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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】マイクロホンアレイ
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/40 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
H04R1/40 320Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019037943
(22)【出願日】2019-03-01
(65)【公開番号】P2020141383
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000145806
【氏名又は名称】株式会社小野測器
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】平田 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】楠美 貴大
【審査官】辻 勇貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-083260(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0192102(US,A1)
【文献】特開2000-241531(JP,A)
【文献】実開昭57-032868(JP,U)
【文献】登録実用新案第3132914(JP,U)
【文献】特開2007-177524(JP,A)
【文献】特開2008-048294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体において発生する音を検出するための複数のマイクロホンと、
前記複数のマイクロホンを保持する複数の棒状部材と、
前記複数の棒状部材に設けられた複数の支持部と、
前記複数の棒状部材が平行になるように、前記複数の支持部を介して前記複数の棒状部材を相互に結合する複数の結合部とを有し、
各前記棒状部材は、前記被検体に面した長手方向の一端において前記マイクロホンを保持し、
各前記支持部は、それぞれ前記結合部に連結された第1支持体及び第2支持体を含み、
1つの前記棒状部材に設けられた前記第1支持体及び前記第2支持体は、当該1つの棒状部材の長手方向における互いの間隔を変更可能であり、
各前記結合部は、結合する2つの前記棒状部材の一方に設けられた前記第1支持体及び前記第2支持体の間隔と、当該2つの棒状部材の他方に設けられた前記第1支持体及び前記第2支持体の間隔と、当該2つの棒状部材の間隔とを連動して変化させ、
前記複数の結合部は、それぞれが結合する2つの前記棒状部材の間隔を、相互に一定の比を保つように連動して変化させる、
マイクロホンアレイ。
【請求項2】
各前記結合部は、結合する2つの前記棒状部材の一方に設けられた前記第1支持体及び前記第2支持体の間隔と、当該2つの棒状部材の他方に設けられた前記第1支持体及び前記第2支持体の間隔とを、互いに等しい間隔に維持し、
前記複数の結合部は、それぞれが結合する2つの前記棒状部材の間隔を、互い等しい間隔に維持する、
請求項1に記載のマイクロホンアレイ。
【請求項3】
各前記結合部は、
複数のリンクと、
前記複数のリンクを回動可能に連結する1以上のリンク連結部と、
結合する2つの前記棒状部材に設けられた2つの前記第1支持体を、それぞれ前記リンクに対して回動可能に連結する2つの第1支持体連結部と、
当該2つの前記棒状部材に設けられた2つの前記第2支持体を、それぞれ前記リンクに対して回動可能に連結する2つの第2支持体連結部とを含み、
同じ前記結合部に含まれる前記リンク連結部、前記第1支持体連結部及び前記第2支持体連結部は、それぞれの回動軸が互いに平行であるとともに、前記長手方向と平行な方向に対して垂直である、
請求項1又は2に記載のマイクロホンアレイ。
【請求項4】
前記第1支持体は、前記長手方向において前記第2支持体よりも前記マイクロホンに近い場所に設けられており、
各前記結合部は、1つの前記リンク連結部により連結された2つの前記リンクを含み、
前記2つのリンクにおける一方の前記リンクは、結合する2つの前記棒状部材の一方に設けられた前記第1支持体と前記第1支持体連結部により連結されるとともに、当該2つの棒状部材の他方に設けられた前記第2支持体と前記第2支持体連結部により連結され、
前記2つのリンクにおける他方の前記リンクは、当該2つの前記棒状部材の一方に設けられた前記第2支持体と前記第2支持体連結部により連結されるとともに、当該2つの棒状部材の他方に設けられた前記第1支持体と前記第1支持体連結部により連結され、
各前記リンクにおいて、前記リンク連結部の回動軸は、前記第1支持体連結部の回動軸と前記第2支持体連結部の回動軸とを結ぶ線分の中点を通り、
前記複数の結合部は、各前記リンクにおける前記第1支持体連結部の回動軸と前記第2支持体連結部の回動軸との距離が等しい、
請求項3に記載のマイクロホンアレイ。
【請求項5】
前記複数の支持部において、前記第1支持体及び前記第2支持体の一方が前記棒状部材に固定されるか、又は、前記第1支持体及び前記第2支持体の一方が前記棒状部材と一体に形成される、
請求項4に記載のマイクロホンアレイ。
【請求項6】
前記複数の結合部は、前記リンク連結部の回動軸の方向が異なるN個のグループに分かれており、
同一の前記グループに属する全ての前記結合部は、前記リンク連結部の回動軸の方向が、回転対称なN個の基準方向の1つと平行である、
請求項4又は請求項5に記載のマイクロホンアレイ。
【請求項7】
前記複数の結合部は、前記リンク連結部の回動軸の方向が異なるN個のグループに分かれており、
同一の前記グループに属する前記結合部同士は、同一の前記棒状部材において同一の前記支持部に連結され、
異なる前記グループに属する前記結合部は、同一の前記棒状部材において異なる前記支持部に連結され、
同一の前記棒状部材に設けられた前記異なる支持部は、互いに独立して前記第1支持体及び前記第2支持体の間隔を変更可能である、
請求項4~請求項6のいずれか一項に記載のマイクロホンアレイ。
【請求項8】
前記第1支持体及び前記第2支持体の一方が、同一の前記棒状部材に設けられた前記異なる支持部において共有されている、
請求項7に記載のマイクロホンアレイ。
【請求項9】
前記複数の支持部において、前記第1支持体及び前記第2支持体の一方が前記棒状部材に固定されるか、又は、前記第1支持体及び前記第2支持体の一方が前記棒状部材と一体に形成されており
前記棒状部材は、前記マイクロホンを保持する前記長手方向の一端と、前記棒状部材に固定若しくは形成された前記第1支持体及び前記第2支持体の一方との距離を変更可能である、
請求項1~請求項8のいずれか一項に記載のマイクロホンアレイ。
【請求項10】
前記棒状部材は、
前記長手方向に伸びた第1筒状部材と、
前記長手方向に伸びており、前記第1筒状部材の内部を貫通する孔に挿入された第2筒状部材とを含み、
前記第1支持体及び前記第2支持体は、前記第1筒状部材に設けられており、
前記第2筒状部材は、前記被検体に面した前記長手方向の一端において前記マイクロホンを保持する、
請求項9に記載のマイクロホンアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のマイクロホンを備えたマイクロホンアレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロホンアレイは、被検体から発生する音を複数の異なる場所で同時に測定することが可能であり、製品から発生する音を測定する装置などに用いられる。下記の特許文献1には、2つのマイクロホンアレイを用いた音響計測装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-214740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示すように、従来のマイクロホンアレイでは、棒状の部材を組み合わせて構成されたフレームの上に複数のマイクロホンが固定されている。
【0005】
他方、複数のマイクロホンを用いて音の計測を行う場合、通常は、マイクロホンの配置を決定する作業が必要となる。例えば、被検体から発生する音を測定する場合、測定を行なうべき空間の範囲や音の周波数に応じて、随時、マイクの配置を変えながら、最適な配置を絞り込んでいかなければならない。
【0006】
ところが、フレーム上に各マイクロホンが固定された従来のマイクロホンアレイでは、マイクロホンの配置の変更が容易ではない。マイクロホンの配置を変更するには、マイクロホンをフレームから一旦取り外し、別の場所に再度固定しなくてはならず、それを複数のマイクロホンについて行わなければならない。しかも、適切なマイクロホンの配置を決定するには、上記のような配置変更を複数のマイクロホンについて何度も行う必要がある。従って、従来のマイクロホンアレイでは、測定作業に要する時間と労力が非常に大きいという問題がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のマイクロホンの配置を簡単に変更できるマイクロホンアレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るマイクロホンアレイは、被検体において発生する音を検出するための複数のマイクロホンと、複数のマイクロホンを保持する複数の棒状部材と、複数の棒状部材に設けられた複数の支持部と、複数の棒状部材が平行になるように、複数の支持部を介して複数の棒状部材を相互に結合する複数の結合部とを有する。各棒状部材は、被検体に面した長手方向の一端においてマイクロホンを保持する。各支持部は、それぞれ結合部に連結された第1支持体及び第2支持体を含む。1つの棒状部材に設けられた第1支持体及び第2支持体は、当該1つの棒状部材の長手方向における互いの間隔を変更可能である。各結合部は、結合する2つの棒状部材の一方に設けられた第1支持体及び第2支持体の間隔と、当該2つの棒状部材の他方に設けられた第1支持体及び第2支持体の間隔と、当該2つの棒状部材の間隔とを連動して変化させる。複数の結合部は、それぞれが結合する2つの棒状部材の間隔を、相互に一定の比を保つように連動して変化させる。
【0009】
この構成によれば、それぞれ長手方向の一端にマイクロホンを保持する複数の棒状部材が、互いに平行になるように、複数の支持部を介して複数の結合部により相互に結合されている。各棒状部材に設けられた支持部には、棒状部材の長手方向における間隔を変更可能な第1支持体及び第2支持体が含まれている。1つの結合部により結合される2つの棒状部材の一方に設けられた第1支持体及び第2支持体の間隔が変化すると、これに連動して、当該2つの棒状部材の他方に設けられた第1支持体及び第2支持体の間隔が変化するとともに、当該2つの棒状部材の間隔が変化する。複数の結合部により結合された複数の棒状部材のペアにおいては、棒状部材同士の間隔が相互に一定の比を保つように連動して変化する。これにより、複数の棒状部材のペアに対応した複数のマイクロホンのペアにおいて、マイクロホン同士の間隔が相互に一定の比を保つように連動して変化する。
【0010】
各結合部は、結合する2つの棒状部材の一方に設けられた第1支持体及び第2支持体の間隔と、当該2つの棒状部材の他方に設けられた第1支持体及び第2支持体の間隔とを、互いに等しい間隔に維持してよい。複数の結合部は、それぞれが結合する2つの棒状部材の間隔を、互い等しい間隔に維持してよい。
この構成によれば、複数の結合部における機構部品を共通化することが可能になり、装置の構成が簡易になる。
【0011】
各結合部は、複数のリンクと、複数のリンクを回動可能に連結する1以上のリンク連結部と、結合する2つの棒状部材に設けられた2つの第1支持体を、それぞれリンクに対して回動可能に連結する2つの第1支持体連結部と、当該2つの棒状部材に設けられた2つの第2支持体を、それぞれリンクに対して回動可能に連結する2つの第2支持体連結部とを含んでよい。同じ結合部に含まれるリンク連結部、第1支持体連結部及び第2支持体連結部は、それぞれの回動軸が互いに平行であるとともに、長手方向と平行な方向に対して垂直であってよい。
この構成によれば、回動可能な複数のリンクを用いる簡易な構造により、平行な棒状部材同士の間隔と、各棒状部材の長手方向における第1支持体及び第2支持体の間隔とを連動して変化させる機構が構成される。
【0012】
第1支持体は、長手方向において第2支持体よりもマイクロホンに近い場所に設けられていてよい。各結合部は、1つのリンク連結部により連結された2つのリンクを含んでよい。2つのリンクにおける一方のリンクは、結合する2つの棒状部材の一方に設けられた第1支持体と第1支持体連結部により連結されるとともに、当該2つの棒状部材の他方に設けられた第2支持体と第2支持体連結部により連結され、2つのリンクにおける他方のリンクは、当該2つの棒状部材の一方に設けられた第2支持体と第2支持体連結部により連結されるとともに、当該2つの棒状部材の他方に設けられた第1支持体と第1支持体連結部により連結されてよい。各リンクにおいて、リンク連結部の回動軸は、第1支持体連結部の回動軸と第2支持体連結部の回動軸とを結ぶ線分の中点を通ってよい。複数の結合部は、各リンクにおける第1支持体連結部の回動軸と第2支持体連結部の回動軸との距離が等しくてよい。
この構成によれば、リンク連結部において2つのリンクが相対的に回転すると、各リンクに設けられた第1支持体連結部及び第2支持体連結部において、第1支持体とリンクとが相対的に回転するとともに、第2支持体とリンクとが相対的に回転する。これにより、2つのリンクに結合された2つの棒状部材のそれぞれにおいて、第1支持体及び第2支持体の間隔が変化するとともに、当該2つの棒状部材の間隔が変化する。
【0013】
複数の支持部において、第1支持体及び第2支持体の一方が棒状部材に固定されるか、又は、第1支持体及び第2支持体の一方が棒状部材と一体に形成されてよい。
この構成によれば、第1支持体及び第2支持体の一方において棒状部材と結合部とが固定されるため、棒状部材と結合部との相対的な位置関係が変化することによるマイクロホンと被検体との距離の変化が生じ難くなり、当該位置関係の変化が音の測定に影響を与え難くなる。
【0014】
複数の結合部は、リンク連結部の回動軸の方向が異なるN個のグループに分かれていてよい。同一のグループに属する全ての結合部は、リンク連結部の回動軸の方向が、回転対称なN個の基準方向の1つと平行であってよい。
この構成によれば、回転対称なN個の方向におけるマイクロホン同士の間隔を簡単に変更することが可能となる。
【0015】
複数の結合部は、リンク連結部の回動軸の方向が異なるN個のグループに分かれていてよい。同一のグループに属する結合部同士は、同一の棒状部材において同一の支持部に連結されてよい。異なるグループに属する結合部は、同一の棒状部材において異なる支持部に連結されてよい。同一の棒状部材に設けられた異なる支持部は、互いに独立して第1支持体及び第2支持体の間隔を変更可能であってよい。
この構成によれば、N個の方向におけるマイクロホン同士の間隔を独立に変更することが可能となる。
【0016】
第1支持体及び第2支持体の一方が、同一の棒状部材に設けられた異なる支持部において共有されていてよい。
この構成によれば、支持部を構成する部品の点数が減り、構成が簡易になる。
【0017】
複数の支持部において、第1支持体及び第2支持体の一方が棒状部材に固定されるか、又は、第1支持体及び第2支持体の一方が棒状部材と一体に形成されていてよく、棒状部材は、マイクロホンを保持する長手方向の一端と、棒状部材に固定若しくは形成された第1支持体及び第2支持体の一方との距離を変更可能であってよい。
この構成によれば、マイクロホンを保持する棒状部材の長手方向の一端と、棒状部材に固定若しくは形成された第1支持体及び第2支持体の一方との距離を変更可能であるため、被検体とマイクロホンとの距離を任意に設定することが可能となる。
【0018】
棒状部材は、長手方向に伸びた第1筒状部材と、長手方向に伸びており、第1筒状部材の内部を貫通する孔に挿入された第2筒状部材とを含んでよい。第1支持体及び第2支持体は、第1筒状部材に設けられていてよい。第2筒状部材は、被検体に面した長手方向の一端においてマイクロホンを保持してよい。
この構成によれば、第1筒状部材の孔に第2筒状部材を挿入する長さを変更することにより、被検体とマイクロホンとの距離を任意に設定することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数のマイクロホンの配置を簡単に変更できるマイクロホンアレイを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、第1の実施形態に係るマイクロホンアレイの一例を示す斜視図である。
図2図2A及び図2Bは、図1に示すマイクロホンアレイの正面図である。
図3図3A及び図3Bは、図1に示すマイクロホンアレイの側面図である。
図4図4は、第2の実施形態に係るマイクロホンアレイの一例を示す斜視図である。
図5図5A図5Cは、図4に示すマイクロホンアレイの正面図である。
図6図6A図6Cは、図4に示すマイクロホンアレイの側面図である。
図7図7は、第3の実施形態に係るマイクロホンアレイの一例を示す斜視図である。
図8図8A及び図8Bは、図7に示すマイクロホンアレイの正面図である。
図9図9A及び図9Bは、図7に示すマイクロホンアレイの側面図である。
図10図10は、第4の実施形態に係るマイクロホンアレイの一例を示す斜視図である。
図11図11Aは、図10に示すマイクロホンアレイの正面図である。図11Bは、図10に示すマイクロホンアレイの側面図である。
図12図12は、図10に示すマイクロホンアレイにおける棒状部材の分解斜視図である。
図13図13は、被検体の表面の近くに各マイクロホンを位置させた状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るマイクロホンアレイ1の一例を示す斜視図である。図1に示すマイクロホンアレイ1は、被検体において発生する音を検出するための複数のマイクロホン2と、複数のマイクロホン2を保持する複数の棒状部材3と、複数の棒状部材3に設けられた複数の支持部4と、複数の棒状部材3が平行となるように複数の棒状部材3を相互に結合する複数の結合部5A及び5B(以下、区別せずに「結合部5」と記す場合がある。)とを有する。各結合部5は、各棒状部材3に設けられた支持部4を介して、隣接する棒状部材3同士を結合する。本実施形態に係るマイクロホンアレイ1では、結合部5において棒状部材3の結合間隔を変更可能であり、複数の結合部5において結合間隔が連動して変化する。
【0022】
本明細書では、図面に表される各要素の相対的な位置関係を説明するため、互いに垂直な3つの方向(X,Y,Z)が規定される。X方向は互いに逆を向く2つの方向(X1,X2)を含み、Y方向は互いに逆を向く2つの方向(Y1,Y2)を含み、Z方向は互いに逆を向く2つの方向(Z1,Z2)を含む。これらの方向は、説明の便宜上与えられたものに過ぎず、マイクロホンアレイ1の使用の態様を限定するものではない。
【0023】
図2A及び図2Bは、図1に示すマイクロホンアレイ1のY2側から見た正面図である。図3A及び図3Bは、図1に示すマイクロホンアレイ1のX1側から見た側面図である。図2A及び図3Aは、各結合部5において棒状部材3の結合間隔が広がった状態を示し、図2B及び図3Bは、各結合部5において棒状部材3の結合間隔が狭まった状態を示す。
【0024】
図3A及び図3Bに示すように、各棒状部材3の長手方向はY方向に沿っている。Y2側から見た複数の棒状部材3は、図2A及び図2Bの例において、3行3列の行列状に並んでいる。各棒状部材3は、被検体に面した長手方向のY1側の一端においてマイクロホン2を保持する。棒状部材3は筒状の部材であり、棒状部材3の内部には、Y1側からY2側へ貫通する孔が伸びている。マイクロホン2は、音の検出信号を伝送するためのケーブル23に接続されており、このケーブル23が棒状部材3の内部を貫通する孔に挿通されている。ケーブル23は、図3A及び図3Bの例において、棒状部材3のY2側の端部から引き出されている。
【0025】
支持部4は、それぞれ結合部5に連結された第1支持体41及び第2支持体42を含む。第1支持体41は、長手方向において第2支持体42よりもマイクロホン2に近い場所に設けられている。1つの棒状部材3に設けられた第1支持体41及び第2支持体42は、当該1つの棒状部材3の長手方向における互いの間隔を変更可能である。第1支持体41は棒状部材3に固定されており、第2支持体42は棒状部材3の長手方向において移動可能である。図3A及び図3Bに示すように、第2支持体42が棒状部材3の長手方向に沿って移動することにより、第1支持体41と第2支持体42との長手方向における間隔が変化する。
【0026】
図1の例において、第1支持体41及び第2支持体42は、棒状部材3が挿通されるリング状の基部と、基部の外面に設けられた4つの連結用立設部とを有する。基部のX方向の側面に設けられた連結用立設部には、結合部5Aの後述するリンク50が連結される。基部のZ方向の側面に設けられた連結用立設部には、結合部5Bのリンク50が連結される。
【0027】
各結合部5は、結合する2つの棒状部材3の一方に設けられた第1支持体41及び第2支持体42の間隔と、当該2つの棒状部材3の他方に設けられた第1支持体41及び第2支持体42の間隔と、当該2つの棒状部材3の間隔とを連動して変化させる。また、複数の結合部5は、それぞれが結合する2つの棒状部材3の間隔を、相互に一定の比を保つように連動して変化させる。
【0028】
特に、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1において、各結合部5は、結合する2つの棒状部材3の一方に設けられた第1支持体41及び第2支持体42の間隔と、当該2つの棒状部材3の他方に設けられた第1支持体41及び第2支持体42の間隔とを、互いに等しい間隔に維持する。また、複数の結合部5は、それぞれが結合する2つの棒状部材3の間隔を、互いに等しい間隔に維持する。
【0029】
例えば図1に示すように、各結合部5は、2つのリンク50と、リンク連結部53と、2つの第1支持体連結部51と、2つの第2支持体連結部52とを含む。
【0030】
リンク連結部53は、2つのリンク50を回動可能に連結する。例えばリンク連結部53は、2つのリンク50にそれぞれ形成された孔を貫通して軸を構成するリベットやネジなどを含む。
【0031】
第1支持体連結部51は、2つの棒状部材3にそれぞれ設けられた第1支持体41をリンク50に対して回動可能に連結する。例えば第1支持体連結部51は、第1支持体41の連結用突設部に形成された孔とリンク50に形成された孔とを貫通して軸を構成するリベットやネジなどを含む。
【0032】
第2支持体連結部52は、2つの棒状部材3にそれぞれ設けられた第2支持体42をリンク50に対して回動可能に連結する。例えば第2支持体連結部52は、第2支持体42の連結用突設部に形成された孔とリンク50に形成された孔とを貫通して軸を構成するリベットやネジなどを含む。
【0033】
同じ結合部5に含まれるリンク連結部53、第1支持体連結部51及び第2支持体連結部52は、それぞれの回動軸が互いに平行であるとともに、棒状部材3の長手方向と平行な方向(Y方向)に対して垂直である。
【0034】
結合部5の2つのリンク50における一方のリンク50は、結合する2つの棒状部材3の一方に設けられた第1支持体41と第1支持体連結部51により連結されるとともに、当該2つの棒状部材3の他方に設けられた第2支持体42と第2支持体連結部52により連結される。また、当該2つのリンク50における他方のリンク50は、当該2つの棒状部材3の一方に設けられた第2支持体42と第2支持体連結部52により連結されるとともに、当該2つの棒状部材3の他方に設けられた第1支持体41と第2支持体42により連結される。
【0035】
各リンク50において、リンク連結部53の回動軸は、第1支持体連結部51の回動軸と第2支持体連結部52の回動軸とを結ぶ線分の中点を通る。すなわち、リンク連結部53、第1支持体連結部51及び第2支持体連結部52の各回転軸は、同一の直線上に並んでおり、第1支持体連結部51の回動軸と第2支持体連結部52の回動軸との中間にリンク連結部53の回転軸が位置する。
【0036】
複数の結合部5は、各リンク50における第1支持体連結部51の回動軸と第2支持体連結部52の回動軸との距離が等しい。これにより、複数の棒状部材3において第1支持体41との第2支持体42との間隔が等しくなるとともに、複数の結合部5において棒状部材3の結合間隔が等しくなる。
【0037】
本実施形態に係るマイクロホンアレイ1では、複数の結合部5が2つのグループ(結合部5Aのグループ、結合部5Bのグループ)に分かれている。結合部5Aのグループでは、リンク連結部53の回動軸がZ方向に対して平行であり、結合部5Bのグループでは、リンク連結部53の回動軸がX方向に対して平行である。
【0038】
結合部5Aは、X方向において隣接する2つの棒状部材3を結合しており、Z方向に平行な回動軸に周りで2つのリンク50が回動することにより、結合する2つの棒状部材3のX方向における間隔が変化する。結合部5Bは、Z方向において隣接する2つの棒状部材3を結合しており、X方向に平行な回動軸に周りで2つのリンク50が回動することにより、結合する2つの棒状部材3のZ方向における間隔が変化する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1によれば、それぞれ長手方向の一端にマイクロホン2を保持する複数の棒状部材3が、互いに平行になるように、複数の支持部4を介して複数の結合部5により相互に結合されている。各棒状部材3に設けられた支持部4には、棒状部材3の長手方向における間隔を変更可能な第1支持体41及び第2支持体42が含まれている。1つの結合部5により結合される2つの棒状部材3の一方に設けられた第1支持体41及び第2支持体42の間隔が変化すると、これに連動して、当該2つの棒状部材3の他方に設けられた第1支持体41及び第2支持体42の間隔が変化するとともに、当該2つの棒状部材3の間隔が変化する。複数の結合部5により結合された複数の棒状部材3のペアにおいては、棒状部材3同士の間隔が相互に一定の比を保つように連動して変化する。これにより、複数の棒状部材3のペアに対応した複数のマイクロホン2のペアにおいて、マイクロホン2同士の間隔が相互に一定の比を保つように連動して変化する。従って、マイクロホン2同士の間隔を一定の比に保ちながら、複数のマイクロホン2の配置を簡単に変更することができる。
【0040】
特に、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1では、各結合部5において、結合する2つの棒状部材3の一方に設けられた第1支持体41及び第2支持体42の間隔と、当該2つの棒状部材3の他方に設けられた第1支持体41及び第2支持体42の間隔とが、互いに等しい間隔に維持されるとともに、複数の結合部5において、それぞれが結合する2つの棒状部材3の間隔が、互い等しい間隔に維持される。従って、マイクロホン2同士の間隔を同一に保ちながら、複数のマイクロホン2の配置を簡単に変更することができる。また、複数の結合部5における機構部品を共通化できるため、装置の構成を簡易化できる。
【0041】
また、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1によれば、各結合部5において、回動可能な2つのリンク50を用いる簡易な構造により、平行な棒状部材3同士の間隔と、各棒状部材3の長手方向における第1支持体41及び第2支持体42の間隔とを連動して変化させる機構が構成される。これにより、装置の構成を更に簡易化できる。
【0042】
更に、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1によれば、支持部4の第1支持体41と棒状部材3とが固定される。これにより、棒状部材3と結合部5とのY方向における相対的な位置関係が変化し難くなり、当該位置関係が変化することによるマイクロホン2と被検体との距離の変化が生じ難くなる。そのため、当該位置関係が変化することによる音の測定への影響を効果的に抑制できる。
【0043】
また、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1によれば、棒状部材3が筒状の形状を持っており、マイクロホン2に接続されるケーブル23が、棒状部材3の内部を貫通する孔に挿通されている。これにより、ケーブル23が棒状部材3の内部に収容された状態で、被検体から離れる方向(Y1方向)に導かれるため、マイクロホン2による音の測定にケーブル23が影響を与え難くなる。また、各ケーブル23が各棒状部材3の内部に収容されるため、各ケーブル23が各結合部5において棒状部材3の結合間隔を変更する際の邪魔になり難くなる。
【0044】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係るマイクロホンアレイ1Aについて説明する。図4は、第2の実施形態に係るマイクロホンアレイ1Aの一例を示す斜視図である。図5A図5Cは、図4に示すマイクロホンアレイ1AのY2側から見た正面図である。図6A図6Cは、図4に示すマイクロホンアレイ1AのX1側から見た側面図である。図4に示すマイクロホンアレイ1Aは、上述した図1に示すマイクロホンアレイ1における支持部4を支持部4A及び4Bに置き換えたものであり、他の構成は概ね図1に示すマイクロホンアレイ1と同じである。
【0045】
図4に示すマイクロホンアレイ1Aにおいても、図1に示すマイクロホンアレイ1と同様に、複数の結合部5は2つのグループ(結合部5Aのグループ、結合部5Bのグループ)に分かれている。結合部5Aのグループでは、リンク連結部53の回動軸がZ方向に対して平行であり、結合部5Bのグループでは、リンク連結部53の回動軸がX方向に対して平行である。
【0046】
図4に示すマイクロホンアレイ1Aは、結合部5Aにおける棒状部材3のX方向の結合間隔と、結合部5Bにおける棒状部材3のZ方向の結合間隔とを独立に変化させることできる。図5A及び図6Aは、結合部5A及び結合部5Bにおいて棒状部材3のX方向およびZ方向の結合間隔が共に広がった状態を示す。図5B及び図6Bは、結合部5Aにおいて棒状部材3のX方向の結合間隔が広がっているとともに、結合部5Bにおいて棒状部材3のZ方向の結合間隔が狭まっている状態を示す。図5C及び図6Cは、結合部5A及び結合部5Bにおいて棒状部材3のX方向およびZ方向の結合間隔が共に狭まった状態を示す。
【0047】
図4に示すように、同一のグループに属する結合部5A同士は、同一の棒状部材3において同一の支持部4Aに連結される。また、同一のグループに属する結合部5B同士は、同一の棒状部材3において同一の支持部4Bに連結される。異なるグループに属する結合部5A及び5Bは、同一の棒状部材3において異なる支持部4A及び4Bに連結される。
【0048】
図6A図6Cに示すように、支持部4Aは第1支持体41Sと第2支持体42Aを含み、支持部4Bは第1支持体41Sと第2支持体42Bを含む。同一の棒状部材3に設けられた支持部4A及び支持部4Bは、1つの第1支持体41Sを共有している。支持部4Aの第1支持体41S及び第2支持体42Aは、結合部5Aの2つのリンク50に連結され、支持部4Bの第1支持体41S及び第2支持体42Bは、結合部5Bの2つのリンク50に連結される。第1支持体41Sは、長手方向において第2支持体42A及び第2支持体42Bよりもマイクロホン2に近い場所に設けられている。また、第2支持体42Aは、長手方向において第2支持体42Bよりもマイクロホン2に近い場所に設けられている。
【0049】
同一の棒状部材3に設けられた支持部4A及び支持部4Bは、第1支持体41S及び第2支持体42Aの間隔と第1支持体41S及び第2支持体42Bの間隔とを独立に変更可能である。図6A図6Cの例において、第1支持体41Sは棒状部材3に固定されており、第2支持体42A及び第2支持体42Bは棒状部材3の長手方向において独立に移動可能となっている。
【0050】
図4の例において、第1支持体41Sは、棒状部材3に固定される基部と、基部の外面に設けられた4つの連結用立設部とを有する。基部のX方向の側面に設けられた連結用立設部には、結合部5Aのリンク50が第1支持体連結部51により連結され、基部のZ方向の側面に設けられた連結用立設部には、結合部5Bのリンク50が第1支持体連結部51により連結される。
また、図4及び図6A図6Cの例において、第2支持体42A及び第2支持体42Bは、棒状部材3が挿通されるリング状の基部と、基部の外面に設けられた2つの連結用立設部とを有する。第2支持体42Aにおいて基部のX方向の側面に設けられた連結用立設部には、結合部5Aのリンク50が第2支持体連結部52により連結される。第2支持体42Bにおいて基部のZ方向の側面に設けられた連結用立設部には、結合部5Bのリンク50が第2支持体連結部52により連結される。
【0051】
図4に示すマイクロホンアレイ1Aにおいて棒状部材3の結合間隔を狭める場合には、まず、結合部5Aにおいて棒状部材3の結合間隔を狭めるように第2支持体42AをY1側へ移動させ、その後、結合部5Bにおいて棒状部材3の結合間隔を狭めるように第2支持体42BをY1側へ移動させる。また、図4に示すマイクロホンアレイ1Aにおいて棒状部材3の結合間隔を広げる場合には、まず、結合部5Bにおいて棒状部材3の結合間隔を広げるように第2支持体42BをY2側へ移動させ、その後、結合部5Aにおいて棒状部材3の結合間隔を広げるように第2支持体42AをY2側へ移動させる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1Aによれば、X方向における隣接するマイクロホン2同士の間隔と、Z方向における隣接するマイクロホン2同士の間隔とを独立に変更することができる。そのため、複数のマイクロホン2の配置を被検体に合わせて柔軟に変更することができる。また、各方向(X方向、Z方向)においてマイクロホン2同士の間隔が連動して変化するため、複数のマイクロホン2の配置を簡単に変更することができる。
【0053】
また、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1Aによれば、同一の棒状部材3に設けられた支持部4A及び支持部4Bにおいて第1支持体41Sが共有されるため、支持部4A及び支持部4Bを構成する部品の点数が減り、装置の構成を簡易化できる。
【0054】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係るマイクロホンアレイ1Bについて説明する。図7は、第3の実施形態に係るマイクロホンアレイ1Bの一例を示す斜視図である。図7に示すマイクロホンアレイ1Bは、被検体において発生する音を検出するための複数のマイクロホン2と、複数のマイクロホン2を保持する複数の棒状部材3と、複数の棒状部材3に設けられた複数の支持部4Hと、複数の棒状部材3が平行となるように複数の棒状部材3を相互に結合する複数の結合部5C、5D及び5E(以下、区別せずに「結合部5」と記す場合がある。)とを有する。
【0055】
図8A図8Bは、図7に示すマイクロホンアレイ1BのY2側から見た正面図である。図9A図9Bは、図7に示すマイクロホンアレイ1BのX1側から見た側面図である。図8A及び図9Aは、各結合部5において棒状部材3の結合間隔が広がった状態を示し、図8B及び図9Bは、各結合部5において棒状部材3の結合間隔が狭まった状態を示す。図9A及び図9Bに示すように、各棒状部材3の長手方向はY方向に沿っている。図8A及び図8Bに示すように、Y2側から見た複数の棒状部材3は、正六角形の6つ頂点と中心に対応する場所に位置する。
【0056】
図7に示すマイクロホンアレイ1Bにおける各マイクロホン2、各棒状部材3、各結合部5の構成は、上述した図1図4に示すマイクロホンアレイ1Aと同様である。ただし、図7に示すマイクロホンアレイ1Bでは、複数の結合部5が3つのグループ(結合部5Cのグループ、結合部5Eのグループ、結合部5Dのグループ)に分かれている。この3つのグループの各々におけるリンク連結部53の回動軸の方向は、回転対称な3つの基準方向C、D、Eの1つと平行である。すなわち、結合部5Cのグループでは、リンク連結部53の回動軸がC方向に対して平行であり、結合部5Dのグループでは、リンク連結部53の回動軸がD方向に対して平行であり、結合部5Eのグループでは、リンク連結部53の回動軸がE方向に対して平行である。なお、図8A及び図8Bの例において、C方向はZ方向と同じである。
【0057】
支持部4Hは、それぞれ結合部5に連結された第1支持体41H及び第2支持体42Hを含む。第1支持体41Hは、長手方向において第2支持体42Hよりもマイクロホン2に近い場所に設けられている。1つの棒状部材3に設けられた第1支持体41H及び第2支持体42Hは、当該1つの棒状部材3の長手方向における互いの間隔を変更可能である。第1支持体41Hは棒状部材3に固定されており、第2支持体42Hは棒状部材3の長手方向において移動可能である。図9A及び図9Bに示すように、第2支持体42Hが棒状部材3の長手方向に沿って移動することにより、第1支持体41Hと第2支持体42Hとの長手方向における間隔が変化する。
【0058】
図7の例において、第1支持体41H及び第2支持体42Hは、棒状部材3が挿通されるリング状の基部と、基部の外面に設けられた6つの連結用立設部とを有する。基部のC方向と垂直な方向(X方向)の側面に設けられた連結用立設部には、結合部5Cのリンク50が連結される。基部のD方向と垂直な方向の側面に設けられた連結用立設部には、結合部5Dのリンク50が連結される。基部のE方向と垂直な方向の側面に設けられた連結用立設部には、結合部5Eのリンク50が連結される。
【0059】
本実施形態に係るマイクロホンアレイ1Bによれば、各結合部5において結合される2つの棒状部材3の間隔を同一にして比較した場合、図1図4に示すマイクロホンアレイ1Aに比べてマイクロホン2の配置密度を高めることができる。
【0060】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態に係るマイクロホンアレイ1Cについて説明する。図10は、第4の実施形態に係るマイクロホンアレイ1Cの一例を示す斜視図である。図11Aは、図10に示すマイクロホンアレイ1CのY2側から見た正面図である。図11Bは、図10に示すマイクロホンアレイ1CのX1側から見た側面図である。図10に示すマイクロホンアレイ1Cは、上述した図7に示すマイクロホンアレイ1Bにおける棒状部材3を棒状部材3Aに置き換えたものであり、他の構成は図7に示すマイクロホンアレイ1Bと同じである。
【0061】
図12は、図10に示すマイクロホンアレイ1Cにおける棒状部材3Aの分解斜視図である。棒状部材3Aは、マイクロホン2を保持する長手方向のY2側の一端と、棒状部材3Aに固定された第1支持体41との距離を変更可能である。図12の例において、棒状部材3Aは、それぞれ長手方向に伸びた第1筒状部材31及び第2筒状部材32を有する。第2筒状部材32は、第1筒状部材31の内部をY方向に貫通する孔にY2側から挿入されている。第2筒状部材32のY2側の端部には、マイクロホン保持部材33を介してマイクロホン2が固定される。マイクロホン保持部材33は、第2筒状部材32のY2側の開口部を塞いでおり、マイクロホン2をY2側へ突き出すように保持する。マイクロホン2のケーブル23は、第2筒状部材32の内部を貫通する孔、及び、第1筒状部材31の内部を貫通する孔に挿通され、第1筒状部材31のY1側の開口部から外側に引き出される。
【0062】
第1支持体41H及び第2支持体42Hは、第1筒状部材31のY2側の外面に設けられている。第1支持体41Hは、第2支持体42Hよりマイクロホン2に近い場所で第1筒状部材31に固定されており、第2支持体42Hは、第1筒状部材31の長手方向に沿って移動可能である。
【0063】
マイクロホン2は、検出対象の音を導入するための音孔20を有する。音孔20を被検体の近くに位置させることによって、被検体の近接音を収音することができる。
【0064】
図12の例において、マイクロホン2は、第2筒状部材32を被検体に向かってY2方向に移動させた場合に被検体と当接可能な端面21を有する。端面21は、マイクロホン2において最もY2側(被検体に近い側)に位置する。音孔20は、端面21とは異なるマイクロホン2の外面22に形成されている。図12に示すマイクロホン2は、概ね直方体状の形状を持っており、その直方体形状における1つの面が端面21となっている。音孔20は、端面21に接した4面のうちの1つに形成されている。
【0065】
なお、マイクロホン2の形状は図12に示すような直方体に限定されるものではなく、例えば円筒形でもよい。この場合、円筒形の形状における先端の円形の端面を被検体に当接可能とし、外周面上に音孔を設けてもよい。
【0066】
図12の例において、棒状部材3Aは、第2筒状部材32を長手方向(Y方向)へ移動自在に支持する軸受34を有する。軸受34は、例えば樹脂や金属などで形成された無給油型の滑り軸受であり、図12の例では、第2筒状部材32を貫通させる孔を備えた筒状の形状を持つ。軸受34は、第1筒状部材31のY2側の端部に設けた軸受ホルダ36によって保持される。
【0067】
また、図12の例において、棒状部材3Aは、第2筒状部材32の外面と摺動し、第2筒状部材32の長手方向(Y方向)への移動に対して抵抗を付与する抵抗付与部材35を有する。抵抗付与部材35は、例えば樹脂等で形成されたOリングであり、中心の孔に第2筒状部材32が挿通される。抵抗付与部材35は、軸受34とともに軸受ホルダ36によって保持される。
【0068】
軸受ホルダ36は、筒状の形状を有しており、内部を貫通する孔の内面にリング状の段差363が設けられている。軸受34は、軸受ホルダ36の段差363に対してY2側の開口部361より挿入される。抵抗付与部材35は、軸受34と段差363の間に収容される。軸受ホルダ36の段差363に対してY1側の開口部362には、第1筒状部材31のY2側の端部が挿入される。
【0069】
軸受ホルダ36の外面には、3つのねじ37が取り付けられている。各ねじ37の先端は、第1筒状部材31に形成されたねじ孔311を貫通し、第2筒状部材32の外面に当接する。各ねじ37を第2筒状部材32に向かって締め付けることにより、第2筒状部材32が第1筒状部材31に対して固定される。
【0070】
図13は、被検体9の表面の近くにマイクロホンアレイ1Cの各マイクロホン2を位置させた状態を示す。各マイクロホン2は、例えば図13に示すように、被検体9の表面とマイクロホン2の端面21とが接する位置に配置される。これにより、各マイクロホン2の音孔20と被検体9の表面との距離が概ね等しくなる。
【0071】
なお、マイクロホンアレイ1Cを用いた他の測定例では、各マイクロホン2の端面21を被検体9の表面から離して音の測定を行ってもよい。各マイクロホン2の端面21を被検体9の表面から離間させて音の測定を行う場合は、端面21に音孔20を設けてもよい。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1Cによれば、マイクロホン2を保持する棒状部材3Aの長手方向の一端と、棒状部材3Aに固定された第1支持体41Hとの距離を変更可能であるため、被検体9とマイクロホン2との距離を任意に設定することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1Cによれば、第2筒状部材32を支持する軸受34を設けることにより、第2筒状部材32が長手方向へスムーズに移動することを許容しつつ第2筒状部材32を安定に支持することが可能となる。この場合、抵抗付与部材35を設けることにより、第2筒状部材32が長手方向へ移動する際の抵抗の大きさを適切に設定し易くなる。
【0074】
更に、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1Cによれば、マイクロホン2の端面21を被検体9に当接させた状態で、端面21とは異なる外面22に形成されたマイクロホン2の音孔20に検出対象の音が導入される。そのため、各マイクロホン2の端面21を被検体9に当接させるだけの簡単な操作により、各マイクロホン2の音孔20と被検体9との距離を所定の長さに設定することが可能となる。従って、マイクロホン2のセッティング作業が簡単となり、測定作業を効率化できる。
【0075】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0076】
例えば、上述した各実施形態における結合部5は、1つのリンク連結部53により回動可能に連結された2つのリンク50を含んでいるが、本発明の他の実施形態における結合部は、2以上のリンク連結部により回動可能に連結された3以上のリンクを含んでもよい。
【0077】
また、上述した各実施形態おける支持部4(4H)では、マイクロホン2に対して近い側に位置する第1支持体41(41H)が棒状部材3(3A)に固定されているが、本発明の他の実施形態における支持部では、マイクロホンに対して遠い側に位置する第2支持体が棒状部材に固定されてもよい。
【0078】
上述した各実施形態における支持部4(4H)では、第1支持体41(41H)が棒状部材3(3A)に固定されているが、本発明の他の実施形態における支持部では、第1支持体若しくは第2支持体が棒状部材3と一体に形成されていてもよい。
【0079】
また、第1支持体及び第2支持体の一方と棒状部材との固定は、接着剤や溶接等によって取り外しできないようにしてもよいし、ネジなどによって取り外しできるように取り外し可能にしてもよい。第1支持体及び第2支持体の一方と棒状部材との固定を解除できるようにすることで、棒状部材に固定される支持体(第1支持体又は第2支持体)と、マイクロホンが保持された棒状部材の一端との距離を任意に調節することが可能となる。
【0080】
上述した各実施形態では、被検体において発生する音を検出する複数のマイクロホンを有したマイクロホンアレイの例が挙げられているが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明は、上述したように音を検出対象としてもよいし、音以外の種々の物理量(例えば振動、熱、磁気、静電容量、光など)を検出対象としてもよい。すなわち本発明は、所定の物理量を検出する複数のセンサを有したセンサアレイにも適用可能である。この場合、上述した実施形態における「マイクロホン」は「センサ」と読み替え、「音」は「センシング対象の物理量」と読み替えてよい。
【符号の説明】
【0081】
1,1A,1B,1C…マイクロホンアレイ、2…マイクロホン、20…音孔、21…端面、22…外面、23…ケーブル、3,3A…棒状部材、31…第1筒状部材、311…ねじ孔、32…第2筒状部材、33…マイクロホン保持部材、34…軸受、35…抵抗付与部材、36…軸受ホルダ、361,362…開口部、363…段差、37…ねじ、4,4A,4B,4H…支持部、41,41S,41H…第1支持体、42,42A,42B…第2支持体、5,5A,5B,5C,5D,5E…結合部、50…リンク、51…第1支持体連結部、52…第2支持体連結部、53…リンク連結部、9…被検体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13