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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
   B63G 9/06 20060101AFI20221108BHJP
   H01F 13/00 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B63G9/06
H01F13/00 600
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018240339
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2020100313
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】末廣 諭
(72)【発明者】
【氏名】黒田 真三郎
(72)【発明者】
【氏名】桜井 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】丸山 真範
(72)【発明者】
【氏名】西川 尚希
(72)【発明者】
【氏名】舟山 智歌子
(72)【発明者】
【氏名】吉村 史隆
【審査官】草野 顕子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-255194(JP,A)
【文献】特開2005-176475(JP,A)
【文献】特開昭57-189226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63G 9/06
H01F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船内に配置され、発電設備から推進設備を含む負荷に向けて直流電力を送配電する船内配線と、
前記船内配線に含まれる配線であって前記発電設備と前記推進設備とを結ぶ第1配線を流れる電流の極性又は経路を切り替える切替部と、
を備え
前記切替部が、前記発電設備の近傍で前記第1配線の一方の端部に接続されて前記第1配線へ入力される電流の極性を切り替える第1切替部と、前記推進設備の近傍で前記第1配線の他方の端部に接続されて前記第1配線から出力された電流の極性を切り替える第2切替部とを有する
船舶。
【請求項2】
船内に配置され、発電設備から推進設備を含む負荷に向けて直流電力を送配電する船内配線と、
前記船内配線に含まれる配線であって前記発電設備と前記推進設備とを結ぶ第1配線を流れる電流の極性又は経路を切り替える切替部と、
を備え、
前記船内配線が、前記第1配線を構成するリング状配線と前記リング状配線上の異なる2点間を接続する1又は複数の接続配線を含み、
前記切替部が、前記1又は複数の接続配線に挿入された1又は複数の開閉器を有し、前記1又は複数の開閉器を開放又は閉路とすることで前記第1配線を流れる電流の経路を切り替える
舶。
【請求項3】
前記第1配線を流れる電流の積分値が所定のしきい値を超える度に前記切替部に前記極性又は経路を切り替えさせる制御部を
さらに備える請求項1又は2に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、建物構造物に発生している残留磁気を除去する脱磁装置の一例を示す。特許文献1に記載されている脱磁装置は、コンデンサによる直流電源と、残留磁気を発生している建築構造物の表面に配置する脱磁コイルを備える。特許文献1に記載されている脱磁装置では、脱磁コイルに対して、コンデンサの容量と脱磁コイルの抵抗、インダクタンスとで特定される共振回路の減衰振動電流が極性を変換させながら継続して供給される。特許文献1に記載されている脱磁装置は、脱磁コイルに極性の異なる消磁磁界を順次発生させることで、建築構造物の残留磁気をその極性、強度に関わりなく通常の電源によって一回の操作で脱磁する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-102216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、今後、船舶の配電系統として直流リング状配電の適用が志向されている。交流配電の場合、単相で極性が周期的に入れ替わるため船舶構造部材の磁化が問題になることはなかったが、直流配電の場合、常に正負の極性が同じであるため、船体の磁化が課題となる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、配電系統に流れる直流電流に起因する船体の磁化を抑制することができる船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、船内に配置され、発電設備から推進設備を含む負荷に向けて直流電力を送配電する船内配線と、前記船内配線に含まれる配線であって前記発電設備と前記推進設備とを結ぶ第1配線を流れる電流の極性又は経路を切り替える切替部と、を備え、前記切替部が、前記発電設備の近傍で前記第1配線の一方の端部に接続されて前記第1配線へ入力される電流の極性を切り替える第1切替部と、前記推進設備の近傍で前記第1配線の他方の端部に接続されて前記第1配線から出力された電流の極性を切り替える第2切替部とを有する船舶である。
【0008】
また、本発明の一態様は、船内に配置され、発電設備から推進設備を含む負荷に向けて直流電力を送配電する船内配線と、前記船内配線に含まれる配線であって前記発電設備と前記推進設備とを結ぶ第1配線を流れる電流の極性又は経路を切り替える切替部と、を備え、前記船内配線が、前記第1配線を構成するリング状配線と前記リング状配線上の異なる2点間を接続する1又は複数の接続配線を含み、前記切替部が、前記1又は複数の接続配線に挿入された1又は複数の開閉器を有し、前記1又は複数の開閉器を開放又は閉路とすることで前記第1配線を流れる電流の経路を切り替える上記船舶である。
【0009】
また、本発明の一態様は、前記第1配線を流れる電流の積分値が所定のしきい値を超える度に前記切替部に前記極性又は経路を切り替えさせる制御部をさらに備える上記船舶である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の各態様によれば、切替部によって直流電流の極性を変えることができるので、配電系統に流れる直流電流に起因する船体の磁化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の基本的構成例を示す模式図である。
図2図1に示す制御装置5の動作例を示すフローチャートである。
図3】本発明の第1実施形態に係る船舶の構成例を示す模式図である。
図4図3に示す第1切替部41と第2切替部42の構成例を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態の動作例を説明するための模式図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る船舶の構成例を模式的に示す平面図である。
図7図6に示す開閉器41等の動作例を説明するための平面図である。
図8】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0013】
(実施形態の基本的構成例)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態の基本的構成例について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る船舶1における電気系統1aの基本的構成例を示す模式図である。図1に示す船舶1の電気系統1aは、配電系統2と、制御装置5と、発電設備6と、負荷8とを備える。配電系統2は、直流電力の配電システムであって、船内配線3と切替部4を含む。負荷8は、船舶1において配電系統2によって配電された直流電力を電源として動作する複数の電気負荷を1つにまとめた構成であり、推進設備81を含む。
【0014】
船内配線3は、直流電力を配電する幹線(母線)等を含む船舶1の船内に配置されている配線であって、第1配線31を含む、第1配線31は、船内配線3の一部であって、発電設備6から推進設備81へと流れる直流電流を配電する配線である。すなわち、第1配線31は、発電設備6と推進設備81とを結ぶ配線である。切替部4は、制御装置5からの指示に従って、第1配線31を流れる電流の極性または経路を切り替える。切替部4は、例えば複数の電磁開閉器等を有して構成される。
【0015】
制御装置5は、コンピュータとその周辺装置から構成され、所定のプログラムを実行することで切替部4等の各部を制御する制御部である。なお、制御装置5は、第1配線31に流れる電流、発電設備6の出力電流、推進設備81の消費電流等を取得する機能を有している。
【0016】
発電設備6は、発電機7を有し、発電機7が発電した電力を船内配線3を介して負荷8に向けて送電する。発電機7は、図示していない熱機関等によって駆動されて交流または直流電力を発生する。また、発電設備6は、熱機関や発電機7の制御部、発電機7の交流出力を所定の直流出力に変換する変換等を有する。
【0017】
次に、図2を参照して、図1に示す制御装置5の動作例について説明する。図2は、図1に示す制御装置5の動作例を示すフローチャートである。制御装置5は、図2に示す処理を所定時間毎に繰り返し実行する。図2に示す処理では、制御装置5が、まず、第1配線31に流れる電流を計測し(ステップS1)、計測した電流の積分値(直流電流の電流値に通電時間を掛けた値)を算出し(ステップS2)、所定の記憶装置に記憶する(ステップS3)。次に、制御装置5は、算出した積分値が所定のしきい値を超えているか否かを判断する(ステップS4)。
【0018】
積分値がしきい値を超えている場合(ステップS4で「YES」の場合)、制御装置5は、切替部4に対して所定の制御信号を出力し、第1配線31の極性または経路の切り替えを指示する(ステップS5)。ここで、切替部4は、制御装置5からの指示に従って、第1配線31を流れる電流の極性または経路を切り替える。次に、制御装置5は、積分値を「0」に初期化し(ステップS6)、図2に示す処理を終了する。他方、積分値がしきい値を超えていない場合(ステップS4で「NO」の場合)、制御装置5は、図2に示す処理を終了する。
【0019】
以上の動作によれば、電流の積分値が所定のしきい値を超える度に、直流電流の極性を変えることができるので、切り替えない場合と比較して、配電系統2に流れる直流電流に起因する船舶1の船体の磁化を抑制することができる。
【0020】
なお、ステップS1で計測する電流は、第1配線31に流れる電流に限られず、例えば、発電設備6の出力電流、推進設備81の消費電流等であってもよい。
【0021】
(第1実施形態)
次に、図3図4および図5を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係る船舶1の構成例を示す模式図であり、図3(a)と図3(b)では切替部4の動作状態が互いに異なる。図4は、図3に示す第1切替部41と第2切替部42の構成例を示す図である。図5は、本発明の第1実施形態の動作例を説明するための模式図である。
【0022】
図3に示すように、第1実施形態では、発電設備6が、三相交流発電機7(図1の発電機7に対応)と、交流-直流変換器71を有している。また、切替部4が、第1切替部41と第2切替部42を有する。また、第1配線31は、一対の配線31-1および配線31-2を有する。また、推進設備81が、直流-交流変換器811と、三相交流電動機812(推進電動機)と、プロペラ813を有する。
【0023】
第1実施形態では、切替部4が、発電設備6の近傍で第1配線31の一方の端部(配線31-1と配線31-2の一方の各端部)に接続されて第1配線31へ入力される電流の極性を切り替える第1切替部41と、推進設備81の近傍で第1配線31の他方の端部(配線31-1と配線31-2の他方の各端部)に接続されて第1配線31から出力された電流の極性を切り替える第2切替部42とを有する
【0024】
図3に示す構成では、三相交流発電機7が発電した三相交流が交流-直流変換器71で直流に変換され、第1切替部41へ入力される。第1切替部41は、極性切替OFF(オフ)(図3(a))または極性切替ON(オン)(図3(b))の状態で動作する。図3(a)に示す極性切替OFFの動作状態では、第1切替部41は、交流-直流変換器71の正極出力線71-1を配線31-1に接続し、交流-直流変換器71の負極出力線71-2を配線31-2に接続する。一方、図3(b)に示す極性切替ONの動作状態では、第1切替部41は、交流-直流変換器71の正極出力線71-1を配線31-2に接続し、交流-直流変換器71の負極出力線71-2を配線31-1に接続する。
【0025】
一方、替部42は、第1切替部41と同じく、極性切替OFF(図3(a))または極性切替ON(図3(b))の状態で動作する。図3(a)に示す極性切替OFFの動作状態では、第2切替部42は、配線31-1を正極出力線42-1に接続し、配線31-2を負極出力線42-2に接続する。一方、図3(b)に示す極性切替ONの動作状態では、第2切替部42は、配線31-1を負極出力線42-2に接続し、配線31-2を正極出力線42-1に接続する。
【0026】
ここで、図4を参照して、図3に示す第1切替部41と第2切替部42の構成例について説明する。図4に示す第1切替部41は、c接点(トランスファ接点)の電磁接触器411および412を有する。電磁接触器411は、制御装置5が出力した制御信号がオフ(電磁接触器411のコイルが非励磁)の場合、正極出力線71-1に接続された共通端子をb接点(ブレイク接点)(配線31-1)に接続し、制御装置5が出力した制御信号がオン(電磁接触器411のコイルが励磁)の場合、正極出力線71-1に接続された共通端子をa接点(メーク接点)(配線31-2)に接続する。また、電磁接触器412は、制御装置5が出力した制御信号がオフ(電磁接触器412のコイルが非励磁)の場合、負極出力線71-2に接続された共通端子をb接点(配線31-2)に接続し、制御装置5が出力した制御信号がオン(電磁接触器412のコイルが励磁)の場合、負極出力線71-2に接続された共通端子をa接点(配線31-1)に接続する。なお、電磁接触器411および412へは制御装置5から同一の制御信号が入力され、電磁接触器411および412は、同期して動作する。
【0027】
また、第2切替部42は、c接点(トランスファ接点)の電磁接触器421および422を有する。電磁接触器421は、制御装置5が出力した制御信号がオフ(電磁接触器421のコイルが非励磁)の場合、正極出力線42-1に接続された共通端子をb接点(ブレイク接点)(配線31-1)に接続し、制御装置5が出力した制御信号がオン(電磁接触器421のコイルが励磁)の場合、正極出力線42-1に接続された共通端子をa接点(メーク接点)(配線31-2)に接続する。また、電磁接触器422は、制御装置5が出力した制御信号がオフ(電磁接触器422のコイルが非励磁)の場合、負極出力線42-2に接続された共通端子をb接点(配線31-2)に接続し、制御装置5が出力した制御信号がオン(電磁接触器422のコイルが励磁)の場合、負極出力線42-2に接続された共通端子をa接点(配線31-1)に接続する。なお、電磁接触器421および422へは制御装置5から電磁接触器411および412への制御信号と同一の制御信号が入力され、電磁接触器411および412ならびに電磁接触器421および422は、同期して動作する。
【0028】
なお、第1実施形態における制御装置5の動作は、例えば、図2を参照して説明した図1に示す制御装置5の動作と同一とすることができる。この場合、第1実施形態の制御装置5は、図2のステップS2において、第1切替部41および第2切替部42に対する制御信号をオンまたはオフに切り替えることで第1配線31の極性を交互に切り替える。
【0029】
一定方向に直流電流を流すことによる船体の磁化に対し、特に推進電動機のような大電流の給電が必要な機器の配線廻りでの磁化が懸念される(磁界の強さは電流量に略比例するため)。例えば、図5に示すように、配線31-1や配線31-2を独立したケーブル等で布設する場合、取り回しによっては、領域A1や領域A2のように第1配線31に流れる直流電流による磁化の影響が比較的大きくなる部分が発生するおそれがある。なお、図5は、本発明の第1実施形態の動作例を説明するための模式図である。しかしながら配線は一度布設すると場所の入れ替えは容易でない。これに対し、本実施形態では、発電機から推進電動機への給電線の極性を定期的に入れ替えることで、船体の磁化を問題となるレベル以下に抑えることができる。なお、第1実施形態においても、推進電動機の電流と運転時間から船体の磁化レベルを把握し、極性入れかえのタイミングおよび極性入れかえ期間を判断することが可能である。また、第1実施形態によれば、船体の磁化を未然に防ぎ、消磁装置による消磁電流を減らすことで、省エネに貢献できる。
【0030】
(第2実施形態)
次に、図6および図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る船舶の構成例を模式的に示す平面図である。図6(a)と図6(b)では切替部4の動作状態が互いに異なる。図7は、図6に示す開閉器41等の他の動作例を説明するための平面図である。
【0031】
図6に示すように、第2実施形態では、船内配線3が、リング状配線30と、リング状配線30上の異なる2点間を接続する3個の接続配線33、34および35を含む。この場合、リング状配線30と接続配線33、34および35の一部または全部が、第1配線31となる。なお、接続配線の個数は、1または任意の複数とすることができる。
【0032】
また、切替部4は、3個の接続配線33、34および35に挿入された3個の開閉器401、402および403を有し、3個の開閉器401、402および403を開放または閉路とすることで第1配線31を流れる電流の経路を切り替える。すなわち、第2実施形態では、発電設備6と推進設備81とを結ぶ配線である第1配線31の経路が、開閉器401、402および403の開閉状態によって変化する。また、開閉器401、402および403の開閉状態は、制御装置5によって切り替えられる。なお、図6および図7では、閉路状態(オン(ON)状態)の開閉器401、402および403を縦線を矩形で囲んだ記号で示し、開放状態(オフ(OFF)状態)の開閉器401、402および403を丸印を矩形で囲んだ記号で示す。
【0033】
また、第2実施形態では、電気系統1aが、2個の発電設備6-1および6-2と、2個の推進設備81-1および81-2を備える。この場合、2個の発電設備6-1および6-2が図1に示す発電設備6に対応し、2個の推進設備81-1および81-2が図1に示す推進設備81に対応する。また、図6(a)に示す構成例では、接続配線33に開閉器401を挟んで上から順に発電設備6-1と推進設備81-1が接続され、接続配線35に開閉器403を挟んで上から順に推進設備81-2と発電設備6-2が接続されている。
【0034】
第2実施形態では、制御装置5が、例えば、図6(a)、図6(b)または図7に示す状態に、開閉器401、402および403の開閉状態を制御する。図6(a)に示す状態では開閉器401、402および403が全てオン、図6(b)に示す状態では開閉器401、402および403が全てオフ、そして、図7に示す状態では開閉器401と開閉器403がオフ、開閉器402がオンである。
【0035】
図6(a)の状態では、発電設備6-1から推進設備81-1への電流が、一例として、鎖線の矢印で示すように、順に、電流i101、i102およびi103の経路で流れる(配線抵抗によるがほとんどの電流が流れる(以下、同様))。また、発電設備6-2から推進設備81-2への電流が、一例として、破線の矢印で示すように、順に、電流i201、i202およびi203の経路で流れる。この場合、第1配線31は、電流i101、i102およびi103が流れる配線と、電流i2101、i202およびi203が流れる配線に対応する。
【0036】
また、図6(b)の状態では、発電設備6-1から推進設備81-1への電流が、一例として、順に、電流i104、i105、i106、i107およびi108の経路で流れる。また、発電設備6-1から推進設備81-2への電流が、一例として、順に、電流i104、i105、i109、i110、i111およびi112の経路で流れる。また、発電設備6-2から推進設備81-2への電流が、一例として、順に、電流i204、i205、i206、i207およびi208の経路で流れる。また、発電設備6-2から推進設備81-1への電流が、一例として、順に、電流i204、i205、i209、i210、i211およびi212の経路で流れる。この場合、第1配線31は、リング状配線30全体と、発電設備6-1または推進設備81-1とリング状配線30間を接続する各配線と、発電設備6-2または推進設備81-2とリング状配線30間を接続する各配線に対応する。
【0037】
また、図7の状態では、発電設備6-1から推進設備81-1への電流が、一例として、順に、電流i113、i114、i115、i116およびi117の経路で流れる。また、発電設備6-1から推進設備81-2への電流が、一例として、次の3通りの経路で流れる。すなわち、発電設備6-1から推進設備81-2への電流が、一例として、順に、電流i113、i114、i118、i119、i120、およびi121の経路と、順に、電流i113、i114、i115、i122、i123、i124、i120、およびi121の経路と、順に、電流i113、i114、i118、i125、i123、i124、i120、およびi121の経路で流れる。また、発電設備6-2から推進設備81-2への電流が、一例として、順に、電流i213、i214、i215、i216およびi217の経路で流れる。また、発電設備6-2から推進設備81-1への電流が、一例として、次の3通りの経路で流れる。すなわち、発電設備6-2から推進設備81-1への電流が、一例として、順に、電流i213、i214、i218、i219、i220、およびi221の経路と、順に、電流i213、i214、i215、i222、i223、i224、i220、およびi221の経路と、順に、電流i213、i214、i218、i225、i223、i224、i220、およびi221の経路で流れる。この場合、第1配線31は、リング状配線30全体と、発電設備6-1または推進設備81-1とリング状配線30間を接続する各配線と、発電設備6-2または推進設備81-2とリング状配線30間を接続する各配線と、接続配線34の全部に対応する。
【0038】
また、第2実施形態における制御装置5の動作は、図2を参照して説明した図1に示す制御装置5の動作と同一とすることができる。この場合、第2実施形態の制御装置5は、図2のステップS2において、例えば、図6(a)に示す各開閉器401~403の接続状態と、図6(b)に示す各開閉器401~403の接続状態と、図7に示す各開閉器401~403の接続状態とのいずれかをかわるがわる選択して、第1配線31の経路を切り替える。
【0039】
今後、船舶1の配電系統2は、リング状配線30を用いる直流リング状給電系統とすることが志向されており、給電経路を複数取ることが可能となる。第2実施形態によれば、リング状給電系統により、磁化が一か所に集中しないよう複数の給電経路を複数に分散することが可能となる。また、給電経路を反転(例えば逆方向に流れる電流i125と電流i225の関係を利用)することで逆磁界をかけ、磁化した部分を消磁する事が可能である。第2実施形態においても、船体1の磁化を未然に防ぎ、消磁装置による消磁電流を減らすことで、省エネに貢献できる。また、リング状配線30等を消磁コイルとして用いることで、従来船舶に搭載されている消磁用コイルを不要とすることも見込める。
【0040】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して説明してきたが、具体的な構成は上記実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、負荷に対して電力を供給する発電設備は、発電機を用いるものに限らず、他の構成であってもよい。
【0041】
(コンピュータ構成)
図8は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、インタフェース94を備える。
上述の制御装置5は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。
【0042】
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータは、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0043】
ストレージ93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【符号の説明】
【0044】
1 船舶
1a 電気系統
2 配電系統
3 船内配線
4 切替部
5 制御装置
6 発電設備
7 発電機
8 負荷
30 リング状配線
31 第1配線
33、34、35 接続配線
41 第1切替部
42 第2切替部
81 推進設備
401、402、403 開閉器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8