(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】射出成形により物品を製造する方法、ポリマー樹脂における相溶化剤の使用、およびポリマー樹脂
(51)【国際特許分類】
C08J 5/00 20060101AFI20221108BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20221108BHJP
C08K 9/00 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
C08J5/00 CES
C08L101/00
C08K9/00
(21)【出願番号】P 2018559930
(86)(22)【出願日】2017-05-12
(86)【国際出願番号】 GB2017051340
(87)【国際公開番号】W WO2017194969
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-05-11
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504240717
【氏名又は名称】イメリーズ ミネラルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】レビ ファティマ
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-077144(JP,A)
【文献】特表2014-523462(JP,A)
【文献】特開平08-199027(JP,A)
【文献】特開平05-098122(JP,A)
【文献】特開昭63-097654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
C08J5/00-5/02; 5/12-5/22,106
B29C45/00-45/24; 45/46-45/63;
45/70-45/72; 45/74-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形により物品を製造する方法であって、該方法がポリマー樹脂から物品を射出成形することを含み、前記ポリマー樹脂が異なるタイプのリサイクルされたポリマーと、無機粒子材料及び前記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含む相溶化剤とを含み、前記ポリマー樹脂が3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFI
及び6.9g/10分以上の5.0kg/230℃でのMFIを有する、前記方法。
【請求項2】
前記ポリマー樹脂が、ポリエチレンとポリプロピレン、または異なるタイプのポリエチレン
とポリプロピレンの混合物、または異なるタイプのHDPEとポリプロピレンの混合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー樹脂が、ポリプロピレンを
90質量%以下
または40質量%以下の量で含む、及び/又は
前記ポリマー樹脂が、ポリエチレンを少なくとも
10質量%
または少なくとも
60質量%の量で含む、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマー樹脂が、バージンポリマーを含まない、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記相溶化剤が、
5質量%~
20質量%
または8質量%~
12質量%の量で存在する、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記無機粒子が、
2.5μm以下、
1.0μm以下または
0.75μm以下のd
50を有する、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記表面処理剤が、式(1):
A-(X-Y-CO)
m(O-B-CO)
nOH (1)
(式中、
Aは、1個または2個の隣接するカルボニル基を有する末端エチレン結合を含有する部分であり;
Xは、Oであり、かつmは1~4であるか、またはXは、Nであり、かつmは1であり;
Yは、C
1-18-アルキレンまたはC
2-18-アルケニレンであり;
Bは、C
2-6-アルキレンであり;nは、0~5である;
ただし、Aが前記エチレン基に隣接する2個のカルボニル基を含有する場合、XはNである)
を有する化合物を含むかまたは式(1)を有する化合物であ
る、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が、β-カルボキシエチルアクリレート、β-カルボキシヘキシルマレイミド、10-カルボキシデシルマレイミド、5-カルボキシペンチルマレイミドおよびβ-アクリロイルオキシプロパン酸から選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記無機粒子が、炭酸カルシウム
である、請求項1~
8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
射出成形による物品の製造に使用するのに適したポリマー樹脂であって、前記ポリマー樹脂が、異なるリサイクルされたポリマーの混合物と、前記ポリマー樹脂の総質量に基づいて、
5質量%~
20質量%の、無機粒子材料及び前記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含む相溶化剤とを含み、前記ポリマー樹脂が、3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFI
及び6.9g/10分以上の5.0kg/230℃でのMFIを有し、前記ポリマー樹脂が、ポリマー組成の総質量に基づいて、少なくとも
50質量%のリサイクルされたポリエチレンと、前記ポリマー樹脂の総質量に基づいて、
10質量%~
30質量%のリサイクルされたポリプロピレンを含む、前記ポリマー樹脂。
【請求項11】
前記無機粒子材料が、
2.5μm以下、
1.0μm以下、または
0.75μm以下のd
50を有する、請求項
10記載のポリマー樹脂。
【請求項12】
前記表面処理剤が、式(1)を有する化合物を含むかまたは式(1)を有する化合物である、請求項
10または
11記載のポリマー樹脂:
A-(X-Y-CO)
m(O-B-CO)
nOH (1)
(式中、
Aは、1個または2個の隣接するカルボニル基を有する末端エチレン結合を含有する部分であり;
Xは、Oであり、かつmは1~4であるか、またはXは、Nであり、かつmは1であり;
Yは、C
1-18-アルキレンまたはC
2-18-アルケニレンであり;
Bは、C
2-6-アルキレンであり;nは、0~5である;
ただし、Aが前記エチレン基に隣接する2個のカルボニル基を含有する場合、XはNである)。
【請求項13】
前記化合物が、β-カルボキシエチルアクリレート、β-カルボキシヘキシルマレイミド、10-カルボキシデシルマレイミド、5-カルボキシペンチルマレイミドおよびβ-アクリロイルオキシプロパン酸から選択される、請求項
12記載のポリマー樹脂。
【請求項14】
前記相溶化剤が、無機粒子材料と前記粒子の表面上の有機リンカーとを含み、前記有機リンカーが酸素含有酸官能性を有し、前記有機リンカーが有機酸の塩基形態である、請求項
10~
13のいずれか1項記載のポリマー樹脂。
【請求項15】
前記無機粒子が、炭酸カルシウム
である、請求項
10~
14のいずれか1項記載のポリマー樹脂。
【請求項16】
請求項
10~
15のいずれか1項記載のポリマー樹脂を射出成形することにより製造されるか、または請求項1~
9のいずれか1項記載の方法によって得ることができる物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形により物品を製造する方法、物品における相溶化剤の使用、ポリマー樹脂における相溶化剤の使用、およびポリマー樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリマー廃棄材料のリサイクルが始まっている。しかしながら、ポリマー廃棄材料のリサイクルは、バージンポリマーに由来するポリマー組成物の調製中には必ずしも遭遇しない課題を提示した。
ポリマー廃棄材料をリサイクルする必要性が高まるにつれて、ポリマー廃棄材料の高品質のポリマー樹脂および製造物品(持ち運びのできる廃棄物容器またはごみ容器、例えば、ウィリービン)への経済的に実行可能な処理のための新規な方法および組成物の開発が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様によれば、射出成形により物品を製造する方法であって、ポリマー樹脂から物品を射出成形することを含む方法であって、上記ポリマー樹脂が異なるタイプのリサイクルされたポリマーと、無機粒子材料と上記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含む相溶化剤とを含み、上記ポリマー樹脂が3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有する、上記方法が提供される。
第2の態様によれば、物品における相溶化剤の使用であって、上記物品が上記相溶化剤を含むポリマー樹脂を射出成形することにより製造され、上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含むポリマー樹脂と比較しておよび/または上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品と比較してタイガーストライプを排除するかまたはタイガーストライプを減少させるための上記使用であって、上記相溶化剤が無機粒子材料と上記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含み、上記ポリマー樹脂が異なるタイプのリサイクルされたポリマーを含み、上記相溶化剤を含む上記ポリマー樹脂が3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有する、前記使用が提供される。
【0004】
第3の態様によれば、ポリマー樹脂における相溶化剤の使用であって、(i)射出成形によりポリマー樹脂から製造される物品においてタイガーストライプの発生を排除するか、または(ii)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂から製造される物品と比較しておよび/または上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー樹脂を射出成形することによって製造される物品と比較してタイガーストライプを減少させるための上記使用であって、上記相溶化剤が無機粒子材料と上記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含み、上記ポリマー樹脂が異なるタイプのリサイクルされたポリマーを含み、上記相溶化剤を含む上記ポリマー樹脂が3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有する、上記使用が提供される。
第4の態様によれば、物品における相溶化剤の使用であって、上記物品が上記相溶化剤を含むポリマー樹脂を射出成形することにより製造され、
(A)(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を射出成形することにより製造する物品、または(ii)上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー樹脂を射出成形することにより製造する物品と比較して優れた靭性と剛性のバランスを与えるか、または
(B)上記物品の靭性と剛性との間のバランスを最適化するための上記使用であって;
上記相溶化剤が無機粒子材料と上記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含み、上記ポリマー樹脂が異なるタイプのリサイクルされたポリマーを含み、上記相溶化剤を含むポリマー樹脂が3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有する、前記使用が提供される。
【0005】
第5の態様によれば、物品が射出成形により製造されるポリマー樹脂における相溶化剤の使用であって、
(A)(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品、または(ii)上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品と比較して優れた靭性と剛性のバランスを与えるか、または
(B)上記物品の靭性と剛性との間のバランスを最適化するための上記使用であって;
上記相溶化剤が無機粒子材料と上記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含み、上記ポリマー樹脂が異なるタイプのリサイクルされたポリマーを含み、上記相溶化剤を含む上記ポリマー樹脂が3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有する、前記使用が提供される。
第6の態様によれば、射出成形によりそこから物品の製造に使用するのに適したポリマー樹脂であって、上記ポリマー樹脂が異なるリサイクルされたポリマーと、上記ポリマー樹脂の総質量に基づいて、約5質量%~約20質量%の、無機粒子材料と上記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含む相溶化剤の混合物を含み、上記ポリマー樹脂が3.0g/10分以上の2.16kg/190℃以上でのMFIを有し、上記ポリマー樹脂が、上記ポリマー組成物の総質量に基づいて約50質量%のリサイクルされたポリエチレンと、上記ポリマー樹脂の総質量に基づいて、約10質量%~約30質量%のリサイクルされたポリプロピレンを含む、上記ポリマー樹脂が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】ポリマーベースの相溶化剤を含むポリマー樹脂を射出成形することにより製造された物品の写真である。
【
図2】本発明に従うポリマー樹脂を射出成形することにより製造された物品の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
リサイクルポリマーのような混合ポリマー供給材料からの製造プラスチックは、異なるポリマー時間の間の不適合性、例えばポリエチレンとポリプロピレンとの間の不混和性のために挑戦的であり得る。相溶性を改善する努力は、そのような混合ポリマー供給材料から製造されたプラスチックの異なる機械的性質間の張力のために妨げられることになる。より詳細には、射出成形により形成されるもののような最終製品の強度と剛性のような機械的性質の特性のバランスをとることは困難となり得る。驚くべきことに、本発明者らは、無機粒子材料と上記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含む相溶化剤の使用によって、強度と剛性のような機械的性質のバランスまたは最適化が達成可能であることを見出した。
【0008】
ポリマー樹脂
本発明のポリマー樹脂は、異なるタイプのリサイクルポリマーと、無機粒子材料と上記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含む相溶化剤とを含む。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、ポリエチレンとポリプロピレン、または異なるタイプのポリエチレン(例えば、HDPE、LDPEおよび/またはLLDPE)とポリプロピレンの混合物、または異なるタイプのHDPEとポリプロピレンの混合物を含む。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、ポリプロピレンを約90質量%以下、例えば約80質量%以下、または約70質量%以下、または約60質量%以下、または約50質量%以下、または約40質量%以下、または約35質量%以下、または約30質量%以下の量で含む。
特に明記しない限り、本明細書に記載されるポリマー樹脂成分の量は、上記ポリマー樹脂の総質量に基づく。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、20~40質量%のポリプロピレン、例えば20~35質量%のポリプロピレン、または23~30質量%のポリプロピレン、または23~28質量%のポリプロピレンを含む。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂中の上記ポリプロピレンの全部は、リサイクルされたポリプロピレンである。
【0009】
ある実施態様においては、ポリプロピレンの全部または少なくとも一部、例えば少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも約90%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%、または少なくとも99.9%は、ポリプロピレンを含むリサイクルされた混合ポリオレフィン流に由来する。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、ポリエチレンを少なくとも約10質量%、例えば少なくとも約20質量%、または少なくとも約30質量%、または少なくとも約40質量%、または少なくとも約50質量%、または少なくとも約60質量%の量で含む。ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は多量のポリエチレンを含み、多量は50質量%を超える量として定義される。ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、ポリエチレンを約90質量%以下、例えば約80質量%以下、または約75質量%以下、または約60質量%以下、または約50質量%以下、または約40質量%以下、または約30質量%以下の量で含む。ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、ポリエチレンを約50~80質量%、例えば約60~75質量%の量で含む。
上記ポリエチレンは少なくとも2種の異なるタイプのポリエチレン、例えば少なくとも2種の異なるタイプのリサイクルされたポリエチレン、例えばリサイクルされたHDPEと別のリサイクルされた供給源からの少なくとも1種の他のタイプのポリエチレン、例えばHDPEを含むことができる。
【0010】
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、異なるタイプのポリエチレン、例えば、HDPE、LDPEおよび/またはLLDPEの混合物を含む。一般に、HDPEは、主に、比較的高い結晶化度および融点、および約0.96g/cm3以上の密度を有する直鎖状または非分枝状の鎖のポリエチレンポリマーであると理解される。一般に、LDPE(低密度ポリエチレン)は、比較的低い結晶化度および融点、および約0.91g/cm3~約0.94g/cm3の密度を有する高分枝状ポリエチレンであると理解される。一般に、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)は、エチレンと長鎖オレフィンとの共重合によって一般に製造される有意な数の短い分枝を有するポリエチレンであると理解される。LLDPEは、長鎖分枝が存在しないため、従来のLDPEとは構造的に異なる。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は2種の異なるタイプのHDPEを含み、各タイプのHDPEが上記ポリマー樹脂の総質量に基づいて20~40質量%の量で存在する。ある実施態様においては、第1のタイプのHDPEは20~30質量%の量で存在し、第2のタイプのHDPEは30~40質量%の量で存在する。ある実施態様においては、両方のタイプのHDPEは、リサイクルされたポリマー供給源、例えばポストコンシューマーポリマー廃棄物に由来する。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂中の上記ポリマーの少なくとも75質量%、例えば、90~99質量%がポリエチレンとポリプロピレンの混合物であり、例えば、HDPEとポリプロピレンの混合物である(上記樹脂組成物中のポリマーの総質量に基づく)。ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂中の上記ポリマーの全部がポリエチレンまたはポリプロレンである。
【0011】
ある実施態様においては、上記HDPEは、存在する場合、異なる供給源からの、例えば、異なるタイプのポストコンシューマーポリマー廃棄物、例えばリサイクルブロー成形HDPEおよび/またはリサイクル射出成形HDPEからのHDPEの混合物である。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂のポリマー成分の全部または少なくとも一部(例えば、少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも約90%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%または少なくとも99.9%)は、ポリマー廃棄物、例えばポストコンシューマーポリマー廃棄物、ポスト産業ポリマー廃棄物および/またはポスト農業廃棄物ポリマーに由来する。ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂のポリマー成分の全部または少なくとも一部(例えば、少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも約90%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%または少なくとも99.9%)は、リサイクルされたポストコンシューマーポリマー廃棄物であるか、またはそれに由来する。
ある実施態様においては、上記ポリエチレン、例えばHDPEは、約5.0g/分以下、例えば約1.0g/分~5.0g/分、または約2.0g/分~約5.0g/分、または約3.0g/分~約5.0g/分の2.16kg/190℃でのMFIを有する。上記ポリマー樹脂が2種以上のタイプのポリエチレン、例えば2種以上のタイプのHDPEを含むある実施態様においては、上記2種以上のポリエチレンの2.16kg/190℃でのMFIは、約3.0g/分以下、例えば約2.0g/分以下、または約1.5g/分以下で異なってもよい。
【0012】
ある実施態様においては、上記ポリプロピレンは約5.0g/分以上、例えば約5.0g/10分~約10g/分、または約5.0g/約9.0g/分、または約5.0g/分~約8.0g/分、または約5.0g/分~約7.5g/分、または約5.5g/分~約7.0g/分、または約6.0g/分~約7.0g/分の2.16kg/190℃でのMFIを有する。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、上記樹脂組成物の総質量に基づいて、約20質量%以下のバージンポリマー、例えば、約10質量%以下のバージンポリマー、または約5質量%以下のバージンポリマー、または約1質量%以下のバージンポリマー、または約0.1質量%以下のバージンポリマーを含む。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、バージンポリマーを実質的に含まず、例えば、上記ポリマー樹脂は、バージンポリマーを含まない。
ある実施態様においては、上記樹脂組成物中の上記ポリマーの全部は、例えば、ポストコンシューマー廃棄物のようなポリマー廃棄物に由来するリサイクルされたポリマーである。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂(すなわち、上記相溶化剤と追加の任意の成分を含む)は、約0.925g/cm3を超える、例えば約0.95g/cm3以上、約0.975g/cm3以上、または約1.00g/cm3以上の密度を有する。ある実施態様においては、上記密度は、約1.25g/cm3以下、例えば約1.10g/cm3以下、または約1.05g/cm3以下である。密度は、ISO 1183に従って測定することができる。
【0013】
特定の用途、例えばウィリービン用途での使用のためには、上記ポリマー樹脂は、例えばMFI(メルトフローインデックス)に関して特定の要件を満たさなければならない。1つのそのような要件は、上記ポリマー樹脂の2.16kg/190℃でのMFIが3.0g/10分以上でなければならないことである。
本明細書で言及するMFIは、ISO 1133に従って測定される。
本発明のポリマー樹脂は、3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有する。ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、約3.1g/10分以上、例えば約3.2g/10分以上、または約3.3g/10分以上、または約3.4g/10分以上、または約3.5g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有する。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、約5g/10分以上、例えば約6g/10分以上、または約6.5g/10分以上、または約6.7g/10分以上、または約6.9g/10分以上の5.0kg/230℃でのMFIを有する。
【0014】
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、40~95質量%のポリプロピレン、例えば60~95質量%のポリプロピレン、または65~95質量%のポリプロピレンを含む。ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、40~70質量%のポリプロピレン、例えば60~70質量%のポリプロピレン、または65~70質量%のポリプロピレンを含む。このような実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、過酸化物含有添加剤、例えば過酸化物含有添加剤を本明細書に記載の量で含むことができる。このような実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、約30質量%までのポリエチレン、例えば約20~30質量%のポリエチレン、または約20~25質量%のポリエチレンを含むことができる。上記ポリエチレンはHDPEであってもよい。このような実施態様においては、上記ポリプロピレンとポリエチレンの全部をリサイクルされたポリプロピレンとポリエチレンとすることができる。このような実施態様においては、上記ポリプロピレンは、5.0g/10分以上、例えば約5.0g/10分~約10g/分、または約5.0g/10分~約8.0g/分、または約6.0g/分~約7.0g/分の2.16kg/190℃でのMFIを有することができる。このような実施態様においては、上記ポリエチレン、例えばHDPEは、約2.0g/分以下、例えば約1.0g/分以下、または約0.1g/分~約0.8g/分、または約0.2g/分~約0.7g/分、または約0.4g/分~約0.6g/分の2.16kg/190℃でのMFIを有することができる。
ある実施態様においては、上記樹脂組成物は、酸化防止剤を、例えば約5質量%未満、例えば約1質量%未満の量でさらに含む。ある実施態様においては、上記樹脂組成物は、酸化防止剤を、例えば、約0.1~1質量%、または約0.1~0.5質量%、または約0.3質量%の量でさらに含む。
【0015】
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、異なるリサイクルポリマーの混合物と、上記ポリマー樹脂の総質量に基づいて、約5質量%~約20質量%の、無機粒子材料と上記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含む相溶化剤の混合物を含み、上記ポリマー樹脂は3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有し、上記ポリマー樹脂は、上記ポリマー組成物の総質量に基づいて、少なくとも約50質量%のリサイクルされたポリエチレン(少なくとも2種の異なるタイプのHDPEの混合物であってもよい)と、上記ポリマー組成物の総質量に基づいて、約10質量%~約30質量%のリサイクルされたポリエチレンを含み、さらに約10質量%までの耐衝撃性改良剤と、約1.0質量%までの酸化防止剤とを含んでいてもよい。この実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、射出成形によるそこからの物品の製造に使用するのに適している。ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、約50~70質量%のポリエチレン(少なくとも2種の異なるタイプのHDPEの混合物であってもよい)と、20~30質量%のポリプロピレンと、5~15質量%の相溶化剤とを含み、さらに、約1~7.5質量%の耐衝撃性改良剤と、約0.5質量%までの酸化防止剤を含んでいてもよい。
本明細書で定義される上記ポリマー樹脂は、任意の公知の適切な製造方法によって調製することができる。ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、Coperion ZSK18二軸スクリュー押出機(直径18mm)のような押出機において、成分の適切なブレンドを溶融混合することによって調製される。スクリュー速度は800rpmに、供給速度は8.0kg/時間に設定することができる。このような実施態様においては、熱間押出物は、その後、水中で直ちに急冷され、ペレット化され得る。
【0016】
相溶化剤
本発明の上記ポリマー樹脂は、無機粒子材料と上記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含む相溶化剤を含む。
上記相溶化剤は、上記樹脂組成物の総質量に基づいて、約1質量%~約45質量%の範囲の量で上記樹脂組成物中に存在してもよい。例えば、上記樹脂組成物の総質量に基づいて、約2質量%~約40質量%、または約3質量%~約35質量%、または約4質量%~約30質量%、または約5質量%~約30質量%、または約5質量%~約25質量%、または約5質量%~約20質量%、または約5質量%~約15質量%、または約5質量%~約10質量%、または約7質量%~約13質量%、または約8質量%~約12質量%。
上記表面処理剤(すなわち、カップリング調整剤)は、上記樹脂組成物の総質量に基づいて、約0.01質量%~約4質量%、例えば、上記樹脂組成物の総質量に基づいて、約0.02質量%~約3.5質量%、または約0.05質量%~約1.4質量%、または約0.1質量%~約0.7質量%、または約0.15質量%~約0.7質量%、約0.3質量%~約0.7質量%、または約0.5質量%~約0.7質量%、または約0.02質量%~約0.5質量%、または約0.05質量%~約0.5質量%、または約0.1質量%~約0.5質量%、または約0.15質量%~約0.5質量%、または約0.2質量%~約0.5質量%、または約0.3質量%~約0.5質量%の量で上記樹脂組成物中に存在してもよい。
【0017】
ある実施態様においては、上記表面処理剤は、1個または2個の隣接するカルボニル基を有する末端プロパン酸基またはエチレン基が含まれる第1の化合物を含む。上記表面処理剤は、上記無機粒子の表面にコーティングされていてもよい。上記表面処理剤(例えば、コーティング)の目的は、上記無機粒子材料と、組合せるべきポリマーマトリックスとの相溶性を改善すること、および/または異なるポリマーを架橋またはグラフトすることによってポリマー樹脂中の2種以上の異なるポリマーの相溶性を改善することである。リサイクルされたポリマーを含み、バージンポリマーを含んでもよい、リサイクルされたポリマー樹脂組成物において、上記無機粒子材料コーティングは、上記異なるポリマーを架橋またはグラフトするのに役立ち得る。理論に縛られることを望むものではないが、カップリングは、上記ポリマーと上記表面処理剤との間の物理的(例えば、立体的)および/または化学的(例えば、化学的結合、例えば共有結合またはファンデルワールス)相互作用を含むと考えられる。
【0018】
一実施態様においては、上記表面処理剤(すなわち、カップリング調整剤)は、式(1)を有する:
A-(X-Y-CO)m(O-B-CO)nOH (1)
(式中、
Aは、1個または2個の隣接するカルボニル基を有する末端エチレン結合を含有する部分であり;
Xは、Oであり、mは、1~4であるか、またはXは、Nであり、mは、1であり;
Yは、C1-8-アルキレンまたはC2-18-アルケニレンであり;
Bは、C2-6-アルキレンであり; nは、0~5である;
ただし、Aがエチレン基に隣接する2個のカルボニル基を含有する場合、XはNである)。
【0019】
一実施態様においては、A-X-はアクリル酸の残基であり、(O-B-CO)nはδ-ラクトンまたはε-カプロラクトンまたはこれらの混合物であってもよく、nは0であってもよい。
別の実施態様においては、A-X-はマレイミドの残基であり、(0-B-CO)nはδ-バレロラクトンまたはε-カプロラクトンまたはその混合物の残基であってもよく、nは0であってもよい。
カップリング調整剤の個々の例は、β-カルボキシエチルアクリレート、β-カルボキシヘキシルマレイミド、10-カルボキシデシルマレイミドおよび5-カルボキシペンチルマレイミドである。
例示的なカップリング調整剤およびその調製方法は、US-A-7732514号に記載されており、その全内容は本明細書に援用されている。
【0020】
別の実施態様においては、上記カップリング調整剤は、式(2)のβ-アクリロイルオキシプロパン酸またはオリゴマーアクリル酸である:
CH2=CH-COO[CH2-CH2-COO]nH (2)
(式中、nは1~6の数を表す)。
【0021】
一実施態様においては、nは、1、または2、または3、または4、または5、または6である。
式(2)の上記オリゴマーアクリル酸は、アクリル酸を、0.001~1質量%の重合禁止剤の存在下で、場合により高圧下および不活性溶媒の存在下で、約50℃~200℃の範囲の温度に加熱することにより調製することができる。例示的なカップリング調整剤およびその調製方法は、US-A-4267365号に記載されており、その全内容は本明細書に援用されている。
別の実施態様においては、上記カップリング調整剤はβ-アクリロイルオキシプロパン酸である。この化学種およびその製造方法は、US-A-3888912号に記載されており、その全内容は本明細書に援用されている。
【0022】
上記表面処理剤/カップリング調整剤は、相溶化剤中に所望の結果を達成するのに有効な量で存在する。これはカップリング調整剤の間で異なり、無機粒子の正確な組成に依存し得る。例えば、上記カップリング調整剤は、上記相溶化剤の総質量に基づいて約5質量%以下、例えば、約2質量%以下、または例えば約1.5質量%以下の量で存在してもよい。一実施態様においては、上記カップリング調整剤は、相溶化剤中に、上記相溶化剤の総質量に基づいて約1.2質量%以下、例えば約1.1質量%以下、例えば約1.0質量%以下、例えば約0.9質量%以下、例えば約0.8質量%以下、例えば約0.7質量%以下、例えば約0.6質量%以下、例えば約0.5質量%以下、例えば約0.4質量%以下、例えば約0.3質量%以下、例えば約0.2質量%以下、または例えば約0.1質量%以下の量で存在する。典型的には、上記カップリング調整剤は、上記相溶化剤中に約0.05質量%を超える量で存在する。さらなる実施態様においては、上記カップリング調整剤は、上記相溶化剤中に約0.1~2質量%、例えば約0.2質量%~約1.8質量%、または約0.3~約1.6質量%、または約0.4~約1.4質量%、または約0.5~約1.3質量%、または約0.6~約1.2質量%、または約0.7~約1.2質量%、または約0.8~約1.2質量%、または約0.8~約1.1質量%の範囲の量で存在する。
【0023】
ある実施態様においては、1個または2個の隣接するカルボニル基を有する末端プロパン酸基またはエチレン基が含まれる1種の化合物/複数種の化合物は、上記表面処理剤中に存在する唯一の化学種である。
ある実施態様においては、上記表面処理剤は、1種以上の脂肪酸および1種以上の脂肪酸の塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される第2の化合物をさらに含む。
一実施態様においては、上記1種以上の脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエチン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレイン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸およびこれらの組合せからなる群から選択される。別の実施態様においては、上記1種以上の脂肪酸は、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸である。別の実施態様においては、上記脂肪酸は、C12~C24脂肪酸、例えば、飽和または不飽和であり得るC16~C22脂肪酸である。一実施態様においては、上記1つ以上の脂肪酸は、ステアリン酸であり、他の脂肪酸と組合せてもよい。
別の実施態様においては、脂肪酸の上記1つ以上の塩は、上述の脂肪酸の金属塩である。その金属は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または亜鉛であってもよい。一実施態様においては、上記第2の化合物はステアリン酸カルシウムである。
【0024】
上記第2の化合物は、存在する場合、相溶化剤中に所望の結果を達成するのに有効な量で存在する。これはカップリング調整剤の間で異なり、上記無機粒子の正確な組成に依存し得る。例えば、上記第2の化合物は、上記相溶化剤の総質量に基づいて約5質量%以下、例えば約2質量%以下または、例えば約1質量%以下の量で存在してもよい。一実施態様においては、上記第2の化合物は、上記相溶化剤の総質量に基づいて約0.9質量%以下、例えば約0.8質量%以下、例えば約0.7質量%以下、例えば約0.6質量%以下、例えば約0.5質量%以下、例えば約0.4質量%以下、例えば約0.3質量%以下、例えば約0.2質量%以下または、例えば約0.1質量%以下の量で存在してもよい。典型的には、上記第2の化合物は、存在する場合、上記相溶化剤中に約0.05質量%より多い量で存在してもよい。上記カップリング調整剤と上記第2の化合物との質量比は、約5:1~約1:5、例えば約4:1~約1:4、例えば約3:1~約1:3、例えば2:1~1:2または、例えば約1:1であってもよい。第1の化合物(すなわち、上記カップリング調整剤)と上記第2の化合物(すなわち、上記1種以上の脂肪酸またはその塩)を含むコーティング量は、上記無機粒子の表面上に単層被覆を与えるように計算される量であり得る。実施態様においては、上記第1の化合物と第2の化合物との質量比は、約4:1~約1:3、例えば約4:1~約1:2、例えば約4:1~約1:1、例えば約4:1~約2:1、例えば約3.5:1~約1:1、例えば約3.5:1~2:1または、例えば約3.5:1~約2.5:1である。
【0025】
ある実施態様においては、上記表面処理剤は、1種以上の脂肪酸および脂肪酸の1種以上の塩からなる群から選択される化合物を含まない。
ある実施態様においては、上記表面剤は、上記無機粒子の表面上の有機リンカーであるか、またはそれを含む。上記有機リンカーは、酸素含有酸官能性を有する。上記有機リンカーは、有機酸の塩基形態である。「塩基形態」とは、例えば、有機酸を脱水して対応するオキシアニオンを形成することにより、有機酸が少なくとも部分的に脱プロトン化されていることを意味する。ある実施態様においては、有機酸の塩基形態は、上記有機酸の共役塩基である。上記有機酸(従って、上記有機リンカー)は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む。
ある実施態様においては、上記有機リンカーは非ポリマー化合種であり、ある実施態様においては約400g/mol以下の分子量を有する。「非ポリマー」とは、(i)モノマー化学種の重合によって形成されない化学種、および/または(ii)比較的低い分子量、例えば約1000g/mol未満の分子量、例えば約400g/mol以下の分子量を有する化学種、および/または(iii)炭素鎖中に70個以下の炭素原子、例えば炭素鎖中に約25個以下の炭素原子を含む化学種を意味する。
【0026】
ある実施態様においては、上記非ポリマー化学種は、約800g/mol以下、または約600g/mol以下、または約500g/mol以下、または約400g/mol以下、または約300g/mol以下、または約200g/mol以下の分子量を有する。代替的にまたは追加的に、ある実施態様においては、上記非ポリマー化学種は、約50個以下の炭素原子、または約40個以下の炭素原子、または約30個以下の炭素原子、または約25個以下の炭素原子、または約20個以下の炭素原子、または約15個以下の炭素原子を含む。
ある実施態様においては、上記相溶化剤は、粒子および上記粒子の表面上の有機リンカー(カップリング調整剤として働く)を含み、上記相溶化剤は、酸素含有酸官能性を有する有機酸を少なくとも部分的に脱水することにより得られ、上記粒子の存在下で少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含んでいる。
【0027】
例示的な有機酸は、カルボン酸およびその塩基形態カルボキシレート、例えば、下記式である
【化1】
(式中、Rは、各々、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む不飽和C
2+基である)。
上記カルボキシレート基(これはオキシアニオン)が共鳴形態で示される。上記カルボキシレート基は共役塩基の一例である。ある実施態様においては、Rは、不飽和C
3+基、または不飽和C
4+基、または不飽和C
5+基である。
【0028】
理論に縛られることを望むものではないが、上記酸官能性の塩基形態が上記粒子の表面と配位/会合し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する有機テールが上記樹脂組成物中の異なるポリマー化学種と配位/会合すると考えられている。従って、上記相溶化剤は、カップリング調整剤として作用する有機リンカーによって、異なるポリマータイプを架橋またはグラフトする働きをし、そのカップリングは異なるポリマー間およびポリマーと粒子間の物理的(例えば、立体的)および/または化学的(例えば、共有結合またはファンデルワールスのような化学的結合、例えば化学結合)相互作用)を含む。全体としての効果は、上記ポリマー樹脂中の異なるポリマータイプの相溶性を高めることであり、それは、また、上記ポリマー樹脂の処理および/または上記ポリマー樹脂から製造された持ち運びのできる廃棄物容器またはごみ容器、例えば、ウィリービンのような製造物品の1つ以上の物理的特性(例えば、1つ以上の機械的性質)を高めることになる。上記粒子の表面は、上記有機リンカーのアニオン電荷を平衡させる働きをすることができる。さらに、相溶化効果は、ポリマーブレンドの加工性および/またはポリマーブレンドから製造される物品の物理的特性に悪影響を及ぼすことなく、より多くの量の粒子を組み込むことを可能にし得る。これは、また、ポリマーの使用が少ないため(リサイクルされたものなど)、コストを削減し得る。
【0029】
ある実施態様においては、上記有機リンカーは、有機酸、例えば、カルボキシレートまたはホスフェートまたはホスファイトまたはホスフィネートまたはアミノ酸の共役塩基である。ある実施態様においては、上記有機リンカーはカルボキシレートである。別の実施態様においては、上記有機リンカーには、マレイミド環が含まれる(例えば、アミドカルボキシレート官能性が上記粒子の表面と配位/会合し、炭素-炭素二重結合が上記ポリマー樹脂中の異なるポリマー化学種と配位/会合する)。
ある実施態様においては、有機リンカーは、炭素-炭素二重結合に加えて少なくとも1つの炭素原子を含む。ある実施態様においては、上記有機リンカーは、炭素-炭素二重結合に加えて、少なくとも2個の炭素原子、または少なくとも3個の炭素原子、または少なくとも4個の炭素原子、または少なくとも5個の炭素原子を含む。ある実施態様においては、上記有機リンカーは、少なくとも6個の炭素原子、例えば、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合が含まれる、少なくとも6個の炭素原子の鎖を含む。ある実施態様においては、上記有機リンカーは、ただ1つの炭素-炭素二重結合を含む。ある実施態様においては、上記有機リンカーは、2つの炭素-炭素二重結合を含む。ある実施態様においては、上記有機リンカーは、3つの炭素-炭素二重結合を含む。少なくとも1つの炭素-炭素二重結合に関するその部分は、シス配置またはトランス配置で配置することができる。炭素-炭素二重結合は、末端基であってもよく、または分子の内部、すなわち炭素原子の鎖内にあってもよい。
【0030】
ある実施態様においては、上記有機リンカーは、下記式を有する:
(1)CH2=CH-(CH2)a-Z
および/または
(2)CH3-(CH2)b-CH=CH-(CH2)c-Z
(式中、
aは、3以上であり;
bは、1以上であり、cは、0以上であるが、b + cは、少なくとも2であり;
Zは、カルボキシレート基、ホスフェート基、ホスファイト基またはホスフィネート基である)。
【0031】
ある実施態様においては、aは、6~20、例えば6~18、または6~16、または6~14、または6~12、または6~10、または7~9である。ある実施態様においては、aは8である。
ある実施態様においては、bおよびcは、それぞれ独立して4~10、例えば、それぞれ独立して5~11、または5~10、または6~9、または6~8である。ある実施態様においては、bおよびcは両方とも7である。
ある実施態様においては、上記有機リンカーが式(1)を有する場合、Zはカルボキシレート基である。このような実施態様においては、上記相溶化剤は、粒子(例えば、無機粒子)および式(1)の上記有機リンカーから本質的になってもよく、またはそれらからなってもよく、Zはカルボキシレート基である。
ある実施態様においては、上記有機リンカーが式(2)を有する場合、Zはカルボキシレート基である。このような実施態様においては、上記相溶化剤は、粒子(例えば、無機粒子)および式(2)の上記有機リンカーから本質的になってもよく、またはそれからなってもよく、Zはカルボキシレート基である。
ある実施態様においては、上記有機リンカーは、式(1)および式(2)の混合物であり、Zは、それぞれの場合にカルボキシレート基であってもよい。このような実施態様においては、上記相溶化剤は、粒子(例えば、無機粒子)と、式(1)の上記有機リンカー(Zはカルボキシレート基である)と式(2)の上記有機リンカー(Zはカルボキシレート基である)から本質的になってもよく、またはそれらからなってもよい。
【0032】
ある実施態様においては、上記有機酸は不飽和脂肪酸であるか、または不飽和脂肪酸に由来する。ある実施態様においては、上記有機酸が不飽和脂肪酸である場合、上記相溶化剤は、粒子(例えば、無機微粒子)と有機リンカーから本質的になるか、またはそれらからなる。このような実施態様においては、不飽和脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレイン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸およびドコサヘキサエン酸の1種から選択されてもよい。このような実施態様においては、不飽和脂肪酸はオレイン酸であってもよく、すなわち、ある実施態様においては、上記相溶化剤は粒子(例えば、無機粒子)とオレイン酸の塩基形態を含む。ある実施態様においては、上記相溶化剤は、粒子(例えば、無機粒子)とオレイン酸の塩基形態からなる。
ある実施態様においては、上記有機酸は不飽和脂肪酸に由来する。ある実施態様においては、上記有機酸はウンデシレン酸であり、すなわち上記有機リンカーはウンデシレン酸の塩基形態である。ある実施態様においては、上記相溶化剤は、粒子(例えば、無機粒子)とウンデシレン酸の塩基形態からなる。
【0033】
無機粒子材料
上記無機粒子材料は、例えば、アルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、カオリン、ハロイサイトまたはボールクレーのような含水カンダイトクレー、メタカオリンまたは完全にか焼したカオリンのような無水(か焼した)カンダイトクレー、タルク、雲母、パーライトまたはケイソウ土、または水酸化マグネシウム、またはアルミニウム三水和物、またはこれらの組合せであり得る。
好ましい無機粒子材料は、炭酸カルシウムである。以後、本発明は、炭酸カルシウムに関して、および上記炭酸カルシウムが製造および/または処理される態様に関して述べる傾向があり得る。本発明は、このような実施態様に限定されると解釈されるべきではない。
本発明で使用される上記粒状炭酸カルシウムは、粉砕によって天然源から得ることができる。粉砕された炭酸カルシウム(GCC)は、典型的には、所望の程度の細かさを有する製品を得るために、チョーク、大理石または石灰石のような鉱物源を粉砕し、粉砕した後に粒度分級工程を行うことによって得られる。所望の程度の細かさおよび/または色を有する製品を得るために、漂白、浮遊および磁気分離のような他の技術を使用することもできる。その粒状固体材料は、自発的に粉砕することができ、すなわち、その固体材料自体の粒子間の摩耗によって、あるいは粉砕すべき上記炭酸カルシウムとは異なる材料の粒子を含む粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することができる。これらのプロセスは、分散剤および殺生物剤の存在下または不在下で実施することができ、これらは、そのプロセスの任意の段階で添加することができる。
【0034】
沈降炭酸カルシウム(PCC)は、本発明における粒状炭酸カルシウムの供給源として使用することができ、当該技術分野で利用可能な既知の方法のいずれによっても製造することができる。TAPPI Monograph Series No 30, 「Paper Coating Pigments」, pages 34-35は、製紙産業で使用するための製品の調製に使用するのに適した沈降炭酸カルシウムを調製するための3つの主な商業的方法を記載しているが、本発明の実施に使用してもよい。3つのプロセスの全てにおいて、石灰石のような炭酸カルシウム供給材料をまず焼成して生石灰を生成し、次いでその生石灰を水中で消和して水酸化カルシウムまたは石灰乳を得る。第1のプロセスでは、石灰乳を二酸化炭素で直接炭酸化する。このプロセスは、副生成物が形成されず、炭酸カルシウム製品の特性および純度を制御することが比較的容易であるという利点を有する。第2のプロセスでは、石灰乳をソーダ灰と接触させて、炭酸カルシウムの沈殿物および水酸化ナトリウムの溶液を複分解により生成する。水酸化ナトリウムは、このプロセスが商業的に使用される場合、炭酸カルシウムから実質的に完全に分離され得る。第3の主な商業的プロセスでは、石灰乳を最初に塩化アンモニウムと接触させて塩化カルシウム溶液およびアンモニアガスを得る。次いで、その塩化カルシウム溶液をソーダ灰と接触させて、複分解により沈降炭酸カルシウムおよび塩化ナトリウム溶液を生成する。結晶は、使用される特定の反応プロセスに依存して、様々な異なる形状およびサイズで製造することができる。PCC結晶の3つの主な形態は、アラゴナイト、菱面体および偏三角面体であり、これらの混合物が含まれる全てが本発明での使用に適している。
【0035】
炭酸カルシウムの湿式粉砕は、粉砕してもよい炭酸カルシウムの水性懸濁液の形成を含み、適切な分散剤の存在下であってもよい。炭酸カルシウムの湿式粉砕に関するさらなる情報については、例えばEP-A-614948号(その内容は全体で援用されている)を参照することができる。上記無機粒子、例えば炭酸カルシウムは、任意の適切な乾式粉砕技術によっても調製することができる。
ある状況では、例えば、カオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、ボーキサイト、タルク、二酸化チタンまたは雲母の1種以上が存在してもよい他の鉱物の添加が含まれてもよい。
上記無機粒子材料が天然源から得られる場合、いくつかの無機不純物が粉砕材料を汚染することがある。例えば、天然に存在する炭酸カルシウムは、他の鉱物と会合して存在することができる。従って、いくつかの実施態様においては、上記無機粒子材料には、ある量の不純物が含まれる。しかしながら、一般に、本発明で使用される上記無機粒子材料は、約5質量%未満、好ましくは約1質量%未満の他の鉱物不純物を含有する。
【0036】
特に明記しない限り、上記無機粒子材料について本明細書で言及される粒度特性は、CILAS 1064機器(または本質的に同じ結果をもたらす他の方法)を使用して、レーザ光散乱の分野で用いられる周知の従来の方法によって測定されたものである。上記レーザ光散乱技術において、粉末、懸濁液および乳濁液中の粒子のサイズは、Mie理論の適用に基づいて、レーザビームの回折を使用して測定することができる。このような機械は、当該技術分野で『等価球直径』(e.s.d)と呼ばれるサイズが所定のe.s.d値よりも小さい粒子の体積による累積百分率の測定値およびプロットを与える。平均粒子サイズd50は、このd50値よりも小さい等価球直径を有する粒子が50体積%である粒子e.s.dのこのようにして決定された値である。用語d90は、粒子が90体積%未満である粒子サイズ値である。
上記無機微粒子のd50は、約100μm未満、例えば約80μm未満、例えば約60μm未満、例えば約40μm未満、例えば約20μm未満、例えば約15μm未満、例えば約10μm未満、例えば約8μm未満、例えば約6μm未満、例えば約5μm未満、例えば約4μm未満、例えば約3μm未満、例えば約2μm未満、例えば約1.5μm未満、例えば約1μm未満である。上記無機粒子のd50は、約2.5μm以下、例えば約1.0μm以下または約0.75μmであってもよい。上記無機微粒子のd50は、約0.5μmより大きく、例えば約0.75μmより大きく、例えば約1.25μmより大きく、例えば約1.5μmより大きくてもよい。上記無機微粒子のd50は、0.5~20μm、例えば約0.5~10μm、例えば約1~約5μm、例えば約1~約3μm、例えば約1~約2μm、例えば約0.5~約2μm、例えば約0.5~約1.5μm、例えば約0.5~約1.4μm、例えば約0.5~約1.4μm、例えば約0.5~約1.3μm、例えば約0.5~約1.2μm、例えば約0.5~約1.1μm、例えば約0.5~約1.0μm、例えば約0.6~約1.0μm、例えば約0.7~約1.0μm、例えば約0.6~約0.9μm、例えば約0.7~約0.9μmの範囲であってもよい。
【0037】
上記無機微粒子のd90(トップカットとも呼ばれる)は、約150μm未満、例えば約125μm未満、例えば約100μm未満、例えば約75μm未満、例えば約50μm未満、例えば約25μm未満、例えば約20μm未満、例えば約15μm未満、例えば約10μm未満、例えば約8μm未満、例えば約6μm未満、例えば約4μm未満、例えば約3μm未満、又は例えば約2μm未満であってもよい。有利には、上記d90は約25μm未満であってもよい。
0.1μmより小さい粒子の量は、典型的には約5体積%以下である。
【0038】
上記無機粒子は、約10以上の粒子勾配(particle steepness)を有し得る。粒子勾配(すなわち、上記無機粒子の粒子サイズ分布の勾配)は、下記の式によって決定される:
勾配 = 100×(d30/d70)、
(式中、d3Oは、このd3O値未満のe.s.dを有する粒子が30体積%である粒子e.s.dの値であり、d70は、このd70値未満のe.s.dを有する粒子が70体積%である粒子e.s.dの値である)。
【0039】
上記無機微粒子は、約100以下の粒子勾配を有していてもよい。上記無機微粒子は、約75以下、約50以下、または約40以下、または30以下の粒子勾配を有していてもよい。上記無機粒子は、約10~約50、または約10~約40の粒子勾配を有していてもよい。
上記無機粒子は、表面処理をその表面に施すように、表面処理剤、すなわちカップリング調整剤で処理される。ある実施態様においては、上記無機微粒子は、表面処理剤でコーティングされる。
ある実施態様においては、上記相溶化剤の上記無機粒子材料は炭酸カルシウム、例えばGCCである。
ある態様およびその実施態様によれば、上記樹脂組成物は過酸化物含有添加剤、例えばジクミルペルオキシドまたは1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンを実質的に含まない、すなわち含まない。
【0040】
あるいは、ある態様およびその実施態様においては、上記樹脂組成物は過酸化物含有添加剤、例えばジクミルペルオキシドまたは1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンを含む。上記過酸化物含有添加剤は、必ずしも表面処理剤/カップリング調整剤に含まれていなくてもよく、代わりに下記で説明するように、上記相溶化剤および上記ポリマーの配合中に添加されてもよい。いくつかのポリマー系、例えばポリエチレン(例えばHDPE)を含有するポリマー系では、過酸化物含有添加剤の包含は、ポリマー鎖の架橋を促進し得る。他のポリマー系、例えばポリプロピレンでは、過酸化物含有添加剤の包含は、ポリマー鎖の切断を促進し得る。上記過酸化物含有添加剤は、所望の結果を達成するのに有効な量で存在してもよい。これはカップリング調整剤の間で異なり、上記無機微粒子および上記ポリマーの正確な組成に依存し得る。例えば、上記過酸化物含有添加剤は、上記過酸化物含有添加剤が添加されるべき上記樹脂組成物中の上記ポリマーの質量に基づいて、約1質量%以下、例えば約0.5質量%、例えば0.1質量%、例えば約0.09質量%以下、または例えば約0.08質量%以下、または例えば約0.06質量%以下、約0.05質量%以下、約0.04質量%以下、約0.03質量%以下、約0.02質量%以下、約0.01質量%以下の量で存在してもよい。典型的には、上記過酸化物含有添加剤は、存在する場合には、上記樹脂組成物中の上記ポリマーの質量に基づいて約0.001質量%よりも多く、例えば約0.005質量%以上、例えば約0.075質量%以上、または約0.01質量%以上の量で存在する。
【0041】
上記相溶化剤は、無機粒子、表面処理剤/カップリング調整剤および必要に応じて過酸化物含有添加剤を組み合せ、例えばSteele and Cowlishaw高強度ミキサーを使用して、好ましくは80℃以下の温度で混合することにより調製することができる。上記表面処理剤/カップリング調整剤の化合物は、上記無機粒子を粉砕した後であっても、上記無機粒子をリサイクルされていてもよいポリマー組成物に添加する前に適用してもよい。例えば、上記無機粒子を機械的に解凝集させる工程において、上記表面処理剤/カップリング調整剤を上記無機粒子に添加してもよい。上記表面処理剤/カップリング調整剤は、粉砕機で行われる解凝集中に適用されてもよい。
上記相溶化剤は、酸化防止剤をさらに含むことができる。適切な酸化防止剤には、ヒンダードフェノールおよびアミン誘導体からなる有機分子、リン酸エステルおよび低分子量ヒンダードフェノールからなる有機分子、およびチオエステルが含まれるが、これらに限定されない。例示的な抗酸化剤には、Irganox 1010およびIrganox 215、ならびにIrganox 1010とIrganox 215のブレンドが含まれる。あるいは、このような酸化防止剤は、上記相溶化剤とは別に樹脂組成物に添加されてもよい。あるいは、酸化防止剤の全必要量の一部は、上記相溶化剤の両方に存在してもよく、上記相溶化剤とは別に樹脂組成物に添加されてもよい。
【0042】
第2の充填剤
ある実施態様においては、上記樹脂組成物は、存在する場合、相溶化剤に加えて充填剤、すなわち1種以上の第2の充填剤成分を含む。上記第2の充填剤成分は、表面処理剤/カップリング調整剤で処理することはできない。ある実施態様においては、上記第2の充填剤成分は、表面処理剤/カップリング調整剤で処理されていない。このような追加成分は、存在する場合、ポリマー組成物のための公知の充填剤成分から適切に選択される。例えば、機能性充填剤において使用される上記無機粒子は、例えばカーボンブラックおよび/またはタルクのような1種以上の他の公知の第2の充填剤成分と共に使用することができる。
ある実施態様においては、上記樹脂組成物は、第2の充填剤成分としてカーボンブラックを含む。上記カーボンブラックは、着色剤および/またはUV安定剤として機能することができる。
ある実施態様においては、相溶化剤と第2の充填剤成分との質量比は、約1:1~約20:1、例えば約5:1~約15:1、または約7.5:1~約12.5:1、例えば約10:1である。ある実施態様においては、上記機能性充填剤の上記無機微粒子は炭酸カルシウム、例えば粉砕炭酸カルシウムであり、上記第2の充填剤成分はコーティングしていないカーボンブラックである。第2の充填剤成分が使用される場合、それは上記ポリマー組成物の約0.1質量%~約5質量%、例えば、上記樹脂組成物の約0.5質量%~約4質量%、または約0.5質量%~約3質量%、または約0.5質量%~約2.5質量%、または約0.5質量%~約2質量%、または約0.5質量%~約1.5質量%、または約0.75質量%~1.25質量%である。
第2の充填剤成分は、また、上記樹脂組成物の密度を増加させるのに役立ち得る。
ある実施態様においては、上記第2の充填剤は、上記樹脂組成物の総質量基づいて、少なくとも約0.5質量%、例えば約0.5質量%~約10質量%、または約0.5質量%~約5.0質量%、または約0.5質量%~約2.5質量%の量で存在する。
【0043】
耐衝撃性改良剤
ある実施態様においては、上記樹脂組成物は、耐衝撃性改良剤を、例えば、上記ポリマー樹脂の全質量に基づいて、約20質量%までの耐衝撃性改良剤、例えば、樹脂組成物の総質量に基づいて、約0.1質量%~約20質量%、または約0.5質量%~約15質量%、または、例えば、約10質量%未満、または約1質量%~約10質量%、または約2質量%~約5質量%、または約1質量%~約10質量%、または約1質量%~約7.5質量%、または約1.5質量%~約3.0質量%、または約2質量%~約6質量%、または約2質量%~約5質量%の耐衝撃性改良剤の量で含む。
ある実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤はエラストマー、例えばポリオレフィンエラストマーである。ある実施態様においては、上記ポリオレフィンエラストマーは、エチレンと他のオレフィン(例えば、α-オレフィン)、例えばオクタンおよび/またはブテンおよび/またはスチレンのコポリマーである。ある実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤はエチレンとオクテンのコポリマーである。ある実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤はエチレンとブテンのコポリマーである。
ある実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤はリサイクルされた(例えば、ポスト産業)耐衝撃性改良剤である。
【0044】
ある実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤、例えばエチレン・オクテンコポリマーのような上記のポリオレフィンコポリマーは、約0.80~約0.95g/cm3の密度および/または約0.2g/10分(190℃で2.16kg)~約30g/10分(190℃で2.16kg)、例えば約0.5g/10分(190℃で2.16kg)~約20g/10分(190℃で2.16kg)、または約0.5g/10分(190℃で2.16kg)~約15g/10分(190℃で2.16kg)、または約0.5g/10分(190℃で2.16kg)~約10g/10分(190℃で2.16kg)、または約0.5g/10分(190℃で2.16kg)~約7.5g/10分(190℃で2.16kg)、または約0.5g/10分(190℃で2.16kg)~約5g/10分(190℃で2.16kg)、または約0.5g/10分(190℃で2.16kg)~約4g/10分(190℃で2.16kg)、または約0.5g/10分(190℃で2.16kg)~約3g/10分(190℃で2.16kg)、または約0.5g/10分(190℃で2.16kg)~約2.5g/10分(190℃で2.16kg)、または約0.5g/10分(190℃で2.16kg)~約2g/10分(190℃で2.16kg)、または約0.5g/10分(190℃で2.16kg)~約1.5g/10分(190℃で2.16kg)のMFIを有する。このような実施態様またはある実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤は、約0.85~約0.86g/cm3の密度を有するエチレン・オクテンコポリマーである。例示的な耐衝撃性改良剤は、Engage(RTM)ブランド、例えばEngage(RTM)8842でDOWによって製造されたポリオレフィンエラストマーである。このような実施態様においては、配合ポリマーブレンドは、本明細書に記載されているように、酸化防止剤をさらに含むことができる。このような実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤は、約10質量%未満、例えば、約1質量%~約7.5質量%、または約1.5質量%~約3.0質量%の量で存在することができる。
【0045】
ある実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤は、スチレンとブタジエンをベースとするコポリマー、例えば、スチレンとブタジエンをベースとする線状ブロックコポリマーである。このような実施態様においては、耐衝撃性改良剤は、約1~約5g/10分(200℃で5.0kg)、例えば、約2g/10分(200℃で5.0kg)~約4g/10分(200℃で5.0kg)、または約3g/10分(200℃で5.0kg)~約4g/10分(200℃で5.0kg)のMFIを有することができる。このような実施態様においては、上記線状ブロックコポリマーは、リサイクルされた線状ブロックコポリマーであってもよい。
ある実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤は、スチレンとイソプレンをベースとするコポリマー、例えば、スチレンとイソプレンをベースとする線状ブロックコポリマーである。このような実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤は、約5~約20g/10分(230℃で2.16)、例えば約8g/10分(230℃で2.16kg)~約15g/10分(230℃で2.16kg)、または約10g/10分(230℃で2.16kg)~約15g/10分(230℃で2.16kg)のMFIを有することができる。このような実施態様においては、上記線状ブロックコポリマーはリサイクルされていてもよい。
【0046】
ある実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤は、スチレンとエチレン/ブテンをベースとするトリブロックコポリマーである。このような実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤は、約15g/10分(200℃で5.0kg)~約25g/10分(200℃で5.0kg)、例えば約20g/10分(200℃で5.0kg)~約25g/10分(200℃で5.0kg)のMFIを有することができる。
MFIは、ISO 1133に従って測定することができる。
ある実施態様においては、例えば、上記耐衝撃性改良剤がスチレンとブタジエン、またはスチレンとイソプレンをベースとする線状ブロックコポリマーであり、かつ/または上記樹脂組成物がPEを含む実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤と上記ポリマー樹脂の1種以上のポリマーとの間で架橋される。いくつかの実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤はポリマーブレンドに混和性であってもよい。
ある実施態様においては、上記耐衝撃性改良剤は、リサイクルされていてもよいスチレン・ブタジエン・スチレンブロックコポリマー(rSBS)である。このような実施態様においては、上記rSBSは、樹脂組成物の総質量に基づいて、約2質量%~約5質量%の量で上記樹脂組成物中に存在してもよい。
【0047】
製造方法
上記樹脂組成物は、上記ポリマー成分、例えば、ポリエチレンと、ポリプロピレンを、上記相溶化剤と他の任意の添加剤と配合することを含む方法によって製造することができる。
ある実施態様においては、上記方法は、ポリプロピレンとポリエチレンを含むリサイクルされた混合ポリオレフィン供給材料を準備すること、上記リサイクルされた混合ポリオレフィン供給材料をポリエチレンおよび/またはポリプロピレンの他の供給源と組合わせてもよいこと、および配合することを含む。
ポリエチレン、ポリプロピレンおよび他の任意のポリオレフィン源の相対量は、本明細書に記載の樹脂組成物を生成するように選択することができる。
ある実施態様においては、上記方法は、相溶化剤を調製、準備または入手すること、および異なるポリマータイプの混合物と配合することを含む。上記相溶化剤は、本明細書に記載されるように、上記無機粒子材料を上記表面処理剤/カップリング剤と適切な量で、約80℃以下の温度で混合することによって調製することができる。
ある実施態様においては、上記樹脂組成物は、上記樹脂組成物と相溶化剤の配合前または配合中に添加され得る第2の充填剤成分および/または耐衝撃性改良剤(例えばrSBS)および/または酸化防止剤を含む。
【0048】
配合自体は、ポリマー処理および製造の当業者に周知の技術である。当該分野では、成分が溶融する温度より低い温度で行われる混和または混合プロセスとは配合が異なることが理解される。
配合は、二軸スクリューコンパウンダー、例えば、Baker Perkins 25mm二軸スクリューコンパウンダーを使用して行うことができる。上記ポリマーと相溶化剤と他の任意の添加剤は、予備混合され、単一のホッパーから供給されてもよい。あるいは、少なくとも上記ポリマーと相溶化剤を別々のホッパーから供給してもよい。得られた溶融物を、例えば水浴中で冷却し、次いでペレット化することができる。ある実施態様においては、配合中の温度は、上記相溶化剤が調製される温度と比較して上昇する。ある実施態様においては、化合物中の温度は、約150~250℃、例えば約160~240℃、または約170~230℃、または約170~220℃、または約170~220℃、または約200℃~250℃の範囲である。ある実施態様においては、配合中の温度は、上記ポリオレフィン(例えば、リサイクルされたポリオレフィン)の熱機械的分解を引き起こし、表面処理された無機粒子材料と反応させるのに充分なマクロラジカルフラグメントを生成するのに充分な温度である。
【0049】
この配合した組成物は、滑り助剤(例えば、Erucamide)、加工助剤(例えば、Polybatch(登録商標)AMF-705)、離型剤および酸化防止剤のような追加成分をさらに含んでもよい。適切な離型剤は、当業者には容易に明らかであり、脂肪酸および脂肪酸の亜鉛塩、カルシウム塩、マグネシウム塩およびリチウム塩および有機リン酸エステルが含まれる。個々の例は、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、オレイン酸カルシウムおよびパルミチン酸亜鉛である。滑り助剤および加工助剤、および離型剤は、マスターバッチの質量に基づいて約5質量%未満の量で添加してもよい。
【0050】
他の実施態様
ある実施態様においては、上記樹脂組成物は、24質量%のポリプロピレンを含まない。
ある実施態様においては、上記樹脂組成物は、56質量%のHDPEを含まない。
ある実施態様においては、上記樹脂組成物は、24質量%のポリプロピレンおよび56質量%のポリプロピレンを含まない。
ある実施態様においては、上記樹脂組成物は、20質量%の表面処理炭酸カルシウムを含まず、上記炭酸カルシウムは0.8μmのd50を有する粉砕炭酸カルシウムであってもよく、かつ/または上記炭酸カルシウムに適用される式(1)に従う表面処理量を計算して、表面上に単層被覆を与えてもよい。
ある実施態様においては、上記樹脂組成物は、組成物Aとして指摘されるポリマー組成物でない。組成物Aは、20質量%の表面処理炭酸カルシウムと、56質量%のHDPEと、24質量%のポリプロピレンを含むポリマー組成物であり、
(i)上記表面処理炭酸カルシウムは、式(1)に従うカップリング調整剤でコーティングされた粉砕炭酸カルシウム(d50 = 0.8μm)であり、上記炭酸カルシウムに適用される表面処理量を計算して、表面上に単層被覆を与え、
(ii)上記組成物は、Baker Perkins 25mm二軸スクリューコンパウンダーを使用して調製され、かつ
(iii)上記HDPEとPPは、射出成形材料に由来するHDPEとPPを含むリサイクルされた混合ポリオレフィン供給材料からのものである。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂は、ポリマー繊維の形態ではない。
ある実施態様においては、上記物品はポリマー繊維ではない。
【0051】
製造物品
本明細書で定義される本発明の上記ポリマー樹脂は、上記ポリマー樹脂の射出成形により物品を製造するために使用され得る。ある実施態様においては、本発明は、本明細書で定義される本発明の上記ポリマー樹脂から物品を射出成形することを含む、射出成形による物品の製造方法に関する。
本発明に従って物品を調製するのに適した任意の既知の射出成形方法を使用することができる。ある実施態様においては、Arburg Allrounder 320Mを使用して射出成形物品を調製し、その後、成形品を23℃、相対湿度50%で最低40時間コンディショニングすることができる。
ある実施態様においては、上記物品は、持ち運びのできる廃棄物容器またはごみ容器、例えば、ウィリービン、またはその構成要素の一部である。
ある実施態様においては、上記製造物品はプラスチックパレットである。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品および/または(ii)上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品と比較して異なるおよび/または改善された機械的性質を有する。
【0052】
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、下記の1つ以上を有する:
a)(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品および/または(ii)上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品と比較してタイガーストライブが減少しているかまたはタイガーストライブを含まない;
b)曲げ弾性率が、ISO 178に従って測定した場合、上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品よりも大きい;
c)曲げ弾性率が、ISO 178に従って測定した場合、少なくとも約900MPa、例えば約900MPa~約1200MPaを有する;
d)衝撃強度が、ISO 180に従って23℃±2℃でのアイゾットノッチ付き衝撃試験で測定した場合、上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品よりも大きい;
e)衝撃強度が(i)ISO 180に従って23℃±2℃でのアイゾットノッチ付き衝撃試験で測定した場合、上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品よりも大きくかつ/または曲げ弾性率が(ii)ISO 178に従って測定した場合、上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品よりも大きい;
f)衝撃強度が、ISO 180に従って23℃±2℃でのアイゾットノッチ付き衝撃試験で測定した場合、少なくとも約4.0kJ/m2、例えば約4.0kJ/m2~約20kJ/m2を有する。
【0053】
ある実施態様においては、本明細書で定義した上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品および/または(ii)上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品と比較して、タイガーストライプが減少したか、またはタイガーストライプを含まない。
射出成形プラスチックは、しばしば長い流動長を伴う場合、タイガーストライプと呼ばれる目に見える欠陥を示すことがある。従って、「タイガーストライプ」という用語は、射出成形物品の表面上に見えるバンドの形態で存在する欠陥を意味する。そのストライプは、不安定な流動前面のために、例えば不混和性ポリマー樹脂の不充分な結合のために、上記射出成形物品の表面上に存在する典型的には交互のバンド、例えば、明るいバンドと暗いバンドまたは光沢のあるバンドと鈍いバンドである。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記相溶化剤は、(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品および/または(ii)上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品と比較して、タイガーストライプを排除するかまたはタイガーストライプを減少させるために、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂を射出成形することによる物品の製造において使用することができる。
【0054】
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記相溶化剤は、(i)射出成形により上記ポリマー樹脂から製造される物品のタイガーストライプの発生を排除するか、または(ii)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂から製造される物品および/または上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品と比較して、タイガーストライプの発生を減少させるために、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂において使用することができる。
ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂の射出成形による物品の製造における本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の使用は、タイガーストライプの目に見える存在を少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも90%、または少なくとも99%減少させることができる。ある実施態様においては、上記ポリマー樹脂の射出成形による物品の製造における本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の使用は、その製造された物品におけるタイガーストライプの目に見える存在を排除することができる。
ある実施態様においては、本明細書で定義されるように製造された上記物品は、(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂から製造される物品および/または(ii)相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品と比較して、タイガーストライプ特性の改善、例えば、目に見えるタイガーストライプ特性の改善を有し得る。ある実施態様においては、本明細書で定義されるように製造された上記物品は、(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂から製造される物品または(ii)上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品と比較して、タイガーストライプの目に見える減少、例えばタイガーストライプの数の減少または目に見えるタイガーストライプが少ないことがあり得る。
【0055】
タイガーストライプの存在による上記ポリマー樹脂中の上記相溶化剤の効果は、
図1および
図2において視覚的に見ることができる。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造された上記物品は、ISO 178に従って測定した場合、上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー樹脂から製造される物品よりも大きい曲げ弾性率を有する。
ある実施態様においては、本明細書で定義されるポリマー樹脂の射出成形により製造された上記物品は、少なくとも約880MPa、例えば少なくとも約900MPa、または少なくとも約925MPa、または少なくとも約950MPaの曲げ弾性率を有する。ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、約900~約1200MPa、例えば約925~約1175MPaの曲げ弾性率を有する。
ある実施態様においては、本明細書で定義されるポリマー樹脂の射出成形によって製造される物品は、上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品と比較して、少なくとも約2%以上、例えば少なくとも約5%以上、または少なくとも約10%以上の曲げ弾性率を有する。ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品と比較して、少なくとも約50MPa以上、例えば少なくとも約75MPa以上、または少なくとも約85MPa以上の曲げ弾性率を有する。
【0056】
ある実施態様においては、本明細書で定義されるポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品に匹敵する曲げ弾性率を有し、例えば、上記曲げ弾性率は上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品よりも10%以下であり得る。ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品と比較して大きな曲げ弾性率を有する。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される物品は、(i)ISO 180に従って23℃±2℃でのアイゾットノッチ付き衝撃試験に従って測定した場合、上記相溶化剤を含まないポリマー樹脂を含む物品に匹敵するか、またはそれより大きい曲げ弾性率、および/または(ii)ISO 178に従って測定した場合、上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品より大きい曲げ弾性率を有する。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、ISO 180に従って23℃±2℃でのアイゾットノッチ付き衝撃試験で測定した場合、上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品より大きい衝撃強度を有する。
【0057】
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品と比較して、少なくとも0.1kJ/m2大きい、例えば少なくとも0.2kJ/m2大きい、または少なくとも0.5kJ/m2大きい、少なくとも1kJ/m2大きい、または少なくとも1.3kJ/m2大きい衝撃強度を有する。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品と比較して、少なくとも1%以上、例えば少なくとも3%以上、または少なくとも5%以上、または少なくとも10%以上、または少なくとも25%以上である衝撃強度を有する。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、少なくとも約4.0kJ/m2、例えば少なくとも約4.2kJ/m2、例えば少なくとも約5.0kJ/m2、または例えば少なくとも約6.0kJ/m2、例えば約4.2kJ/m2~約20kJ/m2、例えば約4.2kJ/m2~約10kJ/m2、約4.2kJ/m2~約7.0kJ/m2、または約5.0kJ/m2~約7.0kJ/m2、または約6.0kJ/m2~約7.0kJ/m2の衝撃強度を有する。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、上記相溶化剤がポリマーベース相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品に匹敵する衝撃強度を有する。ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造された上記物品は、上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー上記樹脂から製造される物品と比較して、約50%以下、例えば約40%以下、または約30%以下である衝撃強度を有する。
【0058】
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される物品は、(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品よりも大きい衝撃強度を有し、かつ/または(ii)上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品に匹敵する衝撃強度を有する。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、(i)ISO 180に従って23℃±2℃でのアイゾットノッチ付き衝撃試験に従って測定した場合、上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品よりも大きい衝撃強度を有し、かつ/または(ii)ISO 178に従って測定した場合、上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー樹脂から製造される物品よりも大きい曲げ弾性率を有する。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形によって製造される上記物品は、少なくとも約4.0kJ/m2の衝撃強度と少なくとも約900MPaの曲げ弾性率を有し、例えば少なくとも約4.3kJ/m2の衝撃強度と少なくとも約950MPaの曲げ弾性率を有する。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形によって製造される上記物品は、約4kJ/m2~約7kJ/m2の衝撃強度と約900MPa~約1200MPaの曲げ弾性率、例えば、約4.3kJ/m2~約6.5kJ/m2の衝撃強度と約950MPa~約1175MPaの曲げ弾性率を有する。
【0059】
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品よりも少なくとも0.1kJ/m2大きい、例えば少なくとも0.2kJ/m2大きい衝撃強度、および/または(ii)上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品よりも少なくとも50MPa大きい、例えば少なくとも80MPa大きい曲げ弾性率を有する。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品よりも大きい、例えば少なくとも0.1kJ/m2大きい、または少なくとも0.2kJ/m2大きい衝撃強度および/または上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂に匹敵する、例えばそれよりも10%以下であるか、またはそれよりも大きい曲げ弾性率を有する。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記ポリマー樹脂の射出成形により製造される上記物品は、上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品に匹敵する、例えばそれよりも50%以下、または30%以下である衝撃強度および/または上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品よりも大きい曲げ弾性率を有する。
ある実施態様においては、本発明に従って製造された物品は、(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品および/または(ii)上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品と比較して、衝撃強度と曲げ弾性率の特性が改善されたバランス、例えば衝撃強度と曲げ弾性率の特性の最適なバランスを有する。
【0060】
ある実施態様においては、その製造された物品は、持ち運びのできる廃棄物容器またはごみ容器、例えば、ウィリービン、またはその一部もしくは構成要素であり、上記物品は、(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を含む物品および/または(ii)上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた上記ポリマー樹脂から製造される物品と比較して、その製造された物品の衝撃強度と曲げ弾性率の特性が改善されたバランス、最適であってもよいバランスを有する。
物品の上記衝撃強度特性は物品の靭性に対応し、すなわち物品の衝撃強度が大きいほどその靭性は大きい。
物品の曲げ弾性率特性は、物品の剛性に対応し、すなわち、物品の曲げ弾性率が大きいほど、その剛性は大きい。
持ち運びのできる廃棄物容器またはごみ容器のような物品、例えば、ウィリービンは、最適な性能と特性のために、靭性と剛性の特性のバランスを必要とする。
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記相溶化剤は、物品において使用することができ、上記物品は上記相溶化剤を含む本明細書で定義されるポリマー樹脂を射出成形することにより製造されて、
(A)(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品、または(ii)上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品と比較して優れた靭性と剛性のバランスを与えるか、または
(B)上記物品の靭性と剛性との間のバランスを最適化する。
【0061】
ある実施態様においては、本明細書で定義される上記相溶化剤は、本明細書で定義されるポリマー樹脂において使用され、そこから物品が射出成形によって製造されて、
(A)(i)上記相溶化剤を含まない上記ポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品、または(ii)上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品と比較して優れた靭性と剛性のバランスを与えるか、または
(B)上記物品の靭性と剛性との間のバランスを最適化する。
ある実施態様においては、射出成形によって上記ポリマー樹脂から製造される物品は、ISO 527-2に従って測定した場合、引張弾性率および/または降伏点引張応力を有し、これは、上記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー樹脂から製造される物品よりも大きい。
ある実施態様においては、上記ポリマーベースの相溶化剤はコポリマーである。ある実施態様においては、上記ポリマーベースの相溶化剤は、ポリプロピレンベースのオレフィンブロックコポリマーである。
本明細書で定義される本発明の上記ポリマー樹脂は、射出成形以外の技術、例えば上記ポリマー樹脂の押出成形により物品を製造するために使用することができる。
【実施例】
【0062】
実施例1
下記の表1に示すように、各々が2種類のHDPEとポリプロピレン(PP)の混合物を含む7種のポリマー樹脂を調製した。全てのポリマー樹脂は、Coperion ZSK18二軸スクリュー押出機(直径18mm)との溶融混合によって調製した。スクリュー速度は800rpmに、供給速度は8.0kg/時間に設定した。高温押出物を直ちに水中で急冷し、ペレット化した。試料Aおよび1は、表面処理された無機粒子材料なしで調製されたため、比較例である。
【0063】
表1.
【表1】
HDPE 1は3.3のMFI(g/10分、190℃で2.16kg)を有し;HDPE 2は4.6のMFI(g/10分、190℃で2.16kg)を有し;PPは6.4のMFI(g/10分、190℃で2.16kg)を有する。
【0064】
実施例2
7種のポリマー樹脂試料のメルトフローインデックス(MFI)特性を試験した。MFIは、一定の圧力がピストンを介して溶融物に加えられ、190℃と230℃の溶融ブレンド温度で全質量2.16kgの荷重が加えられたときに10分間で生じる出力速度(グラム)である。MFIをISO 1133に従って試験した。上記ポリマー樹脂試料1~7のMFI特性を下記の表2に示す。
【0065】
【0066】
実施例3
Arburg Allrounder 320Mを使用して実施例1で調製した7種のポリマー樹脂から射出成形試料を調製し、プラクティスD618の手順A(40/23/50)に従って成形品を試験前に23℃および相対湿度50%で最低40時間コンディショニングした。
各射出成形された試料は、その後、下記の機械的特性試験を受けた。
曲げ試験:
ISO 178に従って、Tinius Olsen Benchtop曲げ試験を使用して室温で曲げ試験を行った。その曲げ試験結果を下記の表3に示す。
引張試験:
Tinius Olsen Benchtop引張試験機を使用して室温で引張試験を行い、示された結果は、ISO 527-2に従って、各ブレンドについて平均8回の測定に対応する。下記の表3は、各射出成形した試料の降伏点引張応力(MPa)と引張弾性率(MPa)を示す。
衝撃試験:
シャルピーノッチ付き衝撃試験は、ISO 179に従って、Instron Ceast 9340落錘衝撃試験機を使用して-20±2℃および23±2℃で行うことができる。アイゾットノッチ付き衝撃試験は、ISO 180に従って、23℃±2で行った。下記の表3に示され結果は、各ブレンドに対する完全な破断測定値の平均に対応する。
【0067】
表3.
【表3】
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕射出成形により物品を製造する方法であって、該方法がポリマー樹脂から物品を射出成形することを含み、前記ポリマー樹脂が異なるタイプのリサイクルされたポリマーと、無機粒子材料及び前記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含む相溶化剤とを含み、前記ポリマー樹脂が3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有する、前記方法。
〔2〕相溶化剤を含むポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品における、タイガーストライプを排除するか、または前記相溶化剤を欠いた前記ポリマー樹脂を含む物品と比較しておよび/または前記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品と比較してタイガーストライプを減少させるための前記相溶化剤の使用であって、前記相溶化剤が、無機粒子材料と前記無機粒子材料の表面上の表面処理剤とを含み、前記ポリマー樹脂が、異なるタイプのリサイクルされたポリマーを含み、前記相溶化剤を含む前記ポリマー樹脂が、3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有する、前記使用。
〔3〕ポリマー樹脂における、相溶化剤の、(i)前記ポリマー樹脂から射出成形により製造される物品におけるタイガーストライプの発生を排除するか、または(ii)前記相溶化剤を欠いた前記ポリマー樹脂から製造される物品と比較しておよび/または前記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品と比較してタイガーストライプの発生を減少させるための使用であって、前記相溶化剤が、無機粒子材料と前記無機粒子材料の表面上の表面処理剤とを含み、前記ポリマー樹脂が、異なるタイプのリサイクルされたポリマーを含み、前記相溶化剤を含む前記ポリマー樹脂が、3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有する、前記使用。
〔4〕相溶化剤を含むポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品における、
(A)(i)前記相溶化剤を欠いた前記ポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品、もしくは(ii)前記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品と比較して優れた靱性と剛性のバランスを与えるか、または
(B)前記物品の靱性と剛性の間のバランスを最適化する、
ための前記相溶化剤の使用であって、
前記相溶化剤が、無機粒子材料と前記無機粒子材料の表面上の表面処理剤とを含み、前記ポリマー樹脂が、異なるタイプのリサイクルされたポリマーを含み、前記相溶化剤を含む前記ポリマー樹脂が、3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有する、前記使用。
〔5〕射出成形されることにより物品を製造するポリマー樹脂における、相溶化剤の使用であって、
(A)(i)前記相溶化剤を欠いた前記ポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品、もしくは(ii)前記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられたポリマー樹脂を射出成形することにより製造される物品と比較して優れた靱性と剛性のバランスを与えるか、または
(B)前記物品の靱性と剛性の間のバランスを最適化する、
ための前記使用であり、
前記相溶化剤が、無機粒子材料と前記無機粒子材料の表面上の表面処理剤とを含み、前記ポリマー樹脂が、異なるタイプのリサイクルされたポリマーを含み、前記相溶化剤を含む前記ポリマー樹脂が、3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有する、前記使用。
〔6〕前記ポリマー樹脂が、ポリエチレンとポリプロピレン、または異なるタイプのポリエチレン(例えば、HDPE、LDPEおよび/またはLLDPE)とポリプロピレンの混合物、または異なるタイプのHDPEとポリプロピレンの混合物を含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項記載の方法または使用。
〔7〕前記ポリマー樹脂が、ポリプロピレンを約90質量%以下、例えば約40質量%以下の量で含む、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項記載の方法または使用。
〔8〕前記ポリマー樹脂が、ポリエチレンを少なくとも約10質量%、例えば少なくとも約60質量%の量で含む、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項記載の方法または使用。
〔9〕前記ポリマー樹脂が、バージンポリマーを含まない、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項記載の方法または使用。
〔10〕前記ポリマー樹脂が、耐衝撃性改良剤を、例えば、約10質量%未満、例えば約1質量%~約7.5質量%、または約1.5質量%~約3.0質量%の量でさらに含む、前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の方法または使用。
〔11〕前記相溶化剤が、約5質量%~約20質量%、例えば約8質量%~約12質量%の量で存在する、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項記載の方法または使用。
〔12〕前記無機粒子が、約2.5μm以下、例えば約1.0μm以下または約0.75μm以下のd
50
を有する、前記〔1〕~〔11〕のいずれか1項記載の方法または使用。
〔13〕前記表面処理剤が、式(1)を有する化合物を含むかまたはその化合物である、前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項記載の方法または使用:
A-(X-Y-CO)
m
(O-B-CO)
n
OH (1)
(式中、
Aは、1個または2個の隣接するカルボニル基を有する末端エチレン結合を含有する部分であり;
Xは、Oであり、かつmは1~4であるか、またはXは、Nであり、かつmは1であり;
Yは、C
1-18
-アルキレンまたはC
2-18
-アルケニレンであり;
Bは、C
2-6
-アルキレンであり;nは、0~5である;
ただし、Aが前記エチレン基に隣接する2個のカルボニル基を含有する場合、XはNである)。
〔14〕前記化合物が、β-カルボキシエチルアクリレート、β-カルボキシヘキシルマレイミド、10-カルボキシデシルマレイミド、5-カルボキシペンチルマレイミドおよびβ-アクリロイルオキシプロパン酸から選択される、前記〔13〕記載の方法または使用。
〔15〕前記相溶化剤が、無機粒子材料と前記粒子の表面上の有機リンカーを含み、前記有機リンカーが酸素含有酸官能性を有し、前記有機リンカーが有機酸の塩基形態である、前記〔1〕~〔14〕のいずれか1項記載の方法又は使用。
〔16〕前記無機粒子が、炭酸カルシウム、例えば、粉砕炭酸カルシウムである、前記〔1〕~〔15〕のいずれか1項記載の方法又は使用。
〔17〕前記ポリマー樹脂が、酸化防止剤を約5質量%未満、例えば約1質量%未満の量でさらに含む、前記〔1〕~〔16〕のいずれか1項記載の方法または使用。
〔18〕前記物品が、持ち運びのできる廃棄物容器またはごみ容器、例えば、ウィリービン、またはその一部もしくは構成要素である、前記〔1〕~〔17〕のいずれか1項記載の方法または使用。
〔19〕射出成形による物品の製造に使用するのに適したポリマー樹脂であって、前記ポリマー樹脂が、異なるリサイクルされたポリマーの混合物と、前記ポリマー樹脂の総質量に基づいて、約5質量%~約20質量%の、無機粒子材料及び前記無機粒子材料の表面上の表面処理剤を含む相溶化剤とを含み、前記ポリマー樹脂が、3.0g/10分以上の2.16kg/190℃でのMFIを有し、前記ポリマー樹脂が、ポリマー組成の総質量に基づいて、少なくとも約50質量%のリサイクルされたポリエチレンと、前記ポリマー樹脂の総質量に基づいて、約10質量%~約30質量%のリサイクルされたポリプロピレンを含む、前記ポリマー樹脂。
〔20〕耐衝撃性改良剤を、例えば、前記ポリマー樹脂の総質量に基づいて、約10質量%未満、例えば約1.0質量%~約7.5質量%の量でさらに含む、前記〔19〕記載のポリマー樹脂。
〔21〕酸化防止剤を、例えば、前記ポリマー樹脂の総質量に基づいて、約5質量%未満、例えば約0.1質量%~約1.0質量%の量でさらに含む、前記〔19〕または〔20〕記載のポリマー樹脂。
〔22〕前記無機粒子材料が、約2.5μm以下、例えば約1.0μm以下、または約0.75μm以下のd
50
を有する、前記〔19〕~〔21〕いずれか1項記載のポリマー樹脂。
〔23〕前記表面処理剤が、式(1)を有する化合物を含むかまたはその化合物である、前記〔19〕~〔22〕いずれか1項記載のポリマー樹脂:
A-(X-Y-CO)
m
(O-B-CO)
n
OH (1)
(式中、
Aは、1個または2個の隣接するカルボニル基を有する末端エチレン結合を含有する部分であり;
Xは、Oであり、かつmは1~4であるか、またはXは、Nであり、かつmは1であり;
Yは、C
1-18
-アルキレンまたはC
2-18
-アルケニレンであり;
Bは、C
2-6
-アルキレンであり;nは、0~5である;
ただし、Aが前記エチレン基に隣接する2個のカルボニル基を含有する場合、XはNである)。
〔24〕前記化合物が、β-カルボキシエチルアクリレート、β-カルボキシヘキシルマレイミド、10-カルボキシデシルマレイミド、5-カルボキシペンチルマレイミドおよびβ-アクリロイルオキシプロパン酸から選択される、前記〔23〕記載のポリマー樹脂。
〔25〕前記相溶化剤が、無機粒子材料と前記粒子の表面上の有機リンカーを含み、前記有機リンカーが酸素含有酸官能性を有し、前記有機リンカーが有機酸の塩基形態である、前記〔19〕~〔24〕のいずれか1項記載のポリマー樹脂。
〔26〕前記無機粒子が、炭酸カルシウム、例えば粉砕炭酸カルシウムである、前記〔19〕~〔25〕のいずれか1項記載のポリマー樹脂。
〔27〕前記〔19〕~〔26〕のいずれか1項記載のポリマー樹脂を射出成形することにより製造されるか、または前記〔1〕~〔18〕のいずれか1項記載の方法によって得ることができる物品。
〔28〕下記のうちの1つ以上を有する、前記〔27〕記載の物品:
a)(i)前記相溶化剤を欠いた前記ポリマー樹脂を含む物品、および/または(ii)前記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた前記ポリマー樹脂組成物から製造される物品と比較して、減少したタイガーストライプ、またはタイガーストライプを含まない;
b)ISO 178に従って測定した場合、 前記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた前記ポリマー樹脂から製造される物品よりも大きい曲げ弾性率;
c)ISO 178に従って測定した場合、少なくとも約900MPa、例えば約900MPa~約1200MPaの曲げ弾性率;
d)ISO 180に従って23℃±2℃でのアイゾットノッチ付き衝撃試験に従って測定した場合、前記相溶化剤を欠いた前記ポリマー樹脂を含む物品よりも大きい衝撃強度;
e)(i)ISO 180に従って23℃±2℃でのアイゾットノッチ付き衝撃試験に従って測定した場合、前記相溶化剤を欠いた前記ポリマー樹脂を含む物品よりも大きい衝撃強度、および/または(ii)ISO 178に従って測定した場合、前記相溶化剤がポリマーベースの相溶化剤に置き換えられた前記ポリマー樹脂から製造される物品よりも大きい曲げ弾性率;
f)ISO 180に従って23℃±2℃でのアイゾットノッチ付き衝撃試験で測定した場合、少なくとも約4.0kJ/m
2
、例えば約4.0kJ/m
2
~約20kJ/m
2
の衝撃強度。
〔29〕前記物品が、持ち運びのできる廃棄物容器またはごみ容器、例えば、ウィリービン、またはその一部もしくは構成要素である、前記〔27〕または〔28〕記載の物品。