(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】排泄物処理材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A01K 1/015 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
A01K1/015 B
(21)【出願番号】P 2019008886
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
(72)【発明者】
【氏名】畑中 忍
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-229768(JP,A)
【文献】特許第6352091(JP,B2)
【文献】国際公開第2017/150065(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
A01K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撥水性を有する粒状体からなる排泄物処理材であって、
前記粒状体は、使用開始前に第1の色を呈し、当該粒状体の交換時期に前記第1の色とは異なる第2の色を呈することを特徴とする排泄物処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、時間の経過につれて前記第1の色から前記第2の色まで徐々に変色する第1の色素材料を含有する排泄物処理材。
【請求項3】
請求項2に記載の排泄物処理材において、
前記第1の色素材料は、前記粒状体の表面に露出している排泄物処理材。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の排泄物処理材において、
前記第1の色素材料は、退色することにより前記第1の色から前記第2の色まで変色する排泄物処理材。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の排泄物処理材において、
前記第1の色素材料は、酸化することにより前記第1の色から前記第2の色まで変色する排泄物処理材。
【請求項6】
請求項1に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、当該粒状体の表面の減りが所定量に達したときに前記第2の色を呈するように構成されている排泄物処理材。
【請求項7】
請求項6に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、前記第2の色を有する第2の色素材料を含有しており、
前記第2の色素材料は、前記粒状体の前記表面から所定深さ以上の領域にのみ存在する排泄物処理材。
【請求項8】
請求項7に記載の排泄物処理材において、
前記第2の色素材料は、水不溶性である排泄物処理材。
【請求項9】
請求項1に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、当該粒状体の内部に浸入した水分が所定量に達したときに前記第2の色を呈するように構成されている排泄物処理材。
【請求項10】
請求項9に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、水分と反応して前記第2の色を呈する第3の色素材料を含有する排泄物処理材。
【請求項11】
請求項10に記載の排泄物処理材において、
前記第3の色素材料は、前記粒状体の表面から所定深さ以上の領域にのみ存在する排泄物処理材。
【請求項12】
撥水性を有する粒状体からなる排泄物処理材を製造する方法であって、
使用開始前に第1の色を呈するとともに前記粒状体の交換時期に前記第1の色とは異なる第2の色を呈する当該粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、
前記粒状体形成工程においては、
時間の経過につれて前記第1の色から前記第2の色まで徐々に変色する第1の色素材料を含有する前記粒状体を形成することを特徴とする排泄物処理材の製造方法。
【請求項13】
請求項
12に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記第1の色素材料が前記粒状体の表面に露出するように、当該粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項14】
請求項
12又は
13に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第1の色素材料は、退色することにより前記第1の色から前記第2の色まで変色する排泄物処理材の製造方法。
【請求項15】
請求項
12又は
13に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第1の色素材料は、酸化することにより前記第1の色から前記第2の色まで変色する排泄物処理材の製造方法。
【請求項16】
撥水性を有する粒状体からなる排泄物処理材を製造する方法であって、
使用開始前に第1の色を呈するとともに前記粒状体の交換時期に前記第1の色とは異なる第2の色を呈する当該粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、
前記粒状体形成工程においては、前記粒状体の表面の減りが所定量に達したときに前記第2の色を呈するように、当該粒状体の前記表面から所定深さ以上の領域にのみ前記第2の色を有する第2の色素材料が存在する当該粒状体を形成することを特徴とする排泄物処理材の製造方法。
【請求項17】
請求項
16に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の色素材料は、水不溶性である排泄物処理材の製造方法。
【請求項18】
撥水性を有する粒状体からなる排泄物処理材を製造する方法であって、
使用開始前に第1の色を呈するとともに前記粒状体の交換時期に前記第1の色とは異なる第2の色を呈する当該粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、
前記粒状体形成工程においては、前記粒状体の内部に浸入した水分が所定量に達したときに前記第2の色を呈するように、水分と反応して前記第2の色を呈する第3の色素材料を含有する当該粒状体を形成することを特徴とする排泄物処理材の製造方法。
【請求項19】
請求項
18に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記粒状体の表面から所定深さ以上の領域にのみ前記第3の色素材料が存在するように、当該粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項20】
請求項12
乃至19の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、押出造粒により前記粒状体を構成する造粒物を形成する排泄物処理材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物処理材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排泄物処理材としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された排泄物処理材は、撥水性を有する複数の粒状体からなり、ペット用トイレに敷設されている。このペット用トイレは、尿を通過させるメッシュ状のシートによって上部空間と下部空間とに区画されている。撥水性の粒状体は、上部空間に配設されている。下部空間には、吸液シートが配設されている。ペットが排尿すると、尿は、撥水性の粒状体間の間隙を通り抜けて、メッシュ状のシートを通じて下部空間に達する。下部空間に達した尿は、吸液シートによって吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる撥水性の粒状体は、吸水性の粒状体とは異なり、尿を全く吸収しないか殆ど吸収しないため、相当期間(例えば1~2か月)にわたって繰り返し使用することが可能である。このように、撥水性の粒状体には、原則として使用の度に交換が必要な吸水性の粒状体に比して、交換頻度が格段に少ないという利点がある。しかしながら、その反面、交換頻度が少ないが故に、ユーザが粒状体の交換時期を逸しやすいという問題がある。交換時期を逸した場合、粒状体の崩壊や悪臭の発生等の弊害が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、粒状体の交換時期を把握しやすい排泄物処理材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による排泄物処理材は、撥水性を有する粒状体からなる排泄物処理材であって、上記粒状体は、使用開始前に第1の色を呈し、当該粒状体の交換時期に上記第1の色とは異なる第2の色を呈することを特徴とする。
【0007】
この排泄物処理材においては、撥水性を有する粒状体が、交換時期になると使用開始前の色(第1の色)とは異なる色(第2の色)を呈するように構成されている。このため、ユーザは、粒状体の色の変化により、当該粒状体の交換時期を把握することができる。
【0008】
また、本発明による排泄物処理材の製造方法は、撥水性を有する粒状体からなる排泄物処理材を製造する方法であって、上記粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、上記粒状体形成工程においては、使用開始前に第1の色を呈するとともに上記粒状体の交換時期に上記第1の色とは異なる第2の色を呈するように、当該粒状体を形成することを特徴とする。
【0009】
この製造方法においては、撥水性を有する粒状体が、交換時期になると使用開始前の色(第1の色)とは異なる色(第2の色)を呈するように形成される。このため、製造後の排泄物処理材においてユーザは、粒状体の色の変化により、当該粒状体の交換時期を把握することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粒状体の交換時期を把握しやすい排泄物処理材及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による排泄物処理材の第1実施形態を示す模式図である。
【
図3】本発明による排泄物処理材の第2実施形態を示す模式図である。
【
図5】本発明による排泄物処理材の第3実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0013】
図1は、本発明による排泄物処理材の第1実施形態を示す模式図である。排泄物処理材1は、排泄物の処理に用いられる排泄物処理材であって、複数の粒状体10からなる。排泄物処理材1は、人の排泄物を処理する人用の排泄物処理材であってもよいし、猫や犬等の動物の排泄物を処理する動物用の排泄物処理材であってもよい。粒状体10は、撥水性を有している。すなわち、粒状体10は、尿等の液体を全く吸収しないか、あるいは吸収するとしても殆ど吸収しない性質を有する。
【0014】
粒状体10が撥水性を有するというには、次の試験により測定される撥水率が80%以上であることが必要である。まず、茶こしに50g相当の複数の粒状体10(サンプル)を入れる。茶こしの下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、針のない注射器を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量(30ml)に対する割合をもって撥水率とする。すなわち、ビーカー内の水量が24ml以上であれば、撥水率が80%以上となるため、粒状体10が撥水性を有するといえる。参考として、市販されている一般的な吸水性の猫砂の撥水率は、5%程度である。
【0015】
図2は、粒状体10を示す模式図である。粒状体10は、粒状に成形されている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、楕円体等が挙げられる。粒状体10の粒径は、例えば、5~15mm程度である。ここで、粒径は、粒状体10を内包することが可能な最小の球の直径として定義される。粒状体10は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、主材料とは、粒状体10を構成する1又は2以上の材料のうち、当該粒状体10に占める重量割合が最大のものをいう。有機物としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。
【0016】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、パルプスラッジ等が挙げられる。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。これらの材料には、撥水処理が施されていてもよい。
【0017】
粒状体10を構成する材料(後述する色素材料12を除く。)は、1つのみであってもよいし、2つ以上であってもよい。前者の場合、粒状体10を構成する材料は、上述の主材料のみということになる。後者の場合、粒状体10は、主材料と他の材料との混合物によって構成されることになる。他の材料としては、例えば石膏が挙げられる。石膏を加えることにより、粒状体10の撥水性を高めることができる。石膏の量は、例えば、粒状体10の全体に対して5~15重量%程度である。
【0018】
粒状体10は、使用開始前に第1の色を呈し、粒状体10の交換時期に第2の色を呈する。第2の色は、第1の色とは異なる。ただし、第1の色と第2の色とは、色相が相異なる必要はない。例えば第1の色が濃緑で第2の色が淡緑というように、両者は、同一の色相の濃淡で区別されてもよい。
【0019】
本実施形態において粒状体10は、色素材料12(第1の色素材料)を含有している。色素材料12は、時間の経過につれて第1の色から第2の色まで徐々に変色する。色素材料12は、粒状体10の表面に露出している。色素材料12は、粒状体10の表層にのみ設けられていてもよいし、粒状体10の全体に均一に設けられていてもよい。すなわち、色素材料12の少なくとも一部が粒状体10の表面に露出していればよい。
図2においては、色素材料12が粒状体10の表層にのみ設けられた場合を示している。
【0020】
色素材料12としては、退色することにより第1の色から第2の色まで変色する材料を用いることができる。かかる材料としては、例えばウコンが挙げられる。色素材料12としては、酸化することにより第1の色から第2の色まで変色する材料を用いてもよい。かかる材料としては、例えば茶殻が挙げられる。排泄物処理材1においては、第2の色に変色したか否かをユーザが判別しやすいように、第1の色から第2の色への変化を示すカラースケールが添付されていてもよい。
【0021】
続いて、本発明による排泄物処理材の製造方法の第1実施形態として、排泄物処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、粒状体形成工程を含んでいる。
【0022】
粒状体形成工程は、粒状体10を形成する工程である。この工程においては、造粒装置を用いて被造粒材料(粒状体10を構成する材料)を造粒することにより、粒状体10を構成する造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。すなわち、押出造粒により造粒物を形成してもよい。造粒物には、必要に応じて撥水処理を施してもよい。撥水処理は、例えば、造粒物の表面を撥水剤でコーティングすることにより行うことができる。撥水処理を行わない場合、造粒時に被造粒材料に加わる圧力を高めることにより、造粒物内に隙間が極力生じないようにすることが好ましい。かかる隙間は、粒状体10の内部に尿等の水分が浸入する経路となるからである。造粒に先立って、被造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。
【0023】
粒状体形成工程においては、使用開始前に第1の色を呈するとともに交換時期に第2の色を呈するように、粒状体10を形成する。本実施形態においては、色素材料12が粒状体10の表面に露出するように粒状体10を形成する。かかる構成の粒状体10は、例えば、上記造粒物の表面に色素材料12を付着させることにより形成することができる。具体的には、例えば、粉末状の色素材料12に接着剤を混ぜ合わせた上で造粒物の表面に塗布することにより、当該表面に色素材料12を付着させることができる。これにより、色素材料12が表層にのみ設けられた粒状体10が得られる。一方、色素材料12が全体に均一に設けられた粒状体10を得たい場合は、色素材料12を予め加えて混練してから被造粒材料を造粒すればよい。
【0024】
色素材料12の含有量等を調整することにより、粒状体10の交換時期(例えば使用開始から1~2か月)に粒状体10が第2の色を呈するようにすることができる。なお、色素材料12の変色スピードには排泄物処理材1の使用頻度(1日あたりの排泄回数、1回あたりの排泄量)等の不確定要素が影響するため、第2の色への変色時期を厳密にコントロールすることは困難である。しかし、用途(例えば猫用のトイレでの使用)に応じて排泄物処理材1の標準的な使用頻度を想定することができるため、その想定下で簡単な実験を行うことにより、第2の色への変色時期を大雑把にコントロールすることは可能である。例えば、使用開始から丁度1か月を経過した時点で第2の色に変色するようにコントロールすることは困難でも、使用開始から1~2か月の期間内に第2の色に変色するようにコントロールすることは容易である。
【0025】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、撥水性を有する粒状体10が、交換時期になると使用開始前の色(第1の色)とは異なる色(第2の色)を呈するように形成される。このため、排泄物処理材1においてユーザは、粒状体10の色の変化により、粒状体10の交換時期を把握することができる。したがって、粒状体10の交換時期を把握しやすい排泄物処理材1及びその製造方法が実現されている。
【0026】
粒状体10は、時間の経過につれて第1の色から第2の色まで徐々に変色する色素材料12を含有している。これにより、簡易な構成で、使用開始前に第1の色を呈するとともに交換時期に第2の色を呈する粒状体10を実現することができる。
【0027】
色素材料12は、粒状体10の表面に露出している。これにより、第1の色から第2の色への変化をユーザが視認しやすくなる。
【0028】
色素材料12が退色することにより第1の色から第2の色まで変色する場合、時間の経過につれて粒状体10が徐々に色褪せるため、粒状体10の交換時期が近づいてくることをユーザが直感的に認識しやすいという利点がある。
【0029】
色素材料12が酸化することにより第1の色から第2の色まで変色する場合、第1及び第2の色を相異なる色相にする等、色素材料12(粒状体10)の色を大きく変化させやすくなる。そのため、第2の色への変化をユーザが判別しやすいという利点がある。
(第2実施形態)
【0030】
図3は、本発明による排泄物処理材の第2実施形態を示す模式図である。排泄物処理材2は、排泄物の処理に用いられる排泄物処理材であって、撥水性を有する複数の粒状体20からなる。
【0031】
図4は、粒状体20を示す模式図である。粒状体20は、使用開始前に第1の色を呈し、粒状体20の交換時期に第2の色を呈する。本実施形態において粒状体20は、粒状体20の表面の減りが所定量に達したときに第2の色を呈するように構成されている。
【0032】
粒状体20は、第2の色を有する色素材料22(第2の色素材料)を含有している。色素材料22は、水不溶性であることが好ましい。色素材料22としては、例えば顔料を用いることができる。色素材料22は、粒状体20の表面から所定深さ(深さd1)以上の領域20aにのみ存在している。深さd1は、例えば、0.5~1.5mm程度である。色素材料22は、領域20aの表層にのみ設けられていてもよいし、領域20aの全体に均一に設けられていてもよい。
図4においては、前者の場合を示している。何れにせよ、色素材料22は、使用開始前の粒状体20の表面には露出していない。使用開始前、粒状体20は、第1の色として、粒状体20の表面を構成する素材の色を呈している。粒状体20のその他の構成は、第1実施形態で説明した粒状体10と同様である。
【0033】
続いて、本発明による排泄物処理材の製造方法の第2実施形態として、排泄物処理材2の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、粒状体形成工程を含んでいる。
【0034】
粒状体形成工程は、粒状体20を形成する工程である。この工程においては、押出造粒機等の造粒装置を用いて被造粒材料(粒状体20を構成する材料)を造粒することにより、粒状体20を構成する造粒物を形成する。造粒に先立って、被造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。
【0035】
粒状体形成工程においては、使用開始前に第1の色を呈するとともに交換時期に第2の色を呈するように、粒状体20を形成する。本実施形態においては、粒状体20の表面の減りが所定量に達したときに第2の色を呈するように粒状体20を形成する。具体的には、粒状体20の表面から所定深さ以上の領域20aにのみ色素材料22が存在するように粒状体20を形成する。かかる構成の粒状体20は、例えば、次のように形成することができる。まず、被造粒材料を造粒することにより、領域20aを構成する造粒物を形成する。次に、造粒物の表面に色素材料22を付着させる。その後、色素材料22を覆うようにして領域20aの表面に撥水性を有する材料を付着させることにより、領域20aの外側の部分を形成すればよい。あるいは、被造粒材料を造粒して粒状体20に相当する造粒物を形成した後、領域20aに色素材料22を注入することによっても、上記構成の粒状体20を形成することができる。
【0036】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、撥水性を有する粒状体20が、交換時期になると使用開始前の色(第1の色)とは異なる色(第2の色)を呈するように形成される。このため、排泄物処理材2においてユーザは、粒状体20の色の変化により、粒状体20の交換時期を把握することができる。したがって、粒状体20の交換時期を把握しやすい排泄物処理材2及びその製造方法が実現されている。
【0037】
粒状体20は、その表面の減りが所定量に達したときに第2の色を呈するように構成されている。使用につれて粒状体20の表面は少しずつ減っていくため、その減りが所定量に達することは、粒状体20の交換時期を示す指標となる。それゆえ、粒状体20の表面の減りが所定量に達したときに第2の色を呈するようにすれば、第2の色への変色時期と粒状体20の交換時期とを確実に合致させることができる。
【0038】
粒状体20は第2の色を有する色素材料22を含有しており、色素材料22は粒状体20の表面から所定深さ以上の領域20aにのみ存在している。これにより、簡易な構成で、表面の減りが所定量に達したときに第2の色を呈する粒状体20を実現することができる。すなわち、表面が減って領域20aが露出するに至ると、色素材料22が視認可能となり、粒状体20が第2の色を呈するようになる。
【0039】
色素材料22が水不溶性である場合、粒状体20の内部に水分が浸入したとしても、色素材料22が当該水分に溶けて領域20aの外側に染み出す事態を防ぐことができる。色素材料22が領域20aの外側に染み出すことは、表面の減りが所定量に達する前に粒状体20が第2の色を呈してしまうことにつながりかねない。
(第3実施形態)
【0040】
図5は、本発明による排泄物処理材の第3実施形態を示す模式図である。排泄物処理材3は、排泄物の処理に用いられる排泄物処理材であって、撥水性を有する複数の粒状体30からなる。
【0041】
図6は、粒状体30を示す模式図である。粒状体30は、使用開始前に第1の色を呈し、粒状体30の交換時期に第2の色を呈する。本実施形態において粒状体30は、粒状体30の内部に浸入した水分が所定量に達したときに第2の色を呈するように構成されている。
【0042】
粒状体30は、水分と反応して第2の色を呈する色素材料32(第3の色素材料)を含有している。色素材料32は、水溶性である。色素材料32としては、例えば染料を用いることができる。色素材料32は、粒状体30の表面から所定深さ(深さd2)以上の領域30aにのみ存在している。深さd2は、例えば、1.5~3mm程度である。色素材料32は、領域30aの表層にのみ設けられていてもよいし、領域30aの全体に均一に設けられていてもよい。
図6においては、後者の場合を示している。何れにせよ、色素材料32は、使用開始前の粒状体30の表面には露出していない。使用開始前、粒状体30は、第1の色として、粒状体30の表面を構成する素材の色を呈している。粒状体30のその他の構成は、第1実施形態で説明した粒状体10と同様である。
【0043】
続いて、本発明による排泄物処理材の製造方法の第3実施形態として、排泄物処理材3の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、粒状体形成工程を含んでいる。
【0044】
粒状体形成工程は、粒状体30を形成する工程である。この工程においては、押出造粒機等の造粒装置を用いて被造粒材料(粒状体30を構成する材料)を造粒することにより、粒状体30を構成する造粒物を形成する。造粒に先立って、被造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。
【0045】
粒状体形成工程においては、使用開始前に第1の色を呈するとともに交換時期に第2の色を呈するように、粒状体30を形成する。本実施形態においては、粒状体30の内部に浸入した水分が所定量に達したときに第2の色を呈するように粒状体30を形成する。具体的には、粒状体30の表面から所定深さ以上の領域30aにのみ色素材料32が存在するように粒状体30を形成する。かかる構成の粒状体30は、例えば、次のように形成することができる。まず、色素材料32を予め加えて混練した被造粒材料を造粒することにより、領域30aに相当する造粒物を形成する。その後、造粒物の表面に撥水性を有する材料を付着させることにより、領域30aの外側の部分を形成すればよい。
【0046】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、撥水性を有する粒状体30が、交換時期になると使用開始前の色(第1の色)とは異なる色(第2の色)を呈するように形成される。このため、排泄物処理材3においてユーザは、粒状体30の色の変化により、粒状体30の交換時期を把握することができる。したがって、粒状体30の交換時期を把握しやすい排泄物処理材3及びその製造方法が実現されている。
【0047】
粒状体30は、その内部に浸入した水分が所定量に達したときに第2の色を呈するように構成されている。使用につれて粒状体30の内部に水分が少しずつ浸入していくため、その水分が所定量に達することは、粒状体30の交換時期を示す指標となる。それゆえ、粒状体30の内部に浸入した水分が所定量に達したときに第2の色を呈するようにすれば、第2の色への変色時期と粒状体30の交換時期とを確実に合致させることができる。
【0048】
粒状体30は水分と反応して第2の色を呈する色素材料32を含有しており、色素材料32は粒状体30の表面から所定深さ以上の領域30aにのみ存在している。これにより、簡易な構成で、粒状体30の内部に浸入した水分が所定量に達したときに第2の色を呈する粒状体30を実現することができる。すなわち、粒状体30の外部から浸入した水分が領域30aにまで達すると、色素材料32が水分と反応して粒状体30の表面に染み出ることにより、粒状体30が第2の色を呈するようになる。
【符号の説明】
【0049】
1 排泄物処理材
2 排泄物処理材
3 排泄物処理材
10 粒状体
12 色素材料(第1の色素材料)
20 粒状体
22 色素材料(第2の色素材料)
30 粒状体
32 色素材料(第3の色素材料)