(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】粉塵回収装置及びそれを備えた排ガス処理装置並びに粉塵回収方法
(51)【国際特許分類】
F23J 3/02 20060101AFI20221108BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20221108BHJP
B07B 7/08 20060101ALI20221108BHJP
F23J 3/06 20060101ALI20221108BHJP
F23J 13/08 20060101ALI20221108BHJP
F23J 15/00 20060101ALI20221108BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
F23J3/02 A ZAB
B01D53/86 222
B07B7/08
F23J3/06
F23J13/08 Z
F23J15/00 H
F27D17/00 105G
(21)【出願番号】P 2019011246
(22)【出願日】2019-01-25
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西村 海心
(72)【発明者】
【氏名】石川 勘治
(72)【発明者】
【氏名】嘉村 雄馬
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-9629(JP,U)
【文献】特開平9-119628(JP,A)
【文献】特開2005-177428(JP,A)
【文献】特開平8-296834(JP,A)
【文献】国際公開第2013/179371(WO,A1)
【文献】特公昭59-45572(JP,B2)
【文献】特開2002-95919(JP,A)
【文献】特開平8-290039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 3/00 - 99/00
A47L 5/00 - 9/08
B01D 53/73 - 53/96
B07B 7/08
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラからの排気ガスが流通して200℃以上400℃以下の雰囲気温度とされた煙道内に堆積した粉塵を回収する粉塵回収装置であって、
前記雰囲気温度よりも低い温度の圧縮気体を用いて負圧を発生させるエジェクタ部によって前記粉塵を前記粉塵の周囲にある気体と共に吸引口から吸引する吸引部と、
前記雰囲気温度よりも低い温度の気体を気体供給口から前記吸引口に向けて吹き出させて供給する気体供給部と、
を備えている粉塵回収装置。
【請求項2】
前記吸引部によって吸引された前記粉塵を分級する分級器と、
前記分級器によって分級された所定粒径以上の前記粉塵を貯留する回収ホッパと、
を備えている請求項1に記載の粉塵回収装置。
【請求項3】
前記エジェクタ部、前記分級器、及び前記回収ホッパを収容するケーシングと、
前記エジェクタ部から排出された気体の少なくとも一部を前記ケーシングの内部に導く排気供給部と、
を備えている請求項2に記載の粉塵回収装置。
【請求項4】
前記気体供給口から前記吸引口に向けて供給される前記雰囲気温度よりも低い温度の気体は、前記エジェクタ部から排出された気体とされている請求項1から3のいずれかに記載の粉塵回収装置。
【請求項5】
前記吸引部は、前記吸引口が先端に形成された吸引ノズル部を有し、
前記気体供給部は、前記吸引口に対向して前記気体供給口が形成された気体供給ノズル部を有し、
前記吸引ノズル部及び前記気体供給ノズル部は、鉛直上下方向に可動自在とされ、
前記気体供給ノズル部の先端は曲面形状とされている請求項1から4のいずれかに記載の粉塵回収装置。
【請求項6】
前記吸引口と前記気体供給口との間には、前記粉塵を前記吸引口に向けて掻き上げる除去ブラシが設けられている請求項1から4のいずれかに記載の粉塵回収装置。
【請求項7】
前記煙道は、内部にメッシュが設置され、
前記メッシュの鉛直方向における上面に堆積した前記粉塵を回収する請求項1から6のいずれかに記載の粉塵回収装置。
【請求項8】
前記吸引口は、前記メッシュの鉛直方向上側から前記メッシュの鉛直方向上面に向かって開口され、
前記気体供給口は、前記メッシュの鉛直方向下側から前記メッシュの鉛直方向下面に向かって、かつ、前記吸引口に対向するように開口されている請求項7に記載の粉塵回収装置。
【請求項9】
前記メッシュに沿って走行可能とされている請求項7又は8に記載の粉塵回収装置。
【請求項10】
ボイラからの排気ガスが流通する煙道と、
前記煙道内に設置され、前記排気ガスを処理する触媒層と、
前記排気ガスの流れ方向において前記触媒層の上流側の前記煙道内に設置されるメッシュと、
請求項1から8のいずれかに記載の粉塵回収装置と、
を備えている排ガス処理装置。
【請求項11】
前記煙道内と連通するとともに前記煙道の側壁外側に設けられ、前記粉塵回収装置が収納される待機室と、
前記煙道内と前記待機室内とを遮断可能な扉と、
を備えている請求項10に記載の排ガス処理装置。
【請求項12】
ボイラからの排気ガスが流通して200℃以上400℃以下の雰囲気温度とされた煙道内に堆積した粉塵を、前記雰囲気温度よりも低い温度の圧縮気体を用いて負圧を発生させるエジェクタ部によって前記粉塵の周囲にある気体と共に吸引口から吸引する吸引部と、
前記雰囲気温度よりも低い温度の気体を気体供給口から前記吸引口に向けて吹き出させて供給する気体供給部と、
前記吸引部から吸引された前記粉塵を貯留する回収ホッパと、
を備えている粉塵回収装置から前記粉塵を回収する方法であって、
前記煙道の側壁外側には、前記粉塵回収装置が収納される待機室が設けられ、
前記煙道と前記待機室との間には、前記煙道内と前記待機室内とを遮断可能な扉が設けられ、
前記粉塵回収装置が前記待機室に収納され、かつ、前記扉によって前記煙道内と前記待機室内とが遮断された状態で、前記粉塵回収装置が備える前記回収ホッパに貯留された前記粉塵を回収する回収工程を含む粉塵回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉塵回収装置及びそれを備えた排ガス処理装置並びに粉塵回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭焚きボイラなどの大型のボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、この火炉壁に複数の燃焼バーナが周方向に沿って配設されている。また、石炭焚きボイラは、火炉の鉛直方向上方に煙道が連結されており、この煙道に蒸気を生成するための熱交換器が配置されている。そして、燃焼バーナが火炉内に燃料と空気との混合気を噴射することで火炎が形成され、燃焼ガスが生成されて煙道に流れる。燃焼ガスが流れる領域に熱交換器が設置され、熱交換器を構成する伝熱管内を流れる水や蒸気を加熱して過熱蒸気が生成される。燃焼ガスは、水や蒸気と熱交換した後は排気ガスとして煙道を流通して熱交換器下流側へ流れる。
【0003】
このような石炭焚きボイラの運転中においては、燃焼によって塊状灰が発生する場合がある。発生した塊状灰の一部は火炉から煙道へと燃焼ガスによって搬送される。塊状灰は下流側の機器に悪影響を及ぼすため、熱交換器下流側の煙道にスクリーンやホッパを設けて塊状灰を捕集する方法がある。しかし、塊状灰をさらに下流側に搬送しないようにすべての塊状灰を捕集することは難しい。
【0004】
このため、気流によって搬送された塊状灰のうち、スクリーンやホッパで捕集されなかった塊状灰は、排気ガスによって排ガス処理装置(例えば脱硝装置)まで搬送されることがある。このとき、排ガス処理装置に設けられている触媒層の表面(排気ガスの流れ方向において上流側の表面)に直接的に塊状灰が堆積することで触媒層を閉塞しないように、触媒層の上流側にメッシュを設けることがある。
【0005】
しかし、ボイラの運転を継続した場合、メッシュの一部の網目が捕集した塊状灰で部分的に閉塞することがある。
【0006】
塊状灰によるメッシュの閉塞が顕著な部分においては、メッシュの閉塞が無い場合においてはメッシュ及び触媒層を通過するとともに下流側に設けられた電気集塵装置によって捕集されるような微小な石炭灰が、塊状灰を起点にメッシュ上に堆積してメッシュを閉塞させる可能性がある。このような部分では、排気ガスが触媒層に到達しにくくなるので、排ガス処理装置としての性能悪化を招く可能性がある。また、閉塞した部分の周辺には排気ガスが集中して流れ込むので、排気ガスの流速が増加して、メッシュの下流側にある触媒層の性能低下や寿命の短縮を引き起こす可能性がある。
【0007】
このような影響を及ぼす塊状灰等の粉塵について、例えば特許文献1には、脱硝装置に設けられた反応器と金網との間に堆積した堆積灰を回収する装置として、金網の下面に向かって圧縮空気を放出することで吹き上げられた堆積灰を吸引ノズルによって吸引する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に開示されている装置においては、発電プラント運転中の粉塵回収について考慮されておらず、発電プラントを停止させなければその装置を使用することはできない。また、仮に特許文献1に開示されている装置を発電プラント運転中に使用した場合、脱硝装置内は排気ガスの流通によって高温雰囲気であるため、周囲のガス密度が小さく装置の吸引力が低下して適切に堆積灰を吸引できない可能性がある。さらに、反応器と金網との間に堆積した堆積灰を吸引できたとしても、金網上の堆積灰については粒径が大きいものが多いため、吸引力の不足によってそれらを吸引できない可能性がある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、高温雰囲気下であっても煙道内に堆積した粉塵を回収できる粉塵回収装置及びそれを備えた排ガス処理装置並びに粉塵回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る粉塵回収装置及びそれを備えた排ガス処理装置並びに粉塵回収方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の一態様に係る粉塵回収装置は、ボイラからの排気ガスが流通して200℃以上400℃以下の雰囲気温度とされた煙道内に堆積した粉塵を回収する粉塵回収装置であって、前記雰囲気温度よりも低い温度の圧縮気体を用いて負圧を発生させるエジェクタ部によって前記粉塵を前記粉塵の周囲にある気体と共に吸引口から吸引する吸引部と、前記エジェクタ部から排出された気体を気体供給口から前記吸引口に向けて吹き出させて供給する気体供給部とを備えている。
【0012】
本態様に係る粉塵回収装置において、負圧を発生させるエジェクタ部には、煙道内の雰囲気温度(例えば200℃以上400℃以下)よりも低い温度の圧縮気体(例えば40℃以上70℃以下程度の圧縮空気)が用いられ、また、煙道内の雰囲気温度よりも低い温度の気体(例えば、エジェクタ部から排出された気体)が吸引口に向けて吹き出されるように供給される。なお、温度に関して、「高い」、「低い」との記載については、例えば、200℃以上400℃以下の煙道内の雰囲気温度を高い温度(高温の気体)として、これと比較して温度が低い状態を低い温度(低温の気体)としている。
エジェクタ部については、エジェクタ部から排出された気体には煙道内の雰囲気温度よりも低温の圧縮気体の一部が含まれているため、排出された気体も煙道内の雰囲気温度よりも低温の気体となっている。その気体を気体供給口から吸引口に向けて供給するため、気体供給口から吸引口付近は煙道内の雰囲気温度よりも低温雰囲気となる。これによって、排気ガスが流通する高温雰囲気下であっても、低温の圧縮気体をエジェクタ部に供給でき、かつ、エジェクタ部によって吸引口から吸引される気体も煙道内の雰囲気温度よりも低温の気体となる。これによれば、高温とされ密度が小さい気体がエジェクタ部に導かれる場合と比べて、煙道内(例えば、煙道内に設置されたメッシュ)に堆積した粉塵(例えば灰)を効率的に吸引できる。これについて、エジェクタ部は、ベンチュリ効果によって発生した負圧を利用して気体を吸引しているが、吸引された気体が高温(例えば、煙道内の雰囲気温度)とされた場合、気体の密度が小さいので吸引力が低下する可能性がある。これに対して、低温とされ密度が大きい気体がエジェクタ部に吸引されることで、吸引力の低下を抑制できる。
これによって、排気ガスが流通する煙道内のように高温雰囲気下であっても、吸引力の低下を抑制することでメッシュ上の粉塵を回収できるので、粉塵の堆積によるメッシュの閉塞を抑制できる。また、メッシュの閉塞による開口率低下に伴う排気ガスの圧力損失の増加を抑制できる。
また、気体供給口から吸引口側に向けて吹き出されるように供給された気体によってメッシュ上の粉塵を吸引口側に押し込むことで粉塵の吸引を促進できる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る粉塵回収装置は、前記吸引部によって吸引された前記粉塵を分級する分級器と、前記分級器によって分級された所定粒径以上の前記粉塵を貯留する回収ホッパとを備えている。
【0014】
本態様に係る粉塵回収装置によれば、回収ホッパに貯留される粉塵は所定粒径以上の粉塵とされる。これによって、例えば通常メッシュを通過するはずの微小な粉塵(例えば微小な石炭灰)の堆積の起点となるメッシュピッチ以上の粒径の粉塵(例えば塊状灰)を主として回収できる。
なお、メッシュピッチよりも粒径が小さい前述の微小な粉塵は、メッシュの下流に設置された触媒層を通過するため粉塵回収装置によって回収する必要はなく、例えば、さらに下流側に設置された電気集塵装置によって回収される。
【0015】
また、本発明の一態様に係る粉塵回収装置は、前記エジェクタ部、前記分級器、及び前記回収ホッパを収容するケーシングと、前記エジェクタ部から排出された気体の少なくとも一部を前記ケーシングの内部に導く排気供給部とを備えている。
【0016】
本態様に係る粉塵回収装置によれば、エジェクタ部、分級器、及び回収ホッパを収容するケーシングの内部に、エジェクタ部から排出された気体の一部が排気供給部を介して導かれる。これによって、エジェクタ部から排出された気体の一部であって、排気供給部を介してケーシング内に導かれた気体によってケーシング内を冷却できる。このため、高温雰囲気下で使用することが好ましくない機器(例えば電装機器など)をケーシング内に設置できる。また、排出された気体によってケーシング内の圧力を所定圧力以上に維持できる。このため、ケーシング内部に粉塵が侵入することを抑制できる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る粉塵回収装置は、前記気体供給口から前記吸引口に向けて供給される前記雰囲気温度よりも低い温度の気体は、前記エジェクタ部から排出された気体とされている。
【0018】
本態様に係る粉塵回収装置によれば、エジェクタ部から排出された気体を煙道内の雰囲気温度よりも低い温度の気体として利用できる。これについて、エジェクタ部から排出された気体には、負圧の発生に用いられた圧縮気体の一部がふくまれている。この圧縮気体は、煙道内の雰囲気温度よりも低温の圧縮気体であるため、エジェクタ部から排出された気体も煙道内の雰囲気温度よりも低温の気体となっている。このため、エジェクタ部から排出された気体を、気体供給口から吸引口に向けて吹き出される気体(煙道内の雰囲気温度よりも低温の気体)として利用できる。
【0019】
また、本発明の一態様に係る粉塵回収装置において、前記吸引部は、前記吸引口が先端に形成された吸引ノズル部を有し、前記気体供給部は、前記吸引口に対向して前記気体供給口が形成された気体供給ノズル部を有し、前記吸引ノズル部及び前記気体供給ノズル部は、鉛直上下方向に可動自在とされ、前記気体供給ノズル部の先端は曲面形状とされている。
【0020】
本態様に係る粉塵回収装置によれば、吸引ノズル部及び気体供給ノズル部は鉛直上下方向に可動自在とされている。このため、吸引ノズル部又は気体供給ノズル部が、例えば、煙道内に設置されたメッシュに堆積した粉塵の起伏やメッシュ上面の凹凸のある起伏に対して柔軟稼働するので、粉塵回収装置がメッシュの上面を移動する際に、起伏に対する引っ掛かりを回避できる。
また、粉塵回収装置がメッシュ上を走行する場合であって気体供給ノズル部の先端が進行方向を向いている場合、気体供給ノズル部の先端を曲面形状とすることで、粉塵やメッシュの起伏への引っ掛かりを回避できる。
また、気体供給口から吸引口側に向けて吹き出されるように供給された気体によって、メッシュ上の粉塵を吸引口側に押し込むことで粉塵の吸引を促進できる。
【0021】
また、本発明の一態様に係る粉塵回収装置において、前記吸引口と前記気体供給口との間には、前記粉塵を前記吸引口に向けて掻き上げる除去ブラシが設けられている。
【0022】
本態様に係る粉塵回収装置において、吸引口と気体供給口部との間には、粉塵を吸引口に向けて掻き上げる除去ブラシが設けられている。これによれば、メッシュ上の粉塵を吸引口に向けて掻き上げつつ、低温の気体を引口に向けて供給できる。このため、エジェクタ部による吸引力を維持しつつ粉塵を吸引口に導くことができる。
なお、除去ブラシとしては、例えば気体供給口から供給された気体によって回転される回転ブラシが考えられる。回転ブラシは、モータなどの駆動部によって回転されてもよい。
【0023】
また、本発明の一態様に係る粉塵回収装置において、前記煙道は、内部にメッシュが設置され、前記メッシュの鉛直方向における上面に堆積した前記粉塵を回収する。
【0024】
本態様に係る粉塵回収装置によれば、粉塵回収装置は、煙道の内部に設置されたメッシュの鉛直方向における上面に堆積した粉塵を回収することができる。
【0025】
また、本発明の一態様に係る粉塵回収装置によれば、前記吸引口は、前記メッシュの鉛直方向上側から前記メッシュの鉛直方向上面に向かって開口され、前記気体供給口は、前記メッシュの鉛直方向下側から前記メッシュの鉛直方向下面に向かって、かつ、前記吸引口に対向するように開口されている。
【0026】
本態様に係る粉塵回収装置によれば、気体供給口から供給される気体によってメッシュ上の粉塵を浮き上がらせて、浮き上がった粉塵を吸引口から吸引することで、エジェクタ部による吸引力を維持しつつ効率的にメッシュ上の粉塵を回収できる。
【0027】
また、本発明の一態様に係る粉塵回収装置は、前記メッシュの面方向に沿って走行可能とされている。
【0028】
本態様に係る粉塵回収装置によれば、メッシュの面方向に沿って走行することで、メッシュ上の全体あるいは任意の位置の粉塵を回収できる。例えば、制御された自走式の粉塵回収装置とすることで、メッシュ上の全体を走行させることもできるし、粉塵が堆積しやすい位置を主体に走行させることもできる。
また、粉塵回収装置の駆動は、圧縮空気の一部を用いたエアモータや内臓蓄電池を用いた電気モータなどを用いて車輪を回転させてもよく、また巻取り可能なワイヤ牽引によって移動させてもよい。
【0029】
また、本発明の一態様に係る排ガス処理装置は、ボイラからの排気ガスが流通する煙道と、前記煙道内に設置され、前記排気ガスを処理する触媒層と、前記排気ガスの流れ方向において前記触媒層の上流側の前記煙道内に設置されるメッシュと、前述の粉塵回収装置とを備えている。
【0030】
本態様に係る粉塵回収装置によれば、高温雰囲気下であってもメッシュ上の粉塵を回収でき、粉塵の堆積によるメッシュの閉塞を抑制できる。また、メッシュの閉塞による開口率低下に伴う排気ガスの圧力損失の増加を抑制できる。
また、部分的なメッシュの閉塞によって引き起こされる排気ガスの局所的な流速増加を抑制することで、メッシュの下流に設置された触媒層の性能低下や寿命の短縮を抑制できる。
【0031】
また、本発明の一態様に係る排ガス処理装置は、前記煙道内と連通するとともに前記煙道の側壁外側に設けられ、前記粉塵回収装置が収納される待機室と、前記煙道内と前記待機室内とを遮断可能な扉とを備えている。
【0032】
本態様に係る排ガス処理装置によれば、粉塵回収装置がメッシュ上の粉塵を回収しない場合、煙道の側壁外側の待機室に粉塵回収装置を収納しておき、さらに扉によって煙道内と待機室とを遮断しておくことができる。これによって、粉塵回収装置が煙道内の排気ガスの流れを阻害しないため、排気ガスの圧力損失を抑制できる。また、粉塵回収装置は待機中に煙道内の雰囲気温度へ上昇することを防止できる。
【0033】
また、本発明の一態様に係る粉塵回収方法は、ボイラからの排気ガスが流通して200℃以上400℃以下の雰囲気温度とされた煙道内に堆積した粉塵を、前記雰囲気温度よりも低い温度の圧縮気体を用いて負圧を発生させるエジェクタ部によって前記粉塵の周囲にある気体と共に吸引口から吸引する吸引部と、前記雰囲気温度よりも低い温度の気体を気体供給口から前記吸引口に向けて吹き出させて供給する気体供給部と、前記吸引部から吸引された前記粉塵を貯留する回収ホッパとを備えている粉塵回収装置から前記粉塵を回収する方法であって、前記煙道の側壁外側には、前記粉塵回収装置が収納される待機室が設けられ、前記煙道と前記待機室との間には、前記煙道内と前記待機室内とを遮断可能な扉が設けられ、前記粉塵回収装置が前記待機室に収納され、かつ、前記扉によって前記煙道内と前記待機室内とが遮断された状態で、前記粉塵回収装置が備える前記回収ホッパに貯留された前記粉塵を回収する回収工程を含む。
【0034】
本態様に係る粉塵回収方法によれば、粉塵回収装置が待機室に収納され、かつ、扉によって排気ガスが流通する煙道内と待機室とが遮断された状態で、粉塵回収装置が備える回収ホッパに貯留された粉塵を回収する。
これによって、粉塵回収装置が煙道内の排気ガスの流れを阻害しないため、排気ガスの圧力損失を抑制できる。また、排気ガスの流通によって高温雰囲気下にある煙道から遮断された待機室にて、煙道内の雰囲気温度や排気ガスのガス成分による支障を受けることなく、作業員が安全に粉塵を回収ホッパから回収できる。
なお、回収ホッパからの粉塵の回収は、例えば作業員によって実施される。また、回収ホッパに貯留された粉塵を別設されたダストシュートへ自動排出するシステムを構成してもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る粉塵回収装置及びそれを備えた排ガス処理装置並びに粉塵回収方法によれば、高温雰囲気下であっても煙道内に堆積した粉塵を回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図3】本発明の第1実施形態に係る粉塵回収装置の構成を示す側面図である。
【
図5】
図3に示された吸引ノズル部及び気体供給ノズル部の斜視図である。
【
図6】
図3に示された吸引ノズル部及び気体供給ノズル部の側面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る粉塵回収装置の構成を示す側面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る粉塵回収装置の構成を示す側面図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る粉塵回収装置の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面を参照して説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0038】
〔石炭焚きボイラ〕
まず、本発明の各実施形態に係る粉塵回収装置100(100A,100B,100C)が採用されて好適な排ガス処理装置(脱硝装置50)が設けられた石炭焚きボイラ10について説明する。
【0039】
図1は、本実施形態の石炭焚きボイラ10を表す概略構成図である。この石炭焚きボイラは10、石炭を粉砕した微粉炭を微粉燃料(炭素含有固体燃料)として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収して給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成することが可能な石炭焚き(微粉炭焚き)ボイラである。
以降の説明において、「上」や「上方」とは鉛直方向における上側を示し、「下」や「下方」とは鉛直方向における下側を示すものである。
【0040】
本実施形態において、
図1に示すように、石炭焚きボイラ10は、火炉11と燃焼装置12と煙道13を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして上下方向(鉛直方向)に沿って設置されている。火炉11を構成する火炉壁(伝熱管)は、複数の蒸発管とこれらを接続するフィンとで構成され、給水や蒸気と熱交換することにより火炉壁の温度上昇を抑制している。
【0041】
燃焼装置12は、火炉11を構成する火炉壁の下部側に設けられている。本実施形態では、燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ(例えば21,22,23,24,25)を有している。例えば燃焼バーナ21,22,23,24,25は、周方向に沿って均等間隔で配設されたものが1セットとして、上下方向に沿って複数段配置されている。但し、火炉の形状や一つの段における燃焼バーナの数、段数はこの実施形態に限定されるものではない。
【0042】
各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して粉砕機(ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この粉砕機31,32,33,34,35は、図示しないが、例えばハウジング内に回転テーブルが駆動回転可能に支持され、この回転テーブルの上方に複数のローラが回転テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。石炭が複数のローラと回転テーブルとの間に投入されると、ここで所定の微粉炭の大きさに粉砕され、搬送用ガス(一次空気)により分級された微粉炭を微粉炭供給管26,27,28,29,30から燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0043】
また、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト37の一端部が連結されている。空気ダクト37は、他端部に送風機38が設けられている。
【0044】
煙道13は、火炉11の上部に連結されている。煙道13は、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器41,42,43、再熱器44,45、節炭器46,47が設けられており、火炉11での燃焼で発生した燃焼ガスと各熱交換器を流通する給水や蒸気との間で熱交換が行われる。
【0045】
煙道13は、その下流側に熱交換を行った燃焼ガスが排気ガスとして、煙道13の下流側へ流れて排出されるガスダクト48が連結されている。ガスダクト48は、空気ダクト37との間にエアヒータ(空気予熱器)49が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、ガスダクト48を流れる燃焼ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
【0046】
また、煙道13には、エアヒータ49より上流側の位置に、触媒層としての脱硝触媒50Aが設けられた脱硝装置50が設けられている。脱硝触媒50Aは、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を煙道13内に供給し、還元剤が供給された排気ガスを窒素酸化物と還元剤との反応を促進させることで、排気ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。そして、煙道13に連結されるガスダクト48は、エアヒータ49より下流側の位置に煤塵処理装置(電気集塵機、脱硫装置)51、誘引送風機52などが設けられ、下流端部に煙突53が設けられている。
【0047】
一方、微粉炭燃料は、粉砕機31,32,33,34,35が駆動すると、生成された微粉炭が搬送用空気と共に微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。また、加熱された燃焼用空気が空気ダクト37から風箱36を介して各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。すると、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と搬送用ガス(一次空気)とが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに着火することで火炎を形成することができる。火炉11内の下部で火炎が生じ、排気ガスがこの火炉11内を上昇し、煙道13に排出される。
【0048】
その後、燃焼ガスは、煙道13に配置される過熱器41,42,43、再熱器44,45、節炭器46,47で熱交換した後、脱硝装置50により窒素酸化物が還元除去され、煤塵処理装置51で粒子状物質が除去されると共に硫黄分が除去された後、煙突53から大気中に排出される。
【0049】
〔第1実施形態〕
次に、本発明の第1実施形態に係る粉塵回収装置100Aについて説明する。
石炭焚きボイラ10の運転中においては、燃焼によって灰が発生する場合がある。灰には、例えば、ポップコーンアッシュと呼ばれる塊状灰や、フライアッシュと呼ばれる微小な石炭灰が含まれている。これらの灰のうち特にポップコーンアッシュを捕集するために、熱交換器47の下流側の煙道13には、ホッパ14やスクリーン(図示せず)などが設けられているものがある。
【0050】
また、
図2に示すように、ホッパ14などで捕集しきれなかったポップコーンアッシュを含む灰が脱硝触媒50Aに直接的に堆積しないように、排気ガスの流れ方向における脱硝触媒50Aの上流側に、ポップコーンアッシュを捕集する金属製とされた網目状のメッシュ60が設けられている。メッシュ60の目開きは脱硝触媒50Aの触媒層の開口よりも小さいことが好ましく、例えば、目開きが3mm以上8mm以下程度である。
【0051】
なお、
図1及び
図2の場合、煙道13に形成された曲がり部13Aの下流側に脱硝装置50が設けられている。この場合、
図2に示すように、曲がり部13Aの内側では排気ガスの流速が遅くなるので、曲がり部13Aの内側近傍のメッシュ60に灰が堆積しやすい。
【0052】
本実施形態に係る粉塵回収装置100Aは、前述のような、200℃以上400℃以下の排気ガスが流通する環境において、メッシュ60の上面を走行しなからメッシュ60に堆積した灰(特にポップコーンアッシュ)を回収する装置である。
【0053】
図3に示すように、粉塵回収装置100Aは、下部に車輪112が設けられている直方体形状の容器とされたケーシング110を備えている。ケーシング110は、耐熱性のある素材(例えば金属)によって作製されている。
なお、ケーシング110の形状は直方体形状に限定されず、角部分が曲面状にされた蒲鉾体形状や、全体が曲面の半球状形状であってもよい。
【0054】
ケーシング110の内部には、負圧を発生させるエジェクタ部121、吸引された灰を分級するサイクロン150(分級器)、サイクロン150で分級された所定粒径以上の灰(主としてポップコーンアッシュ)が貯留される回収ホッパ152、それら各機器に接続された排気管124、吸引管125、配管141(後述の気体供給管141)等が収容されている。
【0055】
また、ケーシング110の下面側の外部には、吸引口127が形成されるとともにエジェクタ部121の吸引管125に接続された吸引ノズル部126(吸引部)と、気体供給口143が形成されるとともに配管141に接続された気体供給ノズル部142(気体供給部)が設置されている。
【0056】
エジェクタ部121は、圧縮空気の流通によって負圧を発生させることで気体を吸引する装置である。本実施形態において、エジェクタ部121に供給される圧縮空気の温度は、排気ガスが流通する煙道13の雰囲気温度(200℃以上400℃以下)よりも低い温度とされ、例えば40℃以上70℃以下の温度とされる。
【0057】
エジェクタ部121について、圧縮空気によって負圧が発生する原理を、一例として、
図4を用いて簡単に説明する。
【0058】
エジェクタ部121は、負圧室122と、負圧室122に連通している吸引管125とを有している。また、負圧室122の内部には、圧縮空気が供給される圧縮空気供給管123の開口端側が貫通している。さらに、負圧室122の内部には、空気が排気される排気管124の開口端側が貫通している。
このとき、圧縮空気供給管123と排気管124との軸線は略一致しているとともに、開口端同士が軸線方向に所定の間隔だけ離間している。
圧縮空気供給管123の開口端側は、軸線方向に沿って縮径した後に拡径していく先細末広ノズル形状とされている。また、排気管124の開口端側は、軸線方向に沿って縮径した後に段階的に拡径していくディフューザ形状とされている。
【0059】
圧縮空気供給管123から噴射された高速の圧縮空気が排気管124に流れ込むとき、ベンチュリ効果によって各開口端の間に負圧が発生する。このとき、圧縮空気供給管123の開口端及び排気管124の開口端は負圧室122の内部に配置されているので、結果として、負圧室122の内部が負圧となる。この負圧によって、負圧室122と連通している吸引管125から気体が吸引されることとなる。
なお、吸引管125から吸引された気体は、圧縮空気供給管123から噴射された空気とともに排気管124に導かれる。
【0060】
図3に示すように、粉塵回収装置100Aにおいて、吸引管125は、エジェクタ部121から下方に向かって延出している。
排気管124は、エジェクタ部121から上方に向かって延出した後、略直角に屈曲してサイクロン150に接続されている。
圧縮空気供給管123は、ケーシング110の外部からケーシング110の内部に貫通した後、エジェクタ部121に接続されている。このとき、圧縮空気供給管123はフレキシブルな配管とされてもよく、
図2に示すように、メッシュ60上の任意の位置にある粉塵回収装置100Aに圧縮空気を供給できる構成とされる。
【0061】
なお、
図3に示された圧縮空気供給管123、排気管124、及び吸引管125の位置関係は、
図4に示された各管の位置関係と異なるが、
図3に示されたエジェクタ部121周辺の構成は、単に概略的に示されたものに過ぎず、原理としては、
図4を用いて説明したものと同様である。
【0062】
図3、
図5、
図6に示すように、吸引ノズル部126は、縦断面が略円弧状とされ所定の幅を持った配管とされている。
吸引ノズル部126は、粉塵回収装置100Aの進行方向(後述)に向かって形成された湾曲面を有する形状とされている。
吸引ノズル部126の先端には、メッシュ60の上面に沿った方向であって粉塵回収装置100Aの進行方向(後述)とは反対の方向に開口された吸引口127が形成されている。
吸引ノズル部126の基端は、メッシュ60の上方を向いており、吸引管125に対してエキスパンション160を介して接続される。
吸引ノズル部126は、エキスパンション160によって、メッシュ60の上下方向(面方向)に対して可動自在とされている。
吸引ノズル部126は、耐熱性のある素材(例えば金属やPEEKなどの高温用樹脂)によって作製される。
【0063】
気体供給ノズル部142は、縦断面が略円弧状とされ所定の幅を持った配管とされている。
気体供給ノズル部142は、粉塵回収装置100Aの進行方向(後述)とは反対の方向に向かって形成された湾曲面を有する形状とされている。
気体供給ノズル部142の先端には、メッシュ60の上面に沿った方向、かつ、吸引ノズル部126に形成された吸引口127に対して対向するように気体供給口143が形成されている。このとき、気体供給口143は複数とされてもよいし、1つとされてもよい。
気体供給ノズル部142の先端は、滑らかな湾曲形状とされ、粉塵回収装置100Aの進行方向(後述)に向かって湾曲している。
気体供給ノズル部142の基端は、メッシュ60の上方を向いており、後述する気体供給管141に対してエキスパンション160を介して接続される。
気体供給ノズル部142は、エキスパンション160によって、メッシュ60の上下方向(面方向)に対して可動自在とされている。
気体供給ノズル部142は、耐熱性のある素材(例えば金属やPEEKなどの高温用樹脂)によって作製される。
【0064】
なお、吸引ノズル部126及び気体供給ノズル部142は、その幅方向において複数に分割された構成とされてもよく、この場合、各吸引ノズル部126及び各気体供給ノズル部142に対してそれぞれエキスパンション160が接続される。
【0065】
図3に示すように、サイクロン150は、吸引された灰を分級する装置であって、排気ガスの流れによって容易にメッシュ60を通過できない所定粒径より大きな灰(例えばポップコーンアッシュ)を選別して、サイクロン150の下方に設置された回収ホッパ152に落下させる。
【0066】
サイクロン150には、吸引された空気及び分級されなかった微小粒形の灰をサイクロン150の外部に排出する配管141が接続されている。
【0067】
配管141は、例えば、サイクロン150から上方に向かって延出した後、略直角に屈曲して水平方向に延在する。その後、再び略直角に屈曲することで下方に向かう。配管141は前述の気体供給管141であって、サイクロン150側の端部とは異なる端部が、エキスパンション160を介して気体供給ノズル部142の基端に接続される。
【0068】
上記説明の粉塵回収装置100Aは、
図2及び
図3に示すように、メッシュ60の上面を自走可能とされている。
図3の場合、粉塵回収装置100Aは、紙面右側から左側に向かって進行している。
粉塵回収装置100Aは、例えば、ケーシング110の内部に収容された図示しないモータの駆動力等によって走行可能とされる。
粉塵回収装置100Aは、例えば、圧縮空気供給管123から供給される圧縮空気の一部を用いたエアモータや内臓蓄電池を用いた電気モータなどを用いた車輪112の回転によって走行されてもよいし、巻取り可能なワイヤによって牽引移動されてもよい。
また、粉塵回収装置100Aは、図示しない制御部によって制御されることで、例えば
図7に示すように、メッシュ60の上面の任意の位置に移動可能とされている。
【0069】
なお、粉塵回収装置100Aを使用しないとき、すなわち、灰を回収する必要がないときは、
図2に示すように、煙道13の側壁外側に設けられた待機室170に粉塵回収装置100Aを収納しておくことができる。
また、煙道13と待機室170との間には、煙道13内と待機室170内とを遮断可能な扉171が設けられている。なお、扉171は二重以上であってもよい。また、扉171の付近にシール空気を導入して待機室170内へ排気ガスが混入しないようにしてもよい。
【0070】
次に、粉塵回収装置100Aの作動について説明する。
灰を回収しないとき、粉塵回収装置100Aは、扉171によって煙道13内と遮断された待機室170内に収納されている。これによって、粉塵回収装置100Aが煙道13内の排気ガスの流れを阻害せず、排気ガスの圧力損失を抑制できる。また、待機中の粉塵回収装置100Aが煙道13内の雰囲気温度によって熱せられることを抑制できる。
一方、灰を回収するときは、粉塵回収装置100Aが待機室170内から煙道13内へ移動し、メッシュ60上を自走しながら灰を回収する。
なお、粉塵回収装置100Aの自走ルートは、予め既定の走行ルートをプログラム化されていてもよいし、回収ホッパ152へのポップコーンアッシュを回収状況を感知して自ら走行ルートを決定してもよい。
【0071】
図3に示すように、灰を回収するに際して、粉塵回収装置100Aのエジェクタ部121には、圧縮空気供給管123を介して40℃以上70℃以下程度の圧縮空気が供給される。この圧縮空気の供給によって、エジェクタ部121には負圧が発生する。
【0072】
負圧の発生と同時に、吸引管125に接続された吸引ノズル部126に形成された吸引口127から空気(煙道13内を流通する200℃以上400℃以下の排気ガスを含む空気)が吸引される。この空気の吸引によって、メッシュ60に堆積した灰(ポップコーンアッシュ及びフライアッシュ)が空気と共に吸引される。
【0073】
吸引口127から吸引された空気及び灰は、吸引ノズル部126、吸引管125を流通した後、エジェクタ部121の内部で供給された圧縮空気と合流する。その後、空気(吸引された空気と供給された圧縮空気)及び灰は、排気管124を流通してサイクロン150に到達する。
【0074】
サイクロン150では、前述の通り、空気によって搬送された灰を、気流によって所定粒径以上の灰(主としてポップコーンアッシュ)と所定粒径よりも小さい灰(主としてフライアッシュ)とに分級する。このとき、所定粒径以上のポップコーンアッシュは、回収ホッパ152に貯留される。一方、所定粒径よりも小さいフライアッシュは、空気とともに気体供給管141(配管141)に導かれる。
このとき、気体供給管141に導かれた空気は、吸引口127から吸引された空気と40℃以上70℃以下の圧縮空気との混合気体とされている。吸引された空気は圧縮空気によって冷却されるので、結果として、気体供給管141に導かれた空気も、煙道13内の雰囲気温度よりも大幅に低い温度となる。
【0075】
気体供給管141に導かれた空気は、気体供給ノズル部142に形成された気体供給口143から吸引口127に向かって噴射される。
なお、気体供給口143から噴射された空気にはフライアッシュが含まれているが、粉塵回収装置100Aの外部に排出された後、煙道13内の排気ガスによってメッシュ60より排気ガス流れの下流側に搬送される。排気ガス流れの下流側に搬送されたフライアッシュは、煤塵処理装置51(例えば電気集塵機等)で回収される(
図1参照)。
【0076】
気体供給口143から吸引口127に向かって吹き出された空気は、メッシュ60に堆積した灰を吸引口127に向かって押し込む。
【0077】
このサイクルを繰り返すことで、粉塵回収装置100Aは、メッシュ60に堆積した灰を吸引して、主としてポップコーンアッシュを回収する。
【0078】
次に、粉塵回収装置100Aから灰を回収する方法について説明する。
図2に示すように、メッシュ60に堆積した灰の回収が完了したら、粉塵回収装置100Aは待機室170に帰還する。
【0079】
粉塵回収装置100Aが待機室170に収納された後、扉171を閉じて、煙道13内と待機室170内とを遮断する。
【0080】
扉171を閉じた状態で、例えば作業員が待機室170内に収納された粉塵回収装置100A内の回収ホッパ152から灰を回収する。
このとき、煙道13内と待機室170内とは遮断されているので、煙道内の雰囲気温度や排気ガスのガス成分による支障を受けることなく、作業員は待機室170にて安全に灰を回収できる。
なお、回収ホッパ152に貯留された灰を別設されたダストシュート(図示せず)へ自動排出するシステムを構成してもよい。
【0081】
粉塵回収装置100Aが灰を回収する頻度としては、次のように試算される。例えば、目開きが3mm以上8mm以下程度のメッシュ60上面へ堆積したポップコーンアッシュの堆積量を約1000kg/年と仮定すると、容積が例えば約50Lの回収ホッパ152を備える粉塵回収装置100Aに5m3/分以上10m3/分以下程度の圧縮空気を供給して、およそ週1回の頻度で粉塵回収装置100Aを運用することが想定される。
なお、灰を回収する頻度は、これに限定されるものではなく、メッシュ60上面へのポップコーンアッシュの年間堆積量や回収ホッパ152の容量などをもとに計画することができる。
【0082】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
負圧を発生させるエジェクタ部121には、煙道13内の雰囲気温度(例えば200℃以上400℃以下)よりも温度が低く気体密度の高い圧縮空気(例えば40℃以上70℃以下程度)が用いられ、また、エジェクタ部121から排出された空気は、排気管124とサイクロン150、気体供給管141、気体供給ノズル142を介して、気体供給口143から吸引口127に向けて吹き出させて供給される。このとき、エジェクタ部121から排出された空気には煙道13内の雰囲気温度よりも低温の圧縮空気が含まれているため、排出された空気も煙道13内の雰囲気温度よりも低温の気体となっている。その空気を気体供給口143から吸引口127に向けて吹き出させて供給するため、排気ガスが流通する高温の雰囲気温度下であっても、吸引口127から吸引されてエジェクタ部121に導かれる空気が煙道13内の雰囲気温度よりも低温の空気となる。
【0083】
これによれば、高温とされ気体密度が小さい空気がエジェクタ部121に導かれた場合と比べて、メッシュ60に堆積した灰を効率的に吸引できる。これについて、エジェクタ部121は、ベンチュリ効果によって発生した負圧を利用して空気を吸引しているが、吸引された空気が高温とされた場合、気体密度が小さいので吸引力が低下する可能性がある。これに対して、低温とされ気体密度が大きい空気がエジェクタ部121に吸引されることで、吸引力の低下を抑制できる。
【0084】
これによって、排気ガスが流通する煙道13内のように高温雰囲気下であっても、メッシュ60上の灰を回収できるので、灰(特にポップコーンアッシュ)の堆積によるメッシュ60の閉塞を抑制できる。また、メッシュ60の閉塞による開口率低下に伴う排気ガスの圧力損失の増加や触媒性能の低下を抑制できる。
【0085】
また、気体供給口143から吸引口127に向けて供給される空気が煙道13内の雰囲気温度よりも低温で気体密度が高いため、メッシュ60に堆積した灰を吸引口127側へ容易に押し込むことができ、灰の吸引を促進できる。
【0086】
また、吸引ノズル部126及び気体供給ノズル部142は、エキスパンション160によってメッシュ60の上下方向に可動自在とされている。このため、吸引ノズル部126又は気体供給ノズル部142がメッシュ60上面に堆積した灰の起伏やメッシュ60自体の凹凸状の起伏に対して柔軟に可動するので、粉塵回収装置100Aが移動する際に、メッシュ60の起伏に対する吸引ノズル部126及び気体供給ノズル部142の引っ掛かりを回避してメッシュ60の上面を自在に移動することができる。
【0087】
なお、粉塵回収装置100Aには、エジェクタ部121から排出された空気の一部をケーシング110内に供給する排気供給部(図示せず)を設けてもよい。排気供給部は、エジェクタ部121から排出された空気の一部を、サイクロン150の出口と回収ホッパ152との間などからケーシング110内に流出させるような構成としてもよい。また、いずれ場合も、ケーシング内に供給された空気によってケーシング110内を低温に維持することができる。このため、高温雰囲気下で使用することが好ましくない機器(例えば電装機器など)をケーシング110内に設置して使用することができる。また、供給された空気によってケーシング110内の圧力を煙道13内より高い圧力に維持できる。このため、ケーシング110の内部に排気ガスや粉塵が侵入することを抑制できる。
【0088】
また、1つのメッシュ60に対して1台の粉塵回収装置100Aではなく、
図8に示すように、複数台(同図において2台)の粉塵回収装置100Aを用意してもよい。この場合、灰の回収時間を短縮できる。また、回収ホッパ152の容量を小さくでき、個々の粉塵回収装置100Aを小型化できる。
【0089】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る粉塵回収装置100Bについて説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、吸引部及び気体供給部に係る形態が異なり、その他の点については同様である。したがって、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、その他は同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0090】
図9に示すように、本実施形態に係る粉塵回収装置100Bは、ケーシング110内で開口する吸引口127が形成された吸引管125(吸引部)と、ケーシング110内で開口する気体供給口143が形成された気体供給管141(気体供給部)と、を備えている。
【0091】
また、粉塵回収装置100Bは、吸引口127と気体供給口143との間に、一部がケーシング110に収容された回転ブラシ161(除去ブラシ)を備えている。
【0092】
吸引口127は、吸引管125の端部であってエジェクタ部121側の端部とは異なる端部に形成されている。
【0093】
気体供給口143は、気体供給管141の端部であってサイクロン150側の端部とは異なる端部に形成されている。
【0094】
吸引口127及び気体供給口143は、ケーシング110の内部で対向して開口されている。
【0095】
回転ブラシ161は、回転軸161A周りに回転可能とされ、例えば、気体供給口143から吹き出された空気や圧縮空気供給管123から供給される圧縮空気の一部を用いたエアモータ等によって回転される。
回転ブラシ161は、回転軸161Aを含む上部がケーシング110の内部に収容されている。一方、回転ブラシ161の下部は、ケーシング110の下面から露出しており、下端近傍がメッシュ60の上面に接触している。
これによって、回転ブラシ161が回転することで、メッシュ60に堆積した灰(ポップコーンアッシュとフライアッシュ)を吸引口127に向けて掻き上げることができる。
【0096】
回転ブラシ161の前方(進行方向側)には、止め板162が設置されていてもよい。止め板162は、回転ブラシ161によって掻き上げられた灰がケーシング110の下面とメッシュ60との間からケーシング110の前方側に掃き出されることを抑制するとともに、回転ブラシ161によって掻き上げられた灰や気体供給口143から吹き出された空気を円滑に吸引口127導くための板状部材である。
【0097】
止め板162は、一端に設けられた支点163によってケーシング110に接続されている。止め板162は、支点163周りに回動自在とされる。このため、止め板162の他端側が、メッシュ60上面に堆積した灰の起伏やメッシュ60自体の凹凸状の起伏に対して柔軟に可動するので、起伏に対する止め板162の引っ掛かりを回避してメッシュ60上を自在に移動することができる。
【0098】
次に、粉塵回収装置100Bの作動について説明する。
エジェクタ部121によって形成される吸引口127から気体供給口143までの空気の流れは第1実施形態と同様である。また、ポップコーンアッシュが回収ホッパ152に貯留されるまでの過程も第1実施形態と同様である。
【0099】
回転ブラシ161は、その回転によってメッシュ60に堆積した灰を吸引口127側に掻き上げる。
【0100】
気体供給口143から吹き出された空気は、回転軸161Aの下側を通過して吸引口127に供給される。このとき、気体供給口143から吸引口127に向かって流れる空気は、メッシュ60に堆積した灰や回転ブラシ161によって掻き上げられた灰を吸引口127に向かって押し込む。
【0101】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
負圧を発生させるエジェクタ部121には、煙道13内の雰囲気温度(例えば200℃以上400℃以下)よりも温度が低く気体密度の高い圧縮空気(例えば40℃以上70℃以下程度)が用いられ、また、エジェクタ部121から排出された空気は、排気管124とサイクロン150、気体供給管141、気体供給ノズル142を介して、気体供給口143から吸引口127に向けて供給される。このとき、エジェクタ部121から排出された空気には煙道13内の雰囲気温度よりも低温の圧縮空気が含まれているため、排出された空気も煙道13内の雰囲気温度よりも低温の気体となっている。その空気を気体供給口143から吸引口127に向けて吹き出して供給するため、排気ガスが流通する高温の雰囲気温度下であっても、吸引口127から吸引されてエジェクタ部121に導かれる空気が煙道13内の雰囲気温度よりも低温の空気となる。
【0102】
これによれば、高温とされ気体密度が小さい空気がエジェクタ部121に供給される場合と比べて、メッシュ60に堆積した灰を効率的に吸引できる。これについて、エジェクタ部121は、ベンチュリ効果によって発生した負圧を利用して空気を吸引しているが、吸引された空気が高温とされた場合、気体密度が小さいので吸引力が低下する可能性がある。これに対して、低温とされ気体密度が大きい空気がエジェクタ部121に吸引されることで、吸引力の低下を抑制できる。
【0103】
これによって、排気ガスが流通する煙道13内のように高温雰囲気下であっても、メッシュ60上の灰を回収できるので、灰(特にポップコーンアッシュ)の堆積によるメッシュ60の閉塞を抑制できる。また、メッシュ60の閉塞による開口率低下に伴う排気ガスの圧力損失の増加や触媒性能の低下を抑制できる。
【0104】
また、回転ブラシ161によるメッシュ60上面に堆積した灰の掻き上げや、気体供給口143から吸引口127に向けて煙道13内の雰囲気温度よりも低温で気体密度の高い空気が供給されることによって、メッシュ60上面に堆積した灰を吸引口127側により容易に効率的に押し込むことができる。
【0105】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る粉塵回収装置100Cについて説明する。本実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態に対して、吸引部及び気体供給部に係る形態が異なり、その他の点については同様である。したがって、第1実施形態及び第2実施形態と異なる点についてのみ説明し、その他は同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0106】
図10に示すように、本実施形態に係る粉塵回収装置100Cは、上部ケーシング110Aに収容され、吸引口127が形成された吸引管125(吸引部)と、下部ケーシング110Bに収容され、気体供給口143が形成された気体供給管141(気体供給部)と、を備えている。
【0107】
上部ケーシング110Aはメッシュ60の上側に配置され、下部ケーシング110Bはメッシュ60の下側、かつ、脱硝触媒50Aの上方に配置されている(
図11参照)。
【0108】
図10に示すように、エジェクタ部121に接続された吸引管125に形成された吸引口127は、メッシュ60の上側からメッシュ60の上面に向かって開口している。また、吸引口127が形成された吸引管125の端部側は、下方から上方に向かって縮径している形状とされている。
なお、前述した第1実施形態と同様に、吸引管125と吸引口127との間にエキスパンションを設けてもよい。
【0109】
排気管124は、一端がエジェクタ部121に接続され、他端がサイクロン150及びに接続されている。なお、サイクロン150及び回収ホッパ152の構造については、前述の実施形態と同様である。
【0110】
気体供給管141に形成された気体供給口143は、メッシュ60の下側からメッシュ60の下面に向かって、かつ、メッシュ60を挟んで吸引口127に対向するように開口している。また、気体供給口143が形成された気体供給管141の端部側は、下方から上方に向かって縮径している形状とされている。
なお、前述した第1実施形態と同様に、気体供給管141と気体供給口143との間にエキスパンションを設けてもよい。
【0111】
気体供給管141には、圧縮空気(例えば40℃以上70℃以下程度)が供給されている。この圧縮空気の供給元は、エジェクタ部121に供給される圧縮空気の供給元と同じであってもよい。
気体供給管141は、圧縮空気供給管123のように、フレキシブルな配管とされることが好ましい。
【0112】
上部ケーシング110Aと下部ケーシング110Bとは別体とされているが、気体供給口143と吸引口127とは、少なくとも灰の回収時において常に対向するように構成されている。
【0113】
上記説明の粉塵回収装置100Cは、
図11に示すように、メッシュ60に沿って走行可能とされていて、上部ケーシング110A及び下部ケーシング110Bがメッシュ60を挟んで同時に移動するようになっている。例えば、上部ケーシング110A及び下部ケーシング110Bはメッシュ60を挟んで高温に耐久性のある磁石を用いて、相互の位置関係を許容範囲内に維持するようにしてもよい。また、上部ケーシング110A及び下部ケーシング110Bの同時走行は、例えば、粉塵回収装置100Cが有する上部ケーシング110A及び下部ケーシング110Bに接続されたワイヤ164を巻取装置165によって巻き取ることで上部ケーシング110A及び下部ケーシング110Bがメッシュ60の相互位置関係を維持させながら、走行させることとしてもよい。
なお、第1実施形態及び第2実施形態のように、圧縮空気供給管123から供給される圧縮空気の一部を用いたエアモータや内臓蓄電池を用いた電気モータなどを用いて車輪112を回転させる走行方式が採用されてもよい。
【0114】
次に、粉塵回収装置100Cの作動について説明する。
エジェクタ部121によって形成される吸引口127からサイクロン150までの空気の流れは第1実施形態と同様である。また、ポップコーンアッシュが回収ホッパ152に貯留されるまでの過程も第1実施形態と同様である。
【0115】
図10に示すように、サイクロン150から排出された空気は、サイクロン150に接続された配管145、排気口128を介して煙道13内に排気される。このとき、排気される空気には、サイクロン150で分級されたフライアッシュが含まれている。
【0116】
気体供給管141から供給され気体供給口143から噴射された圧縮空気は、メッシュ60を下方から上方に向かって通過した後、吸引口127に供給される。このとき、気体供給口143から吸引口127に向かって流れる空気は、メッシュ60に堆積した灰を浮き上がらせるとともに吸引口127に向かって押し込む。
【0117】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
負圧を発生させるエジェクタ部121には、煙道13内の雰囲気温度(例えば200℃以上400℃以下)よりも温度が低く気体密度の高い圧縮空気(例えば40℃以上70℃以下程度)が用いられ、また、煙道13内の雰囲気温度(例えば200℃以上400℃以下)よりも低い温度の圧縮空気(例えば40℃以上70℃以下程度)が気体供給口143から吸引口127に向けて供給される。このため、排気ガスが流通する高温の雰囲気温度下であっても、吸引口127から吸引されてエジェクタ部121に導かれる空気が煙道13内の雰囲気温度よりも低温の空気となる。
【0118】
これによれば、高温とされ気体密度が小さい空気がエジェクタ部121に供給される場合と比べて、メッシュ60に堆積した灰を効率的に吸引できる。これについて、エジェクタ部121は、ベンチュリ効果によって発生した負圧を利用して空気を吸引しているが、吸引された空気が高温とされた場合、気体密度が小さいので吸引力が低下する可能性がある。これに対して、低温とされ気体密度が大きい空気がエジェクタ部121に吸引されることで、吸引力の低下を抑制できる。
【0119】
これによって、排気ガスが流通する煙道13内のように高温雰囲気下であっても、メッシュ60上の灰を回収できるので、灰(特にポップコーンアッシュ)の堆積によるメッシュ60の閉塞を抑制できる。また、メッシュ60の閉塞による開口率低下に伴う排気ガスの圧力損失の増加や触媒性能の低下を抑制できる。
【0120】
また、気体供給口143から噴射された圧縮空気が、煙道13内の雰囲気温度よりも温度が低く気体密度の高い空気によってメッシュ60上面に堆積した灰を直下側からより確実に浮き上がらせて、浮き上がった灰を吸引口127から吸引することで、エジェクタ部121による吸引力を維持しつつ効率的に灰を回収できる。
【0121】
前述した実施形態では、本発明のボイラを石炭焚きボイラとしたが、固体燃料としては、バイオマスや石油コークス、石油残渣などを使用するボイラであってもよい。また、燃料として固体燃料に限らず、重質油などの油焚きボイラにも使用することができ、さらには、燃料としてガス(副生ガス)も使用することができる。そして、これら燃料の混焼焚きにも適用することができる。
【符号の説明】
【0122】
10 石炭焚きボイラ(ボイラ)
11 火炉
12 燃焼装置
13 煙道
21,22,23,24,25 燃焼バーナ
41,42,43 過熱器(熱交換器)
44 第2再熱器(熱交換器)
45 第1再熱器(熱交換器)
46 第2節炭器(熱交換器)
47 第1節炭器(熱交換器)
48 ガスダクト
50 脱硝装置
50A 脱硝触媒
60 メッシュ
100(100A,100B,100C) 粉塵回収装置
110 ケーシング
110A 上部ケーシング
110B 下部ケーシング
112 車輪
121 エジェクタ部
122 負圧室
123 圧縮空気供給管
124 排気管
125 吸引管
126 吸引ノズル部
127 吸引口
128 排気口
141 気体供給管
142 気体供給ノズル部
143 気体供給口
150 サイクロン(分級器)
152 回収ホッパ
160 エキスパンション
161 回転ブラシ(除去ブラシ)
162 止め板
163 支点
164 ワイヤ
165 巻取装置
170 待機室
171 扉