(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】ウェブ乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 13/20 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
F26B13/20
(21)【出願番号】P 2019054120
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】松田 健
(72)【発明者】
【氏名】竹市 芳邦
(72)【発明者】
【氏名】平松 賢太
(72)【発明者】
【氏名】平井 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】植村 亮太
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-107182(JP,A)
【文献】実公昭41-21915(JP,Y1)
【文献】特開2010-110926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0064967(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側乾燥経路と、前記上側乾燥経路より下側の下側乾燥経路との間において、鉛直方向から見て少なくとも一部で重複するように上下に配置された2個の送風ユニットを備え、
前記2個の送風ユニットのうち上側に配置された一方送風ユニットは、前記上側乾燥経路に下側から対向して、前記上側乾燥経路を通過するウェブに気体を噴射し、
前記2個の送風ユニットのうち下側に配置された他方送風ユニットは、前記下側乾燥経路に上側から対向して、前記下側乾燥経路を通過するウェブに気体を噴射し、
前記一方送風ユニットは、水平方向の一端に設けられた第1側壁と、水平方向の他端に設けられた第2側壁と、前記第1側壁と前記第2側壁との間で前記第1側壁および前記第2側壁より下側に位置して当該一方送風ユニットの下端を構成する下端部とを有し、
前記他方送風ユニットは、水平方向の一端に設けられた第3側壁と、水平方向の他端に設けられた第4側壁と、前記第3側壁と前記第4側壁との間で前記第3側壁および前記第4側壁より上側に位置して当該他方送風ユニットの上端を構成する上端部とを有し、
前記一方送風ユニットの前記下端部は、前記他方送風ユニットの前記上端部に対して水平方向にずれており、鉛直方向において前記上端部より下側に突出しているウェブ乾燥装置。
【請求項2】
前記一方送風ユニットは、前記第1側壁と前記第2側壁との間に位置する一方凸部と、前記第1側壁から前記一方凸部まで延設されて前記一方凸部に向かって下るように水平方向に対して傾斜する第1傾斜部と、前記第2側壁から前記一方凸部まで延設されて前記一方凸部に向かって下るように水平方向に対して傾斜する第2傾斜部とを有し、前記一方凸部は前記第1傾斜部および前記第2傾斜部から下側に突出して、前記一方凸部の下端面が前記下端部に相当し、
前記他方送風ユニットは、前記第3側壁と前記第4側壁との間に位置する他方凸部と、前記第3側壁から前記他方凸部まで延設されて前記他方凸部に向かって上るように水平方向に対して傾斜する第3傾斜部と、前記第4側壁から前記他方凸部まで延設されて前記他方凸部に向かって上るように水平方向に対して傾斜する第4傾斜部とを有し、前記他方凸部は前記第3傾斜部および前記第4傾斜部から上側に突出して、前記他方凸部の上端面が前記上端部に相当する請求項1に記載のウェブ乾燥装置。
【請求項3】
前記第1傾斜部は、水平方向に対して一定の第1角度で傾斜し、前記第2傾斜部は、水平方向に対して一定の第2角度で傾斜し、前記第3傾斜部は、水平方向に対して一定の第3角度で傾斜し、前記第4傾斜部は、水平方向に対して一定の第4角度で傾斜する請求項2に記載のウェブ乾燥装置。
【請求項4】
前記一方送風ユニットは、前記上側乾燥経路の延設方向に配列されて、それぞれ前記上側乾燥経路を通過する前記ウェブに下側から対向する複数の一方ノズルを有し、前記第1側壁、前記第2側壁および前記一方凸部で構成される一方チャンバ内に供給された気体を前記複数の一方ノズルのそれぞれから噴射し、
前記他方送風ユニットは、前記下側乾燥経路の延設方向に配列されて、それぞれ前記下側乾燥経路を通過する前記ウェブに上側から対向する複数の他方ノズルを有し、前記第3側壁、前記第4側壁および前記他方凸部で構成される他方チャンバ内に供給された気体を前記複数の他方ノズルのそれぞれから噴射する請求項2または3に記載のウェブ乾燥装置。
【請求項5】
前記一方送風ユニットは、前記一方凸部の水平方向の一端に一致して鉛直方向に平行な第1仮想直線と、前記一方凸部の水平方向の他端に一致して鉛直方向に平行な第2仮想直線との間で、前記上側乾燥経路の延設方向および鉛直方向に直交する方向へ開口する一方開口を有し、前記一方開口から前記一方チャンバ内に気体が供給され、
前記他方送風ユニットは、前記他方凸部の水平方向の一端に一致して鉛直方向に平行な第3仮想直線と、前記他方凸部の水平方向の他端に一致して鉛直方向に平行な第4仮想直線との間で前記下側乾燥経路の延設方向および鉛直方向に直交する方向へ開口する他方開口を有し、前記他方開口から前記他方チャンバ内に気体が供給される請求項4に記載のウェブ乾燥装置。
【請求項6】
前記一方開口は、前記一方凸部と少なくとも一部で重複し、前記他方開口は、前記他方凸部と少なくとも一部で重複する請求項5に記載のウェブ乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウェブに気体を噴射することでウェブを乾燥させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乾燥経路を通過するウェブに対して気体を噴射することでウェブを乾燥させる装置が記載されている。特にこの装置では、2個の乾燥経路が上下に設けられており、各乾燥経路のそれぞれに対して気体を噴射するための機構が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように上下に2個の乾燥経路を設けた乾燥装置では、乾燥経路を移動するウェブに対して気体を噴射する送風ユニットを、これら2個の乾燥経路の間で上下に配置する構成が考えられる。これによって、上側の乾燥経路に対して上側の送風ユニットから気体を噴射し、下側の乾燥経路に対して下側の送風ユニットから気体を噴射するといった動作が可能となる。ただし、2個の送風ユニットを上下に配置したことで、これらの配置スペースが大きくなるといった問題があった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、乾燥経路を通過するウェブに送風ユニットから気体を噴射する乾燥装置において、2個の乾燥経路の間で上下に2個の送風ユニットをコンパクトに配置することを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るウェブ乾燥装置は、上側乾燥経路と、上側乾燥経路より下側の下側乾燥経路との間において、鉛直方向から見て少なくとも一部で重複するように上下に配置された2個の送風ユニットを備え、2個の送風ユニットのうち上側に配置された一方送風ユニットは、上側乾燥経路に下側から対向して、上側乾燥経路を通過するウェブに気体を噴射し、2個の送風ユニットのうち下側に配置された他方送風ユニットは、下側乾燥経路に上側から対向して、下側乾燥経路を通過するウェブに気体を噴射し、一方送風ユニットは、水平方向の一端に設けられた第1側壁と、水平方向の他端に設けられた第2側壁と、第1側壁と第2側壁との間で第1側壁および第2側壁より下側に位置して当該一方送風ユニットの下端を構成する下端部とを有し、他方送風ユニットは、水平方向の一端に設けられた第3側壁と、水平方向の他端に設けられた第4側壁と、第3側壁と第4側壁との間で第3側壁および第4側壁より上側に位置して当該他方送風ユニットの上端を構成する上端部とを有し、一方送風ユニットの下端部は、他方送風ユニットの上端部に対して水平方向にずれており、鉛直方向において上端部より下側に突出している。
【0007】
このように構成された本発明(ウェブ乾燥装置)は、2個の送風ユニットが、上側乾燥経路と下側乾燥経路との間において、鉛直方向から見て少なくとも一部で重複するように上下に配置されている。特に、2個の送風ユニットのうち、上側の一方送風ユニットの下端部が下側の他方送風ユニットの上端部に対して水平方向にずれるとともに鉛直方向において上端部より下側に突出するように、2個の送風ユニットが配置されている。こうして、2個の乾燥経路の間で上下に2個の送風ユニットをコンパクトに配置することが可能となっている。
【0008】
また、一方送風ユニットは、第1側壁と第2側壁との間に位置する一方凸部と、第1側壁から一方凸部まで延設されて一方凸部に向かって下るように水平方向に対して傾斜する第1傾斜部と、第2側壁から一方凸部まで延設されて一方凸部に向かって下るように水平方向に対して傾斜する第2傾斜部とを有し、一方凸部は第1傾斜部および第2傾斜部から下側に突出して、一方凸部の下端面が下端部に相当し、他方送風ユニットは、第3側壁と第4側壁との間に位置する他方凸部と、第3側壁から他方凸部まで延設されて他方凸部に向かって上るように水平方向に対して傾斜する第3傾斜部と、第4側壁から他方凸部まで延設されて他方凸部に向かって上るように水平方向に対して傾斜する第4傾斜部とを有し、他方凸部は第3傾斜部および第4傾斜部から上側に突出して、他方凸部の上端面が上端部に相当するように、ウェブ乾燥装置を構成してもよい。
【0009】
かかる構成では、一方送風ユニットは、その両端の第1側壁および第2側壁それぞれから、これらの間に位置する一方凸部まで第1傾斜部および第2傾斜部が延設された外観形状を有する。また、他方送風ユニットは、その両端の第3側壁および第4側壁それぞれから、これらの間に位置する他方凸部まで第3傾斜部および第4傾斜部が延設された外観形状を有する。そして、一方送風ユニットでは、一方凸部が第1傾斜部および第2傾斜部から下側に突出して、一方凸部の下端面が一方送風ユニットの下端部を構成し、他方送風ユニットでは、他方凸部が第3傾斜部および第4傾斜部から上側に突出して、他方凸部の上端面が他方送風ユニットの上端部を構成する。このように、それぞれ一方凸部および他方凸部を有する一方送風ユニットおよび他方送風ユニットを上下に配置すると、これら凸部が嵩張るために、これら送風ユニットの配置スペースが大きくなるおそれがあった。これに対して、上側の一方送風ユニットの一方凸部の下端面が、下側の他方送風ユニットの他方凸部の上端面より下側に突出するように、これら送風ユニットが配置されている。その結果、これらの送風ユニットをコンパクトに配置することが可能となっている。
【0010】
また、第1傾斜部は、水平方向に対して一定の第1角度で傾斜し、第2傾斜部は、水平方向に対して一定の第2角度で傾斜し、第3傾斜部は、水平方向に対して一定の第3角度で傾斜し、第4傾斜部は、水平方向に対して一定の第4角度で傾斜するように、ウェブ乾燥装置を構成してもよい。かかる構成では、第1~第4傾斜部のそれぞれを、第1~第4角度で傾けて取り付けられた平板で構成することができ、ウェブ乾燥装置を簡単に構成することができる。
【0011】
また、一方送風ユニットは、上側乾燥経路の延設方向に配列されて、それぞれ上側乾燥経路を通過するウェブに下側から対向する複数の一方ノズルを有し、第1側壁、第2側壁および一方凸部で構成される一方チャンバ内に供給された気体を複数の一方ノズルのそれぞれから噴射し、他方送風ユニットは、下側乾燥経路の延設方向に配列されて、それぞれ下側乾燥経路を通過するウェブに上側から対向する複数の他方ノズルを有し、第3側壁、第4側壁および他方凸部で構成される他方チャンバ内に供給された気体を複数の他方ノズルのそれぞれから噴射するように、ウェブ乾燥装置を構成してもよい。
【0012】
かかる構成では、一方送風ユニットの第1側壁、第2側壁および一方凸部で構成される一方チャンバ内に外部から供給された気体が複数の一方ノズルのそれぞれから噴射される。一方送風ユニットの両端から一方凸部までそれぞれ延設された第1傾斜部および第2傾斜部は、一方凸部に向かって下るように水平方向に傾斜しており、一方チャンバの内部は、両端に向かうに向かって狭くなるテーパが設けられている。したがって、圧力損失の影響を抑制して、複数の一方ノズルから一様に気体を噴射することができる。また、他方送風ユニットにおいても同様の効果が奏される。
【0013】
また、一方送風ユニットは、一方凸部の水平方向の一端に一致して鉛直方向に平行な第1仮想直線と、一方凸部の水平方向の他端に一致して鉛直方向に平行な第2仮想直線との間で、上側乾燥経路の延設方向および鉛直方向に直交する方向へ開口する一方開口を有し、一方開口から一方チャンバ内に気体が供給され、他方送風ユニットは、他方凸部の水平方向の一端に一致して鉛直方向に平行な第3仮想直線と、他方凸部の水平方向の他端に一致して鉛直方向に平行な第4仮想直線との間で下側乾燥経路の延設方向および鉛直方向に直交する方向へ開口する他方開口を有し、他方開口から他方チャンバ内に気体が供給されるように、ウェブ乾燥装置を構成してもよい。かかる構成では、一方送風ユニットにおいて第1傾斜部と第2傾斜部との間に設けられた一方開口から気体が供給される。つまり、一方チャンバ内に設けられた両側のテーパの間から気体を供給することができ、複数の一方ノズルから一様に気体を噴射することができる。また、他方送風ユニットにおいても同様の効果が奏される。
【0014】
また、一方開口は、一方凸部と少なくとも一部で重複し、他方開口は、他方凸部と少なくとも一部で重複するように、ウェブ乾燥装置を構成してもよい。かかる構成では、気体が供給される一方開口と一方ノズルとの距離を鉛直方向に確保できるため、複数の一方ノズルから一様に気体を噴射することができる。また、他方送風ユニットにおいても同様の効果が奏される。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、2個の乾燥経路の間で上下に2個の送風ユニットをコンパクトに配置することを可能とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明に係るウェブ乾燥装置の一例に相当する乾燥炉を備えた印刷システムの一例を模式的に示す正面図。
【
図2】
図1の印刷システムが備える後段乾燥炉を模式的に示す正面視における部分断面図。
【
図4】送風乾燥部の外観構成を模式的に示す部分斜視図。
【
図5】後段乾燥炉が備える6台の送風乾燥部のうち
図2右側の3台の送風乾燥部を模式的に示す正面図。
【
図6】後段乾燥炉が備える6台の送風乾燥部のうち
図2左側の3台の送風乾燥部を模式的に示す正面図。
【
図7】各凸部の位置関係のバリエーションを表形式で示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係るウェブ乾燥装置の一例に相当する乾燥炉を備えた印刷システムの一例を模式的に示す正面図である。
図1および以下に示す図では、水平方向Xおよび鉛直方向Zを適宜示す。
図1に示すように、印刷システム1は、互いに同一の高さを有する前段印刷機2、前段乾燥炉3、後段印刷機4および後段乾燥炉5がこの順で水平方向X(配列方向)に並んだ構成を具備する。この印刷システム1は、繰出ローラ11から巻取ローラ12へロール・トゥ・ロールで印刷媒体Mを搬送しつつ、前段印刷機2で印刷した印刷媒体Mを前段乾燥炉3で乾燥させ、さらに後段印刷機4で印刷した印刷媒体Mを後段乾燥炉5で乾燥させる。なお、印刷媒体Mとしては、紙あるいはフィルム等の種々の素材を利用できる。また、以下では、印刷媒体Mの両面のうち、画像が印刷される面を表面M1と、表面M1の反対側の面を裏面M2と適宜称する。
【0018】
前段印刷機2は、印刷媒体Mの表面M1に対してインクジェット方式でインクを吐出する複数の印刷ヘッド21を備える。ここで示す例では、4色のプロセスカラー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のインクを吐出する4個の印刷ヘッド21と、2色の特色インク(オレンジ、バイオレット、グリーン等)を吐出する2個の印刷ヘッド21とを含む6個の印刷ヘッド21が設けられている。つまり。前段印刷機2は、互いに異なる色のインクを吐出する6個の印刷ヘッド21によって、カラー画像を印刷媒体Mの表面M1に印刷することができる。なお、特色インクを吐出する印刷ヘッド21は必須ではない。
【0019】
前段印刷機2によりカラー画像が印刷された印刷媒体Mは、前段印刷機2から前段乾燥炉3へと搬送される。前段乾燥炉3は、印刷媒体Mを鉛直方向Zに適宜折り返しながら、ヒータ31により印刷媒体Mを加熱する。これによって、印刷媒体Mの表面M1に付着したインクが乾燥される。なお、前段乾燥炉3で印刷媒体Mを乾燥させる手段は、ヒータ31に限られず、温風を噴射することで印刷媒体Mを加熱することで印刷媒体Mを乾燥させてもよいし、常温の気体を印刷媒体Mに噴射することで印刷媒体Mを乾燥させてもよい。
【0020】
こうして前段乾燥炉3により乾燥された印刷媒体Mは、前段乾燥炉3から後段印刷機4へと搬送される。後段印刷機4は、印刷媒体Mの表面M1に対してインクジェット方式でインクを吐出する印刷ヘッド41を備える。ここで示す例では、印刷ヘッド41は白色のインクを吐出する。したがって、後段印刷機4は、前段印刷機2で印刷されたカラー画像に対して、印刷媒体Mの表面M1に白色の背景画像を印刷することができる。
【0021】
こうして後段印刷機4により背景画像が印刷された印刷媒体Mは、後段印刷機4から後段乾燥炉5へと搬送される。そして、後段乾燥炉5は、前段印刷機2によって印刷媒体Mに印刷されたカラー画像を構成するインクと、後段印刷機4によって印刷媒体Mに印刷された背景画像を構成するインクとを乾燥させる。
【0022】
図2は
図1の印刷システムが備える後段乾燥炉を模式的に示す正面視における部分断面図である。
図2では、水平方向Xの一方側がX1側と表記され、水平方向Xの他方側がX2側(X1側の反対側)と表記されている。なお、以下に示す図においても、同様の表記を適宜用いる。
【0023】
後段乾燥炉5は、水平方向Xに印刷媒体Mを適宜折り返して搬送しながら印刷媒体Mを乾燥させる。この後段乾燥炉5は、後段印刷機4に対して水平方向Xに間隔を空けて配置された筐体6を備える。この筐体6は、水平方向Xに延設された直方体形状を有し、水平方向Xにおける筐体6の両側壁6a、6bは、鉛直方向Zに平行であるとともに水平方向Xに垂直であり、水平方向Xに間隔を空けて互いに対向する。
【0024】
側壁6a、6bのうち、水平方向XのX2側(後段印刷機4側)の側壁6aには、鉛直方向Zに並ぶ3個の開口61、64、65が水平方向Xに貫通しており、水平方向XのX1側(後段印刷機4の反対側)の筐体6bには、鉛直方向Zに並ぶ3個の開口62、63、66が水平方向Xに貫通している。側壁6aにおいて、開口61は開口64より上側に設けられ、開口64は開口65より上側に設けられている。側壁6bにおいて、開口62は開口63より上側に設けられ、開口63は開口66より上側に設けられている。また、開口61と開口62とは同じ高さに位置して水平方向Xに対向し、開口63と開口64とは同じ高さに位置して水平方向Xに対向し、開口65と開口66とは同じ高さに位置して水平方向Xに対向する。そして、印刷媒体Mは、繰出ローラ11および巻取ローラ12による搬送に伴って、これらの開口61~66を順番に通過することで筐体6の中と外とを往来する。
【0025】
この後段乾燥炉5は、開口61に対して配置されたローラ51を、筐体6の外側に備える。ローラ51は、水平方向Xにおける筐体6のX2側に配置され(換言すれば、後段印刷機4と筐体6との間に配置され)、印刷媒体Mの裏面M2(下面)に接することで印刷媒体Mを裏面M2側から支持する。そして、後段印刷機4から搬出された印刷媒体Mは、このローラ51により支持されつつ、側壁6aの開口61から筐体6内に搬入される。こうして開口61を介して側壁6aを通過した印刷媒体Mは、水平方向Xに平行に開口61から開口62へ向かう上段搬送方向Duへ移動し、側壁6bの開口62から筐体6外に搬出される。
【0026】
後段乾燥炉5は、開口62から搬出された印刷媒体Mを折り返すために、筐体6の外側で上下に並ぶローラ52、53を、水平方向Xにおける筐体6のX1側に備える。上側のローラ52は、開口62に対して配置されており、開口62から水平方向XのX1側へ搬出された印刷媒体Mの裏面M2に接することで、印刷媒体Mを裏面M2側から支持しつつ鉛直方向Zの下側へ折り返す。下側のローラ53は、開口63に対して配置されており、ローラ52から下側に移動する印刷媒体Mの裏面M2に接することで、印刷媒体Mを裏面M2側から支持しつつ水平方向XのX2側へ折り返す。なお、このように印刷媒体Mを折り返すことで、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とが上下に反転する。
【0027】
こうしてローラ53により折り返された印刷媒体Mは、側壁6bの開口63から筐体6内に搬入される。開口63を介して側壁6bを通過した印刷媒体Mは、水平方向Xに平行に開口63から開口64へ向かう中段搬送方向Dmへ移動し、側壁6aの開口64から筐体6外に搬出される。
【0028】
後段乾燥炉5は、開口64から搬出された印刷媒体Mを折り返すために、筐体6の外側で上下に並ぶエアターンバー54、55を、水平方向Xにおける筐体6のX2側に備える。上側のエアターンバー54は、開口64に対して配置されており、開口64から水平方向XのX2側へ搬出された印刷媒体Mの表面M1側から印刷媒体Mにエアを噴射する。これによって、エアターンバー54は、印刷媒体Mとの間に隙間を空けた状態で印刷媒体Mを表面M1側から支持しつつ、印刷媒体Mを鉛直方向Zの下側へ折り返す。下側のエアターンバー55は、開口65に対して配置されており、エアターンバー54から下側に移動する印刷媒体Mの表面M1側から印刷媒体Mにエアを噴射する。これによって、エアターンバー55は、印刷媒体Mとの間に隙間を空けた状態で印刷媒体Mを表面M1側から支持しつつ、印刷媒体Mを水平方向XのX1側へ折り返す。なお、このように印刷媒体Mを折り返すことで、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とが上下に反転する。
【0029】
こうしてエアターンバー55により折り返された印刷媒体Mは、側壁6aの開口65から筐体6内に搬入される。開口65を介して側壁6aを通過した印刷媒体Mは、水平方向Xに平行に開口65から開口66へ向かう下段搬送方向Dlへ移動し、側壁6bの開口66から筐体6外に搬出される。
【0030】
また、後段乾燥炉5は、開口66から搬出された印刷媒体Mを支持するために、筐体6の外側に配置されたローラ56を、水平方向Xにおける筐体6のX1側に備える。このローラ56は、開口66に対して配置されており、開口66から水平方向XのX1側へ搬出された印刷媒体Mの裏面M2に接することで、印刷媒体Mを裏面M2側から支持する。
【0031】
かかる後段乾燥炉5は、6個の送風乾燥部7a~7fを筐体6内に備える。これらのうち、2個の送風乾燥部7a、7bは上段搬送方向Duに沿って移動する印刷媒体Mを乾燥するために、開口61、62の間に配列され、2個の送風乾燥部7c、7dは中段搬送方向Dmに沿って移動する印刷媒体Mを乾燥するために、開口63、64の間に配列され、2個の送風乾燥部7e、7fは下段搬送方向Dlに沿って移動する印刷媒体Mを乾燥するために、開口65、66の間に配列されている。
【0032】
図3は送風乾燥部を部分的に拡大して示す模式図であり、
図4は送風乾燥部の外観構成を模式的に示す部分斜視図である。続いては、送風乾燥部7a~7fについて、
図3および
図4を併用して説明する。なお、送風乾燥部7a~7fは共通する構成を備える。そのため、送風乾燥部7aを用いてこれらに共通する部分を主に説明してから、送風乾燥部7b~7fについて個別の構成を説明する。
【0033】
送風乾燥部7aは、上段搬送方向Duにおいて開口61に対向して配置される。この送風乾燥部7aは、上段搬送方向Duに移動する印刷媒体Mの上側および下側にそれぞれ配置された送風ユニット71u、71lを有する。
【0034】
上側の送風ユニット71uは、印刷媒体Mの上側において水平方向Xに延設された送風チャンバ72uを有する。送風チャンバ72uの下面は、上側を向く印刷媒体Mの表面M1(上面)に上側から対向するノズル配置平面73uである。このノズル配置平面73uは、水平方向Xに平行であるとともに鉛直方向Zに直交する平面である。さらに、送風ユニット71uは、このノズル配置平面73uに水平方向Xに所定のピッチA1で配列された複数のノズル76uを有する。こうして複数のノズル76uがノズル配置平面73uと印刷媒体Mの表面M1との間に並んで、印刷媒体Mの表面M1に対向する。
【0035】
この送風チャンバ72uは、水平方向XのX1側の端に位置する側壁Wuaと、X2側の端に位置する側壁Wubとを有する。側壁Wuaは、ノズル配置平面73uのX1側の端から上側に延設された平板であり、側壁Wubは、ノズル配置平面73uのX2側の端から上側に延設された平板である。側壁Wua、Wubのそれぞれは、鉛直方向Zに平行であるとともに水平方向Xに直交する。
【0036】
また、送風チャンバ72uは、水平方向Xにおける両側壁Wua、壁Wubの間に位置する凸部Vuを有する。この凸部Vuは、両側壁Wa、Wbより上側に位置しており、上側に凸である。この凸部Vuは、水平方向XのX1側の端に位置する突出壁Vuaと、水平方向XのX2側の端に位置する突出壁Vubとを有する。突出壁Vua、Vubのそれぞれは、鉛直方向Zに平行であるとともに水平方向Xに直交する。さらに、凸部Vuは、突出壁Vua、Vubの上端の間で延設された上端面Vucを有する。この上端面Vucは、鉛直方向Zに直交する平面であり、送風ユニット71uの上端に位置する。
【0037】
さらに、送風チャンバ72uは、凸部VuのX1側において側壁Wuaの上端から凸部Vuの間に延設された傾斜板Suaと、凸部VuのX2側において側壁Wubの上端から凸部Vuの間に延設された傾斜板Subとを有する。傾斜板Suaは、側壁Wuaから凸部Vuに向かって上るように、水平方向Xに対して一定角度で傾斜する平板である。傾斜板Subは、側壁Wubから凸部Vuに向かって上るように水平方向Xに対して一定角度で傾斜する平板である。
【0038】
そして、側壁Wuaに対して反対側の傾斜板Suaの端(上端)から凸部Vuの突出壁Vuaが上側に突出し、側壁Wubに対して反対側の傾斜板Subの端(上端)から凸部Vuの突出壁Vubが上側に突出する。このように凸部Vuは、水平方向Xから傾斜板Sua、Subに挟まれて、傾斜板Sua、Subから上側に突出した直方体形状を有し、水平方向Xに幅ΔVuを有する。
【0039】
このように構成された送風ユニット71uでは、複数のノズル76uのうち、水平方向Xの中央に位置する一部は、鉛直方向Zから送風チャンバ72uの凸部Vuに対向する。また、複数のノズル76uのうち、当該中央より水平方向XのX1側の端部に位置する一部は、鉛直方向Zから傾斜板Suaに対向する。さらに、複数のノズル76uのうち、当該中央より水平方向XのX2側の端部に位置する一部は、鉛直方向Zから傾斜板Subに対向する。つまり、複数のノズル76uには、凸部Vuに対向するノズル76uと、傾斜板Suaに対向するノズル76uと、傾斜板Subに対向するノズル76uとが含まれる。
【0040】
また、水平方向Y(鉛直方向Zおよび水平方向Xに直交)における送風チャンバ72uの両端に位置する壁の一方には、水平方向Yに開口する供給口Ouが設けられている。この供給口Ouは、凸部Vuの水平方向Xの一端(突出壁Vua)に一致して鉛直方向Zに平行な仮想直線Icと、凸部Vuの水平方向Xの他端(突出壁Vub)に一致して鉛直方向Zに平行な仮想直線Idとの間に位置する。すなわち、水平方向Xにおいて、凸部Vuの両端の間に供給口Ouは位置する。さらに言えば、水平方向Xにおいて、凸部VuのX1側の端は供給口OuのX1側の端よりX1側に位置するとともに、凸部VuのX2側の端は供給口OuのX2側の端よりX2側に位置する。また、供給口Ouの一部(上側の一部)は突出壁Vuaに重複する(換言すれば、傾斜板Sua、Subの上端より上側に突出する)ように形成されている。この供給口Ouには、温風を供給するダクトが接続される。
【0041】
かかる送風チャンバ72u内に形成される内部空間は、傾斜板Sua、Subの傾斜に応じて、水平方向Xの両端へ向かって鉛直方向Zへの厚みが薄くなるテーパを有する。そして、温風が供給口Ouを介して送風チャンバ72uの内部空間に供給される。各ノズル76uは、送風チャンバ72uの内部空間と連通しており、送風チャンバ72uに供給された温風は、ノズル76uから印刷媒体Mの表面M1に噴射される。
【0042】
下側の送風ユニット71lは、印刷媒体Mの下側において水平方向Xに延設された送風チャンバ72lを有する。送風チャンバ72lの上面は、下側を向く印刷媒体Mの裏面M2(下面)に下側から対向するノズル配置平面73lである。このノズル配置平面73lは、水平方向Xに平行であるとともに鉛直方向Zに直交する平面である。さらに、送風ユニット71lは、このノズル配置平面73lに水平方向Xに所定のピッチA1で配列された複数のノズル76lを有する。こうして複数のノズル76lがノズル配置平面73lと印刷媒体Mの裏面M2との間に並んで、印刷媒体Mの裏面M2に対向する。
【0043】
この送風チャンバ72lは、水平方向XのX1側の端に位置する側壁Wlaと、X2側の端に位置する側壁Wlbとを有する。側壁Wlaは、ノズル配置平面73lのX1側の端から下側に延設された平板であり、側壁Wlbは、ノズル配置平面73lのX2側の端から下側に延設された平板である。側壁Wla、Wlbのそれぞれは、鉛直方向Zに平行であるとともに水平方向Xに直交する。
【0044】
また、送風チャンバ72lは、水平方向Xにおける両側壁Wla、壁Wlbの間に位置する凸部Vlを有する。この凸部Vlは、両側壁Wa、Wbより下側に位置しており、下側に凸である。この凸部Vlは、水平方向XのX1側の端に位置する突出壁Vlaと、水平方向XのX2側の端に位置する突出壁Vlbとを有する。突出壁Vla、Vlbのそれぞれは、鉛直方向Zに平行であるとともに水平方向Xに直交する。さらに、凸部Vlは、突出壁Vla、Vlbの下端の間で延設された下端面Vlcを有する。この下端面Vlcは、鉛直方向Zに直交する平面であり、送風ユニット71lの下端に位置する。
【0045】
さらに、送風チャンバ72lは、凸部VlのX1側において側壁Wlaの下端から凸部Vlの間に延設された傾斜板Slaと、凸部VlのX2側において側壁Wlbの下端から凸部Vlの間に延設された傾斜板Slbとを有する。傾斜板Slaは、側壁Wlaから凸部Vlに向かって下るように、水平方向Xに対して一定角度で傾斜する平板である。傾斜板Slbは、側壁Wlbから凸部Vlに向かって下るように水平方向Xに対して一定角度で傾斜する平板である。
【0046】
そして、側壁Wlaに対して反対側の傾斜板Slaの端(下端)から凸部Vlの突出壁Vlaが下側に突出し、側壁Wlbに対して反対側の傾斜板Slbの端(下端)から凸部Vlの突出壁Vlbが下側に突出する。このように凸部Vlは、水平方向Xから傾斜板Sla、Slbに挟まれて、傾斜板Sla、Slbから下側に突出した直方体形状を有し、水平方向Xに幅ΔVlを有する。
【0047】
このように構成された送風ユニット71lでは、複数のノズル76lのうち、水平方向Xの中央に位置する一部は、鉛直方向Zから送風チャンバ72lの凸部Vlに対向する。また、複数のノズル76lのうち、当該中央より水平方向XのX1側の端部に位置する一部は、鉛直方向Zから傾斜板Slaに対向する。さらに、複数のノズル76lのうち、当該中央より水平方向XのX2側の端部に位置する一部は、鉛直方向Zから傾斜板Slbに対向する。つまり、複数のノズル76lには、凸部Vlに対向するノズル76lと、傾斜板Slaに対向するノズル76lと、傾斜板Slbに対向するノズル76lとが含まれる。
【0048】
また、水平方向Yにおける送風チャンバ72lの両端に位置する壁の一方には、水平方向Yに開口する供給口Olが設けられている。この供給口Olは、凸部Vlの水平方向Xの一端(突出壁Vla)に一致して鉛直方向Zに平行な仮想直線Iaと、凸部Vlの水平方向Xの他端(突出壁Vlb)に一致して鉛直方向Zに平行な仮想直線Ibとの間に位置する。すなわち、水平方向Xにおいて、凸部Vlの両端の間に供給口Olは位置する。さらに言えば、水平方向Xにおいて、凸部VlのX1側の端は供給口OlのX1側の端よりX1側に位置するとともに、凸部VlのX2側の端は供給口OlのX2側の端よりX2側に位置する。また、供給口Olの一部(下側の一部)は突出壁Vlaに重複する(換言すれば、傾斜板Sla、Slbの下端より下側に突出する)ように形成されている。この供給口Olには、温風を供給するダクトが接続される。
【0049】
かかる送風チャンバ72l内に形成される内部空間は、傾斜板Sla、Slbの傾斜に応じて、水平方向Xの両端へ向かって鉛直方向Zへの厚みが薄くなるテーパを有する。そして、温風が供給口Olを介して送風チャンバ72lの内部空間に供給される。各ノズル76lは、送風チャンバ72lの内部空間と連通しており、送風チャンバ72lに供給された温風は、ノズル76lから印刷媒体Mの裏面M2に噴射される。
【0050】
このように、送風ユニット71uと送風ユニット71lとは印刷媒体Mを挟む。換言すれば、上段搬送方向Duに移動する印刷媒体Mは、送風ユニット71uと送風ユニット71lとの間で水平方向Xに延設された乾燥経路Pを通過する。このように、送風乾燥部7aは、開口61への搬入後に、当該開口61に対向する乾燥経路Pを上段搬送方向Duへ通過する印刷媒体Mに対して、乾燥経路Pの両側の送風ユニット71u、71lから温風を噴射することで、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0051】
ちなみに、上側のノズル76uは、水平方向Xに隣り合う下側の2個のノズル76lの間の範囲に上側から対向し、下側のノズル76lは、水平方向Xに隣り合う上側の2個のノズル76uの間の範囲に下側から対向する。つまり、水平方向Xにおいて、上側のノズル76uと下側のノズル76lとは、ピッチA1の半分のピッチA2で交互に並んでおり、換言すれば千鳥状に配列されている。このようなノズル76u、76lの千鳥配列は、送風チャンバ72u、72lの位置を水平方向Xに相互にずらすことで実現される。つまり、送風チャンバ72lは、送風チャンバ72uに対して水平方向Xにおいて側壁6a側に突出している。
【0052】
かかる構成では、印刷媒体Mは、上側のノズル76uに対向する部分ではこのノズル76uからの温風により下側へ押されることで搬送中心線Lより下側に偏り、下側のノズル76lに対向する部分ではこのノズル76lからの温風により上方へ押されることで搬送中心線Lより上側に偏る。ここで、搬送中心線Lは、ノズル76uおよびノズル76lそれぞれからの鉛直方向Zにおける距離が等しい水平な仮想直線である。したがって、乾燥経路Pを通過する印刷媒体Mは、搬送中心線Lの上側と下側との間で波打った形状を有する。このように印刷媒体Mは、上下に波打ちながら乾燥経路Pを水平方向Xに通過する。
【0053】
また、これら送風ユニット71u、71lは、筐体6によって支持される。具体的には、送風ユニット71u、71lはネジ等の締結部材を介して筐体6に取り付けられている。さらに、送風ユニット71u、71lのいずれかの取り付け位置を鉛直方向Zに調整することで、送風ユニット71u、71lの鉛直方向Zへの位置関係(間隔)を調整することができる。
【0054】
送風乾燥部7bは、上段搬送方向Duにおいて送風乾燥部7aの下流側に配置され、上段搬送方向Duにおいて開口62に対向する。この送風乾燥部7bは、送風乾燥部7aと同様に、上段搬送方向Duに沿って移動する印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む送風ユニット71u、71lを有する。また、送風乾燥部7bでは、送風ユニット71uが送風ユニット71lに対して水平方向Xにおいて側壁6b側に突出している。この送風乾燥部7bは、開口62からの搬出前に、当該開口62に対向する乾燥経路Pを上段搬送方向Duへ通過する印刷媒体Mに対して、乾燥経路Pの両側の送風ユニット71u、71lから温風を噴射することで、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0055】
送風乾燥部7cは、中段搬送方向Dmから開口63に対向して配置される。この送風乾燥部7cは、送風乾燥部7aと同様に、印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む送風ユニット71u、71lを有する。ただし、送風乾燥部7cは、中段搬送方向Dmに対して配置されているため、送風乾燥部7cの送風ユニット71u、71lは、中段搬送方向Dmに沿って移動する印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む。さらに、ローラ52、53による印刷媒体Mの折り返しに伴って印刷媒体Mの上下が反転しているため、送風ユニット71uは、印刷媒体Mの裏面M2(上面)に温風を噴射し、送風ユニット71lは、印刷媒体Mの表面M1(下面)に温風を噴射する。また、送風乾燥部7cでは、送風ユニット71lが送風ユニット71uに対して水平方向Xにおいて側壁6b側に突出している。この送風乾燥部7cは、開口63への搬入後に、当該開口63に対向する乾燥経路Pを中段搬送方向Dmへ通過する印刷媒体Mに対して、乾燥経路Pの両側の送風ユニット71u、71lから温風を噴射することで、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0056】
送風乾燥部7dは、中段搬送方向Dmにおいて送風乾燥部7cの下流側に配置され、中段搬送方向Dmから開口64に対向する。この送風乾燥部7dは、送風乾燥部7cと同様に中段搬送方向Dmに移動する印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む送風ユニット71u、71lを有する。また、送風乾燥部7dでは、送風ユニット71uが送風ユニット71lに対して水平方向Xにおいて側壁6a側に突出している。この送風乾燥部7dは、開口64からの搬出前に、当該開口64に対向する乾燥経路Pを中段搬送方向Dmへ通過する印刷媒体Mに対して、乾燥経路Pの両側の送風ユニット71u、71lから温風を噴射することで、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0057】
送風乾燥部7eは、下段搬送方向Dlから開口65に対向して配置される。この送風乾燥部7eは、送風乾燥部7aと同様に、印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む送風ユニット71u、71lを有する。ただし、送風乾燥部7eは、下段搬送方向Dlに対して配置されているため、送風乾燥部7eの送風ユニット71u、71lは、下段搬送方向Dlに沿って移動する印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む。また、送風乾燥部7eでは、送風ユニット71lが送風ユニット71uに対して水平方向Xにおいて側壁6a側に突出している。この送風乾燥部7eは、開口65への搬入後に、当該開口65に対向する乾燥経路Pを下段搬送方向Dlへ通過する印刷媒体Mに対して、乾燥経路Pの両側の送風ユニット71u、71lから温風を噴射することで、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0058】
送風乾燥部7fは、下段搬送方向Dlにおいて送風乾燥部7eの下流側に配置され、下段搬送方向Dlから開口66に対向する。この送風乾燥部7fは、送風乾燥部7eと同様に、下段搬送方向Dlに移動する印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む送風ユニット71u、71lを有する。また、送風乾燥部7fでは、送風ユニット71uが送風ユニット71lに対して水平方向Xにおいて側壁6b側に突出している。この送風乾燥部7fは、開口66からの搬出前に、当該開口66に対向する乾燥経路Pを下段搬送方向Dlへ通過する印刷媒体Mに対して、乾燥経路Pの両側の送風ユニット71u、71lから温風を噴射することで、印刷媒体Mを乾燥させる。
【0059】
さらに、後段乾燥炉5は、筐体6内のエアを筐体6外に排出する排気部8a、8bを、筐体6内に備える。排気部8aは、筐体6内のX2側の端に側壁6aに隣接して配置され、送風乾燥部7a、7d、7eと側壁6aとの間に位置する。排気部8bは、筐体6内のX1側の端に側壁6bに隣接して配置され、送風乾燥部7b、7c、7fと側壁6bとの間に位置する。これら排気部8a、8bは共通する構成を備える。そのため、排気部8aを用いてこれらに共通する部分を主に説明してから、排気部8bについて個別の構成を説明する。
【0060】
排気部8aは、鉛直方向Zに並ぶ4個の排気チャンバ81~84を有する。排気チャンバ81は、開口61と開口62との間を上段搬送方向Duに移動する印刷媒体Mの上側に配置される。排気チャンバ82は、開口61と開口62との間を上段搬送方向Duに移動する印刷媒体Mと、開口63と開口64との間を中段搬送方向Dmに移動する印刷媒体Mとの間に配置されている。排気チャンバ84は、開口65と開口66との間を下段搬送方向Dlに移動する印刷媒体Mの下側に配置されている。かかる排気部8aと同様に、排気部8bも排気チャンバ81~84を有する。そして、排気部8a、8bそれぞれの排気チャンバ81~84が、筐体6内のエアを外部に排出する。
【0061】
図5は後段乾燥炉が備える6台の送風乾燥部のうち
図2右側の3台の送風乾燥部を模式的に示す正面図である。同図では、上段搬送方向Du、中段搬送方向Dmおよび下段搬送方向Dlにおいて水平方向Xに延設された各乾燥経路Pに符号Pu、Pm、Plを付した。
【0062】
同図に示すように、送風乾燥部7a、7d、7eでは、水平方向Xにおける凸部Vu、Vlの位置がそれぞれ異なる。つまり、送風乾燥部7aでは、送風ユニット71uの凸部Vuおよび送風ユニット71lの凸部Vlのそれぞれは所定の中央位置Xrcに位置し、送風乾燥部7dでは、送風ユニット71uの凸部Vuおよび送風ユニット71lの凸部Vlのそれぞれは中央位置Xrcから水平方向XのX1側にずれた一方位置Xraに位置し、送風乾燥部7eでは、送風ユニット71uの凸部Vuおよび送風ユニット71lの凸部Vlのそれぞれは中央位置Xrcから水平方向XのX2側にずれた他方位置Xrbに位置する。
【0063】
なお、位置Xra、Xrb、Xrcのそれぞれは、水平方向Xの座標に相当する。凸部Vuの位置は当該凸部Vuの水平方向Xにおける中心の位置(座標)で与えられ、凸部Vlの位置は当該凸部Vlの水平方向Xにおける中心の位置(座標)で与えられる。また、ここの例では、水平方向Xにおける一方位置Xraと中央位置Xrcとの間隔ΔXraと、他方位置Xrbと中央位置Xrcとの間隔ΔXrbは等しい。
【0064】
送風乾燥部7a、7d、7eそれぞれの凸部Vuの幅ΔVuは等しく、送風乾燥部7a、7d、7eそれぞれの凸部Vlの幅ΔVlは等しい。さらに、幅ΔVuと幅ΔVlは等しい。また、幅ΔVuおよび幅ΔVlのそれぞれは、間隔ΔXraより短く、間隔ΔXrbより短い。
【0065】
上段乾燥経路Puと中段乾燥経路Pmとの間では、送風乾燥部7aの送風ユニット71lと、送風乾燥部7bの送風ユニット71uとが、鉛直方向Zから見て少なくとも一部で重複するように上下に配置されている。これらのうち、上側の送風ユニット71l(一方送風ユニット)は、上段乾燥経路Puに下側から対向して、上段乾燥経路Puを通過する印刷媒体Mに対して温風を噴射する。また、下側の送風ユニット71u(他方送風ユニット)は、中段乾燥経路Pmに上側から対向して、中段乾燥経路Pmを通過する印刷媒体Mに温風を噴射する。
【0066】
また、送風ユニット71lの凸部Vlは中央位置Xrcに位置する一方、送風ユニット71uの凸部Vuは一方位置Xraに位置しており、これら凸部Vlと凸部Vuとは水平方向Xに互いにずれている。そのため、水平方向Xにおいて、凸部Vlと凸部Vuとは、隙間C1を空けて離れている。特に、鉛直方向Zにおいて、凸部Vlの下端面Vlcは凸部Vuの上端面Vucより下側に位置し、換言すれば、凸部Vuの上端面Vucは凸部Vlの下端面Vlcより上側に位置する。つまり、水平方向Xから見て、これら凸部Vlと凸部Vuとは一部において重複する。これによって、上段乾燥経路Puと中段乾燥経路Pmとの間において、送風ユニット71lと送風ユニット71uとをコンパクトに配置することができ、延いては、上段乾燥経路Puと中段乾燥経路Pmとの間隔を鉛直方向Zに抑えることができる。
【0067】
中段乾燥経路Pmと下段乾燥経路Plとの間では、送風乾燥部7dの送風ユニット71lと、送風乾燥部7eの送風ユニット71uとが、鉛直方向Zから見て少なくとも一部で重複するように上下に配置されている。これらのうち、上側の送風ユニット71l(一方送風ユニット)は、中段乾燥経路Pmに下側から対向して、中段乾燥経路Pmを通過する印刷媒体Mに対して温風を噴射する。また、下側の送風ユニット71u(他方送風ユニット)は、下段乾燥経路Plに上側から対向して、下段乾燥経路Plを通過する印刷媒体Mに温風を噴射する。
【0068】
また、送風ユニット71lの凸部Vlは一方位置Xraに位置する一方、送風ユニット71uの凸部Vuは他方位置Xrbに位置しており、これら凸部Vlと凸部Vuとは水平方向Xに互いにずれている。そのため、水平方向Xにおいて、凸部Vlと凸部Vuとは、隙間C2(隙間C1より広い)を空けて離れている。特に、鉛直方向Zにおいて、凸部Vlの下端面Vlcは凸部Vuの上端面Vucより下側に位置し、換言すれば、凸部Vuの上端面Vucは凸部Vlの下端面Vlcより上側に位置する。つまり、水平方向Xから見て、これら凸部Vlと凸部Vuとは一部において重複する。これによって、中段乾燥経路Pmと下段乾燥経路Plとの間において、送風ユニット71lと送風ユニット71uとをコンパクトに配置することができ、延いては、中段乾燥経路Pmと下段乾燥経路Plとの間隔を鉛直方向Zに抑えることができる。
【0069】
なお、送風乾燥部7aの送風ユニット71uと、送風乾燥部7aの送風ユニット71lとは互いに同一の構成を具備し、送風乾燥部7aの送風ユニット71uを上下に反転させることで、送風乾燥部7aの送風ユニット71lとして使用できる。送風乾燥部7dの送風ユニット71uと、送風乾燥部7eの送風ユニット71uとは互いに同一の構成を具備し、送風乾燥部7dの送風ユニット71uを左右に反転させることで、送風乾燥部7eの送風ユニット71uとして使用することができる。また、送風乾燥部7dの送風ユニット71lと、送風乾燥部7eの送風ユニット71lとは互いに同一の構成を具備し、送風乾燥部7dの送風ユニット71lを左右に反転させることで、送風乾燥部7eの送風ユニット71lとして使用することができる。
【0070】
図6は後段乾燥炉が備える6台の送風乾燥部のうち
図2左側の3台の送風乾燥部を模式的に示す正面図である。同図においても、上段搬送方向Du、中段搬送方向Dmおよび下段搬送方向Dlのそれぞれに対して水平方向Xに延設された乾燥経路Pに符号Pu、Pm、Plを付した。
【0071】
同図に示すように、送風乾燥部7b、7c、7fでは、水平方向Xにおける凸部Vu、Vlの位置がそれぞれ異なる。つまり、送風乾燥部7bでは、送風ユニット71uの凸部Vuおよび送風ユニット71lの凸部Vlのそれぞれは所定の中央位置Xlcに位置し、送風乾燥部7cでは、送風ユニット71uの凸部Vuおよび送風ユニット71lの凸部Vlのそれぞれは中央位置Xlcから水平方向XのX2側にずれた他方位置Xlbに位置し、送風乾燥部7fでは、送風ユニット71uの凸部Vuおよび送風ユニット71lの凸部Vlのそれぞれは中央位置Xlcから水平方向XのX1側にずれた他方位置Xlaに位置する。
【0072】
なお、位置Xla、Xlb、Xlcのそれぞれは、水平方向Xの座標に相当する。ここの例では、水平方向Xにおける一方位置Xlaと中央位置Xlcとの間隔ΔXlaと、他方位置Xlbと中央位置Xlcとの間隔ΔXlbは等しい。
【0073】
送風乾燥部7b、7c、7fそれぞれの凸部Vuの幅ΔVuは等しく、送風乾燥部7b、7c、7fそれぞれの凸部Vlの幅ΔVlは等しい。さらに、幅ΔVuと幅ΔVlは等しい。また、幅ΔVuおよび幅ΔVlのそれぞれは、間隔ΔXlaより短く、間隔ΔXlbより短い。
【0074】
上段乾燥経路Puと中段乾燥経路Pmとの間では、送風乾燥部7bの送風ユニット71lと、送風乾燥部7cの送風ユニット71uとが、鉛直方向Zから見て少なくとも一部で重複するように上下に配置されている。これらのうち、上側の送風ユニット71l(一方送風ユニット)は、上段乾燥経路Puに下側から対向して、上段乾燥経路Puを通過する印刷媒体Mに対して温風を噴射する。また、下側の送風ユニット71u(他方送風ユニット)は、中段乾燥経路Pmに上側から対向して、中段乾燥経路Pmを通過する印刷媒体Mに温風を噴射する。
【0075】
また、送風ユニット71lの凸部Vlは中央位置Xlcに位置する一方、送風ユニット71uの凸部Vuは他方位置Xlbに位置しており、これら凸部Vlと凸部Vuとは水平方向Xに互いにずれている。そのため、水平方向Xにおいて、凸部Vlと凸部Vuとは、隙間C1を空けて離れている。特に、鉛直方向Zにおいて、凸部Vlの下端面Vlcは凸部Vuの上端面Vucより下側に位置し、換言すれば、凸部Vuの上端面Vucは凸部Vlの下端面Vlcより上側に位置する。つまり、水平方向Xから見て、これら凸部Vlと凸部Vuとは一部において重複する。これによって、上段乾燥経路Puと中段乾燥経路Pmとの間において、送風ユニット71lと送風ユニット71uとをコンパクトに配置することができ、延いては、上段乾燥経路Puと中段乾燥経路Pmとの間隔を鉛直方向Zに抑えることができる。
【0076】
中段乾燥経路Pmと下段乾燥経路Plとの間では、送風乾燥部7cの送風ユニット71lと、送風乾燥部7fの送風ユニット71uとが、鉛直方向Zから見て少なくとも一部で重複するように上下に配置されている。これらのうち、上側の送風ユニット71l(一方送風ユニット)は、中段乾燥経路Pmに下側から対向して、中段乾燥経路Pmを通過する印刷媒体Mに対して温風を噴射する。また、下側の送風ユニット71u(他方送風ユニット)は、下段乾燥経路Plに上側から対向して、下段乾燥経路Plを通過する印刷媒体Mに温風を噴射する。
【0077】
また、送風ユニット71lの凸部Vlは他方位置Xlbに位置する一方、送風ユニット71uの凸部Vuは一方位置Xlaに位置しており、これら凸部Vlと凸部Vuとは水平方向Xに互いにずれている。そのため、水平方向Xにおいて、凸部Vlと凸部Vuとは、隙間C2(隙間C1より広い)を空けて離れている。特に、鉛直方向Zにおいて、凸部Vlの下端面Vlcは凸部Vuの上端面Vucより下側に位置し、換言すれば、凸部Vuの上端面Vucは凸部Vlの下端面Vlcより上側に位置する。つまり、水平方向Xから見て、これら凸部Vlと凸部Vuとは一部において重複する。これによって、中段乾燥経路Pmと下段乾燥経路Plとの間において、送風ユニット71lと送風ユニット71uとをコンパクトに配置することができ、延いては、中段乾燥経路Pmと下段乾燥経路Plとの間隔を鉛直方向Zに抑えることができる。
【0078】
なお、送風乾燥部7bの送風ユニット71uと、送風乾燥部7bの送風ユニット71lとは互いに同一の構成を具備し、送風乾燥部7bの送風ユニット71uを上下に反転させることで、送風乾燥部7bの送風ユニット71lとして使用できる。送風乾燥部7cの送風ユニット71uと、送風乾燥部7fの送風ユニット71uとは互いに同一の構成を具備し、送風乾燥部7cの送風ユニット71uを左右に反転させることで、送風乾燥部7fの送風ユニット71uとして使用することができる。また、送風乾燥部7cの送風ユニット71lと、送風乾燥部7fの送風ユニット71lとは互いに同一の構成を具備し、送風乾燥部7cの送風ユニット71lを左右に反転させることで、送風乾燥部7fの送風ユニット71lとして使用することができる。
【0079】
以上に説明した実施形態では、以下に説明する効果が奏される。なお、当該効果は、
組み合わせ1:上段乾燥経路Puと中段乾燥経路Pmの間で上下に配置された送風乾燥部7aの送風ユニット71lおよび送風乾燥部7dの送風ユニット71u
組み合わせ2:中段乾燥経路Pmと下段乾燥経路Plの間で上下に配置された送風乾燥部7dの送風ユニット71lおよび送風乾燥部7eの送風ユニット71u
組み合わせ3:上段乾燥経路Puと中段乾燥経路Pmの間で上下に配置された送風乾燥部7bの送風ユニット71lおよび送風乾燥部7cの送風ユニット71u
組み合わせ4:中段乾燥経路Pmと下段乾燥経路Plの間で上下に配置された送風乾燥部7cの送風ユニット71lおよび送風乾燥部7fの送風ユニット71u
のそれぞれについて同様に奏される。そこで、以下では、上記組み合わせ1について主に説明する。
【0080】
つまり、上記の実施形態では、送風乾燥部7aの送風ユニット71lと、送風乾燥部7dの送風ユニット71uとが、上段乾燥経路Puと中段乾燥経路Pmとの間において、鉛直方向Zから見て少なくとも一部で重複するように上下に配置されている。特に、2個の送風ユニット71l、71uのうち、上側の送風ユニット71l(一方送風ユニット)の下端部(下端面Vlc)が下側の送風ユニット71u(他方送風ユニット)の上端部(上端面Vuc)に対して水平方向Xにずれるとともに、鉛直方向Zにおいて当該上端部(上端面Vuc)より下側に突出するように、2個の送風ユニット71l、71uが配置されている。こうして、2個の乾燥経路Pu、Pmの間で上下に2個の送風ユニット71l、71uをコンパクトに配置することができ、延いては後段乾燥炉5の大型化を抑制することが可能となる。
【0081】
また、送風ユニット71l(一方送風ユニット)は、その両端の側壁Wla(第1側壁)および側壁Wlb(第2側壁)それぞれから、これらの間に位置する凸部Vl(一方凸部)まで傾斜板Sla(第1傾斜部)および傾斜板Slb(第2傾斜部)が延設された外観形状を有する。また、送風ユニット71u(他方送風ユニット)は、その両端の側壁Wua(第3側壁)および側壁Wub(第4側壁)それぞれから、これらの間に位置する凸部Vu(他方凸部)まで傾斜板Sua(第3傾斜部)および傾斜板Sub(第4傾斜部)が延設された外観形状を有する。そして、送風ユニット71lでは、凸部Vlが傾斜板Slaおよび傾斜板Slbから下側に突出して、凸部Vlの下端面Vlcが送風ユニット71lの下端部を構成し、送風ユニット71uでは、凸部Vuが傾斜板Suaおよび傾斜板Subから上側に突出して、凸部Vuの上端面Vucが送風ユニット71uの上端部を構成する。このように凸部Vlおよび凸部Vuをそれぞれ有する送風ユニット71lおよび送風ユニット71uを上下に配置すると、これら凸部Vl、Vuが嵩張るために、これらの配置スペースが大きくなるおそれがあった。これに対して、上側の送風ユニット71lの凸部Vlの下端面Vlcが、下側の送風ユニット71uの凸部Vuの上端面Vucより下側に突出するように、これら送風ユニット71l、71uが配置されている。その結果、これら送風ユニット71l、71uをコンパクトに配置することが可能となっている。
【0082】
また、傾斜板Slaは、水平方向Xに対して一定角度(第1角度)で傾斜し、傾斜板Slbは、水平方向Xに対して一定角度(第2角度)で傾斜し、傾斜板Sua(第3傾斜部)は、水平方向Xに対して一定角度(第3角度)で傾斜し、傾斜板Sub(第4傾斜部)は、水平方向Xに対して一定角度(第4角度)で傾斜するように、後段乾燥炉5が構成されている。かかる構成では、傾斜板Sla、Slb、Sua、Subのそれぞれを、所定の角度で傾けて取り付けられた平板で構成することができ、後段乾燥炉5を簡単に構成することができる。
【0083】
また、送風ユニット71lは、上段乾燥経路Puの延設方向(水平方向X)に配列された複数のノズル76l(一方ノズル)を有し、各ノズル76lが上段乾燥経路Puを通過する印刷媒体Mに下側から対向する。そして、側壁Wla、側壁Wlbおよび凸部Vlを有する送風チャンバ72l(一方チャンバ)内に供給された温風が複数のノズル76lのそれぞれから噴射される。かかる構成では、送風ユニット71lの両端から凸部Vlまでそれぞれ延設された傾斜板Slaおよび傾斜板Slbは、凸部Vlに向かって下るように水平方向Xに傾斜しており、送風チャンバ72lの内部は、両端に向かうに向かって狭くなるテーパが設けられている。したがって、圧力損失の影響を抑制して、複数のノズル76lから一様に気体を噴射することができる。
【0084】
同様に、送風ユニット71uは、中段乾燥経路Pmの延設方向(水平方向X)に配列された複数のノズル76u(他方ノズル)を有し、各ノズル76uが中段乾燥経路Pmを通過する印刷媒体Mに上側から対向する。そして、側壁Wua、側壁Wubおよび凸部Vuを有する送風チャンバ72u(他方チャンバ)内に供給された温風が複数のノズル76uのそれぞれから噴射される。かかる構成では、送風ユニット71uの両端から凸部Vuまでそれぞれ延設された傾斜板Suaおよび傾斜板Subは、凸部Vuに向かって上るように水平方向Xに傾斜しており、送風チャンバ72uの内部は、両端に向かうに向かって狭くなるテーパが設けられている。したがって、圧力損失の影響を抑制して、複数のノズル76uから一様に気体を噴射することができる。
【0085】
また、送風ユニット71lでは、凸部Vlの水平方向Xの一端に一致して鉛直方向Zに平行な仮想直線Ia(第1仮想直線)と、凸部Vlの水平方向Xの他端に一致して鉛直方向Zに平行な仮想直線Ib(第2仮想直線)との間に、供給口Olが設けられ、供給口Olから送風チャンバ72l内に温風が供給される。また、送風ユニット71uでは、凸部Vuの水平方向Xの一端に一致して鉛直方向Zに平行な仮想直線Ic(第3仮想直線)と、凸部Vuの水平方向Xの他端に一致して鉛直方向Zに平行な仮想直線Id(第4仮想直線)との間に、供給口Ouが設けられ、供給口Ouから送風チャンバ72u内に温風が供給される。かかる構成では、送風チャンバ72l、72u内に設けられた両側のテーパの間から温風を供給することができ、複数のノズル76l、76uから一様に気体を噴射することができる。
【0086】
また、供給口Olは凸部Vlと少なくとも一部で重複し、供給口Ouは凸部Vuと少なくとも一部で重複する。かかる構成では、温風が供給される供給口Ol、Ouとノズル76l、76uとの距離(換言すれば、ノズル配置平面73l、73uとの距離)を鉛直方向Zに確保できるため、複数のノズル76l、76uから一様に温風を噴射することができる。
【0087】
以上に説明した実施形態では、後段乾燥炉5が本発明の「ウェブ乾燥装置」の一例に相当し、送風ユニット71l、71uが本発明の「2個の送風ユニット」の一例に相当し、送風ユニット71lが本発明の「一方送風ユニット」の一例に相当し、送風ユニット71uが本発明の「他方送風ユニット」の一例に相当し、送風チャンバ72lが本発明の「一方チャンバ」の一例に相当し、送風チャンバ72uが本発明の「他方チャンバ」の一例に相当し、ノズル76lが本発明の「一方ノズル」の一例に相当し、ノズル76uが本発明の「他方ノズル」の一例に相当し、仮想直線Iaが本発明の「第1仮想直線」の一例に相当し、仮想直線Ibが本発明の「第2仮想直線」の一例に相当し、仮想直線Icが本発明の「第3仮想直線」の一例に相当し、仮想直線Idが本発明の「第4仮想直線」の一例に相当し、供給口Olが本発明の「一方開口」の一例に相当し、供給口Ouが本発明の「他方開口」の一例に相当し、傾斜板Slaが本発明の「第1傾斜部」の一例に相当し、傾斜板Slbが本発明の「第2傾斜部」の一例に相当し、傾斜板Suaが本発明の「第3傾斜部」の一例に相当し、傾斜板Subが本発明の「第4傾斜部」の一例に相当し、凸部Vlが本発明の「一方凸部」の一例に相当し、凸部Vuが本発明の「他方凸部」の一例に相当し、下端面Vlcが本発明の「下端部」あるいは「下端面」の一例に相当し、上端面Vucが本発明の「上端部」あるいは「上端面」の一例に相当し、側壁Wlaが本発明の「第1側壁」の一例に相当し、側壁Wlbが本発明の「第2側壁」の一例に相当し、側壁Wuaが本発明の「第3側壁」の一例に相当し、側壁Wubが本発明の「第4側壁」の一例に相当する。また、上段乾燥経路Puおよび中段乾燥経路Pmが本発明の「上側乾燥経路」および「下側乾燥経路」に相当し、あるいは中段乾燥経路Pmおよび下段乾燥経路Plが本発明の「上側乾燥経路」および「下側乾燥経路」に相当する。
【0088】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、凸部Vlと凸部Vuとの水平方向Xにおける位置関係を適宜変更してもよい。
図7は各凸部の位置関係のバリエーションを表形式で示す図である。例えば、送風乾燥部7aの送風ユニット71lの凸部Vlと、送風乾燥部7dの送風ユニット71uの凸部Vuとの位置関係は、
図7に示した位置関係R1~R6のいずれでもよい。送風乾燥部7dの送風ユニット71lの凸部Vlと送風乾燥部7eの送風ユニット71uの凸部Vuとの位置関係、送風乾燥部7bの送風ユニット71lの凸部Vlと送風乾燥部7cの送風ユニット71uの凸部Vuとの位置関係および送風乾燥部7cの送風ユニット71lの凸部Vlと送風乾燥部7fの送風ユニット71uの凸部Vuとの位置関係についても同様である。
【0089】
さらに言えば、凸部Vlあるいは凸部Vuの位置が位置Xla、Xlc、Xlb(位置Xla、Xlc、Xlb)のいずれかである必要は必ずしもなく、これらからずれていてもよい。
【0090】
また、乾燥経路Pの段数は、3段である必要は無く、2段あるいは4段以上でもよい。
【0091】
また、後段乾燥炉5は
図5および
図6それぞれに示す構成を具備する必要は無く、例えば
図5に示す構成のみを具備するように後段乾燥炉5を構成してもよい。
【0092】
また、送風ユニット71lの外観形状は上記の内容に限られない。例えば、凸部Vlを排して、傾斜板Sla、Slbそれぞれの上端を平面で接続してもよい。この場合、当該平面が本発明の「下端部」あるいは「下端面」に相当する。
【0093】
同様に、送風ユニット71uの外観形状は上記の内容に限られない。例えば、凸部Vuを排して、傾斜板Sua、Subそれぞれの上端を平面で接続してもよい。この場合、当該平面が本発明の「上端部」あるいは「上端面」に相当する。
【0094】
また、供給口Olあるいは供給口Ouの位置を変更してもよい。
【0095】
また、ノズル76u、76lの配列態様を適宜変更してもよく、ノズル76u、76lが鉛直方向Zに対向するように、ノズル76u、76lを配列してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、気体の噴射によりウェブを乾燥させる技術の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0097】
5…後段乾燥炉(ウェブ乾燥装置)
71l…送風ユニット(一方送風ユニット)
71u…送風ユニット(他方送風ユニット)
72l…送風チャンバ(一方チャンバ)
72u…送風チャンバ(他方チャンバ)
76l…ノズル(一方ノズル)
76u…ノズル(他方ノズル)
Ia…仮想直線(第1仮想直線)
Ib…仮想直線(第2仮想直線)
Ic…仮想直線(第3仮想直線)
Id…仮想直線(第4仮想直線)
Ol…供給口(一方開口)
Ou…供給口(他方開口)
Sla…傾斜板(第1傾斜部)
Slb…傾斜板(第2傾斜部)
Sua…傾斜板(第3傾斜部)
Sub…傾斜板(第4傾斜部)
Vl…凸部(一方凸部)
Vu…凸部(他方凸部)
Vlc…下端面(下端部)
Vuc…上端面(上端部)
Wla…側壁(第1側壁)
Wlb…側壁(第2側壁)
Wua…側壁(第3側壁)
Wub…側壁(第4側壁)
Pu…上段乾燥経路(上側乾燥経路)
Pm…中段乾燥経路(下側乾燥経路、上側乾燥経路)
Pl…下段乾燥経路(下側乾燥経路)