(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】ラミネート型二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20221108BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20221108BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20221108BHJP
H01M 50/198 20210101ALN20221108BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/184 C
H01M50/105
H01M10/0585
H01M50/198
(21)【出願番号】P 2018186134
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 浩也
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-154760(JP,A)
【文献】国際公開第2001/056093(WO,A1)
【文献】特開2011-210707(JP,A)
【文献】特開2016-171035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/39
H01M50/10-50/198
H01G11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層及び前記金属層に積層されたシーラント層を含む外装材を用いて形成されたラミネート外装体と、
複数の電極を有し、前記ラミネート外装体に収容された電極体と、を備え、
前記ラミネート外装体は、対向して配置された外装材が溶着されている線状の溶着部を有し、
前記ラミネート外装体の前記溶着部での厚みは、前記溶着部の長手方向における両端部分において、前記両端部分の間に位置する部分よりも厚くなっており、
前記ラミネート外装体の前記溶着部の前記両端部分での前記シーラント層の合計厚みは、前記ラミネート外装体の前記溶着部の前記両端部分の間に位置する或る部分での前記シーラント層の合計厚みの二倍以上となっている、ラミネート型二次電池。
【請求項2】
前記溶着部は、前記両端部分において、ラミネート外装体の縁部に接続している、請求項
1に記載のラミネート型二次電池。
【請求項3】
前記ラミネート外装体の前記溶着部での厚みは、前記両端部分において、最大となる、請求項
1又は2に記載のラミネート型二次電池。
【請求項4】
前記ラミネート外装体は、前記溶着部と交差して線状に延び且つ対向して配置された外装材が溶着されている線状の第2溶着部を更に有し、
前記ラミネート外装体の前記溶着部での厚みは、前記第2溶着部と交差する重複部分よりも、前記重複部分と前記ラミネート外装体の縁部との間に位置する端部分において、厚くなっている、請求項
1~3のいずれか一項に記載のラミネート型二次電池。
【請求項5】
金属層及び前記金属層に積層されたシーラント層を含む外装材を用いて形成されたラミネート外装体と、
複数の電極を有し、前記ラミネート外装体に収容された電極体と、を備え、
前記ラミネート外装体は、対向して配置された外装材が溶着されている線状の溶着部を有し、
前記ラミネート外装体の前記溶着部での厚みは、前記溶着部の長手方向における両端部分において、前記両端部分の間に位置する部分よりも厚くなっており、
前記ラミネート外装体は、前記溶着部と交差して線状に延び且つ対向して配置された外装材が溶着されている線状の第2溶着部を更に有し、
前記ラミネート外装体の前記溶着部での厚みは、前記第2溶着部と交差する重複部分よりも、前記重複部分と前記ラミネート外装体の縁部との間に位置する端部分において、厚くなっており、
前記ラミネート外装体の前記端部分での厚みは、前記ラミネート外装体の前記重複部分での厚みの二倍以上となっている
、ラミネート型二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート型二次電池及びラミネート型二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ラミネート外装体に電池要素(電極体)が封止されることで製造されたラミネート型二次電池が広く利用に供されている。ラミネート外装体は、通常、例えばアルミニウムなどの薄い金属層と、この金属層上に積層されたシーラント層と、を有する外装材を用いて作製される。一枚の外装材を折り返すことにより又は二枚の外装材を積層することにより互いに対向して配置された外装材を加熱して溶着することで、電池要素を密閉するラミネート外装体が得られる。
【0003】
ラミネート外装体を形成するようになる対向した配置された外装材は、シーラント層が互いに対面するようにして、配置される。シーラント層は、通常、熱可塑性を有する樹脂を含んでいる。ヒートバーを外装材に接触させて当該外装材を加熱することで、対面する二つのシーラント層が溶着し、積層された二つの外装材を接合(シール)することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2014-517458号公報
【文献】特開2017-130374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ヒートバーを用いて外装材を溶着する際、ラミネート外装体の周縁部から溶融したシーラント材が漏れ出してヒートバーに付着することがある。ヒートバーに付着したシーラント材は、その後に処理対象となるラミネート外装体に付着して、このラミネート外装体を汚してしまう。このような不具合を回避するためには、都度、ヒートバーに付着したシーラント材を除去する必要がある。このようなヒートバーの清掃作業は、ラミネート型二次電池の生産性を著しく害することになる。
【0006】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、ラミネート型二次電池の生産性改善を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるラミネート型二次電池の製造方法は、
金属層及び前記金属層に積層されたシーラント層を含む外装材を用いて形成されたラミネート外装体と、前記ラミネート外装体内に配置された電極体と、を有するラミネート型二次電池を製造する方法であって、
前記電極体を収容する前記ラミネート外装体の前記外装材が対向して配置されている部分にヒートバーを接触させて対向して配置された外装材を溶着する工程を備え、
前記ヒートバーは、前記ラミネート外装体の周縁部の内側に位置する接触領域に接触する。
【0008】
本発明によるラミネート型二次電池の製造方法において、前記接触領域は、前記ラミネート外装体の周縁部から0.5mm以上離間していてもよい。
【0009】
本発明によるラミネート型二次電池の製造方法は、
前記ラミネート外装体の第2接触領域にヒートバーを接触させて対向して配置された外装材を溶着する工程を、更に備え、
前記第2接触領域の長手方向における一方の端縁は前記接触領域内に位置する、又は、前記接触領域の長手方向における一方の端縁は前記第2接触領域内に位置するようにしてもよい。
【0010】
本発明によるラミネート型二次電池の製造方法において、
前記接触領域と前記第2接触領域との重複領域は、前記接触領域の長手方向において、前記接触領域の前記長手方向に沿った前記第2接触領域の幅の2/5以上の長さを有し、
前記重複領域は、前記第2接触領域の長手方向において、前記第2接触領域の前記長手方向に沿った前記接触領域の幅の2/5以上の長さを有するようにしてもよい。
【0011】
本発明によるラミネート型二次電池の製造方法は、
前記ラミネート外装体の第3接触領域にヒートバーを接触させて対向して配置された外装材を溶着する工程を、更に備え、
前記第3接触領域の長手方向における一方の端縁は前記接触領域内に位置する、又は、前記接触領域の長手方向における他方の端縁は前記第3接触領域内に位置するようにしてもよい。
【0012】
本発明によるラミネート型二次電池の製造方法において、
前記ラミネート外装体は、平面視において矩形形状を有しており、
前記接触領域、第2接触領域及び前記第3接触領域は、前記矩形形状の互いに異なる三つの縁部のそれぞれに沿って直線状に延びていてもよい。
【0013】
本発明によるラミネート型二次電池は、
金属層及び前記金属層に積層されたシーラント層を含む外装材を用いて形成されたラミネート外装体と、
複数の電極を有し、前記ラミネート外装体に収容された電極体と、を備え、
前記ラミネート外装体は、対向して配置された外装材が溶着されている線状の溶着部を有し、
前記ラミネート外装体の前記溶着部での厚みは、前記溶着部の長手方向における両端部分において、前記両端部分の間に位置する部分よりも厚くなっている。
【0014】
本発明によるラミネート型二次電池において、前記溶着部は、前記両端部分において、ラミネート外装体の縁部に接続していてもよい。
【0015】
本発明によるラミネート型二次電池において、前記ラミネート外装体の前記溶着部の前記両端部分での前記シーラント層の合計厚みは、前記ラミネート外装体の前記溶着部の前記両端部分の間に位置する或る部分での前記シーラント層の合計厚みの二倍以上となっていてもよい。
【0016】
本発明によるラミネート型二次電池において、前記ラミネート外装体の前記溶着部での厚みは、前記両端部分において、最大となるようにしてもよい。
【0017】
本発明によるラミネート型二次電池において、
前記ラミネート外装体は、前記溶着部と交差して線状に延び且つ対向して配置された外装材が溶着されている線状の第2溶着部を更に有し、
前記ラミネート外装体の前記溶着部での厚みは、前記第2溶着部と交差する重複部分よりも、前記重複部分と前記ラミネート外装体の縁部との間に位置する端部分において、厚くなっていてもよい。
【0018】
本発明によるラミネート型二次電池において、前記ラミネート外装体の前記端部分での厚みは、前記ラミネート外装体の前記重複部分での厚みの二倍以上となっていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ヒートバーへのシーラント材の付着を抑制することでラミネート型二次電池の生産性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、ラミネート型二次電池を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のラミネート型二次電池の内部をラミネート外装体や絶縁体等を除去して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のラミネート型二次電池の電極板および絶縁体の積層構造を説明するための縦断面斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1のラミネート型二次電池の電極板および絶縁体を示す上面図である。
【
図5】
図5は、
図1のラミネート型二次電池の幅方向に沿った断面を示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、
図1のラミネート型二次電池の取出方向に沿った断面を示す部分縦断面図である。
【
図7】
図7は、
図1のラミネート型二次電池を示す平面図であって、ヒートバーによる接触領域と溶着部とを説明するための図である。
【
図8】
図8は、
図1のラミネート型二次電池の製造方法を説明するための図であって、溶着部の形成工程を示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図7の拡大図であって、第1接触領域と第2接触領域との位置関係を説明するための図である。
【
図10】
図10は、
図9に対応する図であって、第1接触領域と第2接触領域との位置関係の一変形例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、
図9に対応する図であって、第1接触領域と第2接触領域との位置関係の他の変形例を説明するための図である。
【
図12】
図12は、
図9に対応する図であって、第1接触領域と第2接触領域との位置関係の更に他の変形例を説明するための図である。
【
図13】
図13は、
図9に対応する図であって、第1接触領域と第2接触領域との位置関係の更に他の変形例を説明するための図である。
【
図14】
図14は、
図9のXIV-XIV線に沿った断面図であって、ラミネート外装体の厚みについて説明するための図である。
【
図15】
図15は、実施例に係るラミネート型二次電池を模式的に示す平面図である。
【
図16】
図16は、
図8に対応する図であって、ラミネート型二次電池の従来の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0022】
図1~
図14は、本発明の一実施の形態を説明するための図である。
【0023】
以下に説明する一実施の形態において、ラミネート型二次電池1は、ラミネート外装体40と、ラミネート外装体40内に収容された電極体5と、電極体5に接続されてラミネート外装体40の内部から外部へと延び出したタブ3と、を有している。このうちラミネート外装体40は、互いに対向するように配置された外装材41の周縁を溶着することによって形成されている。すなわち、ラミネート外装体40の周縁に、外装材41の二つの対向する部分41A,41Bを溶着(接着)してなる溶着部MJ1,MJ2,MJ3が設けられている。タブ3は、外装材41の二つの部分41A,41Bの間を通過して、ラミネート外装体40の内部から外部へと延び出している。電極体5は、交互に積層された第1電極板10及び第2電極板20と、第1電極板10及び第2電極板20の間に位置する絶縁体30と、を有している。
【0024】
以下において、ラミネート型二次電池1が積層型リチウムイオン二次電池を構成する例について説明する。この例において、第1電極板10は正極板10Xを構成し、第2電極板20は負極板20Yを構成するものとする。ただし、以下に説明する作用効果の記載からも理解され得るように、ここで説明する一実施の形態は、リチウムイオン二次電池に限定されることなく、リチウムイオン以外の二次電池にも適用することができ、さらには積層型二次電池に限られることなく、巻回型二次電池にも適用することができる。すなわち、本実施の形態は、電極体5をラミネート外装体40内に収容してなるラミネート型二次電池1に広く適用され得る。
【0025】
まず、ラミネート外装体40の構成について説明する。ラミネート外装体40は、電極体5を封止するための包装材である。
図1、
図5及び
図6に示すように、ラミネート外装体40は、互いに対向して配置されるようになる外装材41を有している。ラミネート外装体40は、二枚の別体の外装材41を含むようにしてもよいし、図示された例のように一枚の外装材41を折り返して互いに対向する外装材41の第1部分41A及び第2部分41Bを含むようにしてもよい。外装材41は、金属層44と、金属層44に積層されたシーラント層45と、を有している(
図5及び
図6参照)。金属層44は、高いガスバリア性と成形加工性を有することが好ましい。
【0026】
金属層44をなす材料としては、外部からの水分の侵入を防ぎつつラミネート型二次電池全体の強度を向上させるものであれば特に限定されないが、水分遮断性と重量ならびにコストの面から公知の金属、金属酸化物、金属窒化物及びこれらの合金を用いることができ、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等が好ましく、アルミニウムを特に好ましく用いることができる。電池全体の強度が確保できるのであれば、金属箔の代わりに蒸着やスパッタリングなどにより金属層を設けても良い。
【0027】
シーラント層45は、絶縁性を有しており、ラミネート外装体40内に収容する電極板10,20と金属層44との短絡を防止する。また、シーラント層45は、絶縁性に加えて、熱可塑性(接着性)を有している。外装材41の第1部分41A及び第2部分41Bは、シーラント層45が互いに対面するようにして積層されている。ラミネート外装体40の周縁部ceのうちの外装材41が折り返している折り返し部RP以外において、外装材41の第1部分41A及び第2部分41Bは互いに溶着されている。さらに、外装材41の第1部分41A及び第2部分41Bの間に、電極体5の収容空間RSが形成される。ラミネート外装体40は、電極体5及び電解液をその収容空間RSに密閉する。シーラント層45は、電解液にも接触することから、耐薬品性を有していることが好ましい。このようなシーラント層45の材料として、ポリオレフィン系樹脂、具体的には、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、低密度ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニルを用いることができる。
【0028】
図示された例において、外装材41の第1部分41Aは、板状の部材となっている。一方、外装材41の第2部分41Bは、カップ状に形成されている。第2部分41Bは、カップ状の膨出部42aと、膨出部42aに接続した鍔部42bと、を有している。鍔部42bは、膨出部42aを周状に取り囲み、膨出部42aの周縁と接続している。鍔部42bは、第1部分41Aと第2部分41Bとの間の収容空間RSを密閉するように、第2部分41Bと溶着している。膨出部42aは、例えば絞り加工によって製造されてもよいし、柔軟性を有した外装材41が電極体5に応じて変形してなる部分であってもよい。
【0029】
ただし、以上の例に限られず、ラミネート外装体40は、二枚の外装材を有するようにしてもよい。ラミネート外装体40の周縁部ceとなる位置において、二枚の外装材を周状に溶着することで、密閉された収容空間RSを形成することができる。
【0030】
タブ3は、ラミネート型二次電池1における端子として機能する。電極体5の正極板10X(第1電極板10)に一方のタブ3が電気的に接続し、電極体5の負極板20Y(第2電極板20)に他方のタブ3が電気的に接続している。タブ3は、アルミニウム、ニッケル、ニッケルメッキ銅等を用いて形成され得る。一対のタブは、ラミネート外装体40の内部から、ラミネート外装体40の外部へと延び出している。図示された例において、タブ3は、電極体5から引出方向dxに沿ってラミネート外装体40外まで引き出されている。
【0031】
なお、ラミネート外装体40とタブ3との間は、タブ3が延び出す領域において、封止されている。具体的には、
図1や
図6に示すように、タブ3とラミネート外装体40との間にシール材4が設けられている。シール材4は、タブ3とラミネート外装体40との間を封止して、ラミネート外装体40の収容空間RSを密閉する。また、シール材4は、接着性を有しており、タブ3とラミネート外装体40とを接合する。
図6によく示されているように、電極板10,20の積層方向dzにおけるタブ3の両側にシール材4が、それぞれ設けられている。
【0032】
図7によく示されているように、図示されたラミネート型二次電池1において、ラミネート外装体40は、平面視において矩形形状を有している。図示されたラミネート外装体40は、タブ3が延出する引出方向dxに長手方向を有し、引出方向dxに垂直な幅方向dyに短手方向を有している。したがって、ラミネート外装体40は、周縁部ceとして、引出方向dxに平行な一対の長縁部(第1縁部e1及び第4縁部e4)と、幅方向dyに平行な一対の短縁部(第2縁部e2及び第3縁部e3)と、を有している。このうち、第4縁部e4は、外装材41を折り返してなる折り返し部RPとなっている。また、ラミネート外装体40は、第1縁部e1に沿って直線状に延びる第1溶着部MJ1と、第2縁部e2に沿って直線状に延びる第2溶着部MJ2と、第3縁部e3に沿って直線状に延びる第3溶着部MJ3と、を有している。各溶着部MJ1,MJ2,MJ3において、互いに対向して配置された外装材41が溶着している。第2溶着部MJ2は、その両端部において第1溶着部MJ1及び折り返し部RPに接続している。同様に、第3溶着部MJ3は、その両端において、第1溶着部MJ1及び折り返し部RPに接続している。溶着部MJ1,MJ2,MJ3及び折り返し部RPによって、収容空間RSが区画され密閉されている。
【0033】
次に、電極体5について、図示された具体例を主として参照しながら、説明する。電極体5は、正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)と、正極板10X及び負極板20Yの間に位置する絶縁体30と、を有している。このうち、まず、正極板10X及び負極板20Yについて説明する。
【0034】
図2、
図3,
図5及び
図6に示すように、電極体5は、複数の正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)を有している。正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)は、一つのラミネート外装体40内に、例えば、それぞれ10枚以上、或いはそれぞれ15枚以上、或いはそれぞれ20枚以上含まれている。正極板10X及び負極板20Yは、積層方向dzに沿って交互に配列されている。電極体5及びラミネート型二次電池1は、全体的に偏平形状を有し、積層方向dzへの厚さが薄く、積層方向dzに直交する引出方向dx及び幅方向dyに広がっている。
【0035】
なお、図面間での方向関係を明確化するため、いくつかの図面には、引出方向dx、幅方向dy及び積層方向dzを図面間で共通する方向として示している。
【0036】
図示された非限定的な例において、正極板10X及び負極板20Yは、長方形形状の外輪郭を有している。正極板10X及び負極板20Yは、積層方向dzに直交する引出方向dxに長手方向を有し、積層方向dz及び引出方向dxの両方に直交する幅方向dyに短手方向を有する。
図2及び
図4に示すように、正極板10X及び負極板20Yは、引出方向dxにずらして配置されている。より具体的には、複数の正極板10Xは、引出方向dxにおける一側(
図2の左下側及び
図4の左側)に寄って配置され、複数の負極板20Yは、引出方向dxにおける他側(
図2の右上側及び
図4の右側)に寄って配置されている。正極板10X及び負極板20Yは、引出方向dxにおける中央において、積層方向dzに重なり合っている。なお、
図2では、絶縁体30の図示を省略している。
【0037】
正極板10X(第1電極板10)は、図示するように、シート状の外形状を有している。正極板10X(第1電極板10)は、正極集電体11X(第1電極集電体11)と、正極集電体11X上に設けられた正極活物質層12X(第1電極活物質層12)と、を有している。リチウムイオン二次電池において、正極板10Xは、放電時にリチウムイオンを放出し、充電時にリチウムイオンを吸蔵する。
【0038】
正極集電体11Xは、互い対向する第1面11a及び第2面11bを主面として有している。正極活物質層12Xは、正極集電体11Xの第1面11a及び第2面11bの少なくとも一方の面上に形成される。具体的には、正極集電体11Xの第1面11a又は第2面11bが、電極体5に含まれる電極板10,20のうちの積層方向dzにおける最外方に位置する場合、正極集電体11Xの最外方側となる面には正極活物質層12Xが設けられない。この正極集電体11Xの位置に依存した正極活物質層12Xの有無を除き、ラミネート型二次電池1に含まれる複数の正極板10Xは、正極集電体11Xの両側に正極活物質層12Xを有し、互いに同一に構成され得る。
【0039】
正極集電体11X及び正極活物質層12Xは、ラミネート型二次電池1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、正極集電体11Xは、アルミニウム箔によって形成され得る。正極活物質層12Xは、例えば、正極活物質、導電助剤、バインダーとなる結着剤を含んでいる。正極活物質層12Xは、正極活物質、導電助剤及び結着剤を溶媒に分散させてなる正極用スラリーを、正極集電体11Xをなす材料上に塗工して固化させることで、作製され得る。正極活物質として、例えば、一般式LiMxOy(ただし、Mは金属であり、x及びyは金属Mと酸素Oの組成比である)で表される金属酸リチウム化合物が用いられる。金属酸リチウム化合物の具体例として、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等が例示され得る。導電助剤としては、アセチレンブラック等が用いられ得る。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン等が用いられ得る。
【0040】
図4に示すように、正極集電体11X(第1電極集電体11)は、第1端部領域a1及び第1電極領域b1を有している。正極活物質層12X(第1電極活物質層12)は、正極集電体11Xの第1電極領域b1のみに配置されている。第1端部領域a1及び第1電極領域b1は、引出方向dxに配列されている。第1端部領域a1は、第1電極領域b1よりも引出方向dxにおける外側(
図4における左側)に位置している。複数の正極集電体11Xは、
図6に示すように、第1端部領域a1において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合され、電気的に接続している。図示された例では、一つのタブ3が、第1端部領域a1において正極集電体11Xに電気的に接続している。タブ3は、電極体5から引出方向dxに延び出している。一方、
図4に示すように、第1電極領域b1は、負極板20Yの後述する負極活物質層22Yに対面する領域内に位置している。そして、
図5に示すように、幅方向dyに沿った正極板10Xの幅は、幅方向dyに沿った負極板20Yの幅よりも狭くなっている。このような第1電極領域b1の配置により、正極活物質層12Xからのリチウムの析出を防止することができる。
【0041】
次に、負極板20Y(第2電極板20)について説明する。負極板20Yも、正極板10Xと同様に、シート状の外形状を有している。負極板20Y(第2電極板20)は、負極集電体21Y(第2電極集電体21)と、負極集電体21Y上に設けられた負極活物質層22Y(第2電極活物質層22)と、を有している。リチウムイオン二次電池において、負極板20Yは、放電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時にリチウムイオンを放出する。
【0042】
負極集電体21Yは、互い対向する第1面21a及び第2面21bを主面として有している。負極活物質層22Yは、負極集電体21Yの第1面21a及び第2面21bの少なくとも一方の面上に形成される。具体的には、負極集電体21Yの第1面21a又は第2面21bが、電極体5に含まれる電極板10,20のうちの積層方向dzにおける最外方に位置する場合、負極集電体21Yの最外方側となる面には負極活物質層22Yが設けられない。この負極集電体21Yの位置に依存した負極活物質層22Yの有無を除き、ラミネート型二次電池1に含まれる複数の負極板20Yは、負極集電体21Yの両側に負極活物質層22Yを有し、互いに同一に構成され得る。
【0043】
負極集電体21Y及び負極活物質層22Yは、ラミネート型二次電池1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、負極集電体21Yは、例えば銅箔によって形成される。負極活物質層22Yは、例えば、炭素材料からなる負極活物質、及び、バインダーとして機能する結着剤を含んでいる。負極活物質層22Yは、例えば、炭素粉末や黒鉛粉末等からなる負極活物質とポリフッ化ビニリデンのような結着剤とを溶媒に分散させてなる負極用スラリーを、負極集電体21Yをなす材料上に塗工して固化することで、作製され得る。
【0044】
図4に示すように、負極集電体21Y(第2電極集電体21)は、第2端部領域a2及び第2電極領域b2を有している。負極活物質層22Y(第2電極活物質層22)は、負極集電体21Yの第2電極領域b2に配置されている。第2端部領域a2及び第2電極領域b2は、引出方向dxに配列されている。第2端部領域a2は、第2電極領域b2よりも引出方向dxにおける外側(
図4における右側)に位置している。複数の負極集電体21Yは、第2端部領域a2において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合され、電気的に接続している。一つのタブ3が、第2端部領域a2において負極集電体21Yに電気的に接続することができる。タブ3は、電極体5から引出方向dxに延び出している。
【0045】
既に説明したように、正極板10Xの第1電極領域b1は、負極板20Yの第2電極領域b2に対面する領域の内側に位置している(
図4参照)。すなわち、第2電極領域b2は、正極板10Xの正極活物質層12Xに対面する領域を内包する領域に広がっている。
図5に示すように、幅方向dyに沿った負極板20Yの幅は、幅方向dyに沿った正極板10Xの幅よりも広くなっている。
【0046】
次に、絶縁体30について説明する。絶縁体30は、正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)の間に位置する。絶縁体30は、正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)の接触による短絡を防止する。絶縁体30は、大きなイオン透過度(透気度)、所定の機械的強度、および、電解液、正極活物質、負極活物質等に対する耐久性を有していることが好ましい。このような絶縁体30として、例えば、絶縁性の材料によって形成された多孔質体や不織布等を用いることができる。ラミネート外装体40内には、電極体5とともに電解液が封入される。電解液が、多孔質体や不織布からなる絶縁体30に含浸することで、電極板10,20の電極活物質層12,22に電解液が接触した状態に維持される。
【0047】
図示された例では、単一の絶縁体30が、積層方向dzに隣り合う任意の二つの電極板10,20の間に位置している。絶縁体30は、折り曲げ可能なシート状の部材である。絶縁体30は、互いに対向する一対の主面として、第1面30a及び第2面30bを有している。
図3や
図5に示すように、絶縁体30は、幅方向dyで交互に逆向きに折り返すことで、積層方向dzに隣り合う正極板10Xおよび負極板20Yの間を順に延びている。絶縁体30は、幅方向dyにおける一側で折り返す第1折り返し部31と、幅方向dyにおける一側とは逆側となる他側で折り返す第2折り返し部32と、を有している。すなわち、絶縁体30は、つづら折り形状となっている。ただし、本実施の形態において、絶縁体30は、つづら折り形状となっている必要はなく、枚葉状の絶縁体30が、正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)の間に配置され、正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)を絶縁するようにしてもよい。
【0048】
図4に示すように、平面視において、絶縁体30は、正極板10Xの正極活物質層12Xの全領域を覆うように広がっている。したがって、
図5に示すように、幅方向dyにおける絶縁体30の幅は、幅方向dyにおける正極板10Xの幅よりも広くなっている。また、引出方向dxにおける絶縁体30の長さは、引出方向dxにおける正極活物質層12Xの長さよりも長くなっている。
【0049】
同様に、
図4に示すように、平面視において、絶縁体30は、負極板20Yの負極活物質層22Yの全領域を覆うように広がっている。すなわち、幅方向dyにおける絶縁体30の幅は、幅方向dyにおける負極板20Yの幅よりも広くなっている。また、引出方向dxにおける絶縁体30の長さは、引出方向dxにおける負極活物質層22Yの長さよりも長くなっている。
【0050】
以上のような絶縁体30として、樹脂性多孔フィルムを用いることができる。より具体的には、絶縁体30として、融点が80~140℃程度の熱可塑性樹脂からなる多孔フィルムを用いることができる。熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂を採用することができる。
【0051】
また、絶縁体30が、基材層と、基材層に積層された機能層と、を有するようにしてもよい。このような構成によれば、正極板10Xに対面する絶縁体30の第1面30aと、負極板20Yに対面する絶縁体30の第2面30bとが、異なる性質を有するようにすることができる。例えば、大面積で電解液の乾きが生じ易い負極板20Yに、空孔率の大きい機能層が対面するようにし、正極板10Xに基材層が対面するようにしてもよい。また、別の例として、昇温し易い正極板10Xに、耐熱性に優れた機能層が対面するようにし、負極板20Yに基材層が対面するようにしてもよい。基材層として、例えば、直前に説明した樹脂製多孔フィルムを用いることができる。機能層として、例えば、無機材料を含む層を採用することができる。無機材料により、優れた耐熱性、例えば150°以上の耐熱性を機能層に付与することができる。このような無機材料として、セルロース及びその変成体、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の繊維状物や粒子状物を例示することができ、このような無機材料を用いることによって、基材層よりも高い空孔率を機能層に付与することも可能となる。
【0052】
次に、以上のような構成からなるラミネート型二次電池1の製造方法について説明する。
【0053】
まず、正極板10X及び負極板20Yと、正極板10X及び負極板20Yを絶縁する絶縁体30と、を積層してなる電極体5を作製する。正極板10X、負極板20Yおよび絶縁体30は、上述した材料および製造方法により作製することができる。次に、作製された正極板10X、負極板20Yおよび絶縁体30を、正極板10X及び負極板20Yとの間に絶縁体30が位置するように、積層する。これにより、電極体5が得られる。その後、複数の正極板10Xの正極集電体11Xを互いに電気的に接続するとともに、さらにタブ3とも電気的に接続する。同様に、複数の負極板20Yの負極集電体21Yを互いに電気的に接続するとともに、さらにタブ3とも電気的に接続する。
【0054】
次に、ラミネート外装体40を構成するようになる外装材41を準備する。外装材41を折り返し部RPで折り返すことによって、外装材41の第1部分41A及び第2部分41Bが対面するようにする。折り返された外装材41において、シーラント層45が内側に位置するようにする。次に、第1部分41A及び第2部分41Bの間に、電極体5を配置する。このとき、
図7に示すように、各タブ3が第1外装材41の第1部分41Aと第2部分41Bとの間から延び出すようにする。
【0055】
なお、外装材41の第2部分41Bとなる領域に、例えば絞り加工によって、予め膨出部42aを形成しておいてもよい。この例では、電極体5を膨出部42aに収容する。
【0056】
次に、外装材41の第1部分41A及び第2部分41Bの間に電極体5が配置された状態において、膨出部42aを三方から取り囲む位置において、外装材41の第1部分41A及び第2部分41Bを溶着する。図示された例では、互いに対向する第1部分41A及び第2部分41Bを溶着することで、三つの溶着部MJ1~MJ3を順に形成していく。
【0057】
第1溶着部MJ1は、ラミネート外装体40の第1縁部e1に沿って形成される。第1溶着部MJ1は、引出方向dxに沿って直線状に延びている。図示された例において、第1溶着部MJ1は、引出方向dxに対向するラミネート外装体40の一対の縁部、すなわち、第2縁部e2及び第3縁部e3に接続している。
【0058】
第2溶着部MJ2は、ラミネート外装体40の第2縁部e2に沿って形成される。第2溶着部MJ2は、幅方向dyに沿って直線状に延びている。図示された例において、第2溶着部MJ2は、幅方向dyに対向するラミネート外装体40の一対の縁部、すなわち、第1縁部e1及び第4縁部e4に接続している。同様に、第3溶着部MJ3は、ラミネート外装体40の第3縁部e3に沿って形成される。第3溶着部MJ3は、幅方向dyに沿って直線状に延びている。図示された例において、第3溶着部MJ3は、幅方向dyに対向するラミネート外装体40の一対の縁部、すなわち、第1縁部e1及び第4縁部e4に接続している。
【0059】
三つの溶着部MJ1~MJ3を形成する順番は特に限定されない。また、第2溶着部MJ2及び第3溶着部MJ3は、互いに接続していないので、並行して形成することも可能である。また、最後の溶着部を形成する際、三方から閉鎖されたラミネート外装体40の収容空間RSに電解液が収容されている。一例として、第2溶着部MJ2及び第3溶着部MJ3を、順に又は並行して作製し、次に、ラミネート外装体40内に電解液を充填して、その後、第1溶着部MJ1を作製するようにしてもよい。
【0060】
溶着部MJ1~MJ3は、
図8に示すように、棒状の加熱部材としのヒートバー51を有する封止装置50を用いて形成される。加熱された一対のヒートバー51を外装材41に両側から押し当てることで、第1部分41A及び第2部分41Bのシーラント層45が溶融し、その後に固化することで第1部分41A及び第2部分41Bが溶着する。なお、第2溶着部MJ2及び第3溶着部MJ3においては、タブ3に外装材41が設けられており、このシール材4が外装材41と溶着し、タブ3と外装材41との間を封止する。各溶着部MJ1~MJ3を形成する際、各溶着部に応じた長さを有する別のヒートバー51を用いることができる。
【0061】
ところで、
図16に示すように、従来、ヒートバー151を用いて外装材141を溶着する際、ラミネート外装体140の周縁部ceから溶融したシーラント材146が漏れ出してヒートバー151に付着することがあった。ヒートバー151に付着したシーラント材146は、その後に処理対象となるラミネート外装体140に付着して、このラミネート外装体140を汚してしまう。このような不具合を回避するためには、都度、ヒートバー151に付着したシーラント材146を除去する必要がある。このようなヒートバー151の清掃作業は、ラミネート型二次電池101の生産性を著しく害していた。
【0062】
従来、互いに対向して配置された外装材141を確実に溶着するには、溶着すべき部分の幅の全長に亘ってヒートバー151を押し当て、加熱及び加圧する必要があると考えられていた。したがって、外装材41の全幅に亘って溶着部を形成する場合、
図16に示すように、ヒートバー151の全長は、この外装材141の全幅よりも十分に長く設定されていた。外装材141の全幅よりも長いヒートバー151を用いることで、外装材41の全幅に亘った領域において、金属層144に積層されたシーラント層145を溶融させることができた。その一方で、溶融したシーラント材146が、ラミネート外装体140の周縁部ceからしごき出され、ヒートバー151に付着していた。
【0063】
そこで、本実施の形態においては、
図7及び
図8に示すように、シーラント材がしごき出され得るラミネート外装体40の周縁部ceに、ヒートバー51を接触させないようにしている。このような本実施の形態によれば、生産性を向上させることができる。更に、本実施の形態による方法で作製されたラミネート型二次電池1では、外装材41をより堅固に溶着させて収容空間RSの密閉性も改善することができた。このような作用効果は、従来の技術水準から予測される範囲を超えた異質で顕著なものと言える。
【0064】
図示された例において、第2溶着部MJ2を形成する際、ヒートバー51は第2接触領域CT2に接触して加熱および加圧する。第2接触領域CT2は、ラミネート外装体40の第2縁部e2に沿って直線状に延びている。第2接触領域CT2は、幅方向dyに対向する一対の端縁EE2,EE2と、引出方向dxに対向する外側縁OE2及び内側縁IE2と、を含んでいる。一方の端縁EE2は、第1縁部e1の近傍に位置し、第1縁部e1に沿って引出方向dxと平行に延びている。他方の端縁EE2は、第4縁部e4の近傍に位置し、第4縁部e4に沿って引出方向dxと平行に延びている。内側縁IE2は、外側縁OE2よりも収容空間RSに近接している。外側縁OE2は、内側縁IE2よりも第2縁部e2に近接している。外側縁OE2及び内側縁IE2は、第2縁部e2に沿って幅方向dyと平行に延びている。
【0065】
第3溶着部MJ3を形成する際、ヒートバー51は第3接触領域CT3に接触して加熱および加圧する。第3接触領域CT3は、ラミネート外装体40の第3縁部e3に沿って直線状に延びている。第3接触領域CT3は、幅方向dyに対向する一対の端縁EE3,EE3と、引出方向dxに対向する外側縁OE3及び内側縁IE3と、を含んでいる。一方の端縁EE3は、第1縁部e1の近傍に位置し、第1縁部e1に沿って引出方向dxと平行に延びている。他方の端縁EE3は、第4縁部e4の近傍に位置し、第4縁部e4に沿って引出方向dxと平行に延びている。内側縁IE3は、外側縁OE3よりも収容空間RSに近接している。外側縁OE3は、内側縁IE3よりも第3縁部e3に近接している。外側縁OE3及び内側縁IE3は、第3縁部e3に沿って幅方向dyと平行に延びている。
【0066】
第1溶着部MJ1を形成する際、ヒートバー51は第1接触領域CT1に接触して加熱および加圧する。第1接触領域CT1は、ラミネート外装体40の第1縁部e1に沿って直線状に延びている。第1接触領域CT1は、引出方向dxに対向する一対の端縁EE1,EE1と、幅方向dyに対向する外側縁OE3及び内側縁IE3と、を含んでいる。一方の端縁EE1は、第2縁部e2の近傍に位置し、第2縁部e2に沿って幅方向dyと平行に延びている。他方の端縁EE1は、第3縁部e3の近傍に位置し、第3縁部e3に沿って幅方向dyと平行に延びている。内側縁IE1は、外側縁OE1よりも収容空間RSに近接している。外側縁OE1は、内側縁IE1よりも第1縁部e1に近接している。外側縁OE13及び内側縁IE1は、第1縁部e1に沿って引出方向dxと平行に延びている。
【0067】
すなわち、第1接触領域CT1、第2接触領域CT2及び第3接触領域CT3は、いずれも、ラミネート外装体40の周縁部ceから離間しており、ラミネート外装体40の周縁部ceの内側に位置している。
【0068】
このように、ヒートバー51が外装材41に接触する領域を、ラミネート外装体40の周縁部ceによって内包されるようにすることで、ラミネート外装体40の周縁部ceから溶融したシーラント材が漏れ出すことを効果的に防止することができる。したがって、ヒートバー51への溶けたシーラント材の付着を効果的に回避することができ、ラミネート型二次電池1の生産性を効果的に改善することができる。
【0069】
なお、図示された例において、ラミネート外装体40の第4縁部e4は、外装材41を折り返すことによって形成された折り返し部RPとなっている。したがって、第4縁部e4から、溶けたシーラント材が漏れ出すことはない。このため、第2接触領域CT2及び第3接触領域CT3は、第4縁部e4と交差していてもよいし、他方の端縁EE2,EE3が第4縁部e4上に位置していてもよい。
【0070】
ラミネート外装体40の周縁部ceからシーラント材の漏れ出しを回避する観点において、接触領域CT1,CT2,CT3は、ラミネート外装体40の周縁部ceから0.5mm以上離間していることが好ましい。この距離を0.5mm以上に設定しておくことで、ラミネート型二次電池1の製造時におけるラミネート外装体40の一般的な溶着条件下において、ラミネート外装体40の周縁部ceから溶けたシーラント材が漏れ出すこと効果的に回避することができる。例えば第1接触領域CT1を参照して説明すると、第1接触領域CT1の一方の端縁EE1と第2縁部e2との間の引出方向dxに沿った離間距離L1x(
図9参照)は0.5mm以上であることが好ましい。第1接触領域CT1の他方の端縁EE1と第3縁部e3との間の引出方向dxに沿った離間距離は0.5mm以上であることが好ましい。第1接触領域CT1の外側縁OE1と第1縁部e1との間の幅方向dyに沿った離間距離L1y(
図9参照)は0.5mm以上であることが好ましい。
【0071】
図7に示すように、第1接触領域CT1は第2接触領域CT2と接続(重複)していることが好ましい。この場合、第1接触領域CT1にヒートバー51が接触することで形成される第1溶着部MJ1と、第2接触領域CT2にヒートバー51が接触することで形成される第2溶着部MJ2とを安定して接続させ、収容空間RSの密閉をより確実に確保することができる。同様の理由から、第1接触領域CT1は第3接触領域CT3と接続(重複)していることが好ましい。
【0072】
図9に示された例において、一方の接触領域(第1接触領域CT1)の端縁(EE1)が、他方の接触領域(第2接触領域CT2)の外側縁(外側縁OE2)上に位置し、他方の接触領域(第2接触領域CT2)の端縁(EE2)が、一方の接触領域(第1接触領域CT1)の外側縁(外側縁OE1)上に位置している。このような例によれば、形成される二つの溶着部(第1溶着部MJ1及び第2溶着部MJ2)をより確実に接続させることができる。
【0073】
ただし、二つの接触領域の位置関係は、
図9に示された例に限られず、例えば
図10~
図13に示された例を採用することも可能である。なお、
図9~
図13において、一方の接触領域(第1接触領域CT1)を点線で示し、他方の接触領域(第2接触領域CT2)を一点鎖線で示している。
【0074】
まず、
図10に示された例では、一方の接触領域(第1溶着部MJ1)と他方の接触領域(第2溶着部MJ2)が、交差している。すなわち、一方の接触領域(第1溶着部MJ1)は、他方の接触領域(第2溶着部MJ2)を横断している。また、他方の接触領域(第2溶着部MJ2)は、一方の接触領域(第1溶着部MJ1)を横断している。この例によれば、形成される二つの溶着部(第1溶着部MJ1及び第2溶着部MJ2)を更に確実に接続させることができる。
【0075】
次に、
図11及び
図12に示された例では、一方の接触領域の長手方向における一方の端縁が、他方の接触領域内に位置している。
図11に示された例において、第1接触領域CT1の長手方向(引出方向dx)における一方の端縁EE1が、第2接触領域CT2内に位置している。
図12に示された例において、第2接触領域CT2の長手方向(幅方向dy)における一方の端縁EE2が、第1接触領域CT1内に位置している。
図13に示された例では、一方の接触領域と他方の接触領域が、各長手方向の直交する短手方向に沿った幅の一部分のみで重なっている。
図9及び
図11~
図13に示された例によれば、各接触領域からラミネート外装体40の周縁部ceまでの長さL1,L2を小さくすることができる。これによりラミネート型二次電池1のエネルギー密度を改善することも可能となる。
【0076】
なお、一方の接触領域(第1接触領域CT1)と他方の接触領域(第2接触領域CT2)との重複領域OAは、一方の接触領域の長手方向(引出方向dx)において、一方の接触領域の長手方向に沿った他方の接触領域の幅(第2接触領域CT2の幅W2)の2/5以上の長さLOxを有していることが好ましく、1/2以上の長さLOxを有していることがより好ましく、2/3の長さLOxを有していることがさらに好ましい。同様に、一方の接触領域(第1接触領域CT1)と他方の接触領域(第2接触領域CT2)との重複領域OAは、他方の接触領域の長手方向(幅方向dy)において、他方の接触領域の長手方向に沿った一方の接触領域の幅(第1接触領域CT1の幅W1)の2/5以上の長さLOyを有していることが好ましく、1/2以上の長さLOxを有していることがより好ましく、2/3の長さLOxを有していることがさらに好ましい。重複領域OAをこのような大きさとすることで、以下に説明するように、二つの溶着部が重なる重複部分OPの周囲において、密閉性を向上させることが可能となる。
【0077】
以上のようにして、一対のヒートバー51を第2接触領域CT2において外装材41に両側から接触させることで第2溶着部MJ2が形成され、一対のヒートバー51を第3接触領域CT3において外装材41に両側から接触させることで第3溶着部MJ2が形成される。外装材41のシーラント層45が溶融するのは、ヒートバー51が接触している接触領域CT2,CT3と重なる領域だけではない。当該接触領域CT2,CT3と重なる領域の周囲においても、シーラント層45が溶融する。したがって、
図7に示すように、ラミネート外装体40上における第2溶着部MJ2が占める領域は、ラミネート外装体40上における第2接触領域CT2が占める領域を内包するようになり、ラミネート外装体40上における第3溶着部MJ3が占める領域は、ラミネート外装体40上における第3接触領域CT3が占める領域を内包するようになる。
【0078】
同様に、一対のヒートバー51を第1接触領域CT1において外装材41に両側から接触させることで第1溶着部MJ1が形成される。ラミネート外装体40上における第1溶着部MJ1が占める領域は、ラミネート外装体40上における第1接触領域CT1が占める領域を内包するようになる。また、
図7に示すように、第1溶着部MJ1は、第2溶着部MJ2と接続又は交差し、且つ、第3溶着部MJ3と接続は交差するようになる。
【0079】
また、第1接触領域CT1と第2接触領域CT2との重複領域OA及びその周囲では、第1溶着部MJ1を形成する際に、既に形成済みの第2溶着部MJ2が再び溶融する。したがって、第1溶着部MJ1と第2溶着部MJ2は、一体的かつ連続的に形成され、収容空間RSの液密性を確保することができる。同様に、第1溶着部MJ1と第3溶着部MJ3も、一体的かつ連続的に形成され、収容空間RSの液密性を確保することができる。
【0080】
以上のようにして、ラミネート外装体40に溶着部MJ1~MJ3を形成して、電極体5及び電解液を収容空間RSに封入することで、ラミネート型二次電池1が得られる。このようにして得られたラミネート型二次電池1は、驚くべきことに、収容空間RSの密閉性が向上し、高い信頼性を有するものとなった。本件発明者が確認したところ、ラミネート型二次電池1の密閉性が改善される理由は、本実施の形態の製造方法に起因して得られる溶着部の厚み変動によるものと考えられた。以下、この点について説明するが、本発明は以下の推定に拘束されない。
【0081】
図14は、上述した方法で得られる一つの溶着部を示す断面図であって、例えば
図9のXIV-XIV線に沿った断面に相当する。第1溶着部MJ1は、第1接触領域CT1外に位置していた端部分EPと、第1接触領域CT1のうちの重複領域OA内に位置していた重複部分OPと、第1接触領域CT1のうちの重複領域OA外に位置していた中央部分MPと、を含んでいる。つまり、第1溶着部MJ1は、ヒートバー51によって一度も押されていない端部分EPと、ヒートバー51によって二回押された重複部分OPと、ヒートバー51によって一回押された中央部分MPと、を含んでいる。
【0082】
そして、
図14に示すように、ラミネート外装体40の第1溶着部MJ1での厚さは、ラミネート外装体40の周縁部ceに接続する第1溶着部MJ1の長手方向における両端部分EPにおいて、両端部分EPの間に位置する部分(重複部分OPや中央部分MP)よりも厚くなる。このように、二つの溶着部が重なる重複部分OPの外側(収容空間RSとは反対側)となる部分でのラミネート外装体40の厚みが厚くなることで、ラミネート型二次電池1の密閉性を改善することができた。
【0083】
とりわけ、ラミネート外装体40の第1溶着部MJ1の端部分EPでのシーラント層45の合計厚み(溶着した二つのシーラント層45の合計厚み)が、ラミネート外装体40の第1溶着部MJ1の端部分EP以外の或る部分(重複部分OPや中央部分MP)でのシーラント層45の合計厚みの二倍以上となっている場合、ラミネート型二次電池1の密閉性を大幅に改善することができた。
【0084】
また、
図14に示されたすラミネート外装体40において、第1溶着部MJ1での厚みは、両端部分EPにおいて、最大となっている。この点も、ラミネート型二次電池1の密閉性向上に寄与することができる。
【0085】
なお、本件発明者が確認したところ、
図10に示された溶着部の長手方向に沿った厚さ分布を実現するには、上述した製造方法において、とりわけ、一方の接触領域と他方の接触領域との重複領域OAが、一方の接触領域の長手方向において、一方の接触領域の長手方向に沿った他方の接触領域の幅の2/5以上の長さLOxを有し、且つ、他方の接触領域の長手方向において、他方の接触領域の長手方向に沿った一方の接触領域の幅の2/5以上の長さLOyを有していることが有効であった。この場合、本件発明者が行った実験において、溶着前における互いに対向して配置された外装材41の第1部分41A及び第2部分41Bに含まれるシーラント層45の合計厚み0.32mmが、溶着後に、端部分EPにおいて0.58mmに増加し、重複部分OPにおいて0.20mmに減少し、中央部分MPにおいて0.25mmに減少した。この実験で得られたラミネート型二次電池1の溶着部では、シーラント層45の合計厚みが端部分EPで最大となり、端部分EPでのシーラント層45の合計厚みが端部分以外でのシーラント層45の合計厚みの2.9倍となった。結果として、得られたラミネート型二次電池1は優れた密閉性を有していた。
【0086】
以上に説明してきた一実施の形態において、ラミネート型二次電池1の製造方法は、電極体5を収容するラミネート外装体40の外装材41が対向して配置されている部分にヒートバー51を接触させて対向して配置された外装材41を溶着する工程を有し、この工程中、ヒートバー51は、ラミネート外装体40の周縁部ceの内側に位置する接触領域CT1に接触する。すなわち、接触領域CT1がラミネート外装体40の周縁部ceから離間している。したがって、ラミネート外装体40の周縁部ceに位置するシーラント層45がヒートバー51によって直接加熱されることで、溶融したシーラント材がラミネート外装体40から漏れ出すことを回避することができる。これにより、ヒートバー51等の封止装置50にシーラント材が付着することを効果的に回避することができる。これにより、同一のヒートバー51を用いて多数のラミネート型二次電池1を連続して生産することも可能となり、ラミネート型二次電池1の生産性を改善することができる。
【0087】
上述した一実施の形態において、接触領域は、ラミネート外装体40の周縁部ceから0.5mm以上離間している。このような例によれば、溶融したシーラント材がラミネート外装体40から漏れ出すことを十分効果的に防止することができる。
【0088】
上述した一実施の形態において、ラミネート型二次電池1の製造方法は、ラミネート外装体40の第2接触領域CT2にヒートバー51を接触させて対向して配置された外装材41を溶着する工程を更に含んでいる。そして、第2接触領域CT2の長手方向(幅方向dy)における一方の端縁EE2は接触領域CT1域内に位置する、又は、接触領域CT1の長手方向(引出方向dx)における一方の端縁EE1は第2接触領域CT2内に位置している。この例によれば、密閉性に優れたラミネート型二次電池1を作製することができる。また、ラミネート外装体40の大きさを小型化することも可能であり、ラミネート型二次電池1のエネルギー密度を改善することができる。
【0089】
上述した一実施の形態において、接触領域CT1と第2接触領域CT2との重複領域OAは、接触領域CT1の長手方向(引出方向dx)において、接触領域CT1の長手方向に沿った第2接触領域CT2の幅W2の2/5以上の長さを有している。また、重複領域OAは、第2接触領域CT2の長手方向(幅方向dy)において、第2接触領域CT2の長手方向に沿った接触領域の幅W1の2/5以上の長さを有している。このような例によれば、接触領域CT1と第2接触領域CT2とが十分な大きさで重複することができ、優れた密閉性をラミネート型二次電池1に付与することができる。
【0090】
上述した一実施の形態において、ラミネート外装体40は、対向して配置された外装材41が溶着されている線状の溶着部MJ1を有している。ラミネート外装体40の溶着部MJ1での厚みは、ラミネート外装体40の周縁部ceに接続する溶着部MJ1の長手方向(引出方向dx)における両端部分EPにおいて、両端部分EP1の間に位置する部分OP,MPよりも厚くなっている。このような溶着部MJ1を有するラミネート外装体40によれば、収容空間RSの密閉性を改善することができる。これにより、ラミネート外装体40からの予期せぬ電解液の漏れ等のリークを効果的に回避して、ラミネート型二次電池1の信頼性を向上させることができる。
【0091】
上述した一実施の形態において、ラミネート外装体40の溶着部MJ1の両端部分EPでのシーラント層45の合計厚みは、ラミネート外装体40の溶着部MJ1の両端部分EPの間に位置する或る部分OP,MPでのシーラント層45の合計厚みの二倍以上となっている。このような溶着部MJ1を有するラミネート外装体40によれば、収容空間RSの密閉性をより効果的に改善することができる。
【0092】
上述した一実施の形態において、ラミネート外装体40の溶着部MJ1での厚みは、両端部分EPにおいて、最大となる。このような溶着部MJ1を有するラミネート外装体40によれば、収容空間RSの密閉性をより効果的に改善することができる。
【0093】
上述した一実施の形態において、ラミネート外装体40は、第1溶着部MJ1と交差して線状に延び且つ対向して配置された外装材41が溶着されている線状の第2溶着部MJ2を更に有している。ラミネート外装体40の第1溶着部MJ1での厚みは、第2溶着部MJ2と交差する重複部分OPよりも、重複部分OPとラミネート外装体40の周縁部ceとの間に位置する端部分EPにおいて、厚くなっている。このような第1溶着部MJ1及び第2溶着部MJ2を有するラミネート外装体40によれば、収容空間RSの密閉性をより効果的に改善することができる。
【0094】
前記ラミネート外装体の前記端部分での厚みは、前記ラミネート外装体の前記重複部分での厚みの二倍以上となっている、請求項11に記載のラミネート型二次電池。
上述した一実施の形態において、ラミネート外装体40の端部分EPでの厚みは、ラミネート外装体40の重複部分OPでの厚みの二倍以上となっている。このような第1溶着部MJ1及び第2溶着部MJ2を有するラミネート外装体40によれば、収容空間RSの密閉性をより効果的に改善することができる。
【0095】
一実施の形態を具体例により説明してきたが、これらの具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0096】
例えば、上述した一具体例において、ラミネート外装体40が、折り返された一枚の外装材41を有する例を示したが、これに限られない。ラミネート外装体40は、互いに対向して配置された第1の外装材と第2の外装材とを有するようにしてもよい。この例において、ラミネート外装体40が平面視矩形形状を有する場合、四つの溶着部をラミネート外装体40に形成することで、収容空間RSを密閉することができる。各溶着部は、上述した例における第1溶着部MJ1と同様に構成することができる。
【実施例】
【0097】
以下、実施例により本発明を説明するが、以下の記載は本発明を限定するものではない。
【0098】
上述した製造方法と同様に、一枚の外装材41を折り返してなるラミネート外装体40に電極体5を挟んだ状態で、まず、第2溶着部MJ2及び第3溶着部MJ3をラミネート外装体40に作製し、次に、ラミネート外装体40内に電解液を注入した後に、第1溶着部MJ1をラミネート外装体40に作製することで、ラミネート型二次電池1を作製した。ヒートバー51の加熱温度、ヒートバー51でラミネート外装体40を押圧する圧力、ヒートバー51でラミネート外装体40を押圧する時間等の条件は、ラミネート型二次電池1の製造おいて用いられている通常の条件とした、比較例および実施例において、異なる全長を有したヒートバー51を用いた。比較例および実施例において、ヒートバーの長さ以外は、同条件とした。
【0099】
図15に示すように、ラミネート外装体40の引出方向dxに沿った長さは509mmとした。第2溶着部MJ2を形成する際にヒートバー51を接触させた第2接触領域CT2は、引出方向dxに沿って8mmの幅を有し、第2縁部e2から引出方向dxに0.5mm離間させ、第1縁部e1から幅方向dyに0.5mm離間させた。第3溶着部MJ3を形成する際にヒートバー51を接触させた第3接触領域CT3は、引出方向dxに沿って8mmの幅を有し、第3縁部e3から引出方向dxに0.5mm離間させ、第1縁部e1から幅方向dyに0.5mm離間させた。
【0100】
第1溶着部MJ1を形成する際にヒートバー51を接触させる第1接触領域CT1は、引出方向dxにおいて、ラミネート外装体40と中心合わせさせた。また、第1接触領域CT1は、幅方向dyに沿って8mmの幅を有し、第1縁部e1から幅方向dyに0.5mm離間させた。比較例1及び比較例2では、それぞれ、514mm及び539mmの長さを有するヒートバー51を用いた。したがって、比較例1及び比較例2において、第1接触領域CT1は引出方向dxに509mmの長さを有するようになり、ヒートバー51はラミネート外装体40の第2縁部e2及び第3縁部e3を越えて延び出していた。一方、実施例1~3では、それぞれ、508mm、503mm、498mmの長さを有するヒートバー51を用いた。したがって、実施例1~3において、第1接触領域CT1は、引出方向dxに沿って508mm、503mm、498mmの長さを有するようになった。
【0101】
第2溶着部MJ2及び第3溶着部MJ3が形成されたラミネート型二次電池1を多数容易しておき、各例において同一のヒートバー51を用いて、第1溶着部MJ1の形成を連続して行った。各例において、ヒートバー51にシーラント材が付着して第1溶着部MJ1の形成が困難となるショット回数(形成回数)を確認した。
【0102】
実施例1~3では、第1溶着部MJ1の形成を20000回行ったが、ヒートバー51にシーラント材は付着しなかった。一方、比較例1及び比較例2では、第1溶着部MJ1の形成を10回行う毎に、ヒートバー51の清掃が必要となった。
【0103】
【符号の説明】
【0104】
1 ラミネート型二次電池
3 タブ
4 シール材
5 電極体
10 第1電極板
10X 正極板
20 第2電極板
20Y 負極板
30 絶縁体
40 ラミネート外装体
41 外装材
41A 第1部分
41B 第2部分
42a 膨出部
42b 鍔部
44 金属層
45 シーラント層
50 封止装置
51 ヒートバー
RS 収容空間
dz 積層方向
dx 引出方向
dy 幅方向
ce 周縁部
e1 第1縁部
e2 第2縁部
e3 第3縁部
e4 第4縁部
MJ1 第1溶着部
MJ2 第2溶着部
MJ3 第3溶着部
RP 折り返し部
EP 端部分
OP 重複部分
MP 中央部分
CT1 第1接触領域
EE1 端縁
OE1 外側縁
IE1 内側縁
CT2 第2接触領域
EE2 端縁
OE2 外側縁
IE2 内側縁
CT3 第3接触領域
EE3 端縁
OE3 外側縁
IE3 内側縁
OA 重複領域