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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20221108BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20221108BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20221108BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
A61B1/04 520
A61B1/00 683
A61B1/045 610
G02B23/24 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018234558
(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公開番号】P2020092963
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 雅弘
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-083308(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179504(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/145849(WO,A1)
【文献】特開2015-008910(JP,A)
【文献】特開2011-087800(JP,A)
【文献】特開2008-029557(JP,A)
【文献】特開平07-008453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡システムのプロセッサの凹部コネクタに接続される凸部コネクタと、
電流監視部と、
表示部と、を有
前記凸部コネクタは、凸部側面部に取り付けられたソレノイドコイルあるいは前記凸部側面部に巻きつけられたスパイラルコイルを含み、
前記凸部側面部にソレノイドコイルが取り付けられている場合には、前記プロセッサの前記凹部コネクタの側面部に取り付けられたソレノイドコイルによって発生した磁場によって前記凸部側面部に取り付けられたソレノイドコイルに誘導電流が発生し、前記プロセッサから前記内視鏡装置へ電源が供給され、
前記凸部側面部にスパイラルコイルが巻きつけられている場合には、前記プロセッサの前記凹部コネクタの側面部に巻きつけられたスパイラルコイルによって発生した磁場によって前記凸部側面部に巻きつけられたスパイラルコイルに誘導電流が発生し、前記プロセッサから前記内視鏡装置へ電源が供給され
前記電流監視部は、前記供給された電源によって発生する消費電流値を測定し、
前記表示部は、前記電流監視部によって測定された前記消費電流値に対応する表示と、前記消費電流値と複数の所定の閾値とを比較し、前記内視鏡装置の内部の各デバイスが動作しているか否かを示す表示を出力する、内視鏡装置。
【請求項2】
請求項において、
前記表示部は、表示色が異なる複数のLEDによって構成される、内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内視鏡装置、プロセッサ、および内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、内視鏡システムは、内視鏡装置(スコープ)と、内視鏡装置を接続するプロセッサとによって構成されている。近年では、使用後の内視鏡装置の洗浄・消毒時の防水キャップ着脱の手間を考慮し、プロセッサから内視鏡装置に非接触で電力を供給する内視鏡システムが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1は、内視鏡側コネクタにプロセッサから非接触で受電を行う受電コイルを含む受電部を設け、プロセッサ側コネクタに内視鏡装置に非接触で給電を行う給電コイルを含む給電部を設けた内視鏡システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-108932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、内視鏡装置とプロセッサとの接続部は、小型化傾向にあるが、特許文献1に開示の内視鏡システムのように、電源時送受信コイルをスパイラル形状(コイルの円形状面合わせ)で電源送受信動作を行うと、撮像素子の高解像度化により消費電力が大きくなった場合に電力が不足する可能性がある。スパイラルコイルを大きくする(円形状のコイルの半径を大きくする)か、複数のコイルを配置することにより、電源送受信能力を増加させることができるが、近年の内視鏡装置とプロセッサとの接続部の小型化傾向とは相反してしまう。
【0006】
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、内視鏡とプロセッサとの接続部のサイズを大型化せず、内視鏡装置側での消費電力が大きくなった場合にも電源送受信を可能とする非接触給受電技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本実施形態は、内視鏡システムのプロセッサの凹部コネクタに接続される凸部コネクタを有する内視鏡装置であって、
凸部コネクタは、凸部側面部に取り付けられたソレノイドコイルあるいは凸部側面部に巻きつけられたスパイラルコイルを含み、
凸部側面部にソレノイドコイルが取り付けられている場合には、プロセッサの凹部コネクタの側面部に取り付けられたソレノイドコイルによって発生した磁場によって凸部側面部に取り付けられたソレノイドコイルに誘導電流が発生し、プロセッサから内視鏡装置へ電源が供給され、
凸部側面部にスパイラルコイルが巻きつけられている場合には、プロセッサの凹部コネクタの側面部に巻きつけられたスパイラルコイルによって発生した磁場によって凸部側面部に巻きつけられたスパイラルコイルに誘導電流が発生し、プロセッサから内視鏡装置へ電源が供給される、内視鏡装置を提供する。
【0008】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではないことを理解する必要がある。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、内視鏡とプロセッサとの接続部のサイズを大型化せず、内視鏡装置側での消費電力が大きくなった場合にも電源送受信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の電子内視鏡システムの全体外観を示す図である。
図2】本実施形態の電子内視鏡システムの概略内部構成例を示す図である。
図3】内視鏡側コネクタ110/111とプロセッサ側コネクタ210の断面構成を示す図である。図3(a)は、無線給電に対応の内視鏡側コネクタ110の断面構成を、図3(b)は、電気接点による給電に対応の内視鏡側コネクタ111の断面構成を、図3(c)は、無線給電および電気接点による給電の両方に対応のプロセッサ側コネクタ210の断面構成を示している。
図4】無線給電コイルとしてソレノイドコイルを用いた場合の内視鏡側およびプロセッサ側コネクタの構成を示す図である。図4(a)は、当該変形例による無線給電に対応の内視鏡側コネクタ110の断面構成を、図4(b)は、当該変形例による、無線給電および電気接点による給電の両方に対応のプロセッサ側コネクタ210の断面構成をそれぞれ示している。また、図4(c)は、内視鏡側コネクタ110がプロセッサ側コネクタ210に挿入された場合の、内視鏡側無線給電コイル(ソレノイドコイル)1110あるいは1120とプロセッサ側無線給電コイル(ソレノイドコイル)2110あるいは2120の関係を示す図である。図4(d)は、内視鏡側コネクタ110とプロセッサ側コネクタ210が位置ずれを起こしているときに発生する磁界(磁束)の様子を示す図である。
図5】報知機能に関係する、内視鏡装置100とプロセッサ200の内部構成例を示す図である。
図6】LEDによる電流レベルの報知動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、本開示の一実施形態として電子内視鏡システムを例に取り説明する。
【0012】
電子内視鏡システムにおける観察の対象部位は、例えば、呼吸器等、消化器等である。呼吸器等は、例えば、肺、気管支、耳鼻咽喉である。消化器等は、例えば、大腸、小腸、胃、食道、十二指腸、子宮、膀胱等である。上述のような対象部位を観察する場合、特定の生体構造を強調した画像の活用がより効果的である。
【0013】
<内視鏡システムの構成>
図1は、本実施形態の内視鏡システムの全体外観例を示す図であり、図2は、本実施形態の電子内視鏡システムの概略内部構成例を示す図である。電子内視鏡システム1は、内視鏡装置(電子スコープ)100と、プロセッサ200と、モニタ300とを備えている。
【0014】
内視鏡装置100は、被検体の内部に挿入される細長い管状の挿入部11を備えている。内視鏡装置100は、後述する光源装置201からの照射光を導くためのLCB(Light Carrying Bundle)101と、LCB101の出射端に設けられた配光レンズ102と、対物レンズ103と、対物レンズ103を介して被照射部分(観察部位)からの戻り光を受光する撮像素子104と、撮像素子104を駆動するドライバ信号処理回路105と、第1メモリ106とを備えている。
【0015】
光源装置201からの照射光は、LCB101内に入射し、LCB101内で全反射を繰り返すことによって伝播する。LCB101内を伝播した照射光は、挿入部11の先端部12内に配置されたLCB101の出射端から出射され、配光レンズ102を介して観察部位を照射する。被照射部分からの戻り光は、対物レンズ103を介して撮像素子104の受光面上の各画素で光学像を結ぶ。
【0016】
撮像素子104は、挿入部11の先端部12内に配置されており、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。撮像素子104は、受光面上の各画素で結像した光学像(生体組織からの戻り光)を光量に応じた電荷として蓄積して、R、G、Bの画像信号を生成して出力する。なお、撮像素子104は、CCDイメージセンサに限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやその他の種類の撮像装置に置き換えられてもよい。撮像素子104は、ドライバ信号処理回路105によって駆動され、1フィールドもしくは1フレーム分の画素信号が撮像素子104から所定の時間間隔(例えば1/60秒あるいは1/30秒間隔)で読み出される。
【0017】
プロセッサ200は、内視鏡装置100からの信号を処理する信号処理装置と、自然光の届かない体腔内を内視鏡装置100を介して照射する光源装置とを一体に備えた装置である。別の実施形態では、信号処理装置と光源装置とを別体で構成してもよい。プロセッサ200は、光源装置201と、システムコントローラ202と、光学フィルタ203と、光学フィルタドライバ204と、前段信号処理回路205と、色変換回路206と、後段信号処理回路207と、第2メモリ208とを備えている。
【0018】
プロセッサ200は、図示しない操作パネルを備えてもよい。操作パネルの構成には種々の形態がある。操作パネルの具体的構成としては、例えば、プロセッサ200のフロント面に実装された機能毎のハードウェアキーやタッチパネル式GUI(Graphical User Interface)、ハードウェアキーとGUIとの組合せ等が考えられる。施術者は、操作パネルによって後述するモード切替操作が可能となる。
【0019】
システムコントローラ202は、図示省略のメモリに格納された各種プログラムを実行し、電子内視鏡システム1全体を統合的に制御する。システムコントローラ202は、制御信号を用いて、プロセッサ200に接続されている内視鏡装置100に適した処理がなされるようにプロセッサ200内の各種回路の動作やタイミングを制御する。また、システムコントローラ202は、上述の操作パネルに接続されてもよい。システムコントローラ202は、操作パネルより入力される施術者からの指示に応じて、電子内視鏡システム1の各動作及び各動作のためのパラメータを変更する。
【0020】
光源装置201としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプやLED(Light Emitting Diode)を用いることができる。光源装置201からの照射光は、主に可視光領域から不可視である赤外光領域に広がるスペクトルを持つ光(又は少なくとも可視光領域を含む光)である。光源装置201からの照射光は、光学フィルタ203に入射する。
【0021】
なお、内視鏡装置100とプロセッサ200との間のデータ通信は、有線の電気通信方式を用いてもよいし、光無線通信方式を用いてもよい。後述する内視鏡側コネクタ(無線給電方式の場合)とプロセッサ側コネクタの構成では、光無線通信方式を用いた形態について示されている(図3参照)。
【0022】
<各コネクタの構成>
図3は、内視鏡側コネクタ110/111とプロセッサ側コネクタ210の断面構成を示す図である。図3(a)は、無線給電に対応の内視鏡側コネクタ110の断面構成を、図3(b)は、電気接点による給電に対応の内視鏡側コネクタ111の断面構成を、図3(c)は、無線給電および電気接点による給電の両方に対応のプロセッサ側コネクタ210の断面構成を示している。
【0023】
(i)無線給電に対応の内視鏡側コネクタ110
図3(a)に示されるように、無線給電に対応の内視鏡側コネクタ110は、プロセッサ側コネクタ210に挿入されて接続が完了する。無線給電に対応の内視鏡側コネクタ110は、当該内視鏡側コネクタ110の胴体部(内視鏡側コネクタ110の筐体の側面部)に設けられた(巻き付けられた)、少なくとも1つの内視鏡側無線給電コイル(スパイラルコイル)1101および1102と、プロセッサ200と光無線通信を行うための、少なくとも1つの光無線デバイス1103と、プロセッサ200に設けられた光源から出射された光を内視鏡先端部12まで導入する光導入路(図示せず)につながっている光導入路端部1105と、無線給電による電力レベルを報知するためのLED1104と、を備え、これらの各構成要素が内視鏡側コネクタ110の筐体に設けられている。
【0024】
本実施形態では、例えば、2個の無線給電コイル(スパイラルコイル)1101および1102が設けられているが、スパイラルコイルの個数は2個に限定されず、それよりも少なくてもよいし(1個)、3個以上であってもよい。各無線給電コイル(スパイラルコイル)1101および1102には異なる種類の電源、例えば、内視鏡操作部用電源や映像信号用電源が供給される。また、無線給電コイル(スパイラルコイル)1101および1102を構成するのはスパイラルコイルに限定されず、例えば、ソレノイドコイルであってもよい。なお、ソレノイドコイルを用いた場合の内視鏡側およびプロセッサ側コネクタの構成については後述する(図4参照)。
【0025】
(ii)電気接点による給電に対応の内視鏡側コネクタ111
図3(b)に示されるように、電気接点による給電に対応の内視鏡側コネクタ111は、無線給電に対応の内視鏡側コネクタ110と同様に、プロセッサ側コネクタ210に挿入されて接続が完了する。電気接点による給電に対応の内視鏡側コネクタ111は、プロセッサ側コネクタ210の設けられたプロセッサ側電気接点2104と電気的に接続される内視鏡側電気接点1111と、プロセッサ200に設けられた光源から出射された光を内視鏡先端部12まで導入する光導入路(図示せず)につながっている光導入路端部1115と、を備え、これらの各構成要素が内視鏡側コネクタ111の筐体に設けられている。
【0026】
(iii)プロセッサ側コネクタ210
プロセッサ側コネクタ210は、内視鏡側コネクタ110および111を受けるために、プロセッサ200の筐体に設けられたコネクタ凹部として構成されている。プロセッサ側コネクタ210は、コネクタ凹部側面部(凹部内側側面)に設けられた(巻き付けられた)、少なくとも1つのプロセッサ側無線給電コイル(スパイラルコイル)2101および2102と、内視鏡装置100と光無線通信を行うための、少なくとも1つの光無線デバイス2103と、プロセッサ200に設けられた光源から出射された光を内視鏡先端部12まで導入する光導入路(図示せず)につながっている光導入路接続端部1105と接続される光導入路接続受け部2105と、電気接点による給電に対応の内視鏡側コネクタ111の内視鏡側電気接点1111と電気的に接続されるプロセッサ側電気接点2104と、を備え、これらの各構成要素がプロセッサ側コネクタ210のコネクタ凹部筐体に設けられている。
【0027】
プロセッサ側無線給電コイル(スパイラルコイル)2101および2102は、内視鏡側コネクタ110の無線給電コイル1101および1102にそれぞれ対応している。プロセッサ側無線給電コイル(スパイラルコイル)2101に電流(電源供給により)を流すことによって発生した磁界が内視鏡側無線給電コイル1101に作用して当該無線給電コイル(スパイラルコイル)1101に電流が流れ、内視鏡装置100の所定の構成要素に対して電源が供給される。また、プロセッサ側無線給電コイル(スパイラルコイル)2102に電流(電源供給により)を流すことによって発生した磁界が内視鏡側無線給電コイル(スパイラルコイル)1102に作用して当該無線給電コイル1102に電流が流れ、内視鏡装置100の別の構成要素に対して電源が供給される。
【0028】
<変形例:ソレノイドコイルを用いた場合の内視鏡側およびプロセッサ側コネクタの構成>
図4は、無線給電コイルとしてソレノイドコイルを用いた場合の内視鏡側およびプロセッサ側コネクタの構成を示す図である。図4(a)は、当該変形例による無線給電に対応の内視鏡側コネクタ110の断面構成を、図4(b)は、当該変形例による、無線給電および電気接点による給電の両方に対応のプロセッサ側コネクタ210の断面構成をそれぞれ示している。また、図4(c)は、内視鏡側コネクタ110がプロセッサ側コネクタ210に挿入された場合に、内視鏡側無線給電コイル(ソレノイドコイル)1110あるいは1120とプロセッサ側無線給電コイル(ソレノイドコイル)2110あるいは2120の関係を示す図である。図4(d)は、内視鏡側コネクタ110とプロセッサ側コネクタ210が位置ずれを起こしているときに発生する磁界(磁束)の様子を示す図である。
【0029】
上述の図3では、内視鏡側コネクタ110の側面に複数のスパイラルコイル1101および1102、プロセッサ側コネクタ210の凹部側面に複数のスパイラルコイル2101および2102を設けた例を示した。一方、当該変形例(図4(a)および(b)参照)では、例えば、内視鏡側コネクタ110の筐体側面であって、最も距離が離れた位置(筐体側面断面の対角線上の位置(例えば、筐体断面が円形であれば、コイルの設置位置を結んだ直線が当該断面の円の中心を通る))にソレノイドコイル(無線給電コイル)1110および1120を配置する。従って、当該変形例では、内視鏡側コネクタ110およびプロセッサ側コネクタ210にそれぞれ2個のソレノイドコイルが取り付けられており、プロセッサ200から2種類の電源を内視鏡装置100に対して供給することができるように、電子内視鏡システム1が構成されている。
【0030】
図4(c)を参照すると、例えば、ソレノイドコイル(無線給電コイル)1110とソレノイドコイル(無線給電)2110の組において、それぞれのコイルはフェライトコア1130あるいは2130に巻かれた状態となっている。そして、例えば、プロセッサ側無線給電コイル(ソレノイドコイル)2110にプロセッサ200本体の電源(例えば、内視鏡操作部用電源)が供給されると、プロセッサ側無線給電コイル(ソレノイドコイル)2110に流れる電流により、磁界(磁束)40が発生する。そして、この磁界(磁束)40による作用(電磁誘導)によって、内視鏡側ソレノイドコイル1110に電流が発生し、所定の電源(例えば、内視鏡操作部用電源)が内視鏡装置100に提供されることになる。また、ソレノイドコイル(無線給電コイル)1120とソレノイドコイル(無線給電コイル)2120の組においても同様の作用が生じ、別の種類の電源を内視鏡装置100に提供することが可能となる。
【0031】
なお、無線給電コイルとしてソレノイドコイルを用いると、図4(d)に示すように、内視鏡オペレータ(例えば、医師)が内視鏡装置100を使用している間に、内視鏡側コネクタ110とプロセッサ側コネクタ210とが位置ずれを起こした場合であっても、十分な量の磁界(磁束)40を内視鏡側ソレノイドコイル1110および1120が形成する環状面内を通過させることができ、十分な電力量(内視鏡装置100側消費電力に合った電力量)の電源を提供することが可能となる。
【0032】
<供給電流量の報知>
本実施形態では、内視鏡装置100に複数のLEDを配置し、プロセッサ200から供給される電源に基づく電流量(電流レベル)をLEDによってオペレータに報知することができるようになっている。図5は、当該報知機能に関係する、内視鏡装置100とプロセッサ200の内部構成例を示す図である。図5では、当該報知機能に関係する構成部のみが示され、図1に示される他の必要な構成部の図示は省略している。また、図6は、LEDによる電流レベルの報知動作を説明するためのフローチャートである。
【0033】
(i)内視鏡装置100とプロセッサ200の内部構成例
報知機能に関する構成として、内視鏡装置100は、内視鏡装置100の全体動作を制御するコントローラ1_120と、画像処理に関する動作を制御するコントローラ2_121と、プロセッサ200から供給される電源を無線で受電する受電部122と、プロセッサ200から光通信で送信されてきた制御情報等を受信(受光)する複数のフォトダイオード123_1および123_2・・・と、フォトダイオード123_1および123_2によって受信した制御情報等の信号レベルを増幅する複数のトランスインピーダンス増幅器124_1および124_2・・・と、増幅された信号の振幅を一定振幅の電圧信号に変換するリミッティングアンプ129_1および129_2・・・と、撮像素子104で取得した映像信号等をプロセッサ200に対して光通信で送信する複数のレーザダイオード125_1および125_2・・・と、レーザダイオード125_1および125_2を駆動する複数のレーザドライバ126_1および126_2・・・と、プロセッサ200から供給された電源に基づく電流値を検出および監視する電流監視部(IC)127と、電流値検出用の抵抗128と、複数のLEDによって電流レベルを報知する、LED1_501、LED2_502、LED3_503、LED4_504・・・と、を備えている。なお、内視鏡側のコントローラ1_120は、例えば、CPU(Central Processor Unit)で構成することができ、内視鏡側のコントローラ2_121は、例えば、FPGAで構成することができる。
【0034】
一方、プロセッサ200は、当該報知機能に関する構成として、プロセッサ200の全体動作を制御するコントローラ1_220と、画像処理に関する動作を制御するコントローラ2_221と、後段信号処理回路207と、内視鏡装置100に電源を無線で供給する送電部222と、制御情報を内視鏡装置100に対して光通信で送信する複数のレーザダイオード223_1および223_2・・・と、レーザダイオード223_1および223_2を駆動する複数のレーザドライバ224_1および224_2・・・と、内視鏡装置100から光通信で送信されてきた映像信号等を受信(受光)する複数のフォトダイオード225_1および225_2・・・と、フォトダイオード225_1および225_2によって受信した映像信号等の信号レベルを増幅する複数のトランスインピーダンス増幅器226_1および226_2・・・と、増幅された信号の振幅を一定振幅の電圧信号に変換するリミッティングアンプ227_1および227_2・・・と、を備えている。なお、プロセッサ側のコントローラ1_220は、例えば、CPU(Central Processor Unit)で構成することができ、プロセッサ側のコントローラ2_221は、例えば、FPGAで構成することができる。
【0035】
(ii)電流レベル報知動作の詳細
(ii-1)ステップ601
プロセッサ側のコントローラ1_220は、内視鏡装置100がプロセッサ200のコネクタ部(プロセッサ側コネクタ)210に接続されたことを検知したか判断する。内視鏡装置100のコネクタ部(内視鏡側コネクタ)110への接続は、例えば、機械的スイッチがONとなることにより検知したり、センサ(図示せず)により検知したりすることができる。内視鏡装置100のプロセッサ200への接続が検知された場合には、処理はステップ602に移行する。
【0036】
(ii-2)ステップ602
プロセッサ側のコントローラ1_220は、プロセッサ側のコントローラ2_221に対して、内視鏡装置100への電源の供給開始を指示する。当該指示を受けたプロセッサ側のコントローラ2_221は、送電部222へ電源を供給する。
【0037】
(ii-3)ステップ603
内視鏡装置100において、受電部122がプロセッサ200の送電部222から供給された電源を受電すると、電流監視部127は、抵抗128に流れる電流値を測定する。
【0038】
(ii-4)ステップ604
電流監視部127は、測定した電流値(消費電流値)の情報を内視鏡側のコントローラ1_120に送信する。
【0039】
(ii-5)ステップ605
内視鏡側のコントローラ1_120は、電流監視部127から受け取った電流値(消費電流値)の情報を内視鏡側のコントローラ2_121に送信する。
【0040】
(ii-6)ステップ606
内視鏡側のコントローラ2_121は、消費電流値が所定の閾値1以上であるか判断する。閾値1は、内視鏡装置100がプロセッサ200に接続された後、内視鏡装置100内の各デバイスが正常に動作している場合の電流値であり、予め設定されている。消費電流値が所定の閾値1以上である場合(ステップ606でYESの場合)、処理はステップ607に移行する。消費電流値が所定の閾値1未満である場合(ステップ606でNOの場合)、処理はステップ608に移行する。
【0041】
(ii-7)ステップ607
内視鏡側のコントローラ2_121は、LED1_501を点灯させ、当該報知動作を終了させる。
【0042】
(ii-8)ステップ608
内視鏡側のコントローラ2_121は、消費電流値が所定の閾値2以上閾値1未満であるか判断する。閾値2は、内視鏡装置100がプロセッサ200に接続された後、フォトダイオード123_1および123_2側の回路が動作していない場合の電流値であり、予め設定されている。消費電流値が所定の閾値2以上(閾値1未満)である場合(ステップ608でYESの場合)、処理はステップ609に移行する。消費電流値が所定の閾値2未満である場合(ステップ608でNOの場合)、処理はステップ610に移行する。
【0043】
(ii-9)ステップ609
内視鏡側のコントローラ2_121は、LED1_502を点灯させ、当該報知動作を終了させる。
【0044】
(ii-10)ステップ610
内視鏡側のコントローラ2_121は、消費電流値が所定の閾値3以上閾値2未満であるか判断する。閾値3は、内視鏡装置100がプロセッサ200に接続された後、レーザダイオード125_1および125_2側の回路が動作していない場合の電流値であり、予め設定されている。消費電流値が所定の閾値3以上(閾値2未満)である場合(ステップ610でYESの場合)、処理はステップ611に移行する。消費電流値が所定の閾値3未満である場合(ステップ610でNOの場合)、処理はステップ612に移行する。
【0045】
(ii-11)ステップ611
内視鏡側のコントローラ2_121は、LED1_503を点灯させ、当該報知動作を終了させる。
【0046】
(ii-12)ステップ612
内視鏡側のコントローラ2_121は、消費電流値が所定の閾値4以上閾値3未満であるか判断する。閾値4は、内視鏡装置100がプロセッサ200に接続された後、フォトダイオード123_1および123_2側の回路、およびレーザダイオード125_1および125_2側の回路が共に動作していない場合の電流値であり、予め設定されている。消費電流値が所定の閾値4以上(閾値3未満)である場合(ステップ612でYESの場合)、処理はステップ613に移行する。消費電流値が所定の閾値3未満である場合(ステップ612でNOの場合)、処理は終了する。
【0047】
(ii-13)ステップ613
内視鏡側のコントローラ2_121は、LED1_504を点灯させ、当該報知動作を終了させる。
【0048】
<本開示の特定事項>
(1)特定事項1
内視鏡システムのプロセッサの凹部コネクタに接続される凸部コネクタを有する内視鏡装置であって、
前記凸部コネクタは、凸部側面部に取り付けられたソレノイドコイルあるいは前記凸部側面部に巻きつけられたスパイラルコイルを含み、
前記凸部側面部にソレノイドコイルが取り付けられている場合には、前記プロセッサの前記凹部コネクタの側面部に取り付けられたソレノイドコイルによって発生した磁場によって前記凸部側面部に取り付けられたソレノイドコイルに誘導電流が発生し、前記プロセッサから前記内視鏡装置へ電源が供給され、
前記凸部側面部にスパイラルコイルが巻きつけられている場合には、前記プロセッサの前記凹部コネクタの側面部に巻きつけられたスパイラルコイルによって発生した磁場によって前記凸部側面部に巻きつけられたスパイラルコイルに誘導電流が発生し、前記プロセッサから前記内視鏡装置へ電源が供給される、内視鏡装置。
【0049】
(2)特定事項2
特定事項1において、さらに、
前記供給された電源によって発生する消費電流値を測定する電流監視部と、
前記電流監視部によって測定された前記消費電流値に対応する表示を出力する表示部と、
を備える、内視鏡装置。
【0050】
(3)特定事項3
特定事項2において、
前記表示部は、前記消費電流値と複数の所定の閾値とを比較し、前記内視鏡装置の内部の各デバイスが動作しているか否かを示す表示を出力する、内視鏡装置。
【0051】
(4)特定事項4
特定事項2または3において、
前記表示部は、表示色が異なる複数のLEDによって構成される、内視鏡装置。
【0052】
(5)特定事項5
凸部コネクタを有する内視鏡装置が接続され、凹部コネクタを有するプロセッサであって、
前記凹部コネクタは、凹部側面部に取り付けられたソレノイドコイルあるいは前記凹部側面部に巻きつけられたスパイラルコイルを含み、
前記凹部側面部にソレノイドコイルが取り付けられている場合には、前記プロセッサの前記凹部コネクタの側面部に取り付けられたソレノイドコイルによって発生した磁場によって前記内視鏡装置の前記凸部コネクタの凸部側面部に取り付けられたソレノイドコイルに誘導電流が発生し、前記プロセッサから前記内視鏡装置へ電源が供給され、
前記凹部側面部にスパイラルコイルが巻きつけられている場合には、前記プロセッサの前記凹部コネクタの側面部に巻きつけられたスパイラルコイルによって発生した磁場によって前記内視鏡装置の前記凸部コネクタの前記凸部側面部に巻きつけられたスパイラルコイルに誘導電流が発生し、前記プロセッサから前記内視鏡装置へ電源が供給される、プロセッサ。
【0053】
(6)特定事項6
特定事項5において、さらに、
無線給電ではなく電気的接続による有線給電に対応する内視鏡装置の凸部コネクタに設けられた電気端子と電気的に接続される電気端子を備える、プロセッサ。
【0054】
(7)特定事項7
特定事項1から4の何れか1項の内視鏡装置と、
特定事項5または6のプロセッサと、
を備える内視鏡システム。
【符号の説明】
【0055】
1 電子内視鏡システム
100 内視鏡装置
110 内視鏡側コネクタ
1101、1102 内視鏡側無線給電コイル(スパイラルコイル)
1110、1120 内視鏡側無線給電コイル(ソレノイドコイル)
200 プロセッサ
210 プロセッサ側コネクタ
2101、2102 プロセッサ側無線給電コイル(スパイラルコイル)
2110、2120 プロセッサ側コイル(ソレノイドコイル)
300 モニタ
501から504 LED
図1
図2
図3
図4
図5
図6