に固定する工程は、第1の縫合糸の第2の縫合リムを第1の縫合リムと、第1のノットを使用して結合させることを含み得る。更に、第1の組織増強ブロック及び第1の縫合リムの少なくとも一方の位置を組織に対して調整する工程は、第1の組織増強ブロックを第1のノット上で摺動させることを含み得る。このような実施形態では、この方法は、組織から伸びる第2の縫合糸の第3の縫合リム及び第4の縫合リムを第2のノットと結合させることも含み得る。更に、第3及び第4の縫合リムの少なくとも一方は、組織増強ブロック上を伸びて、組織に対する第1の組織増強ブロックの位置を維持するのに役立ち得る。
【0034】
いくつかの他の実施形態では、第1の縫合リムの一部を手術部位に固定する工程は、組織から伸びる第2の縫合糸の第3の縫合リムを第1のノットと結合させて、マットレスステッチを形成することを含み得る。更に、第1の組織増強ブロック及び第1の縫合リムの少なくとも一方の位置を組織に対して調整する工程は、第1の組織増強ブロックを第1のノット上で摺動させることを含み得る。このような実施形態では、この方法は、第1の縫合糸の第2の縫合リム及び第2の縫合糸の第4の縫合リムを第2のノットと結合させることも含み得る。更に、第2及び第4の縫合リムの少なくとも一方は、第1の組織増強ブロック上を伸びて、組織に対する第1の組織増強ブロックの位置を維持するのに役立ち得る。また更に、第2の縫合糸の位置は、第1の縫合糸の位置に対して側方にずれることができる。
【0035】
更にいくつかの他の実施形態では、この方法は、第2の縫合糸の第4の縫合リムを、第3の糸通し器に配置された第3の組織増強ブロックを有する第3の糸通し器に結合させることを含み得る。第4の縫合リムは、組織に結合され得る。第2の糸通し器に力が加えられて、第2の糸通し器を、第2の組織増強ブロックに対して、第4の縫合リムが第3の組織増強ブロック内を通過するように移動させ得る。結果として、第3の組織増強ブロックは、第4の縫合リムの一部上に配置される。第4の縫合リム及び第3の組織増強ブロックは、第3の糸通し器との関連付けが解除され得る。第2の縫合糸からのものでもある第3の縫合リムの一部は、身体内に、その一部を骨に配置された第1の縫合アンカーに結合させることにより固定され得る。第4の縫合リムの一部も、身体内に、それを第1の縫合アンカーに結合させることにより固定され得る。第2の組織増強ブロックは、第2の縫合リムに配置されるのに加えて、第3の縫合リム上に配置され得る。更に、第1及び第2の縫合リムの一部を手術部位に固定することは、第1及び第2の縫合リムそれぞれの一部を骨に配置された第2の縫合アンカーに結合させることを含み得る。
【0036】
第1の組織増強ブロック又はその目的のための任意の組織増強ブロックは、様々な構成を有し得る。例えば、いくつかの例において、第1の組織増強ブロックは、このブロックを通って伸びる開口を有していてもよく、この開口は、第1の組織増強ブロックが各縫合リム上に配置される際に、それを通って伸びる1つの縫合リムを有するように構成されることができ、これにより、第1の組織増強ブロックは、縫合リムの長さに沿って、制限されない様式で自由に通過する。更なる非限定的な例として、いくつかの例において、第1の組織増強ブロックは、このブロックが配置されている縫合リムの直径の少なくとも2倍の幅と、テ-プの幅より実質的に長い長さとを有する、実質的に平坦な組織係合表面を有するテープを含み得る。実質的に平坦な組織係合表面は、組織増強ブロックが縫合リム上に配置された際に、実質的に平坦な組織係合表面の長さに沿った複数の位置で、同表面を通って伸びる縫合リムを有するように構成され得る。組織増強ブロックの他の構成も提供される。同他の構成としては、バー及びワッシャが挙げられるが、これらに限定されない。ワッシャは、ワッシャが配置される縫合リムの長さより、ワッシャの厚みが実質的に薄くなるようなサイズであり得る。更に、いくつかの実施形態では、第1の組織増強ブロック又は再度その目的のための任意の組織増強ブロックは、布地、プラスチック、合成ポリマー、天然ポリマー、コラーゲン、コラーゲン足場、再構成コラーゲン、生体自家移植片、同種移植片、同種間、異種間、又は異種移植片、結合組織(ヒト真皮マトリックス、無細胞ブタ真皮マトリックス、無細胞ウシ真皮マトリックス、骨膜組織、心膜組織、及び/又は筋膜を含む)のうちの少なくとも1つ並びにそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2の増強ブロックの一方又は両方は、コラーゲンを含む。このブロックは、織布、不織布であり、当業者に公知の様々な技術又は本明細書で提供された他のものを使用して、編まれ又は製造され得る。
【0037】
パッチ又は足場を含む軟組織修復システムの例示的な一実施形態では、このシステムは、足場と、第1の糸通し器と、第2の糸通し器とを有する。第1及び第2の糸通し器はそれぞれ、近位ハンドルと、遠位受容端と、近位ハンドルと遠位受容端との間に伸びる中間部分とを含み、各糸通し器の中間部分は、それに配置された足場を有する。第1及び第2の糸通し器は、各縫合糸を各遠位受容端と関連付け、力を各近位ハンドルに加えて、各遠位受容端を足場に向かって前進させることにより、足場を縫合糸上に配置するように構成されている。
【0038】
第1及び第2の糸通し器は、それらの各遠位受容端及びこのため、それらと関連付けられている縫合糸が、近位ハンドルへの力の印加に応じて、足場を通過するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2の糸通し器それぞれの中間部分は、フィラメント部分、繊維、糸、ワイヤ、コード、及び/又はいくつかの他の可撓性構造を含み得る。取付け前構成において、第1及び第2の縫合糸通し器の近位ハンドルは、足場の第1の側に配置されることができ、第1及び第2の糸通し器の遠位受容端は、足場の第2の側に配置されることができ、第1及び第2の糸通し器の中間部分は、第1の側から第2の側に伸びることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の糸通し器の中間部分は、足場の第2の反対の側より、足場の第1の側に近接して配置されることができ、第2の糸通し器の中間部分は、第1の側より、足場の第2の反対の側に近接して配置されることができる。更に、第3の糸通し器及び第4の糸通し器も提供され、それぞれ、近位ハンドルと、遠位受容端と、近位ハンドルと遠位受容端との間に伸びる中間部分とを含む。第3及び第4の糸通し器それぞれの中間部分は、それに配置された足場を有し得る。更に、第3及び第4の糸通し器は、各縫合糸を各遠位受容端と関連付け、力を各近位ハンドルに加えて、各遠位受容端を足場に向かって前進させることにより、足場を縫合糸上に配置するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、第3の糸通し器の中間部分は、足場に対して斜めに配置され、これにより、第3の糸通し器の遠位受容端が第1の糸通し器の遠位受容端に対して近位となり、第3の糸通し器の近位ハンドルが第2の糸通し器の近位ハンドルに対して近位となるようにされてよく、第4の糸通し器の中間部分は、足場に対し斜めに配置され、これにより、第4の糸通し器の遠位受容端が第2の糸通し器の遠位受容端に対して近位となり、第4の糸通し器の近位ハンドルが第1の糸通し器の近位ハンドルに対して近位となるようにされてよい。
【0040】
このシステムは、複数の縫合糸を含むこともできる。例えば、第1の縫合糸は、第1の糸通し器の遠位受容端と関連付けられるように構成されることができ、それに配置された足場を有するように構成されることができ、第2の縫合糸は、同様に、第2の糸通し器の遠位受容端と関連付けられるように構成されることができ、それに配置された足場を有するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、縫合糸は、取付け前構成における足場に結合し得る。一例として、第1の縫合糸は、足場の第1の中間位置で足場に結合することができ、第2の縫合糸は、足場の第2の中間位置で足場に結合することができる。第1及び第2の縫合糸はそれぞれ、中空のセルフロック機構を含むことができ、第1及び第2の糸通し器の中間部分はそれぞれ、第1及び第2の縫合糸の中空のセルフロック機構中に配置されることができる。このような足場は、第1及び第2の中間位置に位置する可撓性ゾーンを含み得る。この場合、可撓性ゾーンは、足場が伸張するのを可能にするように構成されている。
【0041】
記載されるように第1の及び第2の中間位置に結合している第1及び第2の縫合糸を有する実施形態では、先導テイルは、第1及び第2の縫合糸の中空のセルフロック機構それぞれから、足場の第1の側に向かって伸び得る。先導テイルは、第1及び第2の縫合糸の各中空のセルフロック機構内に配置された第1及び第2の糸通し器の遠位受容端に結合されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、後端テイルは、第1及び第2の縫合糸の中空のセルフロック機構それぞれから、足場の第2の、反対の側に向かって伸び得る。後端テイルはそれぞれ、同じアンカーであるか又は異なるアンカーであるかに関わらず、縫合糸アンカーに結合されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、このシステムは、第1及び第2の縫合糸とは別の縫合糸である後端テイルを含み得る。例えば、第1の後端テイルは、足場の第1の側より足場の第2の、反対の側に近接して配置されることができ、第2の縫合糸の中空のセルフロック機構より第1の縫合糸の中空のセルフロック機構に近接して配置されることもできる。同様に、第2の後端テイルは、足場の第1の側より足場の第2の、反対の端部に近接して配置されることができ、第1の縫合糸の中空のセルフロック機構より第2の縫合糸の中空のセルフロック機構に近接して配置されることもできる。後端テイルはそれぞれ、同じアンカーであるか又は異なるアンカーであるかに関わらず、縫合糸アンカーに結合されるように構成され得る。
【0042】
記載されるように第1の及び第2の中間位置に結合している第1及び第2の縫合糸を有するいくつかの実施形態では、第3及び第4の糸通し器並びに第3及び第4の縫合糸も提供され得る。第3及び第4の糸通し器はそれぞれ、近位ハンドルと、遠位受容端と、近位ハンドルと遠位受容端との間に伸びる中間部分とを含み得る。第3及び第4の糸通し器それぞれの中間部分は、それに配置された足場を有し得る。この場合、中間部分は、第3及び第4の縫合糸と関連付けられている。より具体的に、第3及び第4の縫合糸はそれぞれ、第1及び第2の中間位置に近接して足場に結合され得る。第3及び第4の縫合糸はそれぞれ、中空のセルフロック機構を含むことができ、第3及び第4の糸通し器の中間部分はそれぞれ、第3及び第4の縫合糸の中空のセルフロック機構に配置されることができる。更に、第3及び第4の糸通し器は、各縫合糸を各遠位受容端と関連付け、力を各近位ハンドルに加えて、各遠位受容端を足場に向かって前進させることにより、足場を縫合糸上に配置するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、先導テイルは、第1、第2、第3、及び第4の縫合糸のそれぞれの中空のセルフロック機構から伸び得る。第1及び第2の縫合糸の先導テイルは、足場の第1の側に向かって伸びることができ、第3及び第4の縫合糸の先導テイルは、足場の第2の、反対の側に向かって伸びることができる。先導テイルは、第1、第2、第3、及び第4の縫合糸の各中空のセルフロック機構内に配置された第1、第2、第3、及び第4の糸通し器の遠位受容端に結合されるように構成され得る。
【0043】
足場と第1及び第2の糸通し器とを含むいくつかの実施形態では、1つ以上の更なる糸通し器が提供され得る。例えば、第3の糸通し器及び第4の糸通し器が提供され得る。第3及び第4の糸通し器はそれぞれ、近位ハンドルと、遠位受容端と、近位ハンドルと遠位受容端との間に伸びる中間部分とを含み得る。第3及び第4の糸通し器それぞれの中間部分は、それに配置された足場を有し得、第3の糸通し器は、第1の糸通し器と同じ縫合糸上に足場を配置するように構成されており、第4の糸通し器は、第2の糸通し器と同じ縫合糸上に足場を配置するように構成されている。より具体的には、第3及び第4の糸通し器の第1及び第2の糸通し器それぞれと同じ縫合糸との関連付けは、各縫合糸を各第3及び第4の糸通し器の遠位受容端と関連付け、力を各第3及び第4の糸通し器の近位ハンドルに加えて、各遠位受容端を足場に向かって前進させることにより達成されるように構成され得る。第3及び第4の糸通し器は、足場内に、第3及び第4の糸通し器の遠位受容端が足場の組織係合面上に配置され、第3及び第4の糸通し器の近位ハンドルが、組織係合面に対向する足場の面上に配置されるように配置され得る。
【0044】
足場が第1及び第3の糸通し器により配置される縫合糸のリムは、足場の縁部付近である組織係合面から、組織係合面に対向する足場の面に向かい、かつ、足場の第1の位置において足場内に伸びる第1のループを含むことができ、足場が第2及び第4の糸通し器により配置される縫合糸のリムは、足場の縁部付近である組織係合面から、組織係合面に対向する足場の面に向かい、かつ、このシステムの取付け後構成における足場の第2の位置において足場内に伸びる第2のループを含むことができる。あるいは、足場が第1及び第3の糸通し器により配置される縫合糸のリムは、足場の組織係合面から、組織係合面に対向する足場の面に向かい、かつ、足場の縁部からオフセットされる足場上の第1の位置において足場内に伸びる第1のループを含むことができ、足場が第2及び第4の糸通し器により配置される縫合糸のリムは、足場の組織係合面から、組織係合面に対向する足場の面に向かい、かつ、このシステムの取付け後構成における足場の縁部からオフセットされる第2の位置において足場内に伸びる第2のループを含むことができる。
【0045】
足場は、様々な構成、形状、及びサイズを有することができ、様々な材料から作製することができる。いくつかの実施形態では、足場は、布地、プラスチック、合成ポリマー、天然ポリマー、コラーゲン、コラーゲン足場、再構成コラーゲン、生体自家移植片、同種移植片、同種間、異種間、又は異種移植片、結合組織(ヒト真皮マトリックス、無細胞ブタ真皮マトリックス、無細胞ウシ真皮マトリックス、骨膜組織、心膜組織、及び/又は筋膜を含む)のうちの少なくとも1つ並びにそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、足場は、コラーゲンを含む。足場は、織布、不織布であり、当業者に公知の様々な技術又は本明細書で提供された他のものを使用して、編まれ又は製造され得る。また更に、いくつかの実施形態では、足場の第1の層は、生分解性ポリマーを含むことができ、足場の第2の層は、細胞外マトリックスを含むことができる。第1の層の厚みは、第2の層の厚みより厚いことができる。更に、いくつかの実施形態では、足場は、足場の縁部に配置された1つ以上の調整可能な縫合ループを含み得る。この調整可能な縫合ループは、各調節可能なループを通過している縫合リムに対して、足場が、意図せず摺動するのを防止するように構成されている。
【0046】
軟組織修復システムの別の例示的な実施形態では、このシステムは、足場と2つのセットの縫合リムとを含む。足場は、材料の第1の層を有し、組織対向面(tissue-facing surface)と、組織対向面の反対側の第2の表面と、中間縁部及び対向する側方縁部とを含む。第1のセットの縫合リムは、組織対向面と第2の表面との間で足場を通って、実質的に中間縁部と対向する側方縁部との間に伸びる足場の長さに沿って配置された第1の縫合リム及び第2の縫合リムを含む。第2のセットの縫合リムは、足場の組織対向面上に配置された第3の縫合リムと第4の縫合リムとを含む。このシステムは、第1及び第2の縫合リムの一方の側方末端並びに第3及び第4の縫合リムの一方の側方末端が、足場の第1の側部上に互いに近接して配置されており、第1及び第2の縫合リムの他方の側方末端並びに第3及び第4の縫合リムの他方の側方末端は、足場の第2の側部上に互いに近接して配置されているように構成されている。足場の第1の第2の側部は、中間縁部と側方縁部との間に伸びる足場の中央長手方向軸の対向する側部にあることにより区別される。更に、第1及び第2の縫合リムの少なくとも一方は、足場を通って、組織対向面から第2の表面に向かって伸び、ついで、その縫合リムについては、足場を通る縫合リムの側方末端を側方縁部に通す、少なくとも1つのステッチを形成する。場合により、その性質又はその性質に類似するステッチは、第3及び第4の縫合リムの少なくとも一方によっても形成され得る。
【0047】
足場は、材料の第1の層上に配置された材料の第2の層を、材料の第2の層が足場の組織対向面上に配置され、材料の第2の層が足場の第2の表面を含むように含み得る。このような実施形態では、第1の縫合リム及び第2の縫合リムは、足場の組織対向面の反対側の材料の第1の層の最外表面と、足場の第2の表面の反対側の材料の第2の層の組織対向面との間に配置され得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の縫合リムは、足場の中央長手方向軸の対向する側部に、第1及び第2の縫合リムが、第1及び第2の縫合リムが組織対向面と第2の表面との間で足場を通って配置される位置で交差しないように配置され得る。いくつかのこのような実施形態では、第3及び第4の縫合リムは、足場の中央長手方向軸に対して、第3及び第4の縫合リムが中央長手方向軸と少なくとも1回またがり、互いに少なくとも1回、第3及び第4の縫合リムが組織対向面及び第2の表面それぞれの上に配置される位置において交差するように配置され得る。いくつかの他のこのような実施形態では、第3及び第4の縫合リムは、足場の中央長手方向軸の対向する側部上に、第1及び第4の縫合リムが、第3及び第4の縫合リムが組織対向面及び第2の表面それぞれの上に配置される位置において交差せず、第2の表面と接触するように配置され得る。第1のセットの縫合リムは、中間縁部と側方縁部との間に伸びるリムの一部について、第2のセットの縫合リムより、中央長手方向軸から更に遠くに配置され得る。あるいは、第2のセットの縫合リムは、中間縁部と側方縁部との間に伸びるリムの一部について、第1のセットの縫合リムより、中央長手方向軸から更に遠くに配置され得る。
【0049】
いくつかの他の実施形態では、第1及び第2の縫合リムは、足場の中央長手方向軸に対して、第1及び第2の縫合リムが中央長手方向軸と少なくとも1回またがり、互いに少なくとも1回、第1及び第2の縫合リムが組織対向面と第2の表面との間で足場を通って配置される位置において交差するように配置され得る。いくつかのこのような実施形態では、第3及び第4の縫合リムは、足場の中央長手方向軸に対して、第3及び第4の縫合リムも中央長手方向軸と少なくとも1回またがり、互いに少なくとも1回、第3及び第4の縫合リムが組織対向面及び第2の表面それぞれの上に配置される位置において交差するように配置され得る。いくつかの他のこのような実施形態では、第3及び第4の縫合リムは、足場の中央長手方向軸の対向する側部上に、第1及び第4の縫合リムが、第3及び第4の縫合リムが組織対向面及び第2の表面それぞれの上に配置される位置において交差せず、第2の表面と接触するように配置され得る。
【0050】
第3及び第4の縫合リムは、足場の第2の表面上に配置され得る。更に、いくつかの実施形態では、第3及び第4の縫合リムは、足場の第2の表面と接触していることができる。あるいは、第3及び第4の縫合リムは、組織対向面と第2の表面との間の足場を通って、中間縁部と対向する側方縁部との間に伸びる足場の長さの一部に沿って配置され得る。更に代替的に、第3及び第4の縫合リムは、部分的には足場の第2の表面上を伸び、部分的には足場を通って伸び得る。例えば、中間縁部と対向する側方縁部との間に伸びる第3及び第4の縫合リムの一部は、足場の第2の表面上に配置されることができ、第3及び第4の縫合リムの別の部分は、組織対向面と第2の表面との間の足場を通って、中間縁部と対向する側方縁部との間を伸びる足場の長さの一部に沿って配置され得る。
【0051】
少なくとも1つのステッチは、ループを形成する縫合リムが中間縁部付近で足場内を、縫合リムの側方末端が中間縁部から側方縁部を通る足場を通過するように通過するループを含み得る。あるいは、少なくとも1つのステッチは、ジョグを形成する縫合リムが、足場の中央長手方向軸に対して実質的に平行に伸びる長手方向軸に沿った側方縁部より中間縁部に近接した第2の表面における進入位置において、縫合リムの末端がほぼ進入位置から側方縁部に向かって足場を通過するように、足場内を通過するジョグを含み得る。第3及び第4の縫合リムの少なくとも一方も、足場を通って、組織対向面から第2の表面に向かって伸びることができ、ついで、その縫合リムについては、足場を通る縫合リムの側方末端を側方縁部に通す、少なくとも1つのステッチを形成する。ステッチは、同様に、ループ又はジョグであり得る。
【0052】
第1のセットの縫合リムは、第1のマットレスステッチから伸びることができ、第2のセットの縫合リムは、第2のマットレスステッチから伸びることができる。このシステムは、更に、第5の縫合リム及び第6の縫合リムを有する、少なくとも1つの更なる縫合糸を含み得る。いくつかの実施形態では、第5及び第6の縫合リムは、中央の中間マットレスステッチから伸びることができ、一方、いくつかの他の実施形態では、第5及び第6の縫合リムは、中央の側方マットレスステッチから伸びることができる。また更なる実施形態では、縫合リムは、中央の中間マットレスステッチ及び中央の側方マットレスステッチそれぞれから伸び得る。中央の中間マットレスステッチ又は側方マットレスステッチに関わらず、このシステムは、第5及び第6の縫合リムの一方の側方末端が、足場の第1の側に配置される各第1、第2、第3、及び第4の縫合リムの側方末端に近接して配置されることができ、第5及び第6の縫合リムの他方の側方末端が、足場の第2の側に配置される各第1、第2、第3、及び第4の縫合リムの側方末端に近接して配置されることができるように構成され得る。
【0053】
パッチ又は足場を使用することを含む軟組織修復の例示的な方法も開示される。1つの例示的な方法は、第1の縫合リム及び第2の縫合リムそれぞれを、軟組織に通過させることと、足場を第1及び第2の縫合リムそれぞれに取り付けることとを含む。この結果として、第1及び第2の縫合リムそれぞれと関連付けられる組織を係合するための面積が大きくなる。足場の第1の端部は、第1及び第2の縫合リムが軟組織を通過する位置に近接した位置に前進し、1つ以上の縫合テイルは、軟組織が取り付けられる骨に配置された少なくとも1つの縫合アンカーに結合される。いくつかの実施形態では、1つ以上の縫合テイルは、第1及び第2のリムが形成される縫合糸の一部であり、一方、他の実施形態では、1つ以上の縫合テイルは、第1及び第2の縫合リムを形成する縫合糸とは別の縫合糸である。
【0054】
足場の第1の端部を第1及び第2の縫合糸が軟組織を通過する位置に近接した位置に前進させる工程は、足場の第2の対向端部を軟組織を超えて、軟組織が取り付けられる骨上を伸びるように配置することを含み得る。いくつかの実施形態では、足場を第1及び第2の縫合リムそれぞれに取り付ける工程は、第1及び第2の縫合リムそれぞれを、足場の第1の端部から足場の第2の対向端部に糸通しすることを含み得、第1の縫合リムは、足場の第2の対向側部より足場の第1の側部に近接した位置で糸通しされ、第2の縫合リムは、足場の第1の側部より足場の第2の対向側部に近接した位置で糸通しされる。このような実施形態では、1つ以上の縫合テイルを、軟組織が取り付けられる骨に配置された少なくとも1つの縫合アンカーと結合させる工程は、1つ以上の縫合テイルの第1のテイルを、軟組織が取り付けられる骨に配置された第1の縫合アンカーと結合させることと、1つ以上の縫合テイルの第2のテイルを、軟組織が取り付けられる骨に配置された第2の縫合アンカーと結合させることとを含み得る。第1の縫合リムは、第1の縫合糸のものであることができ、第2の縫合リムは、第2の縫合糸のものであることができる。いくつかの実施形態では、足場を第1及び第2の縫合リムそれぞれに取り付ける工程は、第1及び第2の縫合リムの少なくとも一方を、足場の縁部上に配置されたループの開口を通して配置することと、第1及び/又は第2の縫合リムが各リム付近に配置されたループの開口を縮小させて、足場が開口を通って配置されたリムに対して意図せず摺動するのを防止することとを含み得る。
【0055】
第1の縫合糸及び第2の縫合糸を有する実施形態では、第1の縫合リムを、足場の第1の端部から足場の第2の対向端部に糸通しすることは、第1の縫合リムを足場中に配置された糸通し器に結合させることと、力を糸通し器に加えて、足場を第1の縫合リム上に配置することとを含み得る。同様に、第2の縫合リムを、足場の第1の端部から足場の第2の対向端部に糸通しすることは、第2の縫合リムを足場中に配置された糸通し器に結合させることと、力を糸通し器に加えて、足場を第2の縫合リム上に配置することとを含み得る。
【0056】
第1の縫合糸及び第2の縫合糸を有する実施形態では、この方法は、第1の中間列ステッチを第1の縫合糸を使用して取り付けることと、第2の中間列ステッチを第2の縫合糸を使用して取り付けることとを含み得る。更に、1つ以上の縫合テイルを、軟組織が取り付けられる骨に配置された少なくとも1つの縫合アンカーと結合させる工程は、側方列固定を取り付けることを含み得る。
【0057】
足場を第1及び第2の縫合リムそれぞれに取り付ける工程は、第1の縫合リムを足場を通って、足場の組織係合面から組織係合面に対向する足場の面に配置することを含み得、第1の縫合リムの配置は、足場の近位端に近接した足場上の第1の位置で行う。この取付け工程は、更に、足場の近位端付近でかつ近位端を通る足場内に第1の縫合リムを通過させて、第1のループを形成することと、足場の近位端から遠位端に足場を通って第1の縫合リムを通過させることとを含み得る。この工程は、第2の縫合リムを足場を通って、足場の組織係合面から組織係合面に対向する足場の面に配置することも含み得、第2の縫合リムの配置は、足場の近位端に近接した足場上の第2の位置で行う。この取付け工程は、更に、足場の近位端付近でかつ近位端を通る足場内に第2の縫合リムを通過させて、第2のループを形成することと、足場の近位端から遠位端に足場を通って第2の縫合リムを通過させることとを含み得る。
【0058】
あるいは、足場を第1及び第2の縫合リムそれぞれに取り付ける工程は、第1の縫合リムを足場を通って、足場の組織係合面から組織係合面に対向する足場の面に配置することを含み得、第1の縫合リムの配置は、足場の近位端に近接した足場上の第1の位置で行う。この取付け工程は、更に、第1の縫合リムを足場内に、組織係合面に対向する足場の面を通して戻るように通過させることを含み得、第1の縫合リムを足場内に戻すように通過させることは、第1の位置からオフセットされる足場上の第2の位置で行われて、第1のステッチを形成する。この取付け工程は、第1の縫合リムを足場を通して、足場の第2の位置から遠位端に通過させることも含み得る。この取付け工程は、また更に、第2の縫合リムを足場を通って、足場の組織係合面から組織係合面に対向する足場の面に配置することも含み得、第2の縫合リムの配置は、足場の近位端に近接した足場上の第3の位置で行う。この取付け工程は、更に、第2の縫合リムを足場内に、組織係合面に対向する足場の面を通して戻るように通過させることを含み得、第2の縫合リムを足場内に戻すように通過させることは、第3の位置からオフセットされる足場上の第4の位置で行われて、第2のステッチを形成する。また更に、この取付け工程は、第2の縫合リムを足場を通って、足場の第4の位置から遠位端に通過させることを含み得る。
【0059】
第1の縫合糸は、第3の縫合リムを含むことができ、第2の縫合糸は、第4の縫合リムを含むことができる。第1及び第2の縫合アンカーも含むこのような実施形態では、この方法は、更に、第3の縫合リムを足場上に通過させることと、第3の縫合リムを第2の縫合アンカーに結合させることと、第4の縫合リムを足場上に通過させることと、第4の縫合リムを第1の縫合アンカーに結合させることとを含み得る。更に、第1の縫合糸が結合する第1の中間アンカー及び第2の縫合糸が結合する第2の中間アンカーは、第1及び第3の縫合リムが第1の中間アンカーから伸び、第2及び第4の縫合リムが第2の中間アンカーから伸びるように取り付けられ得る。
【0060】
第3及び第4の縫合リムを含む他の実施形態では、この方法は、第3の縫合リムを、足場の第1の端部から足場の第2の対向端部に糸通しすることと、第3の縫合リムを第2の縫合アンカーに結合させることとを含み得る。同様に、第4の縫合リムは、足場の第1の端部から足場の第2の対向端部に糸通しされ、第1の縫合アンカーに結合され得る。得られた構成は、第3及び第4の縫合リム間の交差構成であり得る。更に、第1の縫合糸が結合する第1の中間アンカー及び第2の縫合糸が結合する第2の中間アンカーは、第1及び第3の縫合リムが第1の中間アンカーから伸び、第2及び第4の縫合リムが第2の中間アンカーから伸びるように取り付けられ得る。
【0061】
4つの縫合リムを有するいくつかの実施形態について進めると、第1の縫合リムを、足場の第1の端部から足場の第2の対向端部に糸通しすることは、第1の縫合リムを足場に配置された糸通し器に結合させることと、力を糸通し器に加えて、足場を第1の縫合リム上に配置することとを含み得る。同様に、第2、第3、及び第4の縫合リムそれぞれを、足場の第1の端部から足場の第2の対向端部に糸通しすることは、第2、第3、及び第4の縫合リムを、足場に配置された各糸通し器に結合させることと、力を糸通し器それぞれに加えて、足場を第2、第3、及び第4の縫合リムのそれぞれの上に配置することとを含み得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1の縫合リムは、足場上の第1の中間位置に結合させることができ、内部に配置された第1の糸通し器を有する中空のセルフロック機構を含むことができ、第2の縫合リムは、足場上の第2の中間位置に結合させることができ、内部に配置された第2の糸通し器を有する中空のセルフロック機構を含むことができる。このような実施形態では、この方法は、第1の縫合リムの先導テイルを軟組織に結合させ、その後に、第1の糸通し器に結合させることと、第2の縫合リムの先導テイルを軟組織に結合させ、その後に、第2の糸通し器に結合させることとを含み得る。第1及び第2の糸通し器は、各第1及び第2の縫合リムの中空のセルフロック機構に対して移動させて、第1及び第2の縫合リムの先導テイルを、その同じリムの中空のセルフロック機構を通過させ得る。足場の第1の端部を、第1及び第2のリムが組織を通過する位置に近接した位置に前進させる工程は、第1及び第2のリムが各中空のセルフロック機構を通過した後に、力を第1及び第2の縫合リムについての先導テイルに加えて、足場の第1の端部を前進させることを含み得る。更に、1つ以上の縫合テイルを、軟組織が取り付けられる骨に配置された少なくとも1つの縫合アンカーと結合させる工程は、1つ以上の縫合テイルの第1の後端テイルを、軟組織が取り付けられる骨に配置された少なくとも1つの縫合アンカーの第1及び第2の縫合アンカーの一方に結合させることと、1つ以上の縫合テイルの第2の後端テイルを、軟組織が取り付けられる骨に配置された少なくとも1つの縫合アンカーの第1及び第2の縫合アンカーの他方に結合させることとを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の後端テイルは、第1の縫合糸の一部であり、第2の後端テイルは、第2の縫合糸の一部である。いくつかの他の実施形態では、第1の後端テイル及び第2の後端テイルは、第1及び第2の縫合糸とは別の縫合糸である。
【0063】
4つの縫合リムを有するいくつかの他の実施形態では、第1の縫合リムは、足場上の第1の中間位置で、足場に結合させることができ、内部に配置された第1の糸通し器を有する中空のセルフロック機構を含むことができ、第2の縫合リムは、足場上の第2の中間位置で、足場に結合させることができ、内部に配置された第2の糸通し器を有する中空のセルフロック機構を含むことができる。更に、第3の縫合糸の第3の縫合リムは、足場上の第1の中間位置に近接して足場に結合させることができ、第4の縫合糸の第4の縫合リムは、足場上の第2の中間位置に近接して足場に結合させることができる。第3及び第4の縫合リムはそれぞれ、各第3及び第4のリムの中空のセルフロック機構中に配置された第3及び第4の糸通し器を有する中空のセルフロック機構を含み得る。このような実施形態では、この方法は、第1の縫合リムの先導テイルを軟組織に結合させ、その後に、第1の糸通し器に結合させることと、第2の縫合リムの先導テイルを軟組織に結合させ、その後に、第2の糸通し器に結合させることとを含み得る。第1及び第2の糸通し器は、各第1及び第2の縫合リムの中空のセルフロック機構に対して移動させて、第1及び第2の縫合リムの先導テイルを、その同じリムの中空のセルフロック機構を通過させ得る。足場の第1の端部を、第1及び第2のリムが軟組織を通過する位置に近接した位置に前進させる工程は、第1及び第2のリムが各中空のセルフロック機構を通過した後に、力を第1及び第2の縫合リムについての先導テイルに加えて、足場の第1の端部を前進させることを含み得る。更に、1つ以上の縫合テイルを軟組織が取り付けられる骨に配置された少なくとも1つの縫合アンカーと結合させる工程は、第3の縫合リムの先導テイルを、軟組織が取り付けられる骨に配置された少なくとも1つの縫合アンカーの第1の縫合アンカーに結合した縮小可能ループに結合させ、その後に、第3の糸通し器に結合させることと、第4の縫合リムの先導テイルを、軟組織が取り付けられる骨に配置された少なくとも1つの縫合アンカーの第2の縫合アンカーに結合した縮小可能ループに結合させ、その後に、第4の糸通し器に結合させることとを含み得る。第3及び第4の糸通し器を、各第3及び第4の縫合リムの中空のセルフロック機構に対して移動させて、第3及び第4の縫合リムの先導テイルを、同じリムの中空のセルフロック機構を通過させ得る。第3及び第4の縫合リムが各中空のセルフロック機構を通過した後に、力が第3及び第4の縫合リムの先導テイルに加えられて、足場の第2の対向端部を、軟組織が取り付けられる骨に向かって前進させ得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、足場は、布地、プラスチック、合成ポリマー、天然ポリマー、コラーゲン、コラーゲン足場、再構成コラーゲン、生体自家移植片、同種移植片、同種間、異種間、又は異種移植片、結合組織(ヒト真皮マトリックス、無細胞ブタ真皮マトリックス、無細胞ウシ真皮マトリックス、骨膜組織、心膜組織、及び/又は筋膜を含む)のうちの少なくとも1つ並びにそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、足場は、コラーゲンを含む。足場は、織布、不織布であり、当業者に公知の様々な技術又は本明細書で提供された他のものを使用して、編まれ又は製造され得る。
【0065】
更に別の例示的な実施形態では、軟組織縫合修復システムは、縫合フィラメントと組織増強タックとを含む。縫合フィラメントは、セルフロック機構により画定された縮小可能ループを含み、このセルフロック機構は、縫合フィラメントの長さに沿って移動することにより縮小可能ループのサイズを調節するように構成されている。縫合フィラメントは、更に、第1のテイル及び第2のテイルを含み、第1及び第2のテイルは、セルフロック機構に対して、縮小可能ループがセルフロック機構から伸びているのと反対側から伸びている。第1及び第2のテイルの少なくとも一方は、縫合フィラメントの長さに沿ってセルフロック機構を移動させて、縮小可能ループのサイズを調節するために作動可能である。組織増強タックは、縫合フィラメントに結合されている。組織増強タックは、縫合フィラメントの直径より少なくとも2倍大きい直径を有する。
【0066】
組織増強タックは、第1及び第2のテイルの少なくとも一方に結合していてもよく、かつセルフロック機構に対して、縮小可能ループとは反対側に配置されていてよい。いくつかの実施形態では、このシステムは、ガイドを更に含んでいてよく、このガイドは、ガイドの近位端からガイドの遠位端に伸びる内腔を有する。内腔は、縮小可能ループに結合しているアンカーを手術部位に挿入するための挿入器ツールを受容するように構成されていてよい。いくつかのこのような実施形態では、ガイドは、ガイドの外側表面に形成されたスロットを更に含んでいてもよく、このスロットは、縫合フィラメントを受容するように構成されている。更に、スロットは、ガイドの近位端から遠位端までの長さ全体に伸びていてもよい。
【0067】
このシステムは、縮小可能ループに結合させたアンカーを含み得る。このアンカーは、多くの異なる構成を有し得る。例えば、このアンカーは、トグルアンカーであり得る。更なる例では、アンカーは、可撓性構造体から形成された軟質アンカーであり得る。軟質アンカーは、軟質アンカーが第1の長さ及び第1の直径を有する非応力下構成から、軟質アンカーが第1の長さより短い第2の長さ及び第1の直径より大きい第2の直径を有する応力下構成に作動可能であり得る。第1のテイルは、縫合フィラメントの長さに沿ってセルフロック機構を移動させて、縮小可能ループのサイズを調節するために作動可能であってもよく、組織増強タックの位置を縫合フィラメントに対して固定するために、第2のテイルの一部により、ロックノットが形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、組織増強タックの直径は、縫合フィラメントの直径より少なくとも3倍大きくてもよい。
【0068】
組織増強タックは、布地、プラスチック、合成ポリマー、天然ポリマー、コラーゲン、コラーゲン足場、再構成コラーゲン、生体自家移植結合組織、生体同種移植結合組織、生体異種移植結合組織、ヒト真皮マトリックス、ブタ真皮マトリックス、ウシ真皮マトリックス、骨膜組織、心膜組織、及び筋膜のうちの少なくとも1つを含む、1つ以上の材料を含み得る。いくつかのこのような実施形態では、組織増強タックは、コラーゲンを含む。
【0069】
組織増強タックを使用することを含む軟組織修復の例示的な方法も開示される。例示的な一実施形態では、外科的方法は、外科用フィラメントの縮小可能ループに結合しているアンカーを骨に挿入することと、骨に隣接する組織を通して縮小可能ループを配置することと、外科用フィラメントの第1のテイルに張力を加えて、縮小可能ループを縮小させることにより、外科用フィラメントに結合している組織増強タックを、組織及び骨に向かって引っ張り、組織増強タックにより組織に力を加えて、骨に向かって組織が引っ張られるようにすることと、を含む。組織増強タックは、縫合フィラメントの直径より少なくとも2倍大きい直径を有する。この方法は、組織増強タックの位置を骨に対してロックして、組織の位置を骨に対して固定することを更に含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、この方法は、ガイドの遠位端を組織に隣接させて配置することを更に含んでいてもよい。このような実施形態では、外科用フィラメントの縮小可能ループに結合しているアンカーを骨に挿入することは、アンカーをガイドに通過させることを更に含み得る。更に、この方法は、ガイドを通してパンチを前進させて、組織に孔を形成することを含み得る。このような実施形態では、骨に隣接する組織を通して縮小可能ループを配置することは、縮小可能ループを組織の孔に通過させることを更に含み得る。また更に、パンチは、骨に孔が形成されるように、ガイドを通して前進させられ得る。このような実施形態では、外科用フィラメントの縮小可能ループに結合しているアンカーを骨に挿入することは、アンカーを骨の孔に挿入することを更に含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、この方法は、方法の実行中における縫合フィラメントの管理を補助するように、縮小可能ループの一部をガイドの外側表面に形成されたスロットに挿入することを含み得る。スロットは、ガイドの近位端と遠位端との間の、長さ全体に伸びていてよい。更に、ガイドは、外科用フィラメントの第1のテイルに張力を加えて、縮小可能ループを縮小させる前に、取り外されてもよい。
【0072】
外科的方法は、アンカーをトグル留めして、アンカーの位置を骨に対して固定することを更に含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、アンカーは、可撓性構造体から形成された軟質アンカーであり得る。このような例では、この方法は、アンカーを非応力下構成から応力下構成に作動させて、アンカーの位置を骨に対して固定することを含み得る。いくつかの実施形態では、組織増強タックの直径は、縫合フィラメントの直径より少なくとも3倍大きくてもよい。更に、組織増強タックは、布地、プラスチック、合成ポリマー、天然ポリマー、コラーゲン、コラーゲン足場、再構成コラーゲン、生体自家移植結合組織、生体同種移植結合組織、生体異種移植結合組織、ヒト真皮マトリックス、ブタ真皮マトリックス、ウシ真皮マトリックス、骨膜組織、心膜組織、及び筋膜のうちの少なくとも1つを含む、1つ以上の材料を含み得る。いくつかのこのような実施形態では、タックは、コラーゲンを含み得る。
【0073】
特に断らない限り、本開示で提供された方法の工程を、任意の順序で行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1A】組織増強構造体の例示的な一実施形態の上面図である。
【
図2A】組織増強構造体の別の例示的な実施形態の斜視側面図である。
【
図2B】それに配置された糸通し器を有する、
図2Aの組織増強構造体の側面図である。
【
図2E】組織増強構造体の更に別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図2F】組織増強構造体の更に別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図2G】組織増強構造体の別の例示的な実施形態の側面図である。
【
図2H】組織増強構造体の更に別の例示的な実施形態の側面図である。
【
図2I】組織増強構造体の更に別の例示的な実施形態の側面図である。
【
図3】1つの例示的な組織増強構造体取付けツールの側面図であり、このツールは、それと関連付けられている、
図2Aの組織増強構造体に類似する組織増強構造体を有する。
【
図4】組織増強構造体の別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図5】組織増強構造体の更に別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図6A】二列固定において、組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図6B】二列固定において、組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図6C】二列固定において、組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図7A】二列固定において、組織増強構造体を取り付けるための別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図7B】二列固定において、組織増強構造体を取り付けるための別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図7C】二列固定において、組織増強構造体を取り付けるための別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図7D】二列固定において、組織増強構造体を取り付けるための別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図8A】二列固定において、組織増強構造体を取り付けるための更に別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図8B】二列固定において、組織増強構造体を取り付けるための別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図9】二列固定において、組織増強構造体を取り付けるための更に別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図10A】二列固定において、
図2Gの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図10B】二列固定において、
図2Gの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図10C】二列固定において、
図2Gの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図10D】二列固定において、
図2Gの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図10E】二列固定において、
図2Gの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図11A】単列固定において、組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図11B】単列固定において、組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図11C】単列固定において、組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図11D】単列固定において、組織増強構造体を取り付けるための別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図11E】単列固定において、組織増強構造体を取り付けるための更に別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図11F】単列固定において、組織増強構造体を取り付けるための別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図12】単列固定において、組織増強構造体を取り付けるための更に別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図13】単列固定において、組織増強構造体を取り付けるための別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図14】単列固定において、組織増強構造体を取り付けるための更に別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図15】単列固定において、組織増強構造体を取り付けるための別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図16A】単列固定において、組織増強構造体を取り付けるための更に別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図16B】単列固定において、組織増強構造体を取り付けるための更に別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図16C】単列固定において、組織増強構造体を取り付けるための更に別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図17A】軟組織を修復するための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図17B】軟組織を修復するための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図17C】軟組織を修復するための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図17D】軟組織を修復するための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図18A】軟組織を修復するための別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図18B】軟組織を修復するための別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図18C】軟組織を修復するための別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図19】軟組織を修復するための更に別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図20A】軟組織を修復するための別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図20B】軟組織を修復するための別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図20C】軟組織を修復するための別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図20D】軟組織を修復するための更に別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図20E】軟組織を修復するための更に別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図20F】軟組織を修復するための更に別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図21A】組織増強構造体の例示的な実施形態の模式図である。
【
図21B】
図21Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図21C】
図21Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図21D】
図21Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図21E】
図21Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図21F】
図21Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図21G】
図21Aの組織増強構造体を取り付けるための別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図21I】
図21Aの組織増強構造体の別の代替的で例示的な実施形態の模式図である。
【
図21J】
図21Aの組織増強構造体、及び挿入器の代替的で例示的な実施形態の模式図である。
【
図21K】組織増強構造体、例えば、
図21Jの組織増強構造体と併せて使用するためのガイドの例示的な一実施形態の側面図である。
【
図21L】
図21Kのガイドと併せて使用するためのパンチの例示的な一実施形態の側面図である。
【
図22A】
図2Aの組織増強構造体を製造するための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図22B】
図2Aの組織増強構造体を製造するための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図22C】
図2Aの組織増強構造体を製造するための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図23A】組織増強構造体を製造するための例示的な実施形態中の、複数の組織増強構造体の正面図である。
【
図23C】
図23Aの複数の組織増強構造体のうちの1つの組織増強構造体の正面図である。
【
図24A】組織増強構造体を製造するための別の例示的な実施形態中の、複数の組織増強構造体の正面図である。
【
図24C】
図23Aの複数の組織増強構造体のうちの1つの組織増強構造体の正面図である。
【
図25】
図2Aの組織増強構造体を製造するためのツールの遠位端の例示的な一実施形態の側面図である。
【
図26A】組織増強構造体を製造するための別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図26B】組織増強構造体を製造するための別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図26C】組織増強構造体を製造するための別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図26G】組織増強構造体を製造するための更に別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図26H】組織増強構造体を製造するための更に別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図26I】組織増強構造体を製造するための更に別の例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図27A】組織増強構造体を製造するのに使用するためのトンネルステーションの例示的な一実施形態の模式側面図である。
【
図27D】
図27Aのトンネルステーションと併せて使用され得る内腔形成ツールの遠位端の様々な例示的な実施形態である。
【
図27E】
図27Aのトンネルステーションと併せて使用され得る内腔形成ツールの遠位端の様々な例示的な実施形態である。
【
図27F】
図27Aのトンネルステーションと併せて使用され得る内腔形成ツールの遠位端の様々な例示的な実施形態である。
【
図27G】
図27Aのトンネルステーションと併せて使用され得る内腔形成ツールの遠位端の様々な例示的な実施形態である。
【
図27H】
図27Aのトンネルステーションと併せて使用され得る内腔形成ツールの遠位端の様々な例示的な実施形態である。
【
図27I】
図27Aのトンネルステーションと併せて使用され得る内腔形成ツールの遠位端の様々な例示的な実施形態である。
【
図27J】
図27Aのトンネルステーションを使用して、組織増強構造体を製造するための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図27K】
図27Aのトンネルステーションを使用して、組織増強構造体を製造するための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図27L】
図27Aのトンネルステーションを使用して、組織増強構造体を製造するための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図27M】組織増強構造体を製造するのに使用するためのトンネルステーションの別の例示的な実施形態の模式側面図である。
【
図28】組織増強構造体の例示的な一実施形態の側面図である。
【
図29A】組織増強構造体の別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図30A】組織増強構造体の別の例示的な実施形態の側面図である。
【
図30C】
図30Aの組織増強構造体を製造するための例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図30D】
図30Aの組織増強構造体を製造するための例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図30E】
図30Aの組織増強構造体を製造するための例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図30F】
図30Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式図である。
【
図30G】
図30Aの組織増強構造体に類似する組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図30H】
図30Aの組織増強構造体に類似する組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図30I】
図30Aの組織増強構造体に類似する組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図30J】組織増強構造体の更に別の例示的な実施形態の斜視図であり、この組織増強構造体は、それに配置されている縮小可能ループを有する。
【
図30K】縮小可能ループを通過した縫合リムを有する、
図30Jの組織増強構造体の斜視図である。
【
図30L】
図30Jの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式図である。
【
図31A】組織増強構造体を製造するための更なる例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図31B】組織増強構造体を製造するための更なる例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図31C】組織増強構造体を製造するための更なる例示的な実施形態の模式連続図である。
【
図32A】組織増強構造体の更に別の例示的な実施形態の上面図である。
【
図32B】
図32Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図32C】
図32Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図32D】
図32Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図32E】
図32Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図32F】
図32Aの組織増強構造体に類似する組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図32G】
図32Aの組織増強構造体に類似する組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図32H】
図32Aの組織増強構造体に類似する組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図32I】
図32Aの組織増強構造体を製造するための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図32J】
図32Aの組織増強構造体を製造するための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図33A】組織増強構造体及び縫合構成の様々な例示的な実施形態の模式上面図である。
【
図33B】組織増強構造体及び縫合構成の様々な例示的な実施形態の模式上面図である。
【
図33C】組織増強構造体及び縫合構成の様々な例示的な実施形態の模式上面図である。
【
図33D】組織増強構造体及び縫合構成の様々な例示的な実施形態の模式上面図である。
【
図33E】組織増強構造体及び縫合構成の様々な例示的な実施形態の模式上面図である。
【
図34A】組織増強構造体の別の例示的な実施形態の上面図である。
【
図34C】
図34Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図34D】
図34Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図34E】
図34Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図34F】
図34Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図34G】
図34Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図34H】
図34Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図34I】
図34Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図34J】
図34Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図34K】
図34Aの組織増強構造体を取り付けるための別の例示的な実施形態の模式図である。
【
図35A】組織増強構造体の更に別の例示的な実施形態の上面図である。
【
図35C】
図35Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図35D】
図35Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図36A】組織増強構造体の別の例示的な実施形態の上面図である。
【
図36C】
図36Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図36D】
図36Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図36E】
図36Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図36F】
図36Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図36G】
図36Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図36H】
図36Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図36I】
図36Aの組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図37A】組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図37B】組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図37C】組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図37D】組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図37E】組織増強構造体を取り付けるための例示的な一実施形態の模式連続図である。
【
図38A】組織増強構造体管理装置の例示的な一実施形態の上面図である。
【
図38D】
図38Aの装置などの組織増強構造体管理装置と併せて使用され得る代替的で例示的な解放機構の模式側面図である。
【
図38E】組織増強構造体管理装置の別の例示的な実施形態の上面図である。
【
図39A】組織増強構造体管理装置の更に別の例示的な実施形態を使用するための方法を図示する模式連続図である。
【
図39B】組織増強構造体管理装置の更に別の例示的な実施形態を使用するための方法を図示する模式連続図である。
【
図39C】組織増強構造体管理装置の更に別の例示的な実施形態を使用するための方法を図示する模式連続図である。
【
図39D】組織増強構造体管理装置の更に別の例示的な実施形態を使用するための方法を図示する模式連続図である。
【
図39E】組織増強構造体管理装置の更に別の例示的な実施形態を使用するための方法を図示する模式連続図である。
【
図39F】組織増強構造体管理装置の更に別の例示的な実施形態を使用するための方法を図示する模式連続図である。
【
図40】組織増強構造体管理装置の別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図41A】組織増強構造体の別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図41B】
図41Aの組織増強構造体と共に使用され得る送達ツールの遠位端の様々な例示的な実施形態である。
【
図41C】
図41Aの組織増強構造体と共に使用され得る送達ツールの遠位端の様々な例示的な実施形態である。
【
図41D】
図41Aの組織増強構造体と共に使用され得る送達ツールの遠位端の様々な例示的な実施形態である。
【
図42A】組織増強構造体を送達するための送達ツールの更に別の例示的な実施形態の側断面図である。
【
図42B】組織増強構造体を送達するのに使用される
図42Aの送達ツールの模式連続図である。
【
図42C】組織増強構造体を送達するのに使用される
図42Aの送達ツールの模式連続図である。
【
図43】縫合糸リーダの例示的な一実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つ以上の実施例が、添付の図面に示されている。当業者は、具体的に本明細書において説明され、添付の図面において例解されるデバイス及び方法が、非限定的な例示的な実施形態であること、並びに本開示の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。ある例示的な実施形態に関連して例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。かかる修正及び変形は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。更に、本開示において、実施形態の同様な番号が付された構成要素は、概して類似する特徴を有する。加えて、開示されるシステム、装置及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される範囲において、かかる寸法は、かかるシステム、装置及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及び装置並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくともシステム及び装置が用いられる被験者の解剖学的構造、システム及び装置がそれらと共に用いられる構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及び装置が用いられる方法及び処置によって決まり得る。
【0076】
本明細書で提供される図面は、必ずしも原寸に比例していない。また更に、矢印が移動方向を説明するのに使用される限りにおいて、これらの矢印は、例示的なものであって、各要素が移動することができ又は移動すべき方向を何ら限定するものではない。当業者であれば、本開示を考慮して、所望の結果を生じさせるための他の方法及び方向性を認識するであろう。加えて、多様な用語が開示全体を通して互換的に使用される場合があるが、このことは当業者には理解されるであろう。非限定的な例として、縫合糸、フィラメント、及び可撓性部材という用語は、互換的に使用される場合があり、他の同様の目的の材料、例えば、縫合テープを含む。更に、「ブロック」という用語が本明細書で提供されたいくつかの構造体及びマトリックスを説明するのに使用される限りにおいて、この構造体及びマトリックスは、正方形若しくは矩形又はその目的で平坦な表面を有する任意の形状に限定されない。また更に、「糸通しする」、「通す」(thread)という用語が、あるコンポーネントを別のものと関連付けることを説明するのに使用される限りにおいて、この用語は、フィラメントを別の材料に実際に通過させることを意味するように限定されない。また、「通す」は、開口(例えば、少なくともいくつかの組織増強ブロックに対して以下で記載されたように、本体に形成された開口)を通過させることも含むことでき、このため、より一般的に、あるコンポーネントを別のものと関連付けることを意味することができる。
【0077】
軟組織修復のためのシステム、装置、及び方法が一般的に提供される。この場合、このようなシステム又は装置は、1つ以上の外科用修復フィラメント及び/又は可撓性部材;1つ以上の組織増強構造体又はマトリックス(これらとしては、ストリップ、チューブ、バー、タック、ウォッシャー、及び/又はパッチが挙げられ、それらはそれぞれ、以下により詳細に記載されている);及び1つ以上の縫合インプラントを含むが、これらに限定されず、又は、同様の構成又は目的の装置である。「組織増強構造体」及び「組織増強マトリックス」という用語も、「縫合糸増強構造体」及び「縫合糸増強マトリックス」という用語、より一般的には、「増強構造体」及び「増強マトリックス」という用語、並びに「構造体」及び「マトリックス」という用語と互換的に使用される場合がある。本明細書で記載されるように、「構造体」という用語は、縫合リムと関連付けられて、リムのフットプリントを広げる任意のインプラントを意味し、「ブロック」という用語は、ストリップ又はテープ、チューブ、バー、ワッシャ、及び他のカニューレ状の本体を含む構造体のサブセットを意味し、「タック」又は「ボタン」及び「パッチ」又は「足場」という用語は、(中でも、ストリップ、テープ、チューブ、バー、及びワッシャという用語と同様に)以下により詳細に記載される。外科用修復フィラメント又は可撓性部材は、典型的な縫合糸の構成及びテープ形状を含めた様々な構成をとることができ、様々な種類の縫合インプラント、例えば、軟組織を骨に取り付け又は再度取り付けるためのフィラメントアンカー、縫合アンカー、又は骨アンカー(硬い及び軟質アンカーを含む)と併せて使用することができる。修復フィラメントは、軟組織が所望の位置に配置され得るように、軟組織を通過し得る。修復フィラメントは、アンカーに固定され、同アンカーは、骨に固定される。組織増強構造体は、外科用修復フィラメントと関連付けられて、傷付いた又は変性した軟組織に対して範囲及び嵩を増大させ、縫合修復フィラメントと修復される組織との間の圧縮が加えられる表面積を大きくし、組織成長及び修復を促進するのに役立ち得る。修復フィラメント、組織増強構造体、及び縫合インプラントはそれぞれ、このシステム及び装置の一部であるとして記載されているが、任意の1つのコンポーネントは、外科手術に使用される他のコンポーネント又は他のインプラント及び装置と共に使用するのに、別々に提供され得る。
【0078】
多くの異なる修復手術が本開示により改良され得るが、いくつかの例示的な実施形態では、本明細書で提供される軟組織修復装置及びシステムは、回旋腱板固定手術に使用され得る。回旋腱板固定手術において、外科医は、回旋腱板を骨に、まず、2つの縫合リムが組織から伸びるように、縫合糸を軟組織に糸通しすることにより、再度取り付け得る。外科医は、それぞれの縫合リムを各組織増強構造体に糸通しし、その後に、縫合リムを、組織に近接した1つ以上の骨アンカーに固定し得る。組織増強構造体は、軟組織と接触するシステムの表面積又はフットプリントを大きくする。この大きくなったフットプリントにより、軟組織上に任意に負荷されている力を分散させることができ、その結果として、引っ張られた縫合糸は、例えば、「チーズワイヤリング」により、軟組織を削り取るか、又は他の方法で損傷させることがほとんどなくすることができるであろう。更に、組織増強構造体は、容易かつ素早く、手術中に縫合リム上に糸通しされ、又は、同縫合リムと他の方法で関連付けられ得る。この点は、異種移植片又は同種移植片形成体を縫合リムと関連付けるための複雑で時間のかかるアプローチを伴う、既存のシステムとは対照的である。このため、得られた手術により、オンデマンド様式で、組織増強構造体を縫合リム上に加えることができる。また更に、組織増強構造体は、他の種類の材料の中でも、生体適合性材料(例えば、コラーゲン)から作製され得る。これにより、治癒中に、組織成長の新しいバンドが生じ、回旋腱板固定手術の有効性を更に向上させることができる。本明細書で開示された他の非限定で例示的な実施形態では、軟組織修復装置及びシステムは、他の軟組織修復手術、例えば、中でも、前十字靭帯(ACL)損傷、不安定又は関節手術、半月板修復、上方関節包再建、及び股関節包縫縮に使用され得る。組織増強構造体を製造する様々な方法並びに組織増強構造体を手術用縫合糸と関連付けるための取付けツール及び/又は糸通し器を使用する様々な方法も記載される。
【0079】
組織増強構造体-ストリップ又はテープ構成を有する組織増強ブロック
組織増強構造体の例示的な一実施形態は、組織増強ブロック10として示され、
図1A及び
図1Bに提供される。例示的な一実施形態では、組織増強ブロック10は、縫合リム12aに対して糸通しされているか、又は、縫合リム12aと他の方法で関連付けられるように構成されたストリップ又はテープである。より具体的には、組織増強ストリップ又はテープ10は、幅W、長さL、及び厚みTを有する、実質的に矩形の形状を有することができ、実質的に平坦な組織係合表面10a及び/又は10bを含む。示されているように、テープ10は、その幅より長く、その厚みより広い。典型的には、長さLは、幅Wより実質的に長く、幅Wは、厚みTより実質的に広い。更に、幅Wは、組織増強テープ10が関連付けられているフィラメント又は縫合糸、例えば、縫合リム12aの直径より広いことにより、外科的修復に使用されるシステム又は装置の圧縮表面積を大きくすることができる。
【0080】
当業者であれば、組織増強ストリップ10の長さL、幅W、及び厚みTの寸法は、様々な要因により決まり得ることを、認識するであろう。同要因としては、関連付けられるフィラメントのサイズ、患者の解剖学的構造、及び行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ストリップ10の幅Wの、縫合リム12aの直径に対する比は、ほぼ約2:1~約20:1の範囲にあることができ、とりわけ、幅Wは、いくつかの例において、組織増強ストリップ10が関連付けられているフィラメント又は縫合糸の直径の少なくとも3倍であることができる。縫合リム12aが縫合テープである実施形態では、組織増強ストリップ10の幅Wは、いくつかの例において、ストリップが関連付けられている縫合テープの直径の少なくとも2倍であり得る。当業者であれば、組織増強ストリップの幅の、ストリップが使用されるフィラメント又は関連する構造体の直径に対する比は、少なくとも部分的には、使用されるフィラメント又は関連する構造体の種類、使用されるストリップ又は他の構造体の種類、及び行われる手術の種類に応じて、任意の適切な比であることができ、このため、直径に対する幅の比は、本明細書で提供されたものより小さいか又は大きい場合があることを、認識するであろう。更に、いくつかの実施形態では、ストリップ10の幅Lの、ストリップ10の幅Wに対する比は、ほぼ約2:1~約20:1の範囲にあることができ、とりわけ、長さLは、いくつかの例において、幅Wの少なくとも3倍、いくつかの他の例において、少なくとも5倍、いくつかの例において、少なくとも10倍であることができるが、他のL-W比も可能である。また更に、ストリップ10は、実質的に平坦であり、ほぼ均一であり得る。いくつかの実施形態では、ストリップ10の幅Wの、ストリップ10の厚みTに対する比は、ほぼ約2:1~約20:1の範囲にあることができ、とりわけ、幅Wは、いくつかの例において、厚みTの少なくとも3倍、いくつかの他の例において、少なくとも5倍、いくつかの例において、少なくとも10倍であることができるが、他のW-T比も可能である。様々な他のサイズ及び形状の組織増強テープストリップ10が、組織増強ストリップ及び関連付けられるコンポーネント(例えば、縫合リム12a)の寸法比を含めて、本開示の趣旨を逸脱することなく利用され得る。
【0081】
比は、ストリップ10とフィラメントリム12aとの間の関係及びストリップ10の寸法間の関係を説明するのに役立つのに有用であり得るが、組織増強ストリップについてのいくつかの例示的で非限定的な寸法も、本開示を理解するのに役立ち得る。上述したように、これらの寸法は、様々な要因により決まり得る。いくつかの実施形態では、長さLは、組織に形成されるステッチと組織を固定するのに役立つように使用される骨アンカーとの間に伸びる組織の長さの、ほとんど全部に対するかなりの部分を覆い得る。いくつかの実施形態では、長さLは、ほぼ約5ミリメートル~約1センチメートルの範囲にあることができ、幅Wは、ほぼ約1ミリメートル~約5ミリメートルの範囲にあることができ、厚みTは、ほぼ約0.5ミリメートル~約3センチメートルの範囲にあることができる。更に、ストリップ10は、
図1Aにおいて、長さ、幅、及び厚みを有するように記載され、実質的に平坦であるように示されているが、
図1Bは、ストリップ10が比較的可撓性であることができ、例えば、それを通過する縫合リム12により部分的に、ひだ形成され(bunched)得ることを図示している。ストリップ10を形成するのに使用される材料は、本開示の後のセクションに記載されている。
【0082】
数多くの技術が、組織増強ストリップ10を縫合リム12aと関連付けるのに使用され得る。
図1Bに示されているように、縫合リム12aは、組織増強ストリップ10の上面側10aから底面側10bに、そして、上面側10aに戻されるように糸通しされている。組織増強ストリップ10に縫合リム12aを糸通しする工程は、所望の回数繰り返されてよい。いくつかの実施形態では、手術用縫合糸を組織増強ストリップを通るように糸通しすることが、手術中にin vivoに行われ得るように、縫合糸通し器は、手術前に、組織増強ストリップ10に通され得る。例示的な縫合糸通し器は、代替的な組織増強構造体に関して、以下で検討される。
【0083】
図1Bの組織増強ストリップ10は、縫合リム12aにより係合された際に、誇張された波様プロファイルを有するように示されているが、原理的には、組織増強ストリップ10は、接触する軟組織の形状に適合し得る。組織増強ストリップ10を縫合リム12a上に含ませることにより、縫合リム12aは、より広いフットプリントを有するため、組織のより大きい表面積を覆う。更に、組織増強ストリップ10は、縫合リム12aにより組織に加えられた力を、より大きい量の表面積にわたって分散させることができる。より大きい量は、組織増強ストリップ10の表面積により決めることができる。このため、組織増強ストリップ10の幅が縫合リム12aの直径の少なくとも3倍である実施形態では、組織上の縫合リム12aの力は、組織増強ストリップ10が縫合リム12aと関連付けられていない場合より、少なくとも3倍の面積にわたって分散され得る。大きくなった組織表面積範囲及び組織増強ストリップ10の分散された力により、軟組織上での低下した圧力ピークがもたらされ得る。使用中に、組織と係合し、大きくなった分散を可能とするのは、表面10a又は表面10bのいずれかである。軟組織が傷害又は加齢により変性されてしまった箇所において、圧力の低下により、組織の剥脱のより少ない可能性がもたらされ得る。更に、より広い組織範囲は、何らかの方法で傷付いた組織の治癒を向上させ得る。
【0084】
組織増強ストリップ10と共に使用される縫合リム12aは、任意の種類の縫合糸(例えば、網組フィラメント、カニューレ状フィラメント、モノフィラメント、縫合テープなど)であることができ、約#5フィラメント(約20ゲージ~約21ゲージ)と約#3~0フィラメント(約29ゲージ~約32ゲージ)との間のサイズを有し得る。当業者であれば、例えば、縫合テープが使用される場合、増強ストリップ10と共に使用され得る様々な他のフィラメントの種類及びサイズも、認識するであろう。
【0085】
組織増強構造体-カニューレ状部分を有する組織増強構造体
組織増強構造体の別の例示的な実施形態は、組織増強ブロック110として示され、
図2A~
図2Dに提供される。代替的に、組織増強構造体、例えば、ブロック110は、一般的には、カニューレ状本体を有する組織増強構造体とも呼ばれ得る。カニューレ状本体を有する組織増強構造体は、チューブ110、バー3010、3010’、及びワッシャ310、410を含み得る。増強ブロックの例示的な一実施形態では、ブロックは、縫合リム112a上に配置され又は縫合リム112aと何らかの方法で関連付けられるように構成されているカニューレ状チューブであり得る。より具体的には、増強チューブ110は、それを通って最近位端110pから最遠位端110dに伸びる穴又は内腔114を有する、実質的に円筒形又は卵形の本体を有し得る。ブロック110がチューブとして記載される限りにおいて、このような説明は、組織増強ブロックの構成がチューブであるか又はチューブ構造を有することに何ら限定するものではない。チューブ様構成は、本明細書で提供されるブロックの様々な構成のうちの1つであり、又は、それから何らかの方法で導き出すことができる。ブロックの他の非限定的な実施形態は、以下で更に記載されるように、バー及びワッシャを含むが、これらに限定されない。
【0086】
ブロック110のカニューレ状の性質に戻って、穴114は、例えば、ブロック110及びリム112aが、以下でより詳細に記載されるように、互いに関連付けられ得るように、縫合リム112aを受容するように使用され得る。示されているように、ブロック110は、直径Dより長く、多くの例において、実質的により長い長さL’を有する。更に、直径Dは、組織増強ブロック110が関連付けられているフィラメント又は縫合糸、例えば、縫合リム112aの直径より大きいことにより、外科的修復に使用されるシステム又は装置の組織増強の表面積を大きくすることができる。
【0087】
当業者であれば、組織増強ブロック110の長さL’及び直径D並びに穴114の直径dの寸法は、様々な要因により決まり得ることを、認識するであろう。同要因としては、関連付けられるフィラメントのサイズ、患者の解剖学的構造、及び行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、長さL’と直径Dとの比は、ほぼ約2:1~約20:1の範囲にあることができ、とりわけ、長さL’は、いくつかの例において、直径Dの少なくとも3倍であることができる。更に、いくつかの実施形態では、チューブ110の直径Dの、縫合リム112aの直径に対する比は、ほぼ約2:1~約20:1の範囲にあることができ、とりわけ、直径Dは、いくつかの例において、組織増強ブロック110が関連付けられているフィラメント又は縫合糸の直径の少なくとも3倍であることができる。組織増強チューブ110の様々な他のサイズ及び形状が、組織増強ブロック及び関連付けられるコンポーネント(例えば、縫合リム112a)の寸法比を含めて、本開示の趣旨を逸脱することなく利用され得る。
【0088】
比は、チューブ110とフィラメントリム112aとの間の関係及びチューブ110の寸法間の関係を説明するのに役立つのに有用であり得るが、組織増強チューブについてのいくつかの例示的で非限定的な寸法も、本開示を理解するのに役立ち得る。上述したように、これらの寸法は、様々な要因により決まり得る。いくつかの実施形態では、長さL’は、組織に形成されるステッチと組織を固定するのに役立つように使用される骨アンカーとの間に伸びる組織の長さの、ほとんど全部に対するかなりの部分を覆い得る。いくつかの実施形態では、長さL’は、ほぼ約5ミリメートル~約2センチメートルの範囲にあることができ、直径Dは、ほぼ約1ミリメートル~約5ミリメートルの範囲にあることができる。穴114の直径dのサイズも、様々な要因により決まり得る。同要因としては、それを通過するリムのサイズが挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、直径dは、ほぼ約0.75ミリメートル~約3ミリメートルの範囲にあり得る。
【0089】
カニューレ状の部分を有する組織増強ブロック110の代替的な実施形態が、
図2E、2F、2G、2H、及び
図2Iに示される。全ての組織増強ブロックがカニューレ状の部分を有するわけではないが、カニューレ状の部分は、
図2A~
図2Iにおいて提供されたブロック110、3010、3110、2810a、2810’、2810’’の共通する特徴である。組織増強ブロックの他の構成は、カニューレ状の部分又は縫合リムが通過するカニューレ状の部分を有さないため、他の構成は、当業者に何らかの方法で公知の本明細書で提供された他の技術を使用して、リムと関連付けられ得る。
【0090】
上記で検討され、
図2E及び
図2Fに示されているように、組織増強バー3010、3110は、矩形及び又は正方形の断面形状を有し得る。他の断面形状も可能であり、例えば、三角形、四辺形、五角形、六角形、八角形などを含む。
図2Eに示されているように、カニューレ状のバー3010は、カニューレ状のチューブ110に関して上記されたように、縫合リム上に配置され、又は、同縫合リムと何らかの方法で関連付けられるように構成されている。より具体的には、バー3010は、それを通って、最近位端3010pから最遠位端3010dに伸びる、矩形の穴又は内腔3014を有する実質的に矩形の本体を有し得る。穴3014は、例えば、以下でより詳細に記載されるように、バー3010及び縫合リムが互いに関連付けられ得るように、縫合リムを受容するのに使用され得る。穴3014は、増強ブロック110に関して、以下で検討された製造技術により作製され得ることが企図される。
【0091】
組織増強バー3010の代替的な構造である組織増強バー3110は、
図2Fに示される。
図2Fに示されているように、カニューレ状のバー3110は、カニューレ状のブロック110、3110に関して上記されたように、縫合リム上に配置され又は同縫合リムと何らかの方法で関連付けられるように構成されている。より具体的には、バー3110は、それを通って、最近位端3110pから最遠位端3110dに伸びる、矩形の穴又は内腔3114を有する実質的に矩形の本体を有し得る。穴3114は、例えば、以下でより詳細に記載されるように、バー3110及び縫合リムが互いに関連付けられ得るように、縫合リムを受容するのに使用され得る。示されているように、バー3110は、材料の2つの部分3110a、3110bから構成され得る。2つの材料3110a、3110bは互いに、縫合糸3124a、3124bにより関連付けられ得る。材料3110a、3110bは互いに、内腔3114が本開示全体を通して検討された任意の製造技術を使用して形成されるように取り付けられ得る。バー3010、3110の様々な他のサイズ及び形状が、バー及び関連付けられるコンポーネント(例えば、縫合リム)の寸法比を含めて、本開示の趣旨を逸脱することなく利用され得る。
【0092】
組織増強ブロック2810a、2810’、及び2810’’の更に代替的な構成はそれぞれ、
図2G、
図2H、及び
図2Iに図示される。示されているように、カニューレ状のブロック2810a、2810’、2810’’は全て、
図2A~
図2Dに示されているように、組織増強ブロック110と実質的に同じであり得る。あるいは、カニューレ状のブロック2810a、2810’、2810’’は、組織増強バー3010、3110に実質的に類似する構成を有し得る。カニューレ状のブロック2810a、2810’、2810’’は、組織増強ブロック110より実質的に長い長さを有し得る。例示的な一実施形態では、ブロック2810aは、ほぼ約15.0ミリメートル~約25.0ミリメートルの範囲にある長さを有し得る。有利に、ブロック2810a、2810’、2810’’は、軟組織修復上に側方アンカーから内側に伸び得る長さを有して、治癒を支援するための修復及び更なる足場のための更なる保護を提供し得る。
【0093】
数多くの技術が、組織増強ブロック110、3010、3110、2810a、2810’、2810’’を縫合リム112aと関連付けるのに使用され得る。例えば、
図2Aに示されているように、縫合リム112aは、チューブ110の本体を通過することなく、即ち、同本体をまたぐことなく、組織増強チューブ110の最近位端110pから最遠位端110dに糸通しされ又は通過する。即ち、縫合リム112aは、内腔114を画定する本体の側壁内を通過しない。チューブ110は、縫合リム112aに結合せず又は取り付けられず、それに代えて、リム112aの長さに沿って、妨げられず又は制限されず、自由に通過し得る。他の実施形態では、リム112aは、1回以上本体を通過し、即ち、同本体をまたいで、チューブ110の位置をリム112aに対して更に固定することにより、チューブ110を縫合リム112aに結合し又は取り付け得る。当業者であれば、本開示の趣旨を逸脱することなく、チューブ110がリム112aと関連付けられ、又は結合し得る様々な他の方法を、認識するであろう。
【0094】
組織増強チューブ110への縫合リム112aの糸通しは、手術部位又は体外のいずれかにおいて、手作業で行われ得る。あるいは、
図2B及び
図2Cに示されているように、組織増強チューブ110は、組織増強チューブ110に縫合リム112aを糸通しする前に、穴114を通して挿入された糸通し器206を有し得る。糸通し器206は、近位ハンドル部分208、中間細長部分210、及び遠位縫合糸受容端212を含み得る。近位ハンドル部分208は、例えば、示されているように実質的に矩形の形状を有することにより、ユーザにより容易に把持されるように構成され得る。把持するための他の形状及び機構が提供され得る。中間部分は、組織増強構造体、例えば、中間部分と関連付けられることにより、糸通し器206を可撓性にすることができる組織増強チューブ110を有することができるフィラメント部分210であり得る。遠位縫合糸受容端212は、増強ストリップと関連付けられる縫合糸、例えば、縫合リム112aが配置され得る遠位開口212を有し得る。図示された実施形態では、遠位開口212は可撓性であり、いくつかの実施形態では、ワイヤ、繊維、糸、コード、及び/若しくは他の可撓性構造体又は類似する特徴を有する他の材料から作製され得る。遠位開口212が可撓性であるため、その形状は、使用前、同使用中、及び同使用後に変化することができ、このため、図示された実施形態では、遠位開口212は、ダイヤモンド又はカイト型を有するが、他の構成も可能である。更に、開口212の可撓性の性質は、開口212をそれに配置された縫合糸の周りで縮小させて、使用中に縫合糸を締め付けるか、又は他の方法で保持し得る。いくつかの実施形態では、中間部分210は、ワイヤ、繊維、糸、コード、及び/若しくは他の可撓性構造体からも作製され得る。ワイヤという用語は、縫合糸が金属で作製されているか、又は、金属の特徴を有することを意味するのを意図しているものではなく、中間部分210及び遠位縫合糸受容端212が金属で作製され得る。
【0095】
図2G~
図2Iは、組織増強構造体と関連付けられる縫合リムの更なる構成を提供する。
図2Gに示されているように、構造体2810aは、構造体2810aを少なくとも1つの縫合リムと関連付けるために、それを通って配置される2つの糸通し器を含み得る。
図2Gに図示されているように、第1の糸通し器2809aは、ブロック2810aを通って、上面2811tから底面2811aに、ハンドル2808aが上面2811tに近接し、受容端2807bが底面2811bに近接するように、配置され得る。第1の糸通し器2809aは、ブロック2810aを通って、ブロック2810aの中央内腔2870とそれに対して実質的に垂直に交差するように、配置され得る。あるいは、糸通し器2809aは、中央内腔2870に対して任意の角度で配置され得る。第1の糸通し器2809aは、ブロック2810aの近位端2811p又は近位半分に配置され得る。第2の糸通し器2809bは、ブロック2810aの遠位部分2811dを通って配置され得る。例えば、第2の糸通し器2809bは、ブロック2810aの遠位端2811dから、内腔2870を通って、内腔の中間位置2870mに伸び、ブロック2810aの底面2811bから出ることができる。例示的な一実施形態では、第2の糸通し器2809bは、ブロック2810aを通って、糸通し器2809bのハンドル部分2808bがブロック2810aの遠位端2811dに近接し、糸通し器の受容端2807bがブロック2810aの底面2811bから出て伸びるように伸び得る。あるいは、他の縫合糸通し器の構成が、
図2H及び
図2Iに示されているように企図され、以下で検討される。
【0096】
1つの代替的な縫合糸通し器の構成において、
図2Iに示されているように、ブロック2810’は、ブロックの近位端2811p’に予め糸通しされた縫合糸2814’を含み得る。この場合、第2の糸通し器は不要である。予め糸通しされた縫合糸2814’は、ブロック2810’内に、
図2Gの第2の糸通し器2809bと実質的に同様の位置で糸通しされ得る。予め糸通しされた縫合糸2014’は、図示されていないが、ブロック2810’内に、ブロックが修復縫合糸と関連付けられる前又は同関連付け後のいずれかにおいて糸通しされ得る。更に代替的な構成において、
図2Hに示されているように、ブロック2810’’は、2つの糸通し器2809a’’及び2809b’’を含み得る。糸通し器2809a’’、2809b’’は、上記検討された糸通し器2809a、2809bと実質的に類似し得る。示されているように、第2の糸通し器2809b’’は、中央内腔2870’’を通って、例えば、近位末端2811p’’から遠位末端2811d’’に配置され得る。あるいは、第2の糸通し器2809b’’は、中央内腔2870’’の任意の長さを通って伸び得る。第2の糸通し器2809b’’は、図示されていないが、縫合リムをブロック2810’’と、本開示全体を通して提供された技術を使用して関連付け得る。縫合リムはそれぞれ、ブロック2810’’を、遠位端2811d’’において、修復縫合リムと共に出て、その後に、軟組織修復から側方にオフセットされた位置で骨内にアンカーされ得る。
【0097】
使用中に、力P1が、ハンドル部分208に加えられて、フィラメント部分210及び遠位開口212を、増強チューブ110に対して、力P1の方向に移動させ得る。遠位開口212、及びそれに結合している縫合リム112aは、この移動により、増強チューブ110内に入り、それを通るように引っ張られるため、増強チューブ110を縫合リム112a上に配置し得る。遠位開口212に増強チューブ110が入ると、開口212は縮小させられ、例えば、縫合リム112a周りでより狭い幅に圧縮されて、リム112aを締め付けるために、縫合リム112aが増強チューブ110の本体内に引っ張られるのをより容易にすることができる。増強チューブ110が縫合リム112a上に配置され又は縫合リム112aと他の方法で関連付けられると、縫合リム112aは、遠位開口212との関連付けが解除され得、糸通し器206は、もはや増強チューブ110又は縫合リム112aのいずれとも関連付けられていないため、廃棄又は再利用され得る。ついで、縫合リム112aと増強チューブ110との組み合わせは、以下で更に詳述されるように、様々な手術に使用され得る。増強チューブ110を縫合リム112a上に配置するプロセスを、手術部位近くを含む、体外又は体内で行い得る。
【0098】
組織増強ストリップ10と同様に、組織増強チューブ110を縫合リム112a上に含ませることにより、縫合リム112aは、より広いフットプリントを有するため、組織のより大きい表面積を覆う。更に、チューブ110は、縫合リム112aにより組織に加えられた力を、より大きい量の表面積にわたって分散させることができる。より大きい量は、組織増強チューブ110の表面積により決めることができる。このため、組織増強チューブ110の直径が縫合リム112aの直径の少なくとも3倍である実施形態では、組織上の縫合リム112aの力は、組織増強チューブ110が縫合リム112aと関連付けられていない場合より少なくとも3倍の面積にわたって分散され得る。大きくなった組織表面積範囲及び組織増強チューブ110の分散された力により、軟組織上での低下した圧力ピークがもたらされ得る。軟組織が傷害又は加齢により変性されてしまった箇所において、大きくなった組織表面積範囲及び圧力の低下により、組織の剥脱のより少ない可能性がもたらされ得る。更に、より広い組織範囲により、傷付いた組織の治癒が何らかの方法で向上され、並びに/又は、何らかの方法で傷付き若しくは変性した組織及び/若しくは腱に嵩を提供することができる。
【0099】
糸通し器、例えば、糸通し器206は、増強構造体を縫合糸と関連付けるのを補助する取付けツールと共にも使用され得る。
図3は、近位ハンドル部分208’及び遠位受容端212’がわずかに異なる形状を有すること以外は、糸通し器206に類似する糸通し器206’を提供する。示されているように、近位ハンドル部分208’は、中間フィラメント部分210’の直径より大きい直径を有する把持突起208’の形状であるため、ユーザが近位ハンドル部分208’を容易に把持することができる。当業者であれば、近位ハンドル部分208’がほとんどの任意の形状を有し得ることを、認識するであろう。同様に、遠位受容端212’の形状も、ほとんどの任意の形状を有し得る。図示された実施形態では、遠位受容端212’は、遠位開口212’であるが、この開口は、遠位開口212より丸みを帯びたように図示されている。しかしながら、上記説明されたように、遠位開口212’は可撓性であり得るため、更に、図示された実施形態は、他の形状に操作され得る。
【0100】
取付けツール200’は、ハンドル部分202’とカートリッジ部分204’とを含み得る。ハンドル部分202’は、取付けツール200’がカニューレを通って体内の手術部位内に挿入され得るような長さであり得る。あるいは、ハンドル部分202’は、任意の適切な長さであり得る。
図3に示されているように、ハンドル202’は、近位部分202p’と遠位部分202d’とを含む。ハンドル202’の遠位部分202d’は、近位部分202p’から角度的にオフセットされていてよく、カートリッジ204’がリム112a’上への増強チューブ110’の糸通しを行うのに好ましい向きに向くのを可能にする。あるいは、近位部分202p’及び遠位部分202d’は、互いに同一直線上にあり得る。
【0101】
遠位部分202d’は、縫合リム112a’に対して糸通しされる増強チューブ110’を受容するようなサイズのカートリッジ204’に取り付けられ得る。カートリッジ204’は、円筒形であり得、ほぼ円筒の断面を有する。あるいは、カートリッジ204’は、三角形、矩形、又は他の形状及び/若しくは断面を有し得る。カートリッジ204’は、それを通って、第1の開口216’から第2の開口218’に伸びる内腔214’を有し得る。第1の開口216’は、第2の開口218’より大きくあり得る。あるいは、第1の開口216’及び第2の開口218’は、任意の所望のサイズであり得る。
図3に示されているように、第1の開口216’は、増強チューブ110’がそれを通って入り得るように、内腔214’と実質的に同じ直径を有し得る。第2の開口218’は、それを通って糸通し器206’の関連する部分を受容するようなサイズの直径を有し得る。
【0102】
図3に示されているように、縫合リム112a’は、開口212’を通って挿入され、糸通し器206’は、糸通し器206に類似する様式で操作されて、増強チューブ110’を縫合リム112a’上に配置し得る。例えば、オペレータは、糸通し器206’のハンドル部分208’を把持して、開口212’を、力F
P’の印加により、増強チューブ110’のカニューレ114’を通して引っ張り得る。ハンドル208’は、糸通し器206’の全体及び縫合リム112a’の遠位部分が第2の開口218’を通過するまで引っ張られ得る。増強チューブ110’を通して、縫合リム112a’を糸通しすると、糸通し器206’は、廃棄され又は再利用されることができ、取付けツールは、増強チューブ110’を解放機構の作動(図示せず)により解放することができる。あるいは、増強チューブ110’は、解放機構を必要としないように、締り嵌めにより、カートリッジ204’中に保持され得る。上記されたように、増強チューブ110’及び縫合リム112a’が参照されるが、取付けツール200’は、
図1A~
図1Bの増強ストリップ10及び本明細書で提供される他の構造体と同じ様式で使用され得る。更に、糸通し器は取付けツールと共に使用されるように検討されるが、糸通し器自体は、本明細書で提供された実施形態が糸通し器を縫合糸と増強構造体とを取付けツール200’を使用することなく関連付けるのに使用することが可能であるため、取付けツールであると考えられ得る。
【0103】
組織増強構造体-ワッシャ、ディスク、又はリング構成を有する組織増強ブロック
組織増強構造体の例示的な実施形態は、組織増強ブロック310として示され、
図4に提供される。組織増強ブロック310は、ワッシャ、ディスク、又はリングとして記載され得る構成を有し、図示された実施形態では、縫合リム312a上に配置され又は縫合リム312と他の方法で関連付けられるように構成されている正方形状のワッシャである。例えば、ワッシャ310は、それを通って最近位端310pから最遠位端310dに伸びる穴又は内腔314を有する、実質的に矩形のプリズム型の本体を有し得る。穴314は、例えば、ワッシャ310及びリム312aが、以下でより詳細に記載されるように、互いに関連付けられ得るように、縫合リム312aを受容するように使用され得る。示されているように、ワッシャ310は、実質的に等しい長さL
B及び幅W
Bと、長さL
B及び幅W
Bより低い高さT
Bとを有する。あるいは、ワッシャ310は、幅W
Bより長い長さL
Bを有する、より細長の矩形の形状を有し得る。更なる代替例において、長さL
B、幅W
B、及び高さT
Bは、実質的に等しく、これにより、立方体型の本体を形成し得る。更に、内腔の直径d
Bは、ワッシャ310が関連付けられるフィラメント又は縫合糸、例えば、縫合リム312aの直径より大きくあり得る。他の実施形態では、予め形成された内腔のないワッシャ310を通って、縫合リム312aの糸通しが行われ得る。ブロックが縫合リム312aと関連付けられると、ブロックは、ブロックの表面積を大きくすることにより、外科的修復に使用されるこのシステム又は装置の圧縮表面積を大きくし得る。
【0104】
当業者であれば、ワッシャ310の長さLB、幅WB、厚み又は高さTB、及び直径dBの寸法は、様々な要因により決まり得ることを、認識するであろう。同要因としては、関連付けられるフィラメントのサイズ、患者の解剖学的構造、及び行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ワッシャ310は、ほぼ約3ミリメートル~約6ミリメートルの範囲にある長さLB、約3ミリメートル~約6ミリメートルの範囲にある幅WB、及び、ほぼ約約1ミリメートル~約3ミリメートルの範囲にある厚み又は高さTBを有し得る。あるいは、長さLB、幅WB、及び厚み又は高さTBは全て、実質的に等しくてもよく、ほぼ約2ミリメートル~約5ミリメートルの範囲の寸法を有することができる。ワッシャ310の寸法がより小さいことの1つの利益は、以下で更に記載されるように、外科医が、複数のワッシャ310を、1つの縫合リムに載せて、必要とされる傷付いた組織の領域上にワッシャを正確に適用することができることである。例えば、ワッシャの正確な適用は、ワッシャを縫合リムの長さに沿って、縫合リムからの力がより大きい表面積にわたって分散されるであろう、より正確な方向に移動させることを含み得る。本開示を考慮して、ワッシャ310の厚み又は高さが、ワッシャ310が配置される縫合リムの長さより実質的に短くてもよいことは明らかである。任意の数のワッシャ310が、縫合リム上に配置されることができ、その数は、最大30個であるが、これに限定されない。いくつかの例示的な実施形態では、1つの縫合リム上に提供されるワッシャ310の数は、ほぼ約2個のブロック~約8個のブロックの範囲にある。
【0105】
同じ縫合リム上の他の類似するサイズの構造体と共に効果的に使用されるように構成された増強構造体の代替的な実施形態が、
図5に図示される。示されているように、組織増強構造体は、ワッシャ、ディスク、又はリングとして記載され得る構成を有する、組織増強ブロック410である。図示された実施形態では、リング又は円形のワッシャである。例えば、組織増強ワッシャ410は、それを通って、最近位面410pから最遠位面410dに伸びる穴又は内腔414を有し得る。穴414は、例えば、任意の予め形成された孔又は穴なしに、リングの本体を通って糸通しすることにより、ワッシャ410及びリム412aが互いに関連付けられ得るように、又は代替的に、リム412aがワッシャ410と関連付けられ得るように、縫合リム412aを受容するのに使用され得る。
【0106】
当業者であれば、ワッシャ410の直径DW、高さHW、及び穴の直径dWの寸法は、様々な要因により決まり得ることを、認識するであろう。同要因としては、関連付けられるフィラメントのサイズ、患者の解剖学的構造、及び行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、直径DWは、ほぼ約3ミリメートル~約6ミリメートルの範囲にあることができ、高さHWは、ほぼ約1ミリメートル~約3ミリメートルの範囲にあることができ、穴の直径dWは、ほぼ約0.5ミリメートル~約2ミリメートルの範囲にあることができる。ワッシャ310と同様に、本開示を考慮して、ワッシャ310の厚み又は高さは、ワッシャ410が配置される縫合リムの長さより実質的に短くあり得る。任意の数のワッシャ410が、縫合リム上に配置されることができ、その数は、最大30個であるが、これに限定されない。いくつかの例示的な実施形態では、1つの縫合リム上に提供されるワッシャ410の数は、ほぼ約2個のワッシャ~約8個のワッシャの範囲にある。
【0107】
ワッシャ310、410の利益の1つは、外科医が、以下で更に記載されるように、前方及び後方の縫合糸両方を、縫合糸挿入点において、ワッシャ310、410に通過させて、縫合糸による縫合糸挿入点におけるチーズワイヤリングを防止することができることである。更に、ワッシャ310、410は、1つ以上のワッシャ310、410を別の組織増強構造体が既に配置され又は配置されるであろう同じ縫合リム上に配置することによるのを含めて、開示された組織増強構造体のいずれかと共に使用され得る。
【0108】
当業者に公知の数多くの技術が、ワッシャ310、410を各縫合リム312a、412aと関連付けるのに使用され得る。縫合リム312a、412aは、ワッシャ310又は410の本体内を通過せず及び/又は同本体を通過せずに、ワッシャ310又は410の最近位端310p、410pから最遠位端310d、410dに糸通しされ又は通過させられる、即ち、縫合リム312a、412aが内腔314、414を通って直接伸びることができる。このため、ワッシャ310、410は、縫合リム312a、412aに結合せず又はこれらに取り付けられないため、チューブ110と同様に、ワッシャ310、410は、縫合リム312a、412aの長さに沿って、妨げられず又は制限されずに、自由に通過し得る。他の実施形態では、リム312a、412aは、1回以上本体を通過して、ワッシャ310、410の位置をリム312a、412aに対して更に固定し得る。当業者であれば、本開示の趣旨を逸脱することなく、ワッシャ310、410を、リム312a、412aと関連付けることができる、様々な他の様式を、認識するであろう。例えば、ワッシャ310又は410への、縫合リム312a、412aの糸通しは、手術部位又は体外のいずれかにおいて、手作業で行われてもよい。あるいは、1つ以上のワッシャ310又は410は、ワッシャ310又は410が縫合リム312a、412a上に糸通しされる前に、各穴314、414を通って挿入された糸通し器(図示せず)を有し得る。糸通し器は、上記された糸通し器206、206’と同じか又は類似することができ、手術部位において、縫合リム312a、412aをワッシャ310又は410に糸通しするのに使用され得る。
【0109】
増強ブロック10、110と同様に、ワッシャ310又は410のいずれか又は両方を縫合リム上に含ませることにより、縫合リムにより組織に加えられた力がより大きな量の表面積にわたって分散される。より大きな量は、増強ワッシャ310又は410の表面積及び使用されるワッシャ数により決まる。
【0110】
増強構造体を形成するための材料
上記検討された構造体、例えば、ブロック10、110、3010、3110、310、及び410、並びに、以下で更に提供されたもの(様々なパッチ又は足場を含む)は、結合組織を置き換え又は修復するために患者に埋め込まれた後に、ストリップが経時的に徐々に分解し又は再構築するように、1つ以上の生体適合性で生分解性の材料から作製され得る。構造体の再吸収プロファイルは、再生又は治癒プロセス中に、組織の構造性が補強され、構造性が付与されるように、十分長くあり得る。当業者であれば、少なくとも部分的には、構造体の所望の使用に応じて、適切な再吸収プロファイルを決定することができ、再吸収プロファイルを、構造体を形成するのに使用される材料を変更することにより適合させることができる。
【0111】
多くの異なる材料が組織増強構造体を形成するのに使用され得るが、いくつかの例において、単独又は他の材料との組み合わせのいずれかで、材料は、生体適合性ポリマーである。適切な生体適合性材料の例示的な実施形態としては、合成ポリマー、天然ポリマー及びそれら2つの組み合わせが挙げられる。本明細書で使用する場合、「合成ポリマー」という用語は、そのポリマーが天然の生体材料から作製される場合であっても、天然には見出されないポリマーを意味する。本明細書で使用する場合、「天然ポリマー」という用語は、天然に由来するポリマーを意味する。組織増強構造体が少なくとも1つの合成ポリマーを含む実施形態では、好適な生体適合性の合成ポリマーとしては、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル-エステル)、シュウ酸ポリアルキレン、ポリアミド、チロシン誘導ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含有するポリオキサエステル、ポリ(無水物)、ポリホスファゼン、ポリウレタン、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(プロピレンフマレート)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリジオキサノン、ポリ-ヒドロキシブチレート-コ-ヒドロキシバレレート、ポリアミノカーボネート、ポリトリメチレン、ポリオキサアミド、エラストマーコポリマー並びにこれらの組み合わせ及びブレンドを含む群から選択されるポリマーを挙げることができる。組織増強構造体に使用するのに好適な合成ポリマーとしては、また、コラーゲン、コラーゲン足場、粉砕コラーゲン粉末、エラスチン、トロンビン、シルク、ケラチン、フィブロネクチン、デンプン、ポリ(アミノ酸)、ゼラチン、アルギン酸、ペクチン、フィブリン、酸化セルロース、キチン、キトサン、トロポエラスチン、ヒアルロン酸、リボ核酸、デオキシリボ核酸、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、ポリヌクレオチド及びこれらの組み合わせ又はブレンドに見られる配列に基づく生合成ポリマーを挙げることができる。組織増強構造体を構成するのに使用され得る材料の種類としては、全体又は部分のいずれかにおいて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ゴム、又は他の生体適合性の非吸収性ポリマー及びそれらの組み合わせを含む(がこれらには限定されない)群から選択される非吸収性ポリマーが挙げられる。増強ストリップ10に使用するための天然ポリマーは、フィブリン系材料、コラーゲン系材料、ヒアルロン酸系材料、セルロース系材料、シルク系材料、ゼラチン系材料、糖タンパク質系材料、セルロース系材料、多糖系材料、タンパク質系材料、フィブロネクチン系材料、キチン系材料、ペクチン系材料、エラスチン系材料、アルギン酸系材料、デキストラン系材料、アルブミン系材料、天然のポリ(アミノ酸)系材料、脱細胞化組織、精製された細胞外マトリックス(ECM)、脱灰された骨マトリックス及びそれらの組み合わせを含む(がこれらには限定されない)群から選択され得る。
【0112】
また更に実際に、任意の種類の組織が、組織増強構造体を形成するのに使用され得る。同組織としては、自家移植片組織及び同種移植片組織並びにヒト同種間組織及び異種間組織が挙げられるが、これらに限定されない。異種は、中でも、ブタ、ウシ、及びウマを含む。使用される組織は、靭帯組織、腱組織、モデル化腱、皮膚組織、筋肉組織、骨膜組織、心膜組織、滑膜組織、外皮組織、無細胞ブタ真皮マトリックス、無細胞ウシ真皮マトリックス、筋膜、小腸組織、胚組織、羊膜組織(amniotic tissue)、胎盤組織、歯周組織、腹膜組織、血管組織、血液、及びそれらの組み合わせを含む、生体結合組織から選択され得る。組織増強構造体を形成するのに使用される材料は、架橋され、架橋されていないことができ、本明細書で提供される任意の材料が、合成、天然、又はそれらの組み合わせであるかに関わらず、他の材料と共に使用されることができる。また更に、組織増強構造体及び/又は組織増強構造体を形成するのに使用される材料は、多血小板血漿(PRP)、骨髄、細胞、並びに骨及び/又は組織成長促進材料により処理され得る。
【0113】
組織増強構造体を形成するのに使用される材料は、様々な技術を使用して、作製及び又は形成され得る。これらの技術としては、それらを編むこと及びそれらを織ることが挙げられるが、これらに限定されない。材料の全体構成は、当業者に公知の技術により生じる他の構成の中でも、織布、ニット、不織布、及び/又は発泡体であると記載され得る。更に、技術の組み合わせが、1つの構造体及び/又はその一部に使用され得る。材料、例えば、合成ポリマー及び上記提供された他の材料並びに組織について、形成技術が使用され得る。
【0114】
組織増強キット
本明細書で提供されるフィラメント及び組織増強構造体は、軟組織修復キットの一部として共に含まれ得る。このようなキットは、糸通し器、取付けツール、骨アンカー、及び/又は骨ドリルなどのコンポーネントも含み得る。例えば、キットの例示的な一実施形態は、1つ以上の組織増強構造体と、1つ以上の糸通し器とを含み得る。いくつかの例では、組織増強構造体は、糸通し器上に予め配置され得る。組織増強構造体は、本明細書で提供された構造体のいずれか又は本開示から導き出すことができる他のものを含むことができ、組織増強ブロック10、110、3010、3110、310、410及び、以下で記載される組織増強パッチ2210、2310、2410、及び2510が挙げられるが、これらに限定されない。糸通し器としては、糸通し器206、206’、及び当業者に公知又は本開示から他の方法で導き出すことができる他の糸通し器を挙げることができる。組織増強構造体が糸通し器上に予め配置されている例において、構造体は、糸通し器206、206’の中間部分208、208’上に配置され得る。
【0115】
キットは、組織増強構造体及び糸通し器と共に使用される他のコンポーネントも含み得る。同コンポーネントとしては、1つ以上の縫合糸、例えば、縫合糸12a、112a、1つ以上の取付けツール、例えば、取付けツール200’、1つ以上のインプラント、例えば、骨アンカー、及び1つ以上の骨ドリルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例示的な実施形態では、キットは、軟組織上にアンカーされるであろう、縫合リム12a、112a、312a、412a全てのための結合組織増強ブロック10、110、3010、3110、310、410を含み得る。フィラメント、構造体、取付けツール(単独の取付けツールとしての糸通し器を含み得る)、及び骨アンカーの種類及び構成は変更することができるため、ユーザに任意の外科手術に使用するための選択肢を提供することができる。したがって、ストリップ又はテープ構成(例えば、ストリップ10)、カニューレ状のチューブ構成(例えば、チューブ110)、カニューレ状のバー構成(例えば、バー3010、バー3110)、及びワッシャ構成(例えば、ワッシャ310、ワッシャ410)を有するブロックの任意の組み合わせが、必要に応じて外科医により、同じ縫合リム上にそれらを配置することによるのを含めて、組み合わせられ、適合され得る。使用される構造体の選択は、少なくとも部分的に、様々な要因により決まり得る。同要因としては、関連付けられるフィラメントのサイズ、患者の解剖学的構造、及び行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
糸通し器及び/又は取付けツールは、組織増強構造体をリムに複数回、関連付けるのに使用される1つの装置であることができ、又は、複数の糸通し器及びツールは、複数のストリップ-リムの組み合わせを形成するのを可能にし、又は、異なるユーザに好まれる異なる構成が可能であるように提供されることができる。糸通し器及び/又は取付けツールは、本開示の趣旨を逸脱することなく、特定の組織増強構造体、手術、及び/又は外科医の好みに合わせて使用するのに、特別に適合され得る。
【0117】
インプラント、例えば、アンカーがキットの一部として提供され、本明細書で提供された開示のいずれかと共に使用される限りにおいて、インプラントは、様々な種類の組織修復手術に使用される当業者に公知の任意の種類のインプラントであり得る。骨アンカーについて、アンカーは、硬い構成又は柔らかい構成のものであることができ、いくつかの例では、それらは、ノットレスアンカーであることができる。ノットレスアンカーは、それと関連付けられるフィラメントが組織をフィラメント及び/又はアンカーに結合させるために外科手術中に外科医により結び付けられるノットを有する必要がないことを意味する。キットに使用するための、又は、より一般的には、本開示についての硬い縫合アンカーのいくつかの例示的な実施形態としては、Healix Ti(商標)アンカー(DePuy Synthesから市販されている)並びにHealix Advance(商標)アンカー、Healix Advanceノットレス(商標)アンカー、Healix BR(商標)アンカー、Healix PEEK(商標)アンカー、Healix Transtend(商標)アンカー、Bioknotless(登録商標)アンカー、Gryphon(登録商標)アンカー、Fastin(登録商標)アンカー、Versalok(登録商標)アンカー、Microfix(登録商標)アンカー、Minilok(商標)アンカー、Micro-Quickanchors(登録商標)アンカー、及びTacit(登録商標)アンカーが挙げられる。それらもそれぞれ、DePuy Mitek,Incから市販されている。キットに使用するための、又は、より一般的には、本開示についての軟質縫合アンカーのいくつかの例示的な実施形態としては、米国特許第9,345,567号(Sengun)に記載されたものが挙げられる。同文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0118】
キットが骨ドリルを含む限りにおいて、アンカーが配置され得る骨に孔を形成するのに当業者に公知の任意の種類の骨ドリルが提供され得る。
【0119】
使用方法-回旋腱板修復
本明細書で記載された種類のシステム、装置、及びキットを使用するための例示的な方法は、ここから、より詳細に記載される。本明細書に記載された方法は、一般に、軟組織を骨に取り付けることに関するが、本開示のこのセクションでは、主に、回旋腱板修復について検討され、当業者であれば、構造体及びこの構造体にかかる方法を用いることができる他の種類の手術及び修復を、認識するであろう。更に、特定の種類の組織増強構造体が下記実施形態において図示される限りにおいて、当業者であれば、本開示の趣旨を逸脱することなく、本明細書で提供される他の組織増強構造体を利用する方法を、理解するであろう。同様に、本明細書で提供された任意の縫合糸若しくはアンカー又は当業者に公知の他のものが、ノットレスアンカーを含めて、使用され得る。また更に、図示された実施形態では、縫合糸及びリムの長さがほぼ等しくてもよいが、任意の縫合糸又はリムは、任意の所望の長さであることができるため、縫合糸及びリムの長さは、等しい必要はない。同様に、以下で記載された技術が、縫合アンカーから伸び又は同縫合アンカーと他の方法で関連付けられて、組織修復を行う特定数の縫合リム(例えば、1つ、2つ、3つなど)を有することを検討する限りにおいて、当業者であれば、本開示を考慮して、異なる数のリムが同じ又は類似する種類の修復を行うのに使用され得る方法を、理解するであろう。本明細書で記載される方法のそれぞれから生じる利益は、組織増強構造体が修復に使用される縫合糸とオンデマンドの様式で関連付けられ得るため、外科医が、素早くかつ容易に、1つ以上の組織増強構造体を修復縫合糸と関連付けて、修復のための所望のフットプリントを形成することができることである。
【0120】
回旋腱板修復-二列適用
二列適用又は修復と併せて、ブロック110a、110bとして図示された、組織増強ブロック110を使用する軟組織修復の第1の例示的な方法は、
図6A~
図6Cに示される。この方法は、軟組織片130、例えば、回旋腱板を、骨150に対して固定することを含む。組織増強ブロック110a、110bが乾燥している場合、組織増強ブロック110a、110bは、手術前に、再水和させる必要がある場合がある。伝統的な切開修復、関節鏡検査修復、又はミニ切開修復のいずれか1つを使用して手術を行うのに、切開を行う場合がある。外科医が手術部位にアクセスし、組織及び骨が一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、中間列ステッチ140を使用して、縫合糸112を軟組織130に取り付け得る。あるいは、任意の公知のステッチが使用され得る。
図6A~
図6Cに示されているように、中間列ステッチ140は、軟組織から外向きに伸びる、2つの縫合リム112a、112bをもたらす。
【0121】
図6Bに示されているように、組織増強ブロック110a、110bはそれぞれ、縫合リム112a、112b上に配置される。組織増強ブロック110a、110bは、縫合リム112a、112b上に、手作業によって、取付けツール200’(図示せず)及び/又は糸通し器206、206’により糸通しされ得る。
図3を参照して上記検討されたように、取付けツール200’が使用される場合、縫合リム112aを、開口又はシンチループ212に通過させることができ、ついで、ハンドル部分208を引っ張って、糸通し器206及び縫合リムを、組織増強ブロック110aを通して引っ張ることができる。同様に、まさに糸通し器206、206’が使用される場合、力を糸通し器に加えて、縫合リム112aを組織増強ブロック内へと、またそれを通るように引っ張り得る。縫合リム112aが組織増強ブロック110aに糸通しされると、糸通し器206が外されることができ、取付けツール200’が使用された場合、組織増強ブロック110aは、取付けツール200’から解放される。組織増強ブロック110a、110bは、縫合リム112a、112b上に、体内の手術部位において糸通しされ得る。あるいは、組織増強ブロック110a、110bは、体外で糸通しされ得る。
【0122】
ブロック110a、110bが縫合リム112a、112b上に糸通しされると、それらは、各縫合リム112a、112bに沿った方向D
1に前進し得る。図示された実施形態では、ブロック110a、110bは、中間ステッチ140に近接して配置される。ブロック110a、110bの長さが中間ステッチ140と組織130の端部との間に伸びる距離の長さに類似するためである。しかしながら、ブロック110a、110bの長さがその距離より短い実施形態では、ブロック110a、110bは、中間ステッチ140に近接する必要がない場合があるが、中間ステッチ140と組織130の端部との間に伸びる、リム112a、112bの長さのいくらかの部分に沿って伸び得る。ブロック110a、110bが各縫合リム112a、112b上に取り付けられた後に、縫合リム112a、112bの自由端は、体内に固定され得る。例えば、各縫合リム112a、112bの自由端は、
図6Cに示されているように、各アンカー160a、160bに結合され得る。同アンカーは、いくつかの例示的な実施形態では、ノットレスアンカーであり得る。ついで、縫合リム112a、112bは締められて、軟組織130を骨150に固定することができ、その後、アンカー160a、160bが骨150に完全に固定されることにより、中間ステッチ140と関連付けられている二列側方固定が完了する。
【0123】
この手順は、軟組織130を骨150に十分に固定するために、必要な回数、繰返され得る。ブロック110a、110bは、リム112a、1112bにより大きなフットプリントを提供し、軟組織130上への縫合リム112a、112bの負荷力を分散させるためのより大きな表面積を提供し得る。患者が手術から治癒する間、腱様組織の新たなバンドが、縫合リム112a、112b付近並びにブロック110a、110b内及び付近に形成して、軟組織中及び軟組織と骨との間に、より堅牢な組織形成をもたらし得る。例えば、コラーゲン足場又は無細胞真皮マトリックス材料から作製されたブロックは、患者が手術から治癒している間に、腱様組織へと再構築することができ、ネイティブな組織と一体化することができる。軟組織にわたって、腱様組織により更に覆われていることにより、組織対骨結合の強度を大きくすることができ、更なる傷害を防止することができる。
【0124】
別の例示的な軟組織修復法は、
図7A~
図7Dに提供される。示されているように、軟組織1030は、骨1050に代替的な二列適用を使用して固定される。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及びブロック1010a~1010cが本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、中間列ステッチ1040、1042を使用して、縫合糸1012、1016それぞれを、組織1030に取り付け得る。ブロック1010a~1010cは、ブロック110、3010、3110に類似し、又は本開示で提供された他のブロック及び構造体に類似し得る。更に、任意の公知のステッチが使用され得る。中間列ステッチ1040は、軟組織から外向きに伸びる2つの縫合リム1012a、1012bをもたらし、第2の中間列ステッチ1042は、軟組織から外向きに伸びる2つの縫合リム1016a、1016bをもたらす。
【0125】
図7Aに示されているように、ブロック1010a~1010cは、縫合リム1012a、1012b、1016bそれぞれの上に、本開示全体を通して提供された技術を使用して糸通しされる。例えば、
図7Aに図示されているように、ブロック1010aは、縫合リム1012a上に、糸通し器206により糸通しされる。ブロック1010aが、
図7Bに示されているように、縫合リム1012a上に糸通しされると、ブロック1010aは、縫合リム1012aに沿った方向D
1’に、ブロック1010aが中間ステッチ1040に近接するまで前進し得る。ブロック1010aの長さが中間ステッチ1040と組織1030の末端との間に伸びる距離に類似するためである。同様に、ブロック1010b、1010cは、縫合リム1012b、1016bに沿って、それらが中間ステッチ1040、1042それぞれに近接するまで前進し得る。ブロック1010aは、ノットプッシャー1080などの器具、又はストリップをリムに沿って前進させるのに適した他の器具を用いて、縫合リムに沿って前進させられ得る。
【0126】
ブロック1010b、1010cが、
図7Cに示されているように、各縫合リム1012b、1016b上に取り付けられると、各縫合リム1012b、1016bの自由端は、例えば、それらをアンカー1060bに側方列固定において取り付けることにより、体内に固定され得る。同様に、ブロック1010aが縫合リム1012a上に取り付けられると、縫合リム1012b、1016aの自由端は、例えば、それらをアンカー1060aに側方列固定において取り付けることにより、体内に固定され得る。
図7Cに示されているように、縫合リム1012b、1016bは、アンカー1060b内に取り付けられ、その後に、縫合リム1012a、1016aは、アンカー1060a内に、縫合リム1016aがブロック1010b上に載るように取り付けられる。あるいは、縫合リム1016aは、固定順序を変えることにより、縫合リム1012bの下に置かれ得る。
図7Dに示されているように、縫合リム1012a、1012b、1016a、1016bは締められて、軟組織1030を骨1050に固定することができ、その後に、アンカー1060a、1060bが、骨1050に完全に固定される。
【0127】
軟組織修復の代替的で例示的な方法は、
図8A及び
図8Bに図示される。この方法において、軟組織1030’は、骨1050’に、ブロック10、110に代えて、ワッシャ310、示されているように、ワッシャ310a、310b、及び310cを使用する代替的な二列適用により固定される。
図8A及び
図8Bに関して開示された代替的な二列適用は、縫合リム同士が修復設計の一部として交差すると、2つの構造体が互いの上部で重ねられた場合に生じる場合がある付加的な嵩を小さくするのに役立つ。更に、このような形成体におけるワッシャの使用は、ブロック構成のものである構造体を使用する際に生じる場合がある任意の収束の可能性を下げるのに役立つ。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及びワッシャ310a~310cが本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、初期マットレスステッチを使用して、縫合糸1012’、1016’を、組織1030’に取り付け得る。あるいは、任意の公知のステッチが使用され得る。組織1030’における中間列ステッチ1040’は、組織から外向きに伸びる2つの縫合リム1012a’、1012b’をもたらし、第2の中間列ステッチ1042’は、組織から外向きに伸びる2つの縫合リム1016a’、1016b’をもたらす。
【0128】
下記検討は、明確性の目的で、縫合リム1012a’にのみなされるが、縫合リム1012b’、1016a’、1016b’は、実質的に同じ様式で、それらの上に糸通しされたワッシャ310を有し得る。ワッシャ310a~310cは、
図8Aに図示されているように、縫合リム1012a’上に糸通しされる。あるいは、任意の数のワッシャ310が、縫合リム1012a’、1012b’、1016a’、1016b’のいずれかの上に使用され得る。ワッシャ310a~310cは、縫合リム1012a’上に、手作業により、本願全体を通して提供された技術を使用して、取付けツールによって、及び/又は、糸通し器によって糸通しされ得る。ワッシャ310a~310cが縫合リム1012a’上に糸通しされると、それらは、縫合リム1012a’に沿って前進し得る。図示された実施形態では、ワッシャ310a~310cは、それらが組織1030’上をリム1012a’の長さに沿って等しく広がるように配置される。ワッシャ310が各縫合リム1012a’、1012b’、1016a’、1016b’上に、
図8Aに示されているように取り付けられた後に、縫合リム1012a’、1016a’、及び1012b’、1016b’の自由端は、例えば、それらをアンカー1060a’及び1060b’それぞれに取り付けることにより、体内に固定され得る。図示された実施形態では、縫合リム1012b’、1016b’は、アンカー1060b’に結合し、その後に、縫合リム1012a’、1016a’がアンカー1060a’内に結合するため、縫合リム1016a’は、縫合リム1012b’上に載るが、本開示の趣旨を逸脱することなく、他の構成も可能である。縫合リム1012a’、1012b’、1016a’、1016b’は締められて、軟組織1030’を骨1050’に固定することができ、その後、アンカー1060a’、1060b’は、骨1050’に完全に固定される。
【0129】
更に例示的な二列固定法が、
図8Bに図示される。軟組織1030’’を骨1050’’に固定するための方法は、
図8Aに図示された方法と実質的に同じであるが、同方法は、更に、中間ステッチ(見えない)の位置において、円形ワッシャ410、示されているように、ワッシャ410a及び410bの使用を含む。示されたワッシャ410a、410bの配置は、ワッシャ410a、410bの下に配置されたステッチの保護を提供する一方で、縫合リム1012a’’、1012b’’、1016a’’、1016b’’のフットプリントも大きくし、組織1030’’に他の方法で直接加えられるであろうワッシャ410a、410bの表面にわたる力の分散が可能である。使用中に、ワッシャ410a、410bは、各縫合リム1012a’’、1012b’’、1016a’’、1016b’’上に糸通しされることができ、その後に、ワッシャ310’が、縫合リム1012a’’、1012b’’、1016a’’、1016b’’上に糸通しされる。ついで、二列固定法は、例えば、
図8Aに関して上記されたプロセスに従って完了され得る。
図8A及び
図8Bに図示された両方の構成に関して、アンカー1060a’、1060b’及びワッシャ410a、410bから伸びる縫合糸により形成される角度が大きいほど、修復の安定性が高くなる。
【0130】
軟組織1030’’’を骨1050’’’に、二列固定技術を使用して固定するための更なる代替的な方法が、
図9に図示される。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及びブロック1010a’’’~d’’’が本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、初期マットレスステッチ1040’’’、1042’’’を使用して、縫合糸1012a’’’~c’’’及び1016a’’’~c’’’それぞれを、組織1030’’’に取り付け得る。第1の中間列アンカー1060a’’’は、それから伸びる3つの縫合リム1012a’’’~c’’’を有する骨1050’’’内に挿入されることができ、3つの縫合リム1012a’’’~c’’’は、第1の中間列ステッチ1040’’’により組織1030’’’を通って、糸通しされる。第2の中間列アンカー1060b’’’は、それから伸びる3つの縫合リム1016a’’’~c’’’を有する骨1050’’’内に挿入されることができ、3つの縫合リム1016a’’’~c’’’は、第2の中間列ステッチ1042’’’により組織1030’’’を通って、糸通しされる。
【0131】
図示されているように、ブロック1010a’’’は、他の開示された構成の中でも、ストリップ、チューブ、又はカニューレ状のブロックの形状であることができ、この開示全体を通して提供された技術を使用して、縫合リム1012a’’’、1016a’’’の一方上に糸通しされ、縫合リム1012a’’’及び1016a’’’が、ノットにより互いに結ばれて、組織1030’’’を骨1050’’’に固定する。更に、ノットが形成されると、ブロック1010a’’’は、ノットを覆うように移動して、組織がノットにより傷付けられる可能性を下げることができる。ついで、ブロック1010b’’’、1010c’’’は、この開示全体を通して提供された技術を使用して、縫合リム1012b’’’、1012c’’’それぞれの上に糸通しされ、中間ステッチ1040’’’に近接した位置に前進し得る。同様に、ブロック1010d’’’、1010e’’’は、縫合リム1016b’’’、1016c’’’上に糸通しされると、それらは、中間ステッチ1042’’’に近接した位置に前進し得る。ブロック1010b’’’、1010d’’’、及び1010c’’’、1010e’’’が各縫合リム1012b’’’、1016b’’’、及び1012c’’’、1016c’’’上に取り付けられた後に、縫合リム1012b’’’、1016b’’’、及び1012c’’’、1016c’’’の自由端は、体内に固定され得る。例えば、各縫合リム1012b’’’、1016c’’’、及び1012c’’’、1016b’’’の自由端は、各アンカー1062a’’’及び1062b’’’に結合し得る。縫合リム1012b’’’、1012c’’’、1016b’’’、1016c’’’は締められて、軟組織1030’’’を骨1050’’’に固定することができ、その後に、アンカー1062a’’’、1062b’’’は、骨1050’’’に完全に固定される。
【0132】
軟組織修復の更に代替的な二列固定法が、
図2Gの組織増強構造体2810aを、(
図10Eに示された)同一に構成された組織増強構造体2810bと共に使用して、
図10A~
図10Eに図示される。これら2つの構造体は、類似する構成を有しているか、かつ/又は、本明細書で提供されるか若しくは当業者に公知の他の構成を有していてもよく、これら2つの構造体が同一の構成である必要はない。この方法は、軟組織2830を骨2850に、代替的な非常に長いブロック適用により固定して、更なる範囲の修復を提供し得る。
【0133】
外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及び組織増強ブロックが本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、第1のアンカー2860aを軟組織2830の下に挿入し得る。第1のアンカー2860aは、それから伸びる2つの縫合リム2812a、2812bを有し得る。2つの縫合リム2812a、2812bは、軟組織2830を通過して、軟組織2830を骨2850に固定するのを支援し始め得る。第1のマットレスステッチ2840aは、第1のアンカー2860aに対して中間の軟組織2030に形成され得る。第1のマットレスステッチ2840aは、軟組織2830の外に伸びる2つの縫合リム2814a、2814bをもたらし得る。
【0134】
ブロック2810aは、縫合リム2812a、2814a上に、本開示全体を通して提供された技術を使用して糸通しされ得る。例えば、第1の糸通し器2809aを、
図10Bに示されているように、第1の方向D1に前進させることにより縫合リム2814aを、第1のブロック2810aの近位端2811pと関連付け得る(糸通し器2809aは図示されていないが、本開示を考慮して、当業者であれば、糸通し器2809aがどのように操作されて、縫合リム2814aを第1のブロック2810aの近位端2811pを通過させ得るかを、理解するであろう)。更に、縫合リム2812aは、
図10Bにも示されているように、第2の糸通し器2809bを第2の方向D2に前進させることにより示されているように、ブロック2810aの中間部分2811i及び遠位部分2811dと関連付けられ得る。各縫合リム2814a、2812aについての各糸通し器2809a、2809bは図示されていないが、当業者であれば、本開示を考慮して、糸通し器がどのように操作されて、各縫合リムを第1のブロック2810aの一部を通って通過させ得るかを、理解するであろう。ついで、ブロック2810aは、
図10Cに示されているように、ブロック2810aの近位端2811pが第1のマットレスステッチ2840aに近接するように、内側に前進し得る。このプロセスは、第2のブロック2810b及びその各リム2816a、2818bについて繰り返され得る。例えば、第2のアンカー2862aは、
図10Eに示されているように、軟組織2830の下に取り付けられ得る。この場合、2つの修復縫合リム2816a、2816bを有するアンカー2826bが第2のアンカー2862aから伸びる。2つの修復リム2816a、2816bは、軟組織2830を同様に通過することができ、第2のマットレスステッチ2840b(
図10Eに図示)は、軟組織2030において、第2のアンカー2862aに対して中間に形成されることができる。第2のマットレスステッチ2840bは、軟組織2830の外に伸びる2つの縫合リム2818a、2818bをもたらし得る。得られた縫合リム2816a、2816b、2818a、2818bは、ブロック2810bと関連付けられて、組織固定修復を継続し得る。
【0135】
ブロック2810a、2810bが各縫合リム2812a、2814a、及び2816a、2818a上に取り付けられた後に、縫合リム2812a、2812b、2816a、2816bの自由端は、体内に固定され得る。例えば、各縫合リム2812a、2816b、及び2812b、2816aの自由端は、
図10C及び
図10Eに示されているように、各アンカー2860b及び2862bに結合し得る。図示された実施形態では、縫合リム2812b及び縫合リム2816bは、軟組織2830上を通過して、縫合リム2812bが縫合リム2816bと同じアンカー2862bに固定され、縫合リム2816bが縫合リム2812aと同じアンカー2860bに固定されるように、「X」構成又は形状を形成し得る。縫合リム2812a、2816aは、ブロック2810a、2810bの各中央内腔2870a、2870bを通って配置されて、縫合リム2812a、2816aのフットプリントを大きくし、その後、上記検討されたように、軟組織2830を傷付ける可能性を低下させ得る。ブロック2810a、2810bが十分な長さを有するため、それらは、
図10Eに示されているように、第1及び第2の修復2838a、2838b上を内側に伸びるように取り付けられ得る。ついで、縫合リム2812a、2812b、2816a、2816bは締められて、軟組織2830を骨2850に固定することができ、その後に、アンカー2860b、2862bは、骨2850に完全に固定される。
図10D及び
図10Eに示されているように、2つのリム2814a、2814bが互いに、ノット2880aにより結ばれ、リム2818a、2818bが互いに、ノット2880bにより結ばれて、各ブロック2810a、2810bの近位端2811pを、修復2838a、2838bの中間位置において固定することができる。当業者であれば、修復2838a、2838bにより表わされ得る数多くの修復を、本開示及び当業者の知識を考慮して、認識するであろう。
【0136】
回旋腱板修復-単列適用
軟組織修復の別の方法が、
図11A~
図11Cに図示される。この方法により、軟組織130’が骨150’に、単列適用を使用して固定される。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及びブロック110a’、110b’が本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、初期マットレスステッチを使用して、縫合糸112’を、軟組織130’に取り付け得る。あるいは、任意の公知のステッチが使用され得る。マットレスステッチ140’は、軟組織から外向きに伸びる、2つの縫合リム112a’、112b’をもたらす。
【0137】
図11Bに示されているように、ブロック110a’、110b’は、縫合リム112a’、112b’それぞれの上に、本願全体を通して提供された技術を使用して糸通しされる。ブロック110a’、110b’が縫合リム112a’、112b’上に糸通しされると、それらは、各縫合糸に沿って、マットレスステッチ140’に近接するまで、方向D
1
’に前進する。上記されたように、ストリップのステッチ140’に対する位置は、少なくとも部分的に、ブロック110a’、110b’のサイズ及びステッチ140’と組織130’の端部との間の距離により決まり得る。ブロック110a’、110b’が各縫合リム112a’、112b’上に取り付けられた後に、縫合リム112a’、112b’の自由端は、
図11Cに示されているように、例えば、それらを1つのアンカー160’に取り付けることにより、体内に固定され得る。縫合リム112a’、112b’は締められて、軟組織130’を骨150’に固定することができ、その後、アンカー160’が骨150’に完全に固定されることにより、中間ステッチ140’と関連付けられている単列固定を完了させる。いくつかの例示的な実施形態では、それから伸びる2つの縫合リム(各リムは、その上に配置された少なくとも1つの組織増強構造体を有する)を有する第2のアンカーは、同じ組織130’及び骨150’に対するアンカー160’、リム112a’、112b’、及びブロック110a’、110b’に類似する様式で埋め込まれて、組織についての第2の固定系を提供し得る。本明細書で提供された全ての様々な構成と同様に、任意の数及び組み合わせのインプラント、例えば、骨アンカー、縫合糸、及び組織増強構造体は、軟組織を骨に固定するのに使用され得る。
【0138】
代替的な単列適用が、
図11D~
図11Fに示される。
図11Dに図示された第1の代替的な単列適用において、標準的な単列修復が、組織130’’の下の骨150’’に取り付けられた、2つのアンカー160a’’、160b’’を使用して完了され得る。アンカー160a’’、160b’’はそれぞれ、それから伸びる2つの縫合リム112a’’、112b’’及び116a’’、116b’’それぞれを有し得る。縫合リム112a’’及び116a’’は、軟組織130’’を通って糸通しされ、軟組織130’’を骨150’’と接触させるのに使用され得る。縫合リム112b’’及び116b’’は、軟組織130’’を通って同様に糸通しされ得る。
【0139】
図11Dに示されているように、組織増強ブロック110’’は、縫合リム112b’’、116b’’の一方上に、本開示全体を通して提供された技術を使用して糸通しされ、組織130’’に対する所望の位置に前進し得る。増強ブロック110’’が縫合リムの一方上に取り付けられた後に、ついで、各縫合リム112b’’、116b’’の自由端が互いに、図示されていないノットを使用して結ばれ得る。更に、ブロック110’’は、ブロック110’’がノットを覆うような位置に移動することにより、ノットによる任意の可能性のある組織剥脱を最少化し、組織130’’と接触する。
【0140】
第2の代替的な単列適用が、
図11Eに図示される。
図11Dの手法と同様に、標準的な単列修復が、組織130’’’の下の骨150’’’に取り付けられた、2つのアンカー160a’’’、160b’’’を使用して完了され得る。示されているように、第1の縫合糸111’’’は、修復の内側にマットレスステッチ140a’’’により、2つの縫合リム111a’’’、111b’’’が組織130’’’から伸びるように取り付けられることができ、第2の縫合糸113’’’は、修復の内側に第2のマットレスステッチ140b’’’により、2つの縫合リム113a’’’、113b’’’が組織130’’’から伸びるように取り付けられることができる。いくつかの例において、2つのマットレスステッチ140a’’’、140b’’’は、組織130’’’に取り付けられており、アンカー160a’’’、160b’’’は、組織130’’’の下の骨150’’’に取り付けられ得る。手術用縫合糸112’’’、114’’’は、一般的な外科的実務に従って、組織130’’’を手術用縫合糸112’’’、114’’’に取り付けられたアンカー160a’’’、160b’’’それぞれに結合させるのに使用され得る。
【0141】
組織増強ブロック110a’’’~d’’’は、縫合リム111a’’’、111b’’’、113a’’’、113b’’’上に、本開示全体を通して提供された技術を使用して糸通しされ得、各縫合糸に沿って、所望の位置に前進させられ得る。縫合リム111a’’’、113a’’’、及び111b’’’、113b’’’の自由端は、手術用縫合糸112’’’、114’’’それぞれに結ばれ、これらを中心に締められ得る。
【0142】
図11Fは、更に代替的な単列適用を図示する。第1の縫合糸111’’’’は、マットレスステッチ140a’’’’により、2つの縫合リム111a’’’’、111b’’’’が組織130’’’’から伸びるように内側に取り付けられることができ、第2の縫合糸113’’’’は、第2のマットレスステッチ140b’’’’により、2つの縫合リム113a’’’’、113b’’’’が組織130’’’’から伸びるように取り付けられることができる。第1及び第2の縫合糸111’’’’、113’’’’が取り付けられた後に、第1及び第2の中間アンカー160a’’’’、160b’’’’が、組織130’’’’の下の骨150’’’’に取り付けられる。アンカー160a’’’’、160b’’’’それぞれに結合している手術用縫合糸112’’’’、114’’’’は、一般的な外科的実務に従って、組織130’’’’が骨150’’’’と接触するように、修復を行うのに使用され得る。組織130’’’’が修復されると、ブロック110a’’’’~d’’’’は、縫合リム111a’’’’、111b’’’’、113a’’’’、113b’’’’上に、本開示全体を通して提供された技術を使用して取り付けられ得る。縫合リム111a’’’’、113a’’’’、及び111b’’’’、113b’’’’の自由端は、例えば、それらをアンカー160c’’’’及び160d’’’’それぞれに取り付けることにより、体内に固定され得る。縫合リム111a’’’’、111b’’’’、113a’’’’、113b’’’’は締められて、ブロック110a’’’’~d’’’’を軟組織130’’’’に、縫合糸112’’’’、114’’’’によりなされた修復が組織増強ブロックにより覆われるように、更に固定し得る。
【0143】
軟組織修復の更に例示的な方法が、
図12に図示される。この方法により、軟組織片1130、例えば、回旋腱板が骨1150に、単列固定を使用して固定される。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及び組織増強ブロックが本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、組織1130において、マットレス列ステッチ1140を使用して、縫合糸1112、1114を取り付け、マットレス列ステッチ1142を使用して、縫合糸1116、1118を取り付け得る。縫合糸1112、1114、及び1116、1118は、組織1130の下の骨1150中のアンカー1160a、1160bそれぞれに取り付けられる。
図12に示されているように、マットレスステッチ1140及び1142はそれぞれ、4つの縫合リム1112a、1112b、1114a、1114b及び軟組織から外向きに伸びる縫合リム1116a、1116b、1118a、1118bをもたらす。
【0144】
少なくとも1つのブロック310’は、各縫合糸1112、1114、1116、1118の少なくとも1つの縫合リム上に糸通しされ得る。ブロック310’は、ブロック310に類似し得るが、これら2つの間の1つの差異は、ブロック310’の厚みが、ブロック310の厚みより厚いことである。あるいは、ブロック310’は、所定の手術の必要に応じて、任意の適切な寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、縫合リム1112a、1114a、1116a、1118aはそれぞれ、本開示全体を通して提供された技術を使用して糸通しされたブロック310’を有することができ、ついで、各対の2つの縫合リム同士は結ばれ得る。例えば、ブロック310’が縫合リム1112a、1112b上に糸通しされた後に、縫合リム1112a、1112bが互いに結ばれ得る。縫合リム1112a、1112bが互いに結ばれた後に、ブロック310’は、ノットを緩衝し又は覆うために、ノット上に移動し得る。このプロセスは、縫合リム対1114a及び1114b、1116a及び1116b、並びに1118a及び1118bそれぞれについて繰り返され得る。
【0145】
軟組織修復のまた更に例示的な方法が、
図13に図示される。この方法により、軟組織片1230、例えば、回旋腱板が骨1250に、単列のリップストップステッチを使用して固定される。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及び組織増強構造体が本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、ステッチ1240を使用して、縫合糸1212、1214をアンカー1260aに結合させ、ステッチ1242を使用して、縫合糸1216、1218をアンカー1260bに結合させ得る。任意の公知のステッチが使用され得る。
図13に示されているように、ステッチ1240は、軟組織から外向きに伸びる4つの縫合リム1212a、1212b、1214a、1214bをもたらし、ステッチ1242も、軟組織から外向きに伸びる4つの縫合リム1216a、1216b、1218a、1218bをもたらす。
【0146】
組織増強ブロック1210は、本開示全体を通して提供された技術を使用して、各マットレスノット1240、1242と関連付けられている縫合リムのうちの1つに対して糸通しされ得る。図示された実施形態におけるブロック1210は、バー3010、3110に類似する構造体である。図示された実施形態では、縫合リム1212a及び1216aはそれぞれ、それと関連付けられているブロック1210を有する。縫合リム1212a、1216aそれぞれが、その上に糸通しされたブロック1210を有すると、縫合リム1212a、1216aが、相補的な縫合リム1212b、1216bそれぞれと結ばれ得る。更に、ブロック1210は、図示されているように、ノット上を摺動して、ノットを緩衝し又は覆い得る。ついで、縫合リム1214a、1214bが互いに、ブロック1210の上部で結ばれて、リップ-ストップステッチを形成し得る。有利に、縫合リム1214a、1214bが互いに結ばれると、ブロック1210が、バッファーとして機能することにより、加えられた付加を分散することから、軟組織1230が引き裂かれることが防止されるであろう。このプロセスは、第2のマットレスステッチ1242について繰り返され得る。
【0147】
図14は、軟組織修復の更なる方法を図示する。この方法は、軟組織1330片、例えば、回旋腱板を骨1350に、アンカー間に伸びる前方-後方マットレスステッチを使用して固定することを提供する。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及び組織増強ブロックが本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、アンカー1360aに結合させた縫合糸1312の2つのリム1312a、1312bを組織1330を通して糸通しし得る。同様に、第2のアンカー1360bは、組織1330を通ってアンカー1360bから伸びる縫合糸1314の縫合リム1314a、1314bを有する骨1350に埋め込まれ得る。任意の公知のステッチが使用され得る。
【0148】
1つのブロック1310が、本開示全体を通して提供された技術を使用して、アンカー1360a、1360bのいずれかの縫合リム1312a、1314aのいずれか上に糸通しされ得る。図示されたブロック1310は、ほぼ約10ミリメートル~約20ミリメートルの範囲にある長さ、ほぼ約2ミリメートル~約5ミリメートルの範囲にある幅、及び、ほぼ約1ミリメートル~約3ミリメートルの範囲にある高さを有する。縫合リム1312aがその上に糸通しされたブロック1310を有した後、縫合リム1312aが、縫合リム1314aと結ばれ得る。更に、縫合リム1312a、1314aが互いに結ばれた後に、ブロック1310は、図示していないノット上を摺動して、ノットを緩衝し又は覆い得る。ついで、縫合リム1312b、1314bが互いに、ブロック1310上で結ばれ得る。有利に、縫合リム1312b、1314bが互いに結ばれると、ブロック1310がそれらの間のバッファーとして機能して、加えられた付加を分散させることから、軟組織1330が引き裂かれることが防止されるであろう。
【0149】
軟組織修復の代替的な単列固定法が、
図14に図示される。この方法により、軟組織1430が骨1450に、代替的な非常に長く、非常に広いブロック適用により固定される。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及び組織増強ブロックが本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、一般的な外科的技術に従って、軟組織1430を骨1450に固定して、隠れ線で示された修復1438a、1438bを形成し得る。修復1438a、1438bが完了すると、第1のマットレスステッチ1440が、軟組織修復1438aに対する中間に軟組織1430を通して形成され、第2のマットレスステッチ1442が、修復1438bに対する中間に形成されて、縫合糸1412及び1414を軟組織1430中に取り付ける。第1のマットレスステッチ1440は、軟組織1430から外向きに伸びる2つの縫合リム1412a、1412bをもたらし、第2のマットレスステッチ1442は、軟組織から外向きに伸びる2つの縫合リム1414a、1414bをもたらす。あるいは、ステッチ1440、1442は、修復1438a、1438bが行われる前に形成され得る。
【0150】
ブロック1410a~1410cは、本明細書で提供されたより大きいバージョンのいくつかの他のブロック構成であると考えられ得る構成を有する。示されているように、ブロック1410a~1410cは、
図2E及び
図2Fのカニューレ状のブロック構成3010、3110のような、実質的に矩形の形状を有するが、より厚くなっている。特に本開示を考慮して、ブロック1410a~1410cの他の構成も可能であり、1つ以上のテープストリップ10、チューブ110、及びワッシャ310、410、又はそれらの組み合わせにより類似する構成を含むが、これらに限定されない。1つの例示的な実施形態では、ブロック1410a~1410cは、ほぼ約15ミリメートル~約25ミリメートルの範囲にある長さ、ほぼ約4ミリメートル~約5ミリメートルの範囲にある幅、及び、ほぼ約1ミリメートル~約3ミリメートルの範囲にある厚みを有し得る。
【0151】
ブロック1410a、1410cは、縫合リム1412a、1414a上に、本開示全体を通して提供された技術を使用して糸通しされ得る。図示された実施形態では、ブロック1410bは、それと関連付けられている2つの縫合リムである縫合リム1412b及び1414bを有する。この後者の構成は、本開示全体を通して提供された技術を使用しても達成し得るが、1つの例示的な方法では、1つの取付けツールが、縫合リム1412b、1414bの両方をブロック1410bと同時に関連付けるのに使用され得る。例えば、糸通し器206(図示せず)は、ブロック1410b中に配置されることができ、その遠位開口212(図示せず)を通過した両縫合糸を有することができる。その後、上記されたように、糸通し器を操作して、リム1412b、1414bをブロック1410bと関連付ける。あるいは、ブロック1410bは、縫合リム1412b、1414bの糸通しを個別に行うための、ブロック1410bを通って配置された2つの糸通し器を有し得る。更なる代替例において、1つの糸通し器を、ブロック1410bに通り抜けさせて、縫合リム1412bをブロック1410bを通して引っ張ることができ、ついで、この糸通し器又は異なる糸通し器が、ブロック1410b内に挿入されて、縫合リム1414bを、ブロック1410bを通して糸通しすることができる。
【0152】
ブロック1410a~1410cが縫合リム1412a、1412b、1414a、1414b上に糸通しされると、それらは、縫合リム1412a、1412b、1414a、1414bそれぞれに沿って、それらが中間ステッチ1040、1042に近接するまで前進し得る。ブロック1410a~1410cの1つの利点は、アンカー1460a、1460b及びマットレスステッチ1440、1442により画定された周辺部分を含む手術部位のかなりの部分を覆うようなサイズであり得ることである。本明細書で提供された組織増強構造体の他の利点も適用可能である。ブロック1410a~1410cが各縫合リム上に取り付けられた後に、縫合リム1412a、1412b、及び1414a、1414bの自由端は、例えば、それらをアンカー1460a、1460bそれぞれに取り付けることにより、体内に固定され得る。縫合リム1412a、1412b、1414a、1414bは締められて、軟組織1430を骨1450に固定することができ、その後に、アンカー1460a、1460bは、骨1450に完全に固定される。
【0153】
上記された様々な実施形態は、上記された他の実施形態のいずれかと共に、いくつかの軟組織が二列適用により固定され、いくつかの部分が単列適用により固定されるように使用され得る。また更に、任意の数の縫合リム及び組織増強ブロックが、任意の特定の手術中に使用され得る。同手術は、複数のストリップを1つのリム上に配置すること、及び/又は、1つのリムのみ又は3つ以上のリムを使用することを含む。
【0154】
回旋腱板修復-部分的な裂け目の修復
部分的な裂け目の軟組織修復の例示的な方法が、
図16A~
図16Cに図示される。この方法により、軟組織片1530、例えば、回旋腱板が骨1550に、部分的な裂け目が生じている状況で固定される。
図16Aに示されているように、軟組織1530は、骨1550と1530dで接触した状態で維持される。長さXは、接触の「健全な」フットプリントが組織1530と骨1550との間に存在すべきであることを示す。この手術は、軟組織の骨への再取付けを支援して、「健全な」フットプリントを形成し得る。従来の手術では、組織に対する縫合糸の必要な圧迫のために、取付け点での陥没がもたらされる場合があり、組織、及びより一般的には、回旋腱板を弱らせてしまう。
【0155】
外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及び組織増強構造体が本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、アンカー1560を骨1550に取り付け得る。アンカー1560は、軟組織1530を通過することができ、アンカー1560から伸び、2つの縫合テイル1512a、1512bを有する、アンカー1560に結合している縫合糸1512を有し得る。ブロック1510は、縫合テイル1512a、1512bの少なくとも一方上に糸通しされ得る。ブロック1510は、本明細書で提供された構成のいずれかであることができ、同構成としては、ブロック10、110、3010、3110、310、及び410、並びに、以下で記載されるパッチ2210、2310、2410、及び2510が挙げられるが、これらに限定されない。構造体1510は、例えば、本開示全体を通して提供された技術を使用して、縫合リム1512a上に糸通しされ、縫合糸1512aに沿って、組織1530に近接するまで前進し得る。構造体1510が縫合リムの一方上に取り付けられた後に、ついで、各縫合リム1512a、1512bの自由端が互いに、図示されていないノットを使用して結ばれて、傷付いた組織1530を骨1550と接触させ得る。ついで、構造体1510は、それがノットを覆い、組織1530と接触しているような位置へ移動し得る。
図16Bに示されているように、構造体1510が取り付けられると、陥没に対して高さを加えて、修復された組織1530に高さを戻すように構築し得る。
【0156】
使用方法-非回旋腱板修復
本開示は、本明細書で提供された組織増強構造体が組織増強構造体として回旋腱板の外側での適用を有することを企図する。それらの代替的な手術のいくつかの非限定的な例が、以下で提供される。これらの例は、排他的なものではない。更に、当業者であれば、この非回旋腱板修復セクションで提供された開示のいくつかが、どのようにして回旋腱板修復手術に使用するのに適合し得るかを、理解するであろう。以下で記載される実施形態はそれぞれ、非回旋腱板修復(即ち、関節唇修復又は増強、ACL修復、アキレス修復、AC関節修復、半月修復、及び上関節包再建)後に検討されたものを含めて、組織増強構造体の使用に関して検討される。同構造体としては、本明細書で開示されたブロック及びパッチのいずれか又は本開示から導き出すことができる他のものが挙げられる。当業者であれば、本開示を考慮して、様々な組織増強構造体を、様々な手術に使用するのに適合させる方法を、理解するであろう。更に、本開示で記載された方法それぞれの例示的な実施形態では、例えば、コラーゲンが、構造体の一部として使用され、又は、同構造体の全体若しくはほとんど全体を形成するのに使用され得る。これにより、構造体が、治癒した修復の領域において成長することができる。他の材料も、コラーゲンと類似する結果を達成する他のものを含めて、構造体を形成するのに使用され得る。
【0157】
非回旋腱板修復-関節唇欠損修正
1つの代替的な手術が、
図17A~
図17Dに図示される。この方法では、組織増強構造体1610又は軟組織1630が傷付き、骨1650から剥がれているギャップを埋める構造体を使用する。例えば、
図17Aに示されているように、関節唇1630は、骨1650の一部が露出している裂け目又は欠損1635を有し得る。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及び組織増強構造体が本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、第1のアンカー1660aを骨内に、裂け目1635の近位位置1635pにおいて取り付け得る。第1のアンカー1660aは、それに取り付けられた縫合糸1612を有する。組織増強構造体1610は、縫合リム1612上に、本開示全体を通して提供された技術を使用して糸通しされ、この縫合糸に沿って、組織増強構造体1610が裂け目の近位端1635pに近接するまで前進し得る。本明細書で提供されるか、又は当業者に公知の任意の種類のツール(ノットプッシュツールを含む)が、構造体1610をアンカー1660aに向かって前進させるのに使用され得る。組織増強構造体1610は、埋め込まれた欠損1635とほぼ同じ長さであることができ、予め切断されており、かつ/又は、手術部位においてリアルタイムに適切な嵌りを確保するために切断されることができる。
【0158】
組織増強構造体1610が縫合リム1612上に取り付けられた後に、ついで、縫合リム1612の自由端は、第2のアンカー1660b、例えば、ノットレス型固定アンカーにより、骨にアンカーされ得る。縫合糸1612のテイルが締められることができ、その後、アンカー1660bが、骨内に完全に挿入される。アンカー1660a、1660b及び構造体1610をこれらの位置に配置することにより、構造体1610は、関節窩(glenoid)の面上ではなく、関節の後縁において終端し、修復は、以前の関節唇修復手術においてより典型的であったように、欠損をただ固定するのではなく、関節唇を再建するために使用し得る。別の代替的な実施形態では、2つのアンカー1660a、1660bそれぞれから伸びる別個の縫合糸は、どちらかの側の関節唇を通るように糸通しされることができ、組織増強構造体1610は、2つの縫合糸の一方上に配置されることができ、2つの縫合糸が互いに、例えば、ノットを使用して結合されることができる。更に、組織増強構造体1610は、2つの縫合糸が互いに結ばれて、縫合糸が互いに結合する位置を保護する位置上に配置され得る。
【0159】
非回旋腱板修復-ACL修復
別の代替的な手術が、
図18A~
図18Cに図示される。この方法では、組織増強構造体1710又は裂けたACLを修復するための構造体を使用する。例えば、
図18Aに示されているように、一束のACL 1702が裂け又は他の方法で傷付いている。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及び組織増強構造体が一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、部分的なACL修復を開始し得る。まず、骨トンネル1704が、大腿骨1706及びネイティブな傷付いていないACL 1708に接している頚骨1707に開けられる。次に、
図18Bに示された組織増強構造体1710は、対向端部から伸びる縫合リム1712a、1712bを有し、他の実施形態に関して上記されたのと同じ様式で作製される。構造体1710は、ほぼ約5ミリメートル~約100ミリメートルの範囲にある長さを有し得る。
図18Cに示されているように、構造体1710は、骨トンネル1704内を、構造体1710が傷付いていないACL 1708と接触するように通され得る。縫合リム1712a、1712bは、公知の外科的技術に従って、構造体1710を骨のトンネル内に固定するのに使用され得る。
【0160】
あるいは、構造体1710は、自家移植片インプラントを増強するのに使用され得る。自家移植片又は同種移植片インプラントが短すぎ、及び/又は、薄すぎ、修復を完了させるのに十分な強さがないという状況において、構造体1710は、自家移植片インプラントに縫合し、又は、同インプラントに他の方法で結合して、必要とされるサイズのインプラントを形成し得る。更なる代替例において、それを通って伸びる内腔を有する構造体は、自家移植片又は同種移植片インプラント上に通されて、ACL修復のための自家移植片又は同種移植片インプラントを更に強化し得る。
【0161】
非回旋腱板修復-上関節包再建
更に別の代替的な手術が、
図19に図示される。この方法では、組織増強構造体1810a、1810bの少なくとも一方を使用して、上腕骨頭1802上に、上部関節包再建移植片1820をアンカーするのを支援し得る。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、組織増強構造体、及び上部関節包再建移植片が本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、移植片1820の一端を関節リム(glenoid rim)1804に固定し得る。外科医は、移植片1820の一端を関節リム1804に、それから伸びる縫合糸1812aを有する第1の中間アンカー1860aを取り付けることにより固定し得る。第1の組織増強構造体1810aは、縫合糸1812a上に、本開示全体を通して提供された技術を使用して通されることができ、構造体1810aは、移植片1820に対して、本明細書で提供され又は当業者に公知の技術を使用して、例えば、図示されていないが、縫合糸1812aを縫合糸1812b(両方ともアンカー1860aから伸びている)に縛ることなどにより締められることができる。移植片1820上への構造体1810aの圧力により、移植片1820は、関節リム1804に対する所望の位置で保持され得る。移植片1820の対向端は、上腕骨頭1802に近接してアンカーされることができ、移植片1820の位置及び/又はサイズは、関節リム1804が上部関節包再建手術に使用される技術に従って上腕骨頭1802と接触するように調節されることができる。
【0162】
数多くの異なる技術が、移植片1820の他端を上腕骨頭1802に近接して結合させるのに使用され得るが、図示された実施形態では、第1及び第2の側方アンカー1862a、1862bが、第2の組織増強構造体1810bと共に、修復を形成するのに使用される。より具体的には、例示的な一実施形態では、アンカー1862a、1862bの少なくとも一方は、それと関連付けられている縫合糸1812bを有することができ、第2の組織増強構造体1810bは、縫合糸1812bの少なくとも一部上に、本開示で提供された技術を使用して配置されることができる。縫合糸1812bは、2つのアンカー1862a、1862b間に、本明細書で提供され又は当業者に公知の技術のいずれかを使用して伸びることができ、構造体1810bは、移植片1820に対して締められて、移植片1820の位置を上腕骨頭1802に対して維持するのに役立つ一方で、構造体1810bが、縫合糸1812bにより構造体1810bの表面積にわたって加えられた任意の力をより良好に分散するのを可能にすることができる。任意の数の組織増強構造体が、修復に使用されることができ、代替的な実施形態では、組織増強構造体は、移植片1820を関節リム1804及び上腕骨頭1802のうちの1つのみと結合させるのと併せてのみ使用される場合がある。
【0163】
ギャップを閉じることによる軟組織の修復-回旋腱板及び非回旋腱板例
組織中のギャップ又は隙間を閉じるための2つの例示的な実施形態が、
図20A~
図20Fに図示される。第1の図示された実施形態は、
図20A~
図20Cに示されているように、回旋腱板縁収束に関し、第2の図示された実施形態は、
図20D~
図20Fに示されているように、股関節包閉塞(hip capsular closure)に関する。しかしながら、当業者であれば、他の種類の手術を、認識するであろう。これらの実施形態は、本開示の趣旨を逸脱することなく、実際に適用され得る。
【0164】
図20Aは、隙間又はギャップ1905を有する回旋腱板組織1930を示す。第1及び第2の縫合糸1912a、1912bは、第1及び第2の構造体1910a、1910bと、本開示全体を通して提供された技術を使用して関連付けられ得る。
図20Bに示されているように、第1の縫合糸1912bの第1の自由端は、隙間1905の第1の側の回旋腱板組織1930へと糸通しされることができ、そして、隙間1905の対向側において、回旋腱板組織1930に糸通しされることができる。第1の自由端は、第2の自由端に結ばれて、隙間1905の縁部1930a、1930bを合せ得る。
図20Cに示されているように、このプロセスは、第2の縫合糸1912bについて繰り返されて、修復を完了し得る。組織増強構造体1912a、1912bは、本明細書で提供された多くの利益を提供することができ、同利益としては、縫合糸1912a、1912bからの力を分散させ得る大きな表面積、縫合糸1912a、1912bの自由端を結合させるのに使用されるノットの保護、及び縁部1930aと1930bとの間により強力な修復を生じさせるための新たな組織を成長させるための足場を提供することが挙げられるが、これらに限定されない。この場合、この足場は、既存の回旋腱板組織1930上部における組織の新たな層に本質的になる。
【0165】
図20Dは、隙間又はギャップ1905’を有する股関節包組織1930’を示す。第1及び第2の縫合糸1912a’、1912b’は、第1及び第2の構造体1910a’、1910b’と、本開示全体を通して提供された技術を使用して関連付けられ得る。
図20Eに示されているように、第1の縫合糸1912a’の第1の自由端は、隙間1905’の第1の側において股関節包組織1930’内に糸通しされ、隙間1905’の対向側において股関節包組織1930’に糸通しされ得る。第1の自由端は、第2の自由端に結ばれて、隙間1905’の縁部1930a’、1930b’を合せ得る。
図20Fに示されているように、このプロセスは、第2の縫合糸1912b’について繰り返されて、修復を完了させ得る。組織増強構造体1912a、1912bと同様に、組織増強構造体1912a’、1912b’は、本明細書で提供された多くの利益を提供することができ、同利益としては、構造体1912a、1912bに関して提供された強調された利益が挙げられる。
【0166】
組織増強構造体-コラーゲンタック/ボタン
組織増強構造体の別の例示的な実施形態が、
図21A及び
図21Bに図示される。組織増強構造体、示されているように、タック又はボタン2010は、縫合糸2012上に配置され又は縫合糸2012と他の方法で関連付けられるように構成されている、概ね円筒形の形状を有する。より具体的には、組織増強タック2010は、それを通って最近位端2010pから最遠位端2010dに伸びる穴又は内腔2014を有する、実質的に円筒形の本体を有し得る。穴2014は、例えば、以下でより詳細に記載されるように、タック2010及び縫合糸2012が互いに関連付けられ得るように、ステッチ2013により縫合糸2012を受容するのに使用され得る。代替的な実施形態では、縫合糸2012は、タック2010の本体に形成された予め画定された内腔なしに、タック2010を通過することができ、及び/又は、縫合糸2012は、それを通過させることなく、タック2010周囲に巻かれ若しくはタック2010に他の方法で結合されることができる。示されているように、タック2010は、直径D
Tより低い高さT
Hを有する。更に、直径D
Tは、タック2010が関連付けられているフィラメント又は縫合糸、例えば、縫合糸2012の直径より大きいことにより、縫合糸2012のフットプリントを大きくし、外科的修復に使用されるシステム又は装置の組織増強の表面積を大きくすることができる。
【0167】
縫合糸2012は、本明細書で提供され又は当業者に公知の任意の種類の縫合糸であり得る。図示された実施形態では、縫合糸2012は、縫合糸2012の中間部分2012iと関連付けられているセルフロック機構2015、セルフロック機構2015の一方の側から伸びる縮小可能ループ2040、並びに、セルフロック機構2015の反対側から伸びる固定テイル2012f及び張力テイル2012tを含む。セルフロック機構2015は、様々な形状をとることができ、図示された実施形態では、セルフロック機構2015は、縫合糸2012の第2のリムの一部を通って縫合糸2012の第1のリムを通過させ、その後に、第2のリムを出て、固定テイル2012f及び張力テイル2012tをもたらす第1のリム有することにより形成されたフィンガー-トラップ様構成を有する。固定テイル2012fは、タック2010周囲に巻かれ及び/又は結合されることができ、示されているように、ステッチ2013は、固定テイル2012を管理し、それをタック2010に取り付けるのに役立つように使用される。張力テイル2012tは、縮小可能ループ2040の直径を調節するのに役立つように使用され得る。
【0168】
縮小可能ループ2040は、インプラント、例えば、骨アンカー2060に結合することができ、ループ2040の直径は、図示された実施形態に示されているように、セルフロック機構2015をアンカー2060から離れるように近位に、及び、アンカー2060に向かって遠位に移動させることにより、例えば、張力テイル2012tにアンカー2060から離れるように近位に力を加えることにより調節することができる。アンカー2060は、アンカー2060が腱をより容易に通過し得るような低プロファイルアンカーであり得る。当業者であれば、本開示と併せて使用され得る様々な適切な低プロファイルアンカーを、認識するであろう。同アンカーとしては、上記で提供されたようにいくつかのアンカー、例えば、Gryphon(登録商標)及びHealix Transtend(商標)アンカーが挙げられる。
【0169】
数多くの他の縫合糸構成も可能である。同構成としては、以下で更に開示されたいくつかのもの及び当業者に公知の他のものが挙げられる。この設計に包含され得るいくつかの縫合糸構成としては、発明の名称「Surgical Filament Snare Assemblies」の米国特許第8,821,544号及び発明の名称「Systems,Devices,and Methods for Securing Tissue」の米国特許第9,060,763号に提供されたような開示が挙げられるが、これらに限定されない。それぞれの文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0170】
当業者であれば、組織増強タック2010の高さHT及び直径DT並びに穴2014の直径の寸法は、様々な要因により決まり得ることを、認識するであろう。同要因としては、組織増強タック2010と関連付けられるフィラメントのサイズ、患者の解剖学的構造、及び行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、タック2010の直径DTの、縫合リム2012の直径に対する比は、ほぼ約2:1~約100:1の範囲にあることができ、とりわけ、直径DTは、いくつかの例において、組織増強タック2010が関連付けられているフィラメント又は縫合糸の直径の少なくとも3倍であることができる。組織増強タック2010の様々な他のサイズ及び形状が、タック及び関連付けられるコンポーネント(例えば、縫合糸2012)の寸法比を含めて、本開示の趣旨を逸脱することなく利用され得る。
【0171】
比は、タック2010とフィラメント2012との間の関係及びタック2010の寸法間の関係を説明するのに役立つのに有用であり得るが、組織増強タックについてのいくつかの例示的で非限定的な寸法も、本開示を理解するのに役立ち得る。上述したように、これらの寸法は、様々な要因により決まり得る。いくつかの実施形態では、高さHTは、ほぼ約1ミリメートル~約1センチメートルの範囲にあることができ、直径DTは、ほぼ約1ミリメートル~約10ミリメートルの範囲にあることができる。穴2014の直径dのサイズも、様々な要因により決まり得る。同要因としては、穴2014を通過するリムのサイズが挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、直径dは、ほぼ約0.5ミリメートル~約3ミリメートルの範囲にあり得る。あるいは、穴2014は存在しなくてもよく、フィラメント2012は、穴なしに、タック2010を通過し得る。タック2010は、他の組織増強構造体に関して上記提供された材料のいずれか(コラーゲンが挙げられるが、これに限定されない)から作製され得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、
図21Bに示されているように、挿入器ツール2070は、トランス-腱アプローチにおいて、アンカー2060を骨2050に予め形成された骨穴に取り付けるのに使用され得る。挿入器ツール2070は、アンカーを骨2050に取り付けた後に、挿入器ツールを外すことができるように、アンカー2060を解放可能に係合し得る、遠位端2070dにおける解放可能な機構(図示せず)を有し得る。例えば、解放可能な機構は、圧縮嵌め、アンカー2060を係合するためのネジ山、ボールデテント、又は、本開示及び当業者に公知のものを考慮して挿入器ツール2070と関連付けられ得る他の解放可能な機構であり得る。
【0173】
使用中に、
図21Cに示されているように、挿入器ツール2070は、アンカー2060を腱又は他の軟組織2030に挿入するのに使用され得る。ついで、
図21Dに示されているように、アンカー2060が腱2030の下の骨2050内に固定された後に、外科医は、挿入器ツール2070をアンカー2060から取り外し得る。
図21Eに示されているように、アンカー2060が骨2050に固定されると、張力が、張力テイルに、方向T
1に加えられ得る。張力テイル2012tが引っ張られると、縫合糸ループ2040の直径が小さくなり、タック2010が腱2030と接触して、腱2030を骨2050に対して圧迫する。セルフロック機構2015は、張力テイル2012tの位置を維持して、構造体をロックされた構成に維持する。ついで、張力テイルは切り落とされ得る。
【0174】
組織増強タック2010の使用により、多くの利点が生じる。
図21Eに図示されているように、得られた構成は、タック2010が組織2030の上面上に配置されたものであり、露出した硬いコンポーネント及び/又はノットが存在しない。これにより、他の利益の中でも、組織剥脱の可能性が低下する。本明細書で提供された他の構造体に提供された同じ種類の利益も、等しく適用可能である。例えば、組織増強タック2010がコラーゲン又は他の種類の組織成長促進材料から作製されている場合、修復により、縫合糸以外のコンポーネントが残らないような、組織の再構築がもたらされ得る。更に、タック2010がアンカー2060に向かって前進し、組織2030において固定された後、縫合糸の管理は、手術後には実際には必要ではない。
【0175】
あるいは、
図21Fに示されているように、2つの張力タック2010a、2010bが使用された場合、張力タック2010a、2010bは、
図21A~
図21Eに関して上記されたのと同じ様式で取り付けられ得る。テイル2012t_1、2012t_2を切り落とすのに代えて、張力テイル2012t_1、2012t_2は、側方列アンカー2062内に固定されて、骨2050に対する組織2030の更なる圧迫を提供し得る。更に代替的な方法では、
図21Gに示されているように、2つの張力テイル2012t_1’及び2012t_2’が互いに、ノット2018により結ばれ得る。ノット2018は、本明細書で提供された1つ以上の更なる組織増強構造体により覆われ得る。
【0176】
タック2010の他の非限定的で代替的な実施形態は、タック2010’及び2010’’それぞれとして、
図21H及び
図21Iに図示されており、この代替例は、各縫合糸2012’、2012’’と関連付けられている他の種類のセルフロック機構に焦点を当てている。縫合糸2012’の構成は、タック2010’に対する張力テイル2012t’の移動を選択的に制限するように構成されている、セルフロック摺動ノット2015’を含む。当業者であれば、タック2010’と共に使用され得る多くの異なる種類のセルフロックノット2015’を、認識するであろう。
【0177】
更に代替的なタック2010’’が、
図21Iに示される。タック2010’’は、タック2010と実質的に同じ寸法を有し、実質的に同じ材料から作製され得る。しかしながら、組織増強タック2010’’は、最近位表面2010p’’から最遠位表面2010d’’に伸びる、2つの穴2014a’’、2014b’’を有する。
図21Iに示されているように、2つの孔2014a’’、2014b’’は互いに平行であり得るが、他の代替的な構成が企図される。いくつかの実施形態では、穴が存在しない場合があり、代わりに、縫合糸が、本明細書で提供され又は当業者に公知のように、タック2010’’を通過し又はタック2010’’と他の方法で関連付けられ得る。
【0178】
タック2010’’と共に使用される縫合糸2012’’は、縫合糸2012と類似することができるが、示されているように、縫合糸2012’’は、2つのセルフロック機構2015a’’及び2015b’’並びに2つのループ2040a’’及び2040b’’を有する構成に操作される。セルフロック機構2015a’’及び2015b’’は、上記され又は当業者に公知のように形成され得る。図示された実施形態では、セルフロック機構2015a’’及び2015b’’は、縫合糸2012’’の第2のリムの一部を通って縫合糸2012’’の第1のリムを通過させ、その後に、第2のリムを出て、固定テイル2012f_1’’、2012f_2’’及び張力テイル2012t_1’’及び2012t_2’’をもたらす第1のリムを有することにより形成されたフィンガー-トラップ様構成を有する。示されているように、固定テイル2012f_1’’及び2012f_2’’は、タック2010’’に、1つ以上のステッチ2013’’を使用して結合することができ、張力テイル2012t_1’’及び2012t_2’’は、タック2010’’の最近位端20120p’’から伸びることができる。ループ2040a’’及び2040b’’は両方とも、縫合インプラント、示されたアンカー2060a’’に結合することができ、上記されたように、張力テイル2012t_1’’及び2012t_2’’は、各ループ2040a’’及び2040b’’の直径を調節するように操作可能であることができる。図示された実施形態では、セルフロック機構2015a’’及び2015b’’は、フィンガー-トラップ様構成を有するように示されているが、摺動ノットを含めた他の種類のセルフロック機構が、図示されたセルフロック機構2015a’’及び2015b’’に代えて使用され得る。
【0179】
組織増強タック2010’’’の別の例示的な実施形態が、
図21Jに図示される。組織増強構造体、示されているように、タック又はボタン2010’’’は、
図21Aに示されたタック2010と同様に構成され得る。したがって、示されているように、タック又はボタン2010’’’は、それを通って、最近位端2010p’’’から最遠位端2010d’’’に伸びる穴又は内腔2014’’’を有する実質的に円筒形の本体と、内腔2014’’’により受容される縫合糸2012’’’とを含む。タック2010と同様に、当業者であれば、組織増強タック2010’’’の高さH
T’’’及び直径D
T’’’並びに穴2014’’’の直径の寸法は、様々な要因により決まり得ることを、認識するであろう。同要因としては、組織増強タック2010’’’と関連付けられるフィラメントのサイズ、患者の解剖学的構造、及び行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、タック2010’’’の直径D
T’’’の、縫合リム2012’’’の直径に対する比は、ほぼ約2:1~約100:1の範囲にあり得る。より具体的には、直径D
T’’’は、いくつかの例において、組織増強タック2010’’’が関連付けられるフィラメント又は縫合糸の直径の少なくとも3倍であり得る。他の例では、直径D
T’’’は、本開示の趣旨を逸脱することなく、組織増強タックが関連付けられるフィラメント又は縫合糸の直径の少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍又はそれ以上であり得る。
【0180】
縫合糸2012’’’は、縫合糸2012’’’の中間部分2012i’’’と関連付けられているセルフロック機構2015’’’、示されているように、摺動ノットと、摺動ノット2015’’’の一方の側から伸びる縮小可能ループ2040’’’と、摺動ノット2015’’’の反対側から伸びる、例えば、タック2010’’’の遠位側2010d’’’から伸びる固定テイル2012f’’’及び張力テイル2012t’’’とを含む。あるいは、セルフロック機構2015’’’は、縮小可能ループ2040’’’を画定し、調節可能な機構を縫合糸2012’’’の一部に対して移動させることにより、ループのサイズを変化させるように構成されている、任意の調節可能及び/又は摺動機構又は部材(例えば、摺動ノット)であり得る。
【0181】
テイル2012f’’’及び2012t’’’は、テイル2012f及び2012tと同様の様式で動作することができるため、張力テイル2012t’’’は、タック2010’’’を通って自由に摺動することができ、縮小可能ループ2040’’’の直径を調節するのに役立つように使用されることができる。摺動ノット2015’’’は、様々な形状をとることができ、図示された実施形態では、摺動ノット2015’’’は、固定テイル2012f’’’とノットを作製し、縫合糸2012’’’の張力リム2012t’’’を摺動ノット2015’’’に通過させることにより形成されることができる。ついで、固定テイル2012f’’’は、縫合糸と物体との間の固定された関係を形成するための任意の数の当業者に公知の技術を使用して、タック2010’’’に固定され得る。例えば、固定テイル2012f’’’は、タック2010’’’を通るステッチ2013’’’を形成して、縫合糸2012’’’をタック2010’’’に結合させるのに役立ち得る。示されているように、固定テイル2012f’’’は、タック2010’’’内に円形パターンで配置されるため、固定テイル2012f’’’の一部をタック2010’’’内に埋めて、邪魔にならない状態を維持する。付加的に又は代替的に、ロックノット2016’’’は、固定テイル2012f’’’自体が結ばれて、縫合糸2012’’’をタック2010’’’に固定することにより形成され得る。図示された実施形態では、ロックノット2016’’’は、タック2010’’’の遠位面2010d’’’上に配置される。あるいは、ロックノット2016’’’は、提供されたタック2010’’’の任意の表面上に、又は、同表面に少なくとも近接して配置されることができ、ステッチ2013’’’は、一般的には、タック2010’’’に対して固定される。固定テイル2012f’’’がタック2010’’’に対して固定され得る他の方法は、接着剤、例えば、のりを使用して、固定テイル2012f’’’の位置をタック2010’’’に対して固定すること、及び、当業者に公知の他の技術を含む。
【0182】
ロックノット2016’’’がタック2010’’’の遠位面2010d’’’上に配置される実施形態では、ロックノット2016’’’と摺動ノット2015’’’との間の距離は固定され得る。例えば、2つのノット間を伸びる距離は、ほぼ約2ミリメートル~約10ミリメートルの範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、ロックノット2016’’’と摺動ノット2015’’’との間の相対距離を、骨2050’’’に対する軟組織2030’’’の必要な圧迫により低プロファイル修復を形成するのに可能な限り小さく維持するのが望ましい場合がある。
【0183】
縮小可能ループ2040’’’は、インプラント、例えば、骨アンカー2060’’’に結合することができ、ループ2040’’’の直径は、図示された実施形態に示されているように、摺動ノット2015’’’をアンカー2060’’’から離れるように近位に、及び、アンカー2060’’’に向かって遠位に移動させることにより、例えば、張力テイル2012t’’’にアンカー2060’’’から離れるように近位に力を加えることにより調節されることができる。アンカー2060’’’は、アンカー2060’’’が腱をより容易に通過し得るような低プロファイルアンカーであり得る。非限定的な例として、アンカー2060’’’は、トグルアンカー、例えば、Minilok(商標)Quickanchor(登録商標)縫合アンカー(DePuy Synthes,Inc.から市販されている)であり得る。当業者であれば、本開示と共に使用され得る様々な適した低プロファイルアンカーを、認識するであろう。同アンカーとしては、硬いアンカー、軟質アンカー、及び他のトグルアンカーが挙げられる。
【0184】
図21Jは、アンカー2060’’’を骨に形成された穴に挿入するのに役立つように使用され得る挿入器ツール2070’’’も図示している。ツール2070’’’のサイズ、形状、及び構成は、様々な要因により決まり得る。同要因としては、ツール2070’’’と共に使用されるコンポーネント(例えば、ガイド2080’’’及びアンカー2060’’’)についてのサイズ、形状、及び構成が挙げられるが、これらに限定されない。図示された実施形態では、ツール2070’’’の本体は、円筒形又は管形の形状を有する。ツール2070’’’の外径は、ツール2070’’’の長さに沿って変動することができ、このため、示されているように、近位端2070p’’’での第1の外径は、中間部分2070i’’’での第2の外径より大きい直径を有する。レッジ2071’’’は、本体の第1の外径から第2の外径への遷移により形成され得る。示されているように、ツール2070’’’の遠位端2070d’’’は、アンカー2060’’’がこのツールに解放可能に結合することができるように構成され得る。挿入ツールとアンカーとの間に解放可能な結合を形成するのに公知の任意の数の構成又は機構が使用され得る。例えば、解放可能な機構は、圧縮嵌め、アンカー2060’’’を係合するためのネジ山、ボールデテント、又は、本開示及び当業者に公知のものを考慮して挿入器ツール2070’’’と関連付けられ得る他の解放可能な機構であり得る。挿入器ツール2070’’’のサイズ及び形状は、様々な要因により決まり得る。同要因としては、挿入器ツール2070’’’と共に使用されるように設計されたアンカーのサイズ及び形状、挿入器ツール2070’’’と共に使用される他のコンポーネント(例えば、以下で記載されるガイド)のサイズ及び形状、並びに、行われる外科手術の種類が挙げられる。
【0185】
ツール2070’’’は、場合により、他の器具、例えば、
図21K及び
図21Lで提供されたものと共に使用され得る。より具体的には、
図21Kは、ガイド2080’’’を図示し、
図21Lは、パンチ2090’’’を図示し、それぞれ、様々な手術に使用され得る。同手術としては、骨穴へのトランス-腱アプローチが挙げられるが、これに限定されない。
【0186】
図示された実施形態では、ガイド2080’’’の本体は、ガイド2080’’’の内部容積を通って、ガイド2080’’’の近位端2080p’’’の最近位端から遠位端2080d’’’の最遠位端に伸びる内腔2085’’’を有する円筒形又は管形の形状を有する。この内腔も、円筒形又は管形の形状を有する。示されているように、ガイド2080’’’本体の外径は、ガイド2080’’’の長さに沿って変化する。より具体的には、この本体は、近位端2080p’’’が第1の外径を有し、中間部分2080i’’’が第2の外径を有し、遠位端2080d’’’が第3の外径を有し、第1の外径は、第2の外径より大きく、第2の外径は、第3の外径より大きい。いくつかの実施形態では、遠位端2080d’’’の遠位先端は、軟組織、例えば、腱を切断するように構成され得る。あるいは、遠位端2080d’’’は、ガイド2080’’’を把持し、又は、ガイド2080’’’を骨2050’’’に他の方法でアンカーするためのノコギリ歯状の端部、鋭い端部、丸みのある端部、又は骨係合機構を有し得る。ガイド2080’’’は、パンチ2090’’’及び挿入器2070’’’などの器具並びにインプラント、例えば、アンカー2060’’’を、腱2030’’’を通って、骨2050’’’内にガイドするように使用され得る。
【0187】
示されているように、内側レッジ2081’’’は、本体の第1の外径から第2の外径への遷移により形成されることができ、テーパー部分2083’’’は、本体の第2の外径から第3の外径への遷移を提供することができる。ガイド2080’’’の外径のサイズ及び他の部分は、その目的で、様々な要因により決まり得る。同要因としては、ガイド2080’’’と共に使用される器具(例えば、挿入器ツール2070’’’、パンチ2090’’’、及びアンカー2060’’’)のサイズ、形状、及び構成並びに行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。当業者であれば、ガイド2080’’’及び内腔2085’’’の他の形状及び構成が可能であることを、認識するであろう。同他の形状及び構成としては、ガイド2080’’’の本体及び内腔2085’’’が異なる形状の断面を有する形状、及び/又は、ガイド2080’’’の外形がその長さに沿って変化しない形状が挙げられる。内腔2085’’’の直径は、パンチ2090’’’及び挿入器ツール2070’’’の両方、又は、外科手術中に使用するために、ガイド2080’’’により受容される任意の他の外科用ツールを受容するようなサイズであり得る。
【0188】
長手方向スロット2088’’’は、ガイド2080’’’の外側表面上に、ガイド2080’’’の長さに沿って形成され得る。図示された実施形態では、スロット2088’’’は、ガイド2080’’’の長さ全体を、近位端2080p’’’の最近位端から遠位端2080d’’’の最遠位端に伸びるが、他の実施形態では、スロット2088’’’は、この長さの一部に沿ってのみ伸びる場合がある。スロット2088’’’は、少なくとも1つの縫合リム2012’’’を収容するのに十分大きい幅WG及び深さ(図示せず)を有し得る。いくつかの実施形態では、2つ以上のスロットが、ガイド2080’’’の外側表面に形成されてもよい。スロットは、外側表面に、表面にスロット又はチャネルを形成するのに当業者に公知の任意の数の技術を使用して形成されることができ、同技術としては、エッチング及びミリングが挙げられるが、これらに限定されない。スロット2088’’’は、外科医がタック2010’’’を手術部位に対して制御するのに役立ち得る。タック2010’’’は、ガイド2080’’’の内腔2085’’’を通して配置されるのには大き過ぎる直径を有する場合があるためである。
【0189】
図21Lで図示されているように、パンチ2090’’’は、円筒形又は管形の形状を有し、ガイド2080’’’の内腔を通って、パンチ2090’’’の近位端2090p’’’がガイド2080’’’の近位端2080p’’’と係合した際に、パンチ2090’’’の遠位端2090d’’’がガイド2080’’’の遠位端2080d’’’を超えて遠位に伸び得るように(
図21Nを参照のこと)、着脱可能に配置されるように構成されている。ガイド2080’’’と同様に、パンチ2090’’’本体の外径は、パンチ2090’’’の長さに沿って変化する。示されているように、この本体は、近位端2090p’’’が第1の外径を有し、中間部分2090i’’’が第2の外径を有し、遠位端2090d’’’が第3の外径を有するような形状であり、第1の外径は、第2の外径より大きく、第2の外径は、第3の外径より大きい。パンチ2090’’’の第1、第2、及び第3の外径のサイズ並びにパンチ2090’’’の他の部分は、様々な要因(例えば、ガイド2080’’’のサイズ、形状、及び構成、手術の使用される他のコンポーネント、並びに行われる手術の種類)により決まり得る。図示された実施形態では、第1の外径は、ガイド2080’’’の内腔2085’’’の直径より大きくなるようなサイズであり、第2の外径は、パンチ2090’’’が摺動的かつ着脱可能に内腔2085’’’内に受容され得るように、内腔2085’’’の直径より小さい。
【0190】
パンチ2090’’’の第1の外径から第2の外径への遷移により形成されるレッジ2091’’’は、ガイド2080’’’の近位端2080p’’’の最近位端と係合するように構成され得る。他の実施形態では、第1及び第2の外径並びにこのため、レッジ2091’’’は、ガイド2080’’’内に配置されたレッジ又は外側表面と係合するように構成され得る。レッジ2091’’’がガイド2080’’’と係合する場合、この係合により、パンチ2090’’’がガイド2080’’’に対して遠位方向にいくらか更に移動するのを防止される。代替的に又は付加的に、パンチ2090’’’は、テーパー部分により形成された停止表面2093’’’を含み得る。停止表面2093’’’は、ガイド2080’’’における対応する表面に当接して、ガイド2080’’’に関する遠位方向における任意の更なる移動を防止し得る。場合により、パンチ2090’’’は、その長さの少なくとも一部に沿って(長さ全体に沿うのを含む)伸びて、骨と他の物体(例えば、組織)とが、骨孔形成中又は、パンチ2090’’’が手術部位に配置されている間に行われ得る他のプロセス中に取り除かれるのを可能にする内腔を有し得る。いくつかの実施形態では、遠位端2090d’’’は、骨孔を形成するように構成され得る。当業者であれば、挿入器ツール2070’’’、ガイド2080’’’、及びパンチ2090’’’などのコンポーネントが様々な材料から成形され得ることを、認識するであろう。同材料としては、硬化ステンレス鋼が挙げられるが、これに限定されない。
【0191】
使用中に、ガイド2080’’’は、
図21M~
図21Rに示されているように、埋め込みプロセス中に、パンチ2090’’’及び挿入器ツール2070’’’の両方を埋込み部位にガイドし、縫合糸2012’’’を管理するのに機能するように使用され得る。以下の説明では、骨孔2052’’’の形成及び軟組織修復の両方が記載されているが、当業者であれば、これらの別個の手術は、別々に又は他の手術と共に行われ得ることを、理解するであろう。一態様において、この手術は、トランス-腱アプローチについての骨孔2052’’’の形成を含み得る。ガイド2080’’’の遠位先端2080d’’’は、手術部位に向かって、軟組織2030’’’、例えば、腱に近接するように前進し得る。ガイド2080’’’が所望の位置にある場合、オペレータは、パンチ2090’’’をガイド2080’’’の内腔へと前進させ得る。あるいは、ガイド2080’’’は、手術部位に、その中に予め配置され又は部分的に配置されたパンチ2090’’’と共に前進し得る。外科医は、パンチ2090’’’に力F1を加えることにより、パンチ2090’’’を、組織2030’’’を通って骨2050’’’内へと押して、骨孔2052’’’を形成し始め得る。外科医は、
図21Nに示されているように、力F1を、パンチ先端2090d’’’が骨2050’’’内の所望の深さに前進するまで、及び/又は、ガイド2080’’’の遠位端2080d’’’が組織2030’’’を通過し、骨2050’’’の表面2050a’’’と接触するまで加え得る。パンチ2090’’’が骨2050’’’内に前進する量は、パンチ2090’’’のレッジ2091’’’とガイド2080’’’の近位端2080p’’’の最近位端との間の相互作用及び/又はパンチ2090’’’の停止表面2091’’’とガイド2080’’’の内腔2085’’’に隣接する対応する表面との間の相互作用により制限され得る。代替的に又は付加的に、パンチ2090’’’の停止表面2093’’’は、ガイド2080’’’の内側レッジ2081’’’に当接し得る。更なる代替例において、パンチ2090’’’は、骨2050’’’へと、ガイド2080’’’を使用せずに前進し得る。
【0192】
所望の骨孔2052’’’が形成された後に、
図21Oに示されているように、パンチ2090’’’は、ガイド2080’’’から外されるため、ガイド2080’’’の内腔2085’’’を介して、骨孔2052’’’へのアクセスを提供し得る。ガイド2080’’’は、手術部位に残され、又は代替的に、取り除かれ得る。骨孔2052’’’の形成後にガイド2080’’’を定位置に残すことに対する1つの利点は、骨孔2052’’’がアンカー2060’’’を取り付けるのに容易に特定可能であることである。
【0193】
図21B~
図21Fに示された縫合構造体の取付けと同様に、挿入器ツール2070’’’は、
図21Pに示されているように、アンカー2060’’’を腱又は他の軟組織2030’’’に挿入するのに使用され得る。外科医は、挿入器ツール2070’’’をガイド2080’’’を通して、アンカー2060’’’が示された方向に力F2を加えることによりガイド2080’’’の内腔を通って前進するように挿入し得る。挿入の深さは、少なくとも部分的に、ガイド2080’’’の長さに対して、挿入器ツール2070’’’のレッジ2071’’’の位置により制御され得る。少なくとも1つの縫合リム2012’’’が、ガイド2080’’’のスロット2088’’’内に、縫合リムがアンカー2060’’’の骨2050’’’中の骨孔2052’’’内への埋込み中に容易に管理され得るように受容され得る。縫合リム2012’’’の容易な管理により、同様に、手術部位に向かって前進する際に、タック2010’’’のより容易な管理が可能となる。多くの場合、タック2010’’’は、ガイド2080’’’の内腔2085’’’を通って配置されるには大き過ぎるためである。いくつかの実施形態では、縮小可能ループ2040’’’が縮小させられて、タック2010’’’を少なくとも部分的に、手術部位に向かって前進させることができ、一方で、ガイド2080’’’は、手術部位に位置したままである。あるいは、ループ2040’’’のサイズの任意の調節は、ガイド2080’’’が取り除かれた後に行われ得る。
【0194】
図21Qは、ガイド2080’’’が取り外された後の手術部位を図示する。同様に、アンカー2060’’’は、挿入器ツール2070’’’から取り外され、このツールも、手術部位から取り除かれる。示されているように、アンカー2060’’’は、腱2030’’’の下の骨2050’’’に対して固定される。アンカー2060’’’は、少なくとも部分的には使用されるアンカーの種類に応じて、数多くの異なる技術を使用して、骨2050’’’に対して固定され得る。例えば、図示された実施形態では、アンカー2060’’’は、トグルアンカーであるため、それをトグル留めするように力がアンカーに加えられ得る(例えば、手術部位から離れる上向きの力が、縫合糸2012’’’に加えられて、アンカー2060’’’が骨内にトグル留めされ得る)。アンカーが軟質アンカーである場合、アンカーを動作させて、それ自体を骨内に固定するための動作が行われ得る。例えば、軟質アンカーは、可撓性構造体(例えば、当業者に公知及び/又は参照により本明細書に組み込まれた他の可撓性構造体の中でも、縫合糸又はフィラメント)から形成されていてよく、張力テイルの張力により、軟質アンカーが、軟質アンカーが第1の長さと第1の直径とを有する非応力下構成(アンカーされていない構成とも呼ばれる)から、軟質アンカーが第1の長さより短い第2の長さと第1の直径より大きい第2の直径とを有する応力下構成(アンカーされている構成とも呼ばれる)に、作動し得るようにされる。可撓性構造体から形成されたアンカーは、可撓性構造体から全体が形成されていなくてもよく、多くの場合、1つ以上の可撓性構造体から実質的に形成されている。軟質アンカーは、非応力下構成にある場合に、骨孔内に挿入され、応力下構成にある場合、骨孔の端部などの位置において、骨に近接して、又は骨において、固定されるように構成され得る。軟質アンカーは、例えば、張力を可撓性構造体に加えて、それを非応力下構成から応力下構成に動かすことにより、作動し得る。張力は、軟質アンカーの可撓性構造体又は軟質アンカーと他の方法で関連付けられている可撓性構造体のテイル又は一部に、力を加えることにより加えられ得る。上記されたように、軟質縫合アンカー及びこのような軟質アンカーを本開示により作動させるための方法のいくつかの例示的な実施形態としては、米国特許第9,345,567号(Sengun)に記載されたものが挙げられる。更なる代替例において、アンカーは、セルフパンチアンカーであることができ、及び/又は、アンカーは、当業者に公知の挿入装置と共に使用されるセルフパンチアンカーの組み合わせであることができる。このようなアンカー及び/又はアンカー-挿入装置組み合わせは、挿入前に骨孔を形成することなく、骨内に直接挿入され得る。セルフパンチアンカー及び/又はセルフパンチアンカー-挿入装置組み合わせが使用される場合、手術は、パンチ2090’’’及び/若しくはガイド2080’’’又はそれらの均等物を使用することなく行われ得る。
【0195】
図21Rに示されているように、アンカー2060’’’が骨2050’’’に固定されると、張力が、張力テイル2012t’’’に、方向F3に加えられ得る。張力テイル2012t’’’が引っ張られると、縫合糸ループ2040’’’の直径が小さくなり、タック2010’’’が腱2030’’’と接触して、腱2030’’’を骨2050’’’に対して圧迫する。上記されたように、好ましい一実施形態では、ロックノット2016’’’と摺動ノット2015’’’との間の距離は、腱2030’’’が骨2050’’’に対して必要とされるだけ圧迫されるのを可能にするように最小化される。ロックノット2016’’’と摺動ノット2015’’’との間の距離が長すぎる場合、外科医は、腱2030’’’と骨2050’’’との間の所望量の圧迫を達成することができない場合がある。摺動ノット2015’’’は、張力テイル2012t’’’の位置を維持して、構造体をロックされた構成に維持する、セルフロックノットであり得る。あるいは、摺動ノット2015’’’が、セルフロックノットでない場合、外科医は、縫合ループ2040’’’の直径を固定するのに必要な任意のノットを結び得る。ついで、張力テイルは切り落とされ得る。同様に、固定テイルは、それが露出し、切り落とすのが望ましいであろう場合には、切り落とされ得る。
【0196】
組織増強構造体を製造する方法
本明細書で提供された組織増強構造体は、数多くの異なる技術を使用して製造され得る。同技術のいくつかは、以下で提供される。当業者に公知の他の技術又は、特に、本開示を考慮して、本開示後に開発される他の技術も、開示された様々な構成の組織増強構造体を製造するのに使用され得る。
【0197】
組織増強構造体-テープ構成を有するブロックを製造する方法
組織増強テープ又はストリップ10の作製の例示的な一実施形態では、ストリップ10を作製するのに使用される材料は、所望の形状に切断され得る。例えば、ストリップが自家移植片組織、同種移植片組織、又は異種移植片組織のいずれかから製造される実施形態では、組織が手術前に収集された場合、新鮮な組織が、例えば、ストリップ10に所望の形状、
図1Aに示されているように、長さL、幅W、及び厚みTを有する概ね矩形の形状に切断され得る。ストリップが収集された材料から作製されるか否かに関わらず、ストリップを作製するための材料の取得は、当業者に公知の任意の技術を使用して達成され得る。本開示によれば、テープ又はストリップ10は、任意の形状を有することができ、例えば、組織は、楕円形、円形、三角形などに切断されることができる。更に、組織は、伝統的な外科用メス又はハサミにより切断される必要はない。いくつかの例では、テープ又はストリップ10は、パンチ、コンピュータ数値制御機器、レーザカッター、又は他の公知の製造技術の使用によりサイズ決定され得る。
【0198】
組織が所望の形状に形成されると、糸通し器がストリップ10と関連付けられ得る。例えば、
図1Bに示された縫合リム12aと同様に、糸通し器206の中間フィラメント部分210は、ランニングステッチを使用して、ストリップ10に通され得る。このステッチは、必要な回数だけ、テープストリップ10の本体にわたって前後に通過し得る。代替的な実施形態では、糸通し器206の中間フィラメント部分210は、本体の外を通過することなく、まさにテープストリップ10の一方から他方に通過し得る。糸通し器206が取り付けられた後に、ストリップ10は、梱包のために乾燥され得る。あるいは、糸通し器206は、組織が乾燥された後に挿入され得る。更に、ストリップ10は乾燥させる必要はない。
【0199】
組織増強構造体-チューブ構成を有するブロックを製造する方法
組織増強チューブ110を作製するための例示的な実施形態は、
図22A~
図22Cに図示される。チューブ110を作製するのに使用される材料は、当業者に公知の技術を使用して、収集され又は他の方法で取得され得る。ついで、この材料は、ストリップ10に関して本明細書のどこかで上記され又は当業者に公知の技術のいずれかを使用して成形され得る。
図22Aに示されているように、長さL’及び幅W’を有する材料片120が収集され得る。
図2Bに示されているように、幅W’は、D
*π(式中、Dは、チューブ110の直径である)にほぼ等しいことができる。
図22Aに示されているように、材料片120は、第1の端部120aと第2の端部120bとを有し、それらの間に伸びる幅W’を有する、概ね矩形であり得る。あるいは、材料片120は、任意の形状を有し得る。
【0200】
材料片120が切断されると、第1及び第2の端部120a、120bが互いに近づけられ、その後に、互いに取り付けられることにより、チューブを形成し得る。
図22B及び
図22Cに示されているように、第1及び第2の端部120a、120bは、縫合糸又はフィラメント122を使用し、端部同士をステッチして取り付けられる。あるいは、第1及び第2の端部120a、120bが互いに、のり、コラーゲンボンド、ステープル、光硬化、架橋、機械的インターロック、脱水、又は、当業者に公知の軟組織を軟組織に取り付けるための他の技術により取り付けられ得る。糸通し器206は、チューブ110内に挿入されることができ、その後に、2つの端部120a、120bが取り付けられる。又は、同取付け後に、糸通し器206が挿入される。チューブ110は、梱包のために乾燥され得る。あるいは、チューブ110は、ブロック110を脱水することなく、水和状態で維持され得る(これは、本明細書で検討された任意の構造体又はそれから導き出すことができる他のものも同様である)。組織増強チューブを製造するための代替的な方法が、
図23A~
図23Cに提供される。この方法では、複数のチューブ110a~110cが、一度に1つの材料又は示されているように、2つの材料片(一方の材料片が他方上に配置される)から作製され得る。
【0201】
示されているように、第1の材料片130a及び第2の材料片130bは、一方が他方の上に置かれる。先の実施形態と同様に、材料130a、130bは、本明細書で提供され又は当業者に公知の任意の技術を使用して、取得され、サイズ決定され、形成され得る。
図23Bに示されているように、第1及び第2の材料片130a、130bは、長さL’と、必要とされるチューブ110a~110cの数の関数として決定される幅とを有し得る。具体的には、各チューブ110は、上記された直径又は幅Dを有する。したがって、材料片は、必要とされるチューブ110の数に、Dを掛けたものに等しい幅を有し得る。あるいは、この製造は、形成される各ストリップ間に形成される選択された空間量を可能にするように計画され得る。いくつかの実施形態では、概ね矩形の形状を有する1つの材料片(図示せず)が使用され得る。この場合、この材料片は、示されているように、第1の材料片及び第2の材料片を形成するために、半分に折り畳まれ、一方が他方上に積層される。
【0202】
2つの材料片130a、130bが所望のサイズに切断されると、ピン132a~132cがその間に置かれ得る。ピン132a~132cは、互いにほぼ平行、かつ、材料の長辺131に対して垂直に置かれ得る。ピン132a~132cは、各ピン132a~132c間に、個々のチューブ110a~110cの取付け及び分離を可能にするのに十分な空間が存在するように間隔が空けられ得る。
【0203】
図23A~
図23Cに示されているように、第1及び第2の材料片130a、130bは、縫合糸134を使用し、2つの片同士をステッチして取り付けられて、ピン132a周囲にチューブを形成する。あるいは、第1及び第2の材料片130a、130bは、のり、コラーゲンボンド、ステープル、光硬化、又は他の公知の技術の使用より、互いに取り付けられ得る。全てのチューブ110a~110cがステッチされると、個々のチューブ110a~110cは、ラインL
1及びラインL
2に沿って切断され得る。
図23Bに示されているように、ラインL
1及びL
2は、ピン132a~132cに対してほぼ平行である。個々のチューブ110a~110cが切断されると、
図23Cに示されているように、ピン132a~132cが取り除かれてよく、これにより、穴又は内腔114aが残る。糸通し器206は、チューブ110の内腔114に関して本明細書で提供された様式で、内腔114aと関連付けられて、縫合リムを内腔に通過させられ得る。
【0204】
チューブ状の構造体を製造するこの方法は、同様の様式で、
図2E及び
図2Fに図示されたバー3010、3110などのカニューレ状の構造体を製造するのにも使用され得る。このような例において、ピン132a~132cは、カニューレがそれらを使用して形成されると取り除かれることができ、材料130a’、130b’の2つの層は、わずかに圧縮されることができ、又は、それら自体により互いに向かって緩むことができる。結果として、内腔114a’は、
図23Cに示されたチューブ状の形状から、
図2E及び
図2Fに示されたスリット形状の内腔114a’に変形し得る。上記されたように、構造体3010、3110の全体形状は、概ね矩形のプリズムであり得る。構造体3010、3110の構成において、例えば、ピン132a’~132c’の使用は、完全に省略されてもよい。あるいは、ピン132a’~132c’は、図示されていない櫛ブレードに置き換えられてもよく、これにより、内腔114c’の形状は、チューブ状の形状で開始するのではなく、スリットとして開始する。
【0205】
組織増強チューブを製造するための更に代替的な方法が、
図24A~
図24Cに提供される。この方法でも、複数のチューブ110a’~110c’が、一度に1つの材料又必要に応じて複数の材料片から作製されることができる。示されているように、材料片130’は、長さL’’と、必要とされるチューブ数に基づいて決定される幅とを有し得る。具体的には、各チューブ110a’~110c’は、直径又は幅D’を有する。したがって、材料片は、必要とされる増強ブロック110’の数にD’を掛けたものに等しい幅を有し得る。あるいは、この幅は、各チューブ110’間の更なる空間Xを含み得る。同空間Xは、材料片130’のサイズを形成する際に考慮され得る。本明細書で提供された実施形態のいずれかと同様に、材料の厚みは、様々な要因に応じて変動し得る。同要因としては、チューブと共に使用される他のコンポーネント及び組織のサイズ及び形状、患者の解剖学的構造、並びに行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例示的な実施形態では、
図24Aに図示された厚みT’は、ほぼ約0.5ミリメートル~約10ミリメートルの範囲にあり得る。
【0206】
材料片130’が所望のサイズに切断されると、ピン132a’~132c’が、材料片130’を通して、第1の縁部130a’から第2の縁部130b’に挿入され得る。ピン132a’~132c’は、それらが互いにほぼ平行であり、かつ、材料130’の第1及び第2の縁部130a’、130b’に対してほぼ垂直であるように挿入され得る。ピン132a’~132c’は、各ピン132a’~132c’間に、分離するのを可能にするのに十分な空間が存在するように間隔が空けられ得る。ピン132a’~132c’は、得られる内腔114’’の直径にほぼ等しい直径を有するようなサイズであり得る。
【0207】
あるいは、
図25に示されているように、トロカール2802が、材料片中に内腔114’’を形成するのに使用され得る。トロカールは、当業者に一般に公知であるため、トロカールに関する詳細な説明は不要である。実際に、図示された実施形態では、トロカール2802の遠位端のみが示されており、この遠位端は、先端2804と、先端2804が関連付けられている、例えば、結合しているシャフト2806とを含む。先端2804の最遠位端は、尖っておりかつ鋭く、このため、組織を穿孔するように構成されている。トロカールのシャフト2806は、筐体(図示せず)から遠位に伸びて、トロカールを材料中にガイドするのに役立つ。
【0208】
トロカール2802は、他のトロカールと比較して独特である。シャフト2806が、近位方向Pに、即ち、筐体に向かって、徐々に大きくなる直径を有するためである。より具体的には、先端2804は、ほぼ約0.10ミリメートル~約1ミリメートルの範囲にある、実質的に一定の直径DP1を有し、示されているように、最遠位先端は、DP1より更に小さい直径を有する。シャフト2806は、第1の直径DP1から開始し、ほぼ約0.5ミリメートル~約5ミリメートルの範囲にある第2の直径DP2で終了する、徐々に大きくなる直径を有する。他の寸法は、少なくとも部分的に、所望の内腔サイズ、トロカールと共に使用されるであろう器具、及び外科医の好みに応じて、確かに可能である。
【0209】
シャフト2806の徐々に大きくなる直径は、組織中でのより正確な内腔形成を可能にする。遠位先端2804に近接したより小さい直径を有するシャフトを有するトロカールにより開始することにより、軟らかい生体組織中にトロカール2802を配置し、前進させるのがより容易である。使用中に、先端2804は、例えば、材料片の第1の縁部上に配置され、組織の第2の側に向かって前進させる際には、圧力を加え、かつ/又はトロカール2802を捻ることにより前進させて、初期内腔を形成し得る。トロカール2802が第2の側面に向かって遠位に前進すると、トロカール2802が形成する開口のサイズは、DP1からDP2に徐々に大きくなる。これは、一般的に、遠位先端に関連付けられている1つのサイズのシャフトを有する、典型的なトロカールとは異なる。
【0210】
図24A~
図24Cに戻って、全てのピン132a’~132c’が挿入されると、個々のチューブ110a’~110c’が、ラインC
1~C
6に沿って切断され得る。
図24Bに示されているように、ラインC
1~C
6は、ピン132a’~132c’に対してほぼ平行である。個々のチューブ110a’~110c’が切断されると、
図24Cに示されているように、ピン132a’~132c’が取り除かれてよく、これにより、内腔114a’が残る。糸通し器206は、内腔114a’と、本明細書で提供された様式で関連付けられ得る。
【0211】
本明細書で図示された製造方法は、先に記載された順序で行われる必要はない。例えば、
図23A~
図23C及び
図24A~
図24Cの方法に関して、ピン132a~132c及び132a’~132c’が取り除かれることができ、その後に、チューブ110a~110c及び110a’~110c’が切り離される。更に、チューブ110a~110c及び110a’~110c’は、製造プロセス中の任意の適切な時点で乾燥され得る。更に、このプロセスは、任意の数の形状又は構成を有する任意の数のブロックを作製するのに使用され得る。同形状又は構成としては、管形又は矩形、例えば、1つの組織増強ブロック110a及び110a’、2つの増強ブロック、又は4つ以上の増強ブロックが挙げられるが、これらに限定されない。また更に、様々な製造実施形態に関して提供された製造技術は、本開示を考慮して、他の組織増強構造体を製造するために改変され得る。非限定的な例として、テープ又はストリップ構成を有するブロックは、本開示を考慮して、形成されることにより、複数のストリップが、1つの材料片及び/又は、このような更なる厚み及び/又は更なる材料が必要とされる場合、互いの上部に積層された複数の材料片から形成され得る。この技術は、同様に、例えば、開示されたブロック110、3010、又は3110を形成し、ついで、それらを、その長さに沿って切断して、ワッシャを形成することにより、増強ワッシャを形成するのに採用され得る。
【0212】
組織増強構造体を製造する方法-くり抜き(coring)
ブロック、ストリップ、チューブ、バー、ワッシャ、パッチ、及びタックを含めて、開示された様々な組織増強構造体のいくつかの実施形態では、1つ以上の内腔又はカニューレが、構造体の本体中に形成されてもよい。ピンを使用することを含む、このような内腔を形成するためのいくつかの技術は上記で提供されている。このような内腔を形成するための別の例示的な技術は、
図26A~
図26Iに関して示され、記載されるように、くり抜きを含む。
【0213】
図26Aに示されているように、長さL
1と幅W
1とを有する構造体2110の予め切断された部分は、くり抜きのために準備され得る。ツール、例えば、コアリングチューブ2132は、構造体2110のくり抜きに使用され得る。コアリングチューブ2132は、近位端にハンドル2134と、遠位端に中空チューブ2136とを有し得る。コアリングチューブ2132の中空チューブ2134は、きれいな切断を行うために、尖った又はノコギリ歯状であり得る遠位端2138を有し得る。中空チューブ2134は、構造体のW
1より小さい直径d
1を有し得る。直径d
1は、所定の手術に望ましい縫合糸サイズに基づいて選択され得る。
【0214】
図26Bに示されているように、コアリングチューブ2132は、方向Rに回転しながら、方向Sに前進し得る。ツール2132の回転及び直線移動は、よりきれいな切断を提供し得る。しかしながら、このツールは、何ら回転せずに、方向Sにのみ押され得る。
図26Cに示されているように、コアリングチューブ2132の遠位端が構造体2110の長さ全体に沿って前進すると、同遠位端は、反対方向S’に取り除かれることにより、材料2110aの一部を取り除き、円形の内腔2114を残し得る。
図26Dに示されているように、複数の内腔2114a~2114cが、1つの構造体2110に形成され得る。あるいは、
図26Dの構造体は、内腔2114a~2114cに対して平行に走るストリップに切断されて、1つの内腔のみをそれぞれ含む複数の構造体を形成し得る。更に代替的な実施形態では、
図26E及び
図26Fに示されているように、少なくとも2つの穴2114d、2114eは、それらが構造体中のいくつかの位置2120で交差するように、構造体2110に形成され得る。
【0215】
図26G~
図26Iに図示された代替的なくり抜きの実施形態では、曲がった内腔2114’が、コアリングチューブ2132’を使用して形成され得る。
図26Gに示されているように、第1及び第2の概ね曲がった形状の縁部2110a’、2110b’と2つの直線縁部2110c’、2110d’とを有する、概ねU字型の構造体2110’が、くり抜きのために準備される。
図26A~
図26Cの実施形態と同様に、コアリングチューブ2132’は、縁部2110a’に沿って出入りする構造体を通して、内腔2114’をくり抜くように使用される。
図26Hにおいて、内腔2114’は、実質的に直線であるように示される。内腔2114’が形成されると、
図26Iに示されているように、構造体は、概ね矩形の構造体2110’が形成されるように、縁部2110a’~d’全てが実質的に直線となるように、伸ばされ又は他の方法で再配置され得る。
【0216】
組織増強構造体を製造する方法-トンネルステーション
更に代替的な製造方法において、構造体形成トンネルステーションが提供される。
図27Aに示されているように、構造体形成トンネルステーション3200は、組織増強構造体を保持するためのステージ3220と、構造体中に内腔を形成するための内腔形成ツール3224と、内腔形成ツール3224をステージ3220により保持されている構造体に対して配置するのに役立つガイド3228とを含み得る。
【0217】
例示的な実施形態では、構造体ステージ3220は、構造体が形成され得る材料片3230を支持し、ガイドし得る。構造体ステージ3220は、材料片3230をステージ3220を通して、固定された高さで維持するためのセルフセンタリング圧迫ステージであり得る。構造体ステージ3220のセルフセンタリングは、一般的な製造技術に従って達成され得る。構造体ステージ3220は、互いにY1、Y2に向かって、また、互いからY1、Y2に離れるように移動して、セルフセンタリングし、材料3230を圧迫することができる2つのステージ3220a、3220bを含み得る。あるいは、一方のステージ3220a、3220bのみが移動することができ、又は、ステージ3220a、3220bが互いに固定されていることができる。第1のステージ3220aは、第2のステージ3220bの近位面3219bに対向する遠位面3219aを有し得る。
図27B及び
図27Cに示されているように、遠位面3219a及び近位面3219bはそれぞれ、内腔形成ツール3222の挿入時に、材料3230を収容することができる半円レリーフ3221a、3221bを含み得る。構造体ステージ3220は、例えば、
図27Jに関して以下で記載されるように、材料3230を方向Zに前進させて、製造プロセスを自動化するための機構(図示せず)を含み得る。
【0218】
構造体形成トンネルステーション3200は、ガイド3228及び切断ツール3222を含み得る、内腔形成ツール3224を含み得る。図示された実施形態では、ガイド3228は、一般的には、内腔3227を含むことができ、構造体ステージ3220に対して、コネクタ3226a、3226bにより固定されて、ツール3224とステージ3220との相対的な向きが、治具ステーション3200により形成された構造体内の内腔の向きが構造体間で許容される製造誤差範囲内にあるように固定されたままであるのを確保し得る。あるいは、ガイド3228は、ステージ3220に、1つのコネクタのみ又は3つ以上のコネクタにより固定され得る。更に、内腔形成ツール3224は、構造体ステージ3220に物理的に結合して示されているが、代替的に、ツール3224とステージ3220とは、互いに対して固定される、例えば、同じ作業テーブルに取り付けられて、適切な内腔形成アライメントを確保する、別々の部品であり得る。
【0219】
切断ツール3222は、着脱可能及び置換え可能にガイド3228と関連付けられていることによるのを含めて、ツール3222がガイド3228内を自由に回転Rし、移動Xするように、ガイド3228内に配置され得る。いくつかの実施形態では、
図27Dに示されているように、ツール3222は、ニードルであり得る。あるいは、
図27Eに示されているように、切断ツールは、スピア、例えば、Oasis Medical of Glendora(California)から入手できるPremier Edge MVRナイフであり得る。スピアは、実質的に円形断面形状を有する近位ステム部分3222pと、遠位スピア部分3222dとを含み得る。遠位スピア部分は、複数の直線的で鋭い縁部3223を有し得る。複数の直線的で鋭い縁部3223は、このツールの近位ステム部分3222pからの滑らかな遷移を有し得る。
【0220】
更に代替的な実施形態では、切断ツール3222は、数多くの代替的な設計を有し得る。例えば、
図27Fに示されたトロカール、
図27Gに示されたドリルビット、
図27Hに示されたコアリングチューブ、又は
図27Iに示された直線的なブレードである。代替的なツールはそれぞれ、本開示全体を通して提供された一般的な製造技術に従って、構造体3210内に内腔を形成するのに使用され得る。
【0221】
例示的な使用方法では、複数のチューブ3210a~3210dは、一度に1つの長さの材料から又は必要に応じて複数の材料片から作製され得る。示されているように、材料片3230は、長さLと幅Wとを有し得る。材料の幅Wは、得られる構造体の長さであることができ、一方、長さLは、必要とされる構造体の数に基づいて決定されることができる。具体的には、各構造体3210a~3210dは、直径又は幅Dを有する。したがって、材料片は、必要とされる構造体3210の数にDを掛けたものに等しい長さLを有し得る。代替的に、長さLは、各構造体3210間の更なる空間を含み得る。同空間は、材料片3230のサイズを形成する際に、考慮され得る。本明細書で提供された実施形態のいずれかと同様に、材料の厚みは、様々な要因に応じて変動し得る。同要因としては、構造体と共に使用される他のコンポーネント及び組織のサイズ及び形状、患者の解剖学的構造、並びに行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0222】
材料片3230がステージ3220内を前進すると、
図27I~
図27Kに示されているように、内腔形成ツール3224は、切断ツール3222が材料片3230を通って第1の縁部3230aから第2の縁部3230bに挿入され得るように作動され得る。使用される切断ツール3222の種類に応じて、内腔形成ツール3224は、材料3230内へと、ツール3222を方向Xに移動させるか、又は、ツール3222を方向X及びRに回転させかつ移動させるかのいずれかを行い得る。切断ツール3222の作動は、アクチュエータにより自動的に行われ得る。あるいは、切断ツール3222は、ユーザにより手動で作動され得る。ついで、切断ツール3222が後退し得、内腔3214a~3214cが残る。ついで、材料3230は、方向Zに所定の距離を前進することができ、このプロセスは、更なる構造体を作製するのに繰り返されることができる。ついで、
図27K及び
図27Lに示されているように、個々の構造体3210a~3210dは、材料片3230から分離され得る。例えば、個々の構造体3210a~3210dは、パンチ3290a~3290d又は本開示全体を通して提供された他の切断機構により分離され得る。
【0223】
図27Mに示されているように、代替的な構造体形成治具ステーション3200’は、平行な内腔形成を提供し得る。
図27Mに示されているように、ステージ3220’は、より長い長さL’の材料3230’を収容し得る。例えば、
図27Mに図示されているように、ステージ3220’は、3つの構造体を作製するのに必要とされる長さを収容し得る。あるいは、ステージ3220’を、任意の数の構造体を収容するように拡張してもよい。ステージ3220’は、治具ステーション3200のステージと同様に、半円形レリーフを有し、セルフセンタリングし得る。
図27A~
図27Lの実施形態と同様に、ステーション3220’は、互いに平行に整列される複数の内腔形成ツール3224a’、3224b’、3224c’を含み得る。あるいは、複数のツール3224a’、3224b’、3224c’は、互いに任意の角度で配向され得る。内腔形成ツール3224a’、3224b’、3224c’は、各切断ツール3222a’、3222b’、3222c’がそれぞれ、ステージに向かって平行な方向に移動するように整列される。図示された実施形態では、3つの内腔形成ツール3224a’、3224b’、3224c’が示されているが、任意の数の内腔形成ツールが提供され得る。内腔形成ツール3224a’、3224b’、3224c’がそれぞれ、材料3230’に内腔3214a’、3214b’、3214c’を形成するために、作動し、後退した後に、材料3230’は、方向D’に前進し得る。個々の構造体3210a’、3210b’、3210c’は、本明細書で提供された技術に従って分離され得る。あるいは、複数の内腔を含む構造体が、以下で更に検討されたように、材料から切断されて、パッチ又は足場を形成し得る。
【0224】
組織増強構造体を製造する方法-一般的な方法
上記された実施形態は、特定の構成を有するブロック、例えば、ストリップ、チューブ、バー、及びワッシャを製造するのに関連するいくつかの具体的な技術を表わす。より一般的な技術、例えば、くり抜きも提供される。このような技術は、当業者により、本開示を考慮して、他の構成の組織増強構造体に使用するために採用され得る。また更に、本開示は、本開示から導き出すことができる本明細書で開示された様々な組織増強構造体を形成するのに使用され得る、更により一般的な技術及び方法を提供する。このセクションで提供される方法は、単独の方法として、互いに組み合わせて、及び/又は、本開示で提供された他の製造技術と共に使用され得る。
【0225】
いくつかの実施形態では、構造体は、相分離技術、凍結乾燥(lyophilization)、編み、織り、エレクトロスピニング、ラピッドプロトタイピング(例えば、3Dプリンティング)、又はこれらの組み合わせにより、完全に又は部分的に製造され得る。組織の成長を促進するために、穿孔が、中でも、熱的、電気的、及び/又は機械的手段を使用して、構造体中に形成され得る。例えば、穿孔は、レーザ又は鋭い物体、例えば、ニードル、パンチ、若しくはダイにより形成され得る。穿孔のサイズは、任意の適切なサイズであることができるが、好ましくは、穿孔は、組織の成長を可能にするサイズである。より好ましくは、穿孔サイズは、ほぼ約50マイクロメートル~約2000マイクロメートルの範囲、及び更により好ましくは、ほぼ約50マイクロメートル~約1000マイクロメートルの範囲にあり得る。
【0226】
いくつかの実施形態では、生体組織(同種移植片又は異種移植片組織が挙げられるが、これらに限定されない)は、場合により、様々な組織増強構造体内に包含され、2層の構造体を形成してもよい。様々な組織増強構造体内での生体組織の組み合わせは、得られた構造体の向上した生物学的性能及び機械的性能を提供し得る。
【0227】
例えば、
図28に示されているように、構造体2710(パッチ又は足場として示され、それらは、以下でより詳細に記載される)は、再構成コラーゲンマトリックス若しくは生分解性ポリマー2702又は組織増強構造体に使用するために本明細書で記載された他の材料のいずれか(例えば、自家移植片、異種移植片、粉砕コラーゲン片、ブタ真皮など)と、マトリックス2702の一方の側に当業者に公知の技術を使用して取り付けられた生体コンポーネント、例えば、細胞外マトリックス(ECM)2704と、を含み得る。再構成コラーゲンマトリックス又は生分解性ポリマーは、第1の層であることができ、又は、第1の層の一部であることができ、生体コンポーネントは、第2の層であることができ、又は、第2の層の一部であることができ、第1の層の厚み及び表面積は、第2の層の厚み及び表面積より大きく、示されているように、実質的に大きい。他の実施形態では、生体コンポーネント、例えば、ECM 2704は、マトリックス2702の両側に配置され、かつ/又は、マトリックス2702上にコーティングされ若しくは含浸され得る。当業者であれば、ECM 2704をマトリックス2702に結合させるのに使用され得る、数多くの異なる取付けの選択肢を、認識するであろう。同選択肢としては、のり付け及びステッチが挙げられるが、これらに限定されない。ECM 2704又は他の生体コンポーネントの包含は、増強構造体を構造体が使用される組織と一体化させるのに役立ち得る。例示的な一実施形態では、マトリックス2702は、ほぼ約1ミリメートル~約4ミリメートルの範囲にある厚みT
1を有することができ、ECM層は、ほぼ約80マイクロメートル~約3ミリメートルの範囲にある厚みを有することができる。
【0228】
いくつかの実施形態では、生体コンポーネントは、組織増強構造体上にコーティングされ、又は、組織増強構造体中に包含され得る。生体コンポーネントが組織増強構造体上にコーティングされる場合、生体コンポーネントは、好ましくは、構造体の少なくとも一部と関連付けられる。例えば、生体適合性構造体は、生体コンポーネントの懸濁液を足場にアンカーするための付着剤を含み得る。付着剤は、アンカー剤、架橋剤(即ち、化学的又は物理的)、及びこれらの組み合わせであり得る。好適なアンカー剤としては、例えば、ヒアルロン酸、フィブリンのり、フィブリン塊、コラーゲンゲル、アルギン酸ゲル、ゼラチン-レゾルシン-ホルマリン接着剤、ムラサキイガイ系接着剤、ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)系接着剤、キトサン、トランスグルタミナーゼ、ポリ(アミノ酸)系接着剤、セルロース系接着剤、多糖類系接着剤、合成アクリレート系接着剤、多血小板血漿(PRP)、乏血小板血漿(PPP)、PRP塊、PPP塊、マトリゲル、モノステアロイルグリセロール コ-スクシネート(MGSA)、モノステアロイルグリセロールコ-スクシネート/ポリエチレングリコール(MGSA/PEG)コポリマー、ラミニン、エラスチン、プロテオグリカン、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0229】
架橋は、物理的手段及び化学剤を使用して達成され得る。架橋に使用される化学剤の例としては、デヒドロサーマル(DHT)処理、ジビニルスルホン(DVS)、ポリエチレングリコールジビニルスルホン(VS-PEG-VS)、ヒドロキシエチルメタクリレートジビニルスルホン(HEMA-DIS-HEMA)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、アルデヒド、イソシアネート、アルキル及びアリールハロゲン化物、イミドエステル、N-置換マレイミド、アシル化化合物、カルボジイミド、ヘキサメチレンジイソシアネート、1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸(EDC又はEDAC)、ヒドロキシクロライド、N-ヒドロキシスクシンイミド、光(例えば、青色光及びUV光)、pH、温度、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0230】
生体コンポーネントは、傷害部位において影響を受けた組織の治癒及び/又は再生を促進する、1つ以上のエフェクタであり得る。構造体の生体コンポーネントとしては、異種又は自家の成長因子、タンパク質、マトリックスタンパク質、ペプチド、抗体、抗生物質、抗炎症剤、治療剤、化学走性剤(chemotactic agent)、抗微生物剤、抗生物質、抗炎症剤、接着形成を最少化又は防止する化合物、免疫系を抑制する化合物又は作用剤、細胞接着メディエータ、生体活性リガンド、インテグリン結合配列、酵素、サイトカイン、グリコサミノグリカン、多糖類、ウイルス、ウイルス粒子、核酸、鎮痛剤、細胞、血小板、多血小板血漿(PRP)、粉砕細胞外粒子、粉砕組織フラグメント、ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、生体活性ガラス、二相性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、他の骨及び/又は組織成長促進物質、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0231】
本明細書で記載されるように、いくつかの実施形態では、組織増強構造体は、それを通って伸びる1つ以上の貫通孔又は穴を有し得る。貫通孔は、異なる断面形状、例えば、円形、楕円形、正方形、矩形などを有するスリット又は通路であり得る。貫通孔は、機械的、熱的、又は電気的ツールを含めて、材料を除去し得る任意のツールにより形成され得る。あるいは、貫通孔は、2つの表面の分離をもたらす任意のツールにより形成され得るスリットであり得る。
【0232】
いくつかの実施形態では、構造体は、2つ以上の層から作製され得る。構造体の層は、同じ材料又は異なる材料から作製され得る。層は、縫合糸、機械的、電気的、及び化学的締結技術を使用して、互いに結合され又は融合され得る。結合又は融合の例としては、例えば、組織溶接、ステープル、リベット、組織タック、ダーツ、ネジ、ピン、アロー、架橋、真空圧着、圧迫、脱水と組み合わせた圧迫、脱水と組み合わせた真空圧着、若しくは生体接着剤、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。この文脈における脱水は、例えば、フリーズドライ(即ち、凍結乾燥)を含み得る。生体接着剤としては、例えば、フィブリンのり、フィブリン塊、コラーゲンゲル、アルギン酸ゲル、ゼラチン-レゾルシン-ホルマリン接着剤、ムラサキイガイ系接着剤、ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)系接着剤、キトサン、トランスグルタミナーゼ、ポリ(アミノ酸)系接着剤、セルロース系接着剤、多糖類系接着剤、合成アクリレート系接着剤、多血小板血漿(PRP)、乏血小板血漿(PPP)、PPP塊、マトリゲル、モノステアロイルグリセロール コ-スクシネート(MGSA)、モノステアロイルグリセロール コ-スクシネート/ポリエチレングリコール(MGSA/PEG)コポリマー、ラミニン、エラスチン、ヒアルロン酸、プロテオグリカン、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0233】
いくつかの実施形態では、構造体は、補強材料を含み得る。補強材料は、例えば、織布、ニット、ラップニット(即ち、レース様)、不織布、及び網組構造体を有する、任意の吸収性又は非吸収性テキスタイルから構成され得る。一実施形態において、補強材料は、メッシュ様構造体を有し得る。材料の機械的特性は、材料の密度又はテクスチャ、材料の編み又は織りの種類、材料の厚みを変化させることにより、又は、材料中に粒子を埋め込むことにより変化し得る。
【0234】
補強材料の機械的特性は、更に、繊維が互いに物理的に結合するか、又は別の作用剤、例えば、接着剤又はポリマーなどと物理的に結合する構造体内の部位を形成することにより変化し得る。補強コンポーネントの作製に使用される繊維は、例えば、単繊維、糸、より糸、網組、又は繊維束であり得る。これらの繊維は、以下に限定されるわけではないが、生体吸収性材料、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノン(PDO)、トリメチレンカーボネート(TMC)、これらのコポリマー又はブレンドなどの、任意の生体適合性材料から作製され得る。また、繊維は、シルク及びコラーゲン系材料を含めた、天然ポリマーに基づく任意の生体適合性材料からも作製され得る。あるいは、繊維は、非吸収性である任意の生体適合性繊維、例えば、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリウレタン、及びポリ(ビニルアルコール)からも作製され得る。
【0235】
別の実施形態では、構造体は、ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、バイオガラス、二相性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、及び他の骨促進材料を、構造体全体に包含し、又は、骨の再生が望まれる構造体の部分に局在させ得る。バイオガラスは、リン酸カルシウムガラスを含有するケイ酸塩又は吸収時間を制御するために様々な量の固体粒子が加えられたリン酸カルシウムガラスである。バイオガラスは、ガラス繊維に加工され、補強材料として使用され得る、材料の一例である。また、バイオガラスは、粉末状でも構造体内に包含され得る。加えられ得る適切な固体粒子としては、鉄、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0236】
いくつかの実施形態では、生体適合性構造体及び補強材料は両方とも、組織の成長を可能とする孔又は穿孔を有する、薄い穿孔含有エラストマーシートから形成されてもよい。シートは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、及びポリジオキサノン(PDO)のブレンド又はコポリマーから作製され得る。
【0237】
構造体は、連続気泡孔構造を有する孔を有するポリマー発泡体コンポーネントから、部分的に又は完全に形成され得る。孔サイズは、変化し得るが、好ましくは、孔は、組織の成長を可能とするサイズである。いくつかの実施形態では、孔サイズは、ほぼ約40マイクロメートル~約1000マイクロメートルの範囲にあり、他の実施形態では、孔サイズは、ほぼ約50マイクロメートル~約500マイクロメートルの範囲にある。ポリマー発泡体コンポーネントは、天然又は/及び合成の材料、例えば、再構成コラーゲンから作製され得る。ポリマー発泡体は、非架橋性又は架橋性であり得る。ポリマー発泡体コンポーネントは、場合により、補強コンポーネント、例えば、上記されたテキスタイルなどを含有し得る。いくつかの実施形態では、ポリマー発泡体コンポーネントは、発泡体コンポーネントの孔が補強コンポーネントのメッシュに入り込み、補強コンポーネントと連結するように、補強コンポーネントと一体化され得る補強コンポーネントを含有し得る。
【0238】
いくつかの実施形態では、組織インプラントのポリマー発泡体コンポーネントは、当業者に周知の様々な技術により、発泡体として形成されてもよい。例えば、ポリマー開始材料は、抽出可能な材料(例えば、塩、糖、又は類似の適切な材料)を含んで、凍結乾燥、超臨界溶媒発泡(超臨界溶媒発泡は、少なくとも欧州特許出願公開第464,163号に記載されており、同文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、ガスインジェクション押出し、ガスインジェクション成型又はキャスティングにより発泡されてもよい。
【0239】
本開示の操作された組織修復インプラント装置のポリマー発泡体コンポーネントは、ポリマー-溶媒相分離技術、例えば、凍結乾燥により作製されてもよい。ポリマー溶液は、2つの相に、4つの技術:(a)熱誘引ゲル化/結晶化;(b)溶媒及びポリマー相の非溶媒誘引分離;(c)化学誘起相分離、及び(b)熱誘引スピノーダル分解のいずれか1つにより分離され得る。ポリマー溶液は、制御された様式で、2つの別個の相又は2つの双連続(bi-continuous)相のいずれかに分離され得る。溶媒相のその後の除去により、通常、バルクポリマーより小さい密度及びマイクロメーター範囲の孔を有する多孔性構造体が残される。溶媒相についての更なる情報は、Microcellular Forms Via Phase Separation,J.Vac.Sci.Technol.,A.T.Young,Vol.4(3),May/June 1986に提供される。同文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0240】
これらの発泡体の調製に含まれる工程としては、例えば、凍結乾燥されるポリマーに適した溶媒を選択することと、均質な溶液を調製することとが挙げられる。次に、ポリマー溶液が、凍結及び真空乾燥サイクルに供され得る。凍結工程において、相は、ポリマー溶液を分離することができ、真空乾燥工程では、溶媒を昇華及び/又は乾燥により除去し、多孔性ポリマー構造体又は相互接続された連続気泡多孔性発泡体を残すことができる。発泡体コンポーネントの調製に使用され得る適切な溶媒としては、例えば、ギ酸、ギ酸エチル、酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、環状エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、フッ化ジメチレン(DMF)、及びポリジオキサノン(PDO))、アセトン、C2~C5アルコールのアセテート(例えば、酢酸エチル及び酢酸t-ブチル)、グリム(例えば、モノグリム、エチルグリム、ジグリム、エチルジグリム、トリグリム、ブチルジグリム、及びテトラグリム)、メチルエチルケトン、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ラクトン(例えば、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン)、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン-2-オン(エチレンカーボネート)、ジメチルカーボネート、ベンゼン、トルエン、ベンジルアルコール、p-キシレン、ナフタレン、テトラヒドロフラン、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、1,2-ジクロロメタン、モルホリン、ジメチルスルホキシド、ヘキサフルオロアセトンセスキ水和物(HFAS)、アニソール、及びこれらの混合物を挙げることができる。これらの溶媒の中でも、1つの例示的な溶媒は、1,4-ジオキサンである。溶媒中のポリマーの均質な溶液は、標準的な技術を使用して調製される。
【0241】
適用可能なポリマー濃度又は利用され得る溶媒量は、各系について変動し得る。一実施形態において、溶媒中のポリマー量は、約0.5重量%~約90重量%で変動し得る。別の実施形態では、好ましくは、溶媒中のポリマー量は、約0.5重量%~約30重量%で変動し得る。溶液中のポリマー量は、所定の溶媒におけるポリマーの溶解性及び発泡体に必要とされる最終的な特性などの要因に応じて変動し得る。
【0242】
ポリマー発泡体を含む構造体の実施形態では、固体が、得られたポリマー発泡体表面の組成を改変するために、ポリマー-溶媒系に加えられてもよい。加えられた粒子が溶媒から底面に沈殿すると、発泡したポリマー材料ではない、加えられた固体の組成を有する領域が形成されるであろう。あるいは、加えられた固体は、得られた組織増強構造体の所望の領域(即ち、上部、側部、又は底部付近)により濃縮されるため、全てのこのような領域において組成変化が生じる場合がある。例えば、選択された位置での固体濃度は、磁性材料で作製された型に入れられた溶液に金属固体を加えること(又はその逆)により達成され得る。
【0243】
様々な種類の固体が、ポリマー-溶媒系に加えられ得る。一実施形態において、固体は、ポリマー又は溶媒と反応しないであろう種類のものである。加えられた固体は、約2ミリメートル未満の平均径を有し得る。他の実施形態では、加えられた固体は、約50マイクロメートル~約1000マイクロメートルの平均径を有し得る。固体は、当該固体及びポリマー-溶媒混合物の全容量(この全体積パーセントは100体積パーセントに等しい)の約1体積パーセント~約50体積パーセントを構成するであろうような量で存在し得る。
【0244】
例示的な固体としては、例えば、骨修復用の脱灰骨粒子、リン酸カルシウム粒子、バイオガラス粉末、硫酸カルシウム、又は炭酸カルシウム粉末、孔形成用の浸出可能な固体、及び生体吸収性天然ポリマー、生体吸収性合成ポリマー、非生体吸収性材料、粉砕細胞外粒子、粉砕組織フラグメント、又は溶媒系に可溶性ではない任意の生体適合性材料の粒子が挙げられる。
【0245】
例示的な浸出性固体としては、例えば、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなど)、生体適合性の単糖及び二糖(例えば、グルコース、フルクトース、デキストロース、マルトース、ラクトース、及びスクロース)、多糖(例えば、デンプン、アルギネート、キトサン)、水溶性タンパク質(例えば、ゼラチン及びアガロース)などの無毒性の浸出可能な材料が挙げられる。浸出可能な材料は、浸出可能な材料を含む発泡体を、粒子のほとんど全部を浸出させるのに十分な時間で粒子を溶解可能な溶媒中に浸漬することにより除去され得る。溶媒は、発泡体を溶解又は不利益に変化させないように選択され得る。好ましい一実施形態は、抽出溶媒として、水、例えば、蒸留-脱イオン水を含み得る。このようなプロセスは、米国特許第5,514,378号に更に記載されている。同文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。好ましくは、発泡体の加速した吸収が望ましい場合を除いて、発泡体の加水分解を最小限にするために低温及び/又は真空で浸出プロセスを完了した後に、発泡体を乾燥する。
【0246】
非生体吸収性材料としては、例えば、生体不活性セラミック粒子(例えば、アルミナ、ジルコニア、及び硫酸カルシウム粒子)、ポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリビニルアセテート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、シリコーン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、天然ポリマー(例えば、セルロース粒子、キチン、及びケラチン)、及びフッ化ポリマー及びコポリマー(例えば、フッ化物、ポリテトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン)を挙げることができる。一実施形態において、組織インプラントを放射線不透明にするであろう固体(例えば、硫酸バリウム)を加えることができる。加えられ得るそれらの固体としては、組織再生又は治癒を促進するであろうもの及び緩衝材、補強材料、又は空隙率修飾剤として作用するものも挙げられる。
【0247】
上記検討されたように、ポリマー発泡体コンポーネントは、補強コンポーネントを含有し得る。構造体は、適切なポリマー溶液を、型及び本開示の補強要素を含む型セットアップ内に、射出、注入、又は他の方法で配置することにより作製され得る。型セットアップは、適切な浴又は冷蔵棚で冷却され、ついで、凍結乾燥されることにより、補強構造体を提供し得る。
【0248】
ポリマー発泡体を利用する実施形態では、本開示全体を通して提供された1つ以上の生体コンポーネントは、凍結乾燥工程の前後のいずれかで加えられ得る。ポリマー発泡体コンポーネントを形成する過程において、ポリマー-溶媒系の凍結速度を制御するのが有益であり得る。凍結工程中に形成される孔の形態の種類は、溶液熱力学、凍結速度、冷却される温度、溶液濃度、及び均質又は不均質核生成などの要因の関数である。ポリマー繊維の配向は、孔の配向を制御することによって調節され得る。ポリマー発泡体コンポーネントにおける孔の配向は、例えば、凍結サイクル中に導入される温度勾配を制御することにより、カスタマイズされ得る。繊維の配向を制御することにより、繊維が配向される方向における機械的特性に改善がもたらされ得る。
【0249】
ポリマー発泡体を使用する構造体に必要とされる一般的な加工工程には、ポリマー発泡体を作製するための適切な材料の選択が含まれ得る。加工工程は、更に、使用される場合には、補強コンポーネントの材料の選択を含み得る。メッシュ補強材料が使用される場合、適切なメッシュ密度が選択されるべきである。更に、補強材料は、型内で適切に整列されるべきであり、ポリマー溶液は、適切な速度で、好ましくは、気泡の形成を避けるのに適した角度で傾斜した型に加えられるべきであり、ポリマー溶液は凍結乾燥される必要がある。
【0250】
ポリマー発泡体中にメッシュ補強材料を利用する実施形態では、例えば、補強メッシュは、特定の密度のものが選択されるべきである。即ち、メッシュ材料中の開口は、発泡材料及び連続気泡及びその気泡壁がメッシュ開口に入り込むように、発泡体と補強メッシュとの間の適切な結合を妨げるほど小さくあるべきではない。適切な結合なしには、層化構造体の一体性が損なわれるおそれがあり、構造の脆弱性及び取扱いの困難性が残る。メッシュ密度は、構造体の機械的強度を決定し得る。メッシュ密度は、組織修復に望まれる使用に従って変更し得る。加えて、メッシュに使用される織りの種類は、構造体の機械的強度の方向性及び補強材料の機械的特性、例えば、構造体の弾性、剛性、破断強度、縫合糸保持強度、及び引っ張り強度を決定し得る。非限定的な例として、本開示の発泡系生体適合性構造体におけるメッシュ補強材料は、一方向に剛性であり、別方向には弾性でもあるように設計されることができ、又は代替的に、メッシュ補強材料は、等方性に作製されることができる。
【0251】
ポリマー発泡体中にメッシュ補強材料を利用するような実施形態における補強発泡体の凍結乾燥中に、複数のパラメータ及び手法が、所望の一体性及び機械的特性を有するインプラントを製造するのに有用であり得る。例えば、補強材料が使用される場合、型に置かれた際に、補強材料を実質的に平坦に維持するのが有益であり得る。適切な度合いの平坦さを確保するために、補強材(例えば、メッシュ)は、それを型内に置く前に、加熱プレスを使用して、平坦にプレスされ得る。更に、補強構造体が等方性でない場合には、構造体の方向性を示すようにマーキングすることにより、この異方性を示すことが望ましい場合がある。このマーキングは、1つ以上のインジケータ、例えば、染色マーキング又は染色糸を、織布補強材中に埋め込むことにより達成され得る。インジケータの方向又は配向は、例えば、外科医に対して、物理的特性が優れたインプラントの次元を示し得る。
【0252】
上記されたポリマー発泡体を利用する実施形態では、凍結乾燥前にポリマー溶液が型に加えられる様式は、適切な機械的一体性を有する組織インプラントの作製に貢献するのに役立ち得る。メッシュ補強材料が使用されるであろうこと、及び、2つの薄い(例えば、ほぼ0.75ミリメートル)シム間に配置されるであろうことを仮定すると、メッシュは、型に所望の深さで、実質的に平坦な配向で配置され得る。ポリマー溶液は、気泡を発泡構造体の層間から逃がすことができる方法で注入され得る。型は、所望の角度で傾けられることができ、注入は、気泡形成を最も防止するように制御された速度で達成される。数多くの変数により、傾斜角及び注入速度が制御されるであろう。例えば、型は、気泡形成を避けるために、約1度より大きい角度で傾斜されるべきである。加えて、注入速度は、型に捕捉されずに、任意の気泡が型から逃げることができるのに十分遅くあるべきである。
【0253】
ポリマー発泡体中にメッシュ補強材料を利用するような実施形態では、メッシュ開口の密度は、所望の機械的強度を有する構造体の形成に重要な要因であり得る。例えば、低密度又は気泡を有するニットメッシュ材料が使用され得る。このような材料の一例は、商品名VICRYLで販売されている、90:10グリコリドとラクチドとのコポリマーである。VICRYLは、Ethicon,Inc.(Somerville、New Jersey)から入手できる。1つの例示的な低密度で気泡を有するニットメッシュは、Ethicon,Inc.(Somerville、New Jersey)からも入手できる、編まれたVICRYL VKM-Mである。他の材料としては、ポリジオキサノン及び95:5ラクチドとグリコリドとのコポリマーブレンドを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0254】
ポリマー発泡体を利用する実施形態では、硬化前に、ポリマー発泡溶液/スラリーにロッドを配置することにより、貫通口を形成することができる。ポリマー発泡体が形成された後に、ロッドは取り除かれ得る。例えば、ポリマー発泡体が凍結乾燥により作製される場合、ロッドは、凍結及び真空乾燥サイクル後に取り除かれる。ロッドは、任意の所望の形状を有し得る。
【0255】
ポリマー発泡体コンポーネントは、場合により、上記検討された材料から形成された1つ以上の層を含有し得る。一実施形態において、発泡体コンポーネントは、材料中に孔を形成することにより材料と一体化されることができ、ポリマー発泡体コンポーネントは、材料に形成された孔に入り込み、材料と連結する。別の実施形態では、孔は、2つの層の材料に形成され、この2つの層同士は、孔を最も良好に整列させるように配置される。2つの層の組み合わせは、ポリマー溶液又はスラリーに入れられることができ、ポリマー発泡体は、本明細書で提供され又は当業者に公知の方法のうちの1つにより形成されることができる。
【0256】
いくつかの実施形態では、構造体は、修復部位に有利に加圧を提供し得る膨張性媒体から形成され得る。このような構造体2910の1つの非限定的な例が、
図29Aに示される。同図において、構造体は、(以下でより詳細に記載される)パッチ又は足場である。例えば、構造体2910は、2つの層2902a、2902b間に囲まれた又は挟まれたコア2904を有する、織布又は網組メッシュから形成され得る。2つの層2902a、2902bは、ジャケットと呼ばれ得る。コア2904は、膨張可能な様々な材料、例えば、塩を負荷されたシリコーン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミドコポリマー、ポリウレタン、並びに他の吸収性ポリマー及びヒドロゲルから作製されることができ、一方、ジャケット2902a、2902bは、コアが使用中に膨張した際に、ジャケットに対して圧迫し得るように、より硬いことができる。ジャケット2902a、2909bを形成するのに使用され得る非限定的で例示的な材料としては、布地又はフィラメント、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ナイロン、ポリウレタン、及びシルクが挙げられる。ジャケット2902a、2902bを形成するのに使用され得る更に非限定的で例示的な材料としては、生体吸収性材料、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノン(PDO)、トリメチレンカーボネート(TMC)、これらのコポリマー又はブレンドが挙げられる。構造体と共に使用され得るいくつかの材料としては、米国特許第8,870,915号、発明の名称「Joining Element」に開示され、提供されたものが挙げられるが、これに限定されない。同文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図29Aに示されているように、構造体2910は、長さL
Pと厚みT
Pとを有することができ、構造体を1つ以上の修復部位に固定するための少なくとも1つの縫合リム2911を含むことができる。図示された例では、構造体2910は、それと関連付けられている4つの縫合リム2911、2912、2913、2914を含む。これらのリムは、同じか又は異なる縫合糸由来のものであってよい。
【0257】
使用中に、
図29Bに示されているように、構造体2910は、修復部位2938a、2938b上に配置されることができ、縫合リム2911、2912、2913、2914は、各アンカー2961、2962、2963、2964内に固定されることができる。他の開示と同様に、修復部位2938a、2938bに関連する修復は、本明細書で提供され又は当業者に公知の任意の種類の修復であり得る。構造体2910は、修復2938a、2938bの中間位置に、縫合糸、ステープル、又は、骨に対して組織を固定するのに使用される他の装置及びコンポーネントにより更に固定され得る。示されているように、縫合糸2940a~2940cは、固定を提供する。構造体2910は、例えば、取付け後に、シリコーン及び塩充填コアが流体を吸収して、構造体を、構造体2910の構成に基づいて、少なくとも1つの次元において膨張させ、少なくとも1つの他の次元において縮める(contract)ように、水溶液に曝され得る。図示された例では、膨張は、構造体2910の厚みT
Pを大きくし、一方で、長さL
Pにわたって縮まり、短くなる。構造体2910が取り付けられた後に、長さL
Pが短くなることは、軟組織2930に対する圧迫力を大きくし、少なくとも部分的に、構造体2910の固定のための限られた空間、構造体2910の構成、及び取付け部位の表面形状のために、組織をより均一に骨2950と接触させることができる。当業者であれば、膨張可能であり、層又はジャケット間に挟まれたコアを有する構造体の構成が、本明細書で提供された他の構造体構成と共に使用され得ることを、修復部位に加えられた圧迫力を提供するために、パッチ又は足場を必要としないものを含めて、認識するであろう。組織増強パッチ及び足場の更なる検討が、以下で提供される。
【0258】
特に断らない限り、形成材料について開示されたいずれかの材料及びいずれかの技術が、本明細書で提供された構造体のいずれかと共に使用され得る。これには、材料の任意の組み合わせが含まれる。同様に、開示された製造技術は、一般的には、本明細書で提供された様々な構造体を形成するのに使用され又は採用され得る。様々な組織増強構造体のための材料及び製造技術の使用は、本開示の趣旨の範囲内である。
【0259】
組織増強構造体-組織増強パッチ
組織増強構造体は、縫合糸の1つ以上のリムと関連付けられ、1つ以上のリムのフットプリントを大きくして、本開示全体で明示した他の利益、例えば、他の方法で傷付けられた組織の治癒を促進すること、並びに/又は、他の方法で傷付けられ又は変性した組織及び/若しくは腱に嵩を提供することの中でも、力が分散される更なる表面積を提供し得るパッチ又は足場の形状もとり得る。パッチは、縫合糸上に配置されているか、又は、手術用縫合糸の上部にただ乗っているのではなく、縫合糸に取り付けられ若しくは結合されていてもよい。更に、本パッチは、本明細書で記載されるように、縫合糸通し器を使用して、手術部位に送達され、縫合糸上に糸通しされることにより、パッチの各縁部の広範な縫合を必要としないことができる。数多くの異なる技術が、図示されたパッチを縫合糸と関連付けるのに使用され得る。同技術としては、縫合糸をパッチに糸通しすること、及び/又は、縫合糸を足場の層間に配置することが挙げられる。ついで、パッチが、記載されるように、手術部位に近接して配置され得る。足場又はパッチを製造する方法並びに様々な足場及びパッチを取り付ける方法も、以下で提供される。本明細書で開示されたシステム及び方法により、張られた縫合糸による組織への傷害を防止するための、素早く、容易でかつ入手可能な技術が可能となる。上記された他の構造体と同様に、外科医は、パッチをオンデマンド様式で適用して、修復のために所望の縫合糸フットプリントを形成し得る。当業者であれば、組織増強ブロック、例えば、非限定的な例として、他の構造体の中でも、組織増強ブロック10、110、3010、3110、310、410を形成するのに使用される材料に関して本明細書で提供された開示は、以下で検討されるパッチに適用され得ることを、認識するであろう。
【0260】
パッチ又は足場構成を有する組織増強構造体2210の例示的な一実施形態が、
図30A及び
図30Bに提供される。示されているように、組織増強パッチ2210は、矩形状の本体を有し、縫合リム2212a、2212b上に配置され、又は、これらと他の方法で関連付けられ得る。図示された実施形態では、パッチ2210は、本体中に形成され、本体を通って、最近位端2210pから最遠位端2210dに伸びる、穴又は内腔2214a、2214bを含む。穴2214a、2214bは、例えば、縫合リム2212a、2212bを、パッチ2210及びリム2212a、2212bが互いに関連付けられ得るように受容するのに使用され得る。
図30Bに示されているように、パッチ2210には、縫合糸通し器2206a、2206bが予め通され得る。糸通し器2206a、2206bは、糸通し器206’と類似する性質のものであり、糸通し器206に類似する様式又は当業者に公知の様式及び/若しくは本開示から導き出すことができる様式でも構成され得る。示されているように、パッチ2210は、幅W
Pと実質的に等しい長さL
Pを有し、厚みT
Pも有する。更に、厚みT
Pは、組織増強パッチ2210が関連付けられるフィラメント又は縫合糸、例えば、縫合リム2212aの直径より大きくあり得る。
【0261】
当業者であれば、組織増強パッチ2210の長さLP、幅WP、及び厚みTP、並びに、穴2214a、2214bの直径の寸法は、様々な要因により決まり得ることを、認識するであろう。同要因としては、組織増強パッチ2210と関連付けられるフィラメントのサイズ、患者の解剖学的構造、及び行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。組織増強パッチ2210についてのいくつかの例示的で非限定的な寸法は、本開示を理解するのに有用であり得る。
【0262】
いくつかの実施形態では、長さLPは、組織に形成されるステッチと組織を固定するのに役立つように使用される骨アンカーとの間に伸びる組織の長さの、ほとんど全部に対するかなりの部分を覆い得る。いくつかの実施形態では、長さLP及び幅WPは、ほぼ約10ミリメートル~約50ミリメートルの範囲にあることができ、厚みTPは、ほぼ約0.5ミリメートル~約5ミリメートルの範囲にあることができる。穴2214a、2214bの直径のサイズも、様々な要因により決まり得る。同要因としては、穴2214a、2214bを通過するリムのサイズが挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、直径は、ほぼ約0.5ミリメートル~約3ミリメートルの範囲にあり得る。
【0263】
当業者に公知の数多くの技術が、パッチ2210を縫合リム2212a、2212bと関連付けるのに使用され得る。縫合リム2212a、2212bは、パッチ2210の本体を通過することなく、即ち、穴2214a、2214bを画定する側壁を通過することなく、パッチ2210の最近位端2210pから最遠位端2210dへ糸通しされ得るか、又は通過させられ得る。結果として、パッチ2210は、リム2212a、2212bの長さに沿って、妨げられることなく又は制限されることなく自由に通過し得る。他の実施形態では、縫合リム2212a、2212bは、1回以上、例えば、
図1Bに図示されたストリップ又はテープ10の実施形態と同様に、本体を通過して、パッチ2210の位置を、リム2212a、2212bに対して更に固定し得る。更に他の実施形態では、リム2212a、2212bは、パッチ2210を通って、最近位端2210pから最遠位端2210dに、例えば、穴2214a、2214bが提供されない場合、本体を通過するが、本体を1回のみ出入りすることにより通過し得る。当然、リム2212a、2212bは、最近位端2210p又は最遠位端2210dへの経路全てに伸びる必要はないが、代わりに、その表面積にわたって、いくつかの他の位置でパッチ2210を出入りし得る。当業者であれば、本開示の趣旨を逸脱することなく、パッチ2210をリム2212a、2212bと関連付けることができる、様々な他の様式を、認識するであろう。
【0264】
組織増強パッチ2210は、手術部位又は体外のいずれかにおいて、手作業で、縫合リム2212a、2212b上に糸通しされ得る。あるいは、
図30Bに示されているように、糸通し器2206a、2206bは、縫合リム2212a、2212bをパッチ2210と関連付けるように動作し得る。この場合、動作は、上記された糸通し器206又は糸通し器206’のいずれかに類似するため、近位ハンドル部分2208a、2208bと、中間細長部分2207a、2207bと、遠位縫合糸受容端2209a、2209bとを含む。したがって、組織増強パッチ2210は、内腔2214a、2214bを通って、中間細長部分2207a、2207bを通過することにより示されているように、中間細長部分2207a、2207bと関連付けられることができ、リム2212a、2212bは、遠位縫合糸受容端2209a、2209bに結合することができる。近位ハンドル部分2208a、2208bは把持され、組織増強パッチ2210から離れるように引っ張られて、リム2212a、2212bをパッチ2210に向かってかつパッチ2210内に前進させ得る。パッチ2210がリム2212a、2212bと上手く関連付けられた後に、糸通し器2206a、2206bは、リム2212a、2212b及び組織増強パッチ2210との関連付けが解除され得、廃棄され又は再利用されるかのいずれかをすることができる。
【0265】
先に記載された組織増強ストリップと同様に、組織増強パッチ2210を縫合リム2212a、2212bと関連付けることにより、縫合リム2212a、2212bのフットプリントが大きくなり、縫合リム2212a、2212bにより組織に加えられる力を、より大きい量の表面積、即ち、パッチ2210の表面積にわたって分散させることができる。組織増強パッチ2210の大きくなった分散された力により、軟組織上での低下した圧力ピークがもたらされ得る。軟組織が傷害又は加齢により変性されてしまった箇所において、大きくなった組織表面積範囲及び圧力の低下により、組織の剥脱のより少ない可能性がもたらされ得る。更に、組織増強パッチ2210のより大きい表面積は、修復にわたって生じる新たな組織に対してより大きい足場を提供して、修復部位を更に強化し得る。パッチ2210により提供されるより広い組織の被覆により、何らかの方法で傷付いた組織の治癒が向上され、並びに/又は、何らかの方法傷付き若しくは変性した組織及び/若しくは腱に嵩を提供することができる。
【0266】
組織増強構造体-組織増強パッチを製造する方法
組織増強パッチ2210は、数多くの異なる技術を使用して製造され得る。同技術のいくつかは、組織増強ブロック10、110に関して先に上記検討されている。
図30C~
図30Eにより図示された組織増強パッチを作製する例示的な一実施形態では、パッチ2210を作製するのに使用される材料は、当業者に公知の技術を使用して収集され又は他の方法で取得され得る。ついで、この材料は、上記された技術、例えば、ストリップ10に関して記載されたもの、又は、本開示を考慮して当業者に公知の技術のいずれかを使用して成形され得る。長さL
P、幅2W
P、及び厚み1/2T
Pを有する材料片が収集され得る。幅2W
Pは、パッチ2210の得られる幅W
Pの二倍であることができ、厚み1/2T
Pは、得られるパッチ2210の幅の半分であることができる。
図30Dに示されているように、材料片2220は、第1の端部2220aと第2の端部2220bとを有することができ、それらの間に伸びる幅2W
Pを有する。あるいは、材料片2220は、任意の形状を有し得る。
【0267】
材料片2220が切断されると、2つのピン2222a、2222bは、材料の同じ側に、第1及び第2の端部2220a、2220bそれぞれから、幅2W
Pのほぼ1/4離れて配置され得る。2つの端部2220a、2220bは、各ピン2222a、2222b上に折り畳まれ、互いに近接し、その後に、互いに取り付けられることにより、パッチ2210を形成し得る。
図30C及び
図30Dに示されているように、4つの列のステッチ2224a~2224dは、それらが互いに実質的に平行になるように、折り畳まれたパッチにステッチされ得る。更に、第1及び第4のステッチ2224a、2224dは、ピン2222a、2222bそれぞれに実質的に平行にかつ、近接して配置され得る。また更に、ステッチ2224a、2224dは、ピン2222a、2222bによる開口を保持された2つの内腔2214a、2214bを形成し得る。ステッチが完了した後に、
図30Eに示されているように、ピン2222a、2222bが取り除かれることができ、パッチ2210が残る。あるいは、パッチ2210を製造するのに、ピンは必要ない。第2及び第3のステッチ2224b、2224cは、2つの端部2220a、2220bに対して実質的に平行にかつ、近接して位置し得る。更に代替的に、ステッチに代えて、材料2220自体は、のり、コラーゲンボンド、ステープル、光硬化、又は、当業者に公知の軟組織を軟組織に取り付けるための他の技術、及び本開示全体を通して提供された技術により固定され得る。パッチ2210に予め配置された糸通し器を含む実施形態では、糸通し器2206a、2206bは、内腔2214a、2214b内に挿入されることができ、その後に、2つの端部2220a、2220bが取り付けられる。又は、2つの端部2220a、2220bが取り付けられた後に、糸通し器2206a、2206bは、内腔2214a、2214b内に挿入される。本明細書で提供された他の構造体と同様に、パッチ2220は、製造プロセス中の任意の適切な時点で、梱包のために乾燥され得る。
【0268】
パッチ2210を製造する代替的な方法は、長さL
P、幅W
P、及び厚みT
Pを有する、収集され得る材料片を収集することを含み得る。材料片2220は、それらの間に伸びる、幅W
Pを有する、第1の端部2220a及び第2の端部2220bを有し得る。第1のピン2222aは、材料2220内に、第1の端部2220aに近接し、かつ平行に挿入され又は貫通されて、第1の内腔2214aを形成し得る。第2のピン2222bは、材料2220内に、第2の端部2220bに近接し、かつ平行に挿入され又は貫通されて、第2の内腔2214bを形成し得る。更なる代替例において、ピン2222a、2222bに代えて、
図26A~
図26Iに関して上記されたように、コアリングチューブが使用され得る。パッチ2210は、ブロック10、110、3010、3110、310、及び410、並びに、上記された任意の他の構造体に関して上記提供された材料のいずれかから作製され得る。更に、パッチ2210は、任意の形状を有し得る。同形状としては、矩形、台形、楕円形、円形、正方形、五角形、六角形、八角形などが挙げられる。
【0269】
パッチ3320を製造する更に代替的な方法は、
図27A~
図27Mのトンネルステーション3200、3200’と同様に、並行生成トンネルステーション3300の使用を含み得る。
図31Aに示されているように、ステージ3320は、より長い長さLの材料3330を収容し得る。例えば、
図31Aに図示されているように、ステージ3320は、2つのパッチ構造体3310a、3310bを収容し得る。あるいは、ステージ3320は、任意の数の構造体を収容するように拡張し得る。ステージ3320は、トンネルステーション3200’のステージと同様に、内腔形成ツール3324a、3324b、3324c、3324dと整列され得る複数の半円形レリーフを有することができ、ステージ3320は、セルフセンタリングされることができる。
【0270】
図27A~
図27Mのトンネルステーション3200、3200’と同様に、トンネルステーション3300は、複数の内腔形成ツール3324a、3324b、3324c、3324dを含み得る。図示された実施形態では、内腔形成ツール3324a、3324bは、第1のステーション3323aを形成し、内腔形成ツール3324c、3324dは、第2のステーション3323bを形成する。示されているように、内腔形成ツール3324a、3324bは、例えば、互いにほぼ最大約30度で、互いに角度的にオフセットされ得る。一実施形態では、内腔形成ツール3324a、3324bは、互いにほぼ16度で、互いに角度的にオフセットされ得る。第2のステーション3323bの内腔形成ツール3324c、3324dは、互いに対して同様にオフセットされることができ、又は代替的に、異なる角度で角度的にオフセットされることができる。第2のステーション3323bは、ステージ3320に対して、第1のステーション3323aとは反対側に配置されることにより、より容易な平行内腔形成を提供し得る。代替的な実施形態では、内腔形成ツール3324a、3324b、3324c、3324dはそれぞれ、互いに平行に整列され得る。内腔形成ツール3324a、3324b、3324c、3324dは、各切断ツール3322a、3322b、3322c、3322dがそれぞれ、ステージに向かって移動して、材料3330中に、内腔3314a、3314b、3314c、3314dを形成するように整列され得る。図示された実施形態では、2つの内腔形成ステーション3323a、3323bが示されているが、任意の数の内腔形成ステーションが提供され得る。
【0271】
内腔形成ツール3324a、3324b、3324c、3324dがそれぞれ作動し、後退して、内腔3314a、3314b、3314c、3314dを材料3330中に形成した後に、材料3330は、
図31Aに示されているように、方向Dに前進し得る。ついで、個々の構造体3310a、3310b、3310cは、パンチ3190a~3190c又は、本開示全体を通して提供され若しくは当業者に公知の他の切断機構により分離され得る。得られた構造体3310a、3310b、3310c、3310dは、
図31B及び
図31Cに図示される。この場合、得られたパッチ3310a、3310b、3310c、3310dは、概ね台形の形状を有する。当業者であれば、本開示を考慮して、任意の数のパッチ形状が形成され得ることを、認識するであろう。例えば、内腔形成ツール3324a、3324b、3324c、3324dは、平行な内腔と矩形の形状を有するパッチを形成するために、互いに平行であり得る。
【0272】
使用方法-組織増強パッチ
組織増強パッチ2210を取り付ける1つの例示的な方法が、
図30Fに図示される。図示された方法により、骨2250に固定された軟組織片2230、例えば、回旋腱板が提供される。単列又は二列修復のいずれかが使用され得る。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及び組織増強パッチが本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、組織修復(パッチ2210の下であるため、視認できない)を、一般的な外科的技術に従って行い得る。
図30Fに示されているように、修復に使用されるアンカー(図示せず)から伸びる縫合糸2212は、2つの縫合リム2212a、2212bが組織2230から外に伸びるように、修復から内側に、組織2230内に取り付けられる。
【0273】
組織増強パッチ2210は、縫合リム上2212a、2212b上に、本開示全体を通して提供された技術を使用して糸通しされ、その後に、各縫合リム上2212a、2212bに沿って、中間ステッチ2242に近接するまで前進し得る。組織増強パッチ2210が縫合リム上2212a、2212b上に取り付けられると、各縫合リム上2212a、2212bの自由端は、体内に固定され得る。例えば、各縫合リム上2212a、2212bの自由端は、各アンカー2260a、2260bに、側方列固定で結合され得る。ついで、縫合リム2212a、2212bは締められて、修復に対してパッチ2210を固定することができ、その後に、アンカー2260a、2260bは、骨2250に完全に固定される。
【0274】
組織増強パッチ2210は、縫合リム2212a、2212bにより大きなフットプリントを提供し、軟組織2230上への縫合リム2212a、2212bの負荷力を分散させるためのより大きな表面積を提供し得る。患者が手術から治癒している間に、パッチは、腱様組織に再構築されることができ、その下にあるネイティブな組織と一体化することができる。軟組織にわたって、腱様組織により更に覆われていることにより、軟組織対骨結合の強度を大きくすることができ、更なる傷害を防止することができる。
【0275】
組織増強パッチ2210’を取り付ける別の例示的な方法が、
図30G~
図30Iに提供され、ここでは、軟組織片2230’、例えば、回旋腱板は、骨2250’に二列修復を使用して固定される。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及び組織増強パッチが本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、第1及び第2の中間アンカー2260a’、2260b’を骨2250’に取り付け得る。第1及び第2の中間アンカー2260a’、2260b’は、それらと関連付けられている縫合糸2212’、2216’を有する。
図30Gに示されているように、縫合糸2212’及び2216’は、各アンカー2260a’及び2260b’から伸びる縫合リム2212a’、2212b’、及び2216a’、2216b’を有し得、これらのリムは、例えば、1つ以上の中間ステッチ2242a’、2242b’を使用して、組織2230’を通って糸通しされる。
【0276】
パッチ2210’は、パッチ2210と類似する特性を有することができ、縫合リム2212a’、2216a’上に、本開示全体を通して提供された技術を使用して糸通しされることができる。パッチ2210’は、その後に、
図30Hに示されているように、各縫合リム2212a’、2216a’に沿って、中間ステッチ2242a’、2242b’に近接するまで、方向D
1に前進し得る。パッチ2210’が縫合リム2212a’、2216a’上に取り付けられた後に、縫合リム2212a’、2216a’それぞれの自由端は、パッチ2210’上に、
図30Iに示されたX又は交差構成に配置され得る。ついで、縫合リム2212a’、2216b’は、側方アンカー2262a’内に取り付けられることができ、縫合リム2212b’、2216a’は、側方アンカー2262b’内に側方列固定で取り付けられることができる。ついで、縫合リム2212a’、2212b’、2216a’、2216b’は締められて、軟組織2230’を骨2250’に固定することができ、その後に、側方アンカー2262a’、2262b’は、骨2250’に完全に固定される。パッチ2210を使用する方法に関して上記されたのと同じ利益が、パッチ2210’を使用するこの実施形態に等しく適用可能である。更に、縫合糸構成の交差の性質により、組織2230’を骨2250’に対して所望の位置で保持するための更なる安定性が提供される。
【0277】
組織増強パッチ2210’’を取り付ける更なる例示的な実施形態が、
図30J~
図30Lに図示され、
図30F~
図30Iに関して上記された単又は二列修復のいずれかと共に使用され得る。図示されたパッチ2210’’は、縫合リム2212a’’、2216a’’上に、本開示全体を通して提供された技術に従って糸通しされる。図示された方法により、縮小可能ループ2212l’’、2216l’’及びパッチ2210’’の遠位端2210d’’上に配置される関連するノット2270a’’、2270b’’の形成が提供される。縮小可能ループ2212l’’、2216l’’及び関連するノット2270a’’、2270b’’は、縫合リムがパッチ2210’’を通って糸通しされた後に、各縫合リム2212a’’、2216a’’上に形成され得る。1つの例示的な実施形態では、ノットは、他のノットの種類の中でも、例えば、摺動ノット、8の字結び又はフィンガートラップであってよい。ノット2270a’’、2270b’’は、ノット2270a’’、2270b’’が引き抜かれないように、縫合リム2212a’’、2212b’’が糸通しされる、関連する内腔より大きくあり得る。ノット2270a’’、2270b’’は、パッチ2210’’が方向D1に軟組織2230’’に近接するまで前進した後に形成され得る。
【0278】
ループ2212l’’、2216l’’が形成された後に、
図30Kに図示されているように、縫合リム2216b’’は、ループ2212l’’を通ってガイドされることができ、縫合リム2212b’’は、ループ2216l’’を通ってガイドされることができる。縫合リム2212b’’、2216b’’が縫合ループ2212l’’、2216l’’に糸通しされると、縫合リムは、所望の構成で有益に維持される。ついで、縫合リム2212a’’、2216b’’は、側方アンカー2262a’’内に取り付けられることができ、縫合リム2212b’’、2216a’’は、側方アンカー2262b’’内に側方列固定で取り付けられることができる。この時点で、縮小可能ループ2212l’’、2216l’’は、縫合リム2212a’’、2216a’’に力を加えることによって縮小させられ、これにより、縫合リム2212b’’、2216b’’を、
図30K及び
図30Lに示されているように、X又は交差構成に固定することができる。ついで、縫合リム2212a’’、2212b’’、2216a’’、2216b’’は締められて、軟組織2230’’を骨2250’’に固定することができ、その後に、側方アンカー2262a’’、2262b’’は、骨2250’’に完全に固定される。ノット2270a’’、2270b’’及びループ2212l’’、2216l’’の1つの利益は、パッチ2210’’がアンカー2262a’’、2262b’’に向かって側方に摺動するのを防止することができ、骨2250’’及び2230’’に対して固定されることができることである。ループ2212l’’、2216l’’を縫合リム2212a’’、2212b’’、2216a’’、2216b’’周囲で縮小させることにより、縫合リム2212a’’、2212b’’、2216a’’、2216b’’に対するパッチ2210’’の意図しない摺動が防止され得る。ループ及びノットは、側方摺動を防止し、取付け後の構造体(組織増強ブロック及び組織増強パッチが挙げられるが、これらに限定されない)を保持するために、本明細書で提供された構造体のいずれかに、有益に提供され得る。
【0279】
組織増強構造体-更なる組織増強パッチ、それを使用する方法、及びそれを製造する方法
パッチ又は足場構成を有する組織増強構造体2310の別の例示的な実施形態が、
図32Aに図示される。示されているように、組織増強パッチ2310は、矩形状の本体を有し、組織増強パッチ2210に性質及び構成が概ね類似する。パッチ2310は、それを通って、糸通し器2306a~2306dを有するために、最近位端2310pから最遠位端2310dに伸びる更なる内腔2314a~2314d及びこのため、糸通し器2306a~2306dを動作させた後に、それら内に配置された縫合リム2312a、2312b、2316a、2316bを含む点で異なる。場合により、糸通し器2306a~2306dが使用されなくてもよく、縫合リム2312a、2312b、2316a、2316bは、パッチ2310と、本明細書で提供され又は当業者に公知の任意の技術を使用して関連付けられ得る。
図32Aに示されているように、内腔2314a、2314dは、最近位端表面2310pと最遠位端表面2310dとの間に伸びるパッチ2310の両辺に対して実質的に平行であることができ、内腔2314b、2314cは、実質的にX字型又は交差構成を形成することができる。図示された実施形態において、又は、パッチがそれと関連付けられる2つの糸通し器を有する本明細書で例示された他の実施形態において、糸通し器2306a及び2306bがパッチ2310と関連付けられる際、第1の糸通し器2306aの中間部分2307aは、パッチの第2の反対側の辺2310bよりも、パッチ2310の第1の辺2310aに近接する位置に配置されることができ、第2の糸通し器2306bの中間部分2307bは、第1の辺2310aよりも第2の辺2310bに近接する位置に配置されることができる。また、糸通し器2306c及び2306dがパッチ2310と関連付けられる際は、第3の糸通し器の中間部分2307cは、パッチ2310に対して斜めに配置され、これにより、第3の糸通し器2306cの遠位受容端2309cが第1の糸通し器2306aの遠位受容端2309aに近位となり、一方で、第3の糸通し器2306cの近位ハンドル2308cが第2の糸通し器2306bの近位ハンドル2308bに近位となるようにされてよく、また、第4の糸通し器の中間部分2307dは、パッチ2310に対して斜めに配置され、これにより、第4の糸通し器2306dの遠位受容端2309dが第2の糸通し器2306bの遠位受容端2309bに近位となり、一方、第4の糸通し器2306dの近位ハンドル2308dが第1の糸通し器2306aの近位ハンドル2308aに近位となるようにされてよい。
【0280】
当業者であれば、複数の糸通し器が構造体と共に使用される任意の実施形態において、糸通し器の近位端及び遠位端の位置は、少なくとも部分的に、行われる手術の種類、手術を行うのに使用されるコンポーネント、及びユーザの好みに応じて、図示された実施形態とは異なる場合があることを、認識するであろう。このため、任意の図示された実施形態では、糸通し器の近位端及び遠位端の位置は、他の実施形態では入れ替わり得る。更に、図示された実施形態のいずれかにおいて、縫合糸を組織増強構造体と関連付けるために糸通し器を使用する前の、任意の糸通し器の組織増強構造体に対する位置は、取付け前構成である考えられ、糸通し器が縫合糸を組織増強構造体と関連付けるのに使用され、その後に取り外された後には、このような構成は、取付け後構成であると考えられる。
【0281】
示されているように、パッチ2310は、幅WP’と実質的に等しい長さLP’を有し、厚みTP’も有する。更に、厚みTP’は、組織増強パッチ2310が関連付けられるフィラメント又は縫合糸、例えば、縫合リム2312aの直径より大きくあり得る。他の実施形態では、縫合リム2312a、2312b、2316a、2316bは、糸通し器を使用して内腔2314a~2314d内に配置されることを必要とせずに、内腔2314a~2314dを通って伸び得る。リム2312a、2312b、2316a、2316bは、糸通し器2306a~2306dの位置に関して図示され、記載されたのと同じハイブリッドパラレル及び交差構成で伸び得る。
【0282】
当業者であれば、組織増強パッチ2310の長さLP’、幅WP’、及び厚みTP’、並びに、穴2314a~2314dの直径の寸法は、様々な要因により決まり得ることを、認識するであろう。同要因としては、組織増強パッチ2310と関連付けられるフィラメントのサイズ、患者の解剖学的構造、及び行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、パッチ2310は、任意の他の形状(例えば、矩形、台形、楕円形、円形、正方形、五角形、六角形、八角形など)を有することができ、内腔2314a~2314dは、任意の経路を辿ることができる(例えば、それらは、縁部を辿ることができる)。パッチ2210について上記提供された例示的で非限定的な寸法は、パッチ2310のサイズにも適用可能であり得、他の寸法も可能であると理解される。同様に、当業者に公知の数多くの技術が、パッチ2310を縫合リム2312a、2312b、2316a、2316bと関連付けるのに使用されることができ、パッチ2210に関して上記された技術は、パッチ2310と共に使用するのに採用されることができる。このため、本開示を考慮して、当業者であれば、縫合リム2312a、2312b、2316a、2316bとパッチ2310とを関連付けるための、糸通し器2306a~2306dの操作法を理解するであろう。
【0283】
パッチ2310を取り付ける1つの例示的な方法が、
図32B~
図32Eに提供される。図示された方法により、骨2350に固定された軟組織片2330、例えば、回旋腱板が提供される。単列又は二列修復のいずれかが使用され得る。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及び組織増強パッチが本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、一般的な外科的技術に従って組織2330の単列修復2340a、2340bを行い得る。あるいは、1つの修復が、組織2330に行われることができ、又は、3つ以上の修復が完了されることができる。
図32Cに示されているように、第1の縫合糸2312は、組織2330内に、修復2340a、2340bから内側に、2つの縫合リム2312a、2312bが組織2230の外へ伸びるように挿入されることができ、同様に、第2の縫合糸2316は、組織2330内に、修復2340a、2340bから内側に、2つの縫合リム2316a、2316bが組織2230の外へ伸びるように挿入されることができる。図示された実施形態では、縫合糸2312、2316は、組織2330内に、マットレスステッチ2342a、2342bそれぞれを使用して挿入されるが、他のステッチが使用される場合がある。
【0284】
図32Dに示されているように、縫合リム2312a、2312b、2316a、2316bは、内腔2314a~2314dそれぞれの中へ、本開示全体を通して提供された技術を使用して、例えば、糸通し器2306a~2306dを操作して糸通しされ、パッチ2310は、各縫合リム2312a、2312b、2316a、2316bに沿って、近位端2310pが中間ステッチ2342a、2342bに近接するまで前進し得る。パッチ2310が縫合リム2312a、2312b、2316a、2316bに取り付けられた後に、各縫合リム2312a、2316bの自由端は、体内で固定され得る。例えば、
図32Eに示されているように、各縫合リム2312a、2316b、及び2312b、2316aの自由端は、側方アンカー2362a及び2362bそれぞれに、側方列固定で結合され得る。ついで、縫合リム2312a、2312b、2316a、2316bは締められて、修復2340に対してパッチ2310を固定することができ、その後に、側方アンカー2360a、2360bは、骨2350に完全に固定される。
【0285】
組織増強パッチ2310’を取り付ける別の例示的な方法が、
図32F~
図32Hに提供され、ここでは、軟組織片2330’、例えば、回旋腱板は、骨2350’に二列修復を使用して固定される。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及びパッチが本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、外科医は、第1及び第2の中間アンカー2360a’、2360b’を骨2350’に取り付け得る。第1及び第2の中間アンカー2360’、2360’は、それらと関連付けられている縫合糸2312’、2316’を有する。
図32Fに示されているように、縫合糸2312’及び2316’は、各アンカー2360a’及び2360b’から伸びる縫合リム2312a’、2312b’、及び2316a’、2316b’を有し得、これらのリムは、例えば、1つ以上の中間ステッチ2342a’、2342b’を使用して、組織2330’を通って糸通しされる。
【0286】
パッチ2310’は、パッチ2310と類似する特性を有することができ、縫合リム2312a’、2312b’、2316a’、2316b’上に、本開示全体を通して提供された技術を使用して糸通しされることができる。
図32G及び
図32Hに示されているように、パッチ2310’は、その後に、縫合リム2312a’、2312b’、2316a’、2316b’に沿って、近位端2310p’が中間ステッチ2342a’、2342b’に近接するまで前進し得る。パッチ2310’が縫合リム2312a’、2312b’、2316a’、2316b’上に取り付けられた後に、ついで、縫合リム2312a’、2316b’、及び2312b’、2316a’それぞれの自由端は、各側方アンカー2362a’及び2362b’内に、側方列固定で取り付けられ得る。ついで、縫合リム2312a’、2312b’、2316a’、2316b’は締められて、修復2340’に対してパッチ2310’を固定することができ、その後に、側方アンカー2360a’、2360b’は、骨2350’に完全に固定される。パッチ2210’の使用方法に関して上記されたのと同じ利益が、パッチ2310及び2310’を使用する実施形態に等しく適用可能である。同利益としては、縫合糸構成の交差の性質により生じる利益が挙げられる。これら2つの実施形態の更なる利益も、本開示を考慮して、当業者に明らかであろう。
【0287】
パッチ2310は、数多くの異なる技術を使用して製造され得る。同技術のいくつかは、少なくとも組織増強ブロック10、110、及び他の構造体に関して先に上記検討されている。パッチ2310及びこのためパッチ2310’も、組織増強ブロック10、110、3010、3110、310、及び410並びに/又は本明細書で記載された他の構造体に関して上記提供された材料のいずれかから作製され得る。
図32I及び
図32Jにより図示されたパッチを作製する例示的な一実施形態では、パッチ2310を作製するのに使用される材料は、パッチ2210に関して上記されたのと同じ技術を使用して収集され又は他の方法で取得され得る。
図32Iに示されているように、材料片2320は、第1の端部2320aと第2の端部2320bとを有することができ、それらの間に伸びる幅2W
P’を有する。あるいは、材料片2320は、任意の形状を有し得る。
【0288】
材料片2320が切断されると、2つの端部2320a、2320bは、幅2W
P’のほぼ1/4上に、第1及び第2の端部2320a、2320bそれぞれから離れるように折り畳まれ、互いに近接し、その後に、互いに取り付けられることにより、パッチ2310を形成し得る。
図32Jに示されているように、パッチ2310が互いにステッチされて、折り畳まれたパッチを形成する。ステッチ2324a~2324dは、2つの平行な内腔2314a、2314bがX字型内腔2314c、2314dとの組み合わせで形成されるように行われる。第1のステッチ2324aは、パッチ2130の最遠位端2310dに位置する両端部と、パッチ2130の最近位端2310pに向くV字型の頂部とを有する、実質的にV字型であり得る。第2のステッチ2324bは、パッチ2130の最近位端2310pに位置する両端部と、パッチ2130の最遠位端2310dに向くV字型の頂部とを有する、実質的にV字型であり得る。第3及び第4のステッチ2324c、2324dは、形状が実質的に三角形であることができ、内腔2314a、2314dを画定するために、実質的に他方の鏡像であることができる。あるいは、ピンは、内腔2314a~2314dが位置している箇所に沿って配置されることができ、ついで、パッチ2310が互いにステッチされて、パッチ2310を製造することができる。ピンは、パッチが製造されると取り除かれ得る。更に代替的に、ステッチに代えて、材料2320自体は、のり、コラーゲンボンド、ステープル、光硬化、又は、当業者に公知の軟組織を軟組織に取り付けるための他の技術、及び本開示全体を通して提供された技術により固定され得る。
【0289】
パッチ2310に予め配置された糸通し器を含む実施形態では、糸通し器2306a~2306dは、内腔2314a~2314d内に挿入されることができ、その後に、2つの端部2320a、2320bが取り付けられる。又は、2つの端部2320a、2320bが取り付けられた後に、糸通し器2306a~2306dは、内腔2314a~2314d内に挿入される。パッチ2320は、製造プロセス中の任意の適切な時点で、梱包のために乾燥され得る。本開示に従ってパッチ2310を形成するための更なる代替例としては、材料片を収集すること、
図30C~
図30Eに関して少なくとも記載されるように、ピンを使用して材料片を貫通又は穿孔し、内腔2314a~2314dを形成すること、
図26A~
図26Iに関して少なくとも記載されるように、コアリング装置又はチューブを使用して、内腔2314a~2314dを形成することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0290】
パッチ及び縫合糸のより多くの構成が、本開示の範囲内である。構成は、本願全体を通して提供され、検討された様々なパラメータ又は変数を調節することにより得ることができる。様々な構成を提供するように変更され得るいくつかのパラメータ又は変数としては、(1)パッチを形成するのに使用される層の数(例えば、1層、2層);(2)第1のセットの縫合リムの互いに対する配向、及びパッチに対する配向(例えば、リムが交差しない方式でパッチを横断する、リムが互いに交差する様式でパッチを横断する、など);(3)第2のセットの縫合リムのパッチに対する位置(例えば、パッチの上にある、パッチを通る、など);(4)第2のセットの縫合リムの互いに対する配向、及びパッチに対する配向(例えば、リムが交差しない方式でパッチを横断する、リムが互いに交差する様式でパッチを横断する、など);(5)パッチを少なくとも1つの縫合リムに対して固定するための1つ以上の「ステッチ」と第1のセットの縫合リムとの包含(本明細書において、「ループ」及び「ジョグ」と呼ばれる);(6)第2のセットの縫合リムがパッチ中に形成された内腔に配置されるかどうか;(7)更なる縫合糸が提供されるかどうか(例えば、中間中心縫合糸、側方中心縫合糸);並びに(8)第1のセットの縫合リムの第2のセットの縫合リムに対する位置(例えば、第2のセットの縫合リムの内側、第2のセットの縫合リムの外側)が挙げられる。
【0291】
上記列記されたパラメータ又は変数についての選択肢を例示するいくつかのパッチ構成の小さなサンプルが、
図33A~
図33Eに示される。いくつかの構成は、パッチ送達を支援し、及び/又は、パッチを軟組織に取り付けるのを支援するのに、他のものより良好であり得る。当業者であれば、様々なパラメータが組み合わせられ、調和されて、大量の構成に達することができることを、理解するであろう。それらの多くは本明細書において明示的に図示されないが、より一般的に本願で開示された変数それぞれ及び構造体について提供された理解に基づいて導き出すことができる。上記列記されたパラメータに関連する選択肢のいくつかを理解するのを支援するために、各パラメータは、図示された限られた数の例示的な構成により、以下でより詳細に検討される。しかしながら、本開示は、パラメータの各別個の組み合わせを、本開示で提供された多くの異なるパッチ構成と共に包含することが企図される。更に、パラメータが同じ材料を使用する様々な構成(例えば、パッチ、縫合糸、及びアンカー)にわたって互換的であるため、同じ参照符号が、
図33A~
図33Eに例示された例のそれぞれにわたって使用される。
【0292】
様々なパッチ構成を達成するのに変更され得る1つのパラメータは、各パッチを形成する層の数である。例えば、各パッチは、材料の単層を含み得る。この場合、内腔は、
図26D~
図26F、
図30A、
図30B、及び
図31A~
図31Cに図示されているように、それを通って縫合リムを配置するために、単層に形成される。単層は、本明細書においてパッチ3410の底面側3410dとも呼ばれる、組織対向面又は組織係合表面と、本明細書においてパッチ3410の上面側3410pとも呼ばれる、組織対向面と反対側の第2の表面(例えば、
図33A~
図33Eにおいて見える表面)とを含み得る。あるいは、各パッチは、
図32A~
図32Jに図示されているように、それを通して縫合リムを配置するために、互いにステッチされて、2つ又はそれ以上の層間に形成された内腔を有する1つのパッチを形成する、材料の2つ又はそれ以上の層を含み得る。第2の層が使用される場合、各層は、組織対向面と、組織対向面の反対側の第2の表面とを含む。このような実施形態では、パッチの組織対向面は、底部又はより遠位のパッチの組織対向面により形成され、組織対向面の反対側のパッチの第2の表面は、上部又はより近位のパッチの第2の表面により形成される。複数の層を含むパッチにおいても、内腔は、1つの層中に形成され得る。パッチが2つの層を含む実施形態では、ステッチは、
図32A~
図32Jを参照して記載されるように、内腔を形成し得る。簡潔さの目的で、第1のセットの縫合リム3412、3414及び第2のセットの縫合リム3416、3418は、下記検討において参照されるであろうが、1つのセットが使用されてもよい。上記検討されたように、材料の2つの層が使用される実施形態では、各層は、様々な利点を提供するために、異なる材料から形成され得る。同利点としては、パッチ構成の厚み全体が生体ソースにより制限されない場合があること、細胞活性レベルを制御できること(例えば、組織に面する側に高い組織一体化層及び反対側に接着バリア層)、及び他の材料特性が各層間で変更され得ること(例えば、耐久性、生物学的/合成的、厚い/薄い、高/低-空隙率など)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0293】
図33Aに示されているように、2つの反転マットレスステッチ3440a、3440bが、任意の修復に対して内側に軟組織に形成され得る(修復は図示されていない)。より具体的には、第1の縫合糸3411aは、第1の反転マットレスステッチ3440aを形成するのに使用されることができ、第2の縫合糸3411bは、第2の反転マットレスステッチ3440bを形成するのに使用されることができる。第1のマットレスステッチ3440aは、それから伸びる縫合リム3412及び縫合リム3416をもたらすことができ、第2のマットレスステッチ3440bは、それから伸びる縫合リム3414及び縫合リム3418をもたらすことができる。単に説明の目的で、縫合リム3412及び3414は、第1のセットの縫合リムと定義され、縫合リム3416及び3418は、第2のセットの縫合リムと定義される。簡潔さの目的で、
図33A~
図33Eに示された実施形態はそれぞれ、2つのマットレスステッチを図示するため、検討は、各図について繰り返さないものとする。
【0294】
更に、各実施形態に示されているように、第1のセットの縫合リムの縫合リム3412、3414は、概ね、パッチ3410を通る。これは、縫合リム3412、3414がパッチ3410を通ってパッチの長さ全体について、即ち、中間縁部3410Mから対向する側方縁部3410Lに伸びる構成、又は、縫合リム3412、3414がパッチ3410を通ってその長さの一部について伸びる構成を含み得る。一般的には、縫合リム3412、3414は、実質的に中間縁部3410Mと、対向する側方縁部3410Lとの間に伸びる長さに沿って伸びる。例えば、
図33Dに示されているように、縫合リム3412、3414は、パッチ3410の長さ全体には伸びないが、その長さのかなりの部分に伸びる。長さのかなりの部分は、長さの少なくとも約50パーセント、又は代替的に、長さの少なくとも約75パーセント、又は更に代替的に、長さの少なくとも約90パーセントであり得る。
【0295】
縫合リム3412、3414及び縫合リム3416、3418がパッチを通過すると、それらは、縫合リムの末端をパッチ3410の一部に通して、同一部の上及び/又は下で導くことにより通過される。図示された実施形態においてパッチを通過されるように記載された末端は、側方末端であると考えることができるが、これは、側方縁部3410Lに向かい、かつ、図示されたアンカー3460a、3460bに向かって通過する端部であるためである。側方末端がアンカーに結合するように記載された場合、当業者であれば、アンカーに取り付けられるのが、必ずしも縫合リム自体の側方末端であるわけではないことを認識するであろう。縫合糸をアンカーと関連付ける際に、末端は、例えば、縫合糸をアンカーに縛った結果として、アンカーを超えていくらかの距離を伸びる場合があるためである。このため、縫合リムの側方末端がアンカーに取り付けられているか、又は他の方法で結合している、という記載は、縫合糸そのものの端部がアンカーに接触しているか、又は直接結合することを求めているわけではない。むしろ、当業者が本開示を考慮して理解するであろうそのリムのいくらかの部分は、パッチ-縫合糸構成が記載された側方末端である場合、そのシステムの末端と等しいことを、まさに示している。更に、示されているように、アンカー3460a、3460bは、パッチ3410の中間辺3410Mと、側方辺3410Lとの間に伸びる中央長手方向軸3410cの両側に配置される。一般的には、様々な縫合リムの側方末端がアンカーと関連付けられる場合、その側方末端は、互いに近接するように記載され得る。当業者であれば、側方末端が足場の同じ側面上の異なるアンカーと関連付けられ、及び/又は、足場の同じ側面上の1つ以上の他の固定物(骨、組織、及び医療用インプラントが挙げられるが、これらに限定されない)と関連付けられる場合でも、その側面上の縫合リムの側方末端は、本開示を考慮して、互いに近位にあると記載される場合もあることを、認識するであろう。
【0296】
様々なパッチ構成を達成するのに変更され得る第2のパラメータは、第1のセットの縫合リムの互いに対する配向、及びパッチに対する配向に関する。例えば、
図33Aに示されているように、第1のセットの縫合リム3412、3414はそれぞれ、パッチ3410を横断して、中間縁部3410Mから側方縁部3410Lに、リムが互いに交差しないような様式で配置され得る。図示された実施形態では、リム3412、3414は、パッチ3410の各外側縁部3410S、3410Tに対して実質的に平行に伸び、中央長手方向軸3410cの別個の半分上に配置される。この構成は、リム3412、3414が縁部を超えて伸ばされると、縁部3410S、3410Tの更なる固定を提供し得る。当業者であれば、リム3412、3414が、互い及びパッチ3410に対して多くの他の様式で、それらが交差することなく配向され得ることを、認識するであろう。例えば、第1のセットの縫合リム3412、3414は、パッチ3410を横断して、中間縁部3410Mから側方縁部3410Lに、リムがパッチ3410を横断して実質的に真っ直ぐ伸びるため、互いに実質的に平行になるように配置され得る。このような様式で構成されたリムの例が、少なくとも
図30A~
図30Lに図示される(例えば、リム2212a及び2212b、リム2212a’及び2216a’、並びにリム2212a’’及び2216a’’)。
【0297】
更なる代替例では、第1のセットの縫合リム3412、3414は、パッチ3410を横断して、中間縁部3410Mから側方縁部3410Lに、リムが互いに交差するような様式で配置され得る。例えば、リム3412、3414は、パッチ3410を横断して、
図30Iのリム2212b’及び2216b’、
図32A~
図32Eのリム2312b、2316b、
図32F~
図32Hのリム2312b’、2316b’、
図33Bのリム3416及び3418(これらは、第2のセットのリムとして記載されているが、一般的に、交差する構成を示す目的で参照される)と同様に、X字構成又は形状を形成するように配置され得る。この構成により、構造体のより大きい面積にわたってより分散された圧迫が提供され得る。当業者であれば、リム3412、3414は、互いに交差しながらでも、互い及びパッチ3410に対して多くの他の様式で配向され得ることを、認識するであろう。更に、リム3412、3414がパッチを横断して配置されていると記載される限りにおいて、それらは、パッチの上面を横断して、パッチを通って(例えば、単層を通って、2つの層間に配置され)、又は、パッチの上面を横断して及びパッチを通っての両方の組み合わせで伸び得る。更に、リム3412、3414は、類似する様式で配向される必要はない。例えば、リム3412は、外側縁部3410Sに実質的に平行に伸び、又は、パッチ3410を横断して実質的に真っ直ぐ伸びることができ、リム3412は、中央長手方向軸3410cの一方側に残り、一方で、リム3414は、中央長手方向軸3410cと交差するようにより斜めに伸びる。
【0298】
様々なパッチ構成を達成するのに変更され得る第3のパラメータは、第2のセットの縫合リムのパッチに対する位置に関する。例えば、第2のセットの縫合リム3416、3418は、
図32A~
図32Jのリム2312b及び2316b並びにリム2312b’及び2316’の配向に類似して、パッチを通って、それらが中間縁部3410Mから側方縁部3410Lに伸びるように配置され得る。有利に、少なくとも1つの縫合リムがパッチを通って配置された場合、パッチは、取付け後により固定され得る。あるいは、第2のセットの縫合リム3416、3418は、パッチ3410の上面上を、
図30A~
図30Lのリム2212b及び2216b、リム2212b’及び2216b’、並びにリム2212b’’及び2216b’’の配向に類似して、配置され得る。いくつかの例では、第2のリムのいくらかの部分は、パッチを通って伸び得るが、いくらかの他の部分は、パッチの上面上を伸び、任意のリムについてのこのパラメータの構成は、任意の他のリムと同じである必要はない。
【0299】
様々なパッチ構成を達成するのに変更され得る第4のパラメータは、第2のセットの縫合リムの互いに対する配向、及びパッチに対する配向に関する。例えば、第2のセットの縫合リム3416、3418はそれぞれ、パッチ3410を横断して、中間縁部3410Mから側方縁部3410Lに、それらのリムが互いに交差しないような様式又はそれらが交差するような様式で配置され得る。このような構成の可能性は、第2のパラメータに関して上記検討された可能性に類似する。同パラメータは、第1のセットの縫合リムの互い及びパッチに対する配向についてであった。更に、いくつかの例では、第2の縫合リム3416、3418は、パッチ3410上又はパッチ3410を通って伸びない場合があり、むしろ、パッチ3410周囲及び/又はパッチ3410に隣接して伸びる場合がある。第1の縫合リム3412、3414は、それらの少なくとも一部が、パッチ上又はパッチを通るのではなく、パッチ3410の周囲及び/又はパッチ3410に隣接して伸びるような様式でも構成され得る。
【0300】
非限定的な例として、
図33Aは、第2のセットの縫合リム3416、3418が交差せず、パッチ3410周囲及び/又はパッチ3410に隣接して伸びるため、リム3416、3418が、パッチ3410上又はパッチ3410を通って伸びない実施形態を図示する。更に非限定的な例として、
図33C及び
図33Eはそれぞれ、第2のセットのリム3416、3418が交差せず、パッチ3410の上面上を伸びる実施形態を例示する。
図33Dに示されているように、中間縁部3410Mと側方縁部3410Lとの間に伸びる長さにわたって、様々な配向を組み合わせることが可能である。例えば、示されているように、リム3416、3418は交差しないが、リムのパッチ3410に対する配向は、リムが中間縁部3410Mと側方縁部3410Lとの間に伸びる間に変化する。より具体的には、示されているように、リム3416、3418それぞれの第1の部分3416p
1、3418p
1は、パッチ3410周囲及び/又はパッチ3410に隣接して伸び、リム3416、3418それぞれの第2の部分3416p
2、3418p
2は、パッチ3410の上面上を伸び、リム3416、3418それぞれの第3の部分3416p
3、3418p
3は、パッチ3410を通って伸びる。第1のセットの縫合リム3412、3414の配向は、同様に、その長さにわたる異なる構成を有し得る。
【0301】
一方、
図33Bは、第2のセットの縫合リム3416、3418が交差する実施形態を提供する。示されているように、リム3416、3418は、
図30Iのリム2212b及び2216b’、
図32A~
図32Eのリム2312b、2316b、並びに
図32F~
図32Hのリム2312b’、2316b’と同様に、「X」字構成又は形状を形成するように、パッチ3410にわたって(示されているように、パッチを通って)配置される。「X」字構成により、構造体のより大きい面積にわたってより分散された圧迫が提供され得る。当業者であれば、リム3416、3418は、互いに交差しながらでも、互い及びパッチ3410に対して多くの他の様式で配向され得ることを、認識するであろう。更に、
図33Bの図示された実施形態では、リム3416、3418は、パッチ3410を通って伸びるが、それらは、パッチの上面を横断して、及び/又はパッチ周囲若しくは同パッチに隣接して、又は、これらの任意の組み合わせでも伸び得る。同様に、パッチを通って伸びるリムは、単層を通って伸び、及び/又は、2つの層間に配置され得る。
【0302】
様々なパッチ構成を達成するのに変更され得る第5のパラメータは、第1のセットの縫合リムと共に、1つ以上の「ステッチ」の包含に関する。本開示で記載されるように、これらの「ステッチ」は、
図33Cに関して示され、記載されるように、「ループ」と呼ばれ、
図33Dに関して示され、記載されるように「ジョグ」と呼ばれ得る。以下でより詳細に記載されるように、ループ及びジョグのためのステッチは両方とも、縫合リムの末端をパッチの少なくとも一部に通過させ(例えば、パッチの最近位表面に通過させ)、ついで、パッチの側方縁部に通過させることによる。ループは、中間縁部と側方縁部との間に伸びるパッチの長さ全体を通過する縫合リムを含んでいてよく、一方、ジョグは、長さ全体である必要がない長さの一部(しかしながら、その長さのかなりの部分であり得る)を通過する縫合リムを含んでいてよい。ループ及びジョグは、パッチを少なくとも1つの縫合リムに対して固定するのに役立つように使用される。
【0303】
図33Cに図示されているように、ループステッチ又はループ3444aは、縫合リム3412をパッチ3410の軟組織3430に面する底面側3410dから、中間縁部3410Mに近接した位置3408aにおけるパッチ3410の上面側3410pに通過させることにより形成され得る。位置3408aは、予め形成された内腔であることができ、又は、縫合リム3412をパッチ3410に通して前進させる間に形成された内腔であることができる。例えば、パッチ3410の材料は、リム3412がそれを通過し得るように編まれているためである。パッチ3410は、中間縁部3410Mから側方縁部3410Lに伸びる、少なくとも1つの側方内腔3407a、3407bを含み得る。あるいは、内腔3407a、3407bが予め形成されないか、又は存在しなくてもよく、代わりに、例えば、2つの層の間を又は材料の通過を助ける材料を有する単層を通ってフィラメントが通過し得る、パッチ3410内における単なる位置であってもよい。ついで、縫合糸3412は、中間縁部3410Mにおいて内腔3407aに入り、内腔を通って側方縁部3410Lに伸びるように内側へと糸通しされ得る。張力がループ3444aに加えられ、ループがパッチ3410と接触すると、縫合リム3412は、パッチ3410に対して、パッチ3410が埋込み後に縫合糸3412に沿って横滑りすることのないように固定され得る。ループ3444aは、パッチ取付け中の更なる安定性も提供し得る。このプロセスは、縫合リム3414について、第2のループステッチ又はループ3444bを形成するために繰り返され得る。ループ3444a、3444bは、in vivoにおいて形成されることができ、又は代替的に、パッチが手術部位に以下で記載されるパッチ送達システムを使用して導入される前に形成され得る。ついで、各縫合リム3412、3416、及び3414、3418の自由端(本明細書において側方末端とも呼ばれる)は、本開示全体を通して提供された技術を使用して、体内に固定され得る。例えば、
図33Cに示されているように、各縫合リム3412、3416、及び3414、3418の自由端は、側方アンカー3460a及び3460bそれぞれに、側方列固定において結合され得る。ついで、縫合リム3412、3414、3416、3418は締められて、修復に対してパッチ3410を固定することができ、その後に、側方アンカー3460a、3460bは、骨3450に完全に固定される。
【0304】
あるいは、ループに代えて、第1のセットの縫合リム3412、3414の縫合リム3412は、ジョグを形成するのに使用され得る。
図33Dに図示されているように、ジョグステッチ又はジョグ3446aは、縫合リム3412をパッチ3410の底面側3410dからパッチ3410の上面側3410pに、中間縁部3410Mに近接した位置3408aで通過させ、ついで、縫合リム3412を外側縁部3410Sに向かって前進させ、その後、縫合リム3412を、パッチ3410内に、上面側3410pから底面側3410dに向かって戻るように通過させることにより形成され得る。ついで、縫合リム3412は、側方辺3410Lに向かって前進し得る。図示された実施形態では、縫合リム3412は、中間縁部3410Mから側方縁部3410Lに伸びる、側方内腔3407aを通過する。あるいは、内腔3407a及び/又は図示されたもう一方の内腔3407bが予め形成されないか、又は存在しなくてもよく、代わりに、例えば、2つの層の間を又は材料の通過を助ける材料を有する単層を通ってフィラメントが通過し得る、パッチ3410内における単なる位置であってもよい。
図33Cにおける実施形態と同様に、位置3408aは、予め形成された内腔であることができ、又は、縫合リム3412をパッチ3410に通して前進させる間に形成された内腔であることができる。例えば、パッチ3410の材料は、リム3412がそれを通過し得るように編まれているためである。示されているように、パッチ3410を通って伸びるリム3412の一部は、中間縁部3410Mと側方縁部3410Lとの間に伸びるが、長さ全体には伸びないリムの長さのかなりの部分を伸びる。
【0305】
ジョグ3446aを形成する際に、縫合糸3412は、外側縁部3410Sに向かって、少なくとも部分的に、パッチ3410のサイズ及び所望の構成のパッチと縫合糸との組み合わせに基づいて、任意の所望の距離を前進し得る。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、ジョグ3446aは、中央長手方向軸3410cに対して実質的に垂直に伸びることができ、位置3408aから離れる方へ、およそ約1.0ミリメートル~約5.0ミリメートルの長さとなっていてもよい。張力がジョグ3446aに加えられ、ジョグ3446aがパッチ3410と接触すると、これにより、縫合リム3412は、パッチ3410に対して、パッチ3410が埋込み後に縫合リム3412に沿って横滑りすることのないように固定され得る。ジョグ3446aは、パッチ取付け中の更なる安定性も提供し得る。第2のジョグステッチ3446bは、第2のリム3414により形成され得る。ジョグステッチ3446a、3446bは、in vivoにおいて形成されることができ、又は代替的に、パッチ3410が手術部位に以下で記載されるパッチ送達システムを使用して導入される前に形成され得る。あるいは、第1のセットの縫合リム3412、3414の2つの縫合糸は、パッチ3410と、異なるステッチにより又は更なるステッチ無しに関連付けられ得る。更に、いくつかの例では、ループとジョグとの組み合わせが使用され得る。
【0306】
様々なパッチ構成を達成するのに変更され得る第6のパラメータは、第2のセットの縫合リムがパッチに形成された内腔に、又は代替的に、第1のセットの縫合リムが通過するパッチの一部を通って配置されるかどうかに関する。このような構成の1つの例示が、
図33Dに図示される。示されているように、第2のセットの縫合リム3416、3418は、第1のセットの縫合リムの縫合リム3412、3414のうちの1つと共に、パッチ3410の各内腔3407a、3407b内に導入され得る。これは、パッチ3410の中間縁部3410Mに対して側方の位置3409a、3409bで行われる。第2のセットのこの構成より、前方-後方におけるパッチの更なる固定が提供され得る。当業者であれば、第2又は第1のセットの縫合リムがパッチ3410内に配置される位置が、本開示の趣旨を逸脱することなく変わり得ることを、認識するであろう。
【0307】
様々なパッチ構成を達成するのに変更され得る第7のパラメータは、内腔から別個の位置においてパッチの更なる固定を提供するための、更なる縫合糸、例えば、中央中間縫合糸又は中央側方縫合糸の包含である。例えば、
図33Eに示されているように、1つ以上の中央中間反転マットレスステッチ3470は、パッチ3410に対して中間の軟組織3430に形成され得る。図示された実施形態では、ステッチ3470は、第1及び第2のマットレスステッチ3440a、3440bとほぼ一直線であるが、ステッチの他の構成、位置、及び数が、本開示の趣旨を逸脱することなく可能である。中央中間反転マットレスステッチ3470は、いくつかの例、例えば、図示された実施形態において、パッチ3410の中心と概ね整列され得る。中央中間ステッチ3470は、それから伸びる縫合リム3472a、3472bをもたらし得る。縫合リム3472a、3472bは、本明細書で提供された技術に従って、縫合パッチ3410の近位面3410p上に配置され、縫合アンカー3460a、3460bそれぞれにより固定され得る。
【0308】
中央中間反転マットレスステッチ3470に代えて又は加えて、中央側方マットレスステッチ3474は、パッチの側方半分における位置で、パッチ上に予め取り付けられ得る。あるいは、中央側方マットレスステッチ3474は、in vivoにおいて、パッチ3410に形成され得る。中央側方マットレスステッチ3474は、パッチ3410の中心と概ね整列され得る。中間反転マットレスステッチと同様に、ステッチの数多くの異なる構成、位置、及び数が可能であり、図示された実施形態では、反転マットレスステッチ3474は、パッチ3410から伸びる縫合リム3476a、3476bをもたらす。図示された実施形態では、縫合リム3476a、3746bは、縫合パッチ3410の近位面3410p上に配置され、縫合アンカー3460a、3460bに更に固定される。中央中間ステッチ及び側方中央ステッチは両方とも、治癒を支援するために、軟組織に対するパッチの更なる圧迫を提供し得る。
図33Eに図示されたパッチ3410は、同じ実施形態において、中央中間マットレスステッチ及び中央側方マットレスステッチの両方を図示し、他の実施形態では、1つのみが提供され、又は、1つも提供されない場合がある。更に、更なるステッチのための他の位置も、本開示の趣旨を逸脱することなく可能である。
【0309】
様々なパッチ構成を達成するのに変更され得る第8のパラメータは、第1のセットの縫合リムの第2のセットの縫合リムに対する位置である。より具体的には、このパラメータは、第1のセットの縫合リムのリムが第2のセットの縫合リムの内側又は外側に配置されるかどうかに関する。この場合、外側という表現は、中央長手方向軸3410cからより遠いことである。
図33A及び
図33Dに図示された実施形態では、第1のセットの縫合リムは、第2のセットの縫合リムの内側に配置され、一方、
図33B、33C、及び
図33Eに図示された実施形態では、第1のセットの縫合リムは、第2のセットの縫合リムの外側に配置される。とりわけ、
図33Dに関して、第1のセットの縫合リムは、第2のセットの縫合リムの内側に、それらが実質的に整列される点である位置3409aで収束するまで配置される。このため、第1のセットの縫合リムの第2のセットの縫合リムに対する配向は、他方の内側のいくらかの部分及び他方の外側のいくらかの部分を有することを含めて、中間縁部3410Mと、側方縁部3410Lとの間で変わり得る。更に、当業者であれば、セットのリムの各リムが同じ態様で配置される必要がないことを、認識するであろう。これは、第1のセットのリムのいくつかのリムが、第2のセットのリムの1つ以上のリムの内側に配置されることができ、同様に、第1のセットのリムのいくつかのリムが、同じパッチ構成で、第2のセットのリムの1つ以上のリムの外側に配置されることができることを意味する。
【0310】
特に、本開示の趣旨を逸脱することなく、前述のパラメータ又は変数のほとんどいずれも組み合わせられ、1つ以上のパッチ構成に調和され得る。したがって、本開示から生じ得る多くの他の構成が存在する。「ほとんどいずれも(most any)」という用語は、当業者であれば、これらのパラメータのいくつかの値に応じて、他のパラメータのいくつかは、調節できない場合があることを認識するであろうこと、及び、当業者であれば、本開示及び当業者の知識も考慮して、そのようなものを認識するであろうために使用される。
図33A~
図33Eは、本開示で特定された8つのパラメータに基づいて、様々な構成を図示するのを意図した可能性のある構成の小さなサンプルを表わす。図示された構成はそれぞれ、様々な手術と共に使用され得る。
図33Cは、ループ3444a、3444bにより提供される安定性を提供し、第1のセットのリムがパッチ3410を通ってほぼ真っ直ぐに配置されて、縁部3410S、3410Tの更なる固定を提供する構成を提供する点で、1つの特に有用な構成を表わす。更に、この構成は、(「X」構成又は形状に交差する場合と異なり)パッチ3410上に第2のセットのリムがほぼ真っ直ぐに配置されて、パッチの中間化及びリムの引っ張りの容易性を支援し、4つのリムは、望ましくない「チーズワイヤリング」の可能性を低下させ、この構成が、更なるステッチなどを含まず、更なるステッチを含むいくつかの選択肢より容易に及び/又はより素早く行うことができるため、更に特に有用である。
【0311】
パッチ又は足場構成を有する組織増強構造体2410の更に別の例示的な実施形態が、
図34A及び
図34Bに図示される。示されているように、パッチ2410は、概ね丸みを帯びた角を有する矩形状の本体を有する。あるいは、パッチ2410は、任意の形状、例えば、円形を有し得る。パッチ2410は、縫合糸2412、2416上に配置され、又は、同縫合糸と他の方法で関連付けられ得る。示されているように、パッチ2410は、幅W
P’’と実質的に等しい長さL
P’’を有し、厚みT
P’’も有する。
【0312】
当業者であれば、増強パッチ2410の長さL
P’’、幅W
P’’、厚みT
P’’の寸法は、様々な要因により決まり得ることを、認識するであろう。同要因としては、増強パッチ2410が関連付けられるフィラメントのサイズ、患者の解剖学的構造、及び行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。パッチ2210について上記提供された例示的で非限定的な寸法は、パッチ2410のサイズにも適用可能であり得、他の寸法も可能であると理解される。同様に、当業者に公知の数多くの技術が、増強パッチ2410を縫合糸2412、2416と関連付けるのに使用され得る。しかしながら、
図34A及び
図34Bは、パッチ2410を縫合糸2412、2416と関連付けるのに、縫合糸通し器2406a、2406bを使用するための1つの例示的な方法を図示する。
【0313】
図34A及び
図34Bに示されているように、縫合リム2412、2416は、パッチ2410に、パッチの中間位置2411a、2411bそれぞれで糸通しされて、パッチ2410に対して縫合糸2412、2416を、取付け前構成で固定する。図示された実施形態では、中間位置2411a、2411bは、パッチ2410の両側部、2410a、2410b間のほぼ中間に位置するが、他の位置も可能である。縫合糸2412及び2416は、2つの縫合リム2412a、2412b及び2416a、2416bそれぞれがパッチ2410の近位表面から伸びるように、パッチ2410上にステッチされ又は他の方法で糸通しされ得る。縫合リム2412a及び2416aはそれぞれ、それを通って伸びる内腔2472a及び2472bを有する中空のセルフロック機構2470a及び2470bを含む、第1の部分を有し得る。図示された実施形態では、セルフロック機構2470a、2740bは、フィンガー-トラップ様構成であるが、本明細書で提供され又は当業者に公知の他のセルフロック機構も、本開示を考慮して使用され得る。
【0314】
セルフロック機構2470a及び2470bはそれぞれ、パッチ2410の側部2410aと各ステッチ2411a及び2411bとの間に伸びる距離より短い長さを有し得る。縫合糸通し器2406a、2406bは、各セルフロック機構2470a、2470bを通って、近位ハンドル部分2408a、2408bが各中間位置2411a、2411bに近接して位置し、遠位縫合糸受容端2409a、2409bが側部2410bより側部2410aに近接して位置するように挿入され得る。縫合リム2412a、2416aは、セルフロック機構2470a、2740bから伸びる、各先導テイル2413a、2413bを有し得る。示されているように、各縫合糸2412、2416の先導テイル2413a、2413bは、パッチ2410の近位面2410pから遠位面2410dに、側部2410bより側部2410aに近接した位置で糸通しされ得る。更に、図示されているように、縫合リム2412b、2416bは、パッチ2410の近位面2410pから遠位面2410dに、側部2410aより側部2410bに近接した位置で糸通しされることにより、後端テイルを形成する。当業者であれば、本開示の趣旨を逸脱することなく、パッチ2410を縫合糸2412、2416と関連付けることができる、様々な他の様式を、認識するであろう。
【0315】
図34C~
図34Jは、軟組織片2430、例えば、回旋腱板を骨2450に、単列修復2432を使用して固定するのに役立つように、組織増強パッチ2410を取り付ける1つの例示的な方法を提供する。本明細書で提供された多くの他の方法と同様に、パッチ2410及び関連する技術は、他の種類の修復、例えば、二列修復にも使用され得る。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及び組織増強パッチが本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、
図34Cに示されているように、組織2430は、骨2450に、骨2450内に挿入されたアンカー2404に結合させた縫合糸2403を使用して固定され得る。1つの縫合糸2403及び1つのアンカー2404が示されるが、組織2430を骨2450に対して効果的に固定するために、複数が使用され得る。更に、図示された実施形態では、糸通し器及び縫合糸のうちの1つと関連付けられているコンポーネントのみが、図示された視点のために見えているが、当業者であれば、他の糸通し器及び縫合糸が類似する様式で操作され得ることを、理解するであろう。説明の容易性のために、1つのみが見えているとしても、両コンポーネントが参照される場合がある。
【0316】
組織2430が骨2450に固定されると、先導テイル2413a、2413bは、
図34Dに示されているように、組織内へ、修復の中間にステッチされ得る。図示された実施形態では、先導テイル2413a、2413bは、例えば、マットレスステッチ2442aを使用して、組織2430の内外に糸通しされる。
図34Eに示されているように、先導テイル2413aは、縫合糸通し器2406aの縫合糸受容端2409aに結合することができ、縫合糸通し器2406aは、その後に、本開示で提供されたように、先導テイル2413aをセルフロック機構2470aの内腔2472a内を前進するように操作され得る。同様の動作が、先導テイル2413bに対して、それがセルフロック機構2470bの内腔2472b内に配置されるように行われ得るが、上記示されているように、これは、図示された視点では見えない。テイル2413a、2413bの遠位端が、
図34Fに示されているように、遠位端が見え、ユーザにより掴まれることができるように、各セルフロック機構2470a、2740bを通過した後に、糸通し器2406a、2406bは、テイル2413a、2413bから外され、廃棄され及び/又は将来の使用のために準備され得る。図示された実施形態では、セルフロック機構2470a、2470bは、各先導テイル2413a、2413bが一方向のみに前進するように動作することができ、又は場合により、選択的にロック可能であることができる。
【0317】
図34Gに示されているように、オペレータは、力F
Pを、先導テイル2413a、2413bに加えて、パッチ2410をマットレスステッチ2442aに向かって前進させ得る。より具体的には、力F
Pが、先導テイル2413aに加えられると、
図34Hにおいて得られた構成により図示されているように、セルフロック機構2470aにより画定されたループ2415aが縮小させられる。類似する結果は、力F
Pが先導テイル2413bに加えられた際に生じる。
【0318】
図34Hに示されているように、パッチ2410は、修復2432がパッチ2410により覆われた場合の取付け位置である。より具体的には、図示された取付け構成は、パッチ2410の側部2410aがマットレスステッチ2442aに近接していることを示す。結果として、パッチ2410の側部2410bが体内の位置に結合した場合、パッチ2410は、示されているように伸し掛かることができ、組織2430をより固定的に保護し、組織2430と一体化する。これは、パッチ2410が伸びて、よりぴったりとしたフィット性を提供し得るためである。パッチ2410は、縫合糸2412、2416との組み合わせにおいて、1つの連続的な縫合糸又はベルトと共に動作する。同縫合糸又はベルトは、複数のステッチを使用するより、負荷を良好に共有し得る。当業者であれば、他の要因の中でも、パッチ2410の他の長さ、中間ステッチ2411a、2411bについての他の位置、及びセルフロック機構2472a、2742bの遠位端についての他の位置が、他の取付け構成を達成するのに、本開示に従って調節され得ることを、認識するであろう。あるいは、パッチ2410は、修復2432に対して中間又は所定の手術に望ましい任意の他の位置に位置し得る。
【0319】
パッチ2410の側部2410bの位置を体内に固定するための任意の数の技術が、本明細書で提供されたものを含めて、使用され得る。図示された実施形態では、パッチ2410が組織2430上に取り付けられた後に、
図34I及び
図34Jに示されているように、先導テイル2413a及び後端テイル2412bは、アンカー2460aに結合し、先導テイル2413b及び後端テイル2416bは、アンカー2460bに結合する。ついで、先導テイル2413a、2413b及び後端テイル2412b、2416bは締められて、修復に対してパッチ2410を固定することができ、その後に、アンカー2460a、2460bは、骨2450に完全に固定される。パッチ2410が体内に固定されると、パッチ2410は、概ねほとんど可撓性ではなく、又は、パッチ2410が、増強構造体に対して一般的に本願全体を通して記載された様式で保護し、治癒し得るように動かない。あるいは、後端テイル2412b、2416bは両方とも、パッチ2410に、アンカー2406a、2406bに近接する位置で固定されて、パッチが組織上を伸びるのを可能にし得る。
【0320】
代替的な方法では、
図34Kに示されているように、先導テイル2413b及び後端テイル2412aは、アンカー2460aに結合することができ、先導テイル2413a及び後端テイル2416bは、アンカー2460bに結合することができる。このような構成により、交差パターンを検討した際に上記された利益を提供し得る交差パターンが提供される。また更に代替的な実施形態では、先導テイル2413a、2413bは、それらが、それぞれセルフロック機構2470a、2470bを出る箇所に近接して切断され、後端テイル2412b、2416bのみが、アンカー2406a、2406bそれぞれに固定されるようにしてもよい。これは、特定のセルフロック機構の構成、例えば、図示されたフィンガー-トラップ様構成においては、後端テイル2412b、2416bに負荷を負わせることが可能であるためである。当業者であれば、本開示を考慮して、様々な縫合糸のサイズ及び構成が、可撓性パッチ2410を考慮して、負荷を共有するのに役立つように調節され得ることを、更に認識するであろう。
【0321】
組織増強パッチ2410は、数多くの異なる技術を使用して製造され得る。同技術は、組織増強構造体(組織増強パッチ2210、2310が挙げられるが、これらに限定されない)に関して先に上記検討されている。更に、パッチ2410は、治癒及び組織成長を促進する材料、例えば、コラーゲンなどの、パッチ2210、2310に関して上記提供された材料のいずれかから作製され得る。結果として、患者が手術から治癒している間に、パッチは、腱様組織に再構築されることができ、その下にあるネイティブな組織と一体化することができる。軟組織にわたって、腱様組織により更に覆われていることにより、軟組織対骨結合の強度を大きくすることができ、更なる傷害を防止することができる。
【0322】
パッチ又は足場構成を有する組織増強構造体2510の別の例示的な実施形態が、
図35A~
図35Dに図示される。パッチ2510は、パッチ2410の形状及びサイズに類似する形状及びサイズを有し、縫合糸2512a、2512b、2516a、2516b上に配置され又は同縫合糸と他の方法で関連付けられ得る。本開示全体を通して提供された数多くの技術が、パッチ2510を縫合糸2512a、2512b、2516a、2516bと結合させ又は他の方法で関連付けるのに使用され得る。
図35Aに示されているように、縫合糸2512a、2516aは、パッチ2510に、パッチの中間位置2511a、2511bそれぞれにおいて糸通しされて、縫合糸2512a、2516aをパッチ2510に対して固定する。中間位置2511a、2511bは、パッチ2410の同様の中間位置2411a、2411bに類似することができ、このため、上記されたのと同じ利益のいくつかをもたらすことができる。縫合糸2512a、2516aは、縫合糸2512a、2516aがパッチ2510の近位表面から伸びるように、パッチ2510上にステッチされ又は他の方法で固定され得る。縫合糸2512a、2516aの第1の部分はそれぞれ、それから伸びる内腔2572a、2572bを有する中空のセルフロック機構2570a、2570bを含み得る。図示された実施形態では、セルフロック機構2570a、2570bは、フィンガー-トラップ様構成であるが、本明細書で提供され又は当業者に公知の他のセルフロック機構も、本開示を考慮して使用され得る。
【0323】
セルフロック機構2570a、2570bは、パッチ2510の側部2510aと各中間位置2511a、2511bとの間に伸びる距離より短い長さを有し得る。縫合糸通し器2506a、2506bは、セルフロック機構2570a、2572bの各内腔2572a、2572bを通して挿入されることができ、上記された縫合糸通し器2406a、2406bと類似する様式で構成されることができる。縫合糸2512a、2516aは、示されているように、セルフロック機構2570a、2570bからそれぞれ伸び得る、先導テイル2513a、2513bを含み得る。
図35A及び
図35Bに示されているように、先導テイル2513a、2513bは、パッチ2510の近位面2510pから遠位面2510dに、パッチ2510の側部2510aに近接した位置で糸通しされる。
【0324】
後端テイルがセルフロック機構及び先導テイルを形成するのに使用されるフィラメントの一部であった組織増強構造体2410の先の実施形態とは異なり、組織増強構造体2510の後端テイルは、セルフロック機構2570a、2570b又は先導テイル2513a、2513bを形成するのに使用されるフィラメントの一部ではない別個のフィラメントである。示されているように、縫合糸2512bは、パッチ2510の側部2510bに近接した位置にマットレスステッチを含む後端テイルであり、縫合糸2516bは、側部2510bにも近接した位置に単純なステッチを含む後端テイルである。より具体的には、後端テイル2512b及び2516bはそれぞれ、パッチ2510の近位面2510pからパッチ2510の遠位面2510dに通過する。別個の先導テイル及び後端テイルを提供することにより、ユーザは、これらのテイルが独立して動作し得るために、構造体2510上での更なる制御を有し得る。この制御により、例えば、いずれかの端部2510a、2510bで生じる構造体2510の伸びを向上させ得る。特に、この実施形態では、縫合糸が組織増強構造体と関連付けられることができるため、他の実施形態では、両後端テイル2512b、2516bが、類似するステッチを使用することができる、いくつかの非限定的な方法が図示される。当業者であれば、本開示の趣旨を逸脱することなく、パッチ2510を縫合糸2512a、2512b、2516a、2516bと関連付けることができる、様々な他の様式を、認識するであろう。
【0325】
取り付けられた構成の方法により、
図35C及び
図35Dに図示された組織増強パッチ2510を取り付ける方法は、パッチ2410に関して上記された方法に類似することができ、この取り付けられた構成は、それに先立つ工程を含むことなく図示される。示されているように、パッチ2510の中間位置2511a、2511bは、組織2530の縁部に近接しており、縁部2510bは、アンカー2560a、2560bに近接して、後端テイル2512b、2516bがそれに結合し、締められる方法により配置される。あるいは、パッチ2510は、修復に対して中間又は手術に必要とされる任意の他の位置に位置し得る。
【0326】
パッチ又は足場構成を有する組織増強構造体2610の更に別の例示的な実施形態が、
図36A~
図36Iに図示される。パッチ2610は、パッチ2410及び2510の形状及びサイズと類似する形状及びサイズを有し、縫合糸2612、2616上に配置され又は同縫合糸と他の方法で関連付けられ得る。本開示全体を通して提供された数多くの技術が、パッチ2610を縫合糸2612、2616と結合させ又は他の方法で関連付けるのに使用され得る。
図36Aに示されているように、縫合リム2612、2616は、パッチに、パッチ2610の中間位置2611a、2611bそれぞれで糸通しされて、パッチ2610に対して縫合糸2612、2616を固定する。中間位置2611a、2611bは、パッチ2410の同様の中間位置2411a、2411bに類似することができ、このため、上記されたのと同じ利益のいくつかをもたらすことができる。
【0327】
縫合糸2612は、2つの縫合リム2612a、2612bがパッチ2610の近位表面2610pから伸びるように、パッチ2610上にステッチされ又は他の方法で固定され得る。縫合リム2612a及び2612bはそれぞれ、それを通って伸びる内腔2672a、2672bをそれぞれ有する中空のセルフロック機構2670a、2670bを含む、第1の部分を有し得る。図示された実施形態では、セルフロック機構2670a、2670bは、フィンガー-トラップ様構成であるが、本明細書で提供され又は当業者に公知の他のセルフロック機構も、本開示を考慮して使用され得る。
【0328】
セルフロック機構2670a、2670bは、示されているように、パッチ2610の各側部2610a、2610bと中間位置2611aとの間に伸びる距離より短い長さを有し得る。縫合糸通し器2606a、2606bは、セルフロック機構2670a、2672bの各内腔2672a、2672bを通して挿入されることができ、上記された縫合糸通し器2406a、2406bと類似する様式で構成されることができる。縫合リム2612a、2612bは、示されているように、セルフロック機構2670a、2670bからそれぞれ伸び得る、先導テイル2613a、2613bを含み得る。
図36A及び
図36Bに示されているように、先導テイル2613a、2613bは、パッチ2610の近位面2610pから遠位面2610dに、パッチ2610の各側部2610a、2610bに近接した位置で糸通しされる。
【0329】
縫合糸2616は、縫合糸2612と実質的に同じ様式で、パッチ2610上にステッチされ又は他の方法で固定されるため、縫合リム2616a、2616bと関連付けられているセルフロック機構2670c、2670dを含み得る。この場合、セルフロック機構2670c、2670dは、それから伸びる先導テイル2613c、2613dをそれぞれ有する。
図36Aに示されているように、得られたパッチ2610は、第1の軸A
1及び第2の軸A
2に関して対称であり得る。当業者であれば、本開示の趣旨を逸脱することなく、パッチ2610を縫合糸2612、2616と関連付けることができる、様々な他の様式を、認識するであろう。
【0330】
図36C~
図36Iは、軟組織片2630、例えば、回旋腱板を骨2650に、単列修復を使用して固定するのに役立つように、組織増強パッチ2610を取り付ける1つの例示的な方法を提供する。本明細書で提供された多くの他の方法と同様に、パッチ2610及び関連する技術は、他の種類の修復、例えば、二列修復にも使用され得る。外科医が手術部位にアクセスし、組織、骨、及び組織増強パッチが本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って準備されると、
図36Cに示されているように、組織2630は、骨2650に、骨2650内に挿入されたアンカー2604に結合させた縫合糸2603を使用して固定され得る。1つの縫合糸2603及び1つのアンカー2604が示されるが、組織2630を骨2650に対して効果的に固定するために、複数が使用され得る。更に、図示された実施形態では、縫合糸のうちの1つと関連付けられているコンポーネントのみが、図示された視点のために見えているが、当業者であれば、他の縫合糸及び関連するコンポーネントが類似する様式で操作され得ることを、理解するであろう。
【0331】
組織2630が骨2630に固定されると、先導テイル2613a、2613cは、
図36Cに示されているように、組織内へ、修復の中間にステッチされ得る。示されているように、先導テイル2613aは、例えば、マットレスステッチ2642aを使用して、組織2630の内外に糸通しされる。ついで、先導テイル2613aは、縫合糸通し器2606aの遠位縫合糸受容端2609aに結合することができ、縫合糸通し器2606aは、その後に、本開示で提供されたように、先導テイル2613aをセルフロック機構2670aの内腔2672a内を前進させることにより、ループ2615aを形成するように操作され得る。テイル2613aの遠位端が、遠位端が見え、ユーザにより掴まれることができるように、セルフロック機構2670aを通過した後に、
図36Dに示されているように、糸通し器2606aは、テイル2613aから外され、廃棄され及び/又は将来の使用のために準備され得る。図示された実施形態では、セルフロック機構2670aは、先導テイル2613aが一方向のみに前進するように動作することができ、又は場合により、選択的にロック可能であることができる。先導テイル2613aが、糸通し器2606cと共に、セルフロック機構2670cを通って、同様に糸通しされ得る。
【0332】
アンカー2660aは、骨2650内に挿入され、修復アンカー2604から側方にオフセットされ、縮小可能ループ2662a及びそれと関連付けられている張力テイル2664aを有し得る。張力テイル2664aは、縮小可能ループ2662aをアンカー2660aに向かって縮小させるように使用され得る。先導テイル2613cは、セルフロック機構2670cに同様に糸通しされることができ、第2の側方アンカー2660b(
図36I)及び縮小可能ループ(見えない)は、骨2650内に同様に取り付けられることができる。
【0333】
図36E及び
図36Fに示されているように、後端テイル2613bは、縮小可能ループ2662aを通ってループされ、ついで、縫合糸通し器2606bの遠位縫合糸受容端2609bに結合し得る。縫合糸通し器2606bは、その後に、本開示で提供されたように操作されて、後端テイル2613bを、セルフロック機構2670bの内腔2672b内に前進させることにより、ループ2615bを形成し得る。テイル2613bの遠位端が、遠位端が見え、ユーザにより掴まれることができるように、セルフロック機構2670bを通過した後に、
図36Fに示されているように、糸通し器2606bは、テイル2613bから外され、廃棄され及び/又は将来の使用のために準備され得る。図示された実施形態では、セルフロック機構2670bは、先導テイル2613bが一方向のみに前進し得るように動作することができ、又は場合により、選択的にロック可能であることができる。先導テイル2613dは、糸通し器2606dと共に、セルフロック機構2670dを通って、同様に糸通しされ得る。
【0334】
図36Gに示されているように、縮小可能ループ2662aは、アンカー2660aに向かって縮小させられることにより、ループ2615bの一部をアンカー2660aに向かわせ得る。後端テイル2613dは、アンカー2660bと関連付けられている縮小可能ループ(図示せず)を通って同様にループされて、
図36Iに少なくとも見られるように、縮小可能ループの一部をアンカー2660bに向かわせ得る。
【0335】
図36Hに示されているように、オペレータは、力F
Pを、先導テイル2613a、後端テイル2613b、先導テイル2613c、及び後端テイル2613dに加えて、パッチ2610を修復に向かうように前進させ得る。パッチ2410に関して記載された取付け構成に類似して、修復がパッチ2610により覆われた場合、及び、ループ2615a~2615dにおける緩みが取り除かれた際に、パッチ2610は、
図36Hに示された取り付け位置にある。このため、パッチ2610及び関連するコンポーネントの位置決めに対する調節も、パッチ2410に関して記載されたのに類似する様式で達成され得る。パッチ2610が組織2630上に取り付けられた後に、
図36H及び
図36Iに示されているように、セルフロック機構2670a~2670dから外に伸びるテイル2613a~2613dの余分な部分は、余分な材料を除去するのに切断され得る。
【0336】
組織増強パッチ送達ツール
組織増強構造体の送達及び縫合糸管理を支援するツールは、本開示でも提供される手術に関連する複雑性及び時間を減らし得る。いくつかのこのようなツールは、糸通し器及び取付けツール200’を含めて、上記で提供される。このセクションにおける開示は、パッチ又は足場と共に使用され得るいくつかの送達ツールに焦点を当てているが、当業者であれば、本開示の趣旨を逸脱することなく、本明細書で提供された多くの異なる構造体が、どのようにして本明細書で提供される様々な送達ツール及びシステムと共に使用され得るかを、認識するであろう。即ち、以下で提供される開示は、主に、パッチ又は足場と共に使用される送達ツールをまさに示しているため、他の組織増強構造体も、当業者によるいくらかの改変が異なる構成を調整するのが望ましい及び/又は必要であろう場合があっても、提供された性質の送達ツールと共に使用され得る。このような改変は、本開示及び当業者の知識を考慮して可能であろう。図示された足場を送達するためのツールとしては、構造体管理折り畳みカード(
図37A~
図37E)、構造体管理解放カートリッジ(
図38A~
図38E)、構造体管理分解可能ボックス(
図39A~
図39F)、カニューレに取り付けられるように構成されている構造体管理ボックス(
図40)、及び構造体送達挿入ツール(
図41A~
図41E及び
図42A~
図42C)が挙げられる。
【0337】
構造体管理折り畳みカードの例示的な一実施形態が、
図37A~
図37Eに図示される。
図37Aに示されているように、構造体管理折り畳みカード3520は、手術部位における埋込みのために、パッチに配置された糸通し器3509a~3509dを有するパッチ又は足場3510を固定し又は他の方法で保持し得る。カード3520は、底部パッチ固定部分3524と上部フラップ3522とを含み得る。上部フラップ3522は、示されているように、折り目3526に沿って、底部3524上に折り畳まれて、パッチ3510及び糸通し器3509a~3509dを輸送中に保護し得る。図示された実施形態では、カード3520は、パッチを保護するために、折り目による折り畳み構成を利用するが、パッチを保護するカードの多くの他の構成が、本開示の趣旨を逸脱することなく、本明細書で提供される実施形態又はそれから他の方法で導き出すことができる実施形態を含めて使用され得る。例えば、底部3524及び上部フラップ3522は、当業者に公知の任意の数の技術を使用して、1つに結合する別個の部品であり得る。カード3520は、プラスチック、厚紙、及び金属を含めて、任意の適切な材料から形成され得る。
【0338】
フィラメントをパッチ3510と関連付けるための複数の糸通し器も提供される。糸通し器は、タブ又はハンドル3508a~3508dと、それを通って取り付けられているフィラメント3507a~3507dと、フィラメントの端部におけるループ3506a~3506dとを含み得る。例えば、縫合リムは、ループと関連付けられることができ、ユーザは、フィラメント及びこのため、ループ及びそれと関連付けられている縫合リムを、タブを掴むことにより、パッチを通して引っ張ることができる。いくつかの実施形態では、糸通し器3509a~3509dは、パッチ3510を通って、縫合リム3512a、3514aがループ3540a、3540bをパッチ3510の中間縁部3510Mにおいて、
図33Cに図示されたループ3440a、3440bと同様に形成することができる様式で配置され得る。任意の数のパッチ-糸通し器及びパッチ-フィラメント構成が、構造体について可能であり、図示された実施形態では、第1の糸通し器3509aのフィラメント3507aは、パッチ3510に、パッチ3510の第1の外側縁部3510aに対してほぼ平行に配置され、第2の糸通し器3510bのフィラメント3507bは、パッチ3510に、フィラメント3510aに対してほぼ45度の角度で配置される。第3及び第4の糸通し器3510c、3510d及びその関連する縫合糸3507c、3507dは、パッチの第2の外側縁部3510bに近接して、示されたのに類似する方法で配置される。
【0339】
使用中に、
図37B~
図37Eに示されているように、外科医が手術部位に、例えば、カニューレ3590を通してアクセスし、手術部位が一般的な外科的技術に従って準備されると、縫合リム3512a、3512b、3514a、3514bは、カニューレ3590を通って、患者の外に出され得る。カードの上部フラップ3522は、パッチ3510及び縫合糸通し器3509a~3509dを露出させるために、広げることができる。上記で検討されたように、ループ3540aは、
図37Bに示されているように、まず、縫合リム3512aを第2の糸通し器3509bを通して挿入し、糸通し器を方向P1にパッチ3510の遠位面3510dから近位面3510pに引っ張ることにより形成され得る。ついで、
図37Cに示されているように、縫合リム3512aは、第1の糸通し器3509aを通って配置され、内腔(図示せず)を通って、パッチの中間縁部3510Mからパッチの側方縁部3510Lに、方向P2で前進し得る。
【0340】
図37Dに図示されているように、上部フラップ3522は、カード3520から取り除かれることができ、カード3520はひっくり返されて(turned over)、糸通し器3509c、3509dへのアクセスを提供することができる。図示された実施形態では、アクセスは、最初は、ユーザが意図せず縫合リム3512aを糸通し器3509c、3509dと関連付けるのを防止するために、第1の2つの糸通し器3509a、3509bに限られる。あるいは、カード3520は、上部フラップ3522を含まないことにより、全ての糸通し器3509a~3509dへのアクセスを同時に提供してもよい。図示された実施形態では、フラップ3522は、折り目に沿って、例えば、折り目に沿った穿孔を提供することにより取り外されるが、カード又は紙の一部分を他の部分から分離するのに当業者に公知の多くの技術が使用され得る。縫合糸3514aは、パッチ3510を通って、糸通し器3509c、3509dを使用して糸通しされ、縫合糸3512aについて提供された技術を使用して、第2のループ3540bを形成し得る。縫合リム3512a、3514aがパッチ3510内に糸通しされると、
図37Eに示されているように、パッチ3510は、底部3524から取り除かれることができ、本明細書で提供されたものを含め、一般的な外科的技術に従って、手術部位内に導入されて、修復を完了させることができる。縫合リム3512a、3514aにおける緩みは、パッチ構造体を手術部位に導入する際に形成される場合がある。縫合リム3512a、3512b、及び3514a、3514bはそれぞれ、軟組織に反転マットレスステッチ(図示せず)により配置され得る、1つの縫合糸の一部である。ループステッチ3540a、3540bは、各縫合リム3512a、3514bを、パッチに対して固定し得る。また、各ペアの縫合リム3512b、3514aの一方に力Fを加えることにより、緩みが、このペアの他方のリム3512a、3514aから、縫合糸がマットレスステッチを通って摺動するように除去され得る。このため、緩み(図示せず)は、力Fを2つの自由な縫合リム3512b、3514bに加えて、緩みを手術部位の外へ引っ張ることにより少なくなり得る。代替的な実施形態では、糸通し器3509a~3509dは、パッチ3510を通って、多くの他の構成で配置され得る。同他の構成としては、前述の構成のいずれかを形成するのに上記提供されたもの(例えば、ループの代わりにジョグを形成すること)が挙げられるが、これに限定されない。更に、パッチ3510が示されているが、任意の構造体が、有利に、
図37A~
図37Eに関して記載された性質の構造体管理カードと共に使用され得る。構造体管理折り畳みカード3520は、本明細書で提供されたように、使用又は再利用後に廃棄され得る。
【0341】
構造体管理解放カートリッジの例示的な一実施形態が、
図38A~
図38Dに図示される。示されているように、構造体管理解放カートリッジ3620は、手術部位における埋込みのために、パッチに配置される糸通し器3609a、3609bを有するパッチ又は足場3610を固定し又は他の方法で保持し得る。カートリッジ3620は、パッチ3610及びその関連する糸通し器3609a、3609bを、解放機構3660を使用してパッチ3610を露出させることにより、解放可能に固定し得る。解放機構3660は、有利に、ユーザが構造体3610を挿入する準備が整う前に、構造体3610が解放されるのを防止し得る。図示された実施形態では、カートリッジ3620は、縫合リム3612a、3612bを、構造体を通るように糸通しするように構成されている、2つの糸通し器3609a、3609bを含む。例えば、1つの糸通し器3609aは、1つの縫合リム3612aをパッチ内に糸通しするのに使用され得る。糸通し器3609aは、カートリッジ3620の第1の側部3620a上に配置されているハンドル3608aと、第3の側部3620c上に出ている縫合糸受容端3607aとを有し得る。糸通し器3609aの中間部分は、カートリッジ3620のトラック3624aに配置され得る。トラック3624aは、
図33Cのループと同様に、縫合リム3612aがパッチ3610を通って配置される際に、ループを形成するための経路を画定し得る。あるいは、1つの糸通し器又は3つ以上の糸通し器が、パッチ3610を通して配置され得る。図示された実施形態に示されているように、第2の糸通し器3610bは、カートリッジの第1の側部3620aに配置されたハンドル3608bと、第4の側部3620d上に出ている縫合糸受容端3607bとを同様に有し得る。第2の糸通し器3609bは、第2のトラック3624bに配置され得る。
【0342】
解放機構3660は、第1の側部3610aに対向し得る第2の側部3620bに近接して配置され得る。解放機構3660は、一般的には、解放ボタン3662と保持機構3664a、3664bとを含み得る。
図38Cに図示されているように、解放ボタン3662及び保持機構3664は、近位/遠位方向Dに移動するように作動され得る単一部品であり得る。一実施形態において、
図38Cに示されているように、保持機構3664a、3664bは、糸通し器又は縫合リムをカートリッジ内に保持するためのJ字型又はフック型であり得る。例えば、保持機構3664a、3664bの遠位端3665a、3665bは、ロックされた構成において、カートリッジの遠位面3620dに対して、縫合リム3612aがカートリッジ3620により保持されるように配置され得る。解放ボタン3662の作動時、保持機構3664a、3664bの遠位端3665a、3665bは、縫合リムが解放されるのを許容するために、遠位面3620dからオフセットされ得る。解放ボタン3662は、カートリッジの近位面3620p上に配置されることができ、保持機構3664a、3664bは、カートリッジの遠位面3620d上に配置されることができる。保持機構3664a、3644bは、パッチ3610をカートリッジ中に、糸通し器3609a、3609b又は縫合リム3612a、3612bを保持することにより、オペレータがパッチ3610を取り付ける準備が整うまで保持し得る。代替的な解放機構3660’が、
図38Dに図示され、方向Dに曲がって、隠れ線で示された、縫合リム3612aを解放し得る枢動可能な解放ボタン3662’を含み得る。カートリッジ3620’は、解放中に縫合糸3612a’をガイドするのを支援するように、ほぼ10度のドラフトを有する近位部分3620p’を含み得る。代替的なカートリッジ3620’は、更に、偶発的な解放を防止し得るオーバーハング3666’を含み得る。
【0343】
使用中に、第1及び第2の縫合リム3612a、3612bは、パッチ3610に、本開示全体を通して提供された技術を使用して、各糸通し器3609a、3609bのハンドル3608a、3608bに力を加えることにより糸通しされ得る。第1及び第2の縫合リム3612a、3612bが、パッチ3610内に、例えば、ループ(図示せず)を形成することにより糸通しされると、リム3612a、3612bは、カートリッジ3620中に、保持機構3664a、3664bにより保持され得る。ついで、ユーザは、解放ボタン3662を作動させ、保持機構3664a、3664bを外して、ループ及びこのためパッチ3610を、カートリッジ3620から自由にし得る。ついで、パッチ3610及び縫合リム3612a、3612bは、手術部位内を前進することができ、軟組織修復は、本開示全体を通して提供され又は当業者に公知の技術を使用して完了され得る。
【0344】
図38A~
図38Dのカートリッジ3620に類似する代替的な構造体送達カートリッジ3720は、
図38E及び
図38Fに図示される。カートリッジ3620と同様に、カートリッジ3720は、パッチ3710及び糸通し器、示されているように、糸通しトラック3724a、3724bに配置された2つの糸通し器3709a、3709bを保持し得る。解放機構3660、3660’に対する代替例において、カートリッジは、底部3720aと、上部パッチ保持部分3720bとからなる。縫合リム(図示せず)がパッチ3710内に、本開示全体を通して提供され又は当業者に公知の技術を使用し、本開示を考慮して糸通しされると、
図38Fに示されているように、カートリッジの上部パッチ保持部分3720aが、底部保持部分3720bから取り外されて、パッチ3710及び縫合リムをカートリッジ3720から解放し得る。例えば、いくつかの実施形態では、フィンガーホールド3780が、上部3720a上に配置されて、ユーザに上部3720aを底部3720bから解放するための手段を提供し得る。あるコンポーネントを別のものに取り付けるための任意の数の構成が、上部3720aの底部3720bへの解放可能な結合に使用され得る。同構成としては、任意の数のオス-メス嵌合要素が挙げられるが、これに限定されない。例えば、上部3720aは、底部3720bを保持し得る、図示されていない遠位表面上に保持リップを含み得る。あるいは、上部3720a及び底部3720bは、締り嵌めにより、解放可能に結合され得る。ついで、本開示全体を通して提供された技術を使用して、パッチ3710及び縫合リムは、手術部位内に前進することができ、軟組織修復は完了されることができる。
【0345】
図37A~
図38Fの送達ツールに関して提供され及び本開示のどこかで提供された糸通し器は、数多くの異なる構成を有し得る。
図38G及び
図38Hは、非限定的で例示的な一実施形態を提供する。示されているように、糸通し器3809は、縫合糸受容端3808を含む中間部分3810と関連付けられているハンドル3807を有する。中間部分3810は、ナイロンの可撓性より糸又は他の可撓性及び耐久性材料から製造され得る。いくつかの例では、中間部分3810は、第1の半分3810aと第2の半分3810bとを有する折り畳まれた糸(doubled over thread)から形成され得る。ハンドル部分は、ユーザが糸通し器3809を関連付けられている構造体から取り除くのを支援するために、人間工学的に設計された任意の形状を有し得る。ハンドルは、ハンドル3807を横断して伸びて、ユーザ付加グリップを提供し得る複数のリッジ3830a~3830cを含み得る。あるいは、ハンドル3807は、ハンドル上のユーザのグリップを向上させるために、任意の数のリッジ又は他の表面機構を含み得る。図示された実施形態では、ハンドル部分3807は、第1の側部3807aから第2の側部3807bに伸びる3つの内腔3804a~3804cを有する。
図38Hに示されているように、第2の側部3807b上の内腔3804a~3804cの開口3806a~3806cは、リセス3830中に形成され得る。図示されているように、内腔及び開口は、中間部分3810及びこのため、縫合糸受容端3808がハンドル部分3807と関連付けられるのを可能するのに役立つ。更に、ハンドルは、中間部分3810を保持するために、第1及び第2の内腔3804a、3804b間に形成されたノッチ3832を含み得る。
【0346】
糸通し器3809を製造するために、中間部分3810の自由端3810fを、ハンドル3807の第1の側部3807aから、第1の内腔3804aを通って、ハンドルの第2の側部3807bに通し得る。ついで、中間部分3810は、第2の内腔3804b内に、ハンドルの第2の側部3807bから通されることにより、第1のループ3812aを形成し得る。ついで、自由端3810fは、第2の内腔3804bを通って、ハンドルの第1の側部3807aに、第3の内腔3804c内を、第1の端部3807aを超えて、ハンドルの第2の側部3807bに通され得る。ついで、中間部分の自由端3810fは、第1のループ3812aを通され得る。張力が、中間部分3810の縫合糸受容端3808に加えられて、ハンドル3807を通された中間部分3810の一部を、緩みが取り除かれるまで締めることができる。緩みが取り除かれると、中間部分の自由端3810fは、ノッチ3832において、定位置にロックされ得る。ハンドル3807の第2の側部3807b上に配置された中間部分3810の一部は、緩みが取り除かれた後に、リセス中に全体が配置され得る。第1のループ3812a及び自由端3810fのロックされた部分は、任意の更なるノット又は保持機構を必要とすることなく、ノッチ3830中に配置され得る。有利に、糸通し器3809の中間部分3810は、摩擦により容易に置換えられ得る。
【0347】
構造体管理分解可能ボックス3920の例示的な一実施形態が、
図39A~
図39Fに図示される。ボックス3920は、構造体、例えば、パッチ又は足場3910を固定し、構造体が手術用縫合糸、示されているように、縫合糸3912a、3912b、3914a、3914bと容易に関連付けられ得るように構成され得る。ボックス3920は、一般的には、基部3924と、第1の上部区画3922aと、第2の上部区画3922bと、保持ボタン3926とを含み得る。ボックス3920は、パッチ3910及び1つ以上の糸通し器をその内部に保持するように構成されていることができ、図示された実施形態では、ボックス3920は、その内部に配置された2つの糸通し器3909a、3909bを有する。パッチ3910は、第1及び第2の糸通し器3909a、3909b及び2つの縫合リム3918a、3918bにより予め通され得る。パッチ3910は、ボックス3920中に、第1及び第2の上部区画3924a、3924b及びプッシュボタン3926により、最初に保持され得る。スロット3924a、3924bは、各第1及び第2の上部区画3922a、3922bの上面に沿って、ボックス3920の第1の側部3920aに近接して配置され得る。糸通し器3909a、3909bのハンドルは、ボックス3020の第2の側部3920bからアクセス可能であり得る。2つの縫合リム3918a、3918bは、各第1及び第2の上部区画3924a、3924b中に配置された固定スロット3928a、3928b中に保持され得る。保持ボタン3926は、内向きに押されて、パッチ3910をボックス中に、糸通し作業中に保持し得る。例えば、ボタン3926が作動されると、このボタンは、底部3924に保持され得る。いくつかの実施形態では、
図39Aにおける隠れ線で示されているように、保持ボタン3936は、係合していない構成において、第1及び第2の上部区画の表面を通過して上向きに伸びることができ、また、ボタン3926tの上面は、
図39Bに示されているように、第1及び第2の区画3923a、3923bの上面と同じ高さになっていてもよい。当業者であれば、多くの他の構成の分解可能ボックスが可能であるため、本開示では、1つの基部が提供されるが、2つの上部区画及び押しボタン、任意の数の基部、上部区画及び押しボタンが共に、本開示の趣旨を逸脱することなく、同じ結果を達成するのに使用され得ることを、認識するであろう。
【0348】
使用中に、
図39B~
図39Fに示されているように、4つの手術用縫合糸3912a、3912b、3914a、3914bは、外科的修復部位から、カニューレ3990(
図39D)を通って出て行き得る。第1の予め糸通しされた縫合糸3918aは、第1の上部区画3922aの第1のスロット3929aから解放され、第1の手術用縫合糸3912bに、例えば、ノット3913aを使用して固定され得る。一実施形態において、ほぼ40.0ミリメートル~60.0ミリメートルの緩みが、ノット3913aが結ばれた後に、第1の予め糸通しされた縫合糸3918aに残され得る。ついで、
図39Cに示されているように、第1の上部区画3922aは、基部3924から解放され得る。次に、例えば、ついで、第1の手術用縫合糸の先導側が、カフ機構3911a(
図39F)に、第1の予め糸通しされた縫合糸3918aにより糸通しされ得る。パッチ3910は、
図39Fに示されているように、手術部位に取り付けられると、パッチ3910の位置を固定するための手術用縫合糸3912b、3914bを保持するための、パッチ3910の上面3910tに固定される第1及び第2のカフ3911a、3911bを含み得る。ついで、第2の手術用縫合糸3912aは、
図39Dに示されているように、本開示全体を通して提供された技術を使用して、パッチ3910内に糸通し器3909aにより糸通しされ得る。ついで、このプロセスは、第3及び第4の手術用縫合糸3914a、3914bにより完了されることができ、第2の上部区画3922bは、
図39Eに示されているように取り除かれ、これらのコンポーネントは、第1の上部区画3922aの取り除きと共に記載されたのと類似する様式で動作する。手術用縫合糸3912a、3912b、3914a、3914bが各カフ3911a、3911b及びパッチ3910上に糸通しされると、保持ボタン3926は、基部3924から、ボタン3926の側部3926a、3926bに互いに反対向きの力F2、F3を加えることにより解放され得る。このため、
図39Fに示されているように、パッチ3910は、ボックス3920から解放される。ついで、本開示全体を通して提供された技術を使用して、パッチ3910及び縫合リム3912a、3912b、3914a、3914bは、手術部位内に前進することができ、軟組織修復は完了されることができる。
【0349】
代替的な実施形態では、任意の数の糸通し器が、様々な構造体管理カード、カートリッジ、及びボックスの構造を通して配置されて、本明細書で提供された開示された構造体の実施形態のいずれかを達成し得る。更に代替的な実施形態では、送達ツール、例えば、
図37A~
図40の構造体管理カード、カートリッジ、及びボックス、並びに、本明細書で提供された他の送達ツールは、カニューレ上に直接マウントされて、構造体の縫合糸を通している間に、オペレータの手を自由にすることができる。例えば、
図40は、2つの構造体保持ボタン4026a、4026bと2つの糸通し器4009a、4009bとを有する構造体カートリッジ4022を提供する。保持ボタン4026a、4026bが押し下げられて、その中に配置された構造体を、糸通し作業中に保持し得る。図示された構造体カートリッジ4022は、カニューレ4090の近位端4090pに直接、それに配置された構造体(図示せず)が手術用縫合リムにより糸通しされるが、カニューレ4090に対して固定されるようにマウントされ得る。カートリッジ4022は、任意の公知の解放可能なインターフェースを有するカニューレ4090の近位端と脱着可能に関連付けられ得る。あるいは、
図37A~
図40の構造体管理カード、カートリッジ、及びボックスなどの、本開示で提供された送達ツールのいずれかは、カニューレ4090に着脱可能にマウントされ得る。
【0350】
構造体を手術部位にカニューレ又は他の開口を通して送達するための更なるツールが、
図41A~
図41Eに図示される。上記されたように、組織増強構造体は、パッチ又は足場4110を含み得る。いくつかの実施形態では、パッチ4110は、このパッチの近位端4110pと関連付けられている2つの縫合リム4112a、4114aと、遠位端4110dと関連付けられている2つの縫合リム4112b、4114bとを含み得る。あるいは、パッチ4110は、パッチ中の各内腔(図示せず)を通って、近位端4110pから遠位端4110dに配置されている2つの縫合リムを含み得る。いくつかの実施形態では、パッチ4110は、開口4120を含むことができ、この開口は、パッチの遠位端4110dに近接して配置された孔、スロット、又はスリットを含む(が、これらに限定されない)構造体を有する。開口は、送達ツールを受容するように構成され得る。例えば、シャフト4132を有するツール4130及び遠位パッチ係合端4136が、開口4120と共に使用され得る。図示された実施形態では、ツール4130は、大腿エイマに類似する。
図41Bに示されているように、遠位パッチ係合端4136は、オフセット伸張部4137及びシェルフ4138を、ツール4130の遠位末端に含み得る。
図41Cに示された代替的な実施形態では、ツール4130’は、Gryphonアンカー挿入器(DePuy Synthes(Raynham、MA)から入手)に類似することができ、シャフト4132’の中央長手方向軸A1と実質的に、軸方向が位置合わせされた伸張部4137’を有することができる。更に代替的な実施形態では、
図41Dに示されているように、ツール4130’’は、パッチ4110における孔4120の直径より大きい最大直径を有するテーパーを有する端部4137’’を有し得る。当業者であれば、本開示を考慮して、パッチと共に使用され得る多くの他の構成のツールを認識するであろう。
【0351】
使用中に、パッチ4110は、手術部位内にツール4130又は、本明細書で提供され若しくは本開示から他の方法で導き出すことができるこのようなツールの代替的な実施形態を使用して挿入され得る。パッチ4110は、まず、遠位端4110dに挿入され得る。オフセット伸張部4137は、ツール4130が孔4120を通って前進することができないように、パッチ4110の孔4120内に、シェルフ4138がパッチ4110の表面と接触するまで、挿入され得る。ついで、ツール4130は、パッチ4110をカニューレ又は切開部位を通って前進させて、パッチ4110を手術部位内に押し込むのに使用され得る。ついで、ツール4130は、パッチ4110から外され、それを近位方向に移動させることにより、患者から取り出され得る。更なるツールは、送達ツール4130が取り除かれる間にパッチを定位置に保持するのに使用されることができ、又は代替的に、手術部位における位置は、所望の位置にパッチを保持するのに役立つように使用されることができる。当業者であれば、本開示を考慮して、パッチがどのようにして外科手術に併せてツールから外れ得るのかを、認識するであろう。ついで、パッチ4110は、本明細書で提供された技術に従って取り付けられ得る。
【0352】
更に代替的な送達ツール、記載されるように、送達ニードルツール4230が、
図42A~
図42Cに図示される。
図41A~
図41Eのツールとは対照的に、送達ニードル4230は、関連付けられたパッチ4210を下ろし又は解放するように作動し得る。送達ニードル4230は、外側スリーブ4232と、外側スリーブ4232内に摺動可能に配置された後退可能なニードル4234とを含み得る。外側スリーブ4232は、ニードル4234が摺動可能に配置され得る、スリーブ4232の最近位端4232pから最遠位端4232dに伸びる中央内腔4233を有し得る。ニードル4234のハンドル部分4236は、スリーブ4232の近位端4232pに近接することができ、ニードルの挿入端4238は、スリーブ4232の遠位端4232dに近接することができる。ニードル4234の挿入端4238は、一定の直径を有することができ、又は、図示されているように、テーパーを有することができる。ニードル4234は、スリーブ4232内に、ニードル4234がスリーブ内を近位に後退し得るように摺動可能に配置され得る。これにより、挿入端4238は、内腔4233内に全体が受容される。スリーブ4232は、ニードル4234の直径D2より大きい直径D1を有し得る。スリーブ4232及びニードル4234の直径D1、D2は、様々な要因により決まり得る。同要因としては、ツールと関連付けられるパッチの開口サイズ、患者の解剖学的構造、及び行われる手術の種類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0353】
使用中に、パッチ4210は、ツール4230を使用して、手術部位内に挿入され得る。パッチ4210は、パッチ4110に実質的に類似することができ、その遠位端4210dに開口4220を含む。パッチ4210は、まず、カニューレ又は切開部位の遠位端4210dを通って挿入され得る。
図42Bに示されているように、ニードル4234の挿入端4238は、ツール4230が孔4220を通って前進できないように、パッチ4210の孔4220内に、外側スリーブ4232の遠位端4232dがパッチ4210の表面と接触するまで、挿入され得る。ツール4230は、パッチ4210を、カニューレ又は切開部位を通って前進させて、パッチ4210を手術部位内に押し込むのに使用され得る。パッチ4210が所望の位置にあると、ユーザは、ニードル4232のハンドル4236を把持して、ニードル4232の挿入端4238をスリーブ4232に対して後退させ得る。このため、挿入端4238は、挿入端4238の最遠位端4238dがスリーブ4234中に配置されるまで、このツールがパッチ4210から外れ、患者から取り除かれるように、孔4220から取り除かれ得る。ついで、パッチ4210は、本明細書で提供された技術に従って取り付けられ得る。
【0354】
組織増強構造体-縫合糸リーダ
図43は、組織増強構造体、示されているように、縫合糸リーダ2701の別の例示的な実施形態を提供する。縫合糸リーダ2701は、縫合糸2712の遠位端上に配置され得る。縫合糸リーダは、直径D
1を有する第1のセクション2704と、直径D
2を有する第2のセクション2706とを有し得る。示されているように、D
1は、D
2より大きい。D
2のより小さい直径により、第2のセクション2706が半分に折り畳まれ、組織増強構造体の内腔を通ってより容易に引っ張られることが可能となり、一方で、手術用の第1の部分2704が、修復を完了させるのに必要な直径及び強度を有することが可能となる。縫合糸リーダ2701は、縫合糸2712と一体的であることができ、又は、縫合糸2712の最遠位端又は最近位端上に取り付けられる更なる末端キャップであることができる。縫合糸リーダ2701は、組織増強構造体の上記言及された実施形態のいずれか及び関連する方法、他の医療的処置、並びに、医療分野外への応用に使用され得る。
【0355】
当業者であれば、上述の実施形態に基づいた本開示の更なる特徴及び利点を、認識するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され、かつ説明されている内容によって限定されるものではない。更に、本明細書において提供されるシステム、装置及び方法は、一般的に外科的技術を対象としたものであるが、これらのシステム、装置及び方法の少なくとも一部のものは外科分野以外の用途において使用することができる。本明細書に引用される全ての刊行物及び参照文献はそれらの全容を参照によって本明細書に明示的に援用するものである。
【0356】
〔実施の態様〕
(1) 軟組織縫合修復システムであって、
セルフロック機構により画定された縮小可能ループを有する縫合フィラメントであって、前記セルフロック機構は、前記縫合フィラメントの長さに沿って移動することにより前記縮小可能ループのサイズを調節するように構成され、前記縫合フィラメントは、第1のテイルと第2のテイルとを更に有し、前記第1及び第2のテイルは、前記セルフロック機構に対して、前記縮小可能ループが前記セルフロック機構から伸びているのと反対側から伸びており、前記第1及び第2のテイルの少なくとも一方は、前記縫合フィラメントの長さに沿って前記セルフロック機構を移動させて、前記縮小可能ループの前記サイズを調節するために作動可能である、縫合フィラメントと、
前記縫合フィラメントに結合している組織増強タックであって、前記組織増強タックは、前記縫合フィラメントの直径より少なくとも2倍大きい直径を有する、組織増強タックと、を含む、軟組織縫合修復システム。
(2) 前記組織増強タックは、前記第1及び第2のテイルの少なくとも一方に結合しており、かつ前記セルフロック機構に対して、前記縮小可能ループとは反対側に配置されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) ガイドを更に含み、前記ガイドは、前記ガイドの近位端から前記ガイドの遠位端に伸びる内腔を有し、前記内腔は、前記縮小可能ループに結合しているアンカーを手術部位に挿入するための挿入器ツールを受容するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記ガイドの外側表面に形成されたスロットを更に含み、前記スロットは、前記ガイドの前記近位端から前記遠位端までの長さ全体に伸びており、前記スロットは、前記縫合フィラメントを受容するように構成されている、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記縮小可能ループに結合しているアンカーを更に含む、実施態様1に記載のシステム。
【0357】
(6) 前記アンカーは、トグルアンカーである、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記アンカーは、可撓性構造体から形成されている軟質アンカーであり、
前記軟質アンカーは、前記軟質アンカーが第1の長さ及び第1の直径を有する非応力下構成から、前記軟質アンカーが前記第1の長さより短い第2の長さ及び前記第1の直径より大きい第2の直径を有する応力下構成に作動可能である、実施態様5に記載のシステム。
(8) 前記第1のテイルは、前記縫合フィラメントの長さに沿って前記セルフロック機構を移動させて、前記縮小可能ループの前記サイズを調節するために作動可能であり、前記組織増強タックの位置を前記縫合フィラメントに対して固定するために、前記第2のテイルの一部により、ロックノットが形成されている、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記組織増強タックの直径は、前記縫合フィラメントの直径より少なくとも3倍大きい、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記組織増強タックは、布地、プラスチック、合成ポリマー、天然ポリマー、コラーゲン、コラーゲン足場、再構成コラーゲン、生体自家移植結合組織、生体同種移植結合組織、生体異種移植結合組織、ヒト真皮マトリックス、ブタ真皮マトリックス、ウシ真皮マトリックス、骨膜組織、心膜組織、及び筋膜のうちの少なくとも1つを含む、実施態様1に記載のシステム。
【0358】
(11) 前記組織増強タックは、コラーゲンを含む、実施態様10に記載のシステム。
(12) 外科用フィラメントの縮小可能ループに結合しているアンカーを骨に挿入することと、
前記骨に隣接する組織を通して前記縮小可能ループを配置することと、
前記外科用フィラメントの第1のテイルに張力を加えて、前記縮小可能ループを縮小させることにより、前記外科用フィラメントに結合している組織増強タックを、前記組織及び前記骨に向かって引っ張り、前記組織増強タックにより前記組織に力を加えて、前記骨に向かって前記組織が引っ張られるようにすることであって、前記組織増強タックは、縫合フィラメントの直径より少なくとも2倍大きい直径を有する、ことと、
前記組織増強タックの位置を前記骨に対してロックして、前記組織の位置を前記骨に対して固定することと、を含む、外科的方法。
(13) ガイドの遠位端を前記組織に隣接させて配置することを更に含み、
外科用フィラメントの縮小可能ループに結合しているアンカーを骨に挿入することは、前記アンカーを前記ガイドに通過させることを更に含む、実施態様12に記載の外科的方法。
(14) 前記ガイドを通してパンチを前進させて、前記組織に孔を形成することを更に含み、
前記骨に隣接する組織を通して前記縮小可能ループを配置することは、前記縮小可能ループを前記組織の前記孔に通過させることを更に含む、実施態様13に記載の外科的方法。
(15) 前記ガイドを通して前記パンチを前進させて、前記骨に孔を形成することを更に含み、
外科用フィラメントの縮小可能ループに結合しているアンカーを骨に挿入することは、前記アンカーを前記骨の前記孔に挿入することを更に含む、実施態様14に記載の外科的方法。
【0359】
(16) 前記方法の実行中における前記縫合フィラメントの管理を補助するように、前記縮小可能ループの一部を前記ガイドの外側表面に形成されたスロットに挿入することを更に含む、実施態様13に記載の外科的方法。
(17) 前記外科用フィラメントの前記第1のテイルに張力を加えて、前記縮小可能ループを縮小させる前に、前記ガイドを取り外す、実施態様13に記載の外科的方法。
(18) 前記アンカーをトグル留めして、前記アンカーの位置を前記骨に対して固定することを更に含む、実施態様12に記載の外科的方法。
(19) 前記アンカーは、可撓性構造体から形成されている軟質アンカーであり、
前記方法は、前記アンカーを非応力下構成から応力下構成に作動させて、前記アンカーの位置を前記骨に対して固定することを更に含む、実施態様12に記載の外科的方法。
(20) 前記組織増強タックの直径は、前記縫合フィラメントの直径より少なくとも3倍大きい、実施態様12に記載の方法。
【0360】
(21) 前記組織増強タックは、布地、プラスチック、合成ポリマー、天然ポリマー、コラーゲン、コラーゲン足場、再構成コラーゲン、生体自家移植結合組織、生体同種移植結合組織、生体異種移植結合組織、ヒト真皮マトリックス、ブタ真皮マトリックス、ウシ真皮マトリックス、骨膜組織、心膜組織、及び筋膜のうちの少なくとも1つを含む、実施態様12に記載の外科的方法。
(22) 前記タックは、コラーゲンを含む、実施態様21に記載の外科的方法。