(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/48 20060101AFI20221108BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20221108BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20221108BHJP
H01Q 1/42 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
H01Q1/48
H01Q1/24 Z
H01Q1/38
H01Q1/42
(21)【出願番号】P 2019007872
(22)【出願日】2019-01-21
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】398058588
【氏名又は名称】Dynabook株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】平田 光
(72)【発明者】
【氏名】宮本 智史
(72)【発明者】
【氏名】小出 慎吾
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-045810(JP,A)
【文献】特開2019-009550(JP,A)
【文献】登録実用新案第3210429(JP,U)
【文献】特開2004-254148(JP,A)
【文献】特開平07-176930(JP,A)
【文献】特開2007-194767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/48
H01Q 1/24
H01Q 1/38
H01Q 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を夫々備え、接触状態で配置された第1基部と第2基部と、を備えた筐体と、
アンテナエレメントと、
アンテナグランドと、
少なくとも前記アンテナグランドが形成されたアンテナ基板と、
前記第1基部と前記アンテナグランドとの間に位置し、導電性を備えたガスケットと、
前記ガスケットが前記第1基部と前記アンテナグランドとに接触した状態で、前記第2基部と前記アンテナグランドとを導通可能に固定する固定部材と、
を有する電子機器。
【請求項2】
前記第2基部は、前記第1基部よりも、前記筐体の面から前記アンテナグランドの側に向かって突出している、請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
電波を透過させる材質からなり、前記アンテナ基板を覆うカバーを更に有し、
前記カバーは、前記アンテナ基板を支持しつつ、前記筐体に取り付けられる、請求項1又は請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記アンテナエレメントの共振周波数が、2.4GHz帯以上である、請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の電子機器。
【請求項5】
前記アンテナグランドには、前記固定部材を挿通させる挿通孔が形成され、
前記アンテナグランド上において、通信用ケーブルが前記アンテナグランドにグランド接続された部分から前記挿通孔までの距離よりも、前記グランド接続された部分から前記ガスケットまでの距離の方が短い、請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2基部は、前記第1基部よりも突出した円筒形状を有し、かつその内側にネジ孔が形成され、
前記第1基部は、直方体形状を有し、
前記カバーは、前記アンテナ基板を支持する支持部を有しており、かつその支持部には前記固定部材が挿通する孔部を有し、
前記アンテナ基板は、前記第2基部と接触する位置に前記固定部材が挿通する孔部を有し、
前記固定部材は、前記支持部の孔部と前記アンテナ基板の孔部を挿通して、前記第2基部のネジ孔に締結するネジからなる請求項3に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に通信用のアンテナを設ける技術が知られている。例えば、板金部材によって構成したアンテナ給電部材をリアケース部材に嵌合させて固定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡便な構成によって量産バラつきの小さいアンテナ性能を得ることができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る電子機器は、筐体と、アンテナエレメントと、アンテナグランドと、アンテナ基板と、ガスケットと、固定部材と、を有する。前記筐体は、導電性を夫々備え、接触状態で配置された第1基部と第2基部と、を備えている。前記アンテナ基板は、少なくとも前記アンテナグランドが形成されている。前記ガスケットは、前記第1基部と前記アンテナグランドとの間に位置し、導電性を備えている。前記固定部材は、前記ガスケットが前記第1基部と前記アンテナグランドとに接触した状態で、前記第2基部と前記アンテナグランドとを導通可能に固定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態のノートパソコン100を示す斜視図である。
【
図2】
図1のノートパソコン100を下方から示す斜視図である。
【
図3】
図2のノートパソコン100の構成部材の一部を分解して示す斜視図である。
【
図4】
図3のノートパソコン100の領域F4の構成部材の一部を示す斜視図である。
【
図5】
図4の構成部材のうちアンテナ基板152を裏返した斜視図である。
【
図6】
図4の構成部材を組み立てた状態において方向線F6に沿った断面で示す斜視図である。
【
図8】
図4の構成部材を組み立てた状態において方向線F8に沿った断面で示す斜視図である。
【
図10】実施形態の変形例1のノートパソコンの要部を示す斜視図である。
【
図11】実施形態の変形例2のノートパソコンの要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。図面において、ノートパソコン100の横幅方向X、奥行方向Y及び高さ方向Zを矢印で示している。
【0008】
図1から
図9を参照して、実施形態のノートパソコン100の構成を説明する。
【0009】
ノートパソコン100(請求項では電子機器と称する)は、演算ユニット110、入出力ユニット120、表示ユニット130、電源ユニット140、無線通信ユニット150及び筐体ユニット160を含んでいる。ノートパソコン100の演算ユニット110から筐体ユニット160について順に説明する。
【0010】
演算ユニット110は、演算を行うユニットである。演算ユニット110は、
図3に示すように、マザーボード111を含んでいる。マザーボード111は、システム基板に相当する。マザーボード111は、ROM(Read Only Memory)、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)等を実装した基板から構成され、CPU等を冷却する冷却ファン等が取り付けられている。
【0011】
入出力ユニット120は、ユーザによってデータの入出力の操作が行われるユニットである。入出力ユニット120は、
図1及び
図3に示すように、電源ボタン121、キーボード122、タッチパッド123及び図示せぬ入出力端子を含んでいる。電源ボタン121は、ノートパソコン100の起動スイッチであり、マザーボード111に接続されている。キーボード122は、機械式の複数のキーから構成され、マザーボード111に接続されている。タッチパッド123は、指先による静電容量の変化を検出する静電容量方式のセンサーから構成され、マザーボード111に接続されている。入出力端子は、例えば、USB(Universal Serial Bus(ユニバーサル・シリアル・バス))端子から構成されている。
【0012】
表示ユニット130は、演算ユニット110を介して、情報を表示するユニットである。表示ユニット130は、
図1から
図3に示すように、LCD131を含んでいる。LCD131は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display)である。表示ユニット130は、液晶ディスプレイに限定されることなく、例えば、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイや、壁面に映像を投影する投影機等によって構成してもよい。
【0013】
電源ユニット140は、演算ユニット110等に電力を供給するユニットである。電源ユニット140は、
図3に示すように、バッテリー141を含んでいる。バッテリー141は、繰り返し充電可能なリチウムイオン二次電池等から構成され、外部の電源からACアダプターを介して充電される。
【0014】
無線通信ユニット150は、演算ユニット110を介して、外部の機器と無線通信を行うユニットである。無線通信ユニット150は、
図3から
図9に示すように、無線モジュール151、第1アンテナ基板152、第2アンテナ基板153、アンテナエレメント154、アンテナグランド155、同軸ケーブル156、ガスケット157及びネジ158を含んでいる。
【0015】
無線モジュール151は、
図3に示すように、マザーボード111に接続されている。無線モジュール151は、通信機能を担い、マザーボード111とのインターフェース(interface:I/F)及びアンテナコネクタ等と備えている。
【0016】
第1アンテナ基板152(請求項ではアンテナ基板と称する)は、
図3から
図9に示すように、絶縁性を備え、板形状からなる。第1アンテナ基板152には、ネジ158を通すネジ挿通孔152aが形成されている。
【0017】
第2アンテナ基板153(請求項ではアンテナ基板と称する)は、
図3に示すように、第1アンテナ基板152と同様の構成であるが、第1アンテナ基板152と横幅方向Xにおいて左右対称に位置している。このため、第2アンテナ基板153のネジ孔は、第1アンテナ基板152のネジ挿通孔152aと左右対称に形成されている。
【0018】
アンテナエレメント154は、
図5及び
図6に示すように、第1アンテナ基板152に形成されている。アンテナエレメント154の共振周波数は、例えば、2.4GHz帯以上である。アンテナエレメント154は、第2アンテナ基板153にも取り付けられている。
【0019】
アンテナグランド155は、
図5から
図9に示すように、アンテナエレメント154と隣り合うように、第1アンテナ基板152に形成されている。アンテナグランド155には、
図5に示すように、第1アンテナ基板152のネジ挿通孔152aと位置を合わせて、ネジ158を通すネジ挿通孔155aが形成されている。アンテナグランド155は、第2アンテナ基板153にも取り付けられている。
【0020】
同軸ケーブル156(請求項では通信用ケーブルと称する)は、
図3、
図4、
図5、
図7及び
図9に示すように、アンテナエレメント154とアンテナグランド155に取り付けられている。同軸ケーブル156は、
図5に示すように、内部導体156aがアンテナエレメント154に接合され、外部導体156bがアンテナグランド155に接合されている。同軸ケーブル156は、無線モジュール151に接続されている。同軸ケーブル156は、第2アンテナ基板153にも取り付けられている。
【0021】
ガスケット157は、
図4、
図5、
図8及び
図9に示すように、アンテナグランド155に取り付けられている。ガスケット157は、導電性及び伸縮性を備え、板形状からなる。ガスケット157は、押圧されると縮まり、高さ方向Zの上下において隣接する部材(アンテナグランド155及び後述する筐体ユニット160のトップカバー162のリブ162b)と密着する。ガスケット157は、アンテナグランド155をトップカバー162に導通させる。ガスケット157は、
図5に示すように、アンテナグランド155のネジ挿通孔155aと、同軸ケーブル156の外部導体156bがアンテナグランド155に半田接合された部分の間に、存在する。アンテナグランド155のネジ挿通孔155aと同軸ケーブル156の外部導体156bがアンテナグランド155に半田接合された部分までの距離が、ガスケット157と同軸ケーブル156の外部導体156bがアンテナグランド155に半田接合された部分までの距離よりも、長い。ガスケット157は、第2アンテナ基板153のアンテナグランドにも取り付けられている。
【0022】
ネジ158(請求項では固定部材と称する)は、
図3から
図9に示すように、筐体ユニット160に対して第1アンテナ基板152を固定しつつアンテナグランド155を導通させるものである。第1アンテナ基板152は、第1アンテナカバー163の支持部163aと、トップカバー162のネジボス162aの間に挟まれた状態において、ネジ158によってネジ留めされている。一方、ガスケット157は、第1アンテナ基板152及びアンテナグランド155を介して、第1アンテナカバー163の支持部163aと、トップカバー162のリブ162bの間に挟まれた状態において、アンテナグランド155とトップカバー162を導通させている。ネジ158によって、第2アンテナ基板153も、筐体ユニット160に固定しつつアンテナグランドを導通させている。
【0023】
筐体ユニット160は、演算ユニット110、入出力ユニット120、表示ユニット130、電源ユニット140、無線通信ユニット150を保持するユニットである。筐体ユニット160は、
図1から
図9に示すように、ボトムカバー161、トップカバー162、第1アンテナカバー163、第2アンテナカバー164、LCDカバー165、第1ヒンジ166及び第2ヒンジ167を含んでいる。
【0024】
ボトムカバー161は、
図1から
図3に示すように、演算ユニット110のマザーボード111及び電源ユニット140のバッテリー141等を下方から保持する。ボトムカバー161は、デスクに載置して使用するノートパソコン100の裏面に相当する。
【0025】
トップカバー162(請求項では筐体と称する)は、
図1から
図3に示すように、入出力ユニット120の電源ボタン121、キーボード122及びタッチパッド123を上方から保持する。トップカバー162は、デスクに載置して使用するノートパソコン100の表面に相当する。
【0026】
トップカバー162は、
図4から
図9に示すように、LCDカバー165と隣り合う外縁162cの横幅方向Xの両端に、ネジボス162a(請求項では第2基部と称する)が形成されている。ネジボス162aは、下方に突出した円柱形状からなり、中央にネジ孔が備えられている。
【0027】
トップカバー162において、
図4、
図5、
図8及び
図9に示すように、ネジボス162aと横幅方向Xの内側において接触状態で配置されるように、リブ162b(請求項では第1基部と称する)が形成されている。リブ162bは、下方に突出した長方体形状からなり、横幅方向Xに沿って延びている。リブ162bは、ネジボス162aと比較して、下方に対する全長が短い。換言すると、ネジボス162aは、リブ162bよりも、トップカバー162の面からアンテナグランド155の側に向かって突出している。トップカバー162は、ネジボス162a及びリブ162bを含めて、導電性を備えている。
【0028】
第1アンテナカバー163(請求項ではカバーと称する)は、
図1及び
図2に示すように、ボトムカバー161とトップカバー162が組み合わされた状態において、無線通信ユニット150の構成部材を覆っている。第1アンテナカバー163は、電波を透過させる、換言すると電波を輻射させるプラスチック等からなる。
【0029】
第1アンテナカバー163には、
図4から
図9に示すように、内部において水平方向(横幅方向X及び奥行方向Y)に延びた支持部163aが形成されている。支持部163aは、第1アンテナ基板152を支持している。支持部163aには、
図4等に示すように、第1アンテナ基板152に向かって突出した部分に、ネジ挿通孔163bが形成されている。支持部163aに形成されたネジ挿通孔163bの位置は、第1アンテナ基板152に形成されたネジ挿通孔152aの位置に対応している。第1アンテナカバー163は、第1アンテナ基板152を支持しつつ、トップカバー162に取り付けられている。
【0030】
第2アンテナカバー164(請求項ではカバーと称する)は、
図1から
図3に示すように、第1アンテナカバー163と同様の構成であるが、第1アンテナカバー163と横幅方向Xにおいて左右対称に構成されている。
【0031】
LCDカバー165は、
図1から
図3に示すように、表示ユニット130のLCD131を保持している。LCDカバー165は、ノートパソコン100を閉じた状態でLCD131とトップカバー162が対面するように、LCD131の表面を露出させている。
【0032】
第1ヒンジ166は、
図1から
図3に示すように、ボトムカバー161及びトップカバー162と、LCDカバー165を回転自在に連結する。第1ヒンジ166を介して、トップカバー162とLCDカバー165を離間及び接近させ、ノートパソコン100を開閉する。
【0033】
第2ヒンジ167は、
図1から
図3に示すように、第1ヒンジ166と同様の構成であるが、第1ヒンジ166と横幅方向Xにおいて左右対称に構成されている。第2ヒンジ167は、第1ヒンジ166と共に、ボトムカバー161及びトップカバー162と、LCDカバー165を連結する。
【0034】
図10を参照して、実施形態の変形例1のノートパソコン100の構成を説明する。
【0035】
実施形態の変形例1では、上記した実施形態と異なる構成のみ説明する。
図10に示す筐体ユニット260の第1アンテナカバー263は、
図6に示す第1アンテナカバー163から支持部163aを除いた構成に相当する。換言すると、
図10に示す第1アンテナカバー263は、
図6に示す第1アンテナカバー163を簡略化したものである。
図10に示す構成の場合、第1アンテナ基板152は、第1アンテナカバー263によって支持されることなく、トップカバー162のネジボス162aにネジ留めされる。
【0036】
図11を参照して、実施形態の変形例2のノートパソコン100の構成を説明する。
【0037】
実施形態の変形例2では、上記した実施形態と異なる構成のみ説明する。
図11に示す筐体ユニット360のトップカバー362は、
図9に示すトップカバー162からリブ162bを除き、かつ、ネジボス162aを高さ方向Zの全長が相対的に短いピンボス362cに代えたものである。第1アンテナカバー363の支持部363aとトップカバー362は、第1アンテナ基板152とアンテナグランド155を挟み込んだ状態において、無線通信ユニット350のピン358(請求項では固定部材と称する)によってピン留めされている。ガスケット157は、アンテナグランド155とトップカバー362の間に密着された状態で導通している。
【0038】
図1から
図11を参照して、実施形態のノートパソコン100の効果を説明する。
【0039】
実施形態によれば、ガスケット157がリブ162bとアンテナグランド155とに接触した状態で、ネジボス162aとアンテナグランド155をネジ158によって導通可能に固定する。このような構成にすることによって、ネジ158によってネジボス162aとアンテナグランド155を導通させつつ、更に、ガスケット157によってリブ162bとアンテナグランド155を導通させることで、トップカバー162とアンテナグランド155との高周波的接続が強化され、安定したアンテナ性能が確保できる。このように、ノートパソコン100は、上記の簡便な構成によって、量産バラつきの小さいアンテナ性能を得ることができる。
【0040】
ここで、実施形態の変形例2によれば、
図11に示すように、ガスケット157を、アンテナグランド155とトップカバー362の間に密着させた状態で導通させることもできる。ここで、実施形態では、ガスケット157に接触させる第1基部をトップカバー162に設けたリブ162bによって構成し、第2基部をネジボス162aによって構成していた。一方、実施形態の変形例2に示すように、ガスケット157に接触させる第1基部をトップカバー362自体によって構成し、第2基部をピンボス362cによって構成することもできる。
【0041】
実施形態によれば、ネジボス162aは、リブ162bよりも、トップカバー162の面からアンテナグランド155の側に向かって突出している。このような構成にすることによって、ネジボス162aとリブ162bの段差(高さ方向Zに沿った厚みの相違による高低差)が有る状態で、ガスケット157をリブ162bに対向させて配置することができる。この結果、ガスケット157がアンテナグランド155とリブ162bの間に挟まれた状態において、アンテナグランド155とネジボス162aを容易に接触させて固定することができる。
【0042】
実施形態によれば、第1アンテナカバー163は、第1アンテナ基板152を支持しつつ、トップカバー162に取り付けられている。このような構成にすることによって、第1アンテナ基板152の剛性を十分に保ちつつ、通信障害を引き起こす虞がある部材が第1アンテナ基板152に接近又は接触することを防止できる。特に、第1アンテナ基板152がフレキシブル配線基板のように容易に変形する場合、好適である。
【0043】
ここで、実施形態の変形例1によれば、
図10に示すように、第1アンテナ基板152が十分な剛性を備え容易に変形しない場合、第1アンテナカバー263によって第1アンテナ基板152を支持しないこともできる。
【0044】
実施形態によれば、アンテナエレメント154の共振周波数が、2.4GHz帯以上である。このような構成にすることによって、アンテナエレメント154の横幅方向Xの幅を短くして、第1ヒンジ166と第2ヒンジ167の間の距離を長くすることができる。アンテナエレメント154の共振周波数と、アンテナエレメント154の横幅方向Xの幅は、概ね反比例する。したがって、第1ヒンジ166と第2ヒンジ167の間に、ノートパソコン100を構成する部材を十分に設けることができる。一方、アンテナエレメント154の共振周波数を高くすると、同軸ケーブル156の外部導体156bがアンテナグランド155に半田接合された部分と、ネジ158によってトップカバー162に導通されるアンテナグランド155のネジ挿通孔155aとの距離が悪影響を与え易くなるが、上記の構成によって、同軸ケーブル156の引き回しのズレによるアンテナ性能の変動を十分に抑制することができる。
【0045】
実施形態によれば、アンテナグランド155において、同軸ケーブル156がアンテナグランド155にグランド接続された部分(外部導体156bが半田接合された部分)からネジ挿通孔155aまでの距離よりも、該グランド接続された部分からガスケット157までの距離の方が短い。このような構成にすることによって、同軸ケーブル156の外部導体156bが半田接合された部分の近傍でガスケット157を用いてトップカバー162に接続し、トップカバー162をアンテナグランド(アンテナGND)として機能させることができる。同軸ケーブル156に起因するアンテナ特性変動を、アンテナグランド155とリブ162bに接地したガスケット157によって十分に抑制することができる。特に、同軸ケーブル156の実装変動に伴う通信状態の変動を十分に抑制することができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。又、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0047】
導電性を備えた第1基部と導通性を備えた第2基部とを備えた筐体は、トップカバー162及び362として説明したが、ボトムカバー161としてもよい。
【符号の説明】
【0048】
100…ノートパソコン(電子機器)、110…演算ユニット、111…マザーボード、120…入出力ユニット、121…電源ボタン、122…キーボード、123…タッチパッド、130…表示ユニット、131…LCD、140…電源ユニット、141…バッテリー、150…無線通信ユニット、151…無線モジュール、152…第1アンテナ基板(アンテナ基板)、152a…ネジ挿通孔、153…第2アンテナ基板(アンテナ基板)、154…アンテナエレメント、155…アンテナグランド、155a…ネジ挿通孔、156…同軸ケーブル(通信用ケーブル)、156a…内部導体、156b…外部導体、157…ガスケット、158…ネジ(固定部材)、160…筐体ユニット、161…ボトムカバー、162…トップカバー(筐体)、162a…ネジボス(第2基部)、162b…リブ(第1基部)、162c…外縁、163…第1アンテナカバー(カバー)、163a…支持部、163b…ネジ挿通孔、164…第2アンテナカバー(カバー)、165…LCDカバー、166…第1ヒンジ、167…第2ヒンジ、260…筐体ユニット(実施形態の変形例1)、263…第1アンテナカバー(カバー)、350…無線通信ユニット(実施形態の変形例2)、358…ピン(固定部材)、360…筐体ユニット(実施形態の変形例2)、362…トップカバー(第1基部)、362c…ピンボス(第2基部)、363…第1アンテナカバー(カバー)、363a…支持部