(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】取引端末装置および取引端末装置の取引制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20221108BHJP
G06Q 20/18 20120101ALI20221108BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20221108BHJP
【FI】
G06Q20/40
G06Q20/18
G07D11/60
(21)【出願番号】P 2018221287
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】今泉 敦博
(72)【発明者】
【氏名】畦田 昌嗣
(72)【発明者】
【氏名】関口 茂之
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-293544(JP,A)
【文献】特開2004-164352(JP,A)
【文献】特開2010-009260(JP,A)
【文献】特開平11-213247(JP,A)
【文献】特開2008-040890(JP,A)
【文献】特開2005-346129(JP,A)
【文献】特開平09-319927(JP,A)
【文献】国際公開第2014/208308(WO,A1)
【文献】特開2007-164367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引に関する情報表示および情報入力を行う表示入力部と、口座情報、取引情報および生体情報を含む二次元コードを読取る二次元コード読取部と、顧客の前記生体情報を読取る生体情報読取部と、
前記表示入力部への表示、前記表示入力部、前記二次元コード読取部および前記生体情報読取部から得られる情報を取込み、所定の取引を実行する制御部とを備えている取引端末装置であって、
前記制御部は、
顧客を検知したことにより前記二次元コード読取部を起動し、前記二次元コード読取部により読取られた前記二次元コードを取得し、
前記二次元コードに含まれる前記口座情報に対応する暗証番号について該暗証番号の照合を行い、前記暗証番号の照合が一致した場合に、前記二次元コードに含まれる前記口座情報と前記取引情報を前記表示入力部に表示し、
該表示の後に前記生体情報読取部から
前記生体情報が得られた場合に、前記二次元コードに含まれる前記生体情報と
前記生体情報読取部から得られた前記生体情報とを比較照合し、それらの一致度が閾値を超えた場合には前記生体情報による本人認証ができたと判断し、前記一致度が前記閾値を超えない場合には前記生体情報による本人認証ができなかったと判断する生体情報認証処理を実行し、
最初の前記生体情報認証処理により前記本人認証ができなかった場合、前記表示入力部に前記生体情報の再度の提供を要求する案内表示を行ない、該案内表示後に前記生体情報読取部が前記生体情報を読取ると前記生体情報認証処理を再度実行し、
前記生体情報による認証処理により本人認証ができた場合には、前記二次元コードに含まれる前記口座情報と前記取引情報とを利用して、前記取引情報に基づく取引を実行し、
再度の前記生体情報認証処理によってもなお前記本人認証ができない場合には、前記表示入力部に、前記生体認証の確認ができないことおよび前記口座情報による取引に関して事前に定められた生体認証無しの場合の限定取引内容を表示し、
前記限定取引内容の表示後一定時間内に前記表示入力部から前記限定取引内容での取引を希望する旨の確認入力が得られた場合、前記限定取引内容に対応した限定取引を実行するようにした、取引端末装置。
【請求項2】
請求項1記載の取引端末装置において、
前記制御部は、前記一致度が前記閾値を超えた場合に、前記生体情報読取部から前記生体情報が読取られたことをもって、前記取引情報に基づく取引の内容の確認がなされたものと判断することを特徴とする取引端末装置。
【請求項3】
請求項1記載の取引端末装置において、
前記二次元コードには前記取引の有効期限を含め、前記制御部は前記暗証番号照合一致および前記有効期限内の前記取引であることを確認して前記取引処理を許可することを特徴とする取引端末装置。
【請求項4】
取引に関する情報表示および情報入力を行う表示入力部と、口座情報、取引情報および生体情報を含む二次元コードを読取る二次元コード読取部と、顧客の前記生体情報を読取る生体情報読取部とを備え、前記表示入力部への表示、前記表示入力部、前記二次元コード読取部および前記生体情報読取部から得られる情報を取込み、所定の取引を行う取引端末装置の取引制御方法であって、
顧客を検知したことにより前記二次元コード読取部を起動し、前記二次元コード読取部が読取った前記二次元コードを取得し、
前記二次元コードに含まれる前記口座情報に対応する暗証番号について該暗証番号の照合を行い、前記暗証番号の照合が一致した場合に、前記二次元コードに含まれる前記口座情報と前記取引情報を前記表示入力部に表示し、
該表示の後に前記生体情報読取部から
前記生体情報が得られた場合に、前記二次元コードに含まれる前記生体情報と
前記生体情報読取部から得られた前記生体情報とを比較照合し、それらの一致度が閾値を超えた場合には前記生体情報による本人認証ができたと判断し、前記一致度が前記閾値を超えない場合には前記生体情報による本人認証ができなかったと判断する生体情報認証処理を実行し、
最初の前記生体情報認証処理により前記本人認証ができなかった場合、前記表示入力部に前記生体情報の再度の提供を要求する案内表示を行ない、該案内表示後に前記生体情報読取部が前記生体情報を読取ると前記生体情報認証処理を再度実行し、
前記生体情報による認証処理により本人認証ができた場合には、前記二次元コードに含まれる前記口座情報と前記取引情報とを利用して、前記取引情報に基づく取引を実行し、
再度の前記生体情報認証処理によってもなお前記本人認証ができない場合には、前記表示入力部に、前記生体認証の確認ができないことおよび前記口座情報による取引に関して事前に定められた生体認証無しの場合の限定取引内容を表示し、
前記限定取引内容の表示後一定時間内に前記表示入力部から前記限定取引内容での取引を希望する旨の確認入力が得られた場合、前記限定取引内容に対応した限定取引を実行するようにした、取引端末装置の取引制御方法。
【請求項5】
請求項4記載の取引端末装置の取引制御方法において、
前記一致度が前記閾値を超えた場合に、前記生体情報読取部から前記生体情報が読取られたことをもって、前記取引情報に基づく取引の内容の確認がなされたものと判断する取引端末装置の取引制御方法。
【請求項6】
請求項4記載の取引端末装置の取引制御方法において、
前記二次元コードには前記取引の有効期限を含め、前記暗証番号照合の一致および前記有効期限内の前記取引であることを確認して前記取引処理を許可することを特徴とする取引端末装置の取引制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引端末装置および取引端末装置の取引制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金融機関の取引端末装置(例えば、現金自動預払機)を利用して金融取引(以下、単に「取引」と称する場合もある。)を行う場合には、その利用者の口座情報が記憶されたキャッシュカードや通帳を端末が備える読取部に読込ませて情報を得るということが行われている。
また、取引端末装置で取引を行う場合、取引内容の選択や金額の入力、暗証番号の入力、という様な手順を一つ一つ踏む必要があるため取引を完了するまでに時間がかかる。その結果、取引端末装置の前に利用者の待ち行列が出来ていた。
【0003】
このような課題を解決するために、特開2004-164352号公報(特許文献1)の技術が知られている。この特許文献1の技術では、携帯端末に入金・振込・振替などの現金自動預払機の操作内容を予め入力しておき、取引端末装置の前ではこの予め入力した操作内容を二次元コードとして表示し、取引端末装置はその二次元コードを読取って取引を実施するようにしている。これにより、取引の入力操作に係る負担を軽減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、取引端末装置(現金自動預払機)での取引情報の入力を事前に携帯端末に入力しているので、利用者の利便性が向上し、現金自動預払機の使用時間短縮ができる。しかし、携帯端末が第三者により操作されたり、第三者がこの二次元コードや暗証番号を取得した場合、第三者に不正に利用される恐れがあった。
【0006】
この第三者による不正利用を防ぐには、口座開設時等において、顧客である利用者の生体情報を金融機関のサーバ(ホストコンピュータ)に登録しておき、その後の金融取引に際しては、取引端末装置の生体情報読取器を用いて生体情報を読取らせ、これをサーバに送信し、サーバ側において読取った生体情報とサーバに登録済の生体情報とを照合し、サーバ側で照合ができた場合にその情報を取引端末装置に送信し、取引端末装置が取引を行うようにすれば良い。
【0007】
しかしながら、この場合、利用者が取引を行う都度、サーバが生体情報を照合する処理が増え、サーバと取引端末装置との間の通信量も増えるという問題がある。また、大量の生体情報がサーバから流出することを防ぐためのリスク管理も大きな負担となる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、取引端末装置の取引に要する時間を短縮するとともに、サーバのサポートが無い場合でも第三者の不正利用を防止することができる取引端末装置および取引端末装置の取引制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、その一例を挙げると、取引に関する情報表示および情報入力を行う表示入力部と、口座情報、取引情報および生体情報を含む二次元コードを読取る二次元コード読取部と、顧客の前記生体情報を読取る生体情報読取部と、前記表示入力部への表示、前記表示入力部、前記二次元コード読取部および前記生体情報読取部から得られる情報を取込み、所定の取引を実行する制御部とを備えている取引端末装置であって、前記制御部は、顧客を検知したことにより前記二次元コード読取部を起動し、前記二次元コード読取部により読取られた前記二次元コードを取得し、前記二次元コードに含まれる前記口座情報に対応する暗証番号について該暗証番号の照合を行い、前記暗証番号の照合による本人認証がなされた場合に、前記二次元コードに含まれる前記口座情報と前記取引情報を前記表示入力部に表示し、該表示の後に前記生体情報読取部から前記生体情報が得られた場合に、前記二次元コードに含まれる前記生体情報と前記生体情報読取部から得られた前記生体情報とを比較照合し、それらの一致度が閾値を超えた場合には生体情報による本人認証ができたと判断し、前記一致度が前記閾値を超えない場合には生体情報による本人認証ができなかったと判断する生体情報認証処理を実行し、最初の前記生体情報認証処理により前記本人認証ができなかった場合、前記表示入力部に前記生体情報の再度の提供を要求する案内表示を行ない、該案内表示後に前記生体情報読取部が前記生体情報を読取ると前記生体情報認証処理を再度実行し、前記生体情報による認証処理により本人認証ができた場合には、前記二次元コードに含まれる前記口座情報と前記取引情報とを利用して、前記取引情報に基づく取引を実行し、再度の前記生体情報認証処理によってもなお前記本人認証ができない場合には、前記表示入力部に、前記生体認証の確認ができないことおよび前記口座情報による取引に関して事前に定められた生体認証無しの場合の限定取引内容を表示し、前記限定取引内容の表示後一定時間内に前記表示入力部から前記限定取引内容での取引を希望する旨の確認入力が得られた場合、前記限定取引内容に対応した限定取引を実行するようにした、取引端末装置である。
【0010】
また、本発明の他の一例を挙げると、取引に関する情報表示および情報入力を行う表示入力部と、口座情報、取引情報および生体情報を含む二次元コードを読取る二次元コード読取部と、顧客の前記生体情報を読取る生体情報読取部とを備え、前記表示入力部への表示、前記表示入力部、前記二次元コード読取部および前記生体情報読取部から得られる情報を取込み、所定の取引を行う取引端末装置の取引制御方法であって、顧客を検知したことにより前記二次元コード読取部を起動し、前記二次元コード読取部が読取った前記二次元コードを取得し、前記二次元コードに含まれる前記口座情報に対応する暗証番号について該暗証番号の照合を行い、前記暗証番号の照合が一致した場合に、前記二次元コードに含まれる前記口座情報と前記取引情報を前記表示入力部に表示し、該表示の後に前記生体情報読取部から前記生体情報が読取られた場合に、前記二次元コードに含まれる前記生体情報と前記生体情報読取部から得られた前記生体情報とを比較照合し、それらの一致度が閾値を超えた場合には生体情報による本人認証ができたと判断し、前記一致度が前記閾値を超えない場合には生体情報による本人認証ができなかったと判断する生体情報認証処理を実行し、最初の前記生体情報認証処理により前記本人認証ができなかった場合、前記表示入力部に前記生体情報の再度の提供を要求する案内表示を行ない、該案内表示後に前記生体情報読取部が前記生体情報を読取ると前記生体情報認証処理を再度実行し、前記生体情報による認証処理により本人認証ができた場合には、前記二次元コードに含まれる前記口座情報と前記取引情報とを利用して、前記取引情報に基づく取引を実行し、再度の前記生体情報認証処理によってもなお前記本人認証ができない場合には、前記表示入力部に、前記生体認証の確認ができないことおよび前記口座情報による取引に関して事前に定められた生体認証無しの場合の限定取引内容を表示し、前記限定取引内容の表示後一定時間内に前記表示入力部から前記限定取引内容での取引を希望する旨の確認入力が得られた場合、前記限定取引内容に対応した限定取引を実行するようにした、取引端末装置の取引制御方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、取引端末装置の取引に要する時間を短縮するとともに、サーバのサポートが無い場合でも第三者の不正利用を防止することができる取引端末装置および取引端末装置の取引制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施例にかかる取引端末装置の構成を示す図である。
【
図3】携帯端末に格納される顧客情報の例を示す図である。
【
図4】
図1に示す実施例の取引実施手順を示す図である。
【
図5】携帯端末の顧客操作画面を説明するための図である。
【
図6】二次元コードに格納される情報例を示す図である。
【
図8】本発明の第2実施例において使用する受付端末装置の構成を示す図である。
【
図9】
図8の受付端末装置を利用した受付票の発行手順を説明する図である。
【
図10】受付端末装置の画面表示例を示す図である。
【
図11】受付端末装置が発行する受付票の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施例について図面を用いて説明する。なお、以下の実施例の説明では、「生体情報」の一例である「指静脈情報」を用いた例により説明するが、本発明は指静脈情報に限らず、種々の生体情報を用いることができる。すなわち、本発明においては、指静脈、掌の静脈、虹彩、顔の特徴、指紋、等、個人を識別するために利用可能な生体情報であればどのようなものでも良い。
【0014】
<第1実施例>
本発明の第1実施例を
図1~
図7により説明する。
図1は、第1実施例にかかる取引端末装置100の構成を示す。
図2は、第1実施例における二次元コードを生成するための携帯端末の構成を示す。
図3は、携帯端末に格納される顧客情報の例を示す。
図4は、
図1に示す実施例の取引実施手順を示す。
図5は、携帯端末の顧客操作画面例を示す。
図6は、二次元コードに格納される情報例を示す。
図7は、取引端末装置の画面表示例を示す。
【0015】
(取引端末装置の構成)
図1において、取引端末装置100は、制御部110、顧客センサー部120、二次元コード読取部130、指静脈読取部140、表示入力部150、入出金部160によって構成される。
【0016】
制御部110は、取引端末装置100の各部の制御等を実施するとともに、顧客センサー部120にて顧客の接近を検知し、顧客の接近があった場合には二次元コード読取部130を起動して二次元コードの提示を待機する状態に移行し、二次元コードの提示があった場合には、その二次元コードに含まれる、口座情報、取引情報および指静脈情報を取得する。
【0017】
また制御部110は、二次元コードから取得した取引情報から、取引の内容を表示入力部150に表示して、取引の内容を顧客に確認させる。
また制御部110は、指静脈読取部140から顧客の指静脈画像を読取り、入力された指静脈画像から本人認証時の特徴となる指静脈情報を抽出し、抽出した指静脈情報と二次元コードに含まれる指静脈情報との一致度が所定の閾値を超えるか否か(照合が一致するか否か)によって本人確認処理を実施する。また制御部110は、本人確認が成功(照合が一致)した際には、入出金部160を用いて入出金等の金融取引を許諾(容認)し、取引を実行する。
この制御部110は、この実施例ではコンピュータを使用する。制御部110の具体的な動作手順は
図4により後述する。
【0018】
表示入力部150は、タッチパネル入力部151と表示部152とから構成される。表示部152では、制御部110の制御によって、メニュー画面や取引の内容等の表示を行う。なお、表示入力部150は、タッチパネル液晶ディスプレイの様に、画面表示機能とタッチパネル入力機能が一体となったデバイスを用いるのが好ましいが、各々が独立したデバイスであってもかまわない。
入出金部160は、制御部110からの制御によって、取引に必要な現金の入出金処理を実施する。
【0019】
(携帯端末の構成)
図2は、取引に使用する二次元コードを生成する携帯端末200の構成図であり、携帯端末制御部210、記憶部220、二次元コード読取部230、表示入力部240にて構成される。
携帯端末制御部210は、携帯端末200の各部の制御等を実施する。
記憶部220は、顧客情報として、顧客の口座情報と指静脈情報を記憶する。顧客の口座情報は、口座の開設時等にあらかじめ登録しておく。また、指静脈情報は、口座開設時あるいはその後登録する。顧客情報の登録は、二次元コード読取部230をとおして二次元コードを用いて情報を入力することもできる。
【0020】
顧客は、表示入力部240のタッチパネル入力部241を操作して取引情報の入力を行い、また表示部242に取引のための二次元コードを表示させる。携帯端末200の表示部242に表示された二次元コードは、取引の際に取引端末装置100の二次元コード読取部130に提示される。この二次元コードには、口座情報、指静脈情報および取引情報が含まれる。なお、表示入力部240は、タッチパネル液晶ディスプレイの様に、画面表示機能とタッチパネル入力機能が一体となったデバイスを用いるのが好ましいが、各々が独立したデバイスであってもかまわない。
【0021】
(顧客情報の構成)
図3は、本実施例において、携帯端末200の記憶部220に格納される顧客情報の構成例を示す図である。
顧客情報とは顧客の預金口座に係る情報であり、口座情報300と指静脈情報310とから構成される。口座情報300は、預金口座を特定するための情報であり、銀行番号301、店舗番号302、科目コード303、口座番号304、カナ氏名305から成る。
指静脈情報310は、顧客の指から指静脈画像を読取りし指静脈画像から本人認証時の特徴となる情報を抽出した情報であり、取引で本人確認処理を実施する際に使用される。
【0022】
図1に示す取引端末装置での取引に先だって、口座開設の際あるいは口座開設後に金融機関窓口を訪れた際などに、携帯端末装置にこれらの顧客情報の登録操作を実施することで、携帯端末200の記憶部220内に顧客情報(口座情報、指静脈情報)が格納される。
【0023】
(取引端末装置における取引の実施手順)
次に、
図1の取引端末装置100における動作手順を説明する。
ここで、取引端末装置100による取引に際しては、上述したように、事前(取引端末装置100による取引開始前まで)に、顧客(利用者)により取引情報が携帯端末200に生成される。取引情報の入力に係る情報端末の画面の一例を
図5に示す。顧客の取引情報の入力では、
図5の(a)に示すように取引の種類の選択画面にて、取引種類を選択する。ここでは出金取引が選択されたものとする。
【0024】
次に
図5の(b)の画面によって出金取引の金額および口座の暗証番号を入力する。顧客が二次元コードの表示操作をすると、
図5の(c)のように、取引で使用する二次元コードを生成して表示させることができる。この二次元コードには、口座情報、指静脈情報、及び取引情報が含まれている。
【0025】
ここで表示される二次元コードに含まれる具体的な情報の構成を
図6によって説明する。二次元コードに格納される情報は、口座情報600、指静脈情報610、取引情報620、暗証番号630、取引番号640、有効期限650によって構成される。口座情報600および指静脈情報610はあらかじめ携帯端末に格納されている預金口座の情報である。口座情報600には、銀行番号601、店舗番号602、科目コード603、口座番号604、カナ氏名605の情報が含まれる。また指静脈情報610は、顧客の指から指静脈画像を読み取りし指静脈画像から本人認証時の特徴となる情報を抽出した指静脈情報である。
【0026】
取引情報620は、顧客の操作によって入力された取引に係る情報であり、入金取引や振込取引といった取引の種別の情報や、取引の金額情報等である。
また暗証番号630は、顧客の操作によって入力された、預金口座の暗証番号情報である。
また取引番号640は、同じ取引の重複を防止するためのものであり、二次元コードを生成する毎に重複の無いユニークな番号を付与する。また有効期限650は、二次元コードの使用可能な期限を示す有効期限情報である。
【0027】
なお、二次元コードとして格納される情報は秘匿のために適切な暗号化方式によって暗号化されることが好ましい。
このような操作により、事前に携帯端末200に取引に必要な二次元コードが生成される。
【0028】
次に、
図1、
図4により取引端末装置100における動作手順を説明する。
まず、顧客が取引を実施するため、
図1に示す取引端末装置100に近づくと、顧客センサー部120が顧客の接近を検知する。顧客の接近によって、二次元コード読取部130を起動させ、二次元コードの読取り待機の状態とする。この動作が、
図4のステップS01である。この顧客センサー部120の顧客検知により、ステップS02において二次元コード読取部130(
図1)が起動する。
【0029】
このステップS02の動作の後、顧客により携帯端末200に表示された二次元コードが二次元コード読取部130にかざされる。ステップS03では、顧客により二次元コードがかざされたか否かを判断する。ステップS03において、二次元コード読取部130対して携帯端末に表示された二次元コードがかざされた(二次元コード入力)と判断するとステップS04に進む。ステップS04では、二次元コード読取部130が二次元コードを読取る。
【0030】
このステップS04による二次元コード読取り後、制御部110(
図1)は、読取った二次元コードの情報から暗号の復号を行い、二次元コードに含まれる情報の取得を行うと同時に、暗証番号の照合と有効期限の確認を実施する。暗証番号の照合が一致し有効期限の有効性が妥当であれば、問題なしとして二次元コードから取得した口座情報および取引情報を表示部152に表示する。この時の表示内容の一例を
図7に示す。確認画面では、取引の種類、取引金額、口座情報等を画面表示し、取引の内容を是認する場合は指静脈読取部140へ顧客の指を置くよう指示する。この処理が、
図4のステップS05の処理動作である。
【0031】
ステップS05において画面に表示された内容を、顧客(利用者)が確認し、内容に問題がなければ、指静脈画像を読取らせるために、顧客は指静脈読取部140に指を置く。
この顧客の対応により、取引端末装置100(制御部110)は、ステップS06にて指静脈読取部140が顧客の指を置かれたことを検知し、指静脈画像を読取る。
【0032】
図4のステップS07では、入力された(読取られた)指静脈画像から本人認証時の特徴となる指静脈情報を抽出する。続いて、ステップS07では、指から読取った指静脈情報と、二次元コードに含まれる指静脈情報とを照合して一致度を算出し、ステップS08にて照合が一致するか否かの判定を行う。
【0033】
ステップS08においては、算出した一致度が所定の閾値を超える場合は、照合一致、すなわち本人確認が成功(YES)したものとしてステップS09に進む。
ステップS08において、照合が一致しない(NO)場合、この実施例では、ステップS10に進み、不成功(不一致)がN回(例えば、N=3)以内であるかどうかを判断する。N回以内である場合には、ステップS11に進む。
【0034】
ステップS11では、制御部110が表示部152に、再度、指静脈読取部140に指を置くことを要求する表示を行う。これにより、顧客は再度、指静脈読取部140に指を置き、制御部110はステップS06~S08の処理を実行する。
つまり、指静脈読取部140が最初に入力した情報に不具合があり、ステップS08による照合が一致しなかった場合でもこのN回のリトライ機能により救済される。もちろん、第三者がステップS06~S08及びステップS10,S11によりN回のリトライを行っても、当然ステップS08の照合では不一致になるので、第三者の不正取引を防止することができる。
ここで、ステップS10でN回の不一致となった場合、顧客による取引を中止することができる。
【0035】
しかし、この
図4の実施例では、その場合にも一定の救済を行い顧客の便宜を図るようにしている。すなわち、ステップS10でN回の不一致があった場合(ステップS10でYESの場合)でも、一定の救済的な取引を可能としている。そのような場合の救済策として、この実施例ではステップS12に進み、一定の取引を認めるようにしている。これは、事前(口座開設時等)に生体認証無しの場合には取引金額を限定するなどの限定取引を認めるとしていた場合には、その限定取引を許可する措置である。
【0036】
ステップS12により、表示部152にその限定取引内容を表示し、顧客からその限定取引の内容でも良いという確認の入力(ステップS13)があれば、ステップS14に進み、その限定取引を実行する。ステップS13において、一定時間以内に確認の入力がない場合(NOの場合)には、ステップS15に進み、取引不可である旨の表示を行い、取引を中止する。
【0037】
一方、ステップS08において、照合が一致(YES)した場合、ステップS09に進む。ステップS09では、二次元コードに示された取引内容を許諾(容認)し、その取引を実行する。この実行が終了することにより金融取引が完了する。
【0038】
ここで、ステップS06において、顧客が指静脈読取部140に指を置いたことにより、ステップS07、S08で指静脈情報が顧客本人であるかどうかの照合を行い、一致した場合に取引内容の実行を許諾しているが、この
図4の実施例では、顧客が指静脈読取部140に指を置いたことにより、顧客はステップS05にて表示された取引内容に問題がないと判断し、かつ取引実行の指示(意思表示)を行ったものと判断している。すなわち、制御部110は、ステップS08の照合において一致の場合(YESの場合)に取引実行を行うために「確認」ボタンを顧客に押下させるのではなく、その確認操作を省略して取引をそのまま実行している。このようにすれば、照合が一致した段階で、改めて「確認」ボタンを押さなくても取引が実行できるので、顧客(利用者)による「確認」操作が不要になり、また取引端末装置100(制御部110)の処理も簡素化される。なお、取引情報620の内容に応じて、より確認に注意喚起が必要な場合(例えば、振込み先が新規である場合、振込み金額が一定額以上である場合、取引端末装置100による操作が一定期間以上空いている顧客の場合など)は、ステップS08で照合が一致した場合でも、ステップ09への遷移を、注意喚起の度合いに応じて数秒遅らせてもよい。同様に、取引情報620の内容に応じて、注意喚起が必要な場合は、ステップS08での一致度を算出するための閾値を高く設定してもよい。
【0039】
なお、
図4では、ステップS09において、確認操作を省略して取引を実行したが、このステップS08において照合が一致した段階では取引の「許諾」にとどめ、表示部152に顧客の「確認」を促す表示を行い、顧客から「確認」ボタンが押下されたことを条件として取引を実行するようにしても良い。この場合、「確認」ボタンを押下する手間は発生するが、取引の実行前の顧客の最終確認の機会が得られる効果がある。
【0040】
(第1実施例の効果)
以上詳細に説明したように、本発明の第1実施例によれば、取引内容を事前に自分の携帯端末操作により入力しておき、取引端末装置を利用する場合には、口座情報、指静脈情報、取引情報を含む二次元コードを取引端末装置にかざすだけで、煩雑な操作を不要とすることができる。また、携帯端末により表示される二次元コードに含まれる指静脈情報と、取引端末装置における指静脈読取部140により読取られた指静脈情報とを照合させ、一致した場合に取引を許諾するようにしたので、第三者による不正な取引を確実に防止することができる。また、携帯端末に予め生体情報を登録しておき、取引端末装置において入力した生体情報と照合するようにしているので、顧客の本人確認に関してサーバによるサポートは不要である。
【0041】
更に、
図4に示すように、基本的に1回の指静脈情報を入力するための動作(指静脈読取部に指を置く動作)のみで、顧客は改めて確認を行う操作が不要となり、取引時の顧客の負担および取引端末処置の処理が簡素化できる。また、生体情報が読取れなかった場合のリトライ機能や、リトライ機能によっても照合ができない場合にも一定の取引を可能としているので、顧客の利便性を向上することができる。
【0042】
<第2実施例>
次に、本発明の第2実施例について、
図8~
図11を用いて説明する。第2実施例と第1実施例との大きな違いは、主に二次元コードを作成する方法の違いであり、その他は、第1実施例と同様である。第2実施例では、顧客の携帯端末を使用して二次元コードを生成する代わりに、金融機関に設置している受付端末装置を用いて第1実施例と同様の二次元コードを生成している。第2実施例の場合も、取引端末装置は
図1と同様の構成であり、その動作は
図4に示す内容と同様である。したがって、第1実施例における説明と重複する内容については、その説明を省略する場合がある。
【0043】
(受付端末装置の構成)
図8は、本発明の第2実施例を実現するために利用する受付端末装置800の構成図である。受付端末装置800は、金融機関の支店に設置されており、行員の許可を得て使用できる。受付端末装置800は、受付端末制御部810、二次元コード出力部820、指静脈読取部830、表示入力部840によって構成される。
【0044】
受付端末制御部810は、受付端末装置800の各部の制御等を実施するとともに、顧客の操作や顧客への表示を行う表示入力部を備え、顧客からの入力操作に応じた画面表示を実施し、また指静脈読取部830から顧客の指静脈画像を読取り、入力された指静脈画像から本人認証時の特徴となる指静脈情報を抽出し、顧客が入力した取引情報と指静脈情報とを合わせて二次元コードを生成し、二次元コード出力部820より二次元コードを記録媒体(例えば、紙)に印刷する。
【0045】
(顧客受付の実施手順)
図9は、
図8の受付端末装置800を利用した受付票の発行手順を説明する図である。
まず、顧客は、受付端末装置800が設置されている金融機関の支店(行員が常駐する店舗)に出向き、顧客本人であることを証明する書類(例えば、運転免許証)を行員に提示し、受付端末装置800の使用の許可を得る。この許可を得て、顧客は、受付端末装置800を操作し、紙に印刷された二次元コードを入手する。すなわち、
図9のステップS21では、
図10の(a)に示す取引の選択画面によって、顧客は取引の種別を選択する。本実施例では「振込」が選択されたものとする。
【0046】
ステップS22では、
図10の(b)に示す取引内容の入力画面によって、顧客は取引の内容を入力する。顧客は「振込」取引の内容として、金融機関名、支店名、口座番号、受取人名、依頼人番号、電話番号、振込金額等を入力し、入力完了後に確認ボタンを押下する。
【0047】
ステップS23では、
図10の(c)に示す画面表示によって、顧客の操作を誘導する。顧客が指静脈読取部830(
図8参照)に指を置き、指静脈読取部830により指静脈画像を読取り、受付端末制御部810は入力された指静脈画像から本人認証時の特徴となる指静脈情報を取得する。受付端末制御部810は、取得した指静脈情報と、口座情報と、顧客が入力した取引情報とを合わせて二次元コードを生成し、二次元コード出力部820を制御して、二次元コードを印刷する。したがって、この二次元コードには、指静脈情報が含まれている。
【0048】
生成された二次元コードと、受付番号等を二次元コード出力部820より印刷することで、顧客は紙へ印字された二次元コードを取得できる。
図11は顧客が取得する受付番号票1100の例である。受付番号票1100の二次元コードには、取引情報および顧客の指静脈情報が符号化されて格納されている。
【0049】
(取引端末装置における取引の実施手順)
取引端末装置100(
図1参照)は、顧客が接近したことを検知して二次元コード読取部130を起動する。そして、顧客が提示する紙に印字された二次元コードを読取り、読取った二次元コードに格納されている取引の内容を表示部152の画面に表示する。その後、顧客が表示内容を確認し、指静脈読取部140に指を置くことで画面表示の内容を顧客が是認したものとする。さらに、指静脈読取部140で読取った指静脈情報と二次元コードに格納された指静脈情報とを照合して本人確認を実施し、本人確認が成功した場合には振込取引の処理を実施する。これらの、
図1に示す取引端末装置100の説明、および
図4に示す取引端末装置100の一連の動作の説明は、上記した第1実施例の場合と同様であるため、その説明は省略する。
【0050】
(第2実施例の効果)
以上説明したように、本発明の第2実施例によれば、上記1実施例と同様の効果を有する。また、第2実施例では、携帯端末がなくても、本人を確認する書類を持参すれば、行員の許可を得て受付端末装置使用し、携帯端末で生成したと同様の二次元コードを得ることができる。本発明の第2実施例によれば、次に列挙する効果を得ることができる。
【0051】
(1)顧客は取引端末装置に近づいて、二次元コードと指をかざすだけで取引が完了するため、ボタン操作が不要となり、簡便に取引を実施できる。
(2)顧客は、指静脈認証による本人確認を実施しているため、情報端末あるいは二次元コードを取得した第三者に不正利用されることを防止できる。
(3)二次元コードに格納された取引番号によって、取引の重複実施を検知することで、重複した取引を防止できる。
(4)二次元コードに格納された有効期限によって、有効期間を過ぎた後は使用不可とすることで、二次元コードを取得した第三者に不正利用されることを軽減できる。
【0052】
なお上述した実施例では、生体情報の一例として指静脈情報を用いたが、本発明では第三者が本人としてなりすますことが困難な、指静脈以外の生体情報(指紋パターン、掌紋パターン、掌静脈パターン、掌形、虹彩、顔など)を用いることができる。その場合、使用する生体情報に対応して、生体情報画面から特徴情報を読取ることができる生体情報読取部を使用する。
【符号の説明】
【0053】
100:取引端末装置、110:制御部、120:顧客センサー部、130:二次元コード読取部、140:指静脈読取部、150:表示入力部、151:タッチパネル入力部、152:表示部、160:入出金部、200:携帯端末、210:携帯端末制御部、220:記憶部、230:二次元コード読取部、240:表示入力部、241:タッチパネル入力部、242:表示部、300:口座情報、301:銀行番号、302:店舗番号、303:科目コード、304:口座番号、305:カナ氏名、310:指静脈情報、600:口座情報、601:銀行番号、602:店舗番号、603:科目コード、604:口座番号、605:カナ氏名、610:指静脈情報、620:取引情報、630:暗証番号、640:取引番号、650:有効期限、800:受付端末装置、810:受付端末制御部、820:二次元コード出力部、830:指静脈読取部、840:表示入力部、841:タッチパネル入力部、842:表示部、1100:受付番号票