(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】通帳取扱い装置および通帳取扱い装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B42D 9/04 20060101AFI20221108BHJP
G07D 11/00 20190101ALI20221108BHJP
【FI】
B42D9/04 C
G07D11/00
(21)【出願番号】P 2018228665
(22)【出願日】2018-12-06
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 久貴
(72)【発明者】
【氏名】田辺 真三
(72)【発明者】
【氏名】榎本 裕也
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-054992(JP,A)
【文献】特開2003-099902(JP,A)
【文献】特開2002-127643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 9/04
G07D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通帳を所定方向に搬送する搬送装置と、前記通帳に記載されたデータを読取る光学読取部と、前記通帳のページ捲りを行うページ替え部とを配置し
、装置機構部全体を制御する制御部を有する通帳取扱い装置であって、
前記ページ替え部に搬送される前記通帳の厚みを検知する厚み検知センサー
を設け、
前記制御部は、
前記厚み検知センサーから前記ページ捲り前の厚みと前記ページ捲り後の厚みとを入力して厚み差を求め、
前記厚み差に基づいて前記ページ捲りが正常に実施されたか否かを
前記ページ替え部に通帳が存在している状態において判断し、
前記ページ捲りが正常に実施されていない
と判断した場合には
、前記通帳を前記光学読取部が前記データを読取り可能な位置に搬送することなく、前記ページ替え部によ
る前記通帳の前記ページ捲りを
、前記厚み差に基づいて前記ページ捲りが正常に実施されたと判断されるまで継続する通帳取扱い装置。
【請求項2】
請求項1記載の通帳取扱い装置において、
前記制御部は、前記通帳を構成する用紙1枚分の厚さを判断するために選定された第1閾値と、前記通帳を構成する用紙2枚分の厚さを判断するために選定された第2閾値とを用意し、前記厚み差が前記第1閾値より小さい場合に前記ページ捲りが行われていないものと判断し、前記厚み差が前記第2閾値より大きい場合に多重捲りが行われたものと判断すること、を特徴とする通帳取扱い装置。
【請求項3】
請求項1記載の通帳取扱い装置において、
前記制御部は、前記ページ捲り
が正常に実施されたと判断された後に、前記通帳を前記光学読取部の設置された位置に搬送し、前記光学読取部が前記通帳のページ情報を読取り、前記ページ捲りが正常に行われたことを確認すること、を特徴とする通帳取扱い装置。
【請求項4】
通帳を所定方向に搬送する搬送装置と、前記通帳に記載されたデータを読取る光学読取部と、前記通帳のページ捲りを行うページ替え部とを配置した通帳取扱い装置を制御する通帳取扱い装置の制御方法であって、
前記ページ替え部に搬送される前記通帳の厚みを検知する厚み検知センサーを設けておき、
前記厚み検知センサーから前記ページ捲り前の厚みと前記ページ捲り後の厚みとを入力して厚み差を求め、
前記厚み差に基づいて前記ページ捲りが正常に実施されたか否かを
前記ページ替え部に通帳が存在している状態において判断し、
前記ページ捲りが正常に実施されていない
と判断した場合には
、前記通帳を前記光学読取部が前記データを読取り可能な位置に搬送することなく、前記ページ替え部によ
る前記通帳の前記ページ捲りを
、前記厚み差に基づいて前記ページ捲りが正常に実施されたと判断されるまで継続する通帳取扱い装置の制御方法。
【請求項5】
請求項4記載の通帳取扱い装置の制御方法において、
前記通帳を構成する用紙1枚分の厚さを判断するために選定された第1閾値と、前記通帳を構成する用紙2枚分の厚さを判断するために選定された第2閾値とを用意しておき、前記厚み差が前記第1閾値より小さい場合に前記ページ捲りが行われていないものと判断し、前記厚み差が前記第2閾値より大きい場合に多重捲りが行われたものと判断すること、を特徴とする通帳取扱い装置の制御方法。
【請求項6】
請求項4記載の通帳取扱い装置の制御方法において、
前記ページ捲り
が正常に実施されたと判断された後に、前記通帳を前記光学読取部の設置された位置に搬送し、前記光学読取部が前記通帳のページ情報を読取り、前記ページ捲りが正常に行われたことを確認すること、を特徴とする通帳取扱い装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通帳取扱い装置および通帳取扱い装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行システムなどの金融機関システムに採用される自動取引装置(ATM:Automated Tellers Machine)には通帳取扱い装置が設置されている。この通帳取扱い装置には、通帳等の冊子媒体(以下、単に「通帳」と称する)の頁を捲る機構(ページ替え部)が備わっている。通帳は、通帳表紙と通帳中紙とで構成されるが、表紙と中紙との厚みは異なり、また材質も異なるのが一般的である。ページ替え部はページ捲り用ローラを有しており、このページ捲り用ローラの摩擦力を利用して通帳の表紙及び中紙のページ捲り(ページ替え)を行うが、表紙を捲る場合も中紙を捲る場合も同じページ捲り用ローラを使用する。そのため、紙の厚みの違いや、紙質や通帳の状態ばらつきによって、ページ捲りが正常に行われない場合が生じている。例えば、厚みが厚い表紙のページ捲りがうまく実施できなかったり、あるいは厚みの薄い中紙は2枚以上の多重枚捲りを行ってしまうなどの問題を抱えている。
【0003】
このような問題に対して、通帳のぺージの長さ、厚さ、紙の剛性等のばらつきに関らず確実にページ替えを行うことができるとする技術が、特開2002-127643号公報(特許文献1)に記載されている。この特許文献1の技術は、通帳の長さ検知用センサーと厚み検知用センサーを用意し、長さ検知用センサーの検知出力を用いて通帳を所定の停止位置に停止させ、また厚み検知用センサーの出力によりページ替えローラのギャップを所定ギャップに調整するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1には、媒体の長さを検知し、停止位置を変えることによって通帳のページ替えする位置を自動調整することで安定した捲り精度を得られると記載されている。
しかし、特許文献1においては、ページ捲りが正常に行われたかどうかの判断は、通帳をページ捲り部から光学読取部へ搬送し、通帳に印刷されたページ情報であるページバーコードを読取って判断している。その結果、もし、多重枚の捲りをしているという判断となれば、通帳を再びページ替え部に戻す搬送を行い、ページ替え部において捲り戻す制御を行っている。また、ページ捲りができなかったと判断された場合も、同様に通帳を再びページ替え部に戻す搬送を行い、ページ捲りを再度実行するよう制御している。
このため、特許文献1の場合、ページ捲りを行った後、毎回、光学読取部へ通帳を搬送し、通帳に印刷されたページバーコードを確認して正常なページ捲りが行われたかどうかを判断し、正常でない場合にはページ替え部に戻す搬送を行い、ページ替え部で再び捲り直しを行なうので、処理時間がかかってしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ページ替え部において通帳のページ捲りが行われた場合に、正常に行われたかどうかの判断を光学読取部への搬送を行わずとも行えるようにし、処理時間を大幅に短縮することができる通帳取扱い装置および通帳取扱い装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その一例を挙げると、通帳を所定方向に搬送する搬送装置と、前記通帳に記載されたデータを読取る光学読取部と、前記通帳のページ捲りを行うページ替え部とを配置し、装置機構部全体を制御する制御部を有する通帳取扱い装置であって、前記ページ替え部に搬送される前記通帳の厚みを検知する厚み検知センサーを設け、前記制御部は、前記厚み検知センサーから前記ページ捲り前の厚みと前記ページ捲り後の厚みとを入力して厚み差を求め、前記厚み差に基づいて前記ページ捲りが正常に実施されたか否かを前記ページ替え部に通帳が存在している状態において判断し、前記ページ捲りが正常に実施されていないと判断した場合には、前記通帳を前記光学読取部が前記データを読取り可能な位置に搬送することなく、前記ページ替え部による前記通帳の前記ページ捲りを、前記厚み差に基づいて前記ページ捲りが正常に実施されたと判断されるまで継続する通帳取扱い装置である。
【0008】
また、本発明の他の一例を挙げると、通帳を所定方向に搬送する搬送装置と、前記通帳に記載されたデータを読取る光学読取部と、前記通帳のページ捲りを行うページ替え部とを配置した通帳取扱い装置を制御する通帳取扱い装置の制御方法であって、前記ページ替え部に搬送される前記通帳の厚みを検知する厚み検知センサーを設けておき、前記厚み検知センサーから前記ページ捲り前の厚みと前記ページ捲り後の厚みとを入力して厚み差を求め、前記厚み差に基づいて前記ページ捲りが正常に実施されたか否かを前記ページ替え部に通帳が存在している状態において判断し、前記ページ捲りが正常に実施されていないと判断した場合には、前記通帳を前記光学読取部が前記データを読取り可能な位置に搬送することなく、前記ページ替え部による前記通帳の前記ページ捲りを、前記厚み差に基づいて前記ページ捲りが正常に実施されたと判断されるまで継続する通帳取扱い装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、ページ替え部に通帳の厚みを検知する厚み検知センサーを設け、ページ替え部におけるページ捲りの前と後の厚み差を用いてページ捲りが正常であるか否かの判断を行い、この判断に基づき正常でない場合にはページ替え部を用いてページめくりを再度実施するようにしたので、ページ捲りに要する処理時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例にかかる通帳取扱い装置の構成を示す図である。
【
図2】通帳に印刷されているページ情報を示すバーコードを示す図である。
【
図3】
図1に示す本発明の実施例の動作フロー図である。
【
図4】
図3に示す動作フローの一部を詳細に記載した動作フロー図である。
【
図6】ページ替え部におけるページ捲りの状態を示す図である。
【
図7】厚み検知センサーを搭載したページ替え部を示す図である。
【
図8】厚み検知センサーを搭載したページ替え部を示す図である。
【
図9】ページ替え部のページ捲りができない場合を説明する図である。
【
図10】ページ替え部の多重枚捲りを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の具体的な実施例について、
図1~
図10を用いて説明する。なお、本発明は、通帳のページ捲り機能を有する通帳取扱い装置全般に適用できるものであり、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の実施例にかかる通帳取扱い装置の構成を示している。
図2は通帳に印刷されているページ情報を示すバーコード例を示す。
図3および
図4は、
図1の実施例の動作フローを示す図である。
図5~
図10は、ページ替え部の構成やその動作を説明するための図である。
【0013】
(通帳取扱い装置の構成説明)
まず、
図1において、通帳1が挿入口2から投入されると、搬送装置が通帳1を搬送する。搬送装置については、ここでは、搬送ローラを備えた搬送部3しか記載していないが、通帳を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトを駆動する駆動機構で構成されている。駆動部9は、この搬送装置を駆動するものである。読取記録部4は、通帳の記載(記録)がいっぱいになり、新通帳を発行する際に、新規通帳の磁気ストライプに情報を書込むためなどに用いる。新規通帳は、通帳繰出部10から繰り出される。光学読取部5は、搬送路上面に配置されており、通帳1の開かれた紙面上に記録された情報を光学的に検知する。印字部6は、搬送路上面に配置されており、通帳に必要な情報(取引情報等)を印刷する(記帳する)。ページ替え部7は、搬送されてきた通帳1のページ捲りを行うものであり、具体的な構成は後述する。制御部8は、通帳取扱い装置機構部全体を制御する機能を有する。
【0014】
(通帳取扱い装置の動作説明)
次に、
図1の通帳取扱い装置の動作を、
図3及び
図4の動作フロー図を用いて説明する。
図3は通帳取扱い動作全体を示しており。
図4は
図3の動作における「ページ捲り処理」の詳細な動作を示している。
【0015】
まず、
図3において、利用者が通帳1を通帳取扱い装置の挿入口2に挿入する。この通帳挿入により動作が開始される。
【0016】
ステップS01では、挿入口2に挿入された通帳1は搬送路上のセンサー(
図1において図示せず)により検知され、制御部8がその検知信号を受けて駆動部9を駆動し、搬送部3にあるローラによって通帳1を搬送し、搬送路上面に配置した光学読取部5で、
図2に示す通帳のページ上の印字済み行数やページバーコード21の光学情報を読取る。またステップS02では、搬送路下面に配置した記録部4にて通帳磁気ストライプの磁気情報を読取る。
【0017】
ステップS03では磁気情報が正しく読取れたかどうかを判断し、正しく読取れた(YES)場合、それらの結果を図示しない上位制御部に送信し、該通帳に対する当該金融機関通帳かを判断する(ステップS04)。ステップS04において、当金融機関の通帳である場合(YESの場合)、ステップS05に進む。通帳1が他の金融機関が発行したものである場合(NOの場合)は、駆動部9を駆動し、通帳1を返却する。
【0018】
ステップS05では、光学情報と磁気情報の一致性のほか未記帳データの有無を判断し、光学情報と磁気情報が一致し未記帳データが有る場合(YESの場合)、ステップS06に進み、印字部6で通帳1に利用者の取引内容の印字を行なう。ステップS05において未記帳データが無ければ(NOの場合)、通帳1は利用者に返却する。
【0019】
次に、ステップS07では、装置取扱者の通帳の記載が一杯になったかどうか、すなわちページ(頁)が満行かつ未記帳データがあるかどうかの判断を行う。ここで、通帳に記載する行がなくなった(満記になった)ときには、一時的に、通帳1を通帳一時退避部11に通帳を送り、通帳繰出部10から新規の通帳が閉じたまま繰出される。そして、印字部6で利用者の名前や支店名を印字し、ページ替え部7で表紙ページをめくり、印字部6で装置取扱者の取引情報を印字し、記録部4で磁気ストライプに情報を書込み、挿入口2から利用者に新規の通帳1を返却し、次いで通帳一時退避部11に退避していた満記になった通帳1を返却する。
【0020】
ステップS08では、通帳のページ捲りが必要な場合に、ページ替え部7によりページ捲りを実行する。このステップS08の動作の詳細は後述するが、その前に、ここでページ替え部7の構成を説明する。
【0021】
(ページ替え部の説明)
ページ替え部7の構成を、
図5~
図10に示す。ページ替え部7では、通帳繰出部10から繰出された新規通帳の表紙を捲る機能とユーザ(利用者)が挿入した通帳の中紙を捲る機能を有しており、これらを同じ機構でページ捲りを行っている。
【0022】
まず、
図5、
図6により、ページ替え部7の基本構成を説明する。ページ替え部7は、ページ替えを専用のページ替えローラ12を有しており、ページ替えローラ12を回転させ通帳1に押しつけ、変形させながら捲る摩擦分離方式を使用している。この方式は通帳を形成する紙の特性である剛性や紙面間(ページ間)の摩擦係数があらかじめ定められた規定範囲にあることを前提としており、それら特性値が流通通帳の保存状態などでバラつくことがある。そのような場合、通帳のページを2枚重ねて捲ってしまったり、ページ捲りが実施されない場合もある。
図5は通帳を搬送している状態を示し、
図6はページ捲りを行っている状態を示している。
【0023】
次に、この
図1に示す本発明の実施例に用いるページ替え部7の構成を
図7~
図10を用いて説明する。この実施例におけるページ替え部7は、
図7~
図10に示すように、ページ替え部7の搬送ローラ13のシャフトに接触するように厚み検知センサー14を取付けている。厚み検知センサー14を形成するセンサーブレード14bはセンサーアセンブリ内に回転支軸14cを持って取付けられており、無作用時はばね14aの力で図示上反時計方向に型取りされるが、センサーブレードに接する搬送ローラ13が下がるとセンサーブレードは、それに伴い回転支軸14cを中心に時計方向に回転する。そのセンサーブレードの回転量を検出することで搬送ローラ13の下がり量、つまり搬送ローラ13がその時点で挟持する通帳の厚み量を検知することができる。これによって、通帳1の搬送によって搬送ローラが上下し、シャフトに接触している厚み検知センサー14は、搬送している通帳の厚み分ブレード14aが押し込まれ、通帳の厚みを定量的に検知する。なお、ここで説明した厚み検知センサー14は一例にすぎず、本発明では厚みを検知可能な厚み検知センサーであればどのような種類のセンサーでも使用できる。
【0024】
通帳のページ厚みは予め把握されているので、ページ捲り前とページ捲り後で厚みを比較すれば何枚捲れたかがわかる。つまり、ページを1枚のみ捲っている場合(正常なページ捲りの場合)は、厚み検知センサー14が正常値相当量しか押込まれない。このため、正常に捲れていることが判断できる。例えば、
図10のページ1a,1bに示すように、2枚重ねて捲っている場合には、搬送ローラの上下量が正常に1枚のみ捲ったときより大きくなり、厚み検知センサー14が過剰に押し込まれる。また、
図9のように、ページを捲りあげることができなかった場合には搬送前と厚みが変化しないため、ページ捲りができなかったことを判断できる。
【0025】
(通帳取扱い装置の動作説明の続き)
さて、次に、再び
図3と
図4に戻り、動作説明を行う。
図3のステップS08の詳細な動作を、
図4により詳細に説明する。
【0026】
まず、
図4において、ステップS81では、通帳1がページ替え部7まで搬送される。この搬送後、ステップS82では、ページ替え部7がページ捲りを実施する前に、厚み検知センサー14により通帳厚みAを検知し、この捲り前の厚みAは、制御部8に入力される(取込まれる)。
【0027】
その後、ステップS83に進み、ページ替え部7の頁替えローラ12を回転させて通帳1のページを捲る。
【0028】
このページ捲り動作後において、ステップS84では、厚み検知センサー14により、ページ捲り後の厚みBを検知し、制御部8(
図1参照)はこのページ捲り後の厚みBを取込む。そして、制御部8は、その厚み差(A-B)を求める。
【0029】
ここで、この実施例では、2つの閾値を用いて、通帳のページめくりが正常に行われたか否かを判定する。すなわち、通帳を構成する用紙1枚分の厚さを判断するために選定された第1閾値T1と、前記通帳を構成する用紙2枚分の厚さを判断するために選定された第2閾値T2とを用意し、前記厚み差(B-A)が前記第1閾値より小さい場合に前記ページ捲りが行われていないものとし、前記厚み差(B-A)が前記第2閾値より大きい場合に多重捲りが行われたものと判断する。例えば、通帳1の中紙1枚の厚みを0.1mmとした場合、第1の閾値T1を、紙面バラつきや厚みセンサー検知バラつきを考慮して、例えば、T1=0.05mmと設定する。また、第2の閾値T2を、中紙1枚の厚みを0.1mmより大きい値、例えばT2=0.15mmに設定しておく。
【0030】
図4のステップS85では、厚み差(B―A)の値が第1設定値T1より小さいかどうか、すなわち(B-A)<T1を判断する。この判断の結果、(B-A)<T1であれば(YESの場合)、捲り前後の厚み差が中紙1枚以下(0.1mm以下)なので
図9に示すように通帳のページが捲れていない状態と判断する。この場合、ステップS82に戻り、ステップS82~ステップS85の動作、すなわちリトライ動作を実施する。ステップS85において、NOの場合には、通帳のページ捲りは行われていると判断し、ステップS86に進む。
【0031】
ステップS86では、(B-A)>T2であるかどうかを判断する。(B-A)>T2の結果がYESの場合、
図10に示すような、2枚以上の多重捲りであると判断する。この場合は、ステップS86に進む。ステップS86では、ページ替え部7のページ替えローラ12を逆回転して捲り戻し動作を実行し、ステップS84に戻る。ステップS84、ステップS85、ステップS86の動作は、ステップS86においてNOとなるまで実施される。
【0032】
ステップS86において、厚み差(B-A)がT2より小さい場合(NOの場合)には、通帳のページめくりが正常に行われたものと判断する。
【0033】
このようにして、ページ替え部7に通帳が存在している状態において、通帳の厚み差(B-A)を求め、その結果に基づいて正常なページ捲りが実施されたかどうかを判断し、正常なページ捲りでない場合には正常なページ捲りとなるまでステップS81~S87の処理動作が行われる。
【0034】
この動作は、通帳がページ替え部7に存在している状態で繰り返される。そのため、通帳を読取位置に通帳を戻す搬送、およびページ捲りが正しく行えなかったと判断した場合に、正しいページに捲りなおすために再びページ読取部に戻す搬送は不要である。
この
図4のステップS86においてNOの判定になると、正常なページ捲りが実施されたものと判断し、
図3のステップS09に進む。
【0035】
図3のステップS09では、通帳1を光学読取部5に搬送し、通帳のページバーコード21を読取、正しいページになっているかどうかの最終確認を行い、問題なければステップS11に進む。もし、ステップS10において、正しいページになっていない場合には、ステップS08に戻しページ捲りを行う。上述したように、基本的に通帳は正しいページに捲られているはずであるが、ステップS09とS10ではそのことを最終的に確認する。ステップS10において、正しいページであると判断した場合、ステップS11に進む。
ステップS11では、通帳への未記帳データの印字処理を行う。そして、ステップS12にて磁気ストライプの記録処理後、通帳返却のために通帳を挿入口2に搬送する。
【0036】
(実施例の効果)
以上説明したように、この実施例では、ページ替え部7に設置した厚みセンサー14によるページ捲り前後の厚みを検知し、ページ捲り前後の厚み差(B-A)により、ページ捲りが正常に行われたか否かを判断できるので、ページ捲りの都度光学読取部へ5に搬送する動作が不要となる。また、ページ捲りが正常に行われなかった場合にページ捲り部に通帳を搬送する必要もなくなる。したがって、ページ捲りに要する時間を大幅に短縮することができる。
【符号の説明】
【0037】
1…通帳、2…挿入口、3…搬送部、4…記録部、5…光学読取部、6…印字部、7…ページ替え部、8…制御部、9…駆動部、10…通帳繰出部、11…通帳一時退避部、12…ページ替えローラ、13…搬送ローラ、14…厚み検知センサー